特許第6854783号(P6854783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854783
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】ワークピース処理手法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20210329BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H01L21/302 201B
   H01L21/265 Q
   H01L21/265 T
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-567323(P2017-567323)
(86)(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公表番号】特表2018-526817(P2018-526817A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016039259
(87)【国際公開番号】WO2017003864
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】14/788,306
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】モルガン ディー エヴァンス
(72)【発明者】
【氏名】ケビン アングリン
(72)【発明者】
【氏名】ロス バンディ
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−298243(JP,A)
【文献】 特開平11−111683(JP,A)
【文献】 特開2008−034877(JP,A)
【文献】 特開2011−031388(JP,A)
【文献】 特開2015−109263(JP,A)
【文献】 特表2010−519710(JP,A)
【文献】 特開2009−253133(JP,A)
【文献】 特開2006−344931(JP,A)
【文献】 特開2008−098232(JP,A)
【文献】 特開平08−153691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワークピースをエッチングする方法であって、
前記第1のワークピースをエッチングする方法は、
犠牲ワークピースを用いて、リボンイオンビームのエッチング速度プロファイルをイオンビーム位置の関数として決定するステップを含み、
前記エッチング速度プロファイルを決定するステップは、
前記犠牲ワークピースの初期厚さプロファイルを測定するステップであって、前記初期厚さプロファイルは、2つの垂直な方向に延びる複数の位置での初期厚さ測定を含み、前記複数の位置の各々の位置は、前記犠牲ワークピース上の2次元位置である、3次元配列を得るようなステップと、
前記リボンイオンビームが前記犠牲ワークピースに対して静止したままである所定の時間又はドーズ量の間、前記リボンイオンビームを前記犠牲ワークピースへ向けて導くステップと、
前記導くステップ後の前記犠牲ワークピースの更新された厚さプロファイルを測定するステップであって、前記更新された厚さプロファイルは、前記複数の位置での更新された厚さ測定を含むステップと、
前記リボンイオンビームの前記エッチング速度プロファイルを決定するステップであって、前記リボンイオンビームの前記エッチング速度プロファイルは、不均一であり、各々の前記2次元位置での前記初期厚さプロファイルと前記更新された厚さプロファイルとの差として計算されるステップと、を含み、
前記第1のワークピースをエッチングする方法は、さらに、
前記リボンイオンビームの前記エッチング速度プロファイルを用いて前記第1のワークピースをエッチングして、ターゲット厚さプロファイルを達成するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記第1のワークピースをエッチングするステップは複数回のパスを用いて行われ、前記リボンイオンビームは前記複数回のパスの各パスの間に前記第1のワークピースの全体の表面を横切って走査され、前記エッチング速度プロファイルは、前記複数回のパスの回数と各パスの間に用いられる動作パラメータとからなる群から選択される第1の処理パラメータセットを決定するために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エッチング速度プロファイルは前記動作パラメータを決定するために用いられ、前記動作パラメータは、走査速度プロファイルと、前記イオンビームのデューティサイクルと、引き出し電流、引き出し電圧と、供給ガスの圧力とからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1のワークピースをエッチングする方法であって、
前記第1のワークピースをエッチングする方法は、
犠牲ワークピースを用いて、リボンイオンビームのエッチング速度プロファイルをイオンビーム位置の関数として決定するステップを含み、
前記エッチング速度プロファイルを決定するステップは、
前記犠牲ワークピースの初期厚さプロファイルを測定するステップであって、前記初期厚さプロファイルは、2つの垂直な方向に延びる複数の位置での初期厚さ測定を含み、前記複数の位置の各々の位置は、前記犠牲ワークピース上の2次元位置である、3次元配列を得るようなステップと、
