特許第6855306号(P6855306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855306
(24)【登録日】2021年3月19日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】エレベータかご用の操作ユニット
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/50 20060101AFI20210329BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B66B1/50 A
   B66B11/02 N
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-74152(P2017-74152)
(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-177386(P2018-177386A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】505356468
【氏名又は名称】パナソニック ホームエレベーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397003219
【氏名又は名称】司ゴム電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 博雄
(72)【発明者】
【氏名】村中 勝
(72)【発明者】
【氏名】小泉 徹洋
(72)【発明者】
【氏名】舘野 博明
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−135582(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3128832(JP,U)
【文献】 特開昭56−082772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/50
B66B 11/02
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータかご内に設けられる操作盤と、
前記操作盤の正面の一部または全部からなるカバー領域を覆い隠すかまたは露出させるカバーと、を備え、
前記カバーは、前記カバー領域の第1領域および第2領域を覆い隠す閉位置と、前記第1領域を露出させるとともに前記第2領域を覆い隠す中間位置と、前記第1領域および前記第2領域を露出させる開位置と、の間をスライド可能であり、
前記カバーは、前記カバーを前記閉位置に保持させる閉位置保持部と、前記閉位置保持部による前記カバーの前記閉位置への保持を回転操作により解除する、正面側に露出する摘まみと、前記カバーの裏面側に突出する接触部と、を有し、
前記接触部は、前記操作盤に形成されたスリットを挿通して、前記操作盤の裏面側に突出し、前記スリットに沿って移動可能であり、
前記操作盤は、裏面側に、前記カバーが前記中間位置から前記開位置の方へ移動するのを規制する中間位置規制ラッチと、前記中間位置規制ラッチを移動させて前記カバーの前記中間位置から前記開位置への移動の規制を解除する錠部と、を有し、
前記カバーは、前記接触部が前記中間位置規制ラッチに接触することで、前記中間位置から前記開位置への移動が規制され、
前記錠部は、前記操作盤の正面側の前記第1領域に露出する鍵穴を有し、前記鍵穴に挿入された鍵の動作により前記中間位置規制ラッチを移動させるものであることを特徴とするエレベータかご用の操作ユニット。
【請求項2】
前記錠部は、前記鍵穴に挿入された前記鍵の回転により回転する軸部と、前記軸部の回転により回転するアームと、前記アームに一端側の部分が連結されるリンクと、を有し、
前記操作盤の裏面側に、一端側に前記中間位置規制ラッチを有するレバーの回転中心となる中間部が回転可能に支持され、
