特許第6854886号(P6854886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6854886オーディオ/ビデオ記録通信装置用のビデオのストリーミング及び保存
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854886
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】オーディオ/ビデオ記録通信装置用のビデオのストリーミング及び保存
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20210329BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20210329BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20210329BHJP
   H04N 21/433 20110101ALI20210329BHJP
【FI】
   H04N5/232 300
   H04N5/77
   H04N7/18 H
   H04N21/433
【請求項の数】21
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-515257(P2019-515257)
(86)(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公表番号】特表2019-530338(P2019-530338A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017053412
(87)【国際公開番号】WO2018058095
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】62/399,779
(32)【優先日】2016年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506329306
【氏名又は名称】アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
(72)【発明者】
【氏名】ロス ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス トレバー
(72)【発明者】
【氏名】グルックマン ジェイソン
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−179697(JP,A)
【文献】 特表2013−543699(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0070495(US,A1)
【文献】 特開2000−032399(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0219254(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 5/77
H04N 7/18
H04N 21/433
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ/ビデオ記録通信装置(A/V装置)によって第1映像データを生成すること、
前記第1映像データをメモリに、ある書込み速度で書き込むこと、
前記第1映像データを前記メモリに書き込む間に、事象を感知すること、
前記事象を感知した後、前記書込み速度よりも大きい第1の読出し速度で前記メモリから前記第1映像データを読み出すこと、
前記第1映像データを第1の送信速度で送信すること、
読出し動作が書込み動作に追いたことを判断すること、
前記読出し動作が前記書込み動作に追いついことの判断後、前記A/V装置によって第2映像データを生成すること、
前記第2映像データを前記メモリに、前記書込み速度で書き込むこと、
前記読出し動作が前記書込み動作に追いたことに基づいて、前記書込み速度に等しい第2の読出し速度で前記メモリから前記第2映像データを読み出すこと、及び
前記第2映像データを前記第1の送信速度よりも小さい第2の送信速度で送信すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の送信速度が前記第1の読出し速度に等しく、前記第2の送信速度が前記第2の読出し速度に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メモリがローリングバッファを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記読出し動作を前記ローリングバッファの先頭から開始する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ローリングバッファが前記第1映像データの最も古い部分を含む少なくとも1つのブロックを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ネットワーク装置に接続要求を送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記A/V装置が、前面ボタンを有するドアベルを含み、前記事象を感知することは、前記前面ボタンが入力を検出することを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記事象を感知した後、前記A/V装置によって第3映像データを生成すること、
前記第3映像データを前記メモリに前記書込み速度で書き込むこと、
前記メモリから前記第3映像データを前記第1の読出し速度で読み出すこと、及び
前記第3映像データを第1の送信速度で送信すること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記事象を感知することが、動きを感知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記A/V装置によって第1音データを生成すること、
前記第1音データを前記メモリに前記書込み速度で書き込むこと、
前記事象を感知した後、前記第1の読出し速度で前記メモリから前記第1音データを読み出すこと、
前記第1音データを送信すること、
前記読出し動作が前記書込み動作に追いついことの判断後、前記A/V装置によって第2音データを生成すること、
前記第2音データを前記メモリに前記書込み速度で書き込むこと、
前記第2の読出し速度で前記メモリから前記第2音データを読み出すこと、及び
前記第2音データを送信すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
オーディオ/ビデオ記録通信装置(A/V装置)であって、
カメラと、
プロセッサと、
命令が記憶された1以上のメモリと、を含み、
前記プロセッサによって前記命令が実行された場合は、前記A/V装置に、
第1映像データを前記カメラで生成させること、
前記第1映像データを前記メモリに、ある書込み速度で書き込みさせること、
前記第1映像データが前記メモリに書き込まれる間に、事象を感知させること、
前記事象を感知した後、前記書込み速度よりも大きい第1の読出し速度で前記メモリから前記第1映像データを読み出させること、
前記第1映像データを第1の送信速度で送信させること、
前記読出し動作が前記書込み動作に追いついたことを判断させること、
前記読出し動作が前記書込み動作に追いついたとの判断後、前記カメラによって第2映像データを生成すること、
前記読出し動作が前記書込み動作に追いたことに基づいて、前記書込み速度に等しい第2の読出し速度で前記メモリから前記第2映像データを読み出させること、及び
前記第2映像データを第2の送信速度で送信させること、を含む、A/V装置。
【請求項12】
前記第1の送信速度が前記第1の読出し速度に等しく、前記第2の送信速度が前記第2の読出し速度に等しい、請求項11に記載のA/V装置。
【請求項13】
前記メモリがローリングバッファを含む、請求項11に記載のA/V装置。
【請求項14】
前記読出し動作を前記ローリングバッファの先頭から開始する、請求項13に記載のA/V装置。
【請求項15】
前記ローリングバッファが前記第1映像データの最も古い部分を含む少なくとも1つのブロックを含む、請求項14に記載のA/V装置。
【請求項16】
前記命令が実行された場合は、前記A/V装置に、
前記事象を感知した後、前記カメラによって第3映像データを生成させること、
前記第3映像データを前記メモリに前記書込み速度で書き込ませること、
前記メモリから前記第3映像データを前記第1の読出し速度で読み出させること、及び
前記第3映像データを第1の送信速度で送信させること、を含む、
請求項11に記載のA/V装置。
【請求項17】
前記A/V装置が、前面ボタンを有するドアベルを含む、請求項11に記載のA/V装置。
【請求項18】
前記事象を感知することが、前記ドアベルの前記前面ボタンが入力を受信したことを感知することを含む、請求項17に記載のA/V装置。
【請求項19】
前記事象を感知することが、動きを感知することを含む、請求項11に記載のA/V装置。
【請求項20】
スピーカ及びマイクロフォンをさらに含む、請求項11に記載のA/V装置。
【請求項21】
前記A/V装置はマイクロフォンを有し、
前記命令が実行された場合は、前記A/V装置に、
前記マイクロフォンによって第1音データを生成さすること、
前記第1音データを前記メモリに前記書込み速度で書き込むこと、
前記事象を感知した後、前記第1の読出し速度で前記メモリから前記第1音データを読み出すこと、
前記第1音データを送信すること、
前記読出し動作が前記書込み動作に追いついことの判断後、前記A/V装置によって第2音データを生成すること、
前記第2音データを前記メモリに前記書込み速度で書き込むこと、
前記第2の読出し速度で前記メモリから前記第2音データを読み出すこと、及び
前記第2音データを送信すること、
を含む、請求項11に記載のA/V装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月26日提出の出願番号第62/399,779号仮出願に対する優先権を主張し、この仮出願の全記載内容を参照によって本明細書に援用するものである。
【0002】
本発明の実施形態は、オーディオ/ビデオ(A/V)記録通信ドアベルシステムを含む、A/V記録通信装置に関する。特に、本発明の実施形態は、そのような装置によって記録されるビデオのストリーミング及び保存を高度化する、A/V記録通信装置機能の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
ホームセーフティは、多くの住宅所有者及び賃借人にとって、考慮すべき事柄である。自宅を防備または監視しようと努めている人々は、例えば多くの場合、外部ドアまたは出入り口に訪ねてくる者など、訪問者との交信にビデオ及びオーディオを用いることを望む。オーディオ/ビデオ(A/V)記録通信ドアベルシステムは、当機能を提供し、また犯罪の発見及び防止に役立ち得るものである。例えば、A/V記録通信ドアベルによって取得されるオーディオ及び/またはビデオは、クラウドにアップロードされ、リモートサーバに記録しておくことができる。後のA/V映像の調査は、警察が自宅での強盗や他の犯罪の加害者を逮捕する上で、役に立ち得る。さらにまた、家の出入り口にA/V記録通信ドアベルがあることは、強盗をするつもりの者に対して強力な抑止力として働く。
【発明の概要】
【0004】
本発明のオーディオ/ビデオ記録通信装置用のビデオのストリーミング及び保存方法の様々な実施形態は、いくつかの特徴を有し、そのうちの1つだけが単独でそれらの所望の属性の原因となるものではない。ここでは、以下の特許請求の範囲によって表される本発明の実施形態の範囲を限定することなく、それらのより顕著な特徴について簡単に述べる。本解説を検討後、特に「発明を実施するための形態」と題される節を読んだ後に、本発明の実施形態の特徴によって、本明細書に記載される有利な点がどのようにしてもたらされるかが理解される。
【0005】
