特許第6854913号(P6854913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854913
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】内視鏡装置、医療デバイスおよび帯状体
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20210329BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   A61B1/00 711
   A61B1/018 515
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-549894(P2019-549894)
(86)(22)【出願日】2018年8月28日
(86)【国際出願番号】JP2018031840
(87)【国際公開番号】WO2019087550
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年1月14日
(31)【優先権主張番号】特願2017-210227(P2017-210227)
(32)【優先日】2017年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 雄偉
(72)【発明者】
【氏名】大田 司
(72)【発明者】
【氏名】吉永 卓斗
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−124101(JP,U)
【文献】 特開2007−111541(JP,A)
【文献】 特表2007−530155(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0089008(US,A1)
【文献】 実開平06−065682(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入される第1の挿入部に連設された第1の操作部を備えた内視鏡と、
前記第1の挿入部を介して前記被検体に挿入される第2の挿入部に連設された第2の操作部を備え、前記第2の操作部に少なくとも1つの係止部が設けられた医療デバイスと、
柔軟性を備え、少なくとも3つの端部のうちの少なくとも1つが前記係止部に係止される被係止部を有し、前記内視鏡に巻き付けて、前記医療デバイスの前記第2の操作部を前記少なくとも3つの端部が前記第2の操作部に接続した状態で保持固定する帯状体と、
を具備することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記内視鏡が前記第1の挿入部および前記第1の操作部に設けられた管路を備えた親内視鏡であって、前記医療デバイスが前記第2の挿入部が前記管路に挿入される子内視鏡である請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記帯状体は、弾性を有して、前記内視鏡に巻き付けられて前記医療デバイスを保持固定することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記第1の操作部は、前記帯状体が巻き付けられて、前記医療デバイスが保持固定される前記第1の挿入部との連結部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記連結部は、円錐台形状を含み、
前記帯状体は、前記連結部の異なる外径部分に密着する2つの帯状部を有していることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記帯状体は、前記2つの帯状部のそれぞれの長手軸の成す角が所定の角度を有して一端部分が離間しており、2つの前記一端部分が前記第2の操作部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記帯状体は、前記少なくとも3つの端部の全てに前記係止部に係止される前記被係止部を有し、前記第2の操作部に着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
被検体に挿入される内視鏡に設けられた内視鏡操作部に固定されるデバイス操作部を備え、前記デバイス操作部に少なくとも1つの係止部が設けられた医療デバイスであって、
柔軟性を備え、少なくとも3つの端部のうちの少なくとも1つが前記係止部に係止される被係止部を有し、前記内視鏡に巻き付けて、前記少なくとも3つの端部が前記デバイス操作部に接続した状態で前記のデバイス操作部を前記内視鏡に保持固定する帯状体を具備することを特徴とする医療デバイス。
【請求項9】
弾性を有するとともに3つの端部を有し、前記3つの端部のそれぞれが同一の内視鏡の内視鏡操作部に固定される固定部を具備する帯状体であって、
前記3つの端部は前記内視鏡操作部の異なる3か所に固定されることを特徴とする帯状体
【請求項10】
