【実施例】
【0017】
以下、本発明の一実施例に係るサドル1について、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0018】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0019】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。なお、本実施例において、「上」、「下」の語は、上下方向における上方、下方に対応するものとする。
【0020】
図1は、ガス管Pに取り付けられたサドル1を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は側面図である。
図2は、
図1(b)のI−I線断面図である。
図3は、ボルトBを省略したサドル1の分解斜視図である。
図4(a)〜(d)は、上方サドル部10を示す平面図、底面図、正面図及び側面図である。
図5(a)〜(c)は、下方サドル部20を示す平面図、正面図及びII−II線断面図である。
【0021】
サドル1は、ガス用のポリエチレン製導管(以下、単に「ガス管」と称す)Pに装着される。ガス管Pは、ガス製造基地から送り出されたガスをガス消費者に供給するものであり、主に地中に埋設されている。ガス管P内を流れるガスの圧力は、例えば、低圧、中圧A、中圧B等である。なお、サドル1を取り付ける配管は、ガス管に限定されず水道管等であっても構わない。
【0022】
サドル1には、ガス管Pの施工内容に応じた外部装置が接続される。サドル1に接続される外部装置は、例えば、ガス管Pをホールソーで穿孔する穿孔機、ガス管Pを遮断するガスバッグを挿入するガスバッグ挿入機、ガスP内のガスを外部に放散するための放散管等である。
【0023】
サドル1は、それぞれ略半円筒状に形成された上方サドル部10及び下方サドル部20を対向させて組み合わせることで略円筒形状を呈している。上方サドル部10及び可動サドル部20は、鋳鉄製であるが、これに限定されるものではない。
【0024】
上方サドル部10の幅方向Wの両端には、側方フランジ11が2つずつ設けられている。側方フランジ11は、上方サドル部10からサドル1の幅方向Wに向かって突設されている。側方フランジ11には、ボルトBを挿通するボルト孔12が形成されている。
【0025】
上方サドル部10の中央には、中央フランジ13が設けられている。中央フランジ13は、幅方向Wに直交する上下方向Vに向かって上方サドル部10から立設されている。中央フランジ13は、上下方向Vに沿って略同径に形成されている。
【0026】
中央フランジ13の四隅には、図示しない外部装置を連結するボルト孔14が設けられている。ボルト孔14に図示しないボルトを螺合させて、中央フランジ13に外部装置を連結する場合に、中央フランジ13が上下方向Vに沿って略同径で高剛性に形成されていることにより、ボルトの締め付けに伴う中央フランジ13の捩れや曲げを抑制することができる。
【0027】
中央フランジ13には、上方サドル部10を上下方向Vに貫通する取付孔15が形成されている。取付孔15は、上方サドル部10の内側及び外側を連通している。
【0028】
取付孔15の近傍には、取付孔15と同心円上に刻設された第1のシール溝16が設けられている。第1のシール溝16には、第1のOリング30が嵌入されている。第1のOリング30は、中央フランジ13と外部装置との間からガスが漏出することを抑制する。
【0029】
上方サドル部10は、ガス管Pの外周に沿って湾曲した内周面17を備えている。内周面17には、取付孔15と同心円上に刻設された第2のシール溝18が設けられている。第2のシール溝18には、第2のOリング40が嵌入されている。第2のOリング40は、上方サドル部10とガス管Pとの間からガスが漏出することを抑制する。
【0030】
下方サドル部20の幅方向Wの両端には、フランジ21が2つずつ設けられている。フランジ21は、下方サドル部20からサドル1の幅方向Wに向かって突設されている。フランジ21には、ボルトBを挿通するボルト孔22が形成されている。ボルトBは、ボルト孔12、22に挿通された状態でナットNが螺合することにより、上方サドル部10と下方サドル部20とが一体に固定される。
【0031】
下方サドル部20は、ガス管Pの外周に沿って湾曲した当接面23を備えている。
【0032】
サドル1は、上方サドル部10と下方サドル部20とを一時的に固定する仮止め手段50を備えている。仮止め手段50は、軸部51と、受け部52と、で構成されている。
【0033】
軸部51は、軸方向Aにおいて隣り合うフランジ21、21の間に設けられている。軸部51の先端には、ヘッド部分としてのナット51aが螺合されている。
【0034】
また、軸部51の基端側は、下方サドル部20に軸着されている。具体的には、軸部51の基端側に貫通孔51bが形成されており、貫通孔51bにシャフト24を挿通することにより、軸部51がシャフト24に軸着されている。シャフト24の両端は、下方サドル部20の周面にボルト25で着脱自在に取り付けられた支持部26に軸支されている。これにより、軸部51は、下方サドル部20と別体で作製可能であり、既存の下方サドル部20に軸部51を新設することができる。
