特許第6854725号(P6854725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6854725床変位監視システム、及び床変位監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854725
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】床変位監視システム、及び床変位監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20210329BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   G01B11/16 H
   E02D3/12 102
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-141162(P2017-141162)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-20340(P2019-20340A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】511243602
【氏名又は名称】株式会社リアス
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】武田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】目黒 和則
(72)【発明者】
【氏名】藤井 信雄
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−184816(JP,A)
【文献】 特開2014−66035(JP,A)
【文献】 特開2017−90281(JP,A)
【文献】 特開平6−281460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床変位監視システムであって、
前記枠型改良壁毎に対応する前記床をブロック化した区画領域において、平面視で外周側から前記区画領域の床面に向けて光を照射する光源部と、
前記光が照射された前記区画領域の床面を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像データを前記区画領域毎に出力する画像出力部と、
を備えていることを特徴とする床変位監視システム。
【請求項2】
前記撮影部は、平面視で前記光源部から照射される光の光軸方向で、前記光源部の出射面に対向する側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の床変位監視システム。
【請求項3】
前記光源部は、前記床面に対して90度よりも小さい照射角度に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の床変位監視システム。
【請求項4】
前記画像出力部で出力された画像を解析する画像解析部と、
前記画像解析部で解析された解析結果に基づいて前記区画領域毎の前記床又は前記枠型改良壁の沈下変位状態の健全性を評価する評価部と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の床変位監視システム。
【請求項5】
掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床変位監視方法であって、
前記枠型改良壁毎に対応する前記床をブロック化して区画領域を設定する床区画工程と、
前記床区画工程で設定された前記区画領域における平面視で外周側から前記区画領域の床面に向けて光を照射する光照射工程と、
前記光照射工程によって前記光が照射された前記区画領域の床面を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程によって撮影された画像データを前記区画領域毎に出力する画像出力工程と、
を有することを特徴とする床変位監視方法。
【請求項6】
前記光照射工程において、前記区画領域毎に複数の照射方向から光を照射し、
前記撮影工程で、前記光が照射された前記区画領域の床面を撮影し、
前記画像出力工程において、前記複数の照射方向に対応する複数の画像データを出力することを特徴とする請求項5に記載の床変位監視方法。
【請求項7】
前記画像出力工程で出力された画像を解析する画像解析工程と、
前記画像解析工程で解析された解析結果に基づいて前記区画領域毎の前記床又は前記枠型改良壁の沈下変位状態の健全性を評価する評価工程と、
を有していることを特徴とする請求項5又は6に記載の床変位監視方法。
【請求項8】
前記評価工程では、予め設定されている評価基準と前記解析結果とを比較し、前記評価基準を外れた前記区画領域の前記床又は前記枠型改良壁を補修するように評価されることを特徴とする請求項7に記載の床変位監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床変位監視システム、及び床変位監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の支持構造として、建物を下方から直接支持したり、工場や倉庫といった広い面積を有する土間コンクリートなどの不等沈下を防止するための地盤改良構造が用いられている。
