特許第6855369号(P6855369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855369
(24)【登録日】2021年3月19日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】電気加工装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B23H 9/14 20060101AFI20210329BHJP
   B23H 1/04 20060101ALI20210329BHJP
   B23H 7/32 20060101ALI20210329BHJP
   B23H 1/02 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B23H9/14
   B23H1/04 Z
   B23H7/32
   B23H1/02 E
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-506998(P2017-506998)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-518374(P2018-518374A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】CN2016086821
(87)【国際公開番号】WO2016206591
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】201510364736.1
(32)【優先日】2015年6月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,レンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チン,シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ドン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ヨン
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−90885(JP,A)
【文献】 特開2010−125541(JP,A)
【文献】 特開2007−276062(JP,A)
【文献】 特開2000−720(JP,A)
【文献】 特開2008−264929(JP,A)
【文献】 特開2013−180389(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102107304(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なシャフト(11)と、
前記回転可能なシャフト(11)に移動可能に接続することができる電気加工のための電極(12)とを備える電気加工用の装置(1、1’)であって、
前記回転可能なシャフト(11)を回転すると、前記電極(12)が前記回転可能なシャフト(11)と一緒に回転し、遠心力の作用を受けて、前記回転可能なシャフト(11)に対して移動し、前記電極(12)の移動距離が前記回転可能なシャフト(11)の回転速度に基づいて制御され、
前記電極(12)は、第1の電極(121)および第2の電極(122)を含み、前記回転可能なシャフト(11)は、作動流体を送るための第1の通路(115)を備え、前記第1の電極(121)は、前記作動流体を送るための第2の通路(1213)を備え、前記第2の電極(122)は、前記作動流体を送るための第3の通路(1223)を備えている、電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項2】
記第1の電極(121)および前記第2の電極(122)が、1つのばね、または2つの独立したばねを使用することによって前記回転可能なシャフト(11)に対して配置され、前記第1の電極(121)および前記第2の電極(122)が、前記遠心力の前記作用を受けて、反対方向に向かって移動する、請求項1記載の電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項3】
前記第1の電極(121)および前記第2の電極(122)が、前記回転可能なシャフト(11)の回転軸(110)に対して対称であり、前記第1の電極(121)および前記第2の電極(122)が、前記遠心力の前記作用を受けて、互いから離れるように並進移動することができる、請求項2記載の電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項4】
前記第1の電極(121)および前記第2の電極(122)が、前記回転可能なシャフト(11)の回転軸(110)に対して対称であり、前記第1の電極(121)および前記第2の電極(122)が、それら自体の回転軸(1210、1220)を有し、前記第1の電極(121)および前記第2の電極(122)が、前記遠心力の前記作用を受けて、それら自体の回転軸(1210、1220)の周りを回転することができる、請求項2記載の電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項5】
前記電極(12)が複数の電極を含み、前記複数の電極が前記回転可能なシャフト(11)上に均等に分布され、前記複数の電極が、前記遠心力の前記作用を受けて、異なる方向に向かって前記回転可能なシャフト(11)に対して移動する、請求項1記載の電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項6】
前記回転可能なシャフト(11)が制限部分(1131、1132)を備え、前記制限部分(1131、1132)が前記電極(12)の最大移動距離を制限するように構成される、請求項1記載の電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項7】
前記回転可能なシャフト(11)が、前記回転可能なシャフト(11)の回転軸(110)に沿って移動可能である、請求項1記載の電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項8】
前記回転可能なシャフト(11)が、前記電極(12)を収容するための収容空間(111)を備え、前記電極(12)が前記収容空間(111)内を移動可能である、請求項1記載の電気加工用の装置(1、1’)。
【請求項9】
電極(12)を回転可能なシャフト(11)に移動可能に接続するステップ(S1)と、
前記回転可能なシャフト(11)をワーク(200)の孔(201)内に挿入し、前記電極(12)と前記ワーク(200)との間に隙間を保つステップ(S2)であって、前記孔(201)は第1の直径(D1)を有する、ステップ(S2)と、
