特許第6855998号(P6855998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6855998車載用の半導体スイッチ装置及び車載用電源装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855998
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】車載用の半導体スイッチ装置及び車載用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20210329BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20210329BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20210329BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H03K17/16 H
   H02M3/155 E
   H02M3/155 Z
   H03K17/00 A
   H03K17/687
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-201510(P2017-201510)
(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公開番号】特開2019-75726(P2019-75726A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 炳秀
【審査官】 渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−342735(JP,A)
【文献】 特開2013−219874(JP,A)
【文献】 特開2002−009219(JP,A)
【文献】 特開2016−077049(JP,A)
【文献】 特開2009−254056(JP,A)
【文献】 特開2016−208406(JP,A)
【文献】 特開2016−39440(JP,A)
【文献】 特開2010−267640(JP,A)
【文献】 特許第6502263(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/16
H03K 17/00
H03K 17/687
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用の駆動回路から出力されるオン信号及びオフ信号によってオンオフが制御され、第1導電路と第2導電路との間においてオン状態とオフ状態とに切り替わる車載用の半導体スイッチ装置であって、
半導体材料を有してなる第1半導体部と、前記第1半導体部とは異なる位置に配置されるとともに半導体材料を有してなる第2半導体部と、前記駆動回路から前記オン信号及び前記オフ信号が入力される部位である入力部と、を備えるとともに、前記入力部に前記オン信号が入力された場合に前記オン状態となり、前記入力部に前記オフ信号が入力された場合に前記オフ状態となる半導体スイッチ素子と、
前記第1半導体部に電気的に接続された少なくとも1つの第1端子と、
前記第2半導体部に電気的に接続された複数の第2端子と、
前記入力部に電気的に接続された少なくとも1つの第3端子と、
を有し、
前記第1端子は、前記第1導電路に接続され、
複数の前記第2端子のうち、一部のみが前記第2導電路に連結されており、残余の少なくとも一つは、前記駆動回路に電気的に接続された駆動回路側導電路に連結されており、
複数の前記第2端子は、前記第2導電路に連結される端子の数よりも前記駆動回路側導電路に連結される端子の数のほうが多い車載用の半導体スイッチ装置。
【請求項2】
複数の前記第2端子は、同一の導電性部材によって構成されるとともに一体的に連結された構成をなす請求項1に記載の車載用の半導体スイッチ装置。
【請求項3】
前記半導体スイッチ素子は、前記第1半導体部と前記第2半導体部との間に第3半導体部が設けられ、前記入力部に前記オン信号が入力された場合に前記第1半導体部と前記第2半導体部との間において前記第3半導体部を介して電流が流れ、前記入力部に前記オフ信号が入力された場合に前記第3半導体部を介して電流が流れない構成であり、
複数の前記第2端子のうち前記第3半導体部までの経路の長さが最も短い端子が前記駆動回路側導電路に連結されている請求項1又は請求項2に記載の車載用の半導体スイッチ装置。
【請求項4】
前記半導体スイッチ素子は、前記第2半導体部に接触する電極層と、前記第2端子を有するリード部材と、前記電極層と前記リード部材とを電気的に接続する複数のボンディングワイヤと、を備え、
前記リード部材において複数の前記第2端子が一体的に連結されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車載用の半導体スイッチ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車載用の半導体スイッチ装置と、
1以上のスイッチ部のスイッチング動作により、一の導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して他の導電路に印加する電圧変換部と、
を含み、
少なくともいずれかの前記スイッチ部が、前記半導体スイッチ装置によって構成されている車載用電源装置。
【請求項6】
前記電圧変換部は、ハイサイド側の前記スイッチ部とローサイド側の前記スイッチ部又はダイオードとが前記一の導電路及び前記他の導電路の一方側とグラウンドとの間に直列に接続される構成をなし、
