特許第6856041号(P6856041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856041
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20210329BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20210329BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20210329BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B65H7/02
   B65H1/26 H
   H04N1/00 567J
   G03G21/00 388
   G03G21/00 386
   G03G21/00 510
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-29472(P2018-29472)
(22)【出願日】2018年2月22日
(65)【公開番号】特開2019-142678(P2019-142678A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 敬佑
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−007758(JP,A)
【文献】 特開2001−348140(JP,A)
【文献】 特開2017−214162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00 − 7/20
B65H 43/00 − 43/08
B65H 1/00 − 3/68
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通知を行う通知部と、
用紙がセットされる載置板を含む給紙カセットと、
前記給紙カセットの上方に設けられ、回転して給紙を行う給紙回転体と、
前記給紙回転体よりも用紙搬送方向下流側に設けられ、用紙の到達、通過を検知する給紙センサーと、
前記給紙カセットの用紙残量を検知するための残量センサーと、
通知用データを記憶する記憶部と、
前記残量センサーの出力に基づき、前記給紙カセットの用紙の残量レベルを認識する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記給紙回転体と用紙が接するように、用紙残量に応じて前記載置板を上昇させ、
前記給紙回転体の回転開始から前記給紙センサーが用紙先端を検知するまでの所要時間を測り、
前記所要時間に基づき給紙遅れが発生したか否かを判定し、
前記残量レベルごとの累計給紙枚数と前記残量レベルごとの給紙遅れが発生した枚数を前記通知用データとして前記記憶部に記憶させ、
前記通知用データに基づき、前記残量レベルごとに給紙遅れの発生率を求め、
前記発生率が第1閾値を超えている前記残量レベルを前記通知部に通知させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記残量センサーの出力に基づき、現在の前記残量レベルを認識し、
現在の前記残量レベルの前記発生率が前記第1閾値を超えているとき、前記発生率が前記第1閾値以下の前記残量レベルがあるか否かを確認し、
前記発生率が前記第1閾値以下の前記残量レベルがあるとき、前記発生率が前記第1閾値以下の前記残量レベルを前記通知部に通知させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記発生率が前記第1閾値以下の前記残量レベルがないとき、前記発生率が現在の前記残量レベルよりも小さい前記残量レベルを前記通知部に通知させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記発生率が前記第1閾値以下の前記残量レベルがないとき、前記発生率が最も小さい前記残量レベルを前記通知部に通知させることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
現在の前記残量レベルよりも1つ下の前記残量レベルである次残量レベルの前記発生率が前記第1閾値を超えているとき、
前記制御部は、前記次残量レベルよりも前記発生率が小さい前記残量レベルを前記通知部に通知させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記発生率が前記第1閾値を超えている前記残量レベルがあり、かつ、現在の前記残量レベルが最小レベルのとき、
前記制御部は、前記発生率が最大の前記残量レベル以外の前記残量レベルを用紙補給時の目安レベルとして前記通知部に通知させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
取得対象装置と通信する通信部を含み、
前記取得対象装置は、前記発生率を取得する対象として予め定められた他の画像形成装置であり、
前記制御部は、
前記取得対象装置から前記残量レベルごとの前記発生率を前記通信部に取得させ、
前記残量レベルごとに、自機の前記発生率と前記取得対象装置の前記発生率の平均値を求め、
求めた前記残量レベルごとの平均値を、自機の前記発生率と扱うことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の前記給紙カセットを含み、
前記給紙カセットごとに、前記給紙回転体と前記残量センサーが設けられ、
前記制御部は、
前記給紙カセットごとに前記残量レベルを認識し、
前記給紙カセットごとに前記通知用データを前記記憶部に記憶させ、
複数の前記給紙カセットが同じサイズの用紙を収容する同サイズカセットの場合、前記同サイズカセットの何れか一方、又は、両方の現在の前記残量レベルの前記発生率が前記第1閾値を超えているとき、前記同サイズカセット間の用紙の移動を提案する提案通知を前記通知部に通知させることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記発生率が予め定められた第2閾値を超えているとき、
前記制御部は、前記給紙回転体の交換を前記通知部に通知させ、
前記第2閾値は前記第1閾値よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷に用いる用紙を給紙する給紙部を含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複合機、複写機、ファクシミリ装置のような画像形成装置がある。画像形成装置は印刷に用いる用紙を収容する。例えば、用紙カセットに印刷用の用紙がセットされる。また、画像形成装置には、セットされた用紙を送り出す(給紙する)ローラーが設けられる。使用によりローラーの摩耗が進む。摩耗が進むほどスリップが生じ易くなる。スリップにより給紙遅れが生ずる場合がある。用紙が送り出されないほどのスリップが生じたとき、無給紙ジャムのエラー発生と判定される。給紙遅れやエラーの頻発前に交換できるようにローラーの状態を把握しておくことが好ましい。そして、機械の状態把握に関する技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、用紙の搬送経路に設置されているタイミングセンサで検知される実印刷用紙到達時間と、予め設定された設定時間とを比較して搬送品質を判断し、設定時間を微小時間だけ減じた劣化判定用設定時間と、実印刷用紙到達時間とを比較判定し、比較判定を所定回数行って、実印刷用紙到達時間≧劣化判定用設定時間となる回数をカウントし、回数が予め設定した判定回数を超えた場合に警告情報を表示し、あるいは電話回線などを利用した遠隔診断システムに伝える画像形成装置が記載されている。これにより、搬送不良による機械停止の前に、予め搬送ユニットの劣化状態を把握し、突然の機械停止による印刷中断の不具合を回避しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0036]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−307786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給紙用のローラーは用紙と接する。給紙用のローラーは回転して用紙を送り出す。つまり、用紙と用紙に接するローラーとの摩擦を利用して、給紙が行われる。給紙のたびに、給紙用のローラーと用紙との摩擦が繰り返される。そのため、給紙用のローラーは次第に摩耗する。摩耗するほど給紙用のローラーの径が小さくなる。使用期間が長いほど、基本的に、給紙用のローラーの摩擦力は小さくなってゆく。使用しているうちに、給紙用のローラーはスリップしやすくなっていく。給紙を繰り返すうちに、給紙用のローラーの給紙能力が次第に低下する。その結果、給紙遅れが生じやすくなる。
