(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
熱電変換デバイスの出力は、一般的に、熱電変換材料を多く配置するほど大きくなる。しかしながら、熱電変換デバイスが単純なシート構造である場合や、蛇腹構造である場合には、熱源に対する接触部分が不安定となり易く、加熱される部分における温度のばらつきが大きくなる傾向がある。熱電変換デバイスの使用時に、複数の熱電変換材料間において、加熱される部分の温度のばらつきが大きい場合には、一部の熱電変換材料において加熱される温度が低くなり、熱電変換効率が低くなる傾向がある。
【0007】
本発明は、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる熱電変換デバイスを提供することを目的とする。本発明は、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる積層熱電変換デバイスを提供することを目的とする。また、本発明は、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる放熱構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の広い局面によれば、基材と、前記基材の上面上に配置された少なくとも2つの第1の電極Aと、前記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第2の電極Aと、前記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第1の熱電変換材料Aと、前記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第2の熱電変換材料Aとを備え、前記第1の電極Aと、前記第1の熱電変換材料Aと、前記第2の電極Aと、前記第2の熱電変換材料Aと、前記第1の電極Aとが、この順で接続されて熱電変換素子Aが構成されており、前記基材が、第1の折れ曲がり部を有し、前記基材が、前記第1の折れ曲がり部の一方側に第1の領域と、前記第1の折れ曲がり部の他方側に第2の領域とを有し、前記熱電変換素子Aが、前記第1の領域及び前記第2の領域に配置されており、前記第1の電極Aが、前記第1の領域、又は、前記第1及び第2の領域に配置されており、前記第1の熱電変換材料A、及び前記第2の熱電変換材料Aが前記第2の領域、又は、前記第1及び第2の領域に配置されており、前記第2の電極Aが、前記第2の領域に配置されている、熱電変換デバイスが提供される。
【0009】
本発明に係る熱電変換デバイスのある特定の局面では、熱電変換デバイスは、前記基材の上面上に配置された少なくとも2つの第1の電極Bと、前記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第2の電極Bと、前記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第1の熱電変換材料Bと、前記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第2の熱電変換材料Bとをさらに備え、前記第1の電極Bと、前記第1の熱電変換材料Bと、前記第2の電極Bと、前記第2の熱電変換材料Bと、前記第1の電極Bとが、この順で接続されて熱電変換素子Bが構成されており、前記基材が、第2の折れ曲がり部を有し、前記基材が、前記第1,第2の折れ曲がり部の間に前記第1の領域と、前記第1の折れ曲がり部の外側に前記第2の領域と、前記第2の折れ曲がり部の外側に第3の領域とを有し、前記熱電変換素子Bが、前記第1の領域及び前記第3の領域に配置されており、前記第1の電極Bが、前記第1の領域、又は、前記第1及び第3の領域に配置されており、前記第1の熱電変換材料B、及び前記第2の熱電変換材料Bが前記第3の領域、又は、前記第1及び第3の領域に配置されており、前記第2の電極Bが、前記第3の領域に配置されている。
【0010】
本発明に係る熱電変換デバイスのある特定の局面では、前記熱電変換素子Aと前記熱電変換素子Bとが電気的に接続されている。
【0011】
本発明に係る熱電変換デバイスのある特定の局面では、前記熱電変換デバイスは、前記第2の電極Aを少なくとも2つ有し、前記第1の熱電変換材料Aを少なくとも2つ有し、前記第1の電極Aと、前記第1の熱電変換材料Aと、前記第2の電極Aと、前記第2の熱電変換材料Aと、前記第1の電極Aと、前記第1の熱電変換材料Aと、前記第2の電極Aとが、この順で接続されて前記熱電変換素子Aが構成されている。
【0012】
本発明の広い局面によれば、前記熱電変換デバイスを複数有し、複数の前記熱電変換デバイスが、前記第1の領域において、互いに接触している部分を有する、積層熱電変換デバイスが提供される。
