(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電線配索部は、各電池の電極の配列方向に沿って電極の側方に配置されている。したがって、電圧検知線を電線配索体に収容させて配索するには、電池の電極に接続した電圧検知線を電極の配列方向に対して側方へ引き出し、さらに、各電圧検知線を電極の配列方向に沿わせるように電線配索部の上方で屈曲させながら電線配索部内へ押し込み、これらの電圧検知線が電線配索部から出ないように保持しつつ蓋体を開口部に被せるという煩雑な作業を要する。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線をバスバモジュールに容易に配索することが可能な電線配索方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電線配索方法は、下記(1)〜(6)を特徴としている。
【0008】
(1) 複数の電池で構成された電池集合体の隣接する前記電池の電極を電気的に接続するバスバと、
前記バスバをそれぞれ収容する複数のバスバ収容部と、
前記バスバ収容部の配列方向に沿って設けられ、前記バスバとともに前記電極に接続される複数の電線が配索される電線配索体と、
を備えたバスバモジュールにおいて前記電線を配索する電線配索方法であって、
前記電線の一端が、前記電極と電気的に接続される電池側端子に接続され、
前記電線の他端が、コネクタに収容されるコネクタ側端子に接続され、
前記コネクタが、前記バスバ収容部の配列方向に沿って移動可能であ
り、
前記電線の一端を前記電池側端子に接続し、前記他端を前記コネクタ側端子に接続する作業が、前記コネクタを前記配列方向に沿って移動させつつ行われる、
ことを特徴とする電線配索方法。
(2) 前記バスバ収容部及び前記電線配索体の少なくとも一方には、各前記電極に接続される電線の引出し方向を規制するガイド部が形成され、
前記コネクタは、各前記電極に応じた位置ごとに前記引出し方向の延長線上に停止する、
ことを特徴とする(1)に記載の電線配索方法。
(3) リールから引き出された前記電線の一端を、前記電池側端子に接続し、
前記コネクタを、前記電極に応じた位置に移動し、
前記電線を前記リールから切断して形成された前記電線の他端を、前記コネクタに保持されたコネクタ側端子に接続する、
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の電線配索方法。
(4) 前記電極の数に応じた前記電線の一端を所定間隔で長尺の保持具に保持し、
前記電線の他端をコネクタ側端子に接続し、
前記コネクタ側端子を前記コネクタのキャビティに収容し、
前記保持具を長手方向が前記バスバ収容部の配列方向に沿うように設置し、
前記コネクタを、前記電極に応じた位置に移動し、
前記電線の一端を前記電池側端子に接続する、
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の電線配索方法。
(5) 前記電池側端子は、前記電線を接続する電線接続部を有し、
前記電線接続部は、前記電線配索体に対し前記電極よりも離隔した位置であり、かつ、前記電線配索体に引き出された前記電線の引出し方向と異なる向きに前記電線を接続する、
ことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の電線配索方法。
(6) 前記電池側端子は、前記電線を接続する電線接続部を有し、
前記電線接続部は、前記電線配索体に引き出された前記電線の引出し方向と異なる向きに前記電線を接続し、
前記電線は、前記バスバ収容部内において、前記電線接続部に接続される向きから前記引出し方向に屈曲し、
前記バスバ収容部には、前記電線の屈曲状態を保持する保持部が設けられた、
ことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の電線配索方法。
【0009】
上記(1)の構成の電線配索方法によれば、電線の一端を電池側端子に接続し、他端をコネクタ側端子に接続する作業を、コネクタをバスバ収容部の配列方向に沿って移動させつつ行うことにより、電池の電極に接続する電線をバスバモジュールに容易に配索することができる。したがって、電線配索体への電線の配索作業性を向上させることができる。
上記(2)の構成の電線配索方法によれば、電線の一端を電池側端子に接続し、他端をコネクタ側端子に接続する作業を、各電線の引出し方向の延長線上にコネクタを順次停止させて容易に行うことができる。
