(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
近年、パネルの高輝度化のために、カラーフィルタの構造を変更させることは普通であるが、概略図として
図2に示されるようなRGBWという技術も開発される。
【0006】
RGBWという技術は、主に以下通りである。元の表示画面においては、1つの画素が3つの副画素に対応し、即ち、1つの独立画素がRGBの3つの副画素に対応している。RGBWというのは、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3つの画素以外に、さらに1つの透明画素を追加することにより、2つの独立画素が5つの副画素を共有するようになる。こうして、同じ解像度においても副画素の数が大幅に減少し、それによってコストが削減され、透明な副画素が増加され、さらに画面の輝度も改善される。ただし、色の最適化において元の配置ほど良くないことは、そのデメリットの一つとなる。
【0007】
従来の画素は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)からなるが、フルハイビジョンパネル(Full High Definition、単にFHDパネルとも呼ばれる)の画素は1,920×1,080であり、各画素が三種類のサブ画素からなる。そのため、FHDパネルは合計で約620万の色がある。一方、超高精細パネル(Ultra High Definition、単にUHDパネルとも呼ばれる)の解像度は3,840×2,160であり、これは、合計で約2,490万の色があることを意味している。従って、UHDの解像度はFHDパネルの4倍になり、UHDパネルは4Kパネルとも呼ばれる。
【0008】
原理が同じであるが、普通の会社に開発されたRGBWパネルは、従来のUHDテレビパネルと若干異なっており、画素にはRGBに加えて白色(W)のサブ画素も追加されているものである。
【0009】
簡単に言えば、UHDパネルの水平走査線1本当たりの画素数は3,840であり、RGB配置におけるサブ画素数は11,520であり、RGBW配置パネルは、1つの画素が4つのRGBWサブ画素からなるため、水平走査線1本当たりの実際画素数は僅かの2,880のみ残ってしまう。一方、RGBWパネルの垂直画素数は、まだ2,160であるため、RGB配置のUHDパネルと同様である。
【0010】
図1に示すように、従来の画素はR(赤色)、G(緑色)及びB(青色)からなる。FHDパネルの画素は1920×1080であり、さらに、各画素が三種類のサブ画素(R,G,B)からなるため、合計で約620万の色がある。一方、4Kパネルの解像度は3840×2160であり、これは、合計で約2,490万の色がある(3840×2160種類の画素であり、各画素は三種類のサブ画素からなる)ことを意味している。したがって、UHD(4K)の解像度はFHD(2K×1K)の4倍になる。
【0011】
また、多くの会社は、画質を向上させるために、そのRGBWパネルにさらにGMA(色域マッピングアルゴリズム)とSPR(サブピクセルレンダリング)の技術も採用している。しかしながら、このような透明画素(White Pixel)を一つ追加した手段は、透明フォトレジストを形成する工程をさらに増やす必要がある。
図3の製造フローチャートに示すように、まずガラス基板を洗浄してから、ブラックマトリックス(Black Matrix、以下、単にBMとも呼ばれる)フォトレジストを塗布し、露光現像工程によりBMを形成する必要がある。そして、赤色(R)フォトレジストを塗布し、フォトマスクを介してUV露光を行い、さらに現像工程を行って、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)をそれぞれ形成してから、透明色(W)を形成した後、別の画素層にOC平坦層(Over coat、以下、単にOCと呼ばれる)を形成し、その裏面にITO(インジウム錫酸化物)めっき膜を形成し、ベークしてフォトレジストスペーサー(Photo spacer、以下、単にPSと呼ばれる)柱状層(一般的に主柱状層と副柱状層を含む)を形成する。透明色画素の製造工程(リソグラフィ/現像/硬化などの装置を含む)を追加したため、カラーフィルタ全体の製造コストは約12%も高くなり、これにより当該技術の広範な普及にも影響を与えてしまう。
【0012】
特許EP1844462 B1には、従来のRGBWの設計が開示されている。該特許に開示されているRGBW設計案は、
図4(該特許明細書中の
図1)に示されるように、W画素がR、G、Bの各画素から離れすぎているため、混色の効果が良くなく、色計算が容易ではなく、正確ではない。
【0013】
特許US7515225を例として、平坦層とW画素との組合せを同一の工程(プロセス)で完成させるために、BM Layer(ブラックマトリクス)を作成すると同時に柱状層も作成する。W画素の場所において平坦層(OC Layer)の崩れを避ける。しかしながら、当該構造は、(光がBMにより遮断されるため)RGBWの元設計よりも光透過率が低下するという問題がある。その構造は
