(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチング素子は、前記窒化ガリウム系半導体基体を材料とするノーマリーオンの窒化ガリウム半導体スイッチと、前記窒化ガリウム半導体スイッチにカスコード接続され前記窒化ガリウム半導体スイッチをオン/オフするノーマリーオフの半導体スイッチとを組み合わせてなることを特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
前記半導体基体は平板状であり、前記スイッチング素子と前記ロゴスキーコイルは、前記平板に垂直方向から見て重ならないよう配置されていることを特徴とする請求項1乃至4項のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
前記半導体基体は平板状であり、前記スイッチング素子と前記ロゴスキーコイルは、前記平板に垂直方向から見て重なるよう配置されていることを特徴とする請求項1乃至4項のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
前記半導体基体は、前記スイッチング素子の前記第1電極・前記第2電極間を流れる電流が流れる配線と、前記配線の周回配線とを備え、前記周回配線を前記ロゴスキーコイルとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の半導体モジュールについて、図に示す実施形態に基づいて説明する。本発明の半導体モジュールは、少なくとも1との半導体素子と他の電気的素子とを組み合わせて1つにパッケージ化したものである。比較的大きな電流や電圧を扱うパワー半導体が含まれていてもよい。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の回路構成やグラフを厳密に反映したものではない。
【0021】
[実施形態]
1.実施形態に係る半導体モジュール1の構成
図1は実施形態に係る半導体モジュール1の回路図である。半導体モジュール1は、半導体基体1A(図示せず)と、スイッチング素子200と、制御回路部(スイッチング素子制御回路部)100と、電流検出素子500とを備える。制御回路部(スイッチング素子制御回路部)100はゲート電圧を制御し、スイッチング素子200をオン/オフ制御する。電流検出素子500は、スイッチング素子200の第1電極(ドレイン電極D)・第2電極(ソース電極S)間を流れる電流を検出する。スイッチング素子500、制御回路100及び電流検出素子500は半導体基体1Aに搭載される。電流検出素子500は、ロゴスキーコイルである。
実施形態に係る半導体モジュール1は、例えば高耐熱性・高絶縁性の樹脂やセラミックス等により形成されたパッケージで覆うことができる。実施形態に係る半導体モジュール1には、直流の電源電圧V
DDを入力する(+)側入力端子T1、接地側の(−)側入力端子T2、(+)側出力端子T3、接地側の(−)側出力端子T4、及び、モード指令信号(モード指令用の駆動信号、例えばモード指令用のゲートパルス)Pgを入力する制御端子T5が設けられている。
【0022】
(+)側入力端子T1と(−)側入力端子T2との間には、電源電圧V
DDを印加するためのゲートドライブ用電源300が接続されている。ゲートドライブ用電源300は、ゲート電圧制御部20を介してスイッチング素子200のゲート電極Gに所定の電圧を印加する。(+)側出力端子T3及び(−)側出力端子T4には、負荷回路400が接続されている。負荷回路400は、例えば、負荷抵抗410及び直流の負荷電源(負荷駆動用電源)420を有し、これらが(+)側出力端子T3と(−)側出力端子T4との間に直列に接続されている。なお、(−)側出力端子T4は接地されている。
【0023】
スイッチング素子200は、ドレイン電極D(第1電極)、ソース電極S(第2電極)や、ゲート電極Gを有するMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子200は、ゲート電極Gに閾値電圧(実際の閾値電圧Vth)を超えるゲート電圧を印加するとオン状態となり、ゲート電圧が閾値電圧を下回るとオフ状態となる。ゲート電圧は、電源電圧V
DDから作り出されるゲート電圧を用いて、後述するゲート電圧制御部20によって制御される。スイッチング素子200は、半導体スイッチ、フォトカプラー等、適宜のスイッチング素子を用いることができる。なお、実施形態においては、スイッチング素子200は、MOSFETである。また、スイッチング素子200は、GaN(窒化ガリウム)を含む材料により形成されたものである。
【0024】
スイッチング素子200のドレイン電極D(第1電極)は、(+)側出力端子T3を介して負荷回路400と接続され、かつ、後述するスイッチング素子SWM1を介して後述する閾値電圧測定用電源10Vと接続されている。スイッチング素子200のゲート電極Gは、ゲート電圧制御部20と接続されている。スイッチング素子200のソース電極S(第2電極)は電流検出部50と接続され、抵抗を介して(−)側出力端子T4と接続されている。
【0025】
実施形態に係るスイッチング素子制御回路100は、閾値電圧測定用電源10Vと、スイッチング素子SWM1と、ゲート電圧制御部20と、オン/オフ状態判定部30と、記憶部40と、電流検出部50とを備える。
【0026】
そして、半導体モジュール1(スイッチング素子制御回路100)はスイッチング素子200のゲート電圧の閾値を測定する測定モードと、測定モードで得られた閾値を用いてスイッチング素子200のスイッチングを制御し負荷400を駆動する制御モードを備え、これらを切り替えて実施できるよう構成されている。
