(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着剤層が、スチレン系熱可塑性エラストマー、イソブチレン系ポリマーおよびその組み合わせから選択されるゴム系ポリマーを含む、請求項1に記載の粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.粘着テープの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による粘着テープを説明する概略断面図である。粘着テープ100は、基材10と粘着剤層20とを有する。粘着剤層20は、波長変換機能を有する。その結果、粘着テープ100は、全体として波長変換機能を有する。すなわち、粘着テープ100は、所定の波長の光を吸収し、当該所定の波長とは異なる波長の光を発光し得る。
【0009】
基材10は、酸素および/または水蒸気に対してバリア機能を有する。本明細書において「バリア機能を有する」とは、粘着剤層に侵入する酸素および/または水蒸気の透過量を制御して粘着剤層中の波長変換材料(後述)をこれらから実質的に遮断することを意味する。本発明の実施形態においては、基材10の水蒸気透過率は好ましくは1g/(m
2・day)以下である。基材10は、
図2に示すように、少なくとも一方の側にバリア層が設けられてもよい。図示例では、基材10の両側にバリア層31、32が設けられている。バリア層は、好ましくは、基材の少なくとも内側に設けられる。バリア層を形成することにより、基材としての所望の物理的および機械的特性を維持しつつ、粘着剤層(実質的には、粘着剤層中の波長変換材料)に対する所望のバリア機能を実現することができる。
【0010】
粘着剤層20は、代表的には、マトリックスとしての粘着剤と該粘着剤中に分散された波長変換材料とを含む。粘着剤層20は、波長変換材料を1種類のみ含んでいてもよく、2種以上(例えば、2種類、3種類、4種類以上)を含んでいてもよい。1つの実施形態においては、粘着剤層は、好ましくは515nm〜650nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する少なくとも1つの波長変換材料を含み得る。さらなる実施形態においては、粘着剤層は、2種類の波長変換材料(第1の波長変換材料および第2の波長変換材料)を含み得る。この場合、第1の波長変換材料は好ましくは515nm〜550nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有し、第2の波長変換材料は好ましくは605nm〜650nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する。したがって、第1の波長変換材料は、励起光(本発明においては、バックライト光源からの光)により励起され緑色光を発光し、第2の波長変換材料は赤色光を発光し得る。このような波長帯域に発光中心波長を有する赤色光および緑色光を取り出す粘着剤層を形成することにより、粘着テープ全体に所望の波長変換機能を付与することができる。
【0011】
実用的には、粘着テープ100、101は、使用に供されるまで粘着剤層20表面にセパレーター(図示せず)が仮着され、粘着剤層20が保護され得る。
【0012】
本発明の実施形態による粘着テープは、液晶表示装置の光漏れ防止用テープとして非常に良好に機能し得る。例えば、液晶表示装置の光源の青い光が漏れる場合、光が漏れる場所に波長変換機能を有する粘着テープを貼りつけることにより、当該漏れた光を白色光に変換して、単一色の光漏れを目立たなくすることができる。1つの実施形態においては、粘着テープは、波長変換機能を有する液晶表示装置の光漏れ防止に用いられ得る。この場合、当該粘着テープに所定波長の光が入射した際に得られる発光強度は、液晶表示装置に当該所定波長の光が入射した際に当該液晶表示装置の波長変換機能により得られる発光強度と同等またはそれ以下である。すなわち、液晶表示装置に元々組み込まれている波長変換機能を有するシート等よりも粘着テープの波長変換機能(発光強度)が優れていると、粘着テープを貼った部分の方が明るくなってしまい、光漏れ防止の効果が十分でない場合がある。上記のような構成であれば、このような不具合を防止することができる。
【0013】
B.基材
B−1.基材
基材10は、粘着テープの基材を構成し得る任意の適切な材料で構成され得る。基材を構成する材料は、代表的には樹脂である。好ましくは、樹脂は、バリア機能、透明性および/または光学的等方性を有し得る。このような樹脂の具体例としては、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。好ましくは、環状オレフィン系樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、アクリル系樹脂(例えば、主鎖中にラクトン環やグルタルイミド環などの環状構造を有するアクリル系樹脂)である。これらの樹脂は、バリア機能、透明性および光学的等方性のバランスに優れ得る。
【0014】
基材の厚みは、好ましくは10μm〜200μmであり、より好ましくは20μm〜60μmである。このような厚みであれば、粘着テープの基材として所望の機械的強度および/または柔軟性が得られ得る。
