特許第6856413号(P6856413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856413ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤、前記帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに前記樹脂組成物を用いたフィルム及び積層フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856413
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤、前記帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに前記樹脂組成物を用いたフィルム及び積層フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20210329BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20210329BHJP
   C09K 3/16 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08K5/103
   C09K3/16 102E
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-47973(P2017-47973)
(22)【出願日】2017年3月14日
(65)【公開番号】特開2017-179350(P2017-179350A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-61062(P2016-61062)
(32)【優先日】2016年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 佳希
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛司
(72)【発明者】
【氏名】重田 啓彰
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−209613(JP,A)
【文献】 特開2014−218636(JP,A)
【文献】 特開平11−021547(JP,A)
【文献】 特開2002−275308(JP,A)
【文献】 特開2002−047485(JP,A)
【文献】 特開2003−321612(JP,A)
【文献】 特開平05−222252(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/142218(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K5/103
C08L1/00−101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、下記成分(B)及び下記成分(C)を必須成分として含有するポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤であって、
帯電防止剤に含有される前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量を100重量部としたとき、前記成分(A)が5〜70重量部、前記成分(B)が5〜70重量部、前記成分(C)が5〜70重量部であり、
前記成分(A)が下記成分(A1)を必須に含み、帯電防止剤に占める前記成分(A1)の重量割合が5〜70重量%である、ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤。
成分(A):グリセリンと脂肪酸とのエステル化物
成分(A1):前記成分(A)であって、グリフィンの式によるHLB値が4.5〜7である化合物
成分(B):重合度3〜10のポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化物
成分(C):ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化物
【請求項2】
前記成分(B)が下記成分(B1)を含み、帯電防止剤に占める前記成分(B1)の重量割合が5〜70重量%である、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤。
成分(B1):前記成分(B)であって、グリフィンの式によるHLB値が4.5〜7である化合物
【請求項3】
帯電防止剤に占める、前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計の重量割合が80〜100重量%である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤。
【請求項4】
前記脂肪酸が、炭素数6〜22の脂肪酸である、請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤。
【請求項5】
前記成分(A1)が、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート及びグリセリンモノミリステートから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤。
【請求項6】
アミン価が10mgKOH/g未満である、請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤。
【請求項7】
ポリオレフィン系樹脂と、請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤とを含む、ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項8】
樹脂組成物に占める前記ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤の重量割合が0.01〜30重量%である、請求項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであり、前記直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレートが0.5〜100g/10分であり、密度が900〜950kg/mであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5である、請求項7又は8に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項10】
請求項のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる、フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤、前記帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに前記樹脂組成物を用いたフィルム及び積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂は加工の容易さと優れた外観から繊維分野や包装分野などの幅広い分野で使用されている。包装材の代表的なものとして、ポリオレフィンフィルムが挙げられる。ポリオレフィンフィルムは単独、あるいは他のフィルムにラミネートして使用されることが多い。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂の一つであるポリエチレン樹脂は、以前はチーグラー触媒を使用して製造されてきたが、近年立体規則性の制御が容易となるメタロセン触媒が使用されるようになり、樹脂の結晶性の高さから、透明性、衝撃強度、低温ヒートシール性などの性能に優れた樹脂として使用されている。さらに、ポリプロピレン樹脂やポリエステル樹脂などの異なる樹脂のフィルムとラミネートすることでガスバリア性などの性能を向上させることが一般になされている。
