特許第6855837号(P6855837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6855837リリーフバルブ制御装置およびリリーフバルブ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855837
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】リリーフバルブ制御装置およびリリーフバルブ制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/06 20060101AFI20210329BHJP
   F01M 1/16 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   F16K17/06 C
   F01M1/16 F
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-34728(P2017-34728)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-141486(P2018-141486A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 憲
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩司
【審査官】 西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−088533(JP,A)
【文献】 特開2005−054970(JP,A)
【文献】 特開2013−122201(JP,A)
【文献】 特開2009−197589(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0153351(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102954275(CN,A)
【文献】 特開平08−004511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/06
F01M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドの通電によって弁体が流路を所定方向へ移動した場合にリリーフ流路が開放されるリリーフバルブを制御するリリーフバルブ制御装置であって、
前記リリーフバルブへ流入する流体の圧力が所定値を超えた場合、前記ソレノイドに対して通電を指示する通電制御部と、
内燃機関が初めて動作した時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでの間、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できない状態に制御するパラメータ判定部と、を有する、
リリーフバルブ制御装置。
【請求項2】
前記パラメータ判定部は、
前記所定のパラメータとして、車両の走行距離または前記内燃機関の駆動時間のいずれかを取得し、
前記車両の走行距離または前記内燃機関の駆動時間のいずれかが前記所定の閾値を超えた場合、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できる状態となることを許可する、
請求項1に記載のリリーフバルブ制御装置。
【請求項3】
前記パラメータ判定部は、
前記所定のパラメータとして、車両の走行距離および前記内燃機関の駆動時間の両方を取得し、
前記車両の走行距離または前記内燃機関の駆動時間のいずれかが前記所定の閾値を超えた場合、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できる状態となることを許可する、
請求項1に記載のリリーフバルブ制御装置。
【請求項4】
前記パラメータ判定部は、
前記所定のパラメータとして、車両の走行距離および前記内燃機関の駆動時間の両方を取得し、
前記車両の走行距離および前記内燃機関の駆動時間の両方が前記所定の閾値を超えた場合、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できる状態となることを許可する、
請求項1に記載のリリーフバルブ制御装置。
【請求項5】
前記リリーフバルブは、
前記ソレノイドの通電によって第1流路を前記所定方向へ移動する第1弁体と、
前記第1流路の上流側に設けられた第2流路の所定範囲を移動する第2弁体と、を有し、
前記リリーフ流路は、前記所定範囲内において前記第2流路と連通しており、
前記第1流路と前記第2流路は、第1貫通孔を介して連通しており、
前記第2弁体には、前記第2弁体の上流側からの流体を前記第2弁体の下流側へ流すことが可能な第2貫通孔が形成されており、
前記ソレノイドが通電していない場合、前記第1弁体は、前記所定方向とは逆方向へ移動して前記第1貫通孔を閉塞し、前記第2弁体は、前記逆方向へ移動して前記リリーフ流路を閉塞し、
前記ソレノイドが通電した場合、前記第1弁体は、前記所定方向へ移動して前記第1貫通孔を開放し、前記第2弁体は、前記所定方向へ移動して前記リリーフ流路を開放する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のリリーフバルブ制御装置。