【0015】
基材は、上記のとおり、酸素および/または水蒸気に対してバリア機能を有する。基材がバリア機能を有することにより、酸素および/または水蒸気による粘着剤層の波長変換材料の劣化を防止し、結果として、粘着剤層の波長変換機能の長寿命化を達成することができる。基材自体がバリア機能を有していてもよく、少なくとも一方の側にバリア層を設けることにより基材とバリア層との積層体としてバリア機能を有していてもよい。基材(バリア層が設けられる場合には、基材とバリア層との積層体)の酸素透過率は、好ましくは10cm
3/(m
2・day・atm)以下であり、より好ましくは1cm
3/(m
2・day・atm)以下であり、さらに好ましくは0.1cm
3/(m
2・day・atm)以下である。酸素透過率は、25℃、0%RHの雰囲気下において、JIS K 7126に準拠した測定法によって測定され得る。基材の水蒸気透過率(透湿度)は、好ましくは1g/(m
2・day)以下であり、より好ましくは0.1g/(m
2・day)以下であり、さらに好ましくは、0.01g/(m
2・day)以下である。水蒸気透過率は、40℃、90%RHの雰囲気下において、JIS K 7129に準拠した測定法によって測定され得る。
【0016】
B−2.バリア層
バリア層は、基材に適切なバリア機能を付与し得る。バリア層を設けることにより、酸素および/または水蒸気による粘着剤層の波長変換材料の劣化をさらに良好に防止することができる。
【0017】
バリア層としては、例えば、金属蒸着膜、金属またはケイ素の酸化物膜、酸化窒化膜または窒化膜、金属箔が挙げられる。金属蒸着膜の金属としては、例えば、In、Sn、Pb、Cu、Ag、Tiが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、ITO、IZO、AZO、SiO
2、MgO、SiO、SixOy、Al
2O
3、GeO、TiO
2が挙げられる。金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔が挙げられる。また、バリア層として、アクティブバリアフィルムを用いてもよい。アクティブバリアフィルムは、酸素と反応して積極的に酸素を吸収するフィルムである。アクティブバリアフィルムは市販されている。市販品の具体例としては、東洋紡の「オキシガード」、三菱瓦斯化学の「エージレス・オーマック」、共同印刷の「オキシキャッチ」、クラレの「エバールAP」が挙げられる。
【0018】
図2のように基材10の両側にバリア層31、32が設けられる場合、バリア層31、32の構成は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
バリア層の厚みは、例えば50nm〜50μmである。
【0020】
C.粘着剤層
粘着剤層10は、上記のとおり、代表的にはマトリックスとしての粘着剤と該粘着剤中に分散された波長変換材料とを含む。
【0021】
C−1.粘着剤
マトリックスを構成する粘着剤は、好ましくは、低い酸素透過性および透湿性を有し、高い光安定性および化学的安定性を有し、所定の屈折率を有し、優れた透明性を有し、光学的等方性を有し、および/または、波長変換材料に対して優れた分散性を有する。
【0022】
粘着剤としては、上記のような特性を有し得る任意の適切な粘着剤を用いることができる。粘着剤の具体例としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、セルロース系粘着剤が挙げられる。好ましくは、ゴム系粘着剤またはアクリル系粘着剤である。
【0023】
ゴム系粘着剤(粘着剤組成物)のゴム系ポリマーは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーである。好ましいゴム系ポリマー(A)としては、スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)、イソブチレン系ポリマー(A2)、およびその組み合わせが挙げられる。
【0024】
スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)としては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水添物)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のスチレン系ブロックコポリマーを挙げることができる。これらの中でも、分子の両末端にポリスチレンブロックを有し、ポリマーとして高い凝集力を有する点から、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)が好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)として市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、(株)クラレ製のSEPTON、HYBRAR、旭化成ケミカルズ(株)製のタフテック、(株)カネカ製のSIBSTARが挙げられる。
【0025】
スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)の重量平均分子量は、好ましくは5万〜50万程度であり、より好ましくは5万〜30万程度であり、さらに好ましくは5万〜25万程度である。スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)の重量平均分子量がこのような範囲であれば、ポリマーの凝集力と粘弾性を両立できるため好ましい。
【0026】
スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)中のスチレン含有量は、好ましくは5重量%〜70重量%程度であり、より好ましくは5重量%〜40重量%程度であり、さらに好ましくは10重量%〜20重量%程度である。スチレン系熱可塑性エラストマー(A1)中のスチレン含有量がこのような範囲であれば、スチレン部位による凝集力を保ちながら、ソフトセグメントによる粘弾性を確保できるため好ましい。
【0027】
イソブチレン系ポリマー(A2)としては、イソブチレンを構成単量体として含み、重量平均分子量(Mw)が好ましくは50万以上であるものを挙げることができる。イソブチレン系ポリマー(A2)は、イソブチレンのホモポリマー(ポリイソブチレン、PIB)であってもよく、イソブチレンを主モノマーとするコポリマー(すなわち、イソブチレンが50モル%を超える割合で共重合されたコポリマー)であってもよい。このようなコポリマーとしては、例えば、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(例えば、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム等のブチルゴム類)、これらの加硫物や変性物(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性したもの)等を挙げることができる。これらの中でも、主鎖の中に二重結合を含まず耐候性に優れる点から、ポリイソブチレン(PIB)が好ましい。イソブチレン系ポリマー(A2)として市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、BASF社製のOPPANOLが挙げられる。
【0028】
イソブチレン系ポリマー(A2)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50万以上であり、より好ましくは60万以上であり、さらに好ましくは70万以上である。また、重量平均分子量(Mw)の上限は、好ましくは500万以下であり、より好ましくは300万以下であり、さらに好ましくは200万以下である。イソブチレン系ポリマー(A2)の重量平均分子量を50万以上とすることで、高温保管時の耐久性がより優れる粘着剤組成物とすることができる。
【0029】
粘着剤(粘着剤組成物)におけるゴム系ポリマー(A)の含有量は、粘着剤組成物の全固形分中、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは60重量%以上である。ゴム系ポリマーの含有量の上限は、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下である。
【0030】
ゴム系粘着剤において上記のゴム系ポリマー(A)と他のゴム系ポリマーとを組み合わせて用いてもよい。他のゴム系ポリマーの具体例としては、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、EPR(二元系エチレン−プロピレンゴム)、EPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリプロピレンとEPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)とのポリマーブレンド等のブレンド系熱可塑性エラストマーが挙げられる。他のゴム系ポリマーの配合量は、上記ゴム系ポリマー(A)100重量部に対して好ましくは10重量部程度以下である。
【0031】
アクリル系粘着剤(粘着剤組成物)のアクリル系ポリマーは、代表的には、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有し、目的に応じた共重合成分として、芳香環含有(メタ)アクリレート、アミド基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーおよび/またはヒドロキシル基含有モノマーを含有し得る。本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜18のものを例示できる。芳香環含有(メタ)アクリレートは、その構造中に芳香環構造を含み、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物である。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、またはビフェニル環が挙げられる。芳香環含有(メタ)アクリレートは、耐久性(特に、透明導電層に対する耐久性)を満足し、かつ周辺部の白ヌケによる表示ムラを改善することができる。アミド基含有モノマーは、その構造中にアミド基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。カルボキシル基含有モノマーは、その構造中にカルボキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。ヒドロキシル基含有モノマーは、その構造中にヒドロキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性不飽和二重結合を含む化合物である。アクリル系粘着剤の詳細は、例えば特開2015−199942号公報に記載されており、当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0032】
