(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0016】
<情報処理装置について>
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置Aの一部を表す概略図である。
情報処理装置Aは、基本ボード1を備える。なお、情報処理装置Aは、基本ボード1以外の構成、例えば、基板、筐体、入出力装置(出力装置には、光や音を出力するものを含む)、記憶装置、又は、演算装置等を備えても良い。
【0017】
基本ボード1には、複数のシーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1、及び、複数の衝撃センサ12、13、14が設けられている。基本ボード1は、例えば、電子機器の回路基板であり、例えば、コンピュータのマザーボード等である。シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1は、拡張ボードを挿抜するインターフェースであり、例えば、拡張バス或いは拡張スロットである。
拡張ボード2、3、4には、それぞれ、シーケンスコネクタ9−2、10−2、11−2が設けられている。拡張ボードとは、機能を拡張するためのプリント基板を内蔵したカード(アダプター)である。
【0018】
基本ボード1には、複数の拡張ボード2、3、4を取り付けることができる。つまり、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1は、シーケンスコネクタ9−2、10−2、11−2の挿抜が可能である。
図1の一例では、基本ボード1には、拡張ボード3、4が取り付けられている。例えば、シーケンスコネクタ10−2はシーケンスコネクタ10−1に挿され、シーケンスコネクタ11−2はシーケンスコネクタ11−1に挿されている。
なお、シーケンスコネクタ9−1と9−2の組合せ、シーケンスコネクタ10−1と10−2の組合せ、シーケンスコネクタ11−1と11−2の組合せを、それぞれ、シーケンスコネクタ9、10、11とも表す。
【0019】
衝撃センサ12、13、14は、それぞれ、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1に隣接して設けられている。ただし、本発明はこれに限らず、衝撃センサ12、13、14は、それぞれ、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1の内部に設けられても良いし、近傍に設けられていても良い。衝撃センサ12、13、14は、それぞれ、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1に加わる衝撃を検出する。
例えば、衝撃センサ12は、シーケンスコネクタ9−1に、シーケンスコネクタ9−2が挿されたこと、又は抜かれたことによる衝撃を検出する。衝撃センサ12は、衝撃を表す衝撃信号を生成して出力する。
【0020】
本実施形態に係る情報処理装置Aは、例えば、シーケンスコネクタ9−2が挿されたこと、又は抜かれたことによる衝撃を表す衝撃信号に基づいて、シーケンスコネクタ9−2が挿されたこと、又は抜かれたことによる情報処理装置Aへの影響を予測する。
例えば、情報処理装置Aは、例えば、シーケンスコネクタ9−1での衝撃信号、つまり、衝撃センサ12が生成した衝撃信号に基づいて、他のシーケンスコネクタ10又は11への影響を予測する。
また、例えば、衝撃センサ12は、衝撃の強さを表す衝撃信号を生成する。情報処理装置Aは、この衝撃信号に基づいて、シーケンスコネクタ9−1での衝撃信号が表わす衝撃の強さが閾値以上である(強さが強い)場合、他のシーケンスコネクタ10又は11に異常が発生すると予測する。
これにより、情報処理装置Aは、挿抜された装置側(情報処理装置A)に発生する影響を予測できる。
【0021】
より具体的には、運用状態にある情報処理装置Aでは、保守作業として、拡張ボード2、3、又は4の活線挿抜が行われる。なお、活線挿抜されるとは、情報処理装置A(基本ボード1)の電源が入ったままの状態で、拡張ボードが挿されること(「活線挿入」とも称する)、又は、抜かれること(「活線抜去」とも称する)である。
このとき、保守員によって、拡張ボード2、3、又は4を挿抜する力の強さ、挿抜する速度(「挿抜速度」とも称する)が異なる。
例えば、拡張ボード2を挿抜するとき、この挿抜によって、基本ボード1に衝撃が発生する。この衝撃によっては、挿入済の他の拡張ボード3又は4が接続されたシーケンスコネクタ10又は11にも、衝撃が伝わる。その結果、シーケンスコネクタ10−1と10−2(又は、11−1と11−2)の電気的接続が一時的に断たれ、基本ボード1と拡張ボード2が電気的に接続できない(電流が流れない)状態(「オープン状態」とも称する)となる。オープン状態になった場合、信号種によっては、情報処理装置Aに異常を引き起こす可能性があり、異常の予測も困難であった。
また、基本ボード1に、挿抜による衝撃を緩和又は防止する機構を設ける場合、複雑な機構設計が必要になり、また、基本ボード1(情報処理装置A)の開発コストも増大する虞がある。
【0022】
本実施形態によれば、情報処理装置Aは、例えば、衝撃センサ12によって、シーケンスコネクタ9−2が挿されたこと、又は抜かれたことによる衝撃を検出する。情報処理装置Aは、検出した衝撃を表す衝撃信号に基づいて、自装置(例えば、シーケンスコネクタ10又は11)への影響を予測する。これにより、情報処理装置Aは、異常の予測を行うことができる。
【0023】
また、情報処理装置Aは、シーケンスコネクタ9−1で、シーケンスコネクタ9−2が挿される速度(「挿入速度」とも称する)、又は抜かれる速度(「抜去速度」とも称する)を、挿抜速度として算出する。情報処理装置Aは、シーケンスコネクタ9−1での挿抜速度に基づいて、他のシーケンスコネクタ10又は11への影響を予測する。
例えば、情報処理装置Aでは、基本ボード1と拡張ボード2の接続コネクタにシーケンスコネクタ9が使用され、拡張ボード2の挿抜速度が算出される。情報処理装置Aは、拡張ボード2が接続される基本ボード1において、シーケンスコネクタ9−1付近に衝撃センサ12が搭載され、拡張ボード2の活線挿入時の衝撃を計測する。
