特許第6855424号(P6855424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855424
(24)【登録日】2021年3月19日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】電子たばこ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20210329BHJP
【FI】
   A24F40/46
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-175064(P2018-175064)
(22)【出願日】2018年9月19日
(62)【分割の表示】特願2018-505469(P2018-505469)の分割
【原出願日】2017年4月7日
(65)【公開番号】特開2019-22502(P2019-22502A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2018年9月19日
(31)【優先権主張番号】62/321,807
(32)【優先日】2016年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518033118
【氏名又は名称】エムディー アンド シー クリエイティブ メゾン ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウェント テヴェナ、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル キリー、マリア
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ、トム
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/131058(WO,A1)
【文献】 特表2015−532828(JP,A)
【文献】 特表2014−524313(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0036346(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子たばこ用のカートリッジであって、
記カートリッジは、電池および前記電池に接続された少なくとも1つの加熱素子を有する前記電子たばこの基部に組み付けられるように構成され、
前記カートリッジは、
吸引される物質をその内部に含むように構成され、物質排出口を備える物質チャンバと、
前記物質チャンバから分離し、前記物質をその中に受取るために前記物質排出口と連通した気化チャンバと、
少なくとも前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記基部の前記加熱素子によって加熱されるように、および前記気化チャンバ内で前記物質を気化させるために前記物質排出口を経由して供給される前記物質を加熱するように構成された少なくとも1つの熱伝達ユニットと
を備え、
前記熱伝達ユニットは、前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記加熱素子から熱を受取るために前記加熱素子と接続するように構成された第1側部と、前記物質排出口から供給される前記物質に熱を提供するために前記物質排出口に対向する第2側部とを有し、前記第1側部が、前記加熱素子の対応する接続表面と適合するように構成された接続表面を有する、カートリッジ
【請求項2】
前記気化チャンバ内に少なくとも部分的に配置される吸着部材をさらに備える請求項1記載のカートリッジ
【請求項3】
前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記加熱素子が、前記熱伝達ユニットによって前記気化チャンバから分離される、請求項1または2記載のカートリッジ
【請求項4】
前記物質排出口と前記気化チャンバとの間に配置され、前記物質チャンバから前記気化チャンバへの前記物質の通過を可能にするように構成された多孔質部材をさらに備える請求項1〜のいずれか1項に記載のカートリッジ
【請求項5】
前記気化チャンバが、前記多孔質部材と前記熱伝達ユニットとの間に配置される、請求項記載のカートリッジ
【請求項6】
前記多孔質部材が、前記物質排出口に対向する第1表面と、前記熱伝達ユニットに対向する第2表面とを有する、請求項または記載のカートリッジ
【請求項7】
前記多孔質部材が、前記第1表面と前記第2表面との間で前記多孔質部材を通って延び、前記気化チャンバと前記カートリッジのマウスピースとの間で気化チャネルを経由して流体連通を構築する孔を有するように形成され、それによって気化した物質が前記気化チャンバから前記マウスピースを介して抜け出ることを可能にする、請求項記載のカートリッジ
【請求項8】
前記多孔質部材が、前記気化チャンバおよび前記物質チャンバのうちの1つの断面に適合するような大きさおよび形に形成される、請求項のいずれか1項に記載のカートリッジ
【請求項9】
前記カートリッジが、前記物質チャンバおよび前記気化チャンバを少なくとも部分的に含むカートリッジハウジングと、前記カートリッジハウジングに沿って延び、前記気化チャンバと流体連通する気化チャネルとをさらに備え、前記カートリッジハウジングが、前記気化チャネルを介して前記気化チャンバと流体連通するマウスピースで構成される近位端部と、前記熱伝達ユニットと組み合わされる遠位端部とを有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のカートリッジ
【請求項10】
前記熱伝達ユニットが、前記遠位端部に配置される、請求項記載のカートリッジ
【請求項11】
前記熱伝達ユニットが、前記気化チャネルに対して垂直である、請求項または記載のカートリッジ
【請求項12】
