特許第6856435号(P6856435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856435
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】位置調整用治具
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20210329BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   E02D27/00 B
   E02D27/12 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-83762(P2017-83762)
(22)【出願日】2017年4月20日
(65)【公開番号】特開2018-178648(P2018-178648A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517140929
【氏名又は名称】株式会社ファンテック
(73)【特許権者】
【識別番号】511250976
【氏名又は名称】ウィング工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512237833
【氏名又は名称】豊通ファシリティーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599137574
【氏名又は名称】株式会社飯島建築事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡畑 潤
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直史
(72)【発明者】
【氏名】堀江 弘幸
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−044495(JP,A)
【文献】 特開2013−083074(JP,A)
【文献】 実開昭48−090402(JP,U)
【文献】 特開2014−148829(JP,A)
【文献】 特開2014−125792(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0069075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00
E02D 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に打ち込まれた少なくとも二つの杭の上端に角型鋼管を各々固定し、前記角型鋼管の上方にH型鋼を配置し、前記角型鋼管の上板部に形成された長孔及び前記H型鋼の下板部に形成された挿通孔に挿通させた複数のボルトとナットとにより前記角型鋼管に前記H型鋼を連結する際に、前記複数のボルトの位置を調整するために用いられる位置調整用治具であって、
前記複数のボルトの各々を立てた状態で支持する複数のボルト支持部を有する第一部材と、
前記第一部材を下方から支持する第二部材と、を備え、
前記角型鋼管の前記長孔の上方から挿入した前記複数のボルトの各々を前記第一部材の前記ボルト支持部で立てた状態で支持し、かつ、前記第二部材で前記第一部材を下方から支持した状態で、前記第一部材が前記角型鋼管の内部でスライドするように構成されている、位置調整用治具。
【請求項2】
前記第一部材は、板状部を有し、
前記ボルト支持部は、前記複数のボルトの各々の頭部を嵌め込むことにより前記各ボルトを立てた状態で支持するように前記板状部に設けられた複数の凹部である、請求項1に記載の位置調整用治具。
【請求項3】
前記凹部は、4本のボルトに対応するように4個設けられている、請求項2に記載の位置調整用治具。
【請求項4】
前記第一部材は、使用者によって把持される把持部を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の位置調整用治具。
【請求項5】
前記第二部材は、複数の部材を有する、請求項1から4の何れか一項に記載の位置調整用治具。
【請求項6】
前記第二部材は、所定高さを有する同一形状の二つの板部材である、請求項5に記載の位置調整用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置調整用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽光パネルを搭載して発電を可能とするソーラーカーポートが提案されている。このようなソーラーカーポートの基礎構造を施工する際に、建物の基礎構造と同様に鉄筋コンクリートを採用すると、鉄筋の加工、型枠の組立、型枠の解体等の煩雑な作業が発生し、工期が長期化するという問題があった。
【0003】
