特許第6854724号(P6854724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854724
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/04 20060101AFI20210329BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H02B1/04 F
   H02B1/30 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-140261(P2017-140261)
(22)【出願日】2017年7月19日
(65)【公開番号】特開2019-22367(P2019-22367A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】竹川 直貴
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 潤
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−201003(JP,U)
【文献】 実開昭48−099413(JP,U)
【文献】 実開昭54−150921(JP,U)
【文献】 実開昭54−114023(JP,U)
【文献】 特開2016−127785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/04
H02B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に高圧遮断器を収納可能であるとともに、上面に電力需給用計器用変成器を設置可能な変成器用設置部が備えられたキャビネット本体と、
前記キャビネット本体の上面に着脱自在な補助部材とを備えたキャビネットであって、
前記補助部材が、
前記キャビネット本体の上面において、前記変成器用設置部の左右両側に固定される一対の基台金具と、
前記基台金具の前端部同士を連結する連結部と、前記連結部の左右両端から上下方向へ延びる一組の起立部とを有する前支持金具と、
前記基台金具の後端部同士を連結する連結部と、前記連結部の左右両端から上下方向へ延びる一組の起立部とを有する後支持金具とを備えており、
前記前支持金具が、前記変成器用設置部よりも前側で前記基台金具に対して前記起立部が起立する起立姿勢と、前記起立部が後側へ水平まで傾倒する傾倒姿勢との間で回動可能に、前記後支持金具が、前記変成器用設置部よりも後側で前記基台金具に対して前記起立部が起立する起立姿勢と、前記起立部が前側へ水平まで傾倒する傾倒姿勢との間で回動可能に夫々取り付けられているとともに、
前記前支持金具と前記後支持金具との少なくとも何れか一方に、前記電力需給用計器用変成器を保護する保護カバーが取り付けられていることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
内部に高圧遮断器を収納可能であるとともに、上面に電力需給用計器用変成器を設置可能な変成器用設置部が備えられたキャビネット本体と、
前記キャビネット本体の上面に着脱自在な補助部材とを備えたキャビネットであって、
前記補助部材が、
上下方向へ延びる起立部と、起立部の基端から前後方向へ延びる基部とを有する少なくとも4つの支柱金具を備えており、
前記キャビネット本体の上面の前端部において、前記変成器用設置部よりも左右外側となる位置に2つの支柱金具が、前記キャビネット本体の上面の後端部において、前記変成器用設置部よりも左右外側となる位置に2つの支柱金具が夫々固定されているとともに、
少なくとも前後何れか一方の支柱金具を利用して、前記電力需給用計器用変成器を保護する保護カバーが取り付けられていることを特徴とするキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電力の需要家から提供された電気室内に電力需給用計器用変成器等を設置するためのキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば中高層集合住宅に高圧受電する等に際しては、需要家から提供された電気室内に、電力会社が管理する電力需給用計器用変成器や需要家が管理する高圧遮断器等を有する受電設備を構築することになる。そして、そのような受電設備を構築するにあたっては、たとえば特許文献1に記載されているように、方体状に組まれた2つのフレーム枠部材を上下に連結することで、上下2段の機器収納空間を備えたキャビネットが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−127785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