前記リボンイオンビームが前記犠牲ワークピースに対して静止したままである所定の時間又はドーズ量の間、前記リボンイオンビームを前記犠牲ワークピースへ向けて導くステップと、
前記導くステップ後の前記犠牲ワークピースの更新された厚さプロファイルを測定するステップであって、前記更新された厚さプロファイルは、前記複数の位置での更新された厚さ測定を含むステップと、
前記リボンイオンビームの前記エッチング速度プロファイルを決定するステップであって、前記リボンイオンビームの前記エッチング速度プロファイルは、不均一であり、各々の前記2次元位置での前記初期厚さプロファイルと前記更新された厚さプロファイルとの差として算出されるステップと、を含み、
前記第1のワークピースをエッチングする方法は、さらに、
前記第1のワークピースの初期厚さプロファイルを決定するステップと、
前記エッチング速度プロファイル及び前記初期厚さプロファイルを用いて、ターゲット厚さプロファイルを達成するために用いられる第1の処理パラメータセットを算出するステップと、
前記第1の処理パラメータセットを用いて前記第1のワークピースをエッチングするステップ
とを含む、方法。
【請求項5】
前記エッチング後の前記第1のワークピースの更新された厚さプロファイルを決定するステップと、
前記エッチング速度プロファイルと前記更新された厚さプロファイルと前記ターゲット厚さプロファイルとを用いて、第2の処理パラメータセットを算出するステップと、
前記第2の処理パラメータセットを用いて前記第1のワークピースをエッチングするステップ
とをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記イオンビームは前記犠牲ワークピースから材料を除去する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記エッチングするステップは複数回のパスを用いて行われ、前記リボンイオンビームは前記複数回のパスの各パスの間に前記第1のワークピースの全体の表面を横切って走査され、前記第1の処理パラメータセットは、前記複数回のパスの回数と各パスの間に用いられる動作パラメータとからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
ロットからの複数のワークピースをエッチングする方法であって、前記ロットの前記複数のワークピースの各々の初期厚さプロファイルは互いに類似しており、前記方法は、
犠牲ワークピースを用いてリボンイオンビームのエッチング速度プロファイルをイオンビーム位置の関数として決定するステップを含み、
前記エッチング速度プロファイルを決定するステップは、
前記犠牲ワークピースの初期厚さプロファイルを測定するステップであって、前記初期厚さプロファイルは、2つの垂直な方向に延びる複数の位置での初期厚さ測定を含み、前記複数の位置の各々の位置は、前記犠牲ワークピース上の2次元位置である、3次元配列を得るようなステップと、
前記リボンイオンビームが前記犠牲ワークピースに対して静止したままである所定の時間又はドーズ量の間、前記リボンイオンビームを前記犠牲ワークピースへ向けて導くステップと、
前記導くステップ後の前記犠牲ワークピースの更新された厚さプロファイルを測定するステップであって、前記更新された厚さプロファイルは、前記複数の位置での更新された厚さ測定を含むステップと、
前記リボンイオンビームの前記エッチング速度プロファイルを決定するステップであって、前記リボンイオンビームの前記エッチング速度プロファイルは、不均一であり、各々の前記2次元位置での前記初期厚さプロファイルと前記更新された厚さプロファイルとの差として算出されるステップと、を含み、
前記ロットからの前記複数のワークピースをエッチングする方法は、さらに、
前記ロットの第1のワークピースの初期厚さプロファイルを決定するステップと、
前記エッチング速度プロファイルと前記第1のワークピースの前記初期厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとを用いて、第1の処理パラメータセットを算出するステップと、
前記第1の処理パラメータセットを用いて前記ロットの前記第1のワークピースをエッチングするステップと、
前記第1の処理パラメータセットを用いて前記ロットの第2のワークピースをエッチングするステップ
とを含む、方法。
【請求項9】
前記第2のワークピースをエッチングする前に、
前記第1のワークピースのエッチング後に前記ロットの前記第1のワークピースの更新された厚さプロファイルを決定するステップと、
前記エッチング速度プロファイルと前記第1のワークピースの前記更新された厚さプロファイルと前記ターゲット厚さプロファイルとを用いて、前記第1のワークピースについての第2の処理パラメータセットを算出するステップと、
前記第1のワークピースについての前記第2の処理パラメータセットを用いて前記ロットの前記第1のワークピースをエッチングするステップ
とをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のワークピース処理後に前記ロットの前記第2のワークピースの更新された厚さプロファイルを決定するステップと、
前記エッチング速度プロファイルと前記第2のワークピースの前記更新された厚さプロファイルと前記ターゲット厚さプロファイルとを用いて、前記第2のワークピースについての第2の処理パラメータセットを算出するステップと、