図5に示されるように、430はカラーフィルタパターンを、430a、430b及び430cはそれぞれ赤、緑及び青のカラーフィルタパターンを、420はブラックマトリクスを、422は仮想パターンを、425a、425b及び425cはそれぞれ第1、第2及び第3開口を、425dは第4開口を、410は基板を、440は平坦層を表す。
【0014】
上記情報は、単に本発明背景技術の理解を深めるために使用されている。そのため、当業者に公知される先行技術を構成しない情報を含む可能性もある。
【0015】
RGBW構造上の上記既存問題に鑑み、当分野では、簡単でコストの大幅上昇を招かない方法により製造することができ、良好な演色効果を有し、光透過率を低減する等の問題もないカラーフィルタが与えられる、有効なRGBW構造を提供することが急務である。
【0016】
本発明にかかるカラーフィルタによれば、解像度を低下せずに光の透過率を効果的に高めることができ、しかも、混色効果は良好である。
【0017】
本発明にかかるカラーフィルタによれば、柱状層が歪ませることがなく、且つ、最終的に形成された液晶ディスプレイに液晶ギャップムラ(cell gap mura)という問題を生じさせなく、液晶パネルメーカーが要求されているCell gap同士の差が0.1μm未満の要求を達成でき、色むらの問題を効果的に克服することができる。
【0018】
本発明はまた、カラーフィルタの製造方法を提供する。該製造方法によって、本発明のカラーフィルタを効率的に得ることができる。該方法は操作が簡単であり、方法にかかる工程数及び材料の用量が従来の製造方法と同じであり、製造コストを大幅に増加させることはない。
【0019】
さらに、透明画素がRGB画素以外の区域に配置されるものでないため、光透過率を向上させるだけでく、混色効果も高めることができる。
【0020】
本発明の目的は、以下の技術構成により達成できる。
【0021】
1.基板と、
基板に形成されたブラックマトリクスと、
基板に形成された、赤色画素層、緑色画素層、青色画素層及び透明画素層を含むカラーレイヤと、
カラーレイヤ及びブラックマトリクスの上に形成された平坦層と、
平坦層に形成され、且つブラックマトリクスの上にある柱状層と、を含むカラーフィルタであって、
透明画素層がそれぞれ、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層の内部にあるように、各赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層に被覆されている、カラーフィルタ。
【0022】
2.柱状層が副柱状層と主柱状層とからなり、各主柱状層の膜厚高さ同士の段差が±0.1μmの範囲、即ち、0.2μmの範囲に制御されている、項1に記載のカラーフィルタ。
【0023】
3.基板に形成された透明画素層の高さ(本発明において「W高さ」も表記される)≦基板に形成されたブラックマトリクスの高さ(本発明において「BM高さ」も表記される)+0.2μm、即ち、A値=W高さ−BM高さ≦0.2μm(ここで、Aの値が負数であってもよい)を満たす、項1又は2に記載のカラーフィルタ。
【0024】
4.基板と、
基板に形成されたブラックマトリクスと、
基板に形成された、赤色画素層、緑色画素層、青色画素層及び透明画素層を含むカラーレイヤと、
ブラックマトリクスに形成された柱状層と、を含むカラーフィルタであって、
透明画素層がそれぞれ、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層の内部にあるように、各赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層に被覆されており、
柱状層が副柱状層と主柱状層とからなり、各主柱状層の膜厚高さ同士の段差が±0.1μmの範囲、即ち、0.2μmの範囲に制御されている、カラーフィルタ。
【0025】
5.基板と、
基板に形成されたブラックマトリクスと、
基板に形成された、赤色画素層、緑色画素層、青色画素層及び透明画素層を含むカラーレイヤと、
ブラックマトリクスに形成された柱状層と、を含むカラーフィルタであって、
透明画素層がそれぞれ、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層の内部にあるように、各赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層に被覆されており、
基板に形成された透明画素層の高さ(W高さ)≦基板に形成されたブラックマトリクスの高さ(BM高さ)+0.2μm、即ち、A値=W高さ−BM高さ≦0.2μmを満たす、カラーフィルタ。
【0026】