閾値電圧測定用電源10Vは、測定モードでスイッチング素子200の閾値を測定するために使用する電源である。
ゲート電圧制御部20は、スイッチング素子200のゲート電極Gに印加するゲート電圧を制御する回路である。
ゲート電圧制御部20は、測定モードにおいては後述するオン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオフ状態であることを判定したときは、ゲート電圧が一段階高くなるようにゲート電圧を制御する(
図5参照。
図5のIdは第1電極D・第2電極S間を流れる電流(スイッチング電流)を示す。オンで急激に増加し、オフで急激に減少する。
図6も同様)。また、ゲート電圧制御部20は、後述するオン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオン状態であることを判定したときは、ゲート電極に印加したゲート電圧Vgsを閾値電圧として記憶部40へ送信する。
電流検出部50は、測定モードにおいて、スイッチング素子200のスイッチング電流Idを検出し、検出結果をオン/オフ状態判定部30に送信する。実施形態では電流検出素子500としてロゴスキーコイルを使用した。
オン/オフ状態判定部30は、測定モードにおいて、電流検出部50から受信した検出結果に基づいてスイッチング素子200のオン/オフ状態を判定する。
記憶部40は、測定モードにおいて、オン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオン状態になったことを判定したときにゲート電極Gに印加したゲート電圧をスイッチング素子200の閾値電圧に関連するゲート電圧関連情報として記憶するようにしてもよい。ゲート電圧関連情報としては、例えば、スイッチング素子200がオン状態になる最低のゲート電圧(値)自体、オンとなる最低のゲート電圧に一定の量の電圧を足した電圧(値)、最低のゲート電圧に対する所定倍数の電圧(値)(例えば105%、110%、115%・・)等がある。また、様々な値の電圧(値)表を別途に記憶し、そのうちのどの電圧(値)かを示す、表中の電圧ロケーション情報であってもよい。
【0027】
ゲート電圧制御部20は、(+)側入力端子T1を介してゲートドライブ用電源300と接続され、かつ、制御端子T5と接続されている。また、ゲート電圧制御部20は、記憶部40と接続されている。オン/オフ状態判定部30は、ゲート電圧制御部20、記憶部40及び電流検出部50とそれぞれ接続されている。
【0028】
なお、ゲートドライブ用電源300(V
DD)は、スイッチング素子制御回路100の電源も兼ねてよい。
負荷電源(負荷駆動用電源)420はゲートドライブ用電源をゲートドライブ用電源300(V
DD)と兼ねることもできる。そうすると、負荷電源420をゲートドライブ用電源をゲートドライブ用電源300(V
DD)と別個に用意しなくても済む。
負荷電源420の電圧がゲートドライブ用電源300(V
DD)より高い場合は負荷電源420からゲートドライブ用電源300(V
DD)をつくり出してもよいが両者を別電源としてもよい。負荷電源420の電圧がゲートドライブ用電源300(V
DD)より高い場合はスイッチング素子200に大きな電圧が印加され、または大きな電流が流れるが、低電圧電源(ゲートドライブ用電源300)を使用したゲート電圧でスイッチング素子200をオン/オフ制御できる。
閾値電圧測定用電源10Vはスイッチング素子200の閾値を精密に測定するにはゲートドライブ用電源300と別電源とするとよい。例えば、スイッチング素子200がオンの場合に大きな電流が流れても閾値を精密に測定できるよう、閾値電圧測定用電源10Vに大きな電流を供給できる電源とする場合である。そのような必要性がない場合は、ゲートドライブ用電源300を閾値電圧測定用電源として用いてもよい。
また、スイッチング素子SWM2は省略できる。例えば、半導体モジュール1に接続する前に負荷回路400を接続せずにスイッチング素子200の閾値電圧を測定する場合である。具体的には、SWM2を設けずに、半導体モジュール1に負荷400を接続しない状態でスイッチング素子SWM1をオンさせ、スイッチング素子200のゲートGにゲート電圧制御回路部20からゲート電圧を印加してスイッチング素子200をオン/オフさせ、電流検出素子500を使用して、スイッチング素子200の閾値(最小オンゲート電圧)を測定する。次に半導体モジュール1に負荷回路400を接続し、閾値測定結果に基づいてスイッチング素子200のオン/オフ制御をする。
【0029】
2.実施形態の半導体モジュールの動作
実施形態の半導体モジュール1は測定モードと制御モードとを有することができる。
【0030】
(1) 測定モードと制御モード
実施形態の半導体モジュール1(スイッチング素子制御回路100)は、負荷回路400と切り離してスイッチング素子200の閾値電圧を測定する測定モードと、負荷回路400を接続して測定モードで測定された閾値電圧を使用してスイッチング素子をオン/オフする制御モードとを有する。
【0031】
(1)−1 測定モード
図2は実施形態に係るスイッチング素子制御回路100の測定モードを説明するためのブロック図である。
測定モードは、スイッチング素子制御回路100に接続されたスイッチング素子200の閾値電圧を測定するモードである。
【0032】
測定モードにおいては、負荷電源(負荷駆動用電源)420からの電源供給をしない状態でスイッチング素子200の閾値電圧を測定する。
