特許第6854932号(P6854932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854932
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20210329BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20210329BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   A61B1/005 512
   A61B1/018 511
   G02B23/24 A
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-568562(P2019-568562)
(86)(22)【出願日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】JP2018031223
(87)【国際公開番号】WO2019150627
(87)【国際公開日】20190808
【審査請求日】2020年5月19日
(31)【優先権主張番号】特願2018-18086(P2018-18086)
(32)【優先日】2018年2月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 秀俊
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−115532(JP,A)
【文献】 特開平11−267090(JP,A)
【文献】 特開2007−54125(JP,A)
【文献】 特開2000−166860(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/094085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 − 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部と基端部とを有し、前記先端部と前記基端部との間に所定の方向に湾曲可能な湾曲部が設けられた長尺の挿入部と、
前記挿入部の内側に配設された管状部材と、
前記管状部材の外周にらせん状に巻き付けられ、先端が前記湾曲部よりも前記先端部の側に固定された線状部材と、
前記線状部材の基端側に設けられ、前記線状部材の少なくとも一部の曲げ強度を上げるように前記線状部材を変形させる操作部材と、
を備えることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記操作部材は、前記線状部材を前記先端部の方向に圧縮するように移動させる軸方向スライド部材または周方向回転部材であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記操作部材は、前記線状部材が前記管状部材を締め付けるように移動させる軸方向スライド部材または周方向回転部材であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記線状部材は、前記管状部材を締め付けるように伸張方向に移動することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記線状部材は、前記管状部材を締め付けるように前記線状部材の巻き付け方向に移動することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記操作部材に入力された操作力を前記線状部材に伝達する伝達部材を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記伝達部材は、前記管状部材の外周に巻き付けられるように、前記線状部材と一体形成された密巻コイルであることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記伝達部材は、前記管状部材に沿って配索される操作ワイヤであることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記伝達部材は、前記管状部材の外周を覆うように配設されたチューブであることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の先端側に湾曲部を備えた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡は、体腔等の被検体内に細長い挿入部を挿入することによって、被検体内の対象部位の観察や、必要に応じて処置具チャンネル内に挿入した処置具を用いた各種処置を行うために用いられている。
【0003】
この種の内視鏡としては、先端側から順に、先端部、湾曲部、及び、可撓管部が配設された軟性鏡が広く用いられている。このような軟性鏡の挿入部を被検体内に挿入する場合、内視鏡の操作者(以下、単に「操作者」という)は、一方の手によって操作部を把持しつつ、他方の手によって可撓管部を把持して被検体内に挿入部を押し込む。その際、操作者は、操作部を把持した手によって、当該操作部に配設されている操作レバー等を操作することにより、湾曲部を所望の方向に湾曲させることが可能となっている。