前記電極(12)および前記ワーク(200)に通電するステップ(S3)と、
前記回転可能なシャフト(11)を前記孔(201)内で回転させて遠心力を発生させるステップ(S4)と、
前記遠心力の作用を受けて、前記電極(12)を前記ワーク(200)に向かって前記回転可能なシャフト(11)に対して押して、前記孔(201)の材料の一部分を除去し、その結果、前記孔(201)が第2の直径(D2)を有するステップ(S5)であって、前記第2の直径(D2)が前記第1の直径(D1)より大きい、ステップ(S5)と
を含み、
前記電極(12)は、第1の電極(121)および第2の電極(122)を含み、前記回転可能なシャフト(11)は、作動流体を送るための第1の通路(115)を備え、前記第1の電極(121)は、前記作動流体を送るための第2の通路(1213)を備え、前記第2の電極(122)は、前記作動流体を送るための第3の通路(1223)を備えている、電気加工のための方法。
【請求項10】
電極(12)を回転可能なシャフト(11)に移動可能に接続する前記ステップ(S1)が、少なくとも2つの電極(12)を前記回転可能なシャフト(11)に移動可能に接続することと、前記少なくとも2つの電極(12)を前記回転可能なシャフト(11)上に均等に分布することとを含み、前記電極(12)を押す前記ステップ(S5)が、前記遠心力の前記作用を受けて、前記少なくとも2つの電極(12)を異なる方向に向かって前記回転可能なシャフト(11)に対して押すことを含む、請求項9記載の電気加工のための方法。
【請求項11】
前記孔(201)が、高さが前記回転可能なシャフト(11)の回転軸(110)に平行な方向に変化する端部を有し、 前記少なくとも2つの電極(12)を、前記遠心力の前記作用を受けて、前記孔(201)の前記端部に向かって、異なる方向に押して、前記孔(201)の前記端部の材料の少なくとも一部分を除去することを含む、請求項10記載の電気加工のための方法。
【請求項12】
前記電極(12)と前記ワーク(200)との間の前記隙間に加圧作動流体を供給することをさらに含む、請求項9記載の電気加工のための方法。
【請求項13】
ばね(13)を前記電極(12)に接続して、前記電極(12)を前記回転可能なシャフト(11)に対して配置することをさらに含む、請求項9記載の電気加工のための方法。
【請求項14】
前記電極(12)の移動距離を前記回転可能なシャフト(11)の回転速度に基づいて制御し、その結果、前記隙間を制御し、前記第2の直径(D2)を制御することをさらに含む、請求項13記載の電気加工のための方法。
【請求項15】
前記電極(12)と前記ワーク(200)との間に短絡が生じているかどうかを検出することと、
短絡が生じていることが検出されると、前記回転可能なシャフト(11)の前記回転速度を下げ、その結果、前記ばね(13)が前記電極(12)を引き戻して、前記短絡を除去すること、または、
前記電極(12)と前記ワーク(200)との間に開路が生じているかどうかを検出することと、
開路が生じていることが検出されると、前記回転可能なシャフト(11)の前記回転速度を上げ、その結果、正常の作動状態に戻ること
をさらに含む、請求項14記載の電気加工のための方法。
【請求項16】
前記電極(12)が最大移動距離まで移動したときに前記電極(12)の移動を制限することをさらに含む、請求項9記載の電気加工のための方法。
【請求項17】
前記回転可能なシャフト(11)を、前記回転可能なシャフト(11)の回転軸(110)に沿って移動させることをさらに含む、請求項9記載の電気加工のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に加工分野に関し、詳細には、電気加工用の装置および電気加工のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、内部回転孔を有するワークの内部回転面に環状溝を加工するためには、旋盤またはフライス盤が一般に使用される。しかしながら、この従来の加工方法は一般に時間がかかり、かつ高い剛性の加工工具が必要である。
【0003】
さらに、ワークの内部回転孔が中心対称の孔でないときは特に、加工を実施する際、内部回転孔の端面が非対称であるため、端面と接触する切削工具にかかる応力が均等ではなく、振動を発生する。さらに、加工した環状溝の環状面には異なる高さの波打ちが生じ、加工した環状溝の環状面の粗さに影響を与え、加工品質に影響を与える。
【0004】
したがって、前述の問題のうちの少なくとも1つを解決するために、改善された加工装置および加工方法を提供することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−720号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の態様は電気加工用の装置を提供しており、ここで、本装置は、回転可能なシャフトと、電気加工のための電極とを含み、電極は回転可能なシャフトに移動可能に接続することができる。回転可能なシャフトを回転すると、電極は回転可能なシャフトと一緒に回転し、遠心力の作用を受けて、回転可能なシャフトに対して移動し、電極の移動距離は回転可能なシャフトの回転速度に基づいて制御される。
【0007】
本発明の別の態様は電気加工のための方法を提供しており、ここで、本方法は、電極を回転可能なシャフトに移動可能に接続するステップと、回転可能なシャフトをワークの孔内に挿入し、電極とワークとの間に隙間を保つステップであって、孔は第1の直径を有する、ステップと、電極およびワークに通電するステップと、回転可能なシャフトを孔内で回転させて遠心力を発生させるステップと、遠心力の作用を受けて、電極をワークに向かって回転可能なシャフトに対して押して、孔の材料の一部分を除去し、その結果、孔が第2の直径を有するステップであって、第2の直径が第1の直径より大きい、ステップとを含む。
【0008】
本発明の特定の実施形態による電気加工用の装置、および電気加工のための方法は、単純で、実施が容易で、かつ費用効果がある。
【0009】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解することができる。添付の図面では、すべての添付の図面の同じ部品を示すために、同じ要素参照符号が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の特定の実施形態による、ワークの加工前の電気加工用の装置の概略断面図である。
図2図1のA−A面に沿った概略切断図である。
図3】本発明の第1の特定の実施形態による、ワークの加工の実施中の電気加工用の装置の概略断面図である。
図4図3のB−B面に沿った概略切断図である。
