特許第6856090号(P6856090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856090
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】機器管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20210329BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20210329BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20210329BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20210329BHJP
【FI】
   G06F13/00 357A
   F24F11/54
   F24F11/56
   F24F11/64
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-106805(P2019-106805)
(22)【出願日】2019年6月7日
(65)【公開番号】特開2020-201620(P2020-201620A)
(43)【公開日】2020年12月17日
【審査請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】文元 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】岡田 良平
(72)【発明者】
【氏名】野村 佳秀
【審査官】 木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−323211(JP,A)
【文献】 特開2009−224852(JP,A)
【文献】 特開2014−194309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
F24F 11/54
F24F 11/56
F24F 11/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象となる機器である、空気調和機の室外機(11)及び/又は室内機(12)、を管理する機器管理システムであって、
前記機器のデータを、前記機器に対して前記機器の要素部品に関する情報を紐づけた階層構造の機器データモデルとして記憶する記憶部(41)と、
外部プログラムからの処理要求に応じて、前記機器データモデルとして前記記憶部に記憶されている前記データの読み取り又は書き換えを行う処理部(43)と、
を備えた、機器管理システム(1)。
【請求項2】
前記機器データモデルは、前記機器に対して紐づけられる階層として、前記機器の要素部品に関する情報に基づく要素部品エンティティ、前記機器の機能に関する情報に基づく機能エンティティ、及び、前記機器の仕様に関する情報に基づく仕様エンティティ、の少なくとも1つを有している、
請求項1に記載の機器管理システム。
【請求項3】
前記機器データモデルは、前記機器に対して紐づけられる階層として、前記要素部品エンティティを有しており、
前記要素部品エンティティは、前記要素部品ごとに、前記要素部品の状態に関する情報、及び、前記要素部品の制御に関する情報、の少なくとも1つを紐づけている、
請求項2に記載の機器管理システム。
【請求項4】
前記機器が複数の前記要素部品の制御に共通して使用されるセンサを有している場合に、前記要素部品エンティティは、前記センサに関する情報を前記要素部品に紐づけるのではなく、前記センサを有する独立した要素部品とする、
請求項3に記載の機器管理システム。
【請求項5】
前記要素部品エンティティは、前記要素部品ごとに、前記要素部品間の関係を示す情報を紐付けている、
請求項3又は4に記載の機器管理システム。
【請求項6】
前記機器データモデルは、前記機器に対して紐づけられる階層として、前記機能エンティティを有しており、
前記機能エンティティは、前記機器の操作に関する情報、前記機器の制御に関する情報、及び、前記機器によって計測される環境情報に関する情報、の少なくとも1つを紐づけている、
請求項2に記載の機器管理システム。
【請求項7】
前記機能エンティティは、前記機器の操作に関する情報を、前記機器の種類を問わず、いずれも同じ階層レベルとする、
請求項6に記載の機器管理システム。
【請求項8】
前記機器データモデルは、前記機器に対して紐づけられる階層として、前記仕様エンティティを有しており、
前記仕様エンティティは、前記機器の固有情報に関する情報、前記機器の識別情報に関する情報、及び、前記機器の施工情報に関する情報、の少なくとも1つを紐づけている、
請求項2に記載の機器管理システム。
【請求項9】
前記機器データモデルは、前記機器のデータのそれぞれに対してデータ種別を定義しており、
前記データ種別として、読み取り可能な状態値、及び、書き換え可能な設定値があり、
前記処理部は、前記外部プログラムからの前記処理要求によって、前記データ種別として前記状態値だけを有する前記データの書き換えを行う場合に、前記データの書き換えが誤りであることを示す情報を、前記外部プログラムに対して送信する、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の機器管理システム。
【請求項10】
前記機器データモデルは、前記機器のデータのそれぞれに対してデータ種別を定義しており、
前記データ種別として、読み取り可能な状態値、及び、書き換え可能な設定値があり、
前記処理部は、
