(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記監視手段は、前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較することを特徴とする請求項1に記載の透析支援装置。
前記コンピュータは、前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較することを特徴とする請求項4に記載の透析支援方法。
前記監視手段を、前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較する手段として機能させることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータプログラム。
前記監視手段は、前記中央サーバに記憶されている前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較することを特徴とする請求項10に記載の透析システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
透析治療は、医師、看護師、臨床工学技士、事務担当者等の様々な職種のユーザが、透析室という限定された作業環境内で患者の治療にあたる。したがって、ベッドサイドにてコンピュータシステムを使用する場合、1つの端末装置を複数のユーザが複数の患者を対象として使用する機会が多いという特徴がある。
【0007】
しかも、1つの端末装置で複数のアプリケーションを使用しており、例えば医師のみが更新可能な電子カルテシステムと、現場のユーザでも入力可能な透析支援システムとを併用して運用することも多い。
【0008】
この場合、治療対象の患者の選択はもちろん、アプリケーションを使用しているユーザを切り替えるために頻繁にログイン処理及びログアウト処理が必要となる。しかし、透析治療においては、医師の指示、及び医師の指示を受け取ったユーザ、実際に患者へ施した治療内容等の記録が重要視されるので、ログイン処理及びログアウト処理を省略することはできず、現場の作業の円滑さを阻害する要因の1つとなっているという問題点があった。
【0009】
例えば、少なくとも医師又は医師から更新を許諾されているユーザのみが更新処理を認められている電子カルテシステムにおいてログアウト処理が実行された場合に、確実に透析支援システムのログアウト処理を実行することができれば、更新権限のない第三者によるなりすましを防止することができ、安全な作業環境を提供することができる。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、医師を含む複数のユーザが使用する場合であっても、一のアプリケーションからのログアウト時に他のすべてのアプリケーションからも確実にログアウトすることが可能な透析支援装置、透析支援方法、透析システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために第1発明に係る透析支援装置は、透析治療を実施するのに必要な患者に関する情報を取得し、該患者に関する情報に基づいて透析治療実施時の設定条件を入力して、透析装置の動作を制御し、透析装置における透析治療を支援する透析支援装置であって、ユーザの識別情報に応じて使用可能なアプリケーションを特定して記憶する特定手段と、アプリケーションごとにログインしているユーザの識別情報をログイン情報として記憶するログイン情報記憶手段と、記憶している前記ログイン情報を監視する監視手段と、一のユーザがログアウト処理を実行した場合、
ログアウト処理を実行した一のアプリケーションだけでなく、記憶されている他のすべてのアプリケーションの前記ログイン情報から前記一のユーザの識別情報
に対応付けられているログイン情報を削除する削除手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、第2発明に係る透析支援装置は、第1発明において、前記監視手段は、前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較することが好ましい。
【0013】
また、第3発明に係る透析支援装置は、第1又は第2発明において、前記監視手段が、
一のアプリケーションにおいて一のユーザの識別情報がログイン情報に含まれ
なくなったことを検知した場合、前記削除手段は、
他のアプリケーションから検知された前記一のユーザの識別情報
に対応付けられたログイン情報を削除することが好ましい。
【0014】
次に、上記目的を達成するために第4発明に係る透析支援方法は、透析治療を実施するのに必要な患者に関する情報を取得し、該患者に関する情報に基づいて透析治療実施時の設定条件を入力して、透析装置の動作を制御し、透析装置における透析治療を支援するコンピュータで実行することが可能な透析支援方法であって、前記コンピュータ