6.基板に形成され、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層のそれぞれの内部に被覆されている透明画素層が区切りされている、項1〜5のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
【0027】
7.区切りされている透明画素層同士の距離が5μm以上である、項6に記載のカラーフィルタ。
【0028】
8.前記基板がガラス基板である、項1〜7のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
【0029】
9.さらに、基板の裏側に形成された導電層を含む、項1〜8のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
【0030】
10.カラーフィルタを形成する各構造に使用されるフォトレジスト材料がネガ型フォトレジスト材料である、項1〜9のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
【0031】
11.項1〜10のいずれか一項に記載のカラーフィルタを含む表示パネル。
【0032】
12.項11に記載の表示パネルを含む表示装置。
【0033】
13.カラーフィルタの基板の裏面にITOフィルムコーティングを行う工程と、
基板の正面にブラックマトリクスを形成する工程と、
基板の正面に形成された各ブラックマトリクスの間の隙間に透明画素層を形成する工程と、
基板に、透明画素層を被覆して赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層を形成する工程と、
赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層、並びにブラックマトリクスの上に平坦層を形成する工程と、
平坦層に且つ対応のブラックマトリクスの上に柱状層を形成する工程とを含む、カラーフィルタの製造方法。
【0034】
14.カラーフィルタの基板の裏面にITOフィルムコーティングを行う工程と、
基板の正面にブラックマトリクスを形成する工程と、
基板の正面に形成された各ブラックマトリクスの間の隙間に透明画素層を形成する工程と、
基板に、透明画素層を被覆して赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層を形成する工程と、
対応のブラックマトリクスに柱状層を形成する工程とを含む、カラーフィルタの製造方法。
【0035】
15.基板に形成された透明画素層の高さ(W高さ)≦基板に形成されたブラックマトリクスの高さ(BM高さ)+0.2μmを満たす、項13又は14に記載の方法。
【0036】
16.各ブラックマトリクスの間の隙間に透明画素層を形成した際に、形成された透明画素層が、区切りされている透明画素層である、項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
17.区切りされている透明画素層同士の距離が5μm以上である、項16に記載の方法。
【0038】
18.カラーフィルタを形成するための各構造に使用されるフォトレジスト材料が、ネガ型フォトレジスト材料である、項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
19.製造されたカラーフィルタが、項1〜10のいずれか一項に記載のカラーフィルタである、項13又は14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0040】
以下の好ましい具体的な実施形態における詳細な説明に基づいて、本発明の様々な他の利点及びメリットは当業者にとって明らかに理解できるようになる。本明細書の図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を限定する意図ではない。明らかに、以下に説明される図面は本発明のいくつかの実施例にすぎ、当業者にとっては、創造的な労力を必要しなくてもこれらの図面から他の図面を得ることもできる。なお、図面全体においては、同一要素に同一の符号を付している。
【0041】
【
図1】カラーフィルタが液晶平面ディスプレイである場合のカラー化に重要な要素を示す図である。
【
図2】カラーフィルタがRGBからRGBWへの変更を示す概略図である。
【
図3】従来のRGBW技術の製造フローを示す概略図である。
【
図4】従来技術におけるRGBW設計の一つを示す図である。
【
図5】従来技術における別のRGBW設計を示す図である。
【
図6】
図6(A)が従来技術におけるRGBW構造の問題点を示す概略断面図であり、
図6(B)が本発明のRGBW構造を示す概略断面図である。
【
図7】本発明のカラーフィルタの製造方法の工程を示す図である。
【
図8】比較するために示されたカラーフィルタ構造の概略断面図である。
【
図9】カラーフィルタに生じた液晶ギャップムラの問題を示す概略図である。
【
図10A】
図10(A)が本発明実施例に示されたカラーフィルタ構造の概略断面図である。
【
図10B】