前記外部プログラムからの前記処理要求によって、前記データ種別として前記状態値及び前記設定値を有する前記データの前記設定値の書き換えを行った場合に、前記機器に対して書き換えられた前記設定値を送信し、
前記機器に対して前記設定値を送信してから所定時間内に前記機器から前記設定値に対応する前記状態値を受信しない場合に、前記機器が前記設定値どおりに動作しなかったことを示す情報を、前記外部プログラムに対して送信する、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の機器管理システム。
【請求項11】
前記機器データモデルは、前記機器のデータのそれぞれに対して属性情報を定義しており、
前記処理部は、前記外部プログラムから前記処理要求がなされた場合に、前記処理要求がなされた前記データの前記属性情報が前記処理要求に適合するか否かの情報を、前記外部プログラムに対して送信する、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の機器管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
機器を管理する機器管理システム
【背景技術】
【0002】
従来より、空調機を構成する室外機や室内機等の機器を管理する機器管理システムがある。例えば、特許文献1(特許第6160789号)に示される機器管理システムは、通信ネットワークを介して機器に接続される管理装置を有している。管理装置には、機器の監視や操作に関する処理要求を行う関与者端末が接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
管理装置は、管理対象となる機器から種々のデータを取得して、機器データモデルとして記憶している。機器データモデルは、機器の直下にすべてのデータが同列に配置された構造を有している。関与者端末は、管理装置に機器の監視や操作に関する処理要求を行うプログラムを有している。関与者端末においてプログラムが実行されると、管理装置は、関与者端末(外部プログラム)からの処理要求に応じて、機器のデータを読み取る処理や書き換える処理を行う。これにより、機器管理システムは、機器の監視や操作を行うことができる。
【0004】
しかし、機器管理システムで取り扱う機器データモデルは、上記のように、機器のデータを機器の直下にすべてのデータが同列に配置された構造である。このため、管理装置は、プログラムからの処理要求に応じてデータにアクセスする際に、すべてのデータを検索対象としなければならず、所望のデータへのアクセスに時間がかかってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点にかかる機器管理システムは、管理対象となる機器を管理する機器管理システムであって、記憶部と、処理部と、を有している。記憶部は、機器のデータを、機器に対して機器の要素部品、機能及び仕様に関する情報の少なくとも1つを紐づけた階層構造の機器データモデルとして記憶する。処理部は、外部プログラムからの処理要求に応じて、機器データモデルとして記憶部に記憶されているデータの読み取り又は書き換えを行う。
【0006】
第1の観点にかかる機器管理システムは、機器データモデルとして、上記のような階層構造を採用しているため、外部プログラムからの処理要求に応じてデータにアクセスする際に、所望のデータへのアクセスを早くできる。
【0007】
第2の観点にかかる機器管理システムは、第1の観点にかかる機器管理システムにおいて、機器データモデルが、機器に対して紐づけられる階層として、要素部品エンティティ、機能エンティティ、及び、仕様エンティティ、の少なくとも1つを有している。要素部品エンティティは、機器の要素部品に関する情報に基づくエンティティである。機能エンティティは、機器の機能に関する情報に基づくエンティティである。仕様エンティティは、機器の仕様に関する情報に基づくエンティティである。
【0008】
第3の観点にかかる機器管理システムは、第2の観点にかかる機器管理システムにおいて、機器データモデルが、機器に対して紐づけられる階層として、要素部品エンティティを有している。要素部品エンティティは、要素部品ごとに、要素部品の状態に関する情報、及び、要素部品の制御に関する情報、の少なくとも1つを紐づけている。
【0009】
第4の観点にかかる機器管理システムは、第3の観点にかかる機器管理システムにおいて、機器が複数の要素部品の制御に共通して使用されるセンサを有している場合に、センサを有する独立した要素部品として扱う。言い換えれば、要素部品エンティティは、センサに関する情報を要素部品に紐づけるのではなく、センサを有する独立した別の要素部品を定義する。
【0010】
第5の観点にかかる機器管理システムは、第3又は第4の観点にかかる機器管理システムにおいて、要素部品エンティティが、要素部品ごとに、要素部品間の関係を示す情報を紐付けている。
【0011】
第6の観点にかかる機器管理システムは、第2の観点にかかる機器管理システムにおいて、機器データモデルが、機器に対して紐づけられる階層として、機能エンティティを有している。機能エンティティは、機器の操作に関する情報、機器の制御に関する情報、及び、機器によって計測される環境情報に関する情報、の少なくとも1つを紐づけている。
【0012】
第7の観点にかかる機器管理システムは、第6の観点にかかる機器管理システムにおいて、機能エンティティが、機器の操作に関する情報を、機器の種類を問わず、いずれも同じ階層レベルとする。
【0013】
第8の観点にかかる機器管理システムは、第2の観点にかかる機器管理システムにおいて、機器データモデルが、機器に対して紐づけられる階層として、仕様エンティティを有している。仕様エンティティは、機器の固有情報に関する情報、機器の識別情報に関する情報、及び、機器の施工情報に関する情報、の少なくとも1つを紐づけている。
