特許第6856263号(P6856263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856263同軸マスク位置合せデバイス、フォトリトグラフィ装置および位置合せ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856263
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】同軸マスク位置合せデバイス、フォトリトグラフィ装置および位置合せ方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20210329BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   G03F9/00 A
   G01B11/02 H
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-550689(P2018-550689)
(86)(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公表番号】特表2019-511747(P2019-511747A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】CN2017078939
(87)【国際公開番号】WO2017167260
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年11月2日
(31)【優先権主張番号】201610200702.3
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】チャン チェンシュアン
【審査官】 冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−312251(JP,A)
【文献】 特開2010−219452(JP,A)
【文献】 特開2006−242722(JP,A)
【文献】 特開2001−042547(JP,A)
【文献】 特開平10−048845(JP,A)
【文献】 特開2005−175383(JP,A)
【文献】 特開2007−250947(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1794095(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103383531(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103365098(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1828431(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24
9/00−9/02
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルを部品ステージと位置合せするための同軸レチクル位置合せデバイスであって、
前記レチクル上の第1のレチクル位置合せマークまたは第2のレチクル位置合せマーク上にアライメント光ビームを照射するように構成される、照明モジュール、
前記レチクルの下に配置され、前記第1のレチクル位置合せマークおよび前記第2のレチクル位置合せマークをそれぞれ結像するように構成された、投影対物レンズ、
前記部品ステージ上に配置され、基準マークを担持するように構成された、基準プレート、および、
前記部品ステージ上に配置された画像検出および処理モジュールであって、前記基準マークは前記画像検出および処理モジュールの視野内に位置し、前記レチクルと関連する前記部品ステージの移動の間、前記画像検出および処理モジュールは、前記第1のレチクル位置合せマーク、前記投影対物レンズおよび前記基準マークを順次通過した第1のアライメント光ビーム、および前記第2のレチクル位置合せマーク、前記投影対物レンズおよび前記基準マークを順次通過した第2のアライメント光ビームを受け取り、したがって、前記レチクル位置合せマークおよび前記基準マークの画像を捕獲し、前記レチクルを前記部品ステージと位置合せするように、前記第1のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間、および前記第2のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の相対的な位置情報を引き出すために処理される、画像検出および処理モジュール、
を含み
前記基準マーク並びに前記画像検出および処理モジュールは、前記第1および第2のレチクル位置合せマークによって共有され
