(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854911
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地および培養方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20210329BHJP
C12P 13/06 20060101ALN20210329BHJP
C12R 1/15 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
C12N1/20 A
!C12P13/06 C
C12R1:15
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-549626(P2019-549626)
(86)(22)【出願日】2017年12月1日
(65)【公表番号】特表2019-536482(P2019-536482A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】CN2017114198
(87)【国際公開番号】WO2018099452
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】201611093973.X
(32)【優先日】2016年12月2日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519199783
【氏名又は名称】武▲漢▼▲遠▼大弘元股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲梅▼ 雪臣
(72)【発明者】
【氏名】王 炯
(72)【発明者】
【氏名】万 坤
(72)【発明者】
【氏名】宋 盟▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼ ▲パン▼▲パン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ ▲海▼霞
(72)【発明者】
【氏名】李 敬
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲愛▼福
【審査官】
松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−181791(JP,A)
【文献】
特表2016−519949(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01916308(EP,A1)
【文献】
特開昭62−061593(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101423851(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第101235401(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第104878051(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第101235402(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第101457243(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105886431(CN,A)
【文献】
米国特許第05164307(US,A)
【文献】
KISUMI, M.,Studies on the Isoleucine Fermentation,The Journal of Biochemistry,1962年,Vol.52, No.6,pp.390-399
【文献】
ZOU, H. et al.,The metabolism and biotechnological application of betaine in microorganism,Appl Microbiol Biotechnol,2016年 3月23日,Vol.100,pp.3865-3876
【文献】
XU, J. et al.,An Overlooked Effect of Glycine Betaine on Fermentation: Prevents Caramelization and Increases the L-Lysine Production,J. Microbiol. Biotechnol.,2014年 7月15日,Vol.24, No.10,pp.1368-1376
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00−41/00
C12N 1/00− 7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎培地および成長因子を含み、前記成長因子はコリン、ベタインおよびビタミンB6からなり、各成分の発酵培地に占める含有量はコリン0.2〜1.0g/L、ベタイン0.25〜0.5mg/L、ビタミンB6 0.05〜0.3mg/Lであることを特徴とするL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項2】
コリン0.3〜0.8g/Lを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項3】
コリン0.4〜0.6g/Lを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項4】
コリン0.3、0.4、0.5、0.6または0.8g/Lを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項5】
ベタイン0.25、0.3、0.35、0.4または0.5mg/Lを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項6】
ビタミンB6 0.05、0.1、0.15、0.2または0.3mg/Lを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項7】
前記基礎培地は以下の成分を含有し、各成分の発酵培地に占める含有量は、コーンスティープリカー15〜25ml/L、ブドウ糖240〜300g/L、尿素20〜25g/L、リン酸水素二カリウム0.4〜0.8g/L、硫酸マグネシウム0.6〜0.8g/L、ビタミンB1 0.2〜0.4mg/L、硫酸第一鉄0.015〜0.03mg/L、トウモロコシ油1〜5ml/L、シルクペプチド粉2〜4g/L、消泡剤30〜50ml/Lであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項8】
前記発酵培地は、コーンスティープリカー15ml/L、ブドウ糖240g/L、尿素25g/L、リン酸水素二カリウム0.4g/L、硫酸マグネシウム0.6g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.015mg/L、トウモロコシ油1ml/L、ベタイン0.3mg/L、シルクペプチド粉3g/L、ビタミンB6 0.3mg/L、コリン0.5g/L、消泡剤34ml/Lを含むことを特徴とする請求項7に記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項9】
前記発酵培地は、
コーンスティープリカー15ml/L、ブドウ糖300g/L、尿素20g/L、リン酸水素二カリウム0.4g/L、硫酸マグネシウム0.6g/L、ビタミンB1 0.4mg/L、硫酸第一鉄0.03mg/L、トウモロコシ油5ml/L、ベタイン0.4mg/L、シルクペプチド粉4g/L、ビタミンB6 0.2mg/L、コリン0.5g/L、消泡剤50ml/L;または、
