(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の引例技術により正確な量の試料を自動的に吸入、吐出するということは可能になったが、以下のような問題が発生している。
【0008】
すなわち、上記した従来のポンプを使用したとしても、試料の吸入及び吐出する方向を切り替えるために備えられる切替弁自体から発生する塵埃が試料に混入することで検体を汚染してしまうという問題が発生している。また、吸入吐出装置は外部環境から侵入してきた雑菌や汚染物質の除去のために、定期的に滅菌液での洗浄やオートクレーブによる処理が行われるが、切替弁は本体内部に形成された流路に試料を流通させ、同じく本体内部に備えられた弁体を電気的に作動させて流路の切替を行っている構造上、滅菌やオートクレーブといった処理が出来ない。このため、試料が流通する切替弁の内部に残留した雑菌や塵埃が、次の培養に悪影響を及ぼしてしまうという問題も発生している。さらに、滅菌処理が終了したチューブやシリンダにおいても、滅菌処理後再度取付ける際に大気中を浮遊している雑菌や塵埃の付着による汚染で、細胞培養に悪影響を及ぼしてしまうという問題も発生している。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するために開発されたものであり、塵埃や雑菌の混入を効果的に防止することが出来る切替バルブ、切替バルブを備える吸入吐出装置、及び吸入吐出装置を備える培地交換装置、分注装置さらには、これら装置を備える自動培養システム、及び、この吸入吐出装置に適用され、無菌パックされて容易に交換可能な吸入吐出アッセンブリーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、本発明の切替バルブは、両端に回転可能に取り付けられた一対のローラローターと、前記ローターを回転駆動するローター駆動部と、前記ローターの回転により公転する前記一対のローラの公転軌道の外側の前記各ローラと協働する位置に設けられた一対の押圧部材と、前記各ローラの前記公転軌道と前記一対の押圧部材との間にそれぞれ配置された一対のチューブと、を備え、前記各押圧部材と前記各ローラの前記公転軌道との隙間が徐々に狭くなるように前記押圧部材が配置されて、前記ローターが公転することにより、対応する前記ローラと前記押圧部材とが前記チューブを押圧する押圧領域が形成されており、前記一対のチューブのそれぞれを前記一対のローラと前記一対の押圧部材とで、外部から選択的に閉止及び開放することを特徴としている。上記構成とすることで、チューブ内を流通する試料を切替バルブ内に導入することなく流通と閉止の切替を行うことが出来る。
【0011】
また、本発明の切替バルブが備える前記ローターは、前記一対のチューブの両方を閉止する位置と、前記一対のチューブの片方のみを閉止する位置と、前記一対のチューブの両方の流通を開放する位置との間で回転移動可能であることを特徴としている。上記構成とすることで、一つの駆動源で一対のチューブの内部流通を閉止及び開放することが出来る。
【0012】
また、本発明の切替バルブが備える前記ローターの回転中心軸は、前記一対のローラのそれぞれの回転中心を結ぶ直線から外れた位置に配置され、前記一対の押圧部材は、前記ローターの回転中心を通り、且つ水平方向に延在する直線に関して対称な前記押圧領域を有することを特徴としている。上記構成とすることで互いに平行になるように配置される一対のチューブに対して、ローターが容易に各チューブの内部流通を閉止及び開放することが出来る。更に、本発明の切替バルブが備える前記ローターの回転中心軸は、前記一対のローラのそれぞれの回転中心を結ぶ直線上に配置され、前記一対の押圧部材は、前記ローターの回転中心を通り、且つ鉛直方向に延在する直線に関して対称な前記押圧領域を有することとしてもよい。
【0013】
また、本発明の吸入吐出装置は、本発明の切替バルブと、前記一対のチューブのそれぞれの端部が接続されたシリンジポンプと、前記シリンジポンプのピストン部をシリンダ部に対して進退移動させるポンプ駆動部と、を備え、前記ポンプ駆動部は前記ローター駆動部と協働して、前記一対のチューブの内部に試料を流通させることを特徴としている。上記構成とすることで、試料の汚染が発生した場合においても、汚染されたシリンジポンプとチューブを吸入吐出装置から取り外して新品と交換することで容易に汚染を除去することが出来る。この交換の際、切替バルブとポンプ駆動部は試料に直接接触していないので、試料内の汚染が伝播することは無い。
【0014】
また、本発明の吸入吐出装置に使用される吸入吐出アッセンブリーは、前記一対のチューブと、前記一対のチューブのそれぞれの一端が接続された前記シリンジポンプと、から構成され、前記吸入吐出装置に装着可能な吸入吐出アッセンブリーであって、無菌パックされていることを特徴としている。上記構成とすることで、吸入吐出装置にシリンジポンプとチューブとを設置する際に滅菌や洗浄処理といった作業を事前に行う必要が無くなる。さらに、設置する装置の寸法に合わせてチューブの長さを調節したりする必要が無くなるので、吸入吐出装置に素早く設置することで大気中を浮遊する汚染物質の流路への侵入を防止することが出来る。
【0015】
また、本発明の吸入吐出装置は培地交換装置における培地を供給するポンプ手段や、分注装置における圧力伝達水や細胞懸濁液といった試薬とを吸入及び吐出するポンプ手段、及び、切替弁として使用することで、雑菌等に汚染される可能性が無く、精度の高い培養や試験を行うことが出来る。
【0016】
さらに、本発明の吸入吐出装置を搭載する培地交換装置、もしくは分注装置と、試料を収容する容器を所定の環境に調整された恒温室内に収容する培養装置と、培地交換装置や分注装置と培養装置との間で前記容器を搬送する搬送装置とで自動培養システムを構成すれば、長期間にわたる試料の培養を自動で行うことが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明の切替バルブによれば、試料を本体内に流入させることなく試料の流通の制御ができるので、バルブ本体から発生する塵埃を試料内に侵入させてしまうことが無い。また、試料が雑菌に汚染された場合においても、試料が流通するチューブをオートクレーブ滅菌や過酸化水素ガス滅菌するか、若しくは汚染されたチューブを廃棄して新たな無菌のチューブを設置するという簡単な作業のみによって、試料が流通する空間を清浄な状態に戻すことが出来る。これにより、開閉弁内部の洗浄作業を省略出来るので作業者が被る負担を低減させることが出来る。
【0018】
また、本発明の吸入吐出装置によれば、試料を本体内に流入させることなく試料の正確な供給ができる。また、試料が雑菌に汚染された場合においても、試料が流通するチューブとシリンジポンプをオートクレーブ滅菌や過酸化水素ガス滅菌するか、若しくは汚染されたチューブとシリンジポンプを廃棄して新たな無菌のチューブを設置するという簡単な作業のみによって、試料が流通する空間を清浄な状態に戻すことが出来る。これにより、開閉弁やポンプの内部の洗浄作業を省略出来るので作業者が被る負担を低減させることが出来る。
【0019】
