(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854775
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】少なくとも1個の部材とのかみ合い連結をするための連結要素
(51)【国際特許分類】
F16B 5/08 20060101AFI20210329BHJP
B23K 20/12 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
F16B5/08 A
B23K20/12 Z
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-553959(P2017-553959)
(86)(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公表番号】特表2018-517101(P2018-517101A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】EP2016058416
(87)【国際公開番号】WO2016166328
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年3月26日
(31)【優先権主張番号】102015207052.2
(32)【優先日】2015年4月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516268644
【氏名又は名称】エジョット ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランダウ,ハネス
(72)【発明者】
【氏名】ピンツル,ウィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ティーム,ヨーグ
【審査官】
鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−519727(JP,A)
【文献】
特表2010−526666(JP,A)
【文献】
特表2010−504215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00− 5/12,
35/04,
17/00− 19/14
B23K 20/00− 20/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の部材が連結要素(10、40、60、88)と固定要素(30、50、70、90、102)の間に保持され、前記連結要素(10、40、60、88)と前記固定要素(30、50、70、90、102)とが摩擦溶接連結を行う、少なくとも1個の部材とのかみ合い連結をするための連結要素(10、40、60、88)であって、駆動部を有する頭部(12、42、86)と軸部(14、44、62)とを備え、この軸部(14、44、62)がその端面に少なくとも2つの切削構造体(18)を備え、この切削構造体(18)が切削面内にある切刃(46)を備え、前記切削面が前記軸部(14、44、62)を画成し、さらに前記切削構造体(18)が周方向に離隔され、かつ切削直径を決定する、連結要素において、
さらに前記軸部(14、44、62)が、前記切削構造体(18)の間に前記切削直径よりも小さな寸法の横断面を有し、この小さな寸法の範囲が少なくとも前記切削構造体(18)の切削直径の長さだけ前記頭部(12、42、86)の方へ軸方向に延在していることを特徴とする連結要素。
【請求項2】
前記軸部(14、44、62)が前記切削直径DSによって定められた面積の少なくとも60%の横断面積を有することを特徴とする請求項1に記載の連結要素。
【請求項3】
前記切削構造体(18)が最高で5個設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の連結要素。
【請求項4】
前記軸部(14、44、62)の端面の中心が最大で切削直径の50%前記切削面から前記頭部(12、42、86)の方へ離隔されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結要素。
【請求項5】
前記小さな寸法の範囲が前記軸部に凹部、特に溝を形成することによって生じることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結要素。
【請求項6】
前記切削直径が2.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の連結要素。
【請求項7】
