特許第6856067号(P6856067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000002
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000003
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000004
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000005
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000006
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000007
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000008
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000009
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000010
  • 特許6856067-モータ及びモータの製造方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856067
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】モータ及びモータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20210329BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H02K5/22
   H02K3/50 A
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-509280(P2018-509280)
(86)(22)【出願日】2017年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2017012200
(87)【国際公開番号】WO2017170296
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年2月14日
(31)【優先権主張番号】特願2016-72555(P2016-72555)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】朝日 優
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 英博
(72)【発明者】
【氏名】村上 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 昌良
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−027240(JP,A)
【文献】 特開2011−124045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

回転軸を有するロータと、
複数のコイルを有し、前記ロータに対向するステータと、
軸方向の一端に開口部を開口し、前記ステータを保持する筒状のハウジングと、
軸方向に延びるバスバー接続部を一端に有し、他端を各前記コイルに接続する複数のバスバーと、
前記バスバー接続部に軸方向に直交する第1方向に対向して接続されるターミナル接続部を一端に有する複数のターミナルピンと、
複数の前記ターミナルピンを保持するとともに前記開口部に取り付けられるターミナルサポートと、
を備え、
前記ハウジングは、軸方向一端側に向かって開口する挿通穴を有し、
前記ターミナルサポートは前記挿通穴に挿入される突出部を有し、
前記突出部及び前記挿通穴の一方が、
他方に嵌合する嵌合部と、
前記嵌合部の挿入端側に位置する案内部と、
を有し、
前記案内部において、前記第1方向側の側面が、前記挿通穴の開口端から離れるにつれて前記第1方向の反対方向に傾斜する、モータ。
【請求項2】
前記バスバー接続部の前記軸方向一端側の先端から前記ターミナル接続部の前記軸方向一端側の反対側の先端までの挿入方向の長さよりも、前記嵌合部の嵌合する長さが短い、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記案内部の先端が前記嵌合部に対して前記第1方向の反対方向に偏心する、請求項1または請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記嵌合部及び前記案内部は、前記突出部に設けられ、
前記突出部が前記案内部の先端に突出して前記嵌合部よりも細い柱状部を有し、