このような地盤改良構造では、例えば特許文献1に示されるように、ロッドの先端に掘削翼を備えた地盤改良装置を使用し、地盤をブロック状あるいは壁状に掘削し、ほぐされた状態の地盤に地盤改良材を混合して攪拌することにより地盤改良壁を施工し、建物を下方から支持する方法が知られており、平面視で建物の外周部に沿った形状、或いは建物の外周部を囲繞する形状で設けられているのが一般的となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−217820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の地盤改良構造を有する建物では、以下のような問題があった。
すなわち、例えば工場や倉庫などの敷地面積が大きい場合等には、その敷地の全域にわたってコンクリートを打設した土間コンクリートを設けたり、表層地盤を改良することにより板状固化体を形成している。板状固化体が土間コンクリートの場合には、打設するコンクリートの荷重が増加し、総重量が大きくなることから、不等沈下が生じ易くなっていた。また、板状固化体が表層地盤改良体の場合も、セメント等を掘削地盤に混合して置換することによる改良となるので、上記土間コンクリートの場合と同様に表層地盤改良体自体の総重量が増えて不等沈下を助長するおそれがあった。
【0005】
そのため、施工後の建物において、地盤改良された土間コンクリートが打設された床面の沈下変位を監視する場合には、床における複数の測定点を設定し、それら測定点においてレベルを使用して沈下変位量を測定している。そして、建物の床面の状態を把握し、床面全体を補修することになることから、多大な手間と時間、コストがかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、複数が独立して設けられる枠型改良壁を用いた床において、変位の監視や補修作業にかかる時間とコストを低減することができる床変位監視システム、及び床変位監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る床変位監視システムは、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床変位監視システムであって、前記枠型改良壁毎に対応する前記床をブロック化した区画領域において、平面視で外周側から前記区画領域の床面に向けて光を照射する光源部と、前記光が照射された前記区画領域の床面を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された画像データを前記区画領域毎に出力する画像出力部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る床変位監視方法は、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより平面視で矩形状に形成され、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁によって支持された床変位監視方法であって、前記枠型改良壁毎に対応する前記床をブロック化して区画領域を設定する床区画工程と、前記床区画工程で設定された前記区画領域における平面視で外周側から前記区画領域の床面に向けて光を照射する光照射工程と、前記光照射工程によって前記光が照射された前記区画領域の床面を撮影する撮影工程と、前記撮影工程によって撮影された画像データを前記区画領域毎に出力する画像出力工程と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明では、建物等の床面の領域を複数の枠型改良壁が配置される領域毎にブロック化した区画領域を設定した後、区画領域毎に床面に向けて光を照射し、その光が照射された区画領域の床面を撮影し、撮影された画像データを区画領域毎に出力し、床の変位の状態を確認することができる。つまり、区画領域における床面に変位に伴う凹凸、段差、ひび割れ等の変状が生じている場合には、変状部分で反射率が異なることに伴う影が生じることで、その変状部分の高低差や傾き、床面に沿う長さ寸法等の変状状態が明確になる。そのため、床面を撮影した画像データは前述の変状状態が映った画像となる。
【0010】
このように本発明では、複数の枠型改良壁同士がそれぞれ独立した構造であるため、これら枠型改良壁毎にブロック化された区画領域の変位を把握することができ、床面の応力状態を管理することが可能となる。
さらに、その出力された画像に基づいて区画領域毎の床又は枠型改良壁の健全性を評価することができる。例えば、補修対象となる枠型改良壁を絞り込むことができる等、優れた補修計画を立案することが可能となるうえ、補修にかかる作業効率を向上させることができる。
【0011】
