特許第6854769号(P6854769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6854769熱変形低減用の電気機械システム基板アタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854769
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】熱変形低減用の電気機械システム基板アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   H01H 59/00 20060101AFI20210329BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20210329BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20210329BHJP
   H01H 49/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H01H59/00
   B81B3/00
   B81C1/00
   H01H49/00 Z
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-544877(P2017-544877)
(86)(22)【出願日】2016年2月2日
(65)【公表番号】特表2018-512703(P2018-512703A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016016075
(87)【国際公開番号】WO2016140752
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2019年1月11日
(31)【優先権主張番号】14/634,981
(32)【優先日】2015年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】エイミ,マルコ・フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】リン,イーツェン
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−119249(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0155202(US,A1)
【文献】 特開2012−134144(JP,A)
【文献】 特開2011−091029(JP,A)
【文献】 特表2014−517773(JP,A)
【文献】 特表2015−501069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 59/00
B81B 3/00
B81C 1/00
H01H 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(108)と、
前記基板(108)に形成されたスイッチ構造(100)とを備え、前記スイッチ構造(100)は、
前記基板(108)に形成された導電性接点(102)と、
前記基板(108)に結合された自己補償アンカー構造(106)と、
第1の端部および第2の端部を備え、前記第1の端部で前記自己補償アンカー構造(106)と一体化され、前記自己補償アンカー構造(106)から直交して延び、前記第2の端部が前記導電性接点(102)の上に配置された片持ち部分(104a)を備えるように前記基板(108)上に懸架された梁(104)とを備え、
前記梁(104)の前記片持ち部分(104a)は、前記基板(108)に対して引き出し角を有するように前記基板(108)と前記スイッチ構造(100)との間の不整合歪みが生じている間に変形を起こし、
前記自己補償アンカー構造(106)は、前記アンカーを湾曲させて前記片持ち部分(104a)の前記引き出し角を補償するように前記片持ち部分(104a)に直交して前記不整合歪みの一部を誘導し、
前記片持ち部分(104a)が、前記自己補償アンカー構造(106)における前記基板(108)と垂直な面から、前記基板(108)に対して引き出し角を有するように接続され、
前記自己補償アンカー構造(106)が、前記梁(104)を前記基板(108)に機械的に接続する成形アンカー接続部(126)を備え、
前記梁(104)に直交する前記成形アンカー接続部(126)の断面が、前記梁(104)構造を前記基板(108)に機械的に接続する前記成形アンカー接続部(126)の2つ以上の領域(128,130)を通過する、
マイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチ(109)。
【請求項2】
前記成形アンカー接続部(126)が、C字型アンカー接続部(126)およびV字型アンカー接続部(146)のうちの1つとして形成される、請求項に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項3】
前記梁(104)が、前記自己補償アンカー構造(106)から第1の方向に延びる第1の梁(104)を備え、
前記スイッチ構造(100)が、前記自己補償アンカー構造(106)と一体化された第2の梁(140)をさらに備え、前記第2の梁(140)が、前記自己補償アンカー構造(106)から前記第1の梁(104)が延びる前記第1の方向とは反対の第2の方向に延びる、請求項に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項4】
前記成形アンカー接続部(126)が、I字型アンカー接続部(144)およびX字型アンカー接続部(146)のうちの1つとして形成される、請求項に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項5】