【0004】
このような内視鏡として、例えば、尿道、尿管、腎盂、腎胚へと挿入部を挿入可能な腎盂泌尿器用の内視鏡(腎盂尿管鏡)が知られている。ここで、尿管等は細く狭い管腔である。そこで、挿入部の挿入性を向上させるための技術として、例えば、日本国特開2007−325794号公報には、先端面が円形基端部に対して先細に形成されたキャップ部を備えた内視鏡用先端キャップを内視鏡の先端部に着脱自在に設ける技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、例えば、腎盂泌尿器用の内視鏡は、挿入部の外径が3mm未満の細径であることが望ましく、しかも、挿入部の有効長が700mm程度の長尺である必要がなる。
【0006】
従って、例えば、尿管が狭窄している狭窄部や尿管が蛇行している蛇行部が存在する場合、上述のように細径且つ長尺な挿入部を所定の押し込み力にて押し込んでも、挿入部の先端側に設けた湾曲部が受動的に湾曲してしまい、先端部に押し込み力が伝わらない場合がある。それゆえ、尿管の狭窄部や蛇行部よりも奥に挿入部を挿入できない場合がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、被検体内に狭窄部や蛇行部等の挿入困難な部位が存在する場合にも、良好な挿入性を確保することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による内視鏡は、先端部と基端部とを有し、前記先端部と前記基端部との間に所定の方向に湾曲可能な湾曲部が設けられた長尺の挿入部と、前記挿入部の内側に配設された管状部材と、前記管状部材の外周にらせん状に巻き付けられ、先端が前記湾曲部よりも前記先端部の側に固定された線状部材と、前記線状部材の基端側に設けられ、前記線状部材の少なくとも一部の曲げ強度を上げるように前記線状部材を変形させる操作部材と、を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係り、内視鏡の外観斜視図
図2】同上、湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図
図3】同上、湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図
図4】同上、処置具チャンネルに設けた曲げ強度可変機構の要部を示す斜視図
図5】第1の実施形態における第1の変形例に係り、湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図
図6】同上、湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図
図7】第1の実施形態における第2の変形例に係り、湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図
図8】同上、湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図
図9】第2の実施形態に係り、内視鏡の外観斜視図
図10】同上、湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図
図11】同上、湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図
図12】同上、操作レバーを操作していないときのカム機構の要部を示す斜視図
図13】同上、操作レバーを操作したときのカム機構の要部を示す斜視図
図14】第3の実施形態に係り、湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図
図15】同上、湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図
図16】第4の実施形態に係り、挿入部及び操作部の要部断面図
図17】第5の実施形態に係り、湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図
図18】同上、湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図
図19】同上、スライド部材を操作していないときのカム機構の要部を示す斜視図
図20】同上、スライド部材を操作したときのカム機構の要部を示す斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図1乃至図4は本発明の第1の実施形態に係り、図1は内視鏡の外観斜視図、図2は湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図、図3は湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図、図4は処置具チャンネルに設けた曲げ強度可変機構の要部を示す斜視図である。
【0011】
