特許第6854782号(P6854782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854782
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】新規ナフトールAS顔料
(51)【国際特許分類】
   C09B 29/20 20060101AFI20210329BHJP
   C09D 11/328 20140101ALI20210329BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20210329BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   C09B29/20 BCSP
   C09B29/20 A
   C09B29/20 Z
   C09D11/328
   G03G9/09
   G02B5/20 101
【請求項の数】30
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-566107(P2017-566107)
(86)(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公表番号】特表2018-528278(P2018-528278A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】EP2016062290
(87)【国際公開番号】WO2016206925
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】102015211827.4
(32)【優先日】2015年6月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517092075
【氏名又は名称】クラリアント・プラスティクス・アンド・コーティングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ローア・ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】アイヒホルン・ヨアヒム
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02084555(US,A)
【文献】 特表2007−533802(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01278821(FR,A1)
【文献】 特開2004−123866(JP,A)
【文献】 特表2007−533801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09B
C09D
G02B
G03G
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)の顔料。
【化1】
式中、
はメチルを意味し;
は水素またはC〜Cアルキルを意味し;
YはC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシを意味し;そして
Z’は、フェニル、またはハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルキル及びC〜Cアルコキシの群から選択される一つ、二つまたは三つの残基で置換されたフェニルを意味する
【請求項2】
が水素を意味することを特徴とする、請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
YがC〜CアルコキシまたはC〜Cアルキルを意味することを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料。
【請求項4】
Z’が、フェニルを意味するか、またはニトロ、シアノ及び/またはC〜Cアルキルで置換されたフェニルを意味することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の顔料。
【請求項5】
Z’が、フェニルの意味を持つか、またはメチル、エチル及びニトロの群からの一つ、二つもしくは三つの残基で置換されたフェニルの意味を持つことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の顔料。
【請求項6】
が水素を意味し;
YがC〜Cアルコキシを意味し;及び
がフェニル、メチルフェニルまたはニトロフェニルを意味する、
ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の顔料。
【請求項7】
式(III)のアミン
【化2】
を酸性媒体中でジアゾ化し、次いでこうして得られたジアゾニウム化合物を、式(IV)
【化3】
[但し、式(III)中の置換基R、R、Y、及び式(IV)中のZ’は、請求項1〜のいずれか一つに記載の意味を有する]