【請求項6】
ソレノイドの通電によって弁体が流路を所定方向へ移動した場合にリリーフ流路が開放されるリリーフバルブを制御するリリーフバルブ制御方法であって、
内燃機関が初めて動作した時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでの間、前記ソレノイドが通電しない状態に制御する、
リリーフバルブ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リリーフバルブ制御装置およびリリーフバルブ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オイルポンプにより汲み上げられ、内燃機関へ供給されるオイル(潤滑油)の油圧が所定値以上となった場合に、オイルを逃がすリリーフバルブが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなリリーフバルブでは、例えば、バルブ本体の内部に、弁体が摺動する流路(以下、主流路という)とリリーフ流路とが形成されている。弁体は、油圧が所定値未満のときはリリーフ流路を閉塞しており、油圧が所定値以上になると、主流路を摺動する。これにより、リリーフ流路が開口し、オイルはリリーフ流路から例えばオイルパン等へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−17798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のリリーフバルブでは、弁体の外側と主流路の内側との間や、弁体の摺動を制限するためのストッパの外側と主流路の内側との間に、オイル中の異物(例えば、鉄粉)が入り込んでしまい、弁体の摺動が渋るという問題がある。特に、内燃機関が新品である場合、オイル中に鉄粉が多く発生するため、上記問題が発生しやすい。
【0006】
本発明の目的は、オイル中の異物を原因とする弁体の摺動の渋りを防止できるリリーフバルブ制御装置およびリリーフバルブ制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリリーフバルブ制御装置は、ソレノイドの通電によって弁体が流路を所定方向へ移動した場合にリリーフ流路が開放されるリリーフバルブを制御するリリーフバルブ制御装置であって、前記リリーフバルブへ流入する流体の圧力が所定値を超えた場合、前記ソレノイドに対して通電を指示する通電制御部と、内燃機関が初めて動作した時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでの間、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できない状態に制御するパラメータ判定部と、を有する。
【0008】
本発明のリリーフバルブ制御方法は、ソレノイドの通電によって弁体が流路を所定方向へ移動した場合にリリーフ流路が開放されるリリーフバルブを制御するリリーフバルブ制御方法であって、内燃機関が初めて動作した時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでの間、前記ソレノイドが通電しない状態に制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オイル中の異物を原因とする弁体の摺動の渋りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るリリーフバルブの内部を示す断面図
図2】本発明の実施の形態に係るリリーフバルブの内部を示す断面図
図3】本発明の実施の形態に係るECUの構成例を示す機能ブロック図
図4】本発明の実施の形態に係るECUの動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明の実施の形態に係るリリーフバルブ1の構成例について、図1を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るリリーフバルブ1の内部を示す断面図である。図1は、リリーフ流路6が閉状態である場合を示している。図1に示す両矢印は、リリーフバルブ1の長手方向を示しており、以下の説明では、矢印Lが示す方向を「左方向」、矢印Rが示す方向を「右方向」という。また、リリーフバルブ1の長手方向を、適宜、「左右方向」という。
【0014】
なお、本実施の形態では、リリーフバルブ1を流れる流体がオイルである場合を例に挙げて説明するが、これに限定されず、オイル以外の液体であってもよいし、気体であってもよい。
【0015】
リリーフバルブ1は、例えば、オイルパンまたはクランクケース(いずれも図示略。以下同様)に備えられるが、これらに限定されない。
【0016】
リリーフバルブ1の筐体2の内部には、リリーフバルブ1の長手方向に沿って流路3(第2流路の一例)が形成されており、流路3と直交するように流路4、流路5、およびリリーフ流路6が形成されている。リリーフ流路6は、筐体2を貫通して形成されている。これらの流路は、例えば、円柱形状(円筒形状ともいう)である。なお、各流路におけるオイルの流れについては、後述する。