前記カートリッジハウジングが、前記物質を有する前記気化チャンバ内での前記物質の気化のために前記気化チャンバ内への空気の通過を可能にするために、前記カートリッジの外部と前記気化チャンバとの間の流体連通を構築するための、前記カートリッジハウジング内に形成される第1吸気孔を備える、請求項11のいずれか1項に記載のカートリッジ
【請求項13】
前記第1吸気孔が、前記カートリッジの遠位端部に近接して配置される、請求項12記載のカートリッジ
【請求項14】
前記基部が、前記加熱素子に組み合わされる接続部を有するベースハウジングを有し、前記接続部は、前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記加熱素子を前記熱伝達ユニットに近接、または接触させるように、前記カートリッジハウジングの遠位端部と接続するように構成される、請求項13のいずれか1項に記載のカートリッジ
【請求項15】
前記接続部が、前記接続部内に形成される第2吸気孔を備え、前記第2吸気孔は、少なくとも前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記物質を有する前記気化チャンバ内での前記物質の気化のために前記気化チャンバ内への空気の通過を可能にするために、前記第1吸気孔を介した前記電子たばこの外部と前記気化チャンバとの間の流体連通を構築するように構成される、請求項12に従属する請求項14記載のカートリッジ
【請求項16】
前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記第1吸気孔および前記第2吸気孔が互いに一列に並ぶ、請求項15記載のカートリッジ
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のカートリッジと基部とを備える電子たばこであって、
前記カートリッジが、前記基部に組み付けられるように構成され、
前記基部が、電池と、前記電池に接続される少なくとも1つの加熱素子とを備える、
電子たばこ。
【請求項18】
前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記加熱素子が、前記熱伝達ユニットによって前記気化チャンバから分離される、請求項17記載の電子たばこ。
【請求項19】
前記基部が、前記加熱素子に組み合わされる接続部を有するベースハウジングを有し、前記接続部は、前記カートリッジが前記基部に組み付けられるときに、前記加熱素子を前記熱伝達ユニットに近接、または接触させるように、前記カートリッジハウジングの遠位端部と接続するように構成される、請求項17または18記載の電子たばこ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子たばこ、特には、再使用可能な部分における加熱素子を備え、追加のユーザの機能を含む電子たばこに関する。
【背景技術】
【0002】
電子たばこは、近年通常のたばこに代わって一般的になってきており、喫煙体験にかなりの影響を与えることなく、通常のたばこの物質のより健康的な代替物を提供する。
【0003】
電子たばこは、電子たばこのすべての作動構成部品(プロセッサ、電池など)を収容する基部、および吸引物質を含み、所定の使用期間の後に捨てられ/再充填される使い捨て部を備える。
【0004】
一般に、基部は、使い捨て部において液体の状態で存在する吸引物質を気化させるように構成される、電子たばこのコア構成部品を備える。この目的のために、加熱素子(たとえば、コイル)は、通常、使い捨て部に実装され、使い捨て部および基部が組立てられると、電池に電気接続され、吸引物質を気化させるために吸引物質に熱を伝達するように構成される。
【0005】
カートリッジ内における加熱素子を扱う特許の例としては、以下のものに基づく。
− カートリッジパイプ内の噴霧構成部品における加熱素子(Shenzhen smoore technology Ltd.、電子たばこ、特許文献1)
− 噴霧器を構成する加熱素子および電子たばこリキッド(SIS Resources Ltd.、特許文献2)、および
− 異なる2つの容器から気化した2つのリキッドを同じ領域(エアロゾル化ゾーン)に集める2つの加熱素子。移送素子が加熱素子と絡み合い、エアロゾル化ゾーンを生じさせる。(R.J. Reynolds Tobacco Co.、特許文献3)
【0006】
使い捨て部内での加熱を扱う特許の例としては、電子たばこリキッドをメッシュおよび/またはロービングに含浸させ、分離された加熱コイルによって加熱するものに基づく。加熱コイルは使い捨て部(電池付き)に置かれ、カートリッジは使い捨て部内にある。従って、気化チャンバはない(メッシュとリキッド貯留部との間の距離、Ruyan investment holdings Ltd.、電子たばこ、特許文献4を参照)。
【0007】
本明細書において、上記の文献が本開示の主題の特許性となんらかの関連があるということを意味しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2015/043126号
【特許文献2】国際公開第2015/028891号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0000638号明細書
【特許文献4】国際公開第2013/155645号
【発明の概要】
【0009】
本願の主題の一態様によれば、基部および基部に組み付けられるように構成されたカートリッジを備えた電子たばこであって、基部は、電池および電池に接続された少なくとも1つの加熱素子を備え、カートリッジは、吸引される物質をその内部に含むように構成され、物質排出口を備える物質チャンバと、物質をその中に受取るために物質排出口と連通した気化チャンバと、少なくともカートリッジが基部に組み付けられるときに、基部の加熱素子によって加熱されるように、および気化チャンバ内で物質を気化させるために物質排出口を経由して供給される物質を加熱するように構成された少なくとも1つの熱伝達ユニットとを備える、電子たばこが提供される。