前記レバーの他端側の部分に前記リンクの他端側の部分が連結されることを特徴とする請求項1記載のエレベータかご用の操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータかご用の操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作盤の鍵穴に鍵を挿入して解錠することで、操作盤カバーを開けることが可能となるエレベータかご用の操作ユニットが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された操作盤カバーは、中間位置で一旦停止して半開状態となり、戸開放スイッチ等の管理上必要最小限のスイッチが露出するようになり、管理者は戸開放スイッチ等のスイッチを動作させることが可能となる。さらに、管理者は、内部にあるロック装置カム開放スイッチを動作させることにより、操作盤カバーを全開状態とすることができる。操作盤カバーが全開状態となると、保守点検時にのみ使用する保守用スイッチが露出するようになり、管理者は保守用スイッチを動作させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−257840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いずれにしても、鍵を持った者でなければ操作盤カバーを全く開けることができず、いずれのスイッチも動作させることができないものであった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、鍵を持っていない者であっても、カバーを閉位置と開位置の間の中間位置まで開くことができるエレベータかご用の操作ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態のエレベータかご用の操作ユニットは、操作盤と、カバーと、を備える。
【0008】
操作盤は、エレベータかご内に設けられる。カバーは、前記操作盤の正面の一部または全部からなるカバー領域を覆い隠すかまたは露出させる。
【0009】
前記カバーは、前記カバー領域の第1領域および第2領域を覆い隠す閉位置と、前記第1領域を露出させるとともに前記第2領域を覆い隠す中間位置と、前記第1領域および前記第2領域を露出させる開位置と、の間をスライド可能である。
【0010】
前記カバーは、前記カバーを前記閉位置に保持させる閉位置保持部と、前記閉位置保持部による前記カバーの前記閉位置への保持を回転操作により解除する、正面側に露出する摘まみと、を有する。
【0011】
前記操作盤は、裏面側に、前記カバーが前記中間位置から前記開位置の方へ移動するのを規制する中間位置規制ラッチを有する。前記操作盤は、前記中間位置規制ラッチを移動させて前記カバーの前記中間位置から前記開位置への移動の規制を解除する錠部を有する。
【0012】
前記錠部は、前記操作盤の正面側の前記第1領域に露出する鍵穴を有し、前記鍵穴に挿入された鍵の動作により前記中間位置規制ラッチを移動させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る一形態のエレベータかご用の操作ユニットにあっては、鍵を持っていない者であっても、カバーを閉位置と開位置の間の中間位置まで開くことができ、鍵を持った者であれば、さらにカバーを開位置まで開くことができる。また、使用者は、摘まみを摘まんで回転させてカバーの閉位置への保持を解除した後、摘まみを摘まんだままカバーをスライドさせることができるため、ワンタッチで操作がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータかご用の操作ユニットを設けたエレベータかご内の一部を示す斜視図である。
図2図2Aは、同上の操作ユニットのカバーが閉位置に位置する状態の正面図である。図2Bは、同上の操作ユニットのカバーが閉位置に位置する状態の裏面図である。
図3図3Aは、同上の操作ユニットのカバーが中間位置に位置する状態のカバー領域の正面図である。図3Bは、同上の操作ユニットのカバーが開位置に位置する状態のカバー領域の正面図である。
図4図4Aは、同上の操作ユニットのカバーが閉位置に位置する状態を正面側から見た要部斜視図である。図4Bは、同上の操作ユニットのカバーが閉位置に位置するとともに閉位置保持部によりカバーが閉位置に保持されている状態を裏面側から見た要部斜視図である。図4Cは、同上の操作ユニットのカバーが閉位置に位置するとともに閉位置保持部によるカバーの閉位置への保持が解除された状態を裏面側から見た要部斜視図である。
図5図5Aは、同上の操作ユニットのカバーが中間位置に位置する状態を正面側から見た要部斜視図である。図5Bは、同上の操作ユニットの中間位置に位置するカバーが中間位置規制ラッチにより開位置の方へ移動するのが規制された状態を裏面側から見た要部斜視図である。