【0004】
一方、合成樹脂の持つ欠点として樹脂の疎水性が原因となって静電気が生ずる点が挙げられる。静電気が生ずると製品に埃やゴミが付着して外観を損ねるだけではなく火花の発生や作業者の不快感等生産性に悪影響を与える場合がある。これらの問題を解決するため帯電防止剤を利用して静電気の発生を抑制することが広く行なわれている。
【0005】
帯電防止剤には大きく分けて2種の使用形態が存在し、樹脂表面に塗布する塗布型帯電防止剤と樹脂に溶融混合する練り込み型帯電防止剤がある。特に練り込み型帯電防止剤は処理が容易であることから広く用いられている。練り込み型帯電防止剤は界面活性剤を用いる方法と高分子型帯電防止剤を用いる方法が存在し、界面活性剤の使用が経済的な方法であるため、実施されることが多い。界面活性剤型帯電防止剤は樹脂内部に練り込まれた帯電防止剤の親水基部分が樹脂表面にブリードすることで性能が発揮される。ポリオレフィン系樹脂に対してはグリセリン脂肪酸エステルや、ポリオキシアルキレンアルカノールアミンなどが広く使用されている。
【0006】
ところが、高い結晶性を持つメタロセン触媒重合ポリエチレンは、樹脂内部の結晶が帯電防止剤のブリードを阻害するために帯電防止性が発現しにくくなる性質がある。帯電防止性を発現するために帯電防止剤濃度を上げると樹脂表面に過剰にブリードし、白化を招く上に、フィルム表面の状態が不均一となることで帯電防止性能も損なわれる。特に、一般的な帯電防止剤であるグリセリン脂肪酸エステルを使用した場合顕著に表れる。
【0007】
また、帯電防止剤を含んだ合成樹脂フィルムをポリウレタン系接着剤やポリエーテル系接着剤を用いて別のフィルムとラミネートした場合、接着剤に帯電防止剤が吸着され、帯電防止性能が発現しなくなるという問題も存在する。帯電防止剤の添加量を上げると前述のようにフィルムの白化、帯電防止性能の減衰に繋がる。
【0008】
同様に、帯電防止剤を含んだ熱可塑性樹脂を溶融しながら別の合成樹脂フィルムと押出ラミネートを行う場合は接着面のアンカーコート剤塗布層への帯電防止剤の吸着が生じる。
【0009】
さらに、帯電防止剤を含んだ熱可塑性樹脂と別の熱可塑性樹脂とを共押出しして積層フィルムを得た場合についても、前記別の熱可塑性樹脂の親水性が高いと帯電防止剤の移動が生じ、帯電防止性の減衰に繋がる。
【0010】
メタロセン触媒重合ポリオレフィンフィルムに帯電防止性を付与するために、特許文献1、2ではメタロセン触媒重合ポリオレフィンフィルムに対してポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ジグリセリン脂肪酸エステルなどを添加する検討がされているが、いずれも帯電防止効果を即効的に生じさせる成分が不足しており、さらにラミネート時の帯電防止性を維持する成分も不足しているため満足な帯電防止効果が得られない可能性が高い。
【0011】
特許文献3ではメタロセン触媒重合ポリエチレンフィルムに対してモノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸モノエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを添加する検討がなされており、押出ラミネートフィルムとして帯電防止性良好としているが、ラミネートによる帯電防止性能の減衰を考慮して帯電防止成分を多量に添加しているために経時的な白化が予想され、単層フィルムに使用した場合はブリード過剰に伴い更なる白化、帯電防止性能の減衰が生じる恐れがある。
【0012】
特許文献4ではメタロセン触媒重合ポリエチレンフィルムにアルキルジエタノールアミンなどのアミン系化合物を使用することが言及されているが、刺激性物質であるアミン系化合物の使用にはフィルム作製時の作業者の安全性、帯電防止剤を含んだフィルムが食品と接した際の有害性、さらにフィルム高温保管時の臭気の発生などの問題が存在する。また、アルキルジエタノールアミンもフィルム白化の原因となる成分であるため、長期的な帯電防止効果と透明性の維持が困難であるという問題も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−230084号公報
【特許文献2】特開2004−323812号公報
【特許文献3】特開2005−8667号公報
【特許文献4】特開2003−3021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、結晶性の高いポリオレフィン系樹脂に対して優れた帯電防止性能を即効的かつ持続的に付与できるとともに、前記ポリオレフィン系樹脂の持つ透明性を維持可能である帯電防止剤、前記帯電防止剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物並びに前記樹脂組成物を用いたフィルム及び積層フィルムを提供する事にある。ポリオレフィン系樹脂が、分子量分布が狭く結晶性の高いメタロセン触媒重合ポリエチレンであると実用性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討した結果、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びジグリセリン脂肪酸エステルを必須成分として含有する帯電防止剤であって、HLB値が特定の範囲内にあるグリセリン脂肪酸エステルを、特定の重量割合で含む帯電防止剤であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)及び下記成分(C)を必須成分として含有するポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤であって、前記成分(A)が下記成分(A1)を必須に含み、帯電防止剤に占める前記成分(A1)の重量割合が5〜70重量%である、ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤である。
成分(A):グリセリンと脂肪酸とのエステル化物
成分(A1):前記成分(A)であって、グリフィンの式によるHLB値が4.5〜7である化合物
成分(B):重合度3〜10のポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化物
成分(C):ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化物
【0016】
本発明のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤が、次の1)〜6)から選ばれる少なくとも1つをさらに満足すると好ましい。
1)前記成分(B)が下記成分(B1)を含み、帯電防止剤に占める前記成分(B1)の重量割合が5〜70重量%である。
成分(B1):前記成分(B)であって、グリフィンの式によるHLB値が4.5〜7である化合物
2)帯電防止剤に含有される前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量を100重量部としたとき、前記成分(A)が5〜70重量部、前記成分(B)が5〜70重量部、前記成分(C)が5〜70重量部である。
3)帯電防止剤に占める、前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計の重量割合が80〜100重量%である。
4)前記脂肪酸が、炭素数6〜22の脂肪酸である。
5)前記成分(A1)が、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート及びグリセリンモノミリステートから選ばれる少なくとも1種である。
6)アミン価が10mgKOH/g未満である。