情報処理装置Aは、算出した挿抜速度又は衝撃のいずれか或いは両方により、オープン状態になり得る状態を検出することで、異常発生に関する予測を行う。例えば、情報処理装置Aは、異常が発生するか否か、異常が発生するタイミング、又は、異常の大きさ等を予測できる。
【0024】
<情報処理装置Aの構成について>
図2は、本実施形態に係る情報処理装置Aの構成を示す概略ブロック図である。
情報処理装置Aは、基本ボード1を備える。基本ボード1は、監視・制御部5、衝撃センサ12、13、14、及び、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1を含んで構成される。拡張ボード2、3、4は、それぞれ、拡張デバイス6、7、8及びシーケンスコネクタ9−2、10−2、11−2を含んで構成される。
【0025】
拡張ボード2、3、4は、それぞれ、シーケンスコネクタ9、10、11を介して基本ボード1と活線挿抜される。
衝撃センサ12、13、14は、それぞれ、拡張ボード2、3、4が活線挿抜されるとき、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1で発生した衝撃を検出(測定)する。衝撃センサ12、13、14は、それぞれ、検出した衝撃を表す衝撃信号Sg12、Sg13、Sg14を生成する。この衝撃信号Sg12、Sg13、Sg14は、それぞれ、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1で発生した衝撃について、衝撃の有無、衝撃の強さ、又は、衝撃が発生した期間等を表す。
例えば、衝撃センサ12は、拡張ボード2が活線挿抜されるとき、シーケンスコネクタ9−1或いはその近辺(基本ボード1や情報処理装置Aの筐体を含んでも良い)に発生する衝撃を検出し、検出した衝撃を表す衝撃信号Sg12を生成する。
【0026】
衝撃信号Sg12、Sg13、Sg14は、それぞれ、衝撃センサ12、13、14から監視・制御部5へ出力される。
システム信号Sg2、Sg3、Sg4は、それぞれ、シーケンスコネクタ9、10、11の接続状態を表す接続信号や、拡張ボード2、3、4の制御信号である。この制御信号は、拡張ボード2、3、4上の拡張デバイス6、7、8と監視・制御部5が送受信する信号である。
【0027】
<挿抜による異常について>
次に、活線挿抜において、異常が発生する場合について説明する。
図3は、本実施形態に係る挿抜を説明する説明図である。
図3は、
図2が示す状態、つまり、拡張ボード2が抜かれている状態から挿された状態に遷移した場合、つまり、拡張ボード2が活線挿入された場合を示す概略図である。
【0028】
拡張ボード2が基本ボード1に活線挿入されたとき、シーケンスコネクタ9において、衝撃21が発生する。衝撃21は、衝撃22として、シーケンスコネクタ9から基本ボード1に伝わる。衝撃22は、さらに、基本ボード1に固定されたシーケンスコネクタ10に伝搬される。この衝撃の強さによっては、例えば、シーケンスコネクタ10においてオープン状態23が発生し、異常となる場合がある。
なお、同様に、衝撃22は、シーケンスコネクタ11にも伝わり、シーケンスコネクタ11においてオープン状態が発生し、異常となる場合もある。
【0029】
<シーケンスコネクタについて>
以下、
図4から
図7を用いて、シーケンスコネクタ9−2が挿される場合について説明する。なお、
図4から
図7では、シーケンスコネクタ9の構成及び動作について説明するが、シーケンスコネクタ10及び11の構成及び動作についても同様である。
図4は、本実施形態に係るシーケンスコネクタ9−2が挿される場合の説明図である。
図4は、シーケンスコネクタ9−2がシーケンスコネクタ9−1に挿される前の状態であり、シーケンスコネクタ9−2とシーケンスコネクタ9−1が離れている。
【0030】
基本ボード1には、シーケンスコネクタ9−1が固定されている。シーケンスコネクタ9−1は、基本ボード1に、ネジ等の固着具で固定されていても良いし、嵌合又は接着されていても良い。
シーケンスコネクタ9−1には、3個のコネクタピン911、912、913が設けられている。以下、コネクタピン911及び913を、「コネクタピン91」とも称する。コネクタピン91(メス)とコネクタピン912(メス)は、金属等の電気伝導体であり、基本ボード1の配線と接合されている。
【0031】
拡張ボード2には、シーケンスコネクタ9−2が固定されている。シーケンスコネクタ9−1は、基本ボード1に、ネジ等の固着具で固定されていても良いし、嵌合又は接着されていても良い。
シーケンスコネクタ9−2には、3個のロングピン921、ノーマルピン922、及び、ショートピン923が設けられている。以下、ロングピン921及びショートピン923を、「コネクタピン92」とも称する。コネクタピン92(オス)及びノーマルピン922(オス)は、金属等の電気伝導体であり、拡張ボード2の配線と接合されている。
コネクタピン92は、長さが長い順に、ロングピン921、ノーマルピン922、ショートピン923となっている。
【0032】
図5は、本実施形態に係るシーケンスコネクタ9−2が挿される場合の別の説明図である。
図5は、シーケンスコネクタ9−2がシーケンスコネクタ9−1に挿され始めた状態を示す。
この図において、ロングピン921は、コネクタピン911に接している。つまり、シーケンスコネクタ9−2が挿される場合、最初に、ロングピン921(オス)がコネクタピン911(メス)に接続される。
【0033】
図6は、本実施形態に係るシーケンスコネクタ9−2が挿される場合の別の説明図である。
図6は、
図5が示す状態よりも、さらに、シーケンスコネクタ9−2がシーケンスコネクタ9−1に挿された状態を示す。
この図において、ノーマルピン922は、コネクタピン912に接している。つまり、シーケンスコネクタ9−2が挿される場合、2番目に(ロングピン921の次に)、ノーマルピン922(オス)がシーケンスコネクタ912(メス)に接続される。
【0034】
図7は、本実施形態に係るシーケンスコネクタ9−2が挿される場合の別の説明図である。
図7は、
図6が示す状態よりも、さらに、シーケンスコネクタ9−2がシーケンスコネクタ9−1に挿された状態を示す。
この図において、ショートピン923は、コネクタピン913に接している。つまり、シーケンスコネクタ9−2が挿される場合、最後に(ノーマルピン922の次に)、ショートピン923(オス)がコネクタピン913(メス)に接続される。