そこで、近年においては、地盤に打ち込まれた少なくとも二つの杭の上端に角型鋼管を各々固定し、これら角型鋼管の上方に長尺のH型鋼を配置し、複数のボルト及びナットを用いて角型鋼管をH型鋼に連結し、杭と角型鋼管とH型鋼の外側にコンクリートを打設して基礎構造とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる技術を採用すると、鉄筋の加工等の作業を省略することができ、短工期での施工が可能となる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−44495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された技術を採用しても、以下のような煩雑な作業が依然として残っていた。すなわち、角型鋼管をH型鋼に連結するためには、まず、図8に示すように角型鋼管100の上板部110に中心点Oを罫書きし、次いで、図9に示すように中心点Oからの割り振り(位置出し)作業を経て複数のボルトBの固定位置(角型鋼管100の長孔120における固定位置)を決定し、その固定位置に各ボルトBをナットNで締結する。その後、図10に示すように各ボルトBをH型鋼200の挿通孔211に挿通させ、ナットNを用いて角型鋼管100をH型鋼200に連結していた。このため、杭の傾斜や杭芯ずれによっては、ボルトBがH型鋼200の挿通孔211に挿通し難い場合があった。また、ずれの程度によっては、ボルトBを緩める作業が必要になるため、比較的多人数(最低3名)の作業者が必要であった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、地盤に打ち込まれた杭の上端に固定された角型鋼管の上方にH型鋼を配置し、複数のボルトを用いて角型鋼管にH型鋼を連結する際に、ボルトの位置決め作業に要する手間や労力を格段に低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る位置調整用治具は、地盤に打ち込まれた少なくとも二つの杭の上端に角型鋼管を各々固定し、角型鋼管の上方にH型鋼を配置し、角型鋼管の上板部に形成された長孔及びH型鋼の下板部に形成された挿通孔に挿通させた複数のボルトとナットとにより角型鋼管にH型鋼を連結する際に、複数のボルトの位置を調整するために用いられるものであって、複数のボルトの各々を立てた状態で支持する複数のボルト支持部を有する第一部材と、第一部材を下方から支持する第二部材と、を備え、角型鋼管の長孔の上方から挿入した複数のボルトの各々を第一部材のボルト支持部で立てた状態で支持し、かつ、第二部材で第一部材を下方から支持した状態で、第一部材が角型鋼管の内部でスライドするように構成されているものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、角型鋼管の長孔の上方から挿入した複数のボルトの各々を第一部材のボルト支持部で立てた状態で支持し、かつ、第二部材で第一部材を下方から支持した状態で、第一部材を角型鋼管の内部でスライドさせることができる。従って、ボルトをH型鋼の挿通孔に挿通させるために位置決めを行う際に、複数のボルト間の相対的な位置関係を変えることなく、複数のボルトを一括して移動させることができる。従来は、中心点からの割り振り(位置出し)作業を経て、複数のボルトの角型鋼管の長孔における固定位置を決定し、その固定位置に各ボルトを締結した状態でH型鋼の挿通孔に挿通させていたことから、杭の傾斜や杭芯ずれによってはボルトがH型鋼の挿通孔に挿通し難い場合があった。しかし、本治具を用いることにより、ボルトの位置決めの際に従来行っていた中心点の罫書作業や中心点からの割り振り作業が不要となるため、位置決め作業に要する手間や労力を格段に低減させることができる。また、本治具を用いることにより、各ボルトを角型鋼管の長孔に締結する必要がなくなることから、位置ずれが生じた際に従来必要であったボルトを緩める作業が不要となるため、この点からも位置決め作業を簡素化する(例えば、従来3名で行っていた作業を2名で行う)ことができる。また、杭の傾斜や杭芯ずれによって微調整が必要になった場合においても、第一部材を角型鋼管の内部でスライドさせることにより、そのような微調整が容易となるという利点を有する。
【0009】
本発明に係る位置調整用治具において、板状部を有する第一部材を採用することができる。かかる場合において、複数のボルトの各々の頭部を嵌め込むことにより各ボルトを立てた状態で支持するように板状部に設けられた複数の凹部をボルト支持部として採用することができる。この際、4本のボルトに対応するように、4個の凹部を設けることができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、簡素な構成(板状部に設けられた凹部)で容易に各ボルトを支持することができる。
【0011】
本発明に係る位置調整用治具において、使用者によって把持される把持部を有する第一部材を採用することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、使用者が把持部を把持することができるため、第一部材を角型鋼管の内部で容易にスライドさせることができる。従って、微調整が容易となる。
【0013】
本発明に係る位置調整用治具において、第二部材として、複数の部材(例えば、所定高さを有する同一形状の二つの板部材)を採用することができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、第一部材の幅方向中央部付近の下方に他の部材(例えば、杭の上端と角型鋼管の下板部とを締結するためのボルト)が存在するような場合においても、その部材を避けるように、第二部材(複数の部材)を第一部材の幅方向両端部付近の下方に配置して、第一部材を下方から支持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地盤に打ち込まれた杭の上端に固定された角型鋼管の上方にH型鋼を配置し、複数のボルトを用いて角型鋼管にH型鋼を連結する際に、ボルトの位置決め作業に要する手間や労力を格段に低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る位置調整用治具の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る位置調整用治具の第一部材の分解平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る位置調整用治具の第二部材の側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る位置調整用治具の第一部材と第二部材を組み立てた状態を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る位置調整用治具の第一部材と第二部材を組み立てた状態を示す正面図である。