図5】特定の実施形態によるワークの概略切断図である。
図6図5のワークの加工後の概略切断図である。
図7】別の特定の実施形態によるワークの概略切断図である。
図8図7のワークの加工後の概略切断図である。
図9】本発明の特定の実施形態による、電気加工のためのシステムの概略ブロック図である。
図10】本発明の第2の特定の実施形態による、ワークの加工前の電気加工用の装置の概略断面図である。
図11図10のE−E面に沿った概略切断図である。
図12】本発明の第2の特定の実施形態による、ワークの加工の実施中の電気加工用の装置の概略断面図である。
図13図12のF−F面に沿った概略切断図である。
図14】本発明の特定の実施形態による、電気加工のための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当業者が本発明の保護の範囲を明確に理解するのを助けるために、以下に、本発明の特定の実施形態を添付の図面を参照して説明する。特定の実施形態の以下の詳細な説明において、本明細書は、不必要な詳細が本発明の開示に影響を及ぼすことを防ぐためにいくつかの公知の機能または構造については説明しない。
【0012】
他に定義されない限り、特許請求の範囲および明細書で使用される専門用語または科学用語は、本発明の技術分野の当業者が理解する通常の意味とする。明細書および特許請求の範囲に使用される「第1の(first)」、「第2の(second)」、および類似語は、いかなる順序、数量、または重要性をも意味するものではなく、単に、異なる構成部品を区別するために使用される。「1つの(a)」または「1つの(an)」、および類似語は、数量を限定することを示すのではなく、少なくとも1つが存在していることを示す。「含む(include)」または「有する(have)」、および他の類似語は、「含む(include)」または「有する(have)」の前に現れる要素または物が、「含む(include)」または「有する(have)」の後に現れる列挙する要素または物、およびそれらと等価の要素を、他の要素または物を除外せずに包含することを意味する。「接続する(connect)」または「接続された(connected)」、および類似語は、物理的または機械的な接続に限定されるのではなく、直接的または間接的な電気極性的接続を含むことができる。さらに、用語「に基づいて(based on)」は、「少なくとも部分的に基づいて」を指す。
【0013】
本発明の添付の図面において、図および要素を明瞭に見ることができるように、添付の図面のうちのいくつか図面の要素にはハッチングをしていないことを留意すべきである。
【0014】
図1から図4は、本発明の第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1の概略図である。図1および図2は、装置1の回転可能なシャフト11を回転させる前の電気加工用の装置1の概略図である。図3および図4は、装置1の回転可能なシャフト11を回転させた後の電気加工用の装置1の概略図である。図1および図2に示すように、本発明の第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1は、回転可能なシャフト11と、電気加工のための電極12とを含む。回転可能なシャフト11は回転軸110を有する。電極12は、第1の電極121および第2の電極122を含む。第1の電極121および第2の電極122は、回転可能なシャフト11に移動可能に接続することができる。さらに、第1の電極121と第2の電極122は、回転可能なシャフト11の回転軸110に対して対称に配置される、すなわち、第1の電極121と第2の電極122は回転可能なシャフト11上に均等に分布される。図3および図4に示すように、回転可能なシャフト11を回転すると、第1の電極121および第2の電極122は、回転可能なシャフト11の回転軸110の周りを回転可能なシャフト11と一緒に回転することができる。さらに、回転可能なシャフト11は回転されて遠心力を発生する。第1の電極121および第2の電極122は、遠心力の作用を受けて、互いから離れるように回転可能なシャフト11に対して並進移動することができる、すなわち、反対方向に向かって平行に移動することができる。さらに、第1の電極121および第2の電極122の移動距離(図示せず)は、回転可能なシャフト11の回転速度に基づいて制御することができる。
【0015】
図1および図2に示すように、特定の実施形態では、弾性要素、例えば、ばね13が第1の電極121と第2の電極122との間に接続される。ばね13の弾性力の作用を受けて、第1の電極121および第2の電極122は回転可能なシャフト11に対して配置される。任意の特定の実施形態では、第1の電極121および第2の電極122はまた、それらの自体の2つの独立したばねを使用することによって回転可能なシャフト11に対して別々に配置することができる。
【0016】
特定の実施形態では、回転可能なシャフト11は、第1の電極121および第2の電極122を収容するための収容空間111を備える。さらに、第1の電極121および第2の電極122は、収容空間111内を移動可能である。図1および図2に示すように、回転可能なシャフト11を回転する前、第1の電極121および第2の電極122は、回転可能なシャフト11の収容空間111内に収容され、それによって、電気加工用の装置1の大きさが小さくなり、かつ第1の電極121および第2の電極122を保護する効果を有することができる。図3および図4に示すように、回転可能なシャフト11を回転した後、第1の電極121および第2の電極122は、遠心力の作用を受けて、収容空間111内で互いから離れるように回転可能なシャフト11に対して並進移動することができる。本発明の第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1は、回転可能なシャフト11に収容空間111を設けることに限定されるものではない。別の任意のまたは追加の例では、第1の電極121および第2の電極122はまた、回転可能なシャフト11の端部または側面に直接接続することができる。
【0017】
特定の実施形態では、回転可能なシャフト11は、制限部分1131および1132を備える。回転可能なシャフト11の制限部分1131および1132は、第1の電極121および第2の電極122の最大移動距離をそれぞれ制限するように構成することができる。この特定の実施形態では、回転可能なシャフト11の収容空間111は、制限部分1131および1132を備える。これに対応して、第1の電極121および第2の電極122は、ストッパ1211および1221をそれぞれ備える。第1の電極121および第2の電極122がそれら自体の最大移動距離まで別々に移動すると、第1の電極121および第2の電極122のストッパ1211および1221は、回転可能なシャフト11の制限部分1131および1132とそれぞれ協働し、その結果、第1の電極121および第2の電極122が回転可能なシャフト11に対して移動し続けるのを防ぐ。