前記柱状部の第1方向側の側面が、軸方向に平行または前記案内部よりも軸方向に対する傾斜角の小さい傾斜面である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記嵌合部の側面は、挿入方向に延びた複数のリブを有する、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記突出部及び前記挿通穴は、複数設けられる、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記ターミナルサポートは、複数の前記ターミナルピンが並ぶ方向の端部に2つの前記突出部を有し、2つの前記突出部の間に、前記ステータに対して軸方向に重なるカバー部を有する請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記ターミナルサポートは、
本体部と、
前記本体部から前記ターミナル接続部と同じ方向に延びる腕部とを有し、
前記本体部からは複数の前記ターミナル接続部が突出し、
前記腕部の先端に前記突出部が位置する請求項1〜請求項7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記腕部が弾性を有し、前記腕部の付勢により前記ターミナル接続部が前記バスバー接続部に押圧される請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
回転軸を有するロータと、複数のコイルを有して前記ロータに対向するステータと、軸方向の一端に開口部を開口し軸方向一端側に向かって開口する挿通穴が設けられ前記ステータを保持する筒状のハウジングと、一端に各前記コイルを接続して軸方向に延びるバスバー接続部を他端に有した複数のバスバーと、前記バスバー接続部に軸方向に直交する第1方向に対向して接続されるターミナル接続部を一端に形成した複数のターミナルピンと、複数の前記ターミナルピンを保持するとともに前記開口部に取り付けられるターミナルサポートと、を備えたモータの製造方法において、
前記バスバーを接続した前記ステータと前記ロータとを、前記ハウジング内に組み立てるモータユニット組立工程と、
前記ターミナルサポートに前記ターミナルピンを取り付けるターミナルユニット組立工程と、
前記ターミナルサポートを前記ハウジングに取り付けて、前記バスバー接続部と前記ターミナル接続部とを接続する接続工程と、を含み、
前記ターミナルサポートが前記挿通穴に挿入される突出部を有するとともに、前記突出部及び前記挿通穴の一方が、他方に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の挿入端側に位置する案内部とを有し、
前記接続工程において、前記突出部の先端を前記挿通穴に挿入した際に、前記バスバー接続部に対して前記ターミナル接続部が軸方向に直交する方向に所定距離離れて配置され、
前記案内部が前記突出部または前記挿通穴と接触することによって前記ターミナル接続部が前記バスバー接続部に前記第1方向の反対方向に接近し、前記ターミナル接続部が前記バスバー接続部に対向した後に前記嵌合部が前記突出部または前記挿通穴に嵌合する、
モータの製造方法。
【請求項11】
前記案内部の前記第1方向側の側面が、前記挿通穴の開口端から離れるにつれて前記第1方向の反対方向に傾斜する請求項10に記載のモータの製造方法。
【請求項12】
前記嵌合部及び前記案内部が前記突出部に設けられるとともに、前記突出部が前記案内部の先端に突出して前記嵌合部よりも細い柱状部を有し、
前記柱状部の前記第1方向側の側面が軸方向に平行または前記案内部よりも軸方向に対する傾斜角の小さい傾斜面に形成される請求項10または請求項11に記載のモータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ及びモータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの中には、軸方向の一端に開口部を開口する筒状のハウジング内に、回転軸を有するロータと、ステータとを収容するものがある(例えば、特許文献1に開示)。ロータはマグネットを含み、軸方向に延びるシャフトの軸回りを囲む。ステータは複数のコイルを有し、ロータの径方向外側に配されてロータと対向する。
【0003】
各コイルから延びる各リード線の一端は軸方向に延びて形成される。各リード線は端子モジュールに設けた複数の端子部材にそれぞれ接続され、各端子部材は端子台に保持される複数の導体(ターミナルピン)にそれぞれ接触する。導体がハウジングの外部に延出して外部電源等に接続される。
【0004】
ここで、端子モジュールに設けた各端子部材は軸方向の端面を開口した筒状に形成される。端子モジュールをハウジング内に軸方向に挿入することにより、各リード線の先端が各端子部材に嵌合して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−109742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたモータでは、端子モジュールがハウジングに取り付けられる際に、端子部材とリード線の先端とが軸方向に干渉し、端子モジュールを所定位置に取り付け難くなるおそれがある。したがって、モータの組立工数が大きくなる問題があった。
【0007】