【0017】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂と、上記のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤とを含むものである。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物が、次の7)及び8)から選ばれる少なくとも1つをさらに満足すると好ましい。
7)樹脂組成物に占める前記ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤の重量割合が0.01〜30重量%である。
8)前記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンであり、前記直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレートが0.5〜100g/10分であり、密度が900〜950kg/mであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
【0018】
本発明のフィルムは、上記のポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明の積層フィルムは、少なくとも、上記のポリオレフィン系樹脂組成物から形成された層を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤は、結晶性の高いポリオレフィン系樹脂に対して優れた帯電防止性能を付与できるとともに透明性を維持できる。さらにポリオレフィン系樹脂をその他の材料と組み合わせて積層フィルムとして利用する際も、ポリオレフィン系樹脂に対して優れた帯電防止性能を即効的かつ持続的に付与できる。ポリオレフィン系樹脂がメタロセン触媒重合ポリエチレンであると実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】成分(A)の模式図。
図2】成分(A)が単層フィルム表面にブリードアウトした断面図。
図3】成分(A)の親水基の一部が親水層に吸着された断面図。
図4】接着剤を用いて貼り合わせたフィルム(積層フィルム)の一例を示す断面図。
図5】共押出フィルムの一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔ポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤]
本発明のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を必須成分として含有する帯電防止剤であって、成分(A)が特定の成分(A1)を必須に含み、帯電防止剤に占める成分(A1)の重量割合が特定の範囲内にあるものである。以下、各成分の詳細について説明する。
【0022】
〔成分(A)]
成分(A)は、グリセリンと脂肪酸とのエステル化物であり、図2に示すように本発明の帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂に配合した際、表面層にブリードアウトし帯電防止性を即効的に発現させる成分である。
成分(A)は、グリセリンと脂肪酸とのエステル化反応、グリセリンと油脂とのエステル交換反応等、公知の方法により製造することができる。
【0023】
成分(A)の原料に用いられる脂肪酸としては、特に限定されず、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルへキサン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸;デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。また、前記脂肪酸として、魚油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の動植物性油脂を起源とする混合脂肪酸を使用してもよい。これらの脂肪酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
成分(A)、即ち、グリセリンと脂肪酸とのエステル化物(以下、グリセリン脂肪酸エステルということがある)は、グリセリンと脂肪酸とがエステル結合した構造を有する化合物であり、そのエステル化度によって、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル及びグリセリントリ脂肪酸エステルの3種類に分類することができる。帯電防止性の観点から、成分(A)が、グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はグリセリンジ脂肪酸エステルから構成されると好ましく、グリセリンモノ脂肪酸エステルから構成されると特に好ましい。
【0025】
グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンモノカプロレート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート等が挙げられる。
グリセリンジ脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンジカプリレート、グリセリンジカプレート、グリセリンジラウレート、グリセリンジミリステート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジベヘネート等が挙げられる。グリセリンジ脂肪酸エステルの一つの分子を構成する脂肪酸の種類は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0026】
また、グリセリンモノ脂肪酸エステル及びグリセリンジ脂肪酸エステルの混合物であるグリセリンセスキ脂肪酸エステルを、成分(A)として使用してもよい。グリセリンセスキ脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンセスキカプロレート、グリセリンセスキカプリレート、グリセリンセスキカプレート、グリセリンセスキラウレート、グリセリンセスキミリステート、グリセリンセスキパルミテート、グリセリンセスキステアレート、グリセリンセスキベヘネート等が挙げられる。
成分(A)としては、上記グリセリン脂肪酸エステルのうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
帯電防止性能の観点から、成分(A)に占めるグリセリンモノ脂肪酸エステルの重量割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
【0027】
〔成分(A1)]
本発明の帯電防止剤における成分(A)は、成分(A1)を必須に含有する。成分(A1)は、成分(A)であって、グリフィンの式によるHLB値が4.5〜7である化合物である。ここで、グリフィンの式によるHLB値とは、W.C.Griffin,J.Soc.Cosmet.Chem.,1,311(1949)などに示されるグリフィンの方法による下記の計算式(I)から算出される値である。
HLB値=20×(界面活性剤の親水基の式量/界面活性剤の分子量) (I)
グリフィンの式によるHLB値は、界面活性剤の親水性や親油性の程度を示すものであり、HLB値が低いほど界面活性剤の親油性すなわち疎水性が高くなり、逆に、HLB値が高いほど界面活性剤の親水性が高くなる。
【0028】
