(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854851
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】エレクトロニクス適用のための複合組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20210329BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20210329BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20210329BHJP
H01L 25/065 20060101ALI20210329BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20210329BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20210329BHJP
C09J 4/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
H01L23/30 R
H01L21/60 311Q
H01L21/60 311S
H01L25/08 B
H01L25/08 C
C09J4/00
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-116984(P2019-116984)
(22)【出願日】2019年6月25日
(62)【分割の表示】特願2015-545432(P2015-545432)の分割
【原出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-195079(P2019-195079A)
(43)【公開日】2019年11月7日
【審査請求日】2019年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/731,850
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513099186
【氏名又は名称】シラス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・マイルス・マロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】アダム・グレッグ・マロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・マクブレイヤー・エリソン
【審査官】
豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/054633(WO,A2)
【文献】
特開2010−010368(JP,A)
【文献】
特開2011−176278(JP,A)
【文献】
特開2001−302758(JP,A)
【文献】
特開2009−084432(JP,A)
【文献】
特開2004−304125(JP,A)
【文献】
特表2010−514172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00−5/10
9/00−201/10
H01L21/447−21/449
21/60−21/607
23/28−23/31
25/00−25/07
25/10−25/11
25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化可能なマトリックス材料、及び
任意で、前記マトリックス材料内に配置された充填剤を含むエレクトロニクス組成物であって、
前記硬化可能なマトリックス材料が、メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ・ジケトン・モノマー、及びそれらの組合せからなるグループの少なくとも一部材を含む、前記エレクトロニクス組成物。
【請求項2】
前記充填剤を含む請求項1に記載のエレクトロニクス組成物であって、前記エレクトロニクス組成物は、30ppm/℃未満の熱膨張率を持つ硬化エレクトロニクス材料を形成するように構成される、前記エレクトロニクス組成物。
【請求項3】
前記エレクトロニクス組成物が、周囲温度の硬化温度を持つ、請求項1に記載のエレクトロニクス組成物。
【請求項4】
前記エレクトロニクス組成物が、室温の硬化温度を持つ、請求項1に記載のエレクトロニクス組成物。
【請求項5】
前記エレクトロニクス組成物が、5分未満の硬化時間を持つ、請求項1に記載のエレクトロニクス組成物。
【請求項6】
前記エレクトロニクス組成物が、室温で低粘度の液体である、請求項1に記載のエレクトロニクス組成物。
【請求項7】
硬化マトリックス材料、及び
任意で、前記硬化マトリックス材料内に配置された充填剤を含むエレクトロニクス材料であって、
前記硬化マトリックス材料が、メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ・ジケトン・モノマー、及びそれらの組合せから選択された化合物から生じたオリゴマーまたはポリマー物質からなる、前記エレクトロニクス材料。
【請求項8】
前記エレクトロニクス材料が、30ppm/℃未満の熱膨張率を持つ、請求項7に記載のエレクトロニクス材料。
【請求項9】
前記エレクトロニクス材料が接着性アンダーフィルである、請求項7に記載のエレクトロニクス材料。
【請求項10】
電気的インターコネクト、及び
前記電気的インターコネクトの周囲に配置されたエレクトロニクス材料を含むチップ・パッケージであって、
前記エレクトロニクス材料が、
充填剤、及び
メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ・ジケトン・モノマー、及びそれらの混合物から選択された化合物から生じたオリゴマーまたはポリマー物質を含む硬化マトリックス材料を含む、前記チップ・パッケージ。
【請求項11】
前記インターコネクトが、前記マトリックス材料の硬化を開始するよう作用可能な、化学的に塩基性の属性を持つ、請求項10に記載のチップ・パッケージ。
