特許第6854717号(P6854717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6854717照度表示制御装置および照度表示制御方法、ならびにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854717
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】照度表示制御装置および照度表示制御方法、ならびにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20210329BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20210329BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   G01J1/42 J
   G01J1/44 B
   G09G5/00 510H
   G09G5/00 550C
   G09G5/00 555D
   G09G5/00 530D
   G09G5/00 530T
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-134034(P2017-134034)
(22)【出願日】2017年7月7日
(65)【公開番号】特開2019-15641(P2019-15641A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】成田 康平
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】平尾 貴志
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雄作
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−49052(JP,A)
【文献】 特開2013−190231(JP,A)
【文献】 特開2016−212064(JP,A)
【文献】 特開2000−283840(JP,A)
【文献】 特開2015−224913(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0105442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00−1/60
G09G 5/00−5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に通信を行うことが可能な照度計と携帯端末とを備え、
前記照度計は、
照度を測定する測定部と、
前記測定部で測定した照度測定値を前記携帯端末に送信する照度計側通信部と
を備え、
前記携帯端末は、
前記照度計から送信された照度測定値を受信する携帯端末側通信部と、
表示部と、
操作部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、前記照度計が照度測定を行うときは、前記表示部の表示画面に照度測定値と照度測定値を保存するか否かの指示を行う操作ボタンとを表示し、表示画面の他の部分は、暗転させる
ことを特徴とする照度表示制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の照度表示制御装置において、
前記制御部は、照度測定値を保存するとの操作がなされたときは、前記表示画面を明転させる
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
互いに通信を行うことが可能な照度計と携帯端末を用いた照度表示制御方法であって、
前記照度計が照度測定を行うときは、前記携帯端末の表示画面に、照度測定値と照度測定値を保存するか否かの指示を行う操作ボタンとを表示するとともに、前記表示画面の他の部分を暗転させる制御を行う
ことを特徴とする照度表示制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の照度表示制御方法において、
照度測定値を保存するとの操作がなされたときは、前記表示画面を明転する制御を行う
ことを特徴とする照度表示制御方法。
【請求項5】
相互に通信を行うことが可能な照度計と携帯端末とを備え、
前記照度計は、照度を測定する測定部と、前記測定部で測定した照度測定値を前記携帯端末に送信する照度計側通信部とを備え、
前記携帯端末は、前記照度計から送信された照度測定値を受信する携帯端末側通信部と、表示部と、操作部と、これら前記携帯端末側通信部、前記表示部を制御する制御部とを有する照度測定装置の前記携帯端末の前記制御部のコンピュータに、
前記照度計が照度測定を行うときは、前記表示部の表示画面に照度測定値と表示された照度測定値を保存するか否かの操作ボタンとを表示するとともに、前記表示画面の他の部分を暗転させる制御を行うステップを実行させる
