特許第6854771号(P6854771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6854771薬学的に適切なペプチドを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854771
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】薬学的に適切なペプチドを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/103 20060101AFI20210329BHJP
   A61K 38/07 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   C07K5/103
   !A61K38/07
【請求項の数】10
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2017-546662(P2017-546662)
(86)(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公表番号】特表2018-508531(P2018-508531A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】US2016021245
(87)【国際公開番号】WO2016144905
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】62/129,575
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515238828
【氏名又は名称】ステルス バイオセラピューティックス コープ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ディー トラヴィス
【審査官】 小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】 SUPPO, J. S. et al.,Inverse peptide synthesis via activated α-aminoesters,Angew. Chem. Int. Ed.,2014年,Vol. 53(21),pp. 5389-5393
【文献】 OTA, T. et al.,Synthesis of Morphiceptin (Tyr-Pro-Phe-Pro-NH2) by Dipeptidyl Aminopeptidase IV Derived from Aspergillus oryzae ,J. Agric. Food Chem.,2005年,Vol. 53(15),pp. 6112-6116
【文献】 HAUG, B. E. et al.,Synthesis of a Gln-Phe hydroxy-ethylene dipeptide isostere,Org. Lett.,2004年,Vol. 6(25),pp. 4783-4786.
【文献】 吉見泰治,光反応による高機能ペプチドの創出,平成23年度福井大学研究育成経費,2011年,pp. 32-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式VIIIの化合物またはその塩の調製のための方法であって、
【化1】
前記方法が、式III−Aの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩と反応させて、前記式VIIIの化合物またはその前記塩を形成することを含み、
【化2】
【化3】
式中、
6が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、
1が、水素であり、
8aが、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニルであり、
8bが、非置換フェニルであり、
9が、−NH2であり
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素であり、
nが、4であり、
mが、3であり
3が、Bocであり、
5が、−NHBocであり、
6が、−NHC(NH)NH2である、
方法。
【請求項2】
前記式III−Aの化合物またはその前記塩が、式III−Cの化合物またはその塩を前記式III−Aの化合物またはその前記塩に変換することを含む方法によって調製され、
【化7】
式中、W2が、ベンジルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
IIICの化合物を変換することが、前記ベンジルをHに還元開裂することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式III−Cの化合物またはその前記塩が、式III−Dの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、前記式III−Cの化合物またはその前記塩を形成することを含む方法によって調製され、
【化8】
【化9】
式中、A2が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成する、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記式III−Bの化合物またはその前記塩が、式III−Eの化合物またはその塩を前記式III−Bの化合物またはその前記塩に変換することを含む方法によって調製され、
【化10】
式中、Y2が、Cbzである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
記III−Eの化合物を変換することが、前記CbzをHに還元開裂することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記式III−Eの化合物またはその前記塩が、式I−Bの化合物またはその塩を式III−Fの化合物またはその塩と反応させて、前記式III−Eの化合物またはその前記塩を形成することを含む方法によって調製され、
【化11】
【化12】
式中、A7が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成する、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記式VIIIの化合物またはその塩が、無水条件下で酸と反応させられて、式Iaの脱保護テトラペプチドを提供する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸が、HClである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記式VIIIの化合物の前記塩が、脂肪族カルボン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、または硫酸塩である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年3月6日出願の米国仮出願第62/129,575号に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本技術は、概して、薬学的に適切な(pharmaceutically relevant)ペプチド及びその中間体を生成する方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様において、式VIIIの化合物またはその塩の調製のための方法が提供され、
【化1】
本方法は、式I−Aの化合物またはその塩を、
【化2】
式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、
【化3】
式I−Cの化合物またはその塩を形成すること、
【化4】
式I−Cの化合物を式I−Dの化合物またはその塩に変換すること、
【化5】
式I−Dの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、
【化6】
を含み、式中、
1及びA2が、各々独立して、それぞれが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A1及びA2が、各々独立して、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであり、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、であるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
8a及びR8bが、各々独立して、
【化7】
【化8】
または
【化9】
から選択され、
式中、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
55及びR56が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
12が、水素、−OH、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、C1〜C6アルキル、−O−C1〜C6アルキル、−NH−C1〜C6アルキル、−N(C1〜C6アルキル)2、C1〜C4−ペルハロアルキル、アラルキル、−O−アラルキル、−NH−アラルキル、−N(アラルキル)2、−N(C1〜C6アルキル)(アラルキル)、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
nが、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
1、X2、及びX4が、各出現において独立して、水素またはアミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性である(acid-mediated removal)アミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
3が、R2、水素、またはアミノ保護基であり、
1が、アミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
5及びZ6が、各々独立して、−NHX1、−C(N−X4)−NH−X2、−NX1C(N−X4)−NH−X2、−NX1(C1〜C6アルキル)、−NX1(C6〜C10アリール)、−NX1(C7〜C12アラルキル)、または窒素含有ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基であり、各アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基が、置換または非置換である。
【0004】
一態様において、式VIIIの化合物またはその塩の調製のための方法が提供され、
【化10】
本方法は、式II−Dの化合物またはその塩を式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、
【化11】
【化12】
を含み、式中、
4が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A4が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであってもよく、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、であるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
8a及びR8bが、各々独立して、
【化13】
【化14】
または
【化15】
から選択され、
式中、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
55及びR56が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
12が、水素、−OH、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、C1〜C6アルキル、−O−C1〜C6アルキル、−NH−C1〜C6アルキル、−N(C1〜C6アルキル)2、C1〜C4−ペルハロアルキル、アラルキル、−O−アラルキル、−NH−アラルキル、−N(アラルキル)2、−N(C1〜C6アルキル)(アラルキル)、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
nが、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
1、X2、及びX4が、各出現において独立して、水素またはアミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
3が、R2、水素、またはアミノ保護基であり、
5及びZ6が、各々独立して、−NHX1、−C(N−X4)−NH−X2、−NX1C(N−X4)−NH−X2、−NX1(C1〜C6アルキル)、−NX1(C6〜C10アリール)、−NX1(C7〜C12アラルキル)、または窒素含有ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基であり、各アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基が、置換または非置換である。
【0005】
一部の実施形態において、式II−Dの化合物またはその塩が、式II−Cの化合物またはその塩を式II−Dの化合物またはその塩に変換することを含む方法によって調製され、
【化16】
式中、W1が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、他の可変要素が、式II−Dに定義される通りである。
【0006】
一部の実施形態において、式II−Cの化合物またはその塩が、式II−Aの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式II−Cの化合物またはその塩を形成することを含む方法によって調製され、
【化17】
【化18】
式中、A2が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A2が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであってもよく、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、他の可変要素が、式II−Dに定義される通りである。
【0007】
一部の態様において、式I−AまたはII−Aの化合物またはその塩が、I−Fの化合物またはその塩をI−AまたはII−Aの化合物またはその塩に変換することによって調製され、
【化19】
式中、n、W1、Y1、Z5、R22、及びR8aが、本明細書に定義される通りである。
【0008】
一部の態様において、式I−Fの化合物またはその塩が、式I−Gの化合物またはその塩を式I−Hの化合物またはその塩と反応させることを含む方法によって調製され、
【化20】
【化21】
式中、R8a、R22、R23、W1、Y1、Z5、及びnが、本明細書に定義される通りであり、A5が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A5が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであってもよく、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基である。
【0009】
別の態様において、式VIIIの化合物またはその塩の調製のための方法が提供され、
【化22】
本方法は、式III−Aの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、
【化23】
【化24】
を含み、式中、
6が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A6が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであってもよく、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、であるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
8a及びR8bが、各々独立して、
【化25】
【化26】
または
【化27】
から選択され、
式中、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
55及びR56が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
12が、水素、−OH、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、C1〜C6アルキル、−O−C1〜C6アルキル、−NH−C1〜C6アルキル、−N(C1〜C6アルキル)2、C1〜C4−ペルハロアルキル、アラルキル、−O−アラルキル、−NH−アラルキル、−N(アラルキル)2、−N(C1〜C6アルキル)(アラルキル)、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
nが、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
1、X2、及びX4が、各出現において独立して、水素またはアミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
3が、R2、水素、またはアミノ保護基であり、
5及びZ6が、各々独立して、−NHX1、−C(N−X4)−NH−X2、−NX1C(N−X4)−NH−X2、−NX1(C1〜C6アルキル)、−NX1(C6〜C10アリール)、−NX1(C7〜C12アラルキル)、または窒素含有ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基であり、各アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基が、置換または非置換である。
【0010】
一部の態様において、式III−Aの化合物またはその塩が、式III−Cの化合物またはその塩を式III−Aの化合物またはその塩に変換することを含む方法によって調製され、
【化28】
式中、W2が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、R1、R8a、R22、W2、X3、Z6、及びmが、本明細書に定義される通りである。一部の実施形態において、W2は、ベンジル(Bn)であり、X3は、Bocであり、式IIICの化合物を変換することは、ベンジルをHに還元開裂することを含む(例えば、H2、及び炭素上のPdまたはPtなどの担持遷移金属を用いて)。一部の実施形態において、R1及びR22は両方とも、Hであり、mは、3であり、Z6は、−NHC(NH)NH2であり、R8aは、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニルである。例えば、式III−Cの化合物は、Boc−D−Arg−DMT−OBnであってもよい。
【0011】
一部の態様において、式III−Cの化合物またはその塩が、式III−Dの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式III−Cの化合物またはその塩を形成することを含む方法によって調製され、
【化29】
【化30】
式中、A2、R1、R8a、R22、W2、X3、Z6、及びmが、本明細書に定義される通りである。
【0012】
一部の態様において、式III−Bの化合物またはその塩が、式III−Eの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩に変換することを含む方法によって調製され、
【化31】
式中、Y2が、アミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、R8b、R9、R23、R24、Z5、及びnが、本明細書に定義される通りである。一部の実施形態において、Y2は、Cbzであり、III−Eの化合物を変換することは、CbzをHに還元開裂することを含む(例えば、H2、及び炭素上のPdまたはPtなどの担持遷移金属を用いて)。一部の実施形態において、R9は、−NH2であり、R23は、Hであり、nは、4であり、Z5は、−NHBocであり、R8bは、非置換フェニルである。例えば、式III−Eの化合物は、Cbz−Lys(Boc)−Phe−NH2であってもよい。
【0013】
一部の態様において、式III−Eの化合物またはその塩が、式I−Bの化合物またはその塩を式III−Fの化合物またはその塩と反応させて、式III−Eの化合物またはその塩を形成することを含む方法によって調製され、
【化32】
【化33】
式中、R8b、R9、R23、R24、W1、Y2、Z5、及びnが、本明細書に定義される通りであり、A7が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A7が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであってもよく、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基である。
【0014】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、式VIIIの化合物またはその塩を形成するための条件は、カップリング剤を含み得る。本明細書に記載される態様及び実施形態のうちのいずれかで使用されるかかるカップリング剤としては、当該技術分野において既知であるカルボジイミド、ウロニウム塩、アミニウム塩、インモニウム塩、カルボニウム塩、ホスホニウム塩、リン試薬、ペンタフルオロフェノール系試薬などが挙げられ得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、式VIIIの化合物またはその塩を形成するための条件は、本明細書に記載される溶媒を更に含み得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、式VIIIの化合物またはその塩を形成するための条件は、塩基を更に含み得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、式VIIIの化合物またはその塩を形成するための条件は、EDC及びHOBT、EDC−HCl及びHOBT、BOP及びHOBT、またはHATU及びHOATを含み得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、カップリング剤は、プロピルホスホン酸無水物(T3P)であり得る。
【0015】
一部の実施形態において、Y1は、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、式I−Cの化合物またはその塩を式I−Dまたはその塩に変換することは、式I−Cの化合物またはその塩を開裂酸と組み合わせることを含み得る。一部の実施形態において、Y1は、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、式I−Fの化合物またはその塩を式II−Aまたはその塩に変換することは、式I−Fの化合物またはその塩を開裂酸と組み合わせることを含む。開裂酸の例は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載される。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、開裂酸と組み合わせることは、プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、またはこれら2つの混合物を更に含み得る。
【0016】
別の態様において、式VIIIの化合物またはその塩におけるX1、X2、X3、及びX4のうちの少なくとも1つが、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である場合、本方法は、式VIIIの化合物またはその塩を水素源及び遷移金属触媒と反応させて、式Iの化合物もしくはその塩、
【化34】
またはその薬学的に許容される塩を形成すること、更に含み、式中、
1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、であるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
3、R4、R6、及びR7が、各々独立して、水素、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基であり、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