【0010】
本願の主題の別の態様によれば、電子たばこ用のカートリッジであって、カートリッジは、電池および電池に接続された少なくとも1つの加熱素子を有する電子たばこの基部に組み付けられるように構成され、カートリッジは、吸引される物質をその内部に含むように構成され、物質排出口を備える物質チャンバと、物質をその中に受取るために物質排出口と連通した気化チャンバと、少なくともカートリッジが基部に組み付けられるときに、基部の加熱素子によって加熱されるように、および気化チャンバ内で物質を気化させるために物質排出口を経由して供給される物質を加熱するように構成された少なくとも1つの熱伝達ユニットとを備える、カートリッジが提供される。
【0011】
吸引される物質は、以下において、「吸引物質」という。「吸引物質」という用語は、実際の喫煙を必要とせず、最終的にユーザに喫煙体験を提供するために、気化させ得る物質(たとえばリキッド)をいう。
【0012】
上記の配置構成では、加熱素子は、物質チャンバに、また、より重要なことには、吸引物質に直接接触しない。
【0013】
カートリッジが、気化チャンバ内に少なくとも部分的に配置される吸着部材をさらに備え得る。このような設計では、熱は伝導によって熱伝達ユニットから吸着部材に送られる。
【0014】
吸着部材は、他の材料の吸着および/または吸収を実行し得る任意の材料または材料の組み合わせにより形成され得る。吸着部材は、たとえば、以下の材料、すなわち、繊維、ガラス、アルミニウム、綿、セラミック、セルロース、ガラス繊維ウイック、ステンレス鋼メッシュ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、BAREX(登録商標)などの1つまたは複数で形成され得る。
【0015】
熱伝達ユニットは、カートリッジが基部に組み付けられるときに、加熱素子から熱を受取るために加熱素子と接続するように構成された第1側部と、物質排出口から供給される物質に熱を提供するために物質排出口に対向する第2側部とを有し得る。
【0016】
カートリッジが基部に組み付けられるときに、加熱素子が、熱伝達ユニットによって気化チャンバから分離され得る。
【0017】
カートリッジが、物質排出口と熱伝達ユニットとの間に配置される多孔質部材をさらに備え得る。また、多孔質部材が、物質チャンバと気化チャンバとの間に配置され得る。多孔質部材および吸着部材が同一部材に一体化され得る。吸着部材が、少なくとも部分的に、多孔質部材に囲繞されるか、または多孔質部材内に配置され得る。多孔質部材は、吸着部材に保護を提供するか、および/または吸着部材を保持し得る。多孔質部材は、メッシュとして形成され得る。多孔質部材は、たとえば、ステンレス鋼、または物質を伝達し得る任意の他の類似の材料から形成され得る。
【0018】
気化チャンバは、多孔質部材と熱伝達ユニットとの間に配置され得る。
【0019】
多孔質部材は、物質を吸収するために物質排出口に組み合わされる第1表面と、物質チャンバから気化チャンバへの物質の通過を可能にするための、熱伝達ユニットに組み合わされる第2表面とを有し得る。第1表面は、物質に含浸され得る。
【0020】
第2表面は、熱伝達ユニットに対向することにより熱伝達ユニットと組み合わせることができ、物質を加熱し、それによって気化させるために、第2表面から気化チャンバへの物質の導入を可能にする目的で、気化チャンバにより熱伝達ユニットから分離することができる。
【0021】
ある設計の実施形態によれば、配置構成は、多孔質部材の第2表面が、熱伝達ユニットと直接接触せず、それによって熱伝達ユニットによる多孔質部材への損傷の機会を最小限にするようにされ得る。
【0022】
多孔質部材は、第1表面と第2表面との間を通って延び、気化チャネルを介して気化チャンバとカートリッジのマウスピースとの間の流体連通を構築する孔を有するように形成される。それによって、気化した物質が気化チャンバからマウスピースを介して抜け出ることが可能になる。孔は、気化チャンバの少なくとも一部を構成することができる。
【0023】
別の設計の実施形態によれば、多孔質部材の第2表面は、熱伝達ユニットと少なくとも部分的に直接接触し、それによって、吸着部材への熱伝達の効率を上げ、吸引物質の気化を増加させる。かかる設計では、熱は熱伝達ユニットから多孔質部材の第2表面に伝導によって送られる。
【0024】
吸着部材は伸長した形状(たとえば、糸状、ストリップ状など)を有することが可能である。
【0025】
吸着部材は、軟質材料のフラットキャップ、カバーまたはクッションの形状であり得る。特に、吸着部材は、気化チャンバおよび物質チャンバのうちの1つの断面に適合するような大きさおよび形状に形成され得る。多孔質部材は、気化チャンバおよび物質チャンバのうちの1つの断面に適合するような大きさおよび形状に形成され得る。
【0026】
カートリッジは、物質チャンバおよび気化チャンバを少なくとも部分的に含むカートリッジハウジングと、カートリッジハウジングに沿って延び、気化チャンバと流体連通する気化チャネルとをさらに備え得る。カートリッジハウジングは、気化チャネルを介して気化チャンバと流体連通するマウスピースを有して構成される近位端部と、熱伝達ユニットに組み合わされる遠位端部とを有し得る。マウスピースは、気化した物質をユーザに供給するように構成される。熱伝達ユニットは、遠位端部に配置され得る。熱伝達ユニットは、気化チャネルに対して垂直であり得る。
【0027】
物質チャンバは、気化チャンバとマウスピースとの間で延びる気化チャネルと並列し得る。物質チャンバは、気化チャネルの周囲に配置され得る。
【0028】
カートリッジハウジングは、物質を有する気化チャンバ内での物質の気化のために気化チャンバ内への空気の通過を可能にするために、カートリッジの外部と気化チャンバとの間の流体連通を生じさせるための、カートリッジハウジング内に形成される第1吸気孔を備え得る。