前記第2のワークピースについての前記第2の処理パラメータセットを用いて前記ロットの前記第2のワークピースを処理するステップ
とをさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態はワークピースを選択的に処理する方法に関し、より具体的には半導体ワークピースに対してエッチング、堆積又はアモルファス化処理を選択的に行うことに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置について歩留まりを向上させることは常に目標とされている。向上し得る1つの分野としては、ワークピース全体にわたっての均一性制御がある。特定の処理においては、他の領域に比して、例えばワークピースの中心付近等の或る領域がより多くの処理を受けることがある。
【0003】
例えば、堆積処理においては、ワークピースの外縁付近よりはワークピースの中心付近により多くの材料が堆積され得る。これは、堆積チェンバの中心付近の増大したプラズマ密度に起因することがある。
【0004】
別の例では、スピンコーティング処理によって、ワークピースの中心部に比してより多くの材料がワークピースの外縁付近に付着することがある。これは、ワークピースの外縁に向かってコーティングを押しやる遠心力に起因している可能性がある。
【0005】
これらの例の各々においては、このような処理不均一性が半導体ワークピースの歩留まりに悪影響を与え得る。一部の場合では、処理の均一性を向上させる試みがなされている。しかし、達成可能な均一性の度合いには限界がある。
【0006】
例えば、このような不均一性を修正するために半導体ワークピースを処理するのに用いられるイオンビーム自体が不均一なことがある。イオンビームのこの不均一性が、ワークピースについての異なる処理速度をもたらす場合がある。イオンビームの均一性を測定し、かつ、定量化又は修正することを試みるために使用できる幾つかの手法がある。しかし、このようなツールの精度は、これらの選択的領域処理にとっては十分でないことがある。さらに、これらの処理は、イオンビーム電流に直接関係していない場合もある。例えば、酸素等のイオン種のバックグラウンドガスレベルが、エッチング、アモルファス化又は堆積速度を変化させることがある。したがって、イオンビームの異なる部分がワークピースを処理できる速度をより正確に定量化する方法があれば有益であり、該情報を用いて1つ以上のワークピースをその後処理し得る。さらに、この定量化が処理装置のスループットに影響を及ぼさなければ有利である。
【発明の概要】
【0007】
ワークピース処理方法を開示する。イオンビームの異なる部分がワークピースを実際に処理できる速度は処理速度プロファイルと称され、これは、イオンビームによってワークピース{から除去される/に加えられる}材料量をイオンビーム位置の関数として測定することによって決定される。その後、処理すべきワークピースの初期厚さプロファイルを決定する。初期厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとイオンビームの処理速度プロファイルとに基づいて、第1の処理パラメータセットを決定する。そして、この第1の処理パラメータセットを用いてワークピースを処理する。一部の実施形態では、初回処理後に更新された厚さプロファイルを決定し、この更新された厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとイオンビームの処理速度プロファイルとに基づいて第2の処理パラメータセットを決定する。第2の処理パラメータセットを用いて第2回目の処理を行う。スループット向上のための最適化も開示する。
【0008】
1つの実施形態によれば、ワークピース処理方法を開示する。該方法は、第1のワークピースの初期厚さプロファイルを測定するステップと;イオンビームを、所定の時間又はドーズ量の間、第1のワークピースへ向けて導くステップと;導くステップ後の第1のワークピースの更新された厚さプロファイルを測定するステップと;初期厚さプロファイルと更新された厚さプロファイルとの差に基づいて、イオンビームのエッチング速度プロファイルをイオンビーム位置の関数として決定するステップと;イオンビームのエッチング速度プロファイルに基づいて第2のワークピースを処理するステップとを含む。一部の実施形態では、第2のワークピースの処理は複数回のパスを用いて行われ、イオンビームは各パスの間に第2のワークピースを横切って走査され、エッチング速度プロファイルは、パスの回数と各パスの間に用いられる動作パラメータとからなる群から選択される第1の処理パラメータセットを決定するために用いられる。動作パラメータは、走査速度プロファイルと、イオンビームのデューティサイクルと、引き出し電流若しくは電圧と、供給ガスの圧力とからなる群から選択することができる。特定の実施形態では、初期厚さプロファイル及び更新された厚さプロファイルは反射測定器を用いて測定される。第2のワークピースの処理は、エッチング処理、堆積処理又はアモルファス化処理を含むことができる。
【0009】