ことを特徴とする照度表示制御プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の照度表示制御プログラムにおいて、
制御部に、照度測定値を保存するとの操作がなされたときは、前記表示画面を明転する制御を行うステップを実行させる
ことを照度表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度表示制御装置および照度表示制御方法、ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
照度の測定は、例えば、室内照明の明るさや照明機器の照度を測定して、建物竣工時に竣工図面に測定した照度値を記入した報告書を作成するときに行う。
【0003】
このような照度測定作業は、竣工引き渡しの直前で、しかも基本的に外光の影響がない夜間に行う必要がある。さらに、建物により、多数の測定箇所で測定する必要があり、商業施設や工場等の大きな建物では、何千、何万という測定箇所の照度を測定する必要が出てくる。
このような照度を測定する照度計については、以下の先行技術文献がある。
【0004】
以下従来の照度計による照度の測定を説明する。
先行特許文献に記載の照度計は、受光センサなどを備える受光部と、各種キーなどを備える操作部と、液晶画面などを備える表示部と、演算制御装置(CPU)などを備え、これらの受光部、操作部、表示部を制御して受光部が置かれた場所の照度を測定して表示、保存する制御部を備えている。測定された照度のデータは、記憶部に保存される。操作部には、液晶画面における照度の表示値をホールドするためのホールドキーが設けられており、このホールドキーが押されることにより、ホールドキーが押された時点の表示値が保持され、液晶画面に照度が数字などで保持される。
【0005】
照度の測定では、照明光以外の光が受光センサに入らないようにして測定する必要がある。そのため、照度計での照度の測定では、上述のように、ホールド機能を用いて、測定時には、作業者の影が入らないように、照度計から十分離れ、後にホールドされた照度のデータを読み取るという作業を行っている。
【0006】
照度には、建物の使用目的によって、オフィスのようなところでは、机上の高さで、何ルクス以上、体育館のようなところでは、床上で何ルクス以上という規格があり、床面や、床上80cmのところで測定する規定がある。照度の測定は、測定ポイントの所定の高さに照度計をおき、表示画面にホールドされた照度のデータを作業者が読み取って記録して行う。
【0007】
以下、従来の照度計を用いて行う照度測定の手順を説明する。
まず、竣工図面など、照度を測定すべき建造物内の図面であって、測定すべき測定ポイント(測定場所)が記載された図面を準備する。この図面には、測定ポイントが表されており、その測定ポイントごとに順次照度測定を行う。
【0008】
照度測定の作業は、通常二人の作業員が共同で行う。床面の照度を測定する場合には、床面に照度計をおき、そこに表示された測定値を読み取って、図面を持つもう一人の作業員に伝える作業を行う。照度を測定する場合に、照度計に作業員の影が入ると正確な測定値を得ることができないため、照度を測定するときには、測定値を読み取る作業員が照度計から離れる必要がある。照度計にはホールド機能があるので、ホールド機能を利用して、測定されホールドされた照度の測定値を一人の作業員が読み取ってもう一人の作業員に伝える。もう一人の作業員は図面にある測定ポイントに他の作業員から聞いた測定値を書き入れる。一つの測定ポイントの照度を測定すると次の測定ポイントへ移動し、照度計をおいて測定値を読み取り、その測定値を図面に記録するという作業を繰り返す。
【0009】
すべての測定ポイントについて測定を終了すると、事務所に戻り、図面に書き入れた測定値を竣工図面が入っているパソコンで竣工進行図面の測定ポイントに書き入れる入力作業をし、照度測定の報告書を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2015−049051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
出願人は、本発明と同日に、照度計に近距離無線通信機能を持たせ、照度計と相互に通信を行うことができる携帯端末に測定した照度測定値を送信し、携帯端末に測定した照度測定値を保存する発明を出願した。
この場合、例えば、照度計を所定の床面や所定の高さの位置において照度を測定する作業者と、携帯端末をもった作業者とは距離は離れていても近距離位置にいる。このため、携帯端末の液晶表示画面の明るさが照度計の照度測定に影響を及ぼすおそれがある。また、一人の作業者が照度測定を行う場合には、より近距離にあり、携帯端末の表示画面の光が照度測定に影響を及ぼす可能性がある。さらに、携帯端末はハンディなものであり、その画面方向は固定されていないので、作業中に誤って照度計の受光センサに直接表示画面が向く可能性は否定できない。
特に、直接携帯端末の表示画面が照度計の受光センサに向いている場合だけでなく、携帯端末の表示画面が照度計に向いていなくても、測定ポイントのすぐ近くの壁面や作業者の服が反射の大きい白色であった場合に、携帯端末の表示画面の明るさが照度測定に影響を与える可能性がある。