C−2.波長変換材料
波長変換材料は、粘着剤層の波長変換特性を制御し得る。波長変換材料は、例えば量子ドットであってもよく蛍光体であってもよい。1つの実施形態においては、第1の波長変換材料および第2の波長変換材料はいずれも量子ドットであり得る。別の実施形態においては、第1の波長変換材料または第2の波長変換材料の一方は量子ドットであり、他方は蛍光体であり得る。例えば、第1の波長変換材料は量子ドットであり、第2の波長変換材料は蛍光体であり得る。さらに別の実施形態においては、第1の波長変換材料および第2の波長変換材料はいずれも蛍光体であり得る。
【0033】
粘着剤層における波長変換材料の含有量(2種以上を用いる場合には合計の含有量)は、粘着剤固形分100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜50重量部、より好ましくは0.01重量部〜35重量部、さらに好ましくは0.01重量部〜30重量部である。波長変換材料の含有量がこのような範囲であれば、光漏れを良好に防止し得る粘着テープを実現することができる。
【0034】
C−2−1.量子ドット
量子ドットは、単独で用いてもよく、2種以上(例えば、2種類、3種類、4種類以上)を組み合わせて用いてもよい。例えば、異なる発光中心波長を有する量子ドットを適切に組み合わせて用いることにより、所望の発光中心波長を有する光を実現する粘着剤層を形成することができる。量子ドットの発光中心波長は、量子ドットの材料および/または組成、粒子サイズ、形状等により調整することができる。1つの実施形態においては、2種類の量子ドット(第1の量子ドットおよび第2の量子ドット)が用いられ得る。これらを適切に組み合わせることにより、所定の波長の光(バックライト光源からの光)を粘着剤層に入射および通過させると、所望の波長帯域に発光中心波長を有する光を実現することができる。例えば、第1の量子ドットは好ましくは515nm〜550nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有し、第2の量子ドットは好ましくは605nm〜650nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する。したがって、第1の量子ドットは、励起光(本発明においては、バックライト光源からの光)により励起され緑色光を発光し、第2の量子ドットは赤色光を発光し得る。このような構成であれば、必要に応じて青色光を発光し得る量子ドットをさらに組み合わせることにより、光漏れをさらに良好に防止することができる。
【0035】
量子ドットは、任意の適切な材料で構成され得る。量子ドットは、好ましくは無機材料、より好ましくは無機導体材料または無機半導体材料で構成され得る。半導体材料としては、例えば、II−VI族、III−V族、IV−VI族、およびIV族の半導体が挙げられる。具体例としては、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si
3N
4、Ge
3N
4、Al
2O
3、(Al、Ga、In)
2(S、Se、Te)
3、Al
2COが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。量子ドットは、p型ドーパントまたはn型ドーパントを含んでいてもよい。また、量子ドットはコアシェル構造を有していてもよい。当該コアシェル構造においては、シェルの周囲に目的に応じて任意の適切な機能層(単一層または複数層)が形成されていてもよく、シェル表面に表面処理および/または化学修飾がなされていてもよい。
【0036】
量子ドットの形状としては、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。具体例としては、真球状、燐片状、板状、楕円球状、不定形が挙げられる。
【0037】
量子ドットのサイズは、所望の発光波長に応じて任意の適切なサイズが採用され得る。量子ドットのサイズは、代表的には1nm〜20nmであり、好ましくは1nm〜10nmであり、より好ましくは2nm〜8nmである。量子ドットのサイズがこのような範囲であれば、緑色および赤色のそれぞれがシャープな発光を示し、高演色性を実現することができる。例えば、緑色光は量子ドットのサイズが7nm程度で発光し得、赤色光は3nm程度で発光し得る。なお、量子ドットのサイズは、量子ドットが例えば真球状である場合には平均粒径であり、それ以外の形状である場合には当該形状における最小軸に沿った寸法である。
【0038】