のカップリング成分にカップリングすることによって、請求項1〜のいずれか一つに記載の式(I)の顔料を製造する方法。
【請求項8】
天然または合成起源の高分子量有機材料の顔料着色のための、請求項1〜のいずれか一つに記載の顔料の使用。
【請求項9】
プラスチック、樹脂、ワニス、ペイント、印刷インク及び種の顔料着色のための請求項に記載の使用。
【請求項10】
電子写真用トナー及び現像剤の顔料着色のための、以下の式(I)の顔料の使用:
【化4】
式中、
はメチルを意味し;
は水素またはC〜Cアルキルを意味し;
YはC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシを意味し;そして
Z’は、水素、フェニル、ナフチル、または置換されたフェニルもしくは置換されたナフチルを意味し、ここで置換基数は、1、2、3または4であり、そして置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、ジ(C〜C)アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、ジ(C〜C)アルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルキル及びC〜Cアルコキシの群から選択される。
【請求項11】
が水素を意味することを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
YがC〜CアルコキシまたはC〜Cアルキルを意味することを特徴とする、請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
Z’が、水素、フェニルまたは置換されたフェニルを意味し、ここで置換基数が1、2、3または4であり、そして置換基が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルコキシ及びC〜Cアルキルの群から選択されることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一つに記載の使用。
【請求項14】
Z’が、水素、フェニルを意味するか、またはニトロ、シアノ及び/またはC〜Cアルキルで置換されたフェニルを意味することを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一つに記載の使用。
【請求項15】
Z’が、フェニルの意味を持つか、またはメチル、エチル及びニトロの群からの一つ、二つもしくは三つの残基で置換されたフェニルの意味を持つことを特徴とする、請求項10〜14のいずれか一つに記載の使用。
【請求項16】
が水素を意味し;
YがC〜Cアルコキシを意味し;及び
Z’がフェニル、メチルフェニルまたはニトロフェニルを意味する、
ことを特徴とする、請求項10〜15のいずれか一つに記載の使用。
【請求項17】
インクジェットインクの顔料着色のための、以下の式(I)の顔料の使用:
【化5】
式中、
はメチルを意味し;
は水素またはC〜Cアルキルを意味し;
YはC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシを意味し;そして
Z’は、水素、フェニル、ナフチル、または置換されたフェニルもしくは置換されたナフチルを意味し、ここで置換基数は、1、2、3または4であり、そして置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、ジ(C〜C)アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、ジ(C〜C)アルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルキル及びC〜Cアルコキシの群から選択される。
【請求項18】
が水素を意味することを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
YがC〜CアルコキシまたはC〜Cアルキルを意味することを特徴とする、請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
Z’が、水素、フェニルまたは置換されたフェニルを意味し、ここで置換基数が1、2、3または4であり、そして置換基が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルコキシ及びC〜Cアルキルの群から選択されることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一つに記載の使用。
【請求項21】
Z’が、水素、フェニルを意味するか、またはニトロ、シアノ及び/またはC〜Cアルキルで置換されたフェニルを意味することを特徴とする、請求項17〜20のいずれか一つに記載の使用。
【請求項22】
Z’が、フェニルの意味を持つか、またはメチル、エチル及びニトロの群からの一つ、二つもしくは三つの残基で置換されたフェニルの意味を持つことを特徴とする、請求項17〜21のいずれか一つに記載の使用。