また、本発明の吸入吐出アッセンブリーによれば、設置の際に行う滅菌作業を省略することが出来るので、作業者が被る負担を低減させることが出来る。さらに、洗浄作業後の雑菌や塵埃が残留する可能性も無くすことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。
図3は本発明の切替バルブ3を示す斜視図であり、
図4は本発明の吸入吐出装置2の構成を示すブロック図であり、
図5は本実施形態の切替バルブ3が備えるローター4の動作を示す図である。切替バルブ3の本体中央部分にはローター4が配置されており、ローター4の左右にはローラ6a、6bが回転可能に取り付けられている。また、ローター4の両側面近くを通るようにチューブ8、9が配置されている。切替バルブ3は、ローター4が所定の方向に回転することで、ローラ6a、6bによりチューブ8,9を押しつぶしてチューブ内部の試料の流通を制限するように構成されている。ローター4の中央部分にはシャフト10が固定されている。このシャフト10はベース板11を貫通して、ベース板11のローター4が配置された面とは反対の面に固定されたモータ12に連結されている。本発明の吸入吐出装置2が備えるモータ12には、回転方向及び回転角度の正確な制御が可能なステッピングモータが使用されている。モータ12の動作はローター制御部14により制御されていて、このローター制御部14からの信号により、モータ12は所定の回転方向及び回転位置まで作動する。このモータ12とローター制御部14とによって、ローター4を所定の角度まで回転動作させるローター駆動部が構成されている。なお、本実施形態の切替バルブ3に配置されるチューブ8、9は、図において、鉛直方向に、且つ互いに平行となるように配置されている。
【0022】
本実施形態のローター4は正面形状が略三角形の形状をなしていて、ローター4の本体両端には、円筒形のローラ6a、6bがシャフト16a、16bを介して回転可能にローター4に固定されている。ローター4はシャフト10の中心軸Cを回転中心としてモータ12によって回転可能になっていて、このローター4の回転動作によって各ローラ6a、6bはシャフト10の中心軸Cを回転中心とした円形の軌道A1上を公転移動する(
図5を参照)。各ローラ6a、6bの公転軌道A1の外側には、押圧部材17a、17bが左右対照の位置に配置されている。各押圧部材17a、17bのローター4に対向する面(内面)は、ローラ6a、6bの公転軌道A1よりも大きな半径を有する円弧A2に沿った曲線形状に加工されている。この押圧部材17a,17bの円弧A2に沿って形成された内面と対応する各ローラ6a、6bとが、それぞれ協働してチューブ8、9の内部流通を閉止する領域を、本明細書においては押圧領域と呼ぶ。本実施形態の押圧領域は、円弧A2に沿って形成され、シャフト10の中心軸Cを通り水平方向に延在する直線L3に関して対称な形状をしている。なお、押圧領域の円弧A2の半径寸法は、ローラ6a、6bが描く軌道である円弧A1の半径寸法に、押圧されたチューブ8、9の厚み寸法を加えた半径寸法とするのが好ましい。さらに、本実施形態では、押圧領域はシャフト10の中心軸Cを通り鉛直方向に延在する直線に関して左右対称な形状を有している。このように、押圧領域を設けることで、モータ12の作動によりローター4が所定の方向に回転し、それに伴いローラ6a、6bも公転動作して、各ローラ6a、6bがそれぞれ対応する押圧部材17a、17bに対して接近もしくは離間する。このようなローラの公転により回転可能に取り付けられた回転可能に取り付けられたローラ6a、6bと押圧部材17a,17bとの間に配置されたチューブ8、9を挟み込む、もしくは開放することで、チューブ8、9内部の試料の流通を制御することが出来る。なお、本発明の切替バルブ3を構成する部材は、オートクレーブ滅菌や過酸化水素ガス滅菌等の各種滅菌処理が施されることも考慮して、ステンレススチール製とするか、PTFE、ポリイミド樹脂といった優れた耐熱性や耐薬品性を有する樹脂製とすることが望ましい。
【0023】
各ローラ6a、6bはそれぞれシャフト16a、16bの中心軸Cを回転中心として回転動作可能に取り付けられている。また、ローター4の回転中心軸Cは、各ローラ6a、6bの回転中心を結んだ線L1の中点から偏心した位置に配置されている。
図5に示す例では、ローター4の回転中心Cは、各ローラ6a、6bの回転中心を結んだ線の直角二等分線上に配置されている。こうすることにより、ローター4を所定の回転位置まで回転動作させることで、互いに平行に配置されたチューブ8、9のうち、一方のチューブ8の試料の流通を制限しながら、もう一方のチューブ9の試料の流通を許容することが出来る。さらに、ローター4を他の回転位置まで回転移動させることで両方のチューブ8、9の試料流通を制限することも出来る。また、特許文献2の切替弁のように弁体の内部を試料が流通することが無いので、切替バルブ3から発生する塵埃が試料を汚染することはない。また、本実施形態の切替バルブ3が備えるローラ6a、6bは、側面が直線の円筒形状となっているが、他の実施形態として円筒形の中央部分から両端に向かって徐々に細くなる樽状としてもよい。ローラ6a、6bは押圧部材17a、17bと協働してチューブ8、9を押圧して、すなわち押し潰してチューブ8、9の内部流通を閉止するので、押し潰されたチューブ8、9の折れ目部分に過剰な力を繰り返し与えると、折れ目部分に塑性変形が生じて劣化を早めてしまう。そこで、折れ目部分に当接する部分のローラの直径を中央部分より小さくなるように樽状とすることで、折れ目部分に掛かる押圧力が低減されることとなり、チューブ8、9の早期劣化を防止することが出来る。
【0024】
次に、本発明の吸入吐出装置2が備えるシリンジポンプ18について説明する。
図6(a)は本実施形態の吸入吐出装置2を正面から見た図であり、
図6(b)は側面から見た図である。
図6は、説明をわかり易くするために、シリンンジポンプ18の部分は断面で示している。本実施形態の吸入吐出装置2は注射器型のシリンジポンプ18をモータ19によって駆動するように構成されている。吸入吐出装置2のベース板11には、シリンダ部20を所定の位置に位置決めして固定するブラケット21、22が備えられていて、また、ピストン部23と係合して、ピストン部23をシリンダ部20に対して進退移動させるためのピストンブラケット24が備えられている。このピストンブラケット24は、モータ19の回転軸と連結して、モータ19の回転動作を直進方向の動作に変換する送りネジ機構25の移動子に固定されている。このピストンブラケット24がモータ19の回転動作に連動して進退移動することでピストン部23をシリンダ部20に対して前進若しくは後退させる。なお、モータ19には、回転方向及び回転角度の正確な制御が可能なステッピングモータが使用されている。モータ19の動作はポンプ制御部26により制御されていて、このポンプ制御部26からの信号により、モータ19は所定の回転方向や回転位置まで作動する構成となっている。
このモータ19とポンプ制御部26とにより、シリンジポンプ18のピストン部23をシリンダ部20に対する所定の位置まで進退動作させるポンプ駆動部が構成されている。この構成により、試料を精度良く吸入、吐出することが出来る。また、ローター駆動部とポンプ駆動部が協働して、タンク28に貯留された試料を所定の分量で正確に吸引して、吐出ノズル27から吐出することが出来る。