前記小さな寸法が前記頭部(12、42、86)の方へ連続的に縮小していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の連結要素。
【請求項8】
固定要素(30、50、70、90、102)が少なくとも1個の部材を貫通する連結要素(10、40、60、88)と摩擦溶接連結を行うことにより、少なくとも1個の部材とのかみ合い連結をするための固定要素(30、50、70、90、102)であって、部材複合体に接触するための周方向の縁範囲(32)を有し、前記縁範囲(32)の端面が接触面を形成している、固定要素において、
前記縁範囲(32)が内側の方で収納範囲に接続し、この収納範囲が前記接触面に対して垂直な方向に離隔され、さらに溶接範囲が前記収納範囲に対して内側に位置するように設けられ、前記溶接範囲が前記収納範囲に対して接触面の方へ隆起し、前記溶接範囲が前記接触面に対して離隔されていることを特徴とする固定要素。
【請求項9】
前記収納範囲が周方向に延在するように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の固定要素。
【請求項10】
前記固定要素(30、50、70、90、102)の外側に回転防止部、特に駆動部または外側駆動部が設けられていることを特徴とする請求項8または9に記載の固定要素。
【請求項11】
前記溶接範囲が凸形、円錐状または円錐台状に形成されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の固定要素。
【請求項12】
前記収納範囲と前記溶接範囲が同心的に配置されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の固定要素。
【請求項13】
溶接範囲の最大寸法範囲が1.5mmよりも大きい、特に2.0mmよりも大きいことを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の固定要素。
【請求項14】
前記接触面に対する前記溶接範囲の離隔距離が1.0mmよりも大きいことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に記載の固定要素。
【請求項15】
前記収納範囲の半径方向寸法が5.0mmよりも小さな直径を有することを特徴とする請求項8〜14のいずれか一項に記載の固定要素。
【請求項16】
前記縁範囲(32)が収納範囲に対してアンダーカットを形成するように形成されていることを特徴とする請求項8〜15のいずれか一項に記載の固定要素。
【請求項17】
頭部(12、42、86)と軸部(14、44、62)を有する連結要素による、少なくとも2個の接合層(82、84)を備えた部材連結装置(80、100)であって、前記軸部(14、44、62)が前記接合層(82、84)を打込み方向に貫通して、固定要素(30、50、70、90、102)との摩擦溶接連結を行い、前記固定要素(30、50、70、90、102)が前記連結要素(10、40、60、88)の前記頭部(12、42、86)とは反対の前記接合層(82、84)の側に接触して、この接合層と共に中空室を形成し、この中空室内に、少なくとも1個の接合層(82、84)の切り屑が収納され、前記接合層(82、84)が前記頭部(12、42、86)と前記固定要素(30、50、70、90、102)との間でかみ合い連結されて保持され、
前記連結要素(10、40、60、88)が請求項1〜7のいずれか一項に従って形成され、および/または前記固定要素(30、50、70、90、102)が請求項8〜16のいずれか一項に従って形成されていることを特徴とする、部材連結装置。
【請求項18】
連結要素(10、40、60、88)が板状部材を貫通した後で固定要素(30、50、70、90、102)に溶接可能である、請求項1〜7のいずれか一項に記載した、軸部(14、44、62)を有する連結要素(10、40、60、88)と、請求項8〜16のいずれか一項に記載した固定要素(30、50、70、90、102)とを備えた、複数の板状部材を連結するための連結システム。
【請求項19】
前記固定要素(30、50、70、90、102)の溶接範囲の直径が前記連結要素(10、40、60、88)の切削直径よりも25%大きいことを特徴とする請求項18に記載の連結システム。
【請求項20】
前記溶接範囲と前記連結要素の軸部の凹形に形成された端面とが対応する形を有することを特徴とする請求項19に記載の連結システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載した連結要素に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2008/058625A1号パンフレットは、少なくとも1個の部材とのかみ合い連結を行うための連結要素を開示している。この連結要素は、連結要素の頭部と第2板との間に第1板を固定するために、第2板との摩擦溶接連結を行う。