発明者らは、本発明の課題を検討するなかで上記成分(A1)を特定量用いた上で、後述する成分(B)及び成分(C)を併用することにより、結晶性の高いポリオレフィン系樹脂に対しても、樹脂の透明性を損なうことなく、高性能の初期帯電防止性及びその持続性を付与することができ、さらには前記ポリオレフィン系樹脂をラミネートフィルムとして利用する際にも優れた帯電防止性能を付与できることを見出した。この現象についての詳細な機構は不明であるが、以下のように推定している。まず、グリセリン脂肪酸エステルの中でもHLB値が4.5〜7の範囲にあるものが、結晶性の高いポリオレフィン系樹脂に対する相溶性及び樹脂表面への移行速度の点で最適な性質を併せ持つため、速やかな初期帯電防止性を付与することができると考えられる。さらに、成分(A1)に対し、樹脂との相溶性を向上し、樹脂表面への過剰なブリードを抑制する成分(B)、成分(C)を加えることで白化が効果的に抑えられるだけでなく、ドライラミネート時、図3に示すように、高い親水性を有する接着層などの親水層への帯電防止成分の吸着が抑えられ、積層フィルムに対しても帯電防止性能が発現すると考えられる。また、押出ラミネート法・共押出法により積層フィルムを作製する場合も同様のメカニズムで、押出ラミネートならばアンカーコート剤に、共押出法ならばナイロンなどの親水性基材層への帯電防止剤成分の吸着が抑えられ、帯電防止性能が発現されると考えられる。
【0029】
帯電防止剤に占める成分(A1)の重量割合は5〜70重量%である。前記重量割合が5重量%未満であると、初期帯電防止性が不足する。一方、前記重量割合が70重量%超であると、ブリード過剰により白化が起こり樹脂の透明性が不足する。前記重量割合は、本願効果が一層優れるという観点から、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
【0030】
成分(A1)は、成分(A)であって、グリフィンの式によるHLB値が4.5〜7の範囲にある化合物であれば特に限定されないが、例えば、グリセリンモノカプリレート(6.8)、グリセリンモノカプレート(6.0)、グリセリンモノラウレート(5.4)、グリセリンモノミリステート(4.9)等が挙げられる。なお、化合物名の後の括弧内の数値は、グリフィンの式によるHLB値を表す。成分(A1)は、これらの化合物のうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本願効果が一層優れるという観点から、成分(A1)が、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート及びグリセリンモノミリステートから選ばれる少なくとも1種であると好ましく、成分(A1)がグリセリンモノラウレートであると特に好ましい。
【0031】
〔成分(B)]
成分(B)は、重合度3〜10のポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化物であり、本発明の帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂に配合した際、成分(A)の樹脂中での過剰なブリードを抑制することでフィルムの白化を抑制するとともに、帯電防止性を持続させる効果を発揮する成分であり、さらにフィルムをラミネートした際に成分(A)の接着剤などの親水層への吸着を抑制する役割も果たすと推定される。
なお、本発明において、重合度3〜10のポリグリセリンとは、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン及びデカグリセリンから選ばれる1種又は2種以上の化合物を意味する。
成分(B)は、例えば、重合度3〜10のポリグリセリンを用いて、これを脂肪酸と直接エステル化反応させる等の方法により製造することができる。
【0032】
成分(B)の原料に用いられる重合度3〜10のポリグリセリンとしては、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン及びデカグリセリンが挙げられ、これらは直鎖状、分岐状又は環状のいずれの構造から構成されていてもよい。重合度3〜10のポリグリセリンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(B)の原料に用いられる脂肪酸としては、上記成分(A)の原料に用いられる脂肪酸と同じものが挙げられる。これらの脂肪酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
成分(B)、即ち、重合度3〜10のポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化物(以下、ポリグリセリン脂肪酸エステルということがある)は、重合度3〜10のポリグリセリンと脂肪酸とがエステル結合した構造を有する化合物であり、重合度3〜10のポリグリセリンの種類、脂肪酸の種類およびエステル化度を選択することにより、親水性から親油性まで、幅広い範囲のHLB値を有するものが得られる特徴がある。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、テトラグリセリンモノカプリレート、ヘキサグリセリンモノカプリレート、オクタグリセリンモノカプリレート、デカグリセリンモノカプリレート、テトラグリセリンジカプリレート、ヘキサグリセリンジカプリレート、オクタグリセリンジカプリレート、デカグリセリンジカプリレート、テトラグリセリントリカプリレート、ヘキサグリセリントリカプリレート、オクタグリセリントリカプリレート、デカグリセリントリカプリレート、テトラグリセリンペンタカプリレート、ヘキサグリセリンペンタカプリレート、オクタグリセリンペンタカプリレート、デカグリセリンペンタカプリレート、テトラグリセリンモノカプレート、ヘキサグリセリンモノカプレート、オクタグリセリンモノカプレート、デカグリセリンモノカプレート、テトラグリセリンジカプレート、ヘキサグリセリンジカプレート、オクタグリセリンジカプレート、デカグリセリンジカプレート、テトラグリセリントリカプレート、ヘキサグリセリントリカプレート、オクタグリセリントリカプレート、デカグリセリントリカプレート、テトラグリセリンペンタカプレート、ヘキサグリセリンペンタカプレート、オクタグリセリンペンタカプレート、デカグリセリンペンタカプレート、テトラグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、オクタグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンジラウレート、ヘキサグリセリンジラウレート、オクタグリセリンジラウレート、デカグリセリンジラウレート、テトラグリセリントリラウレート、ヘキサグリセリントリラウレート、オクタグリセリントリラウレート、デカグリセリントリラウレート、テトラグリセリンペンタラウレート、ヘキサグリセリンペンタラウレート、オクタグリセリンペンタラウレート、デカグリセリンペンタラウレート、テトラグリセリンモノミリステート、ヘキサグリセリンモノミリステート、オクタグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノミリステート、テトラグリセリンジミリステート、ヘキサグリセリンジミリステート、オクタグリセリンジミリステート、デカグリセリンジミリステート、テトラグリセリントリミリステート、ヘキサグリセリントリミリステート、オクタグリセリントリミリステート、デカグリセリントリミリステート、テトラグリセリンペンタミリステート、ヘキサグリセリンペンタミリステート、オクタグリセリンペンタミリステート、デカグリセリンペンタミリステート、テトラグリセリンモノパルミテート、ヘキサグリセリンモノパルミテート、オクタグリセリンモノパルミテート、デカグリセリンモノパルミテート、テトラグリセリンジパルミテート、ヘキサグリセリンジパルミテート、オクタグリセリンジパルミテート、デカグリセリンジパルミテート、テトラグリセリントリパルミテート、ヘキサグリセリントリパルミテート、オクタグリセリントリパルミテート、デカグリセリントリパルミテート、テトラグリセリンペンタパルミテート、ヘキサグリセリンペンタパルミテ−ト、オクタグリセリンペンタパルミテート、デカグリセリンペンタパルミテート、テトラグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、オクタグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジステアレート、ヘキサグリセリンジステアレート、オクタグリセリンジステアレート、デカグリセリンジステアレート、テトラグリセリントリステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート、オクタグリセリントリステアレート、デカグリセリントリステアレート、テトラグリセリンペンタステアレート、へキサグリセリンペンタステアレート、オクタグリセリンペンタステアレート、デカグリセリンペンタステアレート、テトラグリセリンモノベヘネート、ヘキサグリセリンモノベヘネート、オクタグリセリンモノベヘネート、デカグリセリンモノベヘネート、テトラグリセリンジベヘネート、ヘキサグリセリンジベヘネート、オクタグリセリンジベヘネート、デカグリセリンジベヘネート、テトラグリセリントリベヘネート、ヘキサグリセリントリベヘネート、オクタグリセリントリベヘネート、デカグリセリントリベヘネート、テトラグリセリンペンタベヘネート、ヘキサグリセリンペンタベヘネート、オクタグリセリンペンタベヘネート、デカグリセリンペンタベヘネート等が挙げられる。