コーンスティープリカー25ml/L、ブドウ糖240g/L、尿素25g/L、リン酸水素二カリウム0.8g/L、硫酸マグネシウム0.8g/L、ビタミンB1 0.2mg/L、硫酸第一鉄0.015mg/L、トウモロコシ油1ml/L、ベタイン0.5mg/L、シルクペプチド粉4g/L、ビタミンB6 0.1mg/L、コリン0.3g/L、消泡剤30ml/L;または
コーンスティープリカー20ml/L、ブドウ糖260g/L、尿素23g/L、リン酸水素二カリウム0.6g/L、硫酸マグネシウム0.7g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.02mg/L、トウモロコシ油3ml/L、ベタイン0.25mg/L、シルクペプチド粉3g/L、ビタミンB6 0.05mg/L、コリン0.6g/L、消泡剤40ml/L;または
コーンスティープリカー16ml/L、ブドウ糖280g/L、尿素21g/L、リン酸水素二カリウム0.5g/L、硫酸マグネシウム0.7g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.02mg/L、トウモロコシ油2ml/L、ベタイン0.35mg/L、シルクペプチド粉3g/L、ビタミンB6 0.15mg/L、コリン0.4g/L、消泡剤40ml/L;
を含むことを特徴とする請求項7に記載のL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地。
【請求項10】
L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムを請求項1〜9のいずれかに記載の発酵培地に接種し、発酵させることを特徴とするL−イソロイシン酸生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法。
【請求項11】
菌液の体積が発酵培地の体積の5〜20%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.5〜7に調整し、溶解酸素を30〜50%に制御し、25〜30h発酵させ、その後、溶解酸素を15〜25%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3〜4%になるように50〜80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて60〜70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を29〜33℃に制御することを特徴とする請求項10に記載のL−イソロイシン酸生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法。
【請求項12】
菌液の体積が発酵培地の体積の10〜15%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.7〜6.8に調整し、溶解酸素を30〜40%に制御し、26〜28h発酵させ、その後、溶解酸素を18〜20%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3.5〜3.8%になるように70〜80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて64〜70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を30〜32℃に制御することを特徴とする請求項11に記載のL−イソロイシン酸生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法。
【請求項13】
菌液の体積が発酵培地の体積の10%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.8に調整し、溶解酸素を30%に制御し、26h発酵させ、その後、溶解酸素を20%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3.5%になるように80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を31℃に制御することを特徴とする請求項10に記載のコリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法。
【請求項14】
菌液の体積が発酵培地の体積の5%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.5に調整し、溶解酸素を30%に制御し、25h発酵させ、その後、溶解酸素を15%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3%になるように80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて60時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を33℃に制御する;または、
菌液の体積が発酵培地の体積の20%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを7に調整し、溶解酸素を50%に制御し、30h発酵させ、その後、溶解酸素を25%に低下させ、そして発酵液に残存糖が4%になるように50%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を29℃に制御する;または、
菌液の体積が発酵培地の体積の15%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.7に調整し、溶解酸素を40%に制御し、28h発酵させ、その後、溶解酸素を18%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3.8%になるように70%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて64時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を30℃に制御する;または、
菌液の体積が発酵培地の体積の12%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.8に調整し、溶解酸素を30%に制御し、27h発酵させ、その後、溶解酸素を20%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3.5%になるように80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を32℃に制御する;
