特許第6854933号(P6854933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854933
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20210329BHJP
   A47L 9/02 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   A47L9/16
   A47L9/02 D
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-571683(P2019-571683)
(86)(22)【出願日】2018年7月2日
(65)【公表番号】特表2020-525149(P2020-525149A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(86)【国際出願番号】KR2018007472
(87)【国際公開番号】WO2019009575
(87)【国際公開日】20190110
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0085067
(32)【優先日】2017年7月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ミョンシク
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−68749(JP,A)
【文献】 特開2009−268564(JP,A)
【文献】 特開2003−225183(JP,A)
【文献】 特開2004−313745(JP,A)
【文献】 特開2016−43140(JP,A)
【文献】 米国特許第4951348(US,A)
【文献】 中国実用新案第202821203(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00−9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機であって、
本体に備えられ、塵埃を集塵するように構成されるダストボックスと、
前記ダストボックスを開閉するように前記本体に回転可能に結合されるカバーと、
前記カバーの開放により露出するように前記ダストボックスの内部に装着され、前記本体の内部流路を流動する空気から塵埃を濾過するように構成されるフィルタ組立体と、
前記本体の空気入口又は前記空気入口に連結される延長管に結合できるように構成される隙間掃除具とを備えてなり、
前記フィルタ組立体は、
前記カバーに向けて開放される開口部と、
前記開口部の内周面から突設される突起部とを備え、
前記隙間掃除具は、
前記隙間掃除具が前記開口部に挿入されて回転することにより前記突起部に係止される係止リブを備え、
前記係止リブが前記突起部に係止された状態で前記隙間掃除具を前記ダストボックスの外側に取り出す力により、前記フィルタ組立体が前記隙間掃除具と共に前記ダストボックスから取り出されることを特徴とする、掃除機。
【請求項2】
前記突起部は、複数備えられ、前記開口部の内周面に沿って互いに離隔して配置され、
前記係止リブは、前記隙間掃除具の挿入により2つの前記突起部間に挿入され、
前記隙間掃除具の回転により2つの前記突起部のいずれか一方に係止されることを特徴とする、請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記係止リブは、
前記隙間掃除具の挿入及び取出方向に延びる位置設定部と、
前記位置設定部と交差する方向に延び、2つの前記突起部のいずれか一方に係止される係止部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の掃除機。
【請求項4】
前記隙間掃除具は、前記開口部に挿入された状態で第1方向と前記第1方向の逆方向である第2方向とに回転可能に形成され、
前記第1方向は、前記係止部が2つの前記突起部のいずれか一方に係止される方向であり、前記第2方向は、2つの前記突起部のいずれか一方に対する前記係止部の係止が解除される方向であることを特徴とする、請求項3に記載の掃除機。
【請求項5】
前記位置設定部は、前記係止リブの係止位置を設定するように、前記隙間掃除具の前記第1方向の回転により2つの前記突起部のいずれか一方に密着し、
前記位置設定部は、前記係止リブの係止解除位置を設定するように、前記隙間掃除具の前記第2方向の回転により2つの前記突起部の他方に密着することを特徴とする、請求項4に記載の掃除機。
【請求項6】
前記位置設定部が2つの前記突起部のいずれか一方に密着した後に前記第1方向に更に加わる力により、前記フィルタ組立体が前記第1方向に回転し、
前記位置設定部が2つの前記突起部の他方に密着した後に前記第2方向に更に加わる力により、前記フィルタ組立体が前記第2方向に回転することを特徴とする、請求項5に記載の掃除機。