成分(B)としては、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
成分(B)が成分(B1)を含むと、成分(A1)との相溶性が良好となることで成分(A1)の樹脂表面への過剰な移動がより抑制され、フィルムの透明性及びラミネート後の帯電防止持続性が一層優れるため好ましい。ここで、成分(B1)は、成分(B)であって、上記計算式(I)で計算されるグリフィンの式によるHLB値が4.5〜7である化合物である。
成分(B1)としては、グリフィンの式によるHLB値が4.5〜7の範囲にある化合物であれば特に限定されないが、例えば、テトラグリセリントリカプレート(6.7)、ヘキサグリセリンペンタカプレート(6.1)、テトラグリセリントリラウレート(6.1)、ヘキサグリセリンペンタラウレート(5.5)、オクタグリセリンペンタラウレート(6.9)、テトラグリセリントリミリステート(5.5)、ヘキサグリセリンペンタミリステート(5.0)、オクタグリセリンペンタミリステート(6.3)、テトラグリセリントリパルミテート(5.1)、ヘキサグリセリントリパルミテート(7.0)、ヘキサグリセリンペンタパルミテート(4.5)、オクタグリセリンペンタパルミテート(5.8)、デカグリセリンペンタパルミテート(6.9)、テトラグリセリンジステアレート(6.6)、テトラグリセリントリステアレート(4.7)、ヘキサグリセリントリステアレート(6.5)、オクタグリセリンペンタステアレート(5.4)、デカグリセリンペンタステアレート(6.4)等が挙げられる。なお、化合物名の後の括弧内の数値は、グリフィンの式によるHLB値を表す。成分(B1)は、これらの化合物のうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、成分(B1)が、テトラグリセリントリステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート及びデカグリセリンペンタステアレートから選ばれる少なくとも1種であると好ましく、ヘキサグリセリントリステアレートであると特に好ましい。
【0035】
帯電防止剤に占める成分(B1)の重量割合は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。前記重量割合が5重量%未満であると、成分(B1)による効果が発揮されないことがある。一方、前記重量割合が70重量%超であると、ブリード抑制作用が強く発現しすぎることで帯電防止性能が発現しなくなることがある。
【0036】
〔成分(C)]
成分(C)は、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化物であり、本発明の帯電防止剤をポリオレフィン系樹脂に配合した際、成分(A)と成分(B)の中間的な成分として、両者の相溶性を向上させ、成分(A)による白化をさらに抑制し、さらに自身も表面にブリードすることで初期帯電防止性能を付与する役割も果たす成分である。
成分(C)は、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応等、公知の方法により製造することができる。
成分(C)の原料に用いられる脂肪酸としては、上記成分(A)の原料に用いられる脂肪酸と同じものが挙げられる。
【0037】
成分(C)、即ち、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化物(以下、ジグリセリン脂肪酸エステルということがある)は、ジグリセリンと脂肪酸とがエステル結合した構造を有する化合物であり、そのエステル化度によって、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、ジグリセリンジ脂肪酸エステル、ジグリセリントリ脂肪酸エステル及びジグリセリンテトラ脂肪酸エステルの4種類に分類することができる。帯電防止性及び樹脂との相溶性の観点から、成分(C)が、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、ジグリセリンジ脂肪酸エステル及びジグリセリントリ脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種から構成されると好ましく、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はジグリセリンジ脂肪酸エステルから構成されると特に好ましい。
【0038】
ジグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンモノカプロレート、ジグリセリンモノカプリレート、ジグリセリンモノカプレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノベヘネート等が挙げられる。
ジグリセリンジ脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンジカプロレート、ジグリセリンジカプリレート、ジグリセリンジカプレート、ジグリセリンジラウレート、ジグリセリンジミリステート、ジグリセリンジパルミテート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンジベヘネート等が挙げられる。ジグリセリンジ脂肪酸エステルの一つの分子を構成する脂肪酸の種類は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0039】
また、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル及びジグリセリンジ脂肪酸エステルの混合物であるジグリセリンセスキ脂肪酸エステルを、成分(C)として使用してもよい。ジグリセリンセスキ脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンセスキカプリレート、ジグリセリンセスキカプレート、ジグリセリンセスキラウレート、ジグリセリンセスキミリステート、ジグリセリンセスキパルミテート、ジグリセリンセスキステアレート、ジグリセリンセスキベヘネート等が挙げられる。
【0040】
ジグリセリントリ脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリントリカプレート、ジグリセリントリラウレート、ジグリセリントリステアレート等が挙げられる。ジグリセリントリ脂肪酸エステルの一つの分子を構成する脂肪酸の種類は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
成分(C)としては、上記ジグリセリン脂肪酸エステルのうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