が、ユーザの識別情報に応じて使用可能なアプリケーションを特定して記憶する工程と、アプリケーションごとにログインしているユーザの識別情報をログイン情報として記憶する工程と、記憶している前記ログイン情報を監視する工程と、一のユーザがログアウト処理を実行した場合、
ログアウト処理を実行した一のアプリケーションだけでなく、記憶されている他のすべてのアプリケーションの前記ログイン情報から前記一のユーザの識別情報
に対応付けられているログイン情報を削除する工程とを
実行することを特徴とする。
【0015】
また、第5発明に係る透析支援方法は、第4発明において、前記コンピュータは、前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較することが好ましい。
【0016】
また、第6発明に係る透析支援方法は、第4又は第5発明において、前記コンピュータは、
一のアプリケーションにおいて一のユーザの識別情報がログイン情報に含まれ
なくなったことを検知した場合、前記削除手段は、
他のアプリケーションから検知された前記一のユーザの識別情報
に対応付けられたログイン情報を削除することが好ましい。
【0017】
次に、上記目的を達成するために第7発明に係るコンピュータプログラムは、透析治療を実施するのに必要な患者に関する情報を取得し、該患者に関する情報に基づいて透析治療実施時の設定条件を入力して、透析装置の動作を制御し、透析装置における透析治療を支援する透析支援装置で実行することが可能なコンピュータプログラムであって、前記透析支援装置を、ユーザの識別情報に応じて使用可能なアプリケーションを特定して記憶する特定手段、アプリケーションごとにログインしているユーザの識別情報をログイン情報として記憶するログイン情報記憶手段、記憶している前記ログイン情報を監視する監視手段、及び一のユーザがログアウト処理を実行した場合、
ログアウト処理を実行した一のアプリケーションだけでなく、記憶されている他のすべてのアプリケーションの前記ログイン情報から前記一のユーザの識別情報
に対応付けられているログイン情報を削除する削除手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
また、第8発明に係るコンピュータプログラムは、第7発明において、前記監視手段を、前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較する手段として機能させることが好ましい。
【0019】
また、第9発明に係るコンピュータプログラムは、第7又は第8発明において、前記監視手段が、
一のアプリケーションにおいて一のユーザの識別情報がログイン情報に含まれ
なくなったことを検知した場合、前記削除手段を、
他のアプリケーションから検知された前記一のユーザの識別情報
に対応付けられたログイン情報を削除する手段として機能させることが好ましい。
【0020】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係る透析システムは、透析治療を実施するのに必要な患者に関する情報を収集し、集約して記憶する中央サーバと、該中央サーバとデータ通信することが可能に接続され、前記患者に関する情報に基づいて透析治療実施時の設定条件の入力を受け付ける透析支援装置とを備え、透析治療を実施する透析装置の動作を制御する、前記透析支援装置とデータ通信することが可能に接続されている透析装置における透析治療を支援する透析システムであって、前記中央サーバは、ユーザの識別情報に応じて使用可能なアプリケーションを特定して記憶する特定手段と、アプリケーションごとにログインしているユーザの識別情報をログイン情報として記憶するログイン情報記憶手段とを備え、前記透析支援装置は、前記中央サーバに記憶されている前記ログイン情報を監視する監視手段と、一のユーザがログアウト処理を実行した場合、
ログアウト処理を実行した一のアプリケーションだけでなく、記憶されている他のすべてのアプリケーションの前記ログイン情報から前記一のユーザの識別情報
に対応付けられているログイン情報を削除する指示を前記中央サーバへ送信する削除指示手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
また、第11発明に係る透析システムは、第10発明において、前記監視手段は、前記中央サーバに記憶されている前記ログイン情報を一定時間間隔で監視し、前記ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較することが好ましい。
【0022】
また、第12発明に係る透析システムは、第10又は第11発明において、前記監視手段が、
一のアプリケーションにおいて一のユーザの識別情報がログイン情報に含まれ
なくなったことを検知した場合、前記削除指示手段は、
他のアプリケーションから検知された前記一のユーザの識別情報
に対応付けられたログイン情報を削除する指示を前記中央サーバへ送信することが好ましい。
【0023】