上記(3)の構成の電線配索方法によれば、リールから引き出された電線の一端を、電池側端子に接続し、電線をリールから切断して形成された電線の他端をコネクタ側端子に接続する作業を、電極に応じた位置にコネクタを順次停止させて容易に行うことができる。
上記(4)の構成の電線配索方法によれば、電線の他端が接続されたコネクタを、電池の電極に応じた位置に順次停止させつつ、各電極に応じた位置に電線の一端を固定することにより、電線の配索作業を容易に行うことができる。
上記(5)の構成の電線配索方法によれば、電線を接続する電線接続部が、電線配索体に対し電極よりも離隔した位置であり、かつ、電線の引出し方向と異なる向きに電線を接続するので、配索される電線にゆとりをもたせることができる。したがって、電線に対し張力が印加された際に、電線接続部に張力が急激に加わることを抑制しつつ配索作業を行うことができる。
上記(6)の構成の電線配索方法によれば、電線がバスバ収容部内で屈曲した状態で保持されるので、電線に対し張力が印加された際に、電線接続部に張力が急激に加わることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電線をバスバモジュールに容易に配索することが可能な電線配索方法を提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る電線配索方法が適用されるバスバモジュールを備えた電源装置を例示する斜視図である。
【0015】
図1に示すように、バスバモジュール11は、複数の電池12からなる電池集合体13に重ねて取り付けられて電源装置14を構成する。電源装置14は、例えば、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータを併用して走行するハイブリッド自動車等に搭載されて用いられ、電動モータに動力を供給するものである。
【0016】
図2は、
図1に示す電源装置のバスバモジュールの平面図である。
図3は、
図2に示すバスバモジュールの一部の斜視図である。
【0017】
図2及び
図3に示すように、バスバモジュール11は、樹脂から成形されたもので、複数のバスバ収容部20と電線配索体21とを備えている。バスバ収容部20は、枠状に形成されており、このバスバ収容部20にバスバ16が収容されて保持されている。バスバ16は、電池集合体13を構成する複数の電池12のそれぞれから突出した電極12a(
図1参照)に締結される。また、それぞれのバスバ収容部20には、端子17が収容されている。
【0018】
バスバモジュール11が電池集合体13に取付けられた状態で、端子17は、バスバ16とともに、電池12の電極12aに締結される。端子17は、電圧検知線19の一端に接続されている。これにより、電圧検知線19は、端子17を介して電極12aに接続され、電極12aから側方へ引き出されている。電圧検知線19は、その他端がコネクタ18に接続されている。コネクタ18は、図示しない電圧検知装置に接続される。
【0019】
バスバモジュール11の電線配索体21は、電線配索部22を有している。電線配索部22は、バスバ収容部20の配列方向に沿って形成されている。この電線配索部22は、下面板部23と上面板部24とを有しており、バスバ収容部20と反対側である電圧検知線19の引き出し方向前方側に開口部25を有している。
【0020】
電線配索体21には、バスバ収容部20に繋がる導入スリット27が形成されている。これらの導入スリット27は、電線配索部22を形成する上面板部24に形成されており、本実施形態においては、電圧検知線19の引き出し方向がバスバ収容部20の配列方向と直交する方向であるため、導入スリット27も同様に、バスバ収容部20の配列方向と直交する方向である電圧検知線19の引き出し方向に沿って形成されている。そして、各バスバ収容部20と電線配索部22とは、導入スリット27によって連通されている。
【0021】
図4は、
図2に示すバスバモジュールを示す図であって、
図4(a)は電線配索部の開口部を閉じた状態の幅方向に沿う断面図、
図4(b)は電線配索部の開口部を開いた状態の幅方向に沿う断面図である。
【0022】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、電線配索部22には、蓋体28が一体的に設けられている。蓋体28は、電線配索部22に沿って複数設けられている(
図2参照)。これらの蓋体28は、電線配索部22を形成する下面板部23の縁部にヒンジ29によって回動可能に連結されている。電線配索部22は、蓋体28を回動させることで、その開口部25が開閉される。