【0025】
吸入吐出装置2を作動させるには、まず、吸入側チューブ8と吐出側チューブ9とシリンジポンプ18とで構成される吸入吐出アッセンブリー48を、吸入吐出装置2の所定の位置に取り付ける。このとき、各チューブ8、9は切替バルブ3に取り付けられたチューブ固定部材15によって、ローター4と各押圧部材17a、17bとの間の所定の位置に互いに平行となるように位置決め固定される。チューブ固定部材15は板状の部材にチューブ8、9の直径よりも小さい幅寸法の溝が形成されていて、この溝にチューブ8、9を押し込むことでチューブ8、9を固定するものである。また、押し込まれたチューブ8、9はチューブ自体の反発力によって固定されているだけなので、チューブ8,9はチューブ固定部材15から容易に取り外して取り換えることが出来る。このチューブ固定部材15は切替バルブ3のローター4の上方と下方にそれぞれ取り付けられている。なお、チューブ8、9を交換する際には、切替バルブ3のローター4を、ローラ6a、6bがチューブ8、9を押さえることのない位置で停止させておくのが好ましい。このチューブ8、9がローラ6a、6bによって押圧されない位置を、チューブ開放位置と称する。
図7(a)を参照。また、モータ19は、取り付けるシリンジポンプ18のピストン部23がシリンダ部20の中に最も入りこんだ状態となる位置、即ち、シリンダ部20の内部容積が最も小さくなる位置で停止させておく。なお、ローター4の隣に配置されるチューブ8、9の端部はそれぞれ、一方に2つの入出力部と他方に1つの入出力部を有するY字型のチューブコネクターYの2つの入出力部側に接続されていて、チューブコネクターYの他方の入出力側にシリンジポンプ18の先端が接続されている。
【0026】
チューブ8、9とシリンジポンプ18の取り付けが完了すると、次に、各ローラ6a、6bがそれぞれ対応する押圧部材17a、17bと間でチューブ8、9の内部流通を閉止する位置まで、ローター4を回転させる。この各チューブ8、9がそれぞれ対応するロ−ラ6a、6bによって内部流通を閉止される位置(
図7(b)を参照)を、チューブ閉止位置と称する。各チューブ8、9の内部流通が閉止された状態で、試料吸入側チューブ8の他端を、試料を貯留した試料タンク28に接続し、吐出側チューブ9の他端を吐出ノズル27に接続する。これで、本発明の吸入吐出装置2の準備が完了する。なお、吐出ノズル27はシリンジポンプ18から供給された試料を所定の容器に吐出するための先端部材であり、詳細については後述する。
【0027】
次に、本実施形態の吸入吐出装置2が行う試料の吸入吐出動作について説明する。まず、モータ12を作動させて、チューブ8、9の内部流通を閉止する回転位置にあったローター4を、吸入側チューブ8の内部流通を開放し、吐出側チューブ9の内部流通を閉止する第1の位置(
図8(a)を参照)まで回転動作させる。次に、モータ19を作動させて、シリンジポンプ18のピストン部23をシリンダ部20に対して後退させる。このピストン部23の後退動作により、タンク28に貯留された試料は、吸入吐出アッセンブリー48内に吸入される。この時、チューブ9は流通を閉止された状態にあるので、吐出ノズル27を介して外部環境の空気を吸引することはない。ピストン部23を所定の位置まで後退させると、モータ19を停止させる。
【0028】
次に、モータ12を作動させて、吸入側チューブ8の内部流通を閉止、吐出側チューブ9内部流通を開放する第2の位置(
図8(b)を参照)までローター4を回転させる。その後、モータ19を動作させて、ピストン部23をシリンダ部20に対して前進させることで、シリンダ部23内に吸入されていた試料と空気を、チューブ9及び吐出ノズル27を介して外部へ吐出する。吐出動作が終了すると、モータ12を先程とは逆方向に駆動させて、ローラ6a、6bが対応するそれぞれのチューブ8、9の内部流通を閉止する位置までローター4を回転させる。これで、吸入吐出装置2が行う一連の吸入吐出動作が完了する。なお、一連の吸入吐出動作ではチューブ8、9内部の空気が完全に排出されていない場合には、前述の吸入吐出動作を繰り返し行うことで吸入吐出アッセンブリー48内部に試料を充満させることができ、その後の吸入吐出動作によって正確な量の試料を吐出ノズル27から吐出することが出来る。
【0029】
本実施形態の切替バルブ3は、ローター4が所定の方向及び角度の回転動作を行うことで、吸入側チューブ8と吐出側チューブ9を選択的に閉止若しくは開放してチューブ内の試料や気体の流通を制御するものである。即ち、ローター4を回転させることでローラ6a、6bが対応する押圧部材17a、17bと協働して、チューブ8、9を外側から押しつぶすことで、チューブ8,9内部の空間を閉塞して内部流通を閉止するという特徴を有している。ここで、
図9を参照して吐出側チューブ9に対する閉止動作について説明する。
図9(a)の二点鎖線で描かれたローター4は、吸入側チューブ8の内部流通を閉止状態とし、吐出側チューブ9の内部流通を開放状態とする第2の位置にある。ここで、モータ12を作動させて、ローター4を紙面上で反時計回りの方向に角度αの回転動作をさせる。この動作によって吐出側チューブ9は、開放状態からローラ6bと押圧部材17bとに挟まれて内部流通が閉止される状態となる(
図9(a)の実線で示すローター4の状態)。なお、このローター4の所定の角度の移動中、ローラ6aと押圧部材17aは吸入側チューブ8の内部流通を閉止状態に維持したままである。
【0030】
次に、
図9(b)に示すように、モータ12を作動させて、ローター4をさらに反時計回りの方向に角度βの回転動作をさせる。この動作により、ローラ6aは押圧部材17aと協働してチューブ8の内部流通を閉止する領域から離脱して、チューブ8は内部流通を開放された状態となる。また、このローター4が行う角度βの回転動作の間、ローラ6bは吐出側チューブ9を押圧部材17bに押し当てた状態のまま、押圧領域内をシャフト16bの中心軸C2を回転中心として公転しながら移動することとなる。このローラ6bの動作中、吐出側チューブ9は、ローラ6bと押圧部材17bによって吐出方向とは反対の方向にしごかれることになる。なお、ローラ6bはチューブ9に対して回転(自転)しながら移動するので、摩擦によりチューブ9に大きなダメージを与えることは無い。チューブ9が試料の流通方向とは反対の方向にしごかれることにより、試料の吐出が終了した後の吐出ノズル27からの液ダレを防止することが出来る。これは、公知のサックバックバルブと同様の作用である。本発明の切替バルブ3は、チューブ内部における試料の流通の閉止とサックバックを、ローター4の回転動作で行うことが出来る。
【0031】