このように本発明では、補修対象となる枠型改良壁のみを部分的に補修することができ、建物の床面全体を施工する必要がなくなり、例えば一部の施工領域に限定できる。あるいは区画領域毎に順番に施工することが可能となり、床面全体を同時に施工することを避けることができ、使用されている建物において効率的な補修を行うことができる。つまり、補修をすることが不要と判断された区画領域に対して補修作業を行う必要がなくなるため、コストの低減を図ることができる。
【0012】
また、本発明では、区画領域が一体化された1構造の枠型改良壁を区画対象としているので、各区画領域における変位を監視することで、当該枠型改良壁自体の傾きや姿勢を推定することができる。そのため、当該枠型改良壁を含めた最良な補修を行うことができる。
さらに、複数の区画領域の画像同士を対比させることで、床面全体の変位を評価することができる。例えば、沈下速度が速い区画領域を特定した補修計画を立てることが可能となる。また、床面全体を評価することで、沈下の原因を推定することも可能である。
【0013】
また、本発明に係る床変位監視システムは、前記撮影部は、平面視で前記光源部から照射される光の光軸方向で、前記光源部の出射面に対向する側に配置されていてもよい。
【0014】
この場合には、光源部によって照射された光の光軸方向に対向する側の位置から区画領域の床面を撮影することができる。そのため、区画領域における床面に変位に伴う凹凸、段差、ひび割れ等の変状が生じている場合には、床面に対して照射された光軸方向に対向する側から見て変状部分で反射率が異なることによって生じる影をより精度よく撮影して解析することができる。
【0015】
また、本発明に係る床変位監視システムは、前記光源部は、前記床面に対して90度よりも小さい照射角度に設定されていることが好ましい。
【0016】
本発明では、光源部から照射される光軸方向に対向する側の位置に確実に撮影部を配置することができる。この床面に対する照射角度が小さいほど床面の広い面積を効率よく照らすことができ、区画領域における変位による変状をより明確に監視することができる。
【0017】
また、本発明に係る床変位監視システムは、前記画像出力部で出力された画像を解析する画像解析部と、前記画像解析部で解析された解析結果に基づいて前記区画領域毎の前記床又は前記枠型改良壁の沈下変位状態の健全性を評価する評価部と、を備えていることを特徴としてもよい。
【0018】
また、本発明に係る床変位監視方法は、前記画像出力工程で出力された画像を解析する画像解析工程と、前記画像解析工程で解析された解析結果に基づいて前記区画領域毎の前記床又は前記枠型改良壁の沈下変位状態の健全性を評価する評価工程と、を有していることを特徴としてもよい。
【0019】
本発明では、解析結果に基づいて区画領域毎の床又は枠型改良壁の健全性を評価し判定することができ、補修対象となる枠型改良壁を絞り込むことができる等、優れた補修計画を立案することが可能となるうえ、補修にかかる作業効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る床変位監視方法は、前記光照射工程において、前記区画領域毎に複数の照射方向から光を照射し、前記撮影工程で、前記光が照射された前記区画領域の床面を撮影し、前記画像出力工程において、前記複数の照射方向に対応する複数の画像データを出力することが好ましい。
【0021】
この場合には、各区画領域の床面に対して複数の箇所から光を照射して複数箇所による画像を撮影することで、床面の変状状態の監視精度を高めることができる。例えば、区画領域が平面視で矩形な場合において、辺毎、あるいは角毎に4方向の照射方向で照射することができる。
【0022】
また、本発明に係る床変位監視方法は、前記評価工程では、予め設定されている評価基準と前記解析結果とを比較し、前記評価基準を外れた前記区画領域の前記床又は前記枠型改良壁を補修するように評価されることを特徴としてもよい。
【0023】
本発明では、評価基準と解析工程で得られた解析結果とを比較して、特定の区画領域における床面、或いは枠型改良壁の補修の有無などの評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の床変位監視システム、及び床変位監視方法によれば、複数が独立して設けられる枠型改良壁を用いた床において、変位の監視や補修作業にかかる時間とコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施の形態による建物の地盤に施工された枠型改良壁の構成を示す縦断面図である。
図2図1に示す地盤に施工された複数の枠型改良壁を示す平面図である。
図3】床を複数に区画した区画領域を示す平面図である。
図4】第1の実施の形態による床変位監視システムの概略構成を示す平面図である。
図5図4に示す床変位監視システムの概略構成を示す側面図である。
図6】変位監視システムを用いた床変位監視方法のフロー図である。
図7】第2の実施の形態による床変位監視システムの概略構成を示す平面図である。
図8図7に示す床変位監視システムの概略構成を示す側面図である。
図9】(a)〜(c)は、実施例による試験体の構成を示す斜視図である。
図10】(a)〜(c)は、第1実施例による試験結果の画像データを示す図である。
