特許第6854637号(P6854637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854637
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】洗浄ラインシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 25/10 20060101AFI20210329BHJP
   B08B 9/20 20060101ALI20210329BHJP
   B08B 9/42 20060101ALI20210329BHJP
   B65G 35/06 20060101ALI20210329BHJP
   B65G 57/30 20060101ALI20210329BHJP
   B65G 59/06 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B65G25/10
   B08B9/20
   B08B9/42
   B65G35/06 B
   B65G57/30
   B65G59/06 102
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-246455(P2016-246455)
(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公開番号】特開2018-100163(P2018-100163A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242415
【氏名又は名称】北沢産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 助光
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−193453(JP,A)
【文献】 実開昭59−116314(JP,U)
【文献】 実開平02−115314(JP,U)
【文献】 特開2010−006503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/00−25/12
B65G 35/00−37/02
B65G 57/00−57/32
B65G 59/00−59/12
B08B 1/00−1/04
B08B 5/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送コンベアに移載する搬入部に、搬送コンベアの送り方向に沿って平行にドーリ台車を移動させるためのコンテナ用ドーリ台車の送り装置、または搬送コンベアの送り方向に直交する直交方向にドーリ台車を移動させるためのコンテナ用ドーリ台車の送り装置を具備し、
容器を搬送コンベアからドーリ台車に移載する搬出部に、前記搬送コンベアの送り方向に直交する直交方向にドーリ台車を移動させるためのコンテナ用ドーリ台車の送り装置を具備してなり、
ドーリ台車の段積みおよび供給の時にドーリ台車が下部から搬入出されるもので、段積みされた前記ドーリ台車を筐体で安定させてガイドし、当該最下部のドーリ台車の転動車とともに床面を走行できる構造であるとともに、ドーリ台車段積み装置と供給装置との間のドーリ台車の移送に供するかご車を具備すること
を特徴とする洗浄ラインシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、食品搬送用の容器(コンテナと称することもある)の洗浄ラインにおいて、前記容器を洗浄ラインに搬出して空になったドーリ台車を、若しくは、洗浄後に段積みされた容器を洗浄ラインから搬出するためのドーリ台車を、それぞれ目的の場所に移送させる、コンテナ用ドーリ台車の送り装置と、段積みしたドーリ台車を移送するかご車と、それを具備した洗浄ラインシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を自動洗浄するため、搬入部、洗浄部、乾燥部、搬出部等を一連に接続具備してなる洗浄ラインシステムにおいて、洗浄前、若しくは、洗浄後の前記容器を段積みするドーリ台車の取り扱いは、以下のように、人手によるものである。
【0003】
