特許第6855462号(P6855462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855462
(24)【登録日】2021年3月19日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】低電力モデム及びコントローラ
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20210329BHJP
   H04M 19/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H04M11/00 303
   H04M19/00 101
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-514947(P2018-514947)
(86)(22)【出願日】2016年9月14日
(65)【公表番号】特表2018-527854(P2018-527854A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】GR2016000045
(87)【国際公開番号】WO2017046619
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】20150100401
(32)【優先日】2015年9月15日
(33)【優先権主張国】GR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518089746
【氏名又は名称】ティービーエスピー エンジニアリング テクニカル カンパニー ソシエテ アノニミ フォー トレーディング,コンストラクション,サポート オブ システムス アンド プロジェクツ オブ ハイ テクノロジー アンド セイフティー アンド サービシス プラバイダー
【氏名又は名称原語表記】TBSP ENGINEERING TECHNICAL COMPANY SOCIETE ANONYME FOR TRADING, CONSTRUCTION, SUPPORT OF SYSTEMS AND PROJECTS OF HIGH TECHNOLOGY AND SAFETY AND SERVICES PROVIDER
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】ツギログルー,キリアコス
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−166045(JP,A)
【文献】 特開平08−125767(JP,A)
【文献】 特開2003−204372(JP,A)
【文献】 特開2006−033012(JP,A)
【文献】 特開2002−170181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03J 9/00−9/06
H04M 3/00−3/06
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
19/00−19/08
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域を監視及びモニタするための自律型電子デバイスであって、
(i)特定の領域からデータを収集するための手段と、
(ii)収集された前記データを処理するための手段と、
(iii)処理された前記データを伝送し、1つ以上の遠隔サーバと情報を交換するための手段と、
(iv)前記領域でのアクセスを制御するための手段と、を備える、自律型電子デバイスであり、
前記自律型電子デバイスは、様々なローカル電子デバイス及び/又は電子デバイスを管理するようにプログラムすることができるコントローラを含み、
前記自律型電子デバイスは、接続された前記ローカル電子デバイス及び/又は電子デバイスの制御を実行可能であり、
前記自律型電子デバイスは、任意の種類の電話回線で利用可能な電力のみによって動作されることが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、前記サーバとの通信用のための同一の前記電話回線をエネルギーのために使用することが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、4mW未満のエネルギーで動作することが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、前記サーバとの代替的なシリアル通信オプションを提供することが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、代替的なエネルギー源である外部電源により動作されることが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、ツェナーダイオードと、接続された前記デバイスのエネルギー要求に対応する可変抵抗と、を有するものであり、