【0018】
特定の実施形態では、回転可能なシャフト11は、回転可能なシャフト11の回転軸110に沿って移動可能である。したがって、回転軸110に沿った回転可能なシャフト11の移動(すなわち、軸方向の移動)を制御することによって、回転可能なシャフト11の回転軸110に平行な方向への第1の電極121および第2の電極122の移動(すなわち、軸方向の移動)をさらに制御することができる。
【0019】
第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1は、放電加工(EDM:Electrical Discharge Machining)プロセス、電解加工(ECM:Electro−Chemical Machining)プロセス、電解放電加工(ECDM:Electro−Chemical Discharge Machining)プロセスを使用することができる。以下では、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1を説明するために放電加工プロセスを例として用いる。もちろん、電解加工プロセスまたは電解放電加工プロセスの使用は、放電加工プロセスの使用とは若干異なることは理解すべきである。このような単純な差異は、本発明の第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1の革新的な本質には影響を与えない。
【0020】
特定の実施形態では、回転可能なシャフト11は、作動流体を送るための第1の通路115を備える。第1の電極121および第2の電極122は、作動流体を送るための第2の通路1213および第3の通路1223をそれぞれ備える。第1の通路115、第2の通路1213、および第3の通路1223は相互に接続される。相互接続された第1の通路115、第2の通路1213、および第3の通路1223を使用することによって、第1の電極121および第2の電極122が加工する必要のある領域に作動流体を送ることができる。しかしながら、本発明で作動流体を送るための通路を設置する方法はこれに限定されるものではない。第1の電極121および第2の電極122が加工する必要のある領域に作動流体を送ることを可能にすることができるように通路を設置する限りにおいては、別の適切な設置方法もまた用いることができる。さらに、使用済の作動流体が導電性または導電強度があるかどうかを、電気加工用の装置1に用いられる加工プロセスにしたがって判定することができる。例えば、電気加工用の装置1がEDMプロセスを用いるとき、作動流体は誘電性流体(Dielectric Fluid)とすることができ、電気加工用の装置1がECMプロセスを用いるとき、作動流体は電解質(Electrolyte)、優先的には、強導電度の電解質とすることができ、電気加工用の装置1がECDMプロセスを用いるとき、作動流体は弱導電度の電解質とすることができる。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、電気加工用の装置1は、孔201を有するワーク200を加工するように構成することができる。ワーク200の孔201は、例として、図5に示すような回転孔とすることができる。
【0022】
図1および図2は、ワーク200が加工される前の電気加工用の装置1の概略図である。図1および図2を参照すると、電気加工用の装置1がワーク200を加工する必要があるとき、電気加工用の装置1の回転可能なシャフト11をワーク200の孔201内に挿入することができ、ワーク200と第1の電極121との間、および第2の電極122との間に一定の隙間301および302をそれぞれ保つことができる。電気加工用の装置1がワーク200を加工する前、第1の電極121および第2の電極122は、ばね13の弾性力の作用を受けて、回転可能なシャフト11の収容空間111内に留まる。さらに、図5とともに参照すると、ワーク200が加工される前、ワーク200の孔201は第1の直径D1を有する。
【0023】
図3および図4は、ワーク200の加工の実施中の電気加工用の装置1の概略図である。図3および図4を参照すると、電気加工用の装置1がワーク200を加工するとき、第1の電極121、第2の電極122、およびワーク200は通電され、その結果、第1の電極121とワーク200との間、および第2の電極122とワーク200との間は反対の電気極性を帯びる。さらに、回転可能なシャフト11をワーク200の孔201内で回転させる。回転可能なシャフト11が回転すると、第1の電極121および第2の電極122は一緒に移動するように駆動される。回転可能なシャフト11は回転して遠心力を発生する。第1の電極121および第2の電極122は、遠心力の作用を受けて、ワーク200に向かって互いから離れるように回転可能なシャフト11に対して並進移動することができる。この場合、ばね13は伸ばされる。第1の電極121および第2の電極122が移動すると、反対の電気極性を有する第1の電極121とワーク200との間、および反対の電気極性を有する第2の電極122とワーク200との間に放電が生じ、その結果、ワーク200の孔201の材料の一部分を除去する。したがって、図6とともに参照すると、ワーク200が加工された後、ワーク200の孔201には環状溝203がさらに形成される。環状溝203は第2の直径D2を有し、すなわち、加工後、ワーク200の孔201は第2の直径D2を有する。第2の直径D2は第1の直径D1より大きい。環状溝203は、第2の直径D2および平面2032を有する円筒面2031を含む。
【0024】
本発明の第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1は、単純な構造で低コストであり、実施が容易である。さらに、加工の実施中、第1の電極121および第2の電極122は、ワーク200に向かって同時に移動することができる。したがって、放電は、第1の電極121とワーク200との間の隙間301、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302で同時に生じ、電気加工用の装置1の第1の電極121および第2の電極122は同時にワーク200への加工を実行することができる。第1の電極121と第2の電極122は回転可能なシャフト11の回転軸110に対して対称に配置されるので、加工の実施中すべてで電気加工用の装置1にかかる力は均等であり、それによって、ワーク200の表面加工の平面度をさらに改善する。
【0025】