画像検出および処理モジュールは、少なくともd×M+φ/2(ここで、dは、前記レチクル上の第1のレチクル位置合せマークと第2のレチクル位置合せマークとの間の距離を表し、Mは、投影対物レンズの拡大倍率を表し、φは、投影対物レンズを通過する第1または第2のアライメント光ビームによって投影対物レンズの焦点面上に形成されるぼけ点の直径を表す)に等しい距離だけ基準プレートの縁から離間される、同軸レチクル位置合せデバイス。
【請求項2】
各々が前記第1および第2のレチクル位置合せマークのそれぞれ1つに対応する2つの照明モジュールが含まれる、請求項1に記載の同軸レチクル位置合せデバイス。
【請求項3】
前記基準マークは、前記画像検出および処理モジュールの最適焦点面に位置決めされる、請求項1に記載の同軸レチクル位置合せデバイス。
【請求項4】
前記画像検出および処理モジュールは、画像形成レンズ群、検出器および処理ユニットを含む、請求項1に記載の同軸レチクル位置合せデバイス。
【請求項5】
前記検出器は、CCDまたはCMOSデバイスである、請求項に記載の同軸レチクル位置合せデバイス。
【請求項6】
照明モジュールによって提供されるアライメント光ビームは、同じ波長を有する、請求項2に記載の同軸レチクル位置合せデバイス。
【請求項7】
前記照明モジュールは、紫外線スペクトルのアライメント光ビームを出力する、請求項に記載の同軸レチクル位置合せデバイス。
【請求項8】
レチクルを部品ステージ上に露出される対象と位置合せするための、請求項1〜のいずれか1項に記載の同軸レチクル位置合せデバイスを含む、リソグラフィ装置。
【請求項9】
レチクル位置合せ方法であって、
1)第1のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、部品ステージ上の基準マーク上に入射するように、第1の照明モジュールから発せられた第1のアライメント光ビームをレチクル上の第1のレチクル位置合せマーク上に照射し、そして部品ステージを移動させる、ステップと、
2)前記部品ステージ上に配置される画像検出および処理モジュールによって、前記第1のレチクル位置合せマーク、前記投影対物レンズおよび前記基準マークを順次通過した前記第1のアライメント光ビームを受け取り、したがって、前記第1のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の第1の相対的な位置情報を引き出すために処理される、前記第1のレチクル位置合せマークおよび前記基準マークの画像を捕獲する、ステップと、
3)第2のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、基準マーク上に入射し、前記画像検出および処理モジュールのための前記部品ステージの移動の間、前記基準マークが前記画像検出および処理モジュールの視野内に位置するように、第2の照明モジュールから発せられた第2のアライメント光ビームをレチクル上の第2のレチクル位置合せマーク上に照射し、そして部品ステージを移動させる、ステップと、
4)画像検出および処理モジュールによって、前記第2のレチクル位置合せマーク、前記投影対物レンズおよび前記基準マークを順次通過した前記第2のアライメント光ビームを受け取り、したがって、前記第2のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の第2の相対的な位置情報を引き出すために処理される、前記第2のレチクル位置合せマークおよび前記基準マークの画像を捕獲し、前記第1のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の前記第1の相対的な位置情報、および前記第2のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の前記第2の相対的な位置情報に基づいて、前記レチクルを前記部品ステージと位置合せする、ステップと、
を含み、
前記基準マーク並びに前記画像検出および処理モジュールは、前記第1のレチクル位置合せマークおよび前記第2のレチクル位置合せマークによって共有され
画像検出および処理モジュールは、少なくともd×M+φ/2(ここで、dは、前記レチクル上の第1のレチクル位置合せマークと第2のレチクル位置合せマークとの間の距離を表し、Mは、投影対物レンズの拡大倍率を表し、φは、投影対物レンズを通過する第1または第2のアライメント光ビームによって投影対物レンズの焦点面上に形成されるぼけ点の直径を表す)に等しい距離だけ基準プレートの縁から離間される、レチクル位置合せ方法。
【請求項10】
レチクル位置合せ方法であって、
1)第1のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、基準プレート上の基準マーク上に入射し、前記基準マークが前記画像検出および処理モジュールの視野内に位置するように第1の照明モジュールから発せられた第1のアライメント光ビームをレチクル上の第1のレチクル位置合せマーク上に、および第2の照明モジュールから発せられた第2のアライメント光ビームを前記レチクル上の第2のレチクル位置合せマーク上に照射し、そして部品ステージを移動させる、ステップと、
