【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項の対象物(subject matter)で解決され、他の実施例は、従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に記載される態様及び例が、X線を生成する装置、対象を撮像するシステム、X線を生成する方法、集束電子ビームを制御する装置、集束電子ビームを制御する方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも当てはまることに注意すべきである。
【0005】
第1の態様によると、
−陰極と、
−陽極と、
−少なくとも1つの電源と、
−電子検出器と、
−処理ユニットと、
を有する、X線を生成する装置が、提供される。
【0006】
前記少なくとも1つの電源は、陰極と陽極との間の電圧を生成するように構成される。前記少なくとも1つの電源は、前記陰極に陰極電流を提供するようにも構成される。前記陰極は、前記陽極に対して配置され、前記陰極及び陽極は、前記陰極から放射された電子が前記電圧に対応するエネルギで前記陽極と相互作用するように、動作可能である。前記電子は、X線を生成するように焦点スポットにおいて前記陽極と相互作用する。前記電子検出器は、前記陽極に対して配置され、前記陽極からの後方散乱電子信号を測定するように構成される。前記電子検出器は、前記測定された後方散乱電子信号を前記処理ユニットに提供するように構成される。前記処理ユニットは、陰極電流補正及び/又は前記陰極と前記陽極との間の前記電圧に対する補正を決定するように構成される。前記決定は、前記測定された後方散乱電子信号及び陽極表面粗さと交渉散乱放射との間の相関の使用を含む。前記処理ユニットは、前記少なくとも1つの電源に対して前記陰極と前記陽極との間の前記電圧に対する補正及び/又は前記陰極電流補正を提供するように構成される。
【0007】
換言すると、X線放射が、陽極の表面粗さで変化することは、既知であり、陽極の表面が、使用により劣化し、表面陽極粗さと後方散乱電子放射との間の相関を使用して、X線管電流の適切な調整が、測定された後方散乱電子信号に基づいてX線放射を最適なレベルに維持するためになされることができる。これは、前記装置が、前記X線管電流の適切な補正及び/又は前記陰極と前記陽極との間の前記電圧に対する補正により前記X線束を自動補正することができるだけでなく、フィールドサービスエンジニアによる改善作業が、頻繁に開始されなくてもよく、これにより経費を節約する。
【0008】
不断の監視は、線管の残りの寿命を予測するのを助けることができ、したがって、予測保全、システムアップタイム及びよりよいサービス契約を助ける。
【0009】
一例において、前記決定は、陽極表面粗さとX線放射との間の相関の使用を含む。
【0010】
したがって、後方散乱電子放射と表面粗さとの間の相関を持つと、測定された後方散乱電子信号は、前記陽極の表面粗さを決定するのに使用されることができる。この場合、陽極表面粗さとX線放射との間の相関に基づいて、表面粗さの変化により生じたX線放射の変化が、(前記測定された後方散乱電子信号から)決定されることができ、前記陰極電流(X線管電流)及び/又は前記陰極と前記陽極との間の前記電圧は、例えば、前記X線放射を同じレベルに維持するように、適切に調整されることができる。
【0011】
一例において、前記後方散乱電子信号は、後方散乱電子電流を含む。
【0012】
一例において、前記電子検出器は、複数の電子検出素子及び開口を有し、前記開口は、前記陽極と前記複数の電子検出素子との間に配置される。
【0013】
換言すると、X線ピンホールカメラが、直接電子検出に基づいて前記陽極上に集束された電子ビームの特性を決定するのに使用される。したがって、高い空間解像度及びダイナミックレンジを持つ高い信号が、取得可能である。電子焦点スポットの特性を知ることで、当該焦点スポットを最適な形に維持する適切なフィードバックループが、実施されることができる。
【0014】
一例において、前記処理ユニットは、前記焦点スポットのサイズを決定するように構成され、前記決定は、前記測定された後方散乱電子信号を使用する。
【0015】
一例において、前記処理ユニットは、前記焦点スポットの場所を決定するように構成され、前記決定は、前記測定された後方散乱電子信号を使用する。
【0016】
一例において、前記少なくとも1つの電源は、前記電子を前記焦点スポットに集束させる少なくとも1つの電圧を提供するように構成され、前記処理ユニットは、前記電子を前記焦点スポットに集束させる前記少なくとも1つの電源に対する補正を決定するように構成され、前記処理ユニットは、前記少なくとも1つの電源に対して前記補正を提供するように構成される。
【0017】
このようにして、前記電子焦点スポットの場所及びサイズが、正しい位置に保持されることができるので、前記電子ビーム焦点スポットのサイズは、特定の応用に対して最大化されることができる。これは、前記焦点スポットが、ビームワンダ(beam wander)及び焦点スポットサイズ変化のせいで最適より小さいことを必要としないので、X線束が、前記陽極における特定の電子出力密度(electron power density)に対して最大化されることができることを意味する。
【0018】
一例において、前記後方散乱電子信号は、後方散乱電子束を有する。
【0019】
一例において、前記電子検出器は、前記陽極からのX線束を測定するように構成される。
【0020】
換言すると、前記電子検出器は、光子検出器でもある。したがって、前記後方散乱電子束及び前記陽極からのX線束を同時に測定することにより、光子束に対する電子の比が加速電圧に依存するので、X線管電圧が、決定されることができる。このようにして、前記陰極電流が、自動補正プロセス内で補正されることができるだけでなく、電子及び光子束に基づいて、前記X線管が正しい電圧で動作しているかどうかが、確認されることができる。
【0021】
一例において、前記電子検出器は、シンチレータを有する。