【0014】
第9の観点にかかる機器管理システムは、第1〜第8の観点のいずれかにかかる機器管理システムにおいて、機器データモデルが、機器のデータのそれぞれに対してデータ種別を定義している。データ種別としては、読み取り可能な状態値、及び、書き換え可能な設定値がある。処理部は、外部プログラムからの処理要求によって、データ種別として状態値だけを有するデータの書き換えを行う場合に、データの書き換えが誤りであることを示す情報を、外部プログラムに対して送信する。
【0015】
第9の観点にかかる機器管理システムは、外部プログラムからの処理要求にデータ種別上の誤りがあることを、外部プログラムに知らせることができる。
【0016】
第10の観点にかかる機器管理システムは、第1〜第8の観点のいずれかにかかる機器管理システムにおいて、機器データモデルが、機器のデータのそれぞれに対してデータ種別を定義している。データ種別としては、読み取り可能な状態値、及び、書き換え可能な設定値がある。処理部は、外部プログラムからの処理要求によって、データ種別として状態値及び設定値を有するデータの設定値の書き換えを行った場合に、機器に対して書き換えられた設定値を送信する。処理部は、機器に対して設定値を送信してから所定時間内に機器から設定値に対応する状態値を受信しない場合に、機器が前記設定値どおりに動作しなかったことを示す情報を、外部プログラムに対して送信する。
【0017】
第10の観点にかかる機器管理システムは、機器が前記設定値どおりに動作しなかったことを、外部プログラムに知らせることができる。
【0018】
第11の観点にかかる機器管理システムは、第1〜第10の観点のいずれかにかかる機器管理システムにおいて、機器データモデルが、機器のデータのそれぞれに対して属性情報を定義している。処理部は、外部プログラムから処理要求がなされた場合に、処理要求がなされたデータの属性情報が処理要求に適合するか否かの情報を、外部プログラムに対して送信する。
【0019】
第11の観点にかかる機器管理システムは、外部プログラムからの処理要求とデータの属性情報との適否について、外部プログラムに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】機器管理システムの構成を示す模式図である。
図2】空気調和機の構成を示す模式図である。
図3】機器管理システムを構成する各装置の機能ブロックを示す模式図である。
図4】機器管理システムで取り扱う機器データモデルの構造(室外機用)を示す模式図である。
図5】機器管理システムで取り扱う機器データモデルの構造(室内機用)を示す模式図である。
図6】室外熱交換器及び室内熱交換器周辺のセンサを示す模式図である。
図7】圧縮機周辺のセンサを示す模式図である。
図8】機器のデータ(データ種別及び属性情報を含む)の具体例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)全体構成
図1は、機器管理システム1の構成を示す模式図である。尚、以下の説明において、同様の機能を有する複数の装置について共通の説明をする場合は同一符号を付して説明する。同様の機能を有する複数の装置から一の装置を区別して説明する場合は、英小文字の添え字を付して説明する。例えば、室内機12a、12bは、同様の機能を有する装置であるため、説明が共通する場合は、添え字a、bを省略して室内機12と表記する。
【0022】
機器管理システム1は、管理装置40で複数の機器を管理するシステムである。ここでは、管理装置40は、中央管理センタ3に設置されている。管理装置40は、インターネット等の通信ネットワーク50に接続されている。中央管理センタ3の管轄エリア内には、複数の施設2(2a〜2c)が存在している。施設2は、例えば、オフィスビル、商業ビル、及びコンドミニアムである。そして、各施設2には、管理対象として、施設2内の冷房や暖房を行う1つ又は複数の空気調和機10が設置される。空気調和装置10は、室外機11と、1つ又は複数の室内機12(12a、12b)と、を有している。空気調和機10には、中継処理装置60が接続されている。中継処理装置60は、直接又はルータを介して通信ネットワーク50に接続されている。管理装置40は、通信ネットワーク50を介して、関与者端末70(70a〜70c)に接続される。機器管理システム1においては、管理装置40及び中継処理装置60が空気調和機10(室外機11及び室内機12)のデータを通信することで、空気調和機10の管理(監視や操作等)が行われる。具体的には、管理装置40は、関与者端末70からの処理要求に応じて、室外機11及び室内機12のデータを読み取る処理や書き換える処理を行う。管理装置40は、読み取ったデータを関与者端末70に送信したり、データを書き換えることによって室外機11及び室内機12に書き換えたデータを送信する。そして、関与者端末70は、管理装置40から受信したデータを使用して室外機11及び室内機12の監視を行う。また、関与者端末70は、自らの処理要求(指令)によって管理装置40において書き換えられたデータを室外機11及び室内機12に送信(指令)することによって、室外機11及び室内機12を操作する。このようにして、室外機11及び室内機12の管理(監視や操作等)が行われる。
【0023】
(2)管理対象となる機器
図2は、空気調和機10の構成を示す模式図である。
【0024】
機器管理システム1の管理対象である空気調和機10は、上記のように、室外機11と、1つ又は複数の室内機12と、を有している。室外機11は、例えば屋上や地下室等に設置されている。室内機12は、施設2の複数のフロアまたは複数の部屋等にそれぞれ分散して設置されている。