前記帯状体はV字形状に形成されることを特徴とする請求項9に記載の帯状体。
【請求項11】
前記帯状体はY字形状に形成されることを特徴とする請求項9に記載の帯状体。
【請求項12】
前記同一の内視鏡はディスポーザブル内視鏡であることを特徴とする請求項9に記載の帯状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡と、この内視鏡と共に使用される挿入デバイスなどを備えた内視鏡装置、医療デバイスおよび帯状体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用分野においては、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察することが出来る内視鏡が広く用いられている。
【0003】
このような内視鏡は、種々の手技、検査などに応じて、他の例えば挿入デバイスなどの医療デバイスと共に用いられる。このような内視鏡および医療デバイスを有する内視鏡装置には、例えば、胆管内や膵管内の観察や治療を行う際に用いられる内視鏡としていわゆる親子式内視鏡と呼ばれるものが実用化されている。
【0004】
この親子式内視鏡とは、親内視鏡となる通常サイズの内視鏡、例えば十二指腸用内視鏡の処置具挿通チャンネルに、ここでの医療デバイスである子内視鏡である細径の内視鏡を挿通させて胆管内や膵管内の観察や治療を行うようにするものである。
【0005】
このような従来の親子式内視鏡については、例えば、米国特許US7,922,650B2によって種々の形態のものが提案されており、また実用化されている。
【0006】
米国特許US7,922,650B2によって開示されている従来の親子式内視鏡は、親内視鏡の操作部に子内視鏡をバンドによって固定するものとなっている。
【0007】
しかしながら、従来の内視鏡装置として親子式内視鏡では、親内視鏡の操作部の挿入部の連結部分に設けられた円筒状または円錐台形状の折れ止め部分に帯状の1つのバンドを用いて医療デバイスである子内視鏡の操作部を固定しており、子内視鏡の固定が不安定であるという課題があった。これにより、子内視鏡が親内視鏡からずれ落ちる可能性があったり、子内視鏡の親内視鏡への固定の状態によっては子内視鏡の操作がし難かったりするという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡に装着する医療デバイスを安定的に固定でき、医療デバイスがずれ落ちることなく操作性が向上する内視鏡装置、医療デバイスおよび帯状体を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様における内視鏡装置は、被検体に挿入される第1の挿入部に連設された第1の操作部を備えた内視鏡と、前記第1の挿入部を介して前記被検体に挿入される第2の挿入部に連設された第2の操作部を備え、前記第2の操作部に少なくとも1つの係止部が設けられた医療デバイスと、柔軟性を備え、少なくとも3つの端部のうちの少なくとも1つが前記係止部に係止される被係止部を有し、前記内視鏡に巻き付けて、前記医療デバイスの前記第2の操作部を前記少なくとも3つの端部が前記第2の操作部に接続した状態で保持固定する帯状体と、を具備する。
本発明の一態様における医療デバイスは、被検体に挿入される内視鏡に設けられた内視鏡操作部に固定されるデバイス操作部を備え、前記デバイス操作部に少なくとも1つの係止部が設けられた医療デバイスであって、柔軟性を備え、少なくとも3つの端部のうちの少なくとも1つが前記係止部に係止される被係止部を有し、前記内視鏡に巻き付けて、前記少なくとも3つの端部が前記デバイス操作部に接続した状態で前記のデバイス操作部を前記内視鏡に保持固定する帯状体を具備する。
本発明の一態様における帯状体は、弾性を有するとともに3つの端部を有し、前記3つの端部のそれぞれが同一の内視鏡の内視鏡操作部に固定される固定部を具備する帯状体であって、前記3つの端部は前記内視鏡操作部の異なる3か所に固定される
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態の内視鏡装置の構成を示す平面図
図2】同、子内視鏡の構成を示す左側面図
図3】同、子内視鏡の構成を示す正面図
図4】同、子内視鏡の構成を示す背面図
図5】同、子内視鏡の構成を示す上面図
図6】同、子内視鏡の構成を示す斜視図
図7】同、固定バンドの構成を示す平面図
図8】同、固定バンドの構成を示す側面図
図9】同、固定バンドの構成を示す上面図
図10】同、固定バンドの端部を操作部の外装ケース体に固定する前の状態を示す模式断面図
図11】同、固定バンドの端部を操作部の外装ケース体に固定した状態を示す模式断面図
図12】同、図11のXII−XII線に沿った断面図
図13】同、子内視鏡が親内視鏡に固定された状態を示す内視鏡装置の側面図
図14】同、子内視鏡が親内視鏡に固定された状態を示す内視鏡装置の背面図
図15】第1の変形例に係り、子内視鏡の操作部に着脱自在な固定バンドを示す斜視図