量子ドットの詳細は、例えば、特開2012−169271号公報、特開2015−102857号公報、特開2015−65158号公報、特表2013−544018号公報、特表2010−533976号公報に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。量子ドットは、市販品を用いてもよい。
【0039】
C−2−2.蛍光体
蛍光体としては、目的に応じて所望の色の光を発光し得る任意の適切な蛍光体を用いることができる。具体例としては、赤色蛍光体、緑色蛍光体が挙げられる。
【0040】
赤色蛍光体としては、例えば、Mn
4+で活性化された複合フッ化物蛍光体が挙げられる。複合フッ化物蛍光体とは、少なくとも一つの配位中心(例えば、後述のM)を含有し、配位子として作用するフッ化物イオンに囲まれ、必要に応じて対イオン(例えば、後述のA)により電荷を補償される配位化合物をいう。その具体例としては、A
2[MF
5]:Mn
4+、A
3[MF
6]:Mn
4+、Zn
2[MF
7]:Mn
4+、A[In
2F
7]:Mn
4+、A
2[M´F
6]:Mn
4+、E[M´F
6]:Mn
4+、A
3[ZrF
7]:Mn
4+、Ba
0.65Zr
0.35F
2.70:Mn
4+が挙げられる。ここで、Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、NH
4またはその組み合わせである。Mは、Al、Ga、Inまたはその組み合わせである。M´は、Ge、Si、Sn、Ti、Zrまたはその組み合わせである。Eは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znまたはその組み合わせである。配位中心における配位数が6である複合フッ化物蛍光体が好ましい。このような赤色蛍光体の詳細は、例えば特開2015−84327号公報に記載されている。当該公報の記載は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0041】
緑色蛍光体としては、例えば、β型Si
3N
4結晶構造を有するサイアロンの固溶体を主成分として含む化合物が挙げられる。好ましくは、このようなサイアロン結晶中に含まれる酸素量を特定量(例えば、0.8質量%)以下とするような処理が行われる。このような処理を行うことにより、ピーク幅が狭い、シャープな光を発光する緑色蛍光体が得られ得る。このような緑色蛍光体の詳細は、例えば特開2013−28814号公報に記載されている。当該公報の記載は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0042】
C−3.バリア機能
粘着剤層は、好ましくは、酸素および/または水蒸気に対してバリア機能を有する。粘着剤層は、量子ドット自体に例えばコアシェル型、テトラポッド型のような立体的構造を付与することによりバリア機能を発現し得る。また、粘着剤層は、粘着剤を適切に選択することによりバリア機能を発現し得る。好ましくは、粘着剤層は、有機化処理された層状ケイ酸塩(有機化処理層状ケイ酸塩)を配合することにより、バリア機能を発現し得る。粘着剤層がバリア機能を有することにより、上記の基材のバリア機能との相乗的な効果により、所望の波長変換機能を維持しつつ、非常に優れた耐久性を有する粘着テープを実現することができる。
【0043】
上記有機化処理層状ケイ酸塩は、層状ケイ酸塩を適切に有機化処理して得ることができる。該層状ケイ酸塩は、例えば、2層のシリカ4面体層と、2層のシリカ4面体層の間に存在するマグネシウム8面体層またはアルミニウム8面体層とから構成される板状結晶(例えば、厚み1nm)が数百〜数千枚積層した積層構造を有する。層状ケイ酸塩としては、例えば、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト等が挙げられる。
【0044】
上記層状ケイ酸塩の厚みは、好ましくは0.5nm〜30nmであり、より好ましくは0.8nm〜10nmである。層状ケイ酸塩の長辺の長さは、好ましくは50nm〜1000nmであり、より好ましくは300nm〜600nmである。なお、層状ケイ酸塩の長辺とは、層状ケイ酸塩を構成する辺のうち、最も長い辺を意味する。
【0045】
上記層状ケイ酸塩のアスペクト比(厚みTと長辺の長さLとの比L/T)は、好ましくは25以上であり、より好ましくは200以上である。アスペクト比の高い層状ケイ酸塩を用いることにより、層状ケイ酸塩の添加量が少なくても、ガスバリア性の高い粘着剤層を得ることができる。また、層状ケイ酸塩の添加量が少なければ、透明性が高く、かつ、柔軟性に優れる粘着剤層を得ることができる。層状ケイ酸塩のアスペクト比の上限は、通常300である。
【0046】
有機化処理層状ケイ酸塩は、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上、さらに好ましくは230℃〜400℃の温度下においても着色しない。有機化処理層状ケイ酸塩は、好ましくは230℃で10分間加熱しても着色しない。本明細書において「着色していない」とは、有機化処理層状ケイ酸塩を目視で確認して着色していないことをいう。
【0047】
有機化処理は、層状ケイ酸塩における板状結晶間に元来存在する無機カチオン(例えば、Na
