(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣接する前記フィルタセグメントのインナーラッパーは、漂白パルプ及び未漂白パルプを含み、互いに前記漂白パルプ及び前記未漂白パルプの配合割合が異なる請求項1記載のマルチフィルタセグメント。
隣接する前記フィルタセグメントのインナーラッパーのうち、少なくとも一方のインナーラッパーは、少なくとも片面が着色されている請求項1記載のマルチフィルタセグメント。
隣接する前記フィルタセグメントのインナーラッパーのうち、少なくとも一方のインナーラッパーは、前記フィルタセグメントと接する内側の面が着色されている請求項4記載のマルチフィルタセグメント。
隣接する前記フィルタセグメントのインナーラッパーの間のCIELab表色パラメータは、隣接する前記フィルタセグメントに、赤色、青色、緑色、又は2種類以上の混合した光を透過させたとき、透過光強度比が1.6以上の値になるように互いに異ならせる請求項1〜5いずれか1項記載のマルチフィルタセグメント。
前記アウターラッパーは、前記透過光強度比1.6以上の値を満たす、隣接する前記フィルタセグメントの色透過性に影響を与えない請求項6記載のマルチフィルタセグメント。
【背景技術】
【0002】
フィルタ付き喫煙物品、例えば通常のフィルタ付きシガレットは、酢酸セルロース繊維又はパルプを含む不織布を束ねたり、又は折り畳んだり、して成形したフィルタ材をフィルタラッパーで包んでロッド状に成形したフィルタと、乾燥たばこ葉をシガレットペーパーで包んでロッド状に成形したシガレットロッドとを、端と端とで隣り合わせた状態で、チップペーパーでフィルタとシガレットロッドの両方を接着するように全周にわたって巻くことで一体化したものである。その際、チップペーパーは、シガレットロッドのフィルタ側端部及びフィルタに巻かれ、シガレットロッドとフィルタとを接続している。
【0003】
近年、喫煙物品に使用されるフィルタは、健康リスクやマイルドな喫味、多様な香喫味の要望などに伴い多様化しており、複数のフィルタを突合せて形成したフィルタ、いわゆるマルチフィルタセグメントが知られている。マルチフィルタセグメントは、例えばフィルタ材の外表面にインナーラッパーを被覆して形成したフィルタセグメントの端部と、他方のフィルタセグメントの端部とを突合せ、アウターラッパーを2つのフィルタセグメントの外周面に亘って巻回して2つのフィルタセグメントを接続、一体化したものである。
【0004】
フィルタ材は、例えば、セルロースアセテート繊維などで形成され、他の成分(例えば、トリアセチンなどの可塑剤、活性炭などの吸着剤、メントールなどの香料、サイズ剤、熱安定化剤、歩留まり向上剤、接着剤など)を含む場合がある。また、フィルタセグメントは、内部に空洞を有するキャビティセグメント、紙管等で形成されたセンターホール構造であってもよい。空洞には、例えば液体状又は粉末状の香料成分を内包するカプセルを保持することができる。
【0005】
例えば、特許文献1には、炭酸カルシウム等の填料を増量して高い不透明度を持つインナーラッパーを備えた、フィルタセクションを有するマルチセグメントが開示されている。このフィルタセクションはアセテート繊維又はパルプの不織布を束ねたり、折畳んだりして成形された中に活性炭等の黒色吸着材を分散された不透明度の高いインナーラッパーにて巻回する。これにより、アウターラッパー、チップペーパーで巻回されたマルチフィルタセグメントは、黒色吸着材が透けて見えることがなく、かつ白い清潔感が付与できる効果を奏する。
【0006】
一般に、マルチフィルタセグメントは、切り出された各フィルタセグメントをコンバイナにおいて、整列・所定の間隔で配置し端部と端部を突き合せ、その後にアウターラッパーを巻いて一体化して形成されている。各フィルタセグメントの長さは5mm〜50mmの多岐に亘る。マルチフィルタセグメントは、その構造が複雑になるほど、各フィルタセグメントの長さ、フィルタセグメント間の突合せ状態等の不良が生じる可能性が高くなる。そのため、マルチフィルタセグメントの各フィルタセグメントの長さ、フィルタセグメント間の突合せ状態等を検出して、マルチフィルタセグメントの状態の良否を判定する検査が必要である。
【0007】