前記自己補償アンカー構造(106)が、前記梁(104)を前記基板(108)に機械的に接続する2つ以上の別個のアンカー接続部(148,150)を備え、前記2つ以上の別個のアンカー接続部(148,150)が、前記片持ち部分(104a)に直交して前記不整合歪みの部分を誘導して前記アンカーを湾曲させて前記片持ち部分(104a)の前記引き出し角を補償するように自己補償アンカー構造(106)上にサイズ決めされ、位置決めされ、角度付けされる、請求項1に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項6】
前記片持ち部分に直交して誘導された前記不整合歪みが、前記片持ち部分の長さの20%未満に及ぶ、請求項1に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項7】
前記片持ち部分(104a)に直交して誘導された前記不整合歪みの部分が、前記片持ち部分(104a)を非偏向または非変形位置に引き戻すように、前記基板(108)に垂直な歪みの勾配を発生させる、請求項に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項8】
前記自己補償アンカー(106)によって提供される前記片持ち部分(104a)に直交する前記不整合歪みの部分が、ポアソン比によって動作する、請求項に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項9】
前記梁(104)の前記片持ち部分(104a)の前記変形が、前記基板(108)と前記スイッチ構造(100)との間の熱膨張係数(CTE)から生じる熱的に誘発された変形を含む、請求項1に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項10】
前記梁(104)は、クリープ抵抗性材料で形成され、前記クリープ抵抗性材料は、Ni系および/またはCo系超合金を含む超合金、Ni−W合金、Ni−Mn合金、Niおよび/またはCoを含有する金、W、金属間化合物、固溶体および/または第2の相強化をし易い材料、または塑性変形を抑制する結晶構造を有する材料からなる、請求項1に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項11】
前記スイッチ構造(100)および前記基板(108)が、ウェハレベル接合パッケージを備え、前記ウェハレベル接合パッケージを形成して前記基板(108)と前記スイッチ構造(100)との間に前記不整合歪みを引き起こし、前記梁(104)の前記片持ち部分(104a)を変形させて前記引き出し角を生じさせるアニーリングが実施される、請求項1に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項12】
マイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチ(109)を製造する方法であって、
基板(108)を設けることと、
ウェハレベル接合プロセスを介して前記基板(108)にスイッチ構造(100)を形成することとを含み、前記スイッチ構造(100)を形成することは、
前記基板(108)に導電性接点(102)を形成することと、
自己補償アンカー構造(106)を形成することと、
前記基板(108)および前記導電性接点(102)に対して片持ち梁(104)を位置決めするために前記自己補償アンカー構造(106)に前記片持ち梁(104)を取り付けることであって、前記片持ち梁(104)は、前記自己補償アンカー構造(106)の反対側のその端部に片持ち部分(104a)を備える、取り付けることとをさらに含み、
前記自己補償アンカー構造(106)は、前記片持ち梁(104)の前記片持ち部分(104a)に直交して配置され、前記片持ち部分(104a)は、前記基板(108)から離間して前記導電性接点(102)の上に配置されるように延び、
前記MEMSスイッチ(109)の接合を達成するために前記基板(108)および前記スイッチ構造(100)にアニーリングプロセスを実行し、
前記梁(104)の前記片持ち部分(104a)は、前記片持ち部分(104a)が前記基板(108)に対して引き出し角を有するように前記基板(108)と前記スイッチ構造(100)との間の不整合歪みに影響して前記アニーリングプロセス中に変形を起こし、
前記自己補償アンカー構造(106)は、前記アンカー構造を湾曲させて前記片持ち部分(104a)の前記引き出し角を補償するように前記片持ち部分(104a)に直交する前記不整合歪みに起因する歪みの一部を誘導し、
前記片持ち部分(104a)が、前記自己補償アンカー構造(106)における前記基板(108)と垂直な面から、前記基板(108)に対して引き出し角を有するように接続され、
前記自己補償アンカー構造(106)を形成することが、前記基板(108)に成形アンカー接続部(126)を形成することを含み、前記成形アンカー接続部(126)が、前記片持ち梁(104)の長手方向軸(132)を中心に対称である形状の単一の一体型の構造を備え、
前記成形アンカー接続部(126)が、C字型アンカー接続部およびV字型アンカー接続部のうちの1つを備える、
方法。
【請求項13】
前記自己補償アンカー構造(106)に前記片持ち梁(104)を取り付けることが、
第1の片持ち梁(104)が前記自己補償アンカー構造(106)から第1の方向に延びるように前記自己補償アンカー構造(106)に前記第1の片持ち梁(104)を取り付けることと、
第2の片持ち梁(140)が前記自己補償アンカー構造(106)から前記第1の方向とは反対の第2の方向に延びるように前記自己補償アンカー構造(106)に前記第2の片持ち梁(140)を取り付けることとを含み、