【0035】
<回路構成について>
図8は、本実施形態に係る回路構成を説明するための模式図である。
なお、
図8では、シーケンスコネクタ9の回路構成及び動作について説明するが、シーケンスコネクタ10及び11の回路構成及び動作についても同様である。
【0036】
拡張ボード2において、ロングピン921及びショートピン923は、グランド(GND)に接続されている。ノーマルピン922は、拡張デバイス6に接続されている。
基本ボード1において、コネクタピン911、コネクタピン912、及びコネクタピン913は、監視・制御部5に接続されている。ここで、コネクタピン911及びコネクタピン913は、プルアップ抵抗(PullUp)にも接続されている。
【0037】
信号Sg21は、コネクタピン911から監視・制御部5へ入力される信号である。
上記の回路構成により、信号Sg21は、ロングピン921がコネクタピン911に接していないときに、電位がH(High)レベルになり、接しているときに、電位がL(Low)レベルになる。つまり、信号Sg21は、コネクタピン911とロングピン921の接続状態を表す信号(「接続信号Sg21」とも称する)である。
【0038】
信号Sg23は、コネクタピン913から監視・制御部5へ入力される信号である。
上記の回路構成により、信号Sg23は、ショートピン923がコネクタピン913に接していないときには電位がH(High)レベルになり、接しているときには電位がL(Low)レベルになる。つまり、信号Sg23は、コネクタピン913とショートピン923の接続状態を表す信号(「接続信号Sg23」とも称する)である。
【0039】
信号Sg22は、コネクタピン912から監視・制御部5へ入力される信号である。信号Sg22は、ノーマルピン922がコネクタピン912に接しているときには、拡張デバイス6と基本ボード1が送受信する信号(「制御信号Sg22」とも称する)となる。
同様に、拡張ボード3の拡張デバイス7と基本ボード1が送受信する信号を、制御信号Sg32とする(
図2のSg3の一例)。また、拡張ボード4の拡張デバイス8と基本ボード1が送受信する信号を、制御信号Sg42とする(
図2のSg4の一例)。
【0040】
また、基本ボード1において、衝撃センサ12から監視・制御部5へ入力される信号Sg12は、衝撃信号(「衝撃信号Sg12」とも称する)である。
なお、接続信号Sg21、23、又は制御信号Sg22のいずれか又はこれらの組合せは、上述のシステム信号Sg2の一例である。
【0041】
<信号について>
図9は、本実施形態に係る信号の一例を表すタイミングチャートである。
この図は、本実施形態に係るシーケンスコネクタ9−2が挿抜される場合の図である。また、この図は、シーケンスコネクタ10−2及び11−2が挿されている場合の図である。ただし、本発明はこれに限らず、シーケンスコネクタ10−2又は11−2のいずれかが挿されている場合であっても良い。
【0042】
図9は、監視・制御部5へ入力される信号を表す。この図は、接続信号Sg21、Sg23、衝撃信号Sg12、及び制御信号Sg32或いはSg42を表している。この図において、横軸は時間であり、信号各々における縦軸は電位を表している。
接続信号Sg21、Sg23、衝撃信号Sg12は、シーケンスコネクタ9から監視・制御部5へ入力される信号Sg2である。制御信号Sg32又はSg42は、それぞれ、シーケンスコネクタ10又は11から監視・制御部5へ入力される信号Sg3又はSg4である。
【0043】
初期状態(時刻t111より前の時刻)において、拡張ボード2は、基本ボード1に挿される前の状態(
図4の状態)である。一方、拡張ボード3又は4は、基本ボード1に挿されている。この初期状態では、接続信号Sg21、Sg23は、プルアップ抵抗によって、Hレベルになっている。また、衝撃信号Sg12も、衝撃がない状態であり、Hレベルとなっている。なお、衝撃信号Sg12は、衝撃の強さが閾値を超えた場合、つまり、他のシーケンスコネクタ10又は11でオープン状態になる可能性がある場合に、Lレベルに変化する(アサートされる)ものである。
【0044】
以下では、シーケンスコネクタ9−2がシーケンスコネクタ9−1に挿される場合、つまり、活線挿入される場合について説明する。
【0045】
(時刻t111)時刻t111において、接続信号Sg21がHレベルからLレベルに変化している。つまり、このLレベルの信号は、ロングピン921がコネクタピン911に接し、電気的に接続されたことを表している。
(時刻t112)時刻t112において、接続信号Sg23がHレベルからLレベルに変化している。つまり、このLレベルの信号は、ショートピン923がコネクタピン913に接し、電気的に接続されたことを表している。
【0046】
ここで、時刻t112と時刻t111との差(時間T1)は、ロングピン921が接続された時刻から、ショートピン923が接続された時刻を差し引いた時間である。
監視・制御部5は、この時間T1を用いて、拡張ボード2を基本ボード1へ挿される挿入速度を算出する。具体的には、監視・制御部5は、ロングピン921の長さとショートピン923の長さの差の絶対値(「ピン差分距離」とも称する)を予め記憶している。監視・制御部5は、ピン差分距離を、時間T1で除すことで、挿入速度を算出する。
【0047】
(時刻t113)時刻t113において、衝撃信号Sg12がHレベルからLレベルに変化している。つまり、このLレベルの信号は、シーケンスコネクタ9−2が挿されたことによって衝撃が発生し、その衝撃を衝撃センサ12が検出したことを表している。ここで、衝撃センサ12は、この衝撃の強さが、他のシーケンスコネクタ10又は11でオープン状態になる可能性がある場合に、Lレベルの信号を出力する。
監視・制御部5は、衝撃信号S12でLレベルの信号を検出することで、他のシーケンスコネクタ10又は11でオープン状態になる可能性がある、つまり、異常が発生する可能性があると予測する。
【0048】
(時刻t114)時刻t114において、衝撃信号Sg12がLレベルからHレベルに変化している。つまり、このHレベルの信号は、衝撃がない、又は、衝撃の強さがシーケンスコネクタ10又は11でオープン状態になる可能性がないことを表す。すなわち、衝撃センサ12が検出した衝撃がおさまったことを表している。