【0006】
ここで、用紙の残量により、給紙時の用紙の挙動が変わる。例えば、用紙の残量により、用紙の給紙用のローラーへの当たり方(接触状態)が変わる。また、用紙の残量が少ないとき、用紙の残量が多いときよりも、用紙をより引っ張り上げなくてはならない場合もある。また、用紙の残量により、給紙用のローラーに続く搬送用部材への進入角度が異なることもある。このように、用紙の残量により、給紙遅れの生じやすさが異なるという問題がある。例えば、用紙の残量が5%のとき、100%のときよりも、給紙遅れが生じやすい場合がある。
【0007】
なお、特許文献1には、用紙残量と給紙遅れとの対応関係についての記載がない。ローラーの状態把握に関し、用紙残量を考慮していない。従って、上記の問題を解決することはできない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、用紙の残量レベルごとの給紙遅れの発生率を明らかにし、残量レベルに応じた通知を行う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、通知部、給紙カセット、給紙回転体、給紙センサー、残量センサー、記憶部、制御部を含む。前記通知部は通知を行う。前記給紙カセットは、用紙がセットされる載置板を含む。前記給紙回転体は、前記給紙カセットの上方に設けられ、回転して給紙を行う。前記給紙センサーは、前記給紙回転体よりも用紙搬送方向下流側に設けられ、用紙の到達、通過を検知する。前記残量センサーは、前記給紙カセットの用紙残量を検知するためのものである。前記記憶部は、通知用データを記憶する。前記制御部は、前記残量センサーの出力に基づき、前記給紙カセットの用紙の残量レベルを認識する。前記制御部は、前記給紙回転体と用紙が接するように、用紙残量に応じて前記載置板を上昇させる。前記制御部は、前記給紙回転体の回転開始から前記給紙センサーが用紙先端を検知するまでの所要時間を測る。前記制御部は、前記所要時間に基づき給紙遅れが発生したか否かを判定する。前記制御部は、前記残量レベルごとの累計給紙枚数と前記残量レベルごとの給紙遅れが発生した枚数を前記通知用データとして前記記憶部に記憶させる。前記制御部は、前記通知用データに基づき、前記残量レベルごとに給紙遅れの発生率を求める。前記制御部は、前記発生率が第1閾値を超えている前記残量レベルを前記通知部に通知させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、用紙の残量レベルごとの給紙遅れの発生率を明らかにすることができる。給紙遅れや無給紙ジャムが減るように、用紙の残量レベルに応じた通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る給紙部の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る給紙部の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る昇降機構の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る残量検知の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る画像形成装置での用紙ごとの給紙状態の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る画像形成装置の給紙時の処理の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る通知用データの一例を示す図である。
図10】実施形態に係る発生率に基づく通知の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る現況通知の一例を示す図である。
図12】実施形態に係る画像形成装置での用紙残量の調整通知の一例を示す図である。
図13】実施形態に係る第1残量調整通知の一例を示す図である。
図14】実施形態に係る第2残量調整通知の一例を示す図である。
図15】実施形態に係る推奨通知の一例を示す図である。
図16】実施形態に係る推奨通知の一例を示す図である。
図17】実施形態に係る画像形成装置の用紙補給時の目安通知の一例を示す図である。
図18】実施形態に係る目安通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図18を用いて本発明の実施形態を説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
【0013】
(画像形成装置100)
次に、図1に基づき、実施形態に係る画像形成装置100の一例を説明する。図1は、実施形態に係る画像形成装置100の一例を示す図である。本説明では、画像形成装置100がプリンターである場合を説明する。なお、画像形成装置100は複合機でもよい。画像形成装置100はプリンター、複合機以外の印刷装置でもよい。
【0014】
画像形成装置100は制御部1を含む。制御部1は画像形成装置100の動作を制御する。制御部1はCPU1a、計時部1b、画像処理回路1cを含む基板である。CPU1aは画像形成装置100に関する制御、演算を行う集積回路である。CPU1aは、記憶部2に記憶されるプログラム、データに基づき画像形成装置100の各部の制御、各種の演算処理を行う。計時部1bは時間を測る回路である。計時部1bのかわりにCPUが時間を測ってもよい。
【0015】
コンピューター200から受信したプリントジョブデータに基づき、画像処理回路1cは印刷に用いる画像データを生成する。プリントジョブデータはページ記述言語で記述されたデータを含む。画像処理回路1cはページ記述言語で記述されたデータから画像データを生成する。また、プリントジョブデータに含まれる設定データに基づき、コンピューター200でなされた設定に応じて、画像処理回路1cは画像処理を画像データに施す。画像処理回路1cは、例えば、濃度変換、拡大、縮小のような画像処理を行う。
【0016】
記憶部2はROM21、RAM22、HDD23を含む。記憶部2は画像形成装置100の制御用の設定データ、画像データのようなデータや制御用のプログラムを記憶する。
【0017】
画像形成装置100は、操作パネル3を含む、操作パネル3は、表示パネル31(通知部に相当)、タッチパネル32、ハードキー33を含む。制御部1は、各種設定画面、操作用画像を表示パネル31に表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、キー、タブである。制御部1は、使用者への通知を表示パネル31に表示させる。表示パネル31に対し、タッチパネル32が取り付けられる。タッチパネル32はタッチ位置を検知する。タッチパネル32の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。
【0018】
画像形成装置100は印刷部4を含む。印刷部4は、給紙部5、搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cを含む。画像形成装置100は複数の給紙部5を含む。制御部1は、給紙部5、搬送部4a、画像形成部4b、定着部4cの動作を制御する。制御部1は、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着のような印刷関連処理を制御する。印刷ジョブのとき、制御部1は、用紙を1枚ずつ何れかの給紙部5に供給させる。制御部1は、供給された用紙を搬送部4aに搬送させる。制御部1は、画像データに基づくトナー像を画像形成部4bに形成させる。制御部1は、搬送される用紙へのトナー像の転写を画像形成部4bに行わせる。制御部1は用紙のトナー像を定着部4cに定着させる。搬送部4aは定着後の用紙を機外に排出する。印刷済の用紙は排出トレイ(不図示)に排出される。
【0019】