試料(培地)は、細胞の生育に必要な栄養分や抗生剤、細胞を採取する際に用いられる細胞剥離のための薬剤等を調整して生成される。このような、分注装置や培地交換装置で供給される試料は、劣化防止のため等の低温環境下で保存される。通常、細胞は37℃の環境下で育成されているので、培地交換の際に低温で保存されたままの試料を供給されると、細胞は試料の温度の低さにより大きなダメージを受けてしまう。低温によるダメージを防ぐため、試料は供給される際にヒーターで所定の温度に温められながら供給される。ヒーターは吸入側チューブ8や吐出側チューブ9、更に、吐出ノズル27に備えられている。このように、吐出側チューブ9や吐出ノズル27にヒーターが備えられていると、試料の吐出を停止しても、チューブ内に残留した試料がヒーターで温められることでその体積が増加し、余剰な液滴が吐出ノズル27の先端からこぼれ落ちてしまう。本発明の切替バルブ3が備えるサックバック効果は、こういった余剰な液滴の落下といった不具合を防止するために有用なものとなる。
【0032】
次に、本発明の吸入吐出装置2に適用されるチューブ8、9及びシリンジポンプ18から構成される吸入吐出アッセンブリー48について説明する。本発明の吸入吐出装置2に適用されるチューブ8、9は、切替バルブ3のローラ6a、6bによって外部から押えつけられることを考慮すると、シリコンゴムやポリオレフィン、フッ素ゴム、熱可塑性エラストマー等の復元力があり柔軟性が高い材質のものとすることが好ましい。また、シリンジポンプ18は、一般的なガラス製や樹脂製のものを使用することもできるが、操作の容易性や使い捨てコストを考慮すると、ポリプロピレンやポリエチレンといった樹脂製とすることが好ましい。特に、本発明の吸入吐出装置2は、チューブ8、9やシリンジポンプ18の取替えが容易な構造となっている。そのため、試料の吸入吐出後には使い終わったチューブ8、9やシリンジポンプ18は廃棄して、次の吸入吐出動作の際には、新たなものを使用するという作業を容易に行うことが出来る。これにより、試料や検体の汚染を容易に防止することが出来る。なお、チューブ8、9の先端には、接続するタンク29やノズル27が備える接続部材に対応するルアーコネクターやワンタッチコネクターといった公知の接続部材を予め備えておけば、より短時間でのアッセンブリーの交換を行うことが出来る。特に、このチューブ8、9とシリンジポンプ18、接続部材を一体化したものを一式のアッセンブリーとして、オートクレーブ滅菌やガンマ線滅菌といった公知の滅菌処理を施して密封したものを用意しておくことが望ましい。
【0033】
次に、
図10を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態が備える切替バルブ3では、ローター4本体の回転中心軸Cが、ローター4の両端に配置されるローラ6a,6bのシャフト16a、16bの中心軸C1、C2を結ぶ直線L1からオフセットした位置(直性L1から外れた位置)に配置されている。これに対して、本発明の第2の実施形態の切り替えバブル3´では、ローター4´のシャフト10の中心軸Cが、各シャフト16a、16bの中心軸C1、C2を結ぶ直線L1上に配置されている。このように、第1の実施形態と第2の実施形態では、ローター4、4´の回転中心軸Cと、ローラ6a,6bの回転軸C1,C2と位置関係が異なるため、チューブ8,9の双方を全部閉じた位置、全部解放した位置、第1の位置、第2の位置の各種開閉動作をさせるためには、回転軸の位置に対応して、押圧部材の位置も替える必要がある。
【0034】
図10は本発明の第2の実施形態である切替バルブ3´の概要を正面から記した図である。本実施形態のローター4´は第1実施形態と同様に、ローター本体の両端には、略円筒形のローラ6a、6bがシャフト16a、16bを介して回転可能にローター本体に固定されている。ローター4´はシャフト10の中心軸Cを回転中心としてモータ12によって回転可能になっている。このローター4の回転動作によって各ローラ6a、6bはシャフト10の中心軸Cを中心とした円形の軌道A1上を公転移動することとなる。各ローラ6a、6bの公転軌道A1の外側には、押圧部材17c、17dが左右対照に配置されている。各押圧部材17c、17dのローター4に対向する面は、ローラ6a、6bの公転軌道A1よりも大きな半径を有する円弧A2に沿う形状に加工されている。上記構成により、モータ12の作動によりローター4´が所定の方向に回転し、それに伴いローラ6a、6bも公転して移動することで、各ローラ6a、6bがそれぞれ対応する押圧部材17c、17dに対して接近もしくは離間する。これによって、ローラ6aと対応する押圧部材17cとの間に配置されるチューブ8、ローラ6bと対応する押圧部材17dとの間に配置されたチューブ9を挟み込んで閉止し、もしくは開放することでチューブ8、9の内部流通を制御することが出来る。
【0035】
第1の実施形態では、各ローラ16a、16bの回転中心軸を結ぶ直線から外れた位置にローター4の回転中心軸Cが配置され、且つ、チューブ8、9を押圧する押圧領域は回転中心軸Cを通り水平な方向に延在する直線L3に関して対称な形状をしている。これに対して第2の実施形態では、各ローラ16a、16bの回転中心軸を結ぶ直線上にローター4の回転中心軸Cが配置され、且つ、チューブ8、9を押圧する押圧領域は回転中心軸Cを通り水平な方向に延在する直線L3に関して対称な位置にはない。各押圧部材17c、17dは、それぞれ各ローラ16a、6bに対応する押圧領域が中心軸Cを回転中心として所定の角度回転移動したときに、両チューブ8,9を両方同時に閉止または解放し、または一方のチューブのみを閉じる位置となるように配置される。
【0036】
また、第1の実施形態におけるチューブ8、9は、鉛直方向に配置され、且つ互いに平行になるように配置されているが、本実施形態におけるチューブ8、9は、互いに所定の角度をもって鉛直方向に延在する直線に関して左右対称となるように配置される。これは、ローター4´が吐出側チューブ9のみを閉状態とする第1の位置、もしくは吸入側チューブのみを閉止状態とする第2の位置にある際に、開放される側のチューブの開状態を確実にするための処置である。それぞれが互いに角度をもって配置されるチューブ8、9は、切替バルブ3´の下方で一端がシリンジポンプ18に接続されているチューブコネクターYにそれぞれ接続される。
【0037】
本実施形態の切替バルブ3´が備えるローター4´は、切替バルブ3が備えるローター4と同様に、モータ12とモータ制御部14によって、中心軸Cを回転中心として回転可能な構成となっていて、モータ制御部14に予め記憶された回転位置までの回転移動が可能になっている。上記構成により、シリンジポンプ18を駆動するポンプ駆動部と協働して、タンク28に貯留された試料を吸入して吐出ノズル27から吐出することができる。
【0038】
次に、本発明の吸入吐出装置2を用いた培地交換装置30について説明する。
図11は本発明の培地交換装置30の概要を示す斜視図である。本実施形態の培地交換装置30は容器29内で培養される微生物や細胞に、水分や栄養素を含んだ培地と呼ばれる溶液を所定の間隔をおいて交換する装置である。培地交換動作は、まず容器29内の古い培地を吸引除去し、その後新しい培地を加えることで行われる。本実施形態の培地交換装置30では、古い培地の除去は吸引ノズル31を介して行われ、新しい培地の供給は本発明の吸入吐出装置2に接続された吐出ノズル27を介して行われる。
【0039】
本発明の培地交換装置30が備える吐出ノズル27は、培地交換装置30本体の上部を跨ぐように設置される梁部材32に固定されていて、ノズル27の基端部には吐出側チューブ9の一端が接続されている。吐出側チューブ9の他端部は、吸入吐出装置2のシリンジポンプ18に接続されている。