上述したような不透明度を増大させたインナーラッパーを用いたマルチフィルタセグメントの状態を検査する場合、インナーラッパーの不透明度を利用して、各フィルタセグメントの長さ、フィルタセグメント間の突合せ状態等を検出して各フィルタが所定の長さであるか、正常の突合せ状態であるか、の良否判定を行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら、いくつかの実施形態について説明する。実施形態を通して同一の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態の理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際と異なる個所がある。本明細書において、「上流」及び「下流」の用語を適宜用いるが、これらはフィルタ付き喫煙物品を喫煙したときの主流煙の流れる方向を基準としている。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るマルチフィルタセグメント1の概略断面図である。マルチフィルタセグメント1は、2つのフィルタセグメント11a、11bを備えている。具体的には、マルチフィルタセグメント1は、隣接する第1のフィルタセグメント11aと第2のフィルタセグメント11bとから構成される、いわゆるデュアルフィルタである。
【0021】
第1のフィルタセグメント11aは、第1のフィルタ材111aと、第1のフィルタ材111aの外表面を被覆する第1のインナーラッパー112aとからなる。第2のフィルタセグメント11bは、第2のフィルタ材111bと、第2のフィルタ材111bの外表面を被覆する第2のインナーラッパー112bとからなる。第1のフィルタセグメント11aと第2のフィルタセグメント11bは、端部で突合わされ、第1及び第2のインナーラッパー112a、112bの外表面にアウターラッパー12を巻回し、第1及び第2のフィルタセグメント11a、11bを接続、一体化することによりマルチフィルタセグメント1を構成している。
【0022】
第1及び第2のフィルタ材111a、111bは、例えば、セルロースアセテート繊維などで形成され、他の成分(例えば、トリアセチンなどの可塑剤、活性炭などの吸着剤、メントールなどの香料、サイズ剤、熱安定化剤、歩留まり向上剤、接着剤など)を含む場合がある。また、第1及び第2のフィルタセグメント11a、11bは、内部に空洞を有するキャビティセグメント、紙管等で形成されたセンターホール構造であってもよい。空洞には、例えば液体状又は粉末状の香料成分を内包するカプセルを保持することができる。
【0023】
アウターラッパー12の材料としては、例えば、坪量20gsm〜100gsm、厚さ30μm〜100μm、不透明度70%以下の紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、セロハン、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニールフィルム、及びセルロースアセテートフィルム等を用いることができる。また、アウターラッパー12は、例えば一定以下の不透明度を有すればよい。
【0024】
隣接する第1及び第2のインナーラッパー112a、112bは、互いにCIELab表色パラメータが異なる。第1及び第2のインナーラッパー112a、112bのCIELab表色パラメータ(明度L
*、色度a
*、色度b
*)は、分光光度計(X−Rite社製、品名SpectroEye)を用いてそれぞれ計測できる。
【0025】
このように、互いにCIELab表色パラメータが異なる第1及び第2のインナーラッパー112a、112bは、以下の形態(1)〜(3)が挙げられる。
【0026】
(1)隣接する第1及び第2のインナーラッパー112a、112bは、互いに漂白強度が異なるパルプを含む。
【0027】
パルプは、例えば木材パルプであっても、木材パルプ以外の竹のような植物をパルプ化した非木材パルプであってもよい。木材パルプは、例えば木材の幹の樹皮を取り除いたもの又は小片化(チップ化)したものを機械的、化学的に処理して製造したものである。
【0028】
漂白強度は、例えば木材パルプを漂白する際に用いる漂白剤の種類、量、漂白時間等を制御することによって調整できる。漂白剤は、例えば酸素、過酸化水素、オゾン、二酸化炭素、苛性ソーダ、次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤、還元剤である。