そこで、本開示は、組立工数を削減できるモータ及びモータの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の例示的なモータは、回転軸を有するロータと、複数のコイルを有し、前記ロータに対向するステータと、軸方向の一端に開口部を開口し、前記ステータを保持する筒状のハウジングと、軸方向に延びるバスバー接続部を一端に有し、他端を各前記コイルに接続する複数のバスバーと、前記バスバー接続部に軸方向に直交する第1方向に対向して接続されるターミナル接続部を一端に有する複数のターミナルピンと、複数の前記ターミナルピンを保持するとともに前記開口部に取り付けられるターミナルサポートと、を備え、前記ハウジングは、軸方向一端側に向かって開口する挿通穴を有し、前記ターミナルサポートは前記挿通穴に挿入される突出部を有し、前記突出部及び前記挿通穴の一方が、他方に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の挿入端側に位置する案内部と、を有し、前記案内部において、前記第1方向側の側面が、前記挿通穴の開口端から離れるにつれて前記第1方向の反対方向に傾斜する。
【0009】
また、本開示の例示的なモータの製造方法は、回転軸を有するロータと、複数のコイルを有して前記ロータに対向するステータと、軸方向の一端に開口部を開口し軸方向一端側に向かって開口する挿通穴が設けられ前記ステータを保持する筒状のハウジングと、一端に各前記コイルを接続して軸方向に延びるバスバー接続部を他端に有した複数のバスバーと、前記バスバー接続部に軸方向に直交する第1方向に対向して接続されるターミナル接続部を一端に形成した複数のターミナルピンと、複数の前記ターミナルピンを保持するとともに前記開口部に取り付けられるターミナルサポートと、を備えたモータの製造方法において、前記バスバーを接続した前記ステータと前記ロータとを、前記ハウジング内に組み立てるモータユニット組立工程と、前記ターミナルサポートに前記ターミナルピンを取り付けるターミナルユニット組立工程と、前記ターミナルサポートを前記ハウジングに取り付けて、前記バスバー接続部と前記ターミナル接続部とを接続する接続工程と、を含み、前記ターミナルサポートが前記挿通穴に挿入される突出部を有するとともに、前記突出部及び前記挿通穴の一方が、他方に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の挿入端側に位置する案内部とを有し、前記接続工程において、前記突出部の先端を前記挿通穴に挿入した際に、前記バスバー接続部に対して前記ターミナル接続部が軸方向に直交する方向に所定距離離れて配置され、前記案内部が前記突出部または前記挿通穴と接触することによって前記ターミナル接続部が前記バスバー接続部に前記第1方向の反対方向に接近し、前記ターミナル接続部が前記バスバー接続部に対向した後に前記嵌合部が前記突出部または前記挿通穴に嵌合する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の例示的な実施形態によると、組立時にターミナル接続部とバスバー接続部との干渉を防止してターミナルサポートを所定位置に取り付けることができ、組立工数を削減できるモータ及びモータの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、例示的な実施形態に係るモータの上面図である。
図2図2は、図1のA−A線断面図である。
図3図3は、例示的な実施形態に係るモータの分解斜視図である。
図4図4は、例示的な実施形態に係るモータの上面図である。
図5図5は、例示的な実施形態に係るモータの突出部の側面断面図である。
図6図6は、例示的な実施形態に係るモータの突出部の下面図である。
図7図7は、例示的な実施形態に係るバスバー接続部とターミナル接続部との接続工程を示す説明図である。
図8図8は、例示的な実施形態に係るバスバー接続部とターミナル接続部との接続工程を示す説明図である。
図9図9は、例示的な実施形態に係るバスバー接続部とターミナル接続部との接続工程を示す説明図である。
図10図10は、例示的な実施形態に係る案内部及び突出部の変形例を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図2に示すモータ1の中心軸Cの延びる方向を単に「軸方向」と呼び、モータ1の中心軸Cを中心とする径方向及び周方向を単に「径方向」及び「周方向」と呼ぶ。また、図4のモータ1の軸方向からの平面視においてバスバー接続部41aの先端が延びる方向を「前後方向」とし、複数のバスバー接続部41aが並設される方向を「左右方向」と呼ぶ。「軸方向」、「前後方向」及び「左右方向」は互いに直交する。図4において、「左右方向」は中心軸Cからターミナルピン31を視た時に左側をX1方向、右側をX2方向とする。また、「前後方向」は中心軸Cからターミナルピン31を視た時に前方側をY1方向、後方側をY2方向とする。「軸方向」は図4の紙面に対して表面上方に垂直な方向をZ1方向、表面下方に垂直な方向をZ2方向とする。なお、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。
【0013】
<1.モータの構成>
本開示の例示的な実施形態におけるモータについて説明する。図1は、本開示の実施形態に係るモータ1の上面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3および図4は、本発明の実施形態に係るモータ1の分解斜視図及び上面図であり、カバー11及びロータ21を除いた状態を示す。モータ1は、ハウジング10、カバー11、ロータ21、ステータ22、バスバーユニット40、ターミナルユニット39を備える。
