特許第6855466号(P6855466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6855466LSD1阻害剤に関連するバイオマーカーおよびそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855466
(24)【登録日】2021年3月19日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】LSD1阻害剤に関連するバイオマーカーおよびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6851 20180101AFI20210329BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALN20210329BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 31/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 31/10 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 33/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 31/16 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20210329BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALN20210329BHJP
   G01N 33/15 20060101ALN20210329BHJP
   G01N 33/50 20060101ALN20210329BHJP
   G01N 33/68 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   C12Q1/6851 ZZNA
   !C12Q1/6883 Z
   !A61K45/00
   !A61P25/00
   !A61P37/02
   !A61P31/00
   !A61P31/04
   !A61P31/10
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   !A61K31/4245
   !G01N33/15 Z
   !G01N33/50 Z
   !G01N33/68
【請求項の数】4
【全頁数】174
(21)【出願番号】特願2018-516634(P2018-516634)
(86)(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公表番号】特表2018-522581(P2018-522581A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】EP2016063368
(87)【国際公開番号】WO2016198649
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2019年6月7日
(31)【優先権主張番号】15382310.9
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】15382369.5
(32)【優先日】2015年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517434666
【氏名又は名称】オリゾン ジェノミックス ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マエス,タマラ
(72)【発明者】
【氏名】マスカロ クルサト,クリスティナ
(72)【発明者】
【氏名】ロトリャント ポゾ,ダビド
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−507821(JP,A)
【文献】 特表2013−535460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/6851
A61K 31/4245
A61K 45/00
A61P 9/00
A61P 25/00
A61P 25/28
A61P 31/00
A61P 31/04
A61P 31/10
A61P 31/16
A61P 33/00
A61P 35/00
A61P 37/02
C12Q 1/6883
G01N 33/15
G01N 33/50
G01N 33/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、前記対象から得た試料中の、S100A9であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中の前記バイオマーカーのレベルと比較して前記試料中の前記バイオマーカーのレベルの減少が、前記LSD1阻害剤での前記処置に対する応答を示し、前記対象がCNS疾患を有する、方法。
【請求項2】
前記対象が、アルツハイマー病を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロルアミノ化合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSD1阻害剤に関連するバイオマーカーおよびそれらの使用に関する。特に、本発明は、標的エンゲージメントを評定するための、および処置に対する患者の応答を追跡するための、バイオマーカーの使用に関する。本発明は、バイオマーカーに基づくLSD1阻害剤の新規治療目的使用にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
正常組織と比較して罹患組織における異常な遺伝子発現は、多くのヒト疾患に共通の特徴である。これは、がんにも、そして遺伝子発現パターンの変化を特徴とする多くの神経疾患にも、当てはまる。遺伝子発現パターンは、細胞において複数のレベルで制御される。遺伝子発現の制御は、DNAの修飾によって行われることもある:DNAプロモーターメチル化は、遺伝子発現の抑制に関連する。別の種類の修飾には、DNAが巻き付いている分子複合体を形成することによりDNA鎖をヌクレオソームに構成する、真核細胞の核内に存在するタンパク質であるヒストンが関係する。ヒストンは、複製、修復および転写のためのクロマチン構造およびDNAへのアクセスのしやすさのモジュレーションに重要な役割を果す。ヒストンの共有結合修飾は、遺伝子転写の調節に密接に関連している。クロマチン修飾は、エピジェネティックコードを表すことが示唆されており、このコードは、特殊なタンパク質により動的に「書き込まれ」、「消去され」、そのコードを遺伝子発現変化に翻訳するタンパク質により「読み出される」または解釈される。ヒストンアセチル化、ヒストンリシンメチル化、ヒストンアルギニンメチル化、ヒストンユビキチン化およびヒストンSUMO化をはじめとする、多数のヒストン修飾が発見されてきた。
【0003】
ヒストンリシンメチルトランスフェラーゼおよびヒストンリシンデメチラーゼとして公知の酵素群は、ヒストンリシン修飾に関与する。リシン特異的デメチラーゼ−1(LSD1)と呼ばれるある特定のヒトヒストンリシンデメチラーゼ酵素(Shi et al.(2004) Cell 119:941)は、この極めて重要なヒストン修飾に関与すると報告されている。LSD1は、ポリアミンオキシダーゼおよびモノアミンオキシダーゼと相当な構造類似度、アミノ酸同一度/相同度を有し、これらはすべて(すなわち、MAO−A、MAO−BおよびLSD1)、窒素−水素結合および/または窒素炭素結合の酸化を触媒するフラビン依存性アミンオキシダーゼである。
【0004】
LSD1は、がん、神経疾患および他の状態を処置するための新薬の開発の興味深い標的として認知されており、多数のLSD1阻害剤が、目下、ヒトの治療における使用のために前臨床または臨床開発中である。
【0005】
薬物が活性であることを示す薬力学的(PD)バイオマーカーの発見は、治験中の使用または臨床診療における使用に非常に役立ちうる。PDバイオマーカーを使用して、標的エンゲージメントをモニタリングすることができる、すなわち、薬物が、このような薬物を受けている対象においてこの薬物が作用するように設計されている標的を阻害しているかどうかを確かめることができる。それらを使用して、薬物を受けている患者の応答をモニタリングすることもできる。バイオマーカーが、患者が薬物処置に対して適切に応答していないことを示す場合には、投与する投薬量を増加させることができ、低減することができ、または処置を中止することができる。バイオマーカーを使用して、薬物処置を受けることにより恩恵を受けることになる、または最も恩恵を受けることになる特定の患者群を同定することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LSD1阻害剤との併用に現在利用可能な十分に確証されているPDマーカーは存在しない。それ故、LSD1阻害剤に関連するバイオマーカーを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、LSD1阻害剤に関連するバイオマーカーの同定およびそれらの使用に関する。本発明は、下でより詳細に説明するような一連の遺伝子が、LSD1阻害剤(これ以降「LSD1i」)の活性のPDマーカーとして作用し、それ故、ヒト対象のLSD1阻害に対する応答性をモニタリングするのに有用であるという発見に、一部、基づく。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例3で説明するように化合物1(Comp1)で2カ月(図1A)および4カ月(図1B)間処置したときの雌SAMP8マウスにおける2時間保持試験後の識別指数(DI)の回復を示す図である。
図2】実施例3で説明するように化合物1(Comp1)で2カ月(図2A)および4カ月(図2B)間処置したときの雄SAMP8マウスにおける2時間保持試験後の識別指数(DI)の回復を示す図である。
図3】実施例3で説明するように化合物1(Comp1)で2カ月(図3A)および4カ月(図3B)間処置したときの雄SAMP8マウスにおける24時間保持試験後の識別指数(DI)の回復を示す図である。
図4】実施例3で説明するようにビヒクルまたは化合物(Comp1)で4カ月間処置したSAMP8マウスの血小板血球数に変化がないことを示す図である。
図5】実施例5で説明するように化合物1(Comp1)で処置したときの雌(図5A)および雄(図5B)SAMP8マウスにおけるS100A9発現の低減(ΔCp)を示す図である。
図6】実施例8で説明するように決定したアルツハイマー病ドナーからのヒト脳脊髄液試料中のS100A9 mRNAレベル(ΔCp S100A9−GADPH)を示す図である。
図7】実施例9で説明するようにマウス実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルにおいて化合物1を用いて得た結果を示す図である。データは、平均臨床スコア(±SEM)として測定した各群についての疾患進行を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一態様では、本開示は、LSD1iのPDマーカーとして作用することができる遺伝子の分析、およびLSD1阻害をモニタリングするためにそのようなPDマーカーとして使用することができる2つの密接に関連している遺伝子、S100A9とS100A8、の同定に関する。下の実施例においてより詳細に開示するように、S100A9およびS100A8は、in vivoで脳をはじめとする様々な組織においてLSD1iでの処置により下方調節されることが判明した。重要なこととして、これらの遺伝子は、性別に関係なくLSD1阻害剤によってモジュレートされる、すなわち、雄でも雌でも同じ方向にモジュレートされる。さらに、LSD1iによるS100A9およびS100A8の下方調節が、マイクロアレイおよび定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCT)を含む、いくつかの技術によって確認された。
【0010】
したがって、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1が対象において阻害されていることを示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0011】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害度をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少度が、対象におけるLSD1阻害度を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1阻害剤での処置に対する応答を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0013】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害をモニタリングする方法であって、(i)LSD1阻害剤を対象に投与するステップ、(ii)対象から試料を得るステップ、(iii)対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(iv)試料中のバイオマーカーのレベルを対照中のバイオマーカーのレベルと比較するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1が対象において阻害されていることを示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0014】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害度をモニタリングする方法であって、(i)LSD1阻害剤を対象に投与するステップ、(ii)対象から試料を得るステップ、(iii)対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(iv)試料中のバイオマーカーのレベルを対照中のバイオマーカーのレベルと比較するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少度が、対象におけるLSD1阻害度を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0015】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、(i)LSD1阻害剤を対象に投与するステップ、(ii)対象から試料を得るステップ、(iii)対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(iv)試料中のバイオマーカーのレベルを対照中のバイオマーカーのレベルと比較するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1阻害剤での処置に対する応答を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0016】
S100A8およびS100A9は、下でより詳細に開示するように、数ある中でも炎症過程および免疫応答の調節に大きな役割を果す、哺乳動物カルシウム結合および亜鉛結合タンパク質である。
【0017】
S100A8は、S100カルシウム結合タンパク質A8としても公知であり、GeneCardsによれば以下の別名を有する:
【0018】
【表1】
【0019】
S100A9は、S100カルシウム結合タンパク質A9としても公知であり、GeneCardsによれば以下の別名を有する:
【0020】
【表2】
【0021】
ヒトおよびマウスS100A8ならびにヒトおよびマウスS100A9のDNAおよびタンパク質配列は、以前に報告されている。下に列挙するGenBank番号(NCBI−GenBank Flat File Release 207.0、2015年4月15日)およびUniProtKB/Swiss−Prot番号(Knowledgebase Release 2015_06)を参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。そのような配列を使用して、当業者に公知の方法によりS100A8および/またはS100A9レベルの検出および分析のための手順を設計することができる。
【0022】
【表3】
【0023】
ヒトおよびマウスS100A9およびS100A8の例示的なアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、それぞれ、本願において配列番号1〜8で示される。
【0024】
S100A8およびS100A9は、ヒトでは、カルプロテクチンとしても公知のS100A8/S100A9ヘテロ二量体(すなわち、タンパク質単量体S100A8およびS100A9により形成される二量体)として優先的に見出される。カルプロテクチンS100A8/S100A9ヘテロ二量体は、互いに非共有結合的に対合してヘテロ四量体を形成することができる。
【0025】
本明細書で使用される用語「S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカー」は、限定ではないがすべての単量体形態およびそれらのすべてのヘテロ二量体またはヘテロ四量体形態、例えばカルプロテクチンを含む、それらを見出すことができるあらゆる形態のあらゆるS100A9および/またはS100A8を包含する。好ましくは、本発明のバイオマーカーは、S100A9およびS100A8のヒト形態に関する。
【0026】
本明細書で使用される用語「S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定すること」は、mRNAおよびタンパク質レベルを含む、遺伝子発現産物レベルを測定するための当技術分野において公知の任意の方法を使用して任意のS100A9および/またはS100A8(これらの各々を見出すことができる任意の形態のもの)のレベルを決定することを包含する。
【0027】
本明細書に記載のモニタリング方法では、mRNAとしてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0028】
本明細書に記載のモニタリング方法では、タンパク質としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0029】
本明細書に記載のモニタリング方法では、バイオマーカーは、好ましくはS100A9である。本明細書に記載のモニタリング方法では、mRNAとしてS100A9のレベルを決定することができる。本明細書に記載のモニタリング方法では、タンパク質としてS100A9のレベルを決定することができる。本明細書に記載のモニタリング方法では、S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。本明細書に記載のモニタリング方法では、S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0030】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A9のレベルと比較して試料中のS100A9のレベルの減少が、LSD1が対象において阻害されていることを示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0031】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害度をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A9のレベルと比較して試料中のS100A9のレベルの減少度が、対象におけるLSD1阻害度を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0032】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A9のレベルと比較して試料中のS100A9のレベルの減少が、LSD1阻害剤での処置に対する応答を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0033】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A8のレベルと比較して試料中のS100A8のレベルの減少が、LSD1が対象において阻害されていることを示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0034】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害度をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A8のレベルと比較して試料中のS100A8のレベルの減少度が、対象におけるLSD1阻害度を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0035】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A8のレベルと比較して試料中のS100A8のレベルの減少が、LSD1阻害剤での処置に対する応答を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0036】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルと比較して試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルの減少が、LSD1が対象において阻害されていることを示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0037】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害度をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルと比較して試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルの減少度が、対象におけるLSD1阻害度を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0038】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップを含み、対照中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルと比較して試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルの減少が、LSD1阻害剤での処置に対する応答を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0039】
本発明によるモニタリング方法では、対照と比較されることになる対象から得られる試料を、異なる時点で、すなわち、対象が処置を受けた後、またはLSD1阻害剤の第1、第2、第3などの投薬を受けた後に得ることができる。「LSD1阻害剤での処置を受けている対象」、すなわち、本発明によるモニタリング方法を使用してモニタリングされている対象は、LSD1阻害剤での積極的処置を受けている対象であることもあり、またはLSD1阻害剤での処置が、中断期間によって隔てられた複数の薬物投与サイクルからなり得、そのような中断期間にも対象がモニタリングされうる場合、処置中断中の対象であることもある。
【0040】
本発明によるモニタリング方法に関して使用される「対照」の非限定的な例は、好ましくは、モニタリングされる対象から処置開始前にまたはより早い時点で得た試料である。
【0041】
本明細書に記載のモニタリング方法では、試料は、好ましくは末梢試料である。末梢試料は、例えば、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包または皮膚生検試料であってもよい。
【0042】
本明細書に記載のモニタリング方法では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0043】
本明細書に記載のモニタリング方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。
【0044】
本明細書に記載のモニタリング方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0045】
本明細書に記載のモニタリング方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、下でより詳細に説明するような式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。
【0046】
好ましくは、本明細書に記載のモニタリング方法では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0047】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、好ましくはヒトである。
【0048】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、患者であってもよく、または健常個体であってもよい。
【0049】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、CNS疾患を有する対象であってもよい。
【0050】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症、好ましくは、アルツハイマー病または軽度認知障害を有する対象であってもよい。
【0051】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、認知機能関連疾患、例えば、認知症、例えば血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害を有する対象であってもよい。
【0052】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、自己免疫疾患を有する対象であってもよい。例えば、自己免疫疾患は、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0053】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を有する対象であってもよい。
【0054】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、がんを有する対象であってもよい。
【0055】
本明細書に記載のモニタリング方法では、対象は、心血管疾患を有する対象であってもよい。
【0056】
別の態様では、本発明は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物での処置を受けている対象においてLSD1阻害をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1が対象において阻害されていることを示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0057】
別の態様では、本発明は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物での処置を受けている対象においてLSD1阻害度をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少度が、対象におけるLSD1阻害度を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0058】
さらに別の態様では、本発明は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1阻害剤での処置に対する応答を示す、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0059】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤には患者に対する治療効果がある可能性がより高い、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0060】
別の態様では、本発明は、患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者であるかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者とみなされる、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0061】
別の態様では、本発明は、罹患細胞が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、細胞はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0062】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0063】
本明細書に記載の方法では、mRNAとしてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0064】
本明細書に記載の方法では、タンパク質としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0065】
本明細書に記載の方法では、バイオマーカーは、好ましくはS100A9である。本明細書に記載の方法では、mRNAとしてS100A9のレベルを決定することができる。本明細書に記載の方法では、タンパク質としてS100A9のレベルを決定することができる。本明細書に記載の方法では、S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。本明細書に記載の方法では、S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0066】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップを含み、試料中のS100A9のレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤には患者に対する治療効果がある可能性がより高い、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0067】
別の態様では、本発明は、患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者であるかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップを含み、試料中のS100A9のレベルが対照と比較して上昇している場合、患者が、LSD1阻害剤での処置を受ける候補者とみなされる、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0068】
別の態様では、本発明は、罹患細胞が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のS100A9のレベルが対照と比較して上昇している場合、細胞はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0069】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のS100A9のレベルが対照と比較して上昇している場合、患者はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0070】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップを含み、試料中のS100A8のレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤には患者に対する治療効果がある可能性がより高い、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0071】
別の態様では、本発明は、患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者であるかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップを含み、試料中のS100A8のレベルが対照と比較して上昇している場合、患者が、LSD1阻害剤での処置を受ける候補者とみなされる、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0072】
別の態様では、本発明は、罹患細胞が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のS100A8のレベルが対照と比較して上昇している場合、細胞はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0073】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のS100A8のレベルが対照と比較して上昇している場合、患者はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0074】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップを含み、試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤には患者に対する治療効果がある可能性がより高い、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0075】
別の態様では、本発明は、患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者であるかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップを含み、試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルが対照と比較して上昇している場合、患者が、LSD1阻害剤での処置を受ける候補者とみなされる、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0076】
別の態様では、本発明は、罹患細胞が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルが対照と比較して上昇している場合、細胞はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0077】
別の態様では、本発明は、患者が、LSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルが対照と比較して上昇している場合、患者はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0078】
患者がLSD1阻害剤にもしくはLSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いかどうかを評定/判定/予測するための、および/またはLSD1阻害剤での処置を受ける患者を選択するための、本発明の方法に関して使用される「対照」の非限定的な例は、好ましくは、健常対照である。
【0079】
本明細書に記載の方法では、試料は、好ましくは末梢試料である。末梢試料は、例えば、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包または皮膚生検試料であってもよい。
【0080】
本明細書に記載の方法では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0081】
本明細書に記載の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。
【0082】
本明細書に記載の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0083】
本明細書に記載の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。好ましくは、本明細書に記載の方法では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0084】
本明細書に記載の方法では、患者は、好ましくはヒトである。
【0085】
本明細書に記載の方法では、患者は、CNS疾患を有する患者であってもよい。
【0086】
本明細書に記載の方法では、患者は、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症、好ましくは、アルツハイマー病または軽度認知障害を有する患者であってもよい。
【0087】
本明細書に記載の方法では、患者は、認知機能関連疾患、例えば、認知症、例えば血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害を有する患者であってもよい。
【0088】
本明細書に記載の方法では、患者は、自己免疫疾患を有する患者であってもよい。例えば、自己免疫疾患は、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0089】
本明細書に記載の方法では、患者は、感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を有する患者であってもよい。
【0090】
本明細書に記載の方法では、患者は、がんを有する患者であってもよい。
【0091】
本明細書に記載の方法では、患者は、心血管疾患を有する患者であってもよい。
【0092】
別の態様では、本発明は、患者が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンであるLSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤には患者に対する治療効果がある可能性がより高い、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0093】
別の態様では、本発明は、患者が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンであるLSD1阻害剤での処置を受ける候補者であるかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者とみなされる、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0094】
別の態様では、本発明は、罹患細胞が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンであるLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、細胞はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0095】
別の態様では、本発明は、患者が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンであるLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0096】
本明細書に記載の方法のうちの、方法は、バイオマーカーのレベルを決定するステップの前に患者から試料を得る追加のステップを含むことができる。
【0097】
さらに別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置により恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するための選択ツールとしての、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの使用を提供する。好ましくは、この使用は、in vitroでの使用である。
【0098】
本明細書に記載の使用では、バイオマーカーは、好ましくはS100A9である。
【0099】
本明細書に記載の使用では、バイオマーカーは、S100A9 mRNAであってもよい。
【0100】
本明細書に記載の使用では、バイオマーカーは、S100A9タンパク質であってよい。
【0101】
本明細書に記載の使用では、バイオマーカーは、S100A8/S100A9ヘテロ二量体であってもよい。
【0102】
本明細書に記載の使用では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0103】
本明細書に記載の使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。
【0104】
本明細書に記載の使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0105】
本明細書に記載の使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。
【0106】
好ましくは、本明細書に記載の使用では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0107】
本明細書に記載の使用では、患者は、好ましくはヒトである。
【0108】
本明細書に記載の使用では、患者は、CNS疾患を有する患者であってもよい。
【0109】
本明細書に記載の使用では、患者は、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症、好ましくは、アルツハイマー病または軽度認知障害を有する患者であってもよい。
【0110】
本明細書に記載の使用では、患者は、認知機能関連疾患、例えば、認知症(例えば、血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症)、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害を有する患者であってもよい。
【0111】
本明細書に記載の使用では、患者は、自己免疫疾患を有する患者であってもよい。例えば、自己免疫疾患は、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0112】
本明細書に記載の使用では、患者は、感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を有する患者であってもよい。
【0113】
本明細書に記載の使用では、患者は、がんを有する患者であってもよい。
【0114】
本明細書に記載の使用では、患者は、心血管疾患を有する患者であってもよい。
【0115】
別の態様では、本発明は、神経変性疾患に罹患している患者においてLSD1阻害剤での処置により認知機能に関して有益な効果が生ずる可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤は患者における認知機能に有益な効果を生じさせる可能性がより高い、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0116】
別の態様では、本発明は、認知機能関連疾患に罹患している患者においてLSD1阻害剤での処置により認知機能に関して有益な効果が生ずる可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤は患者における認知機能に有益な効果を生じさせる可能性がより高い、方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0117】
上記の方法では、バイオマーカーは、好ましくはS100A9である。mRNAとしてS100A9のレベルを決定することができる。タンパク質としてS100A9のレベルを決定することができる。S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0118】
上記の方法では、試料は、好ましくは末梢試料である。末梢試料は、好ましくは、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、または血清である。
【0119】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0120】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。
【0121】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレットおよび国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0122】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。
【0123】
好ましくは、上記の方法では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。したがって、本発明は、神経変性疾患に罹患している患者において(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であるLSD1阻害剤での処置により認知機能に関して有益な効果が生ずる可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤は患者における認知機能に有益な効果を生じさせる可能性がより高い、方法を提供する。本発明は、認知機能関連疾患に罹患している患者において(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であるLSD1阻害剤での処置により認知機能に関して有益な効果が生ずる可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤は患者における認知機能に有益な効果を生じさせる可能性がより高い、方法をさらに提供する。好ましくは、これらの方法は、in vitroで行われる。
【0124】
上記の方法では、神経変性疾患は、例えば、アルツハイマー病または軽度認知障害であってもよい。
【0125】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けるための、軽度認知障害を有する患者を選択する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤での処置を受けるための患者を選択するステップを含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0126】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けるための、軽度認知障害を有する患者を選択する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A9のレベルを決定するステップ、および試料中のS100A9のレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤での処置を受けるための患者を選択するステップを含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0127】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けるための、軽度認知障害を有する患者を選択する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8のレベルを決定するステップ、および試料中のS100A8のレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤での処置を受けるための患者を選択するステップを含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0128】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置を受けるための、軽度認知障害を有する患者を選択する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルを決定するステップ、および試料中のS100A8/S100A9ヘテロ二量体のレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤での処置を受けるための患者を選択するステップを含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0129】
上記の方法では、試料は、好ましくは末梢試料である。末梢試料は、好ましくは、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、または血清である。
【0130】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0131】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。
【0132】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0133】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。
【0134】
好ましくは、上記の方法では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。したがって、本発明は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物であるLSD1阻害剤での処置を受けるための、軽度認知障害を有する患者を選択する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤での処置を受けるための患者を選択するステップを含む方法を提供する。好ましくは、この方法は、in vitroで行われる。
【0135】
上記方法のうち、方法は、バイオマーカーのレベルを決定するステップの前に患者から試料を得る追加のステップを含むことができる。
【0136】
ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法におけるプライマー/プライマー対の使用に関する。ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法における使用のためのプライマー/プライマー対に関する。プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するのに使用することができる。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法におけるS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのためのプライマー/プライマー対の使用に関する。プライマー/プライマー対は、例えば、S100A9および/もしくはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列の増幅または配列の一部の増幅に使用することができる。したがって、プライマー/プライマー対は、例えば、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのmRNAレベルを決定するのに有用でありうる。本明細書で使用される用語「プライマー対」は、S100A9および/もしくはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列またはその配列の一部を増幅するために使用される、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを通常は指す。フォワードプライマーは、リバースプライマーが結合する鎖に相補的である鎖と通常は結合することが理解される。
【0137】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするためのプライマー/プライマー対のin vitroでの使用であって、プライマー/プライマー対がS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するのに使用される、in vitroでの使用に関する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0138】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するためのプライマー/プライマー対のin vitroでの使用であって、プライマー/プライマー対がS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのものである、使用に関する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0139】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするのに使用するためのプライマー/プライマー対であって、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのものであるプライマー/プライマー対に関する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0140】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するのに使用するためのプライマー/プライマー対であって、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのものであるプライマー/プライマー対に関する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0141】
ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法における結合分子の使用に関する。ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法における使用のための結合分子に関する。結合分子は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーであって、タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する。結合分子は、抗体であってもよい。ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法における抗体の使用に関する。
【0142】
さらなる態様では、本発明は、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する結合分子のin vitroでの使用であって、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするためのin vitroでの使用に関する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0143】