本発明の実施形態の一態様は、本発明の実施形態以外の現行のオーディオ/ビデオ(A/V)記録通信装置(例えば、ドアベル)においては、A/V記録通信装置からユーザのクライアント装置に送信されるストリーミングビデオに、そのストリーミングビデオの送信を引き起こした事象に先立って発生した事象の映像は全く含まれないという認識を必然的に伴うものである。例えば、A/V記録通信装置の近くの範囲での動き、または(A/V記録通信装置がドアベルの場合)訪問者がA/V記録通信装置の前面ボタンを押したなどの事象がA/V記録通信装置によって感知されると、A/V記録通信装置からユーザのクライアント装置に送信されるビデオのストリーミングが、動きを感知した瞬間に(もしくはその直後に)、または前面ボタンが押された瞬間に(もしくはその直後に)開始される。しかし、その事象感知の直前に発生した事象は、ユーザにとって重要な事象であることが少なくない。本発明の実施形態では、A/V記録通信装置のカメラを用いて、カメラの視野内の領域を連続的に記録し、事象が感知されると、その後に、事象感知前の時点におけるビデオのストリーミングを開始することによって、この問題を解決する。連続的に記録されるビデオ映像をローリングバッファに保存し、ビデオのストリーミングはローリングバッファの先頭から開始させる。ストリーミングビデオをリアルタイムでユーザに提示できるようにするために、ストリーミングビデオの開始部分をローリングバッファから読み出し、これをユーザのクライアント装置に、ビデオ映像データがローリングバッファに書き込まれる速度よりも速い速度でストリーミングする。読出し動作が書込み動作に追いつくと、読出し速度を低下させて書込み速度に一致させる。したがって本発明の実施形態は、ユーザが、感知された事象の直前に発生した事象のビデオ映像を見ることを好都合なことに可能にし、それによって一層多くの情報をユーザに配信して、ユーザがそのストリーミングビデオにおいて何が起こっているのかを、よりよく理解するのに役立つものである。
【0006】
第1の態様では、カメラ、プロセッサ、メモリ、及び通信モジュールを含むオーディオ/ビデオ(A/V)記録通信装置用の方法が提供され、本方法は、A/V記録通信装置の周辺領域のビデオ映像データをカメラで記録すること、ビデオ映像データをメモリに、ある書込み速度で書き込むための書込み動作をプロセッサによって実行すること、ビデオ映像データをメモリに書き込む間に、A/V記録通信装置の周辺領域内の事象を感知すること、A/V記録通信装置の周辺領域の事象を感知した後、書込み速度よりも大きい第1の読出し速度でメモリからビデオ映像データを読み出す読出し動作をプロセッサによって実行し、プロセッサが書込み速度でビデオ映像データをメモリに書き込み続けること、プロセッサが、読出し動作が書込み動作に追いつくまで、ビデオ映像データを第1の読出し速度でメモリから読み出し続けること、読出し動作が書込み動作に追いついた後、プロセッサが、書込み速度に等しい第2の読出し速度でメモリからビデオ映像データを読み出し、プロセッサが、書込み速度でビデオ映像データをメモリに書き込み続けること、及び通信モジュールによって、ストリーミングビデオをクライアント装置に送信することを含み、ストリーミングビデオの開始部分を第1のストリーム速度でストリーミングし、その後、ストリーミングビデオを第1のストリーム速度よりも小さい第2のストリーム速度でストリーミングする。
【0007】
第1の態様の実施形態では、第1のストリーム速度は第1の読出し速度に等しく、第2のストリーム速度は第2の読出し速度に等しい。
【0008】
第1の態様の別の実施形態では、メモリはローリングバッファを含む。
【0009】
第1の態様の別の実施形態では、読出し動作はローリングバッファの先頭から開始する。
【0010】
第1の態様の別の実施形態では、ローリングバッファは複数のブロックを含み、ローリングバッファの先頭が、ビデオ映像データの最も古い部分を含むブロックのいずれかを含む。
【0011】
第1の態様の別の実施形態は、通信モジュールを用いて、ネットワーク装置に接続要求を送信することをさらに含む。
【0012】
第1の態様の別の実施形態では、A/V記録通信装置は前面ボタンを有するドアベルを含む。
【0013】
第1の態様の別の実施形態では、A/V記録通信装置の周辺領域内の事象を感知することは、ドアベルの前面ボタンが押されたことを感知することを含む。
【0014】
第1の態様の別の実施形態では、A/V記録通信装置の周辺領域内の事象を感知することは、動きを感知することを含む。
【0015】
第1の態様の別の実施形態では、A/V記録通信装置はスピーカ及びマイクロフォンをさらに含む。
【0016】
第2の態様では、オーディオ/ビデオ(A/V)記録通信装置が提供され、本装置は、A/V記録通信装置の周辺領域のビデオ映像データを記録するように構成されたカメラと、メモリと、ストリーミングビデオをクライアント装置に送信するように構成された通信モジュールと、プロセッサとを含み、プロセッサが、ビデオ映像データをメモリに、ある書込み速度で書き込むための書込み動作を実行すること、ビデオ映像データがメモリに書き込まれる間に、A/V記録通信装置の周辺領域内の事象を感知すること、A/V記録通信装置の周辺領域の事象を感知した後、書込み速度よりも大きい第1の読出し速度でメモリからビデオ映像データを読み出す読出し動作を実行し、書込み速度でビデオ映像データをメモリに書き込み続けること、読出し動作が書込み動作に追いつくまで、ビデオ映像データを第1の読出し速度でメモリから読み出し続けること、及び読出し動作が書込み動作に追いついた後、書込み速度に等しい第2の読出し速度でメモリからビデオ映像データを読み出し、書込み速度でビデオ映像データをメモリに書き込み続けることを行うように構成され、通信モジュールが、ストリーミングビデオの開始部分を第1のストリーム速度でクライアント装置にストリーミングし、その後、ストリーミングビデオを第1のストリーム速度よりも小さい第2のストリーム速度でクライアント装置にストリーミングするように構成される。
【0017】
第2の態様の実施形態では、第1のストリーム速度は第1の読出し速度に等しく、第2のストリーム速度は第2の読出し速度に等しい。
【0018】
第2の態様の別の実施形態では、メモリはローリングバッファを含む。
【0019】
第2の態様の別の実施形態では、読出し動作をローリングバッファの先頭から開始する。
【0020】
第2の態様の別の実施形態では、ローリングバッファは複数のブロックを含み、ローリングバッファの先頭が、ビデオ映像データの最も古い部分を含むブロックのいずれかを含む。
【0021】
第2の態様の別の実施形態では、通信モジュールは、ネットワーク装置に接続要求を送信するようにさらに構成される。
【0022】
第2の態様の別の実施形態では、A/V記録通信装置は、前面ボタンを有するドアベルを含む。
【0023】
第2の態様の別の実施形態では、A/V記録通信装置の周辺領域内の事象を感知することは、ドアベルの前面ボタンが押されたことを感知することを含む。
【0024】
第2の態様の別の実施形態では、A/V記録通信装置の周辺領域内の事象を感知することは、動きを感知することを含む。
【0025】
第2の態様の別の実施形態は、スピーカ及びマイクロフォンをさらに含む。
【0026】
これより、有利な特徴を強調することに重点を置いて、本発明のオーディオ/ビデオ記録通信装置用のビデオのストリーミング及び保存の方法の様々な実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態では、添付の図面に示されるオーディオ/ビデオ記録通信装置用の新規かつ非自明のビデオストリーミング方法及びビデオ保存方法が図示されるが、これらの方法は例示の目的に過ぎないものである。これらの図面には以下の図が含まれ、図において類似の数字は類似の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態によるA/V記録通信ドアベルシステムの一実施形態を示す機能ブロック図である。
図2】本開示の様々な態様による、A/V記録通信ドアベルシステムからA/Vコンテンツをストリーミングして保存するプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
図3】本開示によるA/V記録通信ドアベルシステムの一実施形態を示す機能ブロック図である。
図4】本開示によるA/V記録通信ドアベルの一実施形態の正面斜視図である。
図5図4のA/V記録通信ドアベルの後面斜視図である。
図6】カバーが取り外された状態を示す、図4のA/V記録通信ドアベルの部分分解正面斜視図である。
図7図4のA/V記録通信ドアベルの中の様々な内部コンポーネントの正面斜視図である。
図8図4のA/V記録通信ドアベルの中の様々な内部コンポーネントの正面斜視図である。
図9図4のA/V記録通信ドアベルの中の様々な内部コンポーネントの正面斜視図である。
図10図4の10−10線によって取り去られた図4のA/V記録通信ドアベルの右側断面図である。
図11図4のA/V記録通信ドアベルの中の様々な内部コンポーネントの後面斜視図である。
図12図4のA/V記録通信ドアベルの中の様々な内部コンポーネントの後面斜視図である。
図13図4のA/V記録通信ドアベルの中の様々な内部コンポーネントの後面斜視図である。
図14】本開示の様々な態様による、A/V記録通信装置からA/Vコンテンツをストリーミングして保存するプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
図15】本開示の様々な態様による書込み処理/読出し処理の一実施形態を示すコンピュータメモリの概略図である。
図16】本開示の様々な態様による書込み処理/読出し処理の一実施形態を示すコンピュータメモリの概略図である。
図17】本開示の様々な態様による書込み処理/読出し処理の一実施形態を示すコンピュータメモリの概略図である。
図18】本開示の様々な態様による書込み処理/読出し処理の一実施形態を示すコンピュータメモリの概略図である。
図19】本開示の様々な態様による書込み処理/読出し処理の一実施形態を示すコンピュータメモリの概略図である。
図20】本開示の様々な態様による書込み処理/読出し処理の一実施形態を示すコンピュータメモリの概略図である。
図21】本開示の様々な態様による書込み処理/読出し処理の一実施形態を示すコンピュータメモリの概略図である。
図22】本実施形態を本開示の様々な態様に従って実行することができるクライアント装置の機能ブロック図である。
図23】本実施形態を本開示の様々な態様に従って実施することができる汎用コンピューティングシステムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の発明を実施するための形態では、図面を参照して、本実施形態について詳細に説明する。図面中、本実施形態の要素には参照番号が付けられる。これらの参照番号は、対応する図面の特徴の解説に関連して以下で再掲される。
【0029】
以下、図を参照して、本発明のオーディオ/ビデオ記録通信装置用のビデオのストリーミング及び保存方法の実施形態について説明する。これらの図と、それらの明細書における記述とは、装置の特定のコンポーネントが一体に成形され、他の特定のコンポーネントが別個の部品として成形されることを示す。当業者であれば、本明細書で一体に成形されるものとして示し、記載したコンポーネントが、別の実施形態では別個の部品として成形されてもよいことを理解するであろう。当業者であれば、本明細書で別個の部品として成形されるものとして示し、記載したコンポーネントが、別の実施形態では一体に成形されてもよいことをさらに理解するであろう。さらに、本明細書で使用されるように、一体という用語は、単一の一体型部品を表す。
【0030】
図1を参照すると、本実施形態は、オーディオ/ビデオ(A/V)記録通信ドアベル100を含む。A/V記録通信ドアベル100は、居住施設、事業施設、倉庫設備などの構造物(図示せず)への出入り口付近に設置され得る。A/V記録通信ドアベル100は、カメラ102、マイクロフォン104、及びスピーカ106を含む。カメラ102は、例えば、720p以上の画像表示解像度でビデオ映像を取り込むことができるカメラなどの、高精細度(HD)ビデオカメラを含み得る。図示はしないが、A/V記録通信ドアベル100は、筐体、1つまたは複数の人感センサ(及び/または他種のセンサ)、ボタン等、他のハードウェア及び/またはコンポーネントを含むこともできる。A/V記録通信ドアベル100は、米国特許出願公開第2015/0022620号(出願番号第14/499,828号)及び米国特許出願公開第2015/0022618号(出願番号第14/334,922号)に記載される無線通信ドアベルと同様のコンポーネント及び/または機能をさらに含むことができる。これらの米国特許出願公開の両方は、完全に記載されているかのように、本明細書に全体として参照により組み込まれる。
【0031】