図6図6Aは、同上の操作ユニットの鍵穴に鍵を挿入した状態を正面側から見た要部斜視図である。図6Bは、同上の操作ユニットの中間位置に位置するカバーが中間位置規制ラッチにより開位置の方へ移動するのが規制された状態の裏面図である。図6Cは、同上の操作ユニットの中間位置に位置するカバーの中間位置規制ラッチによる移動の規制が解除された状態の裏面図である。
図7図7Aは、同上の操作ユニットのカバーが開位置に位置する状態を正面側から見た要部斜視図である。図7Bは、同上の操作ユニットのカバーが開位置に位置する状態を裏面側から見た要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、エレベータかご用の操作ユニットに関し、さらに詳しくは、操作盤とカバーとを備えるエレベータかご用の操作ユニットに関する。
【0016】
以下、本発明に係るエレベータかご用の操作ユニットの一実施形態について、図1図7に基いて説明する。
【0017】
エレベータかご1は、図1に示すように、床部11、側壁部12および天井部13を備えている。側壁部12の一部には出入口14が形成され、この出入口14を開閉する扉15が設けられる。エレベータかご用の操作ユニット10は、主に側壁部12に設けられる。
【0018】
図2Aに示すように、操作ユニット10は、操作盤2と、カバー3と、を備える。
【0019】
操作盤2は、エレベータかご1内に設けられるものである。操作盤2は、その正面201がエレベータかご1内の空間に面して、エレベータかご1内にいる使用者が操作することができるように設けられる。操作盤2は、正面視矩形状をしている。操作盤2は、いわゆるSUSにより形成されている。
【0020】
操作盤2には、操作部4が設けられるとともに、その他の機能部5として、表示部51、通信部52が設けられている。
【0021】
操作部4は、各種のボタン、スイッチ、摘まみ、タッチパネル等、使用者が操作するものであり、種類は限定されない。本実施形態では、図2Aに示すように、操作部4として、操作盤2に常に露出するように、操作盤2の正面201のカバー3に覆い隠されない位置に、行き先階ボタン41、ひらくボタン42および呼び出しボタン43が設けられている。
【0022】
これらの行き先階ボタン41、ひらくボタン42および呼び出しボタン43は、通常の使用時に使用されることを想定して設けられている。
【0023】
また、操作盤2の正面201のカバー3に覆い隠される位置には、通常の使用時に使用されることを想定していない操作部4が設けられており、この点については後述する。
【0024】
表示部51は、液晶パネル、7セグメント、LEDランプ等、使用者が視認するものであり、種類は限定されない。本実施形態では、図2Aに示すように、表示部51として、エレベータかご1が位置している階および行き先等を表示する液晶パネル510が設けられている。
【0025】
通信部52は、マイク、スピーカをはじめとする入出力手段により、使用者が外部の管理者と通信するものであり、種類は限定されない。本実施形態では、図2Aに示すように、無線または有線により外部の管理者側のスピーカおよびマイクと接続されるマイク521およびスピーカ522が設けられている。
【0026】
カバー3は、図2Aに示すように、操作盤2の正面201の一部からなる領域を覆い隠すかまたは露出させることが選択的に可能である。カバー3により選択的に覆い隠すことができる領域をカバー領域21とする。カバー領域21およびカバー3は、正面視矩形状をしている。
【0027】
カバー3は、いわゆるSUSにより形成されている。カバー3は、操作盤2の正面201側に位置して、操作盤2に対してスライドするように設けられる。カバー3は、図2Aに示す閉位置と、図3Aに示す中間位置と、図3Bに示す開位置と、の間をスライド可能である。閉位置は、図2Aに示すように、カバー領域21の全領域を覆い隠す位置である。中間位置は、図3Aに示すように、カバー領域21のうちの第1領域22を露出させるとともに第2領域23を覆い隠す位置である。開位置は、図3Bに示すように、カバー領域21の全領域を露出させる位置である。言い換えると、カバー領域21のうち、中間位置に位置するカバー3により覆い隠されずに露出する領域が第1領域22であり、中間位置に位置するカバー3により覆い隠される領域が第2領域23である。また、閉位置に位置するカバー3は、第1領域22および第2領域23を覆い隠し、開位置に位置するカバー3は、第1領域22および第2領域23を露出させることになる。
【0028】