【0013】
本発明に係る積層熱電変換デバイスのある特定の局面では、複数の前記熱電変換デバイスが、前記第2の領域及び前記第3の領域のそれぞれにおいて、互いに接触していない部分を有する。
【0014】
本発明の広い局面によれば、熱源と、前記熱電変換デバイスとを備え、前記熱源に対して、前記熱電変換デバイスが、前記第1の領域において接触している、放熱構造体が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る熱電変換デバイスは、基材と、上記基材の上面上に配置された少なくとも2つの第1の電極Aと、上記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第2の電極Aと、上記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第1の熱電変換材料Aと、上記基材の上面上に配置された少なくとも1つの第2の熱電変換材料Aとを備え、上記第1の電極Aと、上記第1の熱電変換材料Aと、上記第2の電極Aと、上記第2の熱電変換材料Aと、上記第1の電極Aとが、この順で接続されて熱電変換素子Aが構成されており、上記基材が、第1の折れ曲がり部を有し、上記基材が、上記第1の折れ曲がり部の一方側に第1の領域と、上記第1の折れ曲がり部の他方側に第2の領域とを有し、上記熱電変換素子Aが、上記第1の領域及び上記第2の領域に配置されており、上記第1の電極Aが、上記第1の領域、又は、上記第1及び第2の領域に配置されており、上記第1の熱電変換材料A、及び上記第2の熱電変換材料Aが上記第2の領域、又は、上記第1及び第2の領域に配置されており、上記第2の電極Aが、上記第2の領域に配置されているので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。
【0016】
本発明に係る積層熱電変換デバイスは、本発明の熱電変換デバイスを複数有し、複数の上記熱電変換デバイスが、上記第1の領域において、互いに接触している部分を有するので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。
【0017】
また、本発明に係る放熱構造体は、熱源と、本発明の熱電変換デバイスとを備え、上記熱源に対して、上記熱電変換デバイスが、上記第1の領域において接触しているので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る熱電変換デバイスは、基材と、少なくとも2つの第1の電極と、少なくとも1つの第2の電極と、少なくとも1つの第1の熱電変換材料と、少なくとも1つの第2の熱電変換材料とを備える。上記第1の電極、上記第2の電極、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料は、上記基材の上面上に配置されている。上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極とが、この順で接続されて熱電変換素子が構成されている。上記第1の電極に、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料が積層されている。上記第2の電極に、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料が積層されている。なお、本発明に係る熱電変換デバイスの使用時の方向性は特に限定されない。本明細書においては、上記基材の上記熱電変換素子が配置されている表面を、上面と呼ぶ。熱電変換デバイスの使用時には、基材の上面が上方に位置するとは限らない。
【0021】
上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料のうち一方が、p型熱電変換材料であり、他方がn型熱電変換材料である。上記第1の熱電変換材料がn型熱電変換材料であり、上記第2の熱電変換材料がp型熱電変換材料であってもよい。
【0022】
本発明に係る熱電変換デバイスは、上記第1の電極、上記第2の電極、上記第1の熱電変換材料、上記第2の熱電変換材料及び上記熱電変換素子として、第1の電極A、第2の電極A、第1の熱電変換材料A、第2の熱電変換材料A及び熱電変換素子Aを備える。
【0023】
上記熱電変換デバイスの出力を効果的に高める観点からは、本発明に係る熱電変換デバイスは、上記第1の電極、上記第2の電極、上記第1の熱電変換材料、上記第2の熱電変換材料及び上記熱電変換素子として、第1の電極B、第2の電極B、第1の熱電変換材料B、第2の熱電変換材料B及び熱電変換素子Bをさらに備えることが好ましい。
【0024】
