(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電解コンデンサ本体と、前記電解コンデンサ本体を収納する円筒状の容器と、前記容器の開口部を塞ぎ、かつ前記容器の内圧の上昇を制限するための防爆弁が設けられている封口板と、前記容器の外部に設ける接続導体を接続するための凹部を備えて形成されて前記封口板に設けられた1対の電極であって、かつ前記電解コンデンサ本体に前記容器内で接続される1対の電極と、を備える電解コンデンサに適用するコンデンサ用具であって、
第1端部が前記1対の電極に夫々接続されたときに、前記1対の電極から前記円筒状の容器の軸方向に所定の長さ突出して、かつ夫々前記突出した位置から前記容器の軸に直交する方向に位置する第2端部を有する1対の接続導体と、
前記1対の接続導体の前記第1端部から前記第2端部までの所定の範囲を筒状に覆う1対の被覆部材と、前記所定の範囲のうちの少なくとも一部の前記1対の被覆部材を機械的に連結する連結部材とを含む支持部材であって、夫々前記突出した位置から前記1対の接続導体の第2端部が互いに同じ方向に向くように、前記1対の接続導体を支持する支持部材と、
を備えるコンデンサ用具。
電解コンデンサ本体と、前記電解コンデンサ本体を収納する円筒状の容器と、前記容器の開口部を塞ぎ、かつ前記容器の内圧の上昇を制限するための防爆弁が設けられている封口板と、前記容器の外部に設ける接続導体を接続するための凹部を備えて形成されて前記封口板に設けられた1対の電極であって、かつ前記電解コンデンサ本体に前記容器内で接続される1対の電極と、を備える電解コンデンサに適用するコンデンサ用具であって、
第1端部が前記1対の電極に夫々接続されたときに、前記1対の電極から前記円筒状の容器の軸方向に所定の長さ突出して、かつ夫々前記突出した位置から前記容器の軸に直交する方向に位置する第2端部を有する1対の接続導体と、
前記1対の接続導体の前記第1端部から前記第2端部までの所定の範囲で前記前記1対の接続導体を筒状の絶縁材でそれぞれ覆う1対の被覆部材を含み、夫々前記突出した位置から前記1対の接続導体の第2端部が互いに同じ方向に向くように、前記1対の接続導体を支持する支持部材と、
を備えるコンデンサ用具。
電解コンデンサ本体と、前記電解コンデンサ本体を収納する円筒状の容器と、前記容器の開口部を塞ぎ、かつ前記容器の内圧の上昇を制限するための防爆弁が設けられている封口板と、前記容器の外部に設ける接続導体を接続するための凹部を備えて形成されて前記封口板に設けられた1対の電極であって、かつ前記電解コンデンサ本体に前記容器内で接続される1対の電極と、を備える電解コンデンサに適用するコンデンサ用具であって、
第1端部が前記1対の電極に夫々接続されたときに、前記1対の電極から前記円筒状の容器の軸方向に所定の長さ突出して、かつ夫々前記突出した位置から前記容器の軸に直交する方向に位置する第2端部を有する1対の接続導体と、
前記1対の接続導体の前記第1端部から前記第2端部までの所定の範囲を覆う1対の被覆部材を含み、夫々前記突出した位置から前記1対の接続導体の第2端部が互いに同じ方向に向くように、前記1対の接続導体を支持する支持部材と、
前記1対の接続導体が夫々前記突出した位置を、前記1対の接続導体がL字型に屈曲している屈曲点とみなした場合、前記電解コンデンサの前記封口板と、前記屈曲点との間に設けられた蓋状の第1遮蔽物であって、前記1対の被覆部材を支持ように設けられ前記防爆弁から飛散する電解液の飛散範囲を制限する第1遮蔽物
を備えるコンデンサ用具。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態の分電盤、電解コンデンサ収容盤及び装置について説明する。なお以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0020】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態の分電盤が利用される給電システム1の一例について説明する。なお、給電システム1の構成は、後述する実施形態で共通である。
【0021】
図1は、本実施形態の分電盤が利用される給電システム1の構成図である。
図2は、実施形態の分電盤13の正面図である。
図3は、実施形態の給電システム1の接続図である。図に示すように、給電システム1は、例えば、電源装置11と、複数の負荷12と、分電盤13とを含む。
【0022】
電源装置11は、例えば、複数の負荷12に直流電力を供給する直流電源装置である。
例えば、電源装置11は、電源PSから供給される交流電力を直流電力に変換する。電源装置11の直流側は、正極が接地されている。電源装置11の直流側は、分電盤13の電源側端子に接続されている。
【0023】