ハイサイド側の前記スイッチ部が、前記半導体スイッチ装置によって構成されている請求項5に記載の車載用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用の半導体スイッチ装置及び車載用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、降圧DC/DCコンバータを備えた車載用電源装置の一例が開示されている。この降圧DC/DCコンバータは、ハイサイドパルスに基づいてハイサイド側のスイッチングトランジスタをスイッチングするドライバを備えており、ドライバの下側電源端子は、ハイサイド側のスイッチングトランジスタのソースに接続されている。なお、特許文献1の構成では、ハイサイド側のスイッチングトランジスタがNチャンネル型の構成をなしており、このスイッチングトランジスタのゲートに対し、ドレイン及びソースよりも高い電圧を印加するために、ブートストラップ回路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−93158号公報
【特許文献2】特開2015−154591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載用の電源装置に用いられる半導体スイッチ装置(FETやバイポーラトランジスタなど)は、半導体チップをモールド樹脂などの封止材によって封止したパッケージ構造をなすものが広く知られている。例えば、図8で示す半導体スイッチ装置Dvは、半導体パッケージPaとその周辺配線を有してなるものであり、半導体パッケージPaは、FET(field effect transistor)素子として構成された半導体スイッチ素子Cp(半導体チップ)が封止樹脂によって被覆された半導体パッケージとして構成されている。この半導体パッケージPaは、半導体スイッチ素子Cpのソースに電気的に接続され複数のソース端子Sp1,SP2,Sp3と、ドレインに電気的に接続された複数のドレイン端子Dp1,Dp2,Dp3,Dp4と、ゲートに電気的に接続されたゲート端子Gpと、を備え、これらの端子が封止樹脂の外側に露出した構成をなす。
【0005】
半導体パッケージPa(FET)を導電路のスイッチとして使用する場合、図8のように、複数のソース端子Sp1,SP2,Sp3の全てをソース側の導電路L2に連結する構成が一般的となっている。また、半導体パッケージPa(FET)をゲートドライバによって駆動する場合、図8のようにソース側の導電路L2に接続されたドライバ側の導電路L3をゲートドライバと接続することにより、ソース電圧をゲートドライバに入力し得る構成となる。なお、同様の構成は、特許文献1、2にも開示されており、これらの文献には、ハイサイド側のFETのソース側導電路をゲートドライバと電気的に接続した構成が開示されている。
【0006】
しかし、図8のように構成した場合、半導体スイッチ素子Cpのソースとゲートドライバ側導電路L3の間の経路Bsに、全てのソース端子Sp1,Sp2,Sp3及び全ての分岐路Br1,Br2,Br3が介在することになる。図9で概念的に示すように、この経路Bs(半導体スイッチ素子Cpのソースと位置P2の間の経路)のインダクタンス成分(寄生インダクタンス)をLsとした場合、この経路Bsには、インダクタンス成分Lsとドレイン電流iの時間的変化di/dtとに基づく逆起電力Ls・di/dtが生じることになる。従って、半導体スイッチ素子Cpのゲートとゲートドライバ側導電路L3の電位差Vdrは、半導体スイッチ素子Cpのゲートソース間電圧Vgsから、逆起電力分(Ls・di/dt)を減じた値(Vdr=Vgs−L・di/dt)となる。このように、半導体スイッチ素子Cpのゲートとゲートドライバ側導電路L3の電位差Vdrは、インダクタンス成分Ls(寄生インダクタンス)に起因する逆起電力の影響を受けるため、ゲートドライバによって半導体スイッチ素子Cp(FET素子)を駆動する上で、スイッチング時間が増大したり、オンオフ動作の安定性が損なわれたりする懸念がある。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、車載用の半導体スイッチ装置を駆動する上で、オンオフ動作が安定的に行われやすく、スイッチング時間の増大を招きにくい構成を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つである車載用の半導体スイッチ装置は、
車載用の駆動回路から出力されるオン信号及びオフ信号によってオンオフが制御され、第1導電路と第2導電路との間においてオン状態とオフ状態とに切り替わる車載用の半導体スイッチ装置であって、
半導体材料を有してなる第1半導体部と、前記第1半導体部とは異なる位置に配置されるとともに半導体材料を有してなる第2半導体部と、前記駆動回路から前記オン信号及び前記オフ信号が入力される部位である入力部と、を備えるとともに、前記入力部に前記オン信号が入力された場合に前記オン状態となり、前記入力部に前記オフ信号が入力された場合に前記オフ状態となる半導体スイッチ素子と、
前記第1半導体部に電気的に接続された少なくとも1つの第1端子と、
前記第2半導体部に電気的に接続された複数の第2端子と、
前記入力部に電気的に接続された少なくとも1つの第3端子と、
を有し、
前記第1端子は、前記第1導電路に接続され、
複数の前記第2端子のうち、一部のみが前記第2導電路に連結されており、残余の少なくとも一つは、前記駆動回路に電気的に接続された駆動回路側導電路に連結されている。
【0009】
本発明の一つである車載用電源装置は、
上記半導体スイッチ装置と、
1以上のスイッチ部のスイッチング動作により、一の導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して他の導電路に印加する電圧変換部と、
を含み、