なおも図1を参照すると、A/V記録通信ドアベル100は、ユーザのネットワーク110と通信を行う。このユーザネットワーク110は、例えば有線ネットワーク及び/または無線ネットワークであってもよい。ユーザネットワーク110が無線式であるか、または無線コンポーネントを含む場合、ネットワーク110は、IEEE 802.11規格及び/または他の無線通信規格(複数可)と互換性があるWi−Fiネットワークであってもよい。ユーザネットワーク110は別のネットワーク112と接続する。このネットワーク112には、例えばインターネット及び/または公衆交換電話網(PSTN)が含まれ得る。後述するように、A/V記録通信ドアベル100は、ユーザネットワーク110及びネットワーク112(インターネット/PSTN)を介して、ユーザのクライアント装置114と通信することができる。ユーザクライアント装置114は、例えば、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、または他の通信装置及び/またはコンピューティング装置などの携帯電話(セルラ式電話とも呼ばれる)を含み得る。ユーザクライアント装置114は、ストリーミングビデオ映像及び/または記録済みビデオ映像を表示することができるディスプレイ装置(図示せず)及び関連コンポーネントを含む。ユーザクライアント装置114は、ストリーミングオーディオ及び/または録音済みオーディオを一斉送信することができるスピーカ及び関連コンポーネントを含むこともでき、マイクロフォンを含むこともできる。A/V記録通信ドアベル100は、ユーザネットワーク110及びネットワーク112(インターネット/PSTN)を介して、1つまたは複数のリモート記憶装置(複数可)116(同義的に「クラウド記憶装置(複数可)」と呼ぶことがある)、1つまたは複数のサーバ118、及び/またはバックエンドAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)120と通信することもできる。図1は、記憶装置116、サーバ118、及びバックエンドAPI120をネットワーク112とは別のコンポーネントとして示すが、記憶装置116、サーバ118、及び/またはバックエンドAPI120は、ネットワーク112のコンポーネントと見なす場合があることを理解すべきである。
【0032】
ネットワーク112は、図1に示すように、上記のモジュール、装置、及びシステムを動作可能に結合するように構成され、任意の無線ネットワークもしくは任意の有線ネットワーク、またはそれらの組合せとすることができる。例えば、ネットワーク112は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。すなわち、ネットワーク112は、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット、ローカルイントラネット、PAN(パーソナルエリアネットワーク)、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(広域ネットワーク)、MAN(メトロポリタンエリアネットワーク)、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、フレームリレー接続、高度インテリジェントネットワーク(AIN)接続、同期型光ネットワーク(SONET)接続、デジタルT1回線、デジタルT3回線、デジタルE1回線もしくはデジタルE3回線、デジタルデータサービス(DDS)接続、DSL(デジタル加入者回線)接続、イーサネット(登録商標)接続、ISDN(サービス総合デジタル通信網)回線、V.90、V.34、もしくはV.34bisアナログモデム接続などのダイヤルアップポート、ケーブルモデム、ATM(非同期転送モード)接続、またはFDDI(光ファイバ分散データインタフェース)もしくはCDDI(銅線分散データインタフェース)接続のうちの1つまたは複数を含み得る。さらに、通信には、WAP(ワイヤレスアプリケーションプロトコル)、GPRS(汎用パケット無線サービス)、GSM(登録商標)(汎欧州デジタル移動電話方式)、LTE、VoLTE、LoRaWAN、LPWAN、RPMA、LTE、Cat−「X」(例えばLTE Cat 1、LTE Cat 0、LTE CatM1、LTE CatNB1)、CDMA(符号分割多元接続)、TDMA(時分割多元接続)、FDMA(周波数分割多元接続)、及び/またはOFDMA(直交周波数分割多元接続)セルラ式電話ネットワーク、GPS、CDPD(セルラデジタルパケットデータ)、RIM(Research in Motion, Limited)全二重ページングネットワーク、ブルートゥース(登録商標)無線、またはIEEE 802.11ベースの無線周波数ネットワークを含む様々な無線ネットワークのいずれかへのリンクを含めることもできる。ネットワークは、以下のうちのいずれか1つもしくは複数をさらに含むか、または以下のうちのいずれか1つもしくは複数と接続して動作することができる。すなわち、RS−232シリアル接続、IEEE−1394(ファイアワイヤ)接続、ファイバチャネル接続、IrDA(赤外線)ポート、SCSI(小規模コンピュータシステムインタフェース)接続、USB(ユニバーサルシリアルバス)接続、または他の有線もしくは無線、デジタルもしくはアナログ、インタフェースもしくは接続、メッシュもしくはDigi(登録商標)ネットワーキングである。
【0033】
本実施形態の1つまたは複数の態様によれば、A/V記録通信ドアベル100に来訪者(同義的に「訪問者」と呼ぶことがある)がやって来ると、A/V記録通信ドアベル100は、訪問者の存在を感知し、カメラ102の視野の範囲でビデオ映像の取得を開始する。A/V記録通信ドアベル100は、マイクロフォン104によってオーディオを取得することもできる。A/V記録通信ドアベル100は、カメラ102及び/または人感センサを使用して動きを感知することによって、及び/または訪問者がA/V記録通信ドアベル100の前面ボタンを押したことを感知することによって、訪問者の存在を感知することができる。
【0034】
訪問者を感知したことに応答して、A/V記録通信ドアベル100は、ユーザネットワーク110及びネットワーク112を介して、ユーザクライアント装置114(図1)にアラートを送信する。A/V記録通信ドアベル100はまた、ユーザのクライアント装置114にストリーミングビデオを送信し、ストリーミングオーディオを送信することもできる。ユーザがアラートに応じると、その場合、A/V記録通信ドアベル100及びユーザクライアント装置114を介して、訪問者とユーザとの間で双方向の音声通信が行われ得る。ユーザは、通話の間中に訪問者を見ることができるが、(A/V記録通信ドアベル100がディスプレイ装置を含まない限り)訪問者はユーザを見ることができない(いくつかの実施形態ではA/V記録通信ドアベル100がディスプレイ装置を含むことがある)。
【0035】
A/V記録通信ドアベル100のカメラ102によって取得されたビデオ映像(及びマイクロフォン104によって取得されたオーディオ)は、クラウドにアップロードされ、リモート記憶装置116(図1)に記録することができる。いくつかの実施形態では、ユーザが自分のクライアント装置114に送信されたアラートを無視することを選択したとしても、ビデオ及び/またはオーディオはリモート記憶装置116に記録され得る。
【0036】
なおも図1を参照すると、システムは、1つまたは複数のコンポーネントを含むバックエンドAPI120をさらに含み得る。バックエンドAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)は、アクセスしてくるクライアント(複数可)に少なくとも1つのAPIを公開する、例えば、サーバ(例えば、リアルサーバ、またはバーチャルマシン、またはクラウドインフラ内でサービスとして動作しているマシン等)、または互いにネットワーク接続された複数のサーバを含み得る。これらのサーバは、キャッシュ層、またはデータベース層、または他のコンポーネントなど、他のどのコンポーネントが含まれるかに応じて、アプリケーションサーバ(例えばソフトウェアサーバ)などのコンポーネントを含むことができる。例えば、バックエンドAPIは、そのような多くのアプリケーションを含み得、それらのアプリケーションのそれぞれは、それら自体の公開APIを使用して、互いに通信する。いくつかの実施形態では、APIバックエンドが、ユーザデータの大部分を保持し、ユーザ管理機能を提供して、クライアントを非常に限られた状態にしておくことができる。
【0037】
図1に示すバックエンドAPI120は、1つまたは複数のAPIを含み得る。APIは、ソフトウェア及びアプリケーションを構築するための一揃いのルーチン、プロトコル、及びツールである。APIは、その動作、入力、出力、及び基底型の点でソフトウェアコンポーネントを表現して、それぞれの実装に依存しない機能を定義する。これにより、インタフェースを損なうことなく、定義及び実装を変更できるようになる。有利なことに、APIは、プログラマがアプリケーション自体を修正したり、またはアプリケーションがどのように機能するのかを理解したりすることさえも必要なしに、プログラマにアプリケーションの機能を利用させることができる。APIは、ウェブベースのシステム、オペレーティングシステム、またはデータベースシステム向けのものであり得、これは、所与のプログラミング言語を使用して、そのシステム用のアプリケーションを開発するための機能を提供する。データベースまたはハードディスク装置もしくはビデオカードのようなコンピュータハードウェアへのアクセスに加えて、APIにより、GUIコンポーネントのプログラムを書く作業が容易化され得る。例えば、APIにより、新機能の既存のアプリケーションへの統合が促進され得る(いわゆる「プラグインAPI」)。APIはまた、別な具合に異質のアプリケーションがデータを共有できるように支援することもでき、それはアプリケーションの機能性を統合し、強化するのに役立ち得る。
【0038】
図1に示すバックエンドAPI120は、1つまたは複数のサービス(ネットワークサービスとも呼ばれる)をさらに含み得る。ネットワークサービスは、データの記憶、操作、提示、通信、及び/または他の機能を可能にするアプリケーションである。多くの場合、ネットワークサービスは、アプリケーション層のネットワークプロトコルに基づくクライアントサーバアーキテクチャを使用して実装される。各サービスは、(複数のサービスを提供する専用サーバコンピュータなどの)1つまたは複数のコンピュータ上で動作するサーバコンポーネントによって提供され、他の装置上で動作するクライアントコンポーネントによってネットワークを介してアクセスされ得る。ただし、クライアントコンポーネント及びサーバコンポーネントを両方とも同じマシン上で動作させることができる。クライアント及びサーバは、ユーザインタフェースを有し、場合によってはこれらに関連した他のハードウェアを有することがある。
【0039】
図2は、本開示の様々な態様による、A/V記録通信ドアベルシステムからA/Vコンテンツをストリーミングして保存するプロセスを示すフローチャートである。ブロックB200において、A/V記録通信ドアベル100が、訪問者の存在を感知し、カメラ102の視野の範囲でビデオ映像の取得を開始する。A/V記録通信ドアベル100は、マイクロフォン104によってオーディオを取得することもできる。上記の通り、A/V記録通信ドアベル100は、カメラ102及び/または人感センサを使用して動きを感知することによって、及び/または訪問者がA/V記録通信ドアベル100上のボタンを押し込んだことを感知することによって、訪問者の存在を感知することができる。
【0040】
ブロックB202において、A/V記録通信ドアベル100の通信モジュールが、ユーザネットワーク110及びネットワーク112を介して、ネットワーク112内の装置に接続要求を送信する。例として、要求の送信先のネットワーク装置は、サーバ118などのサーバであってよい。サーバ118は、他のマシンまたはソフトウェア(クライアント)からの要求を待ってそれらに応答するコンピュータプログラム及び/またはマシンを含み得る。サーバは、通常はデータを処理する。サーバの目的の1つは、クライアント間でデータ及び/またはハードウェア及び/またはソフトウェアのリソースを共有することである。このアーキテクチャはクライアントサーバモデルと呼ばれる。クライアントは、同じコンピュータ上で動作することも、ネットワークを経由してサーバに接続することもできる。コンピューティングサーバの例には、データベースサーバ、ファイルサーバ、メールサーバ、プリントサーバ、ウェブサーバ、ゲームサーバ、及びアプリケーションサーバが含まれる。サーバという用語は、1つまたは複数のクライアントプロセスにリソースを分配する任意のコンピュータ化されたプロセスを含むものと広く解釈され得る。
【0041】
要求に応答して、ブロックB204においてネットワーク装置は、ユーザネットワーク110及びネットワーク112を介して、A/V記録通信ドアベル100をユーザクライアント装置114に接続することができる。ブロックB206において、A/V記録通信ドアベル100は、カメラ102、マイクロフォン104、及び/または利用可能な他の任意のセンサを使用して、入手できるオーディオ及び/またはビデオのデータを記録することができる。ブロックB208において、オーディオ及び/またはビデオのデータが、ユーザネットワーク110及びネットワーク112を介して、A/V記録通信ドアベル100からユーザクライアント装置114に送信(ストリーミング)される。ブロックB210において、ユーザは、自分のクライアント装置114上で、呼出しを受け入れるかそれとも拒否するかを促すプロンプトが付いた通知を受信することができる。