【0003】
連結要素は、回転しながらおよび押圧力を加えて、固定保持された部材を貫通するために、環状切刃を備えた中空円筒形の軸部を有する連結本体を備えている。
【0004】
中空円筒形の軸部を端面の環状切刃と組み合わせることにより、材料を中空円筒形の部分の中に収容することができる。
【0005】
この種の構造は、特に繊維強化プラスチックを連結する際に、貫通プロセス中に発生する切り屑が第2板の摩擦溶接個所を汚すという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、連結要素と、固定要素と、少なくとも1個の部材、特に連結要素と固定要素との間にかみ合い連結によって保持される繊維強化プラスチック部材とから、部材連結を改善しつつ可能にする連結要素と固定要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
連結要素に関する課題は、前提部分の特徴と共に、請求項1の特徴部分の特徴によって解決される。
【0008】
従属請求項は本発明の有利な発展形態を形成している。
【0009】
本発明の第1の態様では、連結要素に摩擦溶接連結(Reibschweissverbidung)される固定要素を使用して、少なくとも1個の部材とのかみ合い連結(formschluessigen ver bindung、interlocking connection)をするための連結要素が、公知のごとく駆動部を有する頭部と、軸部とを備えている。
【0010】
軸部はその端面に、少なくとも2つの切削構造体を備え、この切削構造体は切削面内にある切刃を備えている。軸部はその端面が切削面によって画成されている。これらの切削構造体は周方向において互いに離隔され、かつ切削直径を決定する。この切削直径は連結要素の回転時に部材に穿設される。
【0011】
本発明に従って、軸部は周方向において切削構造体の間に切削直径よりも小さな寸法を有する横断面を備えた範囲を有する。すなわち、この小さな寸法の範囲は、切削構造体の大きな寸法によって形成された扇形の間の円欠部内にある。
【0012】
適切な形成により、ねじ込みプロセス中に生じる切り屑はねじ込み方向とは反対向きに軸方向に排出される。これにより、切り屑は摩擦溶接連結を行う前に排出可能であり、よって切り屑はもはや連結プロセスに悪影響を及ぼさない。連結要素が2枚の繊維強化プラスチック板を連結するために使用されると、これは、穿孔プロセス中のプラスチック板の間への切り屑の押込みを回避することになる。
【0013】
小さくなった寸法の範囲は好ましくは、少なくとも切削直径の長さだけ切削構造体から頭部の方へ軸方向に延在している。これにより、穿孔プロセス中の切り屑の確実な排出が確保される。
【0014】
他の有利な実施形態では、切削面内における切削構造体の最大の半径方向寸法が切削直径の最大で25%、特に最大で20%である。それによって、切削すべき部材内への切削構造体の侵入を可能にする中空室が切削構造体内に生じる。そのために、軸部の端面の中心が切削直径の50%まで切削面から離隔されていると有利である。それによって、切削構造体が侵入するための十分に大きな自由空間が形成され、それにもかかわらず部材からの切り屑の理想的な搬出が確保される。
【0015】
特に、軸部は切削直径によって定められた面積の少なくとも60%の横断面積を有する範囲を備えている。それによって、摩擦溶接連結にとって十分大きな連結面を提供し、それにもかかわらず切削穿孔プロセス時に発生する切り屑の搬出を可能にする、切削直径に対する小さくなった寸法の比が与えられる。
【0016】
他の有利な実施形態では、最高で5個の切削構造体が設けられている。それによって、切削直径が小さい場合にも、十分な大きさの切削構造体間隔が確保されるので、小さな切削直径の場合にも小さくなった寸法の有効な範囲を切削構造体の間にぴったりはめることができる。
【0017】
小さな寸法の範囲は、切削直径を有する円筒形の軸部に、凹部、特に溝の形の凹部を形成することによって生じる。その代わりに、軸部自体は多角形の横断面を有していてもよい。この場合、切削構造体は角の範囲に配置され、それによって多角形の外接円が切削直径に一致する。
【0018】
軸部が中実材料で形成されていると有利である。軸部は2.5mmよりも小さな直径を有することができる。これは、繊維強化材料のマトリックスの損傷が小さいという利点がある。連結要素は細く形成可能であり、そのために軸部の長さは特に切削直径の1倍半よりも長い。
【0019】