さらなる態様では、本発明は、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する結合分子のin vitroでの使用であって、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するためのin vitroでの使用に関する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0144】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするのに使用するための、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する結合分子に関する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0145】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するのに使用するための、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する結合分子に関する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0146】
ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法におけるキットの使用であって、キットが、本発明に従ってS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するための手段および方法を具備する使用に関する。ある特定の態様では、本発明は、本発明のin vitro法における使用のためのキットであって、本発明に従ってS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するための手段および方法を具備するキットに関する。キットは、例えば、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのプライマー/プライマー対を具備することができる。キットは、例えば、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーと特異的に結合する、抗体などの、結合分子であって、バイオマーカーがタンパク質である、結合分子を具備することができる。
【0147】
さらなる態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのプライマー/プライマー対を具備するキットのin vitroでの使用であって、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするためのin vitroでの使用を提供する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0148】
さらなる態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのプライマー/プライマー対を具備するキットのin vitroでの使用であって、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するためのin vitroでの使用を提供する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0149】
さらなる態様では、本発明は、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する結合分子を具備するキットのin vitroでの使用であって、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするためのin vitroでの使用を提供する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0150】
さらなる態様では、本発明は、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する結合分子を具備するキットのin vitroでの使用であって、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するためのin vitroでの使用を提供する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0151】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするためのキットの調製のための、プライマー/プライマー対の使用であって、プライマー/プライマー対が、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのものである、使用を提供する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0152】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するためのキットの調製のための、プライマー/プライマー対の使用であって、プライマー/プライマー対が、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するためのものである、使用を提供する。例えば、プライマー/プライマー対は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのヌクレオチド配列と特異的に結合することができる。
【0153】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングするためのキットの調製のための、結合分子の使用であって、結合分子が、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する、使用を提供する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0154】
さらなる態様では、本発明は、LSD1阻害剤での処置によって恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するためのキットの調製のための、結合分子の使用であって、結合分子が、S100A9タンパク質および/またはS100A8タンパク質であるバイオマーカーと特異的に結合する、使用を提供する。結合分子は、例えば、抗体であってもよい。
【0155】
本発明は、治療、特にヒト治療の分野において本発明のバイオマーカーおよび活性薬剤を使用する方法も提供する。
【0156】
付随する実施例において実証するように、選択的LSD1阻害剤および二重LSD1/MAO−B阻害剤を含む、LSD1阻害剤は、S100A9およびS100A8を下方調節することが判明した。S100A9およびS100A8は、下でより詳細に説明するように多数の疾患において関連性のある役割を果すことが文献において報告されているので、LSD1阻害剤は、下で論じる疾患を含む、S100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とするあらゆる疾患の処置に有用でありうる。用語「S100A9および/またはS100A8の誘導」は、S100A9および/またはS100A8の過剰発現、すなわち、対照(例えば、健常個体からの(プールされた)試料のような健常対照)と比較してS100A9および/またはS100A8の発現増加を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される「S100A9および/またはS100A8の過剰発現」は、S100A9および/またはS100A8の遺伝子産物の量または濃度増加を指すことができる。遺伝子産物は、mRNAであってもよく、またはタンパク質であってもよい。
【0157】
中枢神経系(CNS)疾患:
S100A9発現の増加は、次のものを含むいくつかのCNS疾患およびモデル:局所脳虚血(Ziegler et al., 2009, Biochim Biophys Acta 1792:1198-1204)のような損傷に関連する侵襲、ならびに認知機能障害を伴う疾患、例えば、アルツハイマー病(AD)(Chang et al., 2012, Neurodegener Dis 10:27-29)、統合失調症(Foster et al., 2006, Eur J Neurosci 24:3561-3566)およびうつ病(Webster et al., 1999, Mol Psychiatry 4:46-52);脳アミロイド血管症(Kametani F, 2014, J Neurol Stroke 1(2): 00006)、術後認知機能障害(Lu et al., Brain Behav Immun.2015 Feb;44:221-34);外傷性脳損傷(Engel et al., Acta Neuropathol.2000, 100(3):313-22)、自己免疫性脳脊髄炎(Bjork et al.PLoS Biol.2009, April 28;7(4):e97)、レット病(Urdinguio RG1 et al., PLoS One.2008;3(11):e3669)において、ならびにヒト脳マラリア(Schluesener et al., Acta Neuropathol.1998 Dec;96(6):575-80)において報告されている。特に、平均S100A9レベルは、対照CSF中より軽度認知障害(MCI)CSF中でのほうが高く、AD脳タンパク質抽出物および脳脊髄液(CSF)中で上昇した。さらに、ADのマウスモデルである、APP/PS1マウスでは、S100A9およびS100A8がアミロイド斑の周囲のミクログリア細胞において上方調節された(Kummer et al., 2012, J Neurosci 32:17824-17829)。
【0158】
1時間の局所脳虚血後、S100A9欠損マウスは、野生型の結果と比較したとき有意に小さい病変体積を有し、このことにより、S100A8/9の上方調節およびシグナル伝達が神経炎症、および虚血性障害進行の一因となることが裏付けられた(Ziegler et al., 2009, Biochim Biophys Acta 1792:1198-1204)。
【0159】
S100A9の機能的関連性は、家族性アルツハイマー病のマウスモデルにおいても立証されており、これらのマウスモデルでは、S100A9ノックアウトが記憶障害および神経病態を減少させる(Kummer et al., 2012, J Neurosci 32:17824-17829;Kim et al., 2014, Plos One, 9:e88924)。Kummerらによって報告されたように、APP/PS1におけるS100A9の喪失は、in vitroおよびin vivoでミクログリア細胞における線維性アミロイドβ(Aβ)のファゴサイトーシス増加をもたらした。APP/PS1+S100A9−/−マウスは、APPプロセシングに関与する肝要なサイトカイン、BACE1、およびAβ沈着レベルについて、より低いレベルを有する。S100A9は、神経炎症状態のもとでAPPプロセシングおよびAβ蓄積を促進する。
【0160】
上記発見および他者により報告されたさらなる証拠に基づいて、LSD1iによるS100A9および/またはS100A8の下方調節は、CNS疾患、特に神経変性疾患の処置に有益でありうると予想される。
【0161】
自己免疫疾患:
S100A8およびS100A9発現は、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、全身性エリテマトーデスまたは全身性強皮症のような、自己免疫疾患のヒト患者において増加されることが証明されている(Foell and Roth, 2004, Arthritis Rheum 50:3762-3771)。S100A9は、多発性硬化症などの自己免疫疾患に関して報告されている(Bjork et al.PLoS Biol.2009, April 28;7(4):e97)。Bjork et al(引用箇所)において使用された実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスモデルは、ヒト多発性硬化症(MS)との病理学的および臨床的類似性を示し、MSのモデルとして広く使用されている。糞便S100A8/S100A9の濃度上昇は、IBDを有する患者の非常に多くの研究において実証されている。糞便カルプロテクチンは、生検を伴う結腸内視鏡検査により検出されるような組織学的炎症とよく相関し、IBDを有する患者において再発の予測に成功することが証明されている(Konikoff and Denson, 2006, Inflamm Bowel Dis 12:524-534)。
【0162】
さらに、S100A9ノックアウトマウスにおける抗原誘導関節炎のモデルを使用して、S100A8/S100A9が、関節炎および軟骨破壊を調節することが示された(van Lent et al., 2007, Ann Rheum Dis 67:1750-1758)。この実験において、S100A9−KOマウスは、野生型動物より少ない軟骨損傷を示した。
【0163】
上記発見および他者により報告されたさらなる証拠に基づいて、LSD1iによるS100A9および/またはS100A8の下方調節は、自己免疫疾患の処置に有益でありうると予想される。
【0164】
感染症:
S100A8とS100A9の両方は、局所細菌感染症(Mares et al., 2008, Infec Immun 76:3001-3010)ではもちろん、敗血症のような感染由来の合併症(Payen et al., 2008, Intensive Care Med 34:1371-1376;Fontaine et al., 2011, Crit Care Med 39:2684-2690)または心血管の病態(Hokamura and Umemura, 2010, J Pharmacol Sci 113:110-114)でも、上方調節される。S100A9の誘導は、真菌感染症(Yano et al., 2012, Cytokine 58:118-128)、原虫感染症(Jaramillo et al., 2004, J Immunol 172:3101-3110)およびウイルス感染症(Teran et al., 2012, Arch Med Res 43:464-469)においても観察されている。
【0165】
S100A9の機能的関連性は、この遺伝子のノックアウトマウスを使用して局所感染症モデル(Wache et al., 2015, J Infect Dis, pii: jiv028)および敗血症モデル(Vogl et al., 2007, Nat Med 13:1042-1049)で立証されている。両方の場合、S100A9遺伝子がない動物は、野生型動物より低い重症度で感染し、長く生存した。
【0166】
上記発見および他者により報告されたさらなる証拠に基づいて、LSD1iによるS100A9および/またはS100A8の下方調節は、感染症、特に細菌、真菌、原虫およびウイルス感染症、ならびに前記感染症に関連する疾患の処置に有益でありうると予想される。
【0167】
がん:
S100A8およびS100A9タンパク質は、腫瘍進行に関与すると報告されている(Srikrishna, 2012 J Innate Immun 4:31-40)。腫瘍由来因子は、腫瘍細胞上の終末糖化産物(RAGE)またはToll様受容体4(TLR4)と結合する(腫瘍細胞および浸潤性免疫細胞両方における)S100A9の持続的上方調節を促進して、がん関連細胞内シグナル伝達経路(すなわち、MAPK、NF−κB)の活性化を促進する。これらのシグナル伝達経路の細胞内活性化は、腫瘍形成促進遺伝子の発現を増進し、腫瘍増殖および遊走を促進する。
【0168】
S100A9の機能的証拠は、前立腺がん(Kallberg et al., 2012 Plos One 7: e34207)、肺がん(Ortiz et al., 2014, Cancer Immunol Res 2:50-58)のノックアウトマウスモデルにおいて立証されている。
【0169】
上記発見および他者により報告されたさらなる証拠に基づいて、LSD1iによるS100A9および/またはS100A8の下方調節は、がんの処置に有益でありうると予想される。
【0170】
心血管疾患:
S100A8/A9の高い循環レベルは、心血管リスクを増大させる状態を含む、急性および慢性炎症性障害に罹患している患者において報告されている(Averill et al., 2012, Arterioscler Thromb Vasc Biol 32:223-229)。S100A8/A9の血漿レベル上昇は、健常個体においておよび心筋梗塞後生存者において将来の冠動脈イベントのリスク増大に関連する(Schiopu and Cotoi, 2013, Mediators Inflamm 2013: Article ID 828354)。したがって、S100A8/A9は、心血管疾患における有用なバイオマーカーおよび治療標的の代表でありうる。
【0171】
アテローム動脈硬化症病変へのS100A9の機能的関連性は、S100A9−/−マウスをApoe−/−マウスと交雑させて立証された(Croce et al., 2009, Circulation 120:427-436)。これらの二重ノックアウトマウスでは、高脂肪食に応じてのen face大動脈病変部位がApoe−/−対照と比較しておおよそ30%低減された。
【0172】
S100A9−/−マウスもまた、血管損傷モデルにおいて好中球蓄積、病変重症度および出血部の有意な低減を示した(Croce et al., 2009 Circulation 120: 427-436)。
【0173】
上記発見および他者により報告されたさらなる証拠に基づいて、LSD1iによるS100A9および/またはS100A8の下方調節は、心血管障害の処置に有益でありうると予想される。
【0174】
したがて、LSD1阻害剤は、上で論じたようなS100A9および/またはS100A8を特徴とする疾患の処置に有用であり得、対照レベルより上昇したS100A9および/またはS100A8レベルを有する疾患集団の患者において特に有用でありうる。本明細書で使用される「対照レベル」は、健常対照(すなわち、健常対照におけるバイオマーカーのレベル)を意味する。
【0175】
LSD1阻害剤で処置することができる、S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
1)次のものを含むCNS疾患:神経変性疾患(アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、および筋萎縮性側索硬化症を含む);自閉スペクトラム症(自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)、および小児期崩壊性障害を含む);認知機能関連疾患(認知症、例えば血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、ならびに術後認知機能障害を含む);気分障害(不安、ストレス障害、外傷後ストレス障害、パニック障害、恐怖症、そう病、うつ病性障害、例えば大うつ病、反復性うつ病および分娩後障害、双極性障害、ならびに強迫性障害を含む);ならびに脳卒中および病変関連疾患(外傷性脳損傷、脳虚血、頭蓋内出血、頭蓋内動脈瘤、および脳アミロイド血管症を含む);
2)次のものを含む自己免疫疾患:関節炎(関節リウマチ、乾癬性関節炎、反応性関節炎および若年性特発性関節炎を含む);炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含む);硬化症(全身性強皮症を含む);急性および慢性自己免疫性ニューロパチー(自己免疫性脳脊髄炎および多発性硬化症を含む);狼瘡(エリテマトーデス、糸球体腎炎、および血管炎を含む);自己免疫性膵臓疾患(自己免疫性膵炎および1型糖尿病を含む);自己免疫性皮膚疾患(乾癬を含む);自己免疫性筋肉疾患(皮膚筋炎、多発性筋炎、および封入体筋炎を含む);ならびに川崎病;
3)次のものを含む感染症、特に、細菌、真菌、原虫およびウイルス感染症ならびに前記感染症に起因する疾患:細菌感染症(例えば、大腸菌(E. coli)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、サルモネラ菌(Salmonella)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)、野兎病菌(Francisella tularensis)、およびポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)によって引き起こされるもの)、および前記細菌感染症に起因する疾患、例えば、急性細菌感染症(急性虫垂炎、髄膜炎、う蝕、胃炎、胃潰瘍形成、およびざ瘡を含む)および敗血症(重症敗血症、敗血症性ショック、周産期および新生児敗血症を含む);真菌感染症(例えば、カンジダ症またはアスペルギルス症)および前記真菌感染症に起因する疾患;原虫感染症(例えば、マラリア原虫(Plasmodium)またはトリパノソーマ・クルージ(Trypanomoma cruzi)によって引き起こされるもの)および前記原虫感染症に起因する疾患(例えば、マラリアまたはシャガス病);ならびにウイルス感染症(インフルエンザウイルス)および前記ウイルス感染症に起因する疾患(例えば、インフルエンザ);
4)次のものを含むがん:癌腫、例えば、結腸直腸がん、膀胱がん、前立腺がん、組織非形成甲状腺癌、皮膚扁平上皮癌、胃がん、肺がんおよび乳がん(脳への転移性乳がんを含む);ならびに肉腫、例えば、神経膠腫(例えば、星細胞腫);および
5)次のものを含む心血管疾患:動脈硬化性血管疾患(アテローム動脈硬化症およびアテローム発生を含む)、急性冠症候群(例えば、心筋梗塞)および血管損傷(血栓症、塞栓症、血管炎、静脈性潰瘍、および大動脈瘤を含む)。
【0176】
LSD1阻害剤での治療に関連してここに列挙したこの疾患リストは、本発明の診断方法に関連して、すなわち、上記のLSD1阻害剤に対する患者の応答をモニタリングする方法およびそのような応答の尤度を予測/判定する方法に関して、同様に適用される。
【0177】
したがって、別の態様では、本発明は、患者を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0178】
別の態様では、本発明は、患者を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、(ii)患者が、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いかどうかを判定するステップ(ここで、対照と比較して試料中のバイオマーカーのレベル上昇は、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高い患者を示す)、ならびに(iii)患者がLSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いと同定された場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0179】
別の態様では、本発明は、患者を処置する方法であって、(i)本明細書に記載の方法のいずれかによりLSD1阻害剤に対する患者の応答性についての可能性を判定するステップ、および(ii)患者が、それに応答性である可能性が高いと同定された場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0180】
上記方法では、患者は、CNS疾患を有する患者であってもよい。
【0181】
上記方法では、患者は、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症、好ましくは、アルツハイマー病または軽度認知障害を有する患者であってもよい。
【0182】
上記方法では、患者は、認知機能関連疾患、例えば、認知症(例えば、血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症)、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害を有する患者であってもよい。
【0183】
上記方法では、患者は、自己免疫疾患を有する患者であってもよい。例えば、自己免疫疾患は、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0184】
上記方法では、患者は、感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を有する患者であってもよい。
【0185】
上記方法では、患者は、がんを有する患者であってもよい。
【0186】
上記方法では、患者は、心血管疾患を有する患者であってもよい。
【0187】
別の態様では、本発明は、患者におけるS100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とする疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0188】
別の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とする疾患を有する患者を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0189】
ある特定の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とする疾患を有する患者を処置する方法であって、LSD1阻害剤治療が企図される患者の試料を得るステップ、ならびに試料を試験して、その試験において対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を判定するステップ、ならびにS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を有する患者に有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法に関する。
【0190】
別の態様では、本発明は、患者におけるCNS疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0191】
別の態様では、本発明は、患者における神経変性疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。神経変性疾患は、例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症であってもよい。
【0192】
別の態様では、本発明は、患者におけるアルツハイマー病を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0193】
別の態様では、本発明は、患者における軽度認知障害を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0194】
別の態様では、本発明は、患者における認知機能関連疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。認知機能関連疾患は、例えば、認知症(例えば、血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症)、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害であってもよい。
【0195】
別の態様では、本発明は、患者における自己免疫疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。自己免疫疾患は、例えば、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0196】
別の態様では、本発明は、患者の自己免疫疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から試料を得るステップ、(ii)試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(iii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法を提供する。自己免疫疾患は、例えば、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0197】
別の態様では、本発明は、患者における感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0198】
別の態様では、本発明は、患者におけるがんを処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0199】
別の態様では、本発明は、患者における心血管疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0200】
別の態様では、本発明は、患者における心血管疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から試料を得るステップ、(ii)試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(iii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0201】
上記方法のうちの、方法は、バイオマーカーのレベルを決定するステップの前に患者から試料を得る追加のステップを含むことができる。
【0202】
上記の方法では、mRNAとしてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0203】
上記の方法では、タンパク質としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0204】
上記の方法では、バイオマーカーは、好ましくはS100A9である。上記の方法では、mRNAとしてS100A9のレベルを決定することができる。上記の方法では、タンパク質としてS100A9のレベルを決定することができる。上記の方法では、S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。上記の方法では、S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0205】
上記の方法では、試料は、好ましくは末梢試料である。末梢試料は、例えば、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包または皮膚生検試料であってもよい。
【0206】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0207】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0208】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。
【0209】
好ましくは、上記の方法では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0210】
上記の方法では、患者は、好ましくはヒトである。
【0211】
別の態様では、本発明は、患者における軽度認知障害を処置する方法であって、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0212】
別の態様では、本発明は、患者における感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を処置する方法であって、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。
【0213】
別の態様では、本発明は、患者における自己免疫疾患を処置する方法であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させる量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法を提供する。自己免疫疾患は、例えば、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0214】
別の態様では、本発明は、患者における心血管疾患を処置する方法であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させる量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0215】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0216】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。
【0217】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0218】
上記の方法では、LSD1阻害剤は、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。
【0219】
好ましくは、上記の方法では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0220】
上記の方法では、患者は、好ましくはヒトである。
【0221】
別の態様では、本発明は、治療における使用のためのLSD1阻害剤であって、前記治療が、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者にLSD1阻害剤を投与するステップを含む、LSD1阻害剤を提供する。
【0222】
別の態様では、本発明は、患者におけるCNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される疾患を処置する方法における使用のためのLSD1阻害剤であって、方法が、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者にLSD1阻害剤を投与するステップを含む、LSD1阻害剤を提供する。
【0223】
別の態様では、本発明は、患者におけるCNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される疾患を処置する方法における使用のためのLSD1阻害剤であって、方法が、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、(ii)患者が、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いかどうかを判定するステップ(ここで、対照と比較して試料中のバイオマーカーのレベル上昇は、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高い患者を示す)、ならびに(iii)患者がLSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いと同定された場合、患者にLSD1阻害剤を投与するステップを含む、LSD1阻害剤を提供する。
【0224】
別の態様では、本発明は、患者におけるCNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、患者が、本明細書に記載の方法のいずれかによりLSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いと予測されている、LSD1阻害剤を提供する。
【0225】
別の態様では、本発明は、患者におけるS100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とする疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得られた試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0226】
ある特定の態様では、本発明は、患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤であって、患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有する、LSD1阻害剤に関する。
【0227】
ある特定の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの対照と比較したレベル上昇について陽性と評定された患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤に関する。
【0228】
ある特定の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの対照と比較したレベル上昇についての試験結果が陽性であった患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤に関する。
【0229】
ある特定の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有し、処置の方法が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を患者が有するか否かを判定するステップを含む、LSD1阻害剤に関する。
【0230】
ある特定の態様では、本発明は、本明細書において提供する方法を使用して対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有すると同定された患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤に関する。
【0231】
ある特定の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤であって、前記方法が、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を判定する本明細書において提供する方法を使用して患者を試験して、患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有するかどうかを判定するステップ、ならびに患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有すると同定された場合、LSD1阻害剤での処置を施すステップを含む、LSD1阻害剤に関する。
【0232】
ある特定の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの対照と比較したレベル上昇について陽性と評定された患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤に関する。
【0233】
別の態様では、本発明は、患者におけるCNS疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0234】
別の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8のレベル上昇を有する患者の部分群におけるCNS疾患の処置のためのLSD1阻害剤を提供する。
【0235】
別の態様では、本発明は、患者における神経変性疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。神経変性疾患は、例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症であってもよい。
【0236】
別の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8のレベル上昇を有する患者の部分群における神経変性疾患の処置のためのLSD1阻害剤を提供する。
【0237】
別の態様では、本発明は、患者におけるアルツハイマー病の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0238】
別の態様では、本発明は、患者における軽度認知障害の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0239】
別の態様では、本発明は、患者における認知機能関連疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。認知機能関連疾患は、例えば、認知症(例えば、血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症)、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害であってもよい。
【0240】
別の態様では、本発明は、患者における自己免疫疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。自己免疫疾患は、例えば、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0241】
別の態様では、本発明は、患者における自己免疫疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。自己免疫疾患は、例えば、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0242】
別の態様では、本発明は、S100A9および/またはS100A8のレベル上昇を有する患者の部分群における自己免疫疾患の処置のためのLSD1阻害剤を提供する。自己免疫疾患は、例えば、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。別の態様では、本発明は、患者における感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0243】
別の態様では、本発明は、患者におけるがんの処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0244】
別の態様では、本発明は、患者における心血管疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0245】
別の態様では、本発明は、患者における心血管疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤を提供する。
【0246】
別の態様では、本発明は、軽度認知障害の処置において使用するためのLSD1阻害剤を提供する。
【0247】
別の態様では、本発明は、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤を提供する。
【0248】
別の態様では、本発明は、患者における自己免疫疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させるのに十分な量で患者に投与されるLSD1阻害剤を提供する。自己免疫疾患は、例えば、急性または慢性自己免疫性ニューロパチー、例えば多発性硬化症であってもよい。多発性硬化症は、例えば、慢性進行性多発性硬化症であってもよい。
【0249】
別の態様では、本発明は、患者における心血管疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させるのに十分な量で患者に投与されるLSD1阻害剤を提供する。
【0250】
上記の使用では、mRNAとしてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0251】
上記の使用では、タンパク質としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0252】
上記の使用では、バイオマーカーは、好ましくはS100A9である。上記の使用では、mRNAとしてS100A9のレベルを決定することができる。上記の使用では、タンパク質としてS100A9のレベルを決定することができる。上記の使用では、S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。上記の使用では、S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルを決定することができる。
【0253】
上記の使用では、試料は、好ましくは末梢試料である。末梢試料は、例えば、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包または皮膚生検試料であってもよい。
【0254】
上記の使用では、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤であってもよく、または可逆的LSD1阻害剤であってもよい。好ましくは、LSD1阻害剤は、不可逆的LSD1阻害剤である。
【0255】
上記の使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である。
【0256】
上記の使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である。
【0257】
上記の使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である。より好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)または(XIII)の化合物である。さらにいっそう好ましくは、LSD1阻害剤は、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の化合物について下で提供する例のリストからの化合物である。
【0258】
好ましくは、上記の使用では、LSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0259】
上記の使用では、患者は、好ましくはヒトである。
【0260】
ヒト患者、例えば、治験に登録した患者におけるS100A9および/またはS100A8の分析を、本明細書に記載の方法に従って行うことができる。
【0261】
LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法において使用する場合、典型的には、試料(例えば、末梢試料)は、LSD1阻害剤での処置開始前に得た試料で開始して、異なる時点で標準的な手順に従って各対象から採取する。次いで、標準的な手順に従って試料を処理してバイオマーカー分析用に調製し、各試料中の目的のバイオマーカー、すなわちS100A9および/またはS100A8、のレベルを、それらのmRNAレベルの(例えばqRT−PCRによる)測定またはそれらのタンパク質レベルの(例えば、ELISAによる)測定により決定する。
【0262】
典型的には、mRNAレベルを測定する場合、発現レベルを内在性参照遺伝子の発現レベルに対して正規化する。前記参照遺伝子は、標準的な基準に従って、典型的には、発現が広範な条件に対して不変であるハウスキーピング遺伝子の中から選択される。適する内在性参照遺伝子の一例は、実施例において開示するようなGADPH(グリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素;GAPDHとしても公知)である。
【0263】
典型的には、目的のタンパク質のタンパク質レベルを例えばELISAによって測定する場合、標準曲線(既知濃度の標的タンパク質を有する試料を使用して得たもの)を使用して、試験試料中の標的タンパク質の濃度を定量することができる。
【0264】
末梢試料、例えば、CNS疾患を有する患者における使用のための末梢試料の一例は、CSFである。CSF試料は、参加医療施設において標準的な手順を使用して腰椎穿刺により採取する。典型的には、1〜10mLの範囲のCSF量を各対象から得る。
【0265】
新鮮CSF試料を遠心分子によって処理して、細胞ペレットと上清を得、その後、それらを分析することができ、または凍結してさらなる分析まで−80℃で維持することができる。
【0266】
細胞ペレットは、本明細書に記載の方法を使用して、例えばqRT−PCRによって、S100A9および/またはS100A8発現レベルを分析するためのRNAを得るために、使用することができる。上清液は、本明細書に記載の方法を使用して、例えばELISAによって、S100A9および/またはS100A8タンパク質レベルを分析するために使用することができる。S100A9タンパク質レベルを、S100A9単量体および/またはS100A8/S100A9ヘテロ二量体タンパク質濃度として、例えばELISAによって、分析することができる。
【0267】
患者または対象が、LSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する(すなわち、LSD1阻害剤に対する応答性を予測する)方法でも同じ手順を辿ることができるが、但し、その場合は概して試料(例えば、末梢試料)を各対象/患者からもっぱらLSD1阻害剤での処置開始前に採取する。このようにして選択した患者/患者群を、その後、本発明によるLSD1阻害剤での処置に付すことができる。
【0268】
別の態様では、本発明は、多発性硬化症の処置において使用するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0269】
別の態様では、本発明は、慢性進行性多発性硬化症の処置において使用するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0270】
別の態様では、本発明は、患者(好ましくはヒト)における多発性硬化症を処置する方法であって、治療有効量の(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0271】
別の態様では、本発明は、患者(好ましくはヒト)における慢性進行性多発性硬化症を処置する方法であって、治療有効量の(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0272】
別の態様では、本発明は、多発性硬化症の処置用の医薬を製造するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0273】
別の態様では、本発明は、慢性進行性多発性硬化症の処置用の医薬を製造するための(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0274】
加えて、本発明は、以下の項目に関する。
【0275】
(項目1)
LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1が対象において阻害されていることを示す、方法。
【0276】
(項目2)
LSD1阻害剤での処置を受けている対象においてLSD1阻害度をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少度が、対象におけるLSD1阻害度を示す、方法。
【0277】
(項目3)
LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中のバイオマーカーのレベルと比較して試料中のバイオマーカーのレベルの減少が、LSD1阻害剤での処置に対する応答を示す、方法。
【0278】
(項目4)
バイオマーカーが、S100A9である、項目1〜3のいずれかに記載の方法。
【0279】
(項目5)
mRNAとしてバイオマーカーのレベルが決定される、項目4に記載の方法。
【0280】
(項目6)
タンパク質としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目4に記載の方法。
【0281】
(項目7)
S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目6に記載の方法。
【0282】
(項目8)
S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目6に記載の方法。
【0283】
(項目9)
試料が、末梢試料である、項目1〜8のいずれかに記載の方法。
【0284】
(項目10)
末梢試料が、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、尿、糞便、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包または皮膚生検試料である、項目9に記載の方法。
【0285】
(項目11)
LSD1阻害剤が、不可逆的LSD1阻害剤である、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
【0286】
(項目12)
LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である、項目1〜11のいずれかに記載の方法。
【0287】
(項目13)
LSD1阻害剤が、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0288】
(項目14)
LSD1阻害剤が、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0289】
(項目15)
LSD1阻害剤が、式(III)の化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0290】
(項目16)
LSD1阻害剤が、式(VI)の化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0291】
(項目17)
LSD1阻害剤が、式(VIII)の化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0292】
(項目18)
LSD1阻害剤が、式(IX)の化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0293】
(項目19)
LSD1阻害剤が、式(X)の化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0294】
(項目20)
LSD1阻害剤が、式(XI)の化合物である、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
【0295】
(項目21)
LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
【0296】
(項目22)
LSD1阻害剤が、(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
【0297】
(項目23)
LSD1阻害剤が、4−((4−((((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)メチル)ピペリジン−1−イル)メチル)安息香酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目1〜10のいずれかに記載の方法。
【0298】
(項目24)
対象がヒトである、項目1〜23のいずれかに記載の方法。
【0299】
(項目25)
対象が、CNS疾患を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0300】
(項目26)
CNS疾患が、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、および筋萎縮性側索硬化症);自閉スペクトラム症(例えば、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)、および小児期崩壊性障害);認知機能関連疾患(例えば、認知症、例えば血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、ならびに術後認知機能障害);気分障害(例えば、不安、ストレス障害、外傷後ストレス障害、パニック障害、恐怖症、そう病、うつ病性障害、例えば大うつ病、反復性うつ病および分娩後障害、双極性障害、ならびに強迫性障害);脳卒中または病変関連疾患(例えば、外傷性脳損傷、脳虚血、頭蓋内出血、頭蓋内動脈瘤、および脳アミロイド血管症)である、項目25に記載の方法。
【0301】
(項目27)
対象が、神経変性疾患、好ましくは、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症、より好ましくは、アルツハイマー病または軽度認知障害を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0302】
(項目28)
対象が、認知機能関連疾患、好ましくは、認知症(例えば、血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症)、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0303】