負荷12は、電源装置11から供給される直流電力により機能する。負荷12は、「装置」の一例である。例えば、負荷12には、サーバ装置又は通信機器などが含まれるが、これらに限定されない。負荷12の電源側は、分電盤13の負荷側端子に接続されている。
【0024】
分電盤13は、電源装置11から電源側端子に供給される直流電力を、複数の負荷12に分配する。分電盤13は、「装置」の一例である。
【0025】
例えば、分電盤13は、筐体131と、1次配線端子部132と、2次配線端子部133と、電解コンデンサ収容部134とを備える。
【0026】
筐体131は、箱状に形成され、その内部に4つの支柱(不図示)が設けられ、その脚部が床に固定されて自立する。筐体131は、側面のうち1つの面(例えば正面と呼ぶ。)とこれに対抗する面(例えば背面と呼ぶ。)に開口部が設けられていて、開口部を塞ぐように扉(不図示)がそれぞれ設けられている。図に示す筐体131は、扉を開いた状態である。筐体131は、例えば、1次配線端子部132と、2次配線端子部133と、電解コンデンサ収容部134とを収容する。
【0027】
1次配線端子部132(第1端子部)と、2次配線端子部133(第2端子部)と、電解コンデンサ収容部134は、筐体131内に設けられた少なくとも1対の支柱に係止され、支持されている。1次配線端子部132は、分電盤13の電源側端子の一例であり、例えば、筐体131の中の下段に設けられる。2次配線端子部133は、分電盤13の負荷側端子の一例であり、例えば、筐体131の中の中段に設けられる。電解コンデンサ収容部134は、例えば、筐体131の中の上段に設けられる。1次配線端子部132と、2次配線端子部133と、電解コンデンサ収容部134の配置は、一例を示すものであり、これに制限されることなく適宜変更してよい。なお、電解コンデンサ収容部134は、1又は複数の電解コンデンサ14を収容する。電解コンデンサ収容部134は、電解コンデンサ収容盤の一例である。
【0028】
次に、
図3を参照して、分電盤13の電気的な接続関係について説明する。
【0029】
1次配線端子部132には、電源装置11からの電源ケーブル(第1ケーブル)が接続される端子132Pと132Nとが設けられている。端子132Pと132Nには、筐体131内部の1対の直流母線BUSPとBUSNの一端が接続される。なお、端子等の名称に付与されている「P」が正極を示し、「N」が負極を示す。以下同様である。なお、端子132Pと132Nの接続形態に制限はなく、コネクタ接続であってもよい。
【0030】
2次配線端子部133には、負荷12への電源ケーブル(第2ケーブル)が接続される端子133Pと133Nと、ヒューズ133Fとの組が複数設けられている。端子133Pには、直流母線BUSPの他端が接続される。端子133Nには、直流母線BUSNの他端がヒューズ133Fを介して接続される。なお、端子133Pと133Nの接続形態に制限はなく、コネクタ接続であってもよい。
【0031】
電解コンデンサ収容部134は、1対の端子134Pと134N(収納棚端子)と、ヒューズ134Fとを備える。端子134Pは、直流母線BUSPに接続される。端子134Nは、ヒューズ134Fを介して直流母線BUSNに接続される。電解コンデンサ収容部134は、1対の端子134Pと134Nに接続される電解コンデンサ14を収容する。直流母線BUSPとBUSNは、収納棚電極の一例である。
【0032】
次に、
図4を参照して、電解コンデンサ収容部134内の接続関係について説明する。
図4は、実施形態の電解コンデンサ収容部134の接続図である。
【0033】
上記の端子134Pと134Nには、1対の直流母線134BUSPと134BUSNの一端が接続される。上記の1対の直流母線134BUSPと134BUSNは、電解コンデンサ収容部134を形成する棚の内部に設けられている。直流母線134BUSPには、電解コンデンサ14の正極端子を電気的に接続するための端子134PCが複数設けられている。図に示す端子134PC−1、端子134PC−2、・・・、端子134PC−M、及び端子134PC−(M+1)は、複数の端子134PCの一例である。Mは、電解コンデンサ収容部134が標準的に収容する電解コンデンサ14の個数である。端子134PCの個数は、Mより多い。
【0034】
直流母線134BUSNには、ヒューズ134Fを介して電解コンデンサ14の負極を電気的に接続するための端子134NCが複数設けられている。ヒューズ134F−1、ヒューズ134F−2、・・・、ヒューズ134F−M、及びヒューズ134F−(M+1)は、ヒューズ134Fの一例である。同様にヒューズ134Fの個数は、Mより多い。端子134NC−1、端子134NC−2、・・・、端子134NC−M、及び端子134PC−(M+1)は、複数の端子134PCの一例である。同様に端子134NCの個数は、Mより多い。
