特許第6854877号(P6854877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854877
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】太陽追尾装置
(51)【国際特許分類】
   F24S 50/20 20180101AFI20210329BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20210329BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20210329BHJP
   F24S 30/452 20180101ALI20210329BHJP
   G01C 1/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   F24S50/20
   H02S20/32
   H02S20/30 A
   F24S30/452
   G01C1/00 E
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-501755(P2019-501755)
(86)(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公表番号】特表2019-518930(P2019-518930A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】EP2017056848
(87)【国際公開番号】WO2017162752
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2020年3月3日
(31)【優先権主張番号】1605082.5
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518337706
【氏名又は名称】エレメンタル・エンジニアリング・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ELEMENTAL ENGINEERING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(74)【代理人】
【識別番号】100195006
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勇蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】サエード、オスマン
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−146745(JP,A)
【文献】 実開昭58−12813(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0048340(US,A1)
【文献】 特開2006−114634(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/048478(WO,A2)
【文献】 米国特許第4586488(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/56700(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24S 50/20
F24S 30/452
G01C 1/00
H02S 20/30
H02S 20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次光学センサ(30)と、
少なくとも2つの補助光学センサ(70;70a,70b)と、
ハウジング(12)であって、前記一次光学センサ(30)が下に配置される中央孔(100;62;82)を備えた上面(80)と、前記中央穴(100;62;82)のまわりで側方に配置された光井であって、前記それぞれの補助センサ(70)の各々が配置される光井と、を有するハウジング(12)と、
を含む太陽追尾装置であって、
各光井が
前記関連する補助光学センサ(70;70a,70b)が上に配置される底面(15)と、
前記上面(80)における開口部(84)と、
前記上面(80)及び前記底面(15)を接続する側壁(22,24;25)と、
を含み、
前記側壁の1つが、前記底面(15)と垂直に配置された光反射面(25)であり、全ての他の側壁(22,24)が、光吸収性である太陽追尾装置。
【請求項2】
各光反射面の(25)が、前記中央孔(100;62;82)の方に面して、外側の側壁(22)に置かれる、請求項1に記載の太陽追尾装置。
【請求項3】