第1領域22には、図3A図3Bに示すように、操作部4として、ファン起動停止スイッチ44、エレベータかご強制上昇ボタン45およびエレベータかご強制下降ボタン46が設けられている。また、第1領域22には、その他の機能部5として、鍵穴53が設けられている。ファン起動停止スイッチ44、エレベータかご強制上昇ボタン45およびエレベータかご強制下降ボタン46は、通常の使用者が通常の使用時に使用することを想定していないものの、非常時には通常の使用者が使用することができるように設けられている。
【0029】
第2領域23には、図3Bに示すように、操作部4として、保守用スイッチ47が設けられている。また、第2領域23には、その他の機能部5として、エレベータの制御部(不図示)の操作端末(不図示)を電気的に接続するための接続部54が設けられている。保守用スイッチ47および接続部54は、通常の使用者ではなく、保守者または管理者をはじめとする特定の者(管理者等という)が使用することを想定しており、通常の使用者は後述する鍵90(図3B参照)を所有していない。このため、通常の使用者は、非常時であっても保守用スイッチ47および接続部54を使用することができない。
【0030】
カバー3は、図4B図4Cに示すように、カバー3を閉位置に保持させる閉位置保持部6を有する。また、図2A図4Aに示すように、カバー3は、閉位置保持部6によるカバー3の閉位置への保持を解除する、正面側に露出する閉位置保持解除操作部7を有する。
【0031】
図4B図4Cに示すように、カバー3は、裏面側に、閉位置保持部6として、回転可能なフック部61を有する。カバー3には、カバー3を正面から裏面に貫通して、軸回りに回転可能な軸部62が設けられる。フック部61は、この軸部62の裏面側に突出した部分に、軸部62と一体的に設けられる。また、軸部62の正面側に突出した部分に、図4Aに示すように、閉位置保持解除操作部7として、カバー3の閉位置への保持を回転操作により解除する摘まみ71が、軸部62と一体的に設けられる。
【0032】
図4Bは、カバー3が閉位置に位置するとともに、フック部61からなる閉位置保持部6によりカバー3が閉位置に保持されている状態を示す。図4Bに示す状態では、フック部61は、操作盤2の裏面202に設けられている引っ掛かり部24に引っ掛かる状態となっており、カバー3が閉位置から中間位置へとスライドしようとしても、フック部61が引っ掛かり部24に引っ掛かってスライドができない。閉位置保持部6が設けられることにより、不用意にカバー3が閉位置から開いてしまうことが抑制される。
【0033】
使用者が、カバー3を閉位置から中間位置へとスライドさせるには、摘まみ71を摘まんで図4Aに示す矢印の方に回転させる。摘まみ71が回転すると、軸部62を介してフック部61が図4Bに示す状態から図4Cに示す状態へと回転して、フック部61が引っ掛かり部24に引っ掛からない状態となり、カバー3の閉位置への保持が解除される。使用者は、摘まみ71を摘まんで図4Cに示す状態を保持して、図3A図5A図5Bに示す中間位置へとカバー3をスライドさせることができる。
【0034】
閉位置から中間位置にスライドしたカバー3は、図5Bに示すように、操作盤2が裏面202側に有する、カバー3が中間位置から開位置の方へ移動するのを規制する中間位置規制ラッチ8により移動が規制される。また、操作盤2は、中間位置規制ラッチ8を移動させてカバー3の中間位置から開位置への移動の規制を解除する錠部9を有する。また、錠部9は、図5Aに示すように、操作盤2の正面201側の第1領域22に露出する上述した鍵穴53を有し、鍵穴53に挿入された鍵90の動作により中間位置規制ラッチ8を移動させるものであり、以下に説明する。
【0035】
本実施形態では、操作盤2は、図5A図5Bに示すように、操作盤本体2Aと、操作盤本体2Aに一体的に固定された取付板2Bと、により構成される。操作盤本体2Aは、図2Aに示すように、正面視矩形状をした平板により構成される。
【0036】
操作盤本体2Aの行き先階ボタン41、ひらくボタン42および呼び出しボタン43に対応する位置にそれぞれ、裏面202側から正面201側にかけて貫通する開口が形成されている。図2Bに示すように、操作盤本体2Aの裏面202側には、対応する各開口の周縁部にそれぞれ行き先階ボタン41、ひらくボタン42および呼び出しボタン43の基板等の機器を有する本体部411、421、431が取り付けられる。図2Aに示すように、各本体部411、421、431から各開口を介して前方(すなわち裏面202側を基準としたときの正面201側の方)にそれぞれ行き先階ボタン41、ひらくボタン42および呼び出しボタン43が露出する。なお、本実施形態では、図4Aに示すように、行き先階ボタン41、ひらくボタン42および呼び出しボタン43は各開口を介して前方に露出するのみならず操作盤本体2Aから前方に突出しているが、特に突出する必要はない。