【0035】
端子134PCと端子134NCの対に、電解コンデンサ14の端子が接続されることにより、1対の直流母線にその電解コンデンサが接続されることになる。例えば、M個の電解コンデンサ14のそれぞれは、端子134PC−1と134NC−1に、端子134PC−2と134NC−2に、・・・、端子134PC−Mと134NC−Mに接続される。これにより、負荷の消費電力の変動などに伴う1対の直流母線間の電位変動への波及を軽減し、直流電圧を安定化することができる。
【0036】
図5Aは、実施形態の電解コンデンサの斜視図である。
図5Bは、実施形態の電解コンデンサ14の断面図(
図5の(a)の5A−5Aの面)である。
図5Cは、電解コンデンサ14の封口板143を平面視した図である。
図5Dは、端子144Pと144Nにおける接続導体を説明するための図である。
図5Eは、電解コンデンサ14の端子144Pと144Nを説明するための図である。
図5Fは、電解コンデンサ14の端子144Pと144Nに設ける連結部144Jの別案を説明するための図である。
【0037】
電解コンデンサ14は、例えば、電解コンデンサ本体141と、容器142と、封口板143と、端子144Pと144Nと、を備える。端子144Pと144Nは1対の端子の一例である。
【0038】
容器142は、1つの底面が閉塞された円筒状の容器を成し、電解コンデンサ本体141を収容する。容器142の開口部は封口板143により閉じられて塞がれている。
【0039】
封口板143には、電解コンデンサ本体141に接続される正極電極143Pと負極電極143Nと、防爆弁143EVとが設けられている。正極電極143Pと負極電極143Nは、例えば、円形状の封口板143の直径上に位置する。
【0040】
図5Cに示すように防爆弁143EVは、正極電極143Pと負極電極143Nを結ぶ線lから所定距離離れた位置に設けられている。防爆弁143EVは、所定圧以上に容器142の内圧が上昇することを制限する。例えば、容器142内の圧力が過度になると防爆弁143EVから容器142内のガスと電解液とが噴出し、防爆弁143EVから電解液が漏出する。これにより、防爆弁143EVは、容器142の内圧が上昇することを制限する。
【0041】
正極電極143Pと負極電極143Nには、端子144Pと144Nとがそれぞれ接続される。端子144Pは、電解コンデンサ14を電解コンデンサ収容部134に配置することにより、端子134PCに接続される。端子144Nは、同様に端子134NCに接続される。なお、電解コンデンサ14を電解コンデンサ収容部134に配置するときには、Z軸正の方向に移動させる。
【0042】
端子144Pと144Nは、その第1端部が封口板143の正極電極143Pと負極電極143N(1対の電極)に夫々接続されている。端子144Pと144Nは、正極電極143Pと負極電極143Nから容器142の軸方向(Z方向)に所定の長さ突出して、容器142の軸に直交する方向(+Y方向)にL字型に夫々屈曲している。正極電極143Pと負極電極143Nから容器142の軸方向(Z方向)に所定の長さ突出する区間を第1区間と呼ぶ。L字型に夫々屈曲してから第2端部までを第2区間と呼ぶ。
【0043】
例えば、端子144Pは、
図5Dに示すように第1区間と第2区間のそれぞれに設けられた筒状の絶縁部と、各区間の絶縁部の内側を通る導体部1441CPと導体部1442CPとを備える。
図5Dにおいて絶縁部を2点鎖線で示している。絶縁部の具体的な構成例について後述する。
【0044】
導体部1441CPが第1区間に対応し、導体部1442CPが第2区間に対応する。導体部1441CPの第1端部は、第1区間の絶縁部の第1底面に露出している。例えば、第1区間は、その絶縁部に貫通ネジ1443Pを通す穴が軸に沿って設けられている。端子144Pは、貫通ネジ1443Pによって正極電極143Pのネジ穴に固定されることで、導体部1441CPが、正極電極143Pに接触する。
【0045】
なお、貫通ネジ1443Pが導体の場合、貫通ネジ1443Pの頭部が他の金属に接触すると短絡することがありうる。そのためネジを締結した状態で、貫通ネジ1443Pの頭部が絶縁部から露出しないように保護キャップなどで隠して貫通ネジ1443Pを絶縁するとよい。或いは、貫通ネジ1443Pが樹脂などの絶縁体の場合、貫通ネジ1443Pを締結した状態であっても短絡の恐れがないため、貫通ネジ1443Pの頭部が絶縁部から露出してもよい。
【0046】
端子144Pの第2区間において、導体部1442CPは、端子144Pの内部で上記の屈曲点近傍で第1区間の導体部1441CPに接続されている。導体部1442CPは、上記の屈曲点と反対側の端部(第2端部)が露出している。