各光反射面の(25)が、前記中央孔(100;62;82)に背を向けて、内側の前記側壁(22)に置かれる、請求項1に記載の太陽追尾装置。
【請求項4】
前記一次光学センサ(30)が、位置検出素子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項5】
前記位置検出素子が等方性である、請求項4に記載の太陽追尾装置。
【請求項6】
前記位置検出素子が、2D離散センサアレイを含む、請求項4に記載の太陽追尾装置。
【請求項7】
前記中央孔を通過する入射太陽光を前記一次光学センサ(30)上に合焦するために、前記中央孔と前記一次光学センサ(30)との間に配置された光学部品を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項8】
前記光学部品と前記上面(80)の前記中央孔(100;62;82)との間で位置合わせされた開口部(62)を備えたマスク(60)を更に含む、請求項7に記載の太陽追尾装置。
【請求項9】
前記中央孔(100;62;82)が、前記上面(80)の方へ広くなるように面取りされる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項10】
各補助光学センサが、フォトダイオードを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項11】
前記光井の前記開口部(84)が矩形であり、
前記各光井は、前記上面(80)に垂直な内側の側壁及び外側の側壁を備え、
且つ前記底面(15)の方へ内側に傾斜する隣接する側壁を備えて、
略桶状の光井を形成する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項12】
前記一次光学センサ(30)と、前記少なくとも2つの補助光学センサ(70;70a,70b)と動作可能に接続されたプロセッサを更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項13】
検出光に応じて前記装置を位置決めするように動作可能な少なくとも1つの駆動機構(400)を更に含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の太陽追尾装置。
【請求項14】
太陽追尾装置を位置決めする方法であって、
請求項13に記載された太陽追尾装置を提供することと、
前記補助センサにおける光強度と、前記一次光学センサ(30)上の入射光の位置との少なくとも1つを検出することと、
前記補助光学センサ(70;70a,70b)における前記光強度の平衡を保ち、且つ前記一次光学センサ(30)に前記入射光を合焦する目的で、前記検出光に応じて前記少なくとも1つの駆動機構(400)を作動させることと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽追尾装置に関し、特に複数の光学センサを備えた太陽追尾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギ収集において、光起電力(PV)パネルなどの太陽光収集パネルを位置選定用の最適な方位に位置決めすることが望ましい。固定設置において、これは、(北半球では)一般に南方向に、且つ地平線に対して適切な角度に面してパネルを位置決めすることであり得る。しかしながら、かかる固定設置は、可能な限り多くの日光を捕捉するものではない。何故なら、方位が妥協的なものであり、概ね全日にわたって、太陽は、効率的な太陽エネルギ収集のために、パネルに対して最適な位置にないからである。収集効率を改善するために、パネルに対する太陽の位置を感知できる、且つ電動駆動機構を用いて、太陽の方向を指すようにパネルを向けることができる関連太陽追尾装置を太陽電池パネルに設けることが知られている。このようにして、パネルは、一日の任意で所与の時刻に、可能な限り最も効率的な角度に−典型的には太陽に垂直に向けることができる。
【0003】
例えば特許文献1から、上面に孔を備えたボックスと、ボックスの底部における感光性要素アレイと、アレイ上に入射太陽光を導く凸レンズアレイと、を含む太陽追尾装置を提供することが知られている。その装置は、パネルにおいて太陽エネルギの収集を最大限にするために、感光性要素アレイからの信号に応じて、太陽光収集パネルの方向角を変更するモータを含んでもよい。
【0004】
特許文献2は、画像取得手段と、前記画像取得手段と一体化されて整合された遮光センサと、処理ユニットと、遮光センサのディバイダを形成する、光放射に対して不透明な収容本体と、を含む太陽追尾システム用のポインティングセンサを示す。
【0005】
特許文献3は、互いに離れた、且つパネルの中心に対して対称的な2つの位置で太陽電池パネル上に別々に搭載された第1及び第2の光センサを備えた太陽追尾システムを開示する。第1のスリーブが、第1の光センサを囲む。第2のスリーブが、第2の光センサを囲む。スリーブのそれぞれは、パネルの表面に対して傾斜した穴を有する。