また、吐出ノズル27の梁部材32に固定された部分よりも下方の部分は細長い円筒形をしていて、更に、その先端部分は所定の角度で曲げられた形状を有している。この曲げられた先端部分を容器29の内壁に接近させた状態で培地を吐出することで、培地は容器29の内壁を沿って容器29の底面に溜まっていく。こうすることで、気泡を発生させることなく培地を容器29に供給することが出来る。また、供給する培地の勢いで容器29の底面に接着している細胞を底面から剥離させることはない。
吐出ノズル27を介して培地を容器29に供給するには、まずステージ移送部44により、容器29を吐出ノズル27の下方であって、吐出ノズル27の先端部が容器29の側壁の上端よりも下方となる所定の位置まで移動させる(
図12(a)を参照)。そしてステージ移送部44を作動させて容器29の側壁と吐出ノズル27の先端部が当接する位置まで容器29を水平移動させる。移動が完了すると、吐出ノズル27から培地を吐出する(
図12(b)を参照)。吐出された培地は容器29の側壁を伝って容器29の底面から徐々に供給されていく。
【0040】
また、吐出ノズル27には、低温で保存されていた培地を、培養対象である微生物や細胞にダメージを与えない温度まで昇温させるヒーターが備えられている。本実施形態が備えるヒーターは、内部に加熱素子が組み込まれたカートリッジヒーターである。このヒーターを、吐出ノズル27の一部であり、内部に培地の流路が形成されている昇温ブロック27aに着脱自在に挿入して用いられる。ヒーターの温度は不図示の温調制御ユニットによって制御されていて、吐出される培地の温度培養に最適な温度に昇温させて供給することが出来る。なお、吐出ノズル27は、梁部材32に対して容易に着脱が出来るようネジ留め等により着脱可能に固定されている。
【0041】
本実施形態の培地交換装置30が備える吸引ノズル31は梁部材32に固定されていて、その基端部分には、公知の吸引ポンプPに接続される培地排出用チューブ34の先端部が接続されている。また、吸引ノズル31の先端部分は、使い捨て式のピペットチップ33を着脱できる形状となっている。ピペットチップ33は、弾力性を有する樹脂製のピペットチップ33がノズル31の先端部に挿入され、ピペットチップ33の弾性力によって外側から締め付けられることによって固定される。なお、吸引ノズル31で吸引する培地は、供給されてから一定時間経過していて、継時劣化に加え空気中を浮遊する雑菌塵埃に汚染されている可能性がある。この汚染された培地を吸引したピペットチップ33で別の容器29の培地を吸引すると、ピペットチップ33によって別の容器29にも汚染物質が伝播される所謂クロスコンタミが発生してしまう。こういった容器29間での交差汚染を防止するために、本実施形態の培地交換装置30が備える吸引ノズル31は、古い培地の吸引を行う度にピペットチップ33の交換が行われる。
なお、吐出ノズル27についても、ピペットチップ33を交換可能な構成とすることが可能である。吐出ノズルの先端が吸引ノズル31と同様に直線状の場合には、上述したピペットチップラック37とチップリムーバー39と同様のものが吐出ノズル用としても使用可能である。本実施形態のように吐出ノズル27の先端が曲がっている場合には、先端の形状に合わせた特殊なピペットチップラック及びチップリムーバーを設ける必要がある。
【0042】
培地の交換が行われる容器29は、交換ステージ35上に配置される容器ステージ36に、位置決め部材36aによって所定の位置に位置決めされて載置される。また、交換ステージ35には、容器29の他に、多数のピペットチップ33をノズル27、31に装着出来るように鉛直方向に直立した姿勢で収容するチップラック37が、位置決め部材38によって所定の位置に載置される。さらに、吐出ノズル27や吸引ノズル31に装着されたピペットチップ33を取り外すチップリムーバー39と、取り外されたピペットチップ33を収納するチップボックス40とが交換ステージ35に取り付けられている。交換ステージ35はステージ移送部44によりX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動可能である。
【0043】
交換ステージ35は、Y軸駆動機構44aが備える移動ステージ46上に配置されている。このY軸駆動機構44aは、モータ41とモータ41に連結する送りネジ機構42とY軸方向に案内する一対のスライドレール43から構成されていて、モータ41の作動により移動ステージ46と移動ステージ46上に配置される交換ステージ35をY軸方向に移動させる。また、Y軸駆動機構44aはX軸ステージ50上に配置されている。このX軸ステージ50は、モータ45とモータ45に連結する送りネジ機構46とX軸方向に案内する一対のスライドレール47から構成されるX軸駆動機構44bによりX軸方向に移動させられる。また、X軸駆動機構44bは基台51に配置されている。さらに、モータ49と不図示の送りネジ機構と案内機構により構成されて交換ステージ35をZ軸方向に移動させるZ軸駆動機構44cにより、交換ステージ35は移動ステージ46に対してZ方向、すなわち鉛直方向に移動可能となっている。
【0044】
本実施形態の培地交換装置30が備えるモータ41、45、49は回転軸の角度制御が可能なステッピングモータが使用されていて、予め教示された所定の位置に精度良く作動することが出来る。また、これらのモータ41、45、49、及び吸入吐出装置2の作動は、培地交換制御部(図示せず、以下同じ)から送信される信号によって制御される。上記構成により、交換ステージ35上に載置される容器29、チップラック37に収容される全てのピペットチップ33およびチップリムーバー39等は、吸引ノズル31、吐出ノズル27に対して、X方向、Y方向、Z方向に相対的に移動することが出来る。この各方向への移動によって、吸引ノズル31に対するピペットチップ33の装着、及び、吸引ノズル31に装着されているピペットチップ33の取り外し(脱着)と、容器29に対する相対的な移動を行うことが出来る。また、予め容器29の受渡し位置を設定しておくことで、公知の自動搬送装置によって搬送される容器29やチップラック37の受渡しが出来る。
【0045】
また、上記構成に加え、
図13に示すように、本実施形態の培地交換装置30には、古くなった培地を除去する効率を上げるために、容器29を載置する容器ステージ36を傾斜させる傾斜機構52が備えられている。傾斜機構52はモータやシリンダといった公知の駆動源と機構によって構成されていて、容器29を載置する容器ステージ36を所定の角度傾斜させる機構である。容器ステージ36を傾斜させることにより、吸引ノズル31を介して吸引された培地の残りを一か所に集めることができる。
傾斜機構52を使用して培地を吸引する方法は以下のとおりである。まず、廃棄する培地が容器29内に多く残っている時には、
図13(a)に示すように、容器ステージ36を水平状態に維持しておく。次に、廃棄する培地が残り少量となった時に傾斜機構52を作動させて容器ステージ36を所定の角度に傾斜させる。また、容器ステージ36を傾斜させると共に、ステージ移送部44を作動させて、吸引ノズル31に装着されたピペットチップ33の先端が容器29の最も低い位置に接するように容器ステージ36を移送する(