【0017】
流路3において、流路5の下流側(図中の左側)には、円柱形状の弁体7(第2弁体の一例)が設けられている。
【0018】
弁体7にはスプリング8が取り付けられており、弁体7は、スプリング8の伸縮に応じて、流路3を左右方向に摺動(移動)する。弁体7が摺動する範囲は、ストッパ9とストッパ10との間である。ストッパ9は、弁体7の右方向への移動を制限する部分であり、ストッパ10は、弁体7の左方向への移動を制限する部分である。
【0019】
また、弁体7には、その一端(図中の左端)が開口した内部空間7aが形成されている。また、弁体7の他端(図中の右端)には、リリーフバルブ1の長手方向に沿った貫通孔11が形成されている。貫通孔11は、内部空間7aと連通している。内部空間7aおよび貫通孔11は、オイルの流路として機能する。
【0020】
また、リリーフバルブ1には、貫通孔12、流路13(第1流路の一例)、および流路14が形成されている。これらは、例えば、円柱形状である。
【0021】
流路13は、リリーフバルブ1の長手方向に沿って形成されており、貫通孔12を介して、流路3と連通している。
【0022】
また、流路13は、リリーフバルブ1の外部に繋がる流路4と連通している。
【0023】
流路13には、球状弁体15および略円柱形状の弁体16(ともに、第1弁体の一例)が設けられている。
【0024】
弁体16は、流路13を左右方向に摺動(移動)する。
【0025】
弁体16の左方向への移動は、ソレノイド18の通電によって実現される。換言すれば、ソレノイド18は、通電によって弁体16を左方向へ移動させる。ソレノイド18の通電は、ECU(Electric Control Unit。図1では図示略)からの指示(後述する制御信号)に基づいて実行される。なお、このECUについては、図3を用いて後述する。
【0026】
一方、弁体16の右方向への移動は、弁体16に取り付けられたスプリング17の付勢力によって実現される。換言すれば、ソレノイド18が非通電状態である場合に、スプリング17は、右方向へ伸張することで、弁体16を右方向へ移動させる。
【0027】
球状弁体15は、弁体16が右方向へ移動した場合、図1に示すように、弁体16によって押圧されることで、貫通孔12を閉塞する。一方、球状弁体15は、弁体16が左方向へ移動した場合、左方向へ移動することで、貫通孔12を開放する(後述の図2参照)。
【0028】
以上、本実施の形態に係るリリーフバルブ1の構成例について説明した。
【0029】
次に、リリーフバルブ1におけるオイルの流れについて説明する。以下では、ソレノイド18が非通電状態である場合と、ソレノイド18が通電状態である場合とに分けて、それぞれの場合におけるオイルの流れについて説明する。
【0030】
まず、ソレノイド18が非通電状態である場合のオイルの流れについて、図1を用いて説明する。
【0031】
ソレノイド18が非通電状態である場合、図1に示すように、スプリング17に付勢されて右方向へ移動した弁体16が球状弁体15を押圧する。これにより、貫通孔12が閉塞される。
【0032】
その状態において、オイルパンからオイルポンプ(図示略。以下同様)により汲み上げられたオイルは、所定の流路(図示略)を介して流路4へ流入し、流路3を左方向へ流れる。
【0033】
流路3を流れるオイルの大部分は、流路5からリリーフバルブ1の外部へ流出し、流路5に接続された所定の流路(図示略)を介して、内燃機関(図示略。以下同様)へ供給される。
【0034】
一方、流路3を流れるオイルの一部は、弁体7の貫通孔11から内部空間7aへ流入する。このオイルは、貫通孔12が閉塞されているため、流路13へは流入せず、内部空間7a、それより左方向の流路3、および貫通孔12(以下、内部空間7a等という)に貯留される。
【0035】
内部空間7a等における油圧と、弁体7の上流側における油圧とは等しくなる。このとき、図1に示すように、スプリング8に付勢されて右方向へ移動した弁体7は、ストッパ9に当接する。これにより、リリーフ流路6が閉塞される。
【0036】
次に、ソレノイド18が通電状態である場合のオイルの流れについて、図2を用いて説明する。
【0037】
図2は、図1と同様、本実施の形態に係るリリーフバルブ1の内部を示す断面図である。図2は、リリーフ流路6が開状態である場合を示している。
【0038】
ソレノイド18が通電状態である場合、図2に示すように、通電によって弁体16は流路13を左方向へ移動し、その弁体16による押圧から解放された球状弁体15も左方向へ移動する。これにより、貫通孔12が開放される。
【0039】
内部空間7a等に貯留されていたオイルは、貫通孔12から流路13へ流入し、流路14からリリーフバルブ1の外部へ流出する。流出したオイルは、所定の流路(図示略)を介して例えばオイルパンに還流される。
【0040】
このように内部空間7a等に貯留されていたオイルが貫通孔12、流路13、および流路14を介してリリーフバルブ1の外部へ流出すると、内部空間7a等における油圧は、弁体7の上流側における油圧よりも低くなる。よって、図2に示すように、弁体7が流路3を左方向へ移動し、ストッパ10に当接する。これにより、リリーフ流路6が開放される。
【0041】