【0006】
特許文献4は、家庭の太陽追尾光起電力発電装置を示す。その装置は、8点4象限光電センサ(eight-point four quadrant photoelectric sensor)、比較器、ステッピングモータ、及びファラドコンデンサを含み、光電センサは、壁本体の座金上に配置され、2つの光電センサが、光電センサの各象限における上部及び下部に配置される。
【0007】
特許文献5は、対応する光検出器の光検出面の面積より小さい面積を画定する開口部を有する太陽センサアセンブリを開示する。
【0008】
特許文献6(特許文献7としても知られている)は、関連する開口部を備えた2×2センサアセンブリを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015076319 A号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/107559 A1号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/056700 A号明細書
【特許文献4】中国実用新案第20 22 10 763 U号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/048478号パンフレット
【特許文献6】日本公告実用新案第2055736 Y号公報
【特許文献7】日本公開実用新案登録第63 167 212 U1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、先行技術の太陽追尾装置に対する少なくとも1つの代替を提供することを追求する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に従って、一次光学センサと、少なくとも2つの補助光学センサと、ハウジングと、を含む太陽追尾装置が提供される。ハウジングは、一次センサが下に配置される中央開口部を備えた上面と、中央開口部のまわりで側方に配置された光井であって、それぞれの補助センサの各々が配置される光井と、を有する。各光井は、関連する補助センサが配置される底面と、上面における開口部と、上面及び底面を接続する側壁と、を含む。側壁の1つは、底面と垂直に配置された光反射面であり、全ての他の側壁は、光吸収性である。
【0012】
単一の反射面を備えた、補助センサのそれぞれの光井に補助センサを設けることは、それらのセンサによって出力された信号を比較することによって、装置に対する太陽の位置の少なくとも大まかな表示を決定することが可能であることを意味する。これは、装置を位置決めして方向付けるための入力として、例えば一次センサが使用可能になる前の初期入力として有用になり得、より広い視野を可能にする。1つのシナリオにおいて、補助センサの視野は、一次センサの視野より広く、その結果、補助センサの1つ又は複数は、一次センサが太陽光を受けることができる位置にない場合でさえ、トリガされ得る。補助センサを設けることが与える別の利点は、冗長性である。一次センサが故障した場合に、補助センサは、事実上の一次センサとして引き継ぐことができる。
【0013】
各光反射面は、中央開口部に面して、外側の側壁に置かれてもよい。代替として、各光反射面は、中央開口部に背を向けて、内側の側壁に置かれてもよい。
【0014】
一次光学センサは、位置敏感装置(PSD)であってよく、位置敏感装置(PSD)は、光電気位置を示すためにフォトダイオード表面抵抗を利用する等方型であってよく、又はCMOS、CCD、又はSiダイオードアレイなどの2D離散センサアレイを含んでもよい。PSDは、正確な位置決定を提供することができる。即ち、PSDのどこに光が入射するかを示す信号を生成することであって、信号は、例えばPSDに光を集中させる目的で、装置の位置を変えるための入力として用いることができ、次にそれは、上面が太陽に垂直であり、太陽光収集には最適であることを意味することである。
【0015】
太陽追尾装置は、開口部を通過する入射太陽光をPSD上に合焦させるために、中央開口部とPSDとの間に配置された、レンズのような光学部品を更に含んでもよい。太陽追尾装置は、レンズと中央開口部との間で位置合わせされた、中央孔を備えたマスクを更に含んでもよい。
【0016】
中央開口部は、面取りされ、上面の方へ広くなってもよい。面取りされたプロファイルは、広い角度範囲からの光が、開口部を通過できることを保証する。例として、一次センサは、およそ175度の視野(FOV)を有してもよく、その場合に、開口部は、そのFOV全体を横切る光が、妨げられずにセンサに達し得ることを保証するように面取りされてもよい。
【0017】