図13(b)を参照)。こうすることで、古い培地を残らず容器29から除去することが出来る。
【0046】
次に、本実施形態の培地交換装置30が行う培地交換動作の手順について説明する。まず、培地交換制御部は培地交換装置30、ステージ移送部44の各モータ41、45、49を作動させて、交換ステージ35を、容器29を受け入れ可能な所定の位置に移動させる。培地の交換が必要な容器29が容器ステージ36に載置されると、培地交換装置30は、吸引ノズル31が培地を吸引可能な位置まで、各モータ41、45、49を動作させて容器29を移動させる。吸引ノズル31の先端が培地の中に侵入する位置まで容器29が移動すると、容器29内の古い培地は、公知のポンプPの吸引力によってピペットチップ33及び吸引ノズル31を介して吸引され、培地交換制御部は上記した手順で容器29を傾斜させながら廃棄すべき古い培地を吸引して除去する。
【0047】
古い培地の除去が終了すると、培地交換制御部は、傾斜機構52を作動させて容器29を傾斜した姿勢から水平姿勢へと戻す。その後、各モータ41、45、49を作動させて、吐出ノズル27が培地を容器29内に吐出出来る位置まで、容器29を移動させる。容器29の移動が完了すると、吸入吐出装置2が作動して、タンク28に貯留されている培地を所定の量だけ容器29に供給する。そして培地の供給が完了すると、培地交換制御部は、搬送装置との容器29の受渡し位置まで交換ステージ35を移動させる。これで、一連の培地交換動作が完了する。
【0048】
次に、吸引ノズル31に装着されるピペットチップ33の交換動作について説明する。ピペットチップ33は、吸引ノズル31の先端部分に装着可能な直立した姿勢でチップラック37に多数収納されている。なお、一般的にチップラック37は、公知な培養容器である96ウェル、384ウェル、1536ウェルのマイクロプレートの各培養区画(ウェル)の配置に対応するために、所定の本数のピペットチップ33を所定の配列で収容している。本実施形態の培地交換装置30では、説明を容易にするために、96ウェルに対応する形態としている。
図11に示すように、本実施形態の培地交換装置30が載置するチップラック33は、X軸方向に所定の間隔で12本のピペットチップ33を収納する列がY軸方向に所定の間隔をおいて8列配置されている。このチップラック37が手動もしくは公知の搬送装置により交換ステージ35の所定の位置に設置されると、培地交換制御部は、ステージ移送部44を作動させて吸引ノズル31の直下に目的のピペットチップ33が位置するように交換ステージ35を移動させる。その後、培地交換制御部はZ軸駆動機構44cを作動させて、交換ステージ35とチップラック37を所定の高さまで上昇させる。吸引ノズル31のチップ装着部分にピペットチップ33が装着されたところで、培地交換制御部はモータ49の作動を停止して、その後モータ49を逆回転方向に作動させて交換ステージ35を上昇動作前の位置まで下降させる。これにより、チップラック37に収納されていたピペットチップ33は吸引ノズル31に装着される。
【0049】
次に、装着されたピペットチップ33を吸引ノズル31から取り外す動作について説明する。吸引ノズル31からピペットチップ33を取り外すには、交換ステージ35に備えられたチップリムーバー39が用いられる。本実施形態の培地交換装置30が備えるチップリムーバー39は、空洞の円筒状の部材の上面カバー部分に、ピペットチップ33の径よりも大きい丸穴と、吸引ノズル31のチップ装着部分の径よりも大きくピペットチップ33の径よりも小さい長穴が連結された形状の抜き孔を有している。
【0050】
培地の吸引が終了した後、培地交換制御部はステージ移送部44を作動させてチップリムーバー39の大きい丸穴部分を吐出ノズル27の直下位置まで移動させる。次に培地交換制御部はZ軸駆動機構44cを作動させて、目的のピペットチップ33をチップリムーバー39の中に挿入して、次いでチップリムーバー39を水平方向に移動させて、吸引ノズル31のチップ装着部分を板部材の長穴部分まで移動させる。ここで、培地交換制御部はZ軸駆動機構44cを作動させてチップリムーバー39を下降させることで、ピペットチップ33を長穴部分に係合させて吸引ノズル31からピペットチップ33を取り外す。取り外されたピペットチップ33は、チップリムーバー39の下方に設けられたチップボックス40内に収容される。ピペットチップ33の除去が終了すると、培地交換制御部は吸引ノズル31先端部に新たなピペットチップ33を装着するために、ステージ移送部44を作動させてチップラック37を吸引ノズル31に向かって移動させる。このようにして、本実施形態の培地交換装置30は試料の吸引吐出、使い捨てのピペットチップ33の交換を自動的に行うことが出来る。なお、前述したように、吐出ノズル29もピペットチップ33の装着が可能な形状とすることも可能である。
【0051】
なお、本実施形態の培地交換装置30が備える吐出ノズル27の材質は、熱伝導性の高い金属性とすることが望ましく、特にオートクレーブ滅菌や過酸化水素ガス滅菌に耐えることが出来るステンレススチール製とすることで、滅菌処理後も繰り返し使用することが出来る。また、吸引ノズル31は、梁部材32に対して容易に着脱が出来るようネジ留めされている。また、ピペットチップ33の装着と脱着が繰り返し行われるので、吸引ノズル31の材質はピペットチップ33よりも固い金属製とすることが望ましい。特に、オートクレーブ滅菌や過酸化水素ガス滅菌に耐えることが出来るステンレススチール製とすることで、滅菌処理後も繰り返し使用することが出来る。また、吸引ノズル31の滅菌処理を行う際には、吸引ノズル31と接続される培地排出用のチューブ34は、吸引ノズル31と共に滅菌処理されるか、もしくは廃棄され新しいチューブ34に交換されることが望ましい。さらに、古い培地を吸引する公知のポンプに代えて、本発明の吸引吐出装置2と吸入吐出アッセンブリー48を使用することとすれば、汚染が発生しても、汚染されたアッセンブリーを廃棄して新たなアッセンブリーを装着することで容易に汚染部分を除去することが出来る。
【0052】
上記した様に、本発明の吸入吐出装置2を用いた装置の一つの実施形態として培地交換装置30を説明したが、培地交換装置30以外に、創薬スクリーニング分野やバイオテクノロジー分野等において、物質の生化学反応テストなどの各種試験のために用いられる分注装置53にも用いることが出来る。
図14は本発明の吸入吐出装置2を備える他の実施形態である分注装置53を示す斜視図である。
本実施形態の分注装置53には、使い捨てのピペットチップ33を多数収納するチップラック37と、試験のために用いられる試料を貯留する試料容器54と、複数の反応ウェルが形成された反応容器55が位置決め部材によって所定の位置に載置される分注ステージ56と、試料容器54から試料を吸引して反応容器55の所定の反応ウェルに吐出する分注ノズル57と、分注ノズル57をX方向、Y方向、Z方向に移動させるノズル移送部58と、試料の分注を終えたピペットチップ33を除去するためのチップリムーバー39と、チップリムーバー39の下方に配置され、チップリムーバー39によって除去されたピペットチップ33と廃液を収容するチップボックス40が備えられている。