【0029】
第1吸気孔が、カートリッジの遠位端部に近接して配置され得る。
【0030】
基部は、加熱素子に組み合された接続部を有するベースハウジングを有し得るが、接続部は、カートリッジが基部に組み付けられるときに、加熱素子が熱伝達ユニットに近接、または接触するように、カートリッジハウジングの遠位端部と接続するように構成され得る。
【0031】
接続部は、接続部内に形成される第2吸気孔を備え得るが、第2吸気孔は、少なくともカートリッジが基部に組み付けられるときに、物質を有する気化チャンバ内での物質の気化のために気化チャンバ内への空気の通過を可能にするために、第1吸気孔を介した電子たばこの外部と気化チャンバとの間の流体連通を構築するように構成され得る。カートリッジが基部に組み付けられるときに、第1吸気孔および第2吸気孔が互いに一列に並び得る。
【0032】
組み立てにおいて、カートリッジは、熱伝達ユニットが伝導により熱を受取るために加熱素子に接触するように、基部に取付けられる。
【0033】
操作において、電子たばこをオンにすると、電池は、基部の加熱素子を電気的に加熱し、伝導により熱を加熱素子に提供する。次に、熱を吸着部材に供給し、その結果、そこに吸収された物質が気化される。
【0034】
このプロセスは連続なので、物質チャンバからの物質は、吸着部材を満たし(毛管吸収効果のため)、それにより物質の吸着部材への一定の供給を提供し続ける。上記のプロセス中に発生した物質蒸気は、気化チャネルを介してカートリッジから抜け出てマウスピースへ、そしてユーザに至る。
【0035】
熱伝達ユニットは、熱伝導材料、たとえば、金属(たとえば、アルミニウム、銅など)で形成され得る。
【0036】
カートリッジハウジングは、以下の材料:アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Kapton(登録商標)などのポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂およびビニル樹脂の1つまたは複数により形成され得る。カートリッジハウジングの一部は、組立てられるか、あるいは少なくとも部分的にオーバーモールドされ得る。
【0037】
加熱素子は、電気抵抗材料で形成され得る。加熱素子は、非弾性材料、たとえば、アルミナ(Al23)や窒化珪素(Si34)などのセラミック焼結材料、またはプリント回路基板またはシリコンゴムを備え得る。加熱素子は、弾性金属材料、たとえば、鉄合金またはニッケルクロム合金を備え得る。
【0038】
加熱素子の電気抵抗材料は、以下の材料:ドープされたセラミックなどの半導体、電気「導電」セラミック(たとえば、珪化モリブデンなど)、カーボン、グラファイト、金属、金属合金およびセラミック材料と金属材料との複合材料の1つまたは複数を含み得る。かかる複合材料は、ドープされた、またはドープされていないセラミックを含んでいてもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープされた炭化ケイ素を含む。適切な金属の例としては、チタニウム、ジルコニウム、タンタルおよび白金族の金属を含む。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル合金、コバルト合金、クロム合金、アルミニウム合金、チタニウム−ジルコニウム合金、ハフニウム合金、ニオビウム合金、モリブデン合金、タンタル合金、タングステン合金、スズ合金、ガリウム合金およびマンガン合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼、Timetal(登録商標)および鉄−マンガン−アルミニウム系合金をベースとする超合金を含む。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation、1999 Broadway Suite 4300、Denver、Coloradoの登録商標である。複合材料において、電気抵抗材料は、エネルギー伝達の動特性および必要な物理化学特性次第で、任意に絶縁材料に埋め込まれるか、絶縁材料でカプセル化されるか、もしくは絶縁材料でコートされてもよく、または逆も同様である。
【0039】
加熱素子は、温度と抵抗率との間に規定された関係を有する金属を用いて形成されてもよい。かかる実施形態において、金属は、適切な絶縁材料の2つの層の間のトラック(track)として形成されてもよい。この方法で形成される加熱素子は、ヒータおよび温度センサの両方として使用されてもよい。
【0040】
加熱素子は、加熱素子に埋め込まれた、または取付けられた温度センサを備えることができる。
【0041】
加熱素子は、少なくとも部分的に、ガラスなどの保護材料でカプセル化されるか、またはコートされてもよい。
【0042】
電池は、直流電圧源であり得る。たとえば、電池は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、リチウムイオン電池もしくはリチウムポリマー電池などのリチウム電池であり得る。
【0043】
全プロセスを通じて、物質および吸着部材はいずれも、それらが少なくとも熱伝達ユニットによって分離されているので、加熱素子と如何なる接触もしない。言い換えれば、吸着部材の第2表面は、熱伝達ユニットとの組み合わせによってのみ加熱される。
【0044】
かかる構成には、少なくとも以下の利点がある。
− 加熱素子の腐食の進行、気化温度の変更およびヒータ効率の低下のリスクの低減
− 不完全な気化の進行またはフィルタ付き加熱素子でのリキッドの摂取のリスクの低減
− 汚れへの暴露、蒸気特性の変更およびカートリッジのコストの増加の低減
− 圧力装置に基づく不完全な気化による爆発のリスクの低減
− (この技術において公知であるように)吸着部材と加熱素子との間の接触による可燃性のリスクの低減
【0045】