図11】(a)、(b)は、第1実施例による試験結果の画像データを示す図である。
図12】(a)〜(c)は、第2実施例による試験結果の画像データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態による床変位監視システム、及び床変位監視方法について、図面に基づいて説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
本第1の実施の形態による床変位監視システムは、図1に示す型枠改良壁2によって支持された建物1の床3の変位を監視するためのシステムである。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施の形態による地盤改良構造は、所定の対象地盤(図2に示す二点鎖線で囲まれた領域)において、掘削した地盤に地盤改良材を混合させて攪拌することにより形成されるとともに、縦横に等間隔で配列された複数(ここでは6つ)の独立した枠型改良壁2、2、…を備えている。
【0029】
枠型改良壁2は、図2に示すように、地盤改良装置(不図示)を用いて形成され、掘削した地盤Gに地盤改良材を混合させて攪拌することで、地盤Gにおいて平面視で正方形状に一体的に形成されている。各枠型改良壁2は、対向する壁同士の離間(壁間スパンD)が深さ方向の長さ寸法(図1に示す改良壁長L)の2倍以下(D≦2×L)となるように設けられている。
【0030】
枠型改良壁2を施工するための前記地盤改良装置は、例えばバックホウ等の作業機のアーム先端にアタッチメントとして装着して使用され、複数配列されたロッドの各下端に備えた掘削翼を回転させながら地盤G中を鉛直方向下方に移動させて掘削し、その掘削土に地盤改良材を添加して混合し、攪拌することにより上述した枠型改良壁2を施工するものが採用される。上記地盤改良装置として、例えば、特開2011−226254号公報に記載の3軸の掘削翼を備えた装置を使用することができる。また、掘削土に添加される地盤改良材として、地盤改良の目的に応じて、セメントミルク等の液状の材料や、粉体状の材料などの適宜な薬剤を採用することができる。
【0031】
複数の枠型改良壁2同士の縦横の配列スパンdは、縦横それぞれの配列方向に沿う上述した枠型改良壁2の壁間スパンDと同じ長さ寸法で設けられている。そして、本実施の形態では、各枠型改良壁2が床3の直下の地盤Gにおいて、その地盤Gの一部(これを壁内地盤G1という)を囲うように設けられるとともに、複数の枠型改良壁2同士の間に位置する範囲の地盤においてもその周囲に枠型改良壁2が配置された状態となるので、地盤G全域の水平方向への移動が拘束された状態となって剛性を増すことになり、地盤G上に設けられる建物1の不等沈下を防止するとともに、地震時における床3上の建物1の揺れを低減させることができる。
【0032】
土間コンクリートからなる床3は、地上部において所定厚さ寸法で複数の枠型改良壁2の上端2a(図1参照)に載置させた状態で設けられている。
なお、図1及び図2に示す符号Pは、枠型改良壁2同士の間の位置における土間荷重を示している。
【0033】
次に、床変位監視システム10について、図4及び図5等を用いて説明する。
床変位監視システム10は、枠型改良壁2毎に対応する床3をブロック化した6つの区画領域K(K1〜K6)において、平面視で外周側から区画領域K1〜K6の床面3aに向けて光を照射する光源部11と、平面視で光源部11から照射される光の光軸C方向で、光源部11の出射面11aに対向する側から区画領域K1〜K6の床面3aを撮影する撮影部12と、撮影部12によって撮影された画像データDを区画領域K1〜K6毎に出力する画像出力部13と、画像出力部13で出力された画像を解析する画像解析部14と、画像解析部14で解析された解析結果に基づいて区画領域K1〜K6毎の床3又は枠型改良壁2の沈下変位状態の健全性を評価する評価部15と、を備えている。
【0034】
なお、画像解析部14や評価部15には、それらの結果等を表示するためのモニタ等の表示部(図示省略)が接続されていてもよい。
【0035】
区画領域K(K1〜K6)は、枠型改良壁2毎に複数(6つ)にブロック化して平面視で正方形状に区画したものである。
【0036】
光源部11は、各区画領域Kにおける床面3aの角部よりも平面視で外側の位置で、光軸Cが床面3aに対して90度よりも小さくなる照射角度θ(図5では略30度)となるように設定されている。なお、光源部11は、区画領域Kにおける床面3aの外周部に配置されていてもよい。光源部11としては、サーチライト等の汎用品を用いることができ、光が照射されるものであればとくに制限されることはない。また、光源部11から照射される光の色も特に限定されるものではないが、光源部11が本実施の形態のようにサーチライトである場合には撮影部12で撮影される画像の見やすさの観点から白や青などが好ましい。
【0037】
撮影部12は、画像データを取得可能な一般的なカメラやビデオカメラ等を採用することができる。撮影部12は、上述したように平面視で光源部11から照射される光の光軸C方向で光源部11の出射面11aに対向する位置に撮影レンズからなる撮影面12aが配置され、かつ床面3aの全体が撮影領域となるように設けられている。また、撮影部12は、レンズ中心Oが床面3aに対して適宜な傾斜角度をもって配置されている。そして、撮影部12で撮影された画像データDは、無線又は有線により画像出力部13に送られる。