【0037】
また、図2Bに示すように、操作盤本体2Aの液晶パネル510に対応する位置にも、裏面202側から正面201側にかけて貫通する開口が形成されている。操作盤本体2Aの裏面202側には、この開口の周縁部に液晶パネル510の本体部511が取り付けられる。図2Aに示すように、開口を介して前方に液晶パネル510が露出する。
【0038】
また、図2Aに示すように、操作盤本体2Aのマイク521およびスピーカ522に対応する位置にもそれぞれ、裏面202側から正面201側にかけて貫通する開口25、26が形成されている。図2Bに示すように、操作盤本体2Aの裏面202側には、対応する開口25、26の周縁部にそれぞれマイク521の本体部とスピーカ522の本体部とが取り付けられる。図2Aに示すように、マイク521の本体部へは、前方から開口25を介して音声が伝播する。スピーカ522の本体部からの音声は、開口26を介して前方に伝播する。
【0039】
また、図5Aに示すように、操作盤本体2Aのカバー領域21に対応する位置にも、裏面202側から正面201側にかけて貫通する開口27が形成されている。図5A図5Bに示すように、操作盤本体2Aの裏面202側には、この開口27の周縁部に取付板2Bが取り付けられる。取付板2Bは開口27の後方に位置して、開口27を介して取付板2Bの正面が前方に露出し、この前方に露出する取付板2Bの正面がカバー領域21となる。
【0040】
正面視において、カバー3は開口27よりも大きい。カバー3は、操作盤本体2Aの開口27の周縁部の裏面202と、取付板2Bの正面との間に挟まれて、カバー3が前後へ抜けるのが防止されるとともに、左右方向へスライド可能に保持されている。
【0041】
図4Bに示すように、取付板2Bの左右方向の端部に位置する側板28には、フック部61が挿通する開口280が形成されている。この側板28の開口280の周縁部が、フック部61が引っ掛かる引っ掛かり部24となる。
【0042】
図3Bに示すように、取付板2Bのファン起動停止スイッチ44、エレベータかご強制上昇ボタン45およびエレベータかご強制下降ボタン46に対応する位置にそれぞれ、裏面側から正面側にかけて貫通する開口が形成されている。図2Bに示すように、取付板2Bの裏面側には、対応する各開口の周縁部にそれぞれファン起動停止スイッチ44の本体部441、エレベータかご強制上昇ボタン45の本体部451およびエレベータかご強制下降ボタン46の本体部461が取り付けられる。図3Aに示すように、各開口を介して前方にそれぞれファン起動停止スイッチ44、エレベータかご強制上昇ボタン45、エレベータかご強制下降ボタン46が露出する。
【0043】
図3Bに示すように、取付板2Bの鍵穴53、接続部54および保守用スイッチ47に対応する位置にそれぞれ、裏面側から正面側にかけて貫通する開口が形成されている。図2Bに示すように、取付板2Bの裏面側には、対応する各開口の周縁部にそれぞれ錠部9、接続部54の本体部541および保守用スイッチ47の本体部471が取り付けられる。図3Bに示すように、各開口を介して前方にそれぞれ鍵穴53、接続部54および保守用スイッチ47が露出する。
【0044】
錠部9は、本実施形態では、図5Bに示すように、軸部91と、アーム92と、リンク93と、を有する。軸部91は、鍵穴53に挿入された鍵90の回転により回転する。アーム92は、軸部91の回転により回転する。リンク93は、アーム92の軸部91から離れた部分に一端側の部分が連結される。
【0045】
また、操作盤2の裏面202側に、一端側に中間位置規制ラッチ8を有するレバー81の回転中心80となる中間部が回転可能に支持される。レバー81の他端側の部分には、リンク93の他端側の部分が連結される。
【0046】
カバー3は、中間位置規制ラッチ8により中間位置から開位置への移動が規制されるのであるが、中間位置規制ラッチ8にカバー3の接触部31が接触することで、カバー3のそれ以上の移動が規制される。接触部31は、カバー3と一体にカバー3から裏面側に突出している。接触部31は、取付板2Bに形成されたスリット29を挿通して、操作盤2の裏面202側に突出している。スリット29は、その長手方向が左右方向を向くように形成されており、長手方向に所定の長さを有している。このスリット29に接触部31が挿通されることにより、カバー3の左右方向のストロークが定まる。
【0047】