【0029】
第1及び第2のインナーラッパー112a、112bは、一方のインナーラッパー(例えば第1のインナーラッパー112a)に含まれる木材パルプのみが漂白されていてもよい。
【0030】
(2)隣接する第1及び第2のインナーラッパー112a、112bは、漂白パルプ及び未漂白パルプを含み、互いに漂白パルプ及び未漂白パルプの配合割合が異なる。
【0031】
未漂白パルプは、例えば漂白していない有色の、原料由来の茶褐色の色合いを有する木材パルプである。また、漂白パルプは例えば木材パルプを漂白剤で漂白したものである。
【0032】
(3)隣接する第1及び第2のインナーラッパー112a、112bのうち、少なくとも一方のインナーラッパーは、少なくとも片面が着色されている。
【0033】
例えば、一方のインナーラッパー(例えば第1のインナーラッパー112a)の両面が着色されていてもよい。第1及び第2のインナーラッパー112a、112bの両方の片面又は両面が着色されていてもよい。
【0034】
前記(3)の形態において、隣接する第1及び第2のインナーラッパー112a、112bのうち、少なくとも一方のインナーラッパーは、フィルタ材と接する内側の面が着色されていることが好ましい。
【0035】
例えば、第1及び第2のインナーラッパー112a、112bの、それぞれ第1及び第2のフィルタ材111a、111bと接する内側の面が着色されていてもよい。一方のインナーラッパー(例えば第1のインナーラッパー112a)の、第1のフィルタ材111aと接する内側の面が着色されていてもよい。
【0036】
前述した隣接する第1及び第2のインナーラッパー112a、112bが互いにCIELab表色パラメータが異なるマルチフィルタセグメント1は、例えば後述する第3の実施形態に係るマルチフィルタセグメントの検査方法において、第1及び第2のフィルタセグメント11a、11bのそれぞれの長さ、各フィルタセグメント11a、11b間の突合せ状態を高精度で検出できるため、マルチフィルタセグメントの状態の良否を正確に判定できる。
【0037】
また、隣接する第1及び第2のインナーラッパー112a、112b間のCIELab表色パラメータは、隣接する第1及び第2のフィルタセグメント11a、11bに、赤色、青色、緑色、又は2種類以上の混合した光を透過させたとき、透過光強度比が1.6以上の値になるように互いに異ならせることが好ましい。このとき、第1及び第2のインナーラッパー112a、112bの外表面に巻回されるアウターラッパー12は、透過光強度比1.6以上の値を満たす、隣接する第1及び第2のフィルタセグメント11a、11bの色透過性に影響を与えないことが好ましい。
【0038】
このような構成のマルチフィルタセグメント1は、例えば第3の実施形態に係るマルチフィルタセグメントの検査方法において、第1及び第2のフィルタセグメント11a、11bのそれぞれの長さ、各フィルタセグメント11a、11b間の突合せ状態をより一層高精度で検出することができる。
【0039】
なお、以上説明した実施形態に係るマルチフィルタセグメントは他の構成を備えていてもよい。例えば、第1のフィルタセグメント11aと第2のフィルタセグメント11bを所望の間隔をあけて配置し、第1のフィルタセグメント11aと第2のフィルタセグメント11bとの間に位置する空洞にカプセル、甘味材を設けてもよく、第3のフィルタセグメントをさらに備え、3つのフィルタセグメントを突合せて一体化してもよい。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るマルチフィルタセグメント付喫煙物品を説明する。ここでは、マルチフィルタセグメント付喫煙物品の一例として、マルチフィルタセグメント付きシガレットについて説明する。
【0041】
図2は、第2の実施形態に係るマルチフィルタセグメント付きシガレット2の概略斜視図である。
図3は、
図2のIII−III線に沿った断面を拡大して示す概略断面図である。
図2に示すように、マルチフィルタセグメント付きシガレット2は、マルチフィルタセグメント1と、シガレットロッド21と、チップペーパー22とを備えている。
【0042】
シガレットロッド21は、通常のシガレットと同様に、たばこ刻み211と、たばこ刻み211の周囲を巻回するシガレットペーパー212とからなる。シガレットペーパー212は、例えば通気性を有する紙である。