【0025】
室外機11は、圧縮機21、22、室外熱交換器23、室外ファン24、センサ25〜32、及び、室外機制御ユニット11X等を有している。室内機12a、12bはそれぞれ、室内熱交換器33、室内ファン34、センサ35〜39、及び、室内機制御ユニット12X(12Xa、12Xb)、等を有している。室外機11(室外機制御ユニット11X)と室内機12(室内機制御ユニット12X)とは、専用通信線を介して接続されている。センサ25〜32、35〜39の検出値等に基づいて、室外機制御ユニット11X及び室内機制御ユニット12Xが協働して空気調和機10の各部の動作を制御する。室外機制御ユニット11Xは、中継処理装置60との間で室外機11及び室内機12のデータの通信を行う。空気調和機10は、制御ユニット11X、12Xに対して、各室内機12に付属するリモコン等から入力される指令や、通信ネットワーク50、管理装置40及び中継処理装置60を介して関与者端末70から入力される指令に基づいて操作される。
【0026】
(3)機器管理システムの詳細構成
図3は、機器管理システム1を構成する各装置の機能ブロックを示す模式図である。
【0027】
<中継処理装置>
中継処理装置60は、室外機11の室外機制御ユニット11Xに接続することで、空気調和機10を制御する。中継処理装置60は、空気調和機10を制御するためのコンピュータであり、例えば、エッジと呼ばれるものである。中継処理装置60は、複数のコンピュータやデバイスがネットワークで接続されることで構成されてもよい。中継処理装置60は、中継記憶部61と、中継通信部62と、中継処理部63と、中継接続部64と、を有している。
【0028】
中継記憶部61は、各種情報を記憶するものであり、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ等により構成されている。例えば、中継記憶部61は、中継処理装置60の各種機能を実行するためのプログラムを記憶する。また、中継記憶部61は、管理対象となる機器(室外機11及び室内機12)のデータを機器データモデルとして記憶する。機器データモデルの詳細については後述する。
【0029】
中継通信部62は、通信ネットワーク50との通信を実行する。中継通信部62の機能により、中継処理装置60と管理装置40との間で、各種指令を含めた機器のデータの通信が行なわれる。
【0030】
中継処理部63は、各種処理を実行する。中継処理部63は、中継接続部64を介して、室外機11及び室内機12からデータを取得して、中継記憶部61に記憶させる。中継処理部63は、室外機11及び室内機12から取得したデータを、管理装置40に所定のタイミングで、中継通信部62に送信させる。また、中継処理部63は、管理装置40から受信した各種指令を、室外機11及び室内機12に所定のタイミングで、中継通信部62に送信させる。
【0031】
中継接続部64は、室外機制御ユニット11Xに接続するインタフェースである。中継処理装置60は、中継接続部64を介して、室外機制御ユニット11Xに各種指令の送信が可能になるとともに、室外機制御ユニット11Xからデータの取得が可能になる。
【0032】
<管理装置>
管理装置40は、中継処理装置60及び関与者端末70に通信ネットワーク50を介して接続することで、空気調和機10を管理する。管理装置40は、空気調和機10の管理を行うコンピュータであり、例えば、スーパーコンピュータ、ワークステーション、又は、パーソナルコンピュータ等である。また、管理装置40は、クラウドコンピューティングでもよい。管理装置40は、管理記憶部41と、管理通信部42と、管理処理部43と、管理入力部45と、管理出力部46と、を有している。
【0033】
管理記憶部41は、各種情報を記憶するものであり、ROM、RAM、及び/又はハードディスク等を含む。例えば、管理記憶部41は、管理装置40の各種機能を実行するためのプログラムを記憶する。また、管理記憶部41は、中継処理装置60の中継記憶部61と同様に、管理対象となる機器(室外機11及び室内機12)のデータを機器データモデルとして記憶する。
【0034】
管理通信部42は、中継処理装置60及び関与者端末70と通信するためのインタフェースである。具体的には、管理通信部42は、中継処理装置60との間で各種指令を含めた機器のデータの通信を行う。また、管理通信部42は、関与者端末70からの処理要求の受信及び処理要求に対する応答の送信を行う。
【0035】
管理処理部43は、管理装置40における各種情報処理を実行するものであり、CPU及びキャッシュメモリ等で構成される。管理処理部43は、中継処理装置60から取得する管理対象となる機器(室外機11及び室内機12)のデータを、管理記憶部41に記憶させる。管理処理部43は、関与者端末70からの処理要求に応じて、管理記憶部41に記憶されている機器(室外機11及び室内機12)のデータを読み取る処理や書き換える処理等を含む各種処理を実行する。管理処理部43は、各種処理の実行内容に応じて、関与者端末70に処理要求に対する応答を、管理通信部42に送信させる。また、管理処理部43は、各種処理の実行内容に応じて、中継処理装置60に各種指令を、管理通信部42に送信させる。
【0036】
管理入力部45は、管理装置40への情報の入力を行うためのインタフェースである。例えば、管理入力部45は、キーボード、マウス、及び/又はタッチスクリーン等により実現される。
【0037】
管理出力部46は、各種情報を出力するものであり、種々のディスプレイ及びスピーカ等により構成される。
【0038】
<関与者端末>