即ち、洗浄ラインシステムに洗浄前の容器を投入する場合、洗浄前コンテナ置場から容器を段積みしたドーリ台車を、前記洗浄ラインの最初の工程であるコンテナ搬入部の所定の位置に人手で移動させセットする。前記段積みした容器を洗浄ラインのコンベア上に移載装置で移動させる。その後、空になった前記ドーリ台車を人手で取り出して、該ドーリ台車を崩れない程度に人手で段積みする。
【0004】
前記段積みされたドーリ台車を、洗浄ラインシステムの最終工程におけるコンテナ搬出部に人手で移送させる。このような洗浄ラインや台車などが特許文献1,2に記載され知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−193453号公報
【特許文献2】特開2015−009714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のコンテナ用ドーリ台車のコンテナ搬入部から搬出部までの移送方法では、専ら人手に頼るものであり、手間が掛かって非効率である。また、前記特許文献1に記載された洗浄装置では、上段に食品容器を洗浄・乾燥させる装置を配備し、下段に台車を洗浄・搬送する装置を配備してなるが、全体がシステム化されて便宜であるが、装置全体が大きく複雑になり、製造コストが嵩むものである。そこで、前記ドーリ台車の取り扱いを、簡便な構造であるが人手よりも作業効率が良く、且つ、低コストで実現できる洗浄ラインシステムが望まれる。本発明に係るコンテナ用ドーリ台車の送り装置と段積みしたドーリ台車を移送するかご車と洗浄ラインシステムは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る洗浄ラインシステムの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、容器を搬送コンベアに移載する搬入部に、搬送コンベアの送り方向に沿って平行にドーリ台車を移動させるためのコンテナ用ドーリ台車の送り装置、または搬送コンベアの送り方向に直交する直交方向にドーリ台車を移動させるためのコンテナ用ドーリ台車の送り装置を具備し、容器を搬送コンベアからドーリ台車に移載する搬出部に、前記搬送コンベアの送り方向に直交する直交方向にドーリ台車を移動させるためのコンテナ用ドーリ台車の送り装置を具備してなり、ドーリ台車の段積みおよび供給の時にドーリ台車が下部から搬入出されるもので、段積みされた前記ドーリ台車を筐体で安定させてガイドし、当該最下部のドーリ台車の転動車とともに床面を走行できる構造であるとともに、ドーリ台車段積み装置と供給装置との間のドーリ台車の移送に供するかご車を具備することである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンテナ用ドーリ台車の送り装置と段積みしたドーリ台車を移送するかご車と洗浄ラインシステムとによれば、洗浄ラインシステムにおけるドーリ台車の取り扱いを自動で行えるようになり、人手で行っていたときよりも作業が効率的になり、また、低コストで簡易な送り装置とかご車とによって洗浄ラインの自動化が実現できる。洗浄ラインシステム全体の作業性能が向上し、人員削減が可能でコスト低減となると言う優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るコンテナ用ドーリ台車の送り装置を有する洗浄ラインシステム1の全体を示す概略平面図である。
図2】同本発明のコンテナ用ドーリ台車の送り装置を、洗浄ラインシステム1の搬入部4にセットした状態の側面図である。
図3-A】本発明に係る洗浄ラインシステム1の搬入部4において、空になったドーリ台車9を送りシリンダー2で送り方向aに沿って移動させている様子を示す平面図である。
図3-B】同洗浄ラインシステム1における搬入部4において、ドーリ台車9を搬送コンベアの送り方向a直交する直交方向bに沿って、直交送りシリンダー3で移動させている様子を示す平面図である。
図4-A】ドーリ台車段積装置11間にセットされたかご車10において、ドーリ台車9を段積みしている様子を示す側面図である。
図4-B】同ドーリ台車9と、これを段積みするかご車10と、該かご車10の側方に設けられ、前記ドーリ台車9を上方にリフトアップして前記かご車10に段積みさせるドーリ台車段積装置11との位置関係を示す平面図である。
図5-A】本発明に係る送りシリンダー2によって、ドーリ台車9を送り方向に沿って移動させる様子を示す説明図(A)、その一部拡大詳細図(B)である。