少なくともいずれかのスイッチ部が、半導体スイッチ装置によって構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、半導体スイッチ装置は、駆動回路から出力されるオン信号及びオフ信号によってオンオフが制御され、第1導電路と第2導電路との間においてオン状態とオフ状態とに切り替わる構成をなす。そして、第2半導体部に電気的に接続された複数の第2端子のうち、一部のみが第2導電路に連結され、残余の少なくとも一つが駆動回路側導電路(駆動回路に電気的に接続された導電路)に連結されている。このような構成であるため、第2半導体部と駆動回路側導電路の間の経路において、大きな電流が流れる区間がより短くなり、寄生インダクタンスに起因する逆起電力をより抑えることができる。よって、車載用の半導体スイッチ装置を駆動する上で、オンオフ動作が安定的に行われやすく、スイッチング時間の増大を招きにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の車載用の半導体スイッチ装置を概略的に例示する説明図である。
図2図1の半導体スイッチ装置を構成する半導体パッケージを概略的に例示する平面図である。
図3図2の半導体パッケージを基板に取り付けた構造を概略的に例示する側面図である。
図4図2の半導体パッケージにおける半導体スイッチ素子の内部構造を概念的に示す断面概念図である。
図5図1の半導体スイッチ装置について、寄生インダクタンスを反映した等価回路を示す回路図である。
図6図1の半導体スイッチ装置を備えた車載用電源装置及びその他の部品を有する車載用電源システムを概略的に例示する回路図である。
図7図6で示す車載用電源装置における半導体スイッチ装置及び駆動回路などの接続構成を例示する回路図である。
図8】比較例としての半導体スイッチ装置を概略的に例示する説明図である。
図9図8の半導体スイッチ装置について、寄生インダクタンスを反映した等価回路を示す回路図である。
図10】他の実施例の車載用の半導体スイッチ装置を概略的に例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、発明の望ましい例を示す。
複数の第2端子は、同一の導電性部材によって構成されるとともに一体的に連結された構成であってもよい。
【0013】
この半導体スイッチ装置は、複数の第2端子が同一の導電性部材によって構成され且つ一体的に連結された構成をなしていても、第2半導体部と駆動回路側導電路の間の経路において、大きな電流が流れる区間がより短くなり、寄生インダクタンスに起因する逆起電力をより抑えることができる。
【0014】
上記半導体スイッチ装置において、半導体スイッチ素子は、第1半導体部と第2半導体部との間に第3半導体部が設けられていてもよい。そして、半導体スイッチ素子は、入力部にオン信号が入力された場合に第1半導体部と第2半導体部との間において第3半導体部を介して電流が流れ、入力部にオフ信号が入力された場合に第3半導体部を介して電流が流れない構成となっていてもよい。そして、複数の第2端子のうち第3半導体部までの経路の長さが最も短い端子が駆動回路側導電路に連結されていてもよい。
【0015】
このように、複数の第2端子のうち第3半導体部までの経路の長さが最も短い端子が駆動回路側導電路に連結されていれば、駆動回路側導電路に連結される第2端子から第3半導体部までの経路がより短くなる。よって、この半導体スイッチ装置は、駆動回路側導電路に連結される第2端子から第3半導体部までの経路の寄生インダクタンスがより一層抑えられた構成となり、オンオフ動作の安定化及びスイッチング時間の抑制を図る上でより一層有利な構成となる。
【0016】
複数の第2端子は、駆動回路側導電路に連結される端子の数よりも第2導電路に連結される端子の数のほうが多くなっていてもよい。
【0017】
このように構成された半導体スイッチ装置は、第2半導体部と駆動回路側導電路の間の経路において寄生インダクタンスに起因する逆起電力を抑えるとともに、その一方で、第2半導体部と第2導電路の間の寄生インダクタンスをより抑えることができる。
【0018】
複数の第2端子は、第2導電路に連結される端子の数よりも駆動回路側導電路に連結される端子の数のほうが多くなっていてもよい。
【0019】
このように構成された半導体スイッチ装置は、第2半導体部と駆動回路側導電路の間の経路において、大きな電流が流れる経路の短縮化によって寄生インダクタンスに起因する逆起電力を抑えるだけでなく、より多くの第2端子が駆動回路側導電路に連結される構成により、第2半導体部と駆動回路側導電路の間の寄生インダクタンスをより一層抑えることができる。
【0020】
上述した車載用電源装置において、電圧変換部は、ハイサイド側のスイッチ部とローサイド側のスイッチ部又はダイオードとが一の導電路及び他の導電路の一方側とグラウンドとの間に直列に接続される構成をなしていてもよい。ハイサイド側のスイッチ部が、半導体スイッチ装置によって構成されていてもよい。
【0021】
車載用電源装置の電圧変換部において、ハイサイド側のスイッチ部は、寄生インダクタンスに起因するスイッチング時間の増大の問題が生じやすいため、上述の半導体スイッチ装置をハイサイド側のスイッチ部に適用すると一層効果的である。
【0022】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1について説明する。
図1図3で示す半導体スイッチ装置10は、例えば、図6で示す後述の車載用電源装置2(以下、電源装置2ともいう)において電圧変換部3のスイッチ部(例えばハイサイド側のスイッチ部)などとして用いられる。図6の例では、半導体スイッチ装置10は、車載用の駆動回路5B(以下、駆動回路5Bともいう)から出力されるオン信号及びオフ信号によってオンオフが制御され、第1導電路61と第2導電路62との間においてオン状態とオフ状態とに切り替わる構成をなす。なお、電源装置2の構成及び動作については後述する。
【0023】
図1図3で示すように、半導体スイッチ装置10は、例えばSOP(Small Outline Package)などとして構成される半導体パッケージ10Aと、半導体パッケージ10Aの各端子に連結される配線部(第2導電路62、駆動回路側導電路52のそれぞれの一部)とを有してなる。半導体パッケージ10Aは、半導体スイッチ素子20と、複数の第1端子11A,11B,11C,11Dと、複数の第2端子12A,12B,12Cと、第3端子13と、を備える。図3の例では、半導体パッケージ10Aが、基板Bに対して表面実装方式で実装されており、複数の第1端子11A,11B,11C,11D、複数の第2端子12A,12B,12C、第3端子13は、基板Bの表面部Baに形成された配線パターンに対しはんだ付けによってそれぞれ接合されている。