図1に示す内視鏡1は、例えば、腎盂泌尿器用の内視鏡(腎盂尿管鏡)である。この内視鏡1は、被検体の体腔内に挿入される細長形状(長尺)の挿入部2と、この挿入部2の基端に設けられた操作部3と、この操作部3の基端から延出されたユニバーサルケーブル4と、を備えて構成されている。
【0012】
図1に示すように、挿入部2は、先端に位置する先端部6と、この先端部6の基端に連設された湾曲部7と、この湾曲部7の基端に連設された可撓性を有する可撓管部8と、を備えて構成されている。
【0013】
図2,3に示すように、先端部6の内部には金属製の先端硬質部10が設けられ、この先端硬質部10には、撮像ユニット11と、図示しないライトガイドと、管状部材としての処置具チャンネル12と、が保持されている。ここで、撮像ユニット11は、撮像光学系11aと、CCD,CMOS等の撮像素子11bと、を有して構成されている。
【0014】
また、先端部6の内部において、先端硬質部10の基端側には、湾曲部7を構成する略円筒形状の最先端湾曲駒20が固定されている。この最先端湾曲駒20の内周には、上下一対のワイヤ固定部(不図示)が設けられている。そして、各ワイヤ固定部には、挿入部2内に挿通された2本の牽引ワイヤ23の先端がそれぞれ固定されている。
【0015】
なお、本実施形態において、先端部6(及び挿入部2)には、例えば、撮像ユニット11の撮像素子11bによって撮像される画像に対応付けて上下左右方向が定義されている。
【0016】
湾曲部7は、操作部3に対する操作者の操作入力に応じて、上下方向へと能動的に湾曲されるように構成されている。
【0017】
具体的に説明すると、本実施形態の湾曲部7は、最先端湾曲駒20の基端側に複数の湾曲駒25が一列に連設された湾曲駒組24を有する。この湾曲駒組24において、最先端湾曲駒20及び各湾曲駒25は、前後に隣接する駒同士が左右一対の枢支部26によって、互いに回動可能となるよう連結されている。
【0018】
また、湾曲駒組24を構成する所定の湾曲駒25にはワイヤガイド25aが設けられ、各ワイヤガイド25aには、挿入部2内に挿通された各牽引ワイヤ23のうちの何れかが挿通されている。そして、操作部3に対する操作者の操作入力に応じて各牽引ワイヤ23が牽引或いは弛緩されることにより、湾曲駒組24(湾曲部7)は上下方向に湾曲することが可能となっている。
【0019】
このように構成された湾曲駒組24の内部には、撮像ユニット11から延出された信号ケーブル11c、牽引ワイヤ23、ライトガイド、及び、処置具チャンネル12が挿通されている。また、湾曲駒組24の外周は、湾曲ゴム22によって覆われている。
【0020】
可撓管部8は、受動的に湾曲可能な可撓性を有する螺旋管30を有して構成されている。この螺旋管30の先端側は湾曲駒組24の最基端に位置する湾曲駒25に連結されている。
【0021】
また、螺旋管30の内部には、上述した信号ケーブル11c、牽引ワイヤ23、ライトガイド、及び、処置具チャンネル12が挿通されている。また、螺旋管30の外周は、外皮31によって覆われている。
【0022】
図1に示すように、操作部3は、折れ止部35と、把持部36と、操作部本体37と、を有している。
【0023】
折れ止部35は、可撓管部8の基端を覆った状態にて当該可撓管部8に接続されている。
【0024】
把持部36は、操作者の手によって把持可能な形状をなし、折れ止部35の基端側に連設されている。
【0025】
この把持部36の先端側には、処置具挿通部38が設けられている。処置具挿通部38は、各種の処置具(不図示)を挿通可能な処置具挿通口38aを備えて構成されている。把持部36の内部において、処置具挿通口38aには、処置具チャンネル12の基端側が連通されている。また、処置具挿通部38には、処置具挿通口38aを閉塞するための蓋部材である鉗子栓(不図示)が着脱自在である。
【0026】
また、把持部36の先端側において、例えば、処置具挿通部38とは反対側の位置には、後述する曲げ強度可変機構50(図4参照)の操作ユニット52が設けられている。この曲げ強度可変機構50は、例えば、処置具チャンネル12を利用して構成されるものであり、湾曲部7の曲げ強度を、第1の曲げ強度と、第2の曲げ強度と、に変更することが可能となっている。この場合において、第1の曲げ強度は、狭窄部や蛇行部等の存在しない通常の管腔内への挿入に適した曲げ強度に設定されている。また、第2の曲げ強度は、第1の曲げ強度よりも高い(強い)曲げ強度に設定されている。
【0027】
操作部本体37は、把持部36の基端側に連設されている。この操作部本体37には、湾曲レバー39が設けられている。この湾曲レバー39は、一対の牽引ワイヤ23を牽引或いは弛緩させることによって湾曲部7を上下方向に湾曲動作させるためのものである。
【0028】
すなわち、例えば、湾曲レバー39が操作部3の先端側に傾倒操作されると、挿入部2の内部に挿通されている一対の牽引ワイヤ23のうち、上側に位置する一方の牽引ワイヤ23が牽引されるとともに、下側に位置する他方の牽引ワイヤ23が弛緩され、湾曲部7が上方に湾曲動作される。一方、湾曲レバー39が操作部3の基端側に傾倒操作されると、挿入部2の内部に挿通されている一対の牽引ワイヤ23のうち、上側に位置する一方の牽引ワイヤ23が弛緩されるとともに、下側に位置する他方の牽引ワイヤ23が牽引され、湾曲部7が下方に湾曲動作される。