また、画像形成装置100は通信部6(通知部に相当)を含む。通信部6は、通信用の各種ソケット、通信用回路、通信用ソフトウェアを備える。通信部6は、ネットワークを介して、PCやサーバーのようなコンピューター200と通信する。通信部6は、コンピューター200から送信されたプリントジョブデータを受信する。制御部1は、受信したプリントジョブデータに基づく印刷を印刷部4に行わせる。また、通信部6は、ネットワークを介して、他の画像形成装置と通信できる。
【0020】
(給紙部5)
次に、図2図4に基づき、実施形態に係る給紙部5を説明する。図2図3は実施形態に係る給紙部5の一例を示す図である。図4は実施形態に係る昇降機構56の一例を示す図である。画像形成装置100は複数の給紙部5を含む。各給紙部5の構成は同様である。そこで、以下では、便宜上、1つの給紙部5について説明する。図2図4では1つの給紙部5を図示する。1つの給紙部5についての説明は他の給紙部5にも当てはまる。
【0021】
給紙部5は複数の用紙を収容する。給紙部5は用紙を一枚ずつ送り出す。給紙部5は、給紙カセット51と、給紙回転体52を含む。給紙カセット51は画像形成装置100から引き出すことができる。給紙カセット51を引き出して、用紙補給やセットする用紙を変更することができる。
【0022】
給紙カセット51は、載置板53、幅規制カーソル対54(図2では一方のみ可視)、後端規制カーソル55を含む。載置板53上に用紙(用紙束)がセットされる。載置板53は上下方向に回動可能である。載置板53の上流側端部(図2での左側端部)に回動軸が設けられる。載置板53の下流側端部(図2での右側端部)が自由端となる。
【0023】
搬送方向と垂直な方向で幅規制カーソル対54をスライド移動させることができる。幅規制カーソル対54の各幅規制カーソルは連動する。各幅規制カーソルはセットされた用紙と接し、位置を規制する。また、搬送方向に沿って後端規制カーソル55をスライド移動させることができる。後端規制カーソル55はセットされた用紙と接する。後端規制カーソル55は用紙の後端の位置を規制する。
【0024】
載置板53の下流側端部の下方に昇降機構56が設けられる。昇降機構56は、載置板53を上昇させる。昇降機構56は、上昇モーター56a(図3参照)、駆動シャフト56b、押し上げ部材56cを含む。押し上げ部材56cは板状である。押し上げ部材56cは駆動シャフト56bに取り付けられる。駆動シャフト56bは上昇モーター56aの駆動を受け回転する。押し上げ部材56cを回動させるとき、制御部1は上昇モーター56aを動作させる。その結果、駆動シャフト56bが回転する。押し上げ部材56cの先端部が上昇する。押し上げ部材56cの回動により載置板53の下流側端部が上昇する。
【0025】
給紙回転体52は、給紙ローラー52aと捌きローラー対52bを含む。給紙ローラー52aと捌きローラーは1つのユニットとなっている。給紙ローラー52aは、載置板53の下流側端部の上方に設けられる。捌きローラー対52bは、給紙ローラー52aよりも搬送方向下流側に設けられる。捌きローラー対52bは、用紙の重送を防ぐ。捌きローラー対52bの上側のローラーは、用紙を順方向に送る方向に回転する。下側のローラーは用紙を逆方向(カセット方向)に送る方向に回転する。
【0026】
図3に示すように、各給紙部5は、上限センサー5a、セットセンサー5b、残量センサー7、給紙モーター57を含む。残量センサー7は、給紙カセット51(載置板53)にセットされた用紙の残量レベルを検知するための部分である。残量センサー7は第1センサー71と第2センサー72を含む(図3図5参照)。給紙ローラー52aの回転軸は支軸部材58に支持される。支軸部材58は捌きローラー対52bの回転軸に架けられる。支軸部材58により、給紙ローラー52aは上下方向で揺動できる。給紙ローラー52aの上下動にあわせ、支軸部材58は上下方向で揺動する。そして、上限センサー5aが給紙部5に設けられる。上限センサー5aは、載置板53により持ち上げられた給紙ローラー52aが予め定められた上限位置に達したことを検知する。
【0027】
載置板53の下流側端部の上昇により、給紙ローラー52aと最上位の用紙が接する。さらに載置板53を上昇させると、給紙ローラー52aも持ち上げられる。つまり、載置板53は給紙ローラー52aを持ち上げる。上限センサー5aが給紙ローラー52aの上限到達を検知したとき、載置板53も上限位置となる。上限時の載置板53の位置は、セットされている用紙束の厚みにより変わる。制御部1は、給紙ローラー52aと用紙が接するように、用紙残量に応じて載置板53を上昇させる。
【0028】
上限センサー5aは、例えば、透過型の光センサーである。上限センサー5aは、給紙ローラー52aが上限位置にあるときと無いときで信号の出力レベル(HighレベルとLowレベル)が変化する。給紙ローラー52a又は支軸部材58に突起59が設けられる。給紙ローラー52aが上限位置に到達したとき、突起59は上限センサー5a(光センサー)の発光部と受光部の光路を遮る。制御部1は、上限センサー5aの出力に基づき、給紙ローラー52aの上限到達を認識する。上限到達を認識したとき、制御部1は上昇モーター56aを停止させる。
【0029】
図4を用いて、昇降機構56を説明する。上昇モーター56aは、給紙カセット51の外側(本体側)に設けられる。駆動シャフト56bの長手方向は用紙搬送方向と垂直な方向である。駆動シャフト56bは、継手部56dを介して、上昇モーター56aと連結される。制御部1は上昇モーター56aを駆動させる。上昇モーター56aが回転すると、継手部56dも回転する。継手部56dが回転すると、駆動シャフト56bと押し上げ部材56cが回転する。給紙を行うとき、制御部1は、載置板53が上昇する方向に、上昇モーター56a(駆動シャフト56b、押し上げ部材56c)を回転させる。
【0030】
給紙カセット51を前方に引き出したとき、継手部56dと駆動シャフト56bの連結が外れる。その結果、駆動伝達経路が分断される。給紙カセット51の取り外し(連結解除)により、載置板53は重力の作用により自動的に下降する。昇降機構56は、重力を利用して載置板53を下降させる。最終的に、載置板53と押し上げ部材56cは、下限位置まで下降する。載置板53及び押し上げ部材56cは倒れ伏す。
【0031】
また、給紙カセット51を取り付けたとき、継手部56dに駆動シャフト56bが差し込まれる。継手部56dにより、上昇モーター56aと駆動シャフト56bが連結される。開閉センサー(不図示)の出力に基づき、制御部1は給紙カセット51が装着されたことを認識する。給紙を開始するまでに、制御部1は、上昇モーター56aを駆動させる。制御部1は、給紙ローラー52a(載置板53)を上限位置まで上昇させる。また、制御部1は、1又は複数枚、給紙を行うごとに一時的に上昇モーター56aを回転させる。用紙の消費により少し降下した給紙ローラー52aが再び上限位置に持ち上げられる。
【0032】
給紙時、制御部1は給紙モーター57を回転させる。これにより、給紙ローラー52aと捌きローラー対52bが回転する。給紙ローラー52aと捌きローラー対52bにより、用紙は下流へと送られる。搬送部4aには、複数の搬送ローラー対41が設けられる。各搬送ローラー対41により用紙が搬送される(図2参照)。図2では便宜上、搬送ローラー対41を1つのみ図示している。複数の用紙に連続して印刷を行うとき、制御部1は、紙間が一定となるように、給紙ローラー52aの回転と一時停止を繰り返す。
【0033】
なお、給紙部5には、セットセンサー5bが設けられる。セットセンサー5bは、用紙がセットされているか否かを検知するためセンサーである(例えば、光センサー)。用紙がセットされているときのセットセンサー5bの出力レベルは、セットされていないときと異なる(HighレベルとLowレベル)。セットセンサー5bの出力に基づき、制御部1は、給紙カセット51に用紙がセットされているか否かを検知できる。用紙の空を検知したときとき、制御部1は用紙切れを表示パネル31に表示させる。
【0034】
また、給紙センサー8が各捌きローラーの用紙搬送方向下流側に設けられる。給紙センサー8の出力レベル(HighとLow)は、用紙の存在を検知しているか否かにより変わる。つまり、給紙センサー8は給紙部5から供給された用紙の到達、通過を検知する。給紙センサー8の出力は制御部1に入力される。給紙センサー8の出力に基づき、制御部1は給紙センサー8の設置位置への用紙の到達と通過を認識する。例えば、給紙センサー8は、透過型の光センサーである。給紙センサー8は他種のセンサーでもよい。
【0035】
(用紙残量検知)
次に、図3図5を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での用紙の残量レベルの検知の一例を説明する。図5は実施形態に係る残量検知の一例を示す図である。