本願効果が一層優れるという観点から、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の原料に用いられる脂肪酸が、炭素数6〜22の脂肪酸であると特に好ましい。
本発明の帯電防止剤に含有される、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の重量比については、特に限定されないが、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100重量部としたとき、成分(A)が5〜70重量部、成分(B)が5〜70重量部、成分(C)が5〜70重量部であると好ましく、成分(A)が10〜60重量部、成分(B)が10〜60重量部、成分(C)が10〜60重量部であるとさらに好ましい。前記重量比が上記範囲を外れると、本発明の効果を発揮できないことがある。
また、単位重量当りの有効成分を高めるという観点から、帯電防止剤に占める成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計の重量割合は、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは85〜95重量%である。
【0042】
本発明の帯電防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)、成分(B)及び成分(C)以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、重合度10超のポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化物、ソルビタン脂肪酸エステル等の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を除く非イオン界面活性剤;アルキル硫酸及びその塩、アルキルアリール硫酸及びその塩、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸及びその塩、アルキルスルホン酸及びその塩、ジアルキルスルホコハク酸及びその塩、アルキルエーテルリン酸及びその塩等のアニオン界面活性剤;高級脂肪酸;高級アルコール;ソルビトール、ポリグリセリン等の多価アルコール;脂肪族炭化水素等が挙げられる。なお、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を製造する際に用いられる原料であって、未反応のまま残存するグリセリン、ジグリセリン、重合度3〜10のポリグリセリン、脂肪酸等もその他の成分に含まれるものとする。
【0043】
本発明の帯電防止剤に占める、上記その他の成分の重量割合については、特に限定されないが、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
また、その他の成分として、ポリオキシアルキレンアルカノールアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエタノールアミド等の含窒素界面活性剤を多量に使用するとフィルム作製時の作業者の安全性、帯電防止剤を含んだフィルムが食品と接した際の有害性、フィルム高温保管時の臭気の発生等の問題が生じることがある。特にポリオキシアルキレンアルカノールアミンを多量に使用すると、刺激性、有害性以外にもフィルムの白化や帯電防止性の経時的な低下を招く可能性がある上、積層フィルムとした際、接着剤等の親水層に悪影響を受け帯電防止性能が低下するという問題が存在する。本発明の帯電防止剤において含窒素界面活性剤の量を示すアミン価は、好ましくは10mgKOH/g以下、さらに好ましくは9mgKOH/g以下、特に好ましくは8mgKOH/g以下、最も好ましくは1mgKOH/g未満である。
【0044】
本発明の帯電防止剤は、上記で説明した各成分をそれぞれ混合することによって製造される。混合方法については、特に限定はなく、各成分を一挙または順次に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて、残りの成分と混合してもよい。各成分の混合は溶融混合で行ってもよいし、熱可塑性樹脂に混合してもよく、熱可塑性樹脂の成形加工時に混合してもよい。
【0045】
〔ポリオレフィン系樹脂組成物〕
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂と、上記の帯電防止剤とを含むものである。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明の効果が顕著に発揮されるという観点から、ポリオレフィン系樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレンであると好ましく、メタロセン触媒によって重合された直鎖状低密度ポリエチレンであると最も好ましい。
【0046】
直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレートは0.5〜100g/10分の範囲にあるのが好ましい。メルトフローレートが0.5g/10分未満であると押出によるフィルム成形時の負荷が大きくなるため作業性が悪くなる。メルトフローレートが100g/10分より大きいとフィルム製膜時の樹脂の流動性が高くなり、ネックインが大きくなる。なお、前記メルトフローレートは、JIS K7210に準拠した条件下で測定される値である。
また、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は900〜950kg/mの範囲内にあるのが好ましい。密度が900kg/m未満であると作製したフィルムがブロッキングしやすくなり、製膜時の作業性が悪くなる。密度が950kg/mより大きいと樹脂融点が高くなり、低温ヒートシール性が損なわれるため好ましくない。なお、前記密度は、JIS−K7112に準拠した条件下で測定される値である。
【0047】
直鎖状低密度ポリエチレンのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜3.5の範囲内が好ましい。分子量分布が3.5より広くなると樹脂の結晶性が低くなり、フィルムの強度や透明性が損なわれることがある。また、分子量分布が1.5より狭いと樹脂の結晶性が高すぎるためにフィルムの成形性、柔軟性が損なわれることがある。
なお、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量分布(Mw/Mn)は、JIS K7252に準拠した条件下で測定される値である。
【0048】
ポリオレフィン系樹脂組成物は、上記で説明したポリオレフィン系樹脂及び帯電防止剤以外に、さらに必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防曇剤、滑剤、難燃剤、着色剤、顔料、無機充填剤、可塑剤、造核剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤としては、従来公知のものを使用することができ、その配合量は目的に応じて適宜設定すればよい。
【0049】
ポリオレフィン系樹脂組成物は、成形材料の中間原料であるマスターバッチであってもよいし、成形に用いられる成形材料であってもよい。
ポリオレフィン系樹脂組成物に占める帯電防止剤の重量割合(以下、「帯電防止剤濃度」ということがある)は、樹脂組成物がマスターバッチであるか成形材料であるかによっても変動し、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜30重量%である。
また、ポリオレフィン系樹脂と帯電防止剤との配合比については、特に限定されないが、本発明の効果が顕著に発揮されるという観点から、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、本発明の帯電防止剤0.015〜45重量部を配合することが好ましい。
以下、ポリオレフィン系樹脂組成物がマスターバッチの場合と、成形材料の場合とに分けて、それぞれの製造方法等を説明する。