その状態において、図1と同様に流路4へ流入した後、流路3を左方向へ流れるオイルは、その一部が流路5から流出し、残りがリリーフ流路6から流出する。リリーフ流路6からリリーフバルブ1の外部へ流出したオイルは、例えばオイルパンに還流される。
【0042】
以上、リリーフバルブ1におけるオイルの流れについて説明した。
【0043】
次に、本実施の形態に係るECU20(リリーフバルブ制御装置の一例)の構成例について、図3を用いて説明する。図3は、ECU20の構成例を示す機能ブロック図である。
【0044】
図3に示すECU20は、図示は省略するが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路などを有する。以下に説明する図3の各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0045】
図3に示すように、ECU20は、通電制御部21、および、パラメータ判定部22を有する。
【0046】
通電制御部21は、例えば、油圧センサ(図示略)によって検出された油圧(リリーフバルブ1に流入するオイルの油圧)が所定値を超えた場合、ソレノイド18に対し、通電の実行を指示する制御信号(以下、通電指示信号という)を出力する。この通電指示信号には、通電を実行する時間の指示も含まれる。通電指示信号を受け取ったソレノイド18は、指示された時間の間、通電を実行する。
【0047】
以下、通電制御部21が通電指示信号を出力可能な状態を「指示可能状態」という。通電制御部21は、後述するパラメータ判定部22によって所定のパラメータが所定の閾値を超えたと判定された場合、指示可能状態となる。
【0048】
パラメータ判定部22は、新品の内燃機関が初めて動作した時点(以下、初動作時点という)から所定のパラメータを取得し、その所定のパラメータが所定の閾値を超えたか否かを判定する。
【0049】
所定のパラメータは、例えば、車両の走行距離、または、内燃機関の駆動時間(例えば、回転時間)である。なお、ECU20が所定のパラメータを取得する方法は、公知であるので、ここでの説明は省略する。
【0050】
また、所定の閾値は、例えば、オイル中の異物(例えば、鉄粉)が弁体7またはストッパ10の外表面と流路3の内壁面との隙間に入り込んだとしても、弁体7の摺動の渋りが起こらないと想定される値である。この閾値は、予め実施された実験またはシミュレーションの結果に基づいて設定される。
【0051】
そして、パラメータ判定部22は、所定のパラメータが所定の閾値を超えた場合、通電制御部21が指示可能状態となることを許可する。換言すれば、パラメータ判定部22は、初動作時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでは、リリーフバルブ1に流入するオイルの油圧が所定値を超えたとしても、通電制御部21が指示可能状態となることを許可しない。
【0052】
以上、本実施の形態に係るECU20の構成例について説明した。
【0053】
次に、本実施の形態に係るECU20(リリーフバルブ制御方法の一例)の動作例について、図4を用いて説明する。図4は、ECU20の動作例を示すフローチャートである。
【0054】
図4に示すフローチャートは、初動作時点から開始される。また、初動作時点では、通電制御部21は、指示可能状態が許可されていない(換言すれば、通電指示信号を出力できない状態(指示負不可状態)である)。
【0055】
まず、パラメータ判定部22は、所定のパラメータ(例えば、車両の走行距離、または、内燃機関の駆動時間)を取得する(ステップS101)。
【0056】
次に、パラメータ判定部22は、取得した所定のパラメータが所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップS102)。
【0057】
ステップS102の判定の結果、所定のパラメータが所定の閾値を超えていない場合(ステップS102:NO)、処理は、ステップS101へ戻る。
【0058】
一方、ステップS102の判定の結果、所定のパラメータが所定の閾値を超えた場合(ステップS102:YES)、処理は、ステップS103へ進む。
【0059】
次に、パラメータ判定部22は、通電制御部21が指示可能状態となることを許可する(ステップS103)。
【0060】
これにより、通電制御部21は、指示不可状態から指示可能状態へ遷移する。その後、弁体7の上流側の油圧が所定値を超えた場合、通電制御部21は、ソレノイド18に対して通電指示信号を出力する。
【0061】
以上、本実施の形態に係るECU20の動作例について説明した。
【0062】
これまで詳述してきたように、本実施の形態によれば、初動作時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでは、ソレノイド18の通電を許可しないので、初動作時点でオイル中に多くの異物が発生するために起こりうる、弁体の摺動の渋りを防止できる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。以下、変形例について説明する。
【0064】
[変形例1]
例えば、上記実施の形態では、所定のパラメータとして、車両の走行距離または内燃機関の駆動時間のいずれかを取得して判定する場合を例に挙げて説明したが、それら両方を用いてもよい。
【0065】