上記基材は第1の折れ曲がり部を有する。上記基材は、上記第1の折れ曲がり部の一方側に第1の領域と、上記第1の折れ曲がり部の他方側に第2の領域とを有する。熱電変換素子Aは、上記第1の領域及び上記第2の領域に配置されている。第1の電極Aは上記第1の領域、又は、上記第1及び第2の領域に配置されている。第1の熱電変換材料A、及び第2の熱電変換材料Aは、上記第2の領域、又は、上記第1及び第2の領域に配置されている。第2の電極Aは上記第2の領域に配置されている。
【0025】
本明細書において、上記第1の折れ曲がり部により分けられた上記第1の領域及び上記第2の領域において配置されている熱電変換素子を、熱電変換素子Aと呼ぶ。また、この熱電変換素子Aを構成する上記第1の電極、上記第2の電極、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料をそれぞれ、第1の電極A、第2の電極A、第1の熱電変換材料A及び第2の熱電変換材料Aと呼ぶ。例えば、上記第1の電極Aが上記第1の領域に配置されており、かつ上記第1の熱電変換材料A及び上記第2の熱電変換材料Aが上記第1の領域及び上記第2の領域に配置されていてもよい。上記第1の電極Aが上記第1の領域及び上記第2の領域に配置されており、かつ上記第1の熱電変換材料A及び上記第2の熱電変換材料Aが上記第2の領域に配置されていてもよい。上記第1の電極Aが上記第1の領域及び上記第2の領域に配置されており、かつ上記第1の熱電変換材料A及び上記第2の熱電変換材料Aが上記第1の領域及び上記第2の領域に配置されていてもよい。上記第1の電極A、上記第1の熱電変換材料A及び上記第2の熱電変換材料Aは、これらのいずれの配置であってもよい。
【0026】
熱電変換素子Aを備える熱電変換デバイスにおいては、発電に際し、上記熱電変換デバイスは、上記第1の領域において、熱源に接触させることができる。上記熱電変換デバイスは、上記第2の領域において、熱源に接触させないようにすることができる。これにより、複数の第1の電極Aが一様に、かつ安定的に加熱されるので、複数の第1の電極A間における温度のばらつきを抑制することができる。さらに、上記熱電変換デバイスは、上記第1の折れ曲がり部を有するので、上記熱電変換デバイスの上記第1の領域は熱源に接触するが、上記第2の領域は熱源に接触しない。上記第2の領域全体から放熱することができるので、放熱性を高めることができる。第1の熱電変換材料Aの第1の電極A側と第2の電極A側とにおける温度差及び第2の熱電変換材料Aの第1の電極A側と第2の電極A側とにおける温度差を大きくすることができ、熱電変換効率を高くすることができる。
【0027】
上記熱電変換デバイスの出力を効果的に高め、かつ小型化する観点からは、上記基材が、第2の折れ曲がり部を有し、上記基材が、上記第1,第2の折れ曲がり部の間に上記第1の領域と、上記第1の折れ曲がり部の外側に上記第2の領域と、上記第2の折れ曲がり部の外側に第3の領域とを有し、熱電変換素子Bが、上記第1の領域及び上記第3の領域に配置されていることが好ましい。上記第1の領域及び上記第3の領域に配置された熱電変換素子Bは、第1の電極Bと、第1の熱電変換材料Bと、第2の電極Bと、第2の熱電変換材料Bと、第1の電極Bとが、この順で接続されて構成されている。第1の電極Bは第1の領域、又は、上記第1及び第3の領域に配置されている。第1の熱電変換材料B、及び第2の熱電変換材料Bは、上記第3の領域、又は、上記第1及び第3の領域に配置されている。第2の電極Bは第3の領域に配置されている。
【0028】
本明細書において、上記第2の折れ曲がり部により分けられた上記第1の領域及び上記第3の領域において配置されている熱電変換素子を、熱電変換素子Bと呼ぶ。また、この熱電変換素子Bを構成する上記第1の電極、上記第2の電極、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料をそれぞれ、第1の電極B、第2の電極B、第1の熱電変換材料B及び第2の熱電変換材料Bと呼ぶ。例えば、上記第1の電極Bが上記第1の領域に配置されており、かつ上記第1の熱電変換材料B及び上記第2の熱電変換材料Bが上記第1の領域及び上記第3の領域に配置されていてもよい。上記第1の電極Bが上記第1の領域及び上記第3の領域に配置されており、かつ上記第1の熱電変換材料B及び上記第2の熱電変換材料Bが上記第3の領域に配置されていてもよい。上記第1の電極Bが上記第1の領域及び上記第3の領域に配置されており、かつ上記第1の熱電変換材料B及び上記第2の熱電変換材料Bが上記第1の領域及び上記第3の領域に配置されていてもよい。上記第1の電極B、上記第1の熱電変換材料B及び上記第2の熱電変換材料Bは、これらのいずれの配置であってもよい。
【0029】