【0042】
ブロックB212において、本プロセスは、ユーザが呼出しを受け入れたか、それとも拒否したかを判定する。ユーザが通知を拒否した場合は、続いて本プロセスはブロックB214に進み、そこでオーディオ及び/またはビデオのデータがクラウドサーバに記録されて保存される。その後、本セッションはブロックB216で終了し、A/V記録通信ドアベル100とユーザクライアント装置114との間の接続は終了する。また一方、ユーザがその通知を受け入れる場合、続いてブロックB218においてユーザは、カメラ102、マイクロフォン104、及び/または他のセンサによって取得されるオーディオ及び/またはビデオのデータがユーザクライアント装置114にストリーミングされる間に、ユーザクライアント装置114を介して訪問者と通信する。通話の終了時に、ユーザは、ユーザクライアント装置114とA/V記録通信ドアベル100との間の接続を終了させることができ、本セッションはブロックB216で終了する。いくつかの実施形態では、ユーザが通知を受け入れてユーザクライアント装置114を介して訪問者と通信したとしても、オーディオ及び/またはビデオのデータがクラウドサーバに記録されて保存され得る(ブロックB214)。
【0043】
今日の多くの住居には、A/V通信機能を持たない有線ドアベルシステムが備え付けられる。その代わりに、標準の有線ドアベルシステムは、正面玄関のすぐ隣の家の外にボタンがある。このボタンは、建物内の信号伝達装置(ベルまたはブザーなど)を起動する。ドアベルボタンを一瞬押すと、ドアベル回路が閉じる。このボタンは、例えば単極単投(SPST)押しボタンスイッチであってもよい。ボタンの一方の端子はトランスの端子に配線される。トランスにより、120ボルトまたは240ボルトの家庭用AC電力が、これよりも低い電圧に、通常は16〜24ボルトに電圧を下げられる。トランスの別の端子は、信号伝達装置の端子に配線される。信号伝達装置の別の端子は、ボタンの他方の端子に配線される。一般的な信号伝達装置は2つの金属平棒共振器を含む。この2つの金属平棒共振器は、2つのソレノイドによって動かされるプランジャによって打ち鳴らされる。平棒は様々な音色に合わせて調整されている。ドアベルのボタンが押されると、第1のソレノイドのプランジャが片方の棒を叩き、ボタンが離されると、プランジャのバネがプランジャを押し上げて、プランジャにもう一方の棒を叩かせ、2つの音色の音(「ディンドン」)を作り出す。
【0044】
多くの現行A/V記録通信ドアベルシステム(本実施形態以外のA/V記録通信ドアベルシステム)は、前段落で説明した種類の既存の有線ドアベルシステムと互換性がない。この非互換性の理由の1つは、A/V記録通信ドアベルが、信号伝達装置を鳴らすのに必要な閾値を超える量の電力を、家庭用AC電源から引き出すことである。このようにA/V記録通信ドアベルは、信号伝達装置を意図せずに頻繁に鳴らす原因となり、このことは家庭の居住者(複数可)にとって煩わしいだけでなく、ドアベルの有用性を次第に損なうことにもなる。本実施形態では、A/V記録通信ドアベルの電力消費を、信号伝達装置が鳴るのに必要な閾値を下回る量に制限することによって、この問題を解決する。したがって本A/V記録通信ドアベルの実施形態は、信号伝達装置を意図せずに鳴らすことなしに、既存の家庭用AC電源及び既存の信号伝達装置に接続することができる。
【0045】
本実施形態を既存の家庭用AC電源に接続することができることから、いくつかの利点が生じる。例えば、本A/V記録通信ドアベルのカメラには、連続して電源を投入することができる。典型的な電池式のA/V記録通信ドアベルでは、電池があまり急速に消耗しないように、一部の時間だけカメラに電源が投入される。本実施形態は、対照的に一次(または唯一の)電源として電池に頼らず、したがってカメラに連続して電源を投入し続けることができる。カメラに連続して電源を投入することができるので、カメラは常に記録することができ、記録された映像はローリングバッファまたはスライディングウィンドウに連続的に保存することができる。いくつかの実施形態では、約10〜15秒の記録映像をローリングバッファまたはスライディングウィンドウに連続的に保存することができる。また、カメラには連続して電源を投入することができるので、カメラを動き検出に使用することができ、したがってパッシブ赤外線センサ(PIR)などの別個の動き検出装置のいかなる必要性も排除する。PIRを排除することは、A/V記録通信ドアベルの設計を単純化し、ドアベルの小型化を可能にする。また、カメラには連続して電源を投入することができるので、カメラはIRカットフィルタの現在の状態を制御するとともに、IR LEDを付けたり消したりするのに使用する光検出器として使用することができる。カメラを光検出器として使用することにより、別個の光検出器のいかなる必要性も排除され、それによってA/V記録通信ドアベルの設計がさらに単純化されるとともに、ドアベルをさらに小型化することが可能になる。
【0046】
図3図13は、本開示の様々な態様による低消費電力A/V記録通信ドアベル130の一実施形態を示す。図3は、A/V記録通信ドアベル130の様々なコンポーネント及びそれらの互いの関係を示す機能ブロック図である。例として、A/V記録通信ドアベル130は、家庭用AC電源134(AC主電源とも呼ばれ得る)などの外部AC(交流電流)電源に接続されるように構成された一対の端子131、132を含む。AC電力134は、例えば16〜24VACの範囲の電圧を有し得る。入力AC電力134は、AC/DC整流器136によってDC(直流)に変換され得る。AC/DC整流器136の出力はDC/DC変換器138の入力に接続され得、DC/DC変換器138は、AC/DC整流器136の出力電圧を、例えば、16〜24VDCから約5VDCの低電圧にまで降圧し得る。様々な実施形態において、DC/DC変換器138の出力は、例えば、約2.5V〜約7.5Vの範囲内であり得る。
【0047】
なおも図3を参照すると、DC/DC変換器138の出力は電力マネージャ140に接続され、電力マネージャ140は、プロセッサコア、メモリ、及び/またはプログラマブル入力/出力周辺装置を含む集積回路を含み得る。1つの非限定的な例では、電力マネージャ140は、Texas Instrumentsによって製造されたBQ24773チップなどの、既製のコンポーネントであってもよい。以下に詳述するように、電力マネージャ140は、とりわけ、外部電源134から引き出される電力量、及び電池142から引き出される補助電力量を制御して、A/V記録通信ドアベル130に電力を供給する。電力マネージャ140は、例えば、閾値電力消費を超えないように、外部電源134から引き出される電力量を制限することができる。1つの非限定的な例では、DC/DC変換器138の出力で測定されるように、閾値電力は1.4Aに等しくてもよい。電力マネージャ140は、電池142の再充電のために、外部電源134から引き出されて電池142に導かれる電力量を制御することもできる。電力マネージャ140の出力は、通信モジュール146、前面ボタン148、マイクロフォン150、スピーカドライバ151、スピーカ152、オーディオコーデック(コーダデコーダ)153、カメラ154、赤外線(IR)光源156、IRカットフィルタ158、プロセッサ160(コントローラ160とも呼ばれ得る)、複数の光インジケータ162、及び光インジケータ162用コントローラ164を含むA/V記録通信ドアベル130の他のコンポーネントへの電力供給シーケンスを制御する電力シーケンサ144に接続される。これらのコンポーネントのそれぞれを以下に詳細に説明する。電力シーケンサ144は、プロセッサコア、メモリ、及び/またはプログラマブル入力/出力周辺装置を含む集積回路を含み得る。1つの非限定的な例では、電力シーケンサ144は、Richtekによって製造されているRT5024チップなどの既製のコンポーネントであってもよい。
【0048】
なおも図3を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、前面ボタン148が押し込まれたときに閉じる電子スイッチ166をさらに含む。電子スイッチ166が閉じると、AC電源134からの電力は、A/V記録通信ドアベル130の外部にある信号伝達装置168を経由して迂回されて、さらに後述するように、信号伝達装置168に音を発せさせる。1つの非限定的な例では、電子スイッチ166はトライアック装置であってもよい。A/V記録通信ドアベル130は、以下でさらに説明するように、プロセッサ160のハードリセットを起動するように構成されたリセットボタン170をさらに含む。
【0049】
なおも図3を参照すると、プロセッサ160は、後述するように、データ処理及び他の様々な機能を実行することができる。プロセッサ160は、プロセッサコア、メモリ172、不揮発性メモリ174、及び/またはプログラマブル入力/出力周辺装置(図示せず)を含む集積回路を含み得る。メモリ172は、例えば、DDR3(ダブルデータレートタイプ3同期型DRAM)を含み得る。不揮発性メモリ174は、例えばNANDフラッシュメモリを含み得る。図3に示す実施形態では、メモリ172及び不揮発性メモリ174は、プロセッサ160を表すボックス内に示される。図3に示す実施形態は単なる一例であり、いくつかの実施形態では、メモリ172及び/または不揮発性メモリ174は、必ずしも物理的にプロセッサ160に組み込まれていないことを理解すべきである。メモリ172及び/または不揮発性メモリ174は、それらの物理的な位置にかかわらず、本A/V記録通信ドアベル130の(プロセッサ160に加えて)1つまたは複数の他のコンポーネントによって共有され得る。
【0050】
ユーザと訪問者との間のデジタルオーディオの転送は、プロセッサ160に動作可能に結合されるオーディオコーデック153を使用して圧縮及び復元されてもよい。訪問者が話すとき、訪問者からの音声は音声コーデック153によって圧縮され、デジタルオーディオデータは、通信モジュール146によって、ユーザネットワーク110を経由してネットワーク112に送信され、サーバ118によってルーティングされ、ユーザクライアント装置114に配信される。ユーザが話すとき、ネットワーク112、ユーザネットワーク110、及び通信モジュール146を経由して転送された後、デジタルオーディオデータは、オーディオコーデック153によって復元されて、スピーカドライバ151によって駆動されるスピーカ152を通じて訪問者に発される。
【0051】
なおも図3を参照すると、本実施形態のいくつかは、信号伝達装置168と並列に接続された分流器176を含み得る。分流器176は、信号伝達装置168を意図せずに作動させることなく、A/V記録通信ドアベル130がAC電源134から電力を引き出す能力を促進する。分流器176は、通常の待機動作中に、信号伝達装置168の端子間に数オーム程の比較的低い電気インピーダンスを与える。そのため、A/V記録通信ドアベル130によって引き込まれる電流の大部分は、信号伝達装置168を通らずに分流器176を通って流れる。また一方、分流器176は、例えば数オーム程の低インピーダンスの状態と、例えば1Kオームを超える程の高インピーダンスの状態との間で分流器176を切り換える電子回路(後述される)を含む。A/V記録通信ドアベル130の前面ボタン148が押されると、電子スイッチ166が閉じ、AC電源134からの電圧は、分流器176及び信号伝達装置168の両端に大部分が並列に印加され、一方、約1V程の少量の電圧が電子スイッチ166の両端に印加される。分流器176内の回路は、この電圧を検知し、分流器176を高インピーダンス状態に切り換えるので、その結果、AC電源134からの電力が信号伝達装置168を通って迂回される。迂回されるAC電力134は、信号伝達装置168に音を発せさせるのに必要な閾値を上回る。したがって、ドアベル130の前面ボタン148を押すと、信号伝達装置168に「鳴る」ことを引き起こし、ドアベル130が取り付けられた構造物内のいずれかの人物(複数可)に、正面玄関に(またはドアベル130の位置に対応する別の位置に)訪問者がいることを知らせる。1つの非限定的な例では、電子スイッチ166はトライアック装置であってもよい。
【0052】
図4図6を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、エンクロージャ180(図6)、エンクロージャ180の後部に固定されたバックプレート182、及びエンクロージャ180に覆い被さるケース184を有する筐体178をさらに含む。図6を参照すると、ケース184は、エンクロージャ180の外面がケース184の適合する内面に当接するように、エンクロージャ180をぴったりと合わせた係合にて受け入れる大きさ及び形状にされた凹所186を含む。エンクロージャ180の外形寸法は、摩擦がエンクロージャ180に対してケース184を維持するように、ケース184の内部寸法と厳密に一致させてもよい。あるいは、またはさらに、エンクロージャ180及び/またはケース184は、ケース184をエンクロージャ180に対して維持するのを支援するために、1つまたは複数のタブ、溝、スロット、柱等の結合機構188を含み得る。バックプレート182は、図4及び図5に示すように、バックプレート182の縁部がエンクロージャ180の縁部から外側に延在し、それによってケース184がエンクロージャ180と結合する際に、ケース184が当接するリップ190を作り出すような大きさ及び形状にされる。いくつかの実施形態では、エンドユーザが自分のA/V記録通信ドアベル130の外観をカスタマイズできるように、種々の色の複数のケース184を設けることができる。例えば、A/V記録通信ドアベル130は、同一包装容器内に種々の色の複数のケース184と共に、パッケージ化されて販売されてもよい。