第2の実施形態によれば、ワークピース処理方法を開示する。該方法は、イオンビームの処理速度プロファイルを、イオンビーム位置の関数として決定するステップと;ワークピースの初期厚さプロファイルを決定するステップと;処理速度プロファイルと初期厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとを用いて、第1の処理パラメータセットを算出するステップと;第1の処理パラメータセットを用いてワークピースを処理するステップとを含む。特定の実施形態では、該方法は、処理後のワークピースの更新された厚さプロファイルを決定するステップと;処理速度プロファイルと更新された厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとを用いて、第2の処理パラメータセットを算出するステップと;第2の処理パラメータセットを用いてワークピースを処理するステップとをさらに含む。一部の実施形態では、処理速度プロファイルの決定は、犠牲ワークピースの初期厚さプロファイルを測定するステップと;イオンビームを、所定の時間又はドーズ量の間、犠牲ワークピースへ向けて導くステップと;導くステップ後の犠牲ワークピースの更新された厚さプロファイルを測定するステップと;初期厚さプロファイルと更新された厚さプロファイルとの差に基づいて処理速度プロファイルを決定するステップとによってなされる。特定の実施形態では、処理速度プロファイルはエッチング速度プロファイルを含む。他の実施形態では、処理速度プロファイルは堆積速度プロファイルを含む。
【0010】
第3の実施形態によれば、ロットからの複数のワークピースを処理する方法を開示する。該方法は、犠牲ワークピースを用いて、イオンビームのエッチング速度プロファイルをイオンビーム位置の関数として決定するステップと;ロットの第1のワークピースの初期厚さプロファイルを決定するステップと;エッチング速度プロファイルと第1のワークピースの初期厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとを用いて、第1の処理パラメータセットを算出するステップと;第1の処理パラメータセットを用いてロットの第1のワークピースを処理するステップと;第1の処理パラメータセットを用いてロットの第2のワークピースを処理するステップとを含む。特定の実施形態では、該方法は第2のワークピースを処理する前に、次のステップをさらに含む:第1のワークピース処理後にロットの第1のワークピースの更新された厚さプロファイルを決定するステップと;エッチング速度プロファイルと第1のワークピースの更新された厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとを用いて、第1のワークピースについての第2の処理パラメータセットを算出するステップと;第1のワークピースについての第2の処理パラメータセットを用いてロットの第1のワークピースを処理するステップ。特定の実施形態では、該方法は、次のステップをさらに含む:第2のワークピース処理後にロットの第2のワークピースの更新された厚さプロファイルを決定するステップと;エッチング速度プロファイルと第2のワークピースの更新された厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとを用いて、第2のワークピースについての第2の処理パラメータセットを算出するステップと;第2のワークピースについての第2の処理パラメータセットを用いてロットの第2のワークピースを処理するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示のより良き理解のため、参照により明細書に組み込まれる添付の図面を参照して以下説明する。
【0012】
図1】代表的なイオン注入システムの概略図である。
図2】イオンビームの処理速度プロファイルを決定するために用いることができるフローチャートである。
図3図2のシーケンスを用いて算出された代表的なエッチング速度プロファイルを示す図である。
図4】ワークピースの処理に用いることができるフローチャートである。
図5】ワークピースのロットを処理するのに用いることができるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述のように、各種の処理は不均一なことがよくあり、半導体ワークピース全体に異なる特性をもたらす。さらに、特定の処理においては、この不均一性の排除が困難なことがある。例えば、堆積処理では中心付近等のワークピースの特定の部分にてより多くの材料が堆積され得るのであり、これは当該領域における増大したプラズマ密度に起因していることがある。ワークピース全体にわたって完全に均一なプラズマを生成することは困難である。
【0014】
特定の実施形態では、ワークピースの均一性は、選択的な処理を行うことによって向上させることができる。例えば、ワークピース全体にわたって厚さが所定の許容範囲内において一定しているワークピースを作成することが望ましいことがある。これを達成するために、既知の厚さプロファイルを有するワークピースを選択的エッチング処理に付して、ワークピース全体にわたる厚さが所定の許容範囲内に収まるまでワークピースから材料を除去することができる。他の実施形態では、選択的堆積処理又は選択的アモルファス化処理を行うことによってワークピースの均一性を向上させることができる。
【0015】