その場合、パラメータ判定部22は、車両の走行距離および内燃機関の駆動時間を取得し、車両の走行距離および内燃機関の駆動時間の両方が、パラメータ毎に設定された所定の閾値を超えた場合に、通電制御部21が指示可能状態となることを許可してもよい。
【0066】
または、パラメータ判定部22は、車両の走行距離および内燃機関の駆動時間を取得し、車両の走行距離および内燃機関の駆動時間のいずれかが、パラメータ毎に設定された所定の閾値を超えた場合に、通電制御部21が指示可能状態となることを許可してもよい。
【0067】
[変形例2]
また、例えば、上記実施の形態では、球状弁体15を設ける場合を例に挙げて説明したが、球状弁体15を備えずに、弁体16自体が貫通孔12を閉塞/開放する構成としてもよい。
【0068】
[変形例3]
また、例えば、上記実施の形態では、ソレノイド18の通電によって弁体16が左方向へ移動する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ソレノイド18の通電によって弁体7が左方向へ移動するように構成してもよい。例えば、その構成では、弁体7が右方向へ移動してリリーフ流路6を閉塞しているときに貫通孔12を閉塞でき、かつ、通電により弁体7が左方向へ移動してリリーフ流路6を開放したときに貫通孔12を開放できる手段が設けられる。
【0069】
<本開示のまとめ>
本発明のリリーフバルブ制御装置は、ソレノイドの通電によって弁体が流路を所定方向へ移動した場合にリリーフ流路が開放されるリリーフバルブを制御するリリーフバルブ制御装置であって、前記リリーフバルブへ流入する流体の圧力が所定値を超えた場合、前記ソレノイドに対して通電を指示する通電制御部と、内燃機関が初めて動作した時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでの間、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できない状態に制御するパラメータ判定部と、を有する。
【0070】
なお、上記リリーフバルブ制御装置において、前記パラメータ判定部は、前記所定のパラメータとして、車両の走行距離または前記内燃機関の駆動時間のいずれかを取得し、前記車両の走行距離または前記内燃機関の駆動時間のいずれかが前記所定の閾値を超えた場合、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できる状態となることを許可してもよい。
【0071】
また、上記リリーフバルブ制御装置において、前記パラメータ判定部は、前記所定のパラメータとして、車両の走行距離および前記内燃機関の駆動時間の両方を取得し、前記車両の走行距離または前記内燃機関の駆動時間のいずれかが前記所定の閾値を超えた場合、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できる状態となることを許可してもよい。
【0072】
また、上記リリーフバルブ制御装置において、前記パラメータ判定部は、前記所定のパラメータとして、車両の走行距離および前記内燃機関の駆動時間の両方を取得し、前記車両の走行距離および前記内燃機関の駆動時間の両方が前記所定の閾値を超えた場合、前記通電制御部が前記ソレノイドに対して通電を指示できる状態となることを許可してもよい。
【0073】
また、上記リリーフバルブ制御装置において、前記リリーフバルブは、前記ソレノイドの通電によって第1流路を前記所定方向へ移動する第1弁体と、前記第1流路の上流側に設けられた第2流路の所定範囲を移動する第2弁体と、を有し、前記リリーフ流路は、前記所定範囲内において前記第2流路と連通しており、前記第1流路と前記第2流路は、第1貫通孔を介して連通しており、前記第2弁体には、前記第2弁体の上流側からの流体を前記第2弁体の下流側へ流すことが可能な第2貫通孔が形成されており、前記ソレノイドが通電していない場合、前記第1弁体は、前記所定方向とは逆方向へ移動して前記第1貫通孔を閉塞し、前記第2弁体は、前記逆方向へ移動して前記リリーフ流路を閉塞し、前記ソレノイドが通電した場合、前記第1弁体は、前記所定方向へ移動して前記第1貫通孔を開放し、前記第2弁体は、前記所定方向へ移動して前記リリーフ流路を開放してもよい。
【0074】
本発明のリリーフバルブ制御方法は、ソレノイドの通電によって弁体が流路を所定方向へ移動した場合にリリーフ流路が開放されるリリーフバルブを制御するリリーフバルブ制御方法であって、内燃機関が初めて動作した時点から所定のパラメータが所定の閾値を超えるまでの間、前記ソレノイドが通電しない状態に制御する。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、高圧時に流体を逃がすことが可能なリリーフバルブを制御するリリーフバルブ制御装置およびリリーフバルブ制御方法に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 リリーフバルブ
2 筐体
3、4、5、13、14 流路
6 リリーフ流路
7、16 弁体
7a 内部空間
8、17 スプリング
9、10 ストッパ
11、12 貫通孔
15 球状弁体
18 ソレノイド
20 ECU(リリーフバルブ制御装置の一例)
21 通電制御部
22 パラメータ判定部
図1
図2
図3
図4