【0024】
図2図3に示すように、半導体パッケージ10Aは、金属材料からなる複数のリード部材21A、21B、21Cを備えており、リード部材21Aの中央部にダイパッド23が設けられ、半導体チップとして構成された半導体スイッチ素子20がダイパッド23に搭載され、ダイパッド23及び半導体スイッチ素子20が封止樹脂24によって覆われるとともに、リード部材21A、21B、21Cのそれぞれの一部が封止樹脂24の外側に露出したパッケージ構成をなす。
【0025】
半導体スイッチ素子20は、例えば、FET(field effect transistor)として構成された半導体チップからなり、図4で概略的に示すような断面構造をなす。図4のように、半導体スイッチ素子20は、半導体材料を有してなる第1半導体部14Aと、第1半導体部14Aとは異なる位置に配置されるとともに半導体材料を有してなる第2半導体部15Aと、駆動回路5Bからオン信号及びオフ信号が入力される部位である入力部16Aと、を備える。第1半導体部14Aは、FETのドレインとして機能するN型半導体領域の部分であり、第2半導体部15Aは、FETのソースとして機能するN型半導体領域の部分である。第1半導体部14Aと第2半導体部15Aの間には、P型半導体領域18が構成されており、P型半導体領域18の一部がFETのチャネルとして機能する。P型半導体領域18のうち、チャネルとして機能する部分が第3半導体部18Aである。入力部16Aは、ゲート電極として機能する部分である。
【0026】
半導体スイッチ素子20(半導体チップ)の表面側には、第2半導体部15Aに接触する構成で導電性の電極層として構成されたソース電極15Bが設けられている。また、半導体スイッチ素子20(半導体チップ)の表面側には、ソース電極15Bの領域から外れた位置に導電性の電極層として構成された入力部16A(ゲート電極)が設けられている。半導体スイッチ素子20の裏面側には、第1半導体部14Aに接触する構成でドレイン電極14Bが設けられている。ドレイン電極14Bはダイパッド23に圧着されている。入力部16A(ゲート電極)の周囲には、第1半導体部14A、第2半導体部15A、P型半導体領域18から入力部16Aを絶縁する構成で、絶縁膜17が設けられている。
【0027】
ドレイン電極14Bが接合されるダイパッド23は、リード部材21Aの一部をなし、複数の第1端子11A,11B,11C,11Dと一体的に形成されている。第1端子11A,11B,11C,11Dは、第1半導体部14Aに電気的に接続された端子である。ゲート電極として構成された入力部16Aは、ボンディングワイヤ22Cを介してリード部材21Cに電気的に接続されている。図2等で示す例では、リード部材21Cが第3端子13(入力部16Aに電気的に接続された端子)として構成されている。ソース電極15Bは、複数のボンディングワイヤ22Bを介してリード部材21Bに電気的に接続されている。リード部材21Bは、複数の第2端子12A,12B,12Cが形成された金属部材である。第2端子12A,12B,12Cは、第2半導体部15Aに電気的に接続された端子である。図2等で示す例では、第2端子12A,12B,12Cが同一の導電性部材(リード部材21Bを構成する金属部材)によって構成されるとともに一体的に連結された構成をなす。図1図3で示す例では、複数の第1端子11A,11B,11C,11D、複数の第2端子12A,12B,12C、及び第3端子13のそれぞれの一部が封止樹脂24の外側に露出した構成をなす。
【0028】
図1の例では、複数の第1端子11A,11B,11C,11Dはいずれも、第1導電路61に連結された構成で第1導電路61に電気的に接続されている。第1導電路61は、例えば、図3で示す基板Bの表面部Baに形成された第1の配線パターンを有しており、複数の第1端子11A,11B,11C,11Dの全てが、この第1の配線パターンに対してはんだ付けによって接合されている。
【0029】
図1の例では、複数の第2端子12A,12B,12Cのうち、一部(第2端子12A,12B)のみが第2導電路62に連結されており、残余の一つ(第2端子12C)は、駆動回路5Bに電気的に接続された駆動回路側導電路52に連結されている。第2導電路62は、例えば、基板Bの表面部Baに形成された第2の配線パターンを有しており、この第2の配線パターンに対し第2端子12A,12Bがはんだ付けによって接合されている。また、駆動回路側導電路52は、図3で示す基板Bの表面部Baに形成された第3の配線パターンを有しており、この第3の配線パターンに対して第2端子12Cがはんだ付けによって接合されている。図1の例では、複数の第2端子12A,12B,12Cにおいて、駆動回路側導電路52に連結される端子の数よりも第2導電路62に連結される端子の数のほうが多くなっている。
【0030】