(項目29)
対象が、自己免疫疾患を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0304】
(項目30)
自己免疫疾患が、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、反応性関節炎もしくは若年性特発性関節炎);炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎);硬化症(例えば、全身性強皮症);急性および慢性自己免疫性ニューロパチー(例えば、自己免疫性脳脊髄炎もしくは多発性硬化症);狼瘡(例えば、エリテマトーデス、糸球体腎炎、もしくは血管炎);自己免疫性膵臓疾患(例えば、自己免疫性膵炎もしくは1型糖尿病);自己免疫性皮膚疾患(例えば、乾癬);自己免疫性筋肉疾患(例えば、皮膚筋炎、多発性筋炎、もしくは封入体筋炎);または川崎病である、項目29に記載の方法。
【0305】
(項目31)
対象が、感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0306】
(項目32)
感染症が、細菌感染症(例えば、大腸菌(E. coli)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、サルモネラ菌(Salmonella)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)、野兎病菌(Francisella tularensis)、およびポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)によって引き起こされるもの)または細菌感染症に起因する疾患、例えば、急性細菌感染症(例えば、急性虫垂炎、髄膜炎、う蝕、胃炎、胃潰瘍形成、およびざ瘡)または敗血症(例えば、重症敗血症、敗血症性ショック、周産期もしくは新生児敗血症);真菌感染症(例えば、カンジダ症またはアスペルギルス症)または真菌感染症に起因する疾患;原虫感染症(例えば、マラリア原虫(Plasmodium)もしくはトリパノソーマ・クルージ(Trypanomoma cruzi)によって引き起こされるもの)または原虫感染症に起因する疾患(例えば、マラリアもしくはシャガス病);ウイルス感染症(例えば、インフルエンザウイルス)またはウイルス感染症に起因する疾患(例えば、インフルエンザ)である、項目31に記載の方法。
【0307】
(項目33)
対象が、がんを有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0308】
(項目34)
がんが、癌腫、好ましくは結腸直腸がん、膀胱がん、前立腺がん、組織非形成甲状腺癌、皮膚扁平上皮癌、胃がん、肺がんもしくは乳がん(脳への転移性乳がんを含む);または肉腫、好ましくは神経膠腫(例えば、星細胞腫)である、項目33に記載の方法。
【0309】
(項目35)
対象が、心血管疾患を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0310】
(項目36)
心血管疾患が、動脈硬化性血管疾患(例えば、アテローム動脈硬化症およびアテローム発生)、急性冠症候群(例えば、心筋梗塞)または血管損傷(例えば、血栓症、塞栓症、血管炎、静脈性潰瘍、もしくは大動脈瘤)である、項目35に記載の方法。
【0311】
(項目37)
患者が、LSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤には患者に対する治療効果がある可能性がより高い、方法。
【0312】
(項目38)
患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者であるかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者がLSD1阻害剤での処置を受ける候補者とみなされる、方法。
【0313】
(項目39)
罹患細胞がLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、細胞はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法。
【0314】
(項目40)
患者がLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いかどうかを評定する方法であって、
(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、
(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者はLSD1阻害剤に応答性である可能性が高いと評定するステップ
を含む方法。
【0315】
(項目41)
LSD1阻害剤での処置により恩恵を受ける尤度が高い患者を同定するための選択ツールとしての、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの使用。
【0316】
(項目42)
患者が、CNS疾患を有する、項目37〜40のいずれかに記載の方法または項目41に記載の使用。
【0317】
(項目43)
CNS疾患が、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、および筋萎縮性側索硬化症);自閉スペクトラム症(例えば、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)、および小児期崩壊性障害);認知機能関連疾患(例えば、認知症、例えば血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、ならびに術後認知機能障害);気分障害(例えば、不安、ストレス障害、外傷後ストレス障害、パニック障害、恐怖症、そう病、うつ病性障害、例えば大うつ病、反復性うつ病および分娩後障害、双極性障害、ならびに強迫性障害);ならびに脳卒中および病変関連疾患(例えば、外傷性脳損傷、脳虚血、頭蓋内出血、頭蓋内動脈瘤、および脳アミロイド血管症)である、項目42に記載の方法または項目42に記載の使用。
【0318】
(項目44)
患者が、神経変性疾患、好ましくは、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症、より好ましくは、アルツハイマー病または軽度認知障害を有する、項目37〜40のいずれかに記載の方法または項目41に記載の使用。
【0319】
(項目45)
患者が、認知機能関連疾患、好ましくは、認知症(例えば、血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症)、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害を有する、項目37〜40のいずれかに記載の方法または項目41に記載の使用。
【0320】
(項目46)
患者が、自己免疫疾患を有する、項目37〜40のいずれかに記載の方法または項目41に記載の使用。
【0321】
(項目47)
自己免疫疾患が、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、反応性関節炎もしくは若年性特発性関節炎);炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎);硬化症(例えば、全身性強皮症);急性もしくは慢性自己免疫性ニューロパチー(例えば、自己免疫性脳脊髄炎もしくは多発性硬化症);狼瘡(例えば、エリテマトーデス、糸球体腎炎、もしくは血管炎);自己免疫性膵臓疾患(例えば、自己免疫性膵炎もしくは1型糖尿病);自己免疫性皮膚疾患(例えば、乾癬);自己免疫性筋肉疾患(例えば、皮膚筋炎、多発性筋炎、もしくは封入体筋炎);または川崎病である、項目46に記載の方法または項目46に記載の使用。
【0322】
(項目48)
患者が、感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を有する、項目37〜40のいずれかに記載の方法または項目41に記載の使用。
【0323】
(項目49)
感染症が、細菌感染症(例えば、大腸菌(E. coli)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、サルモネラ菌(Salmonella)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)、野兎病菌(Francisella tularensis)、およびポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)によって引き起こされるもの)、または細菌感染症に起因する疾患、例えば、急性細菌感染症(例えば、急性虫垂炎、髄膜炎、う蝕、胃炎、胃潰瘍形成、およびざ瘡)もしくは敗血症(例えば、重症敗血症、敗血症性ショック、周産期もしくは新生児敗血症);真菌感染症(例えば、カンジダ症またはアスペルギルス症)または真菌感染症に起因する疾患;原虫感染症(例えば、マラリア原虫(Plasmodium)もしくはトリパノソーマ・クルージ(Trypanomoma cruzi)によって引き起こされるもの)または原虫感染症に起因する疾患(例えば、マラリアもしくはシャガス病);ウイルス感染症(例えば、インフルエンザウイルス)またはウイルス感染症に起因する疾患(例えば、インフルエンザ)である、項目48に記載の方法または項目48に記載の使用。
【0324】
(項目50)
患者が、がんを有する、項目37〜40のいずれかに記載の方法または項目41に記載の使用。
【0325】
(項目51)
がんが、癌腫、好ましくは、結腸直腸がん、膀胱がん、前立腺がん、組織非形成甲状腺癌、皮膚扁平上皮癌、胃がん、肺がんもしくは乳がん(脳への転移性乳がんを含む);または肉腫、好ましくは、神経膠腫(例えば、星細胞腫)である、項目50に記載の方法または項目50に記載の使用。
【0326】
(項目52)
患者が、心血管患を有する、項目37〜40のいずれかに記載の方法または項目41に記載の使用。
【0327】
(項目53)
心血管疾患が、動脈硬化性血管疾患(例えば、アテローム動脈硬化症およびアテローム発生)、急性冠症候群(例えば、心筋梗塞)または血管損傷(例えば、血栓症、塞栓症、血管炎、静脈性潰瘍、もしくは大動脈瘤)である、項目52に記載の方法または項目52に記載の使用。
【0328】
(項目54)
神経変性疾患に罹患している患者においてLSD1阻害剤での処置により認知機能に関して有益な効果が生ずる可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤は患者における認知機能に有益な効果を生じさせる可能性がより高い、方法。
【0329】
(項目55)
認知機能関連疾患に罹患している患者においてLSD1阻害剤での処置により認知機能に関して有益な効果が生ずる可能性が高いかどうかを判定する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤は患者における認知機能に有益な効果を生じさせる可能性がより高い、方法。
【0330】
(項目56)
LSD1阻害剤での処置を受けるための、軽度認知障害を有する患者を選択する方法であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤での処置を受けるための患者を選択するステップを含む方法。
【0331】
(項目57)
バイオマーカーが、S100A9である、項目37〜40もしくは42〜56のいずれかに記載の方法または項目41〜53のいずれかに記載の使用。
【0332】
(項目58)
mRNAとしてバイオマーカーのレベルが決定される、項目57に記載の方法または項目57に記載の使用。
【0333】
(項目59)
タンパク質としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目57に記載の方法または項目57に記載の使用。
【0334】
(項目60)
S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目59に記載の方法または項目59に記載の使用。
【0335】
(項目61)
S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目59に記載の方法または項目59に記載の使用。
【0336】
(項目62)
試料が、末梢試料である、項目37〜40もしくは42〜61のいずれかに記載の方法。
【0337】
(項目63)
末梢試料が、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、尿、糞便、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包または皮膚生検試料である、項目62に記載の方法。
【0338】
(項目64)
末梢試料が、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、または血清である、項目42〜45、54〜56または62のいずれかに記載の方法。
【0339】
(項目65)
LSD1阻害剤が、不可逆的LSD1阻害剤である、項目37〜40もしくは42〜64のいずれかに記載の方法または項目41〜53もしくは57〜61のいずれかに記載の使用。
【0340】
(項目66)
LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0341】
(項目67)
LSD1阻害剤が、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である、項目37〜40もしくは42〜66のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61、65もしくは66に記載の使用。
【0342】
(項目68)
LSD1阻害剤が、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0343】
(項目69)
LSD1阻害剤が、式(III)の化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0344】
(項目70)
LSD1阻害剤が、式(VI)の化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0345】
(項目71)
LSD1阻害剤が、式(VIII)の化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0346】
(項目72)
LSD1阻害剤が、式(IX)の化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0347】
(項目73)
LSD1阻害剤が、式(X)の化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0348】
(項目74)
LSD1阻害剤が、式(XI)の化合物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または項目41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0349】
(項目75)
LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または請求項41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0350】
(項目76)
LSD1阻害剤が、(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または請求項41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0351】
(項目77)
LSD1阻害剤が、4−((4−((((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)メチル)ピペリジン−1−イル)メチル)安息香酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目37〜40もしくは42〜65のいずれかに記載の方法または請求項41〜53、57〜61もしくは65のいずれかに記載の使用。
【0352】
(項目78)
患者を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0353】
(項目79)
患者を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、(ii)患者が、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いかどうかを判定するステップ(ここで、対照と比較して試料中のバイオマーカーのレベル上昇は、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高い患者を示す)、ならびに(iii)患者がLSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いと同定された場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0354】
(項目80)
患者を処置する方法であって、(i)項目37〜40のいずれかで定義の方法によりLSD1阻害剤に対する患者の応答性についての可能性を判定するステップ、および(ii)患者が、それに応答性である可能性が高いと同定された場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0355】
(項目81)
CNS疾患を有する患者を処置するためのものである、項目78〜80のいずれかに記載の方法。
【0356】
(項目82)
神経変性疾患、好ましくは、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、または筋萎縮性側索硬化症、より好ましくは、アルツハイマー病または軽度認知障害を有する患者を処置するためのものである、項目78〜80のいずれかに記載の方法。
【0357】
(項目83)
認知機能関連疾患、好ましくは、認知症(例えば、血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症)、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、または術後認知機能障害を有する患者を処置するためのものである、項目78〜80のいずれかに記載の方法。
【0358】
(項目84)
自己免疫疾患を有する患者を処置するためのものである、項目78〜80のいずれかに記載の方法。
【0359】
(項目85)
感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を有する患者を処置するためのものである、項目78〜80のいずれかに記載の方法。
【0360】
(項目86)
がんを有する患者を処置するためのものである、項目78〜80のいずれかに記載の方法。
【0361】
(項目87)
心血管疾患を有する患者を処置するためのものである、項目78〜80のいずれかに記載の方法。
【0362】
(項目88)
患者におけるS100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とする疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0363】
(項目89)
S100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とする疾患を有する患者を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0364】
(項目90)
S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を有する患者を処置する方法であって、LSD1阻害剤治療が企図される患者の試料を得るステップ、ならびに試料を試験して、その試験において対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を判定するステップ、ならびにS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を有する患者に有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0365】
(項目91)
患者におけるCNS疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0366】
(項目92)
患者における神経変性疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0367】
(項目93)
患者におけるアルツハイマー病を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0368】
(項目94)
患者における軽度認知障害を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0369】
(項目95)
患者における認知機能関連疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0370】
(項目96)
患者における自己免疫疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0371】
(項目97)
患者における自己免疫疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から試料を得るステップ、(ii)試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(iii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法。
【0372】
(項目98)
患者における感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0373】
(項目99)
患者におけるがんを処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0374】
(項目100)
患者における心血管疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0375】
(項目101)
患者における心血管疾患を処置する方法であって、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から試料を得るステップ、(ii)試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(iii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法。
【0376】
(項目102)
患者における軽度認知障害を処置する方法であって、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0377】
(項目103)
患者における感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患を処置する方法であって、患者に治療有効量のLSD1阻害剤を投与するステップを含む方法。
【0378】
(項目104)
患者における自己免疫疾患を処置する方法であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させる量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法。
【0379】
(項目105)
患者における心血管疾患を処置する方法であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させる量のLSD1阻害剤を患者に投与するステップを含む方法。
【0380】
(項目106)
治療における使用のためのLSD1阻害剤であって、前記治療が、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者にLSD1阻害剤を投与するステップを含む、LSD1阻害剤。
【0381】
(項目107)
患者におけるCNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される疾患を処置する方法における使用のためのLSD1阻害剤であって、方法が、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、患者にLSD1阻害剤を投与するステップを含む、LSD1阻害剤。
【0382】
(項目108)
患者におけるCNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される疾患を処置する方法における使用のためのLSD1阻害剤であって、方法が、(i)LSD1阻害剤での処置前の患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、(ii)患者が、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いかどうかを判定するステップ(ここで、対照と比較して試料中のバイオマーカーのレベル上昇は、LSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高い患者を示す)、ならびに(iii)患者がLSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いと同定された場合、患者にLSD1阻害剤を投与するステップを含む、LSD1阻害剤。
【0383】
(項目109)
患者におけるCNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、患者が、項目37〜40のいずれかで定義の方法によりLSD1阻害剤での処置に応答性である可能性が高いと予測されている、LSD1阻害剤。
【0384】
(項目110)
患者におけるS100A9および/またはS100A8の誘導を特徴とする疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者から得られた試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0385】
(項目111)
患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤であって、患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有する、LSD1阻害剤。
【0386】
(項目112)
S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの対照と比較したレベル上昇について陽性と評定された患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤。
【0387】
(項目113)
S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの対照と比較したレベル上昇についての試験結果が陽性であった患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤。
【0388】
(項目114)
S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有し、処置方法が、患者が対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有するか否かを判定するステップを含む、LSD1阻害剤。
【0389】
(項目115)
項目37〜40のいずれかの方法を使用して対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有すると同定された患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤。
【0390】
(項目116)
S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤であって、前記方法が、項目37〜40のいずれかに記載のS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を判定する方法を使用して患者を試験して、患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有するかどうかを判定するステップ、ならびに患者が、対照と比較してS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベル上昇を有すると同定された場合、LSD1阻害剤での処置を施すステップを含む、LSD1阻害剤。
【0391】
(項目117)
S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーの対照と比較したレベル上昇について陽性と評定された患者におけるS100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法において使用するためのLSD1阻害剤。
【0392】
(項目118)
患者におけるCNS疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0393】
(項目119)
患者における神経変性疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0394】
(項目120)
患者におけるアルツハイマー病の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0395】
(項目121)
患者における軽度認知障害の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0396】
(項目122)
患者における認知機能関連疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0397】
(項目123)
患者における自己免疫疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0398】
(項目124)
患者における自己免疫疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0399】
(項目125)
患者における感染症または感染症に起因する疾患、好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0400】
(項目126)
患者におけるがんの処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0401】
(項目127)
患者における心血管疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、LSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0402】
(項目128)
患者における心血管疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルが決定され、試料中のバイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくバイオマーカーレベルを減少させるのに十分な量のLSD1阻害剤が患者に投与される、LSD1阻害剤。
【0403】
(項目129)
軽度認知障害の処置において使用するためのLSD1阻害剤。
【0404】
(項目130)
細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤。
【0405】
(項目131)
患者における自己免疫疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させるのに十分な量で患者に投与されるLSD1阻害剤。
【0406】
(項目132)
患者における心血管疾患の処置において使用するためのLSD1阻害剤であって、血小板レベルの臨床的に意義のある低下を引き起こすことなくS100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを減少させるのに十分な量で患者に投与されるLSD1阻害剤。
【0407】
(項目133)
S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患が、CNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される、項目88〜90のいずれかに記載の方法または項目110〜117のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0408】
(項目134)
CNS疾患が、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、びまん性レビー小体病、シヌクレイン病、ハンチントン病、ダウン症候群、および筋萎縮性側索硬化症);自閉スペクトラム症(例えば、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)、および小児期崩壊性障害);認知機能関連疾患(例えば、認知症、例えば血管性認知症、レビー小体認知症、老人性認知症、前頭側頭型認知症および混合型認知症、せん妄、健忘症、レット病、統合失調症、注意欠陥/多動障害、ならびに術後認知機能障害);気分障害(例えば、不安、ストレス障害、外傷後ストレス障害、パニック障害、恐怖症、そう病、うつ病性障害、例えば大うつ病、反復性うつ病および分娩後障害、双極性障害、ならびに強迫性障害);脳卒中または病変関連疾患(例えば、外傷性脳損傷、脳虚血、頭蓋内出血、頭蓋内動脈瘤、および脳アミロイド血管症)である、項目81、91もしくは133のいずれかに記載の方法または項目107〜109、118もしくは133のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0409】
(項目135)
自己免疫疾患が、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、反応性関節炎もしくは若年性特発性関節炎);炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎);硬化症(例えば、全身性強皮症);急性もしくは慢性自己免疫性ニューロパチー(例えば、自己免疫性脳脊髄炎もしくは多発性硬化症);狼瘡(例えば、エリテマトーデス、糸球体腎炎、もしくは血管炎);自己免疫性膵臓疾患(例えば、自己免疫性膵炎もしくは1型糖尿病);自己免疫性皮膚疾患(例えば、乾癬);自己免疫性筋肉疾患(例えば、皮膚筋炎、多発性筋炎、もしくは封入体筋炎);または川崎病である、項目84、96、97、104もしくは133のいずれかに記載の方法または項目107〜109、123、124、131もしくは133のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0410】
(項目136)
感染症が、細菌感染症(例えば、大腸菌(E. coli)、肺炎球菌(Pneumococcus)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、サルモネラ菌(Salmonella)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ウレアプラズマ・パルバム(Ureaplasma parvum)、野兎病菌(Francisella tularensis)、およびポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)によって引き起こされるもの)、または細菌感染症に起因する疾患、例えば、急性細菌感染症(例えば、急性虫垂炎、髄膜炎、う蝕、胃炎、胃潰瘍形成、およびざ瘡)もしくは敗血症(例えば、重症敗血症、敗血症性ショック、周産期もしくは新生児敗血症);真菌感染症(例えば、カンジダ症またはアスペルギルス症)または真菌感染症に起因する疾患;原虫感染症(例えば、マラリア原虫(Plasmodium)もしくはトリパノソーマ・クルージ(Trypanomoma cruzi)によって引き起こされるもの)または原虫感染症に起因する疾患(例えば、マラリアもしくはシャガス病);ウイルス感染症(例えば、インフルエンザウイルス)またはウイルス感染症に起因する疾患(例えば、インフルエンザ)である、項目85、98、103もしくは133のいずれかに記載の方法または項目107〜109、125もしくは133のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0411】
(項目137)
がんが、癌腫、好ましくは、結腸直腸がん、膀胱がん、前立腺がん、組織非形成甲状腺癌、皮膚扁平上皮癌、胃がん、肺がんもしくは乳がん(脳への転移性乳がんを含む);または肉腫、好ましくは、神経膠腫(例えば、星細胞腫)である、項目86、99もしくは133のいずれかに記載の方法または項目107〜109、126もしくは133のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0412】
(項目138)
心血管疾患が、動脈硬化性血管疾患(例えば、アテローム動脈硬化症およびアテローム発生)、急性冠症候群(例えば、心筋梗塞)または血管損傷(例えば、血栓症、塞栓症、血管炎、静脈性潰瘍、もしくは大動脈瘤)である、項目87、100、101、105もしくは133のいずれかに記載の方法または項目107〜109、127、128、132もしくは133のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0413】
(項目139)
バイオマーカーが、S100A9である、項目78〜105もしくは133〜138のいずれかに記載の方法または項目106〜138のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0414】
(項目140)
mRNAとしてバイオマーカーのレベルが決定される、項目139に記載の方法または項目139に記載のLSD1阻害剤。
【0415】
(項目141)
タンパク質としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目139に記載の方法または項目139に記載のLSD1阻害剤。
【0416】
(項目142)
S100A9単量体としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目141に記載の方法または項目141に記載のLSD1阻害剤。
【0417】
(項目143)
S100A8/S100A9ヘテロ二量体としてバイオマーカーのレベルが決定される、項目141に記載の方法または項目141に記載のLSD1阻害剤。
【0418】
(項目144)
試料が、末梢試料である、項目78〜105もしくは133〜143のいずれかに記載の方法または項目106〜108、110、118〜128もしくは133〜143のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0419】
(項目145)
末梢試料が、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包または皮膚生検試料である、項目144に記載の方法または項目144に記載のLSD1阻害剤。
【0420】
(項目146)
末梢試料が、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、または血清である、項目81〜83、91〜95もしくは134のいずれかに記載の方法または項目118〜122もしくは134のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0421】
(項目147)
LSD1阻害剤が、不可逆的LSD1阻害剤である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0422】
(項目148)
LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0423】
(項目149)
LSD1阻害剤が、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0424】
(項目150)
LSD1阻害剤が、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0425】
(項目151)
LSD1阻害剤が、式(III)の化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0426】
(項目152)
LSD1阻害剤が、式(VI)の化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0427】
(項目153)
LSD1阻害剤が、式(VIII)の化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0428】
(項目154)
LSD1阻害剤が、式(IX)の化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0429】
(項目155)
LSD1阻害剤が、式(X)の化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0430】
(項目156)
LSD1阻害剤が、式(XI)の化合物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0431】
(項目157)
LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0432】
(項目158)
LSD1阻害剤が、(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0433】
(項目159)
LSD1阻害剤が、4−((4−((((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)メチル)ピペリジン−1−イル)メチル)安息香酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目78〜105もしくは133〜146のいずれかに記載の方法または項目106〜146のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0434】
(項目160)
患者がヒトである、項目37〜40、42〜105もしくは133〜159のいずれかに記載の方法、項目41〜53、57〜61もしくは65〜77に記載の使用または項目106〜128もしくは131〜159のいずれかに記載のLSD1阻害剤。
【0435】
(項目161)
LSD1阻害剤とS100A9および/またはS100A8阻害剤とを含む組合せ。
【0436】
(項目162)
S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患の処置において使用するための、LSD1阻害剤とS100A9および/またはS100A8阻害剤とを含む組合せ。
【0437】
(項目163)
S100A9および/またはS100A8阻害剤が、コルチコステロイドである、項目161または162に記載の組合せ。
【0438】
(項目164)
S100A9および/またはS100A8阻害剤が、S100A9および/またはS100A8とTLR4またはRAGEとの間の相互作用を阻害する薬剤である、項目161または162に記載の組合せ。
【0439】
(項目165)
S100A9および/またはS100A8とTLR4またはRAGEとの間の相互作用を阻害する薬剤が、キノリン−3−カルボキサミドである、項目164に記載の組合せ。
【0440】
(項目166)
S100A9および/またはS100A8とTLR4またはRAGEとの間の相互作用を阻害する薬剤が、パキニモド、タスキニモド、またはラキニモドである、項目164または165に記載の組合せ。
【0441】
(項目167)
LSD1阻害剤と抗菌剤とを含む組合せ。
【0442】
(項目168)
細菌感染症または細菌感染症に起因する疾患の処置において使用するための、LSD1阻害剤と抗菌剤とを含む組合せ。
【0443】
(項目169)
LSD1阻害剤が、不可逆的LSD1阻害剤である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0444】
(項目170)
LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0445】
(項目171)
LSD1阻害剤が、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、または国際公開第2015/021128号パンフレットにおいて開示されている化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0446】
(項目172)
LSD1阻害剤が、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0447】
(項目173)
LSD1阻害剤が、式(III)の化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0448】
(項目174)
LSD1阻害剤が、式(VI)の化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0449】
(項目175)
LSD1阻害剤が、式(VIII)の化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0450】
(項目176)
LSD1阻害剤が、式(IX)の化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0451】
(項目177)
LSD1阻害剤が、式(X)の化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0452】
(項目178)
LSD1阻害剤が、式(XI)の化合物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0453】
(項目179)
LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0454】
(項目180)
LSD1阻害剤が、(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0455】
(項目181)
LSD1阻害剤が、4−((4−((((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)メチル)ピペリジン−1−イル)メチル)安息香酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、項目161〜168のいずれかに記載の組合せ。
【0456】
(項目182)
対象が、アルツハイマー病を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0457】
(項目183)
対象が、軽度認知障害を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0458】
(項目184)
対象が、ハンチントン病を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0459】
(項目185)
対象が、パーキンソン病を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0460】
(項目186)
対象が、認知症を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0461】
(項目187)
対象が、急性または慢性自己免疫性ニューロパチーを有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0462】
(項目188)
対象が、多発性硬化症を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0463】
(項目189)
対象が、慢性進行性多発性硬化症を有する、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
【0464】
(項目190)
対象が、アルツハイマー病を有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0465】
(項目191)
対象が、軽度認知障害を有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0466】
(項目192)
対象が、ハンチントン病を有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0467】
(項目193)
対象が、パーキンソン病を有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0468】
(項目194)
対象が、認知症を有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0469】
(項目195)
対象が、急性または慢性自己免疫性ニューロパチーを有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0470】
(項目196)
対象が、多発性硬化症を有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0471】
(項目197)
対象が、慢性進行性多発性硬化症を有する、項目37〜40もしくは57〜77のいずれかに記載の方法または項目41もしくは57〜77のいずれかに記載の使用。
【0472】
(項目198)
患者が、アルツハイマー病を有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0473】
(項目199)
患者が、軽度認知障害を有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0474】
(項目200)
患者が、ハンチントン病を有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0475】
(項目201)
患者が、パーキンソン病を有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0476】
(項目202)
患者が、認知症を有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0477】
(項目203)
患者が、急性または慢性自己免疫性ニューロパチーを有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0478】
(項目204)
患者が、多発性硬化症を有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0479】
(項目205)
患者が、慢性進行性多発性硬化症を有する、項目78〜80または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0480】
(項目206)
疾患が、CNS疾患である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0481】
(項目207)
疾患が、神経変性疾患である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0482】
(項目208)
疾患が、アルツハイマー病である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0483】
(項目209)
疾患が、軽度認知障害である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0484】
(項目210)
疾患が、ハンチントン病である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0485】
(項目211)
疾患が、パーキンソン病である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0486】
(項目212)
疾患が、認知症である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0487】
(項目213)
疾患が、自己免疫疾患である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0488】
(項目214)
疾患が、急性または慢性自己免疫性ニューロパチーである、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0489】
(項目215)
疾患が、多発性硬化症である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0490】
(項目216)
疾患が、慢性進行性多発性硬化症である、項目88〜90または139〜160のいずれかに記載の方法。
【0491】
(項目217)
疾患が、CNS疾患である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0492】
(項目218)
疾患が、神経変性疾患である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0493】
(項目219)
疾患が、アルツハイマー病である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0494】
(項目220)
疾患が、軽度認知障害である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0495】
(項目221)
疾患が、ハンチントン病である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0496】
(項目222)
疾患が、パーキンソン病である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0497】
(項目223)
疾患が、認知症である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0498】
(項目224)
疾患が、自己免疫疾患である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0499】
(項目225)
疾患が、急性または慢性自己免疫性ニューロパチーである、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0500】
(項目226)
疾患が、多発性硬化症である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0501】
(項目227)
疾患が、慢性進行性多発性硬化症である、項目110〜117または139〜160のいずれかに記載の使用のためのLSD1阻害剤。
【0502】
本明細書で使用される、試料中のバイオマーカーのレベルを決定することは、試料中のバイオマーカーの遺伝子発現のレベルを決定することまたは測定することと同義で使用される。試料中のバイオマーカーのレベルは、mRNAおよびタンパク質をはじめとする遺伝子産物を測定するための当技術分野において公知の任意の適する方法により決定することができる。そのような方法の非限定的な例としては、遺伝子から転写されたmRNAの量、遺伝子から転写されたmRNAの逆転写から生じるcDNAの量、または遺伝子によりコードされたタンパク質の量を検出することを含む。
【0503】