これらの処理を行うのにイオンビームがしばしば用いられる。エッチング処理においては、ワークピースを特定のイオン種のイオンビームに曝露することによって、ワークピースから材料を除去し得る。もっとも、エッチング速度とも称される材料が除去される速度は、ワークピース全体にわたって異なっている場合がある。これは、複数の要因による。例えば、エッチング速度はイオンビーム電流に関連しているが、イオンビーム自体が不均一である場合がある。イオンビームの高電流部分に曝されるワークピース領域は、他の領域よりは高い速度でエッチングされ得る。さらに、エッチング速度は、ワークピースの組成とイオンビームを生成するのに用いられるイオン種との関数でもあり得る。他の要因もまた、ワークピースのエッチング速度に影響を与え得る。例えば、酸素等のイオン種のバックグラウンドガスレベルが、エッチング速度を変え得る。同様に、堆積及びアモルファス化速度もまた、イオンビーム電流や堆積されるイオン種や他の要因に基づいて変化し得る。
【0016】
図1は、例示的なイオン注入装置100の概略図を示す。イオン注入装置100は、1以上の供給ガスからイオンを生成するのに用いられるイオン源110を含む。イオンは、イオン源110から抽出され、典型的にはイオン源110における引き出し開口部に近置された電気的にバイアスされる電極120の使用によってなされる。抽出されたイオンは、一連のビームライン構成要素の操作を受け、これによってイオンビーム140は整形され、集束される。ビームライン構成要素は、加速器、減速器、質量分析器及びコリメータ磁石を含むことができる。イオンビーム140はリボンビームであることができ、この場合イオンビーム140の或る方向の寸法が他方の方向の寸法よりも遙かに大きい。別の実施形態では、イオンビーム140はスポットビームでああってもよく、この場合形状はほぼ円形である。
【0017】
そして、イオンビーム140は、プラテン150にクランプで固定することができるワークピース10に向けて導かれる。プラテン150は、水平、垂直及び回転方向に可動とすることができる。
【0018】
ワークピース10を処理するために、イオンビーム140をワークピース10に向けて導くことができる。そして、プラテン150を複数の方向に並進させて、イオンビーム140がワークピース10の様々な領域にあたることを可能にすることができる。
【0019】
反射測定器(reflectometer)160等の光学系を用いてワークピース10の厚さを決定することができる。反射測定器160からの情報は、イオン源110のパラメータ又はプラテン150を調整するためにコントローラ170によって使用することができる。コントローラ170は、記憶素子172と併用される処理ユニット171を含む。記憶素子172は、処理ユニット171によって実行され得る命令を格納するために用いられる非一時的媒体を含むことができる。したがって、コントローラ170は、本明細書に記載のシーケンスを実行することができる。
【0020】
特定の実施形態では、ワークピースから材料を除去して、目標とされた厚さプロファイル(ターゲット厚さプロファイル)を有するワークピースを作成する。この実施形態では、イオン注入装置100を用いてワークピース10から選択的に材料を除去することができる。ワークピース10から除去すべき材料量についての決定は、ワークピース10の初期厚さプロファイル及びターゲット厚さプロファイルに基づいて、コントローラ170によってなされることができる。ワークピース10の初期厚さプロファイルは、反射測定器160を用いることによって決定することができる。ターゲット厚さプロファイルは、コントローラ170に入力する既知量であってもよい。この算定により3次元マップが得られ、ワークピース上の各位置は例えば(x,y)等の2次元で表され、その位置に堆積されるべき又はその位置から除去されるべき厚さはその位置における値として与えられる。このマトリクスは材料修正マトリクスと称することができ、これはコントローラ170の記憶素子172内に格納することができる。エッチング処理の場合、このマトリクスは、ワークピース上の各位置から除去すべき材料量を表していることができる。代替的には、堆積処理の場合、このマトリクスは、ワークピース上の各位置に堆積すべき材料量を表していることができる。
【0021】
コントローラ170は、イオンビーム位置の関数としての材料の実際のエッチング速度を材料修正マトリクスと併用することができ、これによってワークピース10を処理するのに用いられるべき処理パラメータを決定することができる。例えば、処理に際しては、ワークピース10はイオンビーム140の複数回のパスに曝すことができる。各パスの間に、イオンビーム140は、ワークピース10の全体又はその一部を、走査する。イオンビーム140との相対的関係においてのプラテン150の速度は、走査中において可変とすることができ、これによってワークピース10の特定部分が他の部分よりも多く処理されるようにすることができる。特定の実施形態では、複数回のパスを行う。例えば、第1回目のパスについては、イオンビーム140を、ワークピース10の上部からワークピース10の下部へと垂直方向に動かすことによって行うことができる。この第1回目のパスの完了後、プラテン150によってワークピースを360/N度ずつ回転させることができ、ここでNは行われるべきパスの回数である。回転の完了後、イオンビーム140は、再びワークピース10の上部からワークピース10の下部へと走査するか、又は、ワークピース10の下部からワークピース10の上部へと走査することができる。N回のパスが全て行われるまでこれを反復する。上述したように、各パスの速度は可変とすることができる。追加的に又は代替的には、イオンビームのデューティサイクル又は引き出し電流若しくは電圧を変化させることによってビーム電流を変更することができる。追加的に又は代替的には、供給ガスの圧力やプラテンとイオン源との間の距離等の別の動作パラメータを、各々のパス及び/又は回転毎に変えることができる。さらに、個々のパス毎に、速度や他の動作パラメータを変えることもできる。パスの回数並びに各パスにおける走査速度プロファイル及び各パスにおいて用いられる他の動作パラメータは、コントローラ170によって決定されることができる。