【0022】
第2の態様によると、
−陰極と、
−陽極と、
−少なくとも1つの電源と、
−電子検出器と、
−処理ユニットと、
を有する、集束電子ビームを制御する装置が、提供される。
【0023】
前記陰極は、前記陽極に対して配置され、前記陰極及び陽極は、前記陰極から放射された電子が焦点スポットにおいて前記陽極と相互作用してX線を生成するように、動作可能である。前記少なくとも1つの電源は、前記焦点スポットにおいて前記電子を集束させる少なくとも1つの電圧を提供するように構成される。前記電子検出器は、前記陽極に対して配置され、前記陽極からの後方散乱電子信号を測定するように構成される。前記電子検出器は、複数の電子検出素子及び開口を有する。前記開口は、前記陽極と前記複数の電子検出素子との間に配置される。前記電子検出器は、前記測定された後方散乱電子信号を前記処理ユニットに提供するように構成される。前記処理ユニットは、前記焦点スポットのサイズ及び/又は前記焦点スポットの場所を決定するように構成される。前記決定は、前記測定された後方散乱電子信号を使用する。前記処理ユニットは、前記焦点スポットにおいて前記電子を集束させる前記少なくとも1つの電圧に対する補正を決定するようにも構成される。前記処理ユニットは、前記少なくとも1つの電源に対して前記補正を提供するように構成される。
【0024】
このようにして、前記電子焦点スポットのサイズ及び/又は場所が、決定されることができるので、前記集束電子ビームのサイズを最大化する及び/又は前記集束電子ビームをより正確に配置するように、補正がなされることができる。これは、前記焦点スポットが、ビームワンダ及び/又は焦点スポットサイズ変化のせいで最適より小さいことを必要としないので、X線束が、前記陽極において特定の電子出力密度に対して最大化されることができることを意味する。更に、要求されるX線束に対して、前記電子出力密度は、減少され、前記陽極の長寿命を提供することができ、及び/又はガントリ回転速度が、減少され、流体ベアリングにおける機械的摩擦損失の減少をもたらすことができる。
【0025】
第3の態様によると、
−第1の態様によるX線を生成する装置と、
−X線検出器と、
−出力ユニットと、
を有する、対象を撮像するシステムが、提供される。
【0026】
前記陰極及び前記陽極は、これらの間の領域の少なくとも一部が、対象を収容する検査領域であるように、前記X線検出器に対して配置されるように構成される。前記X線検出器は、前記対象の画像データを取得するように構成される。前記出力ユニットは、前記対象の前記画像データを表すデータを出力するように構成される。
【0027】
このようにして、前記陰極及び前記陽極は、前記陰極/陽極と前記X線検出器との間に、対象を収容する検査領域が提供されるように、配置される。
【0028】
第4の態様によると、
(a)少なくとも1つの電源で、陰極と陽極との間の電圧を生成するステップであって、前記陰極が、前記陽極に対して配置され、前記陰極及び陽極は、前記陰極から放射された電子が前記電圧に対応するエネルギで前記陽極と相互作用し、前記電子が、焦点スポットにおいて前記陽極と相互作用してX線を生成するように動作可能である、ステップと、
(b)前記少なくとも1つの電源で、前記陰極に陰極電流を提供するステップと、
(c)電子検出器を前記陽極に対して配置し、前記陽極からの後方散乱電子信号を測定するステップと、
(d)前記測定された後方散乱電子信号を処理ユニットに提供するステップと、
(e)前記処理ユニットで、陰極電流補正及び/又は前記陰極と前記陽極との間の前記電圧に対する補正を決定するステップであって、前記決定が、前記測定された後方散乱電子信号及び陽極表面粗さと後方散乱電子放射との間の相関の使用を含む、ステップと、
(h)前記陰極電流補正及び/又は前記陰極と前記陽極との間の電圧に対する補正を前記少なくとも1つの電源に提供するステップと、
を有する、X線を生成する方法が、提供される。
【0029】
第5の態様によると、
(a1)陰極を陽極に対して配置するステップであって、前記陰極及び陽極は、前記陰極から放射された電子が焦点スポットにおいて前記陽極と相互作用してX線を生成するように動作可能である、ステップと、
(b1)前記少なくとも1つの電源で、前記電子を焦点スポットにおいて集束させる少なくとも1つの電圧を提供するステップと、
(c1)電子検出器を前記陽極に対して配置するステップであって、前記電子検出器が、前記陽極からの後方散乱電子信号を測定するように構成され、前記電子検出器が、複数の電子検出素子及び開口を有し、前記開口が、前記陽極と前記複数の電子検出素子との間に配置される、ステップと、
(d1)前記測定された後方散乱電子信号を処理ユニットに提供するステップと、
(e1)前記処理ユニットにより前記焦点スポットのサイズ及び/又は前記焦点スポットの場所を決定するステップであって、前記決定が、前記測定された後方散乱電子信号を使用する、ステップと、
(f1)前記処理ユニットで、前記電子を前記焦点スポットにおいて集束させる前記少なくとも1つの電圧に対する補正を決定するステップであって、前記処理ユニットが、前記補正を前記少なくとも1つの電源に提供するように構成される、ステップと、
を有する、集束電子ビームを制御する方法が、提供される。
【0030】
他の態様によると、処理ユニットにより実行される場合に、前述の方法ステップを実行するように構成される、前述の装置を制御するコンピュータプログラム要素が、提供される。
【0031】
他の態様によると、前述のコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体が、提供される。
【0032】
有利には、上記の態様のいずれかにより提供される利益は、全ての他の態様に等しく当てはまり、逆も同様である。
【0033】
上記の態様及び例は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかになる。
【0034】
典型的な実施例は、以下の図面を参照して以下に記載される。