本発明による方法では、試料からのmRNAをバイオマーカーのレベルの決定に直接使用することができる。本発明による方法では、レベルをハイブリダイゼーションによって決定することができる。本発明による方法では、当技術分野において公知の方法を使用してRNAをcDNA(相補的DNA)に変換することができる。検出方法としては、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)、遺伝子発現分析、マイクロアレイ分析、遺伝子発現チップ分析、ハイブリダイゼーション技術およびクロマトグラフィー、ならびに当技術分野において公知の任意の他の技法、例えば、Ralph Rapley, “The Nucleic Acid Protocols Handbook”, published 2000, ISBN: 978-0-89603-459-4に記載されているものを挙げることができるが、これらに限定されない。DNAを検出する方法としては、PCR、リアルタイムPCR、デジタルPCR、ハイブリダイゼーション、マイクロアレイ分析、ならびに当技術分野において公知の任意の他の技法、例えば、Leland et al, “Handbook of Molecular and cellular Methods in Biology and Medicine”, published 2011, ISBN 9781420069389に記載されているものを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0504】
本発明による方法のうち、方法は、バイオマーカーのタンパク質発現レベルを検出するステップを含むことができる。John M. Walker, “The Protein Protocols Handbook”, published 2009, ISBN 978-1-59745-198-7に記載されているものなどの、任意の適するタンパク質検出、定量および比較方法を使用することができる。バイオマーカーのタンパク質発現レベルは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫放射定量測定法、インサイツイムノアッセイ、アルファLISAイムノアッセイ、タンパク質近接アッセイ、近接ライゲーションアッセイ技術(例えば、タンパク質qPCR)、ウエスタンブロット分析、免疫沈降アッセイ、免疫蛍光アッセイ、フローサイトメトリー、免疫組織化学的検査(IHC)、免疫電気泳動法、タンパク質免疫染色、共焦点顕微鏡法を含むがこれらに限定されない、抗−抗体または抗体断片によるタンパク質またはタンパク質複合体の認識を含む免疫アッセイによって;または抗体もしくは抗体断片が化学的プローブ、アプタマー、受容体、相互作用タンパク質によって置換される同様の方法、もしくは特異的方法でバイオマーカータンパク質を認識する別の生体分子による他の方法によって;またはフェルスター/蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、示差走査蛍光定量法(DSF)、マイクロフルイディクス、分光光度法、質量分析、酵素アッセイ、表面プラズモン共鳴、もしくはこれらの組合せによって検出することができる。イムノアッセイは、均一アッセイであってもよく、または不均一アッセイであってもよい。均一アッセイでは、免疫反応は、通常、特異的抗体、標識された分析物、および目的の試料を含む。標識から生じるシグナルは、標識された分析物に抗体が結合すると、直接または間接的に修飾される。免疫反応とその度合いの検出の両方を均一な溶液中で行うことができる。利用することができる免疫化学的標識には、遊離ラジカル、放射性同位元素、蛍光色素、酵素、バクテリオファージ、または補酵素が含まれる。不均一アッセイアプローチでは、試薬は、通常、試料、抗体、および検出可能なシグナルを生じさせる手段である。抗体をビーズ、プレートまたはスライドなどの支持体上に固定化し、液相に抗原を含有する疑いのある検体と接触させることができる。その後、支持体は液相から分離され、支持相または液相のどちらかが、検出可能なシグナルについて、そのようなシグナルを生じさせる手段を利用して検査される。シグナルは、試料中の分析物の存在に関係づけられる。検出可能なシグナルを生じさせる手段には、放射性標識、蛍光標識、または酵素標識が含まれる。
【0505】
本発明による方法では、目的のバイオマーカーに対する抗体を使用することができる。本発明による方法では、検出用のキットを使用することができる。そのような抗体およびキットは、商業的供給源、例えば、EMD Millipore、R&D Systems(生化学的アッセイについて)、Thermo Scientific Pierce Antibodies、Novus Biologicals、Aviva Systems Biology、Abnova Corporation、AbD Serotecまたはその他から入手可能である。あるいは、抗体を任意の公知の方法により合成することもできる。本明細書で使用される用語「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、およびキメラ抗体を含むことを意図したものである。抗体を受動的結合などの公知の技術に従って適切な固体支持体(例えば、プロテインAまたはプロテインGアガロースなどのビーズ、ラテックスまたはポリスチレンなどの材料から形成された小球体、プレート、スライドまたはウェル)にコンジュゲートさせることができる。同様に、本明細書に記載の抗体を、放射標識(例えば、35S)、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、Alexa、緑色蛍光タンパク質、ローダミン)(680nMで照射後のフタロシアニン含有ビーズによる一重項酸素の放出、その後の、ユーロピウムまたはテルビウムを含有するアクセプタービーズによる光の吸収および放出により生成されうる)およびオリゴヌクレオチド標識などの、検出可能な標識または基にコンジュゲートさてもよい。標識は、シグナルを直接生成することもあり、または間接的に生成することもある。公知の技法に従って、生成されるシグナルとしては、蛍光、放射活性、発光を挙げることができる。
【0506】
好ましくは、本発明による方法では、バイオマーカーのレベルは、qRT−PCTを使用してmRNAとして測定されるか、またはELISAアッセイもしくは近接ライゲーションアッセイ技術、例えば、タンパク質qPCRを使用してタンパク質として測定される。
【0507】
本明細書で使用される、LSD1阻害剤(LSD1i)は、LSD1を阻害する化合物である。当技術分野において公知の任意のLSD1阻害剤を本発明の方法および治療目的使用において使用することができる。不可逆的LSD1iと可逆的LSD1iの両方が報告されている。今日までに報告されているほとんどのLSD1iは、不可逆的LSD1iであり、これらは、LSD1活性部位内のFAD補因子と共有結合することによりそれらの阻害活性を発揮し、一般に、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ部分構造に基づく。LSD1のいくつかの可逆的阻害剤も文献に報告されている(例えば、DP Mould et al, Med.Res.Rev., 2015,35:586-618. doi:10.1002/med.21334, epub 24-nov-2014を参照されたい)。
【0508】
LSD1iの非限定的な例は、例えば、国際公開2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/022489号パンフレット、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2012/034116号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2013/025805号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、国際公開第2014/205213号パンフレット、国際公開第2015/021128号パンフレット、国際公開第2015/031564号パンフレット、米国特許出願公開第2015/0065434号明細書、国際公開第2007/021839号パンフレット、国際公開第2008/127734号パンフレット、国際公開第2015/089192号パンフレット、中国特許第104119280号明細書、中国特許第103961340号明細書、中国特許第103893163号明細書、中国特許第103319466号明細書、中国特許第103054869号明細書、K Taeko et al, Bioorg Med Chem Lett.2015, 25(9):1925-8. doi: 10.1016/j.bmcl.2015.03.030.Epub 2015 Mar 20, PMID: 25827526;S Valente et al, Eur J Med Chem.2015, 94:163-74. doi: 10.1016/j.ejmech.2015.02.060.Epub 2015 Mar 3, PMID:25768700;MN Ahmed Khan et al Med.Chem.Commun., 2015,6, 407-412, DOI: 10.1039/C4MD00330F epub 29 Sep 2014;M Pieroni et al, Eur J Med Chem.2015 ;92:377-386. doi: 10.1016/j.ejmech.2014.12.032.Epub 2015 Jan 7.PMID:25585008;V Rodriguez et al, Med.Chem.Commun., 2015,6, 665-670 DOI: 10.1039/C4MD00507D, Epub 23 Dec 2014;P Vianello et al, Eur J Med Chem.2014, 86:352-63. doi: 10.1016/j.ejmech.2014.08.068.Epub 2014 Aug 27;DP Mould et al, Med.Res.Rev., 2015,35:586-618. doi:10.1002/med.21334, epub 24-nov-2014;LY Ma et al, 2015, 58(4):1705-16. doi: 10.1021/acs.jmedchem.5b00037.Epub 2015 Feb 6;SL Nowotarski et al, 2015, 23(7):1601-12. doi: 10.1016/j.bmc.2015.01.049.Epub 2015 Feb 7.PMID:25725609;CJ Kutz et al Medchemcomm.2014, 5(12):1863-1870 PMID: 25580204;C Zhou et al, Chemical Biology & Drug Design,2015, 85(6):659-671. doi:10.1111/cbdd.12461, epub 22-dec-2014;P Prusevich et al, ACS Chem Biol.2014, 9(6):1284-93. doi: 10.1021/cb500018s.Epub 2014 Apr 7;B Dulla et al, Org Biomol Chem 2013,11, 3103-3107, doi: 10.1039/c3ob40217g;JR Hitchin et al, MedChemCommun,2013, 4, 1513-1522 DOI: 10.1039/c3md00226h;およびY Zhou et al,” Synthesis and biological evaluation of novel (E)-N'-(2, 3-dihydro-1H-inden-1-ylidene) benzohydrazides as potent LSD1 inhibitors”, Biorg Med Chem Lett, 2015, online publication 20-Jun-2015, doi:10.1016/j.bmcl.2015.06.054、国際公開第2014/194280号パンフレット、国際公開第2015/120281号パンフレット、国際公開第2015/123465号パンフレット、国際公開第2015/123437号パンフレット、国際公開第2015/123424号パンフレット、国際公開第2015/123408号パンフレット、国際公開第2015/134973号パンフレット、国際公開第2015/156417号パンフレット、国際公開第2015/168466号パンフレット、国際公開第2015/181380号パンフレット、国際公開第2015/200843号パンフレット、国際公開第2016/003917号パンフレット、国際公開第2016/004105号パンフレット、国際公開第2016/007722号パンフレット、国際公開第2016/007727号パンフレット、国際公開第2016/007731号パンフレット、国際公開第2016/007736号パンフレット、国際公開第2016/034946号パンフレット、国際公開第2016/037005号パンフレットにおいて開示されている。
【0509】
上に列挙した参考文献の中で、以下のものには不可逆的LSD1iが開示されている:国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、国際公開第2015/021128号パンフレット;K Taeko et al, Bioorg Med Chem Lett.2015, 25(9):1925-8. doi: 10.1016/j.bmcl.2015.03.030.Epub 2015 Mar 20, PMID: 25827526;S Valente et al, Eur J Med Chem.2015, 94:163-74. doi: 10.1016/j.ejmech.2015.02.060.Epub 2015 Mar 3, PMID:25768700;MN Ahmed Khan et al Med.Chem.Commun., 2015,6, 407-412, DOI: 10.1039/C4MD00330F epub 29 Sep 2014;M Pieroni et al, Eur J Med Chem.2015 ;92:377-386. doi: 10.1016/j.ejmech.2014.12.032.Epub 2015 Jan 7.PMID:25585008;V Rodriguez et al, Med.Chem.Commun., 2015,6, 665-670 DOI: 10.1039/C4MD00507D, Epub 23 Dec 2014;P Vianello et al, Eur J Med Chem.2014, 86:352-63. doi: 10.1016/j.ejmech.2014.08.068.Epub 2014 Aug 27、国際公開第2014/194280号パンフレット、国際公開第2015/123465号パンフレット、国際公開第2015/123437号パンフレット、国際公開第2015/123424号パンフレット、国際公開第2015/123408号パンフレット、国際公開第2015/156417号パンフレット、国際公開第2015/181380号パンフレット。
【0510】
本発明の方法および治療目的使用では、LSD1iは、好ましくは不可逆的LSD1iである。本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノLSD1iである。本明細書で使用される、「2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノLSD1i」または「2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノ化合物」は、化学構造が、置換されていてもよいアミノ基で1位が置換されており、かつアリールまたはヘテロアリール基(このアリールまたはヘテロアリール基は置換されていてもよい)で2位が置換されている、シクロプロピル環を含む、LSD1iを意味する。LSD1を阻害する化合物の能力は、LSD1阻害を判定するための当技術分野において公知の任意の方法、例えば、実施例1において開示する方法を使用して、in vitroで試験することができる。
【0511】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、好ましくは、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレット、国際公開第2014/058071号パンフレット、国際公開第2010/143582号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0324147号明細書、国際公開第2011/131576号パンフレット、国際公開第2014/084298号パンフレット、国際公開第2014/086790号パンフレット、国際公開第2014/164867号パンフレット、国際公開第2015/021128号パンフレット、国際公開第2014/194280号パンフレット、国際公開第2015/123465号パンフレット、国際公開第2015/123437号パンフレット、国際公開第2015/123424号パンフレット、国際公開第2015/123408号パンフレット、国際公開第2015/156417号パンフレットまたは国際公開第2015/181380号パンフレット(これらの各々の開示は、それら全体が参照により本明細書に組み入れられる)のいずれかにおいて開示されているような、好ましくは、国際公開2010/043721号パンフレット、国際公開第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレットまたは国際公開第2014/058071号パンフレットにおいて開示されているような、2−(ヘテロ)アリールシクロプロピルアミノLSD1iである。
【0512】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(I)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0513】
【化1】
【0514】
式(I)中、
R1〜R5の各々は、置換されていてもよく、−H、ハロ、アルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−L−アリール、−L−ヘテロアリール、−L−ヘテロシクリル、−L−炭素環、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリールアルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、シアノ、シアナト、ハロアリール、ヒドロキシル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、イソシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオシアナト、トリハロメタンスルホンアミド、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、およびC−アミドから独立して選択され;
R6は、−Hおよびアルキルから選択され;
R7は、−H、アルキルおよびシクロアルキルから選択され;
R8は、−C(=O)NRおよび−C(=O)Rから選択され;
は、存在する場合、−H、アルキル、アルキニル、アルケニル、−L−炭素環、−L−アリール、−L−ヘテロシクリルから選択され、これらのすべては置換されていてもよく;
は、存在する場合、−H、アルキル、アルキニル、アルケニル、−L−炭素環、−L−アリール、−L−ヘテロシクリルから選択され、これらのすべては置換されていてもよく;
は、存在する場合、−H、アルコキシ、−L−炭素環式基、−L−複素環式基、−L−アリールから選択され、ここで、アリール、ヘテロシクリルまたは炭素環は置換されていてもよく;
各Lは、飽和されていてもよく、部分的に飽和されていてもよく、または不飽和であってもよく、−(CH−(CH−、−(CHC(=O)(CH−、−(CHC(=O)NH(CH−、−(CHNHC(=O)O(CH−、−(CHNHC(=O)NH(CH−、−(CHNHC(=S)S(CH−、−(CHOC(=O)S(CH−、−(CHNH(CH−、−(CHO(CH−、−(CHS(CH−、および−(CHNHC(=S)NH(CH−から独立して選択され、ここで、各nは、0、1、2、3、4、5、6、7および8から独立して選択され、置換されていてもよいとは、アシルアミノ、アシルオキシ、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリールアルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、カルボシクリル、シアノ、シアナト、ハロ、ハロアルキル、ハロアリール、ヒドロキシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロアリールアルコキシ、イソシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオシアナト、トリハロメタンスルホンアミド、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、およびC−アミドから独立して選択される0または1〜4個の任意選択の置換基を指す。
【0515】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(I)の化合物が好ましい。
【0516】
好ましくは、式(I)の化合物は、下記のリストからの化合物:
N−シクロプロピル−2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}アセトアミド;
2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}アセトアミド;
N−シクロプロピル−2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}プロパンアミド;
2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}−N−プロパ−2−イニルアセトアミド;
N−イソプロピル−2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}アセトアミド;
N−(tert−ブチル)−2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}アセトアミド;
N−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)−N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミン;
2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}プロパンアミド;
メチル2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}プロパノエート;
N−シクロプロピル−2−{メチル[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}アセトアミド;
2−{メチル[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}アセトアミド;
N−メチル−trans−2−(フェニルシクロプロピルアミノ)プロパンアミド;
1−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)エタノン;
1−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)エタノン;
1−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)エタノン;
2−((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)−1−(4−フェニルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)−N−シクロプロピルアセトアミド;
2−((trans)−2−(4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−((trans)−2−(4−(3−クロロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−((trans)−2−(ビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
1−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−((trans)−2−(4−フェネトキシフェニル)シクロプロピルアミノ)エタノン;
2−((trans)−2−(4−(4−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−((trans)−2−(4−(ビフェニル−4−イルメトキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−({(trans)−2−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]シクロプロピル}アミノ)−N−シクロプロピルアセトアミド、
N−[(trans)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)シクロプロピル]}−N−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]アミン、
N−[2−オキソ−2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)エチル]−N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミン、
N−[2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミン、
N−[2−(4−エチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミン、
N−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミン、
2−((trans)−2−(4−ピリジン−3−イルフェニル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン、および
2−((trans)−2−(3’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタノン、
ならびにこれらの薬学的に許容される塩である。
【0517】
式(I)の化合物は、国際公開第2010/043721号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0518】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(II)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0519】
【化2】
【0520】
式(II)中、
R1〜R5の各々は、−H、ハロ、アルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−L−アリール、−L−ヘテロシクリル、−L−カルボシクリル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリールアルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、シアノ、シアナト、ハロアリール、ヒドロキシル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、イソシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオシアナト、トリハロメタンスルホンアミド、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、およびC−アミドから独立して選択され;
R6は、−Hおよびアルキルから選択され;
R7は、−H、アルキルおよびシクロアルキルから選択され;
R8は、−L−ヘテロシクリルであり、前記−L−ヘテロシクリルの環または環系は、ハロ、アルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−L−アリール、−L−ヘテロシクリル、−L−カルボシクリル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリールアルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、シアノ、シアナト、ハロアリール、ヒドロキシル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、イソシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオシアナト、トリハロメタンスルホンアミド、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、およびC−アミドから選択される0〜3個の置換基を有し、または
R8は、−L−アリールであり、前記−L−アリールの環または環系は、ハロ、アルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−L−アリール、−L−ヘテロシクリル、−L−カルボシクリル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキニル、アミノ、アルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリールアルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、シアノ、シアナト、ハロアリール、ヒドロキシル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、イソシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオシアナト、トリハロメタンスルホンアミド、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、およびC−アミドから選択される1〜3個の置換基を有し;
各Lは、−(CH−(CH−、−(CHNH(CH−、−(CHO(CH−、および−(CHS(CH−から独立して選択され、各nは、0、1、2および3から独立して選択される。
【0521】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(II)の化合物が好ましい。
【0522】
好ましくは、式(II)の化合物は、下記のリストからの化合物:
(trans)−N−(4−フルオロベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(4−フルオロベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミニウム;
4−(((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)メチル)ベンゾニトリル;
(trans)−N−(4−シアノベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミニウム;
(trans)−2−フェニル−N−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)シクロプロパンアミニウム;
(trans)−2−フェニル−N−(ピリジン−2−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(ピリジン−3−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(ピリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−((6−メチルピリジン−2−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(チアゾール−2−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(チオフェン−2−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−((3−ブロモチオフェン−2−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((4−ブロモチオフェン−2−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(3,4−ジクロロベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(3−フルオロベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミニウム;
(trans)−N−(2−フルオロベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(キノリン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−(3−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−((6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−((6−クロロピリジン−3−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((4−メチルピリジン−2−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((6−メトキシピリジン−2−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
2−(((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)メチル)ピリジン−3−オール;
(trans)−N−((6−ブロモピリジン−2−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
4−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)ベンゾニトリル;
(trans)−N−(4−(ベンジルオキシ)ベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−ベンジル−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(4−メトキシベンジル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(4−フルオロベンジル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(キノリン−2−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−((5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−((3−フルオロピリジン−2−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(キノリン−3−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−((6−メトキシピリジン−3−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((5−メトキシピリジン−3−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((2−メトキシピリジン−3−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((3H−インドール−3−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
3−(((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)メチル)ベンゾニトリル;
(trans)−N−(2−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
3−(((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)メチル)ピリジン−2−アミン;
(trans)−N−((2−クロロピリジン−3−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−2−フェニル−N−(4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−(5−フルオロ−2−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2−フルオロ−4−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((4−メトキシナフタレン−1−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2−フルオロ−6−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((2−メトキシナフタレン−1−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((4,7−ジメトキシナフタレン−1−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(3−クロロ−4−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(3−フルオロ−4−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(4−メトキシ−2−メチルベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−6−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((2,2−ジメチルクロマン−6−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(4−メトキシ−2,3−ジメチルベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(4−メトキシ−2,5−ジメチルベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2−フルオロ−4,5−ジメトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(3−クロロ−4,5−ジメトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2−クロロ−3,4−ジメトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2,4−ジメトキシ−6−メチルベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2,5−ジメトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2,3−ジメトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2−クロロ−3−メトキシベンジル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((1H−インドール−5−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(ピリジン−2−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(2−メトキシベンジル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−(1−(4−メトキシフェニル)エチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(1−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−イル)エチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(1−(5−フルオロ−2−メトキシフェニル)エチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−(1−(3,4−ジメトキシフェニル)プロパン−2−イル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(trans)−N−((3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)メチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;および
これらの薬学的に許容される塩である。
【0523】
式(II)の化合物は、国際公開第2010/084160号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0524】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(III)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
(A’)−(A)−(B)−(Z)−(L)−(D)
(III)
【0525】
式(III)中、
(A)は、ヘテロアリールまたはアリールであり;
各(A’)は、存在する場合、アリール、アリールアルコキシ、アリールアルキル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、およびシアノから独立して選択され、ここで、各(A’)は、ハロ、ハロアルキル、アリ−ル、アリールアルコキシ、アルキル、アルコキシ、シアノ、スルホニル、アミド、およびスルフィニルから独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換されており;
Xは、0、1、2または3であり;
(B)は、(A)および(Z)が(B)の異なる炭素原子と共有結合している、シクロプロピル環であり;
(Z)は、−NH−であり;
(L)は、−CHCH−、−CHCHCH−、および−CHCHCHCH−から選択され;
(D)は、−N(−R1)−R2、−O−R3、および−S−R3から選択され、ここで、
R1およびR2は相互に連結して、R1およびR2が結合している窒素原子と一緒に複素環式環を形成し、前記複素環式環は、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、アルキル、ハロ、シアノ、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシから独立して選択される0、1、2もしくは3個の置換基を有し、または
R1およびR2は、−H、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、およびヘテロシクリルから独立して選択され、ここで、R1およびR2上の置換基の合計は0、1、2または3個であり、置換基は、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C−Cアルキル)、およびフルオロから独立して選択され;
R3は、−H、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、およびヘテロシクリルから選択され、ここで、R3は、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、およびフルオロから独立して選択される0、1、2または3個の置換基を有する。
【0526】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(III)の化合物が好ましい。
【0527】
好ましくは、式(III)の化合物は、下記のリストからの化合物:
N−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミン;
N−シクロプロピル−N’−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]エタン−1,2−ジアミン;
N,N−ジメチル−N’−(2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}エチル)エタン−1,2−ジアミン;
(3R)−1−(2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}エチル)ピロリジン−3−アミン;
(3S)−N,N−ジメチル−1−(2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}エチル)ピロリジン−3−アミン;
(3R)−N,N−ジメチル−1−(2−{[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]アミノ}エチル)ピロリジン−3−アミン;
N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]−N−(2−ピペラジン−1−イルエチル)アミン;
N1,N1−ジエチル−N2−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)エタン−1,2−ジアミン;
N−[(trans)−2−フェニルシクロプロピル]−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)アミン;
(trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−N−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)−N−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;および
−シクロプロピル−N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロピル)エタン−1,2−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−N2−シクロプロピルエタン−1,2−ジアミン;
N1−((trans)−2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピル)−N2−シクロプロピルエタン−1,2−ジアミン;
N1−シクロプロピル−N2−((trans)−2−(4−フェネトキシフェニル)シクロプロピル)エタン−1,2−ジアミン;
N1,N1−ジエチル−N2−((trans)−2−(4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)エタン−1,2−ジアミン;
(trans)−2−(4−ブロモフェニル)−N−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
N1−((trans)−2−(テルフェニル−4−イル)シクロプロピル)−N2−シクロプロピルエタン−1,2−ジアミン;
(trans)−N−(2−(ピペリジン−1−イル)エチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロパンアミン;
N1,N1−ジエチル−N2−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロピル)エタン−1,2−ジアミン;
(trans)−N−(2−(ピペラジン−1−イル)エチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロパンアミン;
(S)−1−(2−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;および
(R)−1−(2−((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
N−(trans)−2−(イソブチルチオ)−エチル−2−フェニルシクロプロパンアミン、
N−trans−(2−エトキシエチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン、および
N−trans−(2−メトキシエチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン、
(R)−1−(2−((trans)−2−(4−(4−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(4−(ビフェニル−4−イルメトキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(3’,5’−ジクロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
N1−((trans)2−(2−[1,1’;4’,1’’]テルフェニル−4’’−イル−シクロプロピル)−N2−シクロプロピルエタン−1,2−ジアミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(6−(ベンジルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−3−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;および
(R)−1−(2−((trans)−2−(6−(ベンジルオキシ)ビフェニル−3−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(4−フェネトキシフェニル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(6−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;
(R)−1−(2−((trans)−2−(6−(4−クロロフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピルアミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン;および
4−((4−((trans)−2−(2−((R)−3−アミノピロリジン−1−イル)エチルアミノ)シクロプロピル)フェノキシ)メチル)ベンゾニトリル;
ならびにこれらの薬学的に許容される塩である。
【0528】
式(III)の化合物は、国際公開第2011/035941号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0529】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(IV)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
(A’)−(A)−(B)−(Z)−(L)−C(=O)NH
(IV)
【0530】
式(IV)中、
(A)は、ヘテロアリールまたはアリールであり;
各(A’)は、存在する場合、アリール、アリールアルコキシ、アリールアルキル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、およびシアノから独立して選択され、ここで、各(A’)は、ハロ、ハロアルキル、アリ−ル、アリールアルコキシ、アルキル、アルコキシ、シアノ、スルホニル、スルフィニル、およびカルボキサミドから独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換されており;
Xは、0、1、2または3であり;
(B)は、(A)および(Z)が(B)の異なる炭素原子と共有結合している、シクロプロピル環であり;
(Z)は、−NH−であり;
(L)は、−(CHCR−(式中、mは、0、1、2、3、4、5または6であり、RおよびRは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルである)であり、
但し、(L)が−CH−または−CH(CH)−である場合には、Xは0でないことを条件とする。
【0531】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(IV)の化合物が好ましい。
【0532】
好ましくは、式(IV)の化合物は、下記のリストからの化合物:
2−((trans)−2−(4−(4−シアノベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(3−シアノベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(4−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(3−クロロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−(3,5−ジフルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(4−フェネトキシフェニル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
2−((trans)−2−(6−(4−クロロフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
(R)−2−((trans)−2−(4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
(S)−2−((trans)−2−(4−(4−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
(R)−2−((trans)−2−(4−(4−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
(S)−2−((trans)−2−(4−(4−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
(R)−2−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
(S)−2−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
2−(2−[1,1’;4’,1’’]テルフェニル−4’’−イル−シクロプロピルアミノ)アセトアミド、
5’−((trans)−2−(2−アミノ−2−オキソエチルアミノ)シクロプロピル)−2’−(ベンジルオキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
5−((trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)ペンタンアミド、
3−((trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
4−((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)ブタンアミド、
5−((trans)−2−フェニルシクロプロピルアミノ)ペンタンアミド、
5−((trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)−2−メチルペンタンアミド、
4−((trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)−2−メチルブタンアミド、
3−((trans)−2−(4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)−2,2−ジメチルプロパンアミド、