需要家から提供される電気室は、高さ、広さ共にスペースにそれほど余裕がないことが多いため、キャビネットの設置等といった室内で受電設備を構築する作業が煩わしいという問題があり、キャビネットの小型化が望まれている。しかしながら、上記従来のキャビネットでは小型化に限度があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、従来よりも小型化を図ることができるキャビネットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内部に高圧遮断器を収納可能であるとともに、上面に電力需給用計器用変成器を設置可能な変成器用設置部が備えられたキャビネット本体と、前記キャビネット本体の上面に着脱自在な補助部材とを備えたキャビネットであって、前記補助部材が、前記キャビネット本体の上面において、前記変成器用設置部の左右両側に固定される一対の基台金具と、前記基台金具の前端部同士を連結する連結部と、前記連結部の左右両端から上下方向へ延びる一組の起立部とを有する前支持金具と、前記基台金具の後端部同士を連結する連結部と、前記連結部の左右両端から上下方向へ延びる一組の起立部とを有する後支持金具とを備えており、前記前支持金具が、前記変成器用設置部よりも前側で前記基台金具に対して前記起立部が起立する起立姿勢と、前記起立部が後側へ水平まで傾倒する傾倒姿勢との間で回動可能に、前記後支持金具が、前記変成器用設置部よりも後側で前記基台金具に対して前記起立部が起立する起立姿勢と、前記起立部が前側へ水平まで傾倒する傾倒姿勢との間で回動可能に夫々取り付けられているとともに、前記前支持金具と前記後支持金具との少なくとも何れか一方に、前記電力需給用計器用変成器を保護する保護カバーが取り付けられていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、内部に高圧遮断器を収納可能であるとともに、上面に電力需給用計器用変成器を設置可能な変成器用設置部が備えられたキャビネット本体と、前記キャビネット本体の上面に着脱自在な補助部材とを備えたキャビネットであって、前記補助部材が、上下方向へ延びる起立部と、起立部の基端から前後方向へ延びる基部とを有する少なくとも4つの支柱金具を備えており、前記キャビネット本体の上面の前端部において、前記変成器用設置部よりも左右外側となる位置に2つの支柱金具が、前記キャビネット本体の上面の後端部において、前記変成器用設置部よりも左右外側となる位置に2つの支柱金具が夫々固定されているとともに、少なくとも前後何れか一方の支柱金具を利用して、前記電力需給用計器用変成器を保護する保護カバーが取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャビネット本体を二段構造としているわけではなく、キャビネット本体の上面に補助部材を取り付けるという構造を採用しているため、キャビネット本体の大きさを始めとしてキャビネット全体の小型化を図ることができ、ひいては電気室内での受電設備の構築を容易に行うことができる。
また、請求項1に記載の発明では、電気室内にキャビネットを設置した後、前後2つの支持金具を起立姿勢へと姿勢変更するだけで補助部材を組み立てることができるし、請求項2に記載の発明では、電気室内に予め設置したキャビネット本体に対して4つの支柱金具を後付けすれば補助部材を組み立てることができる。したがって、請求項1及び2に記載の発明によれば、補助部材の組み立て、ひいてはキャビネットの組み立てを限られたスペースで非常に容易に行うことができ、電気室内での作業性の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】キャビネットを示した斜視説明図である。
図2】変更例となるキャビネットを示した斜視説明図である。
図3】変更例となるキャビネットの補助部材を示した説明図である。
図4】キャビネットの別の組み立て例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるキャビネットについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、キャビネット1を示した斜視説明図である。
キャビネット1は、キャビネット本体2と、キャビネット本体2の上面に取り付けられる補助部材3とを備えてなる。キャビネット本体2は、複数の柱部材を方体状に組み付けてなるものであって、その内部には高圧遮断器等の従来周知の受電設備を構成する機器を収納可能となっている。また、キャビネット本体2の上面前方寄りとなる位置には、電力需給用計器用変成器50を設置するための変成器用設置部4が設けられている。