【0038】
画像出力部13は、パソコンのモニタやプリンター等であり、撮影部12で撮影された画像データDが入力され、その画像データDが出力される。
【0039】
画像解析部14は、画像出力部13で出力された画像データDを解析する処理部であり、例えば取得した画像データDから例えば沈下が生じた部分の段差の高低差を解析により検出することが可能であり、区画領域Kにおける床面3a全体の変状をより認識しやすく可視化することができる。さらに、画像解析部14では、各区画領域Kにおける枠型改良壁2の位置を示した図面を使用してその区画領域Kにおける床面3aと枠型改良壁2の応力状態を例えばFEM解析によって解析することも可能である。
また、画像解析部14では、6箇所の区画領域K1〜K6のそれぞれの画像データDを組み合わせて建物全体の床3の変状を可視化することも可能である。
【0040】
評価部15では、予め設定されている評価基準と画像解析部14による解析結果とを比較し、床3又は枠型改良壁2の沈下変位状態の健全性を評価する。例えば、評価基準を外れた区画領域Kの枠型改良壁2の補修の有無を判別する処理が行われる。
【0041】
次に、上述した床変位監視システム10を用いた床変位監視方法について、図6に示すフロー図を用いて詳細に説明する。
床3の変位監視方法は、縦横に等間隔で配列された複数の独立した枠型改良壁2、2、…によって支持された床3の沈下・変位による変状を監視するものである。
【0042】
先ず、図3に示すように、ステップS1において、枠型改良壁2毎に対応する建物1の床3をブロック化して複数(6つ)の区画領域K1〜K6を設定する(床区画工程)。
【0043】
次に、図4及び図5に示すように、ステップS2において、ステップS1で設定された各区画領域K1〜K6における平面視で外周側に光源部11を設置し、この光源部11によって区画領域Kの床面3aに向けて光を照射する(光照射工程)。このとき、各区画領域Kにおける光源部11の位置は、複数の区画領域K1〜K6で共通した位置とされる。
【0044】
また、ステップS3において、平面視で光の光軸C方向で、出射側に対向する側に撮影部12を設置し、この撮影部12によって区画領域Kの床面3aを撮影する(撮影工程)。撮影時には、少なくとも撮影を行う区画領域Kにおいて光源部11を除く他の光が無い暗い状態にする。つまり、当該区画領域Kにおいて光源部11から照射される光のみとしておくことが好ましい。
このとき撮影部12では、光源部11で照射された光が床面3aに反射した反射光を撮影する。つまり、撮影部12が光源部11の出射側に対向する側の位置から床面3aを撮影するため、床面3aに凹凸があると、その凹凸部に照射された光の反射率が異なることにより凹凸の影が鮮明に映った画像データDを得ることができる。
【0045】
次に、ステップS4では、ステップS3において撮影部12で撮影された画像データDを区画領域K毎に画像出力部13に出力する(画像出力工程)。すなわち、撮影部12で撮影した画像データDは有線または無線により画像出力部13に送られ、画像出力部13で適宜な出力形式で画像解析部14に出力される。その出力形式として、画像解析部14で解析可能なデータとして出力されるが、例えばプリントアウトされた写真でもよい。
【0046】
そして、ステップS5において、ステップS4の画像出力工程で出力された画像データDを、例えば三次元FEM解析を用いて解析する(画像解析工程)。なお、この解析結果は、不図示のモニタ等に表示するようにしてもよい。このときの画像解析としては、画像処理により、凹凸部の高低差や床3の平面方向の距離を算出したり、その床面3a及び枠型改良壁2の応力状態を視覚的に把握することができる。これにより、床下の地盤や枠型改良壁2周りの地盤の変形、応力状態も予測することが可能となる。
【0047】
なお、ステップS5の画像解析工程において、隣り合う枠型改良壁2、2同士の沈下状態を比較し、それぞれの枠型改良壁2の傾きを検出するような解析を行うことも可能である。この場合には、隣り合う枠型改良壁2、2の傾きを把握することで、これら枠型改良壁2、2の地盤の状態を推定することができる。例えば、隣り合う枠型改良壁2、2がそれぞれ近接する方向に傾いている場合には、その両枠型改良壁2、2同士の間の地盤に沈下の原因があると推定でき、その地盤に対して例えば追加改良を行う等の対応を行うことができる。
【0048】
次に、ステップS6において、ステップS5の画像解析工程で解析された解析結果に基づいて区画領域K1〜K6毎の床3又は枠型改良壁2の沈下変位状態の健全性を評価する(評価工程)。具体的には、予め設定されている評価基準と解析結果とを比較し、評価基準を外れた区画領域K1〜K6の床3又は枠型改良壁2を補修するように評価される。ここで、評価基準とは、例えば所定の期間における沈下・変位量の許容量を設定した値である。
そして、ステップS6で評価した結果、区画領域K1〜K6のいずれかが評価基準を外れた場合には、適宜な補修方法により枠型改良壁2が補修される(ステップS7)、あるいは補修の計画が行われる。なお、ステップS6で評価した結果、補修が不要と判定された場合には、補修の必要はない。