【0036】
図5に示すように、扇型の回転板56eが継手部56dに取り付けられる。回転板56eの回転角度は、継手部56d(駆動シャフト56b)の回転角度にあわせて変化する。回転板56eの円弧部分が移動する経路上に、第1センサー71と第2センサー72が設けられる。第1センサー71と第2センサー72は透過型の光センサーである。回転板56eの円弧部分(端の部分)は、第1センサー71と第2センサー72の発光部と受光部の間を通過する。第1センサー71と第2センサー72は、透過状態と遮光状態で異なるレベルを出力する。第1センサー71と第2センサー72の出力は、制御部1に入力される。これらの出力に基づき、制御部1は、用紙の残量レベルを認識する。
【0037】
駆動シャフト56bの回転量により、回転板56eが遮光するセンサーの数が変わる。図7は、例えば、残量100%時の状態の一例を示す。給紙ローラー52aと用紙を接触させるとき、制御部1は反時計方向に駆動シャフト56bを回転させる。図7の例では、載置板53にセットされた用紙束が薄いほど、給紙ローラー52aが上限に到達するまでの回転板56e(駆動シャフト56b)の回転量が多くなる。
【0038】
セットされた用紙束の厚さと満杯時の用紙束の厚さの比率Xが75%<X≦100%のとき、第1センサー71と第2センサー72は、回転板56eにより遮光されない位置に設けられる。セットされた用紙束の厚さと満杯時の用紙束の厚さの比率Xが50%<X≦75%のとき、第1センサー71は回転板56eにより遮光される位置に設けられ、第2センサー72は回転板56eにより遮光されない位置に設けられる。セットされた用紙束の厚さと満杯時の用紙束の厚さの比率Xが25%<X≦50%のとき、第1センサー71と第2センサー72は、回転板56eにより遮光される位置に設けられる。セットされた用紙束の厚さと満杯時の用紙束の厚さの比率Xが0%≦X≦25%のとき、第1センサー71は回転板56eにより遮光されない位置に設けられ、第2センサー72は、回転板56eにより遮光される位置に設けられる(図5参照)。
【0039】
第1センサー71と第2センサー72の出力レベルに基づき、制御部1は、用紙の残量レベル(残量の範囲)を認識する。第1センサー71と第2センサー72の出力レベル=透過時のとき、制御部1は残量レベル4と認識する(残量75%<X≦100%)。第1センサー71の出力レベル=遮光時、第2センサー72の出力レベル=透過時のとき、制御部1は、残量レベル3と認識する(残量50%<X≦75%)。第1センサー71と第2センサー72の出力レベル=遮光時のとき、制御部1は、残量レベル2と認識する(残量25%<X≦50%)。第1センサー71の出力レベル=透過時、第2センサー72の出力レベル=遮光時のとき、制御部1は、残量レベル1と認識する(残量0%≦X≦25%)。このように、制御部1は、残量センサー7の出力に基づき、給紙カセット51の用紙の残量レベルを認識する。
【0040】
(用紙残量と給紙との関係)
次に、図6を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での用紙残量と給紙との関係の一例を説明する。図6は、実施形態に係る画像形成装置100での用紙ごとの給紙状態の一例を示す図である。
【0041】
図6のうち、最上段の図は、用紙残量が100%のときの一例を示す。図6の最上段の図は、セットされた用紙束の厚さが仕様上、許容される最大の厚みである状態を示す。例えば、普通紙を500枚セットしたとき、用紙残量が100%となる。図6の最上段の図の状態のとき、制御部1は、残量レベル4と判定する。
【0042】
図6のうち、中段の図は、用紙残量が約50%のときの一例を示す。図6の中段の図は、セットされた用紙束の厚さが仕様上、許容される最大の厚みの半分程度である状態を示す。図6の中段の図の状態のとき、制御部1は、残量レベル2又は3と判定する。
【0043】
図6のうち、最下段の図は用紙残量が約10%のときの一例を示す。図6の最下段の図は、セットされた用紙束の厚さが仕様上、許容される最大の厚みの10%程度である状態を示す。図6の最下段の図の状態のとき、制御部1は、残量レベル1と判定する。
【0044】
図6の各図に示すように、用紙の残量により、用紙の給紙ローラー52aへの当たり方(接触状態)が変わる。残量100%のとき、用紙はほぼフラットである。一方、残量が少ないほど、給紙ローラー52aと接する用紙は水平に対して傾いている。載置板53の傾きが大きいほど、用紙を引っ張り上げるようにして用紙を送り出さなくてはならない。また、用紙の残量により、給紙回転体52(給紙ローラー52aと捌きローラー対52b)に続く搬送用部材への用紙の進入角度に差が出る。このように、用紙の残量により、給紙時の用紙の挙動が変わる。その結果、用紙の残量により、給紙遅れの生じやすさ(発生率)が異なることがある。そこで、本実施形態の画像形成装置100は、残量レベルごとに、発生率を求める。
【0045】
(各画像形成装置100の給紙時の処理)
次に、図7図9を用いて、実施形態に係る各画像形成装置100の給紙時の処理の一例を説明する。図7は実施形態に係る画像形成装置100の給紙時の処理の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る記憶部2の記憶内容の一例を示す図である。図9は、実施形態に係る通知用データD1の一例を示す図である。
【0046】
制御部1は給紙を制御する。記憶部2に記憶されたプログラム、データに基づき、制御部1は給紙回転体52の動作を制御する。また、制御部1は計時部1bを含む。給紙センサー8の出力に基づき、計時部1bは、給紙回転体52(給紙モーター57)の回転開始から給紙センサー8が用紙先端を検知するまでの所要時間を測る。なお、CPU1aが所要時間を測ってもよい。
【0047】
次に、図7を用いて、各画像形成装置100での給紙時の処理の流れの一例を説明する。図7のスタートは、制御部1が給紙を給紙部5に開始させる時点である。例えば、通信部6がプリントジョブデータを受信したとき、制御部1は、給紙を開始させる。制御部1は、用紙1枚ごとに図7のフローチャートを実行する。
【0048】
まず、制御部1は、給紙回転体52(給紙モーター57)を回転させ、給紙を開始する(ステップ♯11)。なお、給紙ローラー52aと用紙が接するように、用紙残量に応じて載置板53を上昇させてから。制御部1は、給紙を開始する。言い換えると、給紙前、制御部1は、上限センサー5aが給紙ローラー52aの上限到達を検知するまで、上昇モーター56aを動作させる。
【0049】
給紙開始にあわせて、制御部1(計時部1b)は、所要時間の計測を開始する(ステップ♯12)。所要時間は、給紙回転体52(給紙モーター57)の回転開始から給紙センサー8が用紙先端を検知するまでの時間である。そして、制御部1は、給紙センサー8が用紙の先端の到達を検知したか否かを確認する(ステップ♯13)。給紙センサー8が先端到達を検知したとき(ステップ♯13のYes)、制御部1(計時部1b)は、今回の給紙の所要時間を確定する(ステップ♯14)。
【0050】
所要時間を確定したとき(ステップ♯14の後)、制御部1は、今回の給紙において、給紙遅れが発生したか否かを判定する(ステップ♯15)。具体的に、制御部1は、所要時間が予め定められた許容時間T1を超えているとき、給紙遅れが発生したと判定する。一方、所要時間が許容時間T1以下のとき、制御部1は給紙遅れなしと判定する。
【0051】
許容時間T1は、理想所要時間に予め定められたマージンを加算した時間である。例えば、理想所要時間は、理想的にセットされた用紙の先端位置から給紙センサー8までの距離を、理想的な(仕様上の)用紙搬送速度で除して得られる時間である。記憶部2は、許容時間T1を不揮発的に記憶する(図8参照)。制御部1は、記憶部2に記憶された許容時間T1を読み出して判定を行う。
【0052】
そして、制御部1は、現在の残量レベルを確認する(ステップ♯16)。次に、制御部1は、通知用データD1を記憶部2に更新させる(ステップ♯17)。図9に示すように、制御部1は、残量レベルごとの累計給紙枚数と残量レベルごとの給紙遅れが発生した枚数を通知用データD1として記憶部2に不揮発的に記憶させる。また、制御部1は、残量レベルごとの給紙遅れの発生率を通知用データD1として記憶部2に記憶させる。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0053】