前記自律型電子デバイスは、スーパーキャパシタ内にエネルギーを蓄積することが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、i−Button技術を用いたユーザ認証のために使用され、ある領域におけるアクセスを制御する性能を有するものであり、
前記自律型電子デバイスは、少なくとも1000の正規ユーザを記録することができ、電力が供給されていないときも記録を保全できる不揮発性メモリを有し、
前記自律型電子デバイスは、前記サーバとの通信が中断しているときであっても前記正規ユーザにアクセスを許可することが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、ドアの機械式ロックの解錠と施錠を制御するものであり、
前記自律型電子デバイスは、前記ユーザが前記機械式ロックを手動で開錠できるように電磁石及び/又は低電力サーボ機構を統制することが可能であり、
前記自律型電子デバイスは、前記ユーザにアクションを起こさせるためのブザーを含む、
ことを特徴とする自律型電子デバイス。
【請求項2】
前記自律型電子デバイスは、シリアルポート制御を特徴づける遠隔デバイス間の通信インターフェースとして使用することができることを特徴とする、
請求項1に記載の自律型電子デバイス。
【請求項3】
前記自律型電子デバイスは、電子機械システム又は電子システムが設置された、全ての無人領域で主に使用されることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の自律型電子デバイス。
【請求項4】
前記自律型電子デバイスは、遠隔通信キャビン内に設置され、能動的又は受動的設備(KV)を含むことを特徴とする、
請求項1〜のいずれか一項に記載の自律型電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低電力コントローラと併用されるモデムデバイスであって、その場で利用可能な電力が非常に低い場合に、電気機械機器をローカル制御する機能と、そのような電気機械機器の遠隔管理と、を提供し、単一のPSTN電話回線によって電力供給され、かつ通信するように特に設計されている、モデムデバイスに関する。
【0002】
デバイスは、以下の機能を提供する。
デバイスは、(a)小型汎用コントローラとして使用され、(b)それらへの正規又は不正アクセスについて、遠隔設備キャビネットを監視し、(c)i−Buttonキー識別を使用した包括的アクセス制御機能を提供し、(d)シリアル通信プロトコルによって遠隔デバイスと一体化したモデムにより通信する性能を有する。
【0003】
これまでに設計され、生産された全てのモデム及びコントローラは、一対の簡素な銅線であるPSTN電話通信回線を介して伝達することができる利用可能電力を、はるかに超える電力要求を有する。それゆえ、モデム及びコントローラは、外部電源に依存しなければならず、外部電源が容易に利用できないときには、頻繁な交換が必要になるという欠点を有する乾電池に頼らなければならないか、又は、PSTN回線電力によって充電され、定期的なメンテナンス及び交換が必要になるという難点を有する電池に依存しなければならない。
【0004】
本デバイスは、広い適用範囲を有する。主に、デバイスは、電気機械システム又は電子システムが設置された任意の無人地域で使用することができ、その無人地域は、通信事業者、天然ガス及び/又は液体燃料のパイプライン、風力発電機、鉄道駅、軍隊のレーダー施設、給水ネットワーク、配電システム、太陽光発電パーク、携帯電話通信基地局、遠距離通信ネットワーク終端キャビン(KV)、地下ネットワーク並びにアクセスコファダム(access cofferdam)を意図して指すが、これらに限定されない。
【0005】
上記の場合では、デバイスは、低コストで、小さい設備要求性、信頼性及び高い省エネルギー性を備える優れた解決策を提供する。デバイスは、メンテナンスの必要性を最小限に抑え、したがって、ネットワーク内での、一般的には全国的なスパンの、到達が困難な場所での、エネルギー伝達コストを最小限に抑える。
【0006】
デバイスは、工業規模での生産(大量生産)に狙いを定めて設計されているが、同時に、その生産のために選ばれた材料は、高い信頼性を提供し、その結果、デバイスは、アクセスの難しい無人の場所/僻地で使用することができ、スタッフが予防的又は調整的メンテナンスのため訪問する必要がない。
【0007】
デバイスは、
・電源ユニットであって、デバイスを動作させるために使用できるような方法で、PSTN電話回線により利用可能な現存する低電力を利用する、電源ユニットと、
・電話通信/通話(ダイヤルアップ)のためのPSTN回線を利用した、又は専用電話回線による電話センタ(PBX)との接続を介した、通信用モデムと、