【0012】
このように、測定環境において、測定作業者が持ち運ぶ携帯端末の表示画面が照度測定に影響を与える可能性があるので、その可能性を低減する必要がある。本発明は、このような課題を解決するために、携帯端末が照度計への照度測定に影響を与えないようにする照度表示制御装置、照度表示制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の側面は、相互に通信を行うことが可能な照度計と携帯端末とを備え、照度計は、照度を測定する測定部と、測定部で測定した照度測定値を携帯端末に送信する照度計側通信部とを備え、携帯端末は、照度計から送信された照度測定値を受信する携帯端末側通信部と、表示部と、操作部と、制御部とを備え、制御部は、照度計が照度測定を行うときは、表示部の表示画面に照度測定値と照度測定値を保存するか否かの指示を行う操作ボタンとを表示し、表示画面の他の部分は、暗転させることを特徴とする。
【0014】
なお、制御部は、照度測定値を保存するとの操作がなされたときは、表示画面を明転させることが好ましい。
【0015】
また、本発明の他の側面は、互いに通信を行うことが可能な照度計と携帯端末を用いた照度表示制御方法であって、照度計が照度測定を行うときは、携帯端末の表示画面に、照度測定値と照度測定値を保存するか否かの指示を行う操作ボタンとを表示するとともに、表示画面の他の部分を暗転させる制御を行うことを特徴とする。
【0016】
なお、照度測定値を保存するとの操作がなされたときは、表示画面を明転する制御を行うことが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の側面は、相互に通信を行うことが可能な照度計と携帯端末とを備え、照度計は、照度を測定する測定部と、測定部で測定した照度測定値を携帯端末に送信する照度計側通信部とを備え、携帯端末は、照度計から送信された照度測定値を受信する携帯端末側通信部と、表示部と、操作部と、これら携帯端末側通信部、表示部を制御する制御部とを有する照度測定装置の携帯端末の前記制御部のコンピュータに、照度計が照度測定を行うときは、表示部の表示画面に照度測定値と、表示された照度測定値を保存するか否かの操作ボタンとを表示するとともに、表示画面の他の部分を暗転させる制御を行うステップを実行させることを特徴とする。
【0018】
なお、制御部に、照度測定値を保存するとの操作がなされたときは、表示画面を明転する制御を行うステップを実行させることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
照度測定時に作業者が持ち運ぶ携帯端末の表示画面は暗転するため、測定への影響はなくなり、測定値の信頼性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】照度測定装置の構成を示す図であり、照度計1とスマートフォン2とからなる構成を示している。
図2】スマートフォンに表示される測定前の状態を示す図である。
図3】スマートフォンの表示画面が暗転した状態を示す図である。
図4】スマートフォンの表示画面が明転した状態を示す図である。
図5】スマートフォンの表示画面の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る照度表示制御装置の構成を示す図である。本実施の形態の照度表示制御装置は、照度計1と、携帯端末としてのスマートフォン2とから構成されている。スマートフォンは、広義では携帯情報端末の機能を有する携帯電話端末を意味しているが、本明細書では、広義のスマートフォンのうち、各種プログラムをインストールすることによって、任意の機能を付加したり、端末の操作環境や表示環境をカスタマイズすることできるものをいうものとする。
なお、本実施形態の照度表示制御装置では、スマートフォン2に代えて、タブレット端末や携帯型パーソナルコンピュータなどの汎用の電子機器を用いることが可能である。
【0022】
照度計1は、受光部11、操作部12、表示部13、無線通信部14、制御部15、記憶部16を備えている。受光部11は、フォトダイオードなどの受光センサが外部からの照明光の受光する部分である。この受光部11には、図示されない増幅器、AD変換器などを備えており、照度計本体と取り外してケーブルで延長し、照度計本体と接続することもできる。
【0023】
操作部12には、押下することで操作するメカニカルキーが設けられており、測定レンジを指定するレンジキー、測定値のホールドを指示するホールドキー、ゼロ調整キー等が照度計1の表面に並べて設けられている。
【0024】
表示部13には、液晶画面が設けられており、測定された照度の値の他、選択されたレンジや、照度のホールド状態の有無などが表示される。
【0025】
無線通信部14は、照度計側通信部に対応し、ブルートゥース( Bluetooth 登録商標)規格に準じた近距離無線通信を実行可能に構成されており、この無線通信部14は、後述するスマートフォン2の無線通信部との間で無線接続を確立し、スマートフォン2との間で各種データの送受信処理を行うことができる。