前記成形アンカー接続部(126)が、I字型アンカー接続部(144)およびX字型アンカー接続部(146)のうちの1つを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記自己補償アンカー構造(106)によって提供される前記片持ち部分(104a)に直交する前記歪みが、ポアソン比によって動作する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
基板(108)と、
前記基板(108)に形成されたスイッチ構造(100)とを備え、前記スイッチ構造(100)は、
前記基板(108)に形成された導電性接点(102)と、
前記基板(108)に結合されたアンカー構造と、
前記アンカー構造と一体化され、そこから直交して延び、前記基板(108)上に懸架されて前記導電性接点(102)の上に配置された片持ち部分(104a)を備える梁(104)とを備え、
前記アンカー構造は、熱的に誘発された引き出し角変形を受けたときに前記片持ち部分(104a)が偏向されないままにする自己補償アンカー構造(106)を備え、
前記梁(104)の前記片持ち部分(104a)は、前記基板(108)に対して引き出し角を有するように前記基板(108)と前記スイッチ構造(100)との間の不整合歪みが生じている間に変形を起こし、
前記自己補償アンカー構造(106)は、前記アンカーを湾曲させて前記片持ち部分(104a)の前記引き出し角を補償するように前記片持ち部分(104a)に直交して前記不整合歪みの一部を誘導し、
前記片持ち部分(104a)が、前記自己補償アンカー構造(106)における前記基板(108)と垂直な面から、前記基板(108)に対して引き出し角を有するように接続され、
前記アンカー構造が、前記基板(108)に前記アンカー構造および前記梁(104)を機械的に接続する成形アンカー接続部(126)を含み、前記成形アンカー接続部(126)が、前記片持ち梁(104)の長手方向軸(132)を中心に対称である形状の単一の一体型の構造を備え、
前記成形アンカー接続部(126)が、C字型アンカー接続部およびV字型アンカー接続部のうちの1つを備える、
マイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチ(109)。
【請求項16】
前記梁(104)が、前記アンカー構造から第1の方向に延びる第1の梁(104)を備え、前記スイッチ構造(100)が、前記アンカー構造と一体化された第2の梁(140)をさらに備え、前記第2の梁(140)が、前記アンカー構造から前記第1の方向とは反対の第2の方向に延び、
前記成形アンカー接続部(126)が、I字型接続部(144)およびX字型アンカー接続部(146)のうちの1つを備える、請求項15に記載のMEMSスイッチ(109)。
【請求項17】
前記片持ち部分(104a)が、前記引き出し角変形を引き起こすように、前記基板(108)と前記スイッチ構造(100)との間の熱的に誘発された不整合歪みが生じている間に変形を起こし、
前記自己補償アンカー構造(106)が、前記アンカー構造を湾曲させて前記引き出し角変形を補償するように前記片持ち部分(104a)に直交して前記不整合歪みの一部を誘導する、請求項15に記載のMEMSスイッチ(109)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変形低減用の電気機械システム基板アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、マイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチに関し、より具体的には、MEMSスイッチとMEMSスイッチが搭載される基板との間の不整合歪みの影響を低減するアンカー設計を有するMEMSスイッチに関する。
【0003】
MEMSは、その最も一般的な形態において、微細加工の技術を使用して作製される小型の機械および電気機械要素(すなわち、デバイスおよび構造)として定義され得る技術である。MEMSデバイスの重要な物理的寸法は、寸法スペクトルの下側端部の1ミクロンよりずっと下から、数ミリメートルまでの範囲で変化し得る。同様に、MEMSデバイスのタイプは、移動要素を有さない比較的単純な構造から、集積マイクロエレクトロニクスの制御下にある複数の移動要素を有する非常に複雑な電気機械システムまで様々であり得、MEMSは、たとえば、しばしばリレーとして機能する(以下、「MEMSスイッチ」と呼ぶ)。
【0004】
MEMSスイッチに関して、MEMSスイッチの1つの主要な基準は、これらの要素が移動することができるかどうかにかかわらず、何らかの種類の機械機能を有する少なくともいくつかの要素があることである。したがって、MEMSスイッチは、一般に、基板(すなわち、「アンカー」)に固定された第1の端部と、片持ち接点を有する第2の自由端部とを有する片持ちのような可動部分を含む。MEMSスイッチが起動されると、片持ちは、片持ち接点を基板の上かつ片持ち接点の下の基板接点に対して移動させる。
【0005】
MEMSスイッチの望ましくない変形の問題は、MEMSスイッチを含む金属と半導体基板との間の熱膨張係数(CTE)の有意差に起因してしばしば発生し、基板は、たとえば、ハンドルウェハ、絶縁体層、デバイス層、金属誘電体スタック、およびパッシベーション層のような多数の層/材料を含むことが認識されている。MEMSスイッチを構成する金属のCTEは、半導体基板(たとえば、パッシベーション層を構成する絶縁体)のCTEの2〜7倍の範囲となることがある。室温(すなわち、25℃)では、CTEの差は問題を生じないが、MEMSスイッチの製造、組み立て、または動作中に、MEMSスイッチおよび基板構造の温度は300℃を超えることがあり、400℃〜700℃の温度も、用いられるウェハ接合プロセスに依存して珍しくない。
【0006】