熱電変換素子A及び熱電変換素子Bを備える熱電変換デバイスにおいては、発電に際し、上記熱電変換デバイスは、上記第1の領域において、熱源に接触させることができる。上記熱電変換デバイスは、上記第2の領域及び上記第3の領域の双方において、熱源に接触させないようにすることができる。上記熱電変換デバイスが、上記第2の領域に加えて、熱源に接触しない上記第3の領域を有することにより、熱源に接触する部分の大面積化を招くことなく、上記熱電変換素子を複数配置することができる。従って、上記熱電変換デバイスの出力を効果的に高くすることができ、かつ小型化を図ることができる。
【0030】
上記第1の領域及び上記第2の領域に配置されている上記熱電変換素子Aと、上記第1の領域及び上記第3の領域に配置されている上記熱電変換素子Bとは、電気的に接続されていてもよい。この場合には、例えば、上記第1の電極により、上記熱電変換素子Aと上記熱電変換素子Bとが接続されていてもよい。上記熱電変換素子Aと、上記熱電変換素子Bとは、電気的に接続されていなくてもよい。
【0031】
上記熱電変換デバイスを破損し難くする観点からは、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料が上記第1の領域に配置されていないことが好ましい。この場合には、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料が折れ曲がり部を有さないので、破損し難い。
【0032】
上記熱電変換デバイスの信頼性を高くする観点からは、上記熱電変換デバイスは、上記基材の上面上に、上記第1の熱電変換材料、上記第2の熱電変換材料、上記第1の電極及び上記第2の電極を覆うように配置された封止材を備えることが好ましい。上記熱電変換素子は、上記封止材により封止されていることが好ましい。
【0033】
上記熱電変換デバイスの出力を効果的に高める観点からは、上記熱電変換デバイスは、上記第1の熱電変換材料又は上記第2の熱電変換材料を複数有することが好ましい。具体的には、本発明では複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制し、熱電変換効率を高めることができるので、上記熱電変換デバイスは、上記第2の電極を少なくとも2つ有し、上記第1の熱電変換材料を少なくとも2つ有することが好ましい。上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極とが、この順で接続されて上記熱電変換素子が構成されていることが好ましい。熱電変換素子Aがこのような構造を有することが好ましく、熱電変換素子Bもこのような構造を有することが好ましい。
【0034】
また、本発明では複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制し、熱電変換効率を高めることができるので、上記第2の電極を少なくとも2つ有し、上記第1の熱電変換材料を少なくとも2つ有することに加え、上記熱電変換デバイスは、上記第1の電極を少なくとも3つ有し、上記第2の熱電変換材料を少なくとも2つ有することがより好ましい。上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極とが、この順で接続されて上記熱電変換素子が構成されていることがより好ましい。熱電変換素子Aがこのような構造を有することが好ましく、熱電変換素子Bもこのような構造を有することが好ましい。
【0035】
さらに、本発明では複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制し、熱電変換効率を高めることができるので、上記熱電変換デバイスは、上記第1の電極を少なくとも3つ有し、上記第2の熱電変換材料を少なくとも2つ有することに加え、上記第2の電極を少なくとも3つ有し、上記第1の熱電変換材料を少なくとも3つ有することがさらに好ましい。上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極とが、この順で接続されて上記熱電変換素子が構成されていることがさらに好ましい。熱電変換素子Aがこのような構造を有することが好ましく、熱電変換素子Bもこのような構造を有することが好ましい。
【0036】
上記熱電変換デバイスの配置の自由度を高くする観点からは、上記基材が柔軟性を有することが好ましい。この場合には、熱源の形状に応じて、上記熱電変換デバイスを変形させ易い。
【0037】
上記第1の折れ曲がり部及び上記第2の折れ曲がり部では、曲線状に折れ曲がっていてもよく、所定の角度で折れ曲がっていてもよい。上記第1の折れ曲がり部と上記第2の折れ曲がり部とは、平行に配置されていることが好ましい。但し、上記第1の折れ曲がり部と上記第2の折れ曲がり部とは平行に配置されていなくてもよい。
【0038】