図5-B】同本発明に係る直交送りシリンダー3によって、ドーリ台車9を送り方向に直交する直交方向bに移動させる様子を示す説明図である。
図6】ドーリ台車9と、該ドーリ台車9を一方向から挿入して上方に段積みするかご車10との関係およびかご車10の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る洗浄ラインシステム1とそれに使用するコンテナ用ドーリ台車の送り装置は、図1に示すように、洗浄ラインにおけるコンテナの搬入部4と搬出部5とに、前記送り装置を適宜に設けることで、ドーリ台車9の自動移動化を達成するとともに、かご車10を使用し段積みしたドーリ台車9を搬入部4から搬出部5に移送することで、人的な省力化を図るものである。
【実施例1】
【0015】
本発明に係る前記送り装置(送りシリンダー2、直交送りシリンダー3とで構成される)について説明する。最初に、送り装置を構成する送りシリンダー2は、図2図3−Aに示すように、洗浄ラインシステム1の容器1aを搬送する搬送コンベア1bの送り方向aに沿って平行にドーリ台車9を移動させるためのものである。
【0016】
前記ドーリ台車9は、図2図6に示すように、食品等の運搬用に使用されるコンテナ(容器1a)を積載するためのもので、矩形状の金属製の筐体である台枠体9aと、筐体に架設して一部を下に垂設したL字型で移動用の掛止部材9b,9dと、筐体の角部に設けられ鉛直の支持軸回りにも回転自在で水平全方向に移動自在な転動車(例えば、キャスター)9cとで構成されている。
【0017】
なお、前記掛止部材9b,9dが背向されて一対設けられているのは、ドーリ台車9の移動時の掛止位置が対称位置になるようにして、ドーリ台車9の前後の向きが限定されないようにするためである。また、筐体の縦・横の長さが異なる矩形状であるが、この一例に限らず、容器1aの形状によっては正方形の筐体でも良い。
【0018】
前記ドーリ台車9の底面と間隙を有して前記洗浄ラインシステム1を設置する床面8に設置される送りシリンダー2がある。該送りシリンダー2は、前記床面8に複数、この実施例では2箇所に設置されるとともに、図3−Aに示すように、搬送コンベア1bの送り方向aに沿って並設されている。なお、この送りシリンダー2の駆動手段は、例えば、電動式、エアー式などで、特に限定するものではない。
【0019】
図3−Aに示すように、前記複数の送りシリンダー2におけるロッドである、第1送りシリンダー2aの第1ロッド2cと、第2送りシリンダー2bの第2ロッド2dとは、ドーリ台車9の送り方向aに係る移動距離(A→BのストロークS1)を互いに補完するようにストロークが設定されている。
【0020】
また、前記第1ロッド2cと、第2ロッド2dとの先端部において、鉛直方向における上方向に向けて棒状若しくは板状の押し部2eが突設されている。該押し部2eは、図5−A(A),(B)に示すように、その先端部でドーリ台車9の下面に垂設された掛止部材9bに当接する高さに設定されている。また、図示で、押し部2eが時計方向に回転しないように、回止め部材2gが設けられている。更に、押し部2eは、図示で反時計方向に回転可能になっている。例えば、約90度程度の範囲内で回動自在である。押し部2eを回転自在に支持している支持軸に、トーションバネ等の復帰用の弾性部材(図示せず)が巻装されている。
【0021】
このような構成の押し部2eが設けられていることで、図5−Aに示すように、ドーリ台車9が送り方向aに沿って移動して、第1ロッド2cや第2ロッド2dの先端部の押し部2eを通過する際に、ドーリ台車9の掛止部材9bが押し部2eに衝突すると、該押し部2eが反時計方向に回転し傾斜状態になって退避する。そして、前記掛止部材9bが送り方向aに進んで通過してしまうと、送り方向aに押す係合作用が解除され、前記復帰用弾性部材の付勢力によって、上方向に突出した元の状態に、押し部2eが戻される。
【0022】
前記送りシリンダー2の前記押し部2eは、前記ドーリ台車9の一部に当接して送り方向aに移動可能に係合するばかりでなく、支持軸回りに一定範囲内で回転自在にされ前記ドーリ台車9が通過するときには傾斜状態になって退避し、更に、前記ドーリ台車9の一部が通過した場合には、傾斜状態から逆回転して元の上方向に突出した状態に復帰されるものである。
【0023】