通知用データD1を更新するとき、制御部1は給紙時の残量レベルに対応する累計給紙枚数に1を加算する。また、給紙遅れが発生したと判定したとき、制御部1は、給紙時の残量レベルに対応する給紙遅れ発生枚数に1を加算する。給紙遅れが発生したと判定しなかったとき、制御部1は、どの残量レベルの給紙遅れ発生枚数にも、1を加算しない。言い換えると、給紙遅れが発生したと判定しなかったとき、制御部1は、給紙遅れ発生枚数の値を変化させない。さらに、給紙遅れが発生したとき、制御部1は、給紙時の残量レベルの給紙遅れの発生率を更新する。具体的に、制御部1は、給紙時の残量レベルにおいて、更新後の給紙遅れ発生枚数を更新後の累計給紙枚数で除して発生率を求める。
【0054】
一方、給紙センサー8が先端到達を検知していないとき(ステップ♯13のNo)、制御部1は、無給紙ジャムが発生したか否かを判定する(ステップ♯18)。制御部1は、所要時間が予め定められた上限時間T2を超えたとき、無給紙ジャムが発生したと判定する。上限時間T2は、記憶部2に不揮発的に記憶される(図8参照)。制御部1は、記憶部2と通信可能である。
【0055】
なお、制御部1はリトライを1又は複数回行ってもよい。リトライは、給紙回転体52(給紙ローラー52a)の一時停止と回転の再開である。制御部1は、リトライによる給紙回転体52の回転再開ごとに、所要時間の計時を開始する。そして、複数回連続して所要時間が上限時間T2を超えたとき、制御部1は、無給紙ジャムが発生したと認識する。
【0056】
無給紙ジャムが発生していないと判定したとき(ステップ♯18のNo)、フローは、ステップ♯13に戻る。一方、無給紙ジャム発生と判定したとき(ステップ♯18のYes)、制御部1は、無給紙ジャムエラーを表示パネル31に表示させる(ステップ♯19)。また、制御部1は、プリントジョブデータを送信したコンピューター200に向けて、無給紙ジャム発生通知を通信部6に送信させてもよい。また、制御部1は、給紙モーター57を含む印刷部4の動作を停止させる。そして、本フローは終了する(エンド)。無給紙ジャム発生時、ジャム処理が使用者により行われる。
【0057】
(発生率に基づく通知)
次に、図10図11を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での発生率に基づく通知の一例を説明する。図10は、実施形態に係る画像形成装置100での発生率に基づく通知の一例を示す図である。図11は、実施形態に係る現況通知M0の一例を示す図である。
【0058】
制御部1は、給紙カセット51の用紙の残量レベルごとに給紙遅れの発生率を求める。給紙部5が複数あるとき、制御部1は、給紙部5ごとに、図7のフローチャートを行う。そして、制御部1は、求めた発生率に基づき、通知する。通知に関し、第1閾値Th1と第2閾値Th2が予め定められる。記憶部2は、第1閾値Th1と第2閾値Th2を不揮発的に記憶する(図8参照)。第1閾値Th1は、第2閾値Th2よりも小さい。
【0059】
図10のスタートは、例えば、ジョブの終了時である。1枚の用紙を給紙したとき(所要時間を測ったとき)でもよい。また、主電源の投入により、画像形成装置100の起動が完了した時点でもよい。また、省電力モードの解除により、画像形成装置100がアクティブモード(通常モード)になった時点でもよい。
【0060】
まず、制御部1は、通知用データD1を記憶部2から読み出す(ステップ♯21)。制御部1は、読み出した通知用データD1に基づき、残量レベルごとの発生率を確認する(ステップ♯22)。そして、制御部1は、各残量レベルの発生率のいずれもが、予め定められた第2閾値Th2以下であるか否かを確認する(ステップ♯23)。第2閾値Th2は適宜定められる。第2閾値Th2は、例えば、30%程度の値とできる。なお、制御部1は、各残量レベルの給紙遅れ発生枚数の合計を各残量レベルの累計給紙枚数の合計で除した値を求めてもよい。制御部1は、求めた値が第2閾値Th2以下か否かを確認してもよい。求めた各残量レベルの発生率のいずれかが第2閾値Th2を超えているとき(ステップ♯23のYes)、制御部1は、給紙回転体52の交換を通知部に通知させる(ステップ♯24)。つまり、給紙回転体52(給紙ローラー52a)の交換を勧める。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0061】
通知部は、例えば、表示パネル31である。この場合、制御部1は、通知には、発生率が第2閾値Th2を超えた給紙部5を示す情報と、摩耗が進んでいることを知らせる文字列と、給紙ローラー52aの交換をすべきことを知らせる文字列を含める。また、制御部1は、画像形成装置100のメンテナンスを行う会社の連絡先を通知に含めてもよい。
【0062】
また、通知部は、通信部6でもよい。この場合、制御部1は、上記の情報、文字列、連絡先を含むデータを通信部6に送信させる。例えば、制御部1は、画像形成装置100の管理者のコンピューター200に向けて、データを送信させる。これにより、画像形成装置100の管理者のコンピューター200の画面に、データに基づく通知が表示される。管理者は、給紙ローラー52aの交換を依頼すべきことを認識できる。さらに、制御部1は、画像形成装置100のメンテナンスを行う会社のコンピューター200に向けて、通知を通信部6に送信させてもよい。この場合、制御部1は、画像形成装置100の設置場所、画像形成装置100の管理者の連絡先、交換が必要な給紙部5を示す情報を含むデータを通信部6に送信させる。
【0063】
第2閾値Th2を超えている発生率がないとき(ステップ♯23のNo)、制御部1は、第1閾値Th1を設定する(ステップ♯25)。制御部1は、記憶部2に記憶された第1閾値Th1(予め定められた固定の値)を用いてもよい。また、制御部1は、残量レベルごとに第1閾値Th1を定めてもよい。この場合、画像形成装置100で用いられる残量レベルは4段階なので、制御部1は、4つの第1閾値Th1を求める(図8参照)。制御部1は、発生率が大きいほど第1閾値Th1を小さくする。制御部1は、発生率が小さいほど第1閾値Th1を大きくする。これにより、発生率が高い残量レベルほど、第1閾値Th1を超えやすくなる。
【0064】
制御部1は、求めた各残量レベルの発生率のいずれもが、第1閾値Th1以下であるか否かを認識する(ステップ♯26)。言い換えると、制御部1は、発生率が第1閾値Th1を超えている残量レベルを認識する。第1閾値Th1を超えている発生率がないとき(ステップ♯26のNo)、特に通知は必要ない。給紙ローラー52aの摩耗は進んでいないと考えられる。異常なく用紙が搬送されていると判断することができる。そこで、本フローは終了する(エンド)。
【0065】
何れかの残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているとき(ステップ♯26のYes)、制御部1は、発生率が第1閾値Th1を超えている残量レベルを通知部に通知させる(ステップ♯27)。言い換えると、制御部1は、給紙遅れが発生しやすい残量レベルを通知部に通知させる。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0066】
図11は、ステップ♯27により表示される現況通知M0の一例を示す。現況通知M0は、現在、給紙遅れが発生しやすくなっている残量レベルを知らせる通知である。制御部1は、現況通知M0を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、管理者のコンピューター200に向けて、現況通知M0を表示するためのデータを通信部6に通知(送信)させてもよい。この場合、コンピューター200のディスプレイに現況通知M0が表示される。
【0067】
図11は、残量レベル3で発生率が第1閾値Th1を超えていることを知らせる通知の一例を示す。給紙ローラー52aの摩耗が進むと、複数の残量レベルで発生率が第1閾値Th1を超えやすくなる。そのため、制御部1は、複数の残量レベルで発生率が第1閾値Th1を超えている現況通知M0を表示させることがある。なお、×ボタンを操作することにより、現況通知M0を消すことができる。
【0068】
(残量調整の通知)
次に、図12図14を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での用紙残量の調整通知の一例を説明する。図12は実施形態に係る画像形成装置100での用紙残量の調整通知の一例を示す図である。図13は実施形態に係る第1残量調整通知M1の一例を示す図である。図14は実施形態に係る第2残量調整通知M2の一例を示す図である。
