(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854635
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】見切枠とその施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20210329BHJP
【FI】
E06B1/62 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-240515(P2016-240515)
(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公開番号】特開2018-96081(P2018-96081A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 尚人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴直
(72)【発明者】
【氏名】川岸 克誠
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−226244(JP,A)
【文献】
実開昭61−203986(JP,U)
【文献】
特開2000−136674(JP,A)
【文献】
米国特許第03757473(US,A)
【文献】
特開2000−336786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 − 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その前面及び背面に長手方向に凹設された見切取付溝が形成され、壁の開口部の内側面に取り付けられる見切縦枠と、
前記見切縦枠の見切取付溝に挿入されて固定される見切取付部と、見切取付溝に固定された時に、見切取付溝から壁の端部を被覆する被覆片部を有する見切材とで構成された見切枠において、
見切縦枠の幅は在来壁の厚み以下でツーバイフォー壁の厚み以上であり、
前記見切取付部の挿入幅が見切取付溝の開口幅より少なくともクロスの厚み分だけ小さく形成され、
見切取付部と見切取付溝との間にクロス端挿入用隙間が設けられると共に、
前記被覆片部には、パンチング加工によって多数の孔が設けられていることを特徴とする見切枠。
【請求項2】
ツーバイフォー壁の開口部の内側面に請求項1に記載の見切縦枠を取り付け、
見切縦枠の見切取付溝に見切材の見切取付部を挿入して見切取付部の入隅側内面を見切取付溝の壁側内面に沿わせると共に、見切取付部の取付片部外面と見切取付溝の開口側内面との間にクロス端挿入用隙間を設け、且つ見切材の被覆片部をツーバイフォー壁の表面に貼り付けてツーバイフォー壁の端部と見切縦枠との間の隙間を被覆し、
前記被覆片部の全面にパテを塗着させて平滑仕上げが成された後、クロスを貼り付け、ツーバイフォー壁及び被覆片部の表面に貼られたクロスの端部を前記クロス端挿入用隙間に入れ込み、
該クロス端挿入用隙間を覆うように前記端部と見切取付溝との境目にコーキング剤を塗着することを特徴とする見切枠の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開き戸やスライド式戸、或いは窓などの開口部に施工される見切枠及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅工法には、在来工法(木造軸組工法)、ツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)、プレハブ工法(軽量鉄骨造)その他さまざまな工法があり、壁構造や厚みも多様である。 在来工法(
図6)では、所定の間隔で建てられた太い柱20b(例えば、一辺が113mmの角材)の両面に石膏ボード、その他でできた壁部材34を張って壁Wを構成し、壁Wに設けた出入口或いは窓を構成する開口部Kの内側面(この部分に前記柱20bと、該柱20bに張り付けられた壁部材34の端面が現れる。)に縦枠取付調整材31を介して見切縦枠30を取り付ける。そして見切縦枠30の前面及び背面に長手方向に凹設された見切取付溝32に断面コ字状(或いは図示しないL字状)の見切材40の見切取付部41を挿入し、見切材40の被覆片部42で壁部材34の端部34a、及び該端部34aと見切縦枠30との間の隙間Rを被覆する。
【0003】
この見切枠Bを用いた施工を上記室内の開口部Kに対して行うと、見切縦枠30と、これに取り付けられた断面コ字状の見切材40が見切縦枠30とで二段額縁のような外観を呈し、戸や窓に洋風な趣を与え、且つ重厚感を増すものとして好まれ、広く施工されている(