各補助光学センサは、フォトダイオードを含んでもよい。PSDと比較すると、フォトダイオードは、単純で安価である。また、異なる種類の光学センサの使用は、両方のタイプが故障し得る可能性が、より低いことを意味し、その結果、システムに冗長性をもたらす。
【0018】
光井開口部は、矩形であってもよく、各光井は、上面に垂直な内側の側壁及び外側の側壁を備え、且つ底面の方へ内側に傾斜する隣接する側壁を備えて、略桶状の光井を形成する。これは、広い角度範囲からの光が、底部における補助光学センサに達し得ることを保証する。
【0019】
太陽追尾装置は、光学センサの全てと動作可能に接続されたチップを更に含んでもよい。チップは、センサの全てから受信された信号と、例えば入射光の位置及び量を示す出力信号とを処理することができる。センサの全てを単一チップに接続することによって、物理的に近い配置が達成され、次には最適化された信号処理と、より少ないコンポーネント較正ドリフトと、マイクロコントローラに対して同期された信号の保証とに帰着し得る。
【0020】
太陽追尾装置は、検出光に応じて装置を位置決めするように動作可能な少なくとも1つの駆動機構を更に含んでもよい。従って、センサから受信された入力に依存して、装置は、一日の任意で所与の時刻に最適な光収集のために、装置の向きを変えることができる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、太陽追尾装置を位置決めする方法であって、検出光に応じて装置を位置決めするように動作可能な少なくとも1つの駆動機構を含む場合に、第1の態様に従って太陽追尾装置を提供することと、補助光学センサにおける光強度及び一次光学センサ上の、入射光の位置の少なくとも1つを検出することと、補助光学センサにおける光強度の平衡を保ち、且つ一次光学センサに入射光を合焦する目的で、検出光に応じて少なくとも1つの駆動機構を作動させることと、を含む方法が提供される。
【0022】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下で更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態による太陽追尾装置の上方からの図である。
図2】装置のハウジングの上部プレートにおける開口部を示す詳細図である。
図3】中央孔と両側における光井のペアとを備えたマスクプレートを示すために、上部プレートが除去されたハウジングの上端斜視図である。
図4図3に対応するが、下にあるレンズを示すためにマスクプレートが除去され、且つ明確にするために光井ハウジングが除去された上端詳細斜視図である。
図5図4に対応するが、隣接する光学センサペアと一緒に下にある感光性要素アレイを示すためにレンズが除去されている。
図6図5に概ね対応するが、下にある集積チップ(IC)のコンポーネントを表現するために、感光性要素アレイが除去された平面図である。
図7図6に対応するが、隣接する光学センサが除去され、下にある基板を示す。
図8a】装置を通る断面における概略光線図である。
図8b】装置を通る断面における概略光線図である。
図8c】装置を通る断面における概略光線図である。
図9】上部プレートが除去されたハウジングの斜視図であり、より浅い角度であるが図3に対応する。
図10】ハウジングの更なる斜視図であり、より高くより広い角度からであるが、図9に対応する。
図11】上部プレートの中央開口部及びマスクプレートの下にある孔の上方からの詳細斜視図である。
図12】太陽電池パネルに組み込まれた太陽追尾装置の概略図である。
図13】太陽追尾装置及び太陽電池パネルを回転させ傾斜させるための機構の下からの概略斜視図である。
図14】本発明で使用するための集積回路(IC)の上端斜視図である。
図15】補助光学センサの代替実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面を参照すると、図9で最もよく分かるように、ベース基板15を備えた略矩形ベース部14と、自らの内部に中空室18を画定する略正方形中央部16と、中央部16の両側で、ベース部14の上方の、2つの側方部20と、で構成されたハウジング12を含む太陽追尾装置10の実施形態が示されている。
【0025】
位置敏感装置(PSD)30は、感光性要素アレイ及び関連するマイクロコントローラ(図示せず)を含み、且つ中空室18内に収容され、集積回路(又はチップ)(IC)40の形をしたプロセッサの直ぐ上のベース基板15と平行な平面に搭載される。マイクロコントローラは、それらのコンポーネントを分離するために、感光性アレイとは別個のボードに典型的には置かれる。PSD30は、接合接点32、42(図5、6及び14)によって、IC40に動作可能に接続される。レンズ50などの光学部品は、以下でより完全に説明されるように、PSD上に入射光を導くために、PSD30の上方で中央に搭載される。レンズ50の上方には、面取りされた開口部62を備えたマスクプレート60が存在し、面取りされた開口部62は、下にあるレンズ50及びPSD30の方へと、比較的広い直径から比較的狭い直径に先細りになる。マスクプレート60は、PSD30、IC40及びベース基板15と平行である。
