特許第6855985号(P6855985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6855985-電子ユニット 図000002
  • 特許6855985-電子ユニット 図000003
  • 特許6855985-電子ユニット 図000004
  • 特許6855985-電子ユニット 図000005
  • 特許6855985-電子ユニット 図000006
  • 特許6855985-電子ユニット 図000007
  • 特許6855985-電子ユニット 図000008
  • 特許6855985-電子ユニット 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855985
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】電子ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20210329BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20210329BHJP
   H05K 5/04 20060101ALI20210329BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20210329BHJP
   H02G 3/16 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   H05K9/00 C
   H05K5/00 A
   H05K5/04
   H05K7/14 C
   !H02G3/16
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-166668(P2017-166668)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-46901(P2019-46901A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】森田 恭兵
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−107285(JP,A)
【文献】 特開2016−129166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 5/00
H05K 5/04
H05K 7/14
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の第1ケースと、
金属製の第2ケースと、
前記第1ケースと前記第2ケースとが組み付けられた状態で、内部に配される合成樹脂製のフレームと、
前記フレームとは別部材であって、前記第1ケースと電気的に接続される第1接続部と、前記第2ケースと電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部と、を有する金属製の中継部材と、
前記第1ケースの外側から前記第1ケース及び前記第1接続部を貫通して前記フレームに固定される第1ネジと、
前記第2ケースの外側から前記第2ケース及び前記第2接続部を貫通して前記フレームに固定される第2ネジと、
を備えた電子ユニット。
【請求項2】
前記中継部材は、
前記第1接続部から前記第1ケースに向かって突出する第1接触突部、及び、前記第2接続部から前記第2ケースに向かって突出する第2接触突部の、少なくとも一方を有する、請求項1に記載の電子ユニット。
【請求項3】
前記フレームは、前記連結部を保持する保持溝を有する、請求項1又は請求項2に記載の電子ユニット。
【請求項4】
前記第1接続部と前記フレームとを仮係止する第1仮係止手段、及び、
前記第2接続部と前記フレームとを仮係止する第2仮係止手段、の少なくとも一方を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子ユニット。
【請求項5】
前記第1ケースと前記第2ケースとが組み付けられた状態で、内部には回路基板が配されており、
前記回路基板には、前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくも一方と電気的に接続されるグランドパターンが形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電子ユニットに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