【0069】
図12のスタートは、予め定められた残量調整通知の実行時点である。残量調整通知の実行時点は、適宜定めることができる。残量調整通知の実行時点は、これからジョブの設定を開始すると認められる時点とできる。印刷ジョブの開始前に、用紙残量の調整を促すことができる。例えば、残量調整通知の実行時点は、制御部1が操作パネル3への操作を認識した時点としてもよい。
【0070】
なお、残量調整通知の実行時点は、現況通知M0が表示された時点でもよい。言い換えると、制御部1が何れかの残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えていることを認識した時点としてもよい。また、残量調整通知の実行時点は、主電源の投入により、画像形成装置100の起動が完了した時点でもよい。また、省電力モードの解除により、画像形成装置100がアクティブモード(通常モード)になった時点でもよい。
【0071】
なお、画像形成装置100は、複数の給紙部5を含む。制御部1は、給紙部5ごとに図12のフローチャートを実行する。
【0072】
制御部1は、現在の残量レベルを認識する(ステップ♯31)。そして、制御部1は、現在の残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているか否かを確認する(ステップ♯32)。このとき、制御部1は、記憶部2に記憶された第1閾値Th1(予め定められた固定の値)を用いてもよい。また、制御部1は、残量レベルごとに第1閾値Th1を定めてもよい(ステップ♯24と同様)。この場合、制御部1は、発生率が大きいほど第1閾値Th1を小さくする。制御部1は、発生率が小さいほど第1閾値Th1を大きくする。
【0073】
現在の残量レベルの発生率が第1閾値Th1以下のとき(ステップ♯32のNo)、給紙遅れや無給紙ジャムは発生しにくい状態といえる。そこで、制御部1は本フローを終了させる(エンド)。一方、現在の残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているとき(ステップ♯32のYes)、制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがあるか否かを確認する(ステップ♯33)。例えば、現在の残量レベルが2であり、かつ、残量レベル2の発生率が第1閾値Th1を超えているとき、制御部1は、残量レベル1、3、4の発生率が第1閾値Th1以下であるか否かを確認する。
【0074】
発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがあるとき(ステップ♯33のYes)、制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルを通知部に通知させる(ステップ♯34)。図13は、ステップ♯34により表示される第1残量調整通知M1の一例を示す。第1残量調整通知M1は、給紙遅れや無給紙ジャムが生じにくい残量レベルを知らせるための通知である。制御部1は、第1残量調整通知M1を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、管理者のコンピューター200に向けて、第1残量調整通知M1を表示するためのデータを通信部6に通知(送信)させてもよい。この場合、コンピューター200のディスプレイに第1残量調整通知M1が表示される。
【0075】
図13は、第1残量調整通知M1により、現在の残量レベルがレベル2であることを通知する例を示す。また、図13は、現在の残量レベルよりも残量レベル1、3、4は発生率が小さいことを通知する例を示す。×ボタンを操作することにより、第1残量調整通知M1を消すことができる。また、第1残量調整通知M1は、他種の通知と同時に表示されてもよい。
【0076】
発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがないとき(ステップ♯33のNo)、制御部1は、各残量レベルの発生率のうち、現在の残量レベルの発生率が最小か否かを確認する(ステップ♯35)。最小のとき(ステップ♯35のYes)、現状よりも発生率が小さくなる残量レベルはない。そこで、制御部1は本フローを終了させる(エンド)。発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがないが、現在の残量レベルの発生率が最小ではないとき(ステップ♯35のNo)、制御部1は、発生率が現在の残量レベルよりも小さい残量レベルを通知部に通知させる(ステップ♯36)。そして、本フローは終了する。
【0077】
図14は、ステップ♯36により表示される第2残量調整通知M2の一例を示す。第2残量調整通知M2は、給紙遅れや無給紙ジャムが比較的生じにくい残量レベルを知らせるための通知である。制御部1は、第2残量調整通知M2を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、管理者のコンピューター200に向けて、第2残量調整通知M2を表示するためのデータを通信部6に通知(送信)させてもよい。この場合、コンピューター200のディスプレイに第2残量調整通知M2が表示される。
【0078】
図14は、現在、残量レベル3であることを通知する例を示す。または、図14は、現在の残量レベルより残量レベル1、2、4方が発生率が小さいことを通知する例を示す。制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがないとき、発生率が最も小さい残量レベルのみを通知部に通知させてもよい。なお、×ボタンを操作することにより、第2残量調整通知M2を消すことができる。第2残量調整通知M2は、他種の通知と同時に表示されてもよい。
【0079】
なお、画像形成装置100は、複数の給紙部5(給紙カセット51)を含む。給紙カセット51ごとに、給紙ローラー52aと残量センサー7が設けられる。制御部1は、給紙カセット51ごとに残量レベルを認識する。制御部1は、給紙カセット51ごとに通知用データD1を不揮発的に記憶部2に記憶させる。複数の給紙カセット51が同じサイズの用紙を収容する同サイズカセットの場合、同サイズカセットの何れか一方、又は、両方の現在の残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているとき、制御部1は、同サイズカセット間の用紙の移動を提案する提案通知M3を通知部に通知させてもよい。
【0080】
図13、14は、提案通知M3の一例を示す。提案通知M3は、同じサイズの用紙を収容する給紙カセット51を知らせる通知である。制御部1は、第1残量調整通知M1や第2残量調整通知M2とあわせて、提案通知M3を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、管理者のコンピューター200に向けて、提案通知M3を表示するためのデータを通信部6に通知(送信)させてもよい。この場合、コンピューター200のディスプレイに提案通知M3が表示される。
【0081】
なお、制御部1は、各給紙カセット51に収容される用紙サイズを認識する。例えば、操作パネル3は、給紙カセット51に収容する用紙のサイズの設定を受け付ける。制御部1は、設定されたサイズの用紙が給紙カセット51に収容されていると認識する。また、各給紙カセット51には収容用紙のサイズを検知するためのサイズセンサー(不図示)を設けてもよい。この場合、制御部1は、サイズセンサーの出力に基づき、収容用紙のサイズを認識する。制御部1は同じサイズの用紙を収容する給紙カセット51を認識できる。
【0082】
(次の残量レベルの推奨通知M4)
次に、図15図16を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での次の残量レベルの推奨通知M4の一例を説明する。図15は、実施形態に係る画像形成装置100での次の残量レベルの推奨通知M4の一例を示す図である。図16は、実施形態に係る推奨通知M4の一例を示す図である。
【0083】
図15のスタートは、予め定められた推奨通知M4の実行時点である。推奨通知M4の実行時点は、適宜定めることができる。推奨通知M4の実行時点は、制御部1が操作パネル3への操作を認識した時点としてもよい。なお、推奨通知M4の実行時点は、現況通知M0が表示された時点でもよい。言い換えると、制御部1が何れかの残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えていることを認識した時点としてもよい。また、推奨通知M4の実行時点は、主電源の投入により、画像形成装置100の起動が完了した時点でもよい。また、省電力モードの解除により、画像形成装置100がアクティブモード(通常モード)になった時点でもよい。なお、画像形成装置100は、複数の給紙部5を含む。制御部1は、給紙部5ごとに図15のフローチャートを実行する。