【0047】
端子144Nは、端子144Pと同様に形成される。端子144Nは、貫通ネジ1443Nによって負極電極143Nのネジ穴に固定されることで、端子144Nの導体部1441Nが、負極電極143Nに接触し、端子144Nの第2区間において、導体部1442CNは、上記の屈曲点と反対側の端部(第2端部)が露出している。
【0048】
なお、端子144Pと端子144Nは、
図5Eに示すように連結部144Jによって互いに連結されていてもよい。連結部144Jがあることによって、端子144Pと端子144Nの端部の向きを互いに同じ方向に向けることが容易になる。連結部144Jは、支持部材の一例である。
【0049】
また、端子144Pの筒部の径と端子144Nの筒部の径を互いに異なるものにしてもよい。筒部の径の違いを利用して誤挿入防止を機械的に制限することにより逆接続を防止することができる。
【0050】
電解コンデンサ14の封口板143は、防爆弁143EVが作動するまで容器142内の電解液などを封入し、外部への漏出を防いでいる。ただし、容器142内に発生したガス圧が所定の圧力を超えると、防爆弁143EVが作動してガスなどを放出することで、容器142の破損、及び封口板143の飛散を未然に防ぐ。一旦防爆弁143EVが作動すると、防爆弁143EVの穴を通してガスだけでなく電解液を漏らすことがある。
【0051】
なお、本実施形態の場合、電解コンデンサ14は、容器142の軸が略水平になるように配置される。そのため、防爆弁143EVの位置が封口板143の中で比較的上部になるように電解コンデンサ14を配置することで、防爆弁143EVの穴を通して漏れる電解液の量を少なくすることができる。
【0052】
ただし、上記のように電解液が漏れる量を少なくできたとしても、その量を皆無にすることは困難である。実施形態では、電解コンデンサ14の周囲に漏れた電解液の漏出範囲を制限するための構造を設ける。これについて順に説明する。
【0053】
図6を参照して、実施形態の電解コンデンサ収容部の構成について説明する。
図6は、実施形態の電解コンデンサ収容部134を説明するための図である。
図6の(a)に、電解コンデンサ収容部134の背面図を示し、
図6の(b)に、電解コンデンサ収容部134の断面図(
図6の(a)の6A−6Aの面)を示す。なお、電解コンデンサ14の容器141内部の表記を省略する。
【0054】
電解コンデンサ収容部134(収容部)は、さらに、第2遮蔽物1342と、ブラケット1343と、パネル1344と、フレーム1345(棚部材)とを備える。なお、
図6の(a)において、フレーム1345の一部の表記を透過させて、他の各部の関係を示す。
【0055】
フレーム1345は、第2遮蔽物1342と、ブラケット1343とを収容する収納棚状に形成されている。例えば、フレーム1345は、棚を形成する支持材と図示しない固定部材とを備える。フレーム1345は、図示しない固定部材によって、第2遮蔽物1342と、ブラケット1343と、パネル1344とを支持する。フレーム1345は、さらにブラケット1343に配置された電解コンデンサ14をも収容する。この場合、電解コンデンサ14は、後述するパネル1344の背面側に配置される。
【0056】
ブラケット1343は、電解コンデンサ収容部134内に配置された電解コンデンサ14を、容器142の軸が略鉛直になるように支持して、これを係止する。
【0057】
例えば、ブラケット1343は、支持体1343aと、固定バンド1343b(固定部材)とを備える。支持体1343aは、筒の側面のように湾曲した凹部を成す面(第1の面)を有し、その面が電解コンデンサ14側になるように配置されている。湾曲した第1の面の曲率は、電解コンデンサ14の容器142の側面がその凹部にはまるように決定されている。
【0058】
固定バンド1343bは、電解コンデンサ14の容器142の側面に沿うように湾曲した板状に形成されている。固定バンド1343bは、その両端部が図示しないネジなどにより支持体1343aに係止され、電解コンデンサ14の容器142を所定の高さで固定する。上記のネジを緩めることで、固定バンド1343bによる電解コンデンサ14の容器142の固定を解除する。
【0059】
支持体1343aは、支持体1343aの本体を挟んで、その第1の面の反対側の面(第2の面)が、フレーム145の面に面している。第2の面が面しているフレーム145の面を挟んで、支持体1343aの反対側に直流母線134BUSPと134BUSNが配置されている。直流母線134BUSPと134BUSNは、収納棚電極の一例である。
【0060】
支持体1343aの第1の面に接するように電解コンデンサ14を配置すれば、電解コンデンサ14の封口板143と、直流母線134BUSPと134BUSNとが、支持体1343aとフレーム145の面を挟んで設けられることになる。