【請求項12】
前記エレクトロニクス材料が電気絶縁材料を形成する、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項13】
さらに、サブストレート、及び
前記サブストレートの近くに位置するチップであって、前記サブストレート及び前記チップの各々の表面間にギャップを定める前記チップを含む、請求項10に記載のパッケージであって、
前記エレクトロニクス材料が、前記インターコネクトによって占有されていない前記ギャップの部分を占有する、前記パッケージ。
【請求項14】
前記サブストレート及び前記チップの一方が、前記マトリックス材料の硬化を開始するよう機能する化学的に塩基性の属性を持つ、請求項13に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記エレクトロニクス材料が、前記サブストレートよりも低い30ppm/℃未満の熱膨張率を持つ、請求項13に記載のパッケージ。
【請求項16】
前記エレクトロニクス材料が、前記サブストレートに前記チップを連結させるためのアンダーフィルを含む、請求項13に記載のパッケージ。
【請求項17】
前記チップが集積回路を含み、前記サブストレートが、さらに外部電気回路を含み、前記インターコネクトが、前記集積回路を前記外部電気回路に電気的に結合する、請求項13に記載のパッケージ。
【請求項18】
前記チップが第一のチップであり、前記サブストレートが第二のチップであり、各チップが集積回路を含み、前記インターコネクトが、各々の集積回路を電気的に結合する、請求項13に記載のパッケージ。
【請求項19】
前記チップが第一のチップであり、前記エレクトロニクス材料が、前記サブストレートと前記第一のチップとの間に第一のアンダーフィル部分を形成する、請求項13に記載のパッケージであって、
さらに、前記第一のチップの近くに位置する第二のチップであって、それらチップ間に第二のギャップを定める前記第二のチップを含み、
前記エレクトロニクス材料が、前記第二のギャップ内に配置されて前記第一のチップに前記第二のチップを連結させる第二のアンダーフィル部分を形成する、前記パッケージ。
【請求項20】
前記インターコネクトが第一のインターコネクトであり、そして、さらに前記第二のチップに前記第一のチップを電気的に結合する第二のインターコネクトを含む、請求項19に記載のパッケージであって、前記第二のアンダーフィル部分が、前記インターコネクトの周囲に配置される、前記パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書に記載内容のすべてを援用する2012年11月30日に出願のU.S.Provisional Application Serial No.61/731,850への優先権、及び、それからの利益を主張する。
【0002】
本明細書中で引用または参照するすべての文書、及び、本明細書中で引用する文書中に引用または参照されているすべての文書は、本明細書中で言及する製品に対する、または本明細書中での参照により援用される文書中で言及されている製品に対するメーカーの指示事項、説明文、製品仕様及び製品シートと共に、参照により本明細書に援用され、本発明の実施に使用されてもよい。
発明の背景
【0003】
発明の背景
本開示は、チップ・パッケージのためのアンダーフィルに関し、より詳しくは集積回路チップ・パッケージのための接着性エレクトロニクス材料に関する。
【背景技術】
【0004】
集積回路は、通常、モノリシックなシリコンチップとして製造される。特定の構造においては、チップ内に構築された電子デバイスに電気的にアクセスすることによりチップ内の回路を利用できるよう、チップの表面に配列された金属パッドに複数のインターコネクトが付着される。
【0005】
インターコネクトは、典型的に、チップの外面上に区画形成された金属パッド間に延びる、ハンダまたは類似物質から形成された伝導構造であり、外部回路上のコネクタを補足するものである。そのようなインターコネクトは、通常、フリップチップ・プロセス、例えば、制御式崩壊チップ接続(C4)プロセスを用いて形成される。チップ上面の金属パッド上に、複数のハンダバンプが形成される。その後、ハンダバンプが外部回路に対向するようにチップが『反転される』。そしてチップは、ハンダバンプが、外部回路の各対応するコネクタに隣接するよう、外部回路に位置合わせされる。それからハンダボールが溶かされ、ハンダが、チップと外部回路との間に区画形成されたギャップ内を延びる電気的インターコネクトを形成する。電気的インターコネクトが形成されたら、チップと外部回路との間のギャップには、アンダーフィル組成物が導入される。
【0006】
集積回路、そしてそれらのインターコネクトは、熱を発生する。この熱は、チップ、インターコネクト及び外部回路に熱膨張を誘起する。これらの構造は、典型的に、異なる熱膨張率を持つ異なる物質から形成されているので、チップと外部回路の間には、ストレスが生じることもある。従来のアンダーフィル材料は、通常、ポリマー複合体またはエポキシ樹脂であり、これらのストレスから、チップと外部回路との間の電気的インターコネクトを保護するよう機能する。それらは、アンダーフィルの熱膨張率(CTE)を修正するよう、高分子マトリックス中にシリカ(SiO
2)等の無機粒子を含むことができる。このことは、アンダーフィルのCTEを、電気的インターコネクトを形成する使用材料に、より緊密に合わせることを可能にするため、熱膨張によるインターコネクト内のストレスを減らすことができる。
【0007】
従来のアンダーフィル組成物、そしてチップのパッケージング方法は、概して、それらの意図された目的を満たしていると考えられている。しかしながら、次世代エレクトロニクスへの適用には、改良された材料及びチップ構造が必要である。したがって、本技術分野には、低CTE、高熱伝導率、適度なモジュラス、硬化前の妥当な流動性、そして、硬化組成物のガラス遷移温度の可同調性を持つ改善されたアンダーフィル材料及びアンダーフィル方法が必要である。また、本技術分野には、製造・作成が容易で使用が簡単な、アンダーフィル組成物などの、改善されたエレクトロニクス材料の必要性、そしてチップと外部回路サブストレートとの間のギャップをアンダーフィルする方法の必要性は、依然として残っている。本開示は、これらの問題に解決案を提供する。