第1の電極121および第2の電極122の移動距離は、回転可能なシャフト11の回転速度に基づいて制御され、その結果、第1の電極121とワーク200との間の隙間301の大きさ、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302の大きさを制御することができる。さらに、加工後のワーク200の孔201の第2の直径D2の値を制御することができる。
【0026】
ワーク200が加工されているとき、回転可能なシャフト11、第1の電極121、および第2の電極122の間で相互に接続される第1の通路115、第2の通路1213、および第3の通路1223は、第1の電極121および第2の電極122が加工する必要のある領域に、具体的には、第1の電極121とワーク200との間の隙間301、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302に加圧作動流体を供給することができる。したがって、ワーク200の加工の実施中、加圧作動流体はワーク200の加工領域を通って流れることができる。加圧作動流体によって洗い流すことによって、加工の実施中に発生するくずを適時、排出することができ、それによって、ワーク200の加工領域を確実に清浄にすることができる。
【0027】
回転可能なシャフト11の回転を適切に制御すると、材料除去後に得られる部分でワーク200の孔201の中にある部分(すなわち、環状溝203)は、完全な円筒面または円筒面の一部を有する。さらに、回転可能なシャフト11は、回転可能なシャフト11の回転軸110に沿って移動可能であるので、回転可能なシャフト11が、回転可能なシャフト11の回転軸110に沿って移動するように連続的に制御されると、それによって、回転可能なシャフト11の回転軸110に平行な方向の環状溝203の深さ(すなわち、軸方向の深さ)を制御することができる。さらに、回転可能なシャフト11は断続的に制御されて回転可能なシャフト11の回転軸110に沿って移動することができ、その結果、環状溝203は間隔を置いて分布し、ワーク200の孔201内に間隔を置いて分布された複数の環状溝203を加工によってさらに得ることができる。したがって、回転可能なシャフト11の回転および軸方向の移動は、加工しようとするワーク200の実際の必要性に応じて適切に制御することができる。
【0028】
図5および図6は、特定の実施形態によるワーク200の概略図である。図5および図6に示すように、本発明の特定の実施形態では、電気加工用の装置1は、回転孔201を有する規則正しい構造のワーク200を加工するように構成することができる。図5を参照すると、加工前、ワーク200の孔201は第1の直径D1を有し、ワーク200の孔201は回転中心線に対して対称である。一例では、電気加工用の装置1は、ワーク200の孔201の中間部分から加工を始めることができる。したがって、図6を参照すると、ワーク200の孔201の中間部分に加工することによって、加工後に環状溝203をさらに得ることができる。環状溝203は第2の直径D2を有する円筒面2031を有し、上下の平面2032を含む。
【0029】
図7および図8は、別の特定の実施形態によるワーク200’の概略図である。図7および図8に示すように、本発明の別の特定の実施形態では、電気加工用の装置1はまた、回転孔201を有する不規則な構造のワーク200’を加工するように構成することができる。図7を参照すると、加工前、ワーク200’の孔201もまた第1の直径D1を有するが、ワーク200’の孔201は回転中心線に対して非対称である。例えば、ワーク200’の孔201は、高さが回転可能なシャフト11の回転軸110に平行な方向(すなわち、軸方向)に変化する端部を有する。一例では、電気加工用の装置1はまた、ワーク200’の孔201の端部から加工を始めることもできる。例えば、電極12が第1の電極121および第2の電極122を含む場合、遠心力の作用を受けて、第1の電極121および第2の電極122は孔201の端部に向かって反対方向に押され、その結果、孔201の端部の材料の少なくとも一部分を除去する。したがって、図8を参照すると、ワーク200’の孔201の端部に加工することによって、加工後に環状溝203をさらに得ることができる。環状溝203は第2の直径D2を有する円筒面2031を有し、下の平面2032を含む。ワーク200’の孔201は、加工前、高さが軸方向に変化する端部を有する。したがって、加工後に形成される環状溝203もまた、高さが軸方向に変化する端部を有する。
【0030】
図9は、本発明の特定の実施形態による、ワーク200の加工の実施中の電気加工のためのシステム100の概略ブロック図である。図9に示すように、本発明の特定の実施形態による電気加工のためのシステム100は、本発明の第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1、電源3、旋盤5、旋盤5に配置されたサーボモータ7、および作動流体供給装置9を含む。
【0031】
電源3は、プラス(+)のリード線31およびマイナス(−)のリード線32を含む。図9では、電源3のプラスのリード線31は、加工しようとするワーク200に接続されているように示されており、その結果、加工しようとするワーク200は、電源3が起動されるとプラスの電気を帯びる。電源3のマイナスのリード線32は、電気加工用の装置1の回転可能なシャフト11に接続されているように示されている。回転可能なシャフト11は、第1の電極121および第2の電極122に電気的に接続され、その結果、回転可能なシャフト11は、電源3のマイナスのリード線32を電気加工用の装置1の第1の電極121および第2の電極122に間接的に接続することができる。したがって、第1の電極121および第2の電極122は、電源3が起動されるとマイナスの電気を帯びる。しかしながら、本発明は、電源3がマイナスの電気を第1の電極121および第2の電極122に供給し、電源3がプラスの電気をワーク200に供給することに限定されるものではない。本発明の別の特定の実施形態では、電源3がプラスの電気を第1の電極121および第2の電極122に供給し、電源3がマイナスの電気をワーク200に供給することもまたできる。このような単純な変更方法は、本発明の革新的な本質からは逸脱しない。さらに、電源3のプラスおよびマイナスのリード線31および32はまた、別の適切な方法で、第1の電極121、第2の電極122、およびワーク200に接続することができる。実際、第1の電極121とワーク200との間、および第2の電極122とワーク200との間に反対の電気極性を供給することができるいかなる電源3の接続方法も本発明の保護範囲内にあるものとする。
【0032】
電源3は旋盤5と連通することができる。旋盤5に配置されたサーボモータ7は、電気加工用の装置1の回転可能なシャフト11を駆動して回転するように構成される。電気加工用の装置1の中にあり、互いに相互接続された第1の通路115、第2の通路1213、および第3の通路1223を用いて、第1の電極121とワーク200との間の隙間301、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302に加圧作動流体を、ワーク200が加工されるときに供給するように作動流体供給装置9は構成される。