【0026】
図1及び8に示されているように、ハウジングの上面層80は、マスクプレート60の上方に配置され、マスクプレート60と平行である。上面層80は、面取りされた中央孔82を含み、面取りされた中央孔82は、下にある開口部62へと、比較的広い直径から比較的狭い直径に先細りになり、且つマスクプレートの中央開口部62と位置合わせされ、それにより、上面の上方から、マスクプレート60の下のレンズ50へと光が通過するための開口部100を一緒に形成する。レンズ50は、開口部を通過するかかる入射光をPSD30上へと合焦させるように設計される。
【0027】
面取りは、入射光が、PSD30へと装置の上端を通過できる角度の有効角度範囲を拡大させるために提供されるが、しかし或る実施形態において、マスクプレート60及び上面層80のどちらか又は両方が、十分に薄い場合に、それらを通るそれぞれの開口部62及び孔82が面取りされることは必要ではなくなり得る。
【0028】
側方ハウジング部20は、それぞれ、ベース基板15及びマスクプレート60に対して垂直に走る、平行に離間された内側及び外側の側壁22を含む。隣接する側壁24は、ベース基板15の方へ内側に傾斜して、ベース部14を横切る、上端の比較的広い矩形開口部26を備えた略桶状の光井と、下端における略正方形開口部28と、を形成する。矩形開口部26は、下にある側壁22、23、24の上端と位置合わせされた、上面層80における対応する矩形開口部又は孔84によって画定されてもよい。
【0029】
光学センサ70は、各光井の下端に搭載され、接合接点72、43によってIC40に動作可能に接続される。光学センサ70は、フォトダイオードなど、任意の適切な電気光学センサとすることができる。PSD30が、装置10用の一次光学センサと見なされる場合に、光学センサ70は、補助光学センサと見なすことができる。幾つかの実施形態において、補助光学センサ70は、光が光学センサ70に達するか又は達しないことを示す単純な2進信号を生成してもよい。他の実施形態において、補助光学センサ70は、どれほどの光量が、光学センサ70に達しているかを示す信号を生成してもよい。幾つかの実施形態において、光学センサは、領域内、即ち300nm〜1200nmの光を検出することができる。
【0030】
挿入部23は、中央部16から外側に面する光反射面25を提供するために、内側の側壁22の外面に搭載される。隣接する側壁24の内面と同様に、外側の側壁22の内面も、全て光吸収性であり、特に黒である。或る実施形態において、光吸収性は、表面を粗くすることによって、且つ/又は光吸収材料でコーティングすることによって達成されてもよい。かかるものとして、或る角度で光井に入る光だけが、光学センサ70に当たることができる。この件及び両方の補助光学センサ70からの信号が考慮されるという事実から、補助光学センサによって生成された信号に基づいて、装置10に対する太陽の位置の少なくとも大まかな表示が決定され得る。これは、図8a〜cの概略光線図を参照することによって、より完全に説明される。或る実施形態において、挿入片上に反射面を設けるのではなく、反射面は、関連する側壁の構造と一体化されてもよい。
【0031】
図8aにおいて、太陽は、示されているように装置の右の方にあり、かかるものとして平行光線200は、およそ45度の外側角で装置に入射する。この角度において、光線200の幾らかは、下にあるレンズ50へと中央開口部100を通過することができ、レンズ50において、光線は、曲げられ、ポイントP1においてPSD30に合焦される。図5で分かるように、PSD30は、2Dセンサアレイを含み、PSDは、センサアレイの左側においてポイントP1で入射する光を示す信号を生成し、これらの信号は、以下で説明されるように、PSD30のマイクロコントローラにおいて処理される。上面層80によってブロックされない平行光線200の他の部分は、矩形開口部84を介して光井に入ることができる。図示のように、左側の光井において、この角度における光線200は、外側の側壁22の内面に当たり、光線200は、そこで吸収される。従って、光線は、左側の補助センサ70aに達することができず、信号は、左側の補助センサ70aによって生成されない。右側の光井において、この角度における光線200は、挿入部23の光反射面25に当たり、挿入部23において光線200は、反射され、従って、光がセンサ70bに達したことを示す信号をトリガするように、右側の補助センサ70bに達する。
【0032】