【請求項23】
が水素を意味し;
YがC〜Cアルコキシを意味し;及び
Z’がフェニル、メチルフェニルまたはニトロフェニルを意味する、
ことを特徴とする、請求項17〜22のいずれか一つに記載の使用。
【請求項24】
カラーフィルターの顔料着色のため、以下の式(I)の顔料の使用:
【化6】
式中、
はメチルを意味し;
は水素またはC〜Cアルキルを意味し;
YはC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシを意味し;そして
Z’は、水素、フェニル、ナフチル、または置換されたフェニルもしくは置換されたナフチルを意味し、ここで置換基数は、1、2、3または4であり、そして置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、ジ(C〜C)アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、ジ(C〜C)アルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルキル及びC〜Cアルコキシの群から選択される。
【請求項25】
が水素を意味することを特徴とする、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
YがC〜CアルコキシまたはC〜Cアルキルを意味することを特徴とする、請求項24または25に記載の使用。
【請求項27】
Z’が、水素、フェニルまたは置換されたフェニルを意味し、ここで置換基数が1、2、3または4であり、そして置換基が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルコキシ及びC〜Cアルキルの群から選択されることを特徴とする、請求項24〜26のいずれか一つに記載の使用。
【請求項28】
Z’が、水素、フェニルを意味するか、またはニトロ、シアノ及び/またはC〜Cアルキルで置換されたフェニルを意味することを特徴とする、請求項24〜27のいずれか一つに記載の使用。
【請求項29】
Z’が、フェニルの意味を持つか、またはメチル、エチル及びニトロの群からの一つ、二つもしくは三つの残基で置換されたフェニルの意味を持つことを特徴とする、請求項24〜28のいずれか一つに記載の使用。
【請求項30】
が水素を意味し;
YがC〜Cアルコキシを意味し;及び
Z’がフェニル、メチルフェニルまたはニトロフェニルを意味する、
ことを特徴とする、請求項24〜29のいずれか一つに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾ顔料の分野にある。
【背景技術】
【0002】
ナフトールAS顔料は工業的に大きな関心が持たれている。というのも、これらは、大概は高い色強度を達成し、そしてプロセスインクセットのマゼンダ領域をカバーするからである。更に、これらは良好な光堅牢性も持つ。
【0003】
しかし、多くの場合に、青味帯びた赤色のマゼンタ色相の他に、高い明度(彩度)も必要とされる。これらの要求は、これまでは、アゾ顔料とキナクリドン顔料、例えばPR122とを混合することによって達成されてきたが、後者は、色強度及びプロセスコストに不利に作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP−A−1195411
【発明の概要】
【0005】
本発明により、新規のナフトールAS顔料であって、上記の欠点を示さず、そして特に然るべき他のナフトールAS顔料との混合成分として使用される時または相互の混合物中において、それから生じる着色が、明度の高いマゼンダ色相を、高い色強度及び透明性と同時に低コストで示すようにするのに役立つナフトールAS顔料がここに開示される。
【0006】
本発明の対象は、次の一般式(I)のナフトールAS顔料である。
【0007】
【化1】
式中、
は、メチルまたはC〜Cアルキルを意味し;
は、水素またはC〜Cアルキルを意味し;
Yは、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシを意味し、そして
Z’は、水素、フェニル、ナフチル、または置換されたフェニルもしくは置換されたナフチルを意味し、ここで置換基数は、1、2、3または4であり、そして置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、ジ(C〜C)アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、ジ(C〜C)アルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルキル及びC〜Cアルコキシの群から選択される。
【0008】
がメチルを意味する一般式(I)のナフトールAS顔料が好ましい。
【0009】
更に、Rが水素を意味する一般式(I)のナフトールAS顔料が好ましい。
【0010】