【0049】
次に、上述した床変位監視システム、及び床変位監視方法による作用について、図面に基づいて具体的に説明する。
図3に示すように、本実施の形態では、建物1の床面3の領域を複数の枠型改良壁2が配置される領域毎にブロック化した複数(6つ)の区画領域K(K1〜K6)を設定した後、図4及び図5に示すように、それら区画領域K毎に床面3aに向けて光源部11により光を照射し、その光の光軸C方向に対向する側の位置から撮影部12によって区画領域Kの床面3aを撮影し、撮影された画像データDを画像出力部13で区画領域K毎に出力し、床3の沈下・変位の状態を確認することができる。
つまり、区画領域Kにおける床面3aに沈下・変位に伴う凹凸、段差、ひび割れ等の変状が生じている場合には、床面3aに対して照射された光軸C方向に対向する側から見て変状部分で反射率が異なることに伴う影が生じることで、その変状部分の高低差や傾き、床面3aに沿う長さ寸法等の変状状態が明確になる。そのため、床面3aを撮影した画像データは前述の変状状態が映った画像となる。
【0050】
このように本実施の形態では、複数の枠型改良壁2同士がそれぞれ独立した構造であるため、これら枠型改良壁2毎にブロック化された区画領域Kの沈下・変位を把握することができ、床面3aの応力状態を管理することが可能となる。
さらに、その出力された画像に基づいて区画領域K毎の床3又は枠型改良壁2の健全性を評価することができる。例えば、補修対象となる枠型改良壁2を絞り込むことができる等、優れた補修計画を立案することが可能となるうえ、補修にかかる作業効率を向上させることができる。
【0051】
このように本実施の形態では、補修対象となる枠型改良壁2のみを部分的に補修することができ、建物1の床面3全体を施工する必要がなくなり、例えば一部の施工領域に限定できる。あるいは区画領域K毎に順番に施工することが可能となり、床面3a全体を同時に施工することを避けることができ、使用されている建物において効率的な補修を行うことができる。つまり、補修をすることが不要と判断された区画領域Kに対して補修作業を行う必要がなくなるため、コストの低減を図ることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、区画領域Kが一体化された1構造の枠型改良壁2を区画対象としているので、各区画領域Kにおける沈下・変位を監視することで、当該枠型改良壁2自体の傾きや姿勢を推定することができる。そのため、当該枠型改良壁2を含めた最良な補修を行うことができる。
さらに、複数の区画領域K1〜K6の画像同士を対比させることで、床面全体の沈下・変位を評価することができる。例えば、沈下速度が速い区画領域Kを特定した補修計画を立てることが可能となる。また、床面全体を評価することで、沈下の原因を推定することも可能である。
【0053】
また、本実施の形態では、光源部11が床面3aに対して90度よりも小さい照射角度θに設定されているので、光源部11から照射される光軸C方向に対向する側の位置に確実に撮影部12を配置することができる。この床面3aに対する照射角度θが小さいほど床面3aの広い面積を効率よく照らすことができ、区画領域Kにおける沈下・変位による変状をより明確に監視することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、画像解析部14で解析された解析結果に基づいて区画領域K毎の床3又は枠型改良壁2の沈下変位状態の健全性を評価部15で評価することができるので、補修対象となる枠型改良壁2を絞り込むことができる等、優れた補修計画を立案することが可能となるうえ、補修にかかる作業効率を向上させることができる。
【0055】
また、本実施の形態では、評価基準と解析工程で得られた解析結果とを比較して、特定の区画領域Kにおける床面3a、或いは枠型改良壁2の補修の有無などの評価を行うことができる。
【0056】
上述のように本実施の形態による床変位監視システム、及び床変位監視方法では、複数が独立して設けられる枠型改良壁2を用いた床において、変位の監視や補修作業にかかる時間とコストを低減することができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態による床変位監視システム、及び床変位監視方法について図面を用いて説明する。
図7及び図8に示すように、本第2の実施の形態による床変位監視システム10Aでは、レーザー光を照射するレーザー照射装置を光源部16としている。すなわち、上記の第1の実施の形態におけるサーチライトからなる光源部11(図4参照)に代えて、レーザー照射装置からなる光源部16を採用したものである。
【0058】
本実施の形態では、光源部16は、各区画領域Kにおける床面3aよりも平面視で外側の位置で、かつ床面3aのうち二辺の各中央部に配置されている。これら光源部16は、光軸Cが床面3aに対して90度よりも小さくなる照射角度(図8では床面3aと平行に近い角度)となるように設定されている。そして、撮影部12は、平面視で2つの光源部16から照射されるレーザー光の光軸C方向で、光源部16の出射面16aに対向する側から区画領域K(K1〜K6)の床面3aを撮影するように設けられている。