MEMSスイッチが曝されるこれらの高温に影響して、MEMSスイッチの歪み状態が変化することがあり、歪み速度の変化は、CTEの不整合ならびに(ボイド減少、粒成長、エッチングなどのいくつかの影響による)MEMSフィルムのアニーリングによるものである。歪み速度の変化は、片持ちの回復可能なおよび回復不可能な変形をもたらし得、このような変形により、MEMSスイッチは大きさが非常に厳しい場合には機能しなくなる可能性がある。すなわち、片持ち接点と基板接点との接着は、MEMSスイッチの温度が低下する際に片持ち接点と基板接点との接触が離れるのを防止することがある。片持ち接点と基板接点との接触が離れないと、MEMSスイッチを組み込む製品の故障と共に、MEMSスイッチが故障してしまう。さらに、スイッチの恒久的な変形は、許容可能な動作範囲を超えてスイッチ性能が変化する可能性がある。
【0007】
この問題を解決するための従来の試みは、問題を最小にすることに集中していた。たとえば、1つの解決策は、片持ちの歪み誘発偏向を最小にするように、半導体基板に直接取り付けられたMEMSスイッチの領域のサイズを小さくすることであった。別の解決策は、片持ちの歪み誘発偏向を最小にするために、アンカーのサイズを小さくすることであった。しかし、このしたアンカーのサイズの縮小は、このようなサイズのアンカーを提供することが困難であるために、歩留まりの問題につながる可能性がある。
【0008】
したがって、MEMSスイッチの製造、組み立て、または動作中に発生する可能性がある片持ちの熱作動および変形に対して耐性のある構造を有するMEMSスイッチを提供することが望ましい。このようなMEMSスイッチは、歩留まり損失を最小にしながら低コストで製造可能であることがさらに望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/009035号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態は、その一方の端部にアンカーを有し、基板への2つの接続部を含む片持ちを有するMEMSスイッチに関する。これらのアンカー接続部は、基板に対して歪みがある場合、片持ちに直交する歪みが基板からアンカーの頂部までの歪み勾配を補償するのに十分なほどアンカーを湾曲させるように、片持ち梁に直交するように配向される。
【0011】
本発明の一態様によれば、MEMSスイッチは、基板と、基板に形成されたスイッチ構造とを含み、スイッチ構造は、基板に形成された導電性接点と、基板に結合された自己補償アンカー構造と、第1の端部および第2の端部を備え、第1の端部で自己補償アンカー構造と一体化され、自己補償アンカー構造から直交して延び、第2の端部が導電性接点の上に配置された片持ち部分を備えるように基板上に懸架された梁とをさらに含む。梁の片持ち部分は、基板に対して引き出し角を有するように基板とスイッチ構造との間の不整合歪みの間に変形を起こし、自己補償アンカー構造は、アンカーを湾曲させて片持ち部分の引き出し角を補償するように片持ち部分に直交して不整合歪みの一部を誘導する。
【0012】
本発明の別の態様によれば、MEMSスイッチを製造する方法は、基板を設けることと、ウェハレベル接合プロセスを介して基板にスイッチ構造を形成することとを含む。スイッチ構造を形成することは、基板に導電性接点を形成することと、自己補償アンカー構造を形成することと、基板および導電性接点に対して片持ち梁を位置決めするために自己補償アンカー構造に片持ち梁を取り付けることであって、片持ち梁は、自己補償アンカー構造の反対側のその端部に片持ち部分を備える、取り付けることとをさらに含み、自己補償アンカー構造は、片持ち梁の片持ち部分に直交して配置され、片持ち部分は、基板から離間して導電性接点の上に配置されるように延びる。方法はまた、MEMSスイッチの接合を達成するために基板およびスイッチ構造にアニーリングプロセスを実行することを含む。梁の片持ち部分は、片持ち部分が基板に対して引き出し角を有するように基板とスイッチ構造との間の不整合歪みに影響してアニーリングプロセス中に変形を起こし、自己補償アンカー構造は、アンカー構造を湾曲させて片持ち部分の引き出し角を補償するように片持ち部分に直交する不整合歪みに起因する歪みの一部を誘導する。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、MEMSスイッチは、基板と、基板に形成されたスイッチ構造とを含み、スイッチ構造は、基板に形成された導電性接点と、基板に結合されたアンカー構造と、アンカー構造と一体化され、そこから直交して延び、基板上に懸架されて導電性接点の上に配置された片持ち部分を備える梁とをさらに含む。アンカー構造は、熱的に誘発された引き出し角変形を受けたときに片持ち部分が偏向されないままにする自己補償アンカー構造を備える。
【0014】
様々な他の特徴および利点が、以下の詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【0015】
図面は、本発明を実施するために現在企図されている実施形態を示している。
【0016】
図面の説明は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】例示的な実施形態に従って構成されたMEMSスイッチの概略斜視図である。
図2図1のMEMSスイッチの概略側面図である。
図3図1のMEMSスイッチの概略部分斜視図である。
図4】開位置にある図1のMEMSスイッチの概略側面図である。
図5】閉位置にある図1のMEMSスイッチの概略側面図である。
図6】本発明の一実施形態による、アンカー接続部がその上に形成されている図1のMEMSスイッチのアンカー構造のより詳細な斜視図である。
図7】本発明の一実施形態による、アンカー接続部がその上に形成されている図1のMEMSスイッチのアンカー構造のより詳細な斜視図である。
図8図1の片持ち梁の歪みマップを示す図である。
図9図1の片持ち梁のアンカーの歪みマップを示す図である。
図10】本発明の一実施形態による、アンカー構造に取り付けられた二重片持ち梁を有するスイッチ構造の斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による、アンカー構造に取り付けられた二重片持ち梁を有するスイッチ構造の斜視図である。