がメチルを意味しかつRが水素を意味する一般式(I)のナフトールAS顔料が特に好ましい。
【0011】
更に、YがC〜CアルコキシまたはC〜Cアルキル、特にメチルまたはメトキシを意味する一般式(I)のナフトールAS顔料が好ましい。
【0012】
更に、Z’が、水素、フェニルまたは置換されたフェニルを意味し、ここで置換基数が1、2、3または4であり、そして置換基が、ハロゲン、例えばF、ClもしくはBr、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルコキシ及びC〜Cアルキルの群から選択される、一般式(I)のナフトールAS顔料が好ましい。
【0013】
Z’が水素、フェニルを意味するか、またはニトロ、シアノ、C〜Cアルキル、特にメチルまたはエチルで置換されたフェニルを意味する、一般式(I)のナフトールAS顔料が特に好ましい。
【0014】
Z’が、フェニルの意味を持つか、またはメチル、エチルもしくはニトロの群からの一つ、二つもしくは三つの残基で置換されたフェニルの意味を持つ、一般式(I)のナフトールAS顔料が中でも特に好ましい。
【0015】
本発明の意味において、
がメチルを意味し、
が水素を意味し、
YがC〜Cアルコキシ、特にメトキシまたはエトキシを意味し;そして
Zがフェニル、メチルフェニルまたはニトロフェニルを意味する、
一般式(I)のナフトールAS顔料が特に好ましい。
【0016】
本発明による式(I)の顔料は、式(III)のアミン
【0017】
【化2】
を酸性媒体中でジアゾ化し、次いでこうして得られたジアゾニウム化合物を、式(IV)のカップリング成分にカップリングすることによって製造できる。
【0018】
【化3】
但し、式(III)中の置換基R、R、Y、及び式(IV)中のZ’は、上記の意味の一つを有する。
【0019】
次いで、得られた顔料懸濁液を濾過し、そして得られた含湿プレスケーキを有利には重量が一定になるまで乾燥できる。
【0020】
アゾカップリング反応は、好ましくは水性溶液または懸濁液中で、及び好ましくは3と9との間のpH値で行われるが、有機溶媒を、場合により水との混合物中で使用でき、例えば炭素原子数1〜10のアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール類、例えばn−ブタノール、sec.−ブタノール、tert.−ブタノール、ペンタノール類、例えばn−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、ヘキサノール類、例えば2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、ヘプタノール類、例えば2−メチル−2−ヘキサノール、3−エチル−3−ペンタノール、オクタノール類、例えば2,4,4−トリメチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール;またはグリコール類、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、またはグリセリン;ポリグリコール類、例えばポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコール;エーテル類、例えばメチルイソブチルエーテル、テトラヒドロフランもしくはジメトキシエタン;グリコールエーテル、例えばエチレン−もしくはプロピレングリコールのモノメチル−もしくはモノエチルエーテル、ジエチレングリコール−モノメチルエーテル、ジエチレングリコール−モノエチルエーテル、ブチルグリコール類もしくはメトキシブタノール;ケトン類、例えばアセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンもしくはシクロヘキサノン;脂肪族酸アミド、例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミドもしくはN,N−ジメチルアセトアミド;尿素誘導体、例えばテトラメチル尿素;または環状カルボン酸アミド、例えばN−メチルピロリドン、バレロ−もしくはカプロラクタム;エステル、例えばカルボン酸−C〜C−アルキルエステル、例えばギ酸ブチルエステル、酢酸エチルエステルもしくはプロピオン酸プロピルエステル;またはカルボン酸−C〜Cグリコールエステル;またはグリコールエーテルアセテート、例えば1−メトキシ−2−プロピルアセテート;またはフタル酸−もしくは安息香酸−C〜C−アルキルエステル、例えば安息香酸エチルエステル;環状エステル、例えばカプロラクトン;ニトリル類、例えばアセトニトリルもしくはベンゾニトリル;脂肪族もしくは芳香族炭化水素、例えばシクロヘキサンもしくはベンゼン;またはアルキル、アルコキシ、ニトロもしくはハロゲンで置換されたベンゼン、例えばトルエン、キシレン類、エチルベンゼン、アニソール、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンもしくはブロモベンゼン;または他の置換された芳香族化合物、例えば安息香酸もしくはフェノール;芳香族ヘテロ環状化合物、例えばピリジン、モルホリン、ピコリンもしくはキノリン;並びにヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド及びスルホランなどがある。上記の溶媒は、混合物としても使用できる。好ましくは、水と混和可能な溶媒が使用される。