+、Ca
2+、Al
3+、Mg
2+)を、有機化処理剤としての適切な塩を用いてカチオン交換することより、行われる。上記カチオン交換に用いられる有機化処理剤としては、例えば、含窒素複素環式4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩等が挙げられる。好ましくは、第4級イミダゾリウム塩、トリフェニルホスホニウム塩等が用いられる。これらの塩を用いて有機化処理された層状ケイ酸塩は、耐熱性に優れ、高温下(例えば、200℃以上)においても着色しない。また、該有機化処理層状ケイ酸塩は粘着剤層における分散性に優れる。分散性の高い有機化処理層状ケイ酸塩を用いれば、透明性およびガスバリア性の高い粘着剤層を形成することができる。より好ましくは、上記有機化処理剤として、第4級イミダゾリウム塩が用いられる。第4級イミダゾリウム塩はより耐熱性に優れるため、第4級イミダゾリウム塩により有機化処理された層状ケイ酸塩を用いれば、高温下においても着色のより少ない粘着剤層を得ることができる。
【0048】
上記有機化処理剤として用いられる塩のカウンターアニオンは、例えば、Cl
−、B
−、Br
−である。該カウンターアニオンは、好ましくはCl
−またはB
−であり、より好ましくはCl
−である。このようなカウンターイオンを含む塩は、層状ケイ酸塩に元来存在する無機カチオンとの交換性に優れる。
【0049】
上記有機化処理剤として用いられる塩は、長鎖のアルキル基を有することが好ましい。該アルキル基の炭素数は、好ましくは4以上であり、より好ましくは6以上であり、さらに好ましくは8〜12である。長鎖のアルキル基を有する塩を用いれば、該塩が層状ケイ酸塩における板状結晶間を拡げ、該結晶間の相互作用が弱まり、その結果、有機化処理層状ケイ酸塩の分散性が向上する。有機化処理層状ケイ酸塩の分散性が高ければ、透明性およびガスバリア性の高い粘着剤層を形成することができる。
【0050】
有機化処理層状ケイ酸塩の厚みは、好ましくは0.5nm〜30nmであり、より好ましくは0.8nm〜20nmであり、さらに好ましくは1nm〜5nmである。
【0051】
上記有機化処理層状ケイ酸塩は、例えば、任意の適切な溶媒(例えば、水)中に層状ケイ酸塩と有機化処理剤としての塩とを分散させ、所定の条件で撹拌して得ることができる。上記有機化処理剤としての塩の添加量は、層状ケイ酸塩中に元来存在するカチオンに対してモル基準で、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.2倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上である。層状ケイ酸塩が有機化処理されたか否かは、X線回折解析により、層状ケイ酸塩の層間距離を測定し、層間距離の広がりにより確認することができる。
【0052】
上記有機化処理層状ケイ酸塩の配合量は、粘着剤固形分100重量部に対して、好ましくは1重量部〜30重量部であり、より好ましくは3重量部〜20重量部であり、さらに好ましくは3重量部〜15重量部であり、特に好ましくは5重量部〜15重量部である。このような範囲であれば、ガスバリア性および透明性に優れ、かつ、着色の少ない粘着剤層を得ることができる。
【0053】
粘着剤層の厚み50μm換算の水蒸気透過率(透湿度)は、好ましくは100g/(m
2・day)以下であり、より好ましくは80g/(m
2・day)以下である。
【0054】
C−4.その他
粘着剤層は、目的に応じて任意の適切な添加材をさらに含んでいてもよい。添加材としては、例えば、光拡散材料、光に異方性を付与する材料、光を偏光化する材料が挙げられる。光拡散材料の具体例としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、またはこれらの共重合系樹脂で構成される微粒子が挙げられる。光に異方性を付与する材料および/または光を偏光化する材料の具体例としては、長軸と短軸で複屈折が異なる楕円球状微粒子、コアシェル型微粒子、積層型微粒子が挙げられる。添加剤の種類、数、配合量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0055】
粘着剤層は、例えば、粘着剤と波長変換材料と必要に応じて添加材とを含む液状組成物を塗布することにより形成され得る。塗布方法としては、任意の適切な塗布方法を用いることができる。具体例としては、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法が挙げられる。硬化条件は、使用する粘着剤の種類および組成物の組成等に応じて適切に設定され得る。なお、量子ドットを粘着剤に添加する際には、粒子の状態で添加してもよく、溶媒に分散した分散液の状態で添加してもよい。
【0056】
粘着剤層は、単一層であってもよく、積層構造を有していてもよい。粘着剤層が積層構造を有する場合には、それぞれの層は、代表的には異なる発光特性を有する波長変換材料を含み得る。
【0057】
