【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、このような問題を解決するために、次のような構成をとる。
【0010】
すなわち、ワークに粘着シートを貼り付ける粘着シート貼付け方法であって、
粘着性を有する所定幅の樹脂を塗布部材によって前記ワークに塗布する塗布過程と、
前記ワークに塗布された樹脂に補強用の基材を貼付け部材によって貼り付けて粘着シートを形成する貼付け過程と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
(作用・効果) 上記方法によれば、樹脂をワークに直接に塗布した後に、当該樹脂に補強用の基材を貼り付けて粘着シートを形成するので、ワーク表面の状態に関わらず樹脂をワークに密着させることができる。すなわち、ワークの貼り付け位置に応じた所定形状に粘着シートに予め裁断しておく必要がなく、かつ、ハンドリングが容易となる。また、樹脂自体を容器に入れたまま保管することが可能なので、管理が容易となる。
【0012】
上記方法において、基材が、樹脂の幅より小さい幅を有する、単数本または複数本の帯状の基材である場合、次のようにして当該基材を樹脂に貼り付ける。
【0013】
貼付け過程は、貼付け部材である貼付けローラによって樹脂の幅より小さい幅を有する、単数本または複数本の帯状の基材を樹脂に貼り付ける。
【0014】
または、貼付け過程は、樹脂の幅より小さい幅を有する、単数本または複数本の帯状の基材を樹脂上に載置し、貼付け部材であるノズルから当該基材に気体を吹き付けて樹脂に貼り付ける。
【0015】
この方法によれば、樹脂の全面を基材で覆うのに比べて各基材と樹脂との接触面積が小さいので、接着界面に気泡を巻き込み辛い。また、気泡を巻き込んだ場合であっても、基材を押圧することによって接着界面から排出しやすい。したがって、基材と樹脂を密着させることができるので、加熱処理を行った場合に、接着界面の気泡が膨張して密着不良を招くのを回避することができる。
【0016】
上記方法において、貼付け過程は、ワークに塗布された樹脂に対して、当該樹脂の長さに予め切断した基材を搬送して貼り付けることとしてもよい。
【0017】
また上記方法において、塗布過程は、塗布部材であるノズルから所定幅の樹脂をワークに吹き付けて塗布することとしてもよい。このような構成では、ノズルからワークに吹き付けられる樹脂の厚みが均一になるように、ノズルの位置、ノズルからワークまでの距離および樹脂の塗布量などを適宜に調整することが容易である。そのため、粘着シートにおける樹脂の形状をより容易かつ好適に調整することが可能となる。
【0018】
上記方法において、基材が、粗糸状の基材である場合、次のようにして当該基材を樹脂に貼り付ける。
【0019】
貼付け過程は、所定間隔をおいて樹脂上に載置される粗糸状の基材を貼付けローラによって押圧しながら樹脂に貼り付ける。
【0020】
または、貼付け過程は、所定間隔をおいて樹脂上に載置される粗糸状の基材にノズルから気体を吹き付けて樹脂に貼り付ける。
【0021】
この方法によれば、樹脂の全面を基材で覆うのに比べて各基材と樹脂との接触面積が非常に小さいので、接着界面に気泡の巻き込みを回避することができる。また、気泡を巻き込んだ場合であっても、基材を押圧することによって接着界面から確実の排出することができる。したがって、基材と樹脂を密着させることができるので、加熱処理を行った場合に、接着界面の気泡が膨張して密着不良を招くのを回避することができる。
【0022】
なお、塗布過程は、ワークに塗布する樹脂の厚みを調整して塗布方向に沿って複数本の凹部を形成し、
貼付け過程は、樹脂表面に形成された凹部に基材を載置して当該基材を樹脂に貼り付けることが好ましい。
【0023】
この方法によれば、樹脂上面に連続する凹凸を形成するので曲げ応力に対して強度を上げることができる。また、凹部に基材を均等に配置することができるので、樹脂全面を均等に補強することができる。
【0024】
また、この発明は、このような問題を解決するために、次のような構成をとる。
【0025】