3−((trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)プロパンアミド、
4−((trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピルアミノ)ブタンアミド、
4−((trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)ブタンアミド、
5−((trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)ペンタンアミド、
5−((trans)−2−(6−(ベンジルオキシ)ビフェニル−3−イル)シクロプロピルアミノ)ペンタンアミド、および
4−((trans)−2−(6−(ベンジルオキシ)ビフェニル−3−イル)シクロプロピルアミノ)ブタンアミド、
ならびにこれらの薬学的に許容される塩である。
【0533】
式(IV)の化合物は、国際公開第2011/042217号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0534】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(V)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0535】
【化3】
【0536】
式(V)中、
Eは、−N(R3)−、−O−、もしくは−S−であるか、または−X=X−であり;
およびXは、独立してC(R2)またはNであり;
およびXは、存在する場合、独立してC(R2)またはNであり;
(G)は、シクリル基であり;
各(R1)は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、−L1−シクリル、−L1−アミノ、−L1−ヒドロキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシ、尿素、カルバメート、アシル、またはカルボキシルから独立して選択され;
各(R2)は、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、−L1−シクリル、−L1−アミノ、−L1−ヒドロキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシ、尿素、カルバメート、アシル、またはカルボキシルから独立して選択され、ここで、各(R2)基は、1、2もしくは3個の独立して選択される任意選択の置換基を有するか、または2個の(R2)基が一緒になって、1、2もしくは3個の独立して選択される任意選択の置換基を有するヘテロシクリルもしくはアリール基を形成することもあり、前記任意選択の置換基は、アルキル、アルカノイル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ハロアルキル、シクロアルキル、カルボシクリル、アリールアルコキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、オキソ、アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、アミドアルキル、アミド、ニトロ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、スルホンアミド、スルフィニル、スルホニル、尿素、またはカルバメートから独立して選択され;
R3は、−Hまたは(C〜C)アルキル基であり;
各L1は、独立してアルキレンまたはヘテロアルキレンであり;
nは、0、1、2、3、4または5である。
【0537】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(V)の化合物が好ましい。
【0538】
好ましくは、式(V)の化合物は、下記のリストからの化合物:
(trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(テルフェニル−4−イル)シクロプロパンアミン;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ビフェニル−4−オール;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ビフェニル−3−オール;
(trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(6−(3,5−ジクロロフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(4−クロロフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(3−クロロフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(4−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)ベンゾニトリル;
(Trans)−2−(6−p−トリルピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(6−m−トリルピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェノール;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)ベンズアミド;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)ベンズアミド;
2−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェノール;
(Trans)−2−(6−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
5−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−フルオロフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−4−フルオロフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2,4−ジフルオロフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2,4,6−トリフルオロフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−クロロフェノール;
(Trans)−2−(6−(2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(6−(5−クロロチオフェン−2−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(6−(5−メチルチオフェン−2−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(6−(1H−インドール−6−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(6−(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−3−メチルピリジン−2−イル)フェノール;
(trans)−2−(6−(3−クロロフェニル)−5−メチルピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(5−メチル−6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(3−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(2−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(3−クロロ−5−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(2−クロロ−5−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−メトキシベンゾニトリル;
5−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2−メチルフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−4−クロロフェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェノール;
(trans)−2−(6−(2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)アセトアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;
(trans)−2−(6−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
5−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
(trans)−2−(6−(4−メチルチオフェン−3−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(2−クロロ−6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(2−(4−クロロフェニル)−6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
4−(3−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−2−イル)フェノール;
4−(3−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−2−イル)ベンズアミド;
(trans)−2−(2−メチル−6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシベンゾニトリル;
(trans)−2−(6−(3,4−ジフルオロ−5−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
5−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2,3−ジフルオロフェノール;
(trans)−2−(6−(3−クロロ−4−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
5−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−3−クロロ−2−フルオロフェノール;
(trans)−2−(6−(1H−インダゾール−6−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(6−(9H−カルバゾール−2−イル)ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
6−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)インドリン−2−オン;
6−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)ベンゾフラン−2(3H)−オン;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)プロパン−2−スルホンアミド;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−4−フルオロビフェニル−3−オール;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−5−クロロビフェニル−3−オール;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−5−クロロ−4−フルオロビフェニル−3−オール;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ビフェニル−3−イル)ベンゼンスルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ビフェニル−3−イル)プロパン−2−スルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ビフェニル−3−イル)メタンスルホンアミド;
N−(2−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)メタンスルホンアミド;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−4−メトキシベンゾニトリル;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ビフェニル−2−イル)メタンスルホンアミド;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−6−メトキシビフェニル−3−カルボニトリル;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−6−メトキシビフェニル−3−イル)メタンスルホンアミド;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−6−ヒドロキシビフェニル−3−カルボニトリル;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−6−ヒドロキシビフェニル−3−イル)メタンスルホンアミド;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−4−ヒドロキシベンゾニトリル;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)エタンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンスルホンアミド;
3−(6−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−3−イル)フェノール;
(Trans)−2−(5−(3−メトキシフェニル)ピリジン−2−イル)シクロプロパンアミン;
4−(6−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−3−イル)フェノール;
2−(6−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−3−イル)フェノール;
2−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チオフェン−2−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チオフェン−2−イル)フェノール;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チオフェン−2−イル)フェノール;
2−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−2−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−2−イル)フェノール;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−2−イル)フェノール;
2−(2−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−5−イル)フェノール;
3−(2−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−5−イル)フェノール;
2−(2−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−5−イル)フェノール;
3−(2−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−5−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリミジン−2−イル)フェノール;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリミジン−2−イル)フェノール;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−4−メトキシフェニル)メタンスルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−5−クロロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)メタンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−クロロフェニル)メタンスルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−4−フルオロ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)メタンスルホンアミド;
N−(5−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2−フルオロフェニル)メタンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)エタンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)−4−シアノベンゼンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェニル)−2−シアノベンゼンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−シアノベンゼンスルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−6−ヒドロキシ−[1,1’−ビフェニル]−3−カルボニトリル;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−2−オール;
4’−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−3’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−3−オール;
N−(3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)チアゾール−2−イル)フェニル)−2−シアノベンゼンスルホンアミド;
およびこれらの薬学的に許容される塩である。
【0539】
式(V)の化合物は、国際公開第2012/013727号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0540】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(VI)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
(A’)−(A)−(B)−(Z)−(L)−(D)
(VI)
【0541】
式(VI)中、
(A)は、ヘテロアリールまたはアリールであり;
各(A’)は、存在する場合、アリール、アリールアルコキシ、アリールアルキル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロアルコキシ、およびシアノから独立して選択され、ここで、各(A’)は、ハロ、ハロアルキル、アリールアルコキシ、アリ−ル、アリ−ルアルコキシ、アルキル、アルコキシ、アミド、−CHC(=O)NH、ヘテロアリール、シアノ、スルホニル、およびスルフィニルから独立して選択される0、1、2または3個の置換基で置換されており;
Xは、0、1、2または3であり;
(B)は、(A)および(Z)が(B)の異なる炭素原子と共有結合している、シクロプロピル環であり;
(Z)は、−NH−であり;
(L)は、単結合、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、および−CHCHCHCH−から選択され;
(D)は、脂肪族炭素環式基またはベンゾシクロアルキルであり、前記脂肪族炭素環式基または前記ベンゾシクロアルキルは、−NH、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、アルキル、ハロ、アミド、シアノ、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシから独立して選択される0、1、2または3個の置換基を有する。
【0542】
好ましくは、式(VI)中、
(A)は、アリールまたはヘテロアリールである。前記アリールは、好ましくはフェニルである。前記ヘテロアリールは、好ましくはピリジニル、ピリミジニルもしくはチオフェニルである;および/または
(A’)は、存在する場合、アリールもしくはアリールアルコキシである。前記アリールは、好ましくはフェニルである。前記アリールアルコキシは、好ましくはベンジルオキシであり、このすべてが、上で提供したように置換されていてもよい;および/または
(L)は、単結合である。
【0543】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(VI)の化合物が好ましい。
【0544】
好ましくは、式(VI)の化合物は、下記のリストからの化合物:
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−5,6−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−4,5−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
6−メトキシ−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
6−クロロ−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−6−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
7−メトキシ−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−アミン;
N−((trans)−2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピル)−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
N−((trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)シクロプロピル)−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
6−メトキシ−N−((trans)−2−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)シクロプロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
N−trans−(2−シクロヘキシルエチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(3−シクロヘキシルプロピル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(2−シクロヘプチルエチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)−N−(2−シクロヘキシルエチル)シクロプロパンアミン;
N−((trans)−2−(4−(3−ブロモベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−6−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン;
(Trans)−2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)−N−(2−シクロヘキシルエチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4’−クロロビフェニル−4−イル)−N−(2−シクロヘキシルエチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(2−シクロヘキシルエチル)−2−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)シクロプロパンアミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−アミン;および
1−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)シクロプロパンカルボキサミド;
ならびにこれらの薬学的に許容される塩である。
【0545】
式(VI)の化合物は、国際公開第2011/131697号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0546】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(VII)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0547】
【化4】
【0548】
式(VII)中、
Eは、−X=X−、−N(R3)−、−S−、または−O−であり;
およびXは、各々独立してC(R2)またはNであり;
およびXは、存在する場合、各々独立してC(R2)またはNであり;
L1は、−NH−または−NH−CH−であり;
Gは、シクリル基であり;
各R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、−L2−シクリル、−L2−アミノ、−L2−ヒドロキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシ、尿素、カルバメート、アシル、またはカルボキシルから独立して選択され;
各R2は、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、−L2−シクリル、−L2−アミノ、−L2−ヒドロキシル、アミノ、アミド、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシ、尿素、カルバメート、アシル、またはカルボキシルから独立して選択され、ここで、各R2基は、1、2もしくは3個の独立して選択される任意選択の置換基を有し、さらに、隣接炭素原子と結合している2個のR2基が一緒になって、1、2もしくは3個の独立して選択される任意選択の置換基を有するヘテロシクリルもしくはアリール基を形成することもあり、任意選択の置換基は、アルキル、アルカノイル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ハロアルキル、シクロアルキル、カルボシクリル、アリールアルコキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、オキソ、アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミノアルキル、アミドアルキル、アミド、ニトロ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、尿素またはカルバメートから各々独立して選択され;
R3は、−Hまたは(C1〜C6)アルキル基であり;
各L2は、アルキレンまたはヘテロアルキレンから独立して選択され;
nは、0、1、2、3、4または5である。
【0549】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(VII)の化合物が好ましい。
【0550】
好ましくは、式(VII)の化合物は、下記のリストからの化合物:
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−クロロフェニル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−クロロフェニル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−メトキシフェニル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−メトキシフェニル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−p−トリルピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−m−トリルピリジン−2−アミン;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリル;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリル;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)ベンズアミド;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)ベンズアミド;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−クロロベンジル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−クロロベンジル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−メチルベンジル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−メチルベンジル)ピリジン−2−アミン;
3−((5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)メチル)ベンゾニトリル;
4−((5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)メチル)ベンゾニトリル;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−メトキシベンジル)ピリジン−2−アミン;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−メトキシベンジル)ピリジン−2−アミン;
4−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)フェノール;
3−((5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)メチル)ベンズアミド;
4−((5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)メチル)ベンズアミド;
4−((5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)メチル)フェノール;
5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−エチニルフェニル)ピリジン−2−アミン;
N−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−1H−インドール−7−アミン;
N−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イル)−1H−インダゾール−7−アミン;
3−(5−((trans)−2−アミノシクロプロピル)ピリジン−2−イルアミノ)フェノール;
4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−メチルベンジル)アニリン;
4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)アニリン;
4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(3−クロロベンジル)アニリン;
3−(((4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾニトリル;
4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(p−トリル)アニリン;
4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)−N−(4−クロロフェニル)アニリン;
3−((4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)フェニル)アミノ)ベンゾニトリル;
N−(4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)フェニル)−3−メトキシアニリン;
3−((4−((trans)−2−アミノシクロプロピル)フェニル)アミノ)ベンズアミド;
およびこれらの薬学的に許容される塩である。
【0551】
式(VII)の化合物は、国際公開第2012/045883号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0552】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(VIII)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0553】
【化5】
【0554】
式(VIII)中、
(A)は、n個の置換基(R3)を有するシクリル基であり;
(B)は、シクリル基または−(L1)−シクリル基であり、前記シクリル基、または前記−(L1)−シクリル基に含まれるシクリル部分は、n個の置換基(R2)を有し;
(L1)は、−O−、−NH−、−N(アルキル)−、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり;
(D)は、ヘテロアリール基または−(L2)−ヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基、または前記−(L2)−ヘテロアリール基に含まれるヘテロアリール部分は、1個の置換基(R1)を有し、さらに、前記ヘテロアリール基は、環炭素原子を介して分子の残部と共有結合しており、または前記−(L2)−ヘテロアリール基に含まれるヘテロアリール部分は、環炭素原子を介して(L2)部分と共有結合しており;
(L2)は、−O−、−NH−、−N(アルキル)−、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり;
(R1)は、これらに限定されるものではないが−OH、−NH、アミド、−S(O)NH、−C(=O)NH、−CH−C(=O)NH、−NH−C(=O)CH、−NHCH、−N(CHまたは−CH−NHを含む、水素結合基であり;
各(R2)は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、C−アミド、アルキルアミノ、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アルコキシ、アシル、カルボキシル、カルバメートまたは尿素から独立して選択され;
各(R3)は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、C−アミド、アルキルアミノ、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、アルコキシ、アシル、カルボキシル、カルバメートまたは尿素から独立して選択され;
nは、独立して、0、1、2、3または4である。
【0555】
好ましくは、式(VIII)中、
(A)は、アリールまたはヘテロアリールである。前記アリールは、好ましくは、フェニルである。前記ヘテロアリールは、好ましくは、ピリジニルである;および/または
(B)は、−O−CH−フェニルもしくはフェニルであり、これらの各々が、n個の置換基R2で置換されていてもよい;および/または
(D)は、単環式ヘテロアリール、好ましくは、チアゾリル、オキサゾリルもしくはピリミジニル、より好ましくは、オキサジアゾリルである;および/または
(R1)は、−NHもしくは−NHCH、より好ましくは、−NHである。
【0556】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(VIII)の化合物が好ましい。
【0557】
好ましくは、式(VIII)の化合物は、下記のリストからの化合物:
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)ピリミジン−2−アミン;
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)チアゾール−2−アミン;
5−(((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピルアミノ)メチル)ピリミジン−2−アミン;
5−(((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピルアミノ)メチル)チアゾール−2−アミン;
3−(5−((trans)−2−((2−アミノピリミジン−5−イル)メチルアミノ)シクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−((2−アミノチアゾール−5−イル)メチルアミノ)シクロプロピル)ピリジン−2−イル)フェノール;
4’−((trans)−2−((2−アミノピリミジン−5−イル)メチルアミノ)シクロプロピル)ビフェニル−3−オール;
4’−((trans)−2−((2−アミノチアゾール−5−イル)メチルアミノ)シクロプロピル)ビフェニル−3−オール;
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−アミン;
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((4−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((3−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((3,5−ジフルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((4−クロロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((3−クロロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−N−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
N−(5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アセトアミド;
4’−((trans)−2−(((5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メチル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−オール;
5−((((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン;
2−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)チアゾール−5−アミン;
4−((((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)アミノ)メチル)チアゾール−2−アミン;
2−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)オキサゾール−5−アミン;
3−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)イソオキサゾール−5−アミン;
5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−N,N−ジメチル−1,3,4−オキサジアゾール−3−アミン;
3−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−アミン;
5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,2,4−チアジアゾール−3−アミン;
5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)ピリジン−2−アミン;
6−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)ピリダジン−3−アミン;
5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)ピラジン−2−アミン;
2−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)ピリミジン−5−アミン;
6−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,2,4−トリアジン−3−アミン;
3−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,2,4−トリアジン−6−アミン;
4’−((trans)−2−((2−アミノチアゾール−5−イル)メチルアミノ)シクロプロピル)ビフェニル−3−オール;
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−アミン;
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((4−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((3−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−((3−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−N−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)N−(5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アセトアミド;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)ピリミジン−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
4’−((trans)−2−((2−アミノチアゾール−5−イル)メチルアミノ)シクロプロピル)ビフェニル−3−オール;
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−アミン;
5−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((4−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
5−((((trans)−2−(4−((3−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピルアミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−((3−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−N−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
(−)N−(5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アセトアミド;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)ピリミジン−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン;
(−)5−((((trans)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン;
およびこれらの薬学的に許容される塩である。
【0558】
よりいっそう好ましくは、式(VIII)の化合物は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミン、またはその薬学的に許容される塩である。
【0559】
式(VIII)の化合物は、国際公開第2012/013728号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0560】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(IX)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0561】
【化6】
(式中、
Aは、アリールまたはヘテロアリールであり、前記アリールまたは前記ヘテロアリールは、1個または複数のRで置換されていてもよく;
Bは、水素、Rまたは−L−Eであり;
Eは、アリールまたはヘテロアリールであり、前記アリールまたは前記ヘテロアリールは、1個または複数のRで置換されていてもよく;
Lは、結合、−O−、−NH−、−N(C1〜4アルキル)−、C1〜4アルキレンまたはヘテロC1〜4アルキレンであり;
Dは、4〜7個のC原子を有するシクロアルキル基であり、前記シクロアルキル基は、1個または2個の置換基Rを有し、さらに、1個または複数のRで置換されていてもよく、シクロアルキル基は、任意選択で、
(a)フェニルに融合しており、またはN、OおよびSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員芳香族複素環式環に融合しており、前記融合されるフェニルまたは前記融合される芳香族複素環式環は、1個または複数のRで置換されていてもよく;または
(b)シクロアルキル基の任意の2個の非隣接環炭素原子を互いに連結するリンカー基−(C(R−(式中、pは、1または2であり、各Rは、独立して、水素またはC1〜4アルキルである)に結合しており;または
(c)3〜7員飽和炭素環式環であるか、またはN、OおよびSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する3〜7員飽和複素環式環である、第2の環に連結しており、ここで、前記第2の環は、シクロアルキル基と、両方の環に共通の単一の炭素原子を介して互いに連結しており、前記第2の環は、1個または複数のRで置換されていてもよく;
各Rは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、カルバメートおよび尿素から独立して選択され;
各Rは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、カルバメートおよび尿素から独立して選択され;
各Rは、−NR、−NHOH、−NRCOR10、−NRSO10、−NRCOOR10、−NRCONR、−NRSONR、−OH、−CONR、オキソ、−C1〜4アルキレン−NR、−C1〜4アルキレン−NHOH、−C1〜4アルキレン−NRCOR10、−C1〜4アルキレン−NRSO10、−C1〜4アルキレン−NRCOOR10、−C1〜4アルキレン−NRCONR、−C1〜4アルキレン−NRSONR、−C1〜4アルキレン−OHおよび−C1〜4アルキレン−CONRから独立して選択され;
各Rおよび各Rは、C1〜8アルキル、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシおよびC1〜8アルコキシから独立して選択され;
各Rは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、カルバメートおよび尿素から独立して選択され;
各Rおよび各Rは、水素、C1〜8アルキル、R1213N−C1〜8アルキルおよびヒドロキシC1〜8アルキルから独立して選択されるか、またはRおよびRは互いに連結して、それらが結合しているN原子とともに、N、OおよびSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有していてもよい飽和3〜7員複素環式環を形成し、前記複素環式環内の1個または複数のC原子は、酸化されてCO基を形成していてもよく、前記複素環式環内の1個または複数のS原子は、存在する場合、酸化されてSO基またはSO基を独立して形成していてもよく、前記複素環式環は、1個または複数のR11で置換されていてもよく;
各Rは、水素およびC1〜4アルキルから独立して選択され;
各R10は、C1〜8アルキル、ハロC1〜8アルキル、シクリルおよびシクリルC1〜8アルキルから独立して選択され、前記シクリル、または前記シクリルC1〜8アルキルに含まれるシクリル部分は、1個または複数のR14で置換されていてもよく;
各R11は、C1〜8アルキル、ハロ、C1〜8アルコキシ、ヒドロキシルおよび−NR1213から独立して選択され;
各R12および各R13は、水素およびC1〜8アルキルから独立して選択され;
各R14は、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、カルバメートおよび尿素から独立して選択され;
各R、R、RおよびRは、水素、ハロおよびC1〜4アルキルから独立して選択される)。
【0562】
好ましくは、式(IX)中、
(A)は、フェニル、チアゾリルまたはピリジル、好ましくはフェニルであり、これらの環は、1個もしくは複数のR1で置換されていてもよく、および/または
(B)は、Hであり、および/または
(R1)は、C1〜8アルキル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、カルバメートおよび尿素、より好ましくは、ハロ、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシおよびC3〜6シクロアルキルであり;および/または
(D)は、D1、D2、D3およびD4:
【0563】
【化7】
から選択され、より好ましくはD3であり;および/または
(R3)は、−NR、−NHOH、−NRCOR10、−NRSO10、−NRCOOR10、−NRCONR、−NRSONR、−OH、−CONR、オキソ、−C1〜4アルキレン−NR、−C1〜4アルキレン−OHおよび−C1〜4アルキレン−CONRから選択され、より好ましくは、−NR、−OH、−C1〜4アルキレン−NR、および−C1〜4アルキレン−OHから選択され、よりいっそう好ましくは、−NR(例えば、−NH2)であり;および/または
各R、R、RおよびRは、水素である。
【0564】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(IX)の化合物が好ましい。
【0565】
好ましくは、式(IX)の化合物は、下記のリストからの化合物:
N1−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1S,2R)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1S,2R)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
4−(((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)アミノ)シクロヘキサノール;
4−(((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)アミノ)シクロヘキサンカルボキサミド;
N−(4−(((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)アミノ)シクロヘキシル)アセトアミド;
N−(4−(((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)アミノ)シクロヘキシル)メタンスルホンアミド;
(R)−1−(4−(((trans)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)シクロヘキシル)ピロリジン−3−アミン;
N1−((trans)−2−(4’−クロロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(3’−クロロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
4’−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−オール;
N−(4’−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)メタンスルホンアミド;
N1−((trans)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−((3−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−((4−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−メチル−N4−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−メチル−N4−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−N4−メチルシクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)シクロブタン−1,3−ジアミン;
N1−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)シクロブタン−1,3−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロブタン−1,3−ジアミン;
N1−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1,3−ジアミン;
N1−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1,3−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1,3−ジアミン;
N1−((trans)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((1S,2S)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((1R,2R)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
1−メチル−N4−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
4−(アミノメチル)−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサンアミン;
N1−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,3−ジアミン;
N1−((cis)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
Tert−ブチル(4−(((trans)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)シクロヘキシル)カルバメート;