【0043】
マルチフィルタセグメント1は、シガレットロッド21の下流端に配置されている。マルチフィルタセグメント1は、シガレットロッド21と同一又は略同一の直径を有している。
【0044】
チップペーパー22は、シガレットロッド21の下流端部及びマルチフィルタセグメント1の外周面に巻かれ、シガレットロッド21とマルチフィルタセグメント1とを接続している。チップペーパー22は、糊等の接着剤によって、シガレットロッド21とマルチフィルタセグメント1とを接着している。
【0045】
チップペーパー22の材料としては、坪量30gsm〜100gsm、厚さ20μm〜100μmの紙が用いられる。また、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、セロハン、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニールフィルム、及びセルロースアセテートフィルム等を用いることもできる。
【0046】
第2の実施形態に係るマルチフィルタセグメント付きシガレット2は、第1の実施形態で説明したように互いにCIELab表色パラメータが異なる隣接する第1及び第2のインナーラッパーを有するマルチフィルタセグメントを備えるため、以下に列挙する効果を奏する。
【0047】
(1)マルチフィルタセグメント付きシガレット2は、第1及び第2のインナーラッパー112a、112bの少なくとも一方が着色されていると、喫煙者はチップペーパー22の外側からインナーラッパーの色の違いを視認でき、良好な意匠性を視認できる。
【0048】
(2)下流端(吸い口端)側にある第2のフィルタセグメント11bの第2のインナーラッパー112bの内側を着色することにより、吸い口端側から着色されたフィルタ材111bを視認でき、良好な意匠性を視認できる。
【0049】
(3)マルチフィルタセグメント1の下流端(吸い口端)側にはチップペーパーを巻回せず、上流端側のみにチップペーパーを巻回すると、喫煙者はマルチフィルタセグメント1が複数に着色された意匠性を視認できる。
【0050】
(4)自身の一部を切り抜いたチップペーパーを用いると、切り抜いた箇所からインナーラッパーの色を視認でき、良好な意匠性を視認できる。
【0051】
なお、前述した実施形態に係るフィルタ付きシガレットは他の構成を備えていてもよい。例えば、チップペーパーを貫通してフィルタにまで至る複数の孔(ベンチレーション孔)を備えていてもよい。このような、ペンチレーション孔は、外部からフィルタ内に空気を供給する役割を果たす。
【0052】
また、前述した実施形態ではフィルタ付き喫煙物品の一例としてフィルタ付きシガレットについて説明したが、これに限らない。フィルタ付き喫煙物品は、フィルタが接続された他の喫煙物品である、例えば、シガー、シガリロ、電気加熱/化学反応熱を利用した非燃焼型喫煙物品、非加熱型喫煙物品等であってもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るマルチフィルタセグメントの検査方法を説明する。
図4は、第3の実施形態に係るマルチフィルタセグメントの検査方法の手順を説明するフローチャートである。
【0054】
最初に、フィルタ材の外表面をインナーラッパーで被覆した複数のフィルタセグメントを用意する(工程S1)。
【0055】
複数のフィルタセグメントのうち、隣接すべきフィルタセグメントのインナーラッパーのCIELab表色パラメータが異なるようにフィルタセグメントを選ぶ(工程S2)。
【0056】
次に、工程S2において選択したフィルタセグメントそれぞれに赤色、青色、緑色の検査光を3回ずつ照射する(工程S3)。ここで、例えば、赤色の光は波長ピーク630nmの赤色LED(発光ダイオード)であり、緑色の光は波長ピーク525nmの緑色LEDであり、青色の光は波長ピーク450nmの青色LEDの3つの光源である。単色の検査光、例えば赤色の検査光は、赤色LEDを最大に出力し、緑色及び青色LEDを出力しないように調整して発生させる。
【0057】
次に、工程S3において、各フィルタセグメントを透過した赤色、青色、緑色の検査光(透過光)を受光し、3回ずつ測定した検査光毎の透過光量の平均値を算出する(工程S4)。
【0058】
次に、隣接すべきフィルタセグメントのうち、一方のフィルタセグメントのある色における高い透過光強度を、他方のフィルタセグメントの当該色における低い透過光強度で除して、各色の検査光における透過光強度比を算出する(工程S5)。