【0053】
分注装置53が備える吸入吐出装置2は、チューブ9を介して分注ノズル57に接続されていて、シリンジポンプ18の往復動作により、試料容器54内の試料を吸入して反応容器55の各ウェルに吐出する。ノズル移送部58は、分注ノズル57をY軸方向に水平移送するY軸駆動機構59と、Y軸駆動機構59に支持されて分注ノズル57をX軸方向に水平移送するX軸駆動機構60と、X軸駆動機構60に支持されて分注ノズル57をZ軸方向(鉛直方向)に昇降移送するZ軸駆動機構61とで構成されている。各駆動機構58、59、60は図示しない駆動源を備えていて、分注ノズル57はこれらの駆動源によりX方向、Y方向、及びZ方向に移動可能となっている。なお、本実施形態の分注装置53が備える不図示の各駆動源には回転軸の角度制御が可能なステッピングモータが使用されていて、予め教示された所定の位置に精度良く移動することが出来る。また、これらの駆動源及び吸入吐出装置2の動作は、分注制御部(図示していない。以下同じ)から送信される動作信号によって制御される。
【0054】
また、本実施形態に備えられる吸入吐出装置2の吸入側チューブ8の基端部は圧力伝達水を貯留する圧力伝達水タンク62に連結されている。圧力伝達水とは、本実施形態が備える吸入吐出装置2により吸引吐出される液体であり、分注動作を行う際のシリンジポンプ18の動作により発生する圧力を分注ノズル57へと伝達するための液体である。主としてイオン交換水や電解水、純水等の機能水が使用される。ここで、新たな吸入吐出アッセンブリー48が設置されると、試料分注前の準備動作として、吸引吐出装置2が備えるシリンジポンプ18を作動させて各チューブ8、9、分注ノズル57、及び、分注ノズル57に装着されたピペットチップ33の内部に圧力伝達水を充填する動作が行われる。
【0055】
圧力伝達水を充填する動作は、まず分注制御部が、吸入側チューブ8を開放して吐出側チューブ9を閉止する位置までローター4を回転移動させ、その後、シリンジポンプ18のピストン部23を後退動作させて圧力伝達水を圧力伝達水タンク62から吸入する。次に、吐出側チューブ9を開放して吸入側チューブ8を閉止する位置までローター4を回転移動させ、その後、シリンジポンプ18のピストン部23を前進動作させてチューブ8、9と、シリンジポンプ18内に充満している空気を排出する。その後、上記動作を繰り返すことで吸入吐出装置2の配管系統内に圧力伝達水を充満させる。
【0056】
次に、本実施形態の分注装置53が行う分注動作について説明する。分注動作を開始する前に、分注制御部は、吸入吐出装置2のシリンジポンプ18のピストン部23を後退移動させて、圧力伝達水が充満しているピペットチップ33先端から空気を所定量吸引する(
図15(a)を参照)。これは圧力伝達水と試料の混合を防止するための処置であり、空気の吸引量はシリンジポンプ18のピストン部23を動作させるモータ19の動作量によって管理される。なお、この動作を行う際、分注制御部はモータ12を作動させて、吸引側チューブ8を閉止し、且つ吐出側チューブ9を開放する位置まで、吸入吐出装置2のローター4を回転移動させておく。次に分注制御部は、ノズル移送部58を動作させて、空気を吸引した状態のピペットチップ33を装着した分注ノズル57を試料容器54の真上まで移送した後、ピペットチップ33の先端が試料容器54に貯留されている試料内に入り込む位置まで下降させる。その後、シリンジポンプ18のモータ19を作動させてピストン部23を後退させ、試料を所定量吸入する。試料の吸入が完了すると、分注装置53はノズル移送部58を動作させて、ピペットチップ33を試料容器54の上方まで上昇移動させる。次に分注制御部は、再び吸入吐出装置2のシリンジポンプ18のピストン部23を後退移動させて、ピペットチップ33先端から空気を所定量吸引する。そして、ピペットチップ33の先端が試料容器54に貯留されている試料内に潜り込むまで下降させる。その後、モータ19を作動させてピストン部23を後退させ、試料を所定量吸入する。分注制御部はこの動作を予め設定された回数繰り返し行う。これにより、ピペットチップ33内には、
図15(b)に示すように、一定量の空気の層で分離された一定量の試料の領域が複数形成される。
【0057】
次に分注制御部は、所定の反応容器55の上方までピペットチップ33を移送させて、反応容器55に形成された所定の反応ウェル内にピペットチップ33の先端を下降させる。下降動作が完了すると分注装置53は、シリンジポンプ18のモータ19を作動させて、反応ウェルの中に一領域分の試料を供給する。一つの反応ウェルへの供給が終了すると、分注制御部はノズル移送部58と吸入吐出装置2を作動させて、次の反応ウェルに対して上記の供給動作を吸入した試料を供給する動作を繰り返し行う。
【0058】
ここで、分注装置53においても分注ノズル57に装着されているピペットチップ33を交換する場合がある。例えば、種類の異なる細胞懸濁液の播種やピペッティング、継体作業に関連するトリプシン処理やリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の濃縮やこのPBSを使った細胞洗浄といった作業では、他の検体との混合を防止するためにピペットチップ33の交換が行われる。ピペットチップ33の交換動作は前述した説明と同様に、チップリムーバー39でピペットチップ33が取り外され、チップラック37の新しいピペットチップ33の装着が行われる。
【0059】
新たなピペットチップ33の装着が完了すると、分注制御部は、ノズル移送部58を作動させてピペットチップ33を装着した分注ノズル57をチップリムーバー39の上方まで移動させ、吸入吐出装置2のシリンジポンプ18を作動させて、新たに装着したピペットチップ33内に圧力伝達水を充填させた後、圧力伝達水と試料との混合を防止するために空気を所定量吸引する。次に、試料を吸入するためにノズル移送部58を作動させて分注ノズル57とピペットチップ33を試料容器54に向かって移動させる。このようにして、本実施形態の分注装置53は、使い捨てのピペットチップ33の交換と、試料の吸入、吐出を連続して行うことにより、自動的に大量の試料の正確な分注作業を行うことが出来る。
【0060】
なお、本実施形態の分注装置53では、分注ノズル57を1つ備えているが、複数の分注ノズル57を備えることも可能である。その場合には、分注対象となる容器29に格子状に配列されるウェルの数、及びウェルの離間距離に合せて、複数の分注ノズル57の試料の吸入と供給動作が同時に効率的に行えるように分注ノズル57を配置することが望ましい。また複数の分注ノズル57のピペットチップ33を同時に効率的に交換できるように、複数の分注ノズル57の位置に合せて、チップリムーバー39及びチップラック37を配置することが望ましい。さらに、1つの分注ノズル57に対して1つの吸入吐出装置2を備えるようにしておけば、各分注ノズル57に対する分注量を正確に制御することが出来る。上記構成とすることで、分注量の精度を悪化させることなく、分注作業の時間を短縮することが出来る。
【0061】
次に、本発明の吸入吐出装置2を備える培地交換装置30と容器29の搬送機構64を備える培養装置63とを組み合わせた自動培養システム65について説明する。