【請求項7】
前記フィルタ組立体は、前記第1方向に回転することにより、前記ダストボックスの内側から分離され、前記第2方向に回転することにより、前記ダストボックスの内側に結合されることを特徴とする、請求項5に記載の掃除機。
【請求項8】
前記隙間掃除具は、
前記係止リブの一端に形成されるストッパを更に備え、
前記ストッパは、前記隙間掃除具の外側から突出し、前記隙間掃除具の挿入長さを設定するように、前記係止リブより大きく突出することを特徴とする、請求項1に記載の掃除機。
【請求項9】
前記突起部は、複数備えられ、前記開口部の内周面に沿って2つずつ互いに対向して配置され、
前記係止リブは、
前記隙間掃除具の一側から突設される第1係止リブと、
前記第1係止リブとは逆方向を向くように、前記隙間掃除具の他側から突設される第2係止リブとを備え、
前記ストッパは、
前記第1係止リブの一端に形成される第1ストッパと、
前記第2係止リブの一端に形成される第2ストッパとを備え、
前記第1ストッパの最外縁部と前記第2ストッパの最外縁部間の直線距離は、互いに対向する2つの前記突起部間の直線距離より長いことを特徴とする、請求項8に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除対象領域の塵埃や異物を吸入したり拭いて掃除を行う掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機とは、吸入モータから発生する吸引力を利用して掃除対象領域の塵埃や異物を空気と共に吸入し、吸入した空気から塵埃や異物を分離し、空気のみを排出して塵埃や異物は集塵する装置をいう。
【0003】
掃除機は、手動掃除機と自動掃除機に分けられる。手動掃除機は、ユーザの操作により移動しながら掃除を行う。手動掃除機は、キャニスタ型、アップライト型、ハンディ型、スティック型などのタイプに分けられる。自動掃除機は、ユーザの操作によらず、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術に基づいて掃除を行う。
【0004】
特許文献1(2016年3月29日公開)には、ハンディ型掃除機が開示されている。前記ハンディ型掃除機は、本体と、塵埃を収集する収集箱、前記収集箱の内側に設けられるグリル部とを含む。前記グリル部は、その孔より大きい塵埃や異物を濾過する。よって、前記ハンディ型掃除機の作動時間が経過するにつれて、前記グリル部に塵埃や異物が溜まる。
【0005】
前記グリル部に溜まった塵埃や異物は前記ハンディ型掃除機の掃除性能の低下を招く。前記ハンディ型掃除機の掃除性能を維持するためには、前記ハンディ型掃除機の収集箱を開放して前記収集箱の内側の前記グリル部を掃除しなければならない。
【0006】
しかし、前記収集箱を開放して単に前記本体を振る動作だけでは前記グリル部に溜まった塵埃や異物をきれいに掃除することができない。前記グリル部をきれいに掃除するためには、前記グリル部を前記本体から分離しなければならない。その過程でユーザが手で前記グリル部を把持すると、ユーザの手に塵埃や異物がつくなど、衛生的に好ましくない結果をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2016−0034041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、塵埃や異物を手で触ることなく、本体の内部に溜まった塵埃や異物を衛生的に除去できる構造の掃除機を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、掃除機の付属品のいずれかの掃除具を用いて掃除機の内部の塵埃や異物が溜まった部品を掃除機の内部から分解できる構造の掃除機を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、再び掃除具を用いて掃除済みの部品を掃除機の内部に装着できる構造の掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態による掃除機は、本体に備えられて塵埃を集塵するように構成されるダストボックスと、前記ダストボックスの内部に装着されるフィルタ組立体と、前記本体の空気入口又は前記空気入口に連結される延長管に結合できるように構成される隙間掃除具(crevice tool)とを含み、前記隙間掃除具の係止リブが前記フィルタ組立体の突起部に係止された状態で前記隙間掃除具を前記ダストボックスの外側に取り出す力により、前記フィルタ組立体も前記隙間掃除具と共に前記ダストボックスから取り出される。
【0012】
前記掃除機は、前記ダストボックスを開閉するように前記本体に回転可能に結合されるカバーをさらに含む。前記フィルタ組立体は、前記カバーの開放により露出するように前記ダストボックスの内部に装着され、前記本体の内部流路を流動する空気から塵埃を濾過するように構成される。
【0013】