図1で測定対象のスイッチング素子200と閾値電圧測定用電源10Vとの間に設けられたスイッチング素子SWM1をオンとし、スイッチング素子200と負荷電源420との間に設けられたスイッチング素子SWM2をオフとする。そして、閾値電圧測定用電源10Vからスイッチング素子200のドレイン電極D(第1電極)に閾値電圧測定用の電流を供給する。
【0033】
ゲート電圧制御部20は、測定モードにおいては、ゲート電圧を段階的に変化させる。例えば、ゲート電圧が時間経過に伴って階段状に高くなるようにゲート電圧を制御する(
図5参照。)。具体的には、以下のようにゲート電圧を制御する。
まず、ゲート電圧制御部20は、想定されている閾値電圧よりも低い電圧をゲート電極Gに印加するようにゲート電圧を制御する。このとき、ロゴスキーコイルを用いた電流検出素子500の信号を受け電流検出部50によって第1電極D・第2電極S間に流れる電流(スイッチング電流)は検出されない(スイッチング電流の値が0である)。そのため、オン/オフ状態判定部30は、スイッチング素子200がオフ状態であると判定する。オン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオフ状態であると判定すると、ゲート電圧制御部20は、ゲート電圧が一段階高くなるようにゲート電圧を制御する(
図5参照。)。これを繰り返してゲート電圧を徐々に高くしていき、電流検出部50によってスイッチング電流が検出されたとき(スイッチング電流の値が0でなくなったとき)、オン/オフ状態判定部30は、スイッチング素子200がオン状態であると判定する。オン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオン状態であることを判定すると、ゲート電圧制御部20は、ゲート電極に印加したゲート電圧Vgsを閾値電圧として記憶部40へ送信する。そして、記憶部40では、スイッチング電流を検出したときにゲート電極に印加したゲート電圧Vgsを閾値電圧として、その電圧に関連する情報を記憶する。
【0034】
なお、
図5ではゲート電圧が徐々に高くなるようにしたが、ゲート電圧が高い状態からジ徐々に低くなるようにしてもよい。この場合、ゲート電圧が高い状態ではスイッチング素子200がオンである(と判定される)。ゲート電圧を徐々に低くしてスイッチング素子200がオフと判定されると、ゲート電圧がオンとなる最低電圧が閾値とされる。
また、ゲート電圧の変化が、最小段階的変化(1段跳び)ではなく、その倍の2段跳び変化や、その3倍の3段跳び変化のように大きな変化であってもよい。
また、段階的電圧を低い方からG1、G2、・・G10とした場合、電圧印加G1でオン判定後、印加電圧G2でオフ判定、印加電圧G4でオフ判定、印加電圧G6でオン判定、印加電圧G5でオン判定のように、最初に粗くオン/オフ判定して徐々に精度を上げて絞り込むようにしてスイッチング素子200がオンとなる最小電圧を求めてもよい。
【0035】
(1)−2 制御モード
図3は、実施形態に係るスイッチング素子制御回路100の制御モードを説明するために示すブロック図である。
制御モードにおいては、スイッチング素子SWM1(
図1参照)をオフする(スイッチング素子SWM2はオンする)ことにより、閾値電圧測定用電源10Vからスイッチング素子200への閾値電圧測定用の電流の供給を停止する。そして、負荷抵抗410及び負荷電源(負荷駆動用電源)420を接続させた状態で制御端子T5からのモード指令信号(モード指令用動信号、例えば、ゲートパルス)Pgによりスイッチング素子200のオン/オフを制御する。制御モードにおいては、測定モードで得られたゲート電圧の閾値に関するゲート電圧関連情報に基づいて、ゲート電極Gに印加するゲート電圧を制御し、スイッチング素子200のオン/オフを行う。制御モードにおいて、スイッチング素子200をオン状態とするときには、記憶部40に記憶されたゲート電圧関連情報に基づいて、ゲート電圧制御部20は閾値電圧よりもわずかに超えるゲート電圧をゲート電極に印加する(
図4(b)参照。)。スイッチング素子200をオフ状態とするときには、ゲート電極に印加するゲート電圧が、閾値電圧Vthを下回るようにする。測定モードで得られた閾値をそのまま記憶する場合は、その閾値をそのままゲート電極に印加してもよいが、より確実にオンさせるにはそれを上回る電圧を印加する。記憶部40に記憶する際に、測定された最低電圧(閾値)を上回る電圧を記憶しておき、その電圧を印加すればよい。
なお、
図3でPgはモード指令信号である(
図2では省略した)。
【0036】
(2)ゲート電圧の制御
図4を用いて、制御モードでスイッチング素子200のゲート電極Gに印加するゲート印加電圧について説明する。
【0037】
図4(a)は比較例説明図である。ゲート電極Gに閾値をはるかに超えるゲート電圧を印加する場合のゲート・ソース間電圧の時間変化を示す。実施形態のグラフである
図4(b)と比較して閾値をはるかに超える過大な電圧が印加されるため、
図4(b)と比較して大きな電力が消費される。また、スイッチング素子200がオフからオンになるターンオン時間や、オンからオフになるターンオフ時間が
図4(b)に比較して長い。
【0038】
図4(b)は、閾値電圧をわずかに超えるゲート電圧をゲート電極に印加する場合のゲート・ソース間電圧の時間変化を示すグラフの模式図である。
図4(a)の比較例に対し、オン時に消費される電力が少なくて済む。スイッチング素子200がオフからオンになるターンオン時間や、オンからオフになるターンオフ時間が
図4(a)に比べて短く、高速のスイッチングが可能となる。