【発明の概要】
【0008】
一つの実施形態においては、硬化後にエレクトロニクス材料を提供するエレクトロニクス組成物が提供される。エレクトロニクス材料は、接着剤(結合剤)、コーティング、またはシーラントとして、チップ・パッケージまたは他のエレクトロニクス構造内に統合されてもよい。エレクトロニクス材料のいくつかの模範的な適用は、回路基板及びエレクトロニクス構造上への部品結合、電子部品に対する歪みの軽減、回路基板及びチップ担体のためのアンダーフィル、回路基板へのワイヤ・ボンディング、ワイヤ絶縁、チップ・パッケージ内へのチップ・ボンディング、ハンダ及び回路基板マスキング、コンフォーマルコーティング、チップ保護コーティング、チップのための誘電層、部品及び回路製造、回路リソグラフィのコーティング、回路基板製造のための樹脂(例えば、ガラスと一緒に)、放射線防護、光ファイバー被覆及び/または接着、回路基板及び部品の多孔性シーリング、コンデンサ及び他の部品の製造中のシーラント、ホイル・コーティング、回路基板上へのネジ止め要素などを含む。
【0009】
エレクトロニクス組成物は、硬化可能なマトリックス材料と、任意で、所望の適用に応じた充填剤とを含む。模範的な実施形態においては、充填剤は、マトリックス材料内に配置される。硬化マトリックス材料は、メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ・ジケトン・モノマー、もしくはそれらの組合せから選択された化合物から生じたオリゴマーまたはポリマー物質を含む。
【0010】
特定の実施形態においては、エレクトロニクス組成物は、約30ppm/℃未満の熱膨張率(CTE)を持つ硬化エレクトロニクス材料を形成する。他の模範的な実施形態においては、エレクトロニクス組成物内への充填剤の装填は、硬化エレクトロニクス材料に所望のCTEを提供するよう調整されてもよい。混合物は、およそ環境温度または室温の硬化温度を持つことができる。エレクトロニクス組成物は、約5分未満の硬化時間を持つことができる。エレクトロニクス組成物が室温で低粘度の液体である可能性も想定している。
【0011】
もう一つの模範的な実施形態においては、エレクトロニクス材料が提供される。エレクトロニクス材料は、硬化マトリックス材料内に配置された充填剤を含む。硬化マトリックス材料は、メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ・ジケトン・モノマー、もしくはそれらの混合物から選択された化合物から生じたオリゴマーまたはポリマー物質を含む。
【0012】
もう一つの模範的な実施形態においては、チップ・パッケージが提供される。チップ・パッケージは、少なくとも電気的インターコネクト及びエレクトロニクス材料を含み、エレクトロニクス材料はアンダーフィルである。アンダーフィルは、少なくとも一つのインターコネクトの周囲に配置される。アンダーフィルは、硬化マトリックス材料内に配置された充填剤を含む。硬化マトリックス材料は、メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ・ジケトン・モノマー、もしくはそれらの組合せから選択された化合物から生じたオリゴマーまたはポリマー物質を含む。
【0013】
特定の実施形態においては、チップ・パッケージはサブストレート及びチップを含む。チップ及びサブストレートは、チップとサブストレートとの間にギャップを区画形成する対向面を持つことができ、アンダーフィルは、少なくとも一つのインターコネクトによって占有されないギャップの部分を占有することができる。アンダーフィルは、少なくとも一つのインターコネクトの周囲に配置される電気絶縁材料であってもよい。アンダーフィルは、サブストレートにチップを接着連結させることができる。チップ、サブストレート及びインターコネクトの一つが、マトリックス材料の硬化を開始するよう作用可能な、化学的に塩基性の属性を持つことができる、と想定している。適切なイニシエータは、他の手段、例えばアプリケータまたは注入ポートによって、硬化可能なマトリックス材料に導入されてもよい、ということも想定している。
【0014】
特定の実施形態によれば、チップが集積回路を含み、サブストレートが外部回路を含み、少なくとも一つのインターコネクトが、集積回路を外部回路に電気的に結合する。他の可能性としては、前記チップが第一のチップであり、前記サブストレートが第二のチップであり、各々のチップは集積回路が、インターコネクトによって相互に電気的に結合される。
【0015】
前記チップが第一のチップであり、前記パッケージが第二のチップを含み、第一及び第二のチップが、チップの対向面間に第二のギャップを区画形成する、ことも想定している。第二のインターコネクトが、第一のチップを第二のチップに電気的に結合することができる。第二のアンダーフィル部分が、第一のチップに第二のチップを結合させるよう第二のギャップを占有して、第二のインターコネクトの周囲に配置されることができる。さらに、アンダーフィルが接着性組成物である、ことも想定している。
【0016】
開示対象のシステム及び方法に関するこれらの、そして他の特徴は、以下の好適な実施形態の詳細な説明から図面を参照しながら考察すれば、当業者にはより容易に明らかになる。
【0017】
本開示が関係する当業者が、余計な実験なしで、開示対象の装置及び方法をどのように製作し、且つ使用するかを容易に理解できるよう、それらの好ましい実施形態を、特定の図を参照しながら、以下の本明細書で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示に従って製造されたチップ・パッケージの断面側面図であり、一実施形態によるエレクトロニクス材料を表す。
【
図2】
図1のチップ・パッケージの断面側面図であり、一実施形態による、エレクトロニクス材料のマトリックス及び充填剤を表す。
【
図3】本開示に従って製造された三次元チップ・オン・チップ・パッケージの断面側面図であり、一実施形態に応じて各チップ間に配置された複数のアンダーフィル部分を表す。