【0084】
まず、制御部1は、現在の残量レベルよりも1つ下の残量レベルである次残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているか否かを確認する(ステップ♯41)。このとき、制御部1は、記憶部2に記憶された第1閾値Th1(予め定められた固定の値)を用いてもよい。また、制御部1は、残量レベルごとに第1閾値Th1を定めてもよい(ステップ♯24と同様)。この場合、制御部1は、発生率が大きいほど第1閾値Th1を小さくする。制御部1は、発生率が小さいほど第1閾値Th1を大きくする。
【0085】
次に、制御部1は、次残量レベルよりも発生率が小さい残量レベルがあるか否かを確認する(ステップ♯42)。次残量レベルよりも発生率が小さい残量レベルがないとき(ステップ♯42のNo)、制御部1は、本フローを終了させる(エンド)。次残量レベルよりも発生率が小さい残量レベルがあるとき(ステップ♯42のYes)、制御部1は、次残量レベルよりも発生率が小さい残量レベルを通知部に通知させる(ステップ♯43)。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0086】
図16は、ステップ♯43により表示される推奨通知M4の一例を示す。推奨通知M4は、用紙消費により残量レベルが1つ下がったときのため、給紙遅れや無給紙ジャムが比較的生じにくい残量レベルを予め知らせる通知である。制御部1は、推奨通知M4を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、管理者のコンピューター200に向けて、推奨通知M4を表示するためのデータを通信部6に通知(送信)させてもよい。この場合、コンピューター200のディスプレイに推奨通知M4が表示される。
【0087】
図16は、推奨通知M4の一例を示す。制御部1は、推奨通知M4により、次残量レベルよりも発生率が小さい残量レベルを通知する。図16は、現在、残量レベル3であることを通知する例を示す。また、図16は、残量レベルが下がったとき、残量レベル2、4とすると、給紙遅れの発生率を小さくできることを通知する例を示す。発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがないとき、制御部1は、発生率が最も小さい残量レベルのみを通知部に通知させてもよい。なお、×ボタンを操作することにより、推奨通知M4を消すことができる。推奨通知M4は、他種の通知と同時に表示されてもよい。
【0088】
(用紙補給時の目安通知M5)
次に、図17図18を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での用紙補給時の目安通知M5の一例を説明する。図17は、実施形態に係る画像形成装置100での用紙補給時の目安通知M5の一例を示す図である。図18は、実施形態に係る目安通知M5の一例を示す図である。
【0089】
目安通知M5は、用紙が空になったとき、用紙補給後の残量レベルの目安(目安レベル)を知らせる通知である。そのため、目安通知M5は、残量レベルが最小レベルである期間に行うことが好ましい。従って、制御部1は、残量レベルが最小レベルである期間内であることを図17のスタートの条件とする。
【0090】
そして、図17のスタートは、残量レベルが最小レベルの期間中に、目安通知M5の実行時点となったときである。目安通知M5の実行時点は適宜定めることができる。目安通知M5の実行時点は、制御部1が操作パネル3への操作を認識した時点としてもよい。目安通知M5の実行時点は、現況通知M0が表示された時点でもよい。制御部1が何れかの残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えていることを認識した時点としてもよい。また、目安通知M5の実行時点は、主電源の投入により、画像形成装置100の起動が完了した時点でもよい。また、省電力モードの解除により、画像形成装置100がアクティブモード(通常モード)になった時点でもよい。また、画像形成装置100は複数の給紙部5を含む。制御部1は、給紙部5ごとに図17のフローチャートを実行する。
【0091】
まず、制御部1は、発生率が第1閾値Th1を超えている残量レベルがあるか否かを確認する(ステップ♯51)。このとき、制御部1は、記憶部2に記憶された第1閾値Th1(予め定められた固定の値)を用いてもよい。また、制御部1は、残量レベルごとに第1閾値Th1を定めてもよい(ステップ♯24と同様)。この場合、制御部1は、発生率が大きいほど第1閾値Th1を小さくする。制御部1は、発生率が小さいほど第1閾値Th1を大きくする。
【0092】
発生率が第1閾値Th1を超えている残量レベルがないとき(ステップ♯51のNo)、制御部1は、本フローを終了させる(エンド)。発生率が第1閾値Th1を超えている残量レベルがあるとき(ステップ♯51のYes)、制御部1は、発生率が最大の残量レベル以外の残量レベルを用紙補給時の目安レベルとして通知部に通知させる(ステップ♯52)。そして、本フローは終了する(エンド)。制御部1は、目安レベルとして、発生率が最小の残量レベルを通知してもよい。また、制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルのみを目安レベルとして通知してもよい。
【0093】
図18は、ステップ♯52により表示される目安通知M5の一例を示す。目安通知M5は、用紙補給後の残量レベルの目安を知らせる通知である。制御部1は、給紙遅れの発生率が小さい残量レベルを目安レベルとして通知する。制御部1は、目安通知M5を表示パネル31に表示させる。また、制御部1は、管理者のコンピューター200に向けて、目安通知M5を表示するためのデータを通信部6に通知(送信)させてもよい。この場合、コンピューター200のディスプレイに目安通知M5が表示される。図18は、用紙補給後、残量レベル2又は残量レベル3とすることが好ましいことを知らせる例を示す。なお、×ボタンを操作することにより、目安通知M5を消すことができる。推奨通知M4は、他種の通知と同時に表示されてもよい。
【0094】
(変形例)
上記の実施形態の説明では、画像形成装置100が所要時間を測り、自機の所要時間に基づき、残量レベルごとの発生率を求める例を説明した。しかし、他の画像形成装置から取得したデータを利用して、制御部1は、残量レベルごとの発生率を定めてもよい。
【0095】
他の画像形成装置から取得したデータを利用する場合、データ(発生率)を取得する対象となる他の画像形成装置(取得対象装置101)が予め定められる。取得対象装置101は、他の画像形成装置である。取得対象装置101は、画像形成装置100の通信部6とネットワークを介して通信可能な画像形成装置100である(図1参照)。例えば、操作パネル3は、ネットワークに接続された画像形成装置100のうち、取得対象装置101を定める設定を受け付ける。例えば、画像形成装置100と同じ機種、又は、給紙部5の構成が同じ機種(同じシリーズの機種)を取得対象装置101として定めることができる。取得対象装置101は、1台でもよいし、複数台でもよい。
【0096】
他の画像形成装置から取得したデータを利用して残量レベルごとの発生率を定めるとき、制御部1は、取得対象装置101との通信を通信部6に行わせる。なお、制御部1は、予め定められた周期で残量レベルごとの発生率を求める。周期は、例えば、24時間とできる。周期は24時間に限られない。
【0097】
そして、制御部1は、取得対象装置101から残量レベルごとの発生率を通信部6に取得させる。発生率の取得後、制御部1は、残量レベルごとに、自機の発生率と取得対象装置101の発生率の平均値を求める。給紙部5の構成が同じ又は類似するとき、残量レベルごとの発生率は近似することが多い。偏りの少ない残量レベルの発生率を定めることができる。制御部1は、求めた残量レベルごとの平均値を、自機の発生率と扱う。この場合、制御部1は、平均に基づく発生率を通知用データD1として記憶部2に記憶させる。そして、平均に基づく発生率に基づき、制御部1は、図10図12図15図17のフローチャートを実行する。