すなわち、ワークに粘着シートを貼り付ける粘着シート貼付け装置であって、
前記ワークを載置保持する保持テーブルと、
塗布部材から粘着性を有する樹脂を所定幅で前記ワークに塗布する塗布機構と、
前記ワークに塗布された樹脂の幅以下の補強用の基材を供給する基材供給部と、
貼付け部材によって前記基材を樹脂に押圧しながら貼り付ける貼付機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
(作用・効果) 上記構成によれば、塗布機構によってワークに樹脂を塗布した後に、基材供給部から供給される基材を貼付け機構によって樹脂に貼り付けることができる。換言すれば、ワークの貼付け部位に粘着シートを直接に形成する。したがって、ワークに樹脂を密着させることができるとともに、取り扱いが容易となる。すなわち、上記方法を好適に実施することができる。
【0027】
上記構成において、さらにワークを載置保持する保持テーブルを備えることが好ましい。
【0028】
なお、上記構成において、基材供給部が、単数本または複数本の基材を供給する場合、貼付け部材は、例えば、貼付けローラまたはノズルを利用可能である。
【0029】
貼付け部材が貼付けローラであり、基材が複数本の粗糸状である場合、各基材を案内しながら樹脂に押圧して貼り付ける複数本のガイド溝を周側面に有することが好ましい。
【0030】
さらに好ましくは、塗布部材からワークの幅方向に塗布される樹脂量を塗布ライン上で調整しながら塗布方向に沿った複数本の凹部を樹脂表面に形成する制御部を備え、
前記貼付けローラは、粗糸状の基材を案内しながら樹脂表面の凹部に当該基材を挿入および押圧するガイド溝を周側面に有する。
【0031】
この構成によれば、基材と樹脂の接着界面の面積が、樹脂全面を基材で覆う場合に比べて非常に小さくなるので、気泡の巻き込みを抑制できるとともに、巻き込んだ気泡を容易に押圧して接着界面から排除することができる。したがって、基材と樹脂を密着させることができる。また、制御部によって樹脂の塗布量を調整する場合、凹部を樹脂表面に形成することにより、樹脂表面に連続する凹凸が形成されて樹脂の強度が増す。また、当該凹部に基材を挿入して押圧するので、樹脂を均等に補強することができる。
【0032】
貼付け部材が、ノズルである場合、ノズルは、基材供給部から供給される単数本または複数本の基材に気体を吹き付けながら樹脂に貼り付ける。
【0033】
なお、上記構成において、基材供給部は、ワークに塗布された樹脂に対して、当該樹脂の長さに予め切断した基材を搬送する構成としてもよい。
【0034】
また、基材が、複数本の粗糸状である場合、周側面に形成された複数本の各ガイド溝に案内しながら樹脂に載置するガイドローラを備えることが好ましい。
【0035】
さらに好ましくは、塗布部材からワークの幅方向に塗布される樹脂量を塗布ライン上で調整しながら塗布方向に沿った複数本の凹部を樹脂表面に形成する制御部を備え、
ガイドローラは、樹脂表面の凹部に粗糸状の基材を案内する。
【0036】
この構成によれば、基材と樹脂の接着界面の面積が、樹脂全面を基材で覆う場合に比べて非常に小さくなるので、気泡の巻き込みを抑制できるとともに、巻き込んだ気泡を容易に押圧して接着界面から排除することができる。したがって、基材と樹脂を密着させることができる。また、制御部によって樹脂の塗布量を調整する場合、凹部を樹脂表面に形成することにより、樹脂表面に連続する凹凸が形成されて樹脂の強度が増す。また、当該凹部に基材を挿入して押圧するので、樹脂を均等に補強することができる。
【0037】
また、上記構成において、塗布部材として、スリットから樹脂を所定幅でワークに塗布するダイコータを利用可能である。
【0038】
また、上記構成において、塗布部材として、樹脂を所定幅でワークに吹き付け塗布するノズルを利用可能である。このような構成では、ノズルからワークに吹き付けられる樹脂の厚みが均一になるように、ノズルの位置、ノズルからワークまでの距離および樹脂の塗布量などを適宜に調整することが容易である。そのため、粘着シートにおける樹脂の形状をより容易かつ好適に調整することが可能となる。