図1のように、半導体パッケージ10Aは、一端側が第2半導体部15Aに電気的に接続される共通導電路32と、共通導電路32の他端側において分岐した構造で設けられる複数の分岐導電路33A,33B,33Cとを備える。分岐導電路33Aには第2端子12Aが設けられ、分岐導電路33Bには第2端子12Bが設けられ、分岐導電路33Cには第2端子12Cが設けられている。そして、複数の第2端子12A,12B,12Cのうち、共通導電路32までの経路の長さが最も短い端子(第2端子12C)が駆動回路側導電路52に連結されている。更に、複数の第2端子12A,12B,12Cのうち第3半導体部18Aまでの経路の長さが最も短い端子(即ち、入力部16Aまでの経路の長さが最も短い端子)である第2端子12Cが駆動回路側導電路52に連結されていてもよい。具体的には、第3半導体部18A(チャネル領域)から第2半導体部15A(ソース領域)及びボンディングワイヤ22Bを経由して第2端子12Aまで電流が流れるときの最短の電流経路(第1経路)と、第3半導体部18Aから第2半導体部15A及びボンディングワイヤ22Bを経由して第2端子12Bまで電流が流れるときの最短の電流経路(第2経路)と、第3半導体部18Aから第2半導体部15A及びボンディングワイヤ22Bを経由して第2端子12Cまで電流が流れるときの最短の電流経路(第3経路)とを比較すると、第3経路が最も短くなっており、この第3経路の端子である第2端子12Cを駆動回路側導電路52に連結している。具体的には、第2端子12Aにおいて第2導電路62に接合される接合面の中心位置をPt1、第2端子12Bにおいて、第2導電路62に接合される接合面の中心位置をPt2、第2端子12Cにおいて、駆動回路側導電路52に接合される接合面の中心位置をPt3とした場合、第3半導体部18Aの端部Pc1(導電部材であるボンディングワイヤ22Bに最も近い位置)と位置Pt1との間でボンディングワイヤ22Bを経由して電流が流れるときの最短経路が第1経路であり、端部Pc1と位置Pt2との間でボンディングワイヤ22Bを経由して電流が流れるときの最短経路が第2経路であり、端部Pc1と位置Pt3との間でボンディングワイヤ22Bを経由して電流が流れるときの最短経路が第3経路である。そして、第3経路が最も短くなっている。
【0031】
図1の例では、第3端子13が信号線51に連結され、入力部16A(ゲート電極)と信号線51とが電気的に接続されている。信号線51は、駆動回路5Bによってオン信号又はオフ信号が印加される配線部であり、図3で示す基板Bの表面部Baに形成された信号線用の配線パターンを有している。第3端子13は、この信号線用の配線パターンに対してはんだ付けによって接合されている。
【0032】
このように構成された半導体スイッチ装置10は、入力部16A(ゲート電極)にオン信号が入力された場合に半導体スイッチ素子20がオン状態となり、入力部16Aにオフ信号が入力された場合に半導体スイッチ素子20がオフ状態となる。オン信号は、少なくとも半導体スイッチ素子20のゲートソース間電圧Vgsがゲート閾値電圧Vgs(th)よりも大きくなる信号であり、例えば、半導体スイッチ素子20をオン状態に切り替えうる所定電圧のHレベル信号である。オフ信号とは、少なくとも半導体スイッチ素子20のゲートソース間電圧Vgsがゲート閾値電圧Vgs(th)よりも小さくなる信号であり、例えば、半導体スイッチ素子20をオフ状態に切り替えうる所定電圧のLレベル信号である。例えば、後述する駆動回路5B(図6)によって入力部16A(ゲート電極)にオン信号が入力された場合には、第1半導体部14A(ドレイン領域)と第2半導体部15A(ソース領域)の間に設けられた第3半導体部18Aがチャネル領域として機能し、第1半導体部14Aと第2半導体部15Aとの間において第3半導体部18Aを介して電流が流れる。一方、入力部16A(ゲート電極)にオフ信号が入力された場合には、第3半導体部18Aがチャネル領域として機能せず、第1半導体部14Aと第2半導体部15Aとの間において第3半導体部18Aを経由する電流は生じなくなる。
【0033】
図1図2で示すように、半導体スイッチ装置10は、第2半導体部15Aに電気的に接続された複数の第2端子12A,12B,12Cのうち、一部(第2端子12A,12B)のみが第2導電路62に連結され、残余の一つ(第2端子12C)が駆動回路側導電路52に連結されている。このような構成であるため、半導体スイッチ素子20のオン動作により、図1図5のように第1導電路61と第2導電路62との間で電流Isが流れた場合、第2半導体部15Aと駆動回路側導電路52の間の経路において電流Isが流れる経路は共通導電路32のみとなるため、大きな電流が流れる区間がより短くなり、この経路において、寄生インダクタンスに起因する逆起電力をより抑えることができる。よって、駆動回路側導電路52の電圧を駆動回路5Bに入力して半導体スイッチ装置10を駆動する上で、オンオフ動作が安定的に行われやすく、スイッチング時間の増大を招きにくくなる。なお、図5では、位置P1(共通導電路32の端部)から第2導電路62側の寄生インダクタンスをLs1とし、位置P1から駆動回路側導電路52側の寄生インダクタンスをLs2としている。また、入力部16A(ゲート電極)から信号線51側の寄生インダクタンスをLg1とし、第1半導体部14A(ドレイン領域)から第1導電路61側の寄生インダクタンスをLd1としている。
【0034】
次に、上述した半導体スイッチ装置10を用いた電源装置2について説明する。
図6で示す車載用の電源システム1は、車載用の電源部として構成される第1電源部91及び第2電源部92と、降圧型DCDCコンバータとして構成される電源装置2とを備え、車両に搭載された負荷94に電力を供給し得るシステムとして構成されている。負荷94は、公知の車載用電気部品であり、その種類や数は限定されない。
【0035】
第1電源部91は、例えば、リチウムイオン電池、或いは電気二重層キャパシタ等の蓄電手段によって構成され、第1の所定電圧を発生させるものである。第1電源部91の高電位側の端子は、車両内に設けられた配線部81に電気的に接続されており、第1電源部91は、配線部81に対して所定電圧を印加する。配線部81は、電源装置2の一の導電路71(以下、単に導電路71ともいう)に電気的に接続されている。導電路71は、上述した第1導電路61として機能する導電路である。
【0036】
第2電源部92は、例えば、鉛蓄電池等の蓄電手段によって構成され、第1電源部91で発生する第1の所定電圧よりも低い第2の所定電圧を発生させるものである。第2電源部92の高電位側の端子は、車両内に設けられた配線部82に電気的に接続されており、第2電源部92は、配線部82に対して所定電圧を印加する。配線部82は、電源装置2の他の導電路72(以下、単に導電路72ともいう)に電気的に接続されている。
【0037】