2)前記部品ステージ上に配置される画像検出および処理モジュールによって、前記第1のレチクル位置合せマーク、前記投影対物レンズおよび前記基準マークを順次通過した前記第1のアライメント光ビームを受け取り、したがって、前記第1のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の第1の相対的な位置情報を引き出すために処理される、前記第1のレチクル位置合せマークおよび前記基準マークの画像を捕獲する、ステップと、
3)第2のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、基準マーク上に入射するように、部品ステージを移動させる、ステップと、
4)画像検出および処理モジュールによって、前記第2のレチクル位置合せマーク、前記投影対物レンズおよび前記基準マークを順次通過した前記第2のアライメント光ビームを受け取り、したがって、前記第2のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の第2の相対的な位置情報を引き出すために処理される、前記第2のレチクル位置合せマークおよび前記基準マークの画像を捕獲し、前記第1のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の前記第1の相対的な位置情報、および前記第2のレチクル位置合せマークと前記基準マークとの間の前記第2の相対的な位置情報に基づいて、前記レチクルを前記部品ステージと位置合せする、ステップと、
を含み、
前記基準マーク並びに前記画像検出および処理モジュールは、前記第1のレチクル位置合せマークおよび前記第2のレチクル位置合せマークによって共有され
画像検出および処理モジュールは、少なくともd×M+φ/2(ここで、dは、前記レチクル上の第1のレチクル位置合せマークと第2のレチクル位置合せマークとの間の距離を表し、Mは、投影対物レンズの拡大倍率を表し、φは、投影対物レンズを通過する第1または第2のアライメント光ビームによって投影対物レンズの焦点面上に形成されるぼけ点の直径を表す)に等しい距離だけ基準プレートの縁から離間される、レチクル位置合せ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の分野に、特に、同軸レチクル位置合せデバイス、フォトリトグラフィ装置および位置合せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)チップ製造中に、使用されるリソグラフィマシンの所望の精度を達成するために、レチクル、レチクルステージ、対象、ウェハおよび部品ステージが統一位置関係において動作することができるように、リソグラフィマシンのさまざまな座標系の関係を正確に定めることが必要である。通常、リソグラフィマシンの位置合せシステムは、レチクル位置合せシステムおよびウェハ・アライメント・システムを含む。大部分のレチクル位置合せシステム(例えば、リソグラフィシステム、準リソグラフィマシンおよび欠陥検査装置を先進に包装するためのもの)は、マシンビジョンの原則に従うように設計される。この種の設計において、レチクルマーク位置合せシステムは、特定の厚みを有するガラスプレートにより介在されると共に、レチクルマークを画像形成して検出するために、レチクル(レチクルマーク)より上に概して配置される。あるいは、レチクルマーク位置合せシステムは、マークを直接画像形成して検出するために、レチクル(レチクルマーク)の下に配置されてもよい。
【0003】
システムがレチクル(レチクルマーク)より上に配置されるときに、レチクル厚み製造公差により導入される焦点ずれの不確定度のための焦点深度を有することを、センサは必要とする。必要な焦点深度を達成するために、アライメント精度はしばしば危うくされか、または垂直焦点機構が追加され、そしてそれは、構造的複雑さを増加させる傾向がある。他方で、システムがレチクル(レチクルマーク)の下に配置されるときに、レチクルステージは、位置合せシステム用のさらなる広がりを有するためにより大きくならなければならず、そしてそれは、増加した構造的複雑さに至ることもできる。
【0004】
既存のTFTリソグラフィマシンは、その露出光源を用いてレチクル位置合わせをしばしば達成する。しかしながら、包装リソグラフィマシンのために、それが通常照明光源の高い露出適用量で動作するので、それがレチクル位置合わせのための光源にも向かう場合、検出器損傷および低下した測定の正確さが発生することがある。さらに、既存のTFTリソグラフィマシンがレチクルマークのイメージングおよび検出のために部品ステージにおいて2セットの画像形成レンズおよび検出器をしばしば採用するので、それは通常構造が複雑であり、高価である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
より効果的なアライメントが可能で、レチクル厚み公差からのエラーまたは異なるアライメントアクションの中で発生するエラーを免れる、同軸レチクル位置合せ(alignment)デバイス、リソグラフィ装置および位置合せ方法を提供することは、本発明の目的である。