【
図4】チップ及びサブストレートのパッケージング方法のプロセス・フロー図であり、一実施形態による硬化作業を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、図面を参照する。図面内の類似する符号は、開示対象の類似する構造的特徴または態様を表す。限定ではなく、説明及び例解の目的で、本開示に従いアンダーフィルとして利用されるエレクトロニクス材料の模範的な実施形態の部分図を、
図1に示す。これには、概して参照符号100が付与されている。開示に従う複合材の他の実施形態、またはそれらの態様を
図2から
図4に示し、以下に説明する。本明細書中で説明されるシステム及び方法は、集積回路のパッケージング・アプリケーション、例えば「フリップ・チップ」チップ・オン・サブストレート(CoS)及び「チップ・オン・チップ」(CoC)(
図3を参照)アプリケーションにおけるアンダーフィル材料に利用可能である。
【0020】
図1は、エレクトロニクス・アセンブリ、例えば、フリップ・チップ・パッケージ10の断面図である。フリップ・チップ・パッケージ10は、サブストレート12、チップ14、複数の電気的インターコネクト16及びアンダーフィル100を含む。サブストレート10、例えばプリント回路基板は、サブストレート活性面18、回路20及び複数のボンディングパッド22を持つ。ボンディングパッド22は、サブストレート活性面18の一部分に配置され、外部回路20に電気的に接続されている。チップ14、例えばダイは、チップ活性面24、内部集積回路26及び複数のチップ・コンタクト28を持つ。チップ・コンタクト26は、チップ活性面24の一部分上に配置され、内部集積回路26に電気的に接続されている。
【0021】
チップ活性面24が、サブストレート活性面18に対向してそれからオフセットされることによって、それらの間にギャップ30が区画形成されている。複数の電気的インターコネクト16がギャップ30内に配置され、ギャップを通って、対応するチップ・コンタクト28及びボンディングパッド22間に延びている。この構成は、チップ14の外部デバイスに対して、集積回路26への電気的アクセスを提供する。アンダーフィル100も、近隣の電気的インターコネクト16間のギャップ30内に、そしてギャップ30の周辺に配置されている。周縁域は、任意でヒレ部分108を含む。
【0022】
ここで、
図2を参照する。これは、電気的インターコネクト16を含む、フリップ・チップ・パッケージ10の一部分を示す。電気的インターコネクト16は、任意で、サブストレート12への結合のためにチップ14が『反転される』前にチップ活性面24上に押し付けられるハンダボールから形成されてもよい。アンダーフィル100は、マトリックス材料102、及び、マトリックス材料内に配置された少なくとも一つの充填剤104を含む。任意で、充填剤104が第一の充填剤であり、アンダーフィルが第二の充填剤106を含んでもよい。模範的な実施形態においては、アンダーフィル100は、本明細書中で開示されるエキソメチレン誘導体化合物及び適切な充填剤を含むエレクトロニクス材料の反応生成物または硬化生成物から形成されたマトリックス102を含む。
【0023】
典型的に、チップ14のような集積回路チップは、シリコンなどの、比較的に低い熱膨張率(CTE)を持つ材料から製造され、サブストレート12は、有機材料などの、比較的大きなCTEを持つ材料から製造される。温度変化にさらされると、そのようなミスマッチな材料は、XーY平面内で異なる率で膨張するため(歪み矢印A及びBで図示)、ミスマッチがジョイント32内にストレスを課し、電気的切断が生じる。
【0024】
凝集複合材においては、ポリマー複合体の性能を改善するのに、高分子マトリックス内に無機粒子を分散させることが有用である、と知られている。加えて、ポリマー複合体の熱膨張率(CTE)を修正するのに、シリカ(SiO
2)などの無機材料を用いることができ、アンダーフィル材料は、典型的に、硬化後のCTEがチップ10のそれに、より緊密に類似する。このことが、サブストレート活性面18への膨張率の影響を低減させた。X−Y平面内の移動が抑制され、CTE差異によるストレスが最小となっている。模範的な実施形態は、チップとサブストレートとの間の移動を最小にするために、それらの間に十分な接着性を提供する。
【0025】
シリカ充填ポリマー複合体の一つの実施例は、超小型電子技術に適用されている従来のアンダーフィル、すなわち接着層である。シリカは、「フリップ・チップ」アセンブリにおいてチップとサブストレートとを結合するのに用いるハンダ材料のCTEにマッチさせるよう、接着性高分子マトリックスのCTEを修正するのに用いられる。アンダーフィル100は、ジョイント32などのジョイントにおける熱機械的ストレスを減少させる。アンダーフィルが、摂氏1度につき40から155ppm(ppm/℃)の範囲で調整可能な、Tgを超えるCTEを持つことを想定している。このことは、フリップ・チップ及び3Dパッケージの発熱を許容する充填剤の添加による、アンダーフィル100の調整を可能としている。以降から分かるように、材料の粘性が、この範囲外のCTEに対して、より多量の充填剤の利用を、潜在的に可能にする。
【0026】
エポキシ樹脂は、従来のアンダーフィル調合物に一般的に用いられる。しかしながら、エポキシ材料は特別な取り扱い及び保管状態を必要とする。従来のエポキシ樹脂は、また、硬化に熱を必要とする。この熱は、チップとサブストレートとの間で延びるインターコネクト内に、潜在的にストレスを課し、歪みを生じさせる可能性があり、潜在的にチップ・パッケージの信頼性を低減する恐れがある。さらに、3Dチップ・パッケージ等のマルチレイヤーCoCデバイスの各層は、一連のエポキシ・アンダーフィルを硬化させるための別個の加熱サイクルを必要とする。この熱暴露履歴は、チップ・パッケージの信頼性を潜在的に低減させる可能性がある。したがって、チップ・パッケージング及びエレクトロニクス材料の改良は、常に探求されている。
【0027】