【0029】
また、操作部本体37には、内視鏡1の各種機能が割り当てられた操作ボタン群40が設けられている。
【0030】
ユニバーサルケーブル4は、操作部本体37の側部から延出されている。このユニバーサルケーブル4の内部には、信号ケーブル11c等の各種ケーブル類や、ライトガイド等が挿通されている。
【0031】
また、ユニバーサルケーブル4の延出端にはコネクタ5が設けられ、このコネクタ5により、各種ケーブル類及びライトガイドは、ビデオプロセッサ及び光源装置(何れも不図示)にそれぞれ接続することが可能となっている。
【0032】
次に、曲げ強度可変機構50の具体的な構成について、図2図4を参照して説明する。
【0033】
図2図4に示すように、曲げ強度可変機構50は、線状部材としてのコイルバネ51と、このコイルバネ51を変形させるための操作力を入力するための操作ユニット52と、操作ユニット52に入力された操作力をコイルバネ51に伝達するための伝達部材としての密巻コイル53と、を備えて構成されている。
【0034】
コイルバネ51は、処置具チャンネル12の外周にらせん状に巻き付けられている。このコイルバネ51の先端51aは、先端部6の内部に配置され、処置具チャンネル12に対して移動不能となるよう固定されている。一方、コイルバネ51の先端51aよりも基端側の領域は、主として湾曲部7に対応する位置に配置され、処置具チャンネル12の外周に対して移動可能となっている。すなわち、先端51aよりも基端側の領域におけるコイルバネ51は、処置具チャンネル12の外周に対して僅かな隙間を有して配置され、これにより、処置具チャンネル12の外周に対して移動可能となっている。
【0035】
ここで、コイルバネ51は、操作ユニット52が操作されていないとき、略圧縮等がされていない自然状態となるよう配置されている。そして、本実施形態における湾曲部7の上下方向への曲げ強度は、基本的には、信号ケーブル11c、ライトガイド、及び、処置具チャンネル12の各種内蔵物の曲げ強度に加え、自然状態にあるときのコイルバネ51の曲げ強度を考慮した上で最適化されている。すなわち、コイルバネ51が自然状態にある場合における湾曲部7の上下方向への曲げ強度は、例えば、湾曲レバー39における操作抵抗を可能な限り軽減しつつ、主として狭窄部や蛇行部等の存在しない通常の管腔内において挿入部2を押し込んだ際に受動的な湾曲を発生させない第1の曲げ強度に設定されている。
【0036】
操作ユニット52は、把持部36(操作部3)の内部に設けられたスライドガイド60を有する。このスライドガイド60には、把持部36の長手軸方向に延在するガイド孔60aが設けられ、このガイド孔60aによって把持部36の内部と外部とが連通されている。
【0037】
また、把持部36の外部には、操作部材としてのスライド部材61(軸方向スライド部材)が配設されている。このスライド部材61の背面にはガイド孔60aに対して摺動可能なキー62が突設され、このキー62の突端側が、ガイド孔60aを経て把持部36の内部に突出されている。これにより、スライド部材61は、把持部36に支持され、且つ、ガイド孔60aが延在する軸方向に沿って進退移動することが可能となっている。
【0038】
また、キー62には、把持部36の内部に突出された突端側の部位に、長手軸方向に貫通するチャンネル挿通孔62aが設けられている。このチャンネル挿通孔62aには、処置具チャンネル12が相対移動可能な状態にて挿通されている。
【0039】
さらに、キー62には、密巻コイル53の基端部を連結するための筒状の連結部62bが、チャンネル挿通孔62aと同軸上に設けられている。
【0040】
密巻コイル53は、例えば、コイルバネ51と同一の材料によって一体形成され、処置具チャンネル12の外周においてコイルバネ51と同じ方向にらせん状に巻き付けられている。
【0041】
この密巻コイル53は、主として可撓管部8から把持部36の先端側に対応する位置に配置され、処置具チャンネル12の外周に対して移動可能となっている。すなわち、密巻コイル53は、処置具チャンネル12の外周に対して僅かな隙間を有して配置され、これにより、処置具チャンネル12の外周に対して移動可能となっている。
【0042】
そして、この密巻コイル53の基端がスライド部材61のキー62に設けられた連結部62bに連結されることにより、密巻コイル53は、操作ユニット52のスライド部材61に入力された操作力をコイルバネ51に伝達することが可能となっている。
【0043】
ここで、図2に示すように、密巻コイル53の長さは、コイルバネ51が自然状態にあるとき、スライド部材61のキー62をガイド孔60aの基端側に位置させる長さに設定されている。換言すれば、密巻コイル53の長さは、キー62がガイド孔60aの基端側に位置するとき、コイルバネ51を自然状態とする長さに設定されている。これにより、密巻コイル53は、使用者がスライド部材61をガイド孔60aの先端側に操作した際の操作力をコイルバネ51に伝達することが可能となっている。すなわち、密巻コイル53は、コイルバネ51を圧縮変形させるための操作力を、コイルバネ51に伝達することが可能となっている(図3参照)。