【0059】
次に、隣接すべきフィルタセグメント間の工程S5で算出した透過光強度比が1.6以上の値になるフィルタセグメントの組合せ及び使用した光の色を予め選択する(工程S6)。
【0060】
次に、選択した組合せの複数のフィルタセグメントを互いに突合せ、インナーラッパーの外表面に透過光強度比1.6以上の値を満たす、隣接するフィルタセグメントの色透過性に影響を与えないアウターラッパーを巻回して複数のフィルタセグメントを接続、一体化したマルチフィルタセグメントを組立てる(工程S7)。
【0061】
次に、工程S7において組立てたマルチフィルタセグメントに、工程S6において選択した色の検査光を照射する(工程S8)。
【0062】
次に、隣接したフィルタセグメント、及びアウターラッパーを透過した光を受光し、隣接したフィルタセグメント間の透過光強度比に基づいて隣接するフィルタセグメントの長さ及びフィルタセグメント間の突合せ状態を検出し、隣接するフィルタセグメントが所定の長さか、正常な突合せ状態か、の判定を行なう(工程S9)。このような判定は、例えば画像処理装置(キーエンス社製 CV5500)を用いて行うことができる。
【0063】
従って、第3の実施形態に係るマルチフィルタセグメントの検査方法によれば、マルチフィルタセグメントの隣接するフィルタセグメントが所定の長さか、正常な突合せ状態か、の良否を高精度で判定することができる。
【0064】
なお、赤色、青色、緑色の光以外に2種類以上の混合した光を照射してもよい。例えば、赤色LEDと緑色LEDを同比率で混合すると黄色になり、濃淡の変更は赤色LEDと緑色LEDの比率を変更せずに、それぞれの光源出力量を調整する。赤色LEDと青色LEDを同比率で混合すると桃色になる。
【0065】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0066】
(実施例1〜5)
最初に、単繊度5.9g/9000m、総繊度35000g/9000m、断面形状Y断面のアセテートトウに可塑剤(トリアセチン)を7重量%添加したものを円周約24mm、長さ15mmの円柱形状のフィルタ材を準備した。また、白色の紙(品名50NFB、品名35NFB、品名P−10000の3種)、白色の普通紙、及び未漂白パルプを含む紙をそれぞれインナーラッパーとして準備した。普通紙、品名35NFB、及び品名P−10000の白色の紙の片面には、赤色、青色、黄色、黒色、又は未晒し色のいずれかを印刷した。未晒し色は、例えば未漂白パルプを含む紙の色であり、具体的には明度L
*が82〜87、色度a
*が0.1〜0.6、色度b
*が7.9〜18.4であるCIELab表色系パラメータを有する紙である。上述したインナーラッパーは、それぞれ縦横15mm×30mmのサイズに切り取った。
【0067】
なお、品名50NFBの紙は、坪量50.0gsm、厚さ52μmであり、品名35NFBの紙は、坪量35.0gsm、厚さ40μmであり、品名P−10000の紙は、坪量24.0gsm、厚さ60μmであり、白色の普通紙は、坪量24.0gsm、厚さ32μmである。
【0068】
次に、白色の紙(品名50NFB)からなるインナーラッパーをアセテートトウの外周に巻回し、糊で貼り付け、第1のフィルタセグメントを作製した。
【0069】
次に、普通紙、品名35NFB、及び品名P−10000の片面に赤色、青色、黄色、黒色、又は未晒し色のいずれかを印刷した(着色した)インナーラッパーを、印刷面(着色面)をアセテートトウ側に位置し、アセテートトウの外周に巻回し、糊で貼り付け、赤色、青色、黄色、黒色、又は未晒し色のいずれかの色を有する第2のフィルタセグメントを作製した。さらに、未漂白パルプを含む紙からなるインナーラッパーをアセテートトウの外周に巻回し、糊で貼り付け、未漂白パルプを含む第2のフィルタを作製した。
【0070】
次に、第1のフィルタセグメントと、片面に赤色、青色、黄色、黒色、又は未晒し色を印刷した普通紙からなるインナーラッパーを用いた第2のフィルタセグメントとを突合せ、白色耐水紙(坪量26.5gsm、厚さ48μm)からなるアウターラッパーを第1及び第2のフィルタセグメントのインナーラッパーの外表面に巻回してそれらフィルタセグメントを接続、一体化することによって、実施例1〜5のマルチフィルタセグメントをそれぞれ組立てた。