【0035】
受け部52は、平面から視てU字状に形成されており、軸方向Aにおいて切欠部52aを空けて離間して設けられた2本の爪部分52bである。切欠部52aの幅は、軸部51の外径より大きく、ナット51aの外径より小さく設定される。切欠部52aの幅は、軸部51の外径寸法に近いほど、ボルト孔12、22の中心位置合わせを容易に行うことができるので好ましい。
【0036】
爪部分52bは、上方サドル部10から幅方向Wに向かって突設されている。爪部52bは、軸部51が切欠部52aに収容された状態でナット51aよりも後述する隙間Lだけ下方に位置するように配置されている。
【0037】
次に、サドル1をガス管Pに取り付ける手順について、
図6に基づいて説明する。
【0038】
まず、地中に埋設されているガス管Pの周囲を掘り返して施工区画内のガス管Pを露出させる。
【0039】
次に、
図6(a)に示すように、内周面17をガス管Pに当てるように上方サドル部10をガス管P上に載置する。
【0040】
次に、上方サドル部10と下方サドル部20とを仮止めする。具体的には、
図6(b)に示すように、上方サドル部10と下方サドル部20との間にガス管Pが位置するように下方サドル部20を上方サドル部10に接近させた状態で、軸部51の先端を搖動させて、軸部51が切欠部52aに収容されることにより、上方サドル部10と下方サドル部20とが軸方向A及び幅方向Wにおいて仮止めされる。また、ナット51aを爪部分52bに当接させることで、上方サドル部10と下方サドル部20とが上下方向Vにおいて仮止めされる。
【0041】
次に、
図6(c)に示すように、下方サドル部20を上方サドル部10と平行になるように傾ける。ナット51aが爪部分52bに当接すると、上方サドル部10と下方サドル部20との間に隙間Lが確保されていることから、上方サドル部10と下方サドル部20とを仮止めした状態を維持したまま、下方サドル部20を上方サドル部10に対して接近させることができる。
【0042】
そして、ガス管Pに下方サドル部20の当接面23を当てることにより、ガス管Pがサドル1に挟み込まれる。そして、軸部51が切欠部52aに収容されていることにより、ボルト孔12、22の中心が平面から視て略同じ位置に位置決めされていることから、一人の作業員が片手で下方サドル部20を支持しながら、ボルトBをボルト孔12、22に容易に挿通することができる。そして、ボルトBにナットNを螺合することにより、
図6(d)に示すように、上方サドル部10と下方サドル部20とが一体に固定される。
【0043】
サドル1がガス管Pに取り付けられると、図示しない穿孔機やガスバッグ挿入機をサドル1に取り付ける。穿孔機のホールソーは、取付孔15を介してガス管Pの外周に押し当てられて穿孔穴を形成する。また、ガスバッグ挿入機は、取付孔15及び穿孔穴を介してガス管P内にガスバッグを挿入する。なお、ガス管P内のガス圧が高い場合には、穿孔機による穿孔の前に、ガス管P内を流れるガスを遮断するのが好ましい。
【0044】
なお、上述したように、上方サドル部10と下方サドル部20とが予め仮止めされた状態でガス管Pの周囲にサドル1を装着するものであっても構わないし、下方サドル部20をガス管Pの下方に当てて上方サドル部10をガス管Pの上方に当てた後に、軸部31を切欠部32aに係合させて、上方サドル部10と下方サドル部20とを仮止めするものであっても構わない。
【0045】
また、仮止め手段30は、上述した構成に限定されるものではなく、上方サドル部10と下方サドル部20とを仮止め可能なものであれば、如何なる構成であっても構わない。例えば、軸部51の先端にナット51aを螺合する代わりに、軸部51の先端を軸方向Aに向けて拡幅するT字状に形成することが考えられる。
【0046】
また、軸部51及び受け部52は、一方が上方サドル部10に設けられ、他方が下方サドル部20に設けられるものであればよく、軸部51が上方サドル部10に設けられ、受け部52が下方サドル部20に設けられても構わない。
【0047】
また、固定手段は、上方サドル部10及び下方サドル部20を固定可能であればよく、ボルトB及びナットNの組み合わせに限定されるものではない。
【0048】
このようにして、サドル1は、上方サドル部10及び下方サドル部20がガス管Pを挟んだ状態で仮止め手段30に仮止めされることにより、作業員が片手で上方サドル部10及び下方サドル部20を支持しつつ上方サドル部10及び下方サドル部20をボルトBで固定可能なため、一人の作業員でサドル1をガス管Pに容易に取り付けることができる。また、一人の作業員でサドル1をガス管Pに取り付け可能なため、作業員の作業スペースに応じて設定される地面の掘り返し範囲を小さくすることができる。
【0049】
また、軸部51を切欠部分52aに収容することで、上方サドル部10及び下方サドル部20が上下方向Vにおいて位置合わせ可能であり、サドル1の取り付けを容易に行うことができる。
【0050】
また、ナット51aが爪部分52bに当接可能なため、作業中に上方サドル部10又は下方サドル部20が不用意に脱落することを抑制できる。
【0051】
また、本発明は上記で説明した以外にも、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。