回路基板を金属ケース内に収容した電子ユニットとして、特開2004−95973号公報に記載のものが知られている。この電子ユニットは、金属ケースと、回路基板のランドと、を半田付けしている。これにより、電子ユニットの外部からのノイズの影響を軽減すると共に、電子ユニットの内部で発生するノイズを外部へ放散させることを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−95973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の構成によれば、金属ケースと回路基板とが半田付けされているので、半田付けを外すことなしに、電子ユニットについてメンテナンスを行うことができない。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電子ユニットのメンテナンス性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術に係る電子ユニットは、金属製の第1ケースと、金属製の第2ケースと、前記第1ケースと前記第2ケースとが組み付けられた状態で、内部に配される合成樹脂製のフレームと、前記フレームとは別部材であって、前記第1ケースと電気的に接続される第1接続部と、前記第2ケースと電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部と、を有する金属製の中継部材と、前記第1ケースの外側から前記第1ケース及び前記第1接続部を貫通して前記フレームに固定される第1ネジと、前記第2ケースの外側から前記第2ケース及び前記第2接続部を貫通して前記フレームに固定される第2ネジと、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、第1ネジと第2ネジとをフレームから取り外すことにより、容易に第1ケースと第2ケースとをフレームから取り外すことができるので、電子ユニットのメンテナンス性を向上させることができる。
【0008】
また、上記の構成によれば、合成樹脂製のフレームと、金属製の中継部材とは第1ネジ及び第2ネジによって固定されている。このため、フレームにインサート成型や圧入といった手法により金属部材を埋設する場合に比べて、合成樹脂製のフレームに対して、線膨張率の差に起因する力が発生することが抑制される。
【0009】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
前記中継部材は、前記第1接続部から前記第1ケースに向かって突出する第1接触突部、及び、前記第2接続部から前記第2ケースに向かって突出する第2接触突部の、少なくとも一方を有することが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、第1接続部と第1ケースとは、第1接触突部を介して電気的に接続される。また、第2接続部と第2ケースとは、第2接触突部を介して電気的に接続される。この結果、電気的な接続箇所を確実に設計することができるので、電子ユニットにおける電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0012】
前記フレームは、前記連結部を保持する保持溝を有することが好ましい。
【0013】
これにより、フレームに対する中継部材の位置決めが容易となる。
【0014】
前記第1接続部と前記フレームとを仮係止する第1仮係止手段、及び、前記第2接続部と前記フレームとを仮係止する第2仮係止手段、の少なくとも一方を有することが好ましい。
【0015】
これにより、フレームと中継部材との組み付け作業を容易にすることができる。
【0016】
前記第1ケースと前記第2ケースとが組み付けられた状態で、内部には回路基板が配されており、前記回路基板には、前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくも一方と電気的に接続されるグランドパターンが形成されている構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、回路基板のグランドパターンと第2接続部とが電気的に接続される。これにより、連結部及び第1接続部を介して、回路基板のグランドパターンと第1ケースとが電気的に接続される。この結果、回路基板をノイズから保護することができると共に、回路基板から発生するノイズが外部に漏洩することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本明細書に開示された技術によれば、電子ユニットにおいて、メンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る電子ユニットを示す断面図
図2】電子ユニットを示す平面図
図3】電子ユニットを示す一部拡大断面図
図4】中継部材をフレームに組み付ける工程を示す一部拡大断面図
図5】中継部材をフレームに組み付ける工程を示す一部拡大斜視図
図6】中継部材がフレームに組み付けられた状態を示す一部拡大断面図
図7】実施形態2に係る中継部材を示す斜視図