図6】本発明の実施形態に係る位置調整用治具の第一部材と第二部材を組み立てた状態を示す側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る位置調整用治具の使用方法を説明するための説明図である。
図8】角型鋼管の上板部に中心点を罫書きする作業を説明するための説明図である。
図9】中心点からの割り振り作業により決定した固定位置に各ボルトを締結する作業を説明するための説明図である。
図10】各ボルトをH型鋼の挿通孔に挿通させナットを用いて角型鋼管をH型鋼に固定する作業を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態に係る位置調整用治具について、図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定するものではない。従って、本発明はその要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0018】
まず、図1図7を用いて、本発明の実施形態に係る位置調整用治具1の構成について説明する。
【0019】
本実施形態に係る位置調整用治具1は、図7に示すように、地盤に打ち込まれた少なくとも二つの杭Pの上端に角型鋼管100を各々固定し、角型鋼管100の上方にH型鋼200を配置し、角型鋼管100の上板部110に形成された長孔120及びH型鋼200の下板部210に形成された挿通孔211に挿通させた複数のボルトBとナットNとにより角型鋼管100にH型鋼200を連結する際に、複数のボルトBの位置を調整するために用いられるものである。
【0020】
位置調整用治具1は、図1に示すように、複数のボルトBの各々を立てた状態で支持する複数のボルト支持部11を有する第一部材10と、第一部材10を下方から支持する第二部材20と、を備えている。そして、位置調整用治具1は、図7に示すように、角型鋼管100の長孔120の上方から挿入した複数のボルトBの各々を第一部材10のボルト支持部11で立てた状態で支持し、かつ、第二部材20で第一部材10を下方から支持した状態で、第一部材10が角型鋼管100の内部でスライドするように構成されている。
【0021】
第一部材10は、図2に示すように、二枚の板状部10A、10Bから構成されている。第一の板状部10Aは、平面視略正方形状を呈するとともに所定厚さを有しており、その四隅付近には貫通孔11Aが形成されている。第二の板状部10Bは、平面視略長方形状を呈するとともに所定厚さを有しており、その上面11Bに第一の板状部10Aが配置され固定される。第二の板状部10Bの上面11Bに第一の板状部10Aが固定されると、図1及び図4に示すように、第一の板状部10Aに形成された4つの貫通孔11Aと、第二の板状部10Bの上面11Bと、によって4つの凹部が形成される。これら凹部は、4つのボルトBの各々の頭部を嵌め込むことにより各ボルトBを立てた状態で支持するボルト支持部11として機能する。また、第二の板状部10Bの長さ方向両端部には、図1及び図4に示すように、使用者によって把持される把持部12が形成されている。なお、第一の板状部10A及び第二の板状部10Bの略中央部には、図2に示すように、重量低減を目的とした貫通孔12A、12Bが形成されている。
【0022】
第二部材20は、第一部材10を下方から支持して、角型鋼管200の下板部130から所定高さの位置に第一部材10を配置するものである。本実施形態においては、第二部材20として、図1図3図5図6に示すように、所定高さを有する同一形状(長尺幅狭形状)の二つの板部材21を採用している。第二部材20として、このように複数の部材を採用することにより、図5に示すように第一部材10の幅方向中央部付近の下方に他の部材(杭Pの上端と角型鋼管100の下板部130とを締結するためのボルトB)が存在するような場合においても、その部材を避けるように、第二部材20を第一部材10の幅方向両端部付近の下方に配置して、第一部材10を下方から支持することができる。
【0023】
次に、図5図7を用いて、本実施形態に係る位置調整用治具1の使用方法について説明する。
【0024】
まず、位置調整用治具1の第二部材20(二つの板部材21)を角型鋼管100の内部に挿入して配置する。この際、図5に示すように、杭Pの上端と角型鋼管100の下板部130とを締結するためのボルトBを挟むように、二つの板部材21を立てて配置する。次いで、図5及び図7に示すように、第二部材20の上方に第一部材10を載置し、第一部材10を第二部材20によって下方から支持する。続いて、図5図7に示すように、角型鋼管100の長孔120の上方から挿入した複数のボルトBの各々を、第一部材10のボルト支持部11で立てた状態で支持する。
【0025】