図10(B)がA値と、RGB層と平坦層との段差、及び形成された液晶の色むらの発生との関係を示す概略図である。
【
図11】本発明の2つの実施形態及び従来技術のカラーフィルタを示す概略断面図である。
【
図12】本発明の好ましい実施形態のカラーフィルタのRGB画素層形成工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施例をさらに詳しく説明する。図面に本発明の具体的な実施例を示しているが、本発明は以下に示した実施例に限定されるものではなく任意に変形して実施できると理解すべきである。反対に、これらの実施例は、本発明がより十分に理解されるためのものであり、本発明の範囲が当業者に十分に伝えられるように提供される。
【0043】
図6(A)に示されたような従来技術におけるRGBW構造は、前記したように、RGBW構造を得るためにW透明画素を製造する工程をさらに追加する必要があり、これにより製造コストの上昇にも繋がっている。また、W画素は、R、G、B画素から遠く離れており、その混色効果が良くなく、色計算が容易でなく、正確でない。光透過率は向上するが、解像度は低下する。
【0044】
図6(B)は本発明におけるRGBW構造の概略断面図を示している。本発明は、基板と、基板に形成されたブラックマトリクス(BMで表される)と、基板に形成された赤色画素層(Rで表される)、緑色画素層(Gで表される)、青色画素層(Bで表される)及び透明画素層(Wで表される)を含むカラーレイヤと、カラーレイヤ及びブラックマトリクスの上に形成された平坦層(OCで表される)と、平坦層に形成され、且つブラックマトリクスの上に位置した柱状層(PSで表される)とを含むカラーフィルタであって、透明画素層がそれぞれ、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層の内部にあるように、各赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層に被覆されている、カラーフィルタを提供する。
【0045】
よって、
図4、
図5及び
図6(A)に示された従来技術におけるRGBW構造と比べて、本発明は、透明画素(W画素)をそれぞれR、G、B画素の内部に形成させること、そしてカラーレイヤに平坦層を形成することにおいて相違している。W画素は、位置を占めないため、画素の解像度が向上でき、さらに、混色効果が良好であり、カラーフィルタ全体を製造する工程を簡略化することもできる。
【0046】
本発明のカラーフィルタは、基板の裏側に形成された導電層をさらに含む。ここで、導電層は、当分野で既知の任意の導電層、好ましくはITO導電層を使用してもよい。
本発明の基板は、ガラス基板又は他の任意種類の適宜な基板であってよい。
本発明の平坦層は、R/G/B画素の膜厚の高さの差(段差)を均一化することに加えて、カラー(着色)画素のイオン汚染(Ion impurities)を防止することにも使用できる。これは、イオンが液晶の駆動電気特性の変化を引き起こし、さらにグレイ階調(Gray)に影響を及ぼすためである。また、画素層の耐化学性、導電膜スパッタ耐性や、着色画素層の平滑性を向上させることができる。
【0047】
本発明において、ブラックマトリクスや、各着色画素層を形成するための材料としては、特に制限はなく、当分野での通常の材料を使用することができる。
【0048】
本発明の特定の実施形態においては、柱状層が副柱状層(副PS、sub PS)と主柱状層(主PS、Main PS)とからなり、各主柱状層の膜厚高さ同士の段差が±0.1μmの範囲、即ち、0.2μm的範囲に制御される。このような構造を達成することにより、最終的に形成された液晶スクリーンにおける液晶ギャップを0.1μm未満にすることができ、色むらを生じることはない。
図9には色むらの概略図を示し、パネル点灯後に階調ムラや輝度ムラが生じる場合があることが分かる。ここで、各主柱状層の膜厚高さ同士の段差の算出方法は、当業者が公知され、例えば、主PSの膜厚高さは、PSの底部からその高さの90%までの高さであってもよく、主PSの底部から頂部までの高さであってもよい。当業者が一致した算出方法で評価すればよい。
【0049】
本発明者らは、透明画素層を大きくしすぎると、
図8に示すように、RGB画素が摩耗したら変異や膨らみが生じやすく、平坦層上の柱状層(PS)が歪んでしまい、ディスプレイが
図9に示されたような液晶ギャップムラが生じる問題点があり、さらにパネル点灯後に階調ムラや輝度ムラという現象が生じることを見出した。ここで、透明画素層を大きくしすぎるということは、
図8に示すように、透明画素層自体の高さが高すぎ、R、G、Bカラー画素層自体に突出又は隆起が生じ、R、G、B画素層自体に0.3μm超えの段差を有することになる。
【0050】
本発明者らは、RGBW構造を検討したところ、基板に形成された透明画素層の高さ(W高さ)≦基板に形成されたブラックマトリクスの高さ(BM高さ)+0.2μm、即ち、A値=W高さ−BM高さ≦0.2μmになるように制御すれば、液晶スクリーンの色むらを効果的に抑制することができることを見出した。