図5Bに示すように、中間位置に位置して中間位置規制ラッチ8により移動が規制されるカバー3を開位置に移動させるには、中間位置規制ラッチ8による移動の規制を解除する必要がある。これにはまず、図6Aに示すように、鍵90を持った管理者等は、鍵穴53に鍵90を挿入して、矢印に示す方向に鍵90を回転させる。鍵90が回転すると、軸部91が鍵90とともに回転し、アーム92が軸部91とともに回転する。このとき、図6Bに示す状態から、アーム92の回転とともにリンク93が引っ張られて、図6Cに示す状態に移行する。リンク93が移動すると、他端側にリンク93が連結されているレバー81が回転中心80を中心として回転し、図6Cに示すように、中間位置規制ラッチ8がスリット29と重なる位置から外れる。
【0048】
図6Cに示す状態となると、接触部31のスリット29に沿った移動の規制が解除される。管理者等は、図7A図7Bに示すように、カバー3を中間位置から開位置の方へ移動させることができる。
【0049】
このような操作ユニット10にあっては、通常の使用時においては、図2に示すように、カバー3が閉位置に位置するとともに、閉位置保持部6によりカバー3の閉位置への保持がなされている。この状態では、カバー3に覆い隠されるカバー領域21に設けられたエレベータかご強制上昇ボタン45等の操作部4はエレベータかご1内に露出せず、エレベータかご1内にいる使用者が操作することができない。つまり、カバー領域21に設けられる操作部4およびその他の機能部5は、使用者が、通常の使用時において使用する必要がないものである。
【0050】
通常の使用時においては、使用者は、操作盤2のカバー領域21以外の部分に設けられる行き先階ボタン41等の操作部4を操作する。つまり、通常の使用時において使用する操作部4およびその他の機能部5は、カバー3が閉位置に位置しても覆い隠されないカバー領域21以外の部分に設けられる。
【0051】
使用者が内部に乗っているエレベータかご1が、例えば1階停止位置と2階停止位置の間で非常停止した場合、使用者は、呼び出しボタン43を押す。呼び出しボタン43が押されると、外部の管理者にその旨の通報がなされ、マイク521およびスピーカ522を通じて外部の管理者と通話をすることが可能となる。外部の管理者は、使用者に、閉位置保持解除操作部7の摘まみ71を摘まんで回転させて、カバー3を開くように指示する。このとき、本実施形態では、使用者は、摘まみ71を摘まんで回転させてカバー3の閉位置への保持を解除した後、摘まみ71を摘まんだままカバー3をスライドさせることができるため、ワンタッチで操作がしやすい。
【0052】
使用者がカバー3をスライドさせて、図5Bに示すように、カバー3が中間位置に位置すると、接触部31が中間位置規制ラッチ8に接触して、それ以上のカバー3の移動が規制される。図3Aに示すように、カバー3が中間位置に位置すると、カバー領域21のうちの第1領域22のみが露出し、エレベータかご強制下降ボタン46等が操作可能となる。外部の管理者は、使用者に、エレベータかご強制下降ボタン46を押すように指示する。使用者がエレベータかご強制下降ボタン46を押すと、エレベータかご1が1階停止位置まで移動して停止して扉15が開き(図1参照)、使用者はエレベータかご1から出ることができる。
【0053】
このような非常時においても、通常の使用者は、保守用スイッチ47等を使用する必要はなく、むしろ、通常の使用者が保守用スイッチ47等を使用できることは好ましくない。このため、通常の使用者には鍵90が渡されておらず、鍵90を持っていない使用者は、図3Bに示す保守用スイッチ47等を使用できる開位置にまでカバー3をスライドさせることはできない。
【0054】
保守時またはその他の非常時等において、鍵90を持った管理者等のみが、カバー3を開位置にまでスライドさせて、保守用スイッチ47等を使用することができる。
【0055】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0056】
操作ユニット10は、上記実施形態においては側壁部12に設けられているが、床部11または天井部13に設けられてもよく、設けられる位置は限定されない。
【0057】
操作盤2は、上記実施形態では、正面視矩形状をしているが、正面視形状は特に限定されない。
【0058】
操作盤2には、その他の機能部5として、表示部51、通信部52および鍵穴53以外の機能部が設けられてもよいし、その他の機能部5が設けられなくてもよく、少なくとも操作部4が設けられればよい。表示部51、通信部52および鍵穴53以外の機能部としては、例えば、表示部51に代えてまたは表示部51とともに設けられ、音声により報知を行うスピーカ等からなる音声報知部が挙げられるが、特に限定されない。