加熱素子は再使用可能な基部内に収容されるので、より高い安全性、ならびにより高い加熱容量および加熱効率を有する高級な加熱素子の使用を可能にし、そのような高級な加熱素子は、加熱素子が使い捨て部品(すなはち、カートリッジ)内に収容されるときには経済的に実行可能ではないものであるということにも留意すべきである。
【0046】
加えて、吸引物質と加熱素子との間の接触を取り除くことにより、すべての実際の目的のために、カートリッジの再充填/取り換えの間に残留する風味が移送される機会を大幅に低減することができる。
【0047】
基部は、電子たばこの電池を含む電気構成部品と組み合わされるプロセッサをさらに備える。電気構成部品は、電子たばこにさらなる特徴を提供するように構成され得るが、それらの特徴のうちいくつかとして、以下のものがあげられる。
− 電子たばこの動きまたは位置を識別するためにプロセッサに接続され、それによって、電子たばこのジェスチャに基づく操作を可能にする検知ユニット(たとえば、ジャイロスコープ、加速度計、コンパスなど)。内部ジャイロスコープの場合、ジェスチャを検知するように構成された、コンパスまたは加速度計のような任意の他のセンサによって構成または補完され得る。たとえば、電子たばこは、二度傾けられて「スイッチオン」され、および/または、横に振られて、スイッチオフを示すことができる。プロセッサに接続された、マイクロフォンまたは圧力センサに基づいた吸引検知器。吸引検知器がマイクロフォンである例では、ユーザが息を吸い込むと、吸引検知器は、吸引を数えるために使用される特定の振動を生成する。吸引検知器は、ユーザが息を吸う力を検知することができ、それによって、送られた吸引物質の量を自動的に適合させることができる。
− たばこ当量測定 − たばこ当量測定は、吸引回数および各吸引長さに基づいて、ユーザが吸引した、対応する「実際のたばこ」の推定本数が何本であるかをプロセッサが決定することを可能にし、ユーザにその事実を警告することができる。たとえば、プロセッサは、ユーザが10本以上のたばこを吸ったという信号をユーザに提供し、警告を設定するように構成され得る。代わりに、ユーザは、前もって、たばこの限度を設定し、その後、電子たばこが、予め決められた時間消されるようにされ得る。
− 吸い込まれた吸引回数または/および規定された吸引時間が、規定された吸引回数または/および規定された吸引時間と同等のときの、電子たばこのオフ。
【0048】
概して、本願の主題は、少なくとも以下の利点を提供する。
− 1つのカートリッジを別のカートリッジに取り換えることによる簡単な香りの取り換え;
− カートリッジ内の物質と加熱素子との間の接触の防止、それによるカートリッジから別のカートリッジへの香りの移動の回避;
− 露出した吸着部材と加熱素子との間の接触の防止、それによる着火への移行のリスクの減少;および
− 再使用可能な開放した(使用中の)カートリッジの使用が可能になること
【0049】
本願の主題の他の態様によれば、基部および基部に組み付けられるカートリッジを備える電子たばこが提供され、基部は、電池と、電池と組み合わされたプロセッサと、プロセッサと組み合わされた1つまたは複数の方向識別部品(orientation component)とを備え、方向識別部品は、少なくとも基部の移動、方向または空間的な位置を識別し、移動に関するデータをプロセッサに提供するように構成され、そのデータに基づいて、プロセッサは、電池を少なくともオン/オフするように構成される。ユーザによって実行される異なるジェスチャ、たとえば、ある方法で電子たばこを方向付けし、または特定の方向に電子たばこを移動させることに基づいて、プロセッサは、電子たばこのさらなる操作モード、たとえば、スタンドバイモード、蒸気量の管理、時間で決められた喫煙計画などを提供することができる。電子たばこは、予め決められた、ユーザによるたばこの振動動作によってオンにされるように構成され得る。
【0050】
本願の主題のさらに別の態様によれば、物質を含むカートリッジに組み付けられるように構成された基部を備える電子たばこが提供され、基部は、電池と、電池に組み合わされたプロセッサと、カートリッジおよびプロセッサに組み合わされた少なくとも1つの検知部品とを備え、検知部品は、カートリッジから少なくとも1つの喫煙パラメータを得て、そのデータをプロセッサに提供するように構成され、プロセッサは、少なくともたばこの操作中は、上記の第1の喫煙パラメータに基づいて、第2の喫煙パラメータを計算するように構成され、対応する出力をユーザまたは電池に提供する。
【0051】
本明細書で開示された主題をより理解し、実際にどう行われるかを例示するために、実施形態を、添付の図面を参照して、非限定的な例のみによって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本開示の主題の一実施例による電子たばこの概略断面図である。
図2A図1に示す電子たばこで使用されるカートリッジの一実施例の概略断面図である。
図2B図1に示す電子たばこの別の実施例の概略断面図である。
図2C図1に示す電子たばこのさらに別の実施例の概略断面図である。
図3A】本開示の主題の別の実施例による、分解された電子たばこの概略断面図である。
図3B図3Aの電子たばこの組立てられた状態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
最初に図1を参照すると、互いに取付けられた基部10およびカートリッジ20を備える符号1が付された本出願の電子たばこの概略的断面が示されている。
【0054】
基部10は、ハウジング12の第1端部12aに位置する加熱素子16に接続された電池14を収容し、カートリッジの対応する接続表面に適合するように構成された接続表面17を有する円筒ハウジング12を備える。電池14は、加熱素子16にその操作に必要な電力を提供し、加熱素子が必要な温度に加熱されることを可能にする。
【0055】