図6)。
【0004】
一方で、茶室の窓のように、窓枠を用いないシンプルな造形が求められる場合には、上記のように見切材40と見切縦枠30からなる二段額縁が無粋に映るため、特許文献1には見切縦枠を使用しながらも、正面視で見切材(縦枠補助部材に相当する)を目立たなくするような工夫が提案されている。
【0005】
このような要請を受けて、
図7に示すような構成が提案された。この構成は、後述するように樹脂製の断面L形の見切材本体83hに木質棒材からなる補強材63kを接着した見切材60を用いた。
この場合は、太い柱20bを用いた幅の厚い壁Wで、見切縦枠50の幅50sは壁Wの厚さWsより十分狭く、開口部Kに設置された見切縦枠50の前後の面と、壁Wの表面とは段差Nが生じ、且つ上記のように見切縦枠50と壁部材54の端面との間に隙間Rが生じる。
【0006】
そしてその壁面にクロス施工を行うに際し、見切縦枠50の見切取付溝52に見切材60の見切取付部61を挿入接着し、見切材60の被覆片部82を上記同様に壁面に貼り付ける。この場合、見切材60の見切取付部61における前記段差Nに対応する折曲部分が見切取付溝52から外部に露出する。この部分を露出面61aとする。このように見切材60を取り付けた後、壁面に段差が生じないように見切材60の外面から壁面にかけてパテ64を面一になるように塗着し、最後に壁面側から見切縦枠50方向にクロス65を張り付け、クロス65の端部66を見切材60の前記露出面61aまで巻き込んで施工する。
これにより外観上見切材60を視認できない、和風の見切枠Cについて検討が行われている(
図7)。(上記の場合で、図示していないが、見切材60の外面にパテ64を塗らない場合もある。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-127265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えばツーバイフォー工法(
図8)のように在来工法の柱20bより細い部材(断面89mm×44.5mmの角材を2本並べて使用する。)を柱20aとし、その両面に壁部材74を張り付けてツーバイフォー壁Wtとするが、このツーバイフォー壁Wtの厚みWyは上記在来施工で使用した見切縦枠50の幅50sとほぼ同じである。そうすると、見切材80の見切取付部81の全体は見切取付溝72に収納され、上記のような露出面61aが生じない。
このような状態でクロス施工した場合、壁面に施工したクロス75の端部76は上記のように露出面61aまで巻き込めず、端部76が外部に露出することになる。
【0009】
なお、ツーバイフォー工法のように壁厚Wyが小さいものに対してはそれに合わせた幅の狭い見切縦枠(図示せず)を用意すればよいが、そうすれば見切縦枠の種類が増えて管理が手間であるし、その分コストも増大する。
【0010】
本発明は、このような壁厚の異なる様々な施工現場において、1種類で洋風でも和風でも対応した施工が出来る見切枠とその施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明(見切枠A)は、
その前面及び背面に長手方向に凹設された見切取付溝2が形成され、壁Wの開口部Kの内側面に取り付けられる見切縦枠1と、
前記見切縦枠1の見切取付溝2に挿入されて固定される見切取付部3bと、見切取付溝2に固定された時に、見切取付溝2から壁Wの端部W1を被覆する被覆片部3aを有する見切材3とで構成され、
見切縦枠1の幅1sは在来壁Wjの厚みWs以下でツーバイフォー壁Wtの厚みWy以上であり、
前記見切取付部3bの挿入幅S3が見切取付溝2の開口幅S2より少なくともクロス5の厚み分だけ小さく形成され、
見切取付部3bと見切取付溝2との間にクロス端挿入用隙間Tが設けられ
ると共に、
前記被覆片部3aには、パンチング加工によって多数の孔3fが設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明方法は、請求項1の見切枠Aを使用した施工方法で、
ツーバイフォー壁Wtの開口部Kの内側面に請求項1に記載の見切縦枠1を取り付け、
見切縦枠1の見切取付溝2に見切材3の見切取付部3bを挿入して見切取付部3bの入隅側内面3cを見切取付溝2の壁側内面2cに沿わせると共に、見切取付部3bの取付片部外面3dと見切取付溝2の開口側内面2dとの間にクロス端挿入用隙間Tを設け、且つ見切材3の被覆片部3aをツーバイフォー壁Wtの表面に貼り付けてツーバイフォー壁Wtの端部W1と見切縦枠1との間の隙間Rを被覆し、