5は、水素、またはC1〜C6アルキル、アラルキル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
8bが、
【化35】
【化36】
または
【化37】
であり、
式中、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
55及びR56が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
12が、水素、−OH、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、C1〜C6アルキル、−O−C1〜C6アルキル、−NH−C1〜C6アルキル、−N(C1〜C6アルキル)2、C1〜C4−ペルハロアルキル、アラルキル、−O−アラルキル、−NH−アラルキル、−N(アラルキル)2、−N(C1〜C6アルキル)(アラルキル)、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
nが、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
1及びZ2が、各々独立して、水素、−C(NH)−NH2、または置換もしくは非置換アルキル、アリール、もしくはアラルキル基である。
【0017】
別の態様において、式VIIIの化合物またはその塩におけるX1、X2、X3、及びX4のうちの少なくとも1つが、酸媒介性除去に抵抗性であるアミノ保護基である場合、本方法は、式VIIIの化合物またはその塩を開裂酸と反応させて、式Iの化合物もしくはその塩を形成することを更に含む。一部の実施形態において、X1、X2、X3、及びX4のうちの1つ以上は、Boc基である。一部のかかる実施形態において、Boc基は、任意に無水条件下で、HClで除去されて、式VIIIまたはIの化合物のHCl塩を提供する。
【0018】
あるいは、本明細書の態様のいずれかにおいて、式I、式VIII、VIII−Bの化合物または任意の他のかかる化合物の塩は、脂肪族カルボン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、または硫酸塩であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本明細書で使用するある特定の用語の定義が以下に提供される。別段の定義がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、概して、本技術が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、文脈が別途明確に指示しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、複数の指示対象を含む。例えば、「1つの細胞(a cell)」への言及は、2つ以上の細胞の組み合わせを含み、その他も同様である。
【0021】
本明細書で使用する場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度異なることになる。用語の使用が当業者に明確でない場合、それが使用される文脈を前提に、「約」は、特定の用語の最大±10%を意味する。
【0022】
当業者によって理解されるように、あらゆる目的で、特に書面での説明を提供することに関して、本明細書に記載される全ての範囲は、あらゆる可能性のあるそれらの下位範囲及び下位範囲の組み合わせも包含する。記載するいずれの範囲も、同じ範囲が、少なくとも等しく2分、3分、4分、5分、10分などに分割されることを十分に説明しそれを可能にするものであると容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下位3分の1、中位3分の1、及び上位3分の1などに容易に分割され得る。また当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「超」、「未満」などの全ての語は、引用される数を含み、続いて前述の下位範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は各個々の要素を含む。故に、例えば、1〜3個の原子を有する基は、1個、2個、または3個の原子を有する基を指す。同様に、1〜5個の原子を有する基は、1、2、3、4、または5個の原子を有する基を指す(以降同様)。
【0023】
本明細書で使用する場合、薬剤、薬物、またはペプチドの対象への「投与」は、その意図される機能を行うための対象への化合物の導入または送達のいずれの経路も含む。投与は、経口、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、もしくは皮下)、または局所などを含む、任意の好適な経路によって実施することができる。投与は、自己投与、及び他者による投与を含む。
【0024】
概して、水素またはHなどのある特定の元素への言及は、その元素の全ての同位体を含むことを意味する。例えば、R基が水素またはHを含むように定義される場合、それはジュウテリウム及びトリチウムも含む。トリチウム、C14、P32、及びS35などの放射性同位体を含む化合物は、故に、本発明の範囲内である。かかる標識を本発明の化合物中に挿入するための手順は、本明細書の開示に基づいて当業者には容易に明らかとなる。
【0025】
一般に、「置換される」は、中に含まれる水素原子への1つ以上の結合が非水素原子または非炭素原子への結合によって代置される、以下に定義する有機基(例えば、アルキル基)を指す。置換される基はまた、炭素原子(複数可)または水素原子(複数可)への1つ以上の結合が、ヘテロ原子への二重結合または三重結合を含む1つ以上の結合によって代置される基を含む。故に、置換される基は、別段の指定がない限り、1つ以上の置換基で置換される。一部の実施形態において、置換される基は、1、2、3、4、5、または6個の置換基で置換される。置換基の例としては、ハロゲン(即ち、F、CL、Br、及びI)、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアルコキシ基、カルボニル(オキソ)、カルボキシル、エステル、ウレタン、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホニル、スルホンアミド、アミン、N−オキシド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アミド、尿素、アミジン、グアニジン、エナミン、イミド、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、イミン、ニトロ基、ニトリル(即ち、CN)、などが挙げられる。
【0026】
置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、及びヘテロアリール基などの置換された環基はまた、水素原子への結合が炭素原子への結合で代置される、環及び環系を含む。したがって、置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、及びヘテロアリール基も、以下で定義するように、置換または非置換アルキル、アルケニル、及びアルキニル基で置換され得る。
【0027】
アルキル基は、1〜12個の炭素原子、典型的には1〜10個の炭素、または一部の実施形態においては、1〜8個、1〜6個、または1〜4個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖アルキル基を含む。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、及びn−オクチル基などの基が挙げられる。分枝アルキル基の例としては、イソプロピル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、及び2,2−ジメチルプロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換または非置換であってもよい。代表的な置換アルキル基は、上に列挙したものなどの置換基で1回以上置換され得、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、カルボニルアルキルなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0028】
シクロアルキル基は、環(複数可)中に3〜12個の炭素原子、または一部の実施形態においては、3〜10個、3〜8個、または3〜4個、5個、もしくは6個の炭素原子を有する、単環式、二環式、または三環式アルキル基を含む。例示的な単環式シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、シクロアルキル基は、3〜8環員を有し、一方で他の実施形態においては、環炭素原子の数は、3〜5個、3〜6個、または3〜7個の範囲である。二環系及び三環系としては、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、アダマンチル、デカリニルなどであるがこれらに限定されない、架橋シクロアルキル基及び縮合環の両方が挙げられる。シクロアルキル基は、置換または非置換であってもよい。置換されたシクロアルキル基は、上で定義したように、非水素基及び非炭素基で1回以上置換され得る。しかしながら、置換されたシクロアルキル基はまた、上で定義したように、直鎖または分枝鎖アルキル基で置換される環を含む。代表的な置換されたシクロアルキル基は、一置換されたものであってもよく、あるいは上に列挙したものなどの置換基で置換され得る、2,2−、2,3−、2,4−、2,5−、または2,6−二置換シクロヘキシル基などであるがこれらに限定されない、1回超置換されたものであってもよい。
【0029】
シクロアルキルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したシクロアルキル基への結合で代置される、上で定義したアルキル基である。一部の実施形態において、シクロアルキルアルキル基は、4〜16個の炭素原子、4〜12個の炭素原子、典型的には4〜10個の炭素原子を有する。シクロアルキルアルキル基は、置換または非置換であってもよい。置換されたシクロアルキルアルキル基は、基のアルキル部分、シクロアルキル部分、またはアルキル及びシクロアルキルの両部分にて置換され得る。代表的な置換されたシクロアルキルアルキル基は、一置換されたものであってもよく、あるいは上に列挙したものなどの置換基で、一置換、二置換、または三置換されたものなどであるがこれらに限定されない、1回超置換されたものであってもよい。
【0030】
アルケニル基は、少なくとも1個の二重結合が2個の炭素原子の間に存在することを除いて、上で定義したような直鎖及び分枝鎖アルキル基を含む。アルケニル基は、2〜12個の炭素原子、典型的には2〜10個の炭素、または一部の実施形態においては、2〜8個、2〜6個、もしくは2〜4個の炭素原子を有する。一部の実施形態において、アルケニル基は、1個、2個、または3個の炭素−炭素二重結合を有する。例としては、特に、ビニル、アリル、−CH=CH(CH3)、−CH=C(CH32、−C(CH3)=CH2、−C(CH3)=CH(CH3)、−C(CH2CH3)=CH2が挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、置換または非置換であってもよい。代表的な置換されたアルケニル基は、一置換されてもよく、または2回以上置換されてもよく、例えば、上に列挙したものなどの置換基で一置換、二置換、または三置換されたものなどであるがこれらに限定されない。
【0031】
シクロアルケニル基は、2個の炭素原子の間に少なくとも1個の二重結合を有する、上で定義したシクロアルキル基を含む。一部の実施形態において、シクロアルケニル基は、1個、2個、または3個の二重結合を有してもよいが、芳香族化合物を含まない。シクロアルケニル基は、4〜14個の炭素原子、あるいは一部の実施形態においては、5〜14個の炭素原子、5〜10個の炭素原子、または更には5個、6個、7個、もしくは8個の炭素原子を有する。シクロアルケニル基の例としては、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジエニルが挙げられる。シクロアルケニル基は、置換または非置換であってもよい。
【0032】
シクロアルケニルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したシクロアルケニル基への結合で代置される、上で定義したアルキル基である。シクロアルケニルアルキル基は、置換または非置換であってもよい。置換されたシクロアルケニルアルキル基は、基のアルキル部分、シクロアルケニル部分、またはアルキル及びシクロアルケニルの両部分にて置換され得る。代表的な置換されたシクロアルケニルアルキル基は、上に列挙したものなどの置換基で1回以上置換され得る。
【0033】
アルキニル基は、少なくとも1個の三重結合が2個の炭素原子の間に存在することを除いて、上で定義したような直鎖及び分枝鎖アルキル基を含む。アルキニル基は、2〜12個の炭素原子、典型的には2〜10個の炭素、または一部の実施形態においては、2〜8個、2〜6個、もしくは2〜4個の炭素原子を有する。一部の実施形態において、アルキニル基は、1個、2個、または3個の炭素−炭素三重結合を有する。例としては、特に、−C≡CH、−C≡CCH3、−CH2C≡CCH3、−C≡CCH2CH(CH2CH32が挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、置換または非置換であってもよい。代表的な置換されたアルキニル基は、一置換されてもよく、または2回以上置換されてもよく、例えば、上に列挙したものなどの置換基で一置換、二置換、または三置換されたものなどであるがこれらに限定されない。
【0034】
アリール基は、ヘテロ原子を含まない環式芳香族炭化水素である。本明細書のアリール基は、単環系、二環系、及び三環系を含む。故に、アリール基は、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、及びナフチル基が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、アリール基は、基の環部分中に、6〜14個の炭素、他の実施形態においては、6〜12個、または更には6〜10個の炭素原子を含む。一部の実施形態において、アリール基は、フェニルまたはナフチルである。「アリール基」という語句は、縮合芳香族脂肪族環系などの縮合環を含有する基を含む(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)。「アリール基」という語句はまた、置換されたアリール基を含む。トリルなどの基は、置換されたアリール基と称される。代表的な置換されたアリール基は、一置換されてもよく、1回超置換されてもよい。例えば、一置換されたアリール基は、上に列挙したものなどの置換基で置換され得る、2、3、4、5、または6置換されたフェニルまたはナフチル基を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、アリール基は、置換または非置換であり得るフェニルである。一部の実施形態において、置換されたフェニル基は、1個または2個の置換基を有する。一部の実施形態において、置換されたフェニル基は、1個の置換基を有する。
【0035】
アラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したアリール基への結合で代置される、上で定義したアルキル基である。一部の実施形態において、アラルキル基は、7〜16個の炭素原子、7〜14個の炭素原子、または7〜10個の炭素原子を含む。アラルキル基は、置換または非置換であってもよい。置換されたアラルキル基は、基のアルキル部分、アリール部分、またはアルキル及びアリールの両部分にて置換され得る。代表的なアラルキル基としては、ベンジル及びフェネチル基、ならびに4−インダニルエチルなどの縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な置換されたアラルキル基は、上に列挙したものなどの置換基で1回以上置換され得る。
【0036】
ヘテロシクリルまたは複素環基は、3個以上の環員を含む非芳香族環化合物であり、3個のうちの1個以上は、N、O、及びSなどであるがこれらに限定されないヘテロ原子である。一部の実施形態では、ヘテロシクリル基は、1、2、3、または4個のヘテロ原子を含む。一部の実施形態において、ヘテロシクリル基は、3〜16個の環員を有する、単環式、二環式、及び三環式環を含み、一方で、他のかかる基は、3〜6個、3〜10個、3〜12個、または3〜14個の環員を有する。ヘテロシクリル基は、例えば、イミダゾリニル基及びイミダゾリジニル基などの、部分不飽和及び飽和環系を含む。この語句は、キヌクリジルなどであるがこれに限定されないヘテロ原子を含む架橋された多環式環系も含む。この語句はまた、「置換されたヘテロシクリル基」と称される、環員のうちの1つに結合した、アルキル、オキソ、またはハロ基などの他の基を有する、ヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリル基としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、及びテトラヒドロチオピラニル基が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な置換されたヘテロシクリル基は、一置換されたものであってもよく、または2、3、4、5、もしくは6置換されるモルホリニル基などであるがこれに限定されない、2回以上置換されたもの、または上に列挙したものなどの種々の置換基で二置換されたものであってもよい。ヘテロ原子(複数可)は、化学的に可能であれば、酸化型であることもできる。
【0037】
ヘテロアリール基は、5個以上の環員を含む芳香族環化合物であり、5個のうちの1個以上は、N、O、及びSなどであるがこれらに限定されないヘテロ原子である。ヘテロアリール基としては、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジニル)、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾピリジニル(アザベンズイミダゾリル)、ピラゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアナフチル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、及びキナゾリニル基などの基が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、全ての環がインドリル基などの芳香族である縮合環化合物を含み、環のうちの1個のみが2,3−ジヒドロインドリル基などの芳香族である縮合環化合物を含む。「ヘテロアリール基」という語句は、縮合環化合物を含み、「置換されたヘテロアリール基」と称される、アルキル基などの、環員のうちの1個に結合した他の基を有する、ヘテロアリール基も含む。代表的な置換されたヘテロアリール基は、上に列挙したものなどの種々の置換基で1回以上置換され得る。ヘテロ原子(複数可)は、化学的に可能であれば、酸化型であることもできる。
【0038】
ヘテロシクリルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したヘテロシクリル基への結合で代置される、上で定義したアルキル基である。ヘテロシクリルアルキル基は、置換または非置換であってもよい。置換されたヘテロシクリルアルキル基は、基のアルキル部分、ヘテロシクリル部分、またはアルキル及びヘテロシクリルの両部分にて置換され得る。代表的なヘテロシクリルアルキル基としては、モルホリン−4−イル−エチル及びテトラヒドロフラン−2−イル−エチルが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な置換されたヘテロシクリルアルキル基は、上に列挙したものなどの置換基で1回以上置換され得る。ヘテロ原子(複数可)は、化学的に可能であれば、酸化型であることもできる。
【0039】
ヘテロアラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したヘテロアリール基への結合で代置される、上で定義したアルキル基である。ヘテロアラルキルは、置換または非置換であってもよい。置換されたヘテロアラルキル基は、基のアルキル部分、ヘテロアリール部分、またはアルキル及びヘテロアリールの両部分にて置換され得る。代表的な置換されたヘテロアラルキル基は、上に列挙したものなどの置換基で1回以上置換され得る。ヘテロ原子(複数可)は、化学的に可能であれば、酸化型であることもできる。
【0040】
本発明の化合物内に2個以上の結合点を有する(即ち、二価、三価、または多価の)本明細書に記載の基は、「レン(ene)」という接尾語の使用によって指定される。例えば、二価アルキル基はアルキルレン基であり、二価アリール基はアリーレン基であり、二価ヘテロアリール基は二価ヘテロアリーレン基である(以降同様)。本発明の化合物への単一の結合点を有する置換された基は、「レン」指定を使用して言及されることはない。故に、例えば、クロロエチルは、本明細書ではクロロエチレンとは称されない。
【0041】
アルコキシ基は、水素原子への結合が上に定義した置換または非置換アルキル基の炭素原子への結合によって代置される、ヒドロキシル基(−OH)である。アルキル基と同様に、アルコキシ基は、直鎖または分枝であってもよい。直鎖アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。分枝アルコキシ基の例としては、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペントキシ、イソヘキソキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルコキシ基の例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な置換されたアルコキシ基は、上に列挙したものなどの置換基で1回以上置換され得る。
【0042】
本明細書で使用される「アルカノイル」及び「アルカノイルオキシ」という用語は、それぞれ、各々2〜5個の炭素原子を含む−C(O)−アルキル基及び−O−C(O)−アルキル基を指し得る。
【0043】
「アリールオキシ」及び「アリールアルコキシ」という用語は、それぞれ、酸素原子に結合した置換または非置換アリール基、及びアルキルにて酸素原子に結合した置換または非置換アラルキル基を指す。例としては、フェノキシ、ナフチルオキシ、及びベンジルオキシが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な置換されたアリールオキシ及びアリールアルコキシ基は、上に列挙したものなどの置換基で1回以上置換される。
【0044】
本明細書で使用する場合、「カルボキシレート」という用語は、−C(O)OH基、またはそのイオン化形態である−C(O)O-を指す。
【0045】
本明細書で使用する場合、「エステル」という用語は、−C(O)OR60基を指す。R60は、本明細書に定義の置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテオリアラルキル(heteoryaralkyl)、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。エステルという用語はまた、−OC(O)R60基を指す。例えば、エステルは、−OC(O)−アルキル、−OC(O)−アリール、または−OC(O)−アラルキルであってもよく、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々は、置換されているか、置換されていない。
【0046】
「活性エステル」という用語は、−OR60が良好な脱離基であり、アミドを形成するための一次または二次アミンとの反応に感受性である、エステルを指す。活性エステルは、当該技術分野において既知である。活性エステルの例としては、R60が、−NR67COR67であり、R67及びCOR67が、それらが結合した窒素と一緒に、1つ以上のオキソで任意に置換され、かつ置換または非置換シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリール環と任意に融合した、5または6員複素環、例えば、3,5−ピロリジンジオン、マレイミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、及びフタルイミドを形成するか、あるいは、R60が、ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル、及び2−ブロモ−ピリジニウムなどのニトロ、フルオロ、クロロ、及びブロモから選択される1つ以上の置換基で置換されたアリールまたはヘテロアリールである、化合物が挙げられる。
【0047】