上記熱電変換デバイスの配置の自由度をより一層高くする観点からは、上記熱電変換デバイスが、上記第2の電極を複数有し、かつ上記基材が、上記第2の領域に切り込み部を有し、上記切り込み部によって分けられた一方側に、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極との第1の接続部分が配置されており、上記切り込み部によって分けられた他方側に、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極との第2の接続部分が配置されていることが好ましい。熱電変換デバイスが第2の領域においてこのような構造を有することが好ましく、熱電変換デバイスが第3の領域においてこのような構造を有することが好ましい。上記基材が、上記第2の領域における隣り合う上記第2の電極間において、上記切り込み部を有することが好ましい。なお、上記第2の領域の上記第1,第2の接続部分は、第1,第2の接続部分Aである。上記第3の領域の上記第1,第2の接続部分は、第1,第2の接続部分Bである。上記第2の領域の上記切り込み部は、切り込み部Aである。上記第3の領域の上記切り込み部は、切り込み部Bである。
【0039】
上記熱電変換デバイスは上記切り込み部を有する場合には、上記熱電変換デバイスをより一層変形させやすい。例えば、第1の領域の延びる方向(例えば長さ方向)において、熱電変換デバイスを湾曲させることができる(具体的には、
図1における熱電変換デバイス1は、第1の領域の中央において手前側に、第1の領域の両端において奥側に湾曲させることができる)。例えば、柱状の熱源に上記第1の領域が螺旋状に接触するように、上記熱電変換デバイスを配置することもできる。上記切り込み部を有する熱電変換デバイスは、熱源が曲面状の表面を有する場合などに、好適に用いることができる。
【0040】
上記第1の接続部分は複数の上記第2の電極を含んでいてもよい。具体的には、例えば、上記第1の接続部分が上記第2の電極を2つ含む場合には、上記第1の接続部分は、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極とがこの順で接続された部分を有する。例えば、上記第1の接続部分が上記第2の電極を3つ含む場合には、上記第1の接続部分は、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極と、上記第2の熱電変換材料と、上記第1の電極と、上記第1の熱電変換材料と、上記第2の電極とが、この順で接続された部分を含む。同様に、上記第2の接続部分も、複数の上記第2の電極を含んでいてもよい。
【0041】
上記第1の接続部分及び上記第2の接続部分が、それぞれ1つの第2の電極を含むことが好ましい。すなわち、上記基材が、上記第2の領域における全ての隣り合う上記第2の電極間において、上記切り込み部を有することが好ましい。この場合には、上記熱電変換デバイスをより一層変形させやすく、上記熱電変換デバイスの配置の自由度をより一層高くすることができる。
【0042】
上記切り込み部は、隣り合う上記第1の熱電変換材料と上記第2の熱電変換材料とが上記第1の電極により電気的に接続されている限りにおいて、上記第1の領域に至っていてもよい。
【0043】
上記熱電変換デバイスが上記第2の折れ曲がり部及び上記第3の領域を有する場合において、上記熱電変換デバイスの配置の自由度をより一層高くする観点からは、上記第1の領域における上記切り込み部と同様に、上記基材が上記第3の領域に切り込み部を有することが好ましい。この場合には、上記熱電変換デバイスをより一層変形させやすい。
【0044】
本発明に係る積層熱電変換デバイスは、上記熱電変換デバイスを複数有し、複数の上記熱電変換デバイスが、上記第1の領域において、互いに接触している部分を有する。発電に際し、上記複数の熱電変換デバイスが上記第1の領域において加熱される。これにより、上記複数の第1の電極が安定的に加熱されるので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。加えて、熱源に接触する部分の面積を変えずに、上記熱電変換素子をより一層多く配置することができるので、出力を効果的に高くすることができ、かつ小型化を図ることができる。
【0045】
なお、上記積層熱電変換デバイスにおいては、上記複数の熱電変換デバイスは上記第2の領域又は上記第3の領域において、互いに接触している部分を有していてもよい。
【0046】
上記積層熱電変換デバイスの熱電変換効率をより一層高くする観点からは、複数の上記熱電変換デバイスが、上記第2の領域及び上記第3の領域のそれぞれにおいて、互いに接触していない部分を有することが好ましい。この場合には、上記第2の領域及び上記第3の領域における放熱性を高めることができ、熱電変換効率を高くすることができる。
【0047】