前記送りシリンダー2の第1送りシリンダー2aと第2送りシリンダー2bとの連携により、図5−Aに示すように、右手側から送り方向aに沿って移動してきたドーリ台車9を符号Aで示す位置(ドーリ台車9の位置基準は、送り方向aにおける中心位置)から符号Bで示す位置に送り出すものである。なお、前記第1送りシリンダー2aと第2送りシリンダー2bとの駆動切替は、スライドテーブル2fの位置をセンサーで検知して、その移動完了信号を受け取った制御装置によって駆動切替が行われるものである。
【実施例2】
【0024】
次に、送り方向aに直交する直交方向bにドーリ台車9を移動させる、送り装置を構成する直交送りシリンダー3について説明する。図3−Bに示すように、直交送りシリンダー3は、洗浄ラインシステム1の容器1aを搬送する搬送コンベア1bの送り方向aに直交する直交方向bに、ドーリ台車9を移動させるためのものである。
【0025】
前記ドーリ台車9の底面と間隙を有して前記洗浄ラインシステム1を設置する床面8に前記直交方向bに沿って設置される第1直交送りシリンダー3aと第2直交送りシリンダー3bとがあり、図示するように直列(タンデム)配置となっている。尚、一例としてシリンダー軸を同軸にした直列配置になっているが、これに限らず、シリンダー軸を送り方向a側にずらしてオフセットした配置であっても良い。
【0026】
図5−Bに示すように、前記第1,第2の直交送りシリンダー3a,3bによって駆動され前記送り方向aに直交する直交方向bに、ストロークS2だけドーリ台車9を移動させる各々の第1直交ロッド3c,第2直交ロッド3dがある。
【0027】
前記第1直交ロッド3cのストローク(cd)は、一例で約300mmで、第2直交ロッド3dのストローク(de)は一例で約460mmである。更に、前記各々のロッド3c,3dの先端部において上方向に突設されるとともに、前記ドーリ台車9の台枠体9aの一部9eに当接して移動可能に係合する押し部3eがある。
【0028】
前記第1直交ロッド3cに突設された押し部3eは、図5−B、上段の図に示すように、回動しないように固定されており、これに対して、第2直交ロッド3dに突設されている押し部3eは、前述の送りシリンダー2における押し部2eと同様の構造で、時計方向には回転しないが、反時計方向に約90度の範囲で回転自在で回動する。これは、前記第1直交送りシリンダー3aの上をドーリ台車9が通過しないからである。一方、前記第2直交送りシリンダー3bの上をドーリ台車9が通過するからである。
【0029】
こうして、図3−B、図5−Bに示すように、前記第1直交送りシリンダー3aと第2直交送りシリンダー3bとによって、ストロークcd+ストロークdeを、互いに補完しながらドーリ台車9を直交方向bに沿ってストロークS2だけ移動させるものである。なお、前記第1直交送りシリンダー3aと第2直交送りシリンダー3bとの駆動切替は、スライドテーブル3fの位置をセンサーで検知して、その移動完了信号を受け取った制御装置によって駆動切替が行われるものである。
【実施例3】
【0030】
以上のように、搬送コンベア1bの送り方向aに沿った方向にドーリ台車9を送る送りシリンダー2と、送り方向aに直交する直交方向bにドーリ台車9を送る直交送りシリンダー3とを形成し、これを洗浄ラインシステム1に適用して、容器1aを洗浄する方法について説明する。
【0031】
前記洗浄ラインシステム1においては、図1に示すように、容器1aを搬送コンベア1bに移載する搬入部4に、コンテナ用ドーリ台車の送り装置である送りシリンダー2と直交送りシリンダー3とを具備する。また、容器1aを搬送コンベア1bからドーリ台車9に移載する搬出部5におけるドーリ台車供給装置12において、直交送りシリンダー3を具備する。
【0032】
前記搬入部4においては、図1乃至図3−Aに示すように、予めドーリ台車積載装置11に空状態のかご車10(図6参照)をセットしておく。かご車10は、筐体10aをガイドにして内部に段積みされるドーリ台車9の転動車9cとともに、転動車10cにより床面8を走行でき、段積みしたドーリ台車9を安定して運搬できる構造である。
洗浄前コンテナ置場6から、容器1aを積み上げて積載してあるドーリ台車9を人手で搬送して、コンテナ移載機1hの所定のA位置(図2参照)にセットする。
【0033】
前記コンテナ移載機1hのスタート釦を押すと、積載された容器1aは昇降ユニット1dによって搬送コンベア1bの高さ位置にまでリフトアップされ、更に、移載用コンベア1cによって下流の搬送コンベア1b上に移送される。
【0034】