電池14は、また、プロセッサユニット18およびセンサ15に接続され、それらの操作のために必要な電力を提供する。プロセッサユニット18は、センサ15および加熱素子16の両方に接続される。プロセッサユニット18およびセンサ15は共に、この特定の例において、電池14に対して加熱素子16と反対側に配置され、電池14は、加熱素子16と電子たばこ1のその他の敏感な構成部品との間の分割機として作用する。しかしながら、この配置は、必須ではなく、基部10内の構成部品の任意のその他の配置が適用されてもよい。
【0056】
さらに、センサ15は、少なくとも基部10の移動、方向および空間的な位置を識別し、この情報(以下、空間的データ)をプロセッサユニット18に提供するように構成され得る。空間的データに基づいて、プロセッサ18は、加熱素子16をオン/オフにするか、および/または電子たばこ1の特定の操作レジメ、たとえば、スタンバイモード、蒸気量、時間で決められた喫煙計画などを設定するかどうかを決めることができる。
【0057】
したがって、操作において、ユーザの予め決められたジェスチャをセンサ15が識別すると、この情報がセンサ15からプロセッサ18に提供され、このジェスチャに基づいてプロセッサ18は、電子たばこ1の適切な操作モードを決定する。かかるモードを決定すると、加熱素子16に直接接続されたプロセッサ18は、加熱素子16に、加熱素子16の必要な温度と加熱速度を決定する適切な操作信号を提供し、一方、かかる加熱に必要な電力は電池14によって供給される。
【0058】
その結果、電子たばこ1は、そのジェスチャや位置を用いて操作されるように構成され得るが、たとえば、電子たばこ1を2度振ることが、電子たばこ1をオン/オフするようにプロセッサに指示することができ、電子たばこ1を縦方向に保持することにより、電子たばこ1のスタンバイモードを設定するようにプロセッサに指示することができる。センサは、多様な形式(たとえば、音、動作、方向、加速など)のものであり得るが、それによって、電子たばこを操作するためにユーザに必要なジェスチャが、それに応じて変化し得る(たとえば、電子たばこの表面に与える衝撃、動作の速度)ことを理解すべきである。
【0059】
さらに図2Aを参照すると、電子たばこ1のカートリッジ20は、熱伝達ユニット24を収容するカートリッジハウジング22を備え、熱伝達ユニット24は、カートリッジハウジング22の遠位端部22aに配置され、カートリッジ20が基部10に取付けられるときに、加熱素子16の対応する接続表面17に適合するように構成された接続表面27を有する。カートリッジハウジング22の反対側の近位端部22bでは、カートリッジ20は、ユーザの口(図示されず)に挿入されるように構成されたマウスピース30を備える。
【0060】
ハウジング22は、その中に、ユーザによって吸引される、香りのついた物質Sを収容するように構成された物質チャンバ28を有して形成される。チャンバ28は、近位端部22bと遠位端部22aとの間で延びるが、遠位端部22aとは間隔があけられる。物質チャンバ28は、その中に孔として形成された気化チャンバ23を囲繞する。気化チャンバ23は、マウスピース30のマウスピースチャネル32と共に延びる気化チャネル25と共に延びる。
【0061】
ハウジング20は、熱伝達ユニット24と物質チャンバ28との間に並べられた吸着部材26をその中に収容する。吸着部材26は、一方では、物質Sのいくらかを吸収するように構成され、他方では、熱伝達ユニット24によって加熱されるように構成され、それによって、吸着部材26に吸収された物質Sが、気化チャンバ23内に気化し、気化チャネル25を介して気化チャンバ23からマウスピース30を介してユーザの方に抜け出す。図2Aには図示されていないが、気化チャンバ23は、ユーザが吸引物質をマウスピース30を介して吸い込むときに、気化チャンバ23の中に空気を受取るために、電子たばこ1の外部と流体連通している。
【0062】
操作では、加熱素子16は、電池によって加熱され、その熱を接続表面17、27の間の伝達を介して熱伝達ユニット24に供給する。このように、吸着部材26は、熱伝達ユニット24を介して間接的に加熱され、加熱素子を介して直接加熱されず、したがって、電子たばこ1の安全性、温度制御および信頼性の点から、大きな利点となる。
【0063】
吸着部材26を加熱する結果として、その中に吸収された物質Sは気化チャンバ23内で気化し、蒸気は、矢印によって示されたように、気化チャネル25を介してカートリッジ20から抜け出す。
【0064】
この例では、吸着部材26は、物質チャンバ28と熱伝達ユニット24との間のほぼすべてのスペースを占め、それによって、吸着部材26は、物質チャンバ28から物質Sを吸収するように形成された第1表面26aおよび熱伝達ユニット24によって加熱されるように構成された第2の、反対側の表面26bを有することに留意することが重要である。
【0065】
つぎに図2Bおよび2Cを参照すると、カートリッジ設計の2つのさらなる例が、符号20’、20’’でそれぞれ示される。
【0066】
図2Bで示される例では、吸着部材26’は、物質Sに浸漬されるように、物質チャンバ28内に配置された第1側縁部26a’を有するリング状である。第2側縁部26b’は、熱伝達ユニット24の近くに配置され、それによって加熱されるように構成される。吸着部材26’は、この例では、気化チャンバ23を構成する、物質チャンバ28と熱伝達ユニット24との間に区切られたすべてのスペースを占めるものではないことが分かる。
【0067】
この例では、熱伝達ユニット24によって供給された熱により気化した物質Sは、まず、気化チャンバ23に留まり、マウスピースでのユーザの吸引および吸い込みにしたがって、気化チャンバ23からチャネル25を介してゆっくりと、連続して取り除かれる。
【0068】
図2Cに着目すると、符号20’’を付した他の例が示され、リング状の吸着部材26’に代わって、ここで使用されるのは吸着部材26’’であって、吸着部材26’’は、物質チャンバ28に収容された物質Sに浸漬された延長部を有し、ゆっくりと物質Sを部材26’’に吸収する。操作は、前に図2Bで記載されたものと同様である。