【0011】
また、補助部材3は、主に1組の前支柱金具11、11と1組の後支柱金具12、12とを備えてなる。前支柱金具11は、上下方向へ延びる起立部と、起立部の基端から前後方向へ延びる基部とを備えた略L字状に成形されており、起立部の上下両端位置には、連結金具13の端部をネジ止めするための固定部が設けられている。そして、前支柱金具11は、キャビネット本体2の上面の前側の左右両隅部(すなわちキャビネット本体2の上面の前端部において、変成器用設置部4よりも左右外側となる位置)に、基部を上面の側辺に沿わせるようにして固定される。また、左右の前支柱金具11、11間には、固定部を利用して一組の連結金具13、13が固定され、当該連結金具13、13に、電力需給用計器用変成器50の前面を保護する保護カバー14が取り付けられる。一方、後支柱金具12は、前支柱金具11同様に起立部と基部とを備えた略L字状に成形されている。また、起立部には、複数のネジ孔が上下方向へ所定間隔毎に穿設されている。そして、後支柱金具12は、キャビネット本体2の上面の後側の左右両隅部(すなわちキャビネット本体2の上面の後端部において、変成器用設置部4よりも左右外側となる位置)に、基部を上面の側辺に沿わせるようにして固定される。また、左右の後支柱金具12、12間には、ネジ孔を利用して取付金具15が架け渡され、当該取付金具15の表面に、キャビネット本体2内部に収納される各種機器へ接続されるケーブル16、16・・を支持するための碍子部材17、17・・が取り付けられる。
【0012】
そして、上述したようなキャビネット本体2及び補助部材3からなるキャビネット1を設置するにあたっては、まずキャビネット本体2のみを需要家から提供された電気室内に設置する。このとき、予めキャビネット本体2内に高圧遮断器等の各種機器を収納してから電気室内に設置するとしてもよいし、キャビネット本体2を電気室内へ設置した後に各種機器を収納してもよい。その後、電気室内へ設置されたキャビネット本体2の上面に電力需給用計器用変成器50を設置した上で、前支柱金具11や後支柱金具12を固定する等して補助部材3をキャビネット本体2の上面に固定するとともに、ケーブル16、16・・を碍子部材17、17・・へ支持させる等すれば、キャビネット1の設置は完了となる。
【0013】
以上のような構成を有するキャビネット1によれば、補助部材3が、1組の前支柱金具11、11と1組の後支柱金具12、12とを備えており、キャビネット本体2の上面の四隅部に夫々支柱金具11、12を固定して補助部材3を構成している。また、左右の前支柱金具11、11間には連結金具13、13を固定し、当該連結金具13、13に、電力需給用計器用変成器50の前面を保護する保護カバー14を取り付けるとしている。したがって、従来のようにキャビネット本体がそもそも二段構造となっているわけではないため、キャビネット本体2を始めとしてキャビネット1全体の小型化を図ることができ、ひいては電気室内での受電設備の構築を容易に行うことができる。
【0014】
また、キャビネット1を組み立てるにあたっては、まずキャビネット本体2のみを予め電気室内に設置した後、その上面に電力需給用計器用変成器50を設置するとともに、前支柱金具11や後支柱金具12を固定する等して補助部材3をキャビネット本体2の上面に固定するとともに、ケーブル16、16・・を碍子部材17、17・・へ支持させる等すればよい。したがって、キャビネット1の組み立てを限られたスペースで非常に容易に行うことができ、電気室内での作業性の更なる向上を図ることができる。
【0015】
なお、本発明に係るキャビネットは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、キャビネット本体等の構成は勿論のこと、補助部材や補助部材のキャビネット本体への取り付けに係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0016】
たとえば、上記前支柱金具11や後支柱金具12を備えた補助部材3に代えて、図2及び図3に示すような補助部材30をキャビネット21に備えるという構成を採用することも可能である。図2は、変更例となるキャビネット21を示した斜視説明図であり、図3は、補助部材30を示した説明図である。なお、図2において、上記実施形態と同じ構成要素については同じ符号を伏している。
【0017】