グラウンド93は、車両のグラウンドとして構成され、一定のグラウンド電位(0V)に保たれている。このグラウンド93は、第1電源部91の低電位側の端子及び第2電源部92の低電位側の端子と電気的に接続され、更に、後述する半導体スイッチ装置40のソースにも電気的に接続されている。
【0038】
電源装置2は、車載用の降圧型DCDCコンバータとして構成され、入力側の導電路(導電路71)に印加された直流電圧を降圧して出力側の導電路(導電路72)に出力する構成をなす。電源装置2は、主として、導電路71、導電路72、電圧変換部3、制御部5、電圧検出回路9、電流検出部7などを備える。
【0039】
入力側の導電路71は、相対的に高い電圧が印加される一次側(高圧側)の電源ラインとして構成され、配線部81を介して第1電源部91の高電位側の端子に電気的に接続されるとともに、第1電源部91から所定の直流電圧が印加される構成をなす。出力側の導電路72は、相対的に低い電圧が印加される二次側(低圧側)の電源ラインとして構成され、配線部82を介して第2電源部92の高電位側の端子に電気的に接続されるとともに、第2電源部92から第1電源部91の出力電圧よりも小さい直流電圧が印加される構成をなす。
【0040】
電圧変換部3は、導電路71と導電路72との間に設けられ、導電路71に接続された上述の半導体スイッチ装置10(以下スイッチ装置10ともいう)によって構成されるハイサイド側の第1スイッチ部と、導電路71とグラウンド93(導電路71の電位よりも低い所定の基準電位に保たれる導電路)との間に接続された半導体スイッチ装置40(以下、スイッチ装置40ともいう)によって構成されるローサイド側の第2スイッチ部と、スイッチ装置10及びスイッチ装置40と導電路72との間に電気的に接続されたインダクタ3Aとを備える。この例では、ハイサイド側の第1スイッチ部(スイッチ装置10)とローサイド側の第2スイッチ部(スイッチ装置40)とが一の導電路71とグラウンド93との間に直列に接続されている。電圧変換部3は、スイッチング方式の降圧型DCDCコンバータの要部をなし、スイッチ装置10のオン動作とオフ動作との切り替えによって導電路71に印加された電圧を降圧して導電路72に出力する降圧動作を行い得る。
【0041】
スイッチ装置10及びスイッチ装置40のいずれも、Nチャネル型のMOSFETとして構成された半導体スイッチ素子(半導体チップ)を備える。ハイサイド側のスイッチ装置10のドレインには、導電路71(第1導電路61)の一端が電気的に接続され、ソースには、第2導電路62が電気的に接続されるとともに第2導電路62を介してローサイド側のスイッチ装置40のドレイン及びインダクタ3Aの一端が電気的に接続される。スイッチ装置10のゲートには信号線51が電気的に接続され、このゲートに対して駆動回路5B(ゲートドライバ)からのオン信号(駆動信号)及びオフ信号(非駆動信号)が入力されるようになっている。スイッチ装置10は、駆動回路5Bからの信号に応じてオン状態とオフ状態とに切り替わるようになっている。
【0042】
ローサイド側のスイッチ装置40のドレインは第1導電路63に電気的に接続され、第1導電路63を介してスイッチ装置10のソース及びインダクタ3Aの一端に電気的に接続されている。スイッチ装置40のソースは第2導電路64に電気的に接続され、第2導電路64を介してグラウンド93に電気的に接続されている。スイッチ装置40のゲートには信号線53が電気的に接続され、このゲートに対して駆動回路5B(ゲートドライバ)からのオン信号(駆動信号)及びオフ信号(非駆動信号)が入力されるようになっている。スイッチ装置40は、駆動回路5Bからの信号に応じてオン状態とオフ状態とに切り替わるようになっている。
【0043】
インダクタ3Aは、スイッチ装置10とスイッチ装置40との間の接続部に一端が接続され、他端は、導電路72(具体的には、導電路72において、電流検出部7よりも電圧変換部3側の部分)に接続されている。電流検出部7は、抵抗器7A及び差動増幅器7Bを有し、導電路72を流れる電流を示す値(具体的には、導電路72を流れる電流の値に応じたアナログ電圧)を制御回路5Aに入力する。電圧検出回路9は、導電路72に接続されるとともに導電路72の電圧に応じた値を制御回路5Aに入力する構成をなす。電圧検出回路9は、導電路72の電圧を示す値を制御回路5Aに入力し得る公知の電圧検出回路であればよく、例えば、導電路72の電圧を分圧して制御回路5Aに入力するような分圧回路として構成されている。
【0044】
制御部5は、制御回路5Aと駆動回路5Bとを備える。制御回路5Aは、例えば、マイクロコンピュータとして構成され、様々な演算処理を行うCPU、プログラム等の情報を記憶するROM、一時的に発生した情報を記憶するRAM、入力されたアナログ電圧をデジタル値に変換するA/D変換器などを備える。制御回路5Aは、電圧変換部3に降圧動作を行わせる場合に、電圧検出回路9によって導電路72の電圧を検出しながら、導電路72に印加される電圧を設定された目標値に近づけるようにフィードバック演算を行い、PWM信号を発生させる。
【0045】
図6図7で示す駆動回路5Bは、ゲートドライバとして構成され、制御回路5Aから与えられたPWM信号に基づいて、スイッチ装置10及びスイッチ装置40のそれぞれを各制御周期で交互にオンするためのオン信号を、スイッチ装置10及びスイッチ装置40のゲートに印加する。スイッチ装置10のゲートに印加されるオン信号は、スイッチ装置40のゲートに与えられるオン信号に対して位相が略反転しており且つ所謂デッドタイムが確保されたオン信号が与えられる。図7のように、駆動回路5Bは、半導体スイッチ素子20のソースと半導体スイッチ素子40Aのドレインとの間の導電路に電気的に接続された駆動回路側導電路52から電圧が入力されるようになっており、駆動回路側導電路52に入力された電圧に基づき、半導体スイッチ素子20をオンさせるオン信号及びオフさせるオフ信号を生成する上アーム側回路を備える。また、駆動回路5Bは、半導体スイッチ素子40Aのソースとグラウンド93との間の導電路に電気的に接続された駆動回路側導電路54から電圧が入力されるようになっており、駆動回路側導電路54に入力された電圧に基づき、半導体スイッチ素子40Aをオンさせるオン信号及びオフさせるオフ信号を生成する下アーム側回路を備える。なお、図6では、駆動回路側導電路52,54などを省略して示している。