図16は本実施形態の自動培養システム65を示す断面図である。培養装置63は一般的にインキュベータとも呼ばれるもので、培養や検査の対象となる多数の試料を収容する容器29を保管する恒温室66に温度や湿度、二酸化炭素濃度等の環境条件を維持する公知の手段を備えたものである。本実施形態の自動培養システム65が備える培養装置63には、不図示の環境維持のための機器に加え、複数の棚段の夫々に容器29を載置する容器ラック67と、この容器ラック67を放射状に複数載置して回転移動させるラックステージ68と、このラックステージ68を水平面内で回転させて移動させるステージ駆動部69とを備えている。ステージ駆動部69の駆動源は回転軸の正確な角度制御が可能なステッピングモータが用いられる。更に、本実施形態の自動培養システム65が備える培養装置63には、容器29の搬入と搬出を行うための開口部を遮蔽する複数の遮蔽板70が備えられている。なお、本実施形態の培養装置63は、恒温室66の外部に配置されるステージ駆動部69の回転駆動力を恒温室66の内部に配置されるラックステージ68に磁力により伝達するマグネットカップリング機構が備えられている。なお、本実施形態の自動培養システム65を無菌環境に維持されるクリーンブース内に配置することで、コンタミネーションをより高度に防止することが出来る。特に、最大の汚染源である人体が介在することなく自動で培養することが出来るので、クリーンブース内に配置することは特に有効である。
【0062】
本実施形態の自動培養システム65が備える搬送機構64は、容器29を下方から支持するフィンガ71と、フィンガ71を支持して前後方向所定の位置まで移送するフィンガ駆動部72を備えている。フィンガ駆動部72は、フィンガ71を支持して、不図示のガイドに沿ってフィンガ71を図の左右方向、即ち前進及び後退方向に進退移動させる進退駆動部72aと、進退駆動部72aを支持して旋回移動させる旋回駆動部72bと、旋回駆動部72bを支持して、鉛直方向に延在するガイド73に沿って旋回駆動部72bを鉛直方向に昇降移動させる昇降駆動部72cとから構成されている。昇降駆動部72cは、培養装置63の上方に載置された培地交換装置30の容器ステージ36上に載置された容器29に対してフィンガ71がアクセス可能な位置まで旋回駆動部72bを昇降移動させることが出来る。また、フィンガ駆動部72の各駆動部には駆動源として回転軸の正確な角度制御が可能なステッピングモータが用いられている。この構成により、フィンガ駆動部72及びステージ駆動部69は、不図示の制御装置から送信される動作指令によりフィンガ71及びフィンガ71に支持される容器29を、自動培養システム65内の予め制御装置に記憶させた所定の棚段まで移送することが出来る。
【0063】
また、昇降駆動部72cには、遮蔽板70に形成された係合孔に係合して遮蔽板70を開閉動作させるための係合機構74が備えられている。係合機構74は、昇降駆動部72cのフィンガ71よりも上方の位置に固定されて、遮蔽板70に形成された係合孔に係合する係合ピンを備えている。係合機構74はこの係合ピンを進退移動させる機構を有しており、進退移動させる機構の駆動源には、係合ピンの繰り出し量が調整出来るステッピングモータが備えられている。遮蔽板70を開けるには、まず昇降駆動部72cが所定の位置まで昇降移動して、その後係合機構74が遮蔽板70の係合孔に向かって係合ピンを前進させる。係合ピンが係合孔に挿入され、係合機構74と遮蔽板70が係合されると、昇降駆動部72cが上昇移動して、係合した遮蔽板70とその遮蔽願70よりも上に配置された遮蔽板70を持ち上げることで、フィンガ71が容器ラック67にアクセスすることが出来る開口を発現させる。フィンガ71の容器ラック67へのアクセスが終了すると、昇降駆動部72cが下降移動して開口を閉鎖した後、係合機構74が係合ピンを元の位置まで後退させる。なお、フィンガ71が容器ラック67にアクセスするとは、フィンガ71が保持している容器29を容器ラック67の所定の棚段に載置する動作、若しくは、容器ラック67の所定の棚段に載置された容器ラック67をフィンガ71が下方から持ち上げて恒温室66の外部へと搬出することを表している。
【0064】
次に、本実施形態の自動培養システム65の動作について説明する。培養装置63の恒温室66内に保管されている容器29の培地を交換するには、まず、搬送機構64が目的の容器29にアクセス出来るように、ステージ駆動部69が目的の容器29が遮蔽板70に対向する位置までラックステージ68を回転移動させる。次に、昇降駆動部72cと係合機構74が協働して対応する遮蔽板70を開く。その後、搬送機構64がフィンガ駆動部72を動作させて、フィンガ71上に容器29を支持して恒温室66の外に運び出した後、搬送機構が下降して遮蔽板70を閉じる。その後、搬送機構64は昇降駆動部72cを動作させて、フィンガ71が支持している容器29を培地交換装置30が備える容器ステージ36に載置することが可能な位置までフィンガ71を上昇させる。この時、培地交換装置30は、ステージ移送部44を作動させて、交換ステージ35上に配置された容器ステージ36をフィンガがアクセス可能な位置まで移動させる。容器ステージ36のアクセス可能な位置までの移動が終了すると、搬送機構64はフィンガ駆動部72を動作させてフィンガ71が支持する容器29を容器ステージ36上に載置させる。容器29の載置が完了すると、搬送機構64は培地交換装置30の培地交換動作が終了するまで待機する。なお、この後の培地交換装置30が行う培地交換動作は既に説明した動作と同じであるのでここでは省略する。
【0065】
培地交換が終了すると、培地交換装置30は再びステージ移送部44を作動させて、容器ステージ36上に載置された容器29にフィンガがアクセス出来る位置まで交換ステージ35移動させる。容器ステージ36のアクセス位置までの移動が完了すると、搬送機構64はフィンガ駆動部72を動作させて、容器ステージ36に載置される容器29を掬い上げるようにフィンガ71上に支持した後、所定の容器ラック67の所定の棚段に対応する位置まで下降する。その後、前回と同様に遮蔽板70を開け、恒温室66内に配置される所定の容器ラック67の所定の棚段に容器29を載置する。載置が終了すると、搬送機構を下降させて、持ち上げていた遮蔽板70を下降させることで開口部分を閉鎖して、搬送操作を終了する。また、試料の培養期間が終了すると、自動培養システム65は培養装置63と搬送機構64を動作させて、目的の容器29を恒温室66から搬出し、所定の受渡し位置まで容器29を搬送して次の工程へと受け渡す。
【0066】
上記説明のとおり、本実施形態の自動培養システム65を使用することで、培養中の細胞等に対して人手を使うことなく培地交換作業が自動化できるので、作業者の負担を低減することが出来る。また、人手を介さないことでコンタミネーションを防止することが可能になる。さらに、機械的に定量の培地交換が確実に行われるので、培地交換作業に起因する各試料の育成状況に差異が発生することが無く、安定した培養を行うことが出来る。なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。