図3は、サブストレート12’、第一のチップ14’及び第二のチップ14’を含むチップ・オン・チップ(CoC)アセンブリ10’を表す。アセンブリ10’は、インターコネクト16’、16”を含む。適切なエレクトロニクス材料102が、サブストレート10’と第一のチップ14’の間、及び/または第一のチップ14’と第二のチップ14”の間に配置されている。
【0028】
図4は、模範的なチップ製造プロセスを示す。模範的な実施形態においては、エレクトロニクス組成物(例えば、アンダーフィル)が、チップとチップ・サブストレートの間に区画形成されたギャップ内に導入される。その後、エレクトロニクス組成物は、硬化エレクトロニクス材料を形成するために硬化処理される。模範的な実施形態における硬化は、周囲温度で生ずる。他の模範的な実施形態においては、硬化は室温で生ずる。他の模範的な実施形態では、エレクトロニクス組成物を硬化させるのに、軽度の加熱条件を適用できる。
【0029】
本明細書で開示される材料は、広範囲にわたるプラットホームを示す。以下の通り、重要な材料は、メチレン・マロネート・モノマー、メチレン・ベータ・ジケトン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル及び多官能モノマーを含み、各々が一つ以上のエキソメチレン反応基を含む。模範的な重合性モノマー材料は、
【化1】
を含む。
【0030】
この場合、選択式中におけるR及びR’、R
1及びR
2、R
3及びR
4、R
5及びR
6は、C1−C15アルキル、C2−C15アルケニル、ハロ−(C1−C15アルキル)、C3−C6シクロアルキル、ハロ−(C3−C6シクロアルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C15アルキル)、アリール−(C1−C15アルキル)、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(C1−C15アルキル)、あるいはアルコキシ−(C1−15アルキル)からなるグループから独立的に選択される。任意で、それらの各々は、C1−C15アルキル、ハロ−(C1−C15アルキル)、C3−C6シクロアルキル、ハロ−(C3−C6シクロアルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C15アルキル)、アリール、アリール−(C1−C15アルキル)、ヘテロアリール、C1−C15アルコキシ、C1−C15アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシロキシ、カルボキシ、またはエステルで置換されてもよい。
【0031】
または、この場合、選択式中、R及びR’、R
1及びR
2、またはR
3及びR
4は、それらが5−7員複素環を形成するように結合される原子と共に採用される。それらは任意で、C1−C15アルキル、ハロ−(C1−C15アルキル)、C3−C6シクロアルキル、ハロ−(C3−C6シクロアルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C15アルキル)、アリール、アリール−(C1−C15アルキル)、ヘテロアリール、C1−C15アルコキシ、C1−C15アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシロキシ、カルボキシまたはエステルによって置換されてもよい。
【0032】
または、この場合、選択式中、−[A]−は、−(CRARB)n−、−(CRARB)n−O(C=O)−(CH2)1−15−(C=O)O−(CRARB)n−、−(CH2)n−[CY]−(CH2)n、ポリブタジエニル連結基、ポリエチレングリコール連結基、ポリエーテル連結基、ポリウレタン連結基、エポキシ連結基、ポリアクリル連結基、またはポリカーボネート連結基を表す。
【0033】
この場合、RAまたはRBの各例は、独立して、H、C1−C15アルキル、C2−C15アルケニル、式
【化2】
によって表される一部分である。
【0034】
この場合、−L−は、アルキレン、アルケニレン、ハロアルキレン、シクロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクリレン、ヘテロシクリル・アルキレン、アリール−アルキレン、ヘテロアリーレンまたはヘテロアリール−(アルキレン)、またはアルコキシ−(アルキレン)からなるグループから選択された連結基であり、各々は、任意で、枝分かれさせてもよい。また、各々は任意で、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロ・シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(アルキル)、アリール、アリール−(アルキル)、ヘテロアリール、C1−C15アルコキシ、C1−C15アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシロキシ、カルボキシ、エステルによって置換されてもよく、任意で各々は枝分かれさせてもよい。
【0035】
R
3は、上記R6において定義されたグループから、独立的に選択される。
【0036】
また、R
4は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロ・シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(アルキル)、アリール−(アルキル)、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(アルキル)、あるいはアルコキシ−(アルキル)であり、各々は、任意で枝分かれさせてもよい。各々は、任意で、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロ・シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(アルキル)、アリール、アリール−(アルキル)、ヘテロアリール、C1−C15アルコキシ、C1−C15アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシロキシ、カルボキシ、エステルによって置換されてもよく、各々は任意で枝分かれさせてもよい。