図10(A)と
図10(B)はそれぞれ、A値の算出方法を示し、さらに、A値と、RGB画素層と平坦層との段差との関係を示し、各領域における色むらのひどさも示している。
【0051】
また、A値を適切に制御すれば、本発明のR/G/B着色画素の膜厚がより均一に制御される。この場合、平坦層を省略する場合もあるため、平坦層を形成する工程も不要となり、カラーフィルタの製造コストをさらに低減することができる。
【0052】
即ち、本発明はまた、基板と、基板に形成されたブラックマトリクスと、基板に形成された、赤色画素層、緑色画素層、青色画素層及び透明画素層を含むカラーレイヤと、ブラックマトリクスに形成された柱状層とを含むカラーフィルタであって、透明画素層がそれぞれ、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層の内部にあるように、各赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層に被覆されており、柱状層が副柱状層と主柱状層とからなり、各主柱状層の膜厚高さ同士の段差が±0.1μmの範囲、即ち、0.2μmの範囲に制御されている、カラーフィルタに関する。
【0053】
本発明はさらに、基板と、基板に形成されたブラックマトリクスと、基板に形成された、赤色画素層、緑色画素層、青色画素層及び透明画素層を含むカラーレイヤと、ブラックマトリクスに形成された柱状層とを含むカラーフィルタであって、透明画素層がそれぞれ、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層の内部にあるように、各赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層に被覆されており、基板に形成された透明画素層の高さ(W高さ)≦基板に形成されたブラックマトリクスの高さ(BM高さ)+0.2μm、即ち、A値=W高さ−BM高さ≦0.2μmを満たす、カラーフィルタに関する。
【0054】
図10(A)の断面構造から示すように、A値=W高さ−BM高さ≦0.2μmである場合、RGB画素層と平坦層との段差を0.1μm程度に効果的に制御することができ、さらにこの場合、ディスプレイに色むらが現れなく、パネルメーカーの要求を達成できる。また、本発明は、W画素をR、G、B画素層の内部に巧みまで被覆されるため、解像度が低下することなく光透過率を向上させるとともに、混色効果も優れている。さらに、A値は負数であってもよく、即ち、透明色素層の高さをBMの高さより小さくしてもよい。
【0055】
本発明者らは検討によって、透明画素を形成するとき、連続的な短冊状の透明画素が形成されたら、画素同士の汚染を引き起こす場合があると見出した。本発明のより好ましい実施形態においては、本発明のRGBW構造を
図11の最下部の図に示されたように、さらなる改良を行った。即ち、基板に形成され、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層のそれぞれの内部に被覆されている透明画素層は、区切りされている。
図11の右側の上面図に示されるように、上面図では、各透明画素層が連続的ではなく、区切りされている。さらに好ましくは、区切りされている透明画素層同士の距離が5μm以上である。
【0056】
図12には、このような区切構造によるメリットを示している。
図12の上図に示されるように、透明画素により、例えば、赤色画素のフォトレジストが成形焼成(ベーク)する前に、隣接する画素に流れ、予想外のオーバーレイを招きやすい。
【0057】
図12の下図に示すように、透明画素構造が区切り可能であるため、赤色画素のフォトレジストが成形焼成(ベーク)する前に隣接する画素に流れることはない。これは、透明画素が区切りされている隙間は多くなると、より多くの液体フォトレジストを受容できるためである。
【0058】
本発明はまた、本発明におけるカラーフィルタを含む表示パネルに関する。
本発明における表示パネルは、例えば、液晶パネル(LCDパネル)、有機ELパネル(OLEDパネル)、Micro LEDパネルや、例えばMicro−cup、Micro−particleパネル等の反射型パネルであってもよい。
【0059】
本発明はまた、前記本発明の表示パネルを含む表示装置に関する。
【0060】
本発明はさらに、カラーフィルタの基板の裏面にITOフィルムコーティングを行う工程と、基板の正面にブラックマトリクスを形成する工程と、基板の正面に形成された各ブラックマトリクスの間の隙間に透明画素層を形成する工程と、基板に、透明画素層を被覆して赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層を形成する工程と、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層、及びブラックマトリクスの上に平坦層を形成する工程と、平坦層に且つ対応のブラックマトリクスの上に柱状層を形成する工程とを含む、カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0061】