【0033】
本発明による電気加工のためのシステム100の特定の実施形態では、電気加工のためのシステム100の電源3はさらに、第1の電極121とワーク200との間、および第2の電極122とワーク200との間に短絡が生じているかどうかを検出することができる。短絡が生じていることを電源3が検出すると、電源3は短絡信号を旋盤5に送る。旋盤5のサーボモータ7は、短絡信号を受け取った後、電気加工用の装置1の回転可能なシャフト11の回転速度を下げる。したがって、電気加工用の装置1のばね13の弾性力の作用を受けて、ばね13は、第1の電極121および第2の電極122を引き戻し、その結果、第1の電極121とワーク200との間の隙間301、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302の大きさを拡げ、それによって、短絡を除去して、電気加工用の装置1が正常の作動状態に戻ることができる。
【0034】
本発明による電気加工のためのシステム100の別の特定の実施形態では、電気加工のためのシステム100の電源3はさらに、第1の電極121とワーク200との間、および第2の電極122とワーク200との間に開路が生じているかどうかを検出することができる。開路が生じていることを電源3が検出すると、電源3は開路信号を旋盤5に送る。旋盤5のサーボモータ7は、開路信号を受け取った後、電気加工用の装置1の回転可能なシャフト11の回転速度を上げる。したがって、第1の電極121および第2の電極122は互いから離れるようにさらに移動し、ばね13の弾性力が増大し、第1の電極121とワーク200との間の隙間301、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302の大きさを狭め、それによって、開路を除去して、電気加工用の装置1が正常の作動状態に戻ることができる。
【0035】
同様に、本発明による電気加工のためのシステム100はまた、図7および図8に示すワーク200’を加工するように構成することができる。
【0036】
図10から図13は、本発明の第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’の概略図である。図10および図11は、ワーク200が加工される前の電気加工用の装置1’の概略図である。図12および図13は、ワーク200の加工の実施中の電気加工用の装置1’の概略図である。図10および図11に示すように、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1と同様に、第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’もまた、回転可能なシャフト11と、電気加工のための電極12とを含む。回転可能なシャフト11は回転軸110を有する。電極12はまた、第1の電極121および第2の電極122を含む。第1の電極121および第2の電極122を、回転可能なシャフト11に移動可能に接続することができる。さらに、第1の電極121と第2の電極122は、回転可能なシャフト11の回転軸110に対して対称に配置される。しかしながら、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1と異なり、第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’では、第1の電極121および第2の電極122は、それら自体の回転軸1210および1220をさらに有する。
【0037】
図12および図13を参照すると、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1と同様に、第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’では、回転可能なシャフト11を回転すると、第1の電極121および第2の電極122は、回転可能なシャフト11の回転軸110の周りを回転可能なシャフト11と一緒に回転することができる。さらに、回転可能なシャフト11は回転されて遠心力を発生することができる。しかしながら、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1と異なり、第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’では、第1の電極121および第2の電極122はさらに、遠心力の作用を受けて、それら自体の回転軸1210および1220の周りを反対方向に向かって回転することができる。したがって、第1の電極121および第2の電極122は、回転可能なシャフト11に対して移動する。さらに、第1の電極121および第2の電極122の回転角度は、回転可能なシャフト11の回転速度に基づいて制御することができ、それによって、回転可能なシャフト11に対する第1の電極121および第2の電極122の移動距離をさらに制御することができる。
【0038】
第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’では、回転可能なシャフト11は、第1の電極121および第2の電極122の最大移動距離を制限するための制限部分(図示せず)を備えることができる。
【0039】
図10および図11を参照すると、電気加工用の装置1’がワーク200を加工する必要があるとき、電気加工用の装置1’の回転可能なシャフト11をワーク200の孔201内に挿入することができ、ワーク200と第1の電極121との間、および第2の電極122との間に一定の隙間301および302をそれぞれ保つことができる。電気加工用の装置1’がワーク200を加工する前、第1の電極121および第2の電極122は、ばね13の弾性力の作用を受けて、回転可能なシャフト11の収容空間111内に留まる。さらに、図5とともに参照すると、ワーク200が加工される前、ワーク200の孔201は第1の直径D1を有する。
【0040】