【0044】
このように圧縮変形されたときのコイルバネ51の曲げ強度は、自然状態にあるときのコイルバネ51の曲げ強度よりも高くなる。これにより、曲げ強度可変機構50は、湾曲部7の曲げ強度を、第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度に変更することが可能となっている。
【0045】
このように構成された内視鏡1の挿入部2を被検体の管腔内に挿入する場合、操作者は、基本的には、湾曲部7の曲げ強度を第1の曲げ強度とした状態にて、一方の手によって把持部36を把持しつつ、他方の手によって可撓管部8を把持して被検体内に挿入部2を押し込む。
【0046】
このような挿入時において、操作者は、管腔内の前方に狭窄部や蛇行部を発見した場合、操作部3を把持した手によって操作ユニット52のスライド部材61を操作し、湾曲部7の曲げ強度を第2の曲げ強度へと変更した状態にて、他方の手によって可撓管部8を把持して被検体内に挿入部2を押し込む。これにより、挿入部2を押し込んだ際にも湾曲部7の受動的な湾曲が抑制される。従って、使用者による押し込み力が先端部6に対して的確に伝達され、先端部6(挿入部2)は、狭窄部や蛇行部を通過することが可能となる。
【0047】
このような実施形態によれば、挿入部2の内側に配設された処置具チャンネル12の外周にらせん状に巻き付けられ、先端が湾曲部7よりも先端部6の側に固定されたコイルバネ51と、コイルバネ51の基端側に設けられ、湾曲部7の内部に対応するコイルバネ51の少なくとも一部の曲げ強度を上げるようにコイルバネ51を変形させる操作力を入力するためのスライド部材61と、を備えたことにより、被検体内に狭窄部や蛇行部等の挿入困難な部位が存在する場合にも、良好な挿入性を確保することができる。
【0048】
すなわち、上述したように、管腔内の前方に狭窄部や蛇行部が存在しない通常時には湾曲部7の曲げ強度を第1の曲げ強度に設定して挿入を行い、狭窄部や蛇行部が存在する場合には湾曲部7の曲げ強度を第2の曲げ強度に高めることにより、通常時における湾曲操作の操作性等を確保しつつ、狭窄部や蛇行部が存在する場合においても良好な挿入性を実現することができる。
【0049】
この場合において、曲げ強度可変機構50は、処置具チャンネル12等の既存の環状部材を利用して構成するものであるため、構造の複雑化や挿入部2の太径化等を防止することができる。
【0050】
また、スライド部材61に入力された操作力をコイルバネ51に伝達するための伝達部材をコイルバネ51と同一の材料によって一体形成した密巻コイル53によって構成することにより、曲げ強度可変機構50の構成をより簡素化することができる。
【0051】
ここで、例えば、図5,6に示すように、本実施形態の曲げ強度可変機構50においては、スライド部材61に入力された操作力をコイルバネ51に伝達するための伝達部として、密巻コイル53に代えて、操作ワイヤ65を採用することが可能である。
【0052】
この場合において、例えば、図5,6に示すように、操作ワイヤ65は、座屈等を防止するため、密巻コイル66等に挿通された状態にて、処置具チャンネル12に沿って挿入部2内に配索されている。
【0053】
また、スライド部材61に入力された操作力をコイルバネ51の基端に対して均等に伝達するため、例えば、コイルバネ51の基端及び操作ワイヤ65の先端は、処置具チャンネル12の外周を移動可能なリング状の連結部材67に連結されている。
【0054】
さらに、操作ワイヤ65の基端は、処置具チャンネル12から離間した状態にて、キー62に対して直接的に連結されている。
【0055】
また、例えば、図7,8に示すように、本実施形態の曲げ強度可変機構50においては、スライド部材61に入力された操作力をコイルバネ51に伝達するための伝達部として、密巻コイル53に代えて、処置具チャンネル12の外周を移動可能に覆うように配設されたチューブ69を採用することが可能である。
【0056】
この場合において、コイルバネ51の基端は、例えば、チューブ69の先端外周に固定されている。また、チューブ69の基端は、キー62に設けられた連結部62bに連結されている。
【0057】
次に、図9乃至図13は本発明の第2の実施形態に係り、図9は内視鏡の外観斜視図、図10は湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図、図11は湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図、図12は操作レバーを操作していないときのカム機構の要部を示す斜視図、図13は操作レバーを操作したときのカム機構の要部を示す斜視図である。
【0058】
なお、本実施形態は、曲げ強度可変機構50における操作ユニットの構成が上述の第1の実施形態に対して主として異なる。このため、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して適宜説明を省略する。
【0059】
図10図11に示すように、本実施形態の操作ユニット70は、把持部36(操作部3)の内部に設けられたカム室71を有する。このカム室71には把持部36の長手軸と直角方向に延在する連通孔71aが設けられ、この連通孔71aによってカム室71の内部が把持部36の外部に連通されている。