【0053】
図4を参照すると、A/V記録通信ドアベル130の前面にボタン148(図3の前面ボタン148とも称され得る)が搭載され、ボタン148はプロセッサ160に動作可能に接続される。図2を参照して上に述べたプロセスと同様のプロセスでは、訪問者が前面ボタン148を押すと、アラートがユーザのクライアント装置に送信されて、誰かがユーザの正面玄関に(またはA/V記録通信ドアベル130の位置に対応する別の位置に)いることをユーザに知らせる。なおも図4を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、カメラ154をさらに含み、カメラ154はプロセッサ160に動作可能に接続され、カメラ154はシールド192の背後に設置される。以下に詳細に説明するように、カメラ154は、その視野の範囲内からビデオ映像を取り込むように構成される。それらのビデオ映像は、図2を参照して上に述べたプロセスと同様のプロセスに従って、ユーザのクライアント装置にストリーミングすること、及び/または後で見るためにリモートネットワーク装置にアップロードすることができる。
【0054】
図5を参照すると、一対の端子ネジ194がバックプレート182を貫通して伸びている。端子ネジ194は、それらの内側端部において、A/V記録通信ドアベル130内の端子131、132(図3)に接続される。端子ネジ194は、A/V記録通信ドアベル130に接続し、端子131、132を介して、A/V記録通信ドアベル130が取り付けられた建築物の家庭用AC電源134に接続するための電線を受容するように構成される。図で示した実施形態では、端子ネジ194は、A/V記録通信ドアベル130の外殻から端子ネジ194が突出しないように、バックプレート182の後面198の凹部196内に設置される。したがって、バックプレート182の後面198を取付け面に当接させた状態で、A/V記録通信ドアベル130を取付け面に取り付けることができる。バックプレート182は、バックプレート182(したがってA/V記録通信ドアベル130)を取付け面に固定するための、ネジ(図示せず)などの取付け金具を収容するために、その上端部及び下端部に隣接した開口部200を含む。図6を参照すると、エンクロージャ180は、取付け金具を収容するためにバックプレート182の開口部200と整列する、その上端部及び下端部に隣接した対応する開口部202を含む。特定の実施形態では、A/V記録通信ドアベル130は、取付け面にA/V記録通信ドアベル130を固定するのを容易にするための取付けプレート(図示せず)または取付けブラケット(図示せず)を含み得る。
【0055】
なおも図6を参照すると、ケース184は前面に中央開口部204を含む。中央開口部204は、シールド192を収容する大きさ及び形状とされる。図示の実施形態では、シールド192は、ほぼ長方形であり、前面ボタン148が突出する中央開口部206を含む。シールド192は、エンクロージャ180の前面208と平行で、その前面208の前に平面を画定する。図4及び図10に示すように、ケース184がエンクロージャ180と結合したとき、シールド192の前面210がケース184の前面212と、ほぼ同一平面上にあるように、かつシールド192の外縁とケース184の中央開口部204の内縁との間に、ほとんど隙間がないか、または全く隙間がない(図4)ように、シールド192はケース184の中央開口部204内に存在する。
【0056】
なおも図6を参照すると、シールド192は、上部214(前面ボタン148の上方及び側方に位置する)及び下部216(前面ボタン148の下方及び側方に位置する)を含む。シールド192の上部214及び下部216は、別個の部品であってもよく、異なった材料を含んでもよい。シールド192の上部214は、これがカメラ154の視野を妨げないように、透明または半透明であり得る。例えば、特定の実施形態では、シールド192の上部214は、ガラスまたはプラスチックを含んでもよい。以下に詳細に説明するように、プロセッサ160に動作可能に接続されたマイクロフォン150は、シールド192の上部214の背後に設置される。したがって、上部214は、マイクロフォン150がA/V記録通信ドアベル130の周囲の領域から、良好に音を拾い上げることができるように、シールド192を経由する音の透過を促進する開口部218を含み得る。
【0057】
シールド192の下部216は、赤外線(IR)光に対しては実質的に透明であるが、可視スペクトルの光に対しては部分的にまたはほとんど不透明な材料を含み得る。例えば、特定の実施形態では、シールド192の下部216は、ポリカーボネートなどのプラスチックを含んでもよい。したがって、シールド192の下部216は、下部216の背後に位置するIR光源156からのIR光の透過を妨げない。以下に詳細に説明するように、IR光源156及びIRカットフィルタ158は、両方ともにプロセッサ160に動作可能に接続され、カメラ154の「暗視」機能を促進する。
【0058】
シールド192の上部214及び/または下部216は、下層のカバー220(図10)に当接され得、カバー220はエンクロージャ180と一体であり得るか、または別個の部品であり得る。カバー220は不透明であってもよく、カバー220は、カメラ154の位置に対応する第1の開口部222、マイクロフォン150の位置とシールド192の上部214の開口部218とに対応する第2の開口部(図示せず)、及びIR光源156の位置に対応する第3の開口部(図示せず)を含み得る。
【0059】
図7図10は、A/V記録通信ドアベル130の様々な内部コンポーネントを示す。図7図9は、ケース184及びエンクロージャ180を取り除いたドアベル130の正面斜視図であり、図10は、図4の10−10線によって取り去られたドアベル130の右側面断面図である。図7及び図8を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、メインプリント回路基板(PCB)224及び前面PCB226をさらに備える。図8を参照すると、前面PCB226はボタン作動装置228を含む。図7、8、及び10を参照すると、前面ボタン148はボタン作動装置228の前方に設置されている。前面ボタン148は、筐体178内に延在してボタン作動装置228と接触する軸230(図10)を含む。前面ボタン148が押されると、軸230がボタン作動装置228を押し込み、それによって後述するように電子スイッチ166(図8)が閉じる。
【0060】
図8を参照すると、前面PCB226は、ドアベル130の前面ボタン148が押されたときに点灯し得る光インジケータ162をさらに含む。図示の実施形態では、光インジケータ162は、前面PCB226の前面に表面実装され、ボタン作動装置228の周りに円形に配置された発光ダイオード(LED162)を含む。本実施形態は、光インジケータ162がLEDであることに限定されず、他の実施形態では、光インジケータ162は、他の任意の種類の発光素子を含み得る。本実施形態はまた、図8に示される光インジケータ162の数によっても、それらが配置されるパターンによってもまた限定されない。
【0061】
図7を参照すると、ドアベル130は光パイプ232をさらに含む。光パイプ232は、前面ボタン148を取り巻く透明または半透明のリングである。図4を参照すると、光パイプ232は、光パイプ232の前面234がシールド192の前面210とほぼ同一平面上にある状態で、前面ボタン148とシールド192の中央開口部206との間の環状空間内に存在する。図7及び図10を参照すると、光パイプ232の後部には、その位置がLED162の位置に対応する複数の柱236が備えられる。LED162が照明されると、光が柱236と光パイプ232の本体とを透過し、その結果、光パイプ232の前面234で光が見えるようになる。このようにLED162及び光パイプ232は、前面ボタン148の周りに照明の輪を提供する。光パイプ232は、例えばプラスチック、または光を透過することができる他の適切な材料を含み得る。
【0062】
LED162及び光パイプ232は、訪問者及び/またはユーザに対する視覚的インジケータとして機能し得る。例えば、LED162は、起動時に点灯してもよいし、連続的に点灯し続けてもよい。一態様では、LED162は、前面ボタン148が押されたことを示すために色を変えてもよい。LED162は、電池142を再充電する必要があること、または電池142が現在充電中であること、または電池142の充電が完了したことを示すこともできる。LED162は、ユーザネットワークへの接続が良好である、制限されている、不良である、または接続されていないことを示してもよい。LED162は、スピーカ152から発せられる音声の合図と潜在的に結合された視覚的合図を使用して、セットアップまたは設置のステップを通してユーザを案内するために使用されてもよい。
【0063】
なおも図7を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は充電式電池142をさらに含む。以下にさらに詳細に説明するように、A/V記録通信ドアベル130は、AC主電源などの外部電源134(図3)に接続される。A/V記録通信ドアベル130は、主に外部電源134によって電力を供給されるが、外部電源134からの電力の閾値量を超えないように充電式電池142から電力を引き出すこともでき、それによって意図せずに信号伝達装置168を鳴らしてしまうことを回避する。図3を参照すると、電池142は電力マネージャ140に動作可能に接続されている。後述するように、電力マネージャ140は、補助電力が必要とされるときに、外部AC電源134から引き出される電力を補うために、電池142から引き出される電力の量を制御して、A/V記録通信ドアベル130に電力を供給する。電力マネージャ140はまた、外部電源134から引き出される電力を使用して、電池142の再充電を制御する。電池142は、例えば、リチウムイオン電池、または任意の他の種類の充電式電池を含み得る。
【0064】
なおも図7を参照すると、A/V記録通信ドアベル130はカメラ154をさらに含む。カメラ154は、前面PCB226の前面に結合されており、レンズ238と映像処理プロセッサ240とを含む(図9)。カメラレンズ238は、鮮明な映像を取得することができるように、光をカメラ154内に集束させる能力を持つレンズであってもよい。カメラ154は、例えば、720p以上の画像表示解像度でビデオ映像を取り込むことができるカメラなどの、高精細度(HD)ビデオカメラを含み得る。本実施形態のいくつかでは、カメラ154は、以下に記載されるように、その視野の範囲内の動きを感知するために使用されてもよい。
【0065】
なおも図7を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、赤外線(IR)光源242をさらに含む。図示の実施形態では、IR光源242は、IR LEDプリント回路基板(PCB)244に結合されたIR発光ダイオード(LED)242を含む。別の実施形態では、IR LED242は、別個のPCB244を含まない場合があり、例えば、前面PCB226に結合されてもよい。
【0066】
図7及び図10を参照すると、IR LED PCB244は、前面ボタン148(図7)の下方であって、シールド192の下部216(図10)の背後に設置される。上記の通り、シールド192の下部216は、IR光に対して透明であるが、可視スペクトルの光に対しては不透明であってもよい。
【0067】
IR LED242は、低レベルの周囲光が感知されたときに作動するように引き起こされてもよい。起動されると、IR LED242から放出されたIR光がカメラ154の視野を照らす。IR光を検出するように構成され得るカメラ154は、A/V記録通信ドアベル130が夜間に画像をはっきりと捉えることができるように(「暗視」と呼ばれることもありる)、IR LED242によって放出されたIR光を、そのIR光がカメラ154の視野内の物体から反射されたときに取得することができる。
【0068】