図12】本発明の一実施形態による、アンカー構造に取り付けられた片持ち梁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、一方の端部に自己補償アンカー構造を有する片持ちを有するMEMSスイッチを提供する。自己補償アンカー構造は、基板に対して歪みがある場合、片持ちに直交する歪みが基板からアンカーの頂部までの歪み勾配を補償するのに十分なほどアンカーを湾曲させるように配向される。
【0019】
図1〜3を参照すると、例示的な実施形態に従って構成されたスイッチ構造100のいくつかの図が示されている。例示的なスイッチ構造100は、導電性材料(たとえば、金属)を少なくとも部分的に備える接点102を含む。スイッチ構造100はまた、導電性材料(たとえば、金属)を備える、片持ち梁104として示される導電性要素を含む。梁104の片持ち部分104aは、接点102上に延びる。いくつかの実施形態では、導電性要素は、たとえば、梁104の保護(および場合によっては非導電性)コーティングまたは接点102と接触するように意図された梁の部分に沿って配置された接点パッドのような他の特徴部を含んでもよい。梁104は、そこから片持ち部分104aが延び、梁104と一体化することができるアンカー構造106によって支持される。アンカー構造106は、梁104の片持ち部分104aを、図示の基板108のような下にある支持構造に接続する働きをする。図1図3に示すスイッチ構造100の実施形態では、接点102とアンカー構造106の両方が、従来の微細加工技術(たとえば、電気めっき、蒸着、フォトリソグラフィ、湿式および/または乾式エッチングなど)を用いて基板108に形成される。
【0020】
スイッチ構造100は、マイクロ電気機械もしくはナノ電気機械デバイスまたはマイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチ109の一部を構成することができる。たとえば、接点102および梁104は、数ナノメートルもしくは数マイクロメートル、または数10ナノメートルもしくは数10マイクロメートルのオーダーの寸法を有することができる。一実施形態では、梁104は108-1以上の表面積対体積比を有してもよく、別の実施形態では、103-1に近い比でもよい。
【0021】
たとえば、様々な構成要素間の電気的接続を提供するように働く金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)およびパターン化導電層(図示せず)を含む集積回路が基板108に形成されてもよい。このようなパターン化導電層はまた、接点102および梁104への電気的接続(たとえば、アンカー構造106を介した後者への接続部)を提供することができ、これらの接続は、図1および図2に概略的に示され、以下で説明される。半導体デバイスおよび導電層は、スイッチ構造100の特徴部と同様に、従来の微細加工技術を使用して製造することもできる。一実施形態では、基板108は、1つまたは複数のMOSFETを含むように処理された単結晶半導体ウェハの一部であってもよく、スイッチ構造100および他の回路が、ウェハの表面に形成される。スイッチ構造100は、MOSFETの1つの上に(たとえば、ウェハの表面に垂直な線に沿って)配置されてもよく、MOSFETと共に動作可能とすることができ、スイッチ構造100および基板108は、ウェハレベル接合を介して形成される。スイッチ構造100は、スイッチ構造100の周りにウェハレベルパッケージ(WLP)を構成する1つまたは複数の封止層(図示せず)によって封止されてもよく、封入層は、一般に不活性ガスで満たされるスイッチ構造100の周りの実質的に気密封止された空洞を形成する。
【0022】
さらに図4および図5を参照すると、梁104は、梁が離間距離dだけ接点102から離れる図4に示す第1の非接触すなわち「開」位置と、梁が接点102と電気的に接触する図5に示す第2の接触すなわち「閉」位置の間で選択的に移動可能に構成することができる。たとえば、梁104は、梁が非接触位置に自然に配置される(すなわち、外部から加えられる力がない)ように、接触位置と非接触位置との間を移動するときに変形を起こすように構成することができ、その中に機械エネルギーを蓄積しながら接触位置を占めるように変形し得る。他の実施形態では、梁104の非変形構成が、接触位置であってもよい。
【0023】
スイッチ構造100はまた、適切に帯電されたときに電極と梁104との間に電位差を提供する電極110を含むことができ、その結果梁を電極に向かって、かつ接点102に対して引っ張る静電気力が生じる。電極110に十分な電圧を加えると、静電気力が梁104を変形させ、それによって梁を図4に示す非接触(すなわち、開または非導電)位置から図5に示す接触(すなわち、閉または導電)位置に変位させる。したがって、電極110は、スイッチ構造の開閉を制御するように働く電極110に加えられる電圧(「ゲート電圧」と呼ばれる)を用いて、スイッチ構造100に対して「ゲート」として作用することができる。電極110は、ゲート電圧VGが電極110に選択的に加えられ得るように、ゲート電圧源112と連通することができる。
【0024】
接点102および梁104は、回路114の構成要素である。例示的な回路114は、互いに切断されたときに、(側の一方のみが電源120に接続されるように)互いに対して異なる電位にある第1の側116および第2の側118を有する。接点102および梁104は、回路114の側116,118のいずれかにそれぞれ接続することができ、第1および第2の位置の間の梁の変形がそれぞれ通過し、流れる電流を遮断するように作用する。梁104は、スイッチ構造100が利用される用途によって決定される周波数(均一または不均一のいずれか)で接点102との接触および非接触を繰り返して移動することができる。接点102と梁104が互いに分離される場合、接点と梁との間の電圧差は、「スタンドオフ電圧」と呼ばれる。