【0071】
<評価:マルチフィルタセグメントの状態の良否判定>
実施例1〜5のマルチフィルタセグメントを用いて、以下に説明する評価を行なった。
【0072】
評価は実施例1〜5のマルチフィルタセグメントに、赤色、青色、又は緑色の検査光を照射し、当該マルチフィルタセグメントを透過した光の強度比(透過光強度比)に基づいて行なった。
【0073】
マルチフィルタセグメントの状態の良否判定は、マルチフィルタセグメントの各フィルタセグメントが所定の長さか、正常な突合せ状態か、の判定を行なうことができる場合には「A」、マルチフィルタセグメントの各フィルタセグメントが所定の長さか、正常な突合せ状態か、の判定を行なうことができない場合には「B」とした。結果を下記表1に示す。
【表1】
【0074】
(実施例6〜10)
第1のフィルタセグメントと、片面に赤色、青色、黄色、黒色、又は未晒し色を印刷した品名35NFBの紙からなるインナーラッパーを用いた第2のフィルタセグメントとを突合せ、白色耐水紙(坪量26.5gsm、厚さ48μm)からなるアウターラッパーを第1及び第2のフィルタセグメントのインナーラッパーの外表面に巻回してそれらフィルタセグメントを接続、一体化することによって、実施例6〜10のマルチフィルタセグメントをそれぞれ組立てた。
【0075】
実施例6〜10のマルチフィルタセグメントについて、実施例1〜5と同様な方法で評価した。結果を下記表2に示す。
【表2】
【0076】
(実施例11〜16)
第1のフィルタセグメントと、片面に赤色、青色、黄色、黒色、又は未晒し色を印刷したP−10000の紙からなるインナーラッパーを用いた第2のフィルタセグメントとを突合せ、白色耐水紙(坪量26.5gsm、厚さ48μm)からなるアウターラッパーを第1及び第2のフィルタセグメントのインナーラッパーの外表面に巻回してそれらのフィルタセグメントを接続、一体化することによって、実施例11〜15のマルチフィルタセグメントをそれぞれ組立てた。
【0077】
さらに、第1のフィルタセグメントと、未漂白パルプを含む紙からなるインナーラッパーを用いた第2のフィルタセグメントとを突合せ、白色耐水紙(坪量26.5gsm、厚さ48μm)からなるアウターラッパーを第1及び第2のフィルタセグメントのインナーラッパーの外表面に巻回してそれらのフィルタセグメントを接続、一体化することによって、実施例16のマルチフィルタセグメントを組立てた。
【0078】
実施例11〜16のマルチフィルタセグメントについて、実施例1〜5と同様な方法で評価した。結果を下記表3に示す。
【表3】
【0079】
(比較例1)
不透明度57%を有する白色紙からなるインナーラッパーを用いた第1のフィルタセグメントと、不透明度85%を有する白色紙からなるインナーラッパーを用いた第2のフィルタセグメントとを突合せ、白色耐水紙(坪量26.5gsm、厚さ48μm)からなるアウターラッパーを第1及び第2のフィルタセグメントのインナーラッパーの外表面に巻回してそれらのフィルタセグメントを接続、一体化することによって、比較例1のマルチフィルタセグメントを組立てた。
【0080】
比較例1のマルチフィルタセグメントについて、実施例1〜5と同様な方法で評価した。結果を下記表4に示す。
【表4】
【0081】
前記表1〜4の結果から明らかなように、実施例1〜16においてマルチフィルタセグメントを構成する隣接するフィルタセグメント間の透過光強度比が1.6以上の値である場合では、マルチフィルタセグメントの各フィルタセグメントが所定の長さか、正常な突合せ状態か、の良否判定を正確に行なうことができることが確認された。
【0082】
以上のように、隣接する第1及び第2のインナーラッパーが、互いにCIELab表色パラメータが異なるマルチフィルタセグメントは、マルチフィルタセグメントの各フィルタセグメントが所定の長さか、正常な突合せ状態か、の良否判定を行なうことができることが実証された。
【0083】
なお、いくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示であり、発明の範囲を限定するものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることができ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。