「アミド(amideまたはamido)」という用語は、それぞれ、C−及びN−アミド基、即ち、−C(O)NR6162及び−NR61C(O)R62基を含む。R61及びR62は、独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。アミド基は、したがって、カルバモイル基(−C(O)NH2)及びホルムアミド基(−NHC(O)H)を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、アミドは−NR61C(O)−(C1~5アルキル)であり、この基は「カルボニルアミノ」と呼ばれ、他の実施形態においては、アミドは−NHC(O)−アルキルであり、この基は「アルカノイルアミノ」と呼ばれる。
【0048】
「無水物」という用語は、2つの部分であるR40及びR41が−C(O)−O−C(O)−で接続される、化合物を指す。一部の実施形態において、無水物は、混合無水物、即ち、R40及びR41が異なる化合物である。
【0049】
本明細書で使用する場合、「ニトリル」または「シアノ」という用語は、−CN基を指す。
【0050】
ウレタン基は、N−及びO−ウレタン基、即ち、それぞれ、−NR63C(O)OR64及び−OC(O)NR6364基を含む。R63及びR64は、独立して、本明細書に定義の置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。R63はまた、Hであってもよい。
【0051】
本明細書で使用する場合、「アミン」(または「アミノ」)という用語は、−NR6566基を指し、R65及びR66は、独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。一部の実施形態において、アミンは、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、またはアルキルアリールアミノである。他の実施形態において、アミンは、NH2、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、フェニルアミノ、またはベンジルアミノである。
【0052】
「スルホンアミド」という用語は、S−及びN−スルホンアミド基、即ち、それぞれ、−SO2NR6869及び−NR68SO269基を含む。R68及びR69は、独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。スルホンアミド基は、したがって、スルファモイル基(−SO2NH2)を含むが、これに限定されない。本明細書の一部の実施形態において、スルホンアミドは、−NHSO2−アルキルであり、「アルキルスルホニルアミノ」基と称される。
【0053】
「チオール」という用語は、−SH基を指し、一方、スルフィドは−SR70基を含み、スルホキシドは−S(O)R71基を含み、スルホンは−SO272基を含み、スルホニルは−SO2OR73を含む。R70、R71、R72、及びR73は、各々独立して、本明細書に定義の置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基である。一部の実施形態において、スルフィドは、アルキルチオ基である−S−アルキルである。
【0054】
「尿素」という用語は、−NR74−C(O)−NR7576基を指す。R74、R75、及びR76基は、独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基である。
【0055】
「アミジン」という用語は、−C(NR77)NR7879及び−NR77C(NR78)R79を指し、R77、R78、及びR79は、各々独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基である。
【0056】
「グアニジン」という用語は、−NR80C(NR81)NR8283を指し、R80、R81、R82、及びR83は、各々独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基である。
【0057】
「エナミン」という用語は、−C(R84)=C(R85)NR8687及び−NR84C(R85)=C(R86)R87を指し、R84、R85、R86、及びR87は、各々独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基である。
【0058】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、臭素、塩素、フッ素、またはヨウ素を指す。一部の実施形態において、ハロゲンは、フッ素である。他の実施形態において、ハロゲンは、塩素または臭素である。
【0059】
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシ」という用語は、−OH、またはそのイオン化形態である−O-を指し得る。
【0060】
「イミド」という用語は、−C(O)NR88C(O)R89を指し、R88及びR89は、各々独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基である。
【0061】
「イミン」という用語は、−CR90(NR71)及び−N(CR9091)基を指し、R90及びR91は、各々独立して、水素、または本明細書に定義の置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であるが、但し、R90及びR91が、両方とも同時に水素ではないことを条件する。
【0062】
本明細書で使用する場合、「ニトロ」という用語は、−NO2基を指す。
【0063】
本明細書で使用する場合、「ペルハロアルキル」という用語は、あらゆる水素への結合がハロゲンへの結合で代置される、上に定義のアルキル基を指す。ペルハロアルキル基の例は、トリフルオロメチル基である。本明細書で使用する場合、「トリフルオロメチル」という用語は、−CF3である。
【0064】
本明細書で使用する場合、「トリフルオロメトキシ」という用語は、−OCF3である。
【0065】
当業者であれば、本発明の化合物が、互変異性、立体配座異性、幾何異性、及び/または立体異性の現象を呈し得ることを理解するであろう。明細書及び特許請求の範囲中の式図は、可能性のある互変異性形態、立体配座異性形態、立体異性形態、及び/または幾何異性形態のうちの1つのみを表し得るが、本発明は、本明細書に記載の有用性のうちの1つ以上を有する化合物のいずれの互変異性形態、立体配座異性形態、立体異性形態、及び/または幾何異性形態、ならびにこれらの種々の異なる形態の混合物も包含することを理解されたい。
【0066】
「互変異性体」は、互いと平衡にある化合物の異性形態を指す。異性形態の存在及び濃度は、化合物が見出される環境に依存することになり、例えば、化合物が固体であるか、または有機溶液もしくは水溶液中にあるか否かに応じて異なり得る。例えば、水溶液中では、イミダゾールは、互いの互変異性体と称される以下の異性形態を呈し得る。
【化38】
当業者によって容易に理解されるように、多様な官能基及び他の構造が互変異性を呈し得、本明細書に記載の化合物の全ての互変異性体が本発明の範囲内である。
【0067】
化合物の立体異性体(光学異性体としても知られる)は、特定の立体化学が明確に示されない限り、構造の全てのキラル形態、ジアステレオマー形態、及びラセミ形態を含む。故に、本発明で使用される化合物は、描写から明らかなように、任意または全ての不斉原子にて濃縮または分解光学異性体を含む。ラセミ及びジアステレオイソマー混合物の両方、ならびに個々の光学異性体は、それらのエナンチオマーまたはジアステレオイソマーパートナーを実質的に含まないように単離または合成され得、これらの立体異性体は、全て本発明の範囲内である。
【0068】
本発明の化合物は、溶媒和物、特に水和物として存在し得る。水和物は、化合物または化合物を含む組成物の製造中に形成され得、あるいは水和物は、化合物の吸湿性に起因して時間と共に形成され得る。本発明の化合物は、中でも、アミド(例えば、DMF)、エーテル、エステル、ケトン、ニトリル、及びアルコール溶媒和物を含む、有機溶媒和物としても存在し得る。任意の特定の溶媒和物の識別及び調製は、合成有機化学または医薬化学の当業者の技術の範囲内である。
【0069】
本明細書で使用する場合、「アミノ酸」という用語は、天然型アミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然型アミノ酸に類似した様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を含む。天然型アミノ酸は、遺伝コードによってコードされるもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及びO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然型アミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、即ち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合するα−炭素、例えば、ホモセリン、オルニチン、ホモアルギニン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。かかる類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然型アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然型アミノ酸と類似の様式で機能する化学化合物を指す。アミノ酸は、本明細書では、IUPAC−IUB BiochemicaL NomencLature Commissionによって推奨されるそれらの周知の三文字記号、または一文字記号のいずれかによって称され得る。
【0070】
本明細書で使用する場合、「保護基」という用語は、以下の特徴を示す化学基を指す。1)良好な収率で所望の官能基と選択的に反応して、保護が望まれる予定された反応に対して安定している保護された基質をもたらす、2)保護された基質から選択に除去されて、所望の官能基を生むことが可能である、かつ3)かかる予定された反応中に存在するかまたはその中で生成される他の官能基(複数可)と適合性のある試薬によって良好な収率で除去可能である。好適な保護基の例は、Greene et al.(1991)Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.(John Wiley & Sons,Inc.,New York)に見られる。アミノ保護基としては、メシチレンスルホニル(Mts)、ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)、2−クロロベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、t−ブチルジメチルシリル(TBSまたはTBDMS)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル、ベンゼンスルホニル、2−ピリジルスルホニル、または6−ニトロベラトリルオキシカルボニル(Nvoc)、ニトロピペロニル、ピレニルメトキシカルボニル、ニトロベンジル、α−,α−ジメチルジメトキシベンジルオキシカルボニル(DDZ)、5−ブロモ−7−ニトロインドリニルなどの好適な光解離性保護基などが挙げられるが、これらに限定されない。酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基としては、Boc、TBDMS、トリチル(Trt)、3,5−ジメトキシフェニルイソプロキシカルボニル(Ddz)、2−(4−ビフェニル)イソプロポキシカルボニル(Bpoc)、及び2−ニトロフェニルスルフェニル(Nps)が挙げられるが、これらに限定されない。酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基としては、アリルオキシカルボニル(Alloc)、Cbz、ニトロ、及び2−クロロベンジルオキシカルボニル(2−ClCbz)が挙げられるが、これらに限定されない。酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性除去に感受性である、アミノ保護基としては、Fmoc、2,7−ジ−tert−ブチル−Fmoc、2−フルオロ−Fmoc(Fmoc(2F))、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エトキシカルボニル(Nsc)、(1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イル)メチルオキシカルボニル(Bsmoc)、(1,1−ジオキソナフト[1,2−b]チオフェン−2−イル)メチルオキシカルボニル(a−Nsmoc)、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)−3−メチルブチル(ivDde)、テトラクロロフタロイル(TCP)、エタンスルホニルエトキシカルボニル(Esc)、及び2−[フェニル(メチル)スルホニオ]エチルオキシカルボニルテトラフルオロボレート(Pms)などが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロキシル保護基としては、Fmoc、TBS、光解離性保護基(ニトロベラトリルオキシメチルエーテル(Nvom)など)、Mom(メトキシメチルエーテル)、及びMem(メトキシエトキシメチルエーテル)、NPEOC(4−ニトロフェネチルオキシカルボニル)、及びNPEOM(4−ニトロフェネチルオキシメチルオキシカルボニル)が挙げられるが、これらに限定されない。上記のリン酸塩で置換された及び/または硫酸塩で置換されたRPBQ化合物を合成する実施例及び方法は、米国特許出願公開第20070225261A1号に開示されている。
【0071】
本明細書で使用する場合、「カップリング剤」という用語は、1級または2級アミン及びカルボン酸からアミド結合を形成するのに有用な任意の好適な化学物質を指す。本明細書に記載される態様及び実施形態のうちのいずれかで使用されるようなカップリング剤としては、カルボジイミド、例えば、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N−シクロヘキシル−N’−イソプロピルカルボジイミド(CIC)、EDC、もしくはEDCの塩酸塩(EDC−HCl)など、ウロニウム塩もしくはアミニウム塩、例えば、HATU、HBTU、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−ヘキサフルオロリン酸テトラメチレンウロニウム(HAPyU)、TATU、TBTU、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−ヘキサフルオロリン酸ペンタメチルウロニウム(TAPipU)、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(ペンタメチレン)ヘキサフルオロリン酸ウロニウム(HBpipU)、O−(7−アザベンゾトリゾル−1−イル)−1,3−ジメチル−1,3−ヘキサフルオロリン酸トリメチレンウロニウム(HAMTU)、O−(N−スクシンイミジル)−1,1,3,3−テトラメチル−テトラフルオロホウ酸ウロニウム(TSTU)、O−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)−N,N,N’,N’−テトラフルオロホウ酸テトラメチルウロニウム(TNTU)、O−[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]−N,N,N’,N’−テトラフルオロホウ酸テトラメチルウロニウム(TOTU)、及びO−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル−N,N,N’,N’−テトラフルオロホウ酸テトラメチルウロニウム(TPTU)など、イミニウム塩、例えば、(1H−ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)−N,N−ヘキサクロロアンチモン酸ジメチルメタニミニウム(BOMI)、5−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)−3,4−ジヒドロ−1−メチル−2H−ヘキサクロロアンチモン酸ピロリウム(BDMP)など、ホスホニウム塩、例えば、(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ヘキサフルオロリン酸ホスホニウム(BOP)、(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリス(ピロリジノ)ヘキサフルオロリン酸ホスホニウム(PyBOP)、(7−アザベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリス(ジ−メチルアミノ)ヘキサフルオロリン酸ホスホニウム(AOP)、(7−アザベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリス(ピロリジノ)ヘキサフルオロリン酸ホスホニウム(PyAOP)、[エチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセタト−O2]トリ−1−ヘキサフルオロリン酸ピロリジニルホスホニウム(PyOxm)など、ペンタフルオロフェノール系試薬、例えば、HpyOPfp、PHySPfp、ペンタフルオロフェニル4−ニトロベンゼンスルホン酸塩(PFNB)、ジフェニルホスフィン酸塩(FDPP)、HDMPfpなど、リン試薬、例えば、T3P、FMDP、1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イルジフェニルリン酸塩(BIODPP)、ジエチル2−(3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,2−ベンズイソスルホンアゾリル)ホスホン酸塩(DEBP)、4’−(4−ピリジル)−2,6−ジ(2−ピラジニル)ピリジン(PyDPP)などが挙げられ得る。代表的なカップリング剤としては、(7−アザベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)ヘキサフルオロリン酸トリピロリジノホスホニウム(PyAOP)、O−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N′,N′−ビス(ペンタメチレン)ヘキサフルオロリン酸ウロニウム、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N′,N′−ビス(テトラメチレン)ヘキサフルオロリン酸ウロニウム、(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)ヘキサフルオロリン酸ジピペリジノカルベニウム、(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)ヘキサフルオロリン酸トリピロリジノホスホニウム(PyBOP)、(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ヘキサフルオロリン酸ホスホニウム(BOP)、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラフルオロホウ酸テトラメチルウロニウム(TBTU)、ヘキサフルオロリン酸ブロモトリピロリジノホスホニウム、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ヘキサフルオロリン酸ホスホニウム、O−(6−クロロベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラフルオロホウ酸テトラメチルウロニウム(TCTU)、O−(6−クロロベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N′,N′−ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム(HCTU)、2−クロロ−1,3−ヘキサフルオロリン酸ジメチルイミダゾリジニウム、2−クロロ−1,3−テトラフルオロホウ酸ジメチルイミダゾリジニウム、2−クロロ−1,3−塩化ジメチルイミダゾリジニウム塩化物、ヘキサフルオロリン酸クロロジピロリジノカルベニウム、クロロ−N,N,N′,N′−ヘキサフルオロリン酸テトラメチルホルムアミジニウム、ヘキサフルオロリン酸クロロトリピロリジノホスホニウム、(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ−モルホリノ−ヘキサフルオロリン酸カルベニウム(COMU)、ジピロリジノ(N−スクシンイミジルオキシ)ヘキサフルオロリン酸カルベニウム、O−[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]−N,N,N′,N′−ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム、フルオロ−N,N,N′,N′−ビス(テトラメチレン)ヘキサフルオロリン酸ホルムアミジニウム、フルオロ−N,N,N′,N′−ビス(テトラメチレン)ヘキサフルオロリン酸ホルムアミジニウム、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−ヘキサフルオロリン酸オキシド(HATU)、N,N,N′,N′−テトラメチル−O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)ヘキサフルオロリン酸ウロニウム(HBTU)、1−[(ジメチルアミノ)(モルホリノ)メチレン]−1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イウム3−ヘキサフルオロリン酸オキシド(HDMA)、O−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)−N,N,N′,N′−テトラフルオロホウ酸テトラメチルウロニウム、S−(1−オキシド−2−ピリジル)−N,N,N′,N′−ヘキサフルオロリン酸テトラメチルチウロニウム、O−(2−オキソ−1(2H)ピリジル)−N,N,N′,N′−テトラフルオロホウ酸テトラメチルウロニウム、N,N,N′,N′−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ヘキサフルオロリン酸ウロニウム、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドメチオジド(EDC−MeI)、ホスホン酸無水プロパン(T3P)、N,N’−ジ−tert−ブチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメチル−p−トルエンスルホン酸塩、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、1,1’−カルボニルジイミダゾール、1,1’−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)、ビス(4−ニトロフェニル)炭酸塩、4−クロロギ酸ニトロフェニル、ジ(N−スクシンイミジル)炭酸塩、及び1−(2−メシチレンスルホニル)−3−ニトロ−1H−1,2,4−トリアゾール、またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
「反応させること」は、2つ以上の化学分子をごく接近させて、分子のうちの1つ以上の化学反応、例えば、2つ以上の化学分子間の化学反応を引き起こすか、または促進することを指す。例えば、反応させることは、化学物質を一緒に混合すること、及び任意に連続的に混合することを含み得る。反応させることは、当業者に一般的に既知の手順に従って、1つ以上の溶媒中で2つ以上の化学物質を完全または部分的に溶解または懸濁し、溶媒中の化学物質を、固相及び/もしくは気相中の、または樹脂などの固体支持体に結合した別の化学物質と混合するか、あるいは気相もしくは固相中及び/または固体支持体上の2つ以上の化学物質を混合することによって行われ得る。化合物Aを化合物Bと反応させることはまた、化合物A、B、及びCを連続的または同時に混合して、Aが化合物Cと反応して中間体を形成し、それが次いで、化合物Bと反応して、中間体が単離または分離されないようにすることを含む。例えば、アミノ化合物をカルボン酸化合物と反応させてアミドを形成することは、カルボン酸化合物をカップリング剤ならびに1つ以上の添加剤(例えば、EDC及びHOBT)と組み合わせて、活性エステルを原位置で形成し、それが次いで、単離なしで、すでに存在しているか、または続いて添加されたアミノ化合物と反応して、アミドを形成することを含む。
【0073】
「変換すること」は、化学反応を介して1つの化合物を別の化合物に変化させるか、あるいは化合物の遊離酸または塩基を化合物の塩に変化させるか、あるいは変化を引き起こすことが可能な反応条件下で、化合物の塩を化合物の遊離酸もしくは塩基または化合物の別の塩に変化させるプロセスを指す。
【0074】