【0014】
ハウジング10は、上面に円形の開口部12aを開口する有底円筒状の収納部12を有する。ハウジング10には、開口部12aの周縁から径方向に延びる延設部13が形成される。
【0015】
延設部13の上面には、下方に凹んだ第1凹部14及び第2凹部15が形成される。第1凹部14は、周方向に等間隔で複数設けられる。本実施形態では、第1凹部14は、3箇所に設けられる。第2凹部15は、隣接する第1凹部14の間に、1箇所設けられる。第2凹部15は、隣接する第1凹部14に連設される。第2凹部15の底面は、第1凹部14の底面より下方に位置する。各第1凹部14の底面には、ネジ孔14aが各々設けられる。第2凹部15の底面の2箇所には、軸方向の一端側(Z1方向側)に向かって開口する挿通穴15aが設けられる。
【0016】
開口部12aは、上方からカバー11により覆われる。カバー11の外周部には、貫通孔11aが3箇所設けられる。貫通孔11aとネジ孔14aが一致するようにカバー11は配置される。貫通孔11aを挿通したネジ70を、ネジ孔14aに螺合してネジ止めする。これにより、カバー11とハウジング10とが、固定される。
【0017】
収納部12には、ステータ22とロータ21とが収容される。ステータ22は、略円筒状の外周面を有する。ステータ22は、収納部12の内側に固定される。ステータ22の径方向内側には、ロータ21が、ステータ22の内周面と、僅かな隙間を隔てて配置される。ロータ21は、中心軸Cに沿って延びた回転軸を形成する柱状のシャフト20と、シャフト20の周囲に配置される複数のマグネット(不図示)とを有する。
【0018】
シャフト20は、ベアリング23を介してハウジング10に支持される。シャフト20は、ベアリング24を介してカバー11に支持される。より詳細には、シャフト20の先端側は、ベアリング23を介して、ハウジング10の底部10aに支持される。シャフト20の基端側は、ベアリング24を介して、カバー11に支持される。シャフト20は、ベアリング23およびベアリング24により、ハウジング10およびカバー11に対して回転可能に支持される。
【0019】
ステータ22は、コア25、インシュレータ26及びコイル27を備える。コア25は積層鋼板から構成される。コア25は、複数のティースを備える。コイル27は、インシュレータ26を介してコア25の各ティースに導線が巻回されことにより、形成される。
【0020】
ステータ22の上部には、環状のバスバーユニット40が取り付けられる。バスバーユニット40は、U相、V相、W相の3相に対応する3本のバスバー41を2組保持する。各バスバー41の一端には、コイル27の端部が接続される。
【0021】
各バスバー41の他端には、バスバー接続部41aが形成される。バスバー接続部41aは、後述するターミナル接続部31aに接続される。各バスバー接続部41aは、軸方向上側(Z1方向)に延び、複数回屈曲して先端がY1方向に沿って形成される。隣接するバスバー接続部41aは、左右方向(X1−X2方向)に並設され、隣接するバスバー接続部41aの接続面同士が平行になる。バスバー41は、帯板状の導電性部材である。バスバー41は、例えば、銅板等に対して切断、屈曲等の加工が行われることにより、所定の形状に形成される。
【0022】
ターミナルユニット39は、ターミナルサポート30及び複数のターミナルピン31により構成される。ターミナルサポート30は、U相、V相、W相の3相に対応する3本のターミナルピン31を2組保持する。ターミナルサポート30は、絶縁部材により形成される。ターミナルサポート30は、ターミナルピン31を互いに絶縁した状態で保持する。
【0023】
ターミナルピン31は、帯状の金属板により形成される。ターミナルピン31の一端には、前後方向(Y1−Y2方向)に延びるターミナル接続部31aが設けられる。ターミナルピン31の他端は、軸方向(Z1−Z2方向)に延び、カバー11の上方に突出する。ターミナル接続部31aは、バスバー接続部41aに対応する位置に左右方向(X1−X2方向)に並設される。各ターミナル接続部31aの接続面は、互いに平行に配置される。
【0024】
ターミナル接続部31aの接続面の軸方向(Z1−Z2方向)の長さは、バスバー接続部41aの接続面より大きい。このため、バスバー接続部41aとターミナル接続部31aとを接続する際、バスバー接続部41aとターミナル接続部31aとが接触する面積を大きくとることができる。その結果、バスバー接続部41aとターミナル接続部31aとの接触不良を防止することができる。
【0025】
なお、ターミナルピン31は屈曲され、ターミナルサポート30に形成された溝部(不図示)に差し込まれることにより、ターミナルユニット39が組み立てられる。ただし、ターミナルピン31とターミナルサポートとを、インサート成型により形成してもよい。
【0026】
ターミナルサポート30は、各ターミナルピン31を保持する直方体状の本体部30aと、本体部30aから延びる腕部32と、を有する。腕部32は、本体部30aのターミナルピン31が並ぶ方向(X1−X2方向)の端部に夫々設けられる。腕部32は、ターミナル接続部31aと同じ方向(Y2方向)に、延びる。腕部32の先端には、軸方向下側(Z2方向)に突出する突出部33が、形成される。本体部30aには、左右方向の両端の突出部33間にカバー部30bが設けられる。