【0037】
−[CY]−は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロ・シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(アルキル)、アリール−(アルキル)、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(アルキル)またはアルコキシ−(アルキル)グループを表す。
nは、1から25の整数である。
mは、1から25の整数である。
【0038】
Qの各例は、−O−または直接接合を表す。
【0039】
材料のプラットホームは、広範囲にわたるガラス遷移温度(Tg)を許容する。例えば、硬化処理された材料の特定の実施形態は、50℃、80℃、または100℃を超えるガラス遷移温度(Tg)を示す。模範的な実施形態においては、材料は、高い耐溶剤性を示す。特定の模範的実施形態においては、材料は、少なくとも約200℃の分解温度を持つ。
【0040】
本明細書に開示される重合性モノマー組成物(重合性組成物)は、以下のように、反復単位を持つオリゴマー及びポリマーを形成することができる。
【化3】
【0041】
これらの種類の化合物とそれらの関連モノマー及びポリマーに基づく生成物は、エレクトロニクスへの適用、例えばアンダーフィル100に、また、本明細書中に開示される他の応用にも有用である。
【0042】
特定のモノマー及びモノマー混合物を、模範的な充填剤との適合性について試験した。結果を以下にまとめる。
【0043】
適合性テスト:混合モノマーを持つ多様なシリカ・サンプル
【0044】
目標:サンプルTXD026144中の10重量%のシリカ含有量(DEMMモノマー中の最高10重量%の二官能モノマーを含むモノマー混合物)
【表1】
【0045】
追加の適合性テスト:DEMMモノマー
【表2】
【0046】
メチレン・マロネート・モノマーの改良型合成方法は、メチレン・マロネートの改良型合成方法に関する公開特許出願に開示されている。それらは、WO2012/054616「不純物を実質的に含まないメチレン・マロネートの合成(Synthesis of Methylene Malonates Substantially Free of Impurities)」、及びWO2012/054633「熱伝達剤の存在の下での急速な回復を用いた合成またはメチレン・マロネート(Synthesis or Methylene Malonates Using Rapid Recovery in the Presence of a Heat Transfer Agent)」であり、各文献の全文は参照により本明細書に援用される。それらに開示の合成手順は、これまで達成できなかった高品質メチレン・マロネート及び他の硬化可能な組成物の収率を改善する。他の模範的なモノマーの種類は、本発明の特定の発明者によって達成され、例えば、共に特許出願中のPCT/US12/06830「多官能モノマー、多官能モノマー製造方法、重合性組成物及びそれから形成される製品(Multifunctional Monomers,Methods For Making Multifunctional Monomers,Polymerizable Compositions And Products Formed Therefrom)」、PCT/US12/60837「メチレン・ベータ−ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ−ケトエステル・モノマー製造方法、重合性組成物及びそれから形成される製品(Methylene Beta−Ketoester Monomers,Methods for Making Methylene Beta−Ketoester Monomers,Polymerizable Compositions and Products Formed Thereform)」、及びPCT/US12/60840「メチレン・ベータ−ジケトン・モノマー、メチレン・ベータ−ジケトン・モノマー製造方法、重合性組成物及びそれから形成される製品(Methylene Beta−Diketone Monomers,Methods for Making Methylene Beta−Diketone Monomers,Polymerizable Compositions and Products Formed Therefrom)」に開示されている。各々は、本明細書中にその全文が援用される。
【0047】
これらの組成物は、「アンダーフィルの化学及び物理学(The Chemistry and Physics of Underfill),Dr.Ken Gilleo,ET−Trends」、「フリップ・チップ・パッケージングのためのアンダーフィル選択(Selecting an underfill for flip chip packaging)Dr.Ignatious J.Rasiah」及び第11章「木製複合材、パネル製品、接着積層材、構造用複合木材及び木製・非木製複合材(Wood−based Composite Materials,Panel Products,Glued−Laminated Timber,Structural Composite Lumber,and Wood−Nonwood Composte Materials)Nicole M.Stark,Zhiyong Cai,Charles Carll」で説明するような適用に有用である。各文献は、本明細書中に全文が援用される。
【0048】
本発明の一つの態様においては、メチレン・マロネート、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ・ケトエステル、メチレン・ベータ・ジケトンの少なくとも一つまたはそれらの組合せ、及び少なくとも一つのCTE改質剤(すなわち充填剤)を含む、硬化可能なマトリックス材料を含むエレクトロニクス材料が提供される。この場合、一つ以上のCTE改質剤は、エレクトロニクス材料に、硬化後、約30ppm未満/℃のCTEを提供するのに適切な量で存在する。
【0049】