【0061】
このように配置された支持体1343aは、容器142内のガスと電解液とが、防爆弁143EVから容器142の外に噴出した際に、防爆弁143EVから飛散する電解液の飛散範囲を制限する。
【0062】
例えば、
図6に示すように電解コンデンサ14の軸が鉛直になるように立てて配置した場合、容器142内のガスと電解液とが容器142の外に防爆弁143EVから噴出する噴出方向は、鉛直方向(Z軸の正方向)になる。
【0063】
支持体1343aの第1の面には、電解コンデンサ14の端子144Pと端子144Nが貫通する穴が設けられている。例えば、端子144Pと端子144Nが貫通する穴は、電解コンデンサ14の防爆弁143EVの高さに対して所定の高さ(z1)高く設けられていて、防爆弁143EVの中心を通る軸からも偏心している。そのため、端子144Pと端子144Nが貫通する穴に、防爆弁143EVから噴出した電解液が直接的に飛散しにくい位置にある。仮に支持体1343aの第1の面の穴方向に電解液が飛散しても、穴を通って直流母線134BUSPと134BUSN側に抜けにくい。
【0064】
なお、その第1の面が、防爆弁143EVから飛散する電解液を受けることで、その飛散を制限する。第1の面で受けた電解液は、重力によって垂れる。防爆弁143EVから噴出したガスは、電解コンデンサ収容部134内に拡散する。
【0065】
フレーム1345には、作業員が電解コンデンサ収容部134の保守作業を実施する際に作業員が位置する方向に面したパネル1344が設けられている。例えば、パネル1344は、フレーム1345の開放側(Y軸の負側の端部)に配置されている。このようなパネル1344は、電解コンデンサ収容部134が設けられた筐体131(
図3)の開口部側から視認可能な位置に配置される。
【0066】
実施形態のパネル1344は、第2遮蔽物1342上の電解液の有無(防爆弁の動作状態)を筐体131の開口部側(正面側)から視認できるように形成されている。また、パネル1344には、スリット1344S(点検用開口部)が設けられている。これにより、電解コンデンサ収容部134のフレーム1345からパネル1344を外すことなく、第2遮蔽物1342上の電解液の有無を容易に確認できる。なお、スリット1344Sは、上記の他、ガス(蒸気)を逃がして、電解コンデンサ収容部134の内圧の上昇を抑制する。
【0067】
上記により、防爆弁143EVからの噴出物が、直流母線134BUSPと134BUSNに掛かることを防ぐことができる。電解液が銅などの金属に掛かると、その金属が腐食することがある。そのため、直流母線134BUSPと134BUSNに電解液の成分が掛からないように制限する支持体1343aは、腐食防止の点で有効である。
【0068】
なお、第2遮蔽物1342は、板状部材であり、防爆弁143EVと支持体1343aの下方に配置されている。例えば、第2遮蔽物1342は、略水平に設置されている。第2遮蔽物1342は、その周囲の縁が競り上がっていて、流動性のある液体がその端部から溢れないように形成されている。これにより、第2遮蔽物1342は、防爆弁143EVから噴出した電解液又は防爆弁143EVから漏出した電解液が第2遮蔽物1342から滴下しないように、その電解液を溜め置くことができる。
【0069】
なお、支持体1343aと、第2遮蔽物1342は、別体で形成されていてもよく、一体化された部材を、所定の位置で屈曲させて形成されていてもよい。
【0070】
続いて、電解コンデンサ収容部134の利用に関する手順について説明する。
【0071】
(電解コンデンサを配置するための手順)
まず、電解コンデンサ14を電解コンデンサ収容部134に配置する際の手順について説明する。
電解コンデンサ収容部134のパネル1344をフレーム1345から取り外すと、固定ネジで固定されている固定バンド1343bが露出する。次に、固定バンド1343bの固定ネジを緩めて固定バンド1343bの固定を解除する。これによりブラケット1343の開口部側が開放されて、電解コンデンサ14の搭載及び撤去が可能になる。この状態で、必要数の電解コンデンサ14を、所定の位置のブラケット1343に配置する。電解コンデンサ14の配置を終えると、上記と逆の手順で固定バンド1343bとパネル1344を元の状態に戻す。
【0072】
(電解コンデンサを交換するための手順)
次に、電解コンデンサ14を交換する際の手順について説明する。
【0073】
例えば、電解コンデンサ収容部134には、常時実装する電解コンデンサ14の個数よりも、ブラケット1343の個数が多くなるように設けられている。この場合、電解コンデンサ14が実装されていないブラケット1343(予備ブラケットと呼ぶ。)が存在する。以下に示す交換の手順は、予備ブラケットを利用することを前提とする。