図16】第2の変形例に係り、固定バンドの構成を示す平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。また、以下の説明においては、図の紙面に向かって見た上下方向を構成要素の上部および下部として説明している場合がある。
図1は、内視鏡装置の構成を示す平面図、図2は子内視鏡の構成を示す左側面図、図3は子内視鏡の構成を示す正面図、図4は子内視鏡の構成を示す背面図、図5は子内視鏡の構成を示す上面図、図6は子内視鏡の構成を示す斜視図、図7は固定バンドの構成を示す平面図、図8は固定バンドの構成を示す側面図、図9は固定バンドの構成を示す上面図、図10は固定バンドの端部を操作部の外装ケース体に固定する前の状態を示す模式断面図、図11は固定バンドの端部を操作部の外装ケース体に固定した状態を示す模式断面図、図12図11のXII−XII線に沿った断面図、図13は子内視鏡が親内視鏡に固定された状態を示す内視鏡装置の側面図、図14は子内視鏡が親内視鏡に固定された状態を示す内視鏡装置の背面図である。
【0012】
先ず、本実施の形態の内視鏡装置について以下に説明する。なお、ここでの内視鏡装置は、親内視鏡と、医療デバイスである子内視鏡と、を備える親子式内視鏡を例示する。
【0013】
本実施形態の内視鏡装置である親子式内視鏡1は、内視鏡である親内視鏡10と、この親内視鏡10に固定される医療デバイスである子内視鏡20と、によって構成される。なお、ここでの子内視鏡20は、実施形態の一例として、例えば使用後に破棄されるディスポーザブルの医療デバイスである。
【0014】
親内視鏡10は、被検体に挿入される細長形状の挿入部11と、この挿入部11の基端側を連結する後述の折れ止め部(12a)が設けられた操作部12と、によって構成される。
【0015】
挿入部11は、外径直径が10mm程度、長さは約1.2m程度に形成されていて、先端側から順に先端部本体13、湾曲部14および可撓管部15が連接して構成されている。
【0016】
挿入部11の内部には、図示しない管路である処置具挿通チャンネルが形成されている。この処置具挿通チャンネルは、操作部12に設けられる処置具挿通部16から先端部本体13まで挿通している。処置具挿通部16には、ディスポーザブルの鉗子栓16aが着脱自在となっている。
【0017】
なお、処置具挿通チャンネルには、例えば処置具などのほか、子内視鏡20の挿入部21を挿通させることができるようになっている。
【0018】
先端部本体13の内部には、処置具挿通チャンネル(不図示)に挿通させ、その先端部分の側方に設けられた開口から突出する処置具、子内視鏡20の挿入部21などを起上させるための図示しない処置具起上台が設けられている。即ち、親内視鏡10は、側視/斜視型の内視鏡となっている。
【0019】
挿入部11の先端部本体13または操作部12内には、ここでは図示しないが、対物光学系、CCD、CMOSなどのイメージセンサなどを内蔵した撮像ユニット、ライトガイドバンドルによって伝送された照明光を照射する照明光学系などが配設されている。
【0020】
操作部12は、親内視鏡10を操作するのに必要な各種の操作部材と、この親内視鏡10のコントロールを行う内視鏡ユニット(図示せず)との間の接続を行うユニバーサルケーブル17などを有して構成される。このユニバーサルケーブル17の延出端には、光源装置などの外部機器(不図示)に着脱自在な内視鏡コネクタ17aが設けられている。
【0021】
挿入部11の可撓管部15は、受動的に湾曲可能な可撓性を有する管状部材によって構成されている。この可撓管部15の内部には、撮像ケーブル、ライトガイドバンドル、処置具挿通チャンネルおよび送気送水用チューブが挿通されている(何れも不図示)。操作部12の操作部材としては、湾曲部14を湾曲操作する一対の湾曲操作ノブ18、処置具起上台を倒置させたり起上させたりするための操作レバー19などが設けられている。
【0022】
挿入部11の湾曲部14は、術者である使用者などの一対の湾曲操作ノブ18の回動操作入力に応じて、上下左右方向(UP−DOWN/RIGHT−LEFT)を含む挿入軸O周りの全周方向へと能動的に湾曲させ得るように構成されている。
【0023】
ここで、本実施の形態の親内視鏡10と共に使用される医療デバイスである子内視鏡20の構成について、以下に詳しく説明する。
図1から図6に示す、子内視鏡20は、細長形状の挿入部21と、この挿入部21の基端側に連設される操作部22とによって構成される。
【0024】
挿入部21は、外径直径が3〜4mm程度、長さは約2m程度に形成されていて、先端側から順に観察窓、照明窓(不図示)などが配置された先端部本体23と、湾曲部24と、可撓管部25とが連接して構成されている。
【0025】
挿入部21の先端部本体23または操作部22内には、親内視鏡10と同様に、ここでは図示しないが、対物光学系、CCD、CMOSなどのイメージセンサなどを内蔵した撮像ユニット、照明光を照射するLED光源、照明光学系などが配設されている。
【0026】
操作部22は、湾曲部24を湾曲操作する一対の湾曲操作ノブ26と、その他、子内視鏡20を操作するのに必要な各種の操作部材と、が設けられている。