図12および図13を参照すると、電気加工用の装置1’がワーク200を加工するとき、第1の電極121、第2の電極122、およびワーク200は通電され、その結果、第1の電極121とワーク200との間、および第2の電極122とワーク200との間は反対の電気極性を帯びる。さらに、回転可能なシャフト11をワーク200の孔201内で回転させる。回転可能なシャフト11が回転すると、第1の電極121および第2の電極122は一緒に回転するように駆動される。回転可能なシャフト11は回転して遠心力を発生する。第1の電極121および第2の電極122は、遠心力の作用を受けて、それら自体の回転軸1210および1220の周りを反対方向に向かって回転することができる。したがって、第1の電極121および第2の電極122はワーク200に向かって回転可能なシャフト11に対して移動し、ばね13は伸ばされる。第1の電極121および第2の電極122が回転すると、反対の電気極性を有する第1の電極121とワーク200との間、および反対の電気極性を有する第2の電極122とワーク200との間に放電が生じ、その結果、ワーク200の孔201の材料の一部分を除去する。したがって、図6とともに参照すると、ワーク200が加工された後、ワーク200の孔201は第2の直径D2を有することができる。第2の直径D2は第1の直径D1より大きい。第1の電極121および第2の電極122の回転角度は、回転可能なシャフト11の回転速度に基づいて制御され、それによって、回転可能なシャフト11に対する第1の電極121および第2の電極122の移動距離をさらに制御し、その結果、第1の電極121とワーク200との間の隙間301の大きさ、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302の大きさを制御することができる。さらに、加工後のワーク200の孔201の第2の直径D2の値を制御することができる。
【0041】
第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’の第1の電極121および第2の電極122が、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1のそれらとわずかに異なることを除けば、第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’は、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1と概ね同様の構造を有し、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1と概ね同様の有益な技術的効果を得ることができる。したがって、本明細書では詳細を繰り返して説明しない。
【0042】
同様に、第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’もまた、図7および図8に示すワーク200’を加工するように構成することができる。
【0043】
図9に示す電気加工のためのシステム100もまた、第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’を使用することができる。本明細書では詳細を繰り返して説明しない。
【0044】
上記では、本発明の電気加工用の装置1および1’の特定の実施形態を、電極12が2つの電極121および122を含むという例を用いて説明した。しかしながら、本発明の電気加工用の装置1および1’では、電極12が2つの電極121および122だけを含むことに限定されない。
【0045】
本発明の電気加工用の装置1および1’の別の特定の実施形態では、電極12は複数の電極を含むことができ、複数の電極は回転可能なシャフト11に移動可能に接続することができ、かつ複数の電極は回転可能なシャフト11上に均等に分布される。回転可能なシャフト11を回転すると、複数の電極は回転可能なシャフト11と一緒に回転することができ、遠心力の作用を受けて、異なる方向に向かって回転可能なシャフト11に対して移動することができる。さらに、回転可能なシャフト11に対する複数の電極の移動距離は、回転可能なシャフト11の回転速度に基づいて制御することができる。複数の電極を使用する電気加工用の装置は、2つの電極121および122を使用する電気加工用の装置1および1’、例えば、第1の特定の実施形態による電気加工用の装置1、および第2の特定の実施形態による電気加工用の装置1’と概ね同様の有益な技術的効果を得ることができる。複数の電極を使用する電気加工用の装置もまた、単純な構造で低コストであり、実施が容易であることなどの利点を有する。さらに、加工の実施中、複数の電極は、ワーク200または200’に向かって同時に異なる方向に移動することができる。したがって、放電は、複数の電極とワーク200または200’との間の隙間で生じ、複数の電極は同時にワーク200または200’への加工を実行することができる。複数の電極は回転可能なシャフト11上に均等に分布されるので、複数の電極を使用する電気加工用の装置に働く力は、加工の実施中すべてで均等である。したがって、複数の電極を使用する電気加工用の装置は、加工後に得られるワーク200または200’の表面が良好な平面度を有することを確実にする。
【0046】
規則正しい構造のワーク200(図5および図6参照)および不規則な構造のワーク200’(図7および図8参照)に対して、本発明による少なくとも2つより多い電極を使用する電気加工用の装置では、加工の実施中、受ける力を均等に保つことができる。したがって、ワーク200および200’は、加工後に良好な平面度を得ることができる。
【0047】
もちろん、本発明による電気加工用の装置1および1’のさらに別の特定の実施形態では、電極12は単一の電極とすることもまたできる。同様に、単一の電極を、回転可能なシャフト11に移動可能に接続することができる。回転可能なシャフト11を回転すると、単一の電極は回転可能なシャフト11と一緒に回転することができ、遠心力の作用を受けて、回転可能なシャフト11に対して移動することができる。さらに、回転可能なシャフト11に対する単一の電極の移動距離は、回転可能なシャフト11の回転速度に基づいて制御することができる。
【0048】
本発明による電気加工用の装置が複数の電極または単一の電極を使用する場合には、電気加工用の装置の他の対応する構造的特徴をそれに応じて修正することができることを理解すべきである。このような単純な修正または等価な置換えを行なっても、本発明による電気加工用の装置の革新的な本質からは逸脱しないし、同じく本発明による電気加工用の装置の保護範囲内にある。
【0049】
本発明の特定の実施形態による電気加工用の装置は、単純な構造で低コストであり、実施が容易であり、実行が容易であることなどの利点を有する。
【0050】
図14は、本発明の特定の実施形態による電気加工のための方法のフロー図である。図1から図4、および図10から図13とともに図14に示すように、本発明の特定の実施形態による電気加工のための方法は以下のステップを含むことができる。
【0051】