【0006】
この目的で、本発明は、
レチクル上のレチクル位置合せマーク上にアライメント光ビームを照射するように構成される、照明モジュール、
レチクルの下に配置されて、レチクル位置合せマークの画像を形成するように構成される、投影対物レンズ(projection objective)、
部品ステージ上に配置されて、基準マークを担持するように構成される、基準プレート、および、
基準プレートの下に配置される画像検出および処理モジュールであって、基準マークは画像検出および処理モジュールの視野の範囲内に位置し、レチクルと関連する部品ステージの移動の間、画像検出および処理モジュールは、レチクル位置合せマーク、投影対物レンズおよび基準マークを順次通過したアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、レチクル位置合せマークおよび基準マークの画像を捕獲し、そして画像は、レチクルを部品ステージと位置合せするように、レチクル位置合せマークと基準マークとの間の相対的な位置情報を引き出すために処理される、画像検出および処理モジュール、
を含む、レチクルを部品ステージと位置合せするための同軸レチクル位置合せデバイスを提供する。
【0007】
任意には、レチクルは、1つ以上のレチクル位置合せマークを備えてよく、そして、各々がレチクル位置合せマークのそれぞれ1つに対応する同数の照明モジュールが含まれる。
【0008】
任意には、基準マークおよび画像検出および処理モジュールは、レチクル位置合せマークによって共有されてよく、そして、部品ステージをともなう画像検出および処理モジュールのレチクルと関連する移動の間、画像検出および処理モジュールは、レチクル位置合せマークの各々と基準マークとの間の相対的な位置情報を得るために、投影対物レンズを通過したアライメント光ビームを連続して受け取る。
【0009】
任意には、同軸レチクル位置合せデバイスにおいて、画像検出および処理モジュールは、部品ステージの範囲内に配置されてよい。
【0010】
任意には、同軸レチクル位置合せデバイスにおいて、基準マークは、画像検出および処理モジュールの最適焦点面に置かれてよい。
【0011】
任意には、同軸レチクル位置合せデバイスにおいて、画像検出および処理モジュールは、画像形成レンズ群、検出器および処理ユニットを含んでよい。
【0012】
任意には、同軸レチクル位置合せデバイスにおいて、検出器は、CCDまたはCMOSデバイスでもよい。
【0013】
任意には、同軸レチクル位置合せデバイスにおいて、基準マークは、反射する金属マークでもよい。
【0014】
任意には、同軸レチクル位置合せデバイスにおいて、照明モジュールによって提供されるアライメント光ビームは、同じ波長を有してよい。
【0015】
任意には、同軸レチクル位置合せデバイスにおいて、照明モジュールは、紫外線スペクトルのアライメント光ビームを出力してよい。
【0016】
本発明はまた、レチクルを部品ステージ上に露出(expose)される対象(object)と位置合せするための、上記記載の同軸レチクル位置合せデバイスを含むリソグラフィ装置を提供する。
【0017】
本発明はまた、
1)第1のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、部品ステージ上の基準マーク上に入射するように、第1の照明モジュールから発する第1のアライメント光ビームをレチクル上の第1のレチクル位置合せマーク上に照射し、そして部品ステージを移動させる、ステップと、
2)基準マークの下に配置される画像検出および処理モジュールによって、第1のレチクル位置合せマーク、投影対物レンズおよび基準マークを順次通過した第1のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第1のレチクル位置合せマークおよび基準マークの画像を捕獲する、ステップであって、次いで画像は、第1のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第1の相対的な位置情報を引き出すために処理される、ステップと、
3)第2のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、基準マーク上に入射するように、第2の照明モジュールから発する第2のアライメント光ビームをレチクル上の第2のレチクル位置合せマーク上に照射し、そして部品ステージを移動させる、ステップと、
4)画像検出および処理モジュールによって、第2のレチクル位置合せマーク、投影対物レンズおよび基準マークを順次通過した第2のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第2のレチクル位置合せマークおよび基準マークの画像を捕獲し、次いで画像は、第2のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第2の相対的な位置情報を引き出すために処理され、さらに、第1のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第1の相対的な位置情報、および第2のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第2の相対的な位置情報に基づいて、レチクルを部品ステージと位置合せする、ステップと、