【0025】
一実施形態では、梁104は、電源120と(たとえば、アンカー構造106を介して)連通することができ、接点102は、負荷抵抗RLを有する電気負荷122と連通することができる。電源120は、電圧源または電流源として動作することができる。梁104は電気接点として作用し、梁が接触位置にあるときに電源120から梁104を介して、接点102および電気負荷122に負荷電流(たとえば、約1mA以上の振幅および約1kHz以下の発振周波数を有する)が流れることを可能にし、または梁が非接触位置にあるときに電気経路を分断し、電源から負荷への電流の流れを防止する。上述した電流およびスイッチング周波数は、比較的高い電力分配用途において利用することができる。スイッチ構造100が(比較的低電力で動作することが多い)シグナリング状況で利用される用途のような他の実施形態では、電源120は、1kHzより大きい発振周波数で、100mA以下(および1mA程度まで)の大きさを有する電流を供給することができる。
【0026】
上述したスイッチ構造100は、回路全体の電流および電圧容量を増加させるために、設計が類似するまたは異なる他のスイッチ構造を含む回路の一部として利用することができる。このようなスイッチ構造は、スイッチ構造が開いているときのスタンドオフ電圧の均一な分布、およびスイッチ構造が閉じているときの電流の均一な分布を促進にするように、直列または並列に構成することができる。
【0027】
MEMSスイッチ109は、その製造および動作中に極端な温度範囲で熱サイクルを受けることが認識されている。たとえば、MEMSスイッチ109の製造、組み立て、および/または動作中に、MEMSスイッチ109の温度は、ウェハレベル接合プロセスの一部として実行されるアニーリングステップの間のように、25℃から300℃(たとえば、400℃)を超える範囲となり得る。MEMSスイッチ109がこの温度範囲に曝されると、スイッチ構造の歪み状態の変化に起因する、スイッチ構造100の、すなわち片持ち梁104の望ましくない変形の問題を引き起こす可能性がある。歪み速度の変化は、MEMSスイッチ109における材料間のCTEの有意な差異、ならびに(ボイド減少、粒成長、エッチングなどのいくつかの影響による)基板108のアニーリングに起因することがあり、片持ち梁104の回復可能なおよび回復不可能な変形を引き起こす歪み速度の変化により、スイッチ構造100は大きさが非常に厳しい場合には機能しなくなる可能性がある。
【0028】
基板108とスイッチ構造100との間の不整合歪みの影響を低減するために、本発明の実施形態は、不整合歪みに起因する片持ち梁104の典型的な引き出し角変形を補償する三次元変形構造、すなわち、自己補償アンカー構造を有するアンカー構造106を有するスイッチ構造100を提供する。再び図1を参照し、図6をさらに参照すると、スイッチ構造100のアンカー構造106が、例示的な実施形態に従ってより詳細に示されている。図1および図6に示すように、アンカー構造106は、アンカー構造106が梁104の片持ち部分104aに直交して配向するように、片持ち梁104に形成され/取り付けられる。アンカー構造106は、アンカー構造106および片持ち梁104が基板108に機械的に接続される1つまたは複数のアンカー接続部126をその上に含む。例示的な実施形態によれば、1つまたは複数のアンカー接続部126は、概して成形アンカー接続部として説明することができる単一の/一体型の要素として設けられる。単一の成形アンカー接続部126は、片持ち梁104に直交する成形アンカー接続部126の断面が、成形アンカー接続部の2つ以上の領域を通過するように、すなわち、成形アンカー接続部がアンカー106/梁104を基板108に機械的に接続する少なくとも2つの別個の領域(概して128および130として示される)があるように構成される。さらに、単一の成形アンカー接続部126は、接続部が片持ち梁104の長手方向軸132を中心に対称となるようにアンカー構造106に形成されて配置される。
【0029】
図6の特定の実施形態を参照すると、アンカー接続部は、片持ち梁104の長手方向軸132を中心に対称であるC字型アンカー接続部126として構成される。しかし、代替の実施形態によれば、アンカー構造106のアンカー接続部134は、図7に示すように、片持ち梁104の長手方向軸132を中心に対称であるV字型アンカー接続部として構成することができる。これらの実施形態のいずれかにおいても、アンカー接続部126,134は、不整合歪みに起因する片持ち梁104の典型的な引き出し角変形を補償する自己補償アンカー構造としてアンカー構造106を作用させるようにする。すなわち、300℃を超える温度のような基板108とスイッチ構造100との間の不整合歪みの間、梁104の片持ち部分104aは、基板108に対して「引き出し角」を有するように変形を起こし、すなわち、z方向に基板108に向かって偏向する。片持ち部分104aの配向に直交する方向におけるアンカー接続部126,134のその一般的な配向に沿った構成は、引き出し角に直交する方向の歪み勾配を利用することによってこの引き出し角を補償するように機能する。この歪みは、梁104の片持ち部分104aを非偏向/非変形位置に効果的に引き戻すために、片持ち梁の金属のポアソン比、すなわち、軸方向の歪みに対する横方向の歪みの負の比によって作用する。すなわち、片持ち部分104aが基板108に対して歪んでいる(すなわち、不整合歪み)場合、歪みの一部が片持ち部分104aに直交するように誘導され、歪みのこの部分は、基板108からアンカー構造106の頂部までの歪み勾配を補償するのに十分なほどアンカー構造106を湾曲させる。言い換えれば、片持ち部分104aに直交して誘導された不整合歪みの部分は、片持ち部分104aを非偏向または非変形位置に引き戻すように、基板108に垂直な歪みの勾配を発生させる。例示的な実施形態によれば、片持ち部分104aに直交して誘導された歪みは、片持ち梁104の長さの20%未満に及び、歪みが延びるこの長さは、片持ち部分104aの偏向を防ぐのに十分である。したがって、自己補償アンカー構造としてのアンカー構造106の構成は、完全に自己補償する片持ち梁104をもたらし、これは、片持ち部分104aの引き出し角を引き起こすのと同じ歪みが、梁104を補償して水平に引っ張るためにも使用されることを意味する。