【0098】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置100は、通知部(表示パネル31、通信部6)、給紙カセット51、給紙回転体52(給紙ローラー52a、捌きローラー対52b)、給紙センサー8、残量センサー7、記憶部2、制御部1を含む。通知部は通知を行う。給紙カセット51は用紙がセットされる載置板53を含む。給紙回転体52は、給紙カセット51の上方に設けられ、回転して給紙を行う。給紙センサー8は、給紙回転体52よりも用紙搬送方向下流側に設けられ、用紙の到達、通過を検知する。残量センサー7は、給紙カセット51の用紙残量を検知するためのものである。記憶部2は、通知用データD1を記憶する。制御部1は、残量センサー7の出力に基づき、給紙カセット51の用紙の残量レベルを認識する。制御部1は、給紙回転体52と用紙が接するように、用紙残量に応じて載置板53を上昇させる。制御部1は、給紙回転体52の回転開始から給紙センサー8が用紙先端を検知するまでの所要時間を測る。制御部1は、所要時間に基づき給紙遅れが発生したか否かを判定する。制御部1は、残量レベルごとの累計給紙枚数と残量レベルごとの給紙遅れが発生した枚数を通知用データD1として記憶部2に記憶させる。制御部1は、通知用データD1に基づき、残量レベルごとに給紙遅れの発生率を求める。制御部1は、発生率が第1閾値Th1を超えている残量レベルを通知部に通知させる。
【0099】
これにより、用紙の残量レベルごとに、給紙遅れの発生率を求めることができる。給紙遅れや無給紙ジャムが発生しやすい残量レベルと、発生しにくい残量レベルと、を使用者に知らせることができる。通知に基づいて、使用者は、給紙カセット51内の用紙の量を調整することができる。通知により、給紙遅れや無給紙ジャムを減らす対策をとるように仕向けることができる。例えば、使用者は、用紙の残量レベルを、給紙遅れや無給紙ジャムの発生が少ないレベルで維持するようになる。その結果、給紙回転体52の寿命が尽きるまでの給紙遅れや無給紙ジャムの発生数を減らすことができる。
【0100】
また、制御部1は、残量センサー7の出力に基づき、現在の残量レベルを認識する。現在の残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているとき、制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがあるか否かを確認する。発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがあるとき、制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルを通知部に通知させる。これにより、給紙遅れの発生率が小さい残量レベルを使用者に知らせることができる。この通知に基づき、使用者は、通知された残量レベルとなるように、給紙カセット51の用紙の量を増減する対応をとれる。増減作業により、給紙回転体52の寿命が尽きるまでの給紙遅れや無給紙ジャムの発生数を減らすことができる。
【0101】
また、制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがないとき、発生率が現在の残量レベルよりも小さい残量レベルを通知部に通知させる。これにより、現状よりも給紙遅れが発生しにくい残量レベルを使用者に知らせることができる。この通知に基づき、使用者は、通知された残量レベルとなるように、給紙カセット51の用紙の量を増減する対応をとれる。増減作業により、給紙回転体52の摩耗がある程度進んでも、給紙遅れや無給紙ジャムの発生数を減らすことができる。
【0102】
また、制御部1は、発生率が第1閾値Th1以下の残量レベルがないとき、発生率が最も小さい残量レベルを通知部に通知させる。これにより、現状、給紙遅れが最も発生しにくい残量レベルを使用者に知らせることができる。この通知に基づき、使用者は、通知された残量レベルとなるように、給紙カセット51の用紙の量を増減する対応をとれる。給紙遅れや無給紙ジャムの発生数を最も少なくすることができる。
【0103】
また、現在の残量レベルよりも1つ下の残量レベルである次残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているとき、制御部1は、次残量レベルよりも発生率が小さい残量レベルを通知部に通知させる。これにより、将来的に用紙消費により残量レベルが1つ下がったときを考慮した通知を行うことができる。変化後の残量レベルにおいて、給紙遅れが発生しにくい残量レベルを使用者に予め知らせることができる。残量レベルが下がる前に、将来的に給紙カセット51にセットすべき用紙の残量レベルを知らせることができる。
【0104】
また、発生率が第1閾値Th1を超えている残量レベルがあり、かつ、現在の残量レベルが最小レベルのとき、制御部1は、発生率が最大の残量レベル以外の残量レベルを用紙補給時の目安レベルとして通知部に通知させる。これにより、用紙が空になったときに給紙遅れの発生率が小さくなる残量レベルを予め使用者に知らせることができる。用紙が空になる前に、将来的に給紙カセット51にセットすべき用紙の残量レベルを知らせることができる。
【0105】
また、制御部1は、残量レベルごとに第1閾値Th1を定める。制御部1は、発生率が大きいほど第1閾値Th1を小さくする。制御部1は、発生率が小さいほど第1閾値Th1を大きくする。これにより、給紙遅れの発生率が大きい残量レベルでは、通知が行われやすくなる。給紙遅れや無給紙ジャムを減らすための通知の頻度を高めることができる。
【0106】
また、画像形成装置100は、複数の給紙カセット51を含む。給紙カセット51ごとに、給紙回転体52と残量センサー7が設けられる。制御部1は、給紙カセット51ごとに残量レベルを認識する。制御部1は、給紙カセット51ごとに通知用データD1を記憶部2に記憶させる。複数の給紙カセット51が同じサイズの用紙を収容する同サイズカセットの場合、同サイズカセットの何れか一方、又は、両方の現在の残量レベルの発生率が第1閾値Th1を超えているとき、制御部1は、同サイズカセット間の用紙の移動を提案する提案通知M3を通知部に通知させる。これにより、給紙カセット51の給紙遅れの発生率が低下するように、給紙カセット51間の用紙の移動を提案することができる。
【0107】
また、発生率が予め定められた第2閾値Th2を超えているとき、制御部1は、給紙回転体52の交換を通知部に通知させる。第2閾値Th2は第1閾値Th1よりも大きい。これにより、給紙遅れの発生率が高くなったとき、給紙回転体52の交換を通知することができる。寿命が尽きた、又は、寿命が尽きかけの給紙回転体52の交換を使用者に勧めることができる。
【0108】
変形例で説明したように、同様の構成を有する画像形成装置100では、用紙の残量レベルごとの給紙遅れ発生率の傾向が近くなる。そこで、画像形成装置100は、取得対象装置101と通信する通信部6を含む。取得対象装置101は、発生率を取得する対象として予め定められた他の画像形成装置である。制御部1は、取得対象装置101から残量レベルごとの発生率を通信部6に取得させる。制御部1は、残量レベルごとに、自機の発生率と取得対象装置101の発生率の平均値を求める。制御部1は、求めた残量レベルごとの平均値を、自機の発生率と扱う。
【0109】
これにより、複数の画像形成装置の残量レベルごとの発生率の平均値を自機の給紙遅れの発生率とすることができる。平均をとることにより、偏りが無く、正確な給紙遅れの発生率を定めることができる場合がある。
【0110】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、給紙を行う回転体を含む給紙部を備えた画像形成装置に使用可能である。
【符号の説明】
【0112】
100 画像形成装置 101 取得対象装置
1 制御部 2 記憶部
31 表示パネル(通知部) 51 給紙カセット
52 給紙回転体 52a 給紙ローラー(給紙回転体)
52b 捌きローラー対(給紙回転体) 53 載置板
6 通信部(通知部) 7 残量センサー
8 給紙センサー D1 通知用データ
Th1 第1閾値 Th2 第2閾値
図1
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図3
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図5
図6
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