(時刻t115から時刻t116)時刻t115から時刻t116において、制御信号Sg32又はSg42に、異常E1が発生している。この異常E1は、監視・制御部5が予測した異常である。
【0049】
以下では、シーケンスコネクタ9−2がシーケンスコネクタ9−1から抜かれる(「活線抜去」とも称する)場合について説明する。
【0050】
(時刻t117)時刻t117において、接続信号Sg22がLレベルからHレベルに変化している(ネゲートされている)。つまり、このHレベルの信号は、ショートピン923がコネクタピン913から離れ、電気的に切断されたこと(「接続解除」とも称する)を表している。
(時刻t118)時刻t118において、接続信号Sg21がLレベルからHレベルに変化している。つまり、このHレベルの信号は、ロングピン921がコネクタピン911から離れ、接続解除されたことを表している。
【0051】
ここで、時刻t118と時刻t117との差(時間T2)は、ショートピン923が接続解除された時刻から、ロングピン921が接続解除された時刻を差し引いた時間である。監視・制御部5は、この時間T2を用いて、拡張ボード2が基本ボード1から抜かれる抜去速度を算出する。具体的には、監視・制御部5は、ピン差分距離を、時間T2で除算すことで、抜去速度を算出する。
【0052】
なお、時刻t118の後、時刻t112の後と同様に、衝撃信号Sg12がLレベルになる場合がある。このLレベルの信号は、シーケンスコネクタ9−2が抜かれたことによって衝撃が発生し、その衝撃を衝撃センサ12が検出したことを表す。この場合、監視・制御部5は、他のシーケンスコネクタ10又は11でオープン状態になる可能性がある、つまり、異常が発生する可能性があると予測する。
【0053】
<情報処理装置Aの論理構成について>
図10は、本実施形態に係る情報処理装置Aの論理構成を示す概略ブロック図である。
この図において、情報処理装置Aにおいて基本ボード1は、監視・制御部5、接続部9−1、10−1、11−1、及び、衝撃検出部12、13、14を含んで構成される。監視・制御部5は、信号取得部51、52、53、予測部54、対策部55、及び拡張制御部56を含んで構成される。なお、情報処理装置Aは、その他、コンピュータ(サーバ等)の一般的な公知の機能を備える。
なお、
図10では、基本ボード1に、シーケンスコネクタ10−2、11−2が挿されているときに、シーケンスコネクタ9−2が挿抜される場合について説明する。この場合の説明の便宜上、説明を行う構成は実線で表し、その他の構成は破線で表している。
【0054】
接続部9−1、10−1、11−1は、それぞれ、接続信号検出部91、101、111、及び、制御信号送受信部912、1012、1112を含んで構成される。接続部9−1、10−1、11−1は、ぞれぞれ、シーケンスコネクタ9−1、10−1、11−1で実現される。
例えば、接続信号検出部91は、拡張ボード2との接続状態を表す接続信号Sg21、Sg23を検出し、検出した接続信号Sg21、Sg23を接続信号取得部511へ出力する。接続信号検出部91は、コネクタピン91(コネクタピン911及び913)で実現される。
【0055】
例えば、制御信号送受信部1012は、拡張ボード3が挿されている場合、制御信号Sg32を送受信し、制御信号送受信部1112は、拡張ボード4が挿されている場合、制御信号Sg42を送受信する。制御信号送受信部1012は、制御信号Sg32を制御信号入出力部522へ入出力し、制御信号送受信部1112は、制御信号Sg42を制御信号入出力部532へ入出力する。
制御信号送受信部1012は、シーケンスコネクタ10−1でノーマルピンと接続されるコネクタピン1012で実現され、制御信号送受信部1112は、シーケンスコネクタ11−1でノーマルピンと接続されるコネクタピン1112で実現される。ここで、コネクタピン1012、1112は、
図4〜
図7のコネクタピン912に相当する。
【0056】
衝撃検出部12は、拡張ボード2が活線挿抜されるとき、接続部9−1或いはその近辺に発生する衝撃を検出する。衝撃検出部12は、検出した衝撃の強さが閾値を超えた場合に、衝撃信号Sg12を生成する。この閾値は、他のシーケンスコネクタ10又は11でオープン状態になる可能性がある衝撃の強さを表し、予め衝撃検出部12に記憶(設定、設計)されている。
衝撃検出部12は、衝撃信号Sg12を生成した場合、生成した衝撃信号Sg12を衝撃信号取得部513へ出力する。衝撃検出部12は、衝撃センサ12で実現される。
【0057】
信号取得部51、52、53は、それぞれ、接続信号取得部511、521、531、制御信号入出力部512、522、532、及び、衝撃信号取得部513、523、533を含んで構成される。信号取得部51、52、53は、入出力回路である。
例えば、接続信号取得部511は、接続信号検出部91から接続信号Sg21、Sg23を取得する。接続信号取得部511は、取得した接続信号Sg21、Sg23を予測部54へ出力する。
【0058】
また、例えば、衝撃信号取得部513は、衝撃検出部12から衝撃信号Sg12を取得する。衝撃信号取得部513は、衝撃信号Sg12を取得した場合、衝撃信号Sg12を予測部54へ出力する。
例えば、制御信号入出力部522は、制御信号送受信部1012から制御信号Sg32を取得し、制御信号入出力部532は、制御信号送受信部1112から制御信号Sg42を取得する。制御信号入出力部522、532は、それぞれ、取得した制御信号Sg32、Sg42を拡張制御部56へ出力する。
【0059】
予測部54は、入力された接続信号及び衝撃信号のいずれか或いは組合せに基づいて、シーケンスコネクタ(拡張ボード)が挿された、又は抜かれた装置への影響を予測する。 例えば、予測部54は、接続信号取得部511から入力された接続信号Sg21、Sg23、又は、衝撃信号取得部513から入力された衝撃信号Sg12のいずれか或いは組合せに基づいて、シーケンスコネクタ9−2(拡張ボード2)が挿された、又は抜かれた自装置への影響を予測する。
【0060】