前記フィルタ組立体は、前記カバーに向けて開放される開口部と、前記開口部の内周面から突設される突起部とを含む。
【0014】
前記隙間掃除具は、前記隙間掃除具が前記開口部に挿入されて回転することにより前記突起部に係止される係止リブを含む。
【0015】
前記突起部は、複数備えられ、前記開口部の内周面に沿って互いに離隔して配置され、前記係止リブは、前記隙間掃除具の挿入により2つの前記突起部間に挿入され、前記隙間掃除具の回転により2つの前記突起部のいずれか一方に係止される。
【0016】
前記係止リブは、前記隙間掃除具の挿入及び取出方向に延びる位置設定部と、前記位置設定部と交差する方向に延び、2つの前記突起部のいずれか一方に係止される係止部とを含む。
【0017】
前記隙間掃除具は、前記開口部に挿入された状態で第1方向と前記第1方向の逆方向である第2方向とに回転可能に形成され、前記第1方向は、前記係止部が2つの前記突起部のいずれか一方に係止される方向であり、前記第2方向は、2つの前記突起部のいずれか一方に対する前記係止部の係止が解除される方向である。
【0018】
前記位置設定部は、前記係止リブの係止位置を設定するように、前記隙間掃除具の前記第1方向の回転により2つの前記突起部のいずれか一方に密着し、前記位置設定部は、前記係止リブの係止解除位置を設定するように、前記隙間掃除具の前記第2方向の回転により2つの前記突起部の他方に密着する。
【0019】
前記位置設定部が2つの前記突起部のいずれか一方に密着した後に前記第1方向にさらに加わる力により、前記フィルタ組立体が前記第1方向に回転し、前記位置設定部が2つの前記突起部の他方に密着した後に前記第2方向にさらに加わる力により、前記フィルタ組立体が前記第2方向に回転する。
【0020】
前記フィルタ組立体は、前記第1方向に回転することにより、前記ダストボックスの内側から分離され、前記第2方向に回転することにより、前記ダストボックスの内側に結合される。
【0021】
前記隙間掃除具は、前記係止リブの一端に形成されるストッパをさらに含み、前記ストッパは、前記隙間掃除具の外側から突出し、前記隙間掃除具の挿入長さを設定するように、前記係止リブより大きく突出する。
【0022】
前記突起部は、複数備えられ、前記開口部の内周面に沿って2つずつ互いに対向して配置され、前記係止リブは、前記隙間掃除具の一側から突設される第1係止リブと、前記第1係止リブとは逆方向を向くように、前記隙間掃除具の他側から突設される第2係止リブとを含み、前記ストッパは、前記第1係止リブの一端に形成される第1ストッパと、前記第2係止リブの一端に形成される第2ストッパとを含み、前記第1ストッパの最外縁部と前記第2ストッパの最外縁部間の直線距離は、互いに対向する2つの前記突起部間の直線距離より長い。
【発明の効果】
【0023】
上記構成の本発明によれば、フィルタ組立体を手で触ることなく、隙間掃除具を用いてフィルタ組立体をダストボックスの内側から分離することができる。
【0024】
また、本発明によれば、フィルタ組立体を手で触ることなく、隙間掃除具を用いてフィルタ組立体をダストボックスの内側に組み付けることができる。
【0025】
よって、本発明においては、フィルタ組立体に含まれるメッシュフィルタを衛生的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による掃除機の斜視図である。
図2】本体の概念図である。
図3a】フィルタ組立体の集塵部バウンダリを示す断面図である。
図3b】フィルタ組立体の集塵部バウンダリを示す平面図である。
図4a】隙間掃除具の斜視図である。
図4b図4aに示す隙間掃除具の一側を拡大して示す概念図である。
図4c図4aに示す隙間掃除具の他側を拡大して示す概念図である。
図5a】隙間掃除具をフィルタ組立体に結合する過程を示す概念図である。
図5b】隙間掃除具を用いてフィルタ組立体を本体から分離する過程を示す概念図である。
図6a】隙間掃除具をフィルタ組立体に結合する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図6b】隙間掃除具をフィルタ組立体に結合する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図6c】隙間掃除具をフィルタ組立体に結合する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図6d】隙間掃除具をフィルタ組立体に結合する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図6e】隙間掃除具をフィルタ組立体に結合する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図7a】隙間掃除具をフィルタ組立体から分離する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図7b】隙間掃除具をフィルタ組立体から分離する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図7c】隙間掃除具をフィルタ組立体から分離する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図7d】隙間掃除具をフィルタ組立体から分離する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