関与者端末70は、機器(室外機11及び室内機12)の管理に関与する端末であり、所有者、管理者及び/又は作業者等によって使用される。ここで、管理とは、機器(室外機11及び室内機12)のデータを管理装置40から受信して表示する監視と、機器(室外機11及び室内機12)に各種指令を行って所望の動作を実行させる操作と、を含んでいる。関与者端末70は、通信ネットワーク50を介して管理装置40に接続されている。関与者端末70は、関与者記憶部71と、関与者通信部72と、関与者処理部73と、関与者入力部75と、関与者出力部76と、を有している。
【0039】
関与者記憶部71は、各種情報を記憶するものであり、ROM、RAM、及び/又はハードディスク等を含む。例えば、関与者記憶部41は、各種情報処理を行うプログラム(外部プログラム)を記憶する。
【0040】
関与者通信部72は、管理装置40と通信するためのインタフェースである。具体的には、関与者通信部72は、管理装置40に対して処理要求の送信及び処理要求に対する応答の受信を行う。
【0041】
関与者処理部73は、関与者端末70における各種情報処理を実行するものであり、CPU及びキャッシュメモリ等で構成される。関与者処理部73は、関与者記憶部71に記憶されている各種情報処理を行うプログラムを実行する。関与者処理部73は、管理装置40に機器(室外機11及び室内機12)の管理に関するプログラムを実行した際に生成される処理要求を、関与者通信部72に送信させる。
【0042】
関与者入力部75は、関与者端末70への情報の入力を行うためのインタフェースである。例えば、関与者入力部75は、関与者記憶部71に記憶されているプログラムの実行指令等を受け付ける。
【0043】
関与者出力部76は、各種情報を出力するものであり、種々のディスプレイ及びスピーカ等により構成される。例えば、関与者出力部76は、関与者通信部76が受信した機器(室外機11及び室内機12)のデータを出力する。
【0044】
(4)機器データモデル
図4は、機器管理システム1で取り扱う機器データモデルの構造(室外機11用)を示す模式図である。図5は、機器管理システム1で取り扱う機器データモデルの構造(室内機12用)を示す模式図である。
【0045】
機器管理システム1は、管理対象となる機器(室外機11及び室内機12)のデータの機器データモデルとして、機器のデータを、機器に対して機器の要素部品、機能及び仕様に関する情報の少なくとも1つを紐づけた階層構造を採用している。この機器データモデルは、機器管理システム1において、管理装置40及び中継処理装置60と通信可能な機器ごと、言い換えれば、機器IDやアドレスが付与されている機器ごとに作成される。ここでは、室外機11、室内機12a、12bごとに機器データモデルが作成される。
【0046】
まず、室外機11の機器データモデルについて説明する。
【0047】
室外機11の機器データモデルは、室外機11に対して紐づけられる階層として、要素部品エンティティ、機能エンティティ、及び、仕様エンティティを有している。
【0048】
要素部品エンティティは、室外機11の要素部品21〜24等に関する情報に基づくエンティティである。要素部品エンティティは、要素部品21〜24等ごとに、要素部品21〜24の状態に関する情報(データ)、及び、要素部品の制御に関する情報(データ)、の少なくとも1つを紐づけている。ここでは、室外熱交換器23が室外熱交換器エンティティと定義され、室外ファン24が室外ファンエンティティと定義され、圧縮機21が圧縮機(1)エンティティと定義され、圧縮機22が圧縮機(2)エンティティと定義されている。
【0049】
室外熱交換器エンティティは、室外熱交換器23の状態に関するデータとして、「ガス管温度」、「液管温度」、及び、「ディアイサ温度」等を紐づけている。ここで、「ディアイサ温度」は、図6に示すように、室外熱交換器23に設けられている温度センサ30によって検出される温度である。このため、「ディアイサ温度」は、室外熱交換器エンティティに紐づけられる。一方、「ガス管温度」及び「液管温度」は、図6に示すように、室外熱交換器23ではなく、室外熱交換器23に接続される冷媒配管に設けられている温度センサ28、29によって検出される温度である。このため、「ガス管温度」及び「液管温度」は、当然に室外熱交換器エンティティに紐づけられるものではない。しかし、ここでは、室外熱交換器23に接続される冷媒配管に設けられている温度センサ28、29についても、温度センサ30と同様、室外熱交換器エンティティに紐づけられている。
【0050】
室外ファンエンティティは、室外ファン24の状態に関するデータとして、「ステップ」及び「回転数」等を紐づけており、室外ファン24の制御に関するデータとして、「発停」等を紐づけている。
【0051】
圧縮機(1)エンティティは、圧縮機21の制御に関するデータとして、「発停」を紐づけており、圧縮機21の状態に関するデータとして、「回転数」及び「吐出管温度」を紐づけている。吐出管温度は、図7に示すように、圧縮機21の吐出側の冷媒配管に設けられている温度センサ26によって検出される温度であり、室外熱交換器エンティティに紐づけられる「ガス管温度」及び「液管温度」と同様、圧縮機(1)エンティティに紐づけられている。
【0052】
圧縮機(2)エンティティは、圧縮機22の制御に関するデータとして、「発停」を紐づけており、圧縮機22の状態に関するデータとして、「回転数」及び「吐出管温度」を紐づけている。吐出管温度は、図7に示すように、圧縮機22の吐出側の冷媒配管に設けられている温度センサ27によって検出される温度であり、圧縮機(1)エンティティに紐づけられる「吐出管温度」と同様、圧縮機(2)エンティティに紐づけられている。
【0053】