本発明はさらに、カラーフィルタの基板の裏面にITOフィルムコーティングを行う工程と、基板の正面にブラックマトリクスを形成する工程と、基板の正面に形成された各ブラックマトリクスの間の隙間に透明画素層を形成する工程と、基板に、透明画素層を被覆して赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層を形成する工程と、対応のブラックマトリクスに柱状層を形成する工程とを含む、カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0062】
具体的には、本発明の方法は基板を元に加工することを含む。一般的に使用される基板は、例えばガラス基板であってもよい。まずガラス基板にブラックフォトレジストを塗布し、該ブラックフォトレジストをガラス基板の表面を覆わせ、該ブラックフォトレジストは通常、ネガ型フォトレジスト材料をを使用する。露光現像などのプロセスで不要な部分を除去し、ガラス基板にブラックマトリクスのフォトレジストラインを残させ、該フォトレジストラインはマトリックスの形状に囲み、これらの長方形領域も行列が揃うように並べる。
【0063】
次いで、基板の正面に形成された各ブラックマトリクスの間の隙間に透明フォトレジストを塗布し、該透明フォトレジストは通常、ネガ型フォトレジストを使用する。露光現像などのプロセスで透明フォトレジストの不要な部分を除去して、基板上のブラックマトリクスの間の隙間に規則的に分布した透明色画素層を形成し、この透明色画素層の膜厚及び形状は、異なる製品に要求される画素開口領域のサイズ(解像度とも呼ばれる)によって変更することができる。
【0064】
さらに、本発明のさらに好ましい実施形態においては、形成された透明画素層が連続的ではなく区切りされているため、次工程におけるカラーフォトレジストを、溜らなく、より容易かつ均一に区切領域に流し込ませる。ホットベーク工程の後にもカラー画素が突出した不規則構造を発生しない。
【0065】
次いで、ブラックマトリクスと透明色画素層が形成された基板に赤色フォトレジストを塗布し、赤色フォトレジストは通常、ネガ型フォトレジストを使用する。露光現像などのプロセスで赤色フォトレジストの不要な部分を除去して、ブラックマトリクスのフォトレジストラインにより囲まれた長方形領域に透明色画素を被覆して規則的に分布した赤色画素層を形成する。同様に、ブラックマトリクスのフォトレジストラインにより囲まれた長方形区域にそれぞれの透明色画素を被覆して複数の、互いに間隔を置いて規則的に分布した緑色画素層と青色画素層を形成する。ここで、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層はそれぞれ、透明画素層を被覆して、同じ数で規則正しく互いに間隔を置いて分布している。
【0066】
また、画素サイズと解像度の要求に応じて着色画素の大きさと間隔を設定してもよい。着色画素とブラックマトリクスのフォトレジストラインの設定は、従来技術における本発明に適したプロセスを採用することができる。
【0067】
本発明に用いられるリソグラフィプロセスは、光-化学反応機構及び化学的・物理的エッチング方法に基づき、マスク、露光及び現像等の工程により、フォトレジスト層に所望のパターンを得、ガラス基板上に現れるように意図されている。
【0068】
フォトレジスト材料は主にポジ型フォトレジストとネガ型フォトレジストを含む。ポジ型フォトレジストは、光に照射された部分が現像工程で化学品に除去され、露光にされていない部分が現像液に取り出されずにガラス基板に残る。一方、ネガ型フォトレジストは逆に、光に照射されたネガ型フォトレジスト部分が現像工程での化学品に除去されなく、光に照射されていない部分が現像工程で化学品に除去される。
【0069】
本発明の製造方法においては、ネガ型フォトレジスト材料を使用することが好ましい。
【0070】
本発明の製造方法において、カラーフォトレジストは、顔料分散液、アルカリ可溶性樹脂、不飽和樹脂モノマー等の結着樹脂、光重合開始剤、有機溶媒、及び添加剤を含む。
【0071】
顔料分散液における芳香族基含有顔料粉末は青色顔料と紫色顔料の混合物であり、前記青色顔料はフタロシアニン顔料、アゾ顔料及び複素環顔料のうちの1種以上であり、前記紫色顔料はチオインディゴ顔料及びジアジン顔料のうちの1種以上である。前記結着樹脂はポリエステルアクリレートホモポリマー、変性スチレンアクリルコポリマー、及び耐黄変アルデヒド系樹脂樹脂のうちの1種以上であり、前記アルカリ性又は中性有機溶媒はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサン、プロピレングリコールジアセテート、2−ヘプタノン及びシクロペンタノンのうちの1種以上であり、前記醇溶媒はn−ブタノールである。