【0027】
突出部33が挿通穴15aに挿入されることにより、ターミナルサポート30は第2凹部15の所定位置に位置決めされ、取り付けられる。これにより、ターミナル接続部31aが、バスバー接続部41aに、当接して電気的に接続される。なお、各ターミナル接続部31aは、各バスバー接続部41aに軸方向に直交するX1方向(第1方向)に対向して、接続される。例えば、各ターミナル接続部31aと各バスバー接続部41aとは、溶接により、接続される。
【0028】
このとき、本体部30aの左右方向の中央部のカバー部30bは、ステータ22に軸方向(Z1−Z2方向)に重なる。このため、ターミナルユニット39がステータ22に近接して取り付けられ、モータ1を小型化することできる。
【0029】
腕部32は、ターミナルサポート30と樹脂成形により一体に形成されており、弾性を有する。このため、突出部33が挿通穴15aに挿入されるときに、腕部32によりターミナルサポート30を左右方向(X1−X2方向)に付勢してターミナル接続部31aをバスバー接続部41aに押圧させることができる。これにより、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとを、確実に接続して接触不良を防止することができる。
【0030】
ターミナルサポート30を第2凹部15に載置した状態で上方からカバー11により開口部12aを覆い、カバー11をネジ70でハウジング10にネジ止めする。これにより、ターミナルサポート30は、カバー11とハウジング10との間に挟持された状態で、固定される。
【0031】
このとき、ターミナルピン31は、カバー11の径方向外側から上方に突出し、ハウジング10の外部に延出する。これにより、モータ1は、ターミナルピン31を介して、外部機器(インバータなど)に接続可能となる。
【0032】
<2.突出部の形状>
図5および図6は、本開示の例示的な実施形態に係る突出部33の側面図及び下面図である。図5および図6は、図3中のX1方向側の端部に配された突出部33を示す。突出部33は、ターミナルサポート30とともに一体成形され、腕部32から下方に突出する。突出部33は、嵌合部34と、案内部35と、柱状部36と、を備える。
【0033】
嵌合部34は、略円柱状に形成される。軸方向(Z1−Z2方向)に平行に挿入方向に延びる複数のリブ37が、嵌合部34の周面に設けられる。突出部33が挿通穴15aに挿入されるときに、嵌合部34は、リブ37を介して挿通穴15aに嵌合する。
【0034】
案内部35は、嵌合部34の挿入端側(Z2方向側)に位置する。案内部35の先端の柱状部36は、嵌合部34に対してX2方向に偏心する。案内部35は、X1方向(第1方向)側の側面に傾斜面(点P2〜点P3)を有する。突出部33が挿通穴15aに挿入された状態において、案内部35の傾斜面(点P2〜点P3)は、挿通穴15aの開口端から離れるにつれてX2方向(第1方向の反対方向)に傾斜する(図9参照)。
【0035】
柱状部36は、円柱状に形成される。柱状部36は、案内部35の先端に突出する。柱状部36は、嵌合部34よりも細い。柱状部36の周面は、軸方向に平行に形成される。柱状部36の先端には、面取りが施され、面取り部38が形成される。
【0036】
<3.製造工程>
モータ1の製造方法はモータユニット組立工程と、ターミナルユニット組立工程と、接続工程とを含む。
【0037】
モータユニット組立工程では、バスバー41を接続したステータ22とロータ21とが、ハウジング10内に組み立てられる。ターミナルユニット組立工程では、ターミナルサポート30にターミナルピン31が取り付けられる。
【0038】
接続工程では、ターミナルサポート30がハウジング10に取り付けられて、バスバー接続部41aとターミナル接続部31aとが接続される。図7図9は、本開示の例示的な実施形態に係るバスバー接続部41aとターミナル接続部31aとの接続工程を示す説明図であり、図3中のX1方向側の端部を示す。
【0039】
接続工程では、ターミナルサポート30の突出部33がハウジング10の挿通穴15aに挿入されて、ターミナルサポート30が位置決めされる。この時、図7に示すように、嵌合部34を挿通穴15aから僅かに左方向(X1方向)にずらした位置にターミナルサポート30が配置され、突出部33の挿入が開始される。このとき、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとの間には、バスバー接続部41aの法線方向(X1−X2方向)に、隙間が形成される。
【0040】
次に、ターミナルサポート30が軸方向の下方(Z2方向)に押し込まれると、図8に示すように、案内部35の傾斜面(点P2〜点P3、図5参照)が挿通穴15aの開口端上を摺動する。これにより、ターミナル接続部31aは、下方(Z2方向)に移動しながら右方(X2方向)に移動して、バスバー接続部41aに近づけられる。なお、図7および図8に示すように、バスバー接続部41aのターミナル接続部31aに対向する面(X1方向側の面)には、ターミナル接続部31aに向かう方向(X1方向)に突出するバスバー凸部41bが設けられる。
【0041】