【0026】
制御部15は、照度計1を総括的に制御するものであり、演算処理装置であるCPUを有しており、プログラムの命令にしたがって照度計1全体に対する制御を実行し、受光部11から到来するデータから、照度データを演算し、また、記憶部16にそれらの照度測定値を記憶させる。また、無線通信部14を介してスマートフォン2と相互に通信を行って、測定した照度測定値をスマートフォン2に送信することができる。
【0027】
記憶部16は、制御部15が演算した照度測定値を一時的に記憶し、また、複数箇所の測定ポイントの照度の測定値を記憶することができる。
【0028】
一方、スマートフォン2は、記憶部21、操作部22、表示部23、無線通信部24、制御部25を備える。記憶部21は、スマートフォン2の動作プログラムを記憶するとともに、照度測定作業用のプログラムを記憶し、また、照度測定を行う竣工図面などの画像ファイル、測定した照度のデータなどを記憶できる。
【0029】
操作部22は、操作スイッチと、表示部23の表面側に配設されたタッチパネルとを備え、このタッチパネルの操作に応じた操作信号を制御部25に与える。表示部23は、制御部25の制御にしたがって、測定ポイントが含まれる竣工図面、照度計1から送信された照度の測定値、記憶部21に記憶した照度測定値などの各種の表示を行う。また、表示部23には、タッチすることで操作を指示するボタン画面(アイコン)も表示される。
【0030】
無線通信部24は、携帯端末側通信部に相当し、照度計1の無線通信部14とブルートゥース規格に準じた近距離無線通信が実行可能であり、照度計1からの照度データを受信し、また、照度計1に各種コマンド信号を送信する。
【0031】
制御部25は、スマートフォン2を総括的に制御する。この制御部25は、記憶部21に記憶されたスマートフォン2の動作プログラムにしたがって動作し、記憶部21に記憶している竣工図面の画像ファイルを表示部23に表示する。また、無線通信部24で受信した照度計1からの照度測定値を表示部23に表示させ、保存が指示された照度測定値を記憶部21に記憶させる制御などを行う。
【0032】
以下、本実施の形態の照度計1とスマートフォン2とを用いた照度の測定と測定値の保存の手順を説明する。
(照度測定作業前の準備)
まず、照度計による照度測定作業前の準備について説明する。
照度測定作業準備としては、スマートフォン2に竣工図面を取り入れ、そのスマートフォン2に取り込んだ竣工図面の測定ポイントごとに番号をふって、照度測定の順序を決める作業を行う。
スマートフォン2に竣工図面を取り入れる作業は、スマートフォン2の画面に照度測定をすべき測定ポイントをスマートフォン2の画面に表示して実際の測定作業を行う支援するための作業である。
【0033】
スマートフォン2での画像ファイルの読み込みは、竣工図面が記憶されたパソコンから読み込む、あるいは竣工図面をスマートフォン2のカメラで取り込むことが可能である。
取り込んだ竣工図面には、照度を測定すべき箇所である測定ポイントが表されている。この測定ポイントに番号をふることで、測定すべき場所をスマートフォンの画面で確認する。番号は、スマートフォン2のタッチパネルで、表示された測定ポイントを長押しすることで、番号が測定ポイントごとに順次付されていき、すべての測定ポイントに番号が付されると、番号付与の作業は終了する。
【0034】
(照度測定作業)
照度測定作業は、順次、測定ポイントごとに、照度計をおいて照度を測定し、この測定した照度測定値をスマートフォン2に送信して、スマートフォン2で保存し、測定すべき測定ポイントについてすべて測定を行うと測定作業が終了するという手順になる。
【0035】
照度測定作業について説明する。この説明は、照度計1を測定ポイントにおく作業とスマートフォン2をもって、測定した照度データを保存する作業とは別の作業者が行うことで説明する。しかし、照度計とスマートフォンとが適度に離れており、照度計に作業者の影等が影響しない状況であれば一人の作業者が照度の測定を行うことも可能である。
【0036】
一人の作業者が、測定ポイントの床面あるいは規定の高さに照度計をおく。少し距離をおいて、スマートフォン2を持つ他の作業者がいて、スマートフォン2を操作する。スマートフォン2の表示画面に取り込んだ竣工図面に測定ポイントが表示され、測定ボタンが表示されるので、その測定ボタンを押下すると、スマートフォン2からは、照度計1に対して、測定指示として、照度測定値の送信要求のコマンド信号が送信される。この測定ボタンが表示された状態を図2に示す。1番の測定ポイントについて照度の測定を行うことを示している。照度計1からは測定した照度測定値のデータが測定した照度測定値がスマートフォン2へ送信される。照度計1は、測定した照度測定値を、1secごとに無線通信部14から無線で送信し、スマートフォン2は受信した照度測定値を表示部23に表示する。照度測定値データは1secごとに送信されているので、表示されている照度測定値のデータは、例えば、コンマ以下は変動している。
【0037】