を含む、レチクル位置合せ方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、
1)第1のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、基準プレート上の基準マーク上に入射するように、第1の照明モジュールから発する第1のアライメント光ビームをレチクル上の第1のレチクル位置合せマーク上に、および第2の照明モジュールから発する第2のアライメント光ビームをレチクル上の第2のレチクル位置合せマーク上に照射し、そして部品ステージを移動させる、ステップと、
2)基準マークの下に配置される画像検出および処理モジュールによって、第1のレチクル位置合せマーク、投影対物レンズおよび基準マークを順次通過した第1のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第1のレチクル位置合せマークおよび基準マークの画像を捕獲する、ステップであって、次いで画像は、第1のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第1の相対的な位置情報を引き出すために処理される、ステップと、
3)第2のアライメント光ビームが投影対物レンズを通過して、基準マーク上に入射するように、部品ステージを移動させる、ステップと、
4)画像検出および処理モジュールによって、第2のレチクル位置合せマーク、投影対物レンズおよび基準マークを順次通過した第2のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第2のレチクル位置合せマークおよび基準マークの画像を捕獲し、次いで画像は、第2のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第2の相対的な位置情報を引き出すために処理され、さらに、第1のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第1の相対的な位置情報、および第2のレチクル位置合せマークと基準マークとの間の第2の相対的な位置情報に基づいて、レチクルを部品ステージと位置合せする、ステップと、
を含む、レチクル位置合せ方法を提供する。
【0019】
任意には、レチクル位置合せ方法において、ステップでは、第1のアライメント光ビームが、投影対物レンズを通過、部品ステージ上の基準マーク上を照射すると、第2のアライメント光ビームは、基準プレートからオフセットされる。
【0020】
任意には、レチクル位置合せ方法において、画像検出および処理モジュールは、部品ステージ上に配置され、少なくともd×M+φ/2(ここで、dは、レチクル上の第1のレチクル位置合せマークと第2のレチクル位置合せマークとの間の距離を表し、Mは、投影対物レンズの拡大倍率を表し、φは、投影対物レンズを通過する第1または第2のアライメント光ビームによって投影対物レンズの焦点面上に形成されるぼけ点の直径を表す)に等しい距離だけ基準プレートの縁から離間される。
【0021】
従来技術と比較して、本発明において提供される同軸レチクル位置合せデバイス、リソグラフィ装置および位置合せ方法では、専用の別々の照射手段が使用され、そしてそれは小型化を許容する。加えて、それは部品ステージの中に埋め込まれることができ、そして、レチクル厚み公差からのエラーを免れることを可能にして、レチクル位置合せシステムの構造複雑化を回避する。さらに、画像検出および処理モジュールによる基準マークおよびレチクル位置合せマークの同時イメージングは、レチクル位置合せマークおよび基準マークの同時測定を可能にし、そして、アライメント効率のさらなる改良に結果としてなり、複数の異なるアライメントアクションの中で発生するエラーを減らす。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態による同軸レチクル位置合せデバイスの概略的構成図である。
図2図2は、同軸レチクル位置合せデバイスの基準プレートおよび画像モジュールの概略的構成図である。
図3図3は、本発明の別の実施形態によるレチクル位置合せ方法を視覚的に例示するフローチャートである。
図4図4は、本発明の他の実施形態によるレチクル位置合せ方法を視覚的に例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の同軸レチクル位置合せデバイス、リソグラフィ装置および位置合せ方法は、添付図面を参照して以下により詳細に記載され、そしてそれは本発明の好ましい実施形態を示す。まだその有益な結果を得る一方で、当業者が本明細書に開示される本発明の変更をすることができると認められる。したがって、以下の説明は、本発明を制限するとしてよりもむしろ当業者に広く知られることを目的として解釈される。