上記積層熱電変換デバイスの熱電変換効率をより一層高くする観点からは、上記熱電変換デバイスにおいて、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料が上記第1の領域に配置されていないことが好ましい。この場合には、上記複数の熱電変換デバイスが上記第1の領域で互いに接触している部分において、上記第1の電極と上記基材との間に、上記第1の熱電変換材料及び上記第2の熱電変換材料が介在しない。発電に際し、上記複数の熱電変換デバイスが上記第1の領域において互いに接触している部分において、上記第1の電極が効率的に加熱されるので、熱電変換効率を効果的に高くすることができる。
【0048】
本発明に係る放熱構造体は、熱源と、上記熱電変換デバイスとを備え、上記熱源に対して、上記熱電変換デバイスが、上記第1の領域において接触している。上記複数の第1の電極が安定的に加熱されるので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。
【0049】
上記放熱構造体の出力を効果的に高くする観点からは、上記放熱構造体が熱源と、上記積層熱電変換デバイスとを備え、上記熱源に対して、上記積層熱電変換デバイスの最も外側の上記熱電変換デバイスが、上記第1の領域において接触していることが好ましい。この場合には、上記複数の第1の電極が安定的に加熱されるので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。加えて、熱源に接触する部分の面積を変えずに、上記熱電変換素子をより一層多く配置することができるので、出力を効果的に高くすることができ、かつ小型化を図ることができる。
【0050】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0051】
図1は、本発明の一実施形態に係る熱電変換デバイスの平面図である。
図2は、
図1に示す一実施形態に係る熱電変換デバイスの略図的斜視図である。
【0052】
なお、実施形態において参照する図面は、模式的に記載されており、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。具体的な物体の寸法の比率などは、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0053】
図1及び
図2に示す熱電変換デバイス1は、柔軟性を有する基材2を備える。基材2は、第1の折れ曲がり部2aと第2の折れ曲がり部2bとを有する。なお、
図1中においては、破線により第1,第2の折れ曲がり部2a,2bを示す。基材2は、第1,第2の折れ曲がり部2a,2bの間に第1の領域Cと、第1の折れ曲がり部2aの外側に第2の領域Dと、第2の折れ曲がり部2bの外側に第3の領域Eとを有する。基材2の材料として、例えば、樹脂などを用いることができる。
【0054】
図1に示すように、熱電変換デバイス1は、基材2の第1の領域C及び第2の領域Dにおける上面上に形成された熱電変換素子3Aと、基材2の第1の領域C及び第3の領域Eにおける上面上に形成された熱電変換素子3Bとを備える。熱電変換素子3Aは、複数の熱電変換素子3A部分が接続されて構成されている。熱電変換素子3A部分は、2つの第1の電極4aと、1つの第2の電極4bと、第1の熱電変換材料5と、第2の熱電変換材料6とを有する。熱電変換素子3A部分は、第1の電極4a、第1の熱電変換材料5、第2の電極4b、第2の熱電変換材料6、第1の電極4aが、この順で接続されて構成されている。なお、熱電変換素子は、少なくとも1つの熱電変換素子部分を有していればよい。
【0055】
本実施形態では、第1の電極4aと第2の電極4bとに接続されている第1の熱電変換材料5の延びる方向、及び、第1の電極4aと第2の電極4bとに接続されている第2の熱電変換材料6の延びる方向とは平行である。なお、第1の電極と第2の電極とに接続されている第1の熱電変換材料の延びる方向、及び、第1の電極と第2の電極とに接続されている第2の熱電変換材料の延びる方向は平行ではなくてもよい。
【0056】
本実施形態では、第1の熱電変換材料5はp型熱電変換材料であり、第2の熱電変換材料6はn型熱電変換材料である。
【0057】
複数の熱電変換素子3A部分は、第1の電極4aと第2の電極4bとに接続されている第1の熱電変換材料5の延びる方向、及び、第1の電極4aと第2の電極4bとに接続されている第2の熱電変換材料6の延びる方向のそれぞれと直交する方向に、並んで配置されている。各熱電変換素子3A部分の1つの第1の電極4aは、隣接する熱電変換素子3A部分の1つの第1の電極4aと共通の電極である。すなわち、第2の熱電変換材料6が接続された第1の電極4aには第1の熱電変換材料5が接続されており、該第1の熱電変換材料5には、さらに第2の電極4bが接続されている。2つ以上の熱電変換素子部分が連なっていてもよく、3つ以上の熱電変換素子部分が連なっていてもよい。
【0058】