次に、前記昇降ユニット1dが下降して、容器1aが搬送コンベア1b上に載置される。前記移載用コンベア1cが、上流の元の位置に戻される。洗浄前の容器1aが、洗浄ラインの前方に搬送される。作業者は次のドーリ台車9を取りに洗浄前コンテナ置場6へ行く。
【0035】
容器1aが搬送コンベア1b上に移送されて空になったドーリ台車9は、図2図3−A、図5−Aに示すように、前述したように、搬送コンベア1bの下に設置された送り装置である送りシリンダー2によって、A位置からB位置まで送り方向aに沿って移動される。
【0036】
即ち、図5−A、上段の図に示すように、ドーリ台車9が右手側から人手で搬入され、掛止部材9bが第1ロッド2cの先端部にある押し部2eに衝突し押圧すると、押し部2eが反時計方向に回転し傾斜して逃げる。前記掛止部材9bが更に進入して通過すると、前記押し部2eが元の上方向に突設した状態に戻る。前記ドーリ台車9が符号Aで示す位置に人手によって停止される。
【0037】
ここで、制御装置からの指令で第1送りシリンダー2aが駆動されると、スライドテーブル2fおよび第1ロッド2cが送り方向aに沿って前進する。同時に、押し部2eが移動し、ドーリ台車9の掛止部材9bに当接して押圧し、当該ドーリ台車9を符号aで示す位置(A位置)から符号bで示す中間位置に移動させる。前記スライドテーブル2fおよび第1ロッド2cが後退して元の位置に戻る。
【0038】
前記ドーリ台車9は、中間位置までの移動の途中で、その掛止部材9bで第2ロッド2dにおける押し部2eを反時計方向に回転させ、通過後に当該押し部2eが弾性部材の付勢力で元の上方向に突設した位置に戻される。この後、センサによって移動完了信号を受け取った制御装置によって、第2送りシリンダー2bが駆動される。
【0039】
図5−A、下段の図に示すように、前記第2送りシリンダー2bが駆動されると、スライドテーブル2fおよび第2ロッド2dが送り方向aに沿って前進する。その結果、押し部2eが掛止部材9bに当接して押圧し、ドーリ台車9を、符号bで示す位置から符号cで示す位置(B位置)にまで移動させる。前記スライドテーブル2fおよび第2ロッド2dが後退して元の位置に戻る。
【0040】
このようにして、図3−Aに示すように、前記ドーリ台車9が、第1送りシリンダー2aと第2送りシリンダー2bとによって、A位置からB位置までのストローク(ab+bc)が互いに補完されて、ストロークS1だけ移動されるものである。
【0041】
更に、図3−B、図5−Bに示すように、送り装置である直交送りシリンダー3によって、前述した第1直交送りシリンダー3aと第2直交送りシリンダー3bとの互いにストロークを補完する移送作用によって、前記ドーリ台車9がC位置からD位置に直交方向bに沿って移送される。
【0042】
即ち、図5−B、上段の図に示すように、前記第1直交送りシリンダー3aが制御装置で駆動されることによって、スライダテーブル3fおよび第1直交ロッド3cが直交方向bに沿って移動し、押し部3eがドーリ台車9の台枠体9aの一部9eに当接して押し込む。ドーリ台車9は、その転動車9cが支持軸周りに適宜に回転し、直交方向bに沿って移動する。前記第1直交送りシリンダー3によって、C位置からストロークcdだけドーリ台車9を移動させる。
【0043】
次に、図5−B、下段の図に示すように、第2直交送りシリンダー3bの上をドーリ台車9が通過することで、第2直交ロッド3dに突設した押し部3eが、一旦、反時計方向に回転して、ドーリ台車9の通過後に弾性部材の付勢力によって元の位置に戻る。その後、制御装置の指令により、第2直交送りシリンダー3が駆動される。
【0044】
前記第2直交送りシリンダー3bが駆動されると、スライドテーブル3fおよび第2直交ロッド3dが送り方向に直交する直交方向bに沿って移動する。前記押し部3eが、ドーリ台車9における台枠体9aの一部9eの内側に当接する。この押し部3eは、回止め部材3gがあるので時計方向に回転せず、ドーリ台車9を押圧して送り出し、ストロークdeだけ移動させ、ドーリ台車9の中心位置をD位置に移動させる。こうして、図6に示すように、前記ドーリ台車9がドーリ台車段積装置11の間にセットされた、かご車10に移送される。
【0045】
前記かご車10に移送されたドーリ台車9は、図4−A、図4−Bに示すように、一対のドーリ台車段積装置11,11から爪11aが各々突出して、かご車10の筐体10aに形成された昇降用空間部10bから内部に進入する。前記爪11aがドーリ台車9の台枠体9aの下面に係合することで、当該両脇から突出した爪11aによってドーリ台車9が支持される。