他の実施形態では、小さな寸法の範囲が頭部の方に向かって連続的に(stetig)切削直径に近づいている。その結果、頭部から軸部への最大限の横断面接続が達成され、これは、頭部を軸部からねじ切ることなく、より大きなトルクの伝達を可能にする。
【0020】
本発明の第2の態様では、本発明は、固定要素が少なくとも1個の部材を貫通する連結要素との摩擦溶接連結を行うことにより、少なくとも1個の部材とのかみ合い連結をするための固定要素に関する。
【0021】
固定要素は部材結合体に接触するための周方向の縁範囲(umlaufenden Randbereich)を備えている。この縁範囲の端面が接触面を形成している。
【0022】
本発明では、縁範囲が内側の方で収納範囲に接続し、この収納範囲が接触面に対して垂直な方向に離隔されている。さらに、固定要素は収納範囲の内側に位置する溶接範囲を備えている。溶接範囲は収納範囲に対して接触面の方へ隆起している。溶接範囲は接触面に対して離隔され、それによって接触面まで達していない。
【0023】
固定要素のこのような形成は、少なくとも1個の部材を切削貫通する連結要素が最も下の層から落下する切り屑を溶接範囲から収納範囲に排出することができるという利点がある。それによって、連結要素と固定要素との間の溶接連結の質が大幅に改善される。というのは、邪魔になる切り屑が溶接範囲から排出されるからである。
【0024】
特に、収納範囲は周方向に延在するように形成され、それによって溶接範囲を完全に取り囲んでいる。これにより、溶接範囲に生じる切り屑をあらゆる方向に排出することができる。これは特に、遠心力によって付勢される切り屑に作用を発揮する。
【0025】
他の有利な実施形態では、固定要素が回転防止部を備えている。この回転防止部は回転方向において固定要素を固定保持することができる。この回転防止部は好ましくは普通のボルト駆動部、特に例えば六角駆動部のような外側駆動部の形に形成されている。それによって、摩擦溶接プロセス中に固定要素が一緒に回転することを防止することができるかまたは連結要素の回転と反対向きに固定要素を回転させることができる。
【0026】
このような形状は、必要時に、連結要素に加えられる回転モーメントとは反対向きの回転モーメントを固定要素に加えるために使用することもできる。これは、このように材料結合連結部を連結要素および固定要素から剪断するために行われる。これにより、連結要素と固定要素との間に固定された部材を再び取り外すことができる。
【0027】
他の有利な実施形態では、溶接範囲が凸形、円錐状または円錐台状に形成されている。その結果、溶接範囲からの切り屑の排出が可能になる。それにもかかわらず、摩擦溶接連結を行うための十分に大きな接触面が与えられる。
【0028】
固定要素がその縁範囲内で回転対称に形成されていると有利である。この場合特に、収納範囲と溶接範囲は同軸に配置されている。これは固定要素の製作を容易にする。
【0029】
溶接範囲の最大寸法範囲が1.5mmよりも大きい、特に2.0mmよりも大きいと有利である。これは、固定要素と連結要素との間で固定連結を行うために十分に大きな溶接領域を提供する。これは特に、連結要素が最大で2.5mmの切削直径を有するときに達成される。
【0030】
他の実施形態では、接触面に対する溶接範囲の離隔距離が1.0mmよりも大きい。それによって、収納範囲へ切り屑が確実に滑り落ちるために、連結すべき部材と固定要素との間に十分な自由空間が確保される。
【0031】
コンパクトな形成を可能にするために、収納範囲の半径方向寸法は5.0mmよりも小さな直径を有する。
【0032】
他の有利な実施形態では、縁範囲が収納範囲に対してアンダーカットを形成するように形成されている。その結果、固定要素上で変形される連結要素の軸部が固定要素と共に、材料結合による連結だけでなく、軸方向においてアンダーカットを介してかみ合い連結も行う。
【0033】
他の態様では、本発明は、前述の連結要素と前述の固定要素を備えた、複数の接合層、特に繊維強化プラスチックからなる層を連結するための連結システムに関し、この場合、連結要素は接合層を自ら穿孔して貫通した後、固定要素に溶接可能である。
【0034】
連結システムは好ましくは、固定要素の溶接範囲の直径が連結要素の切削直径よりも25%大きくなるように形成可能である。
【0035】
連結システムの他の有利な実施形態では、固定要素の溶接範囲と連結要素の軸部の端面とが対応する形を有する。例えば凸形に形成された溶接範囲が連結要素の軸部の凹形に形成された端面に調和することができる。これにより、摩擦溶接連結個所において最大限の接触面積および迅速な加熱が提供される。
【0036】