前記被覆片部3aの全面にパテ16を塗着させて平滑仕上げが成された後、クロス5を貼り付け、ツーバイフォー壁Wt及び被覆片部3aの表面に貼られたクロス5の端部5aを前記クロス端挿入用隙間Tに入れ込み、
該クロス端挿入用隙間Tを覆うように前記端部5aと見切取付溝2との境目にコーキング剤6を塗着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
これにより、見切縦枠1の幅1sが、在来壁Wjの厚みWsより小さい場合は勿論、最小で壁の厚みWyの狭いツーバイフォー壁Wtと同じ幅であったとしても、見切枠施工の
最後にツーバイフォー壁Wtに貼られたクロス5の端部5aを見切取付部3bと見切取付溝2との間にできたクロス端挿入用隙間Tに押し込んで見切取付溝2内にきれいに収めることが出来る。さらにこの部分にコーキング剤6を充填すれば、収納されたクロス5の端部5aが浮き上がるようなことがない。
加えて、被覆片部3aの全面にパテ16を塗着させて平滑仕上げをする際に、パテ16と壁Wとの密着性を良くすることが出来る。
在来壁Wjについては、本発明の見切材3を用いてもよいし、従来使用していた見切材40を使用してもよい。
その結果、適用する壁Wの厚みが、在来壁Wjとツーバイフォー壁Wtとの間にあれば、本発明の見切材3、又は従来使用していた見切材40を用いることで、1種類の見切縦枠1で洋風・和風の見切枠施工が出来ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の見切枠を施工したドア部分の正面図である。
【
図2】
図1のA−A矢視拡大部分断面斜視図である。
【
図3】
図1のB−B矢視拡大部分断面斜視図である。
【
図4】(a)は
図3の要部拡大平断面図、(b)は他の要部拡大平断面図である。
【
図5】(a)は本発明の一体型見切材の斜視図、(b)は複合型見切材の斜視図、(c)は段付きの複合型見切材の斜視図、(d)は段差解消片付きの複合型見切材の斜視図、(e)は上記(b)に示すC矢視図である。
【
図6】従来壁の見切枠の施工状態を示す要部拡大平断面図である。
【
図7】従来壁に施工した見切枠の要部拡大平断面図である。
【
図8】ツーバイフォー壁に施工した見切枠の要部拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。
図1は、開口部Kにドア10が取り付けられた例で、開口部Kの内側面に見切枠Aが縦勝ちで取り付けられている。壁Wは、上記のように在来壁Wjやツーバイフォー壁Wtとは厚みWs・Wyが異なる。通常、上記のように在来工法の壁厚Wsが最も大きく、ツーバイフォー工法の壁厚Wyはこれより薄い。これに対して、本発明で用いられる見切縦枠1は1種類である。
壁Wには、所定位置に出入口や窓となる開口部Kが、窓枠(図示せず)やドア10用の見切枠Aに対して余裕を持った大きさで設けられる。開口部Kの内側面には柱20や壁部材4の端面が露出するので、見切枠Aでこれを覆う。以下、ドア10用の開口部Kを中心に説明するが、窓の場合でも適用可能である。
【0016】
見切枠Aは左右一対の見切縦枠1と、見切縦枠1の前・背面に取り付けられる2対4個の見切材3とで構成される。
見切縦枠1は芯材の表面に化粧シートが貼り付けられたもので、芯材の材質は、木製(木材、合板、中比重繊維板、パーティクルボード、集成材等)、或いは樹脂製である。現場で見切材3を接着剤とピンタッカーとによって固定することを考慮すると、見切縦枠1の芯材は木製であることが好ましい。
見切縦枠1は、厚薄のある様々な壁厚に対応する必要があるため、その幅1sは、在来壁Wjの壁厚Ws以下、ツーバイフォー壁Wtの壁厚Wy以上である。
【0017】
そして見切縦枠1の前面及び背面には、その長手方向全長に亘って見切取付溝2が凹設されている。見切取付溝2の開口幅S2は、後述する見切材3の見切取付部3bの挿入幅S3より大きく、見切取付部3bを見切取付溝2に挿入した時、両者の隙間(クロス端挿入用隙間T)は、少なくとも後述するクロス5の厚みより大となるように形成されている。
見切取付溝2の深さは、最も壁厚Wyの小さいツーバイフォー壁Wtに見切縦枠1に取り付けた際、後述するようにツーバイフォー壁Wtの表面に見切材3の被覆片部3aを貼り付けた時に見切取付部3bがその奥端に届かない深さに形成される。なお、見切取付溝2の両側の部分、即ち、開口側部分1aと壁側部分1bは、
図4(a)の実施例のように同じ長さとしてもよいし、
図4(b)の実施例のように開口側部分1aをクロス5の厚みと、見切材3の被覆片部3aの厚みの和だけ長くしてもよい。
【0018】