例えば、予測部54は、接続部9−1又はその近辺で発生した衝撃を表す衝撃信号Sg12、つまり、衝撃センサ12が生成した衝撃信号Sg12に基づいて、基本ボード1の一部又は全部(又は情報処理装置Aの一部或いは全部。以下同じ)への影響を予測する。例えば、予測部54は、衝撃信号Sg12に基づいて、他の接続部10−1又は11−1への影響を予測する。例えば、予測部54は、接続部9−1での衝撃信号Sg12が表わす衝撃の強さが閾値以上である(強さが強い)場合、接続部10−1又は11−1に異常が発生すると予測する。
【0061】
具体的には、予測部54は、接続部9−1から取得した信号(接続信号Sg21、Sg23、又は衝撃信号Sg12のいずれか或いは組合せ)に基づいて、制御信号Sg32或いはSg42にノイズが発生する、又は、制御信号Sg32或いはSg42が送受信できなくなると予測する。また、予測部54は、接続部9−1から取得した信号に基づいて、接続部10−1或いは11−1又はその近辺に、変形や断線、亀裂や損傷、破損等の異常が発生する可能性があると予測しても良い。
【0062】
例えば、予測部54は、接続部9−1から衝撃信号Sg12が入力されたとき、接続部10−1又は11−1が接続信号(Lレベルの信号)を検出している場合、つまり、接続部9−1以外の接続部に拡張ボードが接続されている場合、拡張ボードが接続されている接続部10−1又は11−1に異常が発生すると予測する。
一方、予測部54は、接続部9−1から衝撃信号Sg12が入力されたとき、接続部10−1又は11−1が接続信号(Lレベルの信号)を検出していない場合、つまり、接続部9−1以外の接続部に拡張ボードが接続されていない場合、拡張ボードが接続されていない接続部10−1又は11−1には異常が発生しないと予測する。
【0063】
また、予測部54は、接続部9−1から接続信号Sg21、Sg23が入力されたとき、接続信号Sg21、Sg23に基づいて、挿抜速度(シーケンスコネクタ9−2の挿入速度又は抜去速度)を算出する。予測部54は、算出した挿抜速度に基づいて、への影響を予測する。
具体的には、予測部54は、算出した挿抜速度が閾値より速い場合、基本ボード1の一部又は全部に異常が発生すると予測する。つまり、予測部54は、挿抜速度が速い場合、より強い衝撃が発生すると予測する。一方、予測部54は、算出した挿抜速度が閾値より遅い場合、基本ボード1の一部又は全部に異常が発生しないと予測する。ここで、閾値は、予め定められた値である。
【0064】
また、予測部54は、算出した挿抜速度に基づいて、基本ボード1の一部又は全部に異常が発生する時刻(タイミング)を予測しても良い。例えば、予測部54は、接続信号Sg21或いはSg23を取得した時刻(又は検出された時刻)、及び、挿抜速度に基づいて、基本ボード1の一部又は全部に異常が発生する時刻を予測する。
【0065】
また、予測部54は、衝撃信号Sg12と挿抜速度の両方に基づいて、基本ボード1の一部又は全部への影響、例えば、接続部10−1又は11−1への影響を予測しても良い。例えば、予測部54は、衝撃信号Sg12が入力され、かつ、抜粋速度が閾値より速い場合、接続部10−1又は11−1に異常が発生すると予測する。一方、予測部54は、衝撃信号Sg12が入力されず、又は、抜粋速度が閾値より遅い場合、接続部10−1又は11−1に異常が発生しないと予測する。
【0066】
予測部54は、予測結果を示す予測結果信号を生成し、対策部55へ出力する。予測結果信号は、例えば、異常が発生するか否かを表す信号である。また、予測結果信号は、例えば、異常が発生する接続部(接続部10−1又は11−1)を表す信号であっても良いし、異常が発生するタイミングを表す信号である。また、予測結果信号は、例えば、異常の要因を表す信号であっても良いし、異常の度合いや大きさ(レベル)を表す信号であっても良い。例えば、予測部54は、衝撃が検出された接続部を識別する識別信号、又は、衝撃による異常であることを表す信号、異常の要因を表す信号として生成する。
なお、予測部54は、接続部9−1から取得した信号に基づいて、制御信号Sg22又は接続部9−1に異常が発生すると予測しても良い。
【0067】
対策部55は、予測結果信号に基づいて、情報処理装置A(基本ボード1)の異常を予防するように、各部(各回路)を制御する。なお、異常を予防することには、異常の防止或いはその低減、又は、異常による影響の防止或いはその低減なお、予防或いは低減には、異常を報知すること、又は異常による影響を表す報知を行うことが含まれる。
拡張制御部56は、制御信号入出力部522から入力された制御信号Sg32に基づいて拡張ボード3を制御し、又は、制御信号入出力部523から入力された制御信号Sg42からに基づいて拡張ボード4を制御する。
【0068】
<動作について>
図11は、本実施形態に係る情報処理装置Aの動作の一例を示すフロー図である。
【0069】
(ステップS101)監視・制御部5は、接続信号Sg21、Sg23に基づいて、挿抜が検出されたか(信号のレベルが変化したか)否かを判定する。挿抜が検出されたと判定された場合(YES)、ステップS102へ進む。一方、挿抜が検出されていない判定された場合(NO)、ステップS101を繰り返す。
(ステップS102)監視・制御部5は、接続信号Sg21及びSg23に基づいて、挿抜速度を算出する。その後、ステップS103へ進む。
【0070】
(ステップS103)監視・制御部5は、衝撃検出部12、13又は14からの衝撃信号Sg12、Sg13又はSg14に基づいて、衝撃が検出されたか(信号のレベルが変化したか)否かを判定する。衝撃が検出されたと判定された場合(YES)、ステップS104へ進む。一方、衝撃が検出されたと判定されていない場合(YES)、ステップS103を繰り返す。なお、監視・制御部5は、予め定められた時間又は回数だけ、ステップS103を繰り返し、その後、ステップS101へ戻っても良い。
【0071】
(ステップS104)監視・制御部5は、ステップS102で算出された挿抜速度、又はステップS105で検出された衝撃信号Sg12、Sg13又はSg14に基づいて、影響を予測する。その後、ステップS105へ進む。
(ステップS105)監視・制御部5は、ステップS104での予測結果に基づいて、影響に対する対策を行う。その後、動作を終了する(例えば、S101へ戻る)。
【0072】
このように、本実施形態に係る情報処理装置Aでは、信号取得部51は、シーケンスコネクタ9−2(端子)が挿されたこと、又は抜かれたことによる衝撃を表す衝撃信号Sg12を取得する。予測部54は、衝撃信号Sg12に基づいて、シーケンスコネクタ9−2が挿された、又は抜かれた自装置(情報処理装置A)への影響を予測する。