本明細書で使用する場合、「単離」または「精製」ポリペプチドまたはペプチドは、薬剤が由来するペプチドまたはポリペプチドなどの他の汚染ポリペプチドを実質的に含まないか、あるいは化学合成時に化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。例えば、本技術の単離されたペプチドは、薬剤の診断的または治療的使用に干渉する物質を含まない。かかる干渉物質としては、他のタンパク質性及び非タンパク質性溶質を挙げることができる。
【0075】
本明細書で使用する場合、「正味の電荷」という用語は、ペプチド中に存在するアミノ酸が帯びる正電荷の数と負電荷の数との差を指す。本明細書では、正味の電荷は生理学的pHで測定されることが理解される。生理学的pHで正に帯電する天然型アミノ酸としては、L−リジン、L−アルギニン、及びL−ヒスチジンが挙げられる。生理学的pHで負に帯電する天然型アミノ酸としては、L−アスパラギン酸及びL−グルタミン酸が挙げられる。
【0076】
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では同義に使用され、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合によって互いに結合した2つ以上のアミノ酸、即ち、ペプチド同配体を含むポリマーを意味する。ポリペプチドは、ペプチド、グリコペプチド、またはオリゴマーと通常称される短鎖と、タンパク質として一般に称される長鎖との両方を指す。ポリペプチドは、20個の遺伝子コードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドは、翻訳後プロセシングなどの天然のプロセス、または当該技術分野で周知である化学的修飾技法のいずれかによって修飾されたアミノ酸配列を含む。一態様において、ペプチド(本明細書に開示のもの)は、ジアステレオイソマー、エナンチオマー、及びシス/トランス(E/Z)異性体を含む、ペプチドの全ての立体異性体及び幾何異性体を含む。一部の実施形態において、本ペプチドのアミノ酸は、Dアミノ酸である。
【0077】
本明細書で使用する場合、「小分子」という用語は、有機化合物、有機金属化合物、有機化合物及び有機金属化合物の塩、単糖類、アミノ酸、及びヌクレオチドを含む。小分子は、分子量が1,000以下であることを除いて、あるいは生体分子とみなされる分子を更に含み得る。故に、小分子は、1,000以下の分子量を有する、脂質、オリゴ糖、オリゴペプチド、及びこれらの誘導体であり得る。
【0078】
本技術の方法
一態様において、本技術の化合物を合成する方法が提供される。一部の実施形態において、本方法は、最終生成物として中間体のうちの1つ以上を生成することを目的とし、一部の実施形態においては、本方法は、本方法の最終生成物として本技術の化合物を生成することを目的とする。各実施形態は、いずれの他の実施形態からも独立して、または他の実施形態と組み合わせて、行われ得る。実施形態のうちのいずれかにおいて、本方法は、溶液相プロセスであり得、固相プロセスではない場合がある。実施形態のうちのいずれかにおいて、本方法の生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定して、少なくとも約95%であり得る。純度は、約98.2%、約98.4%、約98.6%、約98.8%、約99.0%、約99.2%、約99.4%、約99.6%、約99.8%、またはこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲であり得るか、またはこれらの値のうちの任意の1つを超えてもよい。実施形態のうちのいずれかにおいて、本方法の生成物は、ガスクロマトグラフィー分析によって決定して、少なくとも純度約98.0%であり得る。純度は、約98.2%、約98.4%、約98.6%、約98.8%、約99.0%、約99.2%、約99.4%、約99.6%、約99.8%、またはこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲であり得るか、またはこれらの値のうちの任意の1つを超えてもよい。実施形態のうちのいずれかにおいて、生成物は、約50ppm未満の重金属を有し得る。重金属は、約45ppm、約40ppm、約35ppm、約30ppm、約25ppm、約20ppm、約15ppm、約10ppm、約5ppm、約1ppm、またはこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲であり得るか、またはこれらの値のうちの任意の1つを下回ってもよい。
【0079】
驚くべきことに、本明細書に記載される本技術の方法は、カラムクロマトグラフィー法による精製の必要なしで、高純度で式VIIIの化合物またはその塩を提供する。
【0080】
一態様において、式VIIIの化合物またはその塩の調製のための方法が提供され、
【化39】
本方法は、式I−Aの化合物またはその塩を式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、
【化40】
【化41】
式I−Cの化合物またはその塩を形成すること、
【化42】
式I−Cの化合物またはその塩を式I−Dの化合物またはその塩に変換すること、
【化43】
式I−Dの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、
【化44】
を含み、式中、
1及びA2が、各々独立して、それぞれが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A1及びA2が、各々独立して、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであり、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、であるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
8a及びR8bが、各々独立して、
【化45】
【化46】
または
【化47】
であり、
式中、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
55及びR56が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
12が、水素、−OH、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、C1〜C6アルキル、−O−C1〜C6アルキル、−NH−C1〜C6アルキル、−N(C1〜C6アルキル)2、C1〜C4−ペルハロアルキル、アラルキル、−O−アラルキル、−NH−アラルキル、−N(アラルキル)2、−N(C1〜C6アルキル)(アラルキル)、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
nが、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
1、X2、及びX4が、各出現において独立して、水素またはアミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
3が、R2、水素、またはアミノ保護基であり、
1が、アミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
5及びZ6が、各々独立して、−NHX1、−C(N−X4)−NH−X2、−NX1C(N−X4)−NH−X2、−NX1(C1〜C6アルキル)、−NX1(C6〜C10アリール)、−NX1(C7〜C12アラルキル)、または窒素含有ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基であり、各アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基が、置換または非置換である。
【0081】
一態様において、式VIIIの化合物またはその塩の調製のための方法が提供され、
【化48】
本方法は、式II−Aの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、
【化49】
【化50】
式II−Cの化合物またはその塩を形成すること、
【化51】
式II−Cの化合物またはその塩を式II−Dの化合物またはその塩に変換すること、
【化52】
式II−Dの化合物またはその塩を式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、
【化53】
を含み、式中、
2及びA4が、各々独立して、それぞれが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A2及びA4が、各々独立して、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであり、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、であるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
8a及びR8bが、各々独立して、
【化54】
【化55】
または
【化56】
であり、
式中、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
55及びR56が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
12が、水素、−OH、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、C1〜C6アルキル、−O−C1〜C6アルキル、−NH−C1〜C6アルキル、−N(C1〜C6アルキル)2、C1〜C4−ペルハロアルキル、アラルキル、−O−アラルキル、−NH−アラルキル、−N(アラルキル)2、−N(C1〜C6アルキル)(アラルキル)、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
nが、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
1が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
1、X2、及びX4が、各出現において独立して、水素またはアミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
3が、R2、水素、またはアミノ保護基であり、
5及びZ6が、各々独立して、−NHX1、−C(N−X4)−NH−X2、−NX1C(N−X4)−NH−X2、−NX1(C1〜C6アルキル)、−NX1(C6〜C10アリール)、−NX1(C7〜C12アラルキル)、または窒素含有ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基であり、各アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基が、置換または非置換である。
【0082】
一部の態様において、式I−Aの化合物またはその塩が、I−Fの化合物またはその塩を、
【化57】
I−Aの化合物に変換することによって調製され、式中、n、W1、Y1、Z5、R22、R23、及びR8aが、本明細書に定義される通りである。
【0083】
一部の態様において、I−Fの化合物またはその塩をI−Aの化合物またはその塩に変換することは、加水分解条件下で、式I−Fの化合物またはその塩における基OW1をOHに変換して、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩を形成することを含む。一部の態様において、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩は、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩をClC(O)−R59と反応させることを含む方法によって、無水物(例えば、混合無水物)、例えば、A1が−OC(O)−R59である式I−Aの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩は、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩を、フッ化シアヌル、三フッ化ジエチルアミノ硫黄、ヘキサフルオロリン酸テトラメチルフルオロホルムアミジニウム(TFFH)、及びフルオロ−ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(BTFFH)などのフッ素化剤と反応させることを含む方法によって、A1がFである式I−Aの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩は、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩を、五塩化リン、塩化オキサリル、または塩化チオニルなどの塩素化剤と反応させることを含む方法によって、A1がClである式I−Aの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩は、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩を、三臭化リンなどの臭素化剤と反応させることを含む方法によって、A1がBrである式I−Aの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩は、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩を、Lv1が脱離基であるLv1−R58と反応させることを含む方法によって、活性エステル、例えば、A1が−O−R58である式I−Aの化合物またはその塩に更に変換される。Lv1−R58の例としては、アクリル酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビス(4−ニトロフェニル)炭酸塩、ビス(4−ニトロフェニル)炭酸塩、ビス(ペンタフルオロフェニル)炭酸塩、2−ブロモ−1−エチル−ピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N′−炭酸ジスクシンイミジル、エチル(ヒドロキシイミノ)シアノ酢酸塩、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスクシンイミジルアセトアセテート、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、ヨード酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、4−クロロギ酸ニトロベンジル、4−クロロギ酸ニトロフェニル、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル、フェノキシ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、及びN−スクシンイミジルN−メチルカルバミン酸塩が挙げられる。
【0084】
一部の態様において、A1は、OHである。
【0085】
一部の態様において、式II−Aの化合物またはその塩が、I−Fの化合物またはその塩をII−Aの化合物またはその塩に変換することによって調製される。
【0086】
一部の態様において、A2は、OHである。一部の態様において、I−Eの化合物は、活性エステル、例えば、A2が−O−R58である化合物であり、A2がOHである式I−Eの化合物またはその塩を、本明細書に記載されるLv1−R58と反応させることを含む方法によって調製される。一部の態様において、I−Eの化合物は、無水物(例えば、混合無水物)、例えば、A2が−OC(O)−R59である化合物であり、A2がOHである式I−Eの化合物またはその塩を、ClC(O)−R59と反応させることを含む方法によって調製される。一部の態様において、A2がFである式I−Eの化合物は、A2がOHである式I−Eの化合物またはその塩を、フッ化シアヌル、三フッ化ジエチルアミノ硫黄、ヘキサフルオロリン酸テトラメチルフルオロホルムアミジニウム(TFFH)、及びフルオロ−ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(BTFFH)などのフッ素化剤と反応させることを含む方法によって調製される。一部の態様において、A2がClである式I−Eの化合物は、A2がOHである式I−Eの化合物またはその塩を、五塩化リン、塩化オキサリル、または塩化チオニルなどの塩素化剤と反応させることを含む方法によって調製される。一部の態様において、A2がBrである式I−Eの化合物は、A2がOHである式I−Eの化合物またはその塩を、三臭化リンなどの臭素化剤と反応させることを含む方法によって調製される。
【0087】
一部の態様において、式I−Fの化合物またはその塩が、式I−Gの化合物またはその塩を式I−Hの化合物またはその塩と反応させることを含む方法によって調製され、
【化58】
【化59】
式中、R8a、R22、R23、W1、Y1、Z5、及びnが、本明細書に定義される通りであり、A5が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A5が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであってもよく、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基である。一部の態様において、A5は、OHである。
【0088】
別の態様において、式VIIIの化合物またはその塩の調製のための方法が提供され、
【化60】
本方法は、式III−Aの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、
【化61】
【化62】
を含み、式中、
6が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A6が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであり、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、であるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
8a及びR8bが、各々独立して、
【化63】
【化64】
または
【化65】
であり、
式中、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
55及びR56が、各々独立して、H、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
12が、水素、−OH、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、C1〜C6アルキル、−O−C1〜C6アルキル、−NH−C1〜C6アルキル、−N(C1〜C6アルキル)2、C1〜C4−ペルハロアルキル、アラルキル、−O−アラルキル、−NH−アラルキル、−N(アラルキル)2、−N(C1〜C6アルキル)(アラルキル)、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキルから選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
nが、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
1、X2、及びX4が、各出現において独立して、水素またはアミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、
3が、R2、水素、またはアミノ保護基であり、
5及びZ6が、各々独立して、−NHX1、−C(N−X4)−NH−X2、−NX1C(N−X4)−NH−X2、−NX1(C1〜C6アルキル)、−NX1(C6〜C10アリール)、−NX1(C7〜C12アラルキル)、または窒素含有ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール基であり、各アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基が、置換または非置換である。
【0089】
一部の態様において、式III−Aの化合物またはその塩が、式III−Cの化合物またはその塩を式III−Aの化合物またはその塩に変換することを含む方法によって調製され、
【化66】
式中、m、X1、X3、Z6、R22、R1、及びR8aが、本明細書に定義される通りであり、W2が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基である。
【0090】
一部の態様において、式III−Cの化合物またはその塩をIII−Aの化合物またはその塩に変換することは、加水分解条件下で、式III−Cの化合物またはその塩におけるOW2基をOHに変換して、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩を形成することを含む。一部の態様において、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩は、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩をClC(O)−R59と反応させることを含む方法によって、無水物(例えば、混合無水物)、例えば、A6が−OC(O)−R59である式III−Aの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩は、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩を、本明細書に記載されるLv1−R58と反応させることを含む方法によって、活性エステル(例えば、A6が−O−R58)に更に変換される。一部の態様において、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩は、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩を、フッ化シアヌル、三フッ化ジエチルアミノ硫黄、ヘキサフルオロリン酸テトラメチルフルオロホルムアミジニウム(TFFH)、及びフルオロ−ジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(BTFFH)などのフッ素化剤と反応させることを含む方法によって、A6がFである式III−Aの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩は、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩を、五塩化リン、塩化オキサリル、または塩化チオニルなどの塩素化剤と反応させることを含む方法によって、A6がClである式III−Aの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩は、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩を、三臭化リンなどの臭素化剤と反応させることを含む方法によって、A6がBrである式III−Aの化合物またはその塩に更に変換される。
【0091】
一部の態様において、A6は、OHである。
【0092】
一部の態様において、式III−Cの化合物またはその塩が、式III−Dの化合物またはその塩を式I−Eの化合物と反応させて、式III−Cの化合物またはその塩を形成することを含む方法によって調製され、
【化67】
【化68】
式中、m、W2、X1、X3、Z6、R22、R1、及びR8aが、本明細書に定義される通りであり、A2が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A2が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであってもよく、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基である。一部の実施形態において、A2は、OHである。
【0093】
一部の態様において、式III−Bの化合物またはその塩が、式III−Eの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩に変換することを含む方法によって調製され、
【化69】
式中、Y2が、アミノ保護基、例えば、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基、または酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性もしくは水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、n、Z5、R23、R24、R8b、及びR9が、本明細書に定義される通りである。
【0094】