【0022】
エッチング速度の算出は、間接的になされ得る。例えば、イオンビームのビーム電流を決定することができ、この値を用いて予想されるエッチング速度を決定することができる。ここでは、イオンビームによってワークピースを処理する速度(処理速度プロファイルとも称す)は、直接的に測定される。
【0023】
図2は、イオンビームの実際のエッチング速度プロファイルをイオンビーム位置の関数として決定するために用いることができるプロセスを示す。このプロセスは、コントローラ170を用いてなされるか、又は異なるコントローラを用いることができる。先ず、ステップ200において示すように、ワークピース10の厚さプロファイルを決定する。これは、反射測定器160を用いてなされることができ、該反射測定器はワークピース10を横切って走査する。透過光と反射光との時間差に基づいて、ワークピース10の初期厚さプロファイルを決定することができる。反射測定器160は、ワークピース10の複数の位置での厚さを決定するために用いることができる。例えば、1つの実施形態では、両方向において0.5mm毎に厚さ測定を行うことができる。これによって3次元配列が得られるのであり、これはワークピース上の2次元位置とその2次元位置におけるワークピース厚さとで定義される。
【0024】
そして、ステップ210において示すように、イオンビーム140をワークピース10へと向けて導く。この際、イオンビーム140は、ワークピース10との相対的関係で走査されない。むしろ、イオンビーム140は、所定の時間又は所定のドーズ量の間、ワークピース10との相対的関係において静止したままである。所定の時間又はドーズ量がこなされた後、イオンビーム140はステップ220に示すように停止される。そしてステップ230では、この処理されたワークピースの厚さプロファイルは、上述のステップ200の手法を用いて決定される。
【0025】
そしてステップ240で示すように、処理された厚さプロファイルを初期厚さプロファイルから差し引いて、実際のエッチング速度プロファイルを得る。したがって、エッチング速度プロファイルは、初期厚さプロファイルと処理された厚さプロファイルとの差に基づいて決定される。実際のエッチング速度プロファイルの例を図3に示す。この図は、ワークピース10に対してのイオンビーム140の効果を、イオンビーム位置の関数として示している。x軸はイオンビーム140の長寸法に沿っており、該ビームはリボンビームであることができ、該x軸はイオンビーム140の中心を基準とすることができる。したがって、x軸は0にてセンタリングされている。y軸はリボンビームの短寸法に沿っており、同様な態様でイオンビーム140の中心を基準とすることができる。z軸は、ステップ210中にイオンビーム140によってワークピース10から除去された材料量を示している。特定の実施形態では、z軸は、ステップ210中にワークピース10から除去された実際の材料量を表しており、単位はオングストロームとされる。他の実施形態では、z軸はエッチング速度を表し、単位は時間あたりの厚さ又はÅ/secとされる。例えば、z軸は実際に除去された材料量を表すことができ、この場合オングストローム数をステップ210で用いた所定時間で除したものとして測定される。
【0026】
イオンビーム140は、ワークピース10に不均一なパターンを発生させることに留意されたい。例えばこの例では、イオンビーム140の中心(図3においては(0,0)と表記。)は、イオンビーム140の他の部分よりも遙かに多くの材料をワークピース10からエッチングする。図3のプロファイルは、反射測定器を用いて複数のスキャンを取得することによって生成することができ、各スキャンは以前のスキャンのところから0.5mmのところにてなされることができる。そして、これら複数のスキャンは処理を経て、図3に示すエッチング速度プロファイルを形成する。
【0027】
イオンビーム位置の関数としての、イオンビームの実際のエッチング速度が既知である場合、ワークピースの選択的な処理を行うことができる。図4は、ワークピースを選択的に処理するために用いることができる処理シーケンスを示す。このプロセスは、コントローラ170を用いることによって行うことができる。先ずステップ400に示すように、犠牲ワークピースを用いることによってイオンビームの実際のエッチング速度プロファイルを経験的に決定する。他の実施形態では、処理すべきワークピースを用いることによって実際のエッチング速度プロファイルを決定する。これは、図2のシーケンスを用いることによって行うことができる。
【0028】
次にステップ410に示すように、処理すべきワークピース10の初期厚さプロファイルを測定する。この初期厚さプロファイルと(コントローラ170に入力可能な)ターゲット厚さプロファイルとに基づいて、ステップ420に示すように第1の材料修正マトリクスを生成することができる。上述したように、第1の材料修正マトリクスは、ワークピース10の初期厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差である。この第1の材料修正マトリクスは、記憶素子172内に格納されることができる。第1の材料修正マトリクスは、ワークピース10の各位置{から除去される/に堆積される}材料量を決定するために用いられる。