第1発明、第4発明、第7発明、第10発明では、ユーザの識別情報に応じて使用可能なアプリケーションを特定して記憶しておき、アプリケーションごとにログインしているユーザの識別情報をログイン情報として記憶する。記憶しているログイン情報を監視し、一のユーザがログアウト処理を実行した場合、
ログアウト処理を実行した一のアプリケーションだけでなく、記憶されている他のすべてのアプリケーションのログイン情報から前記一のユーザの識別情報
に対応付けられているログイン情報を削除する。これにより、一のアプリケーションでログアウト処理が実行された場合に、他のすべてのアプリケーションにおいてもログアウト処理を実行することができるので、1つの透析支援装置を複数のユーザ、例えば医師、看護師、臨床工学技士、事務担当者等が使用する場合であっても、更新権限のない第三者によるなりすましを防止することができ、安全な作業環境を提供することが可能となる。
【0024】
第2発明、第5発明、第8発明及び第11発明では、記憶されているログイン情報を一定時間間隔で監視し、ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較することにより、ユーザがログインしているか否かをユーザ識別情報の有無で判断することができ、ログイン情報を用いて一のユーザについて容易にログアウト処理を実行することが可能となる。
【0025】
第3発明、第6発明、第9発明及び第12発明では、
一のアプリケーションにおいて一のユーザの識別情報がログイン情報に含まれ
なくなったことを検知した場合、
他のアプリケーションから検知された一のユーザの識別情報
に対応付けられたログイン情報を削除するので、ログイン情報から一括してユーザ識別情報を削除することができ、ログアウト処理を一括して実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、一のアプリケーションでログアウト処理が実行された場合に、他のすべてのアプリケーションにおいてもログアウト処理を実行することができるので、1つの透析支援装置を複数のユーザ、例えば医師、看護師、臨床工学技士、事務担当者等が使用する場合であっても、更新権限のない第三者によるなりすましを防止することができ、安全な作業環境を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態に係る透析支援装置及び該透析支援装置を用いた透析システムについて、図面に基づいて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0029】
また、本発明は多くの異なる態様にて実施することが可能であり、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるべきものではない。実施の形態を通じて同じ要素には同一の符号を付している。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る透析支援装置を用いる透析システムの構成を示す概要図である。本実施の形態1に係る透析システムは、実際に患者の汚れた血液を体外へ排出して、ろ過して清浄な血液を体内へ戻す透析装置1と、透析治療の条件の入力を受け付けて透析装置1の動作を制御する透析支援装置2とが、データ通信することが可能にネットワーク網を介して接続されている。
【0031】
透析装置1は、血液透析器30への血液の入出量及び透析液の入出量を制御する。血液透析器30は、例えば中空糸膜からなる半透膜等を含み、血液中に含まれる老廃物(毒性物質)や余分な水分を除去し、不足している栄養素を補充する。
【0032】
血液透析器30は、患者の血液が循環する血液回路と、透析液が循環する透析液回路と、透析に使用する補液回路とを備える。血液透析器30の血液入口31には、患者からの血液を循環させる血液ポンプ32が動脈側ドリップチャンバ33を介して接続されている。血液透析器30の血液出口34には、静脈側ドリップチャンバ35が設けられている。
【0033】
血液回路では、血液ポンプ32によって、患者の血液が動脈から、動脈側ドリップチャンバ33を介して血液透析器30へ導入され、その後、静脈側ドリップチャンバ35を介して、静脈へ戻される。
【0034】
透析液回路では、血液透析器30の透析液入口36は、透析液ポンプ38を介して透析装置1に接続されており、新鮮な透析液が供給される。血液透析器30の透析液出口37にも透析装置1が接続されており、使用後の透析液が透析装置1へと排出される。
【0035】
透析装置1は、補液回路では、動脈側ドリップチャンバ33に補液用ポンプ39を介して接続されており、新鮮な透析液を供給(注入)する。これにより、動脈側ドリップチャンバ33では、患者の血液に、補液の一例としての新鮮な透析液が供給される。
【0036】