・他の周囲デバイスに接続できるようにするための、十分な数のデジタル及びアナログ入力用センサと、
・ローカルユーザを識別するためのi−Button読み取り機と、
・ローカルユーザに警告するブザーと、
・ローカルユーザ信号をユニットに送るボタンと、
・全てのモジュールを管理するためのプログラム可能なコントローラと、からなる。
【0008】
本デバイスの利点には、
・低いエネルギー消費のため、本デバイスは、PSTN電話回線から利用可能な電力だけで動作できることと、
・使用されていないとき、本デバイスは、低電力状態/「スリープモード」となるため、消費されるエネルギーが更に少なくなることと、
・環境監視のためのデジタル及びアナログローカル周辺機器との接続と、
・i−Button識別によるローカルユーザとの対話、押しボタンによる起動及びブザーによる警告音と、・PSTN又はモデムとセンタ局とを接続する専用回線を介した電話ダイヤルアップ通話と、
・遠隔コントローラのソフトウェアの更新と、が挙げられる。
【0009】
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1及び図2は、デバイス及び環境との接続についてのブロック図を示す。基本的な機能要素は、
1)電源ユニット
2)通信ユニット
3)センサユニット及びインターフェース入力/出力(I/Oインターフェース)
4)ユーザインターフェースユニット(「ヒューマン」インターフェース)
5)中央(コア)コントローラユニットである。
【0011】
1.電源ユニット
デバイスは、最小限のエネルギーで動作するように設計されている。デバイスは、2つの代替的な電力供給として、
A)モジュールによって消費される総電流は2mA未満である、音声的に低値の状態(「オンフック」)であっても電話回線から得られる電力供給と、
B)デバイスがモデムの動作と併用されない場合に、30mAに対して4.5〜10VDCの代替的な電力供給と、を提供する。
デバイスは、動作のためにバッテリバックアップを必要としない。
【0012】
2.通信ユニット
デバイスは、2つの代替的な通信インターフェースとして、
A)モデムに電力を供給する同一電話回線を介するモデムとの接続と、
B)RS232又はTTLレベルを使用するシリアル通信と、を提供する。
【0013】
これらの2つのインターフェースは、独立しており、同時に使用することができる。通信インターフェースは、カスタマイズ性に優れ、以下の組み合わせで使用することができる。
i.電話回線のみを使用する上り通信。
ii.シリアルインターフェースのみを使用する上り通信(例えば、外部Ethernetシリアル変換機を使用したもの、外部GPRSモデムを使用したもの、又はシリアル入力/出力を有する他の任意の外部通信デバイスを使用したもの)
iii.代替的な通信経路及び冗長性を提供する、モデム及び上り接続用シリアルインターフェースの使用。
iv.モデムによる遠隔デバイスとの通信チャネルを提供する、電話回線を使用した上り通信及びシリアルデバイスとの下り通信としてのシリアルインターフェース。
【0014】
通信ユニット(モデム)のハードウェア構成要素は、特別に選択されており、エネルギー消費を最小限化するために特別な設計方式が実装されている。これらの項目は、通信処理中にのみ供給され、着信を自動的に認識することができ、このようにして起動される。
【0015】
通信ユニット(モデム)は、以下の機能に対応する。
i.V.22bisー2400bps
ii.V.22/Bell212ー1200bps
iii.V.21/Bell103ー300bps
iv.V.23ー1200/75bps(PAVIターンアラウンドあり)
v.Bell202ー1200bps
vi.Bell202/V23 1200bps
vii.FDX 4線式動作
viii.V.22/Bell 212A/V.22bis 同期モード
ix.国際通話プログレスのサポート、FCCパート68、CTR21、JATEなどx.DTMF生成及び検知
xi.世界的な発信者ID性能、米国タイプI及びタイプIIのサポートxii.EIA 777Aの遵守
xiii.SIA−2000の遵守
xiv.SMSメッセージのサポート
xv.オンチップハイブリッドドライバ
xvi.ブラックリスト化性能
xvii.電圧又は低エネルギーコスト追跡方式による、使用中の回線及び平行する受信(911)の検知
xviii.CIDルートによる着信の検知
xix.自己診断性能
【0016】
3.センサ及びI/Oユニット
3.1 デバイスは、設定に従い、以下の機能で代替的に使用することができる6つの汎用入力及び出力を提供する。
i.以下を有するデジタル入力
A)2レベル入力(0V及び>2V)
B)ドライ接点又はオープンコレクタ入力。
ii.終端抵抗を使用してデジタル入力が監視されるため、回線は、侵害の企て(改ざん)について監視することができる。ユニットは、これらの入力の侵害の企てを認識する知的アルゴリズムを含む。
iii.