次に、ターミナルサポート30が軸方向の下方(Z2方向)にさらに押し込まれると、図9に示すように、嵌合部34が挿通穴15aに嵌合して、ターミナルサポート30が第2凹部15に取り付けられる。このとき、ターミナル接続部31aは、バスバー接続部41aに接触する。ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとは、溶接される。このとき、バスバー接続部41aにバスバー凸部41bが設けられることにより、バスバー接続部41aとターミナル接続部31aとの間で軸方向に対して相対的に傾いていたとしても、溶接の条件を一定とすることができる。すなわち、バスバー接続部41aとターミナル接続部31aとが接触する面積は、常にバスバー凸部41bの先端の面積とほぼ等しくなる。そのため、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとを、強固に接続できる。
【0042】
これにより、嵌合部34が挿通穴15aに嵌合するまで、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとは左右方向(X1−X2方向)に離れて配置される。これにより、ターミナルサポート30の取り付け時に、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとの干渉を防止することができる。
【0043】
また、図9の状態において、バスバー接続部41aの上端(Z1方向側の先端)からターミナル接続部31aの下端(Z2方向側の先端)までの挿入方向(Z1−Z2方向)の長さよりも、嵌合部34の嵌合する長さが、短い。これにより、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aに対向して配置された後に、嵌合部34が挿通穴15aに嵌合する。したがって、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとの干渉を確実に防止することができる。さらに、バスバー接続部41aのバスバー凸部41bの上端(Z1方向側の先端)からターミナル接続部31aの下端(Z2方向側の先端)までの挿入方向(Z1−Z2方向)の長さよりも、嵌合部34の嵌合する長さが、短い。これにより、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aのバスバー凸部41bに対向して配置された後に、嵌合部34が挿通穴15aに嵌合する。これにより、ターミナル接続部31aの下端がバスバー凸部41bに引っ掛かることが防止される。
【0044】
なお、図5図9では図3中のX1方向側の端部に配置された突出部33を示すが、X2方向側の端部に配置された突出部33も同様の形状を有している。すなわち、左右の突出部33は、軸方向下方(Z2方向)に移動し、案内部35によりX2方向に案内される。突出部33及び挿通穴15aを複数設けることにより、ターミナルサポート30を安定してハウジング10に取り付けることができる。
【0045】
本実施形態では、ターミナル接続部31aが、バスバー接続部41aに軸方向に直交するX1方向(第1方向)に対向して接続される。ターミナルサポート30の突出部33は、挿通穴15aに嵌合する嵌合部34の挿入端側に、案内部35を有する。案内部35のX1方向側の側面は、挿通穴15aの開口端から離れるにつれてX2方向に傾斜する。
【0046】
このため、接続工程において、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aからX1方向に離れた位置で、突出部33が挿通穴15aに挿入される。突出部33が下方に押し込まれると、ターミナル接続部31aは軸方向下方(Z2方向)に移動し、案内部35が挿通穴15aと接触してターミナル接続部31aがX2方向にスライドし、ターミナル接続部31aはバスバー接続部41aに接近する。そして、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aに対向した後に、嵌合部34が挿通穴15aに嵌合し、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aに接触する。
【0047】
したがって、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとの干渉を防止してターミナルサポート30を所定位置に取り付けることができ、モータ1の組立工数を削減することができる。
【0048】
バスバー接続部41aの上端(Z1方向側の先端)からターミナル接続部31aの下端(Z2方向側の先端)までの挿入方向(Z1−Z2方向)の長さよりも、嵌合部34の嵌合する長さが、短い。これにより、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aに対向して配置された後に、嵌合部34が挿通穴15aに嵌合する。したがって、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとの干渉を確実に防止することができる。
【0049】
案内部35の先端は、嵌合部34に対してX2方向に偏心する。これにより、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aからX1方向に離れた状態で、突出部33を挿通穴15aに挿入することができる。
【0050】