図8bにおいて、太陽は、装置の反対側の左側にあり、従って、光線200は、図8aにおける光線と反対の意味で、およそ45度の外側角で装置に入射する。この角度において、光線200の幾らかは、下にあるレンズ50へと中央開口部100を通過することができ、レンズ50において、光線は、曲げられ、センサアレイの右側におけるポイントP2においてPSD30に合焦される。このようにして、PSDは、ポイントP2で入射する光を示す信号を生成し、それらの信号は、PSD30のマイクロコントローラにおいて処理される。上面層80によってブロックされない平行光線200の他の部分は、矩形開口部84を介して光井に入ることができる。図示のように、左側の光井において、この角度における光線200は、挿入部23の光反射面25に当たり、光線200は、そこで反射され、従って、光がセンサ70aに達したことを示す信号をトリガするように、左側の補助センサ70aに達する。右側の光井において、この角度における光線200は、外側の側壁22の内面に当たり、光線200は、そこで吸収される。従って、光線は、右側の補助センサ70bに達することができず、信号は、補助センサ70bによって生成されない。
【0033】
図8a及び8bのそれぞれにおいて、光線200は、光線200の角度と上面80のマスキング効果とのために、補助センサ70a、70bに直接達することができない。図8cは、光線200が、急勾配であり、表面80に対する垂直からおよそ10度の外側角で装置に入射する状況を示す。このシナリオにおいて、光線200は、補助センサ70a、bに直接達することができ、従って、両方の補助センサ70a、70bは、信号を生成する。また、この角度において、光線200の幾らかは、下にあるレンズ50へと中央開口部100を通過することができ、レンズ50において、光線は、曲げられ、センサアレイの右側においてポイントP3で、しかしより急勾配の入射角故にポイントP2より中心でPSD30に合焦される。従って、PSDは、ポイントP3で入射する光を示す信号を生成し、それらの信号は、PSD30のマイクロコントローラにおいて処理される。
【0034】
角度の或る範囲において、装置の右側からの光だけが、右側の補助センサ70bにおいて信号を生成することと、角度の或る範囲において、装置の左側からの光だけが、左側の補助センサ70aにおいて信号を生成することが知られているので、補助センサ70a、70bの1つだけがトリガされる場合に、装置のどちらの側から光が来ているかが決定され得る。両方の補助センサ70a、70bがトリガされる場合に、これは、光が、補助センサ70a、70bに直接達することができるように、入射光が、装置に対して十分に急な角度であることを示す。両方の補助センサがトリガされるので、これは、光源(典型的には太陽)が、示されているように装置の右又は左にあるかどうかの表示を提供せず、単に光源が、特定の角度範囲内にあるという表示を提供し得る。従って、太陽の相対的位置の大まかな決定は、補助センサ70a、70bだけによって生成された信号から決定することができる。
【0035】
次に、太陽の相対的位置のより正確な決定を得るために、PSD30の感光性アレイ上のポイントP1〜3の位置もまた考慮され得る。アレイは、x及びy座標に分割され、アレイに入射する光は、相対的に光三角測量を決定するために、関連するマイクロコントローラによって解析できる信号を生成する。補助センサ70a、70bが、それらに達する光量を検出できる場合に、相異なる補助センサ70a、70bに達する相対量は、太陽の相対的位置を決定するために、追加の入力として用いることができる。
【0036】
広視野(FOV)が望ましい。何故なら、装置が、より大きな位置範囲において、特に太陽の位置がまだ知られていない始動モードにおいて、機能できるようにするからである。例として、PSD30は、およそ175度のFOVを有してもよい。これを補助センサ70a、70bと結合することによって、FOVは、およそ270度まで拡大することができる。より広いFOVを提供するために、1つより多い装置10が、例えば2つの同様の装置を一緒に接続することによって、組み合わせて用いられてもよい。
【0037】
図12に示されているように、追尾装置10は、パネル300と平行で、典型的にはパネル300と同一平面の上面80を備えた、光起電力パネル300などの太陽光収集装置に組み込まれてもよい。当該技術分野において周知のように、太陽エネルギ収集は、パネル300が、太陽光線に垂直な平面に向けられている場合に、最大限になる。従って、装置の目的は、入射太陽光が、できる限り上面80に対して垂直に近いように、太陽に対して装置を位置決めすることである。この目的のために、装置10及び関連するパネル300は、図13に概略的に示されているように、駆動機構400上に搭載されてもよい。一実施形態において、駆動機構400は、プラットホーム402を含み、その上面に追尾装置10が搭載されてもよい。アーム403が、プラットホーム402の下側から突き出る。プラットホーム402は、プラットホーム402の傾斜を調整するための第1の機構404であって、ここでは水平軸410を中心にアーム403及び従ってプラットホーム402を回転させるように作動可能な第1の駆動モータ406として示されている第1の機構404に動作可能に接続される。プラットホーム402は、プラットホーム402の回転位置を調整するための第2の機構414に更に動作可能に接続される。図示のように、第2の機構414は、垂直軸420を中心に第1の機構404及び従ってプラットホーム402を回転させるように作動可能な第2の駆動モータ416を含む。