【0060】
また、カム室71の先端側の壁部及び基端側の壁部には、処置具チャンネル12をカム室71内に挿通させるためのチャンネル挿通孔71bが設けられている。
【0061】
さらに、カム室71の内部には、把持部36の長手軸方向に延在するガイド溝71cが設けられている。
【0062】
カム室71の内部には、連通孔71aを貫通する処置具チャンネル12が挿通されるとともに、カム機構72を構成する原動節73と従動節74とが収容されている。
【0063】
原動節73は、略円筒形状をなす部材によって構成され、処置具チャンネル12の外周に軸支されている。
【0064】
この原動節73の先端面73aは、把持部36の長手軸に対して傾斜する第1のカム面として形成されている。
【0065】
また、原動節73の側部には、操作レバー73bが突設されている。操作レバー73bは連通孔71aに挿入され、この操作レバー73bの突端部は、操作部材(より具体的には、周方向回転部材)として把持部36の外部に突出されている(図9図11参照)。これにより、原動節73は、把持部36の長手軸方向の移動が禁止され、長手軸の周方向のみの回動が許容されている。
【0066】
従動節74は、略円筒形状をなす部材によって構成され、原動節73よりも先端側において、処置具チャンネル12の外周に軸支されている。
【0067】
この従動節74の基端面74aは、把持部36の長手軸に対して傾斜する第2のカム面として形成されている。
【0068】
また、従動節74の側部にはキー74bが突設され、このキー74bがガイド溝71cに係合されている。これにより、従動節74は、把持部36の長手軸の周方向の回動が禁止され、長手軸方向の移動のみが許容されている。
【0069】
また、従動節74の先端には、密巻コイル53の基端部を連結するための連結部材74cが設けられている。
【0070】
これらカム室71内に配置された原動節73及び従動節74は、原動節73が連通孔71aによって規定される一方の回動端に位置するとき、原動節73の先端面73aと従動節74の基端面74aとが面接触し、従動節74がガイド溝71cによって規定される基端側に位置するよう設定されている(図10,12参照)。そして、原動節73が連通孔71aによって規定される他方の回動端側に回動されたとき、原動節73の先端面73aと従動節74の基端面74aとの接触位置が変化し、従動節74がガイド溝71cによって規定される先端側に移動するよう設定されている(図11,13参照)。
【0071】
また、密巻コイル53の長さは、コイルバネ51が自然状態にあるとき、操作レバー73bを連通孔71aの一方の回動端に位置させる長さに設定されている(図10参照)これにより、密巻コイル53は、使用者が操作レバー73bを連通孔71aの一方の回動端から他方の回動端に操作した際の操作力をコイルバネ51に伝達することが可能となっている。より具体的には、使用者が操作レバー73bを回動操作させた際の操作力は、カム機構72において軸方向の操作力に変換された後、密巻コイル53によりコイルバネ51に伝達され、コイルバネ51が圧縮変形される。これにより、湾曲部7の曲げ強度は、第1の曲げ強度から第2の曲げ強度へと切り換えられる。
【0072】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。
【0073】
次に、図14,15は本発明の第3の実施形態に係り、図14は湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図、図15は湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図である。
【0074】
なお、上述の第1の実施形態ではコイルバネ51を自然状態から圧縮状態へと変化させることによって湾曲部7の曲げ強度を第1の曲げ強度から第2の曲げ強度に変更した構成について説明したが、本実施形態はコイルバネ51を自然状態から伸長状態へと変化させて処置具チャンネル12を締め付けることにより、湾曲部7の曲げ強度を第1の曲げ強度から第2の曲げ強度に変更する構成である点が主として異なる。そこで、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して適宜説明を省略する。
【0075】
図14,15に示すように、本実施形態において、曲げ強度可変機構50の操作ユニット75は、スライド部材61に入力された操作力をコイルバネ51に伝達するための伝達部として、操作ワイヤ65を有する。
【0076】
この操作ワイヤ65は、座屈等を防止するため、密巻コイル66等に挿通された状態にて挿入部2内に配索されている。
【0077】
また、スライド部材61に入力された操作力をコイルバネ51の基端に対して均等に伝達するため、例えば、コイルバネ51の基端及び操作ワイヤ65の先端は、処置具チャンネル12の外周を移動可能なリング状の連結部材67に連結されている。
【0078】
さらに、操作ワイヤ65の基端は、処置具チャンネル12とは独立して、キー62に対して直接的に連結されている。