これにより、情報処理装置Aは、挿抜された(挿された又は抜かれた)装置側(本実施形態では情報処理装置A側、基本ボード1)に発生する影響を予測できる。
【0073】
また、情報処理装置Aでは、シーケンスコネクタ9−1(接続部9−1;第1接続部)は、シーケンスコネクタ9−2(第1端子)が挿される、又は抜かれる。シーケンスコネクタ10−1又は11−1(接続部10−1又は11−1;第2接続部)は、それぞれ、シーケンスコネクタ10−2又は11−2(第2端子)が挿されている。基本ボード1(基板)には、シーケンスコネクタ9−1とシーケンスコネクタ10−1或いは11−1が固定されている。予測部54は、シーケンスコネクタ9−1での衝撃信号Sg12に基づいて、シーケンスコネクタ10−1又は11−1への影響を予測する。
これにより、情報処理装置Aは、一の接続部で端子が挿抜されたときに、挿抜された装置側の影響のうち、他の接続部に発生する影響を予測できる。
【0074】
また、情報処理装置Aでは、衝撃センサ12は、シーケンスコネクタ9−1でシーケンスコネクタ9−2が挿されたこと、又は抜かれたことによる衝撃の強さを検出し、検出した衝撃の強さを表す衝撃信号Sg12を生成する。例えば、衝撃信号Sg12は、衝撃が閾値以上の強さであることを表す。予測部54は、衝撃信号Sg12が表わす衝撃の強さが閾値以上である場合、シーケンスコネクタ10−1又は11−1に異常が発生すると予測する。
これにより、情報処理装置Aは、一の接続部で端子が挿抜されたときに、閾値以上の強さの衝撃が発生した場合、他の接続部に異常が発生すると予測できる。つまり、情報処理装置Aは、一の接続部での挿抜による衝撃の強さに応じて、他の接続部に異常が発生すると予測できる。
【0075】
また、情報処理装置Aでは、コネクタピン91(接続信号検出部91;速度検出部)は、シーケンスコネクタ9−1でシーケンスコネクタ9−2が挿される速度、又は抜かれる速度を検出する。予測部54は、シーケンスコネクタ9−1での速度に基づいて、シーケンスコネクタ10−1又は11−1への影響を予測する。
これにより、情報処理装置Aは、一の接続部で端子が挿抜されたときに、その挿抜速度に応じて、他の接続部に異常が発生すると予測できる。
【0076】
また、情報処理装置Aでは、対策部55は、シーケンスコネクタ9−1での衝撃信号Sg12に基づいて、シーケンスコネクタ10−2とシーケンスコネクタ10−1、又はシーケンスコネクタ11−2とシーケンスコネクタ11−1の接続に関する異常を予防する(変形例3、4も参照)。これにより、情報処理装置Aは、一の接続部で端子が挿抜されたときに、他の接続部の接続に関する異常を予防できる。
【0077】
また、情報処理装置Aでは、予測部54は、シーケンスコネクタ9−1での衝撃信号Sg12に基づいて、衝撃信号Sg12が表わす衝撃より後に、シーケンスコネクタ10−1又は11−1で異常が発生することを予測する。これにより、情報処理装置Aは、一の接続部で端子が挿抜されたときに、その衝撃を表す衝撃信号の後に、他の接続部で異常が発生することを予測できる。
【0078】
[変形例1]
上記実施形態において、情報処理装置Aは、挿抜速度を他の異常の要因として判断指標として使用しても良い。他の異常とは、例えば、挿抜以外の異常、挿抜が発生した接続部以外のハードウェアの異常、又は、挿抜が発生した接続部以外の接続部の異常である。例えば、予測部54は、接続部9−1でのシーケンスコネクタの挿抜速度に基づいて、他の接続部10−1又は11−1への影響を予測する。
【0079】
具体的には、予測部54は、接続部9−1から取得した接続信号Sg21及びSg23に基づいて、挿抜速度を算出する。予測部54は、算出した挿抜速度が閾値より速い場合、接続部10−1又は11−1に異常が発生すると予測する。一方、予測部54は、算出した挿抜速度が閾値より遅い場合、接続部10−1又は11−1に異常が発生しないと予測する。ここで、閾値は、予め定められた値である。
このように、情報処理装置Aは、一の接続部での端子の挿抜速度に基づいて、他の接続部への影響を予測する。これにより、情報処理装置Aは、一の接続部での端子の挿抜速度を、他の接続部での異常の要因として判断指標として使用することができる。
【0080】
[変形例2]
上記実施形態において、情報処理装置Aは、接続信号に基づいて、シーケンスコネクタ9−2の挿抜開始時刻(タイミング)を判定しても良い。例えば、情報処理装置Aは、ロングピン921が接続された時刻、つまり、接続信号Sg21がHレベルからLレベルに変化した時刻を、シーケンスコネクタ9−2の挿入開始時刻と判定する。また、情報処理装置Aは、ショートピン923が接続解除された時刻、つまり、接続信号Sg21がLレベルからHレベルに変化した時刻を、シーケンスコネクタ9−2の抜去開始時刻と判定する。
この場合、情報処理装置Aは、シーケンスコネクタ9−2の接続開始時刻又は抜去開始時刻を用いて、異常が発生する時刻を予測しても良い。例えば、情報処理装置Aは、挿入開始時刻或いは抜去開始時刻と、挿抜速度と、に基づいて、接続部10−1又は11−1に異常が発生する時刻を予測する。
【0081】
より具体的には、予測部54は、コネクタピン911にロングピン921が接した時刻、つまり、接続信号Sg21がHレベルからLレベルに変化した時刻を、挿入開始時刻とする。また、予測部54は、コネクタピン913からショートピン923が抜かれた時刻、つまり、接続信号Sg23がLレベルからHレベルに変化した時刻を、抜去開始時刻とする。
予測部54は、挿抜速度の速さ毎に異なる時間T3を予め記憶しておき、挿入開始時刻又は抜去開始時刻から時間T3が経過した後を、異常が発生する時刻と予測する。なお、時間T3は、挿抜速度が速い程、時間が短く、挿抜速度が遅いほど、時間が長い。
【0082】
また、例えば、予測部54は、予め定められた距離(「衝突距離」とも称する)を挿抜速度で除算し、挿入開始時刻から衝撃が発生するまでの時間を算出しても良い。例えば、ロングピン921の長さが、衝突距離と予め定められる。予測部54は、挿入開始時刻に、衝突距離を挿入速度で除算した時間を、加算する。予測部54は、加算後の時刻を、衝撃が発生する時刻を予測する。