【0038】
動作において、IC40は、PSD30及び補助センサ70a、70bから受信された信号を処理し、それによって、装置10に対する太陽の位置を決定する。IC40は、入射太陽光に対してできる限り垂直に近いように装置10及び従って太陽電池パネル300を向けるために、必要に応じて第1及び第2の駆動モータ406、416を作動させるように、駆動信号を駆動機構に送信するように動作可能である。第1に、補助センサ70a、70bだけからの入力を受け取ると、IC40の目的は、パネル300が正確な一般的な方向に面することを示している、補助センサ70の両方がトリガされる方位に装置を移動させることであろう。これを達成するために必要とされる処理は、比較的単純であり得、任意選択的にヒューリスティック(heuristic)にすることができる。補助センサ70a、70bが、入射光の量を検出できる実施形態において、目的は、各補助センサ70a、70bにおいて検出される量を等しくすることであろう。ひとたび最初の位置決めが行われるや否や、又はそれと同時に、IC40は、より正確な位置決めのためにPSD30(のマイクロコントローラ)から入力を更に受け取る。
【0039】
装置10が、このようにして方向付けられ得る場合に、結合されたセンサ30、70の有効なFOVは、増加され、且つ各軸において完全な360度のカバレッジまで提供することができる。
【0040】
光学センサ30、70からの、且つ任意選択的に追加の入力からのフィードバック制御の下で、垂直軸(即ち「回転」)及び水平軸(即ち「傾斜」)を中心に装置10を位置決めするために、他の駆動機構が、容易に実現され得ることが認識されよう。
【0041】
より多数の補助光学センサ70が、中央開口部100のまわりに離間配置されたそれぞれの光井に設けられてもよいことが認識されよう。2つを超える補助センサからの信号が、太陽の相対的位置のより正確な初期決定を提供するために補間されてもよい。例として、3つの補助センサが、120度の間隔で、一次センサの周囲に配置されてもよい。各光井の構成は、かかる配置の装置における光井の特定の位置用に適合されてもよい。例えば、反射面25は、全て、中央開口部100から放射状に離れて面するように整列させることができる。代替として、反射面25は、全て、共通の方向に整列されるか、又は向き合うペアであってもよい(即ち、反射面25は、外側の側壁22の内面に置かれ、且つ中央開口部100の方へ内側に面する)。
【0042】
図15に示されている別の実施形態において、補助センサ1070は、中央部1016における開口部1100を通る軸に対して外側に角度を付けられたそれぞれの側方ハウジング1020に収容されてもよい。このようにして、より広い角度範囲(即ちより広い視野)からの光は、センサ1070又はPSDの少なくとも1つにおける感光面に入射することができる。
【0043】
補助センサ70、1070は、一次センサ30より単純で、一次センサ30ほど敏感ではないようにすることができる。何故なら、補助センサ70、1070は、或る状況(PSDの障害又はウェイクアップモードにおいてなど)において、装置10を方向付けるための一次光学センサとして一緒に作動することができるが、一般にシステムへの追加の入力として動作しているからである。
【0044】
光学センサ30、70に加えて、装置は、IC40に追加の入力を提供するために、1つ又は複数の更なるセンサを含むことができる。示されている実施形態において、ハウジング12は、磁力計モジュール500を更に含み、磁力計モジュール500には、磁北に対して装置の方位を示す信号を提供するために、IC40に動作可能に接続された磁力計チップ502が搭載される。ハウジング12はまた、傾斜計モジュール510を更に含み、傾斜計モジュール510には、装置の傾斜を示す信号を提供するために、IC40に動作可能に接続された傾斜計チップ512が搭載される。磁力計チップ502及び傾斜計チップ512からの信号によって提供される追加の情報は、太陽の予想された位置に対する装置の位置及び方位に関して別の表示を与えるために、ICチップ40によって処理することができる。
【0045】