図8】実施形態3に係る電子ユニットを示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術に係る実施形態1を、図1から図6を参照しつつ説明する。本実施形態の電子ユニット10は、車両(図示せず)に搭載され、例えば、エンジンのアイドルストップ時やエンジンの再始動時の補助電源として用いられる。以下では、図示におけるX方向を右方、Y方向を前方、Z方向を上方として説明する。また、以下の説明においては、複数の同一部材については一の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略することがある。
【0021】
電子ユニット10は、図1から図3に示すように、金属製のケース11内に、合成樹脂製のフレーム12が配されている。フレーム12には複数のキャパシタ13が保持されている。また、ケース11内には、キャパシタ13の充放電を制御するための電子部品14が実装された回路基板15が収容されている。
【0022】
金属製のケース11は、図1に示すように、上方に開口する第2ケース16と、この第2ケース16に上方から組み付けられる、下方に開口する第1ケース17と、を備える。第2ケース16、及び第1ケース17は金属製である。
【0023】
第2ケース16は、上方から見て略長方形状をなした底壁18と、底壁18の側縁から上方に延びる側壁19と、を有する。底壁18の四隅には、上方に凹んだ凹部20が設けられている。各凹部20には、第2ケース貫通孔21が上下に貫通している。
【0024】
第1ケース17は、上方から見て略長方形状をなした上壁22と、上壁22の側縁から下方に延びる側壁23と、を有する。第2ケース16と第1ケース17とが組み付けられた状態においては、第1ケース17の側壁23は、第2ケース16の側壁19の外側に位置するようになっている。換言すると、第1ケース17は、第2ケース16に外嵌するようになっている。上壁22の四隅には、下方に凹んだ凹部24が設けられている。各凹部24には、第1ケース貫通孔25が上下に貫通している。
【0025】
フレーム12は絶縁性の合成樹脂材からなる。フレーム12は上方から見て略長方形状をなしている。フレーム12の外形寸法は、第2ケース16の底壁18、及び第1ケース17の上壁22よりもやや小さく設定されている。
【0026】
フレーム12の四隅には、上下に貫通するフレーム貫通孔26が上下に貫通して設けられている。各フレーム貫通孔26の内径寸法は、後述する第1ネジ27の軸部の外形寸法、及び第2ネジ28の軸部の外形寸法よりも小さく設定されている。
【0027】
フレーム12の上面側には、複数のキャパシタ13が固定されている。フレーム12には、上下、左右方向に適宜間隔を空けてキャパシタ13が並べられている。
【0028】
キャパシタ13は略円筒形状をなしている。キャパシタ13の一方の端部からは、一対のリード線29が突出されている。と、を備える。複数(本実施形態では4つ)のキャパシタ13は、リード線29が右方を向く姿勢で、フレーム12に配されている。フレーム12に収容されたキャパシタ13には、図1に示すように、キャパシタカバー30が被せられている。キャパシタカバー30は、フレーム12に設けられた図示しない係合部に係合されることで、フレーム12に対して固定されている。キャパシタカバー30は絶縁性の合成樹脂材からなる。なお、キャパシタ13の各リード線29は、図1に破線で示すように、下方に屈曲している。
【0029】
回路基板15は略長方形状に形成されている。回路基板15には、プリント配線技術により導電路が形成されている。回路基板15の外形寸法は、フレーム12の外形寸法と略同じに設定されている。回路基板15は、図1に示すように、上面がフレーム12の下面に重ねられて配されている。回路基板15の下面には、キャパシタ13の充放電を制御するための電子部品14が実装されている。電子部品14は回路基板15の導電路に半田付けされている。また、回路基板15には、キャパシタ13のリード線29が貫通した状態で、回路基板15の導電路に半田付けされている。
【0030】
回路基板15の四隅には、基板貫通孔31が上下に貫通して設けられている。回路基板15の上面及び下面には、基板貫通孔31の周囲に、グランドパターン32が形成されている。
【0031】
フレーム12の四隅には、上方に延びる柱部33が形成されている。柱部33の断面形状は略円形状をなしている。上記したフレーム貫通孔26は、柱部33に設けられている。
【0032】
図4に示すように、柱部33の上面には、フレーム貫通孔26の孔縁部からやや離れた位置であって、且つ前後方向についてフレーム12の内側の位置に、上方に突出する第1仮係止突起34(第1仮係止手段の一例)が形成されている。第1仮係止突起34は、前後方向についてフレーム12の内側部分が切り立って形成されていると共に、前後方向についてフレーム12の外側部分が傾斜して形成されている。
【0033】