1−エチル−3−(4−(((trans)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)シクロヘキシル)尿素;
4−モルホリノ−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサンアミン;
N1−((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−(2−(o−トリル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−(2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−(2−(4−メトキシフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
4−(2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)フェノール;
N1−(2−(2−フルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−(2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−(2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−(2−メチル−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(R)−1−(4−(((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)アミノ)シクロヘキシル)ピロリジン−3−アミン;
(Cis)−N1−((1S,2R)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(Trans)−N1−((1S,2R)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロ−プロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(Cis)−N1−((1R,2S)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロ−プロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(Trans)−N1−((1R,2S)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロ−プロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−シクロプロピルフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(ピリジン−3−イル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(1H−インダゾール−6−イル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
3−(5−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)チオフェン−2−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)チアゾール−2−イル)フェノール;
3−(5−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)ピリジン−2−イル)−5−メトキシベンゾニトリル;
5−(5−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)ピリジン−2−イル)−2−メチルフェノール;
N−(4’−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−6−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)メタンスルホンアミド;
N−(3−(5−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)チアゾール−2−イル)フェニル)−2−シアノベンゼンスルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−2−シアノベンゼンスルホンアミド;
6−アミノ−N−(4’−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ピリジン−3−スルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ピペラジン−1−スルホンアミド;
N1−((cis)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−((3−(ピペラジン−1−イル)ベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(ピリジン−3−イルメトキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(6−((3−メチルベンジル)アミノ)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
3−((5−((trans)−2−((4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)ピリジン−2−イル)アミノ)ベンゾニトリル;
N1−((trans)−2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(o−トリル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(4−メトキシフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(2−フルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N1−((trans)−2−メチル−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1S,2R)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1R,2S)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1R,2S)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1S,2R)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1S,2R)−2−フェニルシクロプロピル)シクロブタン−1,3−ジアミン;
(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロブタン−1,3−ジアミン;
(cis)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロブタン−1,3−ジアミン;
(trans)−N1−((1S,2R)−2−フェニルシクロプロピル)シクロブタン−1,3−ジアミン;
(cis)−N1−((1S,2R)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1S,2R)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1S,2R)−2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1R,2S)−2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1R,2S)−2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1S,2R)−2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1S,2R)−2−(4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1R,2S)−2−(4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1R,2S)−2−(4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1S,2R)−2−(4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
N−(4’−((1R,2S)−2−(((cis)−4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ピペラジン−1−スルホンアミド;
N−(4’−((1S,2R)−2−(((trans)−4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ピペラジン−1−スルホンアミド;
N−(4’−((1S,2R)−2−(((cis)−4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ピペラジン−1−スルホンアミド;
N−(4’−((1R,2S)−2−(((trans)−4−アミノシクロヘキシル)アミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ピペラジン−1−スルホンアミド;
(cis)−N1−((1S,2R)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1R,2S)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(cis)−N1−((1R,2S)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
(trans)−N1−((1S,2R)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)シクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン;
およびこれらの薬学的に許容される塩である。
【0566】
よりいっそう好ましくは、式(IX)の化合物は、(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン、またはその薬学的に許容される塩である。
【0567】
式(IX)の化合物は、国際公開第2013/057322号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0568】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(X)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0569】
【化8】
(式中、
Aは、アリールもしくはヘテロアリールであり、前記アリールもしくはヘテロアリールは、1個もしくは複数のRで置換されていてもよく;
Bは、H、Rもしくは−L−Eであり;
Eは、アリールもしくはヘテロアリールであり、前記アリールもしくは前記ヘテロアリールは、1個もしくは複数のRで置換されていてもよく;
は、結合、−O−、−NH−、−N(C1〜4アルキル)−、C1〜4アルキレンもしくはヘテロC1〜4アルキレンであり;
は、結合であり、Dは、
(i)N、OおよびSから独立して選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する3〜7員単環式飽和複素環式環、および
(ii)少なくとも1つの飽和複素環式環を含む7〜15員多環式環系であって、N、OおよびSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する多環式環系
から選択される環式基であり、
環式基(i)もしくは(ii)は、環C原子を介して式Iの化合物の残部に連結されており、
環式基(i)もしくは(ii)中の1個もしくは複数のC原子は、酸化されてCO基を形成していてもよく、
環式基(i)もしくは(ii)中の1個もしくは複数のS原子は、存在する場合、酸化されてSO基もしくはSO基を独立して形成していてもよく、
環式基(i)もしくは(ii)は、1個もしくは複数のRで置換されていてもよく;または
は、C1〜4アルキレンであり、Dは、
(iii)N、OおよびSから独立して選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含有する3〜7員単環式飽和複素環式環、および
(iv)少なくとも1つの複素環式環を含む7〜15員多環式飽和環系であって、N、OおよびSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する多環式飽和環系
から選択される環式基であり、
環式基(iii)もしくは(iv)は、環C原子を介して式Iの化合物の残部に連結されており、
環式基(iii)もしくは(iv)中の1個もしくは複数のC原子は、酸化されてCO基を形成していてもよく、
環式基(iii)もしくは(iv)中の1個もしくは複数のS原子は、存在する場合、酸化されてSO基もしくはSO基を独立して形成していてもよく、
環式基(iii)もしくは(iv)は、1個もしくは複数のRで置換されていてもよく;
各Rは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、カルバメートおよび尿素から独立して選択され;
各Rは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、カルバメートおよび尿素から独立して選択され;
各Rは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、シクリル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ニトロ、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、O−カルボキシ、C−カルボキシ、カルバメートおよび尿素から独立して選択され;
各R、R、RおよびRは、水素、ハロおよびC1〜4アルキルから独立して選択される。
【0570】
好ましくは、式(X)中、
(A)は、フェニル、チアゾリルもしくはピリジル、好ましくはフェニルであり、これらの環は、1個もしくは複数のR1で置換されていてもよく、ならびに/または
(B)は、Hであり、ならびに/または
(R)は、C1〜8アルキル、アミノ、アミド、ヒドロキシル、ハロ、ハロC1〜8アルキル、ハロC1〜8アルコキシ、シアノ、スルホンアミド、C1〜8アルコキシ、アシル、カルボキシル、カルバメートおよび尿素、より好ましくは、ハロ、C1〜4アルキル、ハロC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシおよびC3〜6シクロアルキルであり;ならびに/または
L2は、結合であり、(D)は、N、OおよびSから選択される1個のヘテロ原子を含有する3〜7員単環式飽和複素環式環であり、ここで、Dは、Cを介して式(X)の化合物の残部に連結されており、より好ましくは、1個のN原子を含有する3〜7員単環式飽和複素環式環であり、ここで、Dは、Cを介して式(X)の化合物の残部に連結されており、よりいっそう好ましくは、Dは、4−ピペリジニルであり、またはL2は結合であり、(D)は、(a)、(b)、(c)および(d)
【0571】
【化9】
から選択される環系であり、ここで、いずれのDも1個もしくは複数のR3で置換されていてもよく;ならびに/または
各Rw、Rx、RyおよびRzは、水素である。
【0572】
シクロプロピル環上の置換基に関して(trans)配置を有する式(X)の化合物が好ましい。
【0573】
好ましくは、式(X)の化合物は、下記のリストからの化合物:
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2R)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン;
N−((trans)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピロリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピロリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピロリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)アゼチジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)アゼチジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アゼチジン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)アゼパン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)デカヒドロキノリン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2−アザスピロ[4.5]デカン−8−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−3−アミン;
N−((1S,2R)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2R)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2S)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2R)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2R)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−7−アザスピロ[3.5]ノナン−2−アミン;
N−(2−(o−トリル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(2−フルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(4−メトキシフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−メチル−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(6−メトキシ−4’−((trans)−2−(ピペリジン−4−イルアミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)メタンスルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−(ピペリジン−4−イルアミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−スルホンアミド;
1−(メチルスルホニル)−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
1−(4−(((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)アミノ)ピペリジン−1−イル)エタノン;
4−(((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキサミド;
N−((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン;
2,2,6,6−テトラメチル−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
1−メチル−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
1−イソプロピル−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−1−(ピリジン−4−イル)ピペリジン−4−アミン;
4−(((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)アミノ)テトラヒドロ−2H−チオピラン1,1−ジオキシド;
N−((trans)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2S)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2R)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−メチル−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(o−トリル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(2−フルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(4−メトキシフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
(Trans)−2−フェニル−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−フェニル−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−フェニル−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4’−クロロ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−N−(2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−2−フェニル−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−2−フェニル−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−2−フェニル−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−2−フェニル−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(1S,2S)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロパンアミン;
(1R,2R)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロパンアミン;
(1S,2S)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロパンアミン;
(1R,2R)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロパンアミン;
(1S,2R)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(1R,2S)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−フェニル−N−(ピロリジン−3−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4−((2−フルオロベンジル)オキシ)フェニル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(アゼチジン−3−イルメチル)−2−フェニルシクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4−シクロプロピルフェニル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2−(4−(ピリジン−3−イル)フェニル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェニル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(Trans)−2−(ナフタレン−2−イル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
2−メチル−2−フェニル−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−メチル−2−フェニル−N−(ピペリジン−4−イルメチル)シクロプロパンアミン;
(trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−N−((1−メチルピペリジン−4−イル)メチル)シクロプロパンアミン;
およびこれらの薬学的に許容される塩である。
【0574】
さらにいっそう好ましくは、式(X)の化合物は、下記のリストからの化合物:
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2R)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(6−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジン−3−イル)シクロプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン;
N−((trans)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピロリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピロリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピロリジン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)アゼチジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)アゼチジン−3−アミン;
N−((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アゼチジン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)アゼパン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)デカヒドロキノリン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2−アザスピロ[4.5]デカン−8−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−3−アミン;
N−((1S,2R)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2R)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−(ピリジン−3−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2S)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2R)−2−(チアゾール−5−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2R)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2S)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−7−アザスピロ[3.5]ノナン−2−アミン;
N−(2−(o−トリル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(2−フルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(4−メトキシフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(2−メチル−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−(6−メトキシ−4’−((trans)−2−(ピペリジン−4−イルアミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)メタンスルホンアミド;
N−(4’−((trans)−2−(ピペリジン−4−イルアミノ)シクロプロピル)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)プロパン−2−スルホンアミド;
1−(メチルスルホニル)−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
1−(4−(((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)アミノ)ピペリジン−1−イル)エタノン;
4−(((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキサミド;
N−((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン;
2,2,6,6−テトラメチル−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
1−メチル−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
1−イソプロピル−N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−フェニルシクロプロピル)−1−(ピリジン−4−イル)ピペリジン−4−アミン;
4−(((trans)−2−(4−ブロモフェニル)シクロプロピル)アミノ)テトラヒドロ−2H−チオピラン1,1−ジオキシド;
N−((trans)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1S,2S)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((1R,2R)−2−フルオロ−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(ナフタレン−2−イル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−メチル−2−フェニルシクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(o−トリル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(2−フルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
N−((trans)−2−(4−メトキシフェニル)シクロプロピル)ピペリジン−4−アミン;
またはこれらの薬学的に許容される塩である。
【0575】
式(X)の化合物は、国際公開第2013/057320号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0576】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(XI)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0577】
【化10】
(式中、
は、C〜Cアルキル、−NSOMe、−NSOPh、アリールアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、−NC(O)R、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、水素、アミド、アミノ、置換アミノ、および−C(O)ORからなる群から選択され;
は、水素もしくはCOOHであり;
各Rは、アリール、ヘテロアリール、水素、C〜Cアルキル、−SO、−NC(O)R、−CHC(O)OR、−C(O)OR、−C(O)R、−C(O)NR、置換アミノ、アミノ、尿素、アミド、スルホンアミド、アリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルからなる群から独立して選択され;
各Rは、独立して、水素、フェニル、フェニルメチル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、1,2−ジメチル−1H−イミダゾール−4−イル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、もしくは−NHPhであり;
は、水素もしくはC〜Cアルキルであるか、もしくは同じ原子に結合しているとき;
およびRは一緒に、5もしくは6員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、C〜Cアルキル、アシル、−C(O)CFもしくは水素であり;
Wは、−(CH1〜4、もしくは−CH(R)(CH0〜3(式中、RはCNもしくはC〜Cアルキルである)であり;
Yは、NもしくはCであり;
Xは、NもしくはCであり;
Zは、O、もしくは(CH(この式中のqは0〜2であり、qが0である場合、Zは結合を表す)であり、;
mは、0〜3であり、nは、0〜3であり;但し、
但し、ZがOである場合、YはNであり、XはCであることを条件とし;
XがCである場合、Xに結合しているRの少なくとも1つは水素でないことも条件とする)。
【0578】
式(XI)の化合物は、国際公開第2012/135113号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0579】
好ましくは、式(XI)の化合物は、国際公開第2012/135113号パンフレットの実施例1〜150からの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。よりいっそう好ましくは、式(XI)の化合物は、4−((4−((((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)メチル)ピペリジン−1−イル)メチル)安息香酸またはその薬学的に許容される塩である。
【0580】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(XII)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
式(XII)により表される化合物:
【0581】
【化11】
(式中、
Aは、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環式基であり;
Bは、さらなる置換基を有していてもよいベンゼン環であり;
、RおよびRは、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環式基であり;
AおよびRは、互いに結合して、隣接窒素原子と一緒に、置換基を有していてもよい環式基を形成していてもよく;
およびRは、互いに結合して、隣接窒素原子と一緒に、置換基を有していてもよい環式基を形成していてもよい)。
【0582】
式(XII)の化合物は、国際公開第2012/058071号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0583】
好ましくは、式(XII)の化合物は、国際公開第2014/058071号パンフレットの実施例1〜273からの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。より好ましくは、式(XII)の化合物は、3−(trans−2−((シクロプロピルメチル)アミノ)シクロプロピル)−N−(5−メチル−1,2−オキサゾール−3−イル)ベンズアミド、3−(trans−2−((1−シクロプロピルピペリジン−4−イル)アミノ)シクロプロピル)−N−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ベンズアミド、3−(trans−2−((シクロブチルアミノ)シクロプロピル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ベンズアミド、またはその塩である。
【0584】
本発明による方法および使用では、LSD1阻害剤は、式(XIII)の化合物、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは立体異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物であってもよい:
【0585】
【化12】
(式中、
Aは、置換基を有してもよい炭化水素基、または置換基を有してもよい複素環式基であり;
Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、もしくは置換基を有していてもよい複素環式基であり;または
AおよびRは、互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよく;
、Q、QおよびQは、互いに独立して、水素原子はたは置換基であり;QとQ、およびQとQは、各々が互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよく;
Xは、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい飽和環式基であり;
、YおよびYは、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環式基であり;
XとY、およびYとYは、各々が互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよく;
、ZおよびZは、各々独立して、水素原子または置換基である)。
【0586】
式(XIII)の化合物は、国際公開第2013/022047号パンフレットにおいて開示されている方法により調製することができ、このパンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0587】
好ましくは、式(XIII)の化合物は、国際公開第2013/022047号パンフレットの実施例1〜166からの化合物、またはその薬学的に許容される塩である。より好ましくは、式(XIII)の化合物は、N−(4−(trans−2−[(シクロプロピルメチル)アミノ]シクロプロピル)フェニル)ビフェニル−4−カルボキサミド、N−(4−(trans−2−[(1−メチルピペリジン−4−イル)アミノ]シクロプロピル)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、N−(4−(trans−2−[(シクロプロピルメチル)アミノ]シクロプロピル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、またはその塩である。
【0588】
好ましくは、本発明の方法および治療応用で使用されることになるLSD1阻害剤は、選択的LSD1阻害剤または二重LSD1/MAO−B阻害剤である。
【0589】
本明細書で使用される、選択的LSD1阻害剤は、LSD1を阻害する化合物であって、かつMAO−AおよびMAO−Bに対するIC50値に比べて少なくとも2分の1の低さ(すなわち、強力)である、LSD1に対するIC50値を有する化合物である。より好ましくは、選択的LSD1阻害剤は、MAO−AおよびMAO−Bに対するIC50値に比べて少なくとも5分の1の低さである、LSD1に対するIC50値を有する。よりいっそう好ましくは、選択的LSD1阻害剤は、MAO−AおよびMAO−Bに対するIC50値に比べて少なくとも10分の1の低さである、LSD1に対するIC50値を有する。
【0590】
本明細書で使用される、二重LSD1/MAO−B阻害剤は、LSD1およびMAO−Bを阻害する化合物であって、MAO−Aに対するIC50値に比べて少なくとも2分の1の低さ(すなわち、強力)である、LSD1およびMAO−Bに対するIC50値を有する。より好ましくは、二重LSD1/MAO−B阻害剤は、MAO−Aに対するIC50値に比べて少なくとも5分の1の低さである、LSD1およびMAO−Bに対するIC50値を有する。よりいっそう好ましくは、二重LSD1/MAO−B阻害剤は、MAO−Aに対するIC50値に比べて少なくとも10分の1の低さである、LSD1およびMAO−Bに対するIC50値を有する。
【0591】
LSD1、MAO−AおよびMAO−Bを阻害する化合物の能力、ならびにLSD1、MAO−AおよびMAO−Bに対するそのIC50値は、実施例1で説明する方法に従って判定することができる。
【0592】
本発明の方法において使用するための好ましいLSD1阻害剤は、式(I)〜(XIII)の化合物、好ましくは、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)および(XIII)の化合物、より好ましくは、式(III)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)および(XI)の化合物について上で提供した例のリストに列挙した化合物、よりいっそう好ましくは、式(VIII)、(IX)、(X)および(XI)の化合物について上で提供した例のリストに列挙した化合物である。
【0593】
本発明の方法において使用するための特に好ましいLSD1阻害剤は、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0594】
本発明の方法において使用するための他の好ましいLSD1阻害剤は、
(trans)−N1−((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン−1,4−ジアミン、または
4−((4−((((1R,2S)−2−フェニルシクロプロピル)アミノ)メチル)ピペリジン−1−イル)メチル)安息香酸、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0595】
活性化合物、すなわちLSD1阻害剤は、治療において使用するためにそのまま直接投与されうる可能性もあるが、活性医薬成分としての化合物とともに1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物の形態で通常は投与される。
【0596】
活性化合物は、それらの本来の目的を果す任意の手段により投与することができる。例としては、経口、非経口、静脈内、皮下または局所経路による投与が挙げられる。
【0597】
経口送達のために、活性化合物を、薬学的に許容される担体、例えば、結合剤(例えば、ゼラチン、セルロース、トラガカントゴム)、賦形剤(例えば、デンプン、ラクトース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素)、崩壊剤(例えば、アルギネート、プリモゲル、およびコーンスターチ)、および甘味または着香剤(例えば、グルコース、スクロース、サッカリン、サリチル酸メチル、およびペパーミント)を含む製剤に組み込むことができる。その製剤を、封入ゼラチンカプセルまたは圧縮錠剤の形態で経口送達することができる。カプセルおよび錠剤を、任意の従来の技法で調製することができる。カプセルおよび錠剤は、当技術分野において公知の様々なコーティング剤でコーティングして、カプセルおよび錠剤の風味、食味、色および形状を修飾することもできる。加えて、脂肪油などの液体担体をカプセルに含めることもできる。
【0598】
適する経口製剤は、懸濁剤、シロップ、チューインガム、ウェハース、エリキシル錠などの形態であってもよい。必要に応じて、これらの特別な形態の風味、食味、色および形状を修飾するための従来の薬剤を含めることもできる。加えて、嚥下することができない患者における経腸栄養チューブによる従来の投与のために、活性化合物をオリーブ油、トウモロコシ油およびベニバナ油などの許容可能な脂溶性植物油ビヒクルに溶解することができる。
【0599】
活性化合物は、溶液もしくは懸濁液の形態で、または使用前に溶液もしくは懸濁液に変換することができる凍結乾燥形態で、非経口投与することもできる。そのような製剤には、希釈剤または薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水および生理食塩緩衝液を使用することができる。他の従来の溶媒、pH緩衝剤、安定剤、抗菌剤、界面活性剤および抗酸化剤を、すべて、含めることができる。例えば、有用な成分には、塩化ナトリウム、酢酸、クエン酸またはリン酸緩衝液、グリセリン、デキストロース、固定油、メチルパラベン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、亜硫酸水素ナトリウム、ベンジルアルコール、アスコルビン酸などが含まれる。非経口製剤は、バイアルおよびアンプルなどの任意の従来の容器で保存することができる。
【0600】
局所投与経路には、経鼻、頬側、粘膜、直腸または膣内適用が含まれる。局所投与のために、活性化合物をローション、クリーム、軟膏、ゲル、パウダー、ペースト、噴霧剤、懸濁剤、滴剤およびエアロゾルに製剤化することができる。したがって、1つまたは複数の増粘剤、保湿剤、および安定剤を製剤に含めてもよい。そのような薬剤の例としては、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キサンタンガム、ワセリン、蜜蝋、または鉱油、ラノリン、スクアレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。局所投与の特別な形態は、経皮パッチにより送達される。経皮パッチを調製する方法は、例えば、参照により本明細書に組み入れられるBrown, et al.(1988) Ann.Rev. Med.39:221-229に記載されている。
【0601】
活性化合物の徐放のための皮下埋め込みもまた適する投与経路でありうる。これは、活性化合物を任意の適する製剤で皮下腔に、例えば前腹壁の真下に埋め込むための外科手技を必要とする。例えば、Wilson et al.(1984) J. Clin.Psych.45:242-247を参照されたい。活性化合物の徐放のために担体としてヒドロゲルを使用してもよい。ヒドロゲルは、当技術分野において一般に公知である。ヒドロゲルは、高分子量の生体適合性ポリマーを架橋させて網目構造にし、それを水に膨潤させてゲル様物質を形成することにより、概して製造される。好ましくは、ヒドロゲルは、生分解性または生体吸収性である。本発明では、ポリエチレングリコール製、コラーゲン製、またはグリコール酸・L−乳酸共重合体製のヒドロゲルが有用でありうる。例えば、Phillips et al.(1984) J. Pharmaceut.Sci., 73: 1718-1720を参照されたい。
【0602】
活性化合物を水溶性非免疫原性非ペプチド性高分子量ポリマーにコンジュゲートさせて、高分子コンジュゲートを形成することもできる。例えば、活性化合物をポリエチレングリコールに共有結合で連結させてコンジュゲートを形成する。典型的には、そのようなコンジュゲートは、向上した溶解度、安定性、ならびに低減された毒性および免疫原性を示す。したがって、患者に投与されたとき、コンジュゲート中の活性化合物は、より長い体内半減期を有することができ、より良好な効能を示すことができる。一般に、Burnham (1994) Am. J. Hosp.Pharm.15:210-218を参照されたい。PEG化タンパク質は、現在、タンパク質補充療法でおよび他の治療用途に使用されている。例えば、PEG化インターフェロン(PEG−INTRON A(登録商標))は、B型肝炎の処置に臨床使用される。PEG化アデノシンデアミナーゼ(ADAGEN(登録商標))は、重症複合免疫不全症(SCIDS)を処置するために使用されている。PEG化L−アスパラギナーゼ(ONCAPSPAR(登録商標))は、急性リンパ性白血病(ALL)を処置するために使用されている。ポリマーと活性化合物および/またはポリマー自体との共有結合性連結は、生理条件下で加水分解により分解可能であることが好ましい。「プロドラッグ」として公知のそのようなコンジュゲートは、体内で活性化合物を容易に放出することができる。活性化合物の制御放出は、当技術分野において一般に公知のマイクロカプセル、ナノカプセルまたはヒドロゲルに活性成分を組み込むことによって達成することもできる。本発明の化合物の他の薬学的に許容されるプロドラッグには、エステル、炭酸塩、チオ炭酸塩、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第三級アミンの第四級誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸コンジュゲート、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0603】
リポソームもまた活性化合物の担体として使用することができる。リポソームは、コレステロール、リン脂質、脂肪酸、およびこれらの誘導体などの、様々な脂質で製造されたミセルである。様々な修飾脂質もまた使用することができる。リポソームは、活性化合物の毒性を低減し、それらの安定性を増大させる。その中に活性化合物を含有するリポソーム懸濁液を調製する方法は、当技術分野において一般に公知である。例えば、米国特許第4,522,811号明細書;Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N. Y. (1976)を参照されたい。
【0604】
別段の記述がない限り、処置の方法についてのいずれの記載も、本明細書で説明される上記処置を施すための化合物の使用はもちろん、上記疾患を処置するための医薬を調製するための化合物の使用も含む。
【0605】
本明細書において開示する治療目的使用および処置方法では、LSD1iを、同じ症状を相乗的に処置する別の活性薬剤、または処置を受ける患者における別の疾患もしくは症状に有効である別の活性薬剤と併用で投与することもできるが、但し、他の活性薬剤が、本発明の活性化合物の効果に干渉しないまたは有害作用を及ぼさないことを条件とする。そのような他の活性薬剤には、抗炎症剤、抗生物質、抗真菌剤、抗血栓剤、心血管薬、コレステロール低下剤、抗がん薬、高血圧治療薬などが含まれるが、これらに限定されない。
【0606】
併用療法は、LSD1阻害剤と1つまたは複数の追加の活性薬剤とを含有する単一の医薬投与製剤の投与はもちろん、LSD1阻害剤および各々の追加の活性成分の、別々の独自の医薬投与製剤での投与も含む。別々に投与される場合、投与は、同時であってもよく、逐次的であってもよく、または別々であってもよく、LSD1iおよび追加の治療剤を同じ投与経路で投与してもよく、または異なる投与経路を使用して投与してもよく、例えば、1つの化合物を経口投与し、他のものを静脈内投与してもよい。
【0607】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤とS100A9および/またはS100A8阻害剤とを含む組合せに関する。関連態様では、本発明は、上で開示したものなどの、S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患の処置において使用するための、LSD1阻害剤とS100A9および/またはS100A8阻害剤とを含む組合せに関する。関連態様では、本発明は、患者における、上で開示したものなどの、S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患を処置する方法であって、LSD1阻害剤とS100A9および/またはS100A8阻害剤とを含む組合せを投与するステップを含む方法に関する。本明細書で使用される「S100A9および/またはS100A8阻害剤」は、S100A9および/もしくはS100A8機能を遮断するかまたはS100A9および/もしくはS100A8発現レベルを低下させる、(LSD1阻害剤以外の)活性薬剤である。
【0608】
S100A9および/またはS100A8阻害剤の非限定的な例は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドは、S100A9レベルを下方調節すると記載されているが、副作用のため長期間の処置には推奨されない。コルチコステロイドとLSD1阻害剤とを含む組合せにより、投与すべきコルチコステロイドの用量を低減することが可能になりうる。
【0609】
S100A9および/またはS100A8阻害剤の別の非限定的な例は、パキニモド、タスキニモド、ラキニモドおよび他の関連キノリン−3−カルボキサミドであり、これらの化合物は、S100A9と2タイプの炎症誘発性受容体:Toll様受容体4(TLR4)およびRAGE(終末糖化産物の受容体)との相互作用を阻害することによりS100A9および/またはS100A8機能を遮断すると報告されている(P Bjork et al, PLoS Biol.2009, 7(4), e1000097. doi:10.1371/journal.pbio.1000097)。S100A9/A8発現レベルを低下させるLSD1阻害剤と、S100A9および/またはS100A8とTLR4またはRAGEとの相互作用を阻害する薬剤、例えばパキニモド、タスキニモド、ラキニモドおよび関連化合物とを含む組合せにより、S100A9および/またはS100A8誘導を特徴とする疾患の処置において、両方のタイプの化合物に対して低減された非S100A9/A8関連副作用で、所望の治療効果を生じさせることが可能になりうる。
【0610】
S100A9および/またはS100A8阻害剤の別の非限定的な例は、抗S100A9または抗S100A8抗体などの、S100A9および/またはS100A8結合分子である。
【0611】
別の態様では、本発明は、LSD1阻害剤と抗菌剤とを含む組合せに関する。関連態様では、本発明は、LSD1阻害剤と、前に列挙したものを含む細菌感染症および細菌感染症に起因する疾患の処置において使用するための抗菌剤とを含む組合せに関する。関連態様では、本発明は、患者における、上で開示したものなどの、細菌感染症および細菌感染症に起因する疾患を処置する方法であって、LSD1阻害剤と抗菌剤とを含む組合せを投与するステップを含む方法に関する。アミノグルコシド、例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシンおよびスペクチノマイシン;アンサマイシン、例えば、リファキシミン;カルバペネム、例えば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネムおよびメロペネム;セファロスポリン、例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファクロル、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフェピム、セフタロリンフォサミルおよびセフトビプロール;グリコペプチド、例えば、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババンシンおよびオリタバンシン;リンコサミド、例えば、クリンダマイシンおよびリンコマイシン;リポペプチド、例えば、ダプトマイシン;マクロライド、例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシンおよびスピラマイシン;モノバクタム、例えば、アズトレオナム;ニトロフラン、例えば、フラゾリドンおよびニトロフラントイン;オキサゾリジノン、例えば、リネゾリド、ポシゾリド、ラデゾリドおよびトレゾリド;ペニシリン、例えば、アモキシシリン、アズロシリン、フルクロキサシリン、ペニシリンG、アンピリシン/クラブラン酸塩、アンピリシン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタムおよびチカルシリン/クラブラン酸塩;ポリペプチド、例えば、バシトラシン、コリスチンおよびポリミキシンB;キノロン、例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシンおよびオフロキサシン;スルホンアミド、例えば、マフェニド、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム−スルファメトキサゾール;テトラサイクリン、例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびテトラサイクリン;ならびに他の抗菌剤、例えば、フロファジミン(flofazimine)、ダプソン、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、メトロニダゾール、ムピロシン、プラテンシマイシン、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、チアンフェニコール、チゲサイクリン、チニダゾールおよびトリメトプリムを含む、いずれの公知抗菌剤も、本発明の組合せでの使用に適している。