本発明のもう一つの態様においては、エレクトロニクス・アセンブリ(すなわちチップ及び/またはサブストレート)のためのアンダーフィルが提供される。この場合、アンダーフィルは、メチレン・マロネート、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ−ケトエステル、メチレン・ベータ−ジケトンまたはそれらの混合物を硬化させることによって形成された生成物を含む。
【0050】
本発明のもう一つの態様においては、電子部品とサブストレートを提供することを含むエレクトロニクス・アセンブリ製造方法が提供される。この場合、電子部品とサブストレートとを電気的に結合するために、電子部品及びサブストレートの一方が複数のハンダバンプを持ち、他方が複数の電気的ボンディングパッドを持つ。電子部品とサブストレートとの間にエレクトロニクス組成物を提供し、エレクトロニクス組成物を硬化処理することによってエレクトロニクス材料を形成する。この場合、エレクトロニクス組成物は、メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ−ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ−ジケトン・モノマーまたはそれらの組合せを含む。
【0051】
本発明のもう一つの態様においては、電子部品とサブストレートとの間のエレクトロニクス材料で、サブストレートに電気的に結合された電子部品を含むエレクトロニクス・アセンブリが提供される。この場合、エレクトロニクス材料は、メチレン・マロネート・モノマー、多官能メチレン・モノマー、メチレン・ベータ−ケトエステル・モノマー、メチレン・ベータ−ジケトン・モノマーまたはそれらの組合せを含む硬化可能なエレクトロニクス組成物を硬化させることによって形成された生成物を含む。
【0052】
本明細書中で開示される模範的な実施形態は、エレクトロニクス材料として使用するための硬化可能な組成物、樹脂、または調合物を含み、(a)エキソメチレン官能性を含む硬化可能なマトリックス材料、及び(b)少なくとも一つの充填剤、例えばCTE改質剤を含む。模範的な実施形態においては、硬化可能なマトリックス材料は、適切なイニシエータまたはアクチベータへの暴露によって、アニオン重合に修正可能である。したがって、塩基または化学的に塩基性を示す材料を、硬化イニシエータまたはアクチベータとして利用してもよい。
【0053】
模範的な実施形態においては、本明細書で開示の反応性マトリックス材料に適切なイニシエータが、サブストレート内に、または、チップ構築処理中に反応性マトリックス材料が接触するいずれの部品内に統合されてもよい、と想定できる。
【0054】
他の模範的な実施形態においては、イニシエータは、熱、UV照射または他の発動メカニズムで活性化されるまで、「不活性状態」または非反応状態でエレクトロニクス材料に含まれてもよい。本明細書中で用いる「不活性状態」は、賦活イベント、例えば、熱、放射、化学的または物理的変化が生ずるまで、イニシエータが、一時的な非反応形態にあってもよく、もしくは、カプセル化されていてもよいこと、または他の様式で硬化を開始できる状態から隔離されていてもよいことを意味する。例えば、イニシエータは、ワックスでカプセル化してもよい。
【0055】
模範的な実施形態においては、エレクトロニクス材料は、室温で低粘性、均質あるいは非均質の、液体であってもよい。固体、粒子材料、例えば充填剤を、未硬化あるいは硬化ポリマーの物理的性質に多様な修正を加えるために、エレクトロニクス材料内に統合させてもよい。例えば、アンダーフィルと電子部品との間のCTE差を最小にするために、CTE改質剤を含ませる。すなわち、適切な高分子マトリックス材料のCTEと比較して、CTEを修正する。所望の化学的及び物理的性質を得るために、他のオプション材料を含ませてもよい。
【0056】
模範的な実施形態においては、特定のエレクトロニクス適用のために、充填剤は、第一の部品と第二の部品との間に電気接続が確立可能な電導性物質を含んでもよい。
【0057】
もう一つの模範的な実施形態においては、特定のエレクトロニクス適用のために、充填剤は熱抵抗物質を含んでもよい。
【0058】
したがって、本明細書で開示されるエレクトロニクス材料は、所望の適用要件を満たすよう、充填剤の使用を通して、調製されてもよい。
【0059】
模範的な実施形態においては、エレクトロニクス材料は、高圧、真空補助、または高温への加熱の適用なしで、小さなギャップを満たすことができる。しかしながら、必ずしもそのような処置が除外されるわけではない。これは、潜在的に、連続したアンダーフィル体の製造を可能にする。すなわち、サブストレートとチップとの間に空隙がない状態になる。このことは、潜在的に、チップとサブストレートとの間に、小さなインターコネクト構造の微細なピッチ・アレイを収めることを可能にする。
【0060】
本明細書で開示される模範的な実施形態は、重合可能なモノマー、エキソメチレン誘導体化合物を含む硬化可能なエレクトロニクス材料、エキソメチレン誘導体化合物を含む部分的に硬化した組成物、及びエキソメチレン誘導体化合物を含む硬化アンダーフィルを含む。例えば、模範的な実施形態は、エレクトロニクス・アセンブリ内に利用される薄膜の形態でもよい、部分的に硬化された組成物を含み、その後、完全に硬化される。
【0061】
本明細書で開示される模範的な実施形態は、また、エレクトロニクス組成物を提供し、そのような組成物を硬化させてエレクトロニクス材料を提供することを含む、電子部品の組み立て方法も含む。エレクトロニクス材料は、部品に電流が流れた結果として、一つのチップ・パッケージ部品の熱膨張を、もう一つの部品の熱膨張に、より密接に従うよう制限する接着性エレクトロニクス用材料であってもよい。このことは、潜在的に、部品間に延びる電気的インターコネクトによって形成されたジョイントへのストレスを軽減し、歪みを阻止することができる。アンダーフィルは、さらに、チップ・パッケージから熱を移動させるよう機能することができる。アンダーフィルは、例えば、側面熱コンジットを提供することによって、チップ・パッケージから熱を移送できる。
【0062】