【0074】
まず、上記の配置する際の手順と同様の手順で、電解コンデンサ収容部134のパネル1344を取り外して、固定バンド1343bの固定を解除する。
【0075】
予備充電された電解コンデンサ14を、予備ブラケットに配置する。これにより、必要数より1つ多くの電解コンデンサ14が並列に接続されることになる。
次に、交換対象の電解コンデンサ14の内から1つを撤去する。これにより、並列に接続された電解コンデンサ14の個数が、当初の必要数(例えば、M個。)に戻る。上記の撤去により、1つのブラケット1343が空き状態になる。この空き状態のブラケット1343を、予備ブラケットとして利用する。
【0076】
上記を繰り返して、対象の電解コンデンサの全数(M個)を交換する。
【0077】
(電解コンデンサの状態を確認するための手順)
次に、電解コンデンサ14の状態を確認するための手順について説明する。
電解コンデンサ収容部134に配置されているパネル1344のスリット1344Sから電解コンデンサ収容部134内を覗くと、第2遮蔽物1342の上面が見える。第2遮蔽物1342の上面に異物がなければ、電解コンデンサ14から電解液の漏出が生じていないと判断できる。第2遮蔽物1342の上面に異物があれば、電解コンデンサ14から漏出した電解液が残留している効能性がある。
【0078】
上記のように電解コンデンサ収容部134にパネル1344を取り外すことなく、パネル1344に設けられているスリット1344Sから電解コンデンサ収容部134内の電解コンデンサ14が損傷していないかを確認できる。
【0079】
(電解コンデンサの電解液が漏出している場合の保守の手順)
次に、電解コンデンサ14の電解液が漏出している場合の保守の手順について説明する。
まず、上記の配置する際の手順と同様の手順で、電解コンデンサ収容部134のパネル1344を取り外して、固定バンド1343bの固定を解除する。
【0080】
予備充電された電解コンデンサ14を、予備ブラケットに配置する。これにより、必要数より1つ多くの電解コンデンサ14が並列に接続されることになるが、そのうち1つが損傷していた場合には、必要数に回復した状態になる。
【0081】
次に、損傷した電解コンデンサ14をブラケット1343から撤去する。これによって、必要数よりも不足することはない。
【0082】
次に、電解コンデンサ14の損傷が発生していた位置の第2遮蔽物1342と、ブラケット1343とについて、洗浄して初期の状態に回復させる。又は交換により初期の状態に回復させてもよい。
【0083】
電解コンデンサ14の損傷が発生していた位置を、洗浄又は交換により初期の状態に回復できれば、その位置を予備ブラケットとして利用することができる。なお、洗浄又は交換により初期の状態に回復するまでは、予備ブラケットとして利用することができないが、電解コンデンサ14の交換作業と、洗浄又は交換により初期の状態に回復させて予備ブラケットとして利用可能にする保守作業とを、一度に纏めて実施してもよく、分けて実施してもよい。
【0084】
なお、第2遮蔽物1342は、複数の電解コンデンサ14に対応づけられていてもよく、ブラケット1343は、複数の電解コンデンサ14が配置できるように結合されていてもよい。
或いは、第2遮蔽物1342と、ブラケット1343は、電解コンデンサ14毎に独立していてもよい。上記のように独立させる場合には、第2遮蔽物1342と、ブラケット1343を交換する場合に適している。
【0085】
上記の実施形態によれば、電解コンデンサ14に適用する端子144Pと144N(コンデンサ用具)は、第1端部が円筒状の容器142の封口板143の正極電極143Pと負極電極143Nに夫々接続され、正極電極143Pと負極電極143Nから容器142の軸方向に所定の長さ突出して、かつ夫々突出した位置から容器142の軸に直交する方向に位置する第2端部を有する1対の接続導体と、夫々突出した位置から前記1対の接続導体の第2端部が互いに同じ方向に向くように、前記1対の接続導体を支持する支持部材と、を備えることにより、電解コンデンサ14の封口板143を上部に向けて電解コンデンサ14を配置すること、上記のように配置された電解コンデンサ14を撤去・交換することなどが容易になり、電解コンデンサ14の保守作業の負荷を軽減することができる。なお、導体部1441CPと導体部1442CPの組と、導体部1441CNと導体部1442CNの組は、1対の接続導体の一例である。以下の説明で、これらを纏めて1対の接続導体と呼ぶことがある。上記の電解コンデンサ収容部134は、収納棚の一例である。
【0086】