【0612】
本発明が、一般的および/または好ましい特徴/実施形態の任意の組合せを含む、本明細書に記載の特徴または実施形態の各々のおよびあらゆる組合せに特に関係することは、理解されるはずである。詳細には、本発明は、本明細書において提供する方法および使用の好ましい特徴/実施形態(すべての好ましさ度を含む)のすべての組合せに特に関係する。
【0613】
以下の定義は、別段の具体的な指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して適用される。
【0614】
本明細書で使用される用語「試料」は、対照から得た試料を指す。試料は、いずれの生体組織、生体細胞または生体液のものであってもよい。そのような試料には、脳脊髄液、血液、血漿、血清、糞便、尿、唾液、痰、歯肉溝滲出液、毛包および組織生検材料(皮膚、肝臓など)が含まれるが、これらに限定されない。試料は、好ましくは末梢試料である。
【0615】
本発明に従って評定されることになる試料(すなわち、S100A9およびS100A8から選択されるバイオマーカーのレベルが決定されることになる試料)は、本明細書で定義する通りの対象または患者から得ることができる。
【0616】
感染症または感染性疾患を有する患者からの末梢試料の非限定的な例としては、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、尿、唾液、痰、および歯肉溝滲出液が挙げられる。自己免疫疾患を有する患者からの末梢試料の非限定的な例としては、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、尿、唾液、痰、歯肉溝滲出液、皮膚生検材料および毛包が挙げられる。がんを有する患者からの末梢試料の非限定的な例としては、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、糞便、尿、皮膚生検材料および毛包が挙げられる。心血管疾患を有する患者からの末梢試料の非限定的な例としては、血液、血漿および血清が挙げられる。CNS疾患を有する患者からの末梢試料の非限定的な例としては、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿および血清が挙げられる。
【0617】
本発明での「患者」または「対象」は、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物、と他の生物の両方を含む。したがって、方法は、ヒト治療応用と獣医学的応用の両方に適用可能である。好ましい態様では、対象または患者は哺乳動物であり、最も好ましい態様では、対象または患者はヒトである。
【0618】
本明細書で使用される「対象」は、バイオマーカーレベルの分析のために試料が得られる個体(好ましくはヒト)である。したがって、用語「対象」は、健常個体(例えば、治験に登録した健常ボランティア)と患者の両方を包含する。
【0619】
「患者」は、症状が出る前の、前駆期の、初期段階の、軽度の、重度の、進行中の、または休止状態の疾患を有する対象である。本明細書で使用される「患者」は、疾患発症リスクが高いと同定された対象も含む。本明細書で使用される用語「疾患を有する患者」は、本明細書で定義する通りの疾患に罹患している患者、本明細書で定義する通りの疾患に罹患している疑いのある患者、または本明細書で定義する通りの疾患に罹患しやすい患者を指す。本明細書で定義する通りの疾患に罹患しやすい患者は、本明細書で定義する通りの疾患を発症するリスクがある患者を指す。
【0620】
本発明のモニタリング方法において使用される、バイオマーカーのレベルに関しての「減少」は、試験試料中のS100A9および/またはS100A8のレベルが、対象における同じバイオマーカーのレベルより低いことを意味する。好ましくは、減少は、有意な減少である。本明細書で使用される、試験試料中のバイオマーカーレベルの「有意な減少」は、帰無仮説に適合する確率pが<0.05である減少、すなわち、他の比較を排除しないが処置前に測定したバイオマーカーレベルが、処置後に(対象間および/または内で)変化しないことを意味する(Fisher, 1925, Statistical Methods for Research Workers)。
【0621】
「対照」の非限定的な例は、健常対象から得た試料ならびにバイオバンクおよび同様の供給源から得た試料のいずれであってもよい、健常対照である。「対照」のさらなる非限定的な例は、そのような健常対象に関する、科学文献で発表されたデータである。本明細書で使用される「健常対象」は、患者と年齢および性別が一致している対象であって、症状が出る前の疾患も、前駆期の疾患も、初期段階の疾患も、軽度の疾患も、重度の疾患も、進行中の疾患も、休止状態の疾患も、高い疾患発症リスクも示さない対象である。「対照」のさらなる非限定的な例は、LSD1阻害剤での処置開始前に対象から得た試料でありうる。処置開始前は、いずれのLSD1阻害剤も、対照試料を得る少なくとも1週間前、しかし優先的には2週間前に投与されていないことを意味する。
【0622】
優先的に、対照は、比較されることになる試料と同じタイプのものであり、その試料タイプにおいて予想される範囲を包含する。
【0623】
本明細書中で述べるように、本明細書において提供するバイオマーカーは、モニタリングバイオマーカーとして、または予測バイオマーカーとして使用することができる。
【0624】
したがって、バイオマーカーを使用して、処置が開始した後に(例えば、処置中断を包含する、LSD1阻害剤での処置中に)LSD1阻害剤に対する応答をモニタリングすることができる。
【0625】
バイオマーカーを使用して、LSD1阻害剤に対する応答の可能性を予測することができる。予測因子が、どの治療が最も適切でありうるかを示すことは、当技術分野において公知である。したがって、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを、LSD1阻害剤での処置前、すなわち、LSD1阻害剤での処置(の開始)前の患者からの試料において決定することができることが、本明細書において企図される。これに関連して、「患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定することを含む、患者がLSD1阻害剤に対して応答する(可能性が高い)かどうかを予測すること」という用語と、「LSD1阻害剤での処置前の患者からの試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定することを含む、患者がLSD1阻害剤に対して応答する(可能性が高い)かどうかを判定すること」という用語は、本明細書では同義で使用されうる。この文脈で使用される「処置前」は、LSD1阻害剤での処置を決して受けたことがない患者(すなわち「ナイーブ」患者)から得た試料に関することもあり、または以前にLSD1阻害剤での処置を受けたことがあるが、LSD1阻害剤に対する彼/彼女の応答を予測する目的で試料を採取する時点でLSD1阻害剤での処置を受けておらず、試料を採取する前少なくとも2週間はLSD1阻害剤での処置を受けていない患者から得た試料に関することもある。
【0626】
本明細書で使用される「応答」は、試料対対照試料中のバイオマーカーレベル、処置前および後に対象に関して分析される関連分析物(すなわち、サイトカインを含む炎症マーカー)レベル、関連疾患症状、観測試験などを含む、関連生物学的または臨床的パラメータの変動を意味する。好ましくは、応答は、生物学的または臨床的パラメータの有意な変動であり、これは、帰無仮説に適合する確率pが<0.05である変化を意味する。
【0627】
本明細書で使用される、試料中のバイオマーカーのレベルに関しての「上昇している」は、バイオマーカーのレベルが閾値レベルより上に増加されることを意味する。閾値または閾値レベルは、当技術分野において公知の方法に従って決定することができる。
【0628】
閾値を確立するための非限定的な方法は、対照平均バイオマーカーレベルに基づくものであり、年齢、性別、民族性、分析方法、およびバイオマーカーレベルに影響を与える他の可変要素に基づいて分類される。その場合、対照集団は、参照集団として使用されることになり、閾値レベル上昇は、>(対照対象集団における平均バイオマーカーレベル)+(対象集団におけるバイオマーカーレベルの標準偏差のX倍)と定義することができる。ほとんどの場合、対照集団は、健常対象からなることになる。あるいは、対照集団は、共通の症状を有するが、バイオマーカーレベル増加を特徴とする第2の患者群とは差異のある診断を有する、患者の部分群であることもある。
【0629】
ほとんどの病態は、バイオマーカーレベルの動的変化を通常は伴う進行を示し、その変動を使用して異なる病期の対象集団を区別することができる。したがって、これらの集団を識別するために、上記の方法、すなわち、>(健常部分集団の平均値)+(健常対象集団におけるバイオマーカーレベルの標準偏差の2倍)、を使用して異なる閾値を決定することができる。閾値は、年齢、性別、民族性、および集団におけるバイオマーカーレベルに影響を与える他の可変要素に適応されることになる。閾値法レベルは、経過観察分析における臨床診断の変動にも適応される。閾値レベルは、分析法における技術的な可変要素にも適応される。
【0630】
閾値を決定するための別の方法は、ゴールデンスタンダード法を使用して診断される集団内の対照および罹患対象バイオマーカーレベルの分布に従って確立することができる。閾値についての至適基準を特定するために受信者動作特性(ROC)曲線分析が行われる(https://www.medcalc.org/manual/roc-curves.php)。閾値は、特異性が>85%、>90%または>95%になるように選択される。閾値は、感受性が>80%、>85%、>90%または>95%になるようにさらに選択される。閾値は、疾患罹患率、年齢、性別、民族性、および集団におけるバイオマーカーレベルに影響を与える他の可変要素に適応される。閾値法レベルは、経過観察分析における臨床診断の変動にも適応される。閾値レベルは、分析法における技術的な可変要素にも適応される。
【0631】
本明細書において提供する方法による本明細書において提供するバイオマーカーS100A9および/またはS100A8についての陽性試験が、必ずしも1対1対応で処置成功を意味するわけではないことは、当業者には理解される。しかし、これらの方法により、これらの陽性試験結果を示さない患者の部分群と比較してLSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高い(=良好な応答率を示す)患者の部分群が同定される。言い換えると、陽性結果は、個体または患者が、例えば、S100A9および/またはS100A8の「正常レベル」(例えば、対照レベルに匹敵するレベル)を有する患者と比較して、LSD1阻害剤での処置に応答する可能性が高いことを示す。したがって、試料中のバイオマーカーS100A9および/またはS100A8のレベル上昇を有する個体または患者は、LSD1阻害剤での処置に応答する可能性が高い。
【0632】
当然のことながら、用語「in vitro」は、「生きているヒトまたは動物の体外で」行われる実験、方法または手順という意味での方法に関して使用される。したがって、本明細書で使用される「in vitro」は、ex−vivoを包含する。
【0633】
用語「処置」、「処置すること」などは、所望の薬理学的および/または生理的効果を得ることを一般に意味するように本明細書では使用される。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防する点で発病予防的であることもあり、ならびに/または疾患をおよび/もしくは該疾患に起因する有害作用を部分的にもしくは完全に治癒させる点で治療的であることもある。本明細書で使用される用語「処置」は、患者における疾患のあらゆる処置を包含し、(a)疾患を発症する素因がある/リスクがある可能性がある患者において疾患を予防すること;(b)疾患を抑制すること、すなわち、その発症を抑止すること;または(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退縮を生じさせることを含む。本明細書で使用される用語「疾患を処置すること」または「疾患の処置」は、特に、疾患の進行を緩徐化すること、または好転させることを指す。疾患を処置することには、疾患の症状を処置すること、および/または症状を低減させることが含まれる。
【0634】
本明細書で使用される用語「治療有効量」、例えば、本発明の化合物の治療有効量は、対象において所望の生物学的効果(例えば、治療効果)を生じさせるのに十分な量を指す。したがって、化合物の治療有効量は、疾患に罹患しているまたは疾患の疑いのある対象に投与されたとき、疾患の処置、および/または疾患の発症もしくは進行の遅延、および/または疾患の1つもしくは複数の症状の軽減に十分である量でありうる。
【0635】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」は、指定化合物の遊離酸および塩基の生物学的有効性を保持する塩であって、生物学的にまたは別様に望ましくないものでない塩を意味することを意図したものである。本発明において使用するための化合物は、薬学的に許容される塩を形成するのに十分に酸性の、十分に塩基性の、または両方の官能基を保持することができ、したがって、多数の無機または有機塩基、ならびに無機および有機酸のいずれかと反応して薬学的に許容される塩を形成することができる。例示的な薬学的に許容される塩としては、本発明の化合物と無機または有機酸との反応により調製される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、エタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩、ピルビン酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、またはサリチル酸塩が挙げられる。本発明の化合物が酸性部分を保有する場合、それらの適する薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩;およびアンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、リシン、アルギニン、N−メチルグルカミン、プロカインなどの適する有機リガンドとで形成される塩を挙げることができる。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。
【0636】
本明細書で使用される「薬学的に許容される溶媒和物」は、溶質(例えば、式I〜XIIIの化合物またはその塩)と、水、エタノールなどのような薬学的に許容される溶媒とで形成される、可変化学量論組成の複合体を指す。水との複合体は、水和物として公知である。
【0637】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬製品の製剤化に使用される崩壊剤、結合剤、フィラーおよび滑沢剤などの非API(APIは、有効活性成分を指す)を指す。これらは、アメリカ食品医薬品局および欧州医薬品庁により公布されたものを含む、確立された政府標準規格によると、ヒトへの投与に一般に安全である。薬学的に許容される担体または賦形剤は、当業者に周知である。
【0638】
上で提供したLSD1iの定義に関して、特に式(I)〜(XIII)の化合物の定義に関して、以下の定義が、適用可能な場合、適用される。
【0639】
本明細書におけるいずれの定義も、複合構造の基を記述するための任意の他の定義と併用されうる。慣例により、任意のそのような定義の付随要素は、親部分に結合しているものである。例えば、複合基シクリルC1〜8アルキルは、C1〜8アルキルを介して親分子に結合しているシクリル基を表す。
【0640】
本明細書で使用される用語「アシル」は、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたは他の部分に結合しているカルボニルを指し、この場合、カルボニルに結合している原子は炭素である。好ましくは、用語「アシル」は、−C(=O)R”基を指し、この式中のR”は、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを表す。「アセチル」基は、−C(=O)CH基を指す。「アルキルカルボニル」または「アルカノイル」基は、カルボニル基を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。そのような基の例としては、メチルカルボニルまたはエチルカルボニルが挙げられるが、これらに限定されない。アシル基の例としては、ホルミル、アルカノイルまたはアロイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0641】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、1つまたは複数の二重結合を有し、かつ2〜20個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。C2〜8アルケニルは、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基である。
【0642】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、アルキルエーテル基(すなわち、式アルキル−O−の基)を指し、ここで、用語アルキルは下で定義する通りである。適するアルキルエーテル基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシまたはn−ペントキシが挙げられるが、これらに限定されない。用語C1〜zアルコキシは、アルキル部分が1〜z個の炭素原子を有するアルコキシ基を指し、例えば、C1〜8アルコキシは、アルキル部分がC1〜8アルキルであるアルコキシ基、すなわち、式C1〜8アルキル−O−の基である。
【0643】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。C1〜zアルキルは、炭素原子数1〜zのアルキルであり、したがって、C1〜8アルキルは、1〜8個の炭素原子を有し、C1〜4アルキルは、1〜4個の炭素原子を有し、C1〜2アルキルは、1〜2個の炭素原子を有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルまたはノニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0644】
本明細書で使用される用語「C1〜4アルキレン」は、2カ所の位置で結合しているC1〜4アルキル基、すなわちアルカンジイル基を指す。例としては、メチレン(すなわち、式−CH−の基)、エチレン(エタン−1,2−ジイルおよびエタン−1,1−ジイルを含む)、プロピレン(例えば、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイルおよびプロパン−1,1−ジイル)およびブチレン(例えば、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−1,3−ジイルまたはブタン−1,1−ジイル)が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、用語「C1〜4アルキレン」は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基を指すことができる。「線状C1〜4アルキレン」は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基、すなわち、−(CH−基を指し、この式中のyは、1、2、3または4である。
【0645】
本明細書で使用される用語「アルキルアミノ」は、アミノ基を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。適するアルキルアミノ基は、モノまたはジアルキル化されて、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−エチルメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−プロピルアミノ、およびN,N−メチルプルピルアミノを含むがこれらに限定されない基を形成することができる。
【0646】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を有し、かつ2〜20個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。C2〜8アルキニルは、2〜8個の炭素原子を有する。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、ペンチン−1−イル、3−メチルブチン−1−イル、またはヘキシン−2−イルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0647】
本明細書で使用される用語「アミド」および「カルバモイル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合している、下で定義する通りのアミノ基(例えば、−C(=O)RR’)、または逆にそのようなアミノ基を介して親分子部分に結合しているカルボニル基(−N(R)C(=O)R’)を指す。「アミド」および「カルバモイル」は、本明細書で定義する通りの「C−アミド」および「N−アミド」を包含する。RおよびR’は、本明細書で定義する通りである。
【0648】
本明細書で使用される用語「C−アミド」は、−C(=O)NRR’基を指し、RおよびR’は本明細書で定義する通りである。
【0649】
本明細書で使用される用語「N−アミド」は、−N(R)C(=O)R’基を指し、RおよびR’は本明細書で定義する通りである。
【0650】
本明細書で使用される用語「アミノ」は、−NRR’を指し、この式中のRおよびR’は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、カルボシクリル、およびヘテロシクリルからなる群から独立して選択される。加えて、RおよびR’は、化合してヘテロシクリルを形成することもある。例示的な「アミノ」基としては、−NH、−NH(C1〜4アルキル)および−N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)を含むが、これらに限定されない。
【0651】
本明細書で使用される用語「アリール」は、環原子がすべて炭素である、1個の環または互いに融合している2または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を指す。用語「アリール」は、フェニル、ナフチルまたはアントラセニルなどの基を含むが、これらに限定されない。用語「単環式アリール」は、フェニルを指す。
【0652】
本明細書で使用される用語「アリールアルコキシ」または「アラルコキシ」は、アルコキシ基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。アリールアルコキシ基の例としては、ベンジルオキシまたはフェネトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0653】
本明細書で使用される用語「アリールアルキル」または「アラルキル」は、アルキル基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0654】
本明細書で使用される用語「アリールオキシ」は、オキシ(−O−)を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0655】
本明細書で使用される用語「カルバメート」は、本明細書で定義する通りのO−カルバミルまたはN−カルバミル基を指す。N−カルバミル基は、−NR−COOR’を指し、この式中のRおよびR’は、本明細書で定義する通りである。O−カルバミル基は、−OCO−NRR’を指し、この式中のRおよびR’は、本明細書で定義する通りである。
【0656】
本明細書で使用される用語「カルボニル」は、単独の場合はホルミル−C(=O)Hを含み、組合せの場合は−C(=O)−基である。
【0657】
本明細書で使用される用語「カルボキシル」または「カルボキシ」は、−C(=O)OH、またはカルボン酸塩の状態であるような対応する「カルボン酸」アニオンを指す。
【0658】
「O−カルボキシ」基は、RC(=O)O−基を指し、この式中のRは、本明細書で定義する通りである。
【0659】
「C−カルボキシ」基は、−C(=O)OR基を指し、この式中のRは、本明細書で定義する通りである。
【0660】
本明細書で使用する用語「シアノ」は、−CNを指す。
【0661】
本明細書で使用される用語「カルボシクリル」は、環系の環原子がすべて炭素であり、かつ各環式部分が3〜12個の炭素原子環員を含有する、飽和または部分飽和単環式または融合二環式もしくは三環式の基を指す。「カルボシクリル」は、カルボシクリル環系に融合しているベンゾを包含する。カルボシクリルの1つの基は、5〜7個の炭素原子を有する。カルボシクリル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル、またはアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0662】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、別段の規定がない限り、環系の環原子がすべて炭素であり、かつ各環式部分が3〜12個の炭素原子環員を含有する、飽和単環式、二環式または三環式の基を指す。C3〜6シクロアルキルは、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。4〜7個のC原子を含有するシクロアルキルには、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0663】
本明細書で使用される用語「シクロアルケニル」は、環系の環原子がすべて炭素であり、かつ各環式部分が3〜12個の炭素原子環員を含有する、部分飽和単環式、二環式または三環式の基を指す。カルボアルケニルの1つの基は、5〜7個の炭素原子を有する。シクロアルケニル基の例としては、シクロブテニル、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0664】
本明細書で使用される用語「シクリル」は、本明細書で定義する通りのアリール、ヘテロシクリルまたはカルボシクリル基を指す。
【0665】
本明細書で使用される用語「シクリルC1〜8アルキル」は、C1〜8アルキル基中の1個の水素原子が、上で定義した通りの1個のシクリル基で置換されている、上で定義した通りのC1〜8アルキルを指す。
【0666】
本明細書で使用される用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0667】
本明細書で使用される用語「ハロアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合しているハロアルキル基(下で定義する通り)を指す。ハロC1〜8アルコキシ基は、ハロアルキル部分が1〜8個のC原子を有する、ハロアルコキシ基を指す。ハロアルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、または3−クロロプロポキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0668】
本明細書で使用される用語「ハロアルキル」は、1個または複数の水素がハロゲンで置換されている、上で定義した通りの意味を有するアルキル基を指す。ハロC1〜8アルキル基は、アルキル部分が1〜8個のC原子を有する、ハロアルキル基を指す。具体的には、モノハルアルキル、ジハロアルキルまたはポリハロアルキル基が包含される。モノハロアルキル基は、一例として、基中にヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子を有することができる。ジハロまたはポリハロアルキル基は、2個以上の同じハロ原子を有してもよく、または異なるハロ基の組合せを有してもよい。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルまたはジクロロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0669】
本明細書で使用される用語「ヘテロアルキル」は、アルキル鎖を形成する1、2または3個の炭素が、O、NおよびSからなる群から独立して選択されるヘテロ原子によって各々置換されており、かつ窒素および/または硫黄ヘテロ原子が(存在する場合)酸化されていてもよく、かつ窒素ヘテロ原子が(存在する場合)四級化されていてもよい、直鎖または分岐アルキル鎖を指す。ヘテロ原子O、NおよびSは、例えば、ヘテロアルキル基の末端にあってもよく、または内部位置にあってもよく、すなわち、ヘテロアルキル基は、分子の残部にヘテロ原子を介して結合していてもよく、または炭素原子を介して結合していてもよい。例えば−CH−NH−OCHなど、2個以下のヘテロ原子が連続していてもよい。したがって、「ヘテロアルキル」基のさらなる例は、連続する2個の炭素原子がヘテロ原子SおよびNによってそれぞれ置換されており、かつ、硫黄ヘテロ原子がさらに酸化され、結果として例えば−S(=O)−NH、−S(=O)−NH(アルキル)または−S(=O)−N(アルキル)(アルキル)などの部分になっている、直鎖または分岐アルキル基である。
【0670】
本明細書で使用される用語「ヘテロアルキレン」は、2カ所の位置で結合しているヘテロアルキル基を指す。例としては、−CHOCH−、−CHSCH−、および−CHNHCH−、−CHS−、または−CHNHCH(CH)CH−が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、用語「ヘテロアルキレン」は、例えば、1〜6個の炭素原子を有し、炭素原子のうちの1個、2個(存在する場合)または3個(存在する場合)が、O、NまたはSから独立して選択されるヘテロ原子によって各々置換されている、直鎖または分岐アルキル基(すなわち、直鎖または分岐アルカンジイル基)を指す。当然のことながら、水素原子の存在は、それぞれの炭素原子を置換するヘテロ原子の原子価に依存することになる。例えば、−CH−基中の炭素原子がOまたはSによって置換された場合、結果として生じる基は、それぞれ、−O−または−S−になるが、炭素原子がNによって置換されたときには−N(H)−になる。同様に、基−CH−CH(−CH)−CH−中の中央の炭素原子がNによって置換された場合、結果として生じる基は、−CH−N(−CH)−CH−になる。「ヘテロアルキレン」基の一例は、連続する2個の炭素原子がヘテロ原子SおよびNによってそれぞれ置換されており、かつ、硫黄ヘテロ原子がさらに酸化され、結果として例えば−S(=O)−N(H)−または−S(=O)−N(アルキル)−などの部分になっている、直鎖または分岐アルキレン基である。したがって、基−S(=O)−N(H)−および−S(=O)−N(アルキル)−(例えば、−S(=O)−N(C〜Cアルキル)−)が、例示的「ヘテロアルキレン」基である。
【0671】
本明細書で使用される用語「ヘテロC1〜4アルキレン」は、O、NおよびSから選択される1個のヘテロ原子に連結されている直鎖または分岐C1〜4アルキレン基(すなわち、直鎖または分岐C1〜4アルカンジイル基)を指し、アルキレン基の炭素原子の1個または複数(例えば、1個、2個(存在する場合)または3個(存在する場合))が、O、NまたはSから独立して選択されるヘテロ原子によって各々置換されている、直鎖または分岐C1〜4アルキレン基も指す。窒素および/または硫黄ヘテロ原子は(存在する場合)、酸化されていてもよく、窒素原子は(存在する場合)、四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、NおよびSは、ヘテロC1〜4アルキレン基の末端にあってもよく、および/または内部位置にあってもよい。当然のことながら、水素原子の存在は、それぞれの炭素原子を置換するヘテロ原子の原子価に依存することになる。例えば、−CH−基中の炭素原子がOまたはSによって置換された場合、結果として生じる基は、それぞれ、−O−または−S−になるが、炭素原子がNによって置換されたときには−N(H)−になる。同様に、基−CH−CH(−CH)−CH−中の中央の炭素原子がNによって置換された場合、結果として生じる基は、−CH−N(−CH)−CH−になる。「ヘテロC1〜4アルキレン」基の一例は、連続する2個の炭素原子がヘテロ原子SおよびNによってそれぞれ置換されており、かつ、硫黄ヘテロ原子がさらに酸化され、結果として例えば−S(=O)−N(H)−または−S(=O)−N(CH)−などの部分になっている、直鎖または分岐C1〜4アルキレン基である。
【0672】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、環が芳香族であり、少なくとも1個の環が、O、SおよびNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、5〜6員不飽和単環式環または融合二環式もしくは三環式環系を指す。好ましいヘテロアリール基は、5〜6員単環式または9〜10員二環式ヘテロアリール基である。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、またはフロピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0673】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクリル」または「複素環」各々は、少なくとも1個のヘテロ原子を環員として含有し、前記ヘテロ原子各々を窒素、酸素および硫黄からなる群から独立して選択することができ、窒素または硫黄原子が酸化されていてもよい(例えば、−N=O、−S(=O)−、または−S(=O)−であってもよい)、飽和、部分不飽和または完全不飽和単環式、二環式または三環式複素環式基を指す。加えて、ヘテロシクリルの炭素原子うちの1、2または3個が、酸化されて(例えば、オキソ基または=Oになって)いてもよい。ヘテロシクリルの1つの基は、1〜4個のヘテロ原子を環員として有する。ヘテロシクリルの別の基は、1〜2個のヘテロ原子を環員として有する。ヘテロシクリルの1つの基は、各環に3〜8個の環員を有する。ヘテロシクリルのさらに別の基は、各環に3〜7個の環員を有する。重ねて、ヘテロシクリルの別の基は、各環に5〜6個の環員を有する。「ヘテロシクリル」は、カルボシクリルまたはベンゾ環系に融合しているヘテロシクリル基を包含することを意図したものである。ヘテロシクリル基の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、またはイミダゾリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリルであるヘテロアリールの例としては、ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、またはフロピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0674】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、完全不飽和でない、例えば、ヘテロシクロアルキルの環系の1つまたは複数が芳香族でない、ヘテロシクリル基を指す。ヘテロシクロアルキルの例としては、ピペラジニル、モルホリニル、ピペリジニル、またはピロリジニルが挙げられる。
【0675】
本明細書で使用される用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は、−OHを指す。
【0676】
本明細書で使用される用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書で使用される場合、アルキル基を介して親分子部分に結合しているヒドロキシル基を指す。
【0677】
本明細書で使用される用語「ヒドロキシC1〜8アルキル」は、1個または複数(好ましくは1または2個)の水素原子がヒドロキシ基によって置換されている、C1〜8アルキル基を指す。
【0678】
本明細書で使用される用語「R1213N−C1〜8アルキル」は、1個または複数(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の水素原子が−NR1213によって置換されている、C1〜8アルキル基を指す。
【0679】
本明細書で使用される句「主鎖において」は、本明細書において開示する式のうちのいずれか1つの式の化合物への基の結合点で開始する炭素の最長連続または隣接鎖を指す。
【0680】
本明細書で使用される用語句「原子の線状鎖」は、炭素、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される原子の最長直鎖を指す。
【0681】
本明細書で使用される用語「低級」は、別段の具体的な定義がない場合、1〜6個(6個を含む)の炭素原子を含有することを意味する。
【0682】
本明細書で使用される用語「低級アリール」は、フェニルまたはナフチルを意味する。
【0683】
本明細書で使用される用語「ニトロ」は、−NOを指す。
【0684】
本明細書で使用される、環に関しての用語「飽和されている」は、環が不飽和を一切含有しないことを意味する。
【0685】
本明細書で使用される用語「スルホネート」、「スルホン酸」および「スルホン酸の」は、−SOH基、およびスルホン酸が塩形成で使用されるときにはそのアニオンを指す。
【0686】
本明細書で使用される用語「スルファニル」は、−S−を指す。
【0687】
本明細書で使用される用語「スルフィニル」は、−S(=O)(R)を指し、Rは本明細書で定義する通りである。
【0688】
本明細書で使用される用語「スルホニル」は、−S(=O)Rを指し、Rは本明細書で定義する通りである。
【0689】
本明細書で使用される用語「スルホンアミド」は、本明細書で定義する通りのN−スルホンアミドまたはS−スルホンアミド基を指す。
【0690】
本明細書で使用される用語「N−スルホンアミド」は、RS(=O)N(R’)−基を指し、RおよびR’は本明細書で定義する通りである。好ましいN−スルホンアミド基は、−NHSORであり、この式中のRは、本明細書で定義する通りであり、好ましくは、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、より好ましくは、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、前記アルキル、前記シクロアルキル、前記ヘテロアルキル、前記アリール、前記ヘテロアリールおよび前記ヘテロシクロアルキルは、各々置換されていてもよい。前記アルキル、前記シクロアルキル、前記ヘテロアルキル、前記アリール、前記ヘテロアリールおよび前記ヘテロシクロアルキル上の任意選択の置換基は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、ヘテロアリール、ピリジル、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホネート、スルホン酸、三置換シリル、N、SH、SCH、C(O)CH、COCH、COH、カルバメート、および尿素から独立して選択することができる。好ましくは、任意選択の置換基は、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(C1〜3アルキル)、−NH(C1〜3アルキル)、−NHC(=O)(C1〜3アルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1〜3アルキル)、−C(=O)(C1〜3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜3アルキル)、−C(=O)NH(シクロアルキル)、−C(=O)N(C1〜3アルキル)、−S(=O)(C1〜3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1〜3アルキル)、−S(=O)NH(C1〜3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、−NO、またはテトラゾリルから独立して選択される。特に好ましいN−スルホンアミド基は、−NHSORであり、この式中のRは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、好ましくは、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル、および−NHSO(置換されていてもよいアリール)である。さらにいっそう好ましいN−スルホンアミド基は、−NHSOアルキルおよび−NHSO(置換されていてもよいアリール)である。例示的な、非限定的N−スルホンアミド基は、−NHSOアルキル、例えば、−NHSOCH、−NHSOCHCHまたは−NHSO(イソプロピル)、および−NHSO(置換されていてもよいアリール)、例えば、−NHSO−フェニル、−NHSO−(2−シアノフェニル)、−NHSO−(3−シアノフェニル)、−NHSO−(4−シアノフェニル)、−NHSO−(2−アミノフェニル)、−NHSO−(3−アミノフェニル)または−NHSO−(4−アミノフェニル)である。他の例示的N−スルホンアミド基は、−NHSO(置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)、例えば、−NHSO−(ピペラジン−1−イル)、および−NHSO(置換されていてもよいヘテロアリール)、例えば、−NHSO−(置換されていてもよいピリジル)、例えば−NHSO−(3−ピリジル)または−NHSO−(6−アミノ−3−ピリジル)である。
【0691】
本明細書で使用される用語「S−スルホンアミド」は、−S(=O)NRR’基を指し、RおよびR’は本明細書で定義する通りである。
【0692】
本明細書で使用される用語「尿素」は、−N(R)C(=O)N(R)(R’)基を指し、この式中のRおよびR’は本明細書で定義する通りである。
【0693】
本明細書で使用される「水素結合基」は、水素と別の原子(通常は窒素または酸素)との非共有結合に加わることができる置換基を指す。例としては、−NH、−OH、アミド、−S(O)NH2、−C(=O)NH、−CH−C(=O)NH−、および−CH−NHが挙げられるが、これらに限定されない。他の非限定的な例としては、NHC(=O)CHまたは−NHCHが挙げられる。
【0694】
本明細書で使用される用語「アミド同配体」は、アミド部分と等配電子性または生物学的等価性である、単環式または二環式環系を指す。アミド同配体の例としては、例えば、Meanwell (2011) J. Med.Chem.PMID: 21413808において開示されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0695】
単独で、数表示なしに出現する用語Rまたは用語R’は、別段の定義がない限り、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される部分を指す。上記基の非置換形態と置換形態の両方が包含される。
【0696】
R基が数表示を有するか否かを問わず、R、R’およびR(この場合、z=(1、2、...z))をはじめとするあらゆるR基、あらゆる置換基、およびあらゆる用語は、群からの選択に関してあらゆる他のものと無関係であると解釈すべきである。任意の変数、置換基または用語(例えば、アリール、複素環、Rなど)が式または一般構造中に1回より多く出現する場合、各出現時のその定義は、あらゆる他の出現時の定義とは無関係である。さらに、ある特定の基が、記述したように、親分子に結合していることもあり、または元素の鎖内のいずれかの末端からの位置を占めていることもあることは、当業者には分かるであろう。したがって、単なる例として、−C(=O)N(R)−などの非対称の基は、親部分に炭素原子で結合していることもあり、または窒素原子で結合していることもある。
【0697】
本明細書で使用される用語「置換されていてもよい」は、前にあるまたは先行する基が、置換されていることもあり、または非置換であることもあることを意味する。置換されている場合、別段の規定がない限り、「置換されていてもよい」基の置換基は、限定ではないが、以下の群または群の特定の指定セットから独立して選択される1個または複数の置換基が単独でまたは組合せで含むことができる:低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、ヘテロアリール、ピリジル、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホネート、スルホン酸、三置換シリル、N、SH、SCH、C(O)CH、COCH、COH、カルバメート、および尿素。2個の置換基が互いに連結して、0〜3個のヘテロ原子からなる融合した5、6または7員炭素環式または複素環式環を形成する、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成することもある。置換されていてもよい基は、非置換(例えば、−CHCH)であることもあり、完全に置換されている(例えば、−CFCFである)こともあり、一置換されている(例えば、−CHCHFである)こともあり、または完全に置換されている場合と一置換されている場合の間のいずれかのレベルで置換されている(例えば、−CHCFである)こともある。置換基が、置換に関しての条件なしに列挙されている場合、置換形態と非置換形態の両方が包含される。置換基が「置換されている」と述べられている場合、置換形態が特に意図されている。加えて、特定の部分に対する任意選択の置換基の異なるセットが必要に応じて定義されることがあり、これらの場合、任意選択の置換は、多くの場合、「で置換されていてもよい」という句の直後に定義される通りとなる。1つの特定の定義では、任意選択の置換基は、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−N(C1〜3アルキル)、−NH(C1〜3アルキル)、−NHC(=O)(C1〜3アルキル)、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1〜3アルキル)、−C(=O)(C1〜3アルキル)、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜3アルキル)、−C(=O)NH(シクロアルキル)、−C(=O)N(C1〜3アルキル)、−S(=O)(C1〜3アルキル)、−S(=O)NH、−S(=O)N(C1〜3アルキル)、−S(=O)NH(C1〜3アルキル)、−CHF、−OCF、−OCHF、−SCF、−CF、−CN、−NH、−NO、またはテトラゾリルから選択される。
【0698】
本明細書で使用される用語「任意選択の置換基」は、対応する置換基が存在することもあり、または非存在であることもあることを示す。したがって、1、2または3個の任意選択の置換基を有する化合物は、非置換であることもあり、または同じあっても異なっていてもよい1、2もしくは3個の置換基で置換されていることもある。
【0699】
以下の実施例は、本発明を様々な態様を例証するものである。本実施例が、本発明のある特定の実施形態のみの説明に役立つものに過ぎないこと、および本発明の範囲に対して制限を課すものでないことは、もちろん理解されるはずである。
[実施例]
【実施例1】
【0700】
LSD1阻害剤およびin vitro生化学的アッセイ
この実施例は、後続の実施例で使用するLSD1阻害剤、ならびにLSD1および関連酵素MAO−AおよびMAO−Bに対する試験化合物の活性を評定する方法を説明するものである。
【0701】
1.1 使用するLSD1阻害剤
化合物1は、国際公開第2012/013728号パンフレットにおいて開示されているように得ることができる化合物(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンである。
【0702】
化合物2は、化合物1のエナンチオマーであり、化合物(+)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンである。これは、国際公開第2012/013728号パンフレットにおいて開示されているように得ることができる。
【0703】
化合物3は、下記の化学名および構造を有する化合物であり、国際公開第2011/042217号パンフレットにおいて開示されているように得ることができる:
【0704】
【化13】
2−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)アセトアミド。
【0705】
化合物4は、下記の化学名および構造を有する化合物であり、国際公開第2010/043721号パンフレットにおいて開示されているように得ることができる:
【0706】
【化14】
2−(((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタン−1−オン。
【0707】
化合物5は、下記の化学名および構造を有する化合物であり、国際公開第2011/035941号パンフレットにおいて開示されているように得ることができる:
【0708】
【化15】
(S)−1−(2−(((trans)−2−(3’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)シクロプリピル)アミノ)エチル)ピロリジン−3−アミン。
【0709】
化合物1および2は、光学活性立体異性体であり、これに対して化合物3〜5は、「trans」ラセミ混合物である。したがって、化合物3〜5におけるシクロプリピル部分構造についての上に図示した化学構造で示される立体化学は、これらの化合物がシクロプリピル環上の置換基に関して「trans」立体配置を有することを明らかにすることを単に意図したものであり、前記炭素原子についての絶対立体化学を示すものではない。
【0710】
1.2 in vitro生化学的アッセイ
1.2.1 LSD1
LSD1に対する目的の化合物の阻害活性は、下記の方法を使用して試験することができる:BPS Bioscience Incからのヒト組換えLSD1タンパク質(カタログ参照番号50100:ヒト組換えLSD1、GenBank受託番号NM_015013、アミノ酸158末端にN末端GSTタグがある、MW:103kDa)を使用した。LSD1酵素活性および/または試験化合物によるその阻害率をモニタリングするために、ジメチル化H3−K4ペプチド(Anaspec)を基質として選択した。Amplex(登録商標)Red過酸化水素/ペルオキシダーゼアッセイキット(Invtrogen)を使用して、好気条件下で、触媒プロセス中に生成されるHの放出を測定することにより、デメチラーゼ活性を推定した。
【0711】
簡単に述べると、固定量のLSD1を氷上で15分間、それぞれの阻害剤の少なくとも8種の3倍系列希釈物(例えば、阻害剤強度に依存して0〜75μM)の存在下および/または非存在下でインキュベートした。トラニルシプロミン(Biomol International)を阻害についての対照として使用した。この実験中に各阻害剤濃度を2回ずつ試験した。酵素を放置して阻害剤と相互作用させた後、Kのジメチル化H3−K4ペプチドを各反応に添加し、実験を30分間、37℃、暗所で放置した。50mMリン酸ナトリウム、pH7.4緩衝液中で酵素反応を起こした。インキュベーション終了時、Amplex(登録商標)Red試薬およびホースラディッシュペルオキシダーゼ(HPR)溶液を、供給業者(Invitrogen)によって提供された推奨事項に従って反応に添加し、さらに5分間、室温、暗所で放置してインキュベートした。1μM H溶液をキット効率の対照として使用した。アッセイ中のHの存在に起因するAmplex(登録商標)Red試薬のレゾルフィンへの変換を、マイクロプレートリーダー(Infinite 200、Tecan)を使用して蛍光(540nmで励起、590nmで発光)によりモニタリングした。任意単位を使用して、阻害剤の非存在下および/または存在下で生成されるHのレベルを測定した。
【0712】
LSD1の最大デメチラーゼ活性が阻害剤の非存在下で得られ、それをLSD1の非存在下でのバックグラウンド蛍光に対して補正した。各阻害剤のIC50値をGraphPad Prismソフトウェアで計算した。
【0713】
1.2.2 モノアミンオキシダーゼA(MAO−A)およびB(MAO−B)
LSD1は、フラビン依存性アミンオキシダーゼであるモノアミンオキシダーゼA(MAO−A)およびB(MAO−B)との相当な構造類似度およびアミノ酸同一度/相同度を有する。MAO−AおよびMAO−Bに対するLSD1阻害剤の選択性のレベルを決定するために、下記の方法を使用してMAO−AおよびMAO−Bに対する目的の化合物の阻害活性を試験することができる:ヒト組換えモノアミンオキシダーゼタンパク質MAO−AおよびMAO−BをSigma Aldrichから購入した。MAOは、第一級、第二級および第三級アミンの酸化的脱アミノ化を触媒する。MAO酵素活性および/または目的の阻害剤によるそれらの阻害をモニタリングするために、蛍光ベースの(阻害剤)スクリーニングアッセイを設定した。非蛍光化合物である3−(2−アミノフェニル)−3−オキソプロパンアミン(キヌラミン二臭化水素酸塩、Sigma Aldrich)を基質として選択した。キヌラミンは、MAO−A活性とMAO−B活性両方の非特異的基質である。MAO活性による酸化的脱アミノ化を受けているときに、キヌラミンは、結果として得られる蛍光生成物である4−ヒドロキシキノリン(4−HQ)に変換される。
【0714】
キヌラミンの4−ヒドロキシキノリンへの変換を測定することによりモノアミンオキシダーゼ活性を推定した。透明底を有する96ウェル黒色プレート(Corning)において100μLの最終体積でアッセイを行った。アッセイ緩衝液は、100mM HEPES、pH7.5であった。各実験を同じ実験中に2回ずつ行った。
【0715】
簡単に述べると、固定量のMAOを氷上で15分間、反応緩衝液中で、各々少なくとも8種の3倍系列希釈物の非存在下および/または存在下でインキュベートした。クロルギリンおよびデプレニル(Sigma Aldrich)をそれぞれMAO−AおよびMAO−Bの特異的阻害の対照として使用した。
【0716】
酵素を放置して阻害剤と相互作用させた後、KのキヌラミンをMAO−BおよびMAO−Aアッセイのための各反応にそれぞれ添加し、反応を1時間、37℃、暗所で放置した。50μLのNaOH 2Nを添加することにより、基質の酸化的脱アミノ化を停止させた。4−ヒドロキシキノリンへのキヌラミンの変換を、マイクロプレートリーダー(Infinite 200、Tecan)を使用して蛍光(320nmで励起、360nmで発光)によりモニタリングした。任意単位を使用して、阻害剤の非存在下および/または存在下で生成される蛍光のレベルを測定した。
【0717】
阻害剤の非存在下でのキヌラミン脱アミノ化から形成される4−ヒドロキシキノリンの量を測定することにより最大の酸化的脱アミノ化活性が得られ、それをMAO酵素の非存在下でのバックグラウンド蛍光に対して補正した。各阻害剤のIC50値をGraphPad Prismソフトウェアで計算した。
【0718】
1.2.3 結果