ここで、「吸入管温度」は、図7に示すように、圧縮機21、22の吸入側の冷媒配管に設けられている温度センサ25によって検出される温度である。このため、「吐出管温度」と同様、「吸入管温度」も圧縮機(1)エンティティや圧縮機(2)エンティティに紐づけられるべきである。しかし、温度センサ25は、圧縮機21の吸入側の冷媒配管と圧縮機22の吸入側の冷媒配管とが合流した冷媒配管に設けられている。言い換えれば、室外機11は、複数の要素部品(圧縮機21、22)の制御に共通して使用される温度センサ25を有している。この場合には、圧縮機21、22に共通の温度センサ25を、別の独立した要素部品に紐づける。言い換えれば、要素部品エンティティは、「吸入管温度」を要素部品(圧縮機21、22)に紐づけるのではなく、センサ25を有する別の要素部品を定義する。したがって、図4に示すように、温度センサ25は、冷媒配管エンティティに紐づけされており、冷媒配管エンティティが、冷媒配管の状態に関するデータとして、「吸入管温度」を紐づけている。
【0054】
機能エンティティは、室外機11の機能に関する情報に基づくエンティティである。機能エンティティは、室外機11の操作に関する情報(データ)、室外機11の制御に関する情報(データ)、及び、室外機11によって計測される環境情報に関する情報(データ)、の少なくとも1つを紐づけている。ここでは、室外機制御エンティティと、室外環境エンティティと、が定義されている。
【0055】
室外機制御エンティティは、室外機制御に関するデータとして、「デフロスト」及び「油戻し」等を紐づけている。
【0056】
室外環境エンティティは、室外環境に関するデータとして、「室外温度」及び「室外湿度」等を紐づけている。ここで、「室外温度」及び「室外湿度」は、室外機11に設けられている温度センサ31及び湿度センサ32によって検出される温度及び湿度である。
【0057】
仕様エンティティは、室外機11の仕様に関する情報に基づくエンティティである。仕様エンティティは、室外機11の固有情報に関する情報(データ)、室外機11の識別情報に関する情報(データ)、及び、室外機11の施工情報に関する情報(データ)、の少なくとも1つを紐づけている。ここでは、管理情報エンティティと、定格情報エンティティと、が定義されている。
【0058】
管理情報エンティティは、管理情報に関するデータとして、「機器ID」及び「アドレス」等を紐づけている。
【0059】
定格情報エンティティは、定格情報に関するデータとして、「冷房定格電力」及び「暖房定格電力」等を紐づけている。
【0060】
次に、室内機12の機器データモデルについて説明する。
【0061】
室内機12の機器データモデルは、室外機11と同様、室内機12に対して紐づけられる階層として、要素部品エンティティ、機能エンティティ、及び、仕様エンティティを有している。
【0062】
要素部品エンティティは、室内機11の要素部品33、34等に関する情報に基づくエンティティである。要素部品エンティティは、要素部品33、34等ごとに、要素部品33、34の状態に関する情報(データ)、及び、要素部品の制御に関する情報(データ)、の少なくとも1つを紐づけている。ここでは、室内熱交換器33が室内熱交換器エンティティと定義され、室内ファン34が室内ファンエンティティと定義されている。
【0063】
室内熱交換器エンティティは、室内熱交換器33の状態に関するデータとして、「ガス管温度」、「液管温度」、及び、「熱交中間温度」等を紐づけている。ここで、「熱交中間温度」は、図6に示すように、室内熱交換器33に設けられている温度センサ37によって検出される温度である。「ガス管温度」及び「液管温度」は、図6に示すように、室内熱交換器33に接続される冷媒配管に設けられている温度センサ35、36によって検出される温度である。
【0064】
室内ファンエンティティは、室内ファン34の状態に関するデータとして、「ステップ」及び「回転数」等を紐づけており、室内ファン34の制御に関するデータとして、「発停」等を紐づけている。
【0065】
機能エンティティは、室内機12の機能に関する情報に基づくエンティティである。機能エンティティは、室内機12の操作に関する情報(データ)、室内機12の制御に関する情報(データ)、及び、室内機12によって計測される環境情報に関する情報(データ)、の少なくとも1つを紐づけている。ここでは、操作エンティティと、室内環境エンティティと、が定義されている。
【0066】
操作エンティティは、室内機12の操作に関するデータとして、「発停」、「運転モード」、「設定温度」及び「設定湿度」等を紐づけている。
【0067】
室内環境エンティティは、室内環境に関するデータとして、「室内温度」及び「室内湿度」等を紐づけている。ここで、「室内温度」及び「室内湿度」は、室内機12に設けられている温度センサ38及び湿度センサ39によって検出される温度及び湿度である。
【0068】
仕様エンティティは、室内機12の仕様に関する情報に基づくエンティティである。仕様エンティティは、室内機12の固有情報に関する情報(データ)、室内機12の識別情報に関する情報(データ)、及び、室内機12の施工情報に関する情報(データ)、の少なくとも1つを紐づけている。ここでは、管理情報エンティティと、定格情報エンティティと、が定義されている。
【0069】
管理情報エンティティは、管理情報に関するデータとして、「機器ID」及び「アドレス」等を紐づけている。
【0070】
定格情報エンティティは、定格情報に関するデータとして、「冷房定格電力」及び「暖房定格電力」等を紐づけている。
【0071】