図9を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、IRカットフィルタ158をさらに備える。IRカットフィルタ158は、レンズ238とカメラ154の画像センサとの間に選択的に配置することができる機械的シャッタである。日中、または十分な量の周囲光があるときはいつでも、IRカットフィルタ158をレンズ238と画像センサとの間に配置して、人間の目がそれらを見たときにIR光が画像の色を歪めないように、IR光をフィルタリングして除去する。夜間、または周囲光がほとんどないか全くないときはいつでも、IRカットフィルタ158はがレンズ238と画像センサとの間の空間から取り外され、その結果、カメラ154はIR光に敏感である(「暗視」)。いくつかの実施形態では、カメラ154は、IRカットフィルタ158の現在の状態を制御するとともに、IR LED242のオン及びオフを切り換えるのに使用する光検出器として機能する。光検出器としてカメラ154を使用することは、いくつかの実施形態では、A/V記録通信ドアベル130がAC主電源への接続によって電力を供給され、したがってカメラ154が常に電力を供給されるという事実によって促進される。しかしながら、他の実施形態では、A/V記録通信ドアベル130は、IRカットフィルタ158及びIR LED242を制御する際に使用するカメラ154とは別の光センサを含み得る。
【0069】
図6を再度参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、リセットボタン170をさらに含む。リセットボタン170は、前面PCB226に結合されたリセットボタン作動装置246(図7)に接触する。リセットボタン170が押されると、リセットボタン170はリセットボタン作動装置246に接触され得、このことが不揮発性メモリ174及び/またはメモリ172(図3)に記憶されたあらゆるデータの消去を引き起こしてもよく、及び/またはプロセッサ160の再起動を誘発してもよい。
【0070】
図11図13は、A/V記録通信ドアベル130の内部コンポーネントをさらに示す。図11図13は、バックプレート182及び追加のコンポーネントを取り外した状態のドアベル130の背面斜視図である。例えば、図11ではバックプレート182が取り外され、図12ではバックプレート182及びメインPCB224が取り外され、図13ではバックプレート182、メインPCB224、及び前面PCB226が取り外される。図11を参照すると、通信モジュール146、プロセッサ160、メモリ172、及び不揮発性メモリ174を含むいくつかのコンポーネントがメインPCB224の後面に結合されている。これらの各コンポーネントの機能を以下に説明する。図12を参照すると、電力マネージャ140、電力シーケンサ144、AC/DC整流器136、DC/DC変換器138、及び光インジケータ162用のコントローラ164を含むいくつかのコンポーネントが前面PCB226の後面に結合されている。これらの各コンポーネントの機能もまた以下に説明する。図13を参照すると、マイクロフォン150、スピーカ室248(スピーカ152が設置されている)、及び通信モジュール146用のアンテナ250を含むいくつかのコンポーネントがエンクロージャ180内に見える。これらの各コンポーネントの機能もまた以下に説明する。
【0071】
図7を参照すると、アンテナ250は、メインPCB224の前面に結合され、メインPCB224の後面に結合されている通信モジュール146に動作可能に接続されている(図11)。メインPCB224の前面にも結合することができるマイクロフォン150は、シールド192の上部214の開口部218(図4)の近くに設置され、その結果、A/V記録通信ドアベル130の周囲の領域から発せられる音が、開口部218を通過してマイクロフォン150によって検出され得る。図13を参照すると、スピーカ室248はエンクロージャ180の底部近くに設置される。スピーカ室248は、その中にスピーカ152が設置されている中空のエンクロージャを含む。中空スピーカチャンバ248は、スピーカ152によって発せられた音が、A/V記録通信ドアベル130の近くの領域の訪問者によって良好に聞こえるように、この音を増幅する。図5及び図13を参照すると、ケース184の下面252及びエンクロージャ180の下面(図示せず)には、スピーカ152によって発せられた音が通過することができる音響開口部254を含むことができ、その結果、それらの音がA/V記録通信ドアベル130の近くの領域の訪問者によって良好に聞こえるようになる。図示の実施形態では、音響開口部254は、概して、ケース184(及び同様にエンクロージャ180)の下面252を実質的に横切って延在する長さを有する長方形として形成されている。しかしながら、図示の形状は一例にすぎない。図5を参照すると、ケース184の下面252は、保安ネジ(図示せず)を受ける開口部256をさらに含み得る。保安ネジは、開口部256を通ってエンクロージャ180内の同様に配置された開口内に延びて、ケース184をエンクロージャ180に固定することができる。ドアベル130が取付けブラケット(図示せず)に取り付けられている場合、保安ネジはドアベル130を取付けブラケット上に維持することもできる。
【0072】
図13を参照すると、A/V記録通信ドアベル130は、電池加熱器258をさらに含み得る。本A/V記録通信ドアベル130は、寒冷気候を含む屋外使用のために構成されている。しかし低温は、エネルギー容量の減少、内部抵抗の増加、損傷なしに充電する能力の減少、及び負荷電流を供給する能力の減少など、充電式電池の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。電池加熱器258は、前述のネガティブな性能の問題を低減または排除するために、充電式電池142を暖かく保つのに有用である。図示の実施形態では、電池加熱器258は、充電式電池142の側面に当接するほぼ平坦な薄いシートを含む。電池加熱器258は、例えば、電流が流れると発熱する電気抵抗加熱素子を含むことができる。したがって、電池加熱器258は、電力マネージャ140及び/または電力シーケンサ144(図12)に動作可能に結合することができる。いくつかの実施形態において、充電式電池142は、プロセッサ160に動作可能に接続された感熱抵抗器(「サーミスタ」、図示せず)を含むことができ、その結果、電池142の温度を監視することができ、電池加熱器258に供給される電力量を適応的に制御して、充電式電池142を所望の温度範囲内に保つことができる。
【0073】
上述のように、本実施形態は、(ドアベルの前面ボタンが押された場合を除いて)A/V記録通信ドアベルの電力消費を、信号伝達装置を鳴らすのに必要な閾値より低い量に有利に制限する。したがって、本A/V記録通信ドアベルは、信号伝達装置を意図せずに鳴らすことなく、既存の家庭用AC電源及び既存の信号伝達装置に接続することができる。
【0074】
本実施形態を既存の家庭用AC電源に接続することができることから、いくつかの利点が生じる。例えば、本A/V記録通信ドアベルのカメラには、連続して電源を投入することができる。典型的な電池式のA/V記録通信ドアベルでは、電池があまり急速に消耗しないように、一部の時間だけカメラに電源が投入される。本実施形態は、対照的に一次(または唯一の)電源として電池に頼らず、したがってカメラに連続して電源を投入し続けることができる。カメラに連続して電源を投入することができるので、カメラは常に記録することができ、記録された映像はローリングバッファまたはスライディングウィンドウに連続的に保存することができる。いくつかの実施形態では、約10〜15秒の記録映像をローリングバッファまたはスライディングウィンドウに連続的に保存することができる。また、カメラには連続して電源を投入することができるので、カメラを動き検出に使用することができ、したがってパッシブ赤外線センサ(PIR)などの別個の動き検出装置のいかなる必要性も排除する。PIRを排除することは、A/V記録通信ドアベルの設計を単純化し、ドアベルの小型化を可能にするが、いくつかの別の実施形態では、ドアベルが1つまたは複数のPIRを含んでもよい。また、カメラには連続して電源を投入することができるので、カメラはIRカットフィルタの現在の状態を制御するとともに、IR LEDを付けたり消したりするのに使用する光検出器として使用することができる。カメラを光検出器として使用することにより、別個の光検出器のいかなる必要性も排除され、それによってA/V記録通信ドアベルの設計がさらに単純化されるとともに、ドアベルをさらに小型化することが可能になるが、いくつかの別の実施形態では、ドアベルが別個の光検出器を含んでもよい。
【0075】
本発明の実施形態の一態様は、本発明の実施形態以外の現行のオーディオ/ビデオ(A/V)記録通信装置(例えば、ドアベル)においては、A/V記録通信装置からユーザのクライアント装置に送信されるストリーミングビデオに、そのストリーミングビデオの送信を引き起こした事象に先立って発生した事象の映像は全く含まれないという認識を必然的に伴うものである。例えば、A/V記録通信装置の近くの範囲での動き、または(A/V記録通信装置がドアベルの場合)訪問者がA/V記録通信装置の前面ボタンを押したなどの事象がA/V記録通信装置によって感知されると、A/V記録通信装置からユーザのクライアント装置に送信されるビデオのストリーミングが、動きを感知した瞬間に(もしくはその直後に)、または前面ボタンが押された瞬間に(もしくはその直後に)開始される。しかし、その事象感知の直前に発生した事象は、ユーザにとって重要な事象であることが少なくない。本発明の実施形態では、A/V記録通信装置のカメラを用いて、カメラの視野内の領域を連続的に記録し、事象が感知されると、その後に、事象感知前の時点におけるビデオのストリーミングを開始することによって、この問題を解決する。連続的に記録されるビデオ映像をローリングバッファに保存し、ビデオのストリーミングはローリングバッファの先頭から開始させる。ストリーミングビデオをリアルタイムでユーザに提示できるようにするために、ストリーミングビデオの開始部分をローリングバッファから読み出し、これをユーザのクライアント装置に、ビデオ映像データがローリングバッファに書き込まれる速度よりも速い速度でストリーミングする。読出し動作が書込み動作に追いつくと、読出し速度を低下させて書込み速度に一致させる。したがって本発明の実施形態は、ユーザが、感知された事象の直前に発生した事象のビデオ映像を見ることを好都合なことに可能にし、それによって一層多くの情報をユーザに配信して、ユーザがそのストリーミングビデオにおいて何が起こっているのかを、よりよく理解するのに役立つものである。
【0076】
図14は、本開示の様々な態様による、A/V記録通信装置からA/Vコンテンツをストリーミングして保存するプロセスを示すフローチャートである。本方法は、ブロックB300において、A/V記録通信装置の周辺領域内のビデオ映像データをカメラで記録すること、及びこのビデオ映像データを、ある書込み速度でメモリに書き込むことを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサは、この書込み速度でビデオ映像データをメモリに書き込むための書込み動作を実行し得る。1つの非限定的な例では、書込み速度は毎秒30フレームであってもよい。本実施形態は、書込み速度のいかなる値にも限定されず、他の非限定的な例では、書込み速度は、例えば、毎秒5フレーム(fps)、または10fps、または15fps、または20fps、または25fps、または35fps、または40fps、または45fps、または50fps、または55fps、または60fps等であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ビデオ映像データが書き込まれるメモリはローリングバッファを含む。ローリングバッファは、循環バッファ、循環キュー、巡回バッファ、または環状バッファとも呼ばれ、これは末端同士が接続されているかのように単一の固定サイズのバッファを使用するデータ構造である。図15は、ローリングバッファ350の概略図である。ローリングバッファ350は、メモリ172(図3)の少なくとも一部を含むことができ、複数のセグメントまたはブロック352を含む。図15の初期状態では、これはA/V記録通信装置130がパワーダウン状態にあることに対応し得、ブロック352の各々は空であり得る。A/V記録通信装置130が起動されると、カメラ154はその視野内の領域のビデオ映像データの記録を開始する。ビデオ映像データは、書込み動作354によってローリングバッファ350に書き込まれる。書込み動作354は、例えば、プロセッサ160によって実行され得る。図16を参照すると、書込み動作354が進行するとき、ローリングバッファ350の各ブロック352には、書込み動作354の左側のパターン化ブロック356によって表されるように、ビデオ映像データの一部を受信して保存される。図示の実施形態では、書込み動作354は、ローリングバッファ350の左側から始まり、矢印358で示すように、左から右へ進む。しかし、図示の例は限定的なものではなく、ローリングバッファ350の実際の物理的レイアウトを表すことを意図するものではない。