化合物1〜5についての上記方法を使用して得たLSD1、MAO−AおよびMAO−Bに対する例示的IC50値を下の表に示す:
【0719】
【表4】
【0720】
上記データから分かるように、化合物1は、強力な二重LSD1/MAO−B阻害剤であり、これに対してそのエナンチオマーである化合物2は、はるかに弱いLSD1阻害剤であるが、強力なMAO−B阻害活性を保持している。化合物3は、LSD1およびMAO−B阻害活性を示し、化合物4および5は、MAO−AおよびMAO−Bに対して選択性を有する強力なLSD1阻害剤である。
【実施例2】
【0721】
マイクロアレイハイブリダイゼーションによる遺伝子発現分析
この実施例は、マイクロアレイ遺伝子発現分析を行うための後続の実施例で使用する一般的方法を説明するものである。
【0722】
2.1 RNA抽出および標識方法
RNeasy抽出キット(Qiagen)を使用して試料から全RNAを抽出した。Agilent 2100バイオアナライザーおよびNanoDrop(商標)ND−1000(Thermo Scientific)を使用して、RNAの品質および濃度を分析した。RNA完全性番号(RIN)<6.0である試料を廃棄した。若干の変更を加えたが製造業者の説明書に従ってAmbion(Applied Biosystems)からのMessageAmp(商標)aRNA増幅キットを用いてEberwein mRNA増幅手順(Van Gelder et al, Proc Natl Acad Sci USA 1990,87:1663-1667)を使用して、全RNA(0.5μg)増幅およびCy3またはCy5での標識を行った。ハイブリダイゼーション対照として、植物mRNAをトウモロコシXet(キシログリカンエンドトランスグリコシラーゼ)cNDAを含有するプラスミドから、およびトウモロコシZmmyb42 cDNAを含有するプラスミドから転写し、(Cerda et al, Gen Comp Endocrinol 2008, 156:470-481において開示されたような)Eberwein mRNA増幅手順を使用してこれら2つのRNAからCy3およびCy5標識aRNAを独立して調製した。
【0723】
2.2 ハイブリダイゼーションおよびデータ収集
Cy3標識cRNAとCy5標識cRNAとスパイクを併せ、AgillentのガスケットG2534−60002、G2534AハイブリダイゼーションチャンバおよびDNA Hybridization Oven G2545Aを製造業者の説明書に従って使用して、60℃で17時間、実施例2.6で説明するマイクロアレイにハイブリダイズした。より具体的には、同量のCy3およびCy5標識Xet aRNA、ならびに同量のCy3およびCy5標識Zmmyb42 aRNAを、アレイにハイブリダイズする各混合物にスパイクした。アレイを洗浄し、AgilentのDNA Microarray Scanner G2505BおよびFeature Extractionソフトウェア(v10.1)を使用して生データを得た。本出願人の私有ソフトウェアを使用して蛍光強度の生データを処理した。これは、次の操作に存する:1)スパイクインされた(spiked-in)対照のハイブリダイゼーションパターンに基づく空間データ比較、2)網羅的データフィッティング、および3)データ正規化。
【0724】
アレイにスパイクされた植物aRNAの挙動に基づいて、データ補正を行った。簡単に述べると、標識されたスパイクaRNAであって、その対応するスパイク、すなわち対照プローブ、にハイブリダイズされ、複数のコピーで表され、アレイ全体にわたって戦略的に分配されたスパイクaRNAは、予想ダイナミックレンジにわたって分布するシグナルを生成する。各々の特定の反復プローブに由来するシグナル強度がデータ面(Xアレイ、Yアレイ、Zシグナル強度)を形成する。データ補正アルゴリズムは、これらのデータ面を使用して、すべてのデータ面を水平状態に補正する関数を計算し、その後、同じ演算を全遺伝子プローブデータセットに適用する。このデータ補正は、アレイ合成により生じるほとんどのシステム上の空間的なずれ、ハイブリダイゼーション不良またはCy3とCy5間のスキャナーずれを吸収することができる。
【0725】
網羅的データフィルタリング:実験において特異的対照を使用して、すべての試料を比較して、事後統計量を偏らせないために任意の試料において発現されないプローブを系統的に除去する。どのプローブが発現されないかに関する決定は、バックグラウンドプローブと、トウモロコシエクスパンシンRNA(スパイクに含まれない)を認識するがいずれのマウスRNAも認識しないように設計された陰性対照とに基づく。
【0726】
2.3 マイクロアレイデータ正規化
データ正規化は、非線形Q−splines正規化法(Workman et al., Genome Biol 2002, 3(9):research0048.1-0048.16)の改良版によって行った。正規化結果を、Dudoitら(Dudoit et al, Statistica Sinica, 2002, 12:111-139)によって最初に記載されたようなMAプロットとしてグラフ表示した。各点は、DNAアレイのプローブに対応する。M値(縦軸)は、対数差次的発現比(log-differential expression ratio)である。A値(横軸)は、スポットの対数強度である。MおよびAは、各スポットの時点でのCy5およびCy3強度から計算する。Workman et al., Genome Biol 2002, 3(9):research0048.1-0048.16により記載された非線形Q−Splines正規化の改良版を使用して、DNAアレイデータを正規化する。このプロセスは、MAプロットにおいてスポットの大部分がM=0を有するという統計的仮定からのM値の偏差を補正するのに有用である。この方法により、全強度範囲内でM=0を中心とするクラウドを形成するような全M値の調整が可能になる。正規化フィッティング曲線を計算するために使用したデータは、スパイクインされた植物RNA対照用および陰性対照用のプローブのシグナルを除く、生測定データセット全体である。すべての実験間のデータを正しく正規化することができるように、プローブセットは、実験中に変化しない(M=0である)はずである重要な遺伝子群を含まなければならない。その後、正規化関数を、対照を含むすべてのデータに適用する。
【0727】
正規化され、対数変換されたデータを使用して、log2(試料/対照)および変化倍率(FC)値を計算した。バックグラウンド減算をデータ処理中にシグナル強度値に適用せず、これにより、代償として、強度レベルがアレイバックグラウンドレベルに近い場合の変化が副次的に推定(sub-estimation)されてしまう可能性はあるが、発現レベルが低い差次的に発現される遺伝子の着実な選択が可能になる。
【0728】
2.4 レプリカ解析
技術的反復解析は、マイクロアレイデータの統計処理である。反復を計算して、1つのアレイに関するオリゴ反復、または異なる複数のアレイでの実験の反復間のオリゴ反復(すなわち同じ試料のハイブリダイゼーション)を測定した。反復解析の出力は、関連平均log2(試料/対照)、変化倍率値(試料において発現が誘導される場合には試料/対照比および発現が低減される場合には対照/試料比として提示される)、およびそれらの対応するp値を伴う選択された遺伝子のリストである。
【0729】
レプリカ解析中に、解析されるデータ点の群外にあるように見えるデータ点、いわゆる外れ値、を同定することができる。外れ値は、所与の遺伝子オリゴについてのデータ群の残部とは統計的に重要な様式で異なるデータである。外れ値除外を技術的反復に適用した。技術的反復に関する外れ値データは、ホコリまたは合成欠陥のようなアレイの不完全性に起因することがある。外れ値データは、単に誤り、例えば、誤標識または試料の混合に起因することもある。何を「統計的差異」と見なすべきかは、遺伝子プローブの反復について観察された変動と、スパイクシグナルによって生じる対照値について観察された変化倍率の変動に基づいて計算した、所与の実験について予想された変動との比較によって定義した。レプリカ群におけるデータの20%より多くを外れ値と推定することは決してなかった。
【0730】
2.5 マイクロアレイデータについての値の計算
内部レプリカ対照を使用してプロセスの最小技術的変動性を評定するアルゴリズムを導出するためにベイズの枠組みを使用する、正則化t統計量の絶対値(Baldi et al, Bioinformatics 2001, 17(6):509-519)に基づいて、p値を計算した。固有実験変動は、内部対照および/または自己ハイブリダイゼーションのFCによって評定した。
【0731】
2.6 マイクロアレイ設計および関連プローブ
利用したマイクロアレイは、ハイブリダイゼーションの熱力学的シミュレーションに基づく本出願人の私有ソフトウェアを使用して設計した。50〜60塩基長を有するオリゴの設計に使用した基本パラメータは、融解温度(Tm)であり、これは、「最近接塩基」を使用し、被定義塩濃度でのDNA/RNA相互作用についてSugimotoら(N Sugimoto et al, Biochemistry 1995, 34:11211-11216)によって提供されたパラメータを適用して計算した。オリゴの折り畳みを計算するために、ZukerおよびStieglerの最小自由エネルギーアルゴリズム(M Zuckler and P Stiegler, Nucleic Acids Research 1981, 9(1): 133-148)を使用し、最小自由エネルギーが0である場合については、Wutchyらのアルゴリズム(S Wutchy et al, Biopolymers 1999, 49:145-165)を使用した。溶液中のオリゴヌクレオチドおよび(断片化された)核酸の二次構造を計算した。ハイブリダイゼーションプロセスをモデル化するために、候補オリゴヌクレオチドプローブを、先ず、BLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)アルゴリズム(Altschul et al, J Mol Biol 1990, 215:403-410)を使用してトランスクリプトームとアラインメントした。このソフトウェアは、完全アラインメント(ミスマッチを一切許さない)、ミスマッチアラインメント、および部分アラインメント(すなわち、部分的オーバーラップ)を行い、すべての核酸(試料、オリゴ、スパイクインされた対照)の配列およびハイブリダイゼーション反応の他の関連パラメータ(核酸および塩濃度、塩基)に基づいてすべての相互作用のTmを計算した。
【0732】
次に、所望の標的相互作用を生じさせるオリゴの狭いTm分布および均一な挙動を目的として、ならびに交差ハイブリダイゼーションおよび二次構造を制限するために望ましくない相互作用のTmが最大の値をとるようにして、Tm範囲制限を適用した。次に、品質係数を次のパラメータの線形結合に基づいて計算した:オリゴからmRNA配列の3’末端までの距離(エーベルワイン標識化の3’バイアス)、オリゴのTm、オリゴの長さ、オリゴのTmから最大交差ハイブリダイゼーションTmまでの距離、オリゴのTmの最大二次構造Tmまでの距離、GC含有量。この品質係数を使用して、所与の遺伝子について可能性のある様々なオリゴを順位付けし、利用可能なスポット位置の機能が最良の可能性のあるオリゴを選択した。
【0733】
このアレイの設計のために、パラメータを次のように設定した:
アレイタイプ:遺伝子発現(DNA/RNA);オリゴサイズ最小50、最大60、距離3’最大1500、Tm範囲70〜80、最大Tm二次構造60、最大Tm交差ハイブリダイゼーション60、1標的配列当り1オリゴ。塩濃度および核酸濃度:Agilent遺伝子発現ハイブリダイゼーションプロトコールの通り。
【0734】
最終マイクロアレイは、様々なマウス遺伝子の各々のための3つずつの遺伝子プローブ、ならびにスパイク対照のための何千もの複製のプローブを含有する。
【0735】
ENSEMBLデータベースを使用して、遺伝子プローブを設計した。高品質プローブを見つけられなかった配列については、準最適プローブ(R−プローブ)を用いて設計を補完した。DNAマイクロアレイ合成は、Agilentに外注した。マウス全ゲノム遺伝子配列アレイは、次のものを含有する:
・ENSEMBLデータベース作成番号53、may 2009(作成番号NCBI36に基づく)に基づいて設計された17386のOryzon High Qualityプローブ。
・ENSEMBLデータベースに基づいて設計された10736のOryzon Recoveryプローブ。
【0736】
マウス遺伝子プローブの総量は28122である。
【0737】
加えて、マウスアレイ設計は、スパイクインされた植物aRNAを認識するプローブ、および陰性対照を含有する。
【0738】
詳細には以下のプローブを調査した:
【0739】
【表5】
【実施例3】
【0740】
S100A8およびS100A9は、SAMR1マウスに対してSAMP−8において上方調節され、LSD1阻害剤での処置後にSAMP−8の海馬において下方調節される
この実施例は、S100A8および大部分のS100A9が、促進老化およびアルツハイマー病のモデルであるSAMP−8マウスにおいて過剰発現されること、およびこれらの遺伝子の過剰発現をLSD1阻害剤での処置によりモジュレートすることができ、この処置には、血液学に関する有意な影響が存在せず、かつ新規物体認識試験(NORT)により評定して記憶に対する有益な効果があることを例証するものである。
【0741】
3.1 マウス系統および処置
易老化促進マウス8(SAMP8)系統は、アルツハイマー病を暗示する神経変性の非トランスジェニックモデルである(T Takeda, Neurobiol Aging 1999, 20(2):105-10)。SAMP8マウスでは約5月齢で記憶障害が現れ、新規物体認識試験(NORT)を使用してそれを容易に評定することができる。老化促進抵抗マウス1(SAMR1)系統は記憶障害を示さず、対照として使用される。
【0742】
SAMP8およびSAMR1マウスを、処置が開始するまで、食餌(A04、Harlan、Spain)および水道水を自由に入手できる標準条件(温度23±1℃、湿度50〜60%、12:12時間の昼夜サイクル、7:00 a.m.に点灯)下、1ケージ当り5頭で維持した。体重(g)を週1回測定した。
【0743】
試験化合物:上の実施例1で定義した通りの化合物1。化合物1は、経口利用可能であり、血液脳関門を横断することが証明されている。
【0744】
雄と雌を2つの異なるコホートに分け、すべての処置を5月齢で開始した。
【0745】
第1の実験では、雌マウスを次の4つの実験群(n=16/群)に無作為に分配した:SAMR1ビヒクル、SAMP8 ビヒクル、SAMP8 0.96mg/kg/日での化合物1、およびSAMP8 3.2mg/kg/日での化合物1。
【0746】
第1の実験で得た結果に基づいて、雄マウスを使用する第2の実験における用量を調整した。雄マウスを次の4つの実験群(n=16/群)に無作為に分配した:SAMR 1ビヒクル、SAMP8 ビヒクル、SAMP8 0.32mg/kg/日での化合物1、およびSAMP8 0.96mg/kg/日での化合物1。
【0747】
試験化合物(化合物1)をビヒクル(1.8%ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、Sigma−Aldrich)で希釈し、飲用水で投与した。ケージ当りの動物の平均水摂取量に従って用量を計算し、週1回調整した。試験化合物(またはビヒクル)は、週単位の期間のうち5日間利用可能であり、その後、2日はクリアランスであった。
【0748】
3.2 新規物体認識試験(NORT)
3.2.1 方法
NORTは、新規物体および馴染みのある物体に曝露されたときの動物の挙動を評定するために使用される(M Antunes and G Biala, Cogn Process.2012, 13(2): 93-110)。動物は、新規性に対するそれらの自然な性向として新規物体を探索し、刺激認識の指標(識別指数またはDI、説明については下記を参照されたい)を評価することが可能である。訓練または馴化後、DIを設定して、作業記憶(訓練の数分後)、中期(訓練の数時間後)、および情報が永久に残りうる長期記憶(24時間およびそれ超え)を測定することができる。
【0749】
NORT試験を2カ月の処置後に行い(n=16/群)、処置4カ月の時点で反復した(n=10/群)(12:30am〜6:30pm)。動物を90°2アーム、長さ25cm、高さ20cm、幅5cmの黒色迷路に入れた。高さ20cmの壁は、浄化を容易にするために取り外すことができた。フィールド中央の光強度は30ルクスであった。識別すべき物体はプラスチック製であり、明確に区別することができる異なる形状および色を有した。最初の3日間、マウスを個々に10分間、その装置に慣れさせた。4日目に、10分獲得試行(第1の試行)に動物を付し、この試行の間、各アームの端部に配置された2つの同一の新規物体(A+AまたはB+B)が存在する状態の迷路に動物を入れておいた。10分保持試行を2時間後(雄と雌の両方において)および24時間後(雄のみ)に行って、中および長期記憶をそれぞれ評価した。この第2の試行の間、物体AおよびBを迷路内に配置し、動物が新たな物体(tn)および古い物体(to)を探索する時間をビデオ記録した。識別指数(DI)を(tn−to)/(tn+to)と定義した。物体嗜好の偏りを回避するために、各実験群の動物の半数が最初に物体Aに、そしてその後物体Bに曝露されるのに対して、もう一方の半数は、最初に物体Bを、そしてその後物体Aを目撃するように、物体AとBの釣り合いを取った。嗅覚手がかりをなくすために、異なる動物間で迷路および物体を96°エタノールで浄化した。
【0750】
3.2.2 統計解析
GraphPad Prism 6.0ソフトウェアパッケージを使用して統計解析を行った。主因子として処置を用いて一元配置ANOVAによりSAMP8マウスからのNORTデータを解析した。ボンフェローニ検定での事後比較を適宜おこなった。スチューデントt検定を使用して、SAMR1 ビヒクルとSAMP8 ビヒクルを比較した。
【0751】
3.2.3 結果
より詳細に下で論じるように、雄と雌の両方において2カ月および4カ月の処置後にNORTにより評定して、化合物1はSAMP8における記憶喪失を予防する。
【0752】
3.2.3.1 雌
飲用水で経口投与した化合物1での処置は、SAMP8雌における中期記憶(2時間試行試験)の記憶障害を救った。この効果は、図1Aおよび1Bに示すように、試験した2種の用量で、2カ月の処置後にも4カ月の処置後にも観察された。t−スチューデント検定は、2カ月の処置後(p<0.0001)および4カ月の処置後(p<0.001)にビヒクル処置SAMR1動物とビヒクル処置SAMP8動物間の識別指数DIの差を示した。ANOVAは、化合物1での2カ月または4カ月の処置後に処置に起因する識別指数の差(p<0.0001)を示した。事後解析は、化合物1で処置したSAMP8群においてSAMP8 ビヒクルと比較して高い識別指数を示した。****p<0.0001;***p<0.001
【0753】
3.2.3.2 雄
飲用水で経口投与した化合物1での処置は、SAMP8雄の記憶障害を救った。この効果は、試験した2種の用量で、2および4カ月処置後に観察され、中期記憶と長期記憶の両方に対して陽性の効果があった。結果を図2A(中期記憶、2カ月処置)、2B(中期記憶、4カ月処置)、3(長期記憶、2カ月処置)および3B(長期記憶、4カ月処置)に示す。
【0754】
中期記憶(2時間試行試験):
図2Aおよび2Bに示すように、t−スチューデント検定は、2カ月の処置後(p<0.0001)および4カ月の処置後(p<0.0001)にビヒクル処置SAMR1動物とビヒクル処置SAMP8動物間の識別指数の差を示した。ANOVAは、化合物1での2カ月の処置後(p<0.0001)および4カ月の処置後(p<0.0001)に処置に起因する識別指数DIの差を示した。事後解析は、化合物1で処置したSAMP8群においてSAMP8 ビヒクルと比較して高い識別指数を示した。****p<0.0001;***p<0.001
【0755】
長期記憶(24時間試行試験):
図3Aおよび3Bに示すように、t−スチューデント検定は、2カ月の処置後(p<0.0001)および4カ月の処置後(p<0.0001)にビヒクル処置SAMR1動物とビヒクル処置SAMP8動物間の識別指数DIの差を示した。ANOVAは、化合物1での2カ月の処置後(p<0.001)および4カ月の処置後(p<0.001)に処置に起因する識別指数の差を示した。事後解析は、化合物1で処置したSAMP8群においてSAMP8 ビヒクルと比較して高い識別指数を示した。****p<0.0001;***p<0.001;p<0.05
【0756】
3.3 試料採取方法
NORT試験の翌日に、7月齢動物(n=2〜6/群)または9月齢動物(n=2〜4/群)を80mg/kgのペントバルビタールナトリウムで深く麻酔した。血液試料を心臓内穿刺によって得、EDTAチューブに採取し、分析まで4℃で保存した。その後、さらなるRNA抽出のために海馬を切除してドライアイスで急速凍結した。
【0757】
3.4 海馬に対する効果
LSD1阻害剤が正常な造血に関与することは公知である(Sprussel et al, Leukemia 2012, 26(9)2039-51)。LSD1阻害剤での処置には投与した用量でSAMP8マウスにおいて造血に効果があるかどうかを評定するために、試験した化合物1の用量が高いほう(0.96mg/kg/日)の雄マウスにおける血小板レベルに対する効果を2または4カ月の処置後に評価した。マウスを屠殺し、血液像分析のためにクエン酸ナトリウム含有チューブに血液を採取した。血小板レベルを標準血液分析器(DiatronからのAbacus Junior Vet)で製造業者の説明書に従って決定した。
【0758】
16週間の処置後に得た結果を図4に示す。血小板レベルが低下する傾向が観察されたが、ビヒクル処置SAMP8マウスと比較して化合物1処置の統計的に有意な効果は観察されなかった。
【0759】
3.5 マイクロアレイによる遺伝子発現分析
3.5.1 試料調製
セクション3.3において説明したように得た上記実験からの雌マウスからの海馬試料をマイクロアレイGE分析に使用した。
【0760】
実施例2で説明した一般的方法を使用して、遺伝子発現分析のためのRNA抽出および標識化を行って、以下の試料を得た:
【0761】
3.5.1.1 個別試料リスト
【0762】
【表6-1】
【0763】
【表6-2】
【0764】
以下のRNA試料を標識およびマイクロアレイ分析のためにプールした:
プール試料リスト
【0765】
【表7】
【0766】
ここで使用するComp1は、化合物1を意味する。LDは、雌マウスに投与した化合物の低用量、すなわち、0.96mg/kg/日を意味し、HDは、雌マウスに投与した化合物1の高用量、すなわち、3.2mg/kg/日を意味する。VEHは、ビヒクルを意味する。
【0767】
3.5.2 ハイブリダイゼーションリスト
以下のハイブリダイゼーションを上で説明したように行った
【0768】
【表8】
【0769】
3.5.3 レプリカ解析
レプリカ解析は、アレイ内でのものであった。
【0770】
【表9】
【0771】
3.5.4 遺伝子発現結果
得られた結果を下の表に示す:
【0772】
【表10】
低:より低い単位に丸めた、アレイに関するバックグラウンドシグナルより上の最低値。Log2(試料/対照)値は、上で説明したようにバックグラウンド減算なしで計算した。
【0773】
S100A8および特にS100A9は、参照系統SAMR1に対してSAMP8において上方調節され、化合物1での処置により下方調節された。2つのハウスキーピング遺伝子、すなわち、異なる実験を通して比較的一定した発現レベルを示す遺伝子、Tubb3およびTubb2c、を比較のために含めた。
【0774】
化合物1でのS100A9およびS100A8の下方調節は、HDで観察され、このHDでは血小板レベルの有意な低下が観察されたが、重要なこととして、血小板レベルの有意な低下が観察されなかったLDでも観察された。NORT試験により評定して記憶能力の完全レスキューも、HDおよびLDで処置したSAMP−8動物において観察された。
【実施例4】
【0775】
RNAシークエンシングによるS100A9発現に対するLSD1阻害剤の効果の検証
実施例3において化合物1またはビヒクルで4カ月間処置した雌および雄マウスからの試料を使用し、代替遺伝子発現技術としてIllumina RNAシークエンシングを使用して、実施例3において開示したマイクロアレイハイブリダイゼーション結果を確認した。
【0776】
4.1 ILLUMINA RNA−SEQ技術
Illumina色素シークエンシングは、スライド上のプライマーへのcDNA分子の結合で開始し、その後、そのDNAを増幅して局所コロニーを生成する。各々を異なる色で蛍光標識し、ブロッキング基と結合させた、4タイプ(アデニン、シトシン、グアニンおよびチミン)の可逆的ターミネート塩基(reversible terminate bases)を添加する。すると、4つの塩基は、シークエンシングすべきテンプレートcDNA上の結合部位について競合し、組み込まれなかった分子は洗い流す。各合成後、レーザーを使用して色素を励起させ、組み込まれた塩基の写真を撮影する。次いで、単一ステップでの3’末端ブロッキング基と色素の除去に、化学的脱ブロッキングステップを使用する。このプロセスを全cDNA分子がシークエンシングされるまで反復する。
【0777】
Illumina RNA−Seq技術は、ライブラリー集団内の配列頻度数を記録する。Illuninaシークエンシング技術を使用して、30Mシングルリードの倍数で50bpシングルリードを生成する。Bowtie生成ゲノム/トランスクリプトームアラインメントを使用して、RNA−Seqリードを参照ゲノムまたは参照トランスクリプトームにアラインメントする。TopHatが、最初のアラインメントの可能性のあるエクソン−エクソンスプライスジャンクションを同定する。次いで、Cufflinkが、前処理されたRNA−Seqアラインメントアセンブリから転写産物を同定し、定量する。この後、Cuffmergeは、同定された転写産物片を完全長転写産物に統合し、所与のアノテーションに基づいて転写産物にアノテーションを付与する。最後に、2つ以上の試料/条件から統合された転写産物を、Cuffdiffを使用して比較して、試料/条件間の有意性の程度を含めて転写産物および遺伝子レベルで差次的発現レベルを決定する。
【0778】
差次的遺伝子発現。RNA−SeqアラインメントおよびCuffinks処理を作動すると、Cuffdiffは、マッピングされたリードを追跡し、すべての試料中の各々の転写産物についてマッピングされたリード100万当りの塩基1000当りの断片(FPKM:fragment per kilo base per million mapped reads)を決定する。次いで、各一次転写産物群または遺伝子群のFPKMを合計することにより、一次転写産物および遺伝子FPKMをコンピュータ計算する。試料の各ペア(対照対ケース)について、差次的発現値、例えば変化倍率およびp値をコンピュータ計算する。
【0779】
4.2 試料調製
遺伝子発現分析のためのRNA抽出を上の実施例2で説明したように行って、以下のプール試料を得た:
試料リスト
【0780】
【表11】
【0781】
4.3 遺伝子発現結果
得られた結果を下の表に示す:
【0782】
【表12】
【0783】
ここで使用するComp1は、化合物1を意味し、VEHはビヒクルを意味する。
ビヒクル処置SAMP8に対する化合物1処置SAMP8の海馬におけるS100A9発現の変化をRNA−seq分析によって検証した。化合物1での処置は、同じ性別のビヒクル処置動物と比較してSAMP9発現を下方調節した。
【実施例5】
【0784】
qRT−PCRによるS100A9およびS100A8発現に対するLSD1阻害剤の効果の検証
5.1 定量的RT−PCR
qRT−PCRは、特定のcDNA断片についての同時の指数関数的増幅と検出を可能にするPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法の変形である。Taqman遺伝子発現アッセイは、二重標識加水分解プローブ原理を利用する。プローブは、それらの5’末端が蛍光部分構造で標識され、3’末端がクエンチャー部分構造で標識され、これによりフェルスターエネルギー移動原理による蛍光の生成が防止される。
【0785】
増幅プロセス中に、加水分解プローブは、標的アンプリコン内のその相補配列にハイブリダイズする。各サイクル中に、Taqポリメラーゼによりプライマーから出発する標的配列のコピーの産生が開始される。Taqポリメラーゼが加水分解プローブに達すると、その5’−3’エキソヌクレアーゼ活性により加水分解プローブが断片化され、蛍光基がクエンチャー部分から遊離され、その結果、蛍光シグナルが放出される。
【0786】
増幅反応の対数期では、蛍光強度は、形成されるPCR産物の量に正比例する。LightCycler(登録商標)ソフトウェアにより、「交点」(Cp)、すなわち、反応の蛍光が増幅曲線の二次導関数の最大値に達する点であって、蛍光シグナルの加速度がその最大値である点が決定される。したがって、この交点は、常に、PCR増幅プロットの対数線形部分の中央に位置するはずである。2−Cp値は、元のRNA試料中の標的mRNA濃度に比例する。
【0787】
実施例3で説明したように得た、ビヒクルまたは化合物1で2カ月または4カ月間処置したSAMR1マウスおよびSAMP8マウスの海馬から抽出した全RNAに関して、S100A8の遺伝子発現レベルのqRT−PCR分析を、TaqmanアッセイMm00496696_g1(Life Technologies;アンプリコン長131bp、標的エクソン2−3境界、RefSeq NM_013650.2、アッセイ位置191)を使用して、およびS100A9の遺伝子発現レベルのqRT−PCR分析を、TaqmanアッセイMm00656925_m1(Life Technologies;アンプリコン長162bp、標的エクソン2−3、RefSeq NM_001281852.1、アッセイ位置212)を使用して行った。2カ月および4カ月間の処置を受けた動物からの試料を一緒に処理して統計解析した。抽出(RNeasy Mini KIT;QIAGEN)後、全RNAを逆転写して、第1鎖cDNA(High Capacity RNA−to−cDNA Master Mix;Applied Biosystems)を得た。海馬からの第1鎖産物の系列希釈物を使用して3回ずつqRT−PCR(Taqman遺伝子発現アッセイ、Life technologies)反応を行って、S100A8およびS100A9のCp値を分析した。Cp増加を内在性参照遺伝子(GADPH)の発現レベルに対して正規化した。
【0788】
5.2 結果
ビヒクル処置SAMP8に対する化合物1処置SAMP8の海馬におけるS100A9発現の変化をqRT−PCRによって検証した。得られた結果を図5Aおよび5Bに示す。S100A9は、SAMR1マウスに対してSAMP8マウスにおいて上方調節され、化合物1での処置は、0.96mg/kg/日(p<0.001)および3.2mg/kg/日(p<0.001)で雌において、ならびに0.96mg/kg/日(p<0.001)で雄においても、用量依存式にS100A9発現を下方調節した。同様にS100A8は、SAMR1雌マウスに対してSAMP8雌マウスにおいてアプレギュレートされ、化合物1での処置は、S100A8発現傾向を下方調節する結果となった。***p<0.001
【実施例6】
【0789】
S100A9およびS100A8は脳において化合物1または化合物2での処置により下方調節される
この実施例は、脳内のS100A9およびS100A8下方調節度がLSD1阻害度に依存することを例証するものである。
【0790】
最大耐用量(MTD)研究の一部として、LSD1阻害剤を様々な用量でマウスに投与し、脳試料を採取し、GE分析に付した。
【0791】
6.1 試験化合物
化合物1、化合物2。
これらの化合物は、実施例1で提供したデータにより証明されるように、薬物動態プロファイルならびにMAO−BおよびMAO−A阻害剤に対する生化学的効力は非常に類似しているがLSD1阻害については生化学的効力が非常に異なる、エナンチオマーである。
【0792】
6.2 投与のための試験化合物の調製
適切な量の粉末化合物1または化合物2をビヒクル(20%2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;80%HO)に溶解し、ボルテックスし、超音波浴に10分間、入れておいた。
【0793】
6.3 マウス系統および処置
雄Hsd:ICR(CD1(登録商標))マウスを、水および食餌を定期的に供給して、空気および温度制御ケージで維持した。1ケージ当り最大3頭のマウスを飼育した。3頭のマウスを各群に割り当てた。初回投与の前に、各マウスに標識を付け、体重測定した。1mlシリンジを使用し、マウスに適した動物用経口ゾンデを使用して、試験化合物を10mg/kgで以下のように経口投与した。
(二値コード;1=投薬する、および0=投薬しない)
G1:化合物2、3mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G2:化合物2、10mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G3:化合物2、30mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G4:化合物2、100mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G5:化合物1、3mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G6:化合物1、10mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G7:化合物1、30mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G8:化合物1、100mg/kg、(1111100)、経口(n=3)週1回
G9:ビヒクル、(1)、経口(n=3)週1回
【0794】
ここで使用するComp1は化合物1を意味し、Comp2は化合物2を意味する。
【0795】
6.4 試料
動物を殺生した後、脳(左半球)の組織試料を抽出し、直ちに液体窒素にいれ、−80℃で保存した。RNA抽出のために、Ultraturraxを使用してQiagenからのRLT溶解緩衝液0.5mlでそれらの左脳半球試料を前処理した。
【0796】
6.5 遺伝子発現分析
6.5.1 試料調製
遺伝子発現分析のためのRNA抽出および標識化を上で説明したように行って、以下のプール試料を得た:
試料リスト
【0797】
【表13】
【0798】
6.5.2 ハイブリダイゼーションリスト
以下のハイブリダイゼーションを上で説明したように行った:
【0799】
【表14】
【0800】
6.5.3 レプリカ解析
3種のレプリカハイブリダイゼーションをビヒクル対ビヒクル比較(SELF TO SELF)のために含め、これらをレプリカ解析のために分類した。生物学的レプリカも反復ハイブリダイゼーションも他の比較に含めず、したがって、レプリカ解析はアレイ内でのものであった。
【0801】
【表15】
【0802】
6.5.4 遺伝子発現結果
得られた結果を下の表に示す:
【0803】
【表16-1】
【0804】
【表16-2】
低:より低い単位に丸めた、アレイに関するバックグラウンドシグナルより上の最低値。Log2(試料/対照)値は、上で説明したようにバックグラウンド減算なしで計算した。
【0805】
S100A8およびS100A9は、LSD1阻害剤、化合物1および化合物2での処置により下方調節された。2つのハウスキーピング遺伝子、Tubb3およびTubb2cを比較のために含めた。効果の効力は、in vitroでの生化学的LSD1阻害効力と相関関係があり、すなわち、化合物2<<化合物1であった。
【0806】
これらデータは、実施例3において化合物1での処置により観察されたS100A8およびS100A9の下方調節が化合物1のLSD1阻害成分に起因することをさらに確証する。
【実施例7】
【0807】
S100A8およびS100A9は脾臓、肝臓および脳組織においてLSD1阻害剤での処置により下方調節される
この実施例は、LSD1阻害剤が様々な組織におけるS100A8およびS100A9遺伝子発現を下方調節すること、ならびにその下方調節度がLSD1阻害度に関連していることをさらに例証するものである。MTD研究から得た、LSD1阻害剤で処置した動物の組織試料を、S100A9およびS100A8の遺伝子発現について分析した。
【0808】
7.1 試験化合物
実施例1で説明した通りの、化合物3、4および5。
化合物3は、LSD1/MAO−B阻害剤であり、これに対して化合物2および3は、実施例1において開示したようにLSD1、MAO−BおよびMAO−Aに対する生化学的効力がある、より選択的なLSD1阻害剤である。
【0809】
7.2 投与のための試験化合物の調製
粉末化合物3、4または5を水中の2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの20%溶液に適切な濃度で溶解し、ボルテックスし、超音波浴に5分間、入れておいた。
【0810】
7.3 マウス系統および処置
Hsd:胸腺欠損ヌード−Foxn1nuマウスを、水および食餌を定期的に供給して、空気および温度制御ケージで維持した。最大6頭のマウス/ケージを飼育した。初回投与の前に、マウスに標識を付け、体重測定した。
【0811】
27G針を使用して1m注射器を用いて15mg/kgで腹腔内注射を行った。
【0812】
動物に化合物をi.p.注射により5日連続で投与した。処置スキームは、以下の通りであった(1:投与;0:投与なし)
OG 044/23:
G1:Comp3、5mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)週1回
G2:Comp3、10mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G3:Comp3、20mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G4:Comp3、40mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G8:ビヒクル、(1111100)、i.p.(n=6)週1回
OG 044/24
G1:Comp4、1mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)週1回
G2:Comp4、3mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G3:Comp4、10mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G4:Comp5、3.3mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G5:Comp5、11mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G6:Comp5、33mg/kg、(1111100)、i.p.(n=6)、週1回
G7:ビヒクル、(1111100)、i.p.(n=6)週1回
OG 044/25
G5:ビヒクル、(1111100)、i.p.(n=6)週1回
【0813】
7.4 試料採取手順:
各動物を殺生した直後、脾臓、肝臓(尾状葉)および脳の試料を抽出した。これらの組織を生理溶液ですすぎ、液体窒素で凍結させた。その後、Ultraturraxを用いて10X RLT緩衝液(1ml/試料)(Qiagen#79216)で試料をホモジナイズし、さらなる処理およびRNA抽出のために−80℃で保存した。
【0814】
7.5 遺伝子発現分析
7.5.1 試料調製
遺伝子発現分析のためのRNA抽出および標識化を上で説明したように行って、以下のプール試料を得た:
Pool 23−B5−G1 Cy5は、処置5日目に屠殺したOG 044/23の処置群G1からのマウスからの脳からのRNAからのプールに由来する、Gy5標識aRNAを意味する
「OG 044/23 G1−1、2、3−脳−5日目」は、処置5日目に屠殺したOG 044/23の処置群G1からのマウス番号1、2、3の脳に由来するRNAを意味する
【0815】
【表17-1】
【0816】
【表17-2】
【0817】
7.5.2 ハイブリダイゼーション
以下の標識試料を本出願人のマウスWGAアレイ上で共ハイブリダイズし、上の実施例2で説明したように分析した:
【0818】
【表18-1】
【0819】
【表18-2】
【0820】
【表18-3】
【0821】
7.5.3 レプリカ解析
レプリカ解析は、アレイ内でのものであった。
【0822】
【表19-1】
【0823】
【表19-2】
【0824】
7.5.4 遺伝子発現結果
脳、肝臓および脾臓におけるS100A9およびS100A8遺伝子発現について得た結果を以下の表に示す:
【0825】
【表20-1】
【0826】
【表20-2】
【0827】
【表20-3】
【0828】
【表20-4】
【0829】
【表20-5】
【0830】
【表20-6】
【0831】
上の3つの表に示したように、S100A8およびS100A9は、脳、脾臓および肝臓において異なるLSD1阻害剤での処置により下方調節された。2つのハウスキーピング遺伝子、Tubb3およびTubb2cを比較のために含めた。S100A9およびS100A8発現に対する効果の効力は、in vitroでの生化学的LSD1阻害効力と相関関係があり、すなわち、化合物3<化合物4、化合物5であった。
【実施例8】
【0832】
ヒトアルツハイマー病ドナーからの脳脊髄液におけるS100A9発現のqRT−PCRによる定量
8.1 定量的RT−PCR
バイオバンク(PrecisionMed)から得た5名の異なるアルツハイマー病(AD)患者ドナーからのヒト脳脊髄液(CSF)10mLの遠心分離後に得た細胞ペレットから抽出した全RNAを用いて、TaqmanアッセイプローブHs00610058_m1、(Life Technologies;アンプリコン長83bp、標的エクソン2−3境界、RefSeq NM_002965.2、アッセイ位置188)を使用して、qRT−PCRによりヒトS100A9遺伝子発現レベルを分析した。抽出(RNeasy Mini KIT;QIAGEN)後、得られたすべてのRNAを逆転写して、第1鎖cDNAを(キット(iScript Reverse Transcription Supermix、Bio−Rad Ref.170−8841)を使用して)20μLの最終体積で得た。1μlの第1鎖産物を使用し、事前の10サイクルの予備増幅を加えて実施例5で説明したように3回ずつqRT−PCR反応を行ってS100A9のCp値を分析した。TaqmanアッセイプローブHs02758991_g1(Life Technologies;アンプリコン長93bp、標的エクソン7−8境界、RefSeq NM_002046.4、アッセイ位置704)を使用して内在性参照遺伝子(GADPH、グリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素;GAPDHとしても公知)の発現レベルに対してCpを正規化した。結果をΔCp(S100A9−GADPH)として表す。
【0833】
8.2 結果
ヒトAD患者ドナーのCSFにおけるS100A9発現をqRT−PCRによって定量した。得られた結果を5名の異なるドナーの平均+SEM値として図6に示す。これらのデータは、S100A9 mRNAレベルがヒトCSF試料において検出可能かつ定量可能であったことを示す。
【0834】
ヒト健常ドナーからのCSFにおけるS100A9発現の定量は、実施例8.1で説明した方法に類似した方法に従ってqRT−PCRにより行うことができる。
【実施例9】
【0835】
マウスにおける実験的自己免疫性脳脊髄炎に対する化合物1の効能の評価
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルは、ヒト多発性硬化症(MS)と病理学的および臨床的類似性を示し、MSのモデルとして広く使用されている。詳細には、MOG35−55およびC57BL/6マウス系統を使用する、本明細書に記載のマウスEAEモデルは、慢性進行性型のMSの妥当性が確認されている前臨床モデルと考えられる。
【0836】
9.1 方法
能動免疫処置により慢性EAEを誘導するために、4mg/mlの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37 RAを含有する完全フロイントアジュバント(CFA)に乳化させた100μgのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質MOG35〜55を用いてC57BL/6マウスを免疫処置した。マウスには0日目および2日目に200ngの百日咳毒素のi.p.注射も施した。処置は、疾患発症(免疫処置後12日目)後の、免疫処置後12日目〜16日目および免疫処置後19日目〜23日目の連続5日間、1日1回の、化合物1の(1mg/kgまたは3mg/kgでの)経口投与で構成された。対照マウスは、化合物1と同じ投与レジメンに従ってビヒクル[2% v/v Tween−80+98%HPβCD(13% w/v)]で経口処置した。n=9であった3mg/kgの化合物1で処置した群を除いて、n=10マウス/群。
【0837】
マウスをEAEの徴候について次の臨床採点システムに従って採点した:0、臨床徴候なし;0.5、尾の緊張の部分的喪失;1、尾の緊張の完全喪失;2、弛緩した尾および歩行異常;3、後肢完全麻痺;4、後体部不全麻痺を伴う後肢完全麻痺;5、後および前肢完全麻痺;および6、死亡。
【0838】
9.2 結果
未処置対照マウスは、EAEの中等度(動物の30%が、1.5〜3の最大臨床スコアに達した)から重度(動物の70%が3.5〜6の最大臨床スコアに達した)の徴候を発症し、重度の完全麻痺に起因する40%の死亡率を示した。化合物1での処置は、一般に、EAEの発症を阻害し、図7に示すように、毎日の臨床スコアによって査定される疾患発生率および重症度を低下させた。化合物1で処置した群では、マウスの40〜70%が軽度の症状を提示し、30%は、疾患発症の40日後に完全に回復していた。化合物1の保護効果は、処置中止後長期間にわって維持された。
【0839】
このアッセイで得た結果に基づいて、化合物1は、慢性進行性型の多発性硬化症を含む、多発性硬化症の処置に有用であると予想される。
[配列表]
【0840】
配列番号1:ヒト(Homo sapiens)S100カルシウム結合A9(S100A9)をコードするヌクレオチド配列、mRNA
NCBI参照配列:NM_002965.3 このコード領域は、ヌクレオチド44からヌクレオチド385にわたる(太字で強調した)。mRNAが、「t」(チミジン)残基が「ウラシル](u)残基により置換されていることを除いて、下記の配列に対応する(すなわち、その配列と同一である)ことは理解される。
【0841】
起点
【0842】
【化16】
//
【0843】
配列番号2:ヒト(Homo sapiens)S100カルシウム結合A9(S100A9)のアミノ酸配列、タンパク質
UniProtKB/Swiss−Prot:S10A9_HUMAN、P06702
【0844】
【化17】
【0845】
配列番号3:ハツカネズミ(Mus musculus)S100カルシウム結合A9(カルグラニュリンB)(S100a9)をコードするヌクレオチド配列、転写バリアント1、mRNA
NCBI参照配列:NM_001281852.1 このコード領域は、ヌクレオチド67からヌクレオチド405にわたる(太字で強調した)。mRNAが、「t」(チミジン)残基が「ウラシル](u)残基により置換されていることを除いて、下記の配列に対応する(すなわち、その配列と同一である)ことは理解される。
【0846】
起点
【0847】
【化18】
//
【0848】
配列番号4:ハツカネズミ(Mus musculus)S100カルシウム結合A9(カルグラニュリンB)(S100a9)のアミノ酸配列、タンパク質
UniProtKB/Swiss−Prot:P31725−S10A9_MOUSE
【0849】
【化19】
【0850】
配列番号5:ヒト(Homo sapiens)S100カルシウム結合A8(S100A8)をコードするヌクレオチド配列、mRNA
NCBI参照配列:NM_002964.4 このコード領域は、ヌクレオチド71からヌクレオチド449にわたる(太字で強調した)。mRNAが、「t」(チミジン)残基が「ウラシル](u)残基により置換されていることを除いて、下記の配列に対応する(すなわち、その配列と同一である)ことは理解される。
【0851】
起点
【0852】
【化20】
//
【0853】
配列番号6:ヒト(Homo sapiens)S100カルシウム結合A8(S100A8)のアミノ酸配列、タンパク質
UniProtKB/Swiss−Prot:S10A8_HUMAN、P05109
【0854】
【化21】
【0855】
配列番号7:ハツカネズミ(Mus musculus)S100カルシウム結合A8(カルグラニュリンA)(S100a8)をコードするヌクレオチド配列、mRNA
NCBI参照配列:NM_013650.2 このコード領域は、ヌクレオチド56からヌクレオチド322にわたる(太字で強調した)。mRNAが、「t」(チミジン)残基が「ウラシル](u)残基により置換されていることを除いて、下記の配列に対応する(すなわち、その配列と同一である)ことは理解される。
【0856】
起点
【0857】
【化22】
//
【0858】
配列番号8:ハツカネズミ(Mus musculus)S100カルシウム結合A8(カルグラニュリンA)(S100a8)のアミノ酸配列、タンパク質
UniProtKB/Swiss−Prot:P27005−S10A8_MOUSE
【0859】
【化23】
【0860】
別段の定義がない限り、本明細書で使用したすべての専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0861】
本明細書で引用したすべての公表文献、特許および特許出願は、それら全体が本明細書による参照により本明細書に組み込まれている。
【0862】
本明細書で言及した文献は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてもっぱら提供したものである。それらの文献が本出願に対する先行技術であることを認めることと解釈すべきものは本明細書にはない。
【0863】
本発明を特定の実施形態に関連して説明したが、当然のことながら、さらなる修飾が可能であり、本出願は、本発明の原理に一般に従う本発明のあらゆる変形形態、使用または適応形態を包含することを意図したものであり、そのような変形形態、使用または適応形 態には、本発明が属する技術分野内で公知のまたは通例の実施に含まれるような、ならびに上文にて述べたおよび添付の特許請求の範囲における下記の通りの本質的特徴に対して適用することができるような、本開示からの逸脱が含まれる。本発明は次の態様も含む。
(1) LSD1阻害剤での処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、前記対象から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、対照中の前記バイオマーカーのレベルと比較して前記 試料中の前記バイオマーカーのレベルの減少が、前記LSD1阻害剤での前記処置に対する応答を示す、方法。
(2) 前記対象が、CNS疾患を有する、上記(1)に記載の方法。
(3) 前記対象が、アルツハイマー病を有する、上記(1)に記載の方法。
(4) 前記対象が、多発性硬化症を有する、上記(1)に記載の方法。
(5) 前記バイオマーカーが、S100A9である、上記(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 前記LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロルアミノ化合物である、上記(1)から(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 前記LSD1阻害剤が、国際公開第2010/043721号パンフレット、国際公開 第2010/084160号パンフレット、国際公開第2011/035941号パンフレット、国際公開第2011/042217号パンフレット、国際公開第2011/131697号パンフレット、国際公開第2012/013727号パンフレット、国際公開 第2012/013728号パンフレット、国際公開第2012/045883号パンフレット、国際公開第2013/057320号パンフレット、国際公開第2013/057322号パンフレット、国際公開第2012/135113号パンフレット、国際公開第2013/022047号パンフレットまたは国際公開第2014/058071号パンフレットにおいて開示されている化合物である、上記(1)から(5)のいずれかに記載の方法。
(8) 前記LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、上記(1)から(5)のいずれかに記載の方法。
(9) 患者が、LSD1阻害剤での処置に対して応答する可能性が高いかどうかを判定する方法であって、前記LSD1阻害剤での処置前の前記患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップを含み、前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、前記LS D1阻害剤には前記患者に対する治療効果がある可能性がより高い、方法。
(10) 前記対象が、CNS疾患を有する、上記(9)に記載の方法。
(11) 前記対象が、アルツハイマー病を有する、上記(9)に記載の方法。
(12) 対象が、多発性硬化症を有する、上記(9)に記載の方法。
(13) 前記バイオマーカーが、S100A9である、上記(9)から(12)のいずれかに記載の方 法。
(14) 前記LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロルアミノ化合物である、上記(9)から(13)のいずれかに記載の方法。
(15) 前記LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキ シ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、上記(9)から(13)のいずれかに記載の方法。
(16) 患者におけるCNS疾患、自己免疫疾患、感染症または感染症に起因する疾患(好ましくは、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、インフルエンザ感染症、または前記感染症のいずれかに起因する疾患)、がんおよび心血管疾患からなる群から選択される疾患を処置する方法における使用のためのLSD1阻害剤であって、前記方法が、(i)LSD1阻害剤での処置前の前記患者から得た試料中の、S100A9および/またはS100A8であるバイオマーカーのレベルを決定するステップ、ならびに(ii)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが対照と比較して上昇している場合、前記患者に前記LSD1阻害剤を投与するステップを含む、LSD1阻害剤。
(17) 前記バイオマーカーが、S100A9である、上記(16)に記載の方法。
(18) 前記LSD1阻害剤が、2−(ヘテロ)アリールシクロプロルアミノ化合物である、上記(16)または(17)に記載の方法。
(19) 前記LSD1阻害剤が、(−)5−((((trans)−2−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)シクロプロピル)アミノ)メチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−アミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、上記(16)から(18)のいずれかに記載の方法。
(20) 前記疾患が、CNS疾患である、上記(16)から(19)のいずれかに記載の方法。
(21) 前記疾患が、アルツハイマー病である、上記(16)から(19)のいずれかに記載の方法。
(22) 前記疾患が、多発性硬化症である、上記(16)から(19)のいずれかに記載の方法。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]