【0024】
説明の単純さおよび明快さのために、開示された特定の実施形態のすべての特徴が記載されるわけではない。加えて、周知の機能および構造の説明および詳細は、本発明を不必要に不明瞭にすることを回避するために省略される。本発明のいかなる特定の実施形態の開発も開発者の特定の目的(例えばシステム関連および事業関連の制約の迎合性)を達成するために実行される特定の決定を含み、そしてそれは1つの実施から別のものまで変化する。さらに、この種の開発作業は、複雑でおよび時間がかかるかもしれないが、にもかかわらず当業者にとって日常的な仕事である。
【0025】
本発明は、添付図面を参照して例として以下にさらに記載される。本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、そして添付の請求の範囲からより明らかである。本発明のいくつかの図示する例を説明する際の便宜および明快さを容易にする唯一の意図によって、添付図面は、必ずしもスケールを表さない非常に単純な形で提供されることに留意されたい。
【0026】
同軸レチクル位置合せデバイス、リソグラフィ装置および位置合せ方法の好ましい実施形態は、本発明がよりよく理解されるために以下に列挙される。本発明が以下に開示される実施形態に制限されなくて、その精神および範囲の範囲内で共通の一般知識に基づいて当業者によってなされるすべての修正を受け入れることを意図する点に留意する必要がある。
【0027】
ここで図1を参照すると、図1は、本発明の一実施形態による同軸レチクル位置合せデバイスの概略的構成図である。図示のように、レチクル5を部品ステージ12に位置合せするための同軸レチクル位置合せデバイスは、各々、レチクル5上のレチクル位置合せマーク6、7のそれぞれの1つの上にアライメント光ビームを照射するように構成される照明モジュールA、B、レチクル位置合せマーク6、7の画像を形成するように構成される、レチクル5の下の投影対物レンズ8、基準マーク10をサポートするように構成される、部品ステージ12上の基準プレート9、および、基準プレート9の下の画像検出および処理モジュール11、を含む。基準マーク10は、画像検出および処理モジュール11の視野(FOV)の範囲内に位置する。照明モジュールAによって照らされるレチクル位置合せマーク6の画像が(図1(a)に示すように)画像検出および処理モジュール11のFOVの投影対物レンズ8によって形成されるように部品ステージ12が移動するときに、画像検出および処理モジュール11は、レチクル位置合せマーク6、投影対物レンズ8および基準マーク10を順次通過したアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、レチクル位置合せマーク6および基準マーク10の画像を捕獲する。次いで画像は、レチクル位置合せマーク6と基準マーク10との間の第1の相対的な位置情報を引き出すために処理される。照明モジュールBによって照らされるレチクル位置合せマーク7の画像が(図1(b)に示すように)画像検出および処理モジュール11のFOVの投影対物レンズ8によって形成されるように部品ステージ12がさらに移動するときに、画像検出および処理モジュール11は、レチクル位置合せマーク7、投影対物レンズ8および基準マーク10を順次通過したアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、レチクル位置合せマーク7および基準マーク10の画像を捕獲する。次いで画像は、レチクル位置合せマーク7と基準マーク10との間の第2の相対的な位置情報を引き出すために処理される。第1および第2の位置情報は、部品ステージ12とのレチクル5のアライメントにおいて使われることができる。
【0028】
レチクル5は、1つ以上のレチクル位置合せマークを備えていてよく、そして、各々がレチクル位置合せマークのそれぞれ1つに対応する同数の照明モジュールが含まれていてよい。例えば、本発明の好ましい実施態様において、図1に示すように、2つのレチクル位置合せマーク、すなわち、第1のレチクル位置合せマーク6および第2のレチクル位置合せマーク7が設けられ、そして対応して、2つの照明モジュール、すなわち、第1の照明モジュールAおよび第2の照明モジュールBが含まれる。
【0029】
第1の照明モジュールAは、光源1および照明レンズ群2を含んでよい。光源1から発せられる光は、第1のアライメント光ビームを形成するために照明レンズ群2によって処理されてよい。同様に、第2の照明モジュールBは、光源3および照明レンズ群4を含んでよく、そして、光源3から発せられる光は、第2のアライメント光ビームを形成するために照明レンズ群4によって処理されてよい。
【0030】
好ましくは、第1および第2の照明モジュールA、Bによって提供されるアライメント光ビームは、例えば、紫外(UV)スペクトルの範囲内の同じ波長を有する。
【0031】