ことを特徴とする請求項10に記載のコリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願日が2016年12月02日の中国特許出願CN201611093973.Xの優先権を要求する。本願は上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、微生物発酵の分野に属し、具体的に、L−イソロイシンを生産するためのコリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地および培養方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、L−イソロイシンの医薬・保健、食品加工・飼料工業における応用・研究の進展につれ、市場のL−イソロイシンに対する需要は増えてきた。L−イソロイシンは、すでに工業的生産が実現したものの、現在、生産量はまだ需要に満足できない。現在、我が国では、L−イソロイシンの需要の不足が大きく、しかも年間需要量が年々増えている。我が国のL−イソロイシン生産は、酸生産量が低い、糖−酸変換率が低い、抽出率が低いなどの多くの問題に直面している。我が国では、L−イソロイシンの生産量のレベルは25〜30g/Lで、抽出率は65〜70%で、国内で最も高い糖−酸変換率は18〜20%で、一般的な糖−酸変換率は15%程度である。江南大学によって2014年に出願された特許CN104480057Aでは、糖−酸変換率は12.4%だけで、天津科技大学によって2015年に出願された特許CN104878051Aでは、5L発酵タンクの酸生産量は40.05g/Lで、糖−酸変換率は18.7%である。一方、日本では、L−イソロイシンの酸生産量のレベルは30〜35g/Lで、抽出率は70〜75%である(李静ら、CN104450815A、2014)。日本味の素では、L−イソロイシンの酸生産レベルは3.5%で、抽出率は70%であることが報告された(馮珍全ら、L−イソロイシンの応用の現状およびその未来の展望、2013)。近年、原料の値上がりや労働コストの上昇はいずれもL−イソロイシンの生産にチャレンジをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願CN201611093973.X号
【特許文献2】中国特許公開公報CN104480057A号
【特許文献3】中国特許公開公報CN104878051A号
【特許文献4】中国特許公開公報CN104450815A号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】馮珍全ら、L−イソロイシンの応用の現状およびその未来の展望、2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、現在L−イソロイシンの生産効率が低いという現状に対し、大幅に糖−酸変換率を上げることによって、生産効率を向上させることができる、L−イソロイシンを生産するためのコリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地および培養方法提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地は、基礎培地および成長因子を含み、前記成長因子はコリン、ベタインおよびビタミンB6からなり、各成分の発酵培地に占める含有量はコリン0.2〜1g/L、ベタイン0.25〜0.5mg/L、ビタミンB6 0.05〜0.3mg/Lである。
【0008】
好ましくは、前記基礎培地は以下の成分からなり、各成分の発酵培地に占める含有量は、コーンスティープリカー15〜25ml/L、ブドウ糖240〜300g/L、尿素20〜25g/L、リン酸水素二カリウム0.4〜0.8g/L、硫酸マグネシウム0.6〜0.8g/L、ビタミンB1 0.2〜0.4mg/L、硫酸第一鉄0.015〜0.03mg/L、トウモロコシ油1〜5ml/L、シルクペプチド粉2〜4g/L、消泡剤30〜50ml/Lである。
【0009】
より好ましくは、各成分の発酵培地に占める含有量は、コーンスティープリカー15ml/L、ブドウ糖240g/L、尿素25g/L、リン酸水素二カリウム0.4g/L、硫酸マグネシウム0.6g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.015mg/L、トウモロコシ油1ml/L、ベタイン0.3mg/L、シルクペプチド粉3g/L、ビタミンB6 0.3mg/L、コリン0.5g/L、消泡剤34ml/Lである。
【0010】
本発明によって提供されるL−イソロイシン酸生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法は、L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムを前記の発酵培地に菌液の体積が発酵培地の体積の5〜20%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.5〜7に調整し、溶解酸素を30〜50%に制御し、25〜30h発酵させ、その後、溶解酸素を15〜25%制御し、そして発酵液に残存糖が3〜4%になるように50〜80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて60〜70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を29〜33℃に制御する。
【0011】
発酵培養方法は、好ましくは、L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムを請求項1〜3のいずれかに記載の発酵培地に菌液の体積が発酵培地の体積の10%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.8に調整し、溶解酸素を30%に制御し、26h発酵させ、その後、溶解酸素を20%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3.5%になるように80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を31℃に制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有益な効果は、本発明は培地にコリン、ベタイン、ビタミンB6といった3種類の成長因子を添加することによって、コリネバクテリウムグルタミカムに成長因子を提供し、その細胞内外の浸透圧のバランスを維持し、アミノ酸の合成・代謝を促進することで、L−イソロイシンの生産量および糖−酸変換率を向上させることができることである。本発明によって提供される培地および培養方法は生産効率が高い、生産周期が短いといった利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
実施例1
L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)の発酵培地は、基礎培地および成長因子からなり、各成分の発酵培地における含有量は以下の通りである。
【0014】
基礎培地:コーンスティープリカー15ml/L、ブドウ糖240g/L、尿素25g/L、リン酸水素二カリウム0.4g/L、硫酸マグネシウム0.6g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.015mg/L、トウモロコシ油1ml/L、シルクペプチド粉3g/L、消泡剤34ml/L。
成長因子:ベタイン0.3mg/L、コリン0.5g/L、ビタミンB6 0.3mg/L。
【0015】
混合後、121℃で25min滅菌した。
液体シード培地:ブドウ糖一水和物17g/L、コーンスティープリカー10ml/L、尿素1g/L、無水硫酸マグネシウム0.5g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、シルクペプチド粉0.1g/L、ビタミンB1 0.1mg/L、トウモロコシ油0.1g/L、炭酸カルシウム2mg/100ml。NaOHでpH7.0に調整し、121℃で20min滅菌した。
【0016】
試験管の斜面におけるL−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムを接種リングで1回取り、シード培地に接種し、往復式シェーカーで31℃、105rpmで24h培養してシード培地菌液を得た。
【0017】
コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法:コリネバクテリウムグルタミカムを上記発酵培地に菌液の体積が発酵培地の体積の10%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.8に調整し、溶解酸素を30%に制御し、26h発酵させ、その後、溶解酸素を20%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3.5%(重量含有量)になるように重量含有量が80%のブドウ糖溶液を流し込み、続いて70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を31℃に制御した。
【0018】
実施例2
L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地は、基礎培地および成長因子からなり、各成分の発酵培地における含有量は以下の通りである。
【0019】
コーンスティープリカー15ml/L、ブドウ糖300g/L、尿素20g/L、リン酸水素二カリウム0.4g/L、硫酸マグネシウム0.6g/L、ビタミンB1 0.4mg/L、硫酸第一鉄0.03mg/L、トウモロコシ油5ml/L、シルクペプチド粉2g/L、消泡剤50ml/L、コリン0.8g/L、ベタイン0.4mg/L、ビタミンB6 0.2mg/L。
【0020】
コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法:コリネバクテリウムグルタミカムを発酵培地に菌液の体積が発酵培地の体積の5%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.5に調整し、溶解酸素を30%に制御し、25h発酵させ、その後、溶解酸素を15%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3%になるように80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて60時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を33℃に制御した。
【0021】
実施例3
L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地は、基礎培地および成長因子からなり、各成分の発酵培地における含有量は以下の通りである。
【0022】
コーンスティープリカー25ml/L、ブドウ糖240g/L、尿素25g/L、リン酸水素二カリウム0.8g/L、硫酸マグネシウム0.8g/L、ビタミンB1 0.2mg/L、硫酸第一鉄0.015mg/L、トウモロコシ油1ml/L、シルクペプチド粉4g/L、消泡剤30ml/L、コリン0.3g/L、ベタイン0.5mg/L、ビタミンB6 0.1mg/L。
【0023】
コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法:コリネバクテリウムグルタミカムを発酵培地に菌液の体積が発酵培地の体積の20%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを7に調整し、溶解酸素を50%に制御し、30h発酵させ、その後、溶解酸素を25%に低下させ、そして発酵液に残存糖が4%になるように50%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を29℃に制御した。
【0024】
実施例4
L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地は、基礎培地および成長因子からなり、各成分の発酵培地における含有量は以下の通りである。
【0025】
コーンスティープリカー20ml/L、ブドウ糖260g/L、尿素23g/L、リン酸水素二カリウム0.6g/L、硫酸マグネシウム0.7g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.02mg/L、トウモロコシ油3ml/L、シルクペプチド粉3g/L、消泡剤40ml/L、コリン0.6g/L、ベタイン0.25mg/L、ビタミンB6 0.05mg/L。
【0026】
コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法:コリネバクテリウムグルタミカムを発酵培地に菌液の体積が発酵培地の体積の15%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.7に調整し、溶解酸素を40%に制御し、28h発酵させ、その後、溶解酸素を18%に低下させ、そして発酵液に残存糖が3.8%になるように70%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて64時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を30℃に制御した。
【0027】
実施例5
L−イソロイシン生産コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培地は、基礎培地および成長因子からなり、各成分の発酵培地における含有量は以下の通りである。
【0028】
コーンスティープリカー16ml/L、ブドウ糖280g/L、尿素21g/L、リン酸水素二カリウム0.5g/L、硫酸マグネシウム0.7g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.02mg/L、トウモロコシ油2ml/L、シルクペプチド粉3g/L、消泡剤40ml/L、コリン0.4g/L、ベタイン0.35mg/L、ビタミンB6 0.15mg/L。
【0029】
コリネバクテリウムグルタミカムの発酵培養方法:コリネバクテリウムグルタミカムを発酵培地に菌液の体積が発酵培地の体積の12%を占めるように接種し、アンモニア水でpHを6.8に調整し、溶解酸素を30%に制御し、27h発酵させ、その後、溶解酸素を20%制御し、そして発酵液に残存糖が3.5%になるように80%ブドウ糖溶液を流し込み、続いて70時間まで発酵させて発酵を停止し、発酵全体の過程の温度を32℃に制御した。
【0030】
試験例
比較例1
コーンスティープリカー15ml/L、ブドウ糖240g/L、尿素25g/L、リン酸水素二カリウム0.4g/L、硫酸マグネシウム0.6g/L、ビタミンB1 0.3mg/L、硫酸第一鉄0.015mg/L、トウモロコシ油1ml/L、シルクペプチド粉3g/L、消泡剤34ml/L。
【0031】
発酵培養方法は実施例1と同様である。
【0032】
比較例2
比較例1に基づいてベタイン0.3mg/Lを加えた。発酵培養方法は実施例1と同様である。
【0033】
比較例3
比較例1に基づいてコリン0.5g/Lを加えた。発酵培養方法は実施例1と同様である。
【0034】
比較例4
比較例1に基づいてビタミンB6 0.3mg/Lを加えた。発酵培養方法は実施例1と同様である。
【0035】
発酵液におけるL−イソロイシンの含有量を検出し(検出方法は唐涛、「アミノ酸プレカラム誘導体化のHPLC方法の発展および応用」修士論文、南京理工大学、2006.5を参照する)、L−イソロイシンの生産量を計算し、培地における糖含有量から糖−酸変換率を算出し、結果を下記表1に示す。
【0037】
以上の結果から、基礎培地に2種類の成長因子を添加すると、L−イソロイシン含有量および糖−酸変換率を向上させることができ、同時に添加する場合、生産量および変換率の増加が最も顕著であったことがわかる。
【0038】
以上、本発明の具体的な実施形態を記述したが、当業者にとって、これらは例示の説明にすぎず、本発明の原理と実質に反しないという前提下で、これらの実施形態に対して様々な変更や修正をすることができる。そのため、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。