柱部33の下面には、フレーム貫通孔26の孔縁部からやや離れた位置であって、且つ前後方向についてフレーム12の内側の位置に、下方に突出する第2仮係止突起45(第2仮係止手段の一例)が形成されている。第2仮係止突起45は、前後方向についてフレーム12の内側部分が切り立って形成されていると共に、前後方向についてフレーム12の外側部分が傾斜して形成されている。
【0034】
柱部33の側面には、前後方向についてフレーム12の外側の位置に、上下方向に延びる一対の溝壁35が形成されている。一対の溝壁35の間には、保持溝36が形成されている。保持溝36には、後述する中継部材37の連結部38が保持されるようになっている。保持溝36の左右方向の幅寸法は、連結部38を収容可能な大きさに設定されている。
【0035】
図5に示すように、中継部材37は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。中継部材37を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択することができる。中継部材37の表面にはメッキ層が形成されていてもよい。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択することができる。
【0036】
中継部材37は、上方から見て略矩形状をなす第1接続部40と、この第1接続部40と実質的に同形状をなす第2接続部41と、第1接続部40及び第2接続部41を連結する連結部38と、を備える。
【0037】
第1接続部40には、上下方向に貫通する第1貫通孔42が形成されている。第1接続部40には、第1貫通孔42について、連結部38と反対側の位置に、第1仮係止孔39(第1仮係止手段の一例)が上下方向に貫通して形成されている。第1仮係止孔39の内径寸法は、第1貫通孔42の内径寸法よりも小さい。第1仮係止孔39には、第1仮係止突起34が挿入されるようになっている。
【0038】
第2接続部41には、上下方向に貫通する第2貫通孔43が形成されている。第2接続部41には、第2貫通孔43について、連結部38と反対側の位置に、第2仮係止孔44(第2仮係止手段の一例)が上下方向に貫通して形成されている。第2仮係止孔44の内径寸法は、第2貫通孔43の内径寸法よりも小さい。第2仮係止孔44には、第2仮係止突起45が挿入されるようになっている。
【0039】
図3に示すように、フレーム12の柱部33の上面には、中継部材37の第1接続部40が重ねられ、第1接続部40の上には、第1ケース17の凹部24が重ねられている。この状態で、柱部33のフレーム貫通孔26と、第1貫通孔42と、第1ケース貫通孔25とが、対応する位置に配されるようになっている。
【0040】
第1貫通孔42と、第1ケース貫通孔25と、には、第1ネジ27の軸部46が挿通されている。第1ネジ27の軸部46はフレーム貫通孔26に螺合されている。本実施形態における第1ネジ27はいわゆるタッピンネジである。第1ネジ27の頭部と、柱部33の上面との間に、第1ケース17と、第1接続部40とが挟まれることによって、第1ケース17と、第1接続部40とが電気的に接続される。
【0041】
図3に示すように、フレーム12の柱部33の下面には、中継部材37の第2接続部41が重ねられ、第2接続部41の下には、回路基板15が重ねられている。回路基板15の下面には、第2ケース16の凹部20が重ねられている。この状態で、柱部33のフレーム貫通孔26と、第2貫通孔43と、基板貫通孔31と、第2ケース貫通孔21とが、対応する位置に配されるようになっている。
【0042】
第2貫通孔43と、基板貫通孔31と、第2ケース貫通孔21と、には、第2ネジ28の軸部47が挿通されている。第2ネジ28の軸部47はフレーム貫通孔26に螺合されている。本実施形態における第2ネジ28はいわゆるタッピンネジである。第2ネジ28の頭部と、柱部33の下面との間に、第2ケース16と、回路基板15のグランドパターン32と、第2接続部41とが挟まれることによって、第2ケース16と、グランドパターン32と、第2接続部41とが電気的に接続される。
【0043】
次に、本実施形態の電子ユニット10の組み立て工程の一例を説明する。以下の説明は組み立て工程の一例であって、各部材の組み付け順序は以下の記載に限定されない。
【0044】
フレーム12の上面にキャパシタ13を配置し、上方からキャパシタカバー30を組み付けることにより、フレーム12にキャパシタ13を固定する。
【0045】
図4及び図5に示すように、フレーム12の柱部33に、中継部材37を、前後方向についてフレーム12の外方(矢線Aで示す方向)から組み付ける。すると、柱部33の上面に第1接続部40の下面が摺接し、柱部33の下面に第2接続部41の上面が摺接する。更に中継部材37を柱部に接近させると、第1仮係止突起34の傾斜面に第1接続部40が乗り上げると共に、第2仮係止突起45の傾斜面に第2接続部41が乗り上げる。これにより、中継部材37は、第1接続部40と第2接続部41とが拡開変形する。更に中継部材37を柱部に接近させると、第1接続部40と第2接続部41とが復帰変形する。すると、第1仮係止突起34が第1仮係止孔39に挿通されると共に、第2仮係止突起45が第2仮係止孔44に挿通される。これにより、中継部材37が柱部33から離脱することが抑制されて、中継部材37が柱部33に仮係止される(図6参照)。このとき、連結部38は、柱部33の保持溝36の内部に収容されるようになっている。上記の工程を、フレーム12の四隅に形成された4つの柱部33に対して行う。