10mAまでの駆動電流/動作(プルダウン)を有するデジタル出力。
iv.0〜1.25入力レンジのアナログ入力。
v.アナログ出力として使用するためのPWM出力。
vi.退出コマンド
【0017】
デバイスは、1A駆動までのオープンコレクタトランジスタ出力を提供する。この出力もまた、スーパーキャパシタに蓄積されたエネルギーにより、電話回線から駆動することができる。アクセス制御機能の場合、この出力は、電磁ソレノイド(電磁石)又はドアを施錠及び開錠(ドア制御出力)するサーボ機構を制御するために使用される。
【0018】
vii.退出iーButton
デバイスは、シリアルインターフェースケーブル(1線シリアルインターフェース)を備えた特別な出力を含み、そのシリアルインターフェースケーブルは、
A)アクセス制御動作のための読み取り機の入力、
B)センサケーブルとの接続のためのインターフェース、
として使用することができる。
【0019】
3.2 メインボード上のセンサ
i.デバイスは、PCB上に温度センサを含み、
ii.かつ、オンフック状態とオフフック状態両方の回線の電圧を監視する。
【0020】
4.インターフェース
デバイスは、入力ボタン及びブザーを提供する。ブザーの音に応じて、ユニットは、システムの状態を示すか、又はユーザにアクションを起こさせる(例えば、特別な音がユーザに、ドアをロックする必要があることを示す又は入室が成功したことを示すなど)。インターフェースボタンは、多目的の入力である(例えば、遠隔キャビンを監視している場合には、技術者のその場での存在を示すために使用することができる)。
【0021】
5.コントローラ
デバイスのコアは、その周辺機器及びソフトウェア(ファームウェア)を備えたコントローラであり、コントローラは、ユニットの動作を支援する。
【0022】
ハードウェア構成要素は、最小限のエネルギー消費のために選ばれ、ほとんどの時間にわたり「スリープ」状態(省エネルギーモード)で動作している。これらの項目は、サンプリング中のみ有効化され、定期監視が完了した後すぐ、それらは「スリープ」状態(スリープモード)に戻る。
【0023】
デバイスは、遠隔地で動作するように設計され、リスクにさらされるため、コントローラが「ハング」又は「フリーズ」する恐れがある状況を避けるために、特別な設計が使用されている。ユニットが適正に機能していることを監視し、異常動作の場合にユニットを修復するために、内部動作監督者及び独立した外部動作監督者(監視人)が存在する。
【0024】
コントローラは、少なくとも1000のイベント及び少なくとも1000のログイン認証情報を記憶するため、追加的な1Mbitのプログラムメモリ(フラッシュタイプ)を含む。このメモリは、スタティック(不揮発性)であり、記憶された情報の保全性を、電力が供給されないときに確保する。
【0025】
リアルタイムクロック
RTもまた、正確な一連のイベントを維持するためにコントローラに統合されている。
【0026】
コントローラソフトフェア(ファームウェア)
オペレーティングシステムベースは、デバイスにおいて更なる安全性及び柔軟性を提供するいくつかの非常に強力な機能に対応する。
・エネルギーの全ては、オペレーティングシステム及び利用可能なエネルギー源に基づきコントローラによって管理される。
・全ての通信は、(128Bit暗号キーを用いて)暗号化される。
・サーバ(サーバ)と交わされた全ての通信パケットは、正当性のため巡回冗長検査(CRC)によって制御され、それらの受信は受信者側で確認される。
・長時間の遅延があるときに通信を速めるため(例えば、GPRS又はGSMモデム)、全てのパケットを連続して伝送することができる。受信の検証及び確認は、パケット識別子を使用して、非同期的に実行される。
・デバイスは、特別のアップグレード方式を使用して遠隔的にアップグレードすることができ、これにより非常に貧弱な通信状態の環境であっても、アップグレードの成功が保証される。両方の通信インターフェースは、アップグレードのために使用することができる。