図4(b)では、スイッチング素子200のターンオン時には、ゲート電圧をリニア的に増加させる。ゲート電圧を増加させ、閾値付近では時間が経過しても閾値付近に少し留まり、その後閾値をわずかに超えるまで再度増加させる。ターンオフン時には、ゲート電圧をリニア的に減少させる。ゲート電圧を減少させ、閾値付近では時間が経過しても閾値付近に少し留まり、その後閾値を下回るまで再度減少させる。
【0039】
図4(c)〜(e)はゲート電圧を印加する場合の他の実施形態である。
図4(c)では、ターンオン時にゲート電圧が瞬間的に閾値をわずかに超える電圧まで瞬間的に増加させる。ターンオフ時にゲート電圧を瞬間的に閾値を下回る電圧まで瞬間的に減少させる。ゲート電圧をこのように変化させてターンオン、ターンオフをしてもよい。
【0040】
図4(d)は、横方向に時間軸を縦方向にゲート電圧をとったとき、ゲート電圧が、ターンオン時やターンオフ時に上に凸形状となるような波形となるようにした。スイッチング素子200にはドレイン電極D、ソース電極S、ゲート電極G間等に浮遊容量等が生じやすいため、このような波形とすると、スイッチング素子200の製造が容易で制御波形も作りやすい。浮遊容量をほとんどなくしたスイッチング素子200の製造が困難等の理由による。
【0041】
図4(e)は、
図4(d)を更に変形した波形である。横方向に時間軸を縦方向にゲート電圧をとったとき上に凸形状のゲート電圧を、ターンオン時に閾値を下回る電圧から閾値付近まで増加させる。閾値付近では時間が経過しても閾値付近に少し留まり、その後閾値をわずかに超えるまで再度増加させる。凸形状のゲート電圧を、ターンオフ時に閾値を上回る電圧から閾値付近まで減少させる。閾値付近では時間が経過しても閾値付近に少し留まり、その後閾値を下回るまで再度減少させる。スイッチング素子200には浮遊容量等が生じやすいため、このような波形とすると、スイッチング素子200の製造が容易で制御波形も作りやすい。
【0042】
(3)測定モードを有する利点
実施形態に係る半導体モジュール1は測定モードを有することにより、次の少なくとも1つの利点を有する。
半導体モジュール1に搭載されるスイッチング素子200は製造ばらつき等でゲート電圧の閾値が設計上の閾値とずれる場合があるが、そのような場合でもスイッチング素子200を的確にオン/オフできる。
ゲート電極Gに閾値をはるかに超える電圧を印加すると、オン/オフに必要以上の過大な電力が消費される場合があるが、閾値をわずかに超えるゲート電圧印加でオンさせると無駄な消費電力が少なくなる。
閾値電圧を大きく超えるゲート電圧をスイッチング素子のゲート電極に印加する場合(比較例を説明する
図4(a)参照。)と比較して、ターンオン期間及びターンオフ期間を短くすることができるため、スイッチング素子のスイッチング速度を速くすることができる。
【0043】
(4)ゲート電圧制御回路部20
ゲート電圧の制御についてゲート電圧制御(回路)部20を用いて詳しく説明する。
図7はゲート電圧制御回路部20の説明図である。ゲート電圧制御回路部20の具体的構成例を示す。点線で囲まれた箇所がゲート電圧制御回路部20である。ゲート電圧制御回路部20はモード切替部201を有する。ゲートドライブ用電源300(電源電圧V
DD)とアース間に複数の抵抗R11、R12、R13、・・・で複数の電位(電圧)が形成されている。モードに応じて、この複数の電位(電圧)を任意に選択してゲート電極Gにゲート電圧として印加する。
【0044】
測定モードを指令するモード指令信号Pgが半導体モジュール1(モード切替部201)に入ると、半導体モジュール1は測定モードとなる。モード切替部201は、閾値電圧測定用電源10Vと閾値測定対象のスイッチング素子200との間に設けられたスイッチング素子SWM1をオンさせ、負荷400とスイッチング素子200間のスイッチング素子SWM2をオフする。モード切替部201はSW11、SW12、SW13・・・をオン/オフさせることで
図4に示すゲート電圧を発生させスイッチング素子200のゲート電圧に印加する。
例えば、SW11をオンさせ、他のスイッチング素子SW12、SW13、・・をオフする。この状態の測定電圧をゲート電極Gに印加する。スイッチング素子200はオフで、ドレイン電極D・ソース電極S間(第1電極・第2電極間)に電流は流れない。
次に、SW12をオンさせ、他のスイッチング素子SW11、SW13、・・をオフする。上記より高い電圧がゲート電極Gに印加する。スイッチング素子200はオンし、ドレイン電極D・ソース電極S間(第1電極・第2電極間)に電流が流れる。すると、スイッチング制御回路部100の電流検出部500で電流の検出がされ、オン/オフ状態判定部30でスイッチング素子200のオン/オフが判定される。
オン状態となる最も低い電圧はSW12をオンし、他のスイッチング素子SW11、SW13、・・をオフした場合である。この電圧が閾値電圧として記憶部40に記憶される。
【0045】
制御モードを指令するモード指令信号Pgが半導体モジュール1(モード切替部201)に入ると、半導体モジュール1は制御モードとなる。制御モードでは測定モードで測定され記憶された、スイッチング素子200をオンさせる最も低いゲート電圧(SW12をオンし、他のスイッチング素子SW11、SW13、・・をオフした場合の電圧)を少し上回る電圧を使ってスイッチング素子200をオンさせる。この例ではR11、R12、R13・・を使用して分圧しているが、複数の抵抗を直列接続してR11、R12、R13・・に並列に接続した回路にしておいて、直列接続した箇所から電圧を取り出す等の方法で所定の電圧をゲート電極Gに印加することができる。
【0046】
(5)ロゴスキーコイル