【0046】
回路基板15の下面に電子部品14を実装する。第2ケース16の内部に、電子部品14が実装された回路基板15を収容する。このとき、回路基板15の基板貫通孔31と、第2ケース貫通孔21とが対応するようにして回路基板15を配置する。
【0047】
回路基板15の上にフレーム12を重ねる。このとき、基板貫通孔31と、フレーム貫通孔26とが整合するようにする。
【0048】
第1ケース17を、第2ケース16、回路基板15、及びフレーム12の上方から組み付ける。このとき、第1ケース貫通孔25と、フレーム貫通孔26とが整合するようにする。また、第1ケース17の側壁23が、第2ケース16の側壁19に外嵌するようにする。
【0049】
第1ケース貫通孔25に、第1ネジ27の軸部46を挿通させ、第1ネジ27の軸部46を柱部33のフレーム貫通孔26に螺合させる。また、第2ケース貫通孔21に第2ネジ28の軸部47を挿通させ、第2ネジ28の軸部47を柱部33のフレーム貫通孔26に螺合させる。
【0050】
これにより、第1ケース17と第2ケース16とがフレーム12に固定される。更に、第1ケース17と第2ケース16とが、中継部材37を介して電気的に接続される。更に、第1ケース17及び第2ケース16が、回路基板15のグランドパターン32と中継部材37を介して電気的に接続される。このようにして電子ユニット10が完成する(図1及び図3参照)。
【0051】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、電子ユニット10は、金属製の第1ケース17と、金属製の第2ケース16と、第1ケース17と第2ケース16とが組み付けられた状態で、内部に配される合成樹脂製のフレーム12と、フレーム12とは別部材であって、第1ケース17と電気的に接続される第1接続部40と、第2ケース16と電気的に接続される第2接続部41と、第1接続部40と第2接続部41とを連結する連結部38と、を有する金属製の中継部材37と、第1ケース17の外側から第1ケース17及び第1接続部40を貫通してフレーム12に固定される第1ネジ27と、第2ケース16の外側から第2ケース16及び第2接続部41を貫通してフレーム12に固定される第2ネジ28と、を備える。
【0052】
上記の構成によれば、第1ネジ27をフレーム12から取り外すことにより第1ケース17をフレーム12から取り外すことできると共に、第2ネジ28をフレーム12から取り外すことにより第2ケース16をフレーム12から取り外すことができる。これにより、金属製の第1ケース17及び第2ケース16によって電磁的にシールドされた電子ユニット10において、容易に第1ケース17と第2ケース16とをフレームから取り外すことができるので、電子ユニット10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、フレーム12は、連結部38を保持する保持溝36を有する。これにより、フレーム12に対する中継部材37の位置決めが容易となる。
【0054】
また、本実施形態によれば、電子ユニット10は、第1接続部40とフレーム12とを仮係止する第1仮係止突起34及び第1仮係止孔39を備えると共に、第2接続部41とフレーム12とを仮係止する第2仮係止突起45及び第2仮係止孔44を備える。これにより、フレーム12と中継部材37との組み付け作業を容易にすることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、第1ケース17と第2ケース16とが組み付けられた状態で、第2ケース16の内部には回路基板15が配されており、回路基板15には、第2接続部41と電気的に接続されるグランドパターン32が形成されている。これにより、回路基板15のグランドパターン32と第2接続部41とが電気的に接続される。すると、連結部38及び第1接続部40を介して、回路基板15のグランドパターン32と第1ケース17とが電気的に接続される。これにより、回路基板15をノイズから保護することができると共に、回路基板15から発生するノイズが外部に漏洩することを抑制することができる。
【0056】
<実施形態2>
次に、実施形態2について図7を参照しつつ説明する。本実施形態に係る中継部材50は、第1接続部51の上面に上方に突出する複数(本実施形態では8つ)の第1接触突部52を有する。第1接続部51の上面には第1ケース17が重ねられているので、第1接触突部52は、第1ケース17に接近する方向に突出するようになっている。第1接触突部52は、第1貫通孔53の周囲に周方向に間隔を開けて設けられている。各第1接触突部52は半球状をなしている。