透析液ポンプ38及び補液用ポンプ39の動作は、透析装置1により以下のように制御される。すなわち、血液透析器30へ送られる透析液の量と、補液回路を通して動脈側ドリップチャンバ33へ送られる透析液(補液)の量との和が、透析装置1へ戻される透析液の量と等しくなるように、制御される。また、除水設定がされる場合には、血液透析器30へ送られる透析液の量、補液回路を通して動脈側ドリップチャンバ33へ送られる透析液(補液)の量、及び除水設定量の総和が、透析装置1へ戻される透析液の量と等しくなるように制御される。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態1に係る透析支援装置2の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態1に係る透析支援装置2は、少なくともCPU(中央演算装置)21、メモリ22、記憶装置23、I/Oインタフェース24、ビデオインタフェース25、通信インタフェース26及び上述したハードウェアを接続する内部バス27で構成されている。
【0038】
CPU21は、内部バス27を介して透析支援装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶しているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ22は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0039】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置23に記憶しているコンピュータプログラムは、通信インタフェース26を介して接続されている外部コンピュータからダウンロードされ、実行時には記憶装置23からメモリ22へ展開して実行される。もちろん、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体からダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0040】
記憶装置23は、ユーザIDごとにアクセス権限、更新権限等を記憶しているアプリケーション情報記憶部231及びアプリケーションごとにログインしているユーザのユーザID(識別情報)をログイン情報として記憶するログイン情報記憶部232を備えている。アプリケーション情報記憶部231は、アプリケーションごとに、どのユーザにアクセスする権限を認めるか、あるいは更新する権限を認めるかを記憶している。これにより、ログインしているユーザのユーザID(識別情報)で照会することにより、そのアプリケーションを使用可能なユーザであるか否かを判断することができる。
【0041】
ログイン情報記憶部232は、アプリケーションごとに、ログインしているユーザのユーザID(識別情報)をリアルタイム的に記憶している。アプリケーションからログアウトした場合には、ログアウトしたユーザのユーザID(識別情報)が削除される。これにより、ログイン情報記憶部232を照会することにより、どのアプリケーションにどのユーザがログインしているのかがわかるようになっている。
【0042】
通信インタフェース26は内部バス27に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部コンピュータや透析装置1とデータ送受信を行うことが可能となっている。
【0043】
I/Oインタフェース24は、キーボード、マウス等を含む入力装置401と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース25は、表示装置402と接続され、所定の画像を表示する。
【0044】
以下、上述した構成の透析支援装置2の動作について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る透析支援装置2の機能ブロック図である。
図3において、本実施の形態1に係る透析支援装置2のアプリケーション特定部(特定手段)201は、ユーザID(識別情報)に応じて使用可能なアプリケーションを特定し、アプリケーション情報記憶部231に記憶する。
【0045】
本実施の形態1では、アプリケーションとして、透析治療の設定条件を含む指示の入力を受け付ける透析条件設定システム(第一のアプリケーション)と、電子カルテを作成又は更新する電子カルテシステム(第二のアプリケーション)を1つの透析支援装置2で使用する場合について説明する。もちろん、ユーザも医師、看護師、臨床工学技士、事務担当者等の様々な職種にわたり、使用時にログインすることで自分がアクセス可能なアプリケーションを起動させて作業を実施する。
【0046】
したがって、アプリケーション情報記憶部231には、透析条件設定システム及び電子カルテシステムへのアクセス権限が記憶されている。本実施の形態1では、医師だけが電子カルテシステムの更新権限を有しており、他のユーザは閲覧権限しか有していない。
【0047】
ただし、医師は更新権限を付与することができ、権限付与者として、アプリケーション特定部201により医師から更新権限が付与されたことをアプリケーション情報記憶部231に記憶する。これにより、医師の指示を他のユーザが代行入力することも可能となり、繁忙時、緊急時等に作業の停滞を回避することが可能となる。