図8(a)は、実施形態のロゴスキーコイル(電流検出素子)500を使った電流測定の原理説明図である。電流Currentが流れる導線wire(導体)の周辺に空芯のコイル500を設置すると、電流に対応した電圧がコイルの両端に誘起する。この電圧は電流の微分波形になっているため、積分器を通すことで電流波形を再現できる。従って、例えば電流検出部50を積分器で構成すれば電流検出が可能となる。導線wireに非接触で測定できる。
オン/オフ判定部30は、例えば積分器で構成した電流検出部50で再現された電流波形の高さを比較するコンパレータで構成することでオン/オフ判定が可能となる。記憶部40はオン/オフされたゲート電圧を格納するレジスタ、ダイナミックメモリー、スタチックメモリー等で構成できる。処理部やメモリーを内蔵等するプロセッサで構成してもよい。
図8(b)は、実施形態で使用するチップ型ロゴスキーコイル500Aの説明図である。エポキシ樹脂等のチップ基体500A−1内に電流Currentが流れる導線wireが埋め込まれている。導線wireのまわりに空芯(磁気空芯)のコイル500が配置されている。500−1、500−2は、ロゴスキーコイル500の両端から引き出されたロゴスキーコイル端子である。W101、W102は導線wireの端子である。
ロゴスキーコイル500は巻く方向に一対コイルを巻いて、戻り巻き線とペアになるようにしてもよい(以下に述べる
図19でも同様)。
【0047】
(6)半導体基体
図9(a)、(b)、(c)は、実施形態で使用する半導体基体1Aの例を示す。いずれも半導体基体1Aの断面を示す。
図9(a)は、半導体基体1Aがシリコンを主体とする半導体基体である。半導体基体1AはMOS型FETで、その表面あるいは内部に回路が形成されている。ドレイン電極D、ソース電極S、ゲート電極Gは二酸化シリコンの絶縁層INSで隔離されている。ドレイン電極D、ソース電極S、ゲート電極G等で構成される回路が半導体基体1Aの一方の面の表面に沿って形成された所謂横型FEFである。
図9(b)は、ソース電極Sやゲート電極Gが半導体基体1Aの一方の面側に形成され、ドレイン電極Dが他方の面側に形成された所謂縦型FETである。しかし、他方の面側のドレイン電極DはスルーホールTHでソース電極Sやゲート電極Gのある側にあるアルミニウムの配線Alに電気的に接続されている。基本的には縦型FETであるが全体的には横型ともいえる構造となっている。なお、ソース電極Sは二酸化シリコンの絶縁層INSで隔離されている。
図9(c)は、半導体基体1AとしてGaN系半導体基体を使用した例である。シリコン基体(基板)Siの上に(図面での上側に)バッファ層Buffer層が設けられ、その上に窒化ガリウム層GaNが形成されている。その上に窒化アルミニウムガリウム層AlGaN(Alminium Gallium Nitride)層が形成されている。その上にソース電極S、ドレイン電極D、ゲート電極Gが形成されている。これらの電極間には絶縁層INSが形成されている。なお、GaN層の上部には二次元電子ガス2DEG(Two Dimentional Electron Gas)が分布している。半導体基体1Aは全体として窒化ガリウム(GaN)系半導体基体となっている。
半導体基体1Aとして窒化ガリウム系半導体基体を用いると、半導体基体1A上にスイッチング素子等を半導体プロセスで作成する際に、高絶縁耐圧や低導通抵抗特性、高速スイッチング性等を容易に付与することができる。大電流や高電圧のスイッチングを行う半導体制御用のパワーモジュールとしても適する。
【0048】
(7)半導体モジュール
半導体モジュールとは複数の半導体素子をパッケージ化等により1つにしたものをいう。少なくとも1つのディスクリート電子素子(例えば、パワートランジスタ、ダイオード、コイル等)と、これらの半導体制御回路等を回路基板上に搭載する等し、複数の電子素子を一体化したものである。例えば電力用トランジスタや半導体回路等を一体化したパワーモジュールである。ディスクリートの電子素子や半導体回路を組み合わせて一体化することにより、例えば、ユーザー側で複数のディスクリート部品を用意しそれらを接続する作業が不要となる、複数のディスクリート部品を最適に組み合わせる回路設計の負担が軽減される、ディスクリート部品の1つが故障しそれによって他のディスクリート部品にも損傷等の影響がでる可能性がある場合の修理交換作業が低減される等のメリットがある。
【0049】
図10は実施形態に係る半導体モジュールの説明図である。
半導体モジュール1は、半導体基体1A上に、スイッチング素子200であるスイッチングチップ200A、スイッチング素子200を制御するスイッチング素子制御回路100、電流検出素子500であるチップ型ロゴスキーコイル500Aを搭載している。
制御回路100は、半導体基体1A上に直接回路形成されている。半導体基体1Aをシリコン基板とすると制御回路100の回路形成がしやすい。
T1は半導体基体1A上に形成された(+)側入力端子、T2は(−)側入力端子、T3は(+)側出力端子、T4は(−)側出力端子、T5は制御端子である。半導体基体1A上にアルミニウム、銅等の配線、またはこれらの上に更に金メッキ、銀メッキ等をすることによりで形成される。
スイッチング素子200はディスクリートのスイッチングチップ200Aとした。スイッチング素子200に大きな電流が流れたり大きな電圧が印加する場合、それらに耐えるようにするには制御回路100とは別に作る方が作りやすかったり、半導体モジュール1全体の歩留まりを上げやすい等の理由による。また、ドレイン電極Dやソース電極Sを、制御回路100を構成する回路素子のドレイン電極やソース電極等より大きくする場合もある。スイッチングチップ200Aを窒化ガリウム系(GaN系)半導体基体とすると、大きな電流や大きな電圧に耐える素子を作りやすい。半導体基体1Aをシリコン基板を使って制御回路100を形成し、スイッチング素子200を窒化ガリウム系半導体で作ると、複雑な回路はシリコンで集積度高く容易に形成でき、スイッチング素子200を大電流や大電圧を耐える構成にしやすい。