【0078】
いくつかの実施形態では、ローリングバッファ350の各ブロック352は、ビデオ映像データの1フレームに対応し得る。すなわち、各ブロック352は1つのビデオフレームを保存することができ、ブロック352は互換的にフレームと呼ぶことがある。したがって、各ブロック352のサイズは各ビデオフレームのサイズに対応し得る。いくつかの実施形態では、各ブロック352のサイズは変化してもよい。すなわち、いくつかのブロック352は他のブロック352よりも大きいか、または小さくてもよい。
【0079】
書込み動作354が続くにつれて、ますます多くのブロック352がビデオ映像データを受信して保存する。図17を参照すると、パターン化ブロック356によって表されるように、最終的にローリングバッファ350はビデオ映像データで完全に満たされる。その後、書込み動作354は、図17の戻り矢印360によって示されるように、ローリングバッファ350の先頭に続く。書込み動作354が続くと、各ブロック356内の古いビデオ映像データは新しいビデオ映像データで上書きされる。このプロセスは何度でも繰り返され得る。ローリングバッファ350のサイズは、保存される所望の量のビデオ映像データによって決定され得る。例えば、いくつかの実施形態ではローリングバッファ350は、5秒のビデオ映像データ、または10秒のビデオ映像データ、または15秒のビデオ映像データ、または20秒のビデオ映像データ、または任意の他の秒数のビデオ映像データを保存するのに十分なサイズを有し得る。
【0080】
図14に戻って参照すると、ブロックB302で、本プロセスは、A/V記録通信装置130の周辺領域で事象を感知したかどうかを判定する。この判定は、書込み動作354がビデオ映像データをローリングバッファ350に書込み続ける間に行ってもよい。いくつかの実施形態では、判定はプロセッサ160によって行われてもよい。例えば、プロセッサ160は、カメラ154(及び/または別個の人感センサ)から、カメラ154の視野内の動きを示す入力を受け取ることができる。別の例では、プロセッサ160は、前面ボタン148が押されたことを示す前面ボタン148からの入力を受け取ることができる。
【0081】
ブロックB302で事象が感知されない場合、本プロセスはブロックB300に戻り、ビデオ映像データをローリングバッファ350に書き込み続ける。しかし、ブロックB302で事象が感知された場合、本プロセスはブロックB304に進み、そこで通信モジュール146がネットワーク112内の装置に接続要求を送信する。この態様は、図3のブロックB202を参照して上に述べたものと類似しているか、または同じであり得る。ブロックB306において、読出し動作により、ローリングバッファ350からビデオ映像データの読出しを開始する。いくつかの実施形態では、読出し動作は、例えばプロセッサ160によって実行されてもよい。
【0082】
図18は、読出し動作362の開始を示す。読出し動作362は、ローリングバッファ350の先頭で開始し、いくつかの実施形態では、先頭は、最も古いビデオ映像データを含むバッファブロック352/356のいずれかであり得る。重ねて、図15図21に示す例では、書込み動作354はローリングバッファ350を左から右へ移動する。それゆえ、全てのバッファブロック352がビデオ映像データを含む場合、最も古いビデオ映像データは、書込み動作354の直前にあるいずれかのバッファブロックに保存される。図18では、書込み動作354のすぐ右側のバッファブロック364である。このバッファブロック364は、ローリングバッファ350の「先頭」であり、読出し動作362を開始する場所である。書込み動作354はカメラがオンである限り継続的であるので、ローリングバッファ350の「先頭」の位置は絶えず変化している。
【0083】
本実施形態では、読出し動作362は、書込み速度よりも大きい第1の読出し速度で開始することができる。本態様は、読出し動作362が書込み動作354に追いつくことを可能にするので、読出し動作362が書込み動作354に追いつくとき、ストリーミングビデオはリアルタイムである(例えば、カメラ154の視野内で起こっている事象と、ユーザのクライアント装置114のディスプレイ装置上に描かれるその事象との間の遅延はほとんどないか、または全くない)。いくつかの実施形態では、第1の読出し速度は、書込み速度の1倍よりも大きい倍数であり得る。いくつかの非限定的な例では、第1の読出し速度は、書込み速度の1.1倍、または書込み速度の1.2倍、または書込み速度の1.3倍、または書込み速度の1.4倍、または書込み速度の1.5倍、または書込み速度の2倍、または書込み速度の2.5倍、または書込み速度の3倍等であり得る。書込み動作354は、読出し動作362が開始している間、書込み速度でビデオ映像データをローリングバッファ350に書き込み続けることができる。
【0084】
図14を再度参照すると、ブロックB308において、本プロセスは、ネットワーク装置(例えば、サーバ118またはバックエンドAPI120であり得る)が、ユーザのネットワーク110及びネットワーク112を介して、A/V記録通信装置130をユーザのクライアント装置114に接続して、継続する。この態様は、図3のブロックB204を参照して上に述べたものと類似しているか、または同じであり得る。次に、プロセスはブロックB310に進み、そこで、読出し動作362が書込み動作354に追いつくまで、読出し動作362は第1の読出し速度でローリングバッファ350からビデオ映像データを読み出し続ける。読出し動作362が書込み動作354に追いついた後、読出し動作362は、書込み速度に等しい第2の読出し速度でローリングバッファ350からビデオ映像データを読み出し続ける。その間に、書込み動作354は、書込み速度でビデオ映像データをローリングバッファ350に書き込み続ける。
【0085】
図19図21は、読出し動作362が書込み動作354に追いつくまで異なる速度で続く読出し動作362及び書込み動作354を示している。図19を参照すると、読出し動作362がローリングバッファ350からビデオ映像データを読み出すとき、図19の読出し動作362と書込み動作354との間の間隔と、ローリングバッファ350の空ブロック352とによって示されるように、読出し動作362と書込み動作354との間に分離が現れる(これらのブロック352はそれらのビデオ映像データが読み出され、書込み動作354は、まだこれらのブロック352に到達していないので、新しいビデオ映像データを空のブロック352に書き込む)。図20を参照すると、読出し動作362と書込み動作354との間の分離は、読出し動作362が書込み動作354よりも速い速度で進行するために拡大し続ける。図21を参照すると、最終的に読出し動作362は書込み動作354に追いつき(例えば、読出し動作362は、書込み動作354の後ろの1バッファブロックである)、その時点で読出し動作362の速度は書込み動作354の速度と一致するように低下する。
【0086】
図14を再度参照すると、ブロックB312で本プロセスは、呼出しを受け入れるかそれとも拒否するかを促すプロンプトと共に、ユーザが自分のクライアント装置114上で通知を受信した状態で、続けられる。この態様は、図3のブロックB210を参照して上に述べたものと類似しているか、または同じであり得る。次に、本プロセスはブロックB314に進み、そこでA/V記録通信装置130は、ストリーミングビデオをユーザのクライアント装置114に送信する。いくつかの実施形態では、通信モジュール146はストリーミングビデオをユーザのクライアント装置114に送信することができる。ストリーミングビデオの開始部分は、第1のストリーム速度でストリーミングされてもよく、その後、ストリーミングビデオは、第1のストリーム速度よりも小さい第2のストリーム速度でストリーミングされてもよい。例えば、第1のストリーム速度は第1の読出し速度と等しくてもよく、第2のストリーム速度は第2の読出し速度(書込み速度に等しい場合がある)と等しくてもよい。ユーザが自分のクライアント装置114のディスプレイ装置上でストリーミングビデオを見ている場合、ストリーミングビデオの最初の部分が第1のストリーム速度で表示され、ユーザにはビデオが早送りされているように見える場合がある(実際の事象が起こった速度よりも速い速度で進行する)。ストリーミングビデオの「早送り」開始部分の後、ユーザはストリーミングビデオが通常の速度(実際の事象が発生している速度に対応する速度)で続行されるのを見ることになる。
【0087】
図14を再度参照すると、本プロセスは、ブロックB316、B318、B320、及びB322を続け得る。これらの各ブロックは、それぞれ図2を参照して上に述べたブロックB212、B214、B216、及びB218に対応する。
【0088】
図14のプロセスは、ローリングバッファ350に書き込まれ、そこから読み出されるビデオ画像データのみを説明しているが、本実施形態では、オーディオを1つまたは複数のプロセスに組み込むことも考えられる。例えば、A/V記録通信装置のマイクロフォン150によって取得されたオーディオデータは、図14を参照して説明したのと同様のプロセスで、ローリングバッファ350に書き込むこともでき、ローリングバッファ350から読み出すこともできる。あるいは、マイクロフォン150によって取得されたオーディオデータは、メモリ172の異なる部分またはA/V記録通信装置から離れたメモリ位置などの別のメモリに書き込むことができ、またそこから読み出すことができる。
【0089】
後述するように、図14のプロセスのステップは、提示された順序で実行される必要はなく、任意の順序(複数可)で実行されてよい。例えば、ブロックB304及びB306は、提示された順序と逆の順序で実行されてもよく、または同時に実行されてもよい。別の例では、ブロックB310及びB312は、提示された順序と逆の順序で実行されてもよく、または同時に実行されてもよい。
【0090】
上述のように、本開示は、A/V記録通信ドアベルを含む方法及びシステムの多数の例を提供するが、本実施形態は、ドアベル以外のA/V記録通信装置にも同様に適用可能である。例えば、本実施形態は、1つまたは複数のA/V記録通信ドアベルの代わりに、またはそれに加えて、1つまたは複数のA/V記録通信防犯カメラを含むことができる。A/V記録通信防犯カメラの例は、ドアベル130の実質的にすべての構造及び機能を含み得るが、前面ボタン148、ボタン作動装置228、及び/または光パイプ232を含まない。
【0091】
図22は、本開示の様々な態様に従って本実施形態を実装することができるクライアント装置800の機能ブロック図である。図1を参照して説明したユーザのクライアント装置114は、クライアント装置800のコンポーネント及び/または機能の一部または全部を含むことができる。クライアント装置800は、例えば、スマートフォンを含み得る。
【0092】
図22を参照すると、クライアント装置800は、プロセッサ802、メモリ804、ユーザインタフェース806、通信モジュール808、及びデータポート810を含む。これらのコンポーネントは、相互接続バス812によって互いに通信可能に結合されている。プロセッサ802は、ARMプロセッサ(Advanced RISC Machines(ARM)によって開発されたRISC(縮小命令セットコンピュータ)アーキテクチャに基づくプロセッサ)など、スマートフォン及び/またはポータブルコンピューティング装置で使用される任意のプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ802は、1つまたは複数の従来のマイクロプロセッサなどの1つまたは複数の他のプロセッサ、及び/または数値演算コプロセッサなどの1つまたは複数の補助的なコプロセッサを含み得る。
【0093】
メモリ804には、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの動作メモリ、ならびに読出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ、フラッシュメモリ、または任意の他の好適なメモリ/記憶素子などのデータ記憶装置の両方が含まれ得る。メモリ804には、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、マルチメディアカード(MMC)、及び/またはセキュアデジタル(SD)カードなどの取外し可能な記憶素子が含まれ得る。いくつかの実施形態において、メモリ804は、磁気メモリ、光学メモリ、及び/または半導体メモリの組合せを含んでもよく、例えば、RAM、ROM、フラッシュドライブ、及び/またはハードディスクもしくはハードドライブを含んでもよい。プロセッサ802及びメモリ804はそれぞれ、例えば、完全に単一の装置内に配置されてもよく、あるいはUSBポート、シリアルポートケーブル、同軸ケーブル、イーサネット(登録商標)タイプのケーブル、電話回線、無線周波数トランシーバ、または他の同様の無線媒体もしくは有線媒体もしくはそれらの組合せなどの通信媒体によって互いに接続されてもよい。例えば、プロセッサ802はデータポート810を介してメモリ804に接続することができる。