一部の態様において、式III−Eの化合物またはその塩が、式I−Bの化合物またはその塩を式III−Fの化合物またはその塩と反応させて、式III−Eの化合物またはその塩を形成することを含む方法によって調製され、
【化70】
【化71】
式中、R8b、R9、R23、R24、Y2、Z5、及びnが、本明細書に定義される通りであり、A7が、それが結合したカルボニル基と一緒に、カルボン酸、活性エステル、無水物、または酸ハロゲン化物を形成し、例えば、A7が、−OH、−O−R58、−OC(O)−R59、F、Cl、またはBrであり、R58が、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル基であり、R59が、置換または非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基である。一部の実施形態において、A7は、OHである。
【0095】
加水分解条件は、アルカリ金属水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、もしくはKOH)またはアルカリ土類金属水酸化物(例えば、Ca(OH)2またはMg(OH)2)の水溶液を含んでもよい。溶液は、有機溶媒、例えば、混和性または部分的に混和性の有機溶媒、例えば、CH3OH、EtOH、DMF、DMA、CH3CN、アセトン、ジオキサン、THF、またはこれらの混合物を更に含んでもよい。
【0096】
一部の実施形態において、W1またはW2は、ベンジルであり、−OW1または−OW2は、本明細書に記載される水素源及び遷移金属触媒を含む方法によってOHに変換される。例えば、H2、及び炭素上のPdまたはPtなどの担持触媒が、ベンジルをHに変換(還元開裂)するために使用されてもよい。
【0097】
一部の実施形態において、W1またはW2は、tert−ブチルであり、−OW1または−OW2は、本明細書に記載される開裂酸を含む方法によってOHに変換される。
【0098】
本態様のうちのいずれかの一部の実施形態において、Y1またはY2が酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である場合、X1、X2、X3、及びX4のうちのいずれも、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基ではない。上記の態様のうちのいずれかの一部の実施形態において、X1、X2、X3、及びX4のうちの1つが酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である場合、Y1もY2も酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基ではない。上記の態様のうちのいずれかの一部の実施形態において、X1、X2、X3、及びX4のうちの1つが酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である場合、残りのX1、X2、X3、及びX4のうちの全てが、水素、または酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、Y1もY2も酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基ではない。
【0099】
本態様のうちのいずれかの一部の実施形態において、Y1は、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。一部の実施形態において、Y2は、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。例えば、Y1またはY2は、独立して、Cbzであってもよく、H2、及び炭素上のPdまたはPtなどの担持触媒が、CbzをHに変換(還元開裂)するために使用されてもよい。一部の実施形態において、X1、X2、X3、及びX4のうちの少なくとも1つが、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。一部の実施形態において、X3ならびにX1、X2、及びX4のうちの少なくとも1つが、独立して、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。他の実施形態において、X3ならびにX1、X2、及びX4のうちの少なくとも2つが、独立して、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。
【0100】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及びY2は、独立して、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2−クロロベンジルオキシカルボニル(2−ClCbz)、またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)であり得、各出現におけるX1、X2、及びX4のうちのそれぞれは、独立して、水素、またはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、トリチル(Trt)、3,5−ジメトキシフェニルイソプロキシカルボニル(Ddz)、2−(4−ビフェニル)イソプロポキシカルボニル(Bpoc)、または2−ニトロフェニルスルフェニル(Nps)であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及びY2は、独立して、Boc、Trt、Ddz、Bpoc、またはNpsであり得、各出現におけるX1、X2、及びX4のうちのそれぞれは、独立して、水素、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得る。
【0101】
本態様のうちのいずれかの一部の実施形態において、Y1は、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。一部の実施形態において、Y2は、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。一部の実施形態において、X1、X2、X3、及びX4のうちの少なくとも1つが、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。一部の実施形態において、X3ならびにX1、X2、及びX4のうちの少なくとも1つが、独立して、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。他の実施形態において、X3ならびにX1、X2、及びX4のうちの少なくとも2つが、独立して、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。
【0102】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及びY2はBoc、Trt、Ddz、Bpoc、またはNpsであり得、各出現におけるX1は、独立して、水素、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得、各出現におけるX2は、独立して、水素、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得、各出現におけるX4は、独立して、水素、ニトロ、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得る。
【0103】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及び/またはY2は、独立して、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、各出現におけるX1、X2、及び/またはX4は、独立して、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性または水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及び/またはY2はBocであり得、各出現におけるX1は、独立して、水素、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得、各出現におけるX2は、独立して、水素、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得、各出現におけるX4は、独立して、水素、ニトロ、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得る。一部の実施形態において、Z5が−C(NH)−NH−X2であるとき、X1は、水素である。一部の実施形態において、Z5が−C(N−X4)−NH−X2であるとき、X1は水素であり、X2及びX4のうちの少なくとも1つは、Hではない。本実施形態のうちのいずれかにおいて、X2が、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基であるとき、X1は、水素であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、X1が、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基であるとき、X2は、水素であり得る。
【0104】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及び/またはY2は、独立して、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性除去に感受性である、アミノ保護基であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及び/またはY2は、Fmocであり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及び/またはY2は、独立して、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、各出現におけるX1、X2、及び/またはX4は、独立して、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1及び/またはY2は、独立して、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得、各出現におけるX1、X2、及び/またはX4は、独立して、水素またはBocであり得る。本態様または実施形態のうちのいずれかにおいて、Z5及びZ6は、各々独立して、−NHX1、−C(N−X4)−NH−X2、−NX1C(N−X4)−NH−X2、あるいは置換もしくは非置換イミダゾリルもしくはインドリル、または本明細書に記載される他の置換もしくは非置換窒素含有複素環及び複素芳香族基、例えば、置換及び非置換ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、チアゾリル、ピラジニル、ピリジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル(peiperazinyl)、モルホリニル、ベンズイミダゾリル、アザインドリル、インダゾリル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、及びトリアゾロピリジニルが挙げられるがこれらに限定されないものであり得る。一部の実施形態において、Z5が、−NX1C(N−X4)−NH−X2または−C(NH)−NH−X2であるとき、X1は、水素である。一部の実施形態において、Z5が−NX1C(N−X4)−NH−X2であるとき、X1は水素であり、X2及びX4のうちの少なくとも1つは、Hではない。本実施形態のうちのいずれかにおいて、X2が、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であるとき、X1は、水素であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、X1が、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であるとき、X2は、水素であり得る。
【0105】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、X3は、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり得る。一部の実施形態において、X3は、Boc、Trt、Ddz、Bpoc、またはNps.などであるがこれらに限定されない、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。本態様のうちのいずれかにおいて、Z5は、−NHX1であり得、Z6は、−NX1C(N−X4)−NH−X2であり得る。一部のかかる実施形態において、X1は、Hであり、他の実施形態において、X1、X2、及びX4は、Hである。一部の実施形態において、Z5は、−NHBocであり、Z6は、−NHC(NH)−NH2である。ある特定の実施形態において、mは、3であり、nは、4である。
【0106】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、R8aまたはR8bは、
【化72】
であり得る。一部のかかる実施形態において、R10、R11、R12、R13、及びR14は全て、水素であり、他のかかる実施形態において、R10及びR14は、メチルであり得、R12は、−OHであり得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、R9は、NH2であり得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、Z5またはZ6は、−NH2または−NHC(NH)NH2であり得、nまたはmは、3または4であり得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、R8a及びR8bのうちの1つは、
【化73】
であり得、1つは、
【化74】
であり得、式中、R9は、−NH2であり、Z5は、−NH2であり、nは、3または4である。
【0107】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、R9は、NR’R’’であり得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、R9は、NH2であり得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、式Iの化合物またはその塩以外において、R9は、OR’であり得、R’は、水素ではない場合がある。式Iの化合物またはその塩の一部の実施形態において、R9は、OHであり得る。
【0108】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、R22、R23、及びR24のうちの全ては、水素であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、R22及びR23は、水素であり得、R24は、メチルなどのC1〜C4アルキルであり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、R22及びR24は、水素であり得、R25は、メチルなどのC1〜C4アルキルであり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、R23及びR24は、水素であり得、R22は、メチルなどのC1〜C4アルキルであり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、R22及びR23は、メチルなどのC1〜C4アルキルであり得、R24は、水素であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、R22及びR24は、メチルなどのC1〜C4アルキルであり得、R25は、水素であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、R23及びR24は、メチルなどのC1〜C4アルキルであり得、R22は、水素であり得る。本実施形態のうちのいずれかにおいて、R22、R23、及びR24のうちの全ては、メチルなどのC1〜C4アルキルであり得る。
【0109】
本方法のある特定の実施形態において、式VIIIの化合物またはその塩は、式VIII−Bの化合物またはその塩であり、式中、R1が、水素であり、X3が、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、Z5及びZ6が、独立して、−NHX1または−NHC(NH)−NH2から選択され、X1が、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、m及びnが、独立して、2、3、または4から選択され、R9が、NH2であり、R8a及びR8bが、独立して、
【化75】
であり、各出現におけるR10及びR14が、独立して、水素またはC1〜C6アルキルから選択され、各出現におけるR12が、水素または−OHである。一部の実施形態において、X3は、Bocであり、X1は、Bocである。驚くべきことに、式VIII−Bの化合物またはその塩が、少量の水の存在下でさえ酸に曝露されるとき、脱保護が完了まで進まない可能性があり、脱保護生成物が固体粉末として単離され得ないことが分かっている。例えば、ハロゲン化水素溶液中の0.5重量%または更には0.1重量%の水(例えば、有機溶媒中のHCl)は、非付着性粉末形態での式VIII(すなわち、X3がHであり、X1がHである)の完全脱保護テトラペプチドの即座の単離を防止する。対照的に、例えば、イソプロピルアルコール及び/またはイソプロピルアセテートを使用した無水条件下での脱保護は、クロマトグラフィーまたは結晶化なしで、良好な収率及び高純度で遊離テトラペプチドをもたらす。
【0110】
一部の実施形態において、式VIIIの化合物またはその塩は、式VIIIaの化合物またはその塩であり、式Iの化合物またはその塩は、式Iaの化合物またはその塩である。
【化76】
【化77】
【0111】
一部の実施形態において、式VIIIaまたはIaの化合物は、本明細書に記載される塩である。例えば、式VIIIaまたはIaの化合物は、脂肪族カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、ピバル酸塩、C4〜C18脂肪酸など)、塩酸塩、臭化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩(例えば、メシル酸塩、エシル酸塩、トリフル酸塩)、アリールスルホン酸塩(例えば、トシル酸塩)、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、または硫酸塩として単離され得る。
【0112】
一部の実施形態において、式I−Aの化合物またはその塩は、式I−AaまたはI−Abの化合物もしくはその立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式I−Bの化合物またはその塩は、式I−Baの化合物もしくはその立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化78】
または
【化79】
【化80】
【0113】
一部の実施形態において、式I−Cの化合物またはその塩は、式I−Caの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式I−Dの化合物またはその塩は、式I−Daの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化81】
【化82】
【0114】
一部の実施形態において、式I−Eの化合物またはその塩は、式I−EaまたはI−Ebの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式II−Aの化合物またはその塩は、式II−Aaの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化83】
【化84】
【化85】
【0115】
一部の実施形態において、式II−Cの化合物またはその塩は、式II−Caの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式II−Dの化合物またはその塩は、式II−Daの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化86】
【化87】
【0116】
一部の実施形態において、式I−Fの化合物またはその塩は、式I−Faの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式I−Gの化合物またはその塩は、式I−Gaの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式I−Hの化合物またはその塩は、式I−Haの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化88】
【化89】
【化90】
【0117】
一部の実施形態において、式III−Aの化合物またはその塩は、式III−Aaの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式III−Bの化合物またはその塩は、式III−Baの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化91】
【化92】
【0118】
一部の実施形態において、式III−Cの化合物またはその塩は、式III−Caの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式III−Dの化合物またはその塩は、式III−Daの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化93】
【化94】
【0119】
一部の実施形態において、式III−Eの化合物は、式III−Eaの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩であり、式III−Fの化合物またはその塩は、式III−Faの化合物、その立体異性体、または上記のうちのいずれかの塩である。
【化95】
【化96】
【0120】
一部の実施形態において、A1がOHである式I−Aの化合物またはその塩を式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、式I−Cの化合物またはその塩を形成すること、A2がOHである式I−Eの化合物またはその塩を式I−Dの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、式II−Aの化合物またはその塩をA2がOHである式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式II−Cの化合物またはその塩を形成すること、A4がOHである式II−Dの化合物またはその塩を式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、A5がOHである式I−Gの化合物またはその塩を式I−Hの化合物またはその塩と反応させて、式I−Fの化合物またはその塩を形成すること、A6がOHである式III−Aの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成すること、式III−Dの化合物またはその塩をA2がOHである式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式III−Cの化合物またはその塩を形成すること、あるいは式I−Bの化合物またはその塩をA7がOHである式III−Fの化合物またはその塩と反応させて、式III−Eの化合物またはその塩を形成することは、カップリング剤を含む条件下で実施される。一部の実施形態において、カップリング剤は、DCC、EDC、HATU、HBTU、HCTU、T3P、TBTU、TCTU、PyAOP、BOP、またはPyBOPを含む。一部の実施形態において、カップリング剤は、EDCであり、条件は、任意選択でHOBTを含む。一部の実施形態において、カップリング剤は、BOPを含んでもよく、条件は、任意選択でHOBTを含む。一部の実施形態において、カップリング剤は、HATUを含んでもよく、条件は、任意選択でHOATを含む。一部の実施形態において、カップリング剤は、プロピルホスホン酸無水物(T3P)である。
【0121】