【0079】
ここで、操作ワイヤ65の長さは、コイルバネ51が自然状態にあるとき、スライド部材61のキー62をガイド孔60aの先端側に位置させる長さに設定されている(図14参照)。これにより、操作ワイヤ65は、使用者がスライド部材61をガイド孔60aの基端側に操作した際の操作力をコイルバネ51に伝達することが可能となっている。すなわち、操作ワイヤ65は、コイルバネ51を伸張方向に移動(変形)させるための操作力を、コイルバネ51に伝達することが可能となっている(図15参照)。
【0080】
そして、このように伸張変形されると、コイルバネ51は処置具チャンネル12の外周に対して強固に巻き付いて処置具チャンネル12を締め付けることにより、コイルバネ51と処置具チャンネル12とを相対移動不能とする。これにより、伸張変形されたコイルバネ51(及び、処置具チャンネル12)の曲げ強度は、自然状態にあるときの曲げ強度よりも高くなる。その結果、湾曲部7の曲げ強度は、第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度に変更される。
【0081】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。
【0082】
次に、図16は本発明の第4の実施形態に係り、図16は挿入部及び操作部の要部断面図である。
【0083】
なお、本実施形態は、曲げ強度可変機構50における操作ユニットの構成が上述の第1の実施形態に対して主として異なる。このため、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して適宜説明を省略する。
【0084】
図16に示すように、本実施形態の操作ユニット80は、把持部36(操作部3)の内部に設けられた収容室81を有する。この収容室81には把持部36の長手軸と直角方向に延在する連通孔81aが設けられ、この連通孔81aによって収容室81の内部が把持部36の外部に連通されている。
【0085】
また、収容室81の先端側の壁部及び基端側の壁部には、処置具チャンネル12を収容室81内に挿通させるためのチャンネル挿通孔81bが設けられている。
【0086】
収容室81の内部には、チャンネル挿通孔18bを貫通する処置具チャンネル12が挿通されるとともに、この処置具チャンネル12に軸支された筒部材82が収容されている。
【0087】
筒部材82の側部には、操作レバー82aが突設されている。操作レバー82aは連通孔81aに挿入され、この操作レバー82aの突端部は、操作部材(より具体的には、周方向回転部材)として把持部36の外部に突出されている。これにより、筒部材82は、把持部36の長手軸方向の移動が禁止され、長手軸の周方向のみの回動が許容されている。
【0088】
また、筒部材82の先端には、密巻コイル53の基端部を連結するための連結部材82bが設けられている。
【0089】
密巻コイル53の基端は、操作レバー82aが連通孔81aの一端側に位置するとき、コイルバネ51が自然状態となるよう、連結部材82bに接続されている。これにより、密巻コイル53は、使用者が操作レバー82aを連通孔81aの一端側から他端側に操作した際の操作力をコイルバネ51に伝達することが可能となっている。この操作力の方向はコイルバネ51及び密巻コイル53の巻回方向と一致するよう設定されており、これにより、湾曲部7の曲げ強度は、第1の曲げ強度から第2の曲げ強度へと切り換えられる。
【0090】
すなわち、巻回方向の操作力が伝達されると、コイルバネ51は処置具チャンネル12の外周に対して強固に巻き付くように移動して処置具チャンネル12を締め付けることにより、コイルバネ51と処置具チャンネル12とを相対移動不能とする。これにより、巻回方向に変形されたコイルバネ51(及び、処置具チャンネル12)の曲げ強度は、自然状態にあるときの曲げ強度よりも高くなる。その結果、湾曲部7の曲げ強度は、第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度に変更される。
【0091】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。
【0092】
次に、図17乃至図20は本発明の第5の実施形態に係り、図17は湾曲部が第1の曲げ強度であるときの挿入部及び操作部の要部断面図、図18は湾曲部の曲げ強度を第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度とするときの挿入部及び操作部の要部断面図、図19はスライド部材を操作していないときのカム機構の要部を示す斜視図、図20はスライド部材を操作したときのカム機構の要部を示す斜視図である。
【0093】
なお、本実施形態は、曲げ強度可変機構50における操作ユニットの構成が上述の第1の実施形態に対して主として異なる。このため、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して適宜説明を省略する。
【0094】