上記の実施形態によれば、電解コンデンサ14は、電解コンデンサ本体141と、電解コンデンサ本体141を収納する円筒状の容器142と、容器142の開口部を塞ぎ、かつ容器142の内圧の上昇を制限するための防爆弁143EVが設けられている封口板143と、封口板143に設けられ、かつ電解コンデンサ本体141に容器142内で接続される正極電極143Pと負極電極143Nと、第1端部が正極電極143Pと負極電極143Nに夫々接続されたときに、正極電極143Pと負極電極143Nから容器142の軸方向に所定の長さ突出して、かつ夫々突出した位置から容器142の軸に直交する方向に位置する第2端部を有する1対の接続導体と、前記1対の接続導体の第2端部が夫々突出した位置から互いに同じ方向に、前記1対の接続導体の第2端部が向くように支持する支持部材と、を備えることにより、電解コンデンサ14の保守作業の負荷を軽減することができる。
【0087】
上記の実施形態によれば、電解コンデンサ収容部134は、端子144Pと144Nが正極電極143Pと負極電極143Nに設けられた電解コンデンサ14を収容する。電解コンデンサ収容部134は、電解コンデンサ14の容器を立てた状態で配置可能な棚部材と、電解コンデンサ14ごとに設けられ、棚部材に配置された電解コンデンサ14の端子144Pと144Nにそれぞれ接続される端子133Pと133N(収納棚端子)と、を備えることにより、電解コンデンサ14の交換を容易にして、電解コンデンサの保守作業の負荷を軽減することができる。
【0088】
上記の実施形態によれば、さらに、1対の接続導体は、第1端部が1対の電極に夫々接続されたときに、1対の電極から容器142の軸方向に所定の長さ突出して、夫々突出した位置から容器142の軸に直交する方向に第2端部がL字型に夫々屈曲している。連結部144Jが、1対の接続導体の屈曲方向を互いに同じ方向に向けて支持することで、1対の接続導体を安定に支持することができる。
【0089】
上記の実施形態において、
図5Fに示した連結部144Jを設けた場合には、連結部144Jが、支持体1343aの第1の面に設けられた穴、つまり端子144Pと端子144Nが貫通するように設けられた穴方向に電解液が飛散すること制限するので、簡易な方法で、電解液が飛散する範囲を制限することができる。
【0090】
(第1の実施形態の第1変形例)
第1の実施形態の第1変形例について説明する。
第1の実施形態の1対の接続導体は、L字型に夫々屈曲しているものとして説明したが、本変形例では、これに代えて、L字型になるように連結されていてもよい。本変形例の場合も、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0091】
(第2の実施形態)
図5Aから
図5Fと
図6に代えて、
図7Aから
図7Dと
図8とを参照して、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、電解コンデンサ収容部134の支持体1343aが電解液の飛散を制限していたが、本実施形態では、これに加えて第1遮蔽物144Gが電解コンデンサ14Aに設けられている事例について説明する。
【0092】
図7Aは、実施形態の電解コンデンサ14Aの斜視図である。
図7Bは、実施形態の電解コンデンサ14Aの断面図(
図7の(a)の7A−7Aの面)である。
図7Cは、電解コンデンサ14Aの封口板143を平面視した図である。
図7Dは、電解コンデンサ14Aの端子144Pと144Nを説明するための図である。
図8は、実施形態の電解コンデンサ収容部134Aを説明するための図である。なお、端子144Pと144Nにおける接続導体を説明するための図を省略する。
【0093】
電解コンデンサ14Aの端子144Pと144Nには、第1遮蔽物144Gが設けられている。第1遮蔽物144Gは、容器142内のガスと電解液とが、防爆弁143EVから容器142の外に噴出した際に、防爆弁143EVから飛散する電解液の飛散範囲を制限する。
【0094】
例えば、第1遮蔽物144Gは、円盤状に形成され、円盤の下側の面に周にそった縁部が設けられている。電解コンデンサ14Aの容器の軸が略鉛直方向になるように配置されているときに、第1遮蔽物144Gの垂直断面は、下向きに凹部が設けられた蓋のような形になる。第1遮蔽物144Gの材質は、絶縁性がある樹脂などでよい。
【0095】
実施形態の第1遮蔽物144Gは、1対の接続導体の屈曲方向を互いに同じ方向に向けて端子144Pと144Nを支持するように形成されていてもよく、端子144Pと144Nと一体で形成されていてもよい。
【0096】
1対の接続導体が正極電極143Pと負極電極143Nから容器142の軸方向に夫々突出した位置を、1対の接続導体がL字型に屈曲している屈曲点とみなした場合、第1遮蔽物144Gは、電解コンデンサ14Aの封口板143と、屈曲点との間に位置する。これにより、防爆弁143EVから飛散する電解液の飛散範囲を制限することができ、電解コンデンサ14Aの保守作業の負荷を軽減することができる。