【0069】
図3A図3Bを参照すると、符号100を付した電子たばこの別の実施例の断面図を示される。電子たばこ100は、基部110およびカートリッジ150を備える。図3Aにおいて、基部110およびカートリッジ150は、互いに組み付けられて、ユーザによって操作される。
【0070】
基部110は、円筒ベースハウジング112を備え、円筒ベースハウジング112は、電池114をその中に収容し、電池114は、加熱素子116に接続され、加熱素子116は、ベースハウジング112の第1端部112aに配置され、接続表面117を有する。電池114は、加熱素子116に、その操作のための必要な電力を供給するように構成され、それによって、加熱素子116が必要な温度に加熱される。
【0071】
カートリッジ150は、ユーザの口(図示されず)に挿入されるように構成されたマウスピース156を有する近位端部154と、ベースハウジング110の第1端部112aに導入されるように構成された遠位端部158とを有するカートリッジハウジング152で構成される。カートリッジハウジング152は、その長さに沿って延び、吸引される物質162をその中に含む物質チャンバ160を含む。物質チャンバは、物質排出口161を有し、物質排出口161は、カートリッジハウジング150の遠位端部158に配置され、物質162が物質チャンバ160から抜け出すことを可能にするように構成される。
【0072】
カートリッジハウジング152は、物質162を受取るために物質排出口161と連通する気化チャンバ170と、カートリッジが基部110に組み付けられるときに、基部110の加熱素子116によって加熱されるように、および気化チャンバ170において気化させるために物質排出口161を介して供給される物質162を加熱するように構成された熱伝達ユニット180とを備える。気化チャンバ170は、気化チャンバ170からマウスピース156へ延びる気化チャネル172と流体連通している。気化チャンバ170は、物質チャンバ160と共に延びており、物質チャンバ160は、気化チャネル172を完全に囲繞している。熱伝達ユニット180は、気化チャネル172に対して垂直である。加熱素子は、加熱素子116の必要な温度および加熱速度を決める信号を提供するために取付けられ、または一体化される温度センサ(図示されず)を含み得るが、かかる加熱に要する電力は、電池114によって供給される。
【0073】
熱伝達ユニット180は、カートリッジ150が基部110に組み付けられるときに、加熱素子116から熱を受取るために加熱素子116の加熱表面117と接続するように構成される第1側部181と、物質排出口161から供給される物質に熱を供給するために気化チャンバ170に対向する反対の第2側部182とを有する。
【0074】
ベースハウジング112は、加熱素子116に近接して配置される接続部120を有し、接続部120は、カートリッジ150が基部110に組み付けられるときにカートリッジハウジング152の遠位端部158に接続するように構成され、それによって、加熱素子116を熱伝達ユニット180に接触させる。特に、カートリッジ150の基部110への組み付けにおいて、加熱表面117は、加熱素子116から熱伝達ユニット180へ、および熱伝達ユニット180から第2側部182を介して、吸引物質が加熱され、気化される気化チャンバ170へ熱を送るために、熱伝達ユニット180の第1側部181に完全に適合させられる。電子たばこは、したがって、カートリッジ150が基部110に組み付けられるときに、加熱素子116が、熱伝達ユニット180によって気化チャンバ170から分離されるように構成される。
【0075】
カートリッジハウジング154は、空気を気化チャンバ170に通過させ、物質排出口161を経由して供給される物質162をチャンバ内で気化させるために、カートリッジ150の外部と気化チャンバ170との間の流体連通を構築する目的で、遠位端部158に形成される第1吸気孔159をさらに備える。
【0076】
接続部120は、その中に形成される第2吸気孔121を備え、第2吸気孔は、カートリッジ150が基部110に組み付けられるときに、空気を気化チャンバ170に通過させ、物質排出口161を経由して供給される物質162をチャンバ内で気化させるために、電子たばこ100の外部と気化チャンバ170との間の流体連通を第1吸気孔159を介して構築するように構成される。図3bに示されるように、カートリッジ150が基部110に組み付けられるときに、第1吸気孔159および第2吸気孔121は、互いに一列に並ぶ。
【0077】
気化チャンバ170は、その中に配置された吸着部材175を含む。吸着部材175は、一方では、物質162のいくらかを吸収するように構成され、他方では、熱伝達ユニット180によって加熱されるように構成され、それによって、そこに吸収された物質162が内部で気化され、気化チャネル172を介して気化チャンバ170から出て、マウスピース156を介してユーザに至る。
【0078】
カートリッジハウジング152は、物質排出口161と気化チャンバ170との間に配置された多孔質部材190をさらに備え、それにより、気化チャンバ170は、多孔質部材190と熱伝達ユニット180との間に配置される。多孔質部材190は、物質162の物質チャンバ160から吸着部材175への通過を可能にするために、物質排出口161に対向する第1表面191と、気化チャンバ170内の吸着部材175に対向する反対の第2表面192とを有する。第2表面192は、熱伝達ユニット180の第2側部182に対向することにより熱伝達ユニット180と組み合わされ、また、気化チャンバ170によって熱伝達ユニット180から分離され、それにより、物質160を第2表面192から気化チャンバ170内の吸着部材175に導入して加熱し、そこで気化させる。多孔質部材190は、カートリッジハウジング154の遠位端部158の断面に適合する大きさおよび形に形成される。