加えて、アライメント光ビームの生成および使用を容易にするために、照明モジュールの各々は、対応するアライメント光ビームがレチクル5等を照らすためにそれを通過することができるように、所望に応じて開かれることができるシャッタ(図示せず)を含んでよい。
【0032】
投影対物レンズ8、基準マーク10および画像検出および処理モジュール11の各々は、レチクル位置合せマーク6、7によって共有される。画像検出および処理モジュール11は、部品ステージ12の移動の間、投影対物レンズ8からアライメント光ビームを連続して受け取り、それに基づいて、相対的な位置情報は、レチクル位置合せマーク6、7と基準マーク10との間に引き出される。
【0033】
好ましくは、画像検出および処理モジュール11は、部品ステージ12の範囲内に配置される。図2に示すように、画像検出および処理モジュール11は、画像形成レンズ群111、検出器112および処理ユニット113を含んでよい。検出器112は、リアルタイム画像捕獲が可能なCCDまたはCMOSデバイスでもよい。処理ユニット113は、FOVにおけるレチクル位置合せマーク6、7および基準マーク10の画素位置を引き出すために、捕獲画像を処理する別々のプロセッサで動作してよい。次いで、部品ステージ12に関するレチクル5の位置合せされた位置は、オブジェクト−画像変換マトリックスを用いて得られる。
【0034】
基準マーク10は、例えば、反射する金属マークでもよい。好適な実施において、基準マーク10は、基準プレート9上に設けられてよい。基準プレート9は、画像検出および処理モジュール11と統合されてよく、そして、画像検出および処理モジュール11より上に配置される。さらに図2に示すように、基準マーク10は、画像検出および処理モジュール11の最適焦点面に位置してよい。
【0035】
基準プレート9および画像検出および処理モジュール11が部品ステージ12によって担持されるので、それらは部品ステージ12と同期して移動可能である。さらに、基準プレート9および画像検出および処理モジュール11の位置の調整を容易にするように、それらは、部品ステージ12の上下運動ユニット(存在する場合)上に配置されることができる。このように、部品ステージ12の位置、そしてそれ故、部品ステージ12上に配置される部品14の位置は、基準マーク10とレチクル位置合せマーク6、7との間の相対位置に由来してよい。さらに、図1に示すように、同軸レチクル位置合せデバイスは、対物レンズ8のそばに配置される軸外れアライメント・レンズ13を付加的に含んでよい。軸外れアライメント・レンズ13に対応する軸外れ基準マークは、基準プレート9上に設けられ、すなわち、軸外れ基準マークも基準プレート9上に形成される。軸外れ基準マークは、基準マーク10または基準プレート9の異なる位置の別の基準マークとして実施されてよい。
【0036】
そのような原則で、本発明はまた、レチクルを露出されるオブジェクトと位置合せするための同軸レチクル位置合せデバイスを含むリソグラフィ装置を提供する。同軸レチクル位置合せデバイスは、上記記載の通りでもよい。
【0037】
以下、本発明の別の実施形態によるレチクル位置合せ方法の詳細について説明する。図1および図3を参照すると、レチクル位置合せ方法は、次のステップを含む。
【0038】
ステップS11において、第1の照明モジュールAは、レチクル5上の第1のレチクル位置合せマーク6上に照射される第1のアライメント光ビームを発する。第1のアライメント光ビームが投影対物レンズ8を通過して、部品ステージ12上の基準マーク10上に入射するように、部品ステージ12は移動する。
【0039】
ステップS12において、基準マーク10の下の画像検出および処理モジュール11は、第1のレチクル位置合せマーク6、投影対物レンズ8および基準マーク10を順次通過した第1のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第1のレチクル位置合せマーク6および基準マーク10の画像を捕獲し、次いで画像は、第1のレチクル位置合せマーク6と基準マーク10との間の第1の相対的な位置情報を引き出すために処理される。
【0040】
ステップS13において、第2の照明モジュールBは、レチクル5上の第2のレチクル位置合せマーク7上に照射される第2のアライメント光ビームを発する。第2のアライメント光ビームが投影対物レンズ8を通過して、基準マーク10上に入射するように、部品ステージ12はさらに移動する。
【0041】
ステップS14において、画像検出および処理モジュール11は、第2のレチクル位置合せマーク7、投影対物レンズ8および基準マーク10を順次通過した第2のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第2のレチクル位置合せマーク7および基準マーク10の画像を捕獲し、次いで画像は、第2のレチクル位置合せマーク7と基準マーク10との間の第2の相対的な位置情報を引き出すために処理される。第1のレチクル位置合せマーク6と基準マーク10との間の第1の相対的な位置情報、および第2のレチクル位置合せマーク7と基準マーク10との間の第2の相対的な位置情報に基づいて、レチクル5は、部品ステージ12と位置合せされる。