嵌合部34の側面は、挿入方向に延びる複数のリブ37を有する。そのため、嵌合部34を、挿通穴15aに容易に圧入することができる。したがって、ターミナルサポート30を所定位置に確実に位置決めすることができる。
【0051】
突出部33及び挿通穴15aは、複数設けられる。そのため、ターミナルサポート30を安定してハウジング10に取り付けることができる。
【0052】
ターミナルサポート30は、複数のターミナルピン31が並ぶ方向の端部に2つの突出部33を有する。ターミナルサポート30は、2つの突出部33の間に、ステータ22に対して軸方向(Z1−Z2方向)に重なるカバー部30bを、有する。これにより、ターミナルユニット39がステータ22に近接して取り付けられ、モータ1を小型化することできる。
【0053】
ターミナルサポート30が本体部30aからターミナル接続部31aと同じ方向(Y1−Y2方向)に延びる腕部32を有する。腕部32の先端に、突出部33が位置する。このため、腕部32により、挿通穴15aに対して本体部30aを離れて配置することができる。これにより、ターミナルサポート30の取り付け位置の設計自由度が向上する。
【0054】
腕部32が弾性を有し、腕部32によってX2方向に付勢されることにより、ターミナル接続部31aがバスバー接続部41aに押圧される。これにより、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとを確実に接続して接触不良を防止することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、柱状部36及び挿通穴15aを軸方向(Z1−Z2方向)に長く形成してもよい。この時、柱状部36は、円柱状に形成される。柱状部36のX1方向(第1方向)側の側面(点P1〜点P2)は、軸方向に平行に形成される。このため、案内部35が挿通穴15aに挿入されるまで、ターミナルサポート30が軸方向に平行移動する。これにより、ターミナル接続部31aとバスバー接続部41aとの干渉を確実に防止できる。なお、柱状部36のX1方向(第1方向)側の側面(点P1〜点P2)は、案内部35の傾斜面(点P2〜点P3)よりも軸方向(Z1−Z2方向)に対する傾斜角が小さい傾斜面に、形成されてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ターミナルサポート30がU相、V相、W相の3相に対応する3本のターミナルピン31を2組保持する。しかしながら、ターミナルサポート30がU相、V相、W相の3相に対応する3本のターミナルピン31を、1組保持してもよい。この場合、対応するバスバーユニット40も、U相、V相、W相の3相に対応する3本のバスバー41を1組設ければよい。
【0057】
図10は、本開示の例示的な実施形態に係る案内部及び突出部の変形例を示す側面断面図である。上記実施形態では、突出部33が挿通穴15aに嵌合する嵌合部34及び案内部35を備えている。しかしながら、挿通穴15aが、突出部33に嵌合する嵌合部134及び案内部135を備えてもよい。この時、突起部33は、円柱状に形成される。突起部33は、挿通穴15aの嵌合部134と、嵌合する。案内部135は、X1方向(第1方向)側の側面が挿通穴15aの開口端から離れるにつれてX2方向(第1方向の反対方向)に傾斜するように、形成されていればよい。
【0058】
以上に示した実施形態や変形例は、本開示の例示にすぎない。実施形態や変形例の構成は、本開示の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態や複数の変形例は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0059】
また、モータ1の細部の構成については、上記の実施形態や変形例と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示の実施形態は、例えば自動車等の車両のハンドル操作の補助に用いられる電動式パワーステアリング装置に利用できる。本開示の実施形態モータを備えるパワーステアリング装置においては、組立効率の向上を実現できる。
本開示の実施形態は、掃除機、ドライヤ、シーリングファン、洗濯機、冷蔵庫および電動パワーステアリング装置などの、各種モータを備える多様な機器に幅広く利用され得る。
【符号の説明】
【0061】
1・・・モータ、10・・・ハウジング、10a・・・底部、11・・・カバー、12・・・収容部、12a・・・開口部、13・・・延設部、14・・・第1凹部、14a・・・ネジ孔、15・・・第2凹部、15a・・・挿通穴20・・・シャフト、21・・・ロータ、22・・・ステータ、23、24・・・ベアリング、25・・・コア、26・・・インシュレータ、27・・・コイル、30・・・ターミナルサポート、30a・・・本体部、30b・・・カバー部、31・・・ターミナルピン、31a・・・ターミナル接続部、32・・・腕部、33・・・突出部、34・・・嵌合部、35・・・案内部、36・・・柱状部、37・・・リブ、38・・・面取り部、39・・・ターミナルユニット、40・・・バスバーユニット、41・・・バスバー、41a・・・バスバー接続部、41b・・・バスバー凸部、70・・・ネジ、C・・・中心軸、P1〜P3・・・点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10