【0059】
カバー領域21およびカバー3は、上記実施形態では、正面視矩形状をしているが、正面視形状は特に限定されない。
【0060】
操作盤2およびカバー3は、上記実施形態では、SUSにより形成されているが、アルミニウム等の各種金属または合金、樹脂、木材または木質材、これらが組み合わされた材料等により形成されてもよく、材料は特に限定されない。また、操作盤2とカバー3とは、同じ材料により形成されることが好ましいが、異なる材料で形成されてもよい。
【0061】
カバー3に覆い隠されるカバー領域21は、上記実施形態では、操作盤2の正面201の一部であるが、操作盤2の正面201の全部であってもよい。
【0062】
上記実施形態では、カバー3が操作盤本体2Aと取付板2Bとの間に挟まれて、カバー3が左右方向へスライド可能となっているが、このような構成に限定されない。例えばカバー3がローラを備えるとともに操作盤2がガイドレールを備え、ローラがガイドレールに沿って移動することによりカバー3が左右方向にスライド可能となってもよい。
【0063】
上記実施形態では、中間位置規制ラッチ8がレバー81等により構成されるとともに、錠部9がアーム92およびリンク93を有していたが、中間位置規制ラッチ8および錠部9は上記実施形態のような構成に限定されない。
【0064】
以上、述べた上記実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様のエレベータかご用の操作ユニット10は、操作盤2と、カバー3と、を備える。
【0065】
操作盤2は、エレベータかご1内に設けられる。
【0066】
カバー3は、操作盤2の正面201の一部または全部からなるカバー領域21を覆い隠すかまたは露出させる。
【0067】
カバー3は、カバー領域21の第1領域22および第2領域23を覆い隠す閉位置と、第1領域22を露出させるとともに第2領域23を覆い隠す中間位置と、第1領域22および第2領域23を露出させる開位置と、の間をスライド可能である。
【0068】
カバー3は、カバー3を閉位置に保持させる閉位置保持部6と、閉位置保持部6によるカバー3の閉位置への保持を回転操作により解除する正面側に露出する摘まみ71と、を有する。
【0069】
操作盤2は、裏面202側に、カバー3が中間位置から開位置の方へ移動するのを規制する中間位置規制ラッチ8を有する。操作盤2は、中間位置規制ラッチ8を移動させてカバー3の中間位置から開位置への移動の規制を解除する錠部9を有する。
【0070】
錠部9は、操作盤2の正面201側の第1領域22に露出する鍵穴53を有し、鍵穴53に挿入された鍵90の動作により中間位置規制ラッチ8を移動させるものである。
【0071】
第1の態様によれば、鍵90を持っていない者であっても、カバー3を中間位置まで開くことができて、第1領域22に設けられる操作部4または機能部5を使用することができる。また、鍵90を持った者であれば、さらにカバー3を開位置まで開くことができて、第2領域23に設けられる操作部4または機能部5を使用することができる。また、使用者は、摘まみ71を摘まんで回転させてカバー3の閉位置への保持を解除した後、摘まみ71を摘まんだままカバー3をスライドさせることができるため、ワンタッチで操作がしやすい。
【0072】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現される。第2の態様では、錠部9は、鍵穴53に挿入された鍵90の回転により回転する軸部91と、軸部91の回転により回転するアーム92と、アーム92に一端側の部分が連結されるリンク93と、を有する。
【0073】
操作盤2の裏面側に、一端側に中間位置規制ラッチ8を有するレバー81の回転中心80となる中間部が回転可能に支持される。
【0074】
レバー81の他端側の部分にリンク93の他端側の部分が連結される。
【0075】
第2の態様によれば、中間位置規制ラッチ8および錠部9を簡単な構造とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 エレベータかご
10 操作ユニット
2 操作盤
201 正面
202 裏面
21 カバー領域
22 第1領域
23 第2領域
3 カバー
53 鍵穴
6 閉位置保持部
71 摘まみ
8 中間位置規制ラッチ
9 錠部
90 鍵
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7