【0048】
ログイン情報監視部(監視手段)202は、ログイン情報記憶部232を常時監視し、ログイン情報として記憶されているユーザIDに変化が生じているか否かを確認する。すなわち、一定時間間隔で、ログイン情報を取得し、ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のタイミングで取得したログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較する。
【0049】
そして、ログイン情報記憶部232に記憶されているユーザIDが変更(増減)されたか否かを検知する。記憶されているユーザIDが削除された場合、該ユーザIDに対応するユーザが使用可能なアプリケーションについてログアウト処理を実行したことがわかる。また、記憶されていないユーザIDが追加された場合、該ユーザIDに対応するユーザが使用可能なアプリケーションについてログイン処理を実行したことがわかる。
【0050】
ログイン情報削除部(削除手段)203は、一のユーザがログアウト処理を実行した場合、すべてのアプリケーションのログイン情報から一のユーザの識別情報を削除する。すなわち、一のアプリケーションについてログアウト処理を実行したことがログイン情報監視部202で検知された場合、すべてのアプリケーションについてログイン情報からユーザIDを削除する。これにより、ログアウト処理を実行していないアプリケーションについてもログアウト処理を実行したのと同じ状態となる。
【0051】
例えば、一のユーザが、透析条件設定システム(第一のアプリケーション)についてログアウト処理を実行した場合、ログイン情報に記憶されている一のユーザのユーザIDがすべて削除されるので、電子カルテシステム(第二のアプリケーション)については、改めてログアウト処理を実行しなくても、ログアウト処理を実行したのと同じ状態とすることができる。
【0052】
つまり、医師及び医師により更新が許諾されたユーザ以外のユーザには更新することができない電子カルテシステムは、他のアプリケーションに対して上位に位置する上位システムである。そして、本実施の形態1では、上位システムについてログアウト処理を実行した場合に、下位システムについてもログアウト処理が実行されるようにしたものである。
【0053】
したがって、上位システムでログアウト処理が実行されたにもかかわらず、同じユーザが下位システムではログイン状態のままということがないので、更新権限のない第三者が、下位システムでなりすますことにより誤った情報を入力することができない。よって、システム全体として入力される情報の信頼性を担保することができ、より安全な作業環境を提供することが可能となる。
【0054】
図4は、本発明の実施の形態1に係る透析支援装置2の表示画面の例示図である。
図4では、技士の「AAA」氏が透析条件設定システム(第一のアプリケーション)及び電子カルテシステム(第二のアプリケーション)の両方にログインしている。この状態では、透析条件設定システム(第一のアプリケーション)のユーザ表示領域42には「AAA」と、電子カルテシステム(第二のアプリケーション)のユーザ表示領域41には「AAA」と、それぞれ表示されている。
【0055】
この状態で、「AAA」氏が電子カルテシステムからのログアウト処理を実行する。具体的には、例えば「AAA」氏用のセキュリティドングルであるUSBコネクタ400を引き抜く。この時点で電子カルテシステム(第二のアプリケーション)のユーザ表示領域41は空欄となる。なお、ログアウト処理は、特にこれに限定されるものではない。
【0056】
次に、他のユーザである技士の「BBB」氏が、電子カルテシステム(第二のアプリケーション)へのログイン処理を実行する。具体的には、「BBB」氏用のセキュリティドングルであるUSBコネクタを差し込む。ログイン処理も、特にこれに限定されるものではない。
【0057】
図5は、本発明の実施の形態1に係る透析支援装置2の表示画面の例示図である。
図5では、この時点で電子カルテシステム(第二のアプリケーション)のユーザ表示領域41には「BBB」と表示される。しかし、透析条件設定システム(第一のアプリケーション)のユーザ表示領域42には「AAA」と表示されたままである。
【0058】
つまり、従来は、この状態で、透析条件設定システム(第一のアプリケーション)は、「AAA」氏がログイン状態のままである。したがって、同一端末で「BBB」氏が操作を開始した場合であっても、透析条件設定システム(第一のアプリケーション)は、「AAA」氏が操作しているものと解する。
【0059】
図6は、本発明の実施の形態1に係る透析支援装置2の透析条件設定システム(第一のアプリケーション)の医師の指示確認時の表示画面の例示図である。
図5に示すように、電子カルテシステム(第二のアプリケーション)には「BBB」氏がログインしているにもかかわらず、