また、上記の機器データモデルでは、機器(室外機11及び室内機12)のデータのそれぞれに対してデータ種別が定義されている。ここで、データ種別としては、読み取り可能な状態値(Input)、及び、書き換え可能な設定値(Output)がある。具体的には、センサ等によって検出されるデータは、データ種別として、読み取り可能な状態値だけを有している。このようなデータは、関与者端末70からの処理要求等によって書き換えられることがあってはならないデータであるため、書き換え不可である。図8には、室内環境エンティティの「室内温度」を例示している。空気調和機10の操作や設定等に関するデータは、データ種別として、読み取り可能な状態値、及び、書き換え可能な設定値を有している。このようなデータは、関与者端末70からの処理要求等によって変更することがあり得るデータだからである。図8には、室外ファンエンティティの「発停」、及び、操作エンティティの「設定温度」を例示している。
【0072】
また、上記の機器データモデルでは、機器(室外機11及び室内機12)のデータのそれぞれに対して属性情報が定義されている。具体的には、データには、属性情報として、下限値、上限値及び刻み幅等が定義されている。図8には、室内環境エンティティの「室内温度」、及び、操作エンティティの「設定温度」の属性情報を例示しており、これらについては、下限値が20℃、上限値が28℃、刻み幅が0.5℃に設定されている。
【0073】
(5)特徴
次に、機器管理システム1の特徴について説明する。
【0074】
<A>
従来の機器管理システムは、機器データモデルとして、機器の直下にすべてのデータが同列に配置されたフラット構造を採用している。このため、外部プログラムからの処理要求に応じてデータにアクセスする際に、すべてのデータを検索対象としなければならず、所望のデータへのアクセスに時間がかかる。
【0075】
これに対して、機器管理システム1は、機器データモデルとして、上記のような階層構造(機器のデータを、機器に対して機器の要素部品、機能及び仕様に関する情報の少なくとも1つを紐づけた階層構造)を採用している。具体的には、機器(室外機11及び室内機12)に対して紐づけられる階層として、上記のように、要素部品エンティティ、機能エンティティ、及び、仕様エンティティ、の少なくとも1つを有している(図4及び図5参照)。このため、機器管理システム1では、外部プログラム(関与者端末70)からの処理要求に応じてデータにアクセスする際に、まず、エンティティを検索し、その後に、エンティティに紐づけられるデータから所望のデータを検索できる。このように、機器管理システム1では、エンティティ検索によってデータの検索数を絞り込むことができるため、従来のフラット構造の機器データモデルに比べて、所望のデータへのアクセスを早くできる。また、データアクセスの処理負荷を抑えることができるため、管理装置40としてクラウドコンピューティングを使用している場合には、その使用料金も抑えることができる。
【0076】
また、機器管理システム1は、上記のような階層構造を有する機器データモデルを採用しているため、エンティティ単位でデータにアクセスすることができる。
【0077】
例えば、関与者端末70において、圧縮機の故障分析や故障予知等のプログラム(外部プログラム)を実行する場合には、圧縮機21、22のデータにアクセスすることが必要になる。これに対して、機器管理システム1では、機器データモデルが、圧縮機21のデータが一括して紐づけられる圧縮機(1)エンティティと、圧縮機22のデータが一括して紐づけられる圧縮機(2)エンティティと、を有している(図4参照)。このため、機器管理システム1では、圧縮機の故障分析や故障予知等の処理要求に応じて、圧縮機(1)エンティティ及び圧縮機(2)エンティティのデータに一括でアクセスできる。
【0078】
また、関与者端末70において、室内機の操作やスケジュール制御等を実行する場合には、室内機12の発停、運転モード及び設定温度等のデータにアクセスすることが必要になる。これに対して、機器管理システム1では、機器データモデルが、室内機12の発停、運転モード及び設定温度等のデータが一括して紐づけられる操作エンティティを有している(図5参照)。このため、機器管理システム1では、室内機の操作やスケジュール制御等の処理要求に応じて、操作エンティティのデータに一括でアクセスできる。
【0079】
また、関与者端末70については、関与者(所有者、管理者及び/又は作業者等)が誰であるかによって、機器データモデルのデータへのアクセス制限を行うことがある。このような場合に、エンティティ単位で機器データモデルのデータへのアクセス制限を行うことができる。
【0080】
<B>
機器管理システム1の機器データモデルでは、上記のように、機器(室外機11及び室内機12)のデータのそれぞれに対してデータ種別(Input、Output)が定義されている(図8参照)。このため、機器管理システム1は、関与者端末70が実行するプログラム(外部プログラム)に対して、機器データモデルのデータがそれぞれ、指令可能なデータであるか、又は、状態値を取得可能なデータであるか、の判断を与えることができる。これにより、外部プログラムの判断ロジックを共通化できる。
【0081】
ここで、データ種別としてInputを有するデータ(状態値)は、外部プログラムからの処理要求に応じて、管理装置40(管理処理部43)にて読み取る処理が可能である。そして、読み取られたデータは、外部プログラム(関与者端末70)に送信される。データ種別としてOutputを有するデータ(設定値)は、関与者端末70からの処理要求に応じて、管理装置40(管理処理部43)にて書き換える処理が可能である。そして、書き換えられたデータは、中継処理装置60を通じて、室外機11や室内機12に対して、指令として送信される。
【0082】
