(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の煙感知器試験装置にあっては、濃度計を内蔵した加煙試験器は、上向きに開放された試験器内に発煙装置、送風ファン及び濃度計を配置しており、天井面の煙感知器に下から加煙試験器を当てた状態で、発煙装置から煙を試験器内に放出させて試験発報させており、煙を放出してから煙濃度が上昇して煙感知器が試験発報するまで時間がかかり、その間、支持棒により加煙試験器を煙感知器に当てた状態を保持していなければならず、作業負担が大きいという問題がある。
【0008】
また、感度試験作業は、複数の煙感知器に対し設置場所を移動しながら感度試験を順次行うが、一度、感度試験を行って次に感度試験を行う場合、移動している間に、試験器内に放出していた煙は抜け出してしまい、次に煙を放出してから煙濃度が上昇して煙感知器が試験発報するまで時間がかかり、また、発煙装置から放出された煙が無駄になる問題がある。
【0009】
更に、支持棒の先端に設けた加煙試験器に内蔵した濃度計に対し、作業者側に制御装置を配置して濃度表示を行っており、濃度計と制御装置の間は信号線ケーブルで接続していることから、信号ケーブルにより重量が増加し、操作を妨げる要因となっている。
【0010】
本発明は、支持棒により天井面に設置された煙感知器に下から当てて試験を行う作業時間が短時間で済み、また、試験に使用した煙の再利用を可能とし、更に、信号ケーブルを不要にして操作性を向上可能とする煙感知器試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(煙感知器試験装置)
本発明は、煙感知器試験装置に於いて、
煙感知器の試験を行う装置本体と、
装置本体に煙を供給する発煙装置と
、
を備え、
装置本体は、
発煙装置から供給される煙を溜める煙溜り部と、
外部に開放された感知器試験部と、
感知器試験部と煙溜り部とを仕切り分離する隔壁と、
隔壁を貫通して煙溜り部から感知器試験部に煙を流入させると共に感知器試験部から煙溜り部に煙を流出させる循環経路と、
煙感知器の試験中は
循環経路の流路を開放し、非試験中は
循環経路の流路を閉鎖する開閉
装置と、
発煙装置により供給された煙を感知器試験部に拡散させる送風部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
(感度試験装置としての機能)
更に、
一端側に把持部が配置され、他端側に装置本体が配置された支持棒と、
煙溜り部に煙濃度を検出する
濃度計と、
支持棒の把持部側に濃度計の検出した濃度情報を表示する表示部
と、
を備え、
感度試験装置として機能する。
【0014】
(遠隔操作器と操作指示)
支持棒の把持部側に遠隔制御
器を備え、
遠隔制御
器による
装置本体の制御部への指示に基づき、
煙感知器の試験を行わせる。
【0015】
(操作指示による感度試験制御)
制御部は、遠隔制御器による所定の試験準備
指示を検出した場合に、開閉装置を閉鎖させた状態で発煙装置を作動させて煙を放出させる共に送風部を作動させ、濃度計により検出された煙濃度が所定の試験開始濃度に達した場合に試験準備完了を遠隔
制御器から報知させ、所定の試験開始
指示を検出した場合に開閉装置を開放して感度試験を行わせ、更に、所定の試験終了
指示を検出した場合に、開閉装置を閉鎖させる。
【0016】
(装置本体と遠隔制御器の通信)
制御部と遠隔制御器との間で無線通信により信号を送受信する。
【0017】
(試験ログ)
制御部は、感度試験による煙感知器の発報に対応して
濃度計で検出された発報煙濃度を試験履歴として
メモリに記憶させる。
【0018】
(試験発報の自動検出と報知)
感知器試験部に、煙感知器に設けられた発報表示灯の作動を検出する発報検出部が設けられ、
制御部は、感度試験中に発報検出部による発報表示灯の作動を検出した場合に、遠隔制御器から感知器発報を報知させる。
【0019】
(発報検出に連動した制御処理)
制御部は、発報表示灯の作動を検出した場合に、更に、開閉装置を
閉鎖させて試験準備状態とし、また、濃度計で検出された発報煙濃度を試験履歴としてメモリに記憶させる。
【0020】
(感度試験装置として機能する煙感知器試験装置の構成)
煙感知器の試験を行う装置本体と、
装置本体に煙を供給する発煙装置と、
を備えた煙感知器試験装置に於いて、
装置本体は、
発煙装置から供給される煙を溜める煙溜り部と、
煙感知器の試験中は煙溜り部を外部に開放し、非試験中は煙溜り部を閉鎖する開閉部と、