見切縦枠1の開口部K側の面にはその中心に長手方向全長に亘って戸当たり溝1cが凹設され、戸当たり9が嵌め込まれる。そして、一方の見切縦枠1の適所には丁番11が装着され、その脚部11aが見切縦枠1の開口側部分1aの表面から外方に突出している。
【0019】
本実施の形態に係る見切材3は、被覆片部3aとその一辺に設けられた見切取付部3bとで構成されたL形の部材である。
見切材3は全体を樹脂の押出成形で形成した単一部材(L字形に押し出した押出成形品)としてもよいし(
図5(a))、
図5(b)〜(d)のように後述のL形の見切基材3hと、直方体棒状の補強材3kとで構成した複合部材としてもよい。
以下の実施例は後者
図5(b)〜(d)を中心として説明する。なお、単一部材の見切材3の被覆片部3a、見切取付部3bと、複合部材の見切材3の被覆片部3a、見切取付部3bは同じ厚さ、同じ形状に作られる。
【0020】
複合部材の見切材3における見切基材3hは、矩形シート状の部材の一辺をL字型に直角に屈曲させ、屈曲側の片を取付片部3b1、残りの部分を被覆片部3aとする。見切基材3hは、硬い材質の樹脂を用い、前記屈曲部分に折り曲げるための溝(図示せず)を設けたり、折り曲げを容易にするために屈曲部分に軟質樹脂部分を用いた2色成形シートなどが用いられる。勿論、L形の押出成形品を使用することもできる。
見切基材3hの被覆片部3aは、見切取付溝2に装着時、見切取付溝2から隙間Rを越えて壁W(壁部材4)の見切縦枠1側の端部W1を覆う幅に設けられている。
見切基材3hの厚みは均一なシート状或いはL形押出部材を用いてもよいし、
図5(c)のように屈曲部分と、その近傍から取付片部3b1にかけての部分を厚く、当該部分から被覆片部3aの先端側を薄く形成し、その境目に段差3nを設けてもよいし、
図5(c)のように被覆片部3aの先端部分である段差解消片3eの厚さを先端に向けて漸減するようにしてもよい。この部分を段差解消片3eとする。
【0021】
補強材3kは、屈曲された見切基材3hの入隅側内面に接着され、取付片部3b1と補強材3kとで見切取付部3bが構成される。
そして、補強材3kが張り付けられる側と反対側の取付片部3b1の面(この面を取付片部外面3dとする。)の全面又は一部には、矩形又は帯状の紙7がエチレン酢ビ接着剤等によって必要に応じて接着されている。これにより、クロス5を巻き込んでその巻き込み端部5aを貼り付け易くなり、又、塗り壁を塗る際の親和性が高くなる。
【0022】
なお、見切基材3hの厚みは、補強材3kの厚みよりも薄く、被覆片部3aの上にクロス5を貼り付けた場合、または被覆片部3aの上を壁材で覆う塗り壁にされた場合に、被覆片部3aの端面の段差が目立たない厚みとする。(通常はパテ16を塗って段差が目立たないようにしてからクロス張り或いは塗り壁とする。)
この場合上記のように、被覆片部3aの縁から断面直角三角形で先端に向けてその厚み漸減する段差解消片3eを延出し、パテ塗工作業を軽減するようにしてもよい。
【0023】
また、見切基材3hは、補強材3kに比べて柔軟で、壁Wの表面に沿うように柔らかく撓む材料、例えば補強材3kが木材の場合、見切基材3hは補強材3kより柔軟な材料、例えばプラスチック製であることが好ましい。なお、パテ16と壁Wとの密着性を良くするため、被覆片部3aには、パンチング加工によって多数の孔3fが設けられている。
【0024】
補強材3kは、比較的硬質な材料、例えば木質材、樹脂等で作り得るが、現場での長さ調節と、釘又は接着剤等を用いて行う固定のし易さ等を考慮すると木製(木材、合板、中比重繊維板、パーティクルボード、集成材等)であることが好ましい。
補強材3kの厚みは、見切縦枠1の見切取付溝2の開口幅S2とクロス5の厚み及び必要に応じて貼り付けられた紙7の厚み(紙7の厚みは通常、無視できる程度の厚さ)によって決まる。即ち、上記のように見切材3の見切取付部3bの挿入幅S3(紙7を貼り付けた場合、紙7の厚みも含む。)は、前記開口幅S2から差し引いた差分(即ち、クロス端挿入用隙間T)が、クロス5の厚み以上になるように選定される。
【0025】
次に見切縦枠1の開口部Kへの縦勝ち施工について説明する。開口部Kの上縁に横枠8を取り付け、続いて縦枠取付調整材21を介して開口部Kの内側面に見切縦枠1を取り付ける。縦枠取付調整材21の厚みは、上縁に取り付けられた横枠8の両端に見切縦枠1の上端部が接するように調整される。
【0026】
次に、見切材3の見切取付部3bを見切縦枠1の見切取付溝2に挿入し、見切取付部3bの入隅側内面3cを見切取付溝2の壁側内面2cに接着する。これにより取付片部外面3dと見切取付溝2の開口側内面2dとの間に隙間(クロス端挿入用隙間)Tが形成される。