つまり、予測部54は、ロングピン921がコネクタピン911に全て挿入された時点を、衝撃が発生する時刻であると予測する。なお、衝突距離は、シーケンスコネクタ9の形状に基づいて、定められても良い。
【0083】
このように、情報処理装置Aは、接続部での接続信号に基づいて、その接続部での端子の挿抜開始時刻を判定する。これにより、情報処理装置Aは、接続部における端子の挿抜開始時刻を判定できる。また、情報処理装置Aは、端子の接続開始時刻又は抜去開始時刻を用いて、異常が発生する時刻を予測する。これにより、情報処理装置Aは、異常が発生する時刻を、より正確に予測できる。
なお、予測部54は、衝撃信号Sg12に基づいて接続部10−1又は11−1に異常が発生すると予測し、挿抜速度に基づいて異常が発生する時刻を予測しても良い。
【0084】
[変形例3]
上記実施形態において、情報処理装置Aは、異常が発生すると予測した場合、その予想をLEDの点灯等によって可視化しても良い。これにより、情報処理装置Aは、例えば、保守員に対して、拡張ボード2の挿抜作業のトレーニングを行わせることができる。
例えば、対策部55は、予測部54から異常が発生することを表す予測結果信号が入力された場合、情報処理装置Aの出力部から異常を示す情報を出力する。この場合、例えば、対策部55は、情報処理装置Aのランプ(LEDライト等)を点灯しても良いし、情報処理装置Aのスピーカからエラー音を出力させても良い。
【0085】
このように、情報処理装置Aは、異常が発生すると予測した場合、その予想を出力部から異常を示す情報を出力する。これにより、情報処理装置Aは、異常の予測を可視化でき、例えば、保守員に対して、拡張ボード2の挿抜により、異常が発生するか否かを知らせることができる。例えば、情報処理装置Aは、保守員に対して、作業のトレーニングを行わせることができる。
【0086】
[変形例4]
上記実施形態において、情報処理装置Aは、異常の発生を予測した時点で、影響のある拡張ボード間の信号期待値の不正を無視しても良い。また、情報処理装置Aは、異常の発生を予測した時点で、接続部でオープン状態が発生することを防ぐようにドライブ(印可)しても良い。これにより、情報処理装置Aは、障害発生を防止することができる。
【0087】
例えば、対策部55は、拡張制御部56に対して、異常が発生すると判定された時刻から予め定められた期間だけ、制御信号Sg32又はSg42を無視するように指示する。
拡張制御部56は、対策部55からの指示に基づいて、異常が発生するタイミング又は期間だけ、制御信号Sg32又はSg42を無視する。例えば、拡張制御部56は、異常が発生するタイミング又は期間は、異常な制御信号Sg32又はSg42を検出したとしても、エラーと判定しない。
これにより、情報処理装置Aは、例えば、衝撃によって一時的に、制御信号Sg32又はSg42に接続不良のノイズによる異常、又は、接続部10−1、11−1との接続に接続不良の異常等が発生することを無視でき(予防でき)、異常の復帰後、異常が発生しなかったものとして、正常に運用させることができる。なお、接続不良のノイズによる異常が発生した場合、情報処理装置Aは、信号を無視して異常を表す報知等を行わない。一方、この場合に、情報処理装置Aは、無視した信号については、NACK(Negative ACKnowledge;否定)を返却して再送させても良い。
【0088】
また例えば、対策部55は、接続部10−1又は接続部11−1に対して、高い電力(電流又は電圧)を供給することで、接続部10−1又は接続部11−1がオープン状態になることを予防する。
接続部10−1又は接続部11−1は、対策部55からの指示に基づいた電力を、シーケンスコネクタ9−1(例えば、ノーマルピン922)に印加する。
【0089】
なお、予測部54が、異常が発生する時刻を予測した場合、対策部55は、拡張制御部56に対して、異常が発生する時刻から予め定められた期間だけ、制御信号Sg32又はSg42を無視しても良い。また、対策部55は、異常が発生する時刻の直前に、接続部10−1又は接続部11−1に対して、高い電力を供給しても良い。
【0090】
このように、情報処理装置Aは、異常の発生を予測した時点で、影響のある拡張ボード間の信号期待値の不正を無視する。また、情報処理装置Aは、異常の発生を予測した時点で、接続部でオープン状態が発生することを防ぐようにドライブ(印可)する。
これにより、情報処理装置Aは、一の接続部で端子が挿抜されたときに、他の接続部の接続に関する異常を予防できる。例えば、情報処理装置Aは、衝撃によって一時的に、制御信号Sg32又はSg42に接続不良のノイズによる異常、又は、接続部10−1、11−1との接続に接続不良の異常等が発生することを無視でき、異常の復帰後、異常が発生しなかったものとして、正常に運用させることができる。
【0091】
[変形例5]
上記実施形態において、情報処理装置Aは、衝撃の強さ又は挿抜速度に基づいて、基本ボード1の一部又は全部への影響、例えば、接続部10−1又は11−1への影響が発生する期間を予測してもよい。
【0092】
より具体的には、予測部54は、接続信号Sg21及びS23に基づいて、挿抜速度を算出し、挿抜速度に応じて、接続部10−1又は11−1への影響が発生する期間を予測してもよい。
例えば、予測部54は、衝撃の強さ又は挿抜速度毎に異なる時間T4を予め記憶する。時間T4は、衝撃の強さが強い程又は挿抜速度が速い程、時間が長く、衝撃の強さが弱い程又は挿抜速度が遅いほど、時間が短い。
この場合、予測部54は、挿抜速度に応じて時間T4を判定し、判定した時間T4を表す予測結果信号を生成して、対策部55へ出力する。ここで、予測部54は、衝撃が発生する時刻を予測した場合、この時刻又はこの時刻に予め定められた時間T5(衝撃が他の接続部へ伝達する時間)を加えた時刻(「異常開始時刻」とも称する)と時間T4を表す予測結果信号を生成して、対策部55へ出力しても良い。また、予測部54は、異異常開始時刻に時間T4を加えた時刻(「異常終了時刻」とも称する)を表す予測結果信号を生成して、対策部55へ出力しても良いし、異常開始時刻と異常終了時刻を表す予測結果信号を生成して、対策部55へ出力しても良い。
対策部55は、予測結果信号の受信から或いは予測結果信号が表わす時刻から時間T4だけ、異常の予防或いはその低減、又は、異常による影響の予防或いはその低減を行うように、各部(各回路)を制御する。