電流検出素子としては例えば
図8(b)に記載されたチップ型ロゴスキーコイル500Aを用いる。
【0050】
半導体基体1A上には制御回路100が形成され、制御回路100からアルミニウムや銅等の配線が半導体基体1A上に形成されている。制御回路100とスイッチングチップ200AとはボンディングワイヤーBWで電気的接続がされている。制御回路100とチップ型ロゴスキーコイル500AもボンディングワイヤーBWで電気的に接続されている。スイッチングチップ200Aとチップ型ロゴスキーコイル500AもボンディングワイヤーBWで接続されている。しかし、半導体基体1A上の配線とスイッチングチップ200Aや、半導体基体1A上の配線とチップ型ロゴスキーコイル500Aとをボンディングワイヤーで結び、間接的にスイッチングチップ200Aとチップ型ロゴスキーコイル500Aとが電気的に接続させてもよい。
ボンディングワイヤーBWの代わりにフレキシブル基板や、導電性接着剤を使用してもよい。スイッチングチップ200Aやチップ型ロゴスキーコイル500Aの端子に金、銀等のバンプを形成し、半導体基体1A上の端子とバンプとを加熱してバンプが端子に用溶着するようにしてもよい。
【0051】
3.変形例
以下、実施形態の変形例について説明する。図上、同じ符号の箇所は明細書中同じ意味を有する。これまで説明した箇所については説明を省略する。
【0052】
[変形例1]
図11に示す半導体モジュール2は、半導体基体1A上に制御回路100を形成している。スイッチングチップ200Aはドレイン電極D、ソース電極S(点線で図示)、ゲート電極Gが形成された窒化ガリウム系半導体基板である。平板形状の窒化ガリウム系半導体基板のスイッチングチップ200Aは、平板形状の半導体基体1A上に重なって搭載されている。また、チップ型ロゴスキーコイル500Aはスイッチングチップ200A上に、平板形状の半導体基体1A(スイッチングチップ200A)に垂直方向から見て重なるように搭載されている。これらはボンディングワイヤーBW等で電気的に接続されている。
このようにすると、制御回路100とスイッチングチップ200Aやチップ型ロゴスキーコイル500Aとが離れているため、スイッチングチップ200Aやチップ型ロゴスキーコイル500Aに大電流が流れたり大きな電圧がかかりそれらがオン/オフしても、そのことによる制御回路100への影響を低減できる。
また、平板穰の半導体基体1Aの平板方向への大きさを小さくでき、半導体モジュール1を小型化できる。
【0053】
[変形例2]
図12に示す半導体モジュール3では、スイッチングチップ200Bとチップ型ロゴスキーコイル500とを半導体基体1A上に搭載した。スイッチングチップ200B上には、シリコン系、窒化ガリウム系等の半導体基板上に、ドレイン電極D、ソース電極S、ゲート電極を有するスイッチング素子や制御回路100が形成されている。スイッチングチップ200Bは、チップ型ロゴスキーコイル500Aと、直接又は半導体基体1A上の配線を介して間接的にボンディングワイヤーBW等で電気的に接続されている。
このようにすると、スイッチング素子200や制御回路100を同じ基板上に作ればよく製造しやすい。
【0054】
[変形例3]
図13に示す半導体モジュール4は、半導体基体1A上に制御回路100やスイッチング素子200を形成している。平板形状の半導体基体1A(スイッチングチップ200A)に垂直方向から見て重なるようにチップ型ロゴスキーコイル500Aが搭載されている。これらはボンディングワイヤーBW等で接続されている。
このようにすると、スイッチング素子200や制御回路100を同じ基体1A上で形成しやすい。また、制御回路100とスイッチングチップ200Aやチップ型ロゴスキーコイル500Aとが離れているため、スイッチングチップ200Aやチップ型ロゴスキーコイル500Aに大電流や大きな電圧のオン/オフの制御回路100への影響を低減できる。
また、平板穰の半導体基体1Aの平板方向への大きさを小さくでき、半導体モジュール1を小型化できる。
【0055】
[変形例4]
図14は半導体モジュール5に搭載するスイッチング素子200の変形例を示す(スイッチング素子200を変形した半導体モジュール5の説明図)。
図14に示すスイッチング素子200はノーマリーオフ(通常状態ではオフ)のスイッチング素子200である。例えば、窒化ガリウムTETで作ることができる。チップ型ロゴスキーコイル500はボンディングワイヤーBW等で半導体モジュール5中の他の回路要素と電気的に接続される。ノーマリーオフのTETスイッチング素子200のドレイン電極D・ソース電極S間は、通常状態ではオフで、ゲート電極Gにオン信号が入るとオンとなる。
このようにすると電力の消費の抑制が容易である。また、スイッチング素子に大電流が流れたり大きな電圧がかかる場合には通常状態でオフのため、誤って大きな電流が流れて事故を起こしたり負荷回路を損傷するような問題が生じにくい。
【0056】
[変形例5]
図15(a)(b)は半導体モジュール6に搭載するスイッチング素子200他の変形例を示す(スイッチング素子200を変形した半導体モジュール6の説明図)。