【0059】
さらに、床変位監視システム10Aは、撮影部12によって撮影された画像撮影部12によって撮影された画像データDを区画領域K1〜K6毎に出力する画像出力部13と、画像出力部13で出力された画像を解析する画像解析部14と、画像解析部14で解析撮影部12によって撮影された画像データDを区画領域K1〜K6毎に出力する画像出力部13と、画像出力部13で出力された画像を解析する画像解析部14と、画像解析部14で解析された解析結果に基づいて区画領域K1〜K6毎の床3又は枠型改良壁2の沈下変位状態の健全性を評価する評価部15と、を備えている。
【0060】
第2の実施の形態では、区画領域K毎に床面3aに向けて光源部16によりレーザー光を照射し、そのレーザー光の光軸C方向に対向する側の位置から撮影部12によって区画領域Kの床面3aを撮影し、撮影された画像データDを画像出力部13で区画領域K毎に出力し、床3の沈下・変位の状態を確認することができる。
つまり、区画領域Kにおける床面3aに沈下・変位に伴う凹凸、段差、ひび割れ等の変状が生じている場合には、床面3aに対して照射された光軸C方向に対向する側から見て変状部分で反射率が異なることに伴う影が生じることで、その変状部分の高低差や傾き、床面3aに沿う長さ寸法等の変状状態が明確になる。そのため、床面3aを撮影した画像データは前述の変状状態が映った画像となる。
【0061】
このように本実施の形態では、複数の枠型改良壁2同士がそれぞれ独立した構造であるため、これら枠型改良壁2毎にブロック化された区画領域Kの沈下・変位を把握することができ、床面3aの応力状態を管理することが可能となる。さらに、その出力された画像に基づいて区画領域K毎の床3又は枠型改良壁2の健全性を評価することができる。
【0062】
次に、上述した実施の形態による床変位監視システム、及び床変位監視方法の効果を裏付けるために行った実施例について以下説明する。
【0063】
(第1実施例)
第1実施例は、上述の第1の実施の形態におけるサーチライトによる光源部を使用して枠型改良壁と床面を模擬した試験体を作成し、その床面に相当する表面に光を照射し、カメラによる撮影部12の画像データを取得し、その画像データを目視により確認、評価した。
図9(a)〜(c)は、第1実施例で用いた試験体30A〜30Cを示している。試験体30A〜30Cは、矩形状に囲われた外枠31と、外枠31の内側に間隔をあけて配置された内枠32と、外枠32の上面を覆う布材33(図10(a)〜(c)、図11(a)、(b)参照)と、を備えている。内枠32は、上述した枠型改良壁に相当している。
【0064】
図9(a)〜(c)に示す符号34A、34Bは、外枠31の上端31aの高さに一致する縦ラインと横ラインを示している。つまり、図9(a)に示す第1試験体30Aは、内枠32の上端32a全体が外枠31の上端31a(縦ライン34Aと横ライン34B)の高さに一致した状態、すなわち枠型改良壁が沈下していない正常な状態を模擬したものである。図9(b)に示す第2試験体30Bは、内枠32が外枠31の上端31aよりも全体的に一定量だけ下がった状態、すなわち枠型改良壁が均一に沈下した状態を模擬したものである。図9(c)に示す第3試験体30Cは、内枠32が縦方向及び横方向の一方(図では縦ライン34A方向)に傾斜した状態、すなわち枠型改良壁が一方向に沈下した状態を模擬したものである。
【0065】
そして、各試験体30A、30B、30Cでは、図10(a)、図11(a)等に示すように、それぞれの内枠32が隠れるように外枠31の上面を布材33で覆っておく。すなわち、布材33の上面33aは、実施工時における床面に相当するものである。
このような試験体30A、30B、30Cに対して、角部の上方から、光軸が布材33の上面33aに対して略30度の照射角度となるように設定された光源部をなすサーチライト34(図10(a)、(c)参照)の光を布材33の上面33aに向けて照射し、上面視でサーチライトに対向する位置からカメラ(撮影部)で光が照射された布材33の上面33aを撮影した。図10及び図11は、第1実施例の試験結果であって、カメラで撮影した画像データである。
【0066】
図10(a)〜(c)は、第1試験体30Aと第2試験体30Bの画像データを示している。
試験の結果、図10(a)に示す第1画像データN1は、第1試験体30Aにおいて光を照射したものであり、布材33の上面33aの全体にわたって均一で凹凸や影になるような部分は確認されなかった。
図10(b)に示す第2画像データN2は、第2試験体30Bにおいて光を照射する前の状態のものであり、僅かに内枠32の跡が見えるものの、布材33の上面33aの変状状態は不明確であった。
図10(c)に示す第3画像データN3は、第2試験体30Bにおいて光を照射した状態のものであり、内枠32の外周縁に明確な影(図中の符号W1)が生じていることが確認できる。さらに、第2試験体30Bでは内枠32の全体が外枠31に対して下がっているので、外枠31と内枠32との間にも影(図中の符号W2)が生じていることから、変状状態が明らかになっている。
【0067】