・ブートローダは、基本的機能を含み、これにより、デバイスがブートローダモードにあるときでも動作することができる。
・RTCは、全通信において、サーバと同期される。
・全入力及び出力(I/O)の記録及び読み取りは、通常の間隔で実行される。サンプリング間隔は、デフォルトで1秒であるが、調節することができる。全ての入力は、侵害の企て(改ざん)について監視される。
・全ての通信の管理は、割り込みによって行われ、これによりシステムを「スリープ」状態からアクティブにすることができる。
・デバイスは、サーバに、実行された全イベントを送信することができる。
・そのような手法で構成された場合、サーバに接続し、イベントを報告するために、任意のイベントは、リコール手順(コールバック)を生じてもよい。
・サーバと通信できないとき、少なくとも1000のイベントをコントローラに記憶することができる。接続が確立されると、全てのイベントがサーバに送信される。
・イベントに加えて、デバイスは、更にシステム全体の状態を送信することができる。状態は、全入力/出力の状態、センサの測定、定義された全アラーム及びイベント並びにコントローラからのキー情報(例えば、アラームの未決など)の状態を含む。
【0027】
A.機能説明
デバイス設定に基づいて、異なる機能及び組み合わせを使用することができ、以下に示唆的に述べる。
【0028】
1)ドア監視コントローラとして。
このモードでは、デバイスは、少なくとも3つのドアの状態をチェックするために使用される。目的は、錠の状態(「施錠」又は「開錠」)及びドア(「開」及び「閉」)の両方を監視するため、有効な入室であったか又はドアの侵害があったかを判断することができる。より具体的には、
【0029】
監視ポート状態(ドア監視):
・各ドアに対して2つのセンサを使用し、1つは、ドアの状態を監視するためのものであり、1つは、錠の状態を監視するためのものである。
・状態を示すため又はその場にいる人にアクションを起こさせるためのブザーを含む。
・その場に誰かがいることを示すユーザボタンを含む。
・状態の変化を示すために、イベントを監視システムに送信する。
・前のアクションに基づいてドアの現在の状態を保存する。
【0030】
作成されるイベント及びドアコントローラの状態
有効な入室
・錠が開錠され、次の20秒(注意。使用される全ての時間は、おおよそのものであり、システムによって構成することができる)の間にドアが開けられた場合には、イベント「有効な入室」が実行され、状態は、「人の立ち入り=ON」)になる。ブザーは、技術者にドアを20秒以内に開けるように指示する。
・ドアが閉まり(閉)、次の20秒の間に錠が施錠された場合には、イベント「有効な退出」が実行され、状態は、「人の立ち入り=OFF」になる。ブザーは、技術者にドアを20秒以内に開けるように指示する。
・ドアが、開錠の20秒以内に開けられない場合には、イベント「有効、入室なし」が実行されるが、状況は、同じままである。
・開錠時から20秒より後であるが、1時間までにドアが開けられた場合には、イベント「遅れた有効な入室」が実行され、状態は、「人の立ち入り=ON」になる。
【0031】
ドアの侵害
・ドアが開き、かつ施錠されたままである場合には、イベント「ドア強制」が実行され、状態は、「ドア強制=ON」になる。
・ドアが開き、かつドアの開錠から1時間が経過した場合には、イベント「ドア強制」が実行される。この場合の解釈としては、ドアがわざと開錠されたままにされたことが挙げられる。ブザーは、50秒後に音を発生させ、その場にいる人に、スタッフ存在ボタンを押すように指示し、ドア強制アラームの発生を防止する。存在ボタンを押すごとに、タイマが再スタートする。
・錠の任意の状態変化は、正規の者がその場にいることを示し、「ドアクリア」イベントが実行され、状態は、「ドア強制=OFF」になる。
【0032】
ドアの開放
・ドアが1時間以上開いたままである場合には、イベント「ドア開放」が実行され、状態は、「ドア開放=ON」になる。
・施錠されているが、ドアがまだ開いている場合には、イベント「ドア開放」が実行され、状態は、「ドア開放=ON」になる。