【0029】
第1の材料修正マトリクスとイオンビームの実際のエッチング速度プロファイルとに基づいて、ステップ430に示すように、コントローラ170によって第1の処理パラメータセットを決定することができる。この第1の処理パラメータセットは、行われるべきパス回数並びに各パスの間に使用すべき走査速度プロファイル及び動作パラメータを含む。例えば、第1の材料修正マトリクスがワークピースの特定の領域にてより多くの材料を除去すべきであると示している場合、1以上のパスにて、ワークピースのこの領域がイオンビーム140に曝されている間は走査速度を低下させておくことができこれによってこの領域でより多くの処理をなし得る。同様に、除去されるべき材料が少ない領域については、これらの領域上ではイオンビームをより迅速に走査させることによって軽度の処理とすることができる。代替的に又は追加的には、デューティサイクル、引き出し電流若しくは電圧、又は他の動作パラメータを変えてワークピースについての選択的な処理を可能とすることができる。
【0030】
そしてステップ440に示すように、ワークピース10は第1の処理パラメータセットを用いて処理される。特定の実施形態では、この処理はエッチング処理を含むことができる。そしてステップ450に示すように、エッチング完了後には、反射測定器160を用いて、処理されたワークピースの更新された厚さプロファイルを測定する。
【0031】
そしてステップ460に示すように、この更新された厚さプロファイルをターゲット厚さプロファイルと比較して第2の材料修正マトリクスを生成する。以前と同様に、この第2の材料修正マトリクスは記憶素子172内に格納することができる。そしてステップ470に示すように、コントローラ170が、第2の材料修正マトリクスに基づいて第2の処理パラメータセットを算出する。そしてステップ480に示すように、ワークピース10は、ステップ470にて決定された第2の処理パラメータセットを用いての第2の処理を受ける。ステップ480後においては、ワークピース10の厚さプロファイルはターゲット厚さプロファイルに類似するものとなっていることが可能であり、また、プラテン150から取り外されることができる。新たなワークピースをプラテン150に置いて、この新たなワークピースについてステップ410〜480を反復することができる。
【0032】
図4は、ワークピース10が2つの処理を受けている場合を示すが、他の実施形態も可能である。例えば、特定の実施形態では、各ワークピースについてステップ450〜480を複数回反復して向上した結果を達成することができる。換言すれば、処理されたワークピースの厚さプロファイルを複数回測定し、測定された各々の厚さプロファイルに基づいて更新された材料修正マトリクスを生成し、各々の更新された材料修正マトリクスに基づいてワークピースを処理することができる。
【0033】
他の実施形態では、ステップ440後においては、ワークピース10の厚さプロファイルがターゲット厚さプロファイルに十分近づいていることがあり得る。これらの実施形態では、ステップ450〜480は行わずにステップ440の完了後にワークピース10をプラテン150から取り外す。この実施形態では、各ワークピースはステップ410〜440だけを受けることがある。
【0034】
図4はエッチング処理を用いた説明を伴っているが、他の実施形態も可能である。例えば、ステップ400で決定されるエッチング速度プロファイルは、イオンビームの堆積又はアモルファス化速度プロファイルを示すものともし得る。したがって、図2のシーケンスを用いて図3に示すようなエッチング速度プロファイルを作成して、そしてこれを後続の堆積又はアモルファス化処理に用いることができる。したがって、特定の実施形態では、ステップ440及びステップ480は堆積又はアモルファス化処理とすることができる。
【0035】
さらに、堆積処理の場合、図2に示すシーケンスを変更することができる。例えば、エッチング種を含むイオンビームをワークピースへ向けて導く代わりに、堆積種を含むイオンビームとすることができる。この実施形態では、ワークピースから材料を除去する代わりに、イオンビームは材料を堆積する。ステップ200で決定される初期厚さプロファイルとステップ230で決定される処理された厚さプロファイルとの差は、ワークピース上に堆積される材料量をイオンビーム位置の関数として表すことになる。したがって、ステップ240は、イオンビームの堆積速度プロファイルを決定するために用いられることになる。そしてこの実施形態では、この堆積速度プロファイルはステップ400にて決定されて、図4のシーケンスの随所にて使用されることができる。本開示においては、エッチング又は堆積を介してなされる、ワークピースに対してのイオンビームによる処理の処理速度は、処理速度プロファイルと称する場合がある。上述したように、図2のシーケンス中にエッチング処理がなされる実施形態においては、処理速度プロファイルはエッチング速度プロファイルである。図2のシーケンス中に堆積処理がなされる実施形態においては、処理速度プロファイルは堆積速度プロファイルである。
【0036】