【0021】
本発明の方法においては、助剤、例えば界面活性剤、顔料系もしくは非顔料系分散剤、充填材、希釈剤、樹脂、ワックス、消泡剤、ダスチング防止剤、エクステンダー、調色用着色剤、防腐剤、乾燥遅延剤、レオロジー調節剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤またはこれらの組み合わせも使用できる。
【0022】
助剤の添加は、合成の前、最中または後の任意の時点で、一度にまたは複数回に分けて行うことができる。この際、助剤は、反応体の溶液または懸濁液に直接行うことができるが、反応中にも、液状の形、溶解した形もしくは懸濁した形で加えることもできる。
【0023】
添加される助剤の総量は、顔料と助剤との合計総量を基準として、0〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは2.5〜25重量%であることができる。
【0024】
界面活性剤としては、アニオン性もしくはアニオン活性、カチオン性もしくはカチオン活性、及び非イオン性物質、またはこれらの剤の混合物が考慮される。
【0025】
本発明による方法に使用できる界面活性剤、顔料系及び非顔料系分散剤の例は、EP−A−1195411(特許文献1)に記載されている。
【0026】
反応中または反応後の所望のpH値の保持はしばしば品質に決定的であるので、緩衝溶液、好ましくは有機酸とその塩との緩衝溶液、例えばギ酸/ギ酸塩系緩衝剤、酢酸/酢酸塩系緩衝剤、クエン酸/クエン酸塩系緩衝剤;または無機酸とその塩との緩衝溶液、例えばリン酸/リン酸塩系緩衝剤または炭酸/炭酸水素塩もしくは炭酸塩系緩衝剤を供給することもできる。
【0027】
アゾカップリングを行った後、20〜95℃の間の温度で水性反応混合物を直接後攪拌することによって仕上げ処理を行うことができる。
【0028】
仕上げ処理は、製造されたナフトールAS顔料を、合成後に直接たは中間単離の後に、例えばプレスケーキ(固形物含有率約5〜30重量%)として、上記の有機溶媒の一つに取り入れることを含む。
【0029】
この際、好ましい溶媒は、C〜Cアルコール、グリコールエーテルまたは塩素化ベンゼン、例えばイソプロパノール、イソブタノール、ブトキシエタノール、オルト−ジクロロベンゼンまたはこれらの混合物である。
【0030】
溶媒の量は、顔料懸濁液の体積を基準として好ましくは1〜30体積%、特に5〜15体積%であるか、またはプレスケーキ中の顔料の重量を基準として1〜10重量倍の溶媒量である。
【0031】
顔料仕上げは、好ましくは20℃と150℃との間の温度、特に40℃と90℃との間の温度で、場合により加圧下に、及び好ましくは0.1〜2時間、特に0.25〜1時間、及び好ましくは常圧下に攪拌される。
【0032】
この際、この攪拌のためには、通常の攪拌装置、例えば実験室用攪拌機が考慮される。しかし、基本的には、然るべき分散器具を備えたインライン分散機を、貯槽のポンプ循環中に使用することもできる。このような分散機は、一方では貯槽中の懸濁液の強力な徹底的な混合を確実なものとするが、同時に解集塊化作用も有して、場合によっては存在する含有物(Einschluess)が放出されるようになる。
【0033】
次いで、溶媒処理した顔料懸濁液を濾過しそして洗浄する。
【0034】
本発明によるナフトールAS顔料は、マゼンタの色相及び/または高い明度(彩度)を特色とし、これは、本発明による顔料を、多くの工業的な用途に魅力的なものとする。例えば、これらは、天然もしくは合成起源の高分子量有機材料、例えばプラスチック、樹脂、ワニス、ペイント及び種の顔料着色に使用できる。
【0035】
この際、上記の高分子有機化合物が、粉体、可塑性材料、溶融物としてまたは紡糸溶液、分散物、ワニスまたはペイントの形で存在するかは重要ではない。使用目的に応じて、本発明によるナフトールAS顔料をブレンドとしてまたは調合物もしくは分散物の形で使用することが有利であることが判明した。顔料着色すべき高分子量有機材料を基準にして、本発明によるナフトールAS顔料は、通常は0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%の量で使用される。
【0036】
更に、本発明による顔料は、電子写真用トナー及び現像剤、例えば一成分もしくは二成分型粉体トナー(一成分もしくは二成分型現像剤とも称される)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナー並びに特殊トナー中の着色剤としても適している。これらは、押出を用いた慣用のトナー製造プロセスにおいて、または乳化重合、集合重合(Aggregationspolymerisation)または懸濁重合などの化学的トナー製造プロセスにおいても使用できる。