図6では透析条件設定システム(第一のアプリケーション)のユーザ表示領域42には、既に透析支援装置2を離れている「AAA」氏が表示されており、「BBB」氏が指示確認操作を行った場合であっても、指示確認者表示領域61には、指示を確認していない「AAA」氏が表示されるという不都合が生じている。
【0060】
本実施の形態1のように、電子カルテシステム(第二のアプリケーション)に対してログアウト処理を実行した時点で、透析条件設定システム(第一のアプリケーション)に対してもログアウト処理が実行されることにより、
図5及び
図6のユーザ表示領域42にはともに「BBB」と表示されるようになる。したがって、指示を確認したのは「BBB」氏であることが担保できる。これにより、誤った情報が記録されることがなく、悪意ある第三者による誤操作の危険も回避できる。
【0061】
図7は、本発明の実施の形態1に係る透析支援装置2のCPU21のログアウト処理の手順を示すフローチャートである。透析支援装置2のCPU21は、ユーザID(識別情報)に応じて使用可能なアプリケーションを特定し、アプリケーション情報記憶部231に記憶する(ステップS701)。
【0062】
CPU21は、一定時間間隔でログアウト処理の対象となる一のアプリケーションのログイン情報記憶部232を照会する(ステップS702)。CPU21は、直前のログイン情報と一致しているか否かを判断する(ステップS703)。
【0063】
CPU21が、直前のログイン情報と一致していないと判断した場合(ステップS703:NO)、CPU21は、ログイン情報に含まれるユーザIDが減少したか否かを判断する(ステップS704)。CPU21が、ユーザIDが減少したと判断した場合(ステップS704:YES)、CPU21は、他のすべてのアプリケーションのログイン情報から、減少したユーザIDを削除する(ステップS705)。
【0064】
CPU21は、処理を終了するか否かを判断する(ステップS706)。CPU21が、直前のログイン情報と一致していると判断した場合(ステップS703:YES)、ユーザIDが増加したと判断した場合(ステップS704:NO)、又は処理を終了しないと判断した場合(ステップS706:NO)、CPU21は、一定時間経過したか否かを判断する(ステップS707)。
【0065】
CPU21が、一定時間経過していないと判断した場合(ステップS707:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、一定時間経過したと判断した場合(ステップS707:YES)、CPU21は、処理をステップS702へ戻して、上述した処理を繰り返す。CPU21が、処理を終了すると判断した場合(ステップS706:YES)、CPU21は、処理を終了する。
【0066】
以上のように本実施の形態1によれば、一のアプリケーションでログアウト処理が実行された場合に、他のすべてのアプリケーションにおいてログアウト処理を実行することができるので、1つの透析支援装置2を複数のユーザ、例えば医師、看護師、臨床工学技士、事務担当者等が使用する場合であっても、更新権限のない第三者によるなりすましを防止することができ、安全な作業環境を提供することが可能となる。
【0067】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る透析システムの構成を示す概要図である。本実施の形態2では、中央サーバ5を設けており、透析支援装置2に記憶しておくべき情報を中央サーバ5に集約している点で実施の形態1とは相違する。
【0068】
図8に示すように、本実施の形態2に係る透析システムは、実際に患者の汚れた血液を体外へ排出して、ろ過して清浄な血液を体内へ戻す透析装置1と、透析治療の条件の入力を受け付けて透析装置1の動作を制御する透析支援装置2とが、データ通信することが可能にネットワーク網を介して接続されている。そして、中央サーバ5が、透析装置1及び透析支援装置2とデータ通信することが可能にネットワーク網を介して接続されている。
【0069】
中央サーバ5は、ユーザIDごとにアクセス権限、更新権限等を記憶しているアプリケーション情報記憶部51及びアプリケーションごとにログインしているユーザのユーザID(識別情報)をログイン情報として記憶するログイン情報記憶部52を備えている。アプリケーション情報記憶部51は、アプリケーションごとに、どのユーザにアクセスする権限を認めるか、あるいは更新する権限を認めるかを記憶している。これにより、ログインしているユーザのユーザID(識別情報)で照会することにより、そのアプリケーションを使用可能なユーザであるか否かを判断することができる。
【0070】
ログイン情報記憶部52は、アプリケーションごとにログインしているユーザのユーザID(識別情報)をログイン情報としてリアルタイム的に記憶している。アプリケーションからログアウトした場合には、ログアウトしたユーザのユーザID(識別情報)が削除される。これにより、ログイン情報記憶部52を照会することにより、どのアプリケーションにどのユーザがログインしているのかがわかるようになっている。