ここで、制御部25は、照度計1に送信要求のコマンド信号を送信すると、表示部23の表示画面には、受信する照度測定値と、表示された測定値の数値を確定して記憶部21に記憶させるボタン表示「確定」と数値のキャンセル表示「←」のみを表示して、他の画面は暗転させる制御を行う。これを図3に示す。図3に示すように、画面中央に受信した照度測定値「322.1lx」を作業者が認識できる程度に表示し、画面下側に確定ボタンとキャンセル表示とを小さく表示し、その他の部分はすべて暗転させる。
スマートフォン2を持ち運ぶ作業者は、「確定ボタン」を押下することで、表示された照度の数値は、測定ポイント「1」に対応づけられて記憶部21に記憶される。また、「キャンセルボタン」を押下されることで、再度照度測定値を取得する作業を行う。
【0038】
「確定」のボタンが操作され、照度測定値が記憶部21に記憶されると表示画面は図4に示すように、明転し、保存された照度測定値を表示してもとの作業前の表示画面に戻る。なお、確定ボタンが操作されると、そのまま照度測定値を表示することなく、作業前の表示画面に戻ってもよい。また、「キャンセルボタン」が押下されたときも、一度図2の状態に戻ってから、照度計からの測定した照度測定値を受信して、図3の表示画面を暗転させてもよい。
【0039】
図5に、照度計を用いて照度を測定するときのスマートフォン2の表示画面の動作を示すフローチャートを示す。
照度計に対して測定、すなわち、測定した照度測定値を送信するようにコマンド信号を送信すると(S1)、照度計より到来する照度測定値を表示するとともに、確定ボタン、キャンセル表示をして画面を暗転させる(S2)。確定ボタンが押下されれば、照度測定値を記憶部21に記憶し(S3〜S5)、画面を明転させる(S6)。
一つの測定ポイントについて照度測定値が記憶され、測定が終了すると、次の測定ポイントの測定を行う。
【0040】
(測定後の作業)
すべての測定ポイントについて照度測定が終了すると、スマートフォン2の外部インタフェースを事務所のパソコンに接続して、記憶している照度測定値をパソコンに取り入れる。取り入れた照度測定値を、竣工図面上に書き込み、照度測定の報告書を作成する。
【0041】
なお、上記表示画面の暗転は、スマートフォン2が、照度計に対して、照度測定値を送信するように指示するコマンド信号を送信するときに行う動作で説明したが、表示画面の暗転は、照度計での照度測定にスマートフォンの表示部の表示が影響を与えないようにするためであるため、送信コマンド信号の送信時には限られない。照度計1で照度測定を開始する操作ポタンが操作されたとき、その操作信号をスマートフォン2に送信してスマートフォン2の表示画面を暗転するようにしてもよい。また、スマートフォン2に最初の照度測定値のデータを受信したときに画面を暗転するようにしてもよい。さらに、スマートフォン2の送信コマンド信号が照度計1に対する測定開始指示を含むものとしてもよい。
【0042】
また、上述の測定した照度測定値は、スマートフォン2の記憶部21に保存するものとしたが、スマートフォン2で確定ボタンが押下されたときに、照度計の記憶部16に照度測定値を記憶させてもよい。
【0043】
(発明の効果)
上述のように、照度計が照度を測定する時点では、スマートフォンの表示画面は暗転するので、スマートフォンの表示画面が照度計の照度測定に与える可能性はほとんどない。仮にスマートフォンの表示画面が照度計の受光部に影響を与える角度や位置であったとしても、照度測定値が影響を受けることはないので、正確な測定値を得ることができる。また、測定のし直し等の余分な作業の発生もなくなる。
【0044】
(その他の構成)
上述の説明では、すべての測定時にスマートフォンの表示画面を暗転させるとした。
しかしながら、例えばJIS規格では、オフィス環境では、机上で500ルクス以上照度があればよいとされる。そうであれば、例えば600ルクスあれば、スマートフォンの表示画面の光が照度測定に影響することは少ないので、スマートフォンに、照度が所定値以上か否かを判断する機能を設け、所定値以上の照度があった場合には、スマートフォンの表示画面の暗転機能をスキップしてもよい。この場合には、表示画面は、明るいまま、受信した照度データを表示し、確定ボタン、キャンセル指示を表示し、他の画面も暗転しないものとする。
【0045】
なお、上述の照度測定装置の実施の形態の説明は、照度計とスマートフォンとが無線通信を行うことで、照度計で測定した照度データをスマートフォンに保存する例で説明したが、照度計とが無線で接続されなくても有線で接続されていても発明の実施は可能である。
照度計と照度データを保存するスマートフォンとは離れており、照度計に作業者の影やスマートフォンの画面の照度が照度計の照度測定に影響を与えない程度に離れていればよいので、照度計とデータ保存を行う可搬の携帯端末とが有線で接続された状態で、携帯端末が照度データを受信して保存する形態であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 照度計
2 スマートフォン
11 受光部
12 22 操作部
13 23 表示部
14 24 無線通信部
15 25 制御部
16 21 記憶部

図1
図2
図3
図4
図5