種々の電子部品をいろいろなサブストレートに付加するために、模範的な調合物が用いられてもよい。適切な電子部品は、ダイ、コンデンサ、レジスタなどを含むが、これらに限定されるものではない。さらに、MEMSデバイスをサブストレート及び/またはチップに接着して連結させるのにアンダーフィルが使用できる、と考えられる。本明細書中で用いる用語「ダイ」は、多様なプロセスによって所望の集積回路デバイスに変形されるワークピースを意味する。ダイは、通常、半導体、非半導体またはそれらの組合せから製造可能なウェーハーから切り離される。適切なサブストレートは、プリント回路基板及びフレキシブル回路を含むが、これに限定されるものではない。本明細書で開示される方法によって調製されるエレクトロニクス・アセンブリは、サブストレートに結合されたパッケージも含む。「パッケージ」は、薄い回路基板上に配置されてカプセル化された集積回路に言及する。パッケージは、典型的に基板の底に、サブストレートとの電気的インターコネクトを形成するのに使用されるハンダボールを含む。
【0063】
電子部品及びサブストレートの一方が複数のハンダバンプを持ち、他方が複数の電気的ボンディングパッドを持つ。本明細書中で用いる用語「ハンダバンプ」は、ハンダバンプ、ハンダボール、ピン及び、銅ピラーなどのピラーを含む。ハンダバンプは、ボールグリッドアレイ及びピングリッドアレイを含む。ハンダバンプは、スズ、スズ・鉛、スズ・ビスマス、スズ・銀、スズ・銀・銅、スズ・インジウム及び銅などの適切なハンダ材料から構成されてもよいが、これに限定されるものではない。特に有用なハンダバンプは、スズ、スズ・鉛、スズ・銀及びスズ・銀・銅から構成されたものである。スズ合金ハンダバンプは、典型的に共融混合物である。例えば、適切なスズ・銀ハンダバンプは、96.5%のスズと3.5%の銀の組成物である。ハンダバンプは、ペーストまたは電気メッキなどの従来の手段によって付着させてもよい。合金からなるハンダバンプは、例えば、Sn−Agハンダバンプを電気メッキすることによって、直接合金として付着させてもよい。または順次に、スズなどの第一の金属を付着させ、そして第一の金属の上に銀などの第二の金属を付着させ、その後、金属を再流動化させることによって、合金を形成してもよい。適切な電気的ボンディングパッドは、適切なパッドでもよく、サブストレートまたは電子部品の表面と同一平面であってもよい。あるいは電子部品のサブストレートの表面であってもよい。適切なボンディングパッドは、銅、銀、金または他の適切な金属でもよい。
【0064】
使用の際、ハンダバンプ及びボンディングパッドには、良いハンダ付け適性を保証するためにフラックスが用いられる。当業者の判断で、適切なフラックスが使用される。電子部品及びサブストレートは、ハンダバンプとボンディングパッドとの位置が合うよう配置される。それから、アセンブリを加熱してハンダを再流動化させ、電子部品とサブストレートとを電気的に結合する(つまり、ハンダ付けする)。特定のハンダ・リフロー温度は、ハンダバンプの組成に依存し、当業者には既知である。
【0065】
電子部品がサブストレートにハンダ付けされた後、電子部品とサブストレートとの間にエレクトロニクス材料が流入される。エレクトロニクス材料は、ハンダ接合部の周囲にも流れる。エレクトロニクス材料は、最終適用状態に応じて、多数の方法によって適用できる。例えば、典型的な適用方法は、アンダーフィル適用のための計量分配を行うシリンジまたはカートリッジを含む。
【0066】
エレクトロニクス材料が電子部品とサブストレートとの間のスペースを満たしたら、その後、エレクトロニクス材料を硬化させる。模範的な実施形態においては、硬化は、周囲温度で開始される。他の模範的な実施形態においては、エレクトロニクス材料は、組成物を硬化させるのに十分な所定時間、予め定めた温度で硬化させてもよい。特定の硬化状態は、組成物に特有なものである。模範的な実施形態においては、エレクトロニクス材料は5分未満で硬化する。他の模範的な実施形態においては、硬化時間は、所望の「オープンな」時間すなわち作業時間が得られるよう調整されてもよい。
【0067】
模範的なエレクトロニクス材料は、より良い部品信頼性性能を得るために、硬化されるシステムの熱機械的性質を改善する充填剤を含む。例えば、電子部品及びサブストレートのCTEをより良くマッチさせるために、硬化後のアンダーフィルのモジュラスを増加させ、また、接着剤(硬化アンダーフィル)のCTEを減少させるよう、CTE改質剤が利用されてもよい。模範的な充填剤は、限定せずに、溶融シリカ、天然シリカ、合成シリカ、天然アルミニウム酸化物、合成アルミニウム酸化物、ホロー充填剤、アルミニウム三水酸化物、アルミニウム水酸化酸化物、ホウ素、シリコン・カーバイド、マイカ、アルミニウム粉、酸化亜鉛、銀、グラファイト、アルミニウム窒化物、ムライト、金、カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラスファイバーもしくはシート、カーボン・ファイバーまたは他の有機もしくは無機粒子充填剤を含み、それらの最終状態で調合物に加えられる、あるいは途中状態で形成される。シリカは、溶解、天然または合成であっても、好ましい充填剤である。任意で、充填剤とモノマー及び/またはポリマーの相互作用を改善するために、充填剤の表面が処理されてもよい。充填剤は、概して、ナノから従来のミクロのサイズ範囲に渡ってもよい。
【0068】
充填剤は、限定せずに、例えば、小板状、繊維状、球状、針状、アモルファスまたはそれらの組合せの許容形状を持ってもよい。熱膨張率、モジュラス、電気及び/または熱伝導率に相乗的影響をもたらすよう、異なるサイズ及び異なる形状の充填剤を併用してもよい。
【0069】
本明細書で説明される組成物は、チップ(ダイ)が、個別の集積回路としてパッケージされるのではなく、それの最終回路基板上に直接載置されて電気的に相互接続される適用に適切である。
【0070】
本開示の方法及びシステムは、前述し図面に示したように、チップ・パッケージに対して優れた性質、例えばインターコネクトへのストレスの減少及び室温硬化状態を提供する。開示対象の装置及び方法を好適実施形態に関して図示し説明したが、開示対象の精神及び範囲から逸脱することなく変更及び/または修正が可能であることは、当業者に容易に明らかである。