【0094】
ユーザインタフェース806は、キーパッド、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、マイクロフォン、及びスピーカなどの、スマートフォン及び/またはポータブルコンピューティング装置に適した任意のユーザインタフェースまたはプレゼンテーション素子を含み得る。通信モジュール808は、クライアント装置800と他の外部装置または受信機との間の通信リンクを処理し、入/出データを適切に経路指定するように構成される。例えば、データポート810からのインバウンドデータは、プロセッサ802に向けられる前に通信モジュール808を介してルーティングされ、プロセッサ802からのアウトバウンドデータは、データポート810に向けられる前に通信モジュール808を介してルーティングされ得る。通信モジュール808は、データを送受信することができ、例えば、GSM、UMTS(3GSM)、IS−95(CDMA one)、IS−2000(CDMA 2000)、LTE、FDMA、TDMA、W−CDMA、CDMA、OFDMA、Wi−Fi、WiMAX、または任意の他のプロトコル及び/または技術などの1つまたは複数のプロトコル及び/または技術を使用することができる1つまたは複数のトランシーバモジュールを含むことができる。
【0095】
データポート810は、ミニUSBポート、またはIPHONE(登録商標)/IPOD(登録商標)30ピンコネクタ、またはLIGHTNING(登録商標)コネクタなど、スマートフォン及び/またはポータブルコンピューティング装置と物理的にインタフェースをとるために使用される任意の種類のコネクタであってもよい。他の実施形態では、データポート810は、例えば他のプロセッサ、サーバ、及び/またはクライアント端末と同時に通信するための複数の通信チャネルを含み得る。
【0096】
メモリ804には、コンピュータなどの他のシステムと通信するための命令を保存することができる。メモリ804には、例えば、本実施形態に従ってプロセッサ802に指示するように適合されたプログラム(例えば、コンピュータプログラムコード)を保存することができる。命令はまた、オペレーティングシステムなどのプログラム要素を含み得る。プログラム内の一連の命令の実行により、プロセッサ802が、本明細書に記載のプロセスステップを実行するが、本実施形態のプロセスを実施するために、ソフトウェア命令/ファームウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用してもよい。このように、本実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアのいかなる特定の組合せにも限定されない。
【0097】
図23は、本実施形態を本開示の様々な態様に従って実施することができる汎用コンピューティングシステムの機能ブロック図である。コンピュータシステム900は、上述した動作の少なくともいくつかを実行することができる。コンピュータシステム900は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータとも呼ばれる)900A、ポータブルコンピュータ(ラップトップコンピュータまたはノートブックコンピュータとも呼ばれる)900B、及び/またはサーバ900Cのうちの少なくとも1つにおいて具体化され得る。サーバは、他のマシンまたはソフトウェア(クライアント)からの要求を待ってそれに応答するコンピュータプログラム及び/またはマシンである。サーバは通常はデータの処理を行う。サーバの目的は、クライアント間でデータリソース及び/またはハードウェアリソース及び/またはソフトウェアリソースを共有することである。このアーキテクチャはクライアントサーバモデルと呼ばれる。クライアントは、同じコンピュータ上で動作することも、ネットワークを経由してサーバに接続することもできる。コンピューティングサーバの例には、データベースサーバ、ファイルサーバ、メールサーバ、プリントサーバ、ウェブサーバ、ゲームサーバ、及びアプリケーションサーバが含まれる。サーバという用語は、1つまたは複数のクライアントプロセスにリソースを分配する任意のコンピュータ化されたプロセスを含むものと広く解釈され得る。
【0098】
コンピュータシステム900は、少なくとも1つのプロセッサ910、メモリ920、少なくとも1つの記憶装置930、及び入力/出力(I/O)装置940を含み得る。コンポーネント910、920、930、940の一部または全部は、システムバス950を介して相互接続されてもよい。プロセッサ910は、シングルスレッドでもマルチスレッドでもよく、1つまたは複数のコアを有してもよい。プロセッサ910は、メモリ920及び/または記憶装置930に保存されている命令などの命令を実行することができる。情報は、1つまたは複数のI/O装置940を使用して受信及び出力することができる。
【0099】
メモリ920は情報を保存することができ、揮発性メモリまたは不揮発性メモリなどのコンピュータ可読媒体とすることができる。記憶装置(複数可)930は、システム900のための記憶装置を提供することができ、コンピュータ可読媒体とすることができる。様々な態様では、記憶装置(複数可)930は、フラッシュメモリ装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、テープ装置、または他の任意の種類の記憶装置とすることができる。
【0100】
I/O装置940は、システム900に入出力操作を提供することができる。I/O装置940には、キーボード、ポインティングデバイス、及び/またはマイクロフォンが含まれ得る。I/O装置940は、グラフィカルユーザインタフェースを表示するための表示装置、スピーカ、及び/またはプリンタをさらに含むことができる。外部データは、1つまたは複数のアクセス可能な外部データベース960に保存されてもよい。
【0101】
本明細書に記載された本実施形態の特徴は、デジタル電子回路において、及び/またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、及び/またはそれらの組合せにおいて実装され得る。本実施形態の特徴は、プログラム可能なプロセッサによる実行のために、機械可読記憶装置などの情報担体内に、及び/または伝搬信号内に有形に具体化されたコンピュータプログラム製品内に実装することができる。本方法ステップの実施形態は、入力データを操作して出力を生成することによって、記述された実施形態の機能を実行する命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって実行することができる。
【0102】
本明細書に記載される本実施形態の特徴は、データ及び/または命令を送受信するように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサ、データストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置を含むプログラマブルシステム上で実行可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムで実施することができる。コンピュータプログラムは、特定の活動を実行するかまたは特定の結果をもたらすためにコンピュータ内で直接的または間接的に使用することができる一組の命令を含むことができる。コンピュータプログラムは、コンパイル言語またはインタプリタ言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムとして、またはコンピューティング環境での使用に適したモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくは他のユニットとして、これらを含む任意の形態で展開されてもよい。
【0103】
命令プログラムの実行に適したプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ及び特殊用途プロセッサの両方、及び/または任意の種類のコンピュータの単一プロセッサまたは複数プロセッサのうちの1つを含むことができる。一般に、プロセッサは、読出し専用メモリ(ROM)、またはランダムアクセスメモリ(RAM)、またはその両方から命令及び/またはデータを受信することができる。このようなコンピュータは、命令を実行するためのプロセッサと、命令及び/またはデータを格納するための1つまたは複数のメモリとを含み得る。
【0104】
一般に、コンピュータはまた、データファイルを保存するための1つまたは複数の大容量記憶装置を含むか、またはそれと通信するように動作可能に結合され得る。このような装置には、内蔵ハードディスク及び/またはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、及び/または光ディスクが含まれる。コンピュータプログラムの命令を具体的に具体化するのに適した記憶装置及び/またはデータは、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリ装置、内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMディスク及びDVD−ROMディスクを含むあらゆる形態の不揮発性メモリを含むことができる。プロセッサ及びメモリは、1つまたは複数のASIC(特定用途向け集積回路)によって補足されるか、またはその中に組み込まれることがある。
【0105】
ユーザとのインタラクションを可能にするために、本実施形態の機能は、情報をユーザに表示するためのLCD(液晶ディスプレイ装置)モニタなどの表示装置を有したコンピュータ上で実行させることができる。コンピュータは、キーボード、マウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイス、及び/またはユーザがコンピュータに入力を提供することができるタッチスクリーンをさらに含むことができる。
【0106】
本実施形態の特徴は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含むコンピュータシステム、及び/またはアプリケーションサーバまたはインターネットサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含むコンピュータシステム、及び/またはグラフィカルユーザインタフェース(GUI)及び/またはインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータ、またはこれらの任意の組合せなどのフロントエンドコンポーネントを含むコンピュータシステムで実施することができる。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなどの任意の形態または媒体のデジタルデータ通信によって接続することができる。通信ネットワークの例としては、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、及び/またはインターネットを形成するコンピュータ及びネットワークが含まれ得る。
【0107】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含み得る。クライアント及びサーバは、互いに離れていてもよく、本明細書に記載のものなどのネットワークを介してインタラクトしてもよい。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じ得る。
【0108】
上記の説明は、本実施形態を実施するために企図される最良の形態、ならびにそれらを実施する方法及びプロセスを、それらが関係する当業者がこれらの実施形態を実施することを可能にするような完全、明確、簡潔かつ正確な用語で提示する。しかしながら、本実施形態は、完全な均等物である、上で論じられたものからの修正及び代替の構成に影響されやすい。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されない。それどころか、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内に入るすべての修正形態及び代替的な構成を網羅する。例えば、本明細書で説明されているプロセスのステップは、提示されているのと同じ順序で実行される必要はなく、任意の順序(複数可)で実行され得る。さらに、別々に実行されるものとして提示されたステップは、代替の実施形態では同時に実行されてもよい。同様に、同時に実行されるものとして提示されたステップは、代替の実施形態では別々に実行されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23