図15(a)に示すスイッチング素子200では、ゲート電極G1に特別な電圧が印加しない通常状態でドレイン電極D1・ソース電極S1間がオン(ノーマリーオン)のFETスイッチング素子(半導体スイッチ)200P1と、ゲート電極G2に特別な電圧が印加しない通常状態でドレイン電極D2・ソース電極S2間がオフ(ノーマリーオフ)のFETスイッチング素子(半導体スイッチ)200P2と、を組み合わせてスイッチング素子200とした。ノーマリーオンのスイッチング素子200P1は例えば窒化ガリウム系半導体で作ることができる。ノーマリーオフのスイッチング素子P2は例えばシリコン系や窒化ガリウム系半導体を使用した低耐圧半導体で作ることができる。
窒化ガリウム系半導体を使用する場合、ノーマリーオンのスイッチング素子(半導体スイッチ)200P1は比較的容易に作ることができる。また、低耐圧半導体ではノーマリーオン、ノーマリーオフいずれも比較的容易に作ることができる。
これらのスイッチング素子200P1と200P2とを組み合わせ、スイッチング素子200P1をノーマリーオンとしても、ノーマリーオフのスイッチング素子200P2との組み合わせにより、スイッチング素子200P1と200P2とを組み合わせたスイッチング素子200Pはノーマリーオフとすることができる。また、低耐圧半導体で作られたスイッチング素子200P2により、スイッチング素子200P1を制御できるため、スイッチング素子200P1を大きな電流が流れたり大きな電圧が印加するスイッチング素子として使用できる。
【0057】
図15(b)は、(a)に示す回路を構成する場合の半導体構成例である。
窒化ガリウム系半導体を使用した半導体基体1A上に、ドレイン電極D1、ソース電極S1、ゲート電極G1を有するスイッチング素子200P1を作った。200P1は窒化ガリウム系の半導体チップである。この上に低耐圧シリコン系半導体のチップであるスイッチング素子200P1を搭載した(ドレイン電極D2、ソース電極S2、ゲート電極G2を有する)。両者は200P2をフェースダウンボンディングして溶着、圧着、導電樹脂等でバンプ接続する、ワイヤーボンディングする、フレキシブル基板で接続する等で電気的に接続する。
【0058】
[変形例6]
図16に示す半導体モジュール7は、
図15(a)(b)のノーマリーオンのスイッチング素子200P1とノーマリーオフの低耐圧スイッチング素子200P2を半導体基体1A上に搭載する場合の搭載例を示す。
シリコン系半導体等の半導体基体1A上に制御回路100が形成されている。スイッチング素子200Aは、ノーマリーオンのスイッチング素子200P1を形成した窒化ガリウム系の半導体基板(チップ)をベースとし、その上にノーマリーオフの低耐圧スイッチング素子200P2が形成されたシリコン系基板(チップ)が搭載されている。スイッチング素子200P2は平板形状の半導体基体1Aの平板延長方向に垂直方向からみて重なるように200P2上に搭載されている。スイッチング素子200P1と200P2とは200P2の200P1に対するフェースダウンボンディング、ワイヤーボンディング等で電気的に接続されている。
半導体基体1A上にはチップ型ロゴスキーコイル500Aも搭載されている。
半導体基体1A上の制御回路100、半導体スイッチ200(半導体スイッチ200P1、200P2)、チップ型ロゴスキーコイル500Aとは、ワイヤーボンディングWB、フェースダウンボンディング、導電性接着剤、フレキシブル基板等Fで互いに電気的に接続されている。
このようにすると、大電流や高い電圧に対する耐性を有するスイッチング素子200P1と製造しやすい低耐圧のスイッチング素子200P2とを一体とできるため、半導体モジュール1を製造しやすい。また、
図15(a)(b)を用いて説明した変形例の利点を生かすことが可能である。
【0059】
[変形例7]
図17は
図15(a)に示すスイッチング素子200の変形例である(スイッチング素子200を変形した半導体モジュール8の説明図)。
図15(a)ではスイッチング素子200を構成する半導体スイッチ200P1、200P2の双方がチップ型ロゴスキーコイル500Aの一方側接続されている。これに対し
図17では、半導体スイッチ200P1と200P2がチップ型ロゴスキーコイル500Aを挟むように接続されている。両者は必ずしも近接して設ける必要はないからである。
図17のようにすることで、半導体スイッチ200P1や200P2の配置に柔軟性を持たせるころができる。
図17の回路構成に沿って半導体モジュール1を構成する場合、
図16と同様にして半導体モジュール1を構成できる。
【0060】
[変形例8]
図18に示す半導体モジュール9は、ノーマリーオン窒化ガリウム半導体スイッチ(スイッチング素子)200P1とノーマリーオフ低耐圧半導体スイッチ(スイッチング素子)200P2とを、平板状の半導体基体1Aに対し、平板面に積層された半導体スイッチ200P1上に半導体スイッチ200P2を積層状になるように搭載した。その上に更にチップ型ロゴスキーコイル500Aを積層状に搭載した。
このようにすると、半導体スイッチ200P1、200P2、チップ型ロゴスキーコイル500Aが制御回路100と離れて積層状に構成されるため、スイッチング素子(スイッチングチップ)200Aに流れる電流が大きくても制御回路100への影響を低減しながら半導体モジュール1を小型化できる。
【0061】
[変形例9]
図19(a)(b)は変形例に係る半導体基体モジュール10の説明図である。半導体基体1Aはロゴスキーコイル500を組み込んでいる。(a)はロゴスキーコイル500を組み込んだ半導体基体1A個所の透過斜視図である。(b)は(a)断面図(図面で符号Aが記載された箇所を上下に切った断面をAの方向に見た断面図)である。