【0037】
トナー粒子は、化粧用途及び医薬用途のためにも、例えばタブレットのコーティングにも使用することができる。
【0038】
典型的なトナーバインダーは、重合樹脂、重付加樹脂及び重縮合樹脂、例えばスチレン樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノールエポキシド樹脂、ポリスルホン、ポリウレタンの単独または組み合わせ、並びにポリエチレン及びポリプロピレンであり、これらは更なる含有物質、例えば荷電制御剤、ワックスまたは流動補助剤を含むことができるかまたは後でこれらの添加物質で変性される。
【0039】
更に、本発明による顔料は、水系及び非水系のインクジェットインク、マイクロエマルションインク、UVインク、並びにホットメルト法に従い働くインク中の着色剤として適している。
【0040】
インクジェットインクは、一般的に、合計で0.5〜50重量%、好ましくは1〜25重量%(乾質ベースで計算)の一種または二種以上の本発明による顔料を含む。
【0041】
水系インクジェットインクは、本質的に、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の本発明による顔料、70〜95重量%の脱イオン水、分散助剤、場合によってはキャリアポリマー及びヒューメクタントを含む。
【0042】
溶剤系インクジェットインクは、本質的に、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の本発明による顔料、及び70〜95重量%の有機溶剤または溶剤混合物及び/またはハイドロトロープ化合物を含む。場合によっては、溶剤系インクジェットインクは、「溶剤」中に可溶のキャリア材料及びバインダー、例えばポリオレフィン、天然及び合成ゴム、ポリビニルクロライド、ビニルクロライド/ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルブチラール、ワックス/ラテックスシステムまたはこれらの化合物の組み合わせを含むことができる。
【0043】
場合により、溶剤系インクジェットインクは、更に別の添加物質、例えば湿潤剤、脱気剤/消泡剤、防腐剤及び酸化防止剤も含むことができる。
【0044】
マイクロエマルションインクは、有機溶剤、水、場合により及び界面仲介剤として作用する追加の物質(界面活性剤)をベースとする。マイクロエマルションインクは、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の本発明による顔料、0.5〜95重量%の水、及び0.5〜95重量%の有機溶剤及び/または界面仲介剤を含む。
【0045】
UVインクは、典型的には、低分子量単官能性、二官能性、三官能性、四官能性及び/または五官能性アクリレートのモノマー、及び/またはアクリレート、ウレタン、エポキシもしくはポリエステルベースのオリゴマーから構成される。UVインクは、典型的には、カチオン、アニオンもしくはラジカルにより開始/架橋される。
【0046】
UV硬化性インクは、本質的に、0.5〜30重量%の本発明による顔料、0.5〜95重量%の水、0.5〜95重量%の有機溶剤もしくは溶剤混合物、0.5〜50重量%の放射線硬化性バインダー、場合により及び0〜10重量%の光開始剤を含む。
【0047】
ホットメルトインクは、通常は、室温では固形で加熱すると液状になるワックス、脂肪酸、脂肪アルコールまたはスルホンアミドをベースとし、この際、好ましい溶融範囲は約60℃と約140℃との間である。ホットメルトインクジェットインクは、本質的に、20〜90重量%のワックス及び1〜10重量%の本発明による顔料から構成される。更に、0〜20重量%の追加のポリマー(「染料ディスソルバ−」として)、0〜5重量%の分散剤、0〜20重量%の粘度調節剤、0〜20重量%の可塑剤、0〜10重量%の粘着性付与剤、0〜10重量%の透明性安定剤(例えばワックスの結晶化を防止するもの)並びに0〜2重量%の酸化防止剤が含まれ得る。
【0048】
更に、本発明による顔料は、加法混色式及び減法混色式の両方の色の生成のためのカラーフィルター用の着色剤として、並びに電子インク(「electronic inks」または「e−inks」)または「電子ペーパー」(「e−paper」)のための着色剤としても適している。
【0049】
反射型カラーフィルターまたは透過型カラーフィルターの双方のカラーフィルターの製造では、適切なバインダー(アクリレート、アクリルエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシド、ポリエステル、メラミン、ゼラチン、カゼイン)中のペーストの形または顔料着色されたフォトレジストとしての顔料を、個々のLCD素子(例えばTFT−LCD=薄膜トランジスタ液晶ディスプレーまたは例えば(S)TN−LCD=(超)捻れネマチック−LCD)上に施与する。高い耐熱性の他に、安定したペーストまたは顔料着色されたフォトレジストには、高い顔料純度(彩度)も前提条件である。更に、顔料着色されたカラーフィルターは、インクジェット印刷法または他の適切な印刷法によっても施与することができる。