【0046】
このように構成される電源装置2は、同期整流方式の降圧型DCDCコンバータとして機能し、ハイサイド側のスイッチ装置10のオンオフを切り替えるとともに、ローサイド側のスイッチ装置40のオン動作とオフ動作との切り替えを、ハイサイド側のスイッチ装置10の動作と同期させて相補的に行うことで、導電路71に印加された直流電圧を降圧し、導電路72に出力する。導電路72の出力電圧は、スイッチ装置10のゲートに与えるPWM信号のデューティ比に応じて定まる。
【0047】
なお、上述した説明では、電源装置2のハイサイド側のスイッチ部として半導体スイッチ装置10を設けた例を示したが、ローサイド側のスイッチ部を、半導体スイッチ装置10と同様の接続構成としてもよい。例えば、図6の構成において、半導体スイッチ装置40を図1図3等で示す半導体スイッチ装置10と同様の構成とした場合、図7のように構成することができ、この場合、半導体スイッチ素子40Aを半導体スイッチ素子20と同様の構成とし、半導体スイッチ装置40に設けられたゲート端子(第3端子13と同様の端子)を駆動回路5Bからの信号線53に接合し、半導体スイッチ装置40に設けられたドレイン端子(第1端子11A,11B,11C,11Dと同様の端子)を第1導電路63に接合し、半導体スイッチ装置40に設けられたソース端子の一部(第2端子12A,12Bと同様の端子)を第2導電路64に接合し、半導体スイッチ装置40に設けられたソース端子の残余(第2端子12Cと同様の端子)を駆動回路側導電路54に接合する構成とすればよい。
【0048】
以下において、本構成の効果を例示する。
半導体スイッチ装置10は、駆動回路5Bから出力されるオン信号及びオフ信号によってオンオフが制御され、第1導電路61と第2導電路62との間においてオン状態とオフ状態とに切り替わる構成をなす。そして、第2半導体部15Aに電気的に接続された複数の第2端子12A,12B,12Cのうち、一部のみが第2導電路62に連結され、残余の少なくとも一つが駆動回路側導電路52(駆動回路5Bに電気的に接続された導電路)に連結されている。このような構成であるため、第2半導体部15Aと駆動回路側導電路52の間の経路において、大きな電流が流れる区間がより短くなり、寄生インダクタンスに起因する逆起電力をより抑えることができる。よって、半導体スイッチ装置10を駆動する上で、オンオフ動作が安定的に行われやすく、スイッチング時間の増大を招きにくい。
【0049】
また、半導体スイッチ装置10は、複数の第2端子12A,12B,12Cが同一の導電性部材によって構成され且つ一体的に連結された構成をなすものにおいて、第2半導体部15Aと駆動回路側導電路52の間の経路で寄生インダクタンスの影響が大きくなる区間(大きな電流が流れ得る区間)をより短くすることができ、寄生インダクタンスに起因する逆起電力をより抑えることができる。
【0050】
また、半導体スイッチ装置10は、一端側が第2半導体部15Aに電気的に接続される共通導電路32と、共通導電路32の他端側において分岐した構造で設けられる複数の分岐導電路33A,33B,33Cと、を備えた構成をなす。そして、複数の分岐導電路33A,33B,33Cに複数の第2端子12A,12B,12Cがそれぞれ設けられている。そして、複数の第2端子12A,12B,12Cのうち、共通導電路32までの経路の長さが最も短い端子が駆動回路側導電路52に連結されている。上述したように、第2半導体部15Aと駆動回路側導電路52の間の経路において大きな電流が流れる区間が共通導電路32として短く構成されることで寄生インダクタンスに起因する逆起電力が抑えられ、しかも、駆動回路側導電路52に連結される第2端子12A,12B,12Cから共通導電路32までの経路がより短く構成されるため、この経路の寄生インダクタンスを一層抑えることができる。よって、この半導体スイッチ装置10は、オンオフ動作の安定化及びスイッチング時間の抑制を図る上で一層有利な構成となる。
【0051】
半導体スイッチ素子20は、複数の第2端子12A,12B,12Cのうち第3半導体部18Aまでの経路の長さが最も短い端子(第2端子12C)が、駆動回路側導電路52に連結されている。このように、複数の第2端子12A,12B,12Cのうち第3半導体部18Aまでの経路の長さが最も短い端子(第2端子12C)が駆動回路側導電路52に連結されていれば、駆動回路側導電路52に連結される端子(第2端子12C)から第3半導体部18Aまでの経路がより短くなる。よって、この半導体スイッチ装置10は、駆動回路側導電路52に連結される第2端子12Cから第3半導体部18Aまでの経路の寄生インダクタンスがより一層抑えられた構成となり、オンオフ動作の安定化及びスイッチング時間の抑制を図る上でより一層有利な構成となる。
【0052】
複数の第2端子12A,12B,12Cは、駆動回路側導電路52に連結される端子の数よりも第2導電路62に連結される端子の数のほうが多くなっている。この半導体スイッチ装置10は、第2半導体部15Aと駆動回路側導電路52の間の経路において寄生インダクタンスに起因する逆起電力を抑えるとともに、その一方で、第2半導体部15Aと第2導電路62との間において寄生インダクタンスをより抑えることができる。
【0053】
電源装置2において、電圧変換部3は、ハイサイド側のスイッチ部とローサイド側のスイッチ部とが一の導電路71とグラウンド93との間に直列に接続される構成をなす。そして、ハイサイド側のスイッチ部が、半導体スイッチ装置10によって構成されている。ハイサイド側のスイッチ部は、寄生インダクタンスに起因するスイッチング時間の増大の問題が生じやすいため、上述の半導体スイッチ装置10をハイサイド側のスイッチ部に適用すると一層効果的である。