このように第一部材10を第二部材20によって下方から支持し、複数のボルトBの各々を第一部材10のボルト支持部11で支持した状態で、第一部材10を角型鋼管100の内部でスライドさせながら複数のボルトBの位置合わせを行って、図5図7に示すように、H型鋼200の下板部210に形成された挿通孔211に複数のボルトBを挿通させる。その後、ナットNを用いてボルトBを角型鋼管100及びH型鋼に締結することにより、角型鋼管100とH型鋼200とを連結する。
【0026】
角型鋼管100とH型鋼200との連結作業が完了したら、位置調整用治具1の第二部材20を角型鋼管100の内部から取り外す。第二部材20を取り外すことにより、第二部材20によって支持されていた第一部材10が重力で下方に落下し、第一部材10のボルト支持部11によるボルトBの支持状態も自動的に解除される。その後、第一部材10を角型鋼管100の内部から取外し、一連の連結作業を完了する。
【0027】
以上説明した実施形態に係る位置調整用治具1においては、角型鋼管100の長孔120の上方から挿入した複数のボルトBの各々を第一部材10のボルト支持部11で立てた状態で支持し、かつ、第二部材20で第一部材10を下方から支持した状態で、第一部材10を角型鋼管100の内部でスライドさせることができる。従って、ボルトBをH型鋼200の挿通孔211に挿通させるために位置決めを行う際に、複数のボルトB間の相対的な位置関係を変えることなく、複数のボルトBを一括して移動させることができる。従来は、中心点(図8)からの割り振り(位置出し)作業を経て、複数のボルトBの角型鋼管100の長孔120における固定位置を決定し、その固定位置に各ボルトBを締結した状態(図9)でH型鋼200の挿通孔211に挿通させていた(図10)ことから、杭Pの傾斜や杭芯ずれによってはボルトBがH型鋼200の挿通孔211に挿通し難い場合があった。しかし、本治具1を用いることにより、ボルトBの位置決めの際に従来行っていた中心点の罫書作業(図8)や中心点からの割り振り作業(図9)が不要となるため、位置決め作業に要する手間や労力を格段に低減させることができる。また、本治具1を用いることにより、各ボルトBを角型鋼管100の長孔120に締結する必要がなくなることから、位置ずれが生じた際に従来必要であったボルトBを緩める作業が不要となるため、この点からも位置決め作業を簡素化する(例えば、従来3名で行っていた作業を2名で行う)ことができる。また、杭Pの傾斜や杭芯ずれによって微調整が必要になった場合においても、第一部材10を角型鋼管100の内部でスライドさせることにより、そのような微調整が容易となるという利点を有する。
【0028】
また、以上説明した実施形態に係る位置調整用治具1においては、複数のボルトBの各々の頭部を嵌め込むことにより各ボルトBを立てた状態で支持するように板状部10A、10Bに設けられた複数の凹部をボルト支持部11として採用しているため、簡素な構成で容易に各ボルトBを支持することができる。
【0029】
また、以上説明した実施形態に係る位置調整用治具1においては、使用者が第一部材10の把持部12を把持することができるため、第一部材10を角型鋼管100の内部で容易にスライドさせることができる。従って、微調整が容易となる。
【0030】
また、以上説明した実施形態に係る位置調整用治具1においては、第二部材20として、複数の部材(所定高さを有する同一形状の二つの板部材21)を採用しているため、第一部材10の幅方向中央部付近の下方に他の部材(杭Pの上端と角型鋼管100の下板部130とを締結するためのボルトB)が存在するような場合においても、その部材を避けるように、第二部材20(複数の部材21)を第一部材10の幅方向両端部付近の下方に配置して、第一部材10を下方から支持することができる。
【0031】
なお、以上の実施形態においては、第一部材10にボルト支持部(凹部)11を4個設けた例を示したが、ボルト支持部の個数はこれに限られるものではなく、使用するボルトBの個数に応じてボルト支持部の個数を適宜変更することができる。また、以上の実施形態においては、ボルト支持部として、第一の板状部10Aに形成された貫通孔11Aと、第二の板状部10Bの上面11Bと、から形成される凹部を採用した例を示したが、ボルト支持部の構造はこれに限られるものではなく、ボルトBを立てた状態で支持可能な構造であればいかなる構造を採用してもよい。
【0032】
また、以上の実施形態においては、平面視矩形状の2枚の板部材10A、10Bを結合させて第一部材10を形成した例を示したが、第一部材10の構造はこれに限られるものではなく、第二部材20によって支持された状態で角型鋼管100の内部でスライド可能な構造であればいかなる構造を採用してもよい。
【0033】
また、以上の実施形態においては、第二部材20として、複数の部材(所定高さを有する同一形状の二つの板部材21)を採用した例を示したが、第二部材20の構造はこれに限られるものではなく、角型鋼管100の内部で第一部材10を下方から支持可能な構造であればいかなる構造を採用してもよい。
【0034】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0035】
1…位置調整用治具
10…第一部材
10A…第一の板状部
10B…第二の板状部
11…ボルト支持部(凹部)
12…把持部
20…第二部材
21…板部材
100…角型鋼管
110…上板部
120…長孔
200…H型鋼
210…下板部
211…挿通孔
B…ボルト
N…ナット
P…杭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10