【0050】
従来の印刷インク(例えばオフセット印刷、フレキソ印刷、凹版印刷など)の製造にも、本発明による顔料を使用できる。
【0051】
本発明による顔料は、青味帯びたマゼンタ色相及び/または高い明度を特色とする。
【0052】
以下の例では、部は重量部、%は重量%を意味する。
【実施例】
【0053】
例1:
a1)ジアゾニウム塩溶液の製造:
2200gの脱塩水を仕込み、そして180gの3−アミノ−4−メトキシ安息香酸−N−メチルアミドを分散しそして室温で均一に攪拌する。15分後に、800gの氷の添加及び追加の外部冷却によって、2℃に冷却し、次いで290gの塩酸(31%)を加える。析出した塩酸塩を、179gの亜硝酸ナトリウム溶液(40%濃度)を添加することによって15〜20分の間に5〜10℃でジアゾ化する。このジアゾニウム塩溶液を、亜硝酸塩過剰下に1.5時間、後攪拌し、次いで清澄助剤を加えた後に濾過し、そして場合によっては亜硝酸塩過剰分を、アミドスルホン酸の添加により除去する。
a2)カップリング成分の溶液の調製:
2720gの水を仕込みそして80℃に加熱する。攪拌下に、308gのN−(3−ニトロフェニル)−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸アミドを加え、そして90〜95℃で苛性ソーダ溶液(33%濃度)の添加によってアルカリ性で溶解する。次いで、氷を添加して80℃未満に冷却し、そしてこの温かい溶液を、場合により清澄助剤の添加下に濾過する。
a3)アゾカップリング:
a1)からの清澄化ジアゾニウム塩溶液を仕込み、約38gの酢酸ナトリウム(4n溶液の形態)を加えてpH4.3〜4.5に調節し、そして氷を添加して10℃に冷却する。その後、攪拌下に、a2)からの温かいカップラー溶液を1〜1.5時間かけて計量添加し、この際、合計で約190gの塩酸(31%濃度)を同時に加えてpH値を4.8〜5に維持する。次いで、約2.5〜3時間またはジアゾ成分が消失するまで、RT〜30℃及びpH5〜6で後攪拌する。カップリング反応の終了後、更に1時間、50℃超に加温し、その後、濾過しそして水で洗浄する。
【0054】
乾燥及び粉砕後、式(1)の顔料の暗赤色の青味帯びた粉体499gが得られる。
【0055】
【化4】
例2:
a1)ジアゾニウム塩溶液の調製を、例1、a1)に記載のように行う。
a2)カップリング成分の溶液の調製:
2000gの水を仕込み、そして攪拌しながら、277gのN−(2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸アミドを加え、95℃に加熱し、そして330gの苛性ソーダ溶液(33%濃度)を添加して90〜95℃で数分間内にアルカリ性で溶解する。次いで、氷を加えて、80〜60℃未満に迅速に冷却し、そしてこの温度に維持する。場合により、この温かい溶液を、更に清澄助剤の添加により濾過する。
a3)アゾカップリング:
3000gの水/氷を仕込み、280gの酢酸並びに110gの酢酸ナトリウム(4n溶液の形)を加え、そしてpH4に調節する。氷を添加して温度を10℃に調節し、次いで十分な攪拌下にa2)からのカップラー溶液を滴下し、この際、カップラーが析出して懸濁液が生じる。更に氷を加えて、温度を10〜15℃に維持し、そしてカップラー添加後にpH5を調節する。a1)からのジアゾニウム塩溶液を、1.5時間かけてカップラー懸濁液に滴下し、そしてpH値を苛性ソーダ溶液を用いて5〜5.5に維持する。ジアゾニウム塩添加後に、ジアゾ成分が消失するまで、室温〜30℃及びpH5.5〜6で後攪拌する。カップリング反応の終了後、更に1時間、50℃超に加温し、その後、濾過しそして水で洗浄する。乾燥及び粉砕後、式(2)の顔料の暗赤色の粉体468gが得られる。
【0056】
【化5】
更なる本発明によるナフトールAS顔料を例1または2に類似して製造した。これらを以下の表1に示す。
【0057】
更に、彩度及び色相角をアルキドワニス(0.5%濃度)中で決定した。
【0058】
上記のワニス及び試験システムでは、本発明による顔料の彩度Cは、好ましくは58と74との間(74>C>58)、特に好ましくは60と70との間(70>C>60)である。青味帯びたマゼンタ顔料では、色相hは、好ましくは345と360との間または0と15との間、特に好ましくは350と360との間または0と10との間である(CIELAB座標)。
a)0.5%濃度アルキドワニスの調製:
プラスチックビーカー中に、0.45gの本発明による顔料及び29.55gの31.8%濃度樹脂粉砕用ワニス(Anreibelack)(45.38%Vialkyd(登録商標)AS 673h/70%WS、2.58%Octa−Soligen(登録商標)10%Ca、2.82%Sojalecithin STA濃厚物及び49.22%ミネラルスピリット145/200)を計り入れ、そして振盪機を用い、直径3mmのガラスビード85gを添加して15分間の間に660回転/分で分散する。