【0042】
以下、本発明の他の実施形態によるレチクル位置合せ方法の詳細について説明する。図1および図4を参照すると、レチクル位置合せ方法は、次のステップを含む。
【0043】
ステップS21において、第1の照明モジュールAは、レチクル5上の第1のレチクル位置合せマーク6上に照射される第1のアライメント光ビームを発する。同時に、第2の照明モジュールBは、レチクル5上の第2のレチクル位置合せマーク7上に照射される第2のアライメント光ビームを発する。第1のアライメント光ビームが投影対物レンズ8を通過して、部品ステージ12上の基準マーク10上に入射するように、部品ステージ12は移動する。ステップS21において、第1アライメント光ビームが、投影対物レンズ8を通過し部品ステージ12上の基準マーク10に照射されると、第2アライメント光ビームは、基準プレート9からオフセットされる。
【0044】
ステップS22において、基準マーク10の下の画像検出および処理モジュール11は、第1のレチクル位置合せマーク6、投影対物レンズ8および基準マーク10を順次通過した第1のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第1のレチクル位置合せマーク6および基準マーク10の画像を捕獲し、次いで画像は、第1のレチクル位置合せマーク6と基準マーク10との間の第1の相対的な位置情報を引き出すために処理される。
【0045】
ステップS23において、第2のアライメント光ビームが投影対物レンズ8を通過して、基準マーク10に入射するように、部品ステージ12はさらに移動する。この点で、第1のアライメント光ビームは、基準プレート9からオフセットされる。
【0046】
ステップS24において、画像検出および処理モジュール11は、第2のレチクル位置合せマーク7、投影対物レンズ8および基準マーク10を順次通過した第2のアライメント光ビームを受け取り、そしてそれ故、第2のレチクル位置合せマーク7および基準マーク10の画像を捕獲し、次いで画像は、第2のレチクル位置合せマーク7と基準マーク10との間の第2の相対的な位置情報を引き出すために処理される。第1のレチクル位置合せマーク6と基準マーク10との間の第1の相対的な位置情報、および第2のレチクル位置合せマーク7と基準マーク10との間の第2の相対的な位置情報に基づいて、レチクル5は、部品ステージ12と位置合せされる。
【0047】
1つのアライメント光ビームの検出の間、他のアライメント光ビームも投影対物レンズ8を通って進行して、部品ステージ12に達することを考慮すると、他のアライメント光ビーム(例えば、紫外光ビーム)による部品14の望ましくない露出を防止するために、同軸レチクル位置合せデバイスのレイアウトは、他のアライメント光ビームが部品14上に照射されないように設計されてよい。このレイアウトは、部品ステージのストローク、第1のレチクル位置合せマーク6と第2のレチクル位置合せマーク7との間の距離d、および投影対物レンズの拡大倍率Mに依存する。投影対物レンズの焦点面上の第1および第2のレチクル位置合せマーク6、7のプロジェクションは、D=d×Mに等しい中心−中心間距離だけ互いに離間される。さらに視準制約、すなわち、投影対物レンズの焦点面上の投影画像のぶれ(blur)、を考慮するときに、次いで画像検出および処理モジュール11は、少なくともd×M+φ/2(ここでφは、ぼけ点(blur spot)の直径を意味する)に等しい距離だけ基準プレート9の縁から離間されなければならない。


【0048】
従来技術と比較して、本発明の同軸レチクル位置合せデバイス、リソグラフィ装置および位置合せ方法において、各レチクル位置合せマークは、別々の照明モジュールを備え、そしてアライメントは、1つだけの画像検出および処理モジュールを使用して達成されることができる。したがって、構造小型性は達成可能である。さらに、単一の画像検出および処理モジュールは、レチクル(レチクルマーク)の下に配置されて、部品ステージの中に埋め込まれることができる。これは、レチクル厚み公差を考慮しなければならない課題を回避して、レチクル位置合せシステムの構造を単純化する。さらに、画像検出および処理モジュールによる基準マークおよびレチクル位置合せマークの同時イメージングは、レチクル位置合せマークおよび基準マークの同時測定を可能にし、そして、アライメント効率のさらなる改良に結果としてなり、複数の異なるアライメントアクションの中で発生するエラーを減らす。
【0049】
当業者が本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲で本発明にさまざまな修正および変更をすることができることは、明らかである。したがって、それらが添付の請求の範囲およびその等価物の範囲内になる場合、本発明はこの種のすべての修正および変更を受け入れることを意図する。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4