【0023】
図3に示すように、電圧検知線19の一端に接続された端子17は、導電性の金属板にプレス加工を施すことで形成されたものであり、バスバ接続部31と、電線接続部32とを備えている。バスバ接続部31は、バスバ16に重ねられてバスバ16とともに電極12aに電気的に接続される部位であり、略正方形状に形成されている。このバスバ接続部31には、その中央部に孔部31aが設けられており、孔部31aには、バスバ16の孔部16aとともに電池12の電極12aが通される。バスバ接続部31は、バスバ16に重ねられた状態で電池12の電極12aに締結される。電線接続部32は、電圧検知線19の導体が露出された一端に圧着されており、これにより、端子17は、電圧検知線19の導体と電気的に接続されている。なお、端子17を構成するバスバ接続部31は、正方形状に限らず、長方形状や円形状等であっても良い。
【0024】
端子17に接続された電圧検知線19は、電池12の電極12aに固定された端子17のバスバ接続部31の面に沿って引き出されている。そして、これらの電圧検知線19は、それぞれ上面板部24に形成された導入スリット27に通されて電線配索部22内に導入されて収容されている。電線配索部22内に収容された電圧検知線19は、電線配索部22の一端側から引き出されてコネクタ18に接続されている。
【0025】
次に、他の構造の端子を備えたバスバモジュール11について説明する。
図5は、他の構造の端子の斜視図である。
図6は、他の構造の端子を備えたバスバモジュールの幅方向に沿う断面図である。
【0026】
図5及び
図6に示すように、この端子51は、バスバ接続部31の一辺に、一対の圧接刃52を有する電線接続部54を備えている。圧接刃52は、電圧検知線19が圧入されるスリット52aを有しており、バスバ接続部31の一辺に沿って互いに間隔をあけて配置されている。この端子51では、圧接刃52のスリット52aに電圧検知線19を圧入することで、電圧検知線19の被覆が切られ、内部の導体がスリット52aに食い込む。これにより、端子51が電圧検知線19の導体と電気的に接続される。
【0027】
図6に示すように、端子51を用いる場合、バスバモジュール11のバスバ収容部20に端子51を収容し、電極12aの位置に対応するように、端子51の孔部31aとバスバ16の孔部16aとを一致させてバスバ16に固定する。このとき、電線接続部54の圧接刃52が電圧検知線19の引き出し方向に沿って配列されるように、端子51を、電線接続部54が側方へ向くように固定する。そして、この端子51の電線接続部54の圧接刃52に電圧検知線19を圧接させて接続し、電圧検知線19を上記と同じ手順により電線配索体21から引き出した後に、端子51を電池12の電極12aに締結する。
【0028】
このように、圧接刃52を有する電線接続部54を備えた端子51を用いれば、電圧検知線19を接続する前に端子51をバスバモジュール11のバスバ収容部20に収容し、電池12の電極12aに対応する位置に予め固定しておくことができる。
【0029】
次に、本実施形態に係る電線配索方法について説明する。
図7は、
図2に示すバスバモジュール11に電圧検知線19を配索する方法を示す一連の作業工程図であって、
図7(a)から
図7(g)は、それぞれの各作業における概略平面図である。ここでは、端子17のバスバ接続部31を略円形状として示している。また、電圧検知線19のコネクタ18側の端部(他端19b)には、コネクタ18内のキャビティに挿入される端子26が圧着される。
【0030】
図7(a)に示すように、リール71から電圧検知線19となる電線を引き出し、その一端19aを末端加工して端子17に圧着した後、電線把持具41に保持させる。電線把持具41は、電線を挟持可能な複数のスリットを有する長尺の保持具である。
【0031】
図7(b)に示すように、リール71から電圧検知線19を切断し、電圧検知線19の他端19bを末端加工して端子26に圧着した後、電線把持具41に保持させる。これを、バスバモジュール11に配索するすべての電圧検知線19について繰り返す。
【0032】
図7(c)に示すように、すべての電圧検知線19を保持させた電線把持具41を作業台72にセットし、すべての電圧検知線19の他端19b側の端子26をコネクタ18の各キャビティに挿入する。
【0033】