【0071】
なお、透析装置1の構成及び機能は、実施の形態1と同様であることから、同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0072】
図9は、本発明の実施の形態2に係る透析システムの透析支援装置2の構成を示すブロック図である。本実施の形態2に係る透析支援装置2は、少なくともCPU(中央演算装置)21、メモリ22、記憶装置23、I/Oインタフェース24、ビデオインタフェース25、通信インタフェース26及び上述したハードウェアを接続する内部バス27で構成されている。
【0073】
CPU21は、内部バス27を介して透析支援装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶しているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ22は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0074】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置23に記憶しているコンピュータプログラムは、通信インタフェース26を介して接続されている外部コンピュータからダウンロードされ、実行時には記憶装置23からメモリ22へ展開して実行される。もちろん、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体からダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0075】
通信インタフェース26は内部バス27に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部コンピュータや透析装置1とデータ送受信を行うことが可能となっている。
【0076】
I/Oインタフェース24は、キーボード、マウス等を含む入力装置401と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース25は、表示装置402と接続され、所定の画像を表示する。
【0077】
以下、上述した構成の透析システムの動作について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る透析システムの機能ブロック図である。
図10において、本実施の形態2に係る中央サーバ5のアプリケーション特定部501は、ユーザID(識別情報)に応じて使用可能なアプリケーションを特定し、アプリケーション情報記憶部51に記憶する。
【0078】
本実施の形態2では、アプリケーションとして、透析治療の設定条件を含む指示の入力を受け付ける透析条件設定システム(第一のアプリケーション)と、電子カルテを作成又は更新する電子カルテシステム(第二のアプリケーション)を1つの透析支援装置2で使用する場合について説明する。もちろん、ユーザも医師、看護師、臨床工学技士、事務担当者等の様々な職種にわたり、使用時にログインすることで自分がアクセス可能なアプリケーションを起動させて作業を実施する。
【0079】
したがって、中央サーバ5のアプリケーション情報記憶部51には、透析条件設定システム及び電子カルテシステムへのアクセス権限が集約されて記憶されている。本実施の形態2では、医師だけが電子カルテシステムの更新権限を有しており、他のユーザは閲覧権限しか有していない。
【0080】
ただし、医師は更新権限を付与することができ、権限付与者は、アプリケーション特定部501により医師から更新権限が付与されたことを中央サーバ5のアプリケーション情報記憶部51に記憶する。これにより、中央サーバ5を照会することで、医師の指示を他のユーザが代行入力することも可能となり、繁忙時、緊急時等に作業の停滞を回避することが可能となる。
【0081】
本実施の形態2に係る透析支援装置2のログイン情報監視部(監視手段)202は、中央サーバ5とデータ通信し、中央サーバ5のログイン情報記憶部52を常時監視し、ログイン情報として記憶されているユーザIDに変化が生じているか否かを確認する。すなわち、一定時間間隔で、中央サーバ5からログイン情報を取得し、ログイン情報に含まれているユーザの識別情報を直前のタイミングで取得したログイン情報に含まれていたユーザの識別情報と比較する。
【0082】
そして、中央サーバ5のログイン情報記憶部52に記憶されているユーザIDが変更(増減)されたか否かを検知する。記憶されているユーザIDが削除された場合、該ユーザIDに対応するユーザが使用可能なアプリケーションについてログアウト処理を実行したことがわかる。また、記憶されていないユーザIDが追加された場合、該ユーザIDに対応するユーザが使用可能なアプリケーションについてログイン処理を実行したことがわかる。
【0083】