【0054】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施例や後述する実施例は矛盾しない範囲で組み合わせることが可能である。
【0055】
図1の構成を、図10のように変更してもよい。図10で示す半導体スイッチ装置110は、第2端子12Aのみを第2導電路62に連結し、第2端子12B及び第2端子12Cを駆動回路側導電路52に連結した構成をなす。図10の構成は、複数の第2端子12A,12B,12Cのうち、第2導電路62に連結される端子の数よりも駆動回路側導電路52に連結される端子の数のほうが多くなっている。この半導体スイッチ装置110は、第2半導体部15A(図4)と駆動回路側導電路52の間の経路において、大きな電流が流れる経路の短縮化によって寄生インダクタンスに起因する逆起電力を抑えるだけでなく、より多くの第2端子が駆動回路側導電路52に連結される構成により、第2半導体部15Aと駆動回路側導電路52の間の寄生インダクタンスをより一層抑えることができる。なお、図10で示す半導体スイッチ装置110は、第2導電路62及び駆動回路側導電路52の連結構造のみが実施例1の半導体スイッチ装置10と異なり、それ以外は半導体スイッチ装置10と同一である。例えば、半導体スイッチ装置110において、半導体パッケージ10Aは、図1等で示す半導体スイッチ装置10の半導体パッケージ10Aと同一の構成をなす。
【0056】
上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例の半導体スイッチ装置においても、半導体スイッチ素子はNチャネル型MOSFETに限定されず、Pチャネル型のMOSFETとして構成された半導体スイッチ素子に変更してもよく、MOSFET以外のFETとしてもよく、バイポーラトランジスタやIGBTなどの半導体スイッチ素子としてもよい。
【0057】
上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例の半導体スイッチ装置においても、第1端子の数は4以外の単数又は複数であってもよく、第1端子が複数存在する場合にはそれら全てが第1導電路に連結されてもよく、いずれか一部のみが第1導電路に連結されていてもよく、第2端子の数は3以外の複数であってもよく、第3端子の数は2以上であってもよい。
【0058】
上述した実施例では、半導体スイッチ装置10に含まれる半導体パッケージとしてSOPとして構成される半導体パッケージ10Aを例示したが、上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例の半導体スイッチ装置も、SOP以外の公知のパッケージ構造で半導体パッケージを構成することができる。
【0059】
上述した実施例では、降圧型のDCDCコンバータとして構成される電源装置2に半導体スイッチ装置10を適用した例を示したが、上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例の半導体スイッチ装置も、昇圧型のDCDCコンバータに適用してもよく、昇降圧型のDCDCコンバータに適用してもよく、一方側から入力された電圧を変換して他方側に出力する一方向型のDCDCコンバータに適用してもよく、双方向型のDCDCコンバータに適用してもよい。適用対象となる回路構成も限定されず、例えばHブリッジ型のDCDCコンバータに適用してもよい。例えば、図6で示す半導体スイッチ装置10の位置にインダクタ3Aを配置し、図6で示すインダクタ3Aの位置に半導体スイッチ装置10を配置するように、公知の昇圧型の配置に変更することで、一の導電路71に入力された電圧を昇圧して他の導電路72に出力する昇圧型DCDCコンバータとして構成することができる。この場合、他の導電路72とグラウンド93との間に直列に設けられたいずれのスイッチ部においても、図1図5で示す半導体スイッチ装置10と同様の接続構造を適用することができる。
【0060】
上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの電源装置でも、ダイオード整流方式を採用することができる。例えば、図6で示す電源装置2において、ローサイド側のスイッチ部をダイオードとし、ダイオード整流方式のDCDCコンバータとしてもよい。昇圧型DCDCコンバータなどにおいてハイサイド側をダイオードとしローサイド側をスイッチ部で構成した場合、ローサイド側のスイッチ部に対し、上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例の半導体スイッチ装置を適用してもよい。
【0061】
上述した実施例では、単相式のDCDCコンバータを例示したが、上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例の半導体スイッチ装置も、多相式のDCDCコンバータに適用することができる。
【0062】
上述した実施例では、導電路71や導電路72に接続される発電機や負荷などは省略して示したが、上述した実施例又は上述した実施例を変更したいずれの例においても、様々な装置や電子部品を導電路71や導電路72に接続することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…車載用電源装置
3…電圧変換部
5B…車載用の駆動回路
10,40,110…車載用の半導体スイッチ装置
11A,11B,11C,11D…第1端子
12A,12B,12C…第2端子
13…第3端子
14A…第1半導体部
15A…第2半導体部
16A…入力部
18A…第3半導体部
20…半導体スイッチ素子
32…共通導電路
33A,33B,33C…分岐導電路
52,54…駆動回路側導電路
61,63…第1導電路
62,64…第2導電路
71…一の導電路
72…他の導電路
93…グラウンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10