【0093】
このように、情報処理装置Aは、一の接続部での接続信号に基づいて、他の接続部への影響が発生する期間を予測する。これにより、情報処理装置Aは、異常が発生する期間を、より正確に予測できる。また、情報処理装置Aは、異常終了時刻を、より正確に予測でき、異常等への対策(例えば、信号の無視)を迅速に解除することができる。
【0094】
[変形例6]
上記実施形態において、情報処理装置Aは、例えば、接続部(シーケンスコネクタ)9−1、10−1、11−1の位置関係に基づいて、異常を予測しても良い。
より具体的には、予測部54は、接続部9−1で衝撃が検出された場合、接続部11−1より近い位置にある接続部10−1に対して、接続部11−1より大きい異常が発生すると予測する。ただし、本発明はこれに限らず、基本ボード1における接続部の位置関係や基本ボードの固定(ネジ穴)に応じたトルク(力のモーメント)を考慮したものであっても良い。例えば、予測部54は、接続部9−1で衝撃が検出された場合、接続部10−1より遠い位置にある接続部11−1に対して、接続部10−1より大きい異常が発生すると予測しても良い。
【0095】
このように、情報処理装置Aは、一の接続部と他の接続部との位置関係に基づいて、一の接続部での挿抜によって、他の接続部に異常が発生するか否か、又は、他の接続部に発生する異常の度合いや大きさを予測する。 これにより、情報処理装置Aは、他の接続部への影響を、より正確に予測できる。
【0096】
なお、上記実施形態において、情報処理装置Aでは、衝撃センサ12が、衝撃の強さが閾値を超えた場合に、衝撃信号Sg12をLレベルに変化させる場合について説明した。ただし、本発明はこれに限らず、衝撃センサ12は、衝撃の強さを表す衝撃信号Sg12を出力しても良い。この場合、予測部54は、衝撃信号Sg12が表わす衝撃の強さが閾値以上か否かを判定し、閾値以上の場合、異常が発生すると判定しても良い。
また、上記実施形態において、情報処理装置Aでは、予測部54が、異常が発生する予測する閾値を、接続部毎に異ならせても良い。また、予測部54は、異常が発生する予測する時刻又は期間を、接続部毎に異ならせても良い。
【0097】
また、上記実施形態において、情報処理装置Aでは、シーケンスコネクタ9−2が挿されるときと、抜かれるときで、衝撃が発生するか否かを判断する閾値を、異ならせても良い。一の接続部に端子が挿されるときと抜かれるとき、つまり、力の加わる方向によって、他の接続部への影響が異なる場合もある。端子が挿されるときと抜かれるときで閾値を異ならせることで、情報処理装置Aは、より正確に異常の発生を予測できる。
【0098】
また、上記実施形態において、情報処理装置Aでは、接続部9−1、10−1、11−1が、シーケンスコネクタである場合について説明したが、本発明はこれに限らず、接続部9−1、10−1、11−1は、シーケンスコネクタ以外のコネクタであっても良い。例えば、挿抜速度を検出する場合には、他の手段で挿抜速度を検出しても良い。
【0099】
また、上記実施形態において、予測部54は、複数の接続部9−1、10−1、11−1から信号(衝撃信号又は接続信号)が入力され、入力された信号を示す情報を、装置又は接続部を識別する識別情報、時刻を示す情報、拡張カードを識別するカード識別情報等と対応付けて、履歴情報として、記憶部(メモリ)に記憶させても良い。予測部54は、記憶部が記憶する履歴情報に基づいて、接続部の異常(交換時期)を予測しても良い。
【0100】
また、上記実施形態において、接続部9−1、10−1、11−1は、それぞれ異なる種類の端子(拡張スロット(例えば、PCI(Peripheral Component Interconnect)スロット)、USB、HDMI(登録商標))を挿抜する者であっても良い。
【0101】
例えば、予測部54は、接続部9−1、10−1、11−1毎に、衝撃が検出された(レベルが変化した)回数を計数する。予測部54は、計数した回数の合計値に基づいて、接続部9−1、10−1、11−1毎に、異常(交換要否や交換時期)を予測する。
ここで、予測部54は、衝撃が発生した接続部に応じて、計数した回数に重み付けをした値を合計しても良い。例えば、予測部54は、接続部9−1の異常を予測する場合、接続部9−1で検出された衝撃の回数には「1」を乗算する。この場合、予測部54は、接続部10−1、11−1で検出された衝撃の回数には「0.5」を乗算する。例えば、接続部9−1、10−1、11−1で検出された衝撃の回数をそれぞれ、100回、50回、30回とする。接続部9−1の異常を予測する場合、予測部54は、100回×1+50回×0.5+30回×0.5=140回を合計値として、異常を予測する。
一方、接続部11−1の異常を予測する場合、予測部54は、接続部9−1、10−1、11−1で検出された衝撃の回数には、それぞれ、「0.5」、「0.5」、「1」を乗算する。接続部11−1の異常を予測する場合、予測部54は、100回×0.5+50回×0.5+30回×1=105回を合計値として、異常を予測する。
このように、どの接続部の異常を予測するかで、重み付けは異なり、また、合計値も異なることとなる。
【0102】
図12は、本発明の実施形態に係る情報処理装置Aの構成の一例を示す概略ブロック図である。情報処理装置Aは、予測部54及び信号取得部51を含んで構成される。
信号取得部51は、端子が挿されたこと、又は抜かれたことによる衝撃を表す衝撃信号を取得する。予測部54は、衝撃信号に基づいて、端子が挿された、又は抜かれた装置への影響を予測する。
【0103】
なお、上記実施形態において、予測部54及び信号取得部51は、監視・制御部5以外、例えば、別の基板又は別の装置(筐体)に設けられても良い。
また、上記実施形態において、接続部9−1、10−1、11−1と、監視・制御部5又は予測部54及び信号取得部51とは、別の基板又は別の装置(筐体)に設けられても良い。
【0104】
なお、上記の情報処理装置Aは、各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、上記の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0105】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。