本実施形態のうちのいずれかにおいて、式I−Aの化合物またはその塩を式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、式I−Cの化合物またはその塩を形成する条件、式I−Dの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成する条件、式II−Aの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式II−Cの化合物またはその塩を形成する条件、式II−Dの化合物またはその塩を式I−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成する条件、式I−Gの化合物またはその塩を式I−Hの化合物またはその塩と反応させて、式I−Fの化合物またはその塩を形成する条件、式III−Aの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩と反応させて、式VIIIの化合物またはその塩を形成する条件、式III−Dの化合物またはその塩を式I−Eの化合物またはその塩と反応させて、式III−Cの化合物またはその塩を形成する条件、式I−Bの化合物またはその塩を式III−Fの化合物またはその塩と反応させて、式III−Eの化合物またはその塩を形成する条件は、好適な溶媒を更に含んでもよい。かかる溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール(CH3OH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(iPrOH)、トリフルオレタノール(TFE)、ブタノール(BuOH))、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)、ベンゾトリフルオリド(BTF;PhCF3))、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA))、ニトリル(例えば、アセトニトリル(CH3CN)、プロプリオニトリル(CH3CH2CN)、ベンゾニトリル(PhCN))、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、スルホン(例えば、スルホラン)、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、溶媒は、CH3OH、EtOH、iPrOH、TFE、BuOH、CH2Cl2、CHCl3、PhCF3、THF、2Me−THF、DME、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DMF、DMA、CH3CN、CH3CH2CN、PhCN、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含み得る。一部の実施形態において、溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)またはCH2Cl2である。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、条件は、塩基を更に含んでもよい。塩基は、Na2CO3もしくはNaHCO3などの無機塩基、または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、もしくはトリアルキルアミンなどの有機塩基であり得る。好適なトリアルキルアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、及びジイソプロピルエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。塩基が無機塩基を含むとき、好適な溶媒は、水を更に含んでもよい。
【0122】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、条件は、約−40℃〜約150℃、例えば、約−40℃、約−35℃、約−30℃、約−25℃、約−20℃、約−15℃、約−10℃、約−5℃、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、及びこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲の温度を含み得る。
【0123】
一部の実施形態において、Y1は、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。一部の実施形態において、Y1は、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)である。一部の実施形態において、式I−Cの化合物またはその塩を式I−Dの化合物またはその塩に変換することは、式I−Cの化合物またはその塩を開裂酸と組み合わせて、式I−Dの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式I−Dの化合物またはその塩を単離することを更に含む。一部の実施形態において、式I−Fの化合物またはその塩を式II−Aの化合物またはその塩に変換することは、式I−Fの化合物またはその塩を開裂酸と組み合わせて、式II−Aの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式II−Aの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0124】
一部の実施形態において、Y2は、酸媒介性除去に感受性であるアミノ保護基である。一部の実施形態において、Y2は、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)である。一部の実施形態において、式III−Eの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩に変換することは、式III−Eの化合物またはその塩を開裂酸と組み合わせて、式III−Bの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式III−Bの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0125】
開裂酸は、ハロゲン酸、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸、スルフィン酸、スルホン酸、硫酸、スルファミン酸、ホウ酸、ボロン酸、酸性樹脂、またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。代表的な例としては、フッ化水素酸、塩酸(HCl)、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、酢酸(AcOH)、フルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、クロロ酢酸、安息香酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及び硫酸が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、本方法は、前述の開裂酸のうちの任意の2つ以上を含む。開裂酸と組み合わせることは、約−40℃〜約150℃の温度で生じ得る。かかる実施形態は、約−40℃、約−35℃、約−30℃、約−25℃、約−20℃、約−15℃、約−10℃、約−5℃、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、及びこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲で行われ得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、開裂酸と組み合わせた後、温度は、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、またはこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲に上昇させられる。
【0126】
一部の実施形態において、開裂酸と組み合わせることは、プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、またはこれら2つの混合物を含む。本明細書で使用されるプロトン性溶媒は、アルコール(例えば、メタノール(CH3OH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(iPrOH)、トリフルオレタノール(TFE)、ブタノール(BuOH))、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシコール酸、グルタミン酸、グルクロン酸)、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される極性非プロトン性溶媒は、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)、ベンゾトリフルオリド(BTF;PhCF3))、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA))、ニトリル(例えば、アセトニトリル(CH3CN)、プロプリオニトリル(CH3CH2CN)、ベンゾニトリル(PhCN))、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、スルホン(例えば、スルホラン)、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、開裂酸と組み合わせることは、メタノール(CH3OH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(iPrOH)、トリフルオレタノール(TFE)、ブタノール(BuOH)、塩化メチレン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)、ベンゾトリフルオリド(BTF;PhCF3)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、アセトニトリル(CH3CN)、プロプリオニトリル(CH3CH2CN)、ベンゾニトリル(PhCN)、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を更に含み得る。
【0127】
一部の実施形態において、Y1は、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。一部の実施形態において、Y1は、Cbzである。一部の実施形態において、式I−Cの化合物またはその塩を式I−Dの化合物またはその塩に変換することは、式I−Cの化合物またはその塩を水素源と組み合わせて、式I−Dの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式I−Dの化合物またはその塩を単離することを更に含む。一部の実施形態において、式I−Fの化合物またはその塩を式II−Aの化合物またはその塩に変換することは、式I−Fの化合物またはその塩を水素源と組み合わせて、式II−Aの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式II−Aの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0128】
一部の実施形態において、Y2は、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。一部の実施形態において、Y2は、Cbzである。一部の実施形態において、式III−Eの化合物またはその塩を式III−Bの化合物に変換することは、式III−Eの化合物またはその塩を水素源と組み合わせて、式III−Bの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式III−Bの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0129】
「水素源」という用語は、2個の水素原子の提供源を意味する。本明細書に記載の実施形態及び態様のうちのいずれかにおいて、水素源は、水素分子、ギ酸、ギ酸塩、ジイミド、シクロヘキセン、もしくはシクロヘキサジエン、またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせを含み得る。ギ酸塩は、NH4OC(O)Hを含むがこれに限定されず、また(M)x(OCHO)yによって表されてもよく、式中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、xは、1、2、または3であり、yは、1、2、または3である。一部の実施形態において、水素源は水素ガスである。本明細書に記載の実施形態及び態様のうちのいずれかにおいて、化合物を水素源と組み合わせることは、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、遷移金属触媒を更に含む。一部の実施形態において、遷移金属触媒は、Pdを含む。本明細書に記載の実施形態及び態様のうちのいずれかにおいて、遷移金属触媒は、担体材料を含む。担体材料としては、炭素、炭酸塩、シリカ、ケイ素、ケイ酸塩、アルミナ、粘土、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、一部の実施形態において、遷移金属触媒は、Pd炭素(Pd/C)である。一部の実施形態において、遷移金属触媒は、Pdケイ素(Pd/Si)である。担体材料を含む遷移金属触媒の実施形態において、組み合わせた遷移金属/担体材料質量における遷移金属の量は、約0.01重量%〜約80重量%であり得る。遷移金属の量は、約0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、またはこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲であり得る。一部の実施形態において、遷移金属触媒は、Pd炭素であり、遷移金属の量は、5重量%、即ち、5 %Pd/Cである。一部の実施形態において、遷移金属触媒は、Pd炭素であり、遷移金属の量は、10重量%、即ち、10 %Pd/Cである。一部の実施形態において、遷移金属触媒は、Pdケイ素であり、遷移金属の量は、5重量%、即ち、5 %Pd/Siである。一部の実施形態において、遷移金属触媒は、Pdケイ素であり、遷移金属の量は、10重量%、即ち、10 %Pd/Siである。本明細書に記載の実施形態及び態様のうちのいずれかにおいて、水素源及び遷移金属触媒に加えて溶媒が含まれてもよい。代表的な溶媒としては、アルコール、ハロゲン化溶媒、エーテル、エステル、ケトン、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、溶媒は、CH3OH、EtOH、iPrOH、TFE、BuOH、CH2Cl2、CHCl3、PhCF3、THF、2Me−THF、DME、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DMF、DMA、CH3CN、CH3CH2CN、PhCN、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含み得る。本明細書に記載の実施形態及び態様のうちのいずれかにおいて、溶媒は、酸を更に含んでもよい。酸は、触媒量を含む好適な量で存在し得る。かかる酸としては、鉱酸(例えば、HCl、HBr、HF、H2SO4、H3PO4、HClO4)、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシコール酸、グルタミン酸、グルクロン酸)、ボロン酸、スルフィン酸、スルファミン酸、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、溶媒は、HCl、HBr、HF、H2SO4、H3PO4、HClO4、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシコール酸、グルタミン酸、グルクロン酸、ボロン酸、スルフィン酸、スルファミン酸、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を更に含んでもよい。ギ酸が酸として含まれるとき、ギ酸は水素源にもなり得ることに留意されたい。
【0130】
一部の実施形態において、Y1は、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。一部の実施形態において、Y1は、Fmocである。一部の実施形態において、式I−Cの化合物またはその塩を式I−Dの化合物またはその塩に変換することは、式I−Cの化合物またはその塩を塩基と組み合わせて、式I−Dの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式I−Dの化合物またはその塩を単離することを更に含む。一部の実施形態において、式I−Fの化合物またはその塩を式II−Aの化合物またはその塩に変換することは、式I−Fの化合物またはその塩を水素源と組み合わせて、式II−Aの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式II−Aの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0131】
一部の実施形態において、Y2は、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ塩基媒介性除去に感受性である、アミノ保護基である。一部の実施形態において、Y2は、Fmocである。一部の実施形態において、式III−Eの化合物またはその塩を式III−Bの化合物またはその塩に変換することは、式III−Eの化合物またはその塩を塩基と組み合わせて、式III−Bの化合物またはその塩を生成することを含む。一部の実施形態において、本方法は、式III−Bの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0132】
一部の実施形態において、塩基媒介性除去に感受性であるアミノ保護基の除去を媒介する塩基は、N−メチルピロリジン、1,4−ビス−(3−アミノプロピル)ピペラジン、DBU、ヒドラジン、DIEA、ジメチルアミノピリジン、NaOH、KOH、LiOH、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、KHCO3、Li2CO3、LiHCO3、一次または二次アミン、例えば、アンモニア、エタノールアミン、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ジキシキシロヘキシルアミン(dixyxlohexylamine)などである。本明細書に記載される実施形態及び態様のうちのいずれかにおいて、溶媒が塩基に加えて含まれ得る。代表的な溶媒としては、アルコール、ハロゲン化溶媒、エーテル、エステル、ケトン、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、溶媒は、CH3OH、EtOH、iPrOH、TFE、BuOH、CH2Cl2、CHCl3、PhCF3、THF、2Me−THF、DME、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DMF、DMA、CH3CN、CH3CH2CN、PhCN、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含み得る。
【0133】
一部の実施形態において、本方法は、式VIIIの化合物またはその塩を単離することを更に含む。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、式VIIIの化合物またはその塩を単離するための条件は、好適な溶媒を更に含み得る。かかる溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール(CH3OH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(iPrOH)、トリフルオレタノール(TFE)、ブタノール(BuOH))、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)、ベンゾトリフルオリド(BTF;PhCF3))、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA))、ニトリル(例えば、アセトニトリル(CH3CN)、プロプリオニトリル(CH3CH2CN)、ベンゾニトリル(PhCN))、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、スルホン(例えば、スルホラン)、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、溶媒は、CH3OH、EtOH、iPrOH、TFE、BuOH、CH2Cl2、CHCl3、PhCF3、THF、2Me−THF、DME、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DMF、DMA、CH3CN、CH3CH2CN、PhCN、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含み得る。一部の実施形態において、好適な溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)を含む。一部の実施形態において、好適な溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMA)を含む。一部の実施形態において、好適な溶媒は、CH2Cl2を含む。
【0134】
本明細書に記載される任意の態様の一部の実施形態において、X3がR2である場合、R1は、水素ではない。一部の実施形態において、X3がR2である場合、R1もR2も水素ではない。一部の実施形態において、Z5及び/またはZ6が−NHC(NH)−NH−X2であるとき、X1は、水素である。一部の実施形態において、Z5及び/またはZ6が−NHC(N−X4)−NH−X2であるとき、X1は、水素であり、X2及びX4のうちの少なくとも1つは、Hではない。一部の実施形態において、X2が、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基であるとき、X1は、水素である。一部の実施形態において、X1が、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性である、アミノ保護基であるとき、X2は水素である。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、Y1はBoc、Trt、Bpoc、Ddz、またはNpsであり得、各出現におけるX1は、独立して、水素、Alloc、Cbz、または2−ClCbzlであり得、各出現におけるX2は、独立して、水素、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得、各出現におけるX4は、独立して、水素、ニトロ、Alloc、Cbz、または2−ClCbzであり得る。
【0135】
別の態様において、式Iの化合物もしくはその塩、
【化97】
またはその薬学的に許容される塩を調製するための方法が提供され、
式中、R1及びR2が、各々独立して、
(i)水素、
(ii)置換または非置換C1〜C6アルキル、
(iii)置換または非置換アラルキル、
(iv)置換または非置換C3〜C8シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、
(v)置換または非置換C2〜C6アルケニル、
(vi)アミノ保護基、から選択されるか、
あるいはR1及びR2が一緒に、3、4、5、6、7、または8員の置換または非置換ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基を形成し、
3、R4、R6、及びR7が、各々独立して、水素、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
5が、水素、またはC1〜C6アルキルもしくはペルハロアルキル、アラルキル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、もしくは−C(O)−アラルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
8bが、
【化98】
【化99】
または
【化100】
であり、
式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が、各々独立して、水素、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、R55及びR56が、各々独立して、水素、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜C4ジアルキルアミノ、シアノ、−C(O)−アルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−アラルキル、カルボキシレート、エステル、アミド、ニトロ、ヒドロキシル、ハロゲン、もしくはペルハロアルキル基から選択され、式中、アルキル、アリール、またはアラルキル基の各々が、置換または非置換であり、
9が、OR’またはNR’R’’であり、