【0072】
前記光重合開始剤はケトオキシムエステル系光重合開始剤、ベンジル(benzil)系光重合開始剤及びアルキルフェノン系光重合開始剤のうちの1種以上であり、前記有機溶媒はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサン、プロピレングリコールジアセテート、2−ヘプタノン及びシクロペンタノンのうちの1種以上であり、前記添加剤はレベリング剤、カップリング剤、消泡剤及び紫外線吸収剤のうちの1種以上である。
【0073】
図7は、本発明のカラーフィルタの製造方法の概略フローチャートを示している。比較の便宜上、従来技術におけるRGBW構造を有するカラーフィルタの製造方法も示している。
図7から分かるように、本発明のカラーフィルタの製造方法により、透明画素を予め各着色画素の内部に存在させることができる。
【0074】
従来の構造の技術(RGB画素以外の設計)と異なり、透明画素がカラー画素に含まれているため、これにより光透過率の向上効果、及び混色効果に影響を与えないメリットが達成できる。特に、透明画素は任意の異形構造体を形成する機能を有するため、異なる製品に所要する光透過率及び彩度に応じて変更することができ、本発明のカラーフィルタをすべての省エネルギーディスプレイに使用することはより容易になる。
【実施例】
【0075】
表1には、実施例と比較例で採用したカラーフィルタの各作成条件を示している。なお、高い膜厚のPS材料、BM、R、G、B、W各画素形成用のフォトレジスト材料は、いずれも日本JSR社の材料を使用して試験した。
また、他の市販のネガ型フォトレジスト材料はいずれも、本発明のカラーフィルタの製造に使用することができ、ここでは説明を省略する。
【0076】
【表1】
【実施例1】
【0077】
本願明細書に説明した上記製造方法に従い、表1に示すように具体的なパラメータを設定し、カラーフィルタを製造してみた。本発明者らは、透明画素層を大きくしすぎると、
図8に示すように、RGB画素が摩耗したら変異や膨らみが生じやすく、平坦層上の柱状層(PS)が歪んでしまい、ディスプレイが
図9に示されたような液晶ギャップムラが生じる問題点があり、パネル点灯後に階調ムラや輝度ムラという現象が生じることを見出した。
【0078】
上記表1に示した条件に従って、本実施例1では、A値の大きさを変更することで一連のカラーフィルタを得た。得られたカラーフィルタの概略断面図を
図10(A)に示す。そして、A値と段差からプロットした結果、
図10(B)に示すように、A値が0.2μm以下である場合、R、G、B層と平坦層との段差を良好に制御でき、さらに、平坦層の上の柱状層(PS)、特に主柱状層の段差は±0.1μmの範囲になるように達成し、ディスプレイが
図9に示されたような液晶ギャップムラの問題は生じなく、パネル点灯後にも階調ムラや輝度ムラという現象が生じない。
【実施例2】
【0079】
実施例2では、透明画素を形成するとき、連続的な短冊状の透明画素が形成されたら、画素同士の汚染を引き起こす場合があることが分かった。従って、さらに本発明のRGBW構造を改良した。改良された構造は、
図11の最下部の図に示されたように、基板に形成され、赤色画素層、緑色画素層及び青色画素層のそれぞれの内部に被覆されている透明画素層が、区切りされている。
図11の右側の上面図に示されるように、上面図では、各透明画素層が連続的ではなく、区切りされている。さらに好ましくは、区切りされている透明画素層同士の距離が5μm以上である。透明画素層が区切りされるように制御すること以外、製造方法における具体的なパラメータは表1と同様である。
【0080】
実施例2では、W画素の透明性をさらに向上させるために、樹脂系材料として黄変しにくく且つ透明性が高い上記結着樹脂材料を使用した。
【0081】
図12には、このような区切構造によるメリットを示している。
図12の上図に示されるように、透明画素により、例えば、赤色画素のフォトレジストが成形焼成する前に隣接する画素に流れ、予想外のオーバーレイを招きやすい。
【0082】
図12の下図に示すように、透明画素構造が区切り可能であるため、赤色画素のフォトレジストが成形焼成する前に隣接する画素に流れることはない。これは、透明画素が区切りされている隙間は多くなると、より多くの液体フォトレジストを受容できるためである。
【0083】
本出願は様々な修正や代替可能の形態を含んでいる。本発明の特定の実施形態は既に図面により実施例も組み合わせて示されており、さらに本明細書に詳細に記載されている。ただし、本出願は開示された特定の形態に限定されることを意図しない。反対に、本出願は本発明の範囲を逸脱することなく様々な修正や、均等物、及び代替可能の形態のいずれも含むと解釈されるべきである。本出願の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法律上の均等物によって規定される。