【0027】
また、子内視鏡20の操作部22には、後述する固定バンド31を着脱自在に係止する係止部であるフック部41が設けられており、一対の湾曲操作ノブ26とは反対側の親内視鏡10の操作部12への装着側となる外装部分に凹部42が形成されている。
【0028】
挿入部21の湾曲部24は、親内視鏡10と同様に、術者である使用者などの一対の湾曲操作ノブ26の回動操作入力に応じて、上下左右方向(UP−DOWN/RIGHT−LEFT)を含む挿入軸O周りの全周方向へと能動的に湾曲させ得るように構成されている。
【0029】
なお、子内視鏡20の挿入部21には、造影剤などを注入するための図示しないチャンネルが設けられている。このチャンネルは、先端が先端部本体23で開口し、基端が操作部22に設けられた口金27で開口している。なお、フック部41は、口金27と離反する操作部22の外装部に設けられている。
【0030】
また、操作部22からは、撮像用、給電用などのケーブル、送気送水チューブ、吸引チューブなどのケーブル/チューブ類28が延設されている。
【0031】
ここで、子内視鏡20の操作部22には、親内視鏡10の操作部12に巻き付けて固定するための柔軟性を有した帯状体である固定バンド31が設けられている。
【0032】
固定バンド31は、外形が略三角形状、例えば、アルファベットの略A形状を成すシリコーンゴムなどの樹脂から形成されて弾性を有している。
【0033】
具体的には、固定バンド31は、図7に示すように、第1の帯状部32と第2の帯状部33の長手軸A,Bの成す角が所定の角度θに設定されたV字(またはY字)形状をなすように、第1の帯状部32と第2の帯状部33とに分岐しており、これら分岐した第1の帯状部32と第2の帯状部33の間を繋ぐ縁部が円弧状となった結合帯37が形成されている。
【0034】
第2の帯状部33と離間する第1の帯状部32の端部34には、図8および図9に示すように、一面から突出するように外向フランジ状の係止部34aが形成されている。同様に、第1の帯状部32と離間する第2の帯状部33の端部35には、一面から突出するように外向フランジ状の係止部35aが形成されている。
【0035】
第1の帯状部32と第2の帯状部33の結合側の端部36には、被係止部である係止孔であるフック孔38が形成され、第1の帯状部32と第2の帯状部33の各端部34,35から離反する方向に傾斜するように盛り上がった指掛凸部39を有している。
【0036】
このように構成された固定バンド31は、図10から図12に示すように、第1の帯状部32と第2の帯状部33のそれぞれの端部34,35が子内視鏡20の操作部22の外装を形成する2つの外装ケース体22a,22bの接合ラインに沿って固定される。
【0037】
具体的には、2つの外装ケース体22a,22bには、接合する縁辺のそれぞれに矩形状の凹部22c,22dが形成されている。そして、第1の帯状部32と第2の帯状部33の外向フランジ部分を内面で係止するように凹部22c,22dが、それぞれの係止部34a,35aを挟み込むように、2つの外装ケース体22a,22bが接合される。
【0038】
これにより、固定バンド31は、第1の帯状部32と第2の帯状部33の各端部34,35が子内視鏡20の操作部22に接続される。なお、ここでの固定バンド31は、第1の帯状部32の端部34が操作部22の口金27に沿った上方位置で接続され、第2の帯状部33の端部35が操作部22の口金27に沿った下方位置で接続される。即ち、固定バンド31は、操作部22の2箇所で所定の距離に離間する位置で固定される(図3参照)。
【0039】
以上のように構成された内視鏡装置である親子式内視鏡1は、図1に示したように、親内視鏡10の操作部12の処置具挿通部16よりも先端側(図における下方側)となる挿入部11側に子内視鏡20の操作部22が装着される。
【0040】
詳述すると、子内視鏡20は、図13および図14に示すように、操作部22が親内視鏡10の操作部12に設けられた挿入部11との連結部である円錐台形状の折れ止め部12aに固定バンド31が巻き付けられて保持固定される。
【0041】
このとき、固定バンド31は、子内視鏡20の操作部22に設けられた係止部のフック部41に第1の帯状部32と第2の帯状部33の結合側の端部36に形成された被係止部のフック孔38が引っ掛けられて係止されることで接続される。また、子内視鏡20の操作部22は、凹部42(図5および図6参照)が折れ止め部12aに対向するように、親内視鏡10の操作部12に固定される。
【0042】
このように、子内視鏡20は、固定バンド31によって、第1の帯状部32と第2の帯状部33の離間する2つの端部34,35および第1の帯状部32と第2の帯状部33の結合側の端部36の合計3箇所(3点)で親内視鏡10の折れ止め部12aに固定される。
【0043】
また、子内視鏡20は、本実施の形態のように折れ止め部12aが上方側から下方側に向けて径が細くなる円錐形状であっても、弾性を有する固定バンド31の第1の帯状部32と第2の帯状部33の裏面が円錐台形状の折れ止め部12aの外径の異なる表面に密着し安定して固定される。