また、図11(a)に示す第4画像データN4は、第3試験体30Cにおいて光を照射する前の状態のものであり、布材33の上面33aの変状状態(凹凸や影)は不明確であった。
図11(b)に示す第5画像データN5は、第3試験体30Cにおいて光を照射した状態のものであり、内枠32の外周縁に明確な影(図中の符号W3)が生じていることが確認できる。さらに、第3試験体30Cでは内枠32の縦ラインの一方が外枠31に対して下がって傾斜しているので、外枠31と内枠32との間にも影(図中の符号W4)が生じていることから、変状状態が明らかになっている。
このように、第2試験体30B、第3試験体30Cのように内枠32に高低差や傾き等の変状が生じている場合には、少なくとも内枠32の周縁部に影(符号W1〜W4)が生じることが確認できた。
【0068】
(第2実施例)
第2実施例は、上述の第1実施例で使用した光源部のサーチライト34をレーザー照射装置35に代えてレーザー光を布材33の上面33aに照射し、カメラによる撮影部12の画像データを取得し、その画像データを目視により確認、評価した。第2実施例では、図9(a)に示す第1試験体30Aと、図9(b)に示す第2試験体30Bとを採用している。
【0069】
図12(a)〜(c)は、第2実施例の試験結果であって、カメラで撮影した画像データである。
試験の結果、図12(a)に示す第6画像データN6は、第1試験体30Aにおいてレーザー光を照射する前の状態のものであり、布材33の上面33aの変状状態は不明確であった。
図12(b)に示す第7画像データN7は、第1試験体30Aにおいてレーザー光C1を照射した状態のものであり、少なくともレーザー光C1が途切れることなく布材33の上面33aを照射していることが確認できる。つまり、この場合は、凹凸等の変状が殆ど無いと評価することができる。
図12(c)に示す画像データN8は、第2試験体30Bにおいてレーザー光C1を照射した状態のものであり、内枠32の外周縁や外枠31近傍においてレーザー光C1の照射部分が途切れる部分(図中の符号W5、W6)が生じていることが確認できるため、変状状態が明らかになっている。
【0070】
以上、本発明による床変位監視システム、及び床変位監視方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0071】
例えば、本実施の形態では、区画領域K毎に1箇所に光源部11を設けて1方向の照射方向の照射に対して撮影部12で撮影する方法としているが、1区画領域Kに対して複数の照射方向により照射し、これら複数の照射方向に対応する位置に撮影部12を設けて光が照射された床面3aを撮影して複数の方向から撮影した画像データDを取得して画像出力部13に出力する方法としてもよい。
この場合には、各区画領域Kの床面3aに対して複数の箇所から光を照射して複数箇所による画像を撮影することで、床面3aの変状状態の監視精度を高めることができる。例えば、区画領域Kが本実施の形態のように平面視で矩形な場合において、辺毎、あるいは角毎に4方向の照射方向で照射することができる。
【0072】
また、本実施の形態の床変位監視システム10では、床3の変位として、沈下を伴う変位を監視するシステムとしているが、沈下を伴わない床3の変位のみを監視対象としてもよい。
【0073】
さらに、本実施の形態では、画像解析部14及び評価部15を設け、画像解析部14で解析した結果を区画領域K毎に評価部15で補修の必要の有無の判定を行う方法としているが、このような画像解析部14及び評価部15を省略したシステム構成とすることも可能である。つまり、画像解析や評価による処理部を介在させることなく、画像出力部13で出力した写真等の画像データを目視によって確認することで、区画領域Kの床面3aの変状を監視する方法であってもかまわない。
【0074】
また、床変位監視システム10や床変位監視方法の適用対象となる建物1の大きさ、広さ、枠型改良壁2の大きさ、数量、床3の厚さ等の構成に関しては、本実施の形態に限定されることはなく、適宜設定することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、建物1の床3を対象としている、建物1の上屋を設ける構造であることに限定されることはない。要は、床3のみが複数の枠型改良壁2上に床3のみが設けられた構造であればよいのであって、建物1の上屋が無い構造であってもよい。
さらに、床3をブロック化した区画領域Kの数量も、本実施の形態のように6つであることに限定されることはなく、個々の枠型改良壁2に対応して設けられていればよい。さらんまた、区画領域Kの平面形状も正方形であることに限定されず、枠型改良壁2を有していれば長方形状であってもよい。
【0076】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 建物
2 枠型改良壁
3 床
3a 床面
10 床変位監視システム
11 光源部
12 撮影部
13 画像出力部
14 画像解析部
15 評価部
16 光源部
θ 照射角度
C 光軸
D 画像データ
K、K1〜K6 区画領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12