半導体基体1A上の面1A200上にアルミニウムや銅等の導線(配線)wire500−1を導体のエッチング、導電性物質のインクジェット吐出等により形成する。その上を絶縁膜INS200で覆う。絶縁膜INS200上に(面1A300上に)アルミニウム、銅等の配線である導線wire100をエッチング、導電物質のインクジェット吐出等により形成する。その上を絶縁膜INS300で覆う。導線wire100は、スイッチング素子200のドレイン電極D・ソース電極S間を流れる電流が流れる配線である。その上に(面1A100上に)アルミニウムや銅等の導線wire500−2を導体のエッチング、導電性物質のインクジェット吐出等により形成する。面1A100上の導線(配線)wire500−1と、面1A200上の導線(配線)wire500−1とは導電性スルーホールTH100で電気的に接続されている。ロゴスキーコイル500は導線(配線)wire500−1、導線(配線)wire500−2、導電性スルーホールTH100を連ねて形成される。ロゴスキーコイル500は回転して導線wire100の周囲に配置されている。ロゴスキーコイル500は導線wire100と交差する方向に導線wire100を螺旋状に周回するように形成された周回配線である。
このようにすると、半導体基体1A上に、スイッチング素子200のドレイン電極D・ソース電極S間を流れる電流が流れる配線(導線wire100)や、当該配線(導線wire100)と絶縁体層(INS200、INS300)を介して電流が流れる配線(導線wire100)を挟んで周回するように形成された周回配線(wire500−1、wire500−2、TH100を有する配線500)を半導体プロセスとを用いて容易に形成できる。周回配線をロゴスキーコイル500とすることで、一層小型の半導体モジュール1とすることも可能である。
なお、
図19(a)(b)で図示した半導体基体1a個所を他の回路と別体としたチップ型ロゴスキーコイル500Aとしてもよい。このチップ型ロゴスキーコイル500Aを用いて半導体モジュール1を構成してもよい。
【0062】
[変形例10]
変形例9で半導体基体1Aを半導体でなくエポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁体材料とし他は変形例9と同じにして半導体モジュールを構成した。
また、同様にしてチップ型ロゴスキーコイル500Aを作成し、このチップ型ロゴスキーコイル500Aを用いて半導体モジュールを構成してもよい。
【0063】
これまで、電流検出素子500としてのロゴスキーコイルの設置位置を第2電極(ソース電極)S側にして説明したが、第1電極(ドレイン電極)D側としてもよい。以下、具体例で説明する。
【0064】
[変形例11]
図20、
図21は、変形例に係る半導体基体モジュール11の説明図である。実施形態に係る半導体モジュール1を変形した半導体モジュール11である。半導体基体モジュール11の回路図である
図20が半導体基体モジュール1の回路図である
図1に対応し、半導体モジュール11の説明図である
図21が半導体基体モジュール1の説明図である
図10に対応する。
変形例11では、
図20、
図21に示すように、電流検出素子(ロゴスキーコイル)500を第1電極(ドレイン電極)D側に設けている。具体的には、第1電極(ドレイン電極)D・端子T3間の配線を流れるスイッチング電流を検出する。
図21に示すように、電流検出素子としてチップ型ロゴスキーコイル500Aを使用し、第1電極(ドレイン電極)D側に配置した。
その他の説明は実施形態における説明と同様であるので省略する。
【0065】
以下の変形例は図面を省略して説明する。
[変形例12]
図11に示す変形例1の半導体モジュール2はチップ型ロゴスキーコイル500Aが第2電極(ソース電極)Sと重なるように配置されているが、これを第1電極(ドレイン電極)Dと重なるように配置する半導体モジュールとした(図面省略)。
【0066】
[変形例13]
図12に示す変形例2の半導体モジュール3はチップ型ロゴスキーコイル500Aが第2電極(ソース電極)S側に設けられているが、
図20、
図21と同様に第1電極(ドレイン電極)D側に設けた半導体モジュールとした(図面省略)。
【0067】
[変形例14]
図13に示す変形例3の半導体モジュール4はチップ型ロゴスキーコイル500Aが第2電極(ソース電極)Sと重なるように配置されているが、これを第1電極(ドレイン電極)Dと重なるように配置する半導体モジュールとした(図面省略)。
【0068】
[変形例15]
図14に示す変形例4の半導体モジュール5は、第2電極(ソース電極)S・端子T4間のスイッチング電流を検出するように電流検出素子500が配置されている。これを、電流検出素子500をスイッチング素子200・端子T3間に設け、第1電極(ドレイン電極)D・端子T3間のスイッチング電流を検出する半導体モジュールとした(図面省略)。
【0069】
[変形例16]
図15(a)(b)に示す変形例5の半導体モジュール6は、チップ型ロゴスキ―コイル500Aが、スイッチング素子200P2の第2電極(ソース電極)S2・端子T4間の配線部に配置されているが、これを、スイッチング素子200P1の第1電極(ドレイン電極)D1・端子T3間の配線部に配置し、第1電極(ドレイン電極)D1・端子T3間を流れるスイッチング電流を検出するようにした。
【0070】
[変形例17]
図16に示す変形例6の半導体モジュール7はチップ型ロゴスキーコイル500Aが第2電極(ソース電極)S側に設けられているが、
図20、
図21と同様に第1電極(ドレイン電極)D側に設けた半導体モジュールとした(図面省略)。
【0071】
[変形例18]
図18に示す変形例8の半導体モジュール9はチップ型ロゴスキーコイル500Aが第2電極(ソース電極)Sと重なるように配置されている、これを第1電極(ドレイン電極)Dと重なるように配置した半導体モジュールとした(図面省略)。