【0030】
次に図8および図9を参照すると、図6に示すように設けられたアンカー接続部126(すなわち、C字型アンカー接続部)に対して、片持ち梁104全体およびアンカー構造106が受ける歪みのレベル/大きさをそれぞれ図示する歪みマップ136,138が示されている。歪みマップ136,138は、アンカー構造106の近傍で最大量の歪みを受け、片持ち部分104aの遠位端部で最小量の歪みを受けることを示している。アンカー接続部126の近傍で受ける片持ち部分104aに直交する歪みは、基板108からアンカー構造106の頂部までの歪み勾配を補償するのに十分なほどアンカー構造106を湾曲させるので、片持ち部分104aを非偏向/非変形位置に引き戻す。
【0031】
次に図10および図11を参照すると、本発明の追加の実施形態による自己補償アンカー構造106を各々含むスイッチ構造100が示されている。図10および図11のスイッチ構造100は、同じアンカー構造106に取り付けられる2つの別個の片持ち梁104,140を各々含むように形成される。片持ち梁104,140は、第1の梁104がアンカー構造106から第1の方向に延び、第2の梁140がアンカー構造106から第1の方向とは反対の第2の方向に延びるように配置される。図10および図11には示されていないが、動作中、梁104,140の各々は、各梁の片持ち部分104a、140aが、第1の非接触すなわち「開」位置と第2の接触すなわち「閉」位置との間を移動するように、それぞれの接点に対して選択的に移動することが認識され、電極110は、図1に示され説明されたものと同様に、電極と梁104,140との間に電位差を提供し、梁を電極に向かって、かつ接点102に対して引っ張る静電気力を生成する。
【0032】
本発明の実施形態によれば、背中合わせに配置された2つの別個の片持ち梁104,140を含むスイッチ構造100において、アンカー構造106は、アンカー構造106のアンカー接続部を適切に成形することによって自己補償アンカー構造として機能することができる。すなわち、アンカー構造106には、片持ち梁104,140の長手方向軸132を中心に、かつ142で示されるアンカー構造の中間点を通過する片持ち梁に直交する軸を中心に対称である成形アンカー接続部が設けられる。本発明の例示的な実施形態によれば、成形アンカー接続部は、図10に示すようなI字型アンカー接続部144、または図11に示すようなX字型アンカー接続部146として構成することができる。実施形態の各々において、アンカー接続部144,146は、300℃を超える温度で起こるような、基板108とスイッチ構造100との間の不整合歪みに起因する片持ち梁104,140のいずれか/両方の典型的な引き出し角変形を補償する自己補償アンカー構造としてアンカー構造106を作用させるようにする。アンカー接続部144,146の構成は、片持ち部分104a,140aに直交する歪みの一部を誘導することによって、各梁の片持ち部分104a,140aのこの引き出し角変形を補償するように機能し、歪みのこの部分は、片持ち部分104a,140aを非偏向または非変形位置に引き戻すように、アンカー構造106を湾曲させる基板108に垂直な歪みの勾配を発生させる。
【0033】
次に図12を参照すると、本発明の別の実施形態によれば、アンカー構造106に単一の/一体型のアンカー接続部を有するのではなく、アンカー構造106および梁104を基板108に機械的に接続する2つ以上の別個のアンカー接続部148,150をアンカー接続部に設けることができることが認識されている。2つ以上の別個のアンカー接続部148,150は、片持ち梁104が受ける歪みを打ち消す/補償するために、スイッチ構造100の設計上の考慮に基づいて、自己補償アンカー構造106上にサイズ決め/形状決めされ、位置決めされ、角度付けされる。すなわち、2つ以上の別個のアンカー接続部148,150は、片持ち部分104aに直交して基板108とスイッチ構造100との間の不整合歪みの適切な部分を誘導するために、自己補償アンカー構造106上にサイズ決め/形状決めされ、位置決めされ、角度付けされ、アンカー構造106を湾曲させ、片持ち部分の引き出し角を所望の態様で補償する。一例として、アンカー構造106は、8×8マイクロメートルの寸法を有し、10マイクロメートル離れて配置された一対のアンカー接続部148,150が設けられるように構成されてもよい。別の例として、アンカー構造106は、8×8マイクロメートルの寸法を有し、30マイクロメートル離れて配置された一対のアンカー接続部148,150が設けられるように構成されてもよい。
【0034】
図6図7、および図10図12の実施形態の各々において、片持ち梁104,140の厚さおよびそれが形成される材料はまた、片持ち梁104,140が受ける歪みを打ち消す/補償するために、アンカー接続部(単数または複数)のサイジング、幾何学的形状および間隔と共に選択することができることが認識されている。実施形態によれば、スイッチ構造100の片持ち梁104,140は、ニッケル(Ni)−12原子パーセントのタングステン(W)、またはニッケル(Ni)−20原子パーセントのタングステン(W)を含む層とすることができる。片持ち梁104,140はまた、「クリープ抵抗性」材料として定義されているもので形成されてもよく、ここで使用される「クリープ抵抗」という用語は、継続的な負荷または応力を受けたときに時間依存性の塑性変形に抵抗する材料の能力を意味する。このような実施形態では、片持ち梁104,140は、Ni系および/またはコバルト(Co)系超合金を含む超合金、Ni・W合金、Ni・Mn合金、小量のNiおよび/またはCoを含有する金(「硬金」)、W、金属間化合物、固溶体および/または第2の相強化をし易い材料、および六角形構造または低い積層欠陥エネルギーを有する材料のような塑性変形を抑制する結晶構造を有する材料で形成することができる。片持ち梁104,140を形成するために、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ag、TaおよびWの任意の組合せを含む、他の二元合金もまた使用することができる。