図7(d)に示すように、バスバモジュール11を作業台72にセットする。また、作業台72上には、コネクタ18をバスバ収容部20の配列方向にスライド可能な溝あるいはレール等の案内機構が形成されており、コネクタ18をこの案内機構の配索作業開始位置にセットする。この例では、バスバモジュール11の右端部にコネクタ18をセットしている。そして、1本目(最も右側)の電圧検知線19の一端19aを電線把持具41から取り外し、その端子17をバスバ16における電池12の1番目(最も右側)の電極12aに対応する位置に、バスバ16の孔部16aと端子17の孔部31aとが重なった状態で固定する。
【0034】
図7(e)に示すように、コネクタ18を次の位置(一つ左側の電極12aの位置)に移動させ、次の電圧検知線19について同じ作業を順次繰り返す。このとき、電線配索部22の開口部25を開けた状態としておく。そして、各電圧検知線19を、電線配索体21の導入スリット27へ通し、電線配索部22内に導入する。このようにすると、各導入スリット27に通された各電圧検知線19が電線配索部22を通り、バスバ収容部20と反対側である電圧検知線19の引き出し方向前方側の開口部25から引き出された状態とされる。
【0035】
図7(f)に示すように、コネクタ18をバスバモジュール11の一端側(左端側)へ引きながら開口部25から引き出された各電圧検知線19を電線配索部22内に収容させる。
【0036】
図7(g)に示すように、蓋体28を回動させて電線配索部22の開口部25に被せて閉塞させる。その後、バスバモジュール11が電池集合体13に重ねて取り付けられた状態で端子17を電池の電極12aに締結する。
【0037】
上記一連の作業によって、電源装置14に装着されたバスバモジュール11には、その電線配索体21に、端子17が接続された電圧検知線19が収容される。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態の電線配索方法によれば、電圧検知線19の両端19a、19bにそれぞれ端子17、26が圧着される構成において、電圧検知線19の他端19b側の端子26をコネクタ18に挿入した後、コネクタ18を配索作業開始位置にセットし、そのコネクタ18を電池12の電極12aに応じた位置に順次移動させて、各電極12aに対応する位置に各電圧検知線19の一端19aを固定していくことにより、電圧検知線19の配索作業を容易に行うことができる。したがって、バスバモジュール11への電圧検知線19の配索作業性を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、バスバモジュール11の電線配索体21の電線配索部22が、電圧検知線19の引き出し方向前方側に開口部25を有するので、電池12の電極12a側から電線配索部22に導入され、電線配索部22の開口部25から引き出された電圧検知線19をまとめて屈曲させて電線配索部22内へ入れることができる。これにより、開口部が電圧検知線の引き出し方向と直交する上方に形成されている場合と比較し、電圧検知線19を束ねて電線配索部22内に一括して収容させ、バスバ収容部20の配列方向に配索させることができる。したがって、電線配索体21への電圧検知線19の配索作業性をより向上させることができる。
【0040】
また、上面板部24に、電極12aに接続されて引き出された電圧検知線19の引き出し方向に沿って電線配索部22と連通する導入スリット27が形成されているので、電極12a側から引き出された電圧検知線19を、導入スリット27から電線配索部22内へ容易に導入させることができ、電圧検知線19の配索作業性をさらに向上させることができる。
【0041】
図8は、
図2に示すバスバモジュール11に電圧検知線19を配索する別の方法を示す一連の作業工程図であって、
図8(a)から
図8(g)は、それぞれの各作業における概略平面図である。
【0042】
図8(a)に示すように、リール71から電圧検知線19となる電線を引き出し、その一端19aを末端加工した後、電線把持具41に保持させる。
【0043】
図8(b)に示すように、リール71から電圧検知線19を切断し、電圧検知線19の他端19bを末端加工した後、端子26を圧着し、電線把持具41に保持させる。これを、バスバモジュール11に配索するすべての電圧検知線19について繰り返す。
【0044】
図8(c)に示すように、すべての電圧検知線19を保持させた電線把持具41を作業台72にセットし、すべての電圧検知線19の他端19bに圧着された端子26をコネクタ18内の各キャビティに挿入する。
【0045】
図8(d)に示すように、コネクタ18を案内機構に沿って1番目(もっとも右側)の端子51の位置に移動させ、電線把持具41に保持された電圧検知線19の一端19aを取り出し、端子51に圧接する。