・ドアが閉まった場合又は錠位置に任意の変化があった場合には、状態は、「ドア開放=OFF」になる。
【0033】
開錠したままで忘れられた錠
・ドアが閉まった後20秒以内に施錠されなかった場合には、イベント「開錠放置」が実行され、状態は、「開錠放置=ON」になる。
・ドアが1時間を超えて開錠されたままである場合には、イベント「開錠放置」が実行され、状態は、「開錠放置=ON」になる。
・ドアが開いた場合又は錠位置に任意の変化があった場合、イベント「開錠放置クリア」が実行され、状態は、「開錠放置=OFF」になる。
【0034】
センサ侵害
入力のうちの任意のものが侵害された場合、上記の全てのメッセージは有効のまま、センサの侵害(改ざん)を示す追加的メッセージが実行される。
【0035】
2)アクセスコントローラとして
i−Button読み取り機と組み合わされたデバイスは、全ての機能を有するアクセス制御システムとして動作することができる。
【0036】
a.i)i−Button読み取り機
デバイスによって使用されるアクセスコントローラ(アクセスカード)の識別は、標準的なi−Buttonキーである。読み取り機は、2つのモードで動作することができる。
・デバイスは、(例えば、DS1990A又はRW1990を使用して)64bitIDに従い、ユーザを認証することができる。
・デバイスは、(例えば、DS1961S、IDを有するi−Button、1KEPROM及びSHA1暗号を使用する)内部EEPROMからの追加的な128bitと組み合わさった64bitIDに従い、ユーザを認証することができる。
【0037】
a.ii)アクセス認証
認証処理は、以下のようになされる。
・ID(及び追加的bit)がi−Buttonキーから読み取られる。
・IDをローカルデータベースで検索する(追加的bitの場合、次いで検証される)。
・IDがローカルデータベース内に見つかった場合、
【0038】
・IDが「アクティブ」であり、時刻がアクセス許可において設定された時間枠内である場合には、アクセスが認められ、ユーザは、ドアを開錠することができる。サーバに有効な入室を知らせるため、ダイヤル処理が実行される。
【0039】
・IDが「オフ」である又は時間枠が無効である場合、サーバに当該IDを知らせるため、通話処理が実行され、認証は許可されない。サーバに接続されている間、認証がなされた場合には、アクセス権を提供するデバイスを通知することができる。
【0040】
・IDがローカルデータベース内に見つからなかった場合、
【0041】
・サーバに当該IDを知らせるため、ダイヤル処理が実行され、認証は不可能となる。サーバに「オンライン」で接続されている間、本人確認がなされた場合には、アクセス権を提供するデバイスを通知することができる。
【0042】
a.iii)ポートコントローラ出力
認証処理が成功した場合、コマンドがアクセスコントローラ出力のものに与えられて、ドアが開錠される。
【0043】
単一コマンドモード
このモードは、制御機構が、「ラッチングなし」機能のない電磁石であるときに使用される。ドアの施錠及び開錠の両方について、アクセスは、i−Buttonキーを使用することによって認証されなければならない。プログラム可能な時間枠(例えば、5秒)で、ユーザはドアを施錠又は開錠することが許される。ブザーの特別な音が、ユーザに、要求されたアクションを知らせる。このモードでは、デバイスは、「通常安全」モードで動作する。例えば、電力がないとき、錠は安全確保され、施錠も開錠もすることができない。
【0044】
二重コマンドモード
このモードは、電磁石によって又はサーボ機構によって使用される「ラッチングなし」機能のときに使用される。この場合、錠は、開錠されたままにすることができ、その状態を変化させるために別個の認証コマンドが発行される必要がある。ブザーの特別な音が、ユーザに、要求されたアクションを知らせる。
【0045】
a.iv)電磁石又はサーボ機構制御