【0059】
合計して60gの54%濃度吸湿性レットダウン用混合物(77.14%Vialkyd(登録商標)AS673h/70%WS、0.9%Bykanol(登録商標)−N、19.16%ミネラルスピリッツ145/200、及び2.8%Octa−Soligen(登録商標)Trockner173)を、次第に増量した5つの部分にわけてゆっくりと上記ワニスに計入れ、そしてそれぞれ直ぐに徹底的に混合する。添加後に、もう一度3分間、浸透機を用いて均一に混合し、次いでガラスビードを篩で除去する。
b)色特性についてのワニス試験:
こうして得られたワニスを、ハンドコータを用いてフィルムアプリケータ上に移し、そして100μm湿潤フィルム厚で試験カード(クロモボード、白色、片面キャストコート、300g/m、サイズ100×230mm)上に貼り付ける。このワニスカードを先ず15分間室温で乾燥し、次いで60分間、乾燥室中で60℃で乾燥する。彩度(C)及び色相(h)の値は、D65標準光ランプを用いて10°の観察角度で、データカラースペクトラフラッシュ−SF600−PLUS CT分光光度計によりDIN5033−7、ISO7724−2に従い測定する。
【0060】
ワニス中での試験結果を以下の表1に示す。
【0061】
【表1】
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
以下の一般式(I)の顔料。
【化6】
式中、
はメチルまたはC〜Cアルキルを意味し;
は水素またはC〜Cアルキルを意味し;
YはC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシを意味し;そして
Z’は、水素、フェニル、ナフチル、または置換されたフェニルもしくは置換されたナフチルを意味し、ここで置換基数は、1、2、3または4であり、そして置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、ジ(C〜C)アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、ジ(C〜C)アルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルキル及びC〜Cアルコキシの群から選択される。
2.
がメチルを意味することを特徴とする、上記1に記載の顔料。
3.
が水素を意味することを特徴とする、上記1または2に記載の顔料。
4.
がメチルを意味し、かつRが水素を意味することを特徴とする、上記1〜3のいずれか一つに記載の顔料。
5.
YがC〜CアルコキシまたはC〜Cアルキルを意味することを特徴とする、上記1〜4のいずれか一つに記載の顔料。
6.
Z’が、水素、フェニルまたは置換されたフェニルを意味し、ここで置換基数が1、2、3または4であり、そして置換基が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、C〜Cアルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、フェニルスルファモイル、C〜Cアルキルスルファモイル、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルコキシ及びC〜Cアルキルの群から選択されることを特徴とする、上記1〜5のいずれか一つに記載の顔料。
7.
Z’が、水素、フェニルを意味するか、またはニトロ、シアノ及び/またはC〜Cアルキルで置換されたフェニルを意味することを特徴とする、上記1〜6のいずれか一つに記載の顔料。
8.
Z’が、フェニルの意味を持つか、またはメチル、エチルもしくはニトロの群からの一つ、二つもしくは三つの残基で置換されたフェニルの意味を持つことを特徴とする、上記1〜7のいずれか一つに記載の顔料。
9.
がメチルを意味し;
が水素を意味し;
YがC〜Cアルコキシを意味し;及び
Zがフェニル、メチルフェニルまたはニトロフェニルを意味する、
ことを特徴とする、上記1〜8のいずれか一つに記載の顔料。
10.
式(III)のアミン
【化7】
を酸性媒体中でジアゾ化し、次いでこうして得られたジアゾニウム化合物を、式(IV)
【化8】
[但し、式(III)中の置換基R、R、Y、及び式(IV)中のZ’は、上記1〜9のいずれか一つに記載の意味を有する]
のカップリング成分にカップリングすることによって、上記1〜9のいずれか一つに記載の式(I)の顔料を製造する方法。
11.
天然または合成起源の高分子量有機材料の顔料着色のための、上記1〜9のいずれか一つに記載の顔料の使用。
12.
プラスチック、樹脂、ワニス、ペイント、印刷インク及び種の顔料着色のための上記11に記載の使用。
13.
電子写真用トナー及び現像剤の顔料着色のための上記11に記載の使用。
14.
インクジェットインクの顔料着色のための上記11に記載の使用。
15.
カラーフィルターの顔料着色のための上記11に記載の使用。