【0046】
図8(e)に示すように、コネクタ18を次の位置(一つ左側の端子51の位置)に移動させ、次の電圧検知線19について同じ作業を順次繰り返す。
【0047】
その後、
図8(f)〜(g)に示すように、
図7(f)〜(g)と同様の作業を行う。
【0048】
上記一連の作業によって、電源装置14に装着されたバスバモジュール11には、その電線配索体21に、端子17が接続された電圧検知線19が収容される。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態の電線配索方法によれば、電圧検知線19の一端19aに端子17が圧着され、他端26がコネクタ18内の端子に圧接される構成において、電圧検知線19の他端19bをコネクタ18内の電極に接続した後、コネクタ18を配索作業開始位置にセットし、そのコネクタ18を電池12の電極12aに応じた位置に順次移動させて、各電極12aに対応する位置に各電圧検知線19の一端19aを固定していくことにより、電圧検知線19の配索作業を容易に行うことができる。したがって、バスバモジュール11への電圧検知線19の配索作業性を向上させることができる。
【0050】
図9は、
図6に示すバスバモジュール11に電圧検知線19を配索する方法を示す一連の作業工程図であって、
図9(a)から
図9(f)は、それぞれの各作業における概略平面図である。なお、コネクタ18には、
図5に示す端子51と同様の圧接刃52を有する端子が設けられている。
【0051】
図9(a)に示すように、全ての端子51をそれぞれバスバ16における電池12の電極12aに対応する位置に、端子51の孔部31aとバスバ16の孔部16aとが重なる状態で固定する。
【0052】
図9(b)に示すように、リール71から電圧検知線19となる電線を引き出し、その一端19aを末端加工して、電源装置14の1番目(最も右側)の端子51の圧接刃52に圧接させる。その後、リール71から電圧検知線19を切断し、その他端19bを端末加工する。
【0053】
図9(c)に示すように、導入スリット27に沿って電圧検知線19を引き出し、その他端19bをコネクタ18内の端子に圧接させる。なお、この時点ではコネクタ18は上側ハウジングと下側ハウジングとに2分割されており、すべての電圧検知線19の他端19bが端子に圧接されたなら、上側ハウジングと下側ハウジングとを嵌合する。なお、上側ハウジングと下側ハウジングとを嵌合することによって電圧検知線19の他端19bが圧接されるようにコネクタ18を形成してもよい。
【0054】
図9(d)に示すように、コネクタ18を上記案内機構に沿って次の位置(一つ左側の電極12aの位置)に移動させ、次の電圧検知線19について同じ作業を順次繰り返す。このとき、電線配索部22の開口部25を開けた状態としておく。そして、各電圧検知線19を、電線配索体21の導入スリット27へ通し、電線配索部22内に導入する。このようにすると、各導入スリット27に通された各電圧検知線19が電線配索部22を通り、バスバ収容部20と反対側である電圧検知線19の引き出し方向前方側の開口部25から引き出された状態とされる。
【0055】
その後、
図9(e)、(f)に示すように、
図7(f)、(g)と同様の作業を行う。
【0056】
上記一連の作業によって、電源装置14に装着されたバスバモジュール11には、その電線配索体21に、端子17が接続された電圧検知線19が収容される。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態の電線配索方法によれば、電圧検知線19の両端19a、19bがそれぞれ電池12側の端子51とコネクタ18側の端子に圧接される構成において、電圧検知線19の一端19aを電池12側の端子51に接続し、他端19bをコネクタ18側の端子に接続する作業を、各電圧検知線19の引き出し方向の延長線上にコネクタ18を順次移動させて容易に行うことができる。したがって、バスバモジュール11への電圧検知線19の配索作業性を向上させることができる。
【0058】
なお、以上の説明では、端子51を、電線接続部54が側方へ向くように固定しているが、電線接続部54の位置を、電線配索体21に対し電極12aよりも離隔した位置であり、かつ、電圧検知線19を引き出し方向(導入スリット27が延伸する方向)と異なる向きに圧接してもよい。
【0059】