これに対して、従来の機器データモデルのデータでは、機器のデータのそれぞれに対してデータ種別が定義されていない。このため、機器データモデルを見ただけでは、指令可能なデータであるか、又は、状態値を取得可能なデータであるか、を判断できず、機器データモデルの仕様書等の資料を参照して判断する必要があり、非常に不便である。
【0083】
機器管理システム1の機器データモデルのデータでは、データのそれぞれにデータ種別が定義されていることを利用して、関与者端末70からの処理要求の適否を判断することができる。具体的には、関与者端末70からの処理要求によって、データ種別として状態値(Input)だけを有するデータの書き換えを行う場合に、管理装置40が、データの書き換えが誤りであることを示す情報(エラー信号)を、関与者端末70に対して送信する。これにより、例えば、関与者端末70からの処理要求によって、「室内温度」のデータの書き換えを行おうとしても、管理装置40がエラー信号を関与者端末70に対して送信することができる。このように、機器管理システム1は、機器のデータのそれぞれに対してデータ種別を定義することによって、外部プログラムからの処理要求にデータ種別上の誤りがあることを、外部プログラムに知らせることができる。
【0084】
また、上記の機器データモデルのデータのそれぞれにデータ種別が定義されていることを利用して、関与者端末70から室外機11や室内機12への指令の成否を判断することができる。具体的には、関与者端末70からの処理要求によって、データ種別として状態値(Input)及び設定値(Output)を有するデータの設定値の書き換えを行う。そして、管理装置40が、室外機11や室内機12に対して書き換えられた設定値を指令として送信する。管理装置40は、室外機11や室内機12に対して設定値を送信してから室外機11や室内機12から設定値に対応する状態値の受信を待つ。管理装置40は、室外機11や室内機12に対して設定値を送信してから所定時間内に状態値を受信しない場合に、室外機11や室内機12への設定値が室外機11や室内機12に適用されなかったことを示す情報(エラー信号)を、関与者端末70に対して送信する。これにより、例えば、関与者端末70からの処理要求によって、「発停」の指令を室外機11に行ったとしても、管理装置40が状態値を所定時間内に受信しない場合には、「発停」の指令が成功しなかったものと判断できる。このように、機器管理システム1は、機器のデータのそれぞれに対してデータ種別を定義することによって、外部プログラムから機器への設定値の指令が成功しなかったことを、外部プログラムに知らせることができる。
【0085】
また、機器管理システム1は、上記のようなデータ種別が定義された機器データモデルを採用しているため、データ種別の単位でデータにアクセスすることができる。例えば、故障分析等の状態値だけが必要なプログラムを実行する場合には、データ種別がInputのデータだけにアクセスすることができる。
【0086】
<C>
機器管理システム1の機器データモデルでは、上記のように、機器(室外機11及び室内機12)のデータのそれぞれに対して属性情報が定義されている(図8参照)。このため、機器管理システム1は、関与者端末70が実行するプログラム(外部プログラム)に対して、どのような設定値(指令)及び/又は状態値のデータであるかの判断を与えることができる。これにより、外部プログラムの判断ロジックを共通化できる。
【0087】
具体的には、上記の機器データモデルのデータのそれぞれに属性情報が定義されていることを利用して、関与者端末70からの処理要求とデータの属性情報との適否を判断することができる。例えば、関与者端末70からデータの上限値及び下限値の範囲を外れた値に変更する処理要求がなされると、管理装置40は、処理要求がなされたデータの属性情報が処理要求に適合しない旨の情報(エラー信号)を、外部プログラムに対して送信する。また、関与者端末70からの処理要求により、管理装置40から関与者端末70に送信されるデータの値が上限値及び下限値の範囲を外れた値である場合には、異常値であると判断する。このように、機器管理システム1は、機器のデータのそれぞれに対して属性情報を定義することによって、外部プログラムからの処理要求とデータの属性情報との適否について、外部プログラムに知らせることができる。
【0088】
(6)変形例
<A>
上記実施形態においては、管理対象となる機器が空気調和機10の室外機11及び室内機12であるが、これらに限定されるものではない。例えば、管理対象となる機器が、換気装置、給湯装置、調湿装置、エアハンドリングユニット、バリアブルエアボリューム、ファンコイルユニット、チラーユニット、及び/又は、ボイラー等であってもよい。
【0089】
<B>
上記実施形態においては、中継処理装置60が室外機11に接続されているが、室外機11及び室内機12に内蔵されていてもよい。また、中継処理装置60を通信ネットワーク50に接続するためのルータ等の通信装置は、中継処理装置60や室外機11及び室内機12に内蔵されていてもよいし、独立して配置されていてもよい。
【0090】
以上、本開示の実施形態を説明したが、請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能であることが理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示は、機器を管理する機器管理システムに対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 機器管理システム
41 管理記憶部
43 管理処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特許第6160789号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8