図4は、ターゲット厚さプロファイルに十分近づいている厚さプロファイルを有するワークピースをもたらし得る1つのシーケンスを、示している。もっとも、スループットを向上させるために、このシーケンスに対して変更を加えることができる。例えば、ワークピースはロット単位で処理することがよくあることに着目されたい。所与のロット内の全てのワークピースは、互いに酷似している特性を有しているかもしれない。例えば、単一のロット内の全てのワークピースの初期厚さプロファイルは、互いに酷似している場合があり得る。このことを活用して図4の処理を最適化することができる。
【0037】
図5はこのような最適化の一例を示す。このシーケンスにおいては、ステップ500に示すように、犠牲ワークピースを用いてイオンビーム140の実際のエッチング速度プロファイルを決定する。他の実施形態では、実際のエッチング速度プロファイルは、処理すべきワークピースを用いて決定される。上述したように、特定の実施形態では、ステップ500において堆積速度プロファイルを決定することができる。次に、ロットの第1のワークピースの初期厚さプロファイルを、反射測定器160を用いて決定する。ステップ510に示すように、この情報を用いて第1の材料修正マトリクスを作成するのであり、これを記憶素子172内に格納することができる。そしてステップ520に示すように、コントローラ170はこの第1の材料修正マトリクスを用いて第1の処理パラメータセットを決定することができる。そしてステップ530に示すように、この第1のワークピースを処理するのにこの第1の処理パラメータセットを用いる。この処理の完了後は、図4のステップ450〜480に従ってワークピースを作成する。換言すれば、ステップ450に示すように、処理されたワークピースの更新された厚さプロファイルが決定される。ステップ460に示すように、第2の材料修正マトリクスを算出するのであり、また、ステップ470に示すように、これを用いて第2の処理パラメータセットを決定する。最後にステップ480に示すように、第2の処理パラメータセットを用いてワークピースが処理される。そして、ワークピースはプラテンから取り外され、そのロットからの新たなワークピースが導入される。
【0038】
この実施形態では、図4の例とは異なり、ステップ510〜520の処理は同じロットの後続のワークピースに対しては行われない。むしろ、ロット内の各ワークピースの初期厚さプロファイルは十分に類似しているものと想定されるのであり、そのロット内の全てのワークピースに関して第1のワークピースを厚さモデルとして用いることができるものとされる。したがって、ロットのワークピースの全ては、同じ第1の処理パラメータセットを用いて処理される。もっとも、特定の実施形態では、そのロットからの各ワークピースは固有の第2の処理パラメータセットを用いて処理されるのであり、これはその特定のワークピースの更新された厚さプロファイルに基づいて決定される。他の実施形態では、そのロットからの各ワークピースは同じ第2の処理パラメータセットを用いて処理されるのであり、これはロット内の第1のワークピースに基づいて決定される。
【0039】
図5に示したシーケンスに対してはまた別の最適化を施すこともできる。特定の実施形態では、ステップ530後においては、追加の処理が必要とならない程にワークピースの厚さプロファイルがターゲット厚さプロファイルに十分近いものとなっている場合がある。これらの実施形態では、ステップ530後にワークピースをプラテンから取り外して、新たなワークピースをプラテン上に配置することができる。この実施形態では、ロットの第1のワークピースに対してステップ510〜530を行うが、そのロットの後続のワークピースに対してはステップ530を行うだけである。このシーケンスは達成可能な最大のスループットを表し得る。
【0040】
本願において上述した実施形態は多くの利点を有することができる。上述したように、イオンビームは典型的にはビーム電流に関して不均一性を呈することに着目されたい。この不均一性が、イオンビームの異なる部分によって実際に達成される処理速度プロファイルに対して影響を及ぼす。イオンビームの実際の処理速度プロファイルをイオンビーム位置の関数として測定することによって、ワークピース処理の向上を達成し得る。具体的には、様々な厚さプロファイルを有するワークピースに対してエッチングを行って、処理後のワークピースが例えば公差25Å程になるような厚さの均一性を示すようにすることが可能となり得る。また、この手法は、堆積処理やアモルファス化処理等の他の処理にも適用することができる。また、本件手法は、実際の処理速度プロファイルを測定するのであり、したがって、イオンビーム電流を測定してその測定値からエッチング速度プロファイルを補間する他の方法よりもより正確である。
【0041】
本開示の範囲は、明細書に記載した具体的な実施形態によって限定されるものではない。実際には、上述の説明及び添付の図面を与えられた当業者にとっては、上述したものに加えて、他の様々な実施形態や本開示に対しての変更が明らかとなるであろう。したがって、このような他の実施形態や変更は本開示の範囲内に属することが意図されている。また、本開示は、特定の用途に関しての特定の環境下での特定の実施態様の文脈下で説明されているものの、当業者であれば、その有用性は上記には限定されず、また、本開示は幾つもの用途に関しての幾つもの環境下で有益に実施可能であることに気付くであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、明細書にて説明したような本開示の全容及び精神を考慮して解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5