図7e】隙間掃除具をフィルタ組立体から分離する過程における係止リブや突起部などの相対位置を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明による掃除機についてより詳細に説明する。本明細書において用いられる単数の表現には、特に断らない限り複数の表現が含まれる。
【0028】
図1は本発明の一実施形態による掃除機100の斜視図である。図2は本体110の概念図である。
【0029】
掃除機100は、本体110、吸入ノズル130及び延長管140を含む。
【0030】
本体110の外観は、ケース111により形成される。ケース111の内部には、掃除機100を構成する複数の部品が内蔵される。
【0031】
本体110は、内側に吸入モータ(図示せず)を備える。前記吸入モータは、空気と塵埃を吸入できる吸引力を発生するように構成される。前記吸入モータにより発生した吸引力が延長管140を介して吸入ノズル130に伝達され、吸入ノズル130から空気が吸入されて延長管140と空気入口112を介して本体110の内側に流入する。
【0032】
本体110の内側には、1次サイクロン部121及び2次サイクロン部122が備えられてもよい。1次サイクロン部121及び2次サイクロン部122は、それぞれ空気の流れに旋回流を形成するように構成される。空気と塵埃の重量の違いにより空気と塵埃の遠心力の差が発生し、その遠心力の差を利用して空気から塵埃を分離する。
【0033】
1次サイクロン部121は、本体110の外観を形成するケース111とケース111の内側に装着されるフィルタ組立体160とにより形成される。2次サイクロン部122は、フィルタ組立体160の内側に配置される。2次サイクロン部122は、サイクロンの集合により形成される。1次サイクロン部121では、相対的に大きい塵埃が分離され、2次サイクロン部122では、相対的に小さい塵埃が分離される。
【0034】
本体110には、ダストボックス150が備えられる。ダストボックス150は、その内部の集塵量を外部から確認できるように、透明な材質からなるようにしてもよい。ダストボックス150は、1次サイクロン部121及び2次サイクロン部122により空気から分離された塵埃を集塵するように構成される。ダストボックス150は、2つの領域からなるようにしてもよい。
【0035】
第1集塵部151は、1次サイクロン部121により空気から分離された塵埃を集塵するように構成される。第2集塵部152は、2次サイクロン部122により空気から分離された塵埃を集塵するように構成される。第2集塵部152は、第1集塵部151の内側に配置され、第1集塵部151は、第2集塵部152を囲む環状に形成されてもよい。
【0036】
塵埃が分離された空気は、フィルタ機構180に形成される空気出口113から本体110の外部に排出される。
【0037】
ダストボックス150の底面にはカバー153が形成される。カバー153は、第1集塵部151及び第2集塵部152の底面を形成する。カバー153は、ダストボックス150を開閉するように本体110に回転可能に結合される。カバー153を拘束しているボタン154が押圧されると、カバー153がヒンジを回転軸として回転してダストボックス150を開放する。ダストボックス150が開放されると、第1集塵部151及び第2集塵部152に集塵された塵埃が一度に排出される。
【0038】
カバー153が回転してダストボックス150を開放すると、フィルタ組立体160が露出する。フィルタ組立体160は、カバー153の開放により露出するようにダストボックス150の内部に装着される。フィルタ組立体160は、本体110の内部流路を流動する空気から塵埃を濾過するように構成される。ここで、本体110の内部流路とは、1次サイクロン部121と2次サイクロン部122とを連結する流路をいう。フィルタ組立体160は、メッシュフィルタ161、スカート162及び集塵部バウンダリ163を含む。
【0039】
メッシュフィルタ161は、2次サイクロン部122を囲むように円筒状に形成されてもよい。メッシュフィルタ161は、複数の孔を有し、前記孔より大きい塵埃や異物を濾過する。メッシュフィルタ161は、1次サイクロン部121と2次サイクロン部122の境界に設けられ、1次サイクロン部121から2次サイクロン部122へと本体110の内部流路を流動する空気から塵埃や異物を濾過する。
【0040】
スカート162は、メッシュフィルタ161の下方に配置されてもよい。メッシュフィルタ161は、1次サイクロン部121により分離されて第1集塵部151に集塵された塵埃が飛散することを防止するように構成される。スカート162は、円周に沿って下方に延び、垂直方向又は傾斜して拡張される方向に延びるようにしてもよい。