【0046】
両ドーリ台車段積装置11,11のリフト装置11bが、ドーリ台車9を持ち上げる。この持ち上げた状態を維持して、次に、ドーリ台車9が移送されるのを待つ。かご車10に、次のドーリ台車9が最下部に移送されたなら、センサー等で検知され、その信号が入力された制御装置の指令により、前記リフト装置11bが降下されて、持ち上げられていた1台、若しくは、複数個のドーリ台車9が最下部のドーリ台車9に段積みされる。
【0047】
前記ドーリ台車段積装置11の爪11aが、かご車10の外側へ移動して段積装置11内へ没入する。更に、リフト装置11bが最下位置に降下する。前記爪11aを再び突出させて、最下位置のドーリ台車9を持ち上げて待機する。このように段積作業を繰り返して、かご車10に空のドーリ台車9を、例えば15段程度に段積みする。
【0048】
ドーリ台車9を段積みされた前記かご車10は、図1に示すように、洗浄ラインの搬出部5におけるドーリ台車供給装置12の近傍に人手搬送される。
【0049】
図1に示すように、洗浄ラインの搬送コンベア1bに搬送される段積の容器1aは、段バラシ装置でバラされて供給され、反転機を経て洗浄機1eで洗浄後、乾燥機1fで乾燥され、その後、反転機、段積機1gで容器1aが段積みされ搬出部5に至る。
【0050】
前記ドーリ台車供給装置12には、ドーリ台車9を段積みしたかご車10がセットされている。該ドーリ台車供給装置12からドーリ台車9が自動で段バラシされる。この段バラシされた1台のドーリ台車9が、コンベア下に具備された送り装置を構成する直交送りシリンダー3によって、コンテナ移載機(図2に示す移載機と同様)の移載部にセットされる。
【0051】
即ち、前記セット完了の検知センサによる完了信号が入力された制御装置の指令により、前記直交送りシリンダー3における、図5−Bに示すように、前述した第1直交送りシリンダー3aと第2直交送りシリンダー3bとのスライドテーブル3fが直交方向bに沿って駆動される。図3−Bに示す場合と逆に作用して、互いにストロークを補完する直交送りシリンダー3の移送作用によって、前記ドーリ台車9が、ドーリ台車供給装置12の側から前記コンテナ移載機の移載部の側へと移送されるものである。
【0052】
前記移載部のドーリ台車9に、段積みされた洗浄済みの容器1aが自動移載される。作業者は、前記移載機から容器1aを積んだドーリ台車9をとしだして、それをコンテナ洗浄済み置場に搬送する。
【0053】
このように、送りシリンダー2と直交送りシリンダー3とを搬入部4に具備し、直交送りシリンダー3を搬送部5に具備してなる洗浄ラインシステム1によって、容器1aが洗浄されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る送り装置である送りシリンダー2および直交送りシリンダー3シリンダーと、洗浄ラインシステムとによれば、容器を洗浄するラインシステムに広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 洗浄ラインシステム、 1a 容器(コンテナ)、
1b 搬送コンベア、 1c 移載用コンベア、
1d 昇降ユニット、 1e 洗浄機、
1f 乾燥機、 1g 段積機
1h コンテナ移載機、
2 送りシリンダー、 2a 第1送りシリンダー、
2b 第2送りシリンダー、 2c 第1ロッド、
2d 第2ロッド、 2e 押し部、
2f スライドテーブル、 2g 回止め部材、
3 直交送りシリンダー、 3a 第1直交送りシリンダー、
3b 第2直交送りシリンダー、3c 第1直交ロッド、
3d 第2直交ロッド、 3e 押し部、
3f スライドテーブル、 3g 回止め部材、
4 搬入部、
5 搬出部、
6 洗浄前コンテナ置場、
7 洗浄後コンテナ置場、
8 床面、
9 ドーリ台車、 9a 台枠体、
9b 掛止部材、 9c 転動車、
9d 掛止部材、 9e 台枠体の一部、
10 ドーリ台車用かご車、 10a 筐体、
10b 昇降用空間部、 10c 転動車、
11 ドーリ台車段積装置、 11a 爪、
11b リフト装置、
12 ドーリ台車供給装置、
a 送り方向、 b 送り方向に直交する直交方向。
図1
図2
図3-A】
図3-B】
図4-A】
図4-B】
図5-A】
図5-B】
図6