【0044】
つまり、V字(またはY字)形状に分岐した弾性を有する固定バンド31が3箇所で固定されるので、折れ止め部12aのように親内視鏡10の径が一定でない部分に子内視鏡20を固定する場合であっても、1回の固定作業により径が一定でない部分に密着することができるので、単なる直線形状等の帯状のバンド一本又は複数本により親内視鏡10に子内視鏡20を固定する場合よりも取り付けが容易で安定性が高くなる。
【0045】
そのため、子内視鏡20は、親内視鏡10の操作部12の折れ止め部12aからずれ落ちたりすることなく、安定して折れ止め部12aに固定されるため、各種操作時に動き難くなり操作性が向上する。
【0046】
以上の説明から、本実施の形態の内視鏡装置である親子式内視鏡1は、固定バンド31によって、親内視鏡10の操作部12に固定する医療デバイスである子内視鏡20を安定的に固定でき、子内視鏡20がずれ落ちることなく安定して固定されて操作性を向上することができる構成となる。
【0047】
なお、子内視鏡20は、親内視鏡10の操作部12の折れ止め部12aでなくとも、例えば、処置具挿通部16と湾曲操作ノブ18との間の操作部12に固定バンド31によって固定してもよいし、挿入部11の根元部分に固定バンド31によって固定してもよい。
【0048】
さらに、固定バンド31は、子内視鏡20の操作部22に固定する端部を1つとして、2つの端部がそれぞれフック部41に係止されて3箇所(3点)で親内視鏡10に子内視鏡20を固定する構成としてもよい。
【0049】
(第1の変形例)
図15は、第1の変形例に係り、子内視鏡の操作部に着脱自在な固定バンドを示す斜視図である。
図15に示すように、固定バンド31は、第1の帯状部32と第2の帯状部33の離間する2つの端部34,35のそれぞれに被係止部となる孔部51,52を設けて、子内視鏡20の操作部22に孔部51,52に係入する球体などの拡径ヘッドを有した係止部である係止体53,54に対して着脱自在な構成としてもよい。
【0050】
このような構成とすることで、子内視鏡20は、使用前後に滅菌消毒して繰り返し使用できるリユースタイプとすることができる。なお、固定バンド31は、使用後に破棄するディポーザブルタイプでも滅菌消毒して再利用するリユースタイプでもよい。
【0051】
(第2の変形例)
図16は、第2の変形例に係り、固定バンドの構成を示す平面図である。
図16に示すように、固定バンド31は、第1の帯状部32と第2の帯状部33の離間する2つの端部34,35に離反する2つの端部36a,36bが離間した略X形状としてもよい。各端部36a,36bには、それぞれ被係止部である係止孔38a,38bが形成されている。
【0052】
なお、子内視鏡20は、図示しないが操作部22に2つの係止部であるフック部41が設けられて、各端部36a,36bの係止孔38a,38bが引っ掛けられ、親内視鏡10の操作部12に固定される。
【0053】
このような構成では、子内視鏡20は、第1の帯状部32と第2の帯状部33の離間する2つの端部34,35および2つの端部36a,36bの合計4箇所(4点)で親内視鏡10に保持固定される。これにより、より安定して子内視鏡20を親内視鏡10に固定することができる。
【0054】
なお、固定バンド31は、端部の数を増やせば、4箇所以上で子内視鏡20を親内視鏡10に保持固定でき、より安定した固定保持力が得られるものである。
【0055】
なお、図16に示す第2の変形例と同様の効果を有する固定バンド31の他形態として、2つの端部34,35をそれぞれ有する分岐した2つの帯状部が一旦1つに合流し、再び2つの端部36a,36bをそれぞれ有するように帯状部が2つに分岐するような略X形状としてもよい。
【0056】
上記の実施の形態では、親内視鏡10と子内視鏡20を有する親子式内視鏡を例示したが、これに限定されることなく、固定バンド31の構成は内視鏡と他の医療デバイス、例えば、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に用いられるようなカテーテル、処置具支持器具などを内視鏡に固定するものにも適用できる技術である。
【0057】
以上の実施の形態に記載した発明は、それらの形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
例えば、各形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0058】
本発明によれば、内視鏡に装着する医療デバイスを安定的に固定でき、医療デバイスがずれ落ちることなく操作性が向上する内視鏡装置を実現できる。
【0059】
本出願は、2017年10月31日に日本国に出願された特願2017−210227号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
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