【0041】
集塵部バウンダリ163は、第1集塵部151と第2集塵部152の境界を形成する。集塵部バウンダリ163は、円筒状に形成されてもよく、また、下部から上部に行くにつれて次第に円周が大きくなるように形成されてもよい。円周が大きくなる領域に曲面又は傾斜面が形成され、2次サイクロン部122から落下する塵埃の円滑な集塵を誘導するようにしてもよい。
【0042】
本体110の内部には、バッテリ170が備えられてもよい。バッテリ170は、本体110に着脱可能に装着されてもよい。バッテリ170は、前記吸入モータなどに電力を供給するように構成される。吸入ノズル130には回転掃除部材が備えられ、バッテリ170は、前記回転掃除部材に電力を供給するようにしてもよい。
【0043】
本体110の外側には、手で把持できる取っ手114が備えられてもよい。ユーザは取っ手114を把持した状態で掃除を行うことができる。
【0044】
図1に示すように、吸入ノズル130は、前記吸入モータからの吸引力を利用して掃除対象領域の空気と塵埃を吸入するように構成される。吸入ノズル130には回転掃除部材が装着されてもよい。前記回転掃除部材は、吸入ノズル130の内側で回転することにより、前記掃除対象領域の塵埃を掃いて吸入ノズル130に吸入させる。
【0045】
フィルタ機構180は、本体110の上部に配置される。フィルタ機構180は、ケース111の上端に結合され、2次サイクロン部122で濾過された空気から微細塵埃や超微細塵埃を最終的に濾過するように構成される。フィルタ機構180には空気出口113が形成される。
【0046】
延長管140は、本体110と吸入ノズル130とを連結するように形成される。延長管140は、長手方向に伸張又は収縮するようにしてもよい。吸入ノズル130は、延長管140に着脱可能に構成される。吸入ノズル130は、延長管140を介在することなく、本体110の空気入口112に直接連結されるようにしてもよい。
【0047】
掃除機100は、吸入ノズル130と交換できる様々な掃除具を含んでもよい。例えば、ブラシ掃除具、モップ掃除具、寝具掃除具及び隙間掃除具190のいずれかを吸入ノズル130と交換することができる。これらの掃除具は、本体110の空気入口112又は延長管140に結合できるように構成される。
【0048】
前記ブラシ掃除具は、床面に当たる部分にブラシが装着されていて多量の塵埃を掃いて掃除を行うことができる。前記モップ掃除具は、モップを備え、前記モップの回転により床面を拭くことができる。前記寝具掃除具は、寝具を打撃する打撃部材を備え、空気の吸入過程で前記打撃部材が寝具を打撃して前記寝具の塵埃を払うことができる。隙間掃除具190(図4a参照)は、相対的に狭い吸入口を備え、狭い空間に存在する塵埃を掃除することができる。
【0049】
掃除機100の作動時間が累積されるにつれて、ダストボックス150だけでなく、フィルタ組立体160にも塵埃が溜まることになる。とりわけ、1次サイクロン部121と2次サイクロン部122との間で塵埃を濾過するメッシュフィルタ161に塵埃が溜まる。よって、カバー153を開放した状態で手を入れて塵埃を除去する場合、塵埃が手につき、塵埃を十分に除去することもできない。
【0050】
つまり、フィルタ組立体160に溜まった塵埃を確実に除去するためには、フィルタ組立体160を本体110から分離して洗浄することが好ましい。しかし、フィルタ組立体160を本体110から分離する過程で手を用いると、フィルタ組立体160に溜まった塵埃が手についたり飛散したりする。
【0051】
そこで、本発明においては、フィルタ組立体160を手にすることなく、フィルタ組立体160を本体110から分離できるようにする、集塵部バウンダリ163及び隙間掃除具190の構造を提案する。当該構造については図3a以降の図面を参照して説明する。
【0052】
図3aはフィルタ組立体160の集塵部バウンダリ163を示す断面図である。図3bはフィルタ組立体160の集塵部バウンダリ163を示す平面図である。
【0053】
前述したように、集塵部バウンダリ163は、第1集塵部151と第2集塵部152の境界を形成する。集塵部バウンダリ163は、円筒状に形成され、下端から上端へ行くにつれて次第に円筒の内径が大きくなる。内径が大きくなる領域には、図3aに示すように曲面163cが形成されてもよく、傾斜面が形成されてもよい。
【0054】
集塵部バウンダリ163の外側は第1集塵部151である。第1集塵部151には、1次サイクロン部121により空気から分離された塵埃が集塵される。集塵部バウンダリ163の上端とケース111間に形成される環状の空間は相対的に狭く、集塵部バウンダリ163の下端とケース111間に形成される環状の空間は相対的に広い。よって、集塵部バウンダリ163の下端とケース111間に第1集塵部151の空間が確保される。
【0055】