キャビネット21を構成する補助部材30は、キャビネット本体2の上面の側辺部に沿って固定される左右一対の基台金具31、31と、基台金具31の前端同士を連結するように取り付けられる前支持金具32と、基台金具31の後端同士を連結するように取り付けられる後支持金具33とを備えてなる。前支持金具32は、基台金具31、31同士を連結する連結部と、連結部の両端から上方へ延びる一組の起立部とを備えている。連結部は、キャビネット本体2の左右幅と略同じ長さとされている一方、各起立部は、基台金具31の半分程度の長さとなっており、その上下両端部には、夫々ネジ孔が穿設されている。そして、このような前支持金具32は、変成器用設置部4よりも前側で基台金具31、31に対して起立部が起立する起立姿勢と、起立部が後側へ水平まで傾倒する傾倒姿勢との間を、左右方向を軸として回動自在に取り付けられている。また、前支持金具32には、電力需給用計器用変成器50の前面を保護する保護カバー34が、ネジ孔を利用して取り付けられている。一方、後支持金具33は、前支持金具32同様の連結部及び起立部を有しており、変成器用設置部4よりも後側で基台金具31、31に対して起立部が起立する起立姿勢と、起立部が前側へ水平まで傾倒する傾倒姿勢との間を、左右方向を軸として回動自在に取り付けられている。そして、後支持金具33には、起立部間に架け渡される左右方向へ延びる帯状の取付金具35がネジ孔を利用して取り付けられており、取付金具35の後面に碍子部材17、17が設けられている。
【0018】
そして、上述したようなキャビネット本体2及び補助部材30からなるキャビネット21を設置するにあたっては、キャビネット本体2のみ、若しくは、キャビネット本体2の上面に補助部材30を取り付けた状態で電気室内に設置する。このとき、高圧遮断器等の各種機器は予めキャビネット本体2内に収納しておいてもよいし、キャビネット本体2を電気室内へ設置した後に各種機器を収納してもよい。また、キャビネット本体2のみを電気室内へ設置した場合には、設置後にキャビネット本体2の上面に補助部材30を取り付ける。次に、補助部材30について傾倒姿勢にある両支持金具32、33を起立姿勢へと姿勢変更させる。そうした上で、キャビネット本体2の上面に電力需給用計器用変成器50を設置し、ケーブル16、16・・を碍子部材17、17・・へ支持させる等すれば、キャビネット21の設置は完了となる。
【0019】
以上のような構成を有するキャビネット21によれば、補助部材30が、キャビネット本体2の上面に固定される左右一対の基台金具31、31と、基台金具31、31の前端部同士を連結するように取り付けられているとともに、上記起立姿勢と傾倒姿勢との間で回動可能な前支持金具32と、基台金具31、31の後端部同士を連結するように取り付けられているとともに、上記起立姿勢と傾倒姿勢との間で回動可能な後支持金具33とを備えている。したがって、上記実施形態に記載のキャビネット1同様、従来のようにキャビネット本体がそもそも二段構造となっているわけではないため、キャビネット本体2を始めとしてキャビネット21全体の小型化を図ることができ、ひいては電気室内での受電設備の構築を容易に行うことができる。
【0020】
また、キャビネット21を組み立てるにあたっては、キャビネット本体2のみを電気室内へ設置した後にキャビネット本体2の上面に補助部材30を取り付けたり、予め補助部材30が取り付けられたキャビネット本体2を電気室内へ設置した上で、傾倒姿勢にある両支持金具32、33を起立姿勢へと姿勢変更させるだけでよい。したがって、キャビネット21の組み立てを限られたスペースで非常に容易に行うことができ、電気室内での作業性の更なる向上を図ることができる。
【0021】
また、上記実施形態と同じ構成要素を有するキャビネット1において、図4に示すように、後支柱金具12のキャビネット本体2の上面への固定姿勢を変更することも可能である。すなわち、上記実施形態では後支柱金具12の基部が前側へ延びるような姿勢で固定していたところ、基部が後側へ延びるような姿勢で固定し、取付金具15の後面に碍子部材17、17・・を取り付けてもよい。そして、そのような姿勢で後支柱金具12、12を固定することにより、たとえばケーブルの接続先が機器の後面側であるような場合にケーブルの引き回しが簡易となるというメリットがある。このように、キャビネット1によれば、ケーブルの引き回し態様の違いに、支柱金具の固定姿勢を変更することで対応することができるという効果を奏することができる。
【0022】
その他、上記実施形態では、4つの支柱金具により補助部材を構成しているが、5つ以上の支柱金具をキャビネット本体の上面に固定するとしても何ら問題はないし、どの位置に保護カバーを取り付けるのか等については適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0023】
1、21・・キャビネット、2・・キャビネット本体、3、30・・補助部材、4・・変成器用設置部、11・・前支柱金具、12・・後支柱金具、13・・連結金具、14、34・・保護カバー、15、35・・取付金具、31・・基台金具、31・・前支持金具、32・・後支持金具、50・・電力需給用計器用変成器。
図1
図2
図3
図4