図17図18に示すように、本実施形態の操作ユニット90は、把持部36(操作部3)の内部に設けられたカム室91を有する。このカム室91には把持部36の長手軸方向に延在する連通孔91aが設けられ、この連通孔91aによってカム室91の内部が把持部36の外部に連通されている。
【0095】
また、カム室91の先端側の壁部及び基端側の壁部には、処置具チャンネル12をカム室91内に挿通させるためのチャンネル挿通孔91bが設けられている。
【0096】
カム室91の内部には、処置具チャンネル12が貫通されるとともに、カム機構92を構成する原動節93と従動節94とが収容されている。
【0097】
原動節93は、略円筒形状をなす部材によって構成され、処置具チャンネル12の外周に軸支されている。
【0098】
この原動節93の先端面93aは、把持部36の長手軸に対して傾斜する第1のカム面として形成されている。
【0099】
また、原動節93の側部には、キー93bが突設されている。キー93bは、連通孔90aに挿入されている。これにより、原動節93は、把持部36の長手軸の周方向の回動が禁止され、長手軸方向のみの移動が許容されている。
【0100】
また、把持部36の外部において、キー93bの突端部には、原動節93を長手方向に移動させるための操作部材(軸方向スライド部材)としてのスライド部材93cが固定されている(図17,18参照)。
【0101】
従動節94は、略円筒形状をなす部材によって構成され、原動節93よりも先端側において、処置具チャンネル12の外周に軸支されている。
【0102】
この従動節94の基端面94aは、把持部36の長手軸に対して傾斜する第2のカム面として形成されている。
【0103】
また、従動節94の先端には、密巻コイル53の基端部を連結するための連結部材94bが設けられている。
【0104】
ここで、従動節94の先端面は、カム室91の壁面に当接するように配置されている。これにより、従動節94は、把持部36の長手軸方向の移動が禁止され、長手軸の周方向の回動のみが許容されている。
【0105】
これらカム室91内に配置された原動節93及び従動節94は、原動節93が連通孔90aによって規定される基端側に位置するとき、原動節93の先端面93aの一部と従動節94の基端面94aの一部とが所定の接触状態にて接触し、従動節94が所定の回転位置(第1の回転位置)に位置するよう設定されている(図17,19参照)。そして、原動節93が連通孔90aによって規定される先端側に移動されたとき、原動節93の先端面93aと従動節94の基端面94aとの接触位置が変化して面接触し、従動節94が所定の回転位置(第2の回転位置)まで回転移動するよう設定されている(図18,20参照)。
【0106】
また、密巻コイル53の基端は、従動節94が第1の回転位置に位置するとき、コイルバネ51が自然状態となるよう、連結部材94bに接続されている。これにより、密巻コイル53は、使用者がスライド部材93cを連通孔90aの基端側から先端側に操作した際の操作力をコイルバネ51に伝達することが可能となっている。より具体的には、使用者がスライド部材93cを先端側に移動させた際の操作力は、カム機構92において長手軸の周方向の操作力に変換された後、密巻コイル53によりコイルバネ51に伝達される。この操作力の方向はコイルバネ51及び密巻コイル53の巻回方向と一致するよう設定されており、これにより、湾曲部7の曲げ強度は、第1の曲げ強度から第2の曲げ強度へと切り換えられる。
【0107】
すなわち、巻回方向の操作力が伝達されると、コイルバネ51は巻き方向に移動(変形)することにより処置具チャンネル12の外周に対して強固に巻き付き、コイルバネ51と処置具チャンネル12とを相対移動不能とする。これにより、巻回方向に変形されたコイルバネ51(及び、処置具チャンネル12)の曲げ強度は、自然状態にあるときの曲げ強度よりも高くなる。その結果、湾曲部7の曲げ強度は、第1の曲げ強度よりも高い第2の曲げ強度に変更される。
【0108】
このような実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の作用効果を奏することができる。
【0109】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。例えば、上述の各実施形態及び各変形例の構成を適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
【0110】
また、上述の実施形態においては、上下の2方向にのみ湾曲可能な湾曲部を備えた内視鏡を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、左右の2方向にのみ湾曲可能な湾曲部を備えた内視鏡、或いは、上下左右の4方向に湾曲可能な湾曲部を備えた内視鏡等にも適用が可能であることは勿論である。
【0111】
さらに、本発明が適用される内視鏡は、腎盂尿管鏡に限定されないことは勿論である。
【0112】
本出願は、2018年2月5日に日本国に出願された特願2018−18086号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
図1
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