集塵部バウンダリ163の内側は第2集塵部152である。第2集塵部152には、2次サイクロン部122により空気から分離された塵埃が集塵される。集塵部バウンダリ163の上端と下端間に曲面163c又は傾斜面が形成されるので、2次サイクロン部122から落下する塵埃は曲面163c又は傾斜面に沿って第2集塵部152に集まることになる。
【0056】
集塵部バウンダリ163の上端には、スカート162を結合するための溝163dが形成される。スカート162の少なくとも一部が突設されて溝163dに挿入されることにより、集塵部バウンダリ163とスカート162との結合が行われる。スカート162は、集塵部バウンダリ163に固定されてもよく、集塵部バウンダリ163に相対回転可能に結合されてもよい。
【0057】
集塵部バウンダリ163は、フィルタ組立体160を構成する構成要素のうち最も下方に配置される。よって、カバー153を開放すると集塵部バウンダリ163の一端(下端)が露出する。カバー153を開放した状態で集塵部バウンダリ163を見ると、カバー153に向けて開放された開口部163aが見える。開口部163aの内周面には突起部163bが形成される。
【0058】
図3aに示すように、突起部163bは、複数備えられ、各突起部163bは、フィルタ組立体160の上端から下端に向かう方向に延びる。図3bに示すように、複数の突起部163bは、開口部163aの内周面から突設される。複数の突起部163bは、開口部163aの内周面(内側円周)に沿って互いに離隔して配置され、2つの突起部163b同士が対向して配置される。
【0059】
以下、開口部163aに挿入されてフィルタ組立体160を取り出すことができるように構成される隙間掃除具190について説明する。
【0060】
図4aは隙間掃除具190の斜視図である。図4bは図4aに示す隙間掃除具190の一側を拡大して示す概念図である。図4cは図4aに示す隙間掃除具190の他側を拡大して示す概念図である。
【0061】
隙間掃除具190は、延長管140との連結のための連結部191を含む。例えば、連結部191は、円筒状に形成され、円筒状の連結部191に延長管140を挿入できるようにしてもよい。それとは異なり、隙間掃除具190は、本体110の空気入口112に直接連結することもできる。
【0062】
連結部191には、延長管140又は空気入口112との結合を解除するためのボタン192が備えられ、ボタン192を押圧した状態で隙間掃除具190を引っ張ると、隙間掃除具190が延長管140又は空気入口112から分離される。
【0063】
隙間掃除具190は、掃除機100の他の付属品とは異なり、狭い吸入口193を含む。隙間掃除具190の吸入口193が相対的に狭いのは、他の掃除具とは異なり、隙間掃除具190が狭い隙間を掃除するためのものであるからである。
【0064】
隙間掃除具190の狭い吸入口193を形成するために、連結部191から吸入口193に近づくにつれて隙間掃除具190の両側が部分的に狭くなるようにしてもよい。吸入口193の周面は傾斜して形成されてもよく、吸入口193の傾斜した周面により狭い隙間でも容易に掃除することができる。
【0065】
隙間掃除具190は、係止リブ194a、194bを含む。隙間掃除具190は、集塵部バウンダリ163の開口部163aに挿入することができ、係止リブ194a、194bは、隙間掃除具190が開口部163aに挿入されて回転することにより突起部163bに係止されるように、隙間掃除具190の外側から突設される。
【0066】
係止リブ194a、194bは、隙間掃除具190の両側から突設される。第1係止リブ194aは、隙間掃除具190の一側から突設される。第2係止リブ194bは、第1係止リブ194aとは逆方向を向くように、隙間掃除具190の他側から突設される。
【0067】
第1係止リブ194a及び第2係止リブ194bは、いずれか一方が他方より長く形成されてもよい。これは、吸入口193の周面が傾斜して形成されるからである。同図においては、図4aに示す第1係止リブ194aの方が図4bに示す第2係止リブ194bより長い場合を示す。しかし、第1係止リブ194a及び第2係止リブ194bが必ずしも異なる長さを有するようにする必要はない。
【0068】
第1係止リブ194aは、位置設定部194a1及び係止部194a2を含み、同様に、第2係止リブ194bは、位置設定部194b1及び係止部194b2を含む。位置設定部194a1、194b1を第1部分といい、係止部194a2、194b2を第2部分といってもよい。
【0069】
位置設定部194a1、194b1は、隙間掃除具190の長手方向に延びる。隙間掃除具190が長手方向に挿入及び取出されるので、位置設定部194a1、194b1が隙間掃除具190の挿入及び取出方向に延びるのである。集塵部バウンダリ163の開口部163aに形成される突起部163bの延長方向と位置設定部194a1、194b1の延長方向とは実質的に平行である。
【0070】