各出現におけるR’が、独立して、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
R’’が、水素、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキル基であり、
22、R23、及びR24が、各々独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、
1及びZ2が、各々独立して、水素、−C(NH)−NH2、または置換もしくは非置換アルキル、アリール、もしくはアラルキル基であり、
nは、1、2、3、4、または5であり、
mが、1、2、3、4、または5であり、
本方法は、本明細書に記載される式VIIIの化合物またはその塩を変換することを含み、式中、式VIIIの化合物またはその塩におけるX1、X2、X3、及びX4のうちの少なくとも1つは、式Iの化合物またはその塩に対するアミノ保護基である。
【0136】
一部の実施形態において、R1、R2、R4、R5、及びR6は各々、水素であり、R3及びR7は各々、メチルであり、R8は、
【化101】
であり、式中、R10、R11、R12、R13、及びR14は全て、水素であり、R9は、NH2であり、Z1は、水素であり、Z2は、−C(NH)−NH2であり、nは、4であり、mは、3である。
【0137】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、R4、R5、及びR6は各々、水素であり得、R3及びR7は、メチルであり得、R8は、
【化102】
であり得、式中、R10、R11、R12、R13、及びR14は全て、水素であり得、Z1及びZ5は、水素であり得、Z2は、−C(NH)−NH2であり得、Z6は、−C(N−X4)−NH−X2であり得、式中、X2及びX4のうちの少なくとも1つは、Hではない場合があり、nは、4であり得、mは、3であり得る。
【0138】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、R4、R5、及びR6は各々、水素であり得、R3及びR7は、メチルであり得、R8は、
【化103】
であり得、式中、R10、R11、R12、R13、及びR14は全て、水素であり得、X2は、Hではない場合があり、X4は、Hではない場合があり、Z1及びZ5は、水素であり得、Z2は、−C(NH)−NH2であり得、Z6は、−C(N−X4)−NH−X2であり得、nは、4であり得、mは、3であり得る。
【0139】
一部の実施形態において、本方法によって調製されたペプチドは、Arg、D−Arg、His、D−His、Lys、D−Lys、Orn(オルニチン)、D−OrnAah(2−アミノ−6−アミジノヘキサン酸)、及びD−Aahから選択される、第1及び第3の位置の残基を含む。ある特定の実施形態において、第2及び第4の位置の残基は、Phe、Tyr、His、Trp、及び2’6’−Dmtから選択される。全ての残基は、D配置に関して示されない限り、L配置の残基である。一部の実施形態において、本方法によって調製されたペプチドは、表A*のペプチド、またはその立体異性体及び/もしくは塩のうちの1つ以上を含む。
【表1】
【0140】
一部の実施形態において、ペプチドは、アミノ酸配列D−Arg−2′6′−Dmt−Lys−Phe−NH2を含む。
【0141】
一部の実施形態において、式VIIIの化合物またはその塩におけるX1、X2、X3、及びX4のうちの少なくとも1つは、酸媒介性除去に抵抗性であり、かつ水素媒介性除去に感受性であるアミノ保護基であり、本方法は、式VIIIの化合物またはその塩を水素源及び遷移金属触媒と反応させて、式Iの化合物を形成することを含む。
【0142】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、水素源及び遷移金属触媒は、本明細書に記載される通りである。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、式VIIIの化合物またはその塩、水素源、及び遷移金属触媒の組み合わせは、約−20℃〜約150℃の温度に供され得る。かかる実施形態は、約−20℃、約−15℃、約−10℃、約−5℃、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、及びこれらの値のうちの任意の2つを含むそれらの間の任意の範囲で実施され得る。
【0143】
一部の実施形態において、式VIIIの化合物またはその塩におけるX1、X2、X3、及びX4のうちの少なくとも1つは、酸媒介性除去に抵抗性であるアミノ保護基であり、本方法は、式VIIIの化合物またはその塩を本明細書に記載される開裂酸と反応させて、式Iの化合物もしくはその塩を形成することを含む。
【0144】
一部の実施形態において、本方法は、式Iの化合物またはその塩を単離することを更に含む。一部の実施形態において、本方法は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその塩を調製することを含む。「薬学的に許容される塩」という用語は、哺乳動物などの患者への投与に許容される塩基または酸から調製される塩(例えば、所与の投薬レジメンに対して許容される哺乳動物安全性を有する塩)を意味する。しかしながら、この塩は、患者への投与を意図していない中間化合物の塩など、薬学的に許容される塩である必要はないことを理解されたい。薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機または有機塩基、及び薬学的に許容される無機または有機酸に由来し得る。加えて、ペプチドが、アミン、ピリジン、またはイミダゾールなどの塩基性部分と、カルボン酸またはテトラゾールなどの酸性部分との両方を含有するとき、両性イオンが形成され得、本明細書で使用する場合の「塩」という用語の中に含まれる。薬学的に許容される無機塩基に由来する塩としては、アンモニウム、アルキルアンモニウム、カルシウム、第二銅、第一銅、ニッケル、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛塩などが挙げられる。薬学的に許容される有機塩基に由来する塩としては、置換されたアミン、環式アミン、天然型アミンなどを含む、1級、2級、及び3級アミンの塩、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イミダゾール、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピリジン、ルチジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。薬学的に許容される無機酸に由来する塩としては、ホウ酸、炭酸、ハロゲン化水素酸(臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸、またはヨウ化水素酸)、硝酸、リン酸、亜リン酸、スルファミン酸、及び硫酸の塩が挙げられる。薬学的に許容される有機酸に由来する塩としては、脂肪族ヒドロキシル酸(例えば、クエン酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、ラクトビオン酸、リンゴ酸、及び酒石酸)、脂肪族モノカルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、ギ酸、プロピオン酸、及びトリフルオロ酢酸)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸、ゲンチシン酸、馬尿酸、及びトリフェニル酢酸)、芳香族ヒドロキシル酸(例えば、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、及び3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸)、アスコルビン酸、ジカルボン酸(例えば、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、及びコハク酸)、脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸)、グルコロン(glucoronic)酸、マンデル酸、粘液酸、ニコチン酸、オロチン酸、パモン酸、パントテン酸、スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、カンホスルホン(camphosulfonic)酸、エジシル(edisylic)酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸)、キシナホ酸の塩などが挙げられる。一部の実施形態において、薬学的に許容される酸としては、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2,2−ジクロロ酢酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−オキソグルタル酸、4−アセトアミド安息香酸、4−アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸(+)、カンファー−10−スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプリン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(−L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(−L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、及びウンデシレン酸が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、塩は酢酸塩である。加えてまたはあるいは、他の実施形態において、塩はトリフルオロ酢酸塩である。一部の実施形態において、塩は、塩酸塩、トシル酸塩、または酒石酸塩である。他の実施形態において、塩は、無水塩酸塩である。
【0145】
別の態様において、式I−G、(L)−I−G、及びIII−D、(L)−III−Dの化合物の異性体、または上記のうちのいずれかの塩は、式XVの化合物またはその塩から調製され得、
【化104】
【化105】
【化106】
式中、R50及びR51が、各々独立して、水素、または置換もしくは非置換C1〜C6アルキル、アリール、もしくはシクロアルキル基であり、W2、R3、R4、R5、R6、及びR7が、本明細書に定義される通りである。一部の実施形態において、R4及びR6は、各々、水素である。一部の実施形態において、R3、R7、R50、及びR51は、各々、メチルである。
【0146】
一態様において、式(L)−I−Gの化合物またはその塩は、式XVの化合物またはその塩の−NHCOR50基を−NH2に変換することを含む方法によって、例えば、式XVの化合物またはその塩をHCl水溶液またはアンモニア水溶液と反応させ、続いて、得られた化合物の−NH2を化合物Y1−Lvまたはその塩、有機塩基、及び適切な溶媒と反応させることによって(式中、Lvが、ハロ、−O−Y1、または−O−C(O)Clなどの脱離基である)、式XVの化合物またはその塩から調製される。一部の実施形態において、Y1は、Bocであり、Y1−Lvは、Boc2Oである。一部の実施形態において、Y1は、Cbzであり、Y1−Lvは、クロロギ酸ベンジル(CbzCl)である。一部の実施形態において、塩基は、トリエチルアミン(Et3N)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジンもしくは4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせである。一部の実施形態において、塩基はDMAPである。溶媒は、アルコール、ハロゲン化溶媒、エーテル、エステル、ケトン、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含み得る。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、溶媒は、CH3OH、EtOH、iPrOH、TFE、BuOH、CH2Cl2、CHCl3、PhCF3、THF、2Me−THF、DME、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DMF、DMA、CH3CN、CH3CH2CN、PhCN、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含み得る。一部の実施形態において、溶媒は、塩化メチレン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン、またはこれらの任意の2つの混合物である。一部の実施形態において、溶媒は塩化メチレンである。一部の実施形態において、式XVの化合物またはその塩を式(L)−I−Gの化合物またはその塩に変換する方法は、式XVの化合物もしくはその塩の基COOW2をCOOHに変換すること、及び/または式XVの化合物もしくはその塩の基OCOR51をOHに変換することを更に含む。かかる変換は、当該技術分野で概して既知である。一部の実施形態において、変換は、アルカリ金属水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、またはKOH)またはアルカリ土類金属水酸化物(例えば、Ca(OH)2またはMg(OH)2)の水溶液を含む条件下である。一部の実施形態において、変換は、NaOHの水溶液を含む条件下である。一部の実施形態において、W2は、ベンジルであり、COOW2をCOOHに変換することは、本明細書に記載される水素源及び遷移金属触媒を含む条件下である。一部の実施形態において、本方法は、OH基をR5−Lv2の化合物(式中、R5が、本明細書に定義される通りであるが水素ではなく、Lv2が、ClまたはBrなどの脱離基である)と反応させて、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物またはその塩を形成することによって、得られたOH基をOR5に変換することを更に含む。一部の実施形態において、本方法は、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物またはその塩を、ClC(O)−R59と反応させて、A5が−OC(O)−R59である式(L)−I−Gの化合物またはその塩を形成する方法によって、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物またはその塩を無水物、例えば、A5が−OC(O)−R59である式(L)−I−Gの化合物またはその塩に変換することを更に含む。一部の態様において、A5がOHである(L)−I−Gの化合物またはその塩は、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物またはその塩を、本明細書に記載されるLv1−R58と反応させることを含む方法によって、活性エステル、例えば、式(L)−I−Gの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A5がOHである(L)−I−Gの化合物またはその塩は、A5がOHである(L)−I−Gの化合物またはその塩を、本明細書に記載されるフッ素化剤と反応させることを含む方法によって、A5がFである(L)−I−Gの化合物またはその塩に更に変換される。一部の態様において、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物は、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物またはその塩を、本明細書に記載される塩素化剤と反応させることを含む方法によって、A5がClである式(L)−I−Gの化合物に更に変換される。一部の態様において、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物またはその塩は、A5がOHである式(L)−I−Gの化合物またはその塩を、本明細書に記載される臭素化剤と反応させることを含む方法によって、A5がBrである式(L)−I−Gの化合物またはその塩に更に変換される。一部の実施形態において、本方法は、式(L)−I−Gの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0147】
一態様において、式(L)−III−Dの化合物またはその塩は、式XVの化合物またはその塩の−NHCOR50基を−NH2に変換することを含む方法によって、例えば、式XVの化合物またはその塩をHCl水溶液またはアンモニア水溶液と反応させることによって、式XVの化合物またはその塩から調製される。一部の実施形態において、式XVの化合物またはその塩を式(L)−III−Dの化合物またはその塩に変換する方法は、式XVの化合物またはその塩の基OCOR51がOHに加水分解されて、R5が水素である式(L)−III−Dの化合物を形成するエステル加水分解条件を更に含む。かかる条件は、当該技術分野で概して既知である。一部の実施形態において、R5が水素である式(L)−III−Dの化合物またはその塩は、R5が水素である式(L)−III−Dの化合物またはその塩を、R5−Lv2の化合物またはその塩(式中、R5が、本明細書に定義される通りであるが水素ではなく、Lv2が、ClまたはBrなどの脱離基である)と反応させて、式(L)−III−Dの化合物またはその塩を形成することによって、R5が水素以外である式(L)−III−Dの化合物またはその塩に更に変換される。一部の実施形態において、本方法は、式(L)−III−Dの化合物またはその塩を単離することを更に含む。
【0148】
一部の実施形態において、式XVの化合物またはその塩の、式(L)−I−Gもしくは(L)−III−Dの化合物またはその塩への変換収率は、少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。一部の実施形態において、式(L)−I−Gもしくは(L)−III−Dの化合物またはその塩は、少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%の収率で、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または少なくとも約99%の純度で単離される。
【0149】
一部の実施形態において、式XVの化合物またはその塩は、例えば、Pharmaceutically Relevant Aromatic−Cationic Peptides and Methods of Generating the Sameと題する、2014年12月23日出願のPCT/US2014/072264に記載される方法によって調製される。
【0150】
かかる化合物が、フェノールのヒドロキシル基を保護することなくペプチドに組み込まれ得ることは驚きである。
【0151】
別の態様において、式I−A、I−B、I−C、I−D、I−E、I−F、I−G、I−H、II−A、II−C、II−D、III−A、III−B、III−C、III−D、III−E、もしくはIII−Fの化合物、または上記のうちのいずれかの塩など、本明細書に記載される本技術の方法において有用な中間体、及び本明細書に記載される中間体を調製する方法が提供される。
【実施例】
【0152】
本技術は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらは、いかなる様にも限定的であると解釈されるべきではない。以下の実施例の各々に対して、本明細書に記載のペプチドも使用することができる。制限ではなく一例として、以下の実施例で使用されるペプチドは、D−Arg−2′6′−Dmt−Lys−Phe−NH2であり得る。一実施形態において、ペプチドは、薬学的塩、例えば、限定的ではなく、酒石酸塩、酢酸塩、またはトリフルオロ酢酸塩などである。
【0153】
用語及び略記:
ACN=アセトニトリル
Atm=雰囲気
BOC=Boc=tert−ブトキシカルボニル
BOP試薬=ベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート
Bn=ベンジル
br=広域
t−BuOH=tert−ブチルアルコール
Cat.=触媒の
Conc.=conc=濃縮
d=ダブレット
dd=ダブルダブレット
ddd=ダブルダブルダブレット
dt=ダブルトリプレット
DCM=ジクロロメタン(CH2Cl2
デス−マーチンペルヨージナン=1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン
DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DIPEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF=N,N−ジメチルホルアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDC=N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
Et2O=ジエチルエーテル
Et3N=トリエチルアミン
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エチルアルコール
eq.またはequiv.=当量(複数可)
h=時間(複数可)
HATU=N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート
2O=水
HCL=塩酸
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
HOAc=酢酸
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
IPA=イソプロピルアルコール
ISCO=TeLedyne ISCO供給の順相シリカゲルカートリッジ
2CO3=炭酸カリウム
LiBH4=テトラヒドロホウ酸リチウム
LiBr=臭化リチウム
LiCL=塩化リチウム
LAH=テトラヒドロアルミン酸リチウム
m=マルチプレット
min.=min=分(複数可)
MgCl2=塩化マグネシウム
MeOH=メタノール
2−MeTHF=2−メチルテトラヒドロフラン
MsCL=塩化メタンスルホニル
MTBE=メチルtert−ブチルエーテル
NaHCO3=重炭酸ナトリウム
Na2SO4=硫酸ナトリウム
NH4OH=水酸化アンモニウム
NH4OAc=酢酸アンモニウム
NH4Cl=塩化アンモニウム
NMR=核磁気共鳴
NMP=N−メチルピロリジノン
Pd−C=パラジウム活性炭
p=ペンテト
PMB=p−メトキシベンジル
PMBCL=p−メトキシベンジル塩化物
ret=保持
rt=室温
s=シングレット
sat=飽和
t=トリプレット
TFA=トリフルオロ酢酸
TBDPS=t−ブチルジフェニルシリル
TBS=t−ブチルジメチルシリル
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
【0154】
カップリング反応には、フェノールOHに対する保護基は不要である。
実施例1.Cbz−DMT(1)の調製
【化107】
【0155】
250mLの丸底フラスコに、Fmoc−DMT(1a、7g、0.0162mol)、続いて、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(91mL)を投入した。混合物を10分間撹拌した。ピペリジン(62mL、53.4g、0.628mol、38.8当量)を周囲温度で溶液に添加した。沈殿を20分後に観察した。混合物を2時間撹拌した。DMFのバルクを65〜70℃において減圧下で除去した。Tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)(200mL)を懸濁液に添加し、混合物を16時間撹拌した。固体を濾過によって収集して、3×50mLのMTBEで洗浄した。それを周囲温度において真空で4時間乾燥させて、4.3gの白色固体を得た。材料を、次のステップのために「現状のまま」使用した。
【化108】
【0156】
1Lの一首丸底フラスコに、DMT(1b、6.4g、30.6mmol)(例えば、Sigma−Aldrichから入手可能)、続いて、水(320mL)及び1,4−ジオキサン(85mL)を投入した。混合物を15分間撹拌した。重炭酸ナトリウム(9g、107.1mmol、3.5当量)を溶液に添加した。10分後、クロロギ酸ベンジル(6.6mL、7.9g、46.3mmol、1.5当量)を周囲温度で溶液に投入した。溶液を2時間撹拌した。次いで、水/1,4−ジオキサン溶液を2×200mLの酢酸エチルで2回洗浄した。次いで、塩基性水/1,4−ジオキサン層を、観察された曇りが持続するまで、1M HCl(85mL)でゆっくりと酸性化した。生成物を酢酸エチル(200mL)に抽出した。酢酸エチル溶液を水性食塩水(100mL)で洗浄した。次いで、それを硫酸ナトリウムと撹拌させた。乾燥剤を濾過によって除去した。濾液を減圧下で濃縮して、重油として6.0gの表題化合物1を得た。MSが344の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ 2.16(s,6H);2.80−3.01(m,2H);4.10−4.13(m,1H);5.01(s,2H);6.40(s,2H);7.25−7.38(m,4H);7.66(d,1H);8.97(s,1H);12.6(br,1H)