この機器は、低電力電磁石を駆動するのに十分な電力を提供することができるように設計されており、これにより、既存の機械式ロックを制御することができる。アクセスIが許可されたとき、電磁石及び/又はサーボ機構は、ユーザが手動で開錠できるようにする。したがって、正規のユーザは、この方法でドアを開錠するためのエネルギーを提供する者であり、外部電力又はバッテリは必要とされない。電力は、単一電話回線から供給することができる。
【0046】
a.v)アクセス制御情報の更新
特定のアクセスポイントと関連付けられたアクセスコントローラのデータベースは、デバイスのローカルメモリに記憶される。これにより、直接アクセスする機能が提供され、デバイスがオフラインモードのとき、アクセスを提供する性能が提供される。
【0047】
コントローラは、それらの時間枠と共に少なくとも1000のアクセスキーについての情報を記憶することができる。
データベースは、
・一度に1つのキー
・又はグループキー(パッケージ)のいずれかによって更新されてもよいか、
・又はデータベース全体が、削除されかつ完全に更新されてもよい。
巡回冗長検査(CRC)は、各変更の後に生成され、サーバによって検証することができる。
【0048】
3)遠隔管理コントローラとして
完全に設定可能なソフトウェア(ファームウェア)は、遠隔地にあるデバイスを監視かつ制御するため、及びサーバとの通信インターフェースを提供するために使用することができる。この動作モードでは、全ての利用可能なインターフェース(例えば、デジタル入力及び出力、センサ並びにシリアルインターフェース)は、外部デバイスを接続かつ制御するために使用することができる。
【0049】
・任意のコントローラのア起動、又はサーバに伝送するアラーム出力のため、時間枠と入力(デジタル及びアナログ)を組み合わせるための任意の動作論理が使用される。
・シリアルプロトコル(例えば、Modbus又は適切なプロトコル)は、外部デバイスからの測定及びパラメータを読み取るために、並びに特定の状況下でコマンドを発行し、同一のプロトコルを使用するこれら同一デバイスに送信するために使用することができる。
・試験中のデバイスに接続される任意の外部デバイスへ、コマンドを遠隔的に伝送することが可能である。
【0050】
デバイスを使用した制御アプリケーションの例は、
・フリークーリング機能(フリークーリング)を備えた温度制御
・発電機の管理
・人工照明の制御などである。
【0051】
4)インターフェースモデムとして
図3に示すように、デバイスは、遠隔デバイス間の通信インターフェースとして使用することができ、これにより、ダイヤルアップモデムを備える単一電話回線を使用したシリアルインターフェースが提供される。この場合、いくつかの構成が可能である。
・装置は、サーバの着信又は遠隔シリアルデバイスと通信するアプリケーションの着信に応答するように構成されてもよい。モデム接続がインプレースのとき、通信は、サーバ/アプリケーションからシリアルデバイスに直接行われる。
・デバイスは、サーバへの反復接続を実行してもよい(例えば、1時間ごと)。
・デバイスは、(a)デジタル入力を介して、(b)ATコマンド手段で、シリアルデバイスによってトリガされたとき、接続を実行してもよい。・上記の場合の組み合わせ。
【0052】
交わされたデータは、生データであってもよいか、又はデバイスプロトコルに包含されてもよく、これは暗号化され、巡回冗長検査(CRC)によって検証することができる。
【0053】
B.設計の革新
このデバイスに特有かつ優れた特徴に適合させるため、ハードウェア及びソフトウェア両方について革新的な設計アーキテクチャが使用された。設計の革新的ないくつかの特徴として、
・デバイスの電力システムでは、デバイスが電話回線によって電力供給されるとき、図4に示すように、電圧レギュレータの使用が避けられており、それらは、同一機能のために余分なエネルギーを消費する可能性がある。その代わりに、特別に選ばれたツェナーダイオード及びインプレースデバイスの必要に応じて変化する直列抵抗が使用される。
【0054】