【0050】
〔マスターバッチ〕
マスターバッチは成形品の製造工程における中間原料であり、着色剤や樹脂性能改質剤等の添加剤を高濃度に含有した樹脂組成物である。樹脂ペレットにマスターバッチを混合すると、添加剤を含まない樹脂ペレットに添加剤を単独で混合するよりも、ハンドリング性良く混合することができる。また、マスターバッチを使用することにより、低濃度の添加剤であっても分散性良く樹脂中に均一に混合することが可能となる。
【0051】
ポリオレフィン系樹脂組成物がマスターバッチである場合、このマスターバッチを原料として成形材料を製造する上で、分散の均一性やハンドリング性を向上させる目的から、帯電防止剤濃度は、好ましくは1〜30重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。帯電防止剤濃度が1重量%未満では、成形材料や成形加工品を作製する際に均一な濃度での混合性を確保できないうえ、成形材料を製造する場合にマスターバッチが大量に必要となり、コスト高となる。一方、帯電防止剤濃度が30重量%を超えると、相溶性不足によりマスターバッチの製造が困難になる。
【0052】
マスターバッチの製造方法としては、たとえば、通常のプラスチック成形機、すなわちバンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ベント付スクリュー押出成形機、ニーダー等を使用して、ポリオレフィン系樹脂と本発明の帯電防止剤とを溶融混練、冷却後、ペレタイズしマスターバッチを作製する方法等を挙げることができる。
【0053】
〔成形材料〕
本発明において、成形材料とは、それ自体が成形加工されて、フィルム・シート等の最終製品となるものを意味する。
ポリオレフィン系樹脂組成物が成形材料である場合、帯電防止剤濃度は、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.03〜5重量%である。帯電防止剤濃度が0.01重量%未満であると、十分な帯電防止性能が発揮されないことがある。一方、帯電防止剤濃度が10重量%を超えると、さらなる帯電防止性能の向上が認められないうえに、ポリオレフィン系樹脂の持つ透明性が損なわれることがある。
【0054】
成形材料の製造方法としては、例えば、(1)帯電防止剤とポリオレフィン系樹脂とを単に溶融混練する方法、(2)帯電防止剤を含むマスターバッチと熱可塑性樹脂とを溶融混練する方法、等を挙げることができる。成形材料の製造方法では、マスターバッチ製造と同様の通常のプラスチック成形機を用いることができる。
上記(2)の方法において、マスターバッチに含まれる樹脂及び溶融混練で用いる熱可塑性樹脂のうち、少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂を含有していればよく、双方の樹脂が必ずしも同じ種類の樹脂である必要はないが、両者の分散均一性を向上するため、マスターバッチに含まれる樹脂と熱可塑性樹脂とが相溶性を有していることが好ましく、マスターバッチの嵩比重と熱可塑性樹脂の嵩比重とが概略一致しているとさらに好ましい。
【0055】
〔成形体〕
本発明の成形体は、上記のポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなるものである。成形体としては、たとえば、インフレーションフィルムや2軸延伸フィルム等のフィルム、シート、射出成形品、ブロー成形品など様々な形状の成形加工品が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果が最も顕著に発揮されるという観点から、成形体がフィルムであると特に好ましい。フィルムの厚みは、特に限定されないが、好ましくは1〜500μmである。
成形体の製造方法としては、例えば、前記成形材料を加熱溶融した状態で、射出成形、ブロー成形、押出成形、熱成形(2軸延伸加工等)する方法等を挙げることができ、成形材料を成形する同様の方法であってもよい。
成形材料と成形体の製造は、連続して行なってもよく、たとえば、前記マスターバッチと熱可塑性樹脂を押出成形機で溶融混練、ついで、Tダイ、インフレーションダイ等によりフィルムに加工する方法が挙げられる。
これら成形体の用途としては、食品等の包装材、電線被覆材、ハウス・トンネル等の農業用資材、玩具・文具等の雑貨・日用品、壁紙等の建材等が挙げられる。
【0056】
〔積層フィルム〕
本発明のフィルムは単体でも使用できるが、基材フィルム、あるいは基材樹脂と組み合わせて積層フィルムとすることでより好適に使用できる。本発明の積層フィルムとしては、少なくとも、上記のポリオレフィン系樹脂組成物から形成された層(以下、「帯電防止層」ということがある)を有するものであれば、その他の構成は特に制限されないが、前記帯電防止層を表面層として有するものが好ましい。なお、表面層とは、積層フィルムの最外層を意味する。積層フィルムの好ましい態様として、以下の(a)、(b)、(c)等が挙げられる。
(a)本発明のフィルムと、基材フィルムとを、ポリウレタン系接着剤又はポリエーテル系接着剤によってドライラミネートしてなる、積層フィルム。
(b)本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を、基材フィルム上に押出ラミネートしてなる、積層フィルム。
(c)本発明のポリオレフィン系樹脂組成物と、基材熱可塑性樹脂組成物とを、共押出してなる、積層フィルム。
このような積層フィルムもまた、本発明の一つである。
【0057】
〔ドライラミネートフィルム〕
ドライラミネートフィルムは、少なくとも2枚以上の異種又は同種のフィルムを、接着剤を介して貼り合わせることで製造される積層フィルムである。図4は、本発明のドライラミネートフィルムの一例を示す断面図である。ドライラミネートフィルム10は、帯電防止層3と基材層6とが、接着層5を介して積層された構造を有している。ドライラミネートフィルムに使用される接着剤としては主にポリウレタン系接着剤、ポリエーテル系接着剤など、いずれも市販のものを適宜使用できる。従来、基材フィルムに対して帯電防止剤含有フィルムをドライラミネートすると、図4に示すように接着剤に含まれるイソシアネートやポリエーテルなどの親水性の高い成分に対してブリードした帯電防止剤が吸着し、帯電防止性能が損なわれる問題が存在した。本発明の特徴として、成分(A1)を含む成分(A)に対して成分(B)及び成分(C)を併用することで帯電防止剤の接着層への吸着を阻害し、フィルムをドライラミネートした後も帯電防止性能を保つことが挙げられる。成分(B)中に成分(B1)を含んでいると、帯電防止剤が接着層に、より吸着しにくくなるため、特に好ましい。基材フィルムとして使用できるフィルムに特に制限はなく、たとえばポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリアミドフィルム、その他単層フィルム、複層フィルムなどを目的や用途に応じて適宜使用できる。
【0058】
〔押出ラミネートフィルム〕
押出ラミネートフィルムは基材フィルムに対して溶融樹脂を押出しながら接着することで製造される積層フィルムである。押出ラミネートフィルムでは通常、フィルム同士の接着性を向上するためにアンカーコート剤が使用される。アンカーコート剤を使用した場合積層フィルムの構成は図4と同様となる。押出ラミネートフィルムに使用される基材フィルムはドライラミネートフィルムと同様のものが使用できる。従来の帯電防止剤を使用した場合、帯電防止成分がアンカーコート接着層へ吸着されることで帯電防止性能が損なわれる問題が存在する。しかし、本発明の帯電防止剤を使用した場合、成分(A1)を含む成分(A)に対して成分(B)及び成分(C)を併用することで親水性の高いアンカーコート接着層への吸着が抑制されるため、効果的に利用できる。成分(B)中に成分(B1)を含んでいると、帯電防止剤が接着層により吸着しにくくなるため、特に好ましい。アンカーコート剤としては、ポリウレタン系接着剤、ポリエーテル系接着剤等が挙げられ、いずれも市販のものを適宜使用できる。