実施例3.DMT−OBn HCl 10の調製
【化109】
【0157】
500mLの丸底フラスコに、Boc−DMT(10a)(10.0g、32.4mmol、1.0当量)を投入した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(100mL、10体積)をフラスコに投入した。ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(10mL、7.42g、57.5mmol、1.77当量)を周囲温度で溶液に投入した。臭化ベンジル(8.5mL、12.3g、72.0mmol、2.22当量)を均一溶液に投入し、それを3日間撹拌した。溶液を冷水(500mL、5体積)に注入した。生成物を酢酸エチル(300mL)に抽出した。酢酸エチル溶液を2×0.1Lの水で洗浄した。それをNa2SO4上で16時間乾燥させた。濾過剤を濾過によって除去し、濾液を真空で濃縮して、粗油を得た。ヘプタン(100mL)を油に添加し、10分間撹拌させた。それをデカンテーションによって除去して、15.4gの10bを得て、それを次のステップのために「現状のまま」使用した。
【化110】
【0158】
ジクロロメタン(DCM)を500mLの丸底フラスコ内のBoc−DMT−OBn(10b)(15.4g、38.5mmol、1当量)に投入した。均一溶液を氷水槽を使用して5℃まで冷却した。5℃で、1,4−ジオキサン中の4M HCl(48mL、192mmol、5.0当量)を溶液に添加した。溶液を0〜5℃で1.5時間撹拌した。氷水槽を除去し、懸濁液を周囲温度で3時間撹拌した。沈殿固体を濾過によって収集し、追加のDCM(3×40mL)で洗浄した。それを周囲温度において真空で乾燥させて、9.70g(90.0%、2ステップ収率)の表題化合物10を得た。MSが300の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 2.13(s,6H);3.06−3.09(m,2H);4.00(m,1H);5.04−5.09(dd,2H);6.43(s,2H);7.03−7.09(m,2H);7.28−7.31(m,3H);8.61(m,3H);9.12(s,1H)
実施例4.[1+2+1]を介したBoc−D−Arg−DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2の調製
【化111】
ステップ1: Cbz−DMT−Lys(Boc)−OMeの調製
【化112】
【0159】
500mLの丸底フラスコに、ジクロロメタン(DCM)(30mL、10体積)中のCbz−DMT(1)(3.0g、8.75mmol、1.05当量)、続いて、(Boc)−Lys−OMe HCl(2)(2.47g、8.32mmol、1.0当量)を投入した。撹拌している不均一混合物に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(1.24g、9.17mmol、1.10当量)、続いて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(1.69g、8.75mmol、1.05当量)、及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(1.45mL、1.08g、8.34mmol、1.00当量)を添加した。16時間後、DCMを減圧下で除去して、泡状固体を得て、それを酢酸エチル(300mL)に溶解した。酢酸エチル溶液を、75mLの飽和水性NaHCO3、75mLの20%食塩水溶液、75mLの20% 0.1M HCl、及び最後に75mLの食塩水溶液で連続的に洗浄した。酢酸エチル溶液をNa2SO4(35g)で乾燥させた。乾燥剤を濾過によって除去し、濾液を減圧下で濃縮して、灰白色固体として表題化合物3(4.0g、82.1%)を得た。MSが608の分子イオンピーク(m/z+Na)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 1.21−1.60(m,6H),1.35(s,9H),2.18(s,6H),2.62−(m,1H),2.82−(m,3H),3.58(s,3H),4.18−4.24(m,2H),4.92−5.00(m,2H),6.38(s,2H),6.75(t,1H),7.22−7.41(m,5H),8.10(d,1H),8.90(s,1H)。
ステップ2: Cbz−DMT−Lys(Boc)の調製
【化113】
【0160】
メタノール(8mL)を、1000mLの丸底フラスコ(4.0g、6.83mmol)内のCbz−DMT−Lys(Boc)−OMe(3)に投入した。均一溶液に、2M水性LiOH(8mL、16mmol、2.3当量)を周囲温度で添加した。溶液を16時間撹拌した。メタノールの一部分を減圧下で除去した。次いで、溶液を、観察された沈殿が持続するまで、0.1M HCl(140mL、14mmol)で酸性化した(2〜3のpH)。白色固体を濾過によって収集し、水(15mL)で洗浄した。それを周囲温度において真空で乾燥させて、表題化合物4(3.40g、87.2%)を得た。MSが572の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.25−1.67(m,6H),1.43(s,9H),2.27(s,6H),3.02(br,5H),4.27(br,2H),4.78(br,1H),5.12(s,2H),5.83(br,2H),6.53(s,2H),7.34(m,5H)。
ステップ3: Cbz−DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2の調製
【化114】
【0161】
100mLの丸底フラスコに、Cbz−DMT−Lys(Boc)(4)(2.0g、3.5mmol;1.0当量)、続いて、(L)−フェニルアラニンアミドHCl(5)(0.700g、3.5mmol、1.0当量)を投入した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(20mL)を混合物に投入した。完全な溶解後、ジイソプロピルエチルアミン(2.25g、3.0mL、17.5mmol、5当量)を均一溶液に投入した。5分後、プロピルホスホン酸無水物(T3P)(DMF中50%、2.0mL、1.0当量)を周囲温度で溶液に投入し、3時間撹拌した。次いで、水(100mL、5体積)を溶液に投入した。得られた沈殿物を濾過し、水(20mL)で洗浄し、周囲温度で16時間、真空で乾燥させた。次いで、固体を100mLの丸底フラスコに投入し、1時間ジクロロメタン中に懸濁させた。それを濾過によって収集し、周囲温度において真空で乾燥させて、表題化合物6(1.80g、72%)を得た。MSが718の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 1.13−1.54(m,6H);1.33(s,9H);2.14(s,6H);2.65−3.01(m,6H);4.10−4.18(m,2H);4.34−4.41(m,1H);4.77−4.99(m,2H);6.33(s,2H);6.70−6.74(t,1H);7.05−7.48(m,12H);7.79−7.92(m,2H),8.93(br,1H)
ステップ4DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2の調製
【化115】
【0162】
パラジウムを含むフラスコ(炭素粉末上10重量%、水で50%湿潤、Degussaタイプ、0.044g)に、メタノール(4.5mL)に溶解したCbz−DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2(6)(0.2g、0.290mmol)を投入した。フラスコを3サイクルの排気/窒素ガス戻し充填、続いて、3サイクルの排気/水素ガス戻し充填に供した。混合物を16時間1atmの水素下で撹拌した。混合物をセライトを通じて濾過し、追加のメタノール(20mL)で洗浄した。溶液を減圧下で濃縮して、油を得た。油をジクロロメタン(5mL)で処理して、灰色固体を得た。デカンテーションによってジクロロメタンを除去し、続いて、真空で乾燥させて、表題化合物7(0.140g、86.4%)を得た。MSが584の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 1.12−1.60(m,6H);1.33(s,9H);2.15(s,6H);2.71−3.31(m,6H);4.13−4.20(m,1H);4.35−4.43(m,1H);4.77−4.99(m,2H);6.37(s,2H);6.71−6.75(t,1H);7.05(s;1H);7.11−7.23(m,5H);7.34(s,1H);7.88−7.97(m,2H);8.93(br,1H)。
ステップ5: Boc−D−Arg−DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2の調製
【化116】
【0163】
50mLの丸底フラスコに、DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2(7)(0.14g、0.240mmol)、続いて、Boc−D−Arg HCl水和物9(0.079g、0.240mmol)を投入した。固体混合物に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、2mL)を投入した。完全な溶解後、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.21mL、0.16g、1.21mmol、5.0当量)を均一溶液に添加した。それを5分間撹拌した後に、プロピルホスホン酸無水物(T3P)(DMF中50%、1当量、0.076gの活性試薬、DMFを有する0.150gの活性試薬、DMFを有する0.14mLの活性試薬)を溶液に投入した。それを3時間撹拌した後に、追加のDMF中33%のT3P(0.05mL)を投入した。溶液を1時間撹拌した。水(20mL、10体積)を溶液に投入した。固体を濾過によって収集し、2×2.5mLの水で洗浄した。濾液を16時間の凍結乾燥に供して、所望の生成物及びDIPEA/T3P塩.からなる0.44gの白色固体を得た。凍結乾燥固体を5分間水(6mL)に懸濁させた。固体を濾過によって収集して、約0.070gの固体を得て、それを追加の水洗浄(2mL)に供して、濾過及び周囲温度における真空での乾燥後に表題化合物16(0.035g、17.5%)を得た。MSが840の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,MeOH−d4)δ 1.21−1.42(m,23H);1.65−1.67(m,5H);2.30(s,6H);2.86−3.97(m,8H);3.90(m 1H);4.14(m,1H);4.54−4.71(m,2H);6.40(s,2H);7.21−7.25(m,5H)。
実施例5.[2+2]を介したBoc−D−Arg−DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2の調製
【化117】
ステップ1: Boc−D−Arg−DMT−OBnの調製
【化118】
【0164】
250mLの丸底フラスコに、DMT−OBn・HCl 10(3.00g、8.93mmol、1.00当量)、続いて、Boc−D−Arg HCl水和物9(2.95g、8.97mmol、1.00当量)を投入した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(30mL、10体積)を混合物に添加した。得られた溶液をジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、(8.00mL、5.94g、45.9mmol、5.12当量)で処理した。得られた溶液を5分間撹拌させ、次いで、DMF中50% T3P溶液(5.20mL、5.67g、8.91mmol、1.00当量)で、15分にわたって滴下処理した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。次いで、溶液を冷水(300mL、5℃)に投入し、ジクロロメタン(DCM、300mL)で抽出した。ジクロロメタン層を0.1M HCl(2×100mL)及び飽和食塩水溶液(200mL)で洗浄した。DCM溶液を16時間撹拌しながら、無水硫酸ナトリウム(約50g)上で乾燥させた。乾燥剤を真空濾過によって除去し、濾過ケークをDCM(4×25mL)で洗い流した。有機層を真空で濃縮して、表題化合物11(4.48g、90%)を得た。MSが556の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 1.30−1.50(m;4H);1.36(s,9H);2.14(s,6H);2.79−2.86(m,1H);2.96−3.03(m,3H);3.97−3.99(m,1H);4.44−4.49(m.1H);5.02(s,2H);6.38(s,2H);6.82(d,1H);6.81−6.84(d,1H);7.15−7.18(m,2H);7.25−7.29(m,4H);7.52−7.58(m,2H);8.35(d,1H);9.05(d,1H)。
ステップ3: Boc−D−Arg−DMTの調製
【化119】
【0165】
パラジウムを含む100mLの丸底フラスコ(炭素粉末上10重量%、水で50%湿潤、Degussaタイプ、0.044g)に、メタノール(20mL)に溶解したBoc−D−Arg−DMT−OBn 11(1.06g、1.90mmol)を投入した。フラスコを3サイクルの排気/窒素ガス戻し充填、続いて、3サイクルの排気/水素ガス戻し充填に供した。混合物を16時間1atmのH2下で撹拌した。混合物をセライトを通じて濾過し、追加のメタノール(4×25mL)で洗浄した。溶液を減圧下で濃縮して、油性化合物を得た。油を酢酸エチル(25mL)で処理し、2時間撹拌させた。固体を濾過によって収集して、表題化合物12(0.74g、85%)を得た。MSが466の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 1.20−1.50(m;4H);1.36(s,9H);2.20(s,6H);2.74−2.83(m,1H);2.97−3.08(m,3H);3.97−4.06(m,1H);4.39−4.41(m.1H);6.39(s,2H);6.82(d,1H);6.86(m,1H);8.13(m,1H)。
ステップ4: CBz−Lys(Boc)−Phe−NH2の調製
【化120】
【0166】
50mLの一首丸底フラスコに、(L)−フェニルアラニンアミドHCl塩5(1g、4.97mmol、1.0当量)及びCbz−Lys(Boc)13(1.98g、5.22mmol、1.05当量)、続いて、ジクロロメタン(10mL)を投入した。ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.74g、0.00548モル、1.10当量)、続いて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(1.00g、5.22mmol、1.05当量)を添加した。ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を不均一混合物(0.64g、0.86mL、4.97mmol、1.0当量)を添加した。懸濁液を250mLの丸底フラスコに移し、追加のジクロロメタン(90mL)で希釈した。不均一混合物を16時間撹拌させた。固体を濾過によって収集し、次いで、追加のジクロロメタン(2×25mL)で洗浄して、白色固体を得た。それを周囲温度において真空で乾燥させて、表題化合物14(1.90g、72.5%)を得た。MSが549の分子イオンピーク(m/z+Na)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 1.13−1.42(m,6H);1.35(s,9H);2.76−2.82(m,3H);2.95−3.00(m,1H);3.85−3.89(m,1H);4.41−4.43(m,1H);4.99(s,2H);6.73(t,1H);7.09−7.26(m,6H);7.33−7.39(m,7H);7.82(d,1H)
ステップ5: NH2−Lys(Boc)−L−Phe−CONH2の調製
【化121】
【0167】
パラジウムを含む100mLの丸底フラスコ(炭素粉末上10重量%、水で50%湿潤、Degussaタイプ、(0.140g)に、25mLのメタノールに溶解したCbz−Lys(Boc)−Phe−NH2 14(0.700g、1.33mmol)を投入した。フラスコを3サイクルの排気/窒素ガス戻し充填、続いて、3サイクルの排気/水素ガス戻し充填に供した。混合物を2.5時間1atmのH2下で撹拌した。混合物をセライト(4.6g)を通じて濾過し、追加のメタノール(4×25mL)で洗浄した。溶液を減圧下で濃縮して、油を得た。油をtert−ブチルメチルエーテル(50mL)で処理し、1時間撹拌させた。得られた白色固体を濾過によって収集し、周囲温度において真空で乾燥させて、表題化合物15(0.445g、87.2%)を得た。MSが393の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 1.07−1.41(m,6H);1.35(s,9H);2.76−2.84(m,3H);2.96−3.01(m,1H);4.03−4.10(m,1H);4.43−4.45(m,1H);6.73(t,1H);7.09−7.23(m,6H);7.45(s,1H);8.01−8.03(m,1H)。
ステップ6: Boc−D−Arg−DMT−Lys(Boc)−Phe−NH2の調製
【化122】
【0168】
50mLの一首丸底フラスコに、Boc−D−Arg−DMT(12)(0.1g、0.215mmol、1当量)、続いて、Lys(Boc)−Phe−NH2(15)(0.084g、0.214mmol、1.0当量)を投入した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(0.5mL、5体積)を混合物に添加した。溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.138g、0.19mL、1.08mmol、5.0当量)を添加した。数分間撹拌した後に、プロピルホスホン酸無水物(T3P)(DMF中50%)、(1.0当量、0.068gの活性試薬、DMFを有する0.14gの活性試薬、DMFを有する0.14mLの活性試薬)を溶液に添加した。水(10mL)を2時間後に溶液に投入した。固体を濾過によって収集し、水(5mL)で洗浄し、周囲温度において真空で3時間乾燥させた。次いで、それをジクロロメタン(5mL)中で30分間撹拌して、濾過によって収集し、周囲温度において真空で16時間乾燥させて、灰白色固体(0.040g、22.2%)を得た。MSが840の分子イオンピーク(m/z+H)を示したため、構造が確認された。1H NMR(300MHz,MeOH−d4)δ 1.21−1.42(m,23H);1.65−1.67(m,5H);2.30(s,6H);2.86−3.97(m,8H);3.90(m 1H);4.14(m,1H);4.54−4.71(m,2H);6.40(s,2H);7.21−7.25(m,5H)。
実施例6.
D−アルギニル−2,6−ジメチル−L−チロシル−L−リシル−L−アミドの調製。
【化123】
【0169】
パラジウム(炭素粉末上10重量%、乾燥(ALdrich 520888)、0.015g)及びN2−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−N5−[{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}{[(ベンジルオキシ)カルボニル]イミノ}メチル]−d−オルニチル−2,6−ジメチル−L−チロシル−N6−{[(2−クロロベンジル)オキシ]カルボニル}−L−リシル−L−フェニルアラニンアミド(0.150g、0.124mmol)を含むフラスコに、メタノール(5mL)及び酢酸(0.028mL、0.50mmoL)を添加した。フラスコを、2サイクルの排気/水素ガス戻し充填に供し、混合物を、50℃で4時間、1atmのH2下で撹拌した。混合物を冷却し、SoLka−FLocを通じて濾過し、追加のメタノール(50mL)で洗浄した。組み合わせた洗浄物を減圧下で濃縮し、残留物を水(20mL)から凍結乾燥させて、白色非晶質粉末の表題化合物(0.093g、99%)を得た。化合物は、1H NMRスペクトルの統合による決定で、16%w/wの酢酸塩を含有することが分かった。1H NMR(400MHz,D2O)δ 1.05−1.30(m,4H),1.43−1.67(m,6H),1.80(s,6H,酢酸塩),2.10(s,6H),2.71−3.08(m,8H),3.82(t,J=6Hz,1H),4.16(t,J=7Hz,1H),4.43(t,J=7Hz,1H),4.59(t,J=8Hz,1H),6.43(s,2H),7.13−7.29(m,5H);C324995 m/z 640.4(M+H)+;HPLC保持時間=2.25分。
実施例7.
D−アルギニル−2,6−ジメチル−L−チロシル−L−リシル−L−アミドの調製。
【化124】
【0170】
窒素下でオーブン乾燥したフラスコを7mLのイソプロピルアルコールで充填し、0〜5℃まで冷却した。塩化アセチル(0.85mL、12mmol)を添加し、15分間撹拌した。N2−[(t−ブチルオキシ)カルボニル]−D−アルギニル−2,6−ジメチル−L−チロシル−N6−[(t−ブチルオキシ)カルボニル]−L−リシル−L−フェニルアラニンアミド(1.008g、1.2mmol)をフラスコに添加し、スラリーを40℃まで温め、1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、濾過し、酢酸イソプロピル(3×2mL)で洗浄した。収集した白色固体を一晩真空で乾燥させた。白色固体(877.8mg、88%の補正収率)の1H NMRは、所望の生成物と一致し、1.7重量%のイソプロピルアルコール及び8.1重量%の酢酸イソプロピルを示した。HPLCは、98.0%の生成物純度を示した。
【0171】
本明細書で言及または引用する全ての特許、特許出願、仮特許、及び刊行物は、全ての図面及び表を含めて、本明細書の明確な教示と矛盾しない範囲で、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
均等物
当業者には明らかとなるように、本技術の多くの修正及び変形が、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書に列挙するものに加えた本技術の範囲内の機能的に均等である方法及び装置は、前述の説明から当業者には明らかとなる。かかる修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内であると意図される。本技術は、添付の特許請求の範囲と、かかる特許請求の範囲が権限を有する同等物の全範囲によってのみ制限されるものとする。本技術が、当然異なり得る、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生体系に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定的であるとは意図されないことを理解されたい。
【0173】
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群に関して説明される場合、当業者であれば、本開示も、マーカッシュ群の任意の個別の構成員または下位群の構成員に関して説明されることを認識するであろう。
【0174】
当業者によって理解されるように、あらゆる目的で、特に書面での説明を提供することに関して、本明細書に記載される全ての範囲は、あらゆる可能性のあるそれらの下位範囲及び下位範囲の組み合わせも包含する。記載するいずれの範囲も、同じ範囲が、少なくとも等しく2分、3分、4分、5分、10分などに分割されることを十分に説明しそれを可能にするものであると容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下位3分の1、中位3分の1、及び上位3分の1などに容易に分割され得る。また当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「超」、「未満」などの全ての語は、引用される数を含み、続いて前述の下位範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は各個々の要素を含む。故に、例えば、1〜3個の細胞を有する群は、1、2、または3個の細胞を有する群を指す。同様に、1〜5個の細胞を有する群は、1、2、3、4、または5個の細胞を有する群を指す(以降同様)。
【0175】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に示される。