本発明はさらに、頭部と軸部を有する連結要素による、少なくとも2個の接合層を有する部材連結装置に関し、この場合、軸部が接合層を打込み方向に貫通して、固定要素との摩擦溶接連結を行い、固定要素が連結要素の頭部とは反対の接合層の側に接触して、この接合層と共に中空室(hohlraum)を形成し、この中空室内に、少なくとも1個の接合層の切り屑が収納され、接合層が頭部と固定要素との間でかみ合い連結されて保持されている。
【0037】
これにより、特に繊維強化プラスチックからなる接合層は、連結要素と固定要素との間でしっかりとかつ繊維構造体の損傷を小さくして連結可能である。
【0038】
図に示した実施形態例に関連する次の説明から、本発明の他の効果、特徴および用途が明らかになる。
【0039】
参照符号の下記のリストで使用される用語とそれに付属する参照符号は、明細書、特許請求の範囲および図面で使用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図7】固定要素の本発明に係る他の実施形態の断面図である。
【
図8】本発明に係る部材連結装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1Aは本発明に係る連結要素10の斜視図である。
図1Bは
図1Aの連結要素10に対応する固定要素30を示す。連結要素は少なくとも1個の部材を有する固定構造体を貫通した後で、摩擦溶接プロセスで固定要素に材料結合式に連結される。
図1Aに示した連結要素10と
図1Bに示した固定要素30は共に連結システムを形成する。
【0042】
図1Cは本発明に係る連結要素40の他の実施形態の斜視図である。
図1Dは本発明に係る固定要素50の斜視図である。連結要素40と固定要素50は、要素どうしの接触個所にできるだけ大きな摩擦面を生じるように互いに調和している。
【0043】
図2Aは、特に
図1Bに係る固定要素との摩擦溶接連結を行うための本発明に係る連結要素10の正面図である。この摩擦溶接連結により、連結要素10の頭部12と固定要素との間で、固定構造体を保持することができる。連結要素10は円筒状の軸部14を有し、この軸部はその端面が切削面E
Sとなっている。この切削面内には2つの切刃18が存在する。この切刃は切削直径D
Sを決定する。固定構造体内での穴の切削形成をこの切削直径で行うことができる。
【0044】
軸部14は切削面E
Sから出発して頭部12の方へ溝16を有する。さらに、この溝16の反対側に溝(
図2B参照)が設けられている。それによって、溝16の範囲内に、切削直径D
Sよりも小さな横断面の範囲が生じている。これは
図2Cに詳細に示してある。切刃18によって固定構造体から切除された切り屑は、連結要素10の回転によって溝16内を切削面E
Sから頭部12の方へ軸方向に運ばれ、これにより穿孔方向とは反対の方向に固定構造体から運び出される。
【0045】
溝16、20の穿設は1回の加工工程で軸部14の端面にある切削構造体18を生じることができる。
【0046】
切刃の間には凹部が設けられている。この凹部は軸部端部の中心を切削面E
Sに対して切削直径D
Sの約半分だけ離隔している。それによって、固定構造体内への切刃18の確実な侵入が確保される。
【0047】
図2Bは軸部端部の範囲内に配置された両側の溝16、20を有する縦断面IIB−IIBを示す。溝16、20の深さは頭部12の方へ小さな勾配で連続的に浅くなっている。さらに、中心軸線と軸部の端面との交点と、切削面E
Sとの間隔Aが示してある。この間隔は切削直径D
Sの50%である。
【0048】
図2Cは軸部14の横断面IIC−IICを示す。円筒状の軸部14は切削直径D
Sを有する。さらに、溝16、20によって生じ、大きさが小さくなった範囲がどのようにして形成されているかがよくわかる。切刃で発生した切り屑は、軸方向に延在するこの凹部を通って、穿孔方向とは反対向きに軸方向に搬出される。
【0049】
図3Aは、連結要素10に対応して形成された、
図1Bに示す本発明に係る固定要素30の平面図である。
【0050】
図3Bは回転対称の本発明に係る固定要素30の、
図3Aの断面IIIB−IIIBを示す。この固定要素は
図2A〜2Cに示すような連結要素10を固定するために設けられている。固定要素30は六角形の外側輪郭を有し、縁範囲32は接触面E
Aを形成している。
【0051】
縁範囲の内側には収容範囲34が設けられている。この収容範囲は接触面E
Aに対して離隔されている。
図1Cに示した実施形態では、収容範囲34はリング状に形成されている。このリング状収容範囲34内に、溶接範囲36が設けられている。この溶接範囲は収容範囲34のレベルに対して接触面E
Aの方へ隆起している。溶接範囲36は球冠状に凸形に形成されている。この場合、連結要素10(