【0097】
例えば、第1遮蔽物144Gは、劣化した電解コンデンサ14Aとともに撤去される。新たに配置する電解コンデンサ14B(不図示)には、これに代わる第1遮蔽物144GB(不図示)が設けられているので、単に電解コンデンサ14Aから電解コンデンサ14Bに交換する際に、第1遮蔽物144Gを付け替える必要がない。
【0098】
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することの他、第1遮蔽物144Gは、噴出する電解液を遮蔽することと、端子144Pと144Nを支持することの祖両方の機能を有するものとしてもよい。
【0099】
(第2の実施形態の変形例)
図7Aと、
図7Bと、
図8とに代えて、
図9Aと、
図9Bと、
図9Cと、
図10とを参照して、第2の実施形態の変形例について説明する。
第2の実施形態では、端子144Pと144Nの端部の高さが同じものであったが、本変形例では、これに代えて端子144PLと144NHとして、その端部の高さが互いに異なるものを適用する。なお、本変形例は、第2の実施形態の変形例として説明するが、第1の実施形態への適用を制限するものではない。
【0100】
図9Aは、実施形態の電解コンデンサ14Bの斜視図である。
図9Bは、実施形態の電解コンデンサ14Bの断面図(
図9の(a)の9A−9Aの面)である。
図9Cは、電解コンデンサ14Bの端子144PLと144NHを説明するための図である。
図10は、実施形態の電解コンデンサ収容部134Bの断面図である。
図10の(a)に、電解コンデンサ収容部134Bの背面図を示し、
図10の(b)に、電解コンデンサ収容部134Bの断面図(
図10の(a)の10A−10Aの面)を示す。電解コンデンサ収容部134Bは、電解コンデンサ収容部134に代わるものである。なお、第2の実施形態において平面視した図は、これらの図に準じて相違点になる箇所を読み替える。例えば、電解コンデンサ14Aを電解コンデンサ14Bに読み替える。第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0101】
図9Aから
図9Cに示すように端子144PLと144NH(1対の接続導体)の端部の高さは互いに異なる。
図10に示すように、この端子144PLと144NHに接続される収納棚側端子の鉛直方向の高さも互いに異なるものにする。
【0102】
端子144PLと144NHの端部とは、例えば、1対の直流母線134BUSPと134BUSNとに接続される端子144PLと144NHの電極部分のことである。端子144PLと144NHの端部の高さとは、
図10の(b)に示す第2遮蔽物1342の面上から、端子144PLと144NHの電極部分までの高さである。これを
図10においてh1とh2で示す。
【0103】
図に示すように本変形例の場合も第2の実施形態の場合と同様に、電解コンデンサ14Bの端子144PLと144NHには、第1遮蔽物144Gが設けられている。そして端子144PLと144NHの端部は、第1遮蔽物144Gよりも高い位置にある。それゆえ第1遮蔽物144Gは、前述した通り、容器142内のガスと電解液とが、防爆弁143EVから容器142の外に噴出した際に、防爆弁143EVから飛散する電解液の飛散範囲を制限する。
これにより、防爆弁143EVから飛散する電解液の飛散範囲を制限することができ、電解コンデンサ14Bの保守作業の負荷を軽減することができる。さらに、第1遮蔽物144Gは、噴出する電解液を遮蔽することと、端子144PLと144NHを支持することの両方の機能を有するものとしてもよい。
【0104】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記のものに限定されない。例えば、各実施形態とその変形例に例示した手法は、例示した組合せ以外の組みにしてもよい。また、本発明の実施形態は、上記の実施形態を次のように変形したものとすることができる。
【0105】
例えば、分電盤13は、電解コンデンサ収容部134と、電解コンデンサ収容部134から電力の供給を受ける負荷12Aと、電解コンデンサ収容部134と負荷12Aとを収納する筐体131とを備えた装置として形成されていてもよい。
【0106】
例示した給電システム1は、正極接地型であったが、これに制限されることなく、例えば、高抵抗中性点接地型であってもよい。その場合には、電源装置11の出力側の両極を高抵抗によって接地して、さらに分電盤13等内の1次配線端子部132に図示しない配線用遮断器を設け、その配線用遮断器の負荷側の直流母線にも配線用遮断器を設けるとよい。