ステップS1において、電極12を回転可能なシャフト11に移動可能に接続する。電極12は、単一の電極、2つの電極、または複数の電極とすることができる。例えば、電極12が、第1の電極121および第2の電極122などの2つの電極を含む場合、第1の電極121および第2の電極122は、回転可能なシャフト11に移動可能に接続される。さらに、優先的には、2つの電極121および122は、回転可能なシャフト11の回転軸110に対して対称に分布される。電極が複数の電極を含む場合、複数の電極は回転可能なシャフト11に移動可能に接続される。さらに、優先的には、複数の電極は回転可能なシャフト11上に均等に分布される。特定の実施形態では、ステップS1はさらに、弾性要素、例えば、ばね13を電極12に接続することを含み、その結果、電極12を回転可能なシャフト11に対して配置する。例えば、電極12が、第1の電極121および第2の電極122の2つの電極を含む場合、1つのばね13または2つの独立したばねは、第1の電極121および第2の電極122を回転可能なシャフト11に対して配置するように構成することができる。
【0052】
ステップS2において、回転可能なシャフト11をワーク200の孔201内に挿入し、電極12とワーク200との間に一定の隙間を保つ。電極12が3つ以上の電極を含むとき、各電極とワーク200との間に一定の隙間を保つ。例として、ワーク200の孔201は回転孔であり、加工前、ワーク200の孔201は第1の直径D1(図5に示す)を有する。
【0053】
ステップS3において、電極12およびワーク200に通電し、その結果、電極12およびワーク200は反対の電気極性を帯びる。
【0054】
ステップS4において、回転可能なシャフト11をワーク200の孔201内で回転させ、その結果、遠心力を発生させる。
【0055】
ステップS5において、遠心力の作用を受けて、電極12をワーク200に向かって回転可能なシャフト11に対して押し、その結果、ワーク200の孔201の材料の一部分を除去する。したがって、ワーク200の孔201内に環状溝203をさらに形成し、その結果、加工後、ワーク200の孔201は第2の直径D2(図6に示す)を有し、第2の直径D2は第1の直径D1より大きい。電極12が、2つの電極、例えば、第1の電極121および第2の電極122を含むとき、遠心力の作用を受けて、第1の電極121および第2の電極122を反対方向に向かって押す。電極が、複数の電極を含むとき、遠心力の作用を受けて、複数の電極をワーク200の孔の壁の異なる方向に向かって回転可能なシャフト11に対して押す。
【0056】
発生する遠心力の値は、回転可能なシャフト11の回転速度に基づいて制御され、それによって、電極12の移動距離をさらに制御し、その結果、電極12とワーク200との間の隙間の大きさを制御し、第2の直径D2の値を制御することができる。電極12が過大に移動しないことを確実にするために、電極12が最大移動距離まで移動したときに電極12の移動を制限することができる。
【0057】
回転可能なシャフト11の回転を適切に制御すると、材料除去後に得られる部分でワーク200の孔201の中にある部分(すなわち、環状溝203)は、完全な円筒面または円筒面の一部を有する。
【0058】
特定の実施形態では、電気加工のための方法はさらに、電極12とワーク200との間の隙間に加圧作動流体を供給することを含むことができる。例えば、電極12が、第1の電極121および第2の電極122の2つの電極を含む場合、加圧作動流体は、第1の電極121とワーク200との間の隙間301、および第2の電極122とワーク200との間の隙間302に供給することができる。したがって、ワーク200の加工の実施中、加工の実施中に発生するくずを適時、排出することができ、それによって、ワーク200の加工領域を確実に清浄にすることができる。
【0059】
本発明による電気加工のための方法の任意の特定の実施形態では、電極12とワーク200との間に短絡が生じているかどうかをさらに検出することができる。短絡が生じていることが検出されると、回転可能なシャフト11の回転速度を下げることができる。したがって、ばね13の弾性力の作用を受けて、ばね13は電極12を引き戻し、その結果、電極12とワーク200との間の隙間の大きさを拡げ、それによって、短絡を除去して、正常の作動状態に戻る。
【0060】
本発明による電気加工のための方法の別の任意の特定の実施形態では、電極12とワーク200との間に開路が生じているかどうかをさらに検出することができる。開路が生じていることが検出されると、回転可能なシャフト11の回転速度を上げることができる。したがって、電極12はさらに回転可能なシャフト11に対して移動することができ、ばね13の弾性力が増大し、電極12とワーク200との間の隙間の大きさを狭め、それによって、開路を除去して、正常の作動状態に戻る。
【0061】
本発明による電気加工のための方法のさらに別の特定の実施形態では、回転可能なシャフト11はさらに、回転可能なシャフト11の回転軸110に沿って移動することができる。電極12の軸方向の移動を制御するために回転可能なシャフト11の軸方向の移動を制御することができる。例えば、回転可能なシャフト11の軸方向の移動を連続的に制御して、加工によって得られる環状溝203の軸方向の深さを制御することができる。さらに、回転可能なシャフト11の軸方向の移動を断続的に制御して、間隔を置いて分布した複数の環状溝203を加工によって得ることができる。
【0062】
同様に、本発明による電気加工のための方法は、図5および図6に示すワーク200を加工するように構成することができるだけでなく、図7および図8に示すワーク200’を加工するようにも構成することもできる。
【0063】
本発明の特定の実施形態による電気加工のための方法は、単純な構造で低コストであり、実施が容易であることなどの利点を有する。
【0064】
本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明に対して多くの修正および変更を行うことができることを理解すべきである。したがって、特許請求の範囲の目的は、すべてのこれらの修正および変更を本発明の本質的な考えおよび範囲内に含めることであることを留意すべきである。
【符号の説明】
【0065】
1 電気加工用の装置
1’ 電気加工用の装置
3 電源
5 旋盤
7 サーボモータ
9 作動流体供給装置
11 回転可能なシャフト
12 電極
13 ばね
31 プラスのリード線
32 マイナスのリード線
100 電気加工のためのシステム
110 回転軸
111 収容空間
115 第1の通路
121 第1の電極
122 第2の電極
200 ワーク
200’ ワーク
201 孔
203 環状溝
301 隙間
302 隙間
1131 制限部分
1132 制限部分
1210 回転軸
1211 ストッパ
1213 第2の通路
1220 回転軸
1221 ストッパ
1223 第3の通路
2031 円筒面
2032 平面
D1 第1の直径
D2 第2の直径
S1 ステップ
S2 ステップ
S3 ステップ
S4 ステップ
S5 ステップ
図1
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