図1A)の端面の曲率と溶接範囲36の曲率は互いに適合している。これにより、摩擦溶接プロセスによって連結すべき接合パートナーの間に、できるだけ大きな接触面が生じる。他方では、球冠状の隆起部が、連結要素10の回転下での、固定要素内に落下する切り屑の滑り落ちを促進する。これにより、連結要素と固定要素30との間の摩擦溶接連結に不利な影響を及ぼす切り屑が接合領域内にとどまることがない。
【0052】
図4Aは、頭部42と軸部44を有する連結要素40の本発明に係る他の実施形態の正面図である。
図2Aの実施形態のように、軸部44の端面側の端部に、切刃46を備えている。この切刃は切削加工して穴を形成するために適している。
図1Aと異なり、凹部47Aは円筒状の軸部44にくさび状に形成され、特にはさむことによって形成される。この実施形態でも、
図1Aのように、凹部が切削直径D
Sよりも大きな長さにわたって、切削面から頭部の方へ軸方向に延在している。
【0053】
図4Bは
図4Aの断面IVB−IVBを示している。この断面図は凹部47A、47Bの延在を示している。縮小する大きさの範囲の横断面の大きさは、頭部の方へますます小さくなっている。凹部の深さは、完全な軸部横断面が形成されるまで、頭部42の方へ縮小している。
【0054】
図4Cは
図4Aの切断線IVC−IVCに沿った軸部44の横断面を示す。この場合、切削直径D
Sよりも小さな大きさ48の範囲が形成されている。
図2A、2Bに示したくさび状凹部はきわめて簡単に製作可能であるという利点を有する。それにもかかわらず、切り屑を切削範囲から確実に運び出すことができる。
【0055】
図5Aは、連結要素40に対応して形成された本発明に係る
図1Dの固定要素50の平面図である。
【0056】
図5Bは
図5Aの断面VB−VBを示す。
図1Cに示した固定要素と異なり、溶接範囲52が円錐形に形成されている。この形状により、貫通プロセス時に発生する切り屑は、収容範囲54内に確実に滑り落ちることができる。この形状はさらに、
図2Aに従って形成された連結要素40のために最大の摩擦面を確保する。固定要素50の溶接直径D
2はほぼ連結要素40の切削直径D
Sに等しい。それによって、理想の接合領域が形成され、接合パートナー40、50の迅速な溶融が確実に行われる。
【0057】
図6は本発明に係る連結要素60の斜視図である。縮小する大きさの範囲は、連結要素60の円筒状軸部62への溝61の穿設によって形成されている。溝61はその底が連結要素60の軸線に対して平行に延在し、頭部寄りのその端部が軸部62の外周レベルまで跳ね上がっている。
【0058】
図7は固定要素70の本発明に係る他の実施形態の断面図である。固定要素70はリング状の収容範囲72を有し、この収容範囲内に半球状の溶接範囲74が設けられている。接触範囲76は、収容範囲72から半径方向に少なくとも部分的に突出してアンダーカットを形成するように、その半径方向寸法が形成されている。これは、接合パートナーの溶融によって溶接ビードが拡幅されるという利点がある。それによって、
図9に対応する実施形態に従って、材料結合式連結のほかに、付加的なかみ合い連結が行われる。
【0059】
図8は、第1接合層82と第2接合層84を備えた本発明に係る部材連結装置80の部分断面図である。両接合層82、84は、繊維強化されたプラスチックからなっている。両接合層は、本発明に従い、連結要素88の頭部86と固定要素90との間でかみ合い連結が行われることによってばらばらにならないように保持される。連結要素88と固定要素90との間の連結は、接合領域92において連結要素88と固定要素90との間の摩擦溶接連結を行うことによって達成される。この接合領域では、連結要素88の軸部が接合層82、84を切削して貫通した後で前述のように固定される。切削式穿孔プロセスの間、連結要素88の冒頭で述べた幾何に基づいて生じる切り屑は、軸部の溝の範囲が最も上の接合層82から突出している間は、接合層連結部から運び出される。しかし、すべての切り屑を穿孔方向と反対向きに運び出すことはできないので、残りの切り屑は固定要素90の収納範囲94内に収容される。従って、そこに置かれた切り屑は摩擦溶接連結に不利な影響を及ぼさない。これにより、好ましくは小さな直径の軸部にかかわらず、大きな連結強度が確保される。
図5の部分断面図からわかるように、連結要素88と固定要素90は六角形の外側駆動部を備えている。これは一般的な駆動部形状である。
【0060】
図9は
図8と同様な本発明に係る部材連結装置100の断面図である。この場合、
図7の実施形態に係る固定要素102が示してある。この断面図からわかるように、接触範囲104は固定要素102の収容範囲106から半径方向に一部だけ突き出ている。形成された摩擦溶接ビード110により、接合領域108における材料結合式連結に加え、かみ合い連結が行われる。