これにより、電線接続部54と導入スリット27との間に配索される電圧検知線19にゆとりをもたせることができ、結果として、電圧検知線19に対し張力が印加された際に、電線接続部54に張力が急激に加わることを抑制できる。特に、電線接続部54の位置を電線配索体21から離れた側にすることによりバスバ収容部20内で電圧検知線19が引き回されるので、片持ちのリブなどの保持部により電圧検知線19を保持すると、電線接続部54への急激な張力の印加をより一層低減できる。また、電圧検知線19をバスバ収容部20内で、電線接続部54に接続された向きから引き出し方向(導入スリット27が延伸する方向)に屈曲するように引き回し、当該保持部により電圧検知線19の屈曲が保たれるように保持すると、電線接続部54への急激な張力の印加を確実に低減できる。なお、電線接続部54は、電線配索体21に対し電極12aと反対側に位置し、電圧検知線19が引き出し方向に対して90°となるよう電圧検知線19を圧接すると最適であるが、同様の効果を得られる範囲であれば、引き出し方向に対して90°以下、あるいは90°以上となるよう電圧検知線19を圧接してもよい。また、電圧検知線19が端子に圧接される場合のみならず、圧着や他の方法により端子に接続される場合においても、電圧検知線19が接続される向きを引き出し方向(導入スリット27が延伸する方向)と異ならせてもよい。
【0060】
なお、上記実施形態では、電圧検知線19を電線配索部22に収容させて電線配索体21の一端から引き出したが、電圧検知線19を電線配索部22に収容させて電線配索体21の長さ方向の中央から引き出しても良い。ここで、電線配索体21の長さ方向の中央から電圧検知線19を引き出す場合について説明する。
【0061】
図10は、変形例に係るバスバモジュールへの電圧検知線の配索手順を説明する図であって、
図10(a)及び
図10(b)はそれぞれ各作業における概略平面図である。
【0062】
図10(a)に示すように、このバスバモジュール11は、電線配索体21の長手方向の中央部分において、蓋体28がない電線引出部45を備えている。
【0063】
このバスバモジュール11に対して電圧検知線19を配索する場合も、
図7(a)から
図7(e)の一連の作業を実施する。その結果、
図7(e)に示すように、各導入スリット27に通された各電圧検知線19が電線配索部22を通り、バスバ収容部20と反対側である電圧検知線19の引き出し方向前方側の開口部25から引き出された状態とされる。
【0064】
次に、
図10(a)に示すように、コネクタ18を電線配索体21の長手方向の中央に配置させて開口部25から引き出された各電圧検知線19を電線配索部22内に収容させる。そして、電圧検知線19を電線配索体21の中央で束ねてテープやバンドなどの付属部材46で固定する。このとき、バンドからなる付属部材46を電圧検知線19の束のコネクタ18寄りに装着しておき、この付属部材46を電線配索体21側へスライドさせるのが好ましい。このようにすると、付属部材46の電線配索体21側へのスライドによって電圧検知線19の結束箇所が電線配索体21側へ移動し、これにより、各電圧検知線19が電線配索部22内に円滑に収容される。
【0065】
その後、
図10(b)に示すように、蓋体28を回動させて電線配索部22の開口部25に被せて閉塞させる。その後、端子17を電池12の電極12aに締結する。
【0066】
上記作業によって、バスバモジュール11には、その電線配索体21に電圧検知線19が収容され、その電圧検知線19の束が電線配索体21の長手方向の中央から引き出された状態とされる。
なお、
図7〜
図9に示した電線配索方法においても、
図10に示した電線配索方法と同様に、電圧検知線19の束を電線配索体21の長手方向の中央から引き出すようにしてもよい。また、いずれの電線配索方法においても、長手方向の中央からずれた任意の箇所から電圧検知線19の束を引き出すようにしてもよい。
【0067】
次に、別の実施形態のバスバモジュール61について説明する。
図11は、別の実施形態に係るバスバモジュール61の概略平面図である。
【0068】
図11に示すように、バスバモジュール61の電線配索体21は、下面板部23を備えている。下面板部23には、電池の電極から引き出された電圧検知線19を引き出し方向から所望の方向にガイドするガイド突起66が形成されている。
なお、
図10においては、ガイド突起66が円柱状の部材により構成された場合について示しているが、楕円状や円弧状であってもよい。また、ガイド突起66を、下面板部23側の断面半径が小さく、上に行くほど断面半径が大きくなる逆円錐形状にすると、電圧検知線19を所望の方向にまとめて屈曲させた際に、電圧検知線19が下面板部23から浮きあがることを抑制できる。また、