【0057】
第2接続部54の下面に下方に突出する複数(本実施形態では8つ)の第2接触突部55を有する。第2接続部54の下方には第2ケース16が重ねられているので、第2接触突部55は、第2ケース16に接近する方向に突出するようになっている。第2接触突部55は、第2貫通孔56の周囲に周方向に間隔を開けて設けられている。各第2接触突部55は半球状をなしている。
【0058】
本実施形態によれば、第1接続部51と第1ケース17とは、第1接触突部52を介して電気的に接続される。この結果、電気的な接続箇所を確実に設計することができるので、第1接続部51と第1ケース17との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0059】
また、第2接続部54と回路基板15のグランドパターン32とは、第2接触突部5を介して電気的に接続される。この結果、電気的な接続箇所を確実に設計することができるので、第2接続部54と回路基板15のグランドパターン32との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0060】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0061】
<実施形態3>
次に、実施形態3について図8を参照しつつ説明する。本実施形態においては、フレーム60の柱部61の上部には、第1収容凹部62が形成されている。この第1収容凹部62内に、第1ナット63が、クリアランスを有して、且つ、第1収容凹部62から抜け止め状態で配されている。
【0062】
また、フレーム60の柱部61の下部には、第2収容凹部64が形成されている。この第2収容凹部64内に、第2ナット65が、クリアランスを有して、且つ、第2収容凹部64から抜け止め状態で配されている。
【0063】
本実施形態においては、第1ナット63、及び第2ナット65は、それぞれ、柱部に対して、クリアランスを有して配されている。これにより、熱膨張又は熱収縮が繰り返された場合でも、柱部61と、第1ナット63及び第2ナット65と、の間に、線膨張率の差に起因する力が加わることが抑制されるようになっている。
【0064】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0065】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような形態で実施することが可能である。
【0066】
(1)本実施形態では、ケース11の四隅をネジ止めする構成としたが、これに限られず、ケース11の中央部分において第1ケースと第2ケースとをネジ止めする構成としてもよく、ケース11は任意の箇所でネジ止めすることができる。
【0067】
(2)第1接続部40及び第2接続部41の形状は、円形状、長円形状等、任意の形状を適宜に選択することができる。
【0068】
(3)保持溝は省略してもよい。
【0069】
(4)第1仮係止突起34及び第1仮係止孔39は省略してもよい。また、第2仮係止突起45及び第2仮係止孔44は省略してもよい。
【0070】
(5)上記実施形態においては、ケース11内にキャパシタ13を保持するフレーム12と、回路基板15とを収容しているが、本願発明はこれに限らず、キャパシタ13を保持するホルダのみをケース11内に収めた電子ユニットにも適用することができる。
【0071】
(6)本実施形態では、電子ユニット10はケース11内にキャパシタを有する構成としたが、これに限られず、電子ユニット10はケース11内に二次電池を有する構成としてもよい。
【0072】
(7)ケース11内に収容されるキャパシタ13の個数については、1つ〜3つでもよく、また、5つ以上であってもよい。また、本実施形態では、フレームに保持されるものとしてキャパシタ13が例示されているが、キャパシタ13と異なる部品であって、背高かつノイズ源となる部品に置き換えることも可能である。また、キャパシタ13の並べ方についてはなんら限定するものでない。
【0073】
(8)第1接触突部、及び第2接触突部の一方又は双方は省略してもよい。
【符号の説明】
【0074】
10: 電子ユニット
12,60: フレーム
15: 回路基板
16: 第2ケース
17: 第1ケース
27: 第1ネジ
28: 第2ネジ
32: グランドパターン
34: 第1仮係止突起(第1仮係止手段)
36: 保持溝
37,50: 中継部材
38: 連結部
39: 第1仮係止孔(第1仮係止手段)
40,51: 第1接続部
41,54: 第2接続部
44: 第2仮係止孔(第2仮係止手段)
45: 第2仮係止突起(第2仮係止手段)
52: 第1接触突部
55: 第2接触突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8