第1係止リブ194aの位置設定部194a1と第2係止リブ194bの位置設定部194b1とは実質的に同じ長さを有することが好ましい。こうすることにより、第1係止リブ194a及び第2係止リブ194bは、集塵部バウンダリ163のどの突起部163bにも係止できるようになる。
【0071】
係止部194a2、194b2は、位置設定部194a1、194b1と交差する方向に延びる。位置設定部194a1、194b1と係止部194a2、194b2とは、直角に交差するようにしてもよい。よって、隙間掃除具190を集塵部バウンダリ163の開口部163aに挿入して回転させると、係止部194a2、194b2が突起部163bに係止される。この状態では、隙間掃除具190を逆方向に回転させない限り、隙間掃除具190が不意に離脱しない。
【0072】
隙間掃除具190は、係止リブ194a、194bの一端に形成されるストッパ195a、195bを含む。ストッパ195a、195bは、位置設定部194a1、194b1の一端(図4a及び図4bにおける下端)に形成される。つまり、係止部194a2、194b2は、位置設定部194a1、194b1の他端に形成される。
【0073】
ストッパ195a、195bは、隙間掃除具190の挿入長さを設定するためのものである。係止リブ194a、194bが突起部163bに係止されるようにするためには、係止リブ194a、194bを2つの突起部163b間に挿入しなければならない。よって、ストッパ195a、195bが形成されていない場合、隙間掃除具190の挿入長さを正確に決定しにくく、隙間掃除具190が2次サイクロン部122に当たるまで挿入される恐れがある。
【0074】
ストッパ195a、195bは、隙間掃除具190の外側から突出する。ストッパ195a、195bは、隙間掃除具190の挿入長さを設定するように、係止リブ194a、194bより大きく突出する。第1ストッパ195aは、隙間掃除具190の一側から突出し、第1係止リブ194aの一端(図4a及び図4bにおける下端)に形成される。第2ストッパ195bは、隙間掃除具190の他側から突出し、第2係止リブ194bの一端(図4a及び図4bにおける下端)に形成される。
【0075】
第1ストッパ195aの最外縁部Aと第2ストッパ195bの最外縁部B間の直線距離は、互いに対向する2つの突起部163b間の直線距離d1(図3b参照)より長い。よって、ストッパ195a、195bにより隙間掃除具190の挿入長さが設定され、隙間掃除具190が所定の長さ以上挿入されることが制限される。
【0076】
以下、隙間掃除具190をフィルタ組立体160に結合してフィルタ組立体160を本体110から分離する過程について説明する。
【0077】
図5aは隙間掃除具190をフィルタ組立体160に結合する過程を示す概念図である。図5bは隙間掃除具190を用いてフィルタ組立体160を本体110から分離する過程を示す概念図である。
【0078】
ダストボックス150の開閉のためのカバー153を開放した状態で、隙間掃除具190の吸入口193が本体110の内側を向くように押し込むと、隙間掃除具190は集塵部バウンダリ163の開口部163aに挿入される。ストッパ195a、195bは隙間掃除具190の挿入長さを設定するものであるので、ストッパ195a、195bが突起部163bに突き当たるまで隙間掃除具190を挿入することができる。
【0079】
隙間掃除具190が完全に挿入された状態で隙間掃除具190を回転させると、隙間掃除具190の係止リブ194a、194bが集塵部バウンダリ163の突起部163bに係止される。係止リブ194a、194bが突起部163bに係止された状態で隙間掃除具190をさらに回転させると、ダストボックス150の内側に対するフィルタ組立体160の係止が解除される。
【0080】
メッシュフィルタ161の外側には突起部161aが備えられ、本体110の内側には係止リブ155が形成される。メッシュフィルタ161の突起部161aが本体110の係止リブ155に係止されると、フィルタ組立体160が不意に分離されなくなり、逆に、本体110の係止リブ155に対するメッシュフィルタ161の突起部161aの係止が解除されると、フィルタ組立体160が本体110から分離される。メッシュフィルタ161の突起部161a及び本体110の係止リブ155については図6a及び図6bを参照して説明する。
【0081】
係止リブ194a、194bが突起部163bに係止された状態、及び本体110の内側に対するフィルタ組立体160の係止が解除された状態で、隙間掃除具190をダストボックス150の外側に引っ張ると、隙間掃除具190を開口部163aから取り出す力により、フィルタ組立体160も隙間掃除具190と共にダストボックス150から取り出される。当該過程により、フィルタ組立体160を手で触ることなく本体110から分離することができる。
【0082】
ダストボックス150が本体110の一部を構成するので、フィルタ組立体160が本体110の内側から分離されることと、フィルタ組立体160がダストボックス150の内側から分離されることは実質的に同じ意味を有する。