ログイン情報削除指示部(削除指示手段)204は、一のユーザがログアウト処理を実行する場合、すべてのアプリケーションのログイン情報から一のユーザの識別情報を削除するよう中央サーバ5へ指示する。すなわち、一のアプリケーションについてログアウト処理を実行したことがログイン情報監視部202で検知された場合、すべてのアプリケーションについてログイン情報からユーザIDを削除する。これにより、ログアウト処理を実行していないアプリケーションについてもログアウト処理を実行したのと同じ状態となる。
【0084】
例えば、一のユーザが、透析条件設定システム(第一のアプリケーション)についてログアウト処理を実行した場合、ログイン情報に記憶されている一のユーザのユーザIDがすべて削除されるので、電子カルテシステム(第二のアプリケーション)については、改めてログアウト処理を実行しなくても、ログアウト処理を実行したのと同じ状態とすることができる。
【0085】
つまり、医師及び医師により更新が許諾されたユーザ以外のユーザには更新することができない電子カルテシステムは、他のアプリケーションに対して上位に位置する上位システムである。そして、本実施の形態2では、上位システムについてログアウト処理を実行した場合に、下位システムについてもログアウト処理が実行されるようにしたものである。
【0086】
図11は、本発明の実施の形態2に係る透析システムの透析支援装置2のCPU21のログアウト処理の手順を示すフローチャートである。透析支援装置2のCPU21は、一定時間間隔で、ログアウト処理の対象となる一のアプリケーションについて、中央サーバ5のログイン情報記憶部52を照会する(ステップS1101)。CPU21は、直前のログイン情報と一致しているか否かを判断する(ステップS1102)。
【0087】
CPU21が、直前のログイン情報と一致していないと判断した場合(ステップS1102:NO)、CPU21は、ログイン情報に含まれるユーザIDが減少したか否かを判断する(ステップS1103)。CPU21が、ユーザIDが減少したと判断した場合(ステップS1103:YES)、CPU21は、他のすべてのアプリケーションのログイン情報から、減少したユーザIDを削除する削除指示を中央サーバ5へ送信する(ステップS1104)。削除指示を受信した中央サーバ5は、他のすべてのアプリケーションのログイン情報から、指示されたユーザIDを削除する。
【0088】
CPU21は、処理を終了するか否かを判断する(ステップS1105)。CPU21が、直前のログイン情報と一致していると判断した場合(ステップS1102:YES)、ユーザIDが増加したと判断した場合(ステップS1103:NO)、又は処理を終了しないと判断した場合(ステップS1105:NO)、CPU21は、一定時間経過したか否かを判断する(ステップS1106)。
【0089】
CPU21が、一定時間経過していないと判断した場合(ステップS1106:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、一定時間経過したと判断した場合(ステップS1106:YES)、CPU21は、処理をステップS1101へ戻して、上述した処理を繰り返す。CPU21が、処理を終了すると判断した場合(ステップS1105:YES)、CPU21は、処理を終了する。
【0090】
以上のように本実施の形態2によれば、一のアプリケーションでログアウト処理が実行された場合に、他のすべてのアプリケーションにおいてログアウト処理を実行することができるので、1つの透析支援装置2を複数のユーザ、例えば医師、看護師、臨床工学技士、事務担当者等が使用する場合であっても、更新権限のない第三者によるなりすましを防止することができ、安全な作業環境を提供することが可能となる。また、必要な情報は中央サーバ5に集約することができるので、透析支援装置2に高スペックのコンピュータを用いる必要がなくなり、使いやすい透析システムを構築することが可能となる。
【0091】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。例えば、上述した実施例では、上位システムについてログアウト処理を実行した場合に、下位システムについても自動的にログアウト処理を実行する例について説明しているが、特にそれに限定されるものではない。
【0092】
例えば下位システムである透析条件設定システムについてログアウト処理が実行された場合であっても、上位システムである電子カルテシステムについてログアウト処理が実行されても良い。この場合、医師により更新が許諾されているユーザが下位システムでログインした状態が残ることを回避することができ、システム全体として入力される情報の信頼性を担保することができ、作業環境の安全性を高めることができる。
【0093】
また、自動的にログアウト処理を実行するアプリケーションを事前に特定しておいても良い。同時に使用する可能性のないアプリケーションまでログアウト処理を実行する必然性もなく、ログイン情報の照会範囲を限定することで演算処理負荷を小さくすることもできる。