粘着剤層の厚み(積層構造を有する場合には、その総厚み)は、好ましくは20μm〜500μmであり、より好ましくは100μm〜400μmである。粘着剤層の厚みがこのような範囲であれば、光漏れ防止性能および耐久性に優れた粘着テープを得ることができる。さらに、厚みが20μm以上であることにより、優れたバリア性が実現され得る。粘着剤層が積層構造を有する場合の各層の厚みは、好ましくは10μm〜300μmであり、より好ましくは20μm〜250μmである。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
【0059】
(1)厚み
バリア層の厚みは、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−7650)を用いて断面を観察し、測定を行なった。基材および粘着剤層の厚みは膜厚計(Peacock社製デジタルダイアルゲージDG−205)を用いて測定した。
(2)透湿度
JIS K 7129に準拠した測定法によって測定した。具体的には、実施例および比較例で得られた基材またはバリア層付基材を10cmΦの円状に切り出し、測定試料とした。この測定試料について、テクノロックス社製「DELTAPERM」を用いて、40℃、90%RHの試験条件で透湿度を測定した。
(3)波長変換性能(光漏れ防止特性)
市販の液晶表示装置(Samsung社製、商品名「UN65JS9000FXZA」)を分解した。この液晶表示装置の導光板の両端部と接している額縁部分に実施例および比較例で得られた粘着テープを貼り合わせ、液晶表示装置のバックライトを点灯させ、目視にて貼り合わせ部分光漏れの度合いを確認した。
(4)耐久性
上記(3)の粘着テープを貼り合わせた液晶表示装置を85℃、85%RHのオーブンに24時間放置した後、上記(3)と同様にして貼り合わせ部分の光漏れの度合いを測定した。測定した発光強度は、耐久試験前の発光強度を100としたときの相対値に換算した。
さらに、耐久試験後の粘着テープの粘着剤層の状態を目視により観察した。
【0060】
<実施例1>
(バリア層付基材の作製)
基材として市販のPETフィルム(東洋紡社製、商品名「コスモシャイン A4300」、厚み100μm)を用いた。このフィルムの片面にAZO及びSiO
2を蒸着し、バリア層(トータル厚み0.06μm)を形成した。得られたバリア層付基材の透湿度は、0.01g/(m
2・day)であった。
【0061】
(粘着剤)
ゴム系ポリマーとしてポリイソブチレン(PIB)100重量部に、粘着付与剤として水添テルペンフェノール(商品名:YSポリスターTH130、軟化点:130℃、水酸基価:60、ヤスハラケミカル(株)製)を10重量部、緑色の波長変換材料としてInP系のコアからなる粒子径10nm以下、発光中心波長530nmの量子ドットを3重量部、赤色の波長変換材料としてInP系のコアからなる粒子径20nm以下、発光中心波長630nmの量子ドットを0.3重量部配合し、固形分が18重量%になるようにトルエン溶媒にて調整し、波長変換材料を有する粘着剤組成物(溶液)を調製した。
【0062】
(粘着テープの作製)
上記で得られたバリア層付基材のバリア層表面に上記で調製した粘着剤をアプリケーターにより塗布し、粘着剤層を形成した。粘着剤層の厚みは50μmであり、透湿度は、10g/(m
2・day)であった。このようにして粘着テープを作製した。得られた粘着テープを用いて、上記(3)および(4)の評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】
<実施例2>
ゴム系粘着剤の代わりにアクリル系粘着剤を用いて粘着剤層を形成したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。アクリル系粘着剤は下記のようにして調製した。粘着剤層の厚みは50μmであり、透湿度は5g/(m
2・day)であった。
特許第2549388号に記載のアクリルポリマー100重量部に、0.15部のジベンゾイルパーオキシド(日本油脂製(株):ナイパーBO−Y)と、0.02部のトリメチロールプロパンキシレンジイソシアネート(三井武田ケミカル(株):タケネートD110N)と、0.2部のシランカップリング剤(綜研化学株式会社製:A−100,アセトアセチル基含有シランカップリング剤)とを配合して、アクリル系粘着剤とした。アクリルポリマー100重量部に対して、緑色の波長変換材料としてInP系のコアからなる粒子径10nm以下、発光中心波長530nmの量子ドットを3重量部、赤色の波長変換材料としてInP系のコアからなる粒子径20nm以下、発光中心波長630nmの量子ドットを0.3重量部、特開2015−183078号公報の実施例1に記載のナノクレイ(有機化処理層状ケイ酸塩)を10重量部配合し、固形分が18重量%になるようにトルエン溶媒にて調整した。
【0064】
得られた粘着テープを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
<比較例1>
PETフィルムに蒸着処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。基材の透湿度は、11.3g/(m
2・day)であった。得られた粘着テープを用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
<評価>
表1から明らかなように、本発明の実施例の粘着テープは、優れた光漏れ防止機能と優れた耐久性とを有することがわかる。