【0083】
以下、隙間掃除具190を用いたフィルタ組立体160の分離又は結合過程における係止リブ194a、194bや突起部163bなどの相対位置の変化について説明する。
【0084】
図6a〜図6eは隙間掃除具190をフィルタ組立体160に結合する過程における係止リブ194bや突起部163b1、163b2などの相対位置を説明するための概念図である。ここでは第2係止リブ194bを例に挙げて説明するが、以下の説明は第1係止リブ194aにも適用される。
【0085】
まず、図6aに示すように、隙間掃除具190の挿入により、第2係止リブ194bが2つの突起部163b1、163b2間に挿入される。
【0086】
次に、図6bに示すように、隙間掃除具190の第1方向(図6aにおける左方向)の回転により、第2係止リブ194bが2つの突起部163b1、163b2のうち左側の突起部163b1に係止される。ここで、第1方向とは、第2係止リブ194bの係止部194b2が左側の突起部163b1に係止される方向をいう。位置設定部194b1は、隙間掃除具190の第1方向の回転により、第2係止リブ194bの係止位置を設定するように左側の突起部163b1に密着する。
【0087】
次に、図6cに示すように、位置設定部194b1が左側の突起部163b1に密着した後に第1方向にさらに加わる力により、フィルタ組立体160が隙間掃除具190と共に第1方向に回転する。フィルタ組立体160が第1方向に回転すると、本体110の係止リブ155に対するメッシュフィルタ161の突起部161aの係止が解除される。なお、フィルタ組立体160は、本体110の内部から分離可能な状態となる。
【0088】
次に、図6dに示すように、隙間掃除具190をダストボックス150の外側に取り出す力により、フィルタ組立体160も隙間掃除具190と共にダストボックス150から取り出される。第2係止リブ194bの係止部194b2が左側の突起部163b1に係止されているので、集塵部バウンダリ163も隙間掃除具190と共に取り出される。また、メッシュフィルタ161及びスカート162が集塵部バウンダリ163と結合されているので、メッシュフィルタ161及びスカート162も集塵部バウンダリ163と共にダストボックス150の外側に取り出される。
【0089】
最後に、図6eに示すように、本体110の係止リブ155に対する係止が解除されたメッシュフィルタ161の突起部161aがダストボックス150の外側に移動する。よって、フィルタ組立体160がダストボックス150から取り出される。
【0090】
図7a〜図7eは隙間掃除具190をフィルタ組立体160から分離する過程における係止リブや突起部163b1、163b2などの相対位置を説明するための概念図である。
【0091】
まず、図7aに示すように、集塵部バウンダリ163の突起部163b1、163b2、隙間掃除具190の第2係止リブ194b、及びメッシュフィルタ161の突起部161aが共にダストボックス150の内側に挿入される。隙間掃除具190をダストボックス150の内側に挿入する力はストッパ195a、195bを介して突起部163b1、163b2にも伝達される。よって、隙間掃除具190をダストボックス150の内側に挿入する力により、フィルタ組立体160も隙間掃除具190と共にダストボックス150の内側に挿入される。
【0092】
次に、図7bに示すように、隙間掃除具190の第2係止リブ194b及びメッシュフィルタ161の突起部161aが第2方向(図7aにおける右方向)に回転する。ここで、第2方向とは、左側の突起部163b1に対する係止部194b2の係止が解除される方向をいう。位置設定部194b1は、隙間掃除具190の第2方向の回転により、第2係止リブ194bの係止解除位置を設定するように右側の突起部163b2に密着する。
【0093】
次に、図7cに示すように、位置設定部194b1が右側の突起部163b2に密着した後に第2方向にさらに加わる力により、集塵部バウンダリ163の突起部163b1、163b2及びメッシュフィルタ161の突起部161aが第2方向に回転する。
【0094】
次に、図7dに示すように、メッシュフィルタ161の突起部161aが本体110の係止リブ155に係止される。つまり、フィルタ組立体160は、第2方向の回転によりダストボックス150の内側に結合される。
【0095】
最後に、図7eに示すように、フィルタ組立体160の突起部161aに対する隙間掃除具190の第2係止リブ194bの係止が解除される。よって、隙間掃除具190のみ取り出される。
【0096】
前述した掃除機は、前述した実施形態の構成と方法に限定されるものではなく、様々な変形が行われるように、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、掃除機の産業分野において用いることができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e