【0059】
〔共押出フィルム〕
共押出フィルムは溶融樹脂と溶融基材樹脂を同時に押出し、接着することで製造される積層フィルムである。図5は本発明の共押出フィルムの一例を示す断面図である。共押出フィルム11は、帯電防止層3と親水性基材層7とが直接接着して積層された構造を有している。共押出フィルムについてもドライラミネートフィルムと同様の基材樹脂を用いることができる。従来の帯電防止剤では帯電防止剤を含む熱可塑性樹脂に対して親水性の高い異なる熱可塑性樹脂を基材樹脂として共押出した際、帯電防止成分が基材樹脂層へ吸着されることで帯電防止性能が損なわれる問題が存在する。本発明の帯電防止剤を使用した場合、成分(A1)を含む成分(A)に対して成分(B)及び成分(C)を併用することで親水性基材層への吸着が抑制されるため、効果的に利用できる。成分(B)中に成分(B1)を含んでいると、帯電防止剤が親水性基材層に、より吸着しにくくなるため、特に好ましい。基材樹脂としては、たとえばポリエステルやポリビニルアルコール、ポリアミドが適宜使用できる。
【実施例】
【0060】
以下の実施例および比較例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における帯電防止性樹脂組成物の物性評価は、下記の方法にて実施した。
【0061】
(アミン価)
帯電防止剤のアミン価を医薬部外品原料規格アミン価測定法第2法によって測定する。なお、上記測定法は本願出願時に規定された測定法とする。
【0062】
(帯電防止性能評価)
ポリオレフィン系樹脂組成物の成形によって作製したフィルムを23℃で1日間、及び40℃で30日間保管する。
20℃、45%RHにコントロールされた恒温、恒湿室において、超絶縁計(東亜電波工業(株)製;SM−8310型)を使用してフィルム片の表面固有抵抗率を測定する。表面固有抵抗率1×1013Ω・cm以下(100×1011Ω・cm以下)で帯電防止性能合格とした。
【0063】
(フィルム透明性評価)
ポリオレフィン系樹脂組成物の成形によって作製したフィルムを、製膜後40℃で30日間保管後に、色差・濁度測定器(日本電色工業製;COH−300A)を使用してフィルムのΔHaze(フィルム表面をエタノールで軽く洗い流す前後のHaze値の差)を測定する。
ΔHazeが0.5以下で透明性合格とした。
【0064】
(ドライラミネートフィルムの帯電防止性評価)
ポリオレフィン系樹脂組成物の成型によって作製されたフィルムを、ポリウレタン系接着剤を用いて別の熱可塑性樹脂フィルムにドライラミネートした後、上記帯電防止性評価と同様に得られたラミネートフィルム片の表面固有抵抗率を測定する。
表面固有抵抗率1×1013Ω・cm以下(100×1011Ω・cm以下)で帯電防止性合格とした。
【0065】
(臭気の評価)
40℃にて30日間保管したフィルム片について、官能試験により臭気がないか確認する。
○:においなし
×:顕著なにおいあり
【0066】
実施例1〜18及び比較例1〜9では、表1に示す帯電防止剤成分を用いて、それぞれ表2〜4に示す配合量で帯電防止剤を調製した。なお、表2〜4における帯電防止剤の各成分の数字は、重量部を示す。帯電防止剤成分のHLB値についてはグリフィンの式を用いて算出した。
【0067】
(マスターバッチ作製)
市販メタロセン触媒重合ポリエチレン樹脂(樹脂密度:913kg/m、メルトフローレート:4g/10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した分子量分布:2.5)を基材樹脂として、帯電防止剤濃度が5重量%となるように帯電防止剤を混合し、二軸押出成形機にて230℃で溶融混練してストランドを得た。得られたストランドをペレタイザーでカットし、マスターバッチを作製した。
【0068】
(フィルムの作製)
次に、得られた帯電防止剤マスターバッチとマスターバッチ作製に使用したポリエチレン樹脂とを、表2〜4に記載した帯電防止剤濃度となるように混合し押出原料を調製し、二軸押出成形機にて230℃で溶融混練し、Tダイ法により押出した。
Tダイより押出された押出物を一軸延伸して厚さ30μmのフィルムを成形した。得られたフィルムについて、帯電防止性及び透明性、フィルム臭気を評価した。評価結果を表2〜4に示す。
【0069】
(ドライラミネートフィルムの作製)
ポリウレタン系ラミネート用接着剤(三洋化成工業製;ポリボンドAY−651)を主剤:硬化剤:酢酸エチル(溶剤)=100重量部:15重量部:190重量部の割合で調製し、別のポリプロピレンフィルムにバーコーターを用いて塗布量3g/mで塗布した後、60℃にて1分間乾燥し、溶剤を揮発させる。作製したポリエチレンフィルムを接着面に貼り合わせ、60℃に保温したローラーで圧着し、40℃にて2日間保管する。作製したラミネートフィルムについても帯電防止性を評価した。評価結果を表2、3及び4に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
表2、3に示す評価結果より、本発明のポリオレフィン系樹脂用帯電防止剤を使用したフィルムに関して、いずれも良好な透明性と帯電防止性を示していることを確認した。特に、いずれの実施例においてもラミネート後も良好な帯電防止性を維持していた。
【0075】
比較例1において、一般的に使用される帯電防止剤であるグリセリンモノステアレートのみを使用した際の結果を確認したが、帯電防止性が発揮しなかった。比較例2において比較例1よりも帯電防止剤の使用濃度を上げたが、帯電防止剤がフィルム表面に過剰にブリードしたために透明性、帯電防止性のいずれもが損なわれる結果となった。比較例3、4においてはいずれも帯電防止剤中の即効性を付与する成分(A)中に成分(A1)を含まない帯電防止剤を使用したところ、比較例3では帯電防止効果の即効性が不足し、比較例4では透明性が不足した。比較例5において成分(A)中に成分(A1)を含まず、成分(B)に成分(B1)を含まない帯電防止剤を使用したところ、透明性、ラミネート後の帯電防止性両方が損なわれた。比較例6において帯電防止剤として成分(A)を使用しなかったところ、帯電防止効果の即効性が不足し、比較例7において比較例6の濃度を上げたところ、透明性が維持できない結果となった。比較例8において帯電防止剤として成分(C)を使用しなかったところラミネート後の帯電防止性が悪化した。比較例9においてアミン系帯電防止剤を併用したところラミネート後の帯電防止性が維持できず、さらに高温での保管時に臭気が発生した。
【0076】
(押出ラミネートフィルム・共押出フィルムの作製)
実施例1と実施例4、及び比較例1と比較例3の帯電防止剤を用いて押出ラミネートフィルムと共押出フィルムを作製した。
押出ラミネートフィルムについては基材フィルムとしてポリエステルフィルムを用い、コロナ処理面にアンカーコート剤(東洋モートン社製:EL‐510/CAT‐RT80)を0.2g/mの割合で塗布しながら、帯電防止剤マスターバッチを混合したポリエチレン樹脂をTダイ法により押出し、ローラーで接着した。
基材フィルム層/ポリエチレン層=30μm/30μmとなるよう吐出量とローラー速度を調整した。
共押出フィルムについては市販ナイロン6樹脂(融点220℃、密度1.14g/cm)と帯電防止剤マスターバッチを混合したポリエチレン樹脂とを共押出用Tダイを用いて共押出し、ローラーで接着した。ナイロン6フィルム層/ポリエチレン層=30μm/30μmとなるように吐出量とローラー速度を調整した。
【0077】
【表5】
【0078】
表5の製造実施例においては、ドライラミネートフィルムと同様の帯電防止性能が発揮されており、長期的な性能減衰は見られなかった。製造比較例1−1と1−2においては過剰ブリードに伴う帯電防止性能の減衰が見られた。製造比較例2−1と2−2においては、初期性能が不足する結果となった。
【符号の説明】
【0079】
1:親水基
2:疎水基
3:帯電防止層
4:親水層
5:接着層
6:基材層
7:親水性基材層
10:積層フィルム(ドライラミネートフィルム)
11:共押出フィルム
図1
図2
図3
図4
図5