【0035】
有利なことに、したがって本発明の実施形態は、スイッチ構造とそれが形成される基板との間の不整合歪みの影響を低減する片持ち梁および自己補償アンカー構成を有するMEMSスイッチおよび関連するスイッチ構造を提供し、それにより片持ち梁は、非偏向または非変形位置に維持される。アンカーを基板に接続する成形アンカー接続部(単数または複数)を設けることにより、片持ち梁の典型的な引き出し角変形は、引き出し角に直交する方向の歪み勾配を利用することによって補償される。すなわち、基板に対して歪みがある場合、歪みの一部は、基板からアンカーの頂部までの歪み勾配を補償するのに十分なほどアンカーを湾曲させるように、片持ち梁に直交するように誘導され、梁の金属のポアソン比によって動作する歪みは、片持ち梁を所定の位置に効果的に引き戻す。結果として、構造は合計の歪みレベルに影響されず、それによって材料の最終歪み状態において柔軟性をもたらし、ひいてはスイッチ構造の処理において柔軟性を与える。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、MEMSスイッチは、基板と、基板に形成されたスイッチ構造とを含み、スイッチ構造は、基板に形成された導電性接点と、基板に結合された自己補償アンカー構造と、第1の端部および第2の端部を備え、第1の端部で自己補償アンカー構造と一体化され、自己補償アンカー構造から直交して延び、第2の端部が導電性接点の上に配置された片持ち部分を備えるように基板上に懸架された梁とをさらに含む。梁の片持ち部分は、基板に対して引き出し角を有するように基板とスイッチ構造との間の不整合歪みの間に変形を起こし、自己補償アンカー構造は、アンカーを湾曲させて片持ち部分の引き出し角を補償するように片持ち部分に直交して不整合歪みの一部を誘導する。
【0037】
本発明の別の実施形態によれば、MEMSスイッチを製造する方法は、基板を設けることと、ウェハレベル接合プロセスを介して基板にスイッチ構造を形成することとを含む。スイッチ構造を形成することは、基板に導電性接点を形成することと、自己補償アンカー構造を形成することと、基板および導電性接点に対して片持ち梁を位置決めするために自己補償アンカー構造に片持ち梁を取り付けることであって、片持ち梁は、自己補償アンカー構造の反対側のその端部に片持ち部分を備える、取り付けることとをさらに含み、自己補償アンカー構造は、片持ち梁の片持ち部分に直交して配置され、片持ち部分は、基板から離間して導電性接点の上に配置されるように延びる。方法はまた、MEMSスイッチの接合を達成するために基板およびスイッチ構造にアニーリングプロセスを実行することを含む。梁の片持ち部分は、片持ち部分が基板に対して引き出し角を有するように基板とスイッチ構造との間の不整合歪みに影響してアニーリングプロセス中に変形を起こし、自己補償アンカー構造は、アンカー構造を湾曲させて片持ち部分の引き出し角を補償するように片持ち部分に直交する不整合歪みに起因する歪みの一部を誘導する。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態によれば、MEMSスイッチは、基板と、基板に形成されたスイッチ構造とを含み、スイッチ構造は、基板に形成された導電性接点と、基板に結合されたアンカー構造と、アンカー構造と一体化され、そこから直交して延び、基板上に懸架されて導電性接点の上に配置された片持ち部分を備える梁とをさらに含む。アンカー構造は、熱的に誘発された引き出し角変形を受けたときに片持ち部分が偏向されないままにする自己補償アンカー構造を備える。
【0039】
本明細書は、本発明を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0040】
本発明は、限られた数の実施形態に関して詳細に説明してきたが、本発明は、このような開示された実施形態に限定されないことは容易に理解されよう。むしろ、本発明は、これまでに説明していないが、本発明の精神および範囲に相応する、任意の数の変形、変更、置換または等価な構成を組み込むように修正されてもよい。また、本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の態様は、説明した実施形態のうちの一部のみを含んでもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されるとみなされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0041】
100 スイッチ構造
102 接点
104 片持ち梁、第1の梁
104a 片持ち部分
106 自己補償アンカー構造
108 基板
109 MEMSスイッチ
110 電極
112 ゲート電圧源
114 回路
116 第1の側
118 第2の側
120 電源
122 電気負荷
126 成形アンカー接続部、C字型アンカー接続部
128 領域
130 領域
132 長手方向軸
134 アンカー接続部
136 歪みマップ
138 歪みマップ
140 片持ち梁、第2の梁
140a 片持ち部分
142 中間点
144 I字型アンカー接続部
146 X字型アンカー接続部
148 アンカー接続部
150 アンカー接続部
L 負荷抵抗
■G ゲート電圧
d 離間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12