図11においては、複数のガイド突起66を、電線引き出し方向に対しそれぞれ異なる位置に設置しているが、複数のガイド突起66を、バスバ収容部20の配列方向と平行に配列してもよい。
【0069】
また、
図11に示すバスバモジュール61において、
図12に示すように、電圧検知線19が配索されている箇所に、ヒンジカバー構造の上面板部73を設けてもよい。
図12の例では、上面板部73が電圧検知線19に対して部分的に設けられているが、全面的に設けられても良い。
【0070】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0071】
ここで、上述した本発明に係る電線配索方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の電池(12)で構成された電池集合体(13)の隣接する前記電池(12)の電極(12a)を電気的に接続するバスバ(16)と、
前記バスバ(16)をそれぞれ収容する複数のバスバ収容部(20)と、
前記バスバ収容部(20)の配列方向に沿って設けられ、前記バスバ(16)とともに前記電極(12a)に接続される複数の電線(電圧検知線19)が配索される電線配索体(21)と、
を備えたバスバモジュール(11)において前記電線(電圧検知線19)を配索する電線配索方法であって、
前記電線(電圧検知線19)の一端(19a)が、前記電極(12a)と電気的に接続される電池側端子(17、51)に接続され、
前記電線(電圧検知線19)の他端(19b)が、コネクタ(18)に収容されるコネクタ側端子に接続され、
前記コネクタ(18)が、前記バスバ収容部(20)の配列方向に沿って移動可能である、
ことを特徴とする電線配索方法。
[2] 前記バスバ収容部(20)及び前記電線配索体(21)の少なくとも一方には、各前記電極(12a)に接続される電線(電圧検知線19)の引出し方向を規制するガイド部(27)が形成され、
前記コネクタ(18)は、各前記電極(12a)に応じた位置ごとに前記引出し方向の延長線上に停止する、
ことを特徴とする[1]に記載の電線配索方法。
[3] リール(71)から引き出された前記電線(電圧検知線19)の一端(19a)を、前記電池側端子(17、51)に接続し、
前記コネクタ(18)を、前記電極(12a)に応じた位置に移動し、
前記電線(電圧検知線19)を前記リール(71)から切断して形成された前記電線(電圧検知線19)の他端(19b)を、前記コネクタ(18)に保持されたコネクタ側端子に接続する、
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載の電線配索方法。
[4] 前記電極(12a)の数に応じた前記電線(電圧検知線19)の一端(19a)を所定間隔で長尺の保持具(電線把持具41)に保持し、
前記電線(電圧検知線19)の他端(19b)をコネクタ側端子に接続し、
前記コネクタ側端子を前記コネクタ(18)のキャビティに収容し、
前記保持具(電線把持具41)を長手方向が前記バスバ収容部(20)の配列方向に沿うように設置し、
前記コネクタ(18)を、前記電極(12a)に応じた位置に移動し、
前記電線(電圧検知線19)の一端(19a)を前記電池側端子(17、51)に接続する、
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載の電線配索方法。
[5] 前記電池側端子(51)は、前記電線(19)を接続する電線接続部(54)を有し、
前記電線接続部(54)は、前記電線配索体(21)に対し前記電極(12a)よりも離隔した位置であり、かつ、前記電線配索体(21)に引き出された前記電線(電圧検知線19)の引出し方向と異なる向きに前記電線(電圧検知線19)を接続する、
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の電線配索方法。
[6] 前記電池側端子(51)は、前記電線(19)を接続する電線接続部(54)を有し、
前記電線接続部(54)は、前記電線配索体(21)に引き出された前記電線(19)の引出し方向と異なる向きに前記電線を接続し、
前記電線(19)は、前記バスバ収容部(20)内において、前記電線接続部(54)に接続される向きから前記引出し方向に屈曲し、
前記バスバ収容部(20)には、前記電線(19)の屈曲状態を保持する保持部が設けられた、
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の電線配索方法。