そして、見切材3の被覆片部3aは、見切取付溝2の壁側部分1bから隙間Rを越えて壁Wの端部W1を覆い、接着剤とピンタッカーを用いて被覆片部3aを壁面に固定する。この被覆片部3aの全面にはパテ16が塗着され、被覆片部3a自体の段差3nは勿論、被覆片部3aの先端と壁Wの表面の段差も埋められ、外見上、均一な平面とされる。この時、被覆片部3aの孔3fを通って背面までパテ16が塗りこまれ、壁面に被覆片部3aを固着する。
【0027】
図4(a)(b)の見切材3は被覆片部3aに段差3nを設けたもので、段差3nから先端にかけた部分は非常に薄く、壁面によく沿うようになっている。また、
図5(d)のように、段差解消片3eが設けられていれば、この部分にパテ16を塗布する必要がなく、被覆片部3aを壁面に沿わせるだけでこの部分における段差解消が可能となる。
【0028】
上記のように、パテ16による平滑仕上げがなされたら、壁面にクロス5を貼り付け、見切取付溝2より上に出ている見切基材3hの表面を全て覆うようにクロス5を貼り付け、見切基材3hの屈曲部分を超える位置でクロス5を切断し、その端部5aを見切取付部3bと見切縦枠1の開口側部分1aとの間のクロス端挿入用隙間Tに押し込んで接着する。この時、見切取付部3bに貼り付けた紙7があれば、クロス5の端部5aの強固な接着が可能となる。(或いは、塗り壁の場合、見切取付溝2より上に出ている見切基材3hの表面を全て壁材で覆う塗り壁とするが、紙7の存在により、壁材の塗着が容易となる。)
最後に押し込んだクロス5の端部5a(或いは、塗り壁の壁材の端部)を覆うように前記クロス端挿入用隙間Tに沿ってコーキング剤6を充填し上記端部を覆う。
【0029】
これによって、
図4(a)(b)のように、見切材3の見切取付部3bが折曲部分まで見切取付溝2内に挿入されていたとしてもクロス5(又は塗り壁)の端部5aが外部に現れず、外観上、見切材3をクロス5(又は塗り壁)で隠した面一の壁面を形成することができる。
【0030】
なお、上記見切縦枠1は、在来工法にも使用することが出来るものであるから、壁Wが在来工法の場合、
図6のように本発明の見切材3を使用することもできれば、従来の見切材40(
図6)も使用することが出来る。即ち、使用者は、見切縦枠1を共用しつつ、本発明の見切材3と、従来の見切材40とを施工現場において必要に応じて使い分けることができる。
【0031】
見切枠Aの取り付け終了後、見切縦枠1に戸当たり9を嵌め、丁番11にドア10を取り付ける。
【0032】
以上に説明した見切材3は、本発明のほんの一例を示すに過ぎない。見切材3は、発明の趣旨を変更しない範囲で、種々変更することができる。例えば、見切基材3hに設ける複数の孔3fは、パテののりが良くなるという条件を満たす限りにおいて、円形以外の形状(例えば楕円、矩形、長方形)及び配列(例えば帯状、交差状)を用いてもよい。また、見切基材3hの被覆片部3aに予め両面テープを貼り付けておき、現場で見付取付部3bを挿入した後に、被覆片部3aを壁面に該両面テープによって貼り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
A:見切枠、B:在来工法で用いた見切枠、C:和風の見切枠、K:開口部、N:段差、R:壁端面と見切縦枠との隙間、S2:見切取付溝の開口幅、S3:見切取付部の挿入幅、T:クロス端挿入用隙間、W:壁、W1:壁の端部、Wj:在来壁、Ws:壁の厚み、Wt:ツーバイフォー壁、Wy:ツーバイフォー壁の厚み、1:見切縦枠、1a:開口側部分、1b:壁側部分、1c:戸当たり溝、1s:見切縦枠の幅、2:見切取付溝、2c:壁側内面、2d:開口側内面、3:見切材、3a:被覆片部、3b:見切取付部、3b1:取付片部、3c:入隅側内面、3d:取付片部外面、3e:段差解消片、3f:孔、3h:見切基材、3k:補強材、3n:段差、4:壁部材、5:クロス、5a:端部、6:コーキング剤、7:紙、8:横枠、9:戸当たり、10:ドア、11:丁番、11a:脚部、16:パテ、20:柱、20a:ツーバイフォー工法の柱、20b:在来工法の柱、21:縦枠取付調整材、30:見切縦枠、31:縦枠取付調整材、32:見切取付溝、34:壁部材、34a:壁部材の端部、40:見切材、41:見切取付部、42:被覆片部、50:見切縦枠、50s:見切縦枠の幅、52:見切取付溝、54:壁部材、60:見切材、61:見切取付部、61a:露出面、63k:補強材、64:パテ、65:クロス、66:クロスの端部、72:見切取付溝、74:壁部材、75:クロス、76:クロスの端部、80:見切材、81:見切取付部、82:被覆片部、83h:見切材本体。