この方法では、
・待機モードで、電話回線は、「ハンドセットフック」状態(オンフック)にあり、デバイスは、高抵抗値によって電力供給を受ける。この場合の消費電流は、2mA未満である。低電力に起因して、ダイオードは、通常値よりも小さい電圧を維持し、デバイスの電子装置において消費される総電力は、4mWである。
【0055】
非常に低い電力要求性のために、全てのコールセンタは、この回線の状態を「ハンドセットフック」として「判断する」。 電流が3mAを超えた場合、多くのコールセンタは、この回線を欠陥ありとみなすことがあり、デバイスへの通話は不可能になる。
【0056】
完全動作モード及び/又は通信モードでは、高抵抗値と並列の、光絶縁型トランジスタを介して、回線の調節抵抗は、押し込まれており(〜500オーム)、電話回線は、「ハンドセットが上げられた」状態になる。この方法では、デバイスの電子部品は、20mAまで吸収可能である。同時に、設定電圧が、モデムの動作も可能になる値に上昇する。
【0057】
デバイスが電話回線を用いない用途で使用される場合、4.5V〜10Vで動作する代替的な電圧レギュレータが提供される。
【0058】
モデムを介した通信が使用されないときにもまた、デバイスに直接60Vまで電力供給することが可能である。電源接続の極性は、電話回線を介したものか又は60V外部供給源を介したものか、いずれでも違いがない。
【0059】
サージにさらされる電話回線の入力は、高電力の過渡電圧サプレッサ(TVS)で保護される。
・ピークパルス電力:1500W
・連続電力出力:6.5W
・ピーク順方向サージ電流:200A
【0060】
・電力を消費するデバイスユニットは、最低可能電力要求を有するように選択されており、その供給は、マイクロコントローラによって制御されて、それらは必要なときのみ動作に入る。
【0061】
より具体的には、
・モデムは、通信時にのみ電力供給される。この理由から、コントローラからの着信の監視は、インタラプトを使用する。・監督された入力時の電圧は、測定時にのみ存在し、それは10m秒未満を要する。
・コントローラは、機能を実行していないときは無効化される。毎秒ごとに、10m秒未満であるそのサイクルを実行するようにトリガされる。
【0062】
・コントローラは、その消費を減らすため、低い動作周波数1MHzを使用する。「ハンドセットが上げられた」状態で利用可能なエネルギーがあり、
【0063】
高速処理の必要がある(例えば、アクセス権を許可するためにデータベース全体を検索する)又は高速通信(例えば、i−Button通信)の必要があるときには、周波数は、8MHzまで上昇する。
【0064】
・デバイスの入力は、エネルギーを節約するために、最小限の追加的電子装置により様々な用途を有するように設計される。提供される機能は、
・単純なデジタル入力、
・電圧及び電流検証で監視された入力、
・アナログ入力。
【0065】
・短時間(〜1分)でPSTN電話回線によって与えられるよりも更に大きい電圧を提供することができる、スーパーキャパシタのエネルギー蓄積システム。
この方法では、電磁石錠制御を駆動することができる。充電制御アルゴリズムは、電話回線(ハンドセットモード)の状態を制御することによって、エネルギー吸収を最適化する。
【0066】
図5は、スーパーキャパシタの充電制御回路のブロック図を示す。光絶縁型トランジスタは、キャパシタ充電の時間を制御する。この時間は制御されており、キャパシタの充電は、電話センタ(PBX)が通話状態を終了する前に停止する。この処理は、キャパシタが満電圧に充電されるまで繰り返される。充電は、デバイスが通信していない「空き時間」に実行される。全ての充電パラメータは、ソフトウェアによって調節可能であり、デバイスが異なる電話ネットワークへ適用することを可能にする。
【0067】
サーボ機構が「開錠」のために使用される場合、デバイスの入力ー出力点のうちの1つは、出力として設定され、パルス列制御位置を提供し、同時に、スーパーキャパシタによってエネルギーが得られる。

図1
図2
図3
図4
図5