同様に、熱電変換素子3Bも、複数の熱電変換素子3B部分が接続されて構成されている。熱電変換素子3B部分は、第1の電極4a、第1の熱電変換材料5、第2の電極4b、第2の熱電変換材料6、第1の電極4aが、この順で接続されて構成されている。複数の熱電変換素子3Bは、複数の熱電変換素子3Aと同様に並んで配置されている。熱電変換素子3Aと熱電変換材料3Bとは、電気的に接続されている。本実施形態では、熱電変換素子3Aの第2の熱電変換材料6と熱電変換素子3Bの第1の熱電変換材料5とが、第1の電極4aにより電気的に接続されている。
【0059】
基材2は、第2の領域Dに複数の切り込み部2cを有する。切り込み部2cによって分けられた一方側に、第1の接続部分7aが配置されており、切り込み部2cによって分けられた他方側に、第2の接続部分7bが配置されている。本実施形態では、第1の接続部分7aは1つの熱電変換素子3A部分を含み、第2の接続部分7bは1つの熱電変換素子3A部分を含む。第1の接続部分7aと第2の接続部分7bとが交互に並んで配置されている。
【0060】
基材2は、第3の領域Eに複数の切り込み部2cを有する。第3の領域Eにおいても、第2の領域Dと同様に第1の接続部分7a及び第2の接続部分7bが配置されている。
【0061】
発電に際し、熱電変換デバイス1は、第1の領域Cにおいて、熱源に接触する。これにより、複数の第1の電極4aが一様に、かつ安定的に加熱されるので、複数の第1の電極4a間における温度のばらつきを抑制することができる。さらに、
図2に示すように、熱電変換デバイス1は、第1,第2の折れ曲がり部2a,2bを有するので、第1の領域Cは熱源に接触するが、第2の領域D及び第3の領域Eは熱源に接触しないので、第2の領域D及び第3の領域E全体から放熱することができ、放熱性を高めることができる。従って、熱電変換効率を高くすることができる。
【0062】
熱電変換デバイス1の基材2は柔軟性を有し、かつ切り込み部2cを有するため、熱源が曲面等を有する場合に、熱電変換デバイス1を変形させやすく、熱電変換デバイス1の配置の自由度を高くすることができる。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態に係る積層熱電変換デバイスの模式的正面図である。
【0064】
図3に示す積層熱電変換デバイス10は、
図1に示す熱電変換デバイス1を複数有する。積層熱電変換デバイス10は、複数の熱電変換デバイス1が、第1の領域Cにおいて、互いに接触している部分を有する。
【0065】
発電に際し、複数の熱電変換デバイス1が第1の領域Cにおいて加熱される。これにより、複数の第1の電極が安定的に加熱されるので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。加えて、熱源に接触する部分の面積を変えずに、熱電変換素子をより一層多く配置することができるので、出力を効果的に高くすることができ、かつ小型化を図ることができる。
【0066】
本実施形態では、積層されている複数の熱電変換デバイス1における第1,第2の折れ曲がり部における折れ曲がり角度が異なる。具体的には、熱電変換デバイス1の積層方向の一方側から他方側に向けて、折れ曲がり角度が次第に大きくなっている。積層されている熱電変換デバイス1のうち一方の熱電変換デバイス1の第1の領域Cに対する第2,第3の領域D,Eの傾斜角度と、積層されている熱電変換デバイス1のうち他方の熱電変換デバイス1の第1の領域Cに対する第2,第3の領域D,Eの傾斜角度とが異なる。これにより、複数の熱電変換デバイス1は、第2の領域D及び第3の領域Eのそれぞれにおいて、互いに接触していない部分を有するので、複数の熱電変換デバイス1の第2,第3の領域D,Eにおける放熱性を高めることができる。従って、熱電変換効率をより一層高くすることができる。
【0067】
図4は、本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的正面図である。
【0068】
図4に示す放熱構造体20は、熱源22と、
図3に示す積層熱電変換デバイス10とを備える。熱源22に対して、積層熱電変換デバイス10の最も外側の熱電変換デバイス1が、第1の領域において接触している。
【0069】
熱源22の形状は、特に限定されず、平板状であってもよく、柱状であってもよい。熱源22の表面形状は、特に限定されず、平面状であってもよく、曲面状であってもよい。
【0070】
放熱構造体20では、積層熱電変換デバイス10の複数の第1の電極が安定的に加熱されるので、複数の熱電変換材料間における温度のばらつきを抑制することができ、熱電変換効率を高くすることができる。加えて、熱源22に接触する部分の面積を変えずに、熱電変換素子をより一層多く配置することができるので、出力を効果的に高くすることができ、かつ小型化を図ることができる。