【0079】
多孔質部材190は、第1表面191と第2表面192との間を通って延び、気化チャネル172を介して気化チャンバ170とマウスピース156との間の流体連通を構築する孔193を有するように形成され、それによって、ユーザが気化物質を吸引している間、気化物質を気化チャンバ170から、特に吸着部材175からマウスピース156を介して抜け出すことを可能にする。電子たばこ100の操作中、熱は、熱伝達ユニット180から吸着部材175に伝導によって送られるように構成される。
【0080】
他の例によれば、吸着部材175および多孔質部材190は、同じ部材で一体化され得るが、それによって、吸着部材は物質排出口161と直接的に接触する。
【0081】
次に、ユーザが使用中の電子たばこ100の操作方法について、具体的に図3Bを参照して説明する。操作において、加熱素子116は、電池114によって加熱され、加熱素子116の加熱面117から熱伝達ユニット180の第1側部181へ伝導によって熱を供給する。熱伝達ユニットからの熱は、矢印200で示される。ユーザによる電子たばこ100の使用中に、ユーザは、気化チャンバ170、特に吸着部材175に、第2吸気孔121および第1吸気孔159を介して供給される、矢印210で示される空気を吸う。同時に、吸引物質160は、多孔質部材190の第2表面192を介して気化チャンバ170に供給され、この物質は矢印220で示される。吸引物質220は、空気210と混合され、気化チャンバ170において熱200で加熱される。空気210および吸引物質220の加熱は、気化チャンバ170内の吸着部材175における空気210および吸引物質220の気化をもたらす。矢印230で示される気化物質は、その後気化チャネル172を介してマウスピース156に送られ、そこからユーザに送られる。
【0082】
上記の操作中、吸着部材175は、熱伝達ユニット180を介して間接的に加熱され、加熱素子116により直接的に加熱されない。したがって、電子たばこ100の安全性、温度制御および信頼性の点から、大きな利点となる。
【0083】
電池114は、また、電子ユニット115およびその構成部品の操作に必要な電力を供給するために、プロセッサ118および検出ユニット119を含む電子ユニット115に接続される。プロセッサ118は、検出ユニット119および加熱素子116の両方に接続される。検出ユニット119は、少なくとも基部110の動き、方向および空間的な位置を識別し、この情報(以下、空間的データ)をプロセッサ118に提供するように構成され得る。空間的データに基づいて、プロセッサ118は、加熱素子116をオン/オフするか、および/または電子たばこ100の特定の操作レジメ、たとえば、スタンバイモード、蒸気量、時間で決められた喫煙計画などを設定するかどうか決定することができる。
【0084】
したがって、操作において、ユーザの予め決められたジェスチャを検出ユニット119が識別すると、この情報が検出ユニット119からプロセッサ118に提供され、このジェスチャに基づいてプロセッサ118は、電子たばこ100の適切な操作モードを決定する。かかるモードを決定すると、加熱素子116に直接接続されたプロセッサ118は、加熱素子116に、加熱素子116の必要な温度と加熱速度を決定する適切な操作信号を提供し、その一方で、かかる加熱に必要な電力は電池114によって供給される。
【0085】
その結果、電子たばこ100は、ジェスチャや位置を用いて操作されるように構成され得るが、たとえば、電子たばこ100を2度振ることが、電子たばこ100をオン/オフするようにプロセッサに指示することができ、電子たばこ100を垂直方向に保持することにより、電子たばこ100の「スタンバイ」モードを設定するようにプロセッサに指示することができる。検出ユニット119は、多様な形式のセンサ(たとえば、音、動作、方向、加速など)を含み得るが、それによって、電子たばこ100を操作するためにユーザに必要なジェスチャが、それに応じて変化し得る(たとえば、電子たばこの表面に与える衝撃、動作の速度)ことを理解すべきである。
【0086】
基部110は、吸引の検出を提供するためにプロセッサ118に接続された吸引検出器111(たとえば、圧力センサまたはマイクロフォン)をさらに備える。吸引検出器111は、第3吸気孔122を介して第2吸気孔121と流体連通して配置され、それによって、空気210が第2吸気孔210に沿って通過するときに、空気は、また、第3吸気孔122にも入る。第3吸気孔122に沿って通過する空気は、図3Bにおいて矢印240で示される。電子たばこの操作中、吸引検出器111およびプロセッサ118は、それぞれ異なる動作を実行して、空気240の圧力変化を特定するように構成される。この操作は、たとえば、各種の目的のために吸引を計数し、吸い込まれた吸引回数が、規定された吸引回数および/または吸引時間と同等のときにたばこをオフにし、およびユーザが吸い込む力を検出して、それにより、送られる吸引物質の量を自動的に適合させることを含む。吸引検出器111によって提供される情報は、吸引回数および各吸引長さに基づいて、ユーザが吸引した、対応する「実際のたばこ」の推定本数が何本であるかをプロセッサ118が決定することを可能にし、ユーザにその事実を警告することができる。たとえば、プロセッサ118は、ユーザが10本以上のたばこを吸ったという信号をユーザに提供し、警告を設定するように構成され得る。代わりに、ユーザは、前もって、たばこの制限を設定し、その後、電子たばこは、予め決められた時間消されるようにされてもよい。
【0087】
本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明の範囲を逸脱することなく、必要な変更を加えて多数の改良、変更および修正が可能であることを容易に理解するであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B