例として、IC40は、特定の時刻及び位置において、装置に対する太陽の予想される位置の表示を提供するために、クロック信号及び任意選択的に位置信号(GSMチップ(図示せず)からか、又は設置における手動入力としてなど)と協力して、磁力計チップ502からの入力を処理することが可能である。そしてIC40は、パネル300が太陽エネルギを収集するための、且つ光学センサ30、70が、装置をより正確に位置決めするためにIC40用の入力信号を生成できるように、太陽光が、光学センサ30、70の少なくとも1つに達するための適切な方位に装置を位置決めするために、駆動機構400を作動させることができる。
【0046】
傾斜計チップ512からの追加の入力は、装置の非水平設置を補償するために用いることができる。従って、最適動作のために装置を完全に水平に設置することは、必要ではなくなり得る。
【0047】
IC40、磁力計モジュール500、及び傾斜計モジュール510は、全て基板15上に搭載され、基板15は、PCB基板を含んでもよい。別個の磁力計モジュール及び傾斜計モジュール500、510の代わりに、又はそれらと同様に、ジャイロスコープモジュール(図示せず)が設けられてもよい。
【0048】
内側の側壁22の、それぞれの外面上に反射面を備える代わりに、反射面25は、結果として信号の処理の適切な適応と共に、外側の側壁の内面に(即ち、互いに背を向けるのではなく、互いに面して)置かれてもよい。これらの配置のどちらが用いられても、それぞれの光井の反射面は、好ましくは中央開口部の接線と平行に整列され、その結果、その配置は、中央開口部100を中心に回転対称である。対称配置は、光学センサ30、70から受信された信号に対して要求される処理を単純化する。
【0049】
様々なセンサ30、70及びモジュール500、510からの入力は、装置10の位置及び方位を決定するために、初期設置で用いることができる。理論上、ひとたびそれが分かれば、太陽の追尾は、その位置における、且つ所与の時刻及び時節の太陽の移動を読み込まれたルックアップテーブルを参照することによって、達成することが可能である。しかしながら、実際の追尾は、センサ30、70から入力を適切な間隔で受け取ることによって達成することができる。例として、読み取りは、4分ごと又は10分ごとに行うことが可能である。頻度は、光条件に依存してもよい。例えば、より弱い光条件において、間隔は、より明るい条件においてよりも長くてもよい。
【0050】
各日の始まり(即ち装置の位置にとっての日の出)に、装置は、センサ30、70によって検出される太陽光の可能性を向上させるために、前日の起動方位に戻るようにプログラムされてもよい。センサのどれも、トリガされない場合(例えば一面に曇っている場合)は、装置は、光がセンサ30、70の少なくとも1つによって検出されるまで、適切な間隔でランダムな動きを実行するようにプログラムすることができる。
【0051】
本発明は、太陽エネルギ収集用の手段として、主に光起電力パネルの文脈で説明されたが、本発明が、太陽熱集熱器又は太陽集光システムなど、他の形式の太陽エネルギ収集及び変換に等しく適用され得ることが理解されよう。
【0052】
この明細書の説明及び特許請求の範囲の全体にわたって、「含む」及び「包含する」という用語、並びにそれらの変形は、「〜を含むが、それに限定されない」ことを意味し、それらの用語は、他の部分、付加物、コンポーネント、整数又はステップを排除するようには意図されない(且つ排除しない)。この明細書の説明及び特許請求の範囲の全体にわたって、単数形は、文脈が別段の要求をしない限り、複数を包含する。特に、不定冠詞が用いられる場合に、本明細書は、文脈が別段の要求をしない限り、単数と同様に複数も意図しているものとして理解されるべきである。
【0053】
本発明の特定の態様、実施形態、又は例に関連して説明される特徴、整数、特性、合成物、化学部分又は化学基は、本明細書で説明される任意の他の態様、実施形態、又は例(それらと両立しないのでなければ)に適用可能であると理解されるべきである。この明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)で開示される特徴の全て、及び/又は同じように開示されるいかなる方法若しくはプロセスのステップの全ては、かかる特徴及び/又はステップの少なくとも幾つかが、相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本発明は、どのような前述の実施形態の詳細にも制限されない。本発明は、この明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)で開示される特徴のどの新規の1つ若しくはどの新規の組み合わせ、又は同じように開示されるどの方法若しくはプロセスのステップのどの新規の1つ若しくはどの新規の組み合わせにも及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15