煙溜り部に煙濃度を検出する濃度計と、
を備え、
濃度計の検出した濃度情報を表示する表示部を備え、感度試験装置として機能することを特徴とする。
【0021】
(表示部の配置)
更に、一端側に把持部が配置され、他端側に装置本体が配置された支持棒を備え、
支持棒の把持部側に表示部を備える。
【発明の効果】
【0024】
(基本的な効果)
本発明は、煙感知器試験装置に於いて、煙感知器の試験を行う装置本体と、装置本体に煙を供給する発煙装置と、一端側に把持部が配置され、他端側に装置本体が配置された支持棒とを備え、装置本体は、発煙装置から供給される煙を溜める煙溜り部と、
煙感知器の試験中は煙溜り部を外部に開放し、非試験中は煙溜り部を閉鎖する開閉部とを備えたため、煙感知器の試験を行う場合には、発煙装置から供給された煙が煙溜り部に溜まった後に開閉部により煙溜り部を外部に開放して煙感知器に煙を放出させることから、煙感知器が試験発報するまでの時間が短くて済み、作業者は煙溜り部を外部に開放しているあいだ、支持棒により煙感知器に下から当てた状態を保持していれば良いことから、その時間を短くすることができ、作業負担を低減可能とする。
【0025】
また、煙感知器の非試験中は、開閉部により煙溜り部が閉鎖されることから、煙溜り部の煙は外部放出されずに滞留しており、次の煙感知器の試験に滞留している煙を再利用することができ、発煙装置による煙の発生量を低減でき、発煙装置による試験可能回数が増加し、消耗品としてのコストを低減可能とする。
【0026】
(装置本体の構造による効果)
また、装置本体は、
発煙装置から供給される煙を溜める煙溜り部と、外部に開放された感知器試験部と、感知器試験部と煙溜り部とを仕切り分離する隔壁と、隔壁を貫通して煙溜り部から感知器試験部に煙を流入させると共に感知器試験部から煙溜り部に煙を流出させる循環経路と、
煙感知器の試験中は循環経路の流路を開放し、非試験中は循環経路の流路を閉鎖する開閉装置と、発煙装置により
供給された煙を
感知器試験部に拡散させる送風部とを備えたため、煙感知器の
試験を行う場合には、循環経路を閉鎖した状態で煙溜り部に煙が放出され、煙が溜まった後に循環経路を開いて感知器試験部に煙を放出させることから、循環経路を開いてから煙感知器が試験発報するまでの時間が短くて済み、作業者は循環経路を開いているあいだ、支持棒により煙感知器に下から当てた状態を保持していれば良いことから、その時間を短くすることができ、作業負担を低減可能とする。
【0027】
また、煙感知器の発報試験が終了したら還流経路が閉鎖されることから、煙溜り部の煙は外部放出されずに滞留しており、次の煙感知器の感度試験に滞留している煙を再利用することができ、発煙装置による煙の発生量を低減でき、発煙装置による試験可能回数が増加し、消耗品としてのコストを低減可能とする。
【0028】
(感度試験装置としての機能による効果)
また、煙溜り部に煙濃度を検出する
濃度計と、支持棒の把持部側に濃度計の検出した濃度情報を表示する表示部を備え、感度試験装置として機能するようにしたため、煙感知器の試験として発報試験に加え、発報する煙濃度を試験する測定して確認する感度試験装置の機能を簡単に実現することができ、この感度試験の場合にも、煙感知器の感度試験を行う作業時間が短時間で済み、また、感度試験に使用した煙の再利用が可能となる。
【0029】
(遠隔操作器と操作指示による効果)
また、支持棒の把持部側に遠隔制御
器を備え、遠隔制御
器による
装置本体の制御部への指示に基づき、
煙感知器の試験を行わせるようにしたため、
煙溜り部に発煙装置からの煙を溜めた後に開閉部により外部に開放して煙感知器を試験する操作を、手元となる支持棒の把持部側に設けられた遠隔制御
器の操作により容易に行うことができる。
【0030】
(操作指示による感度試験制御)
制御部は、遠隔制御器による所定の試験準備
指示を検出した場合に、開閉装置を閉鎖させた状態で発煙装置を作動させて煙を放出させる共に送風部を作動させ、濃度計により検出された煙濃度が所定の試験開始濃度に達した場合に試験準備完了を遠隔
制御器から報知させ、所定の試験開始
指示を検出した場合に開閉装置を開放して感度試験を行わせ、更に、所定の試験終了
指示を検出した場合に、開閉装置を閉鎖させるようにしたため、
支持棒の手元に配置された遠隔制御器の試験準備
指示、試験開始
指示及び試験終了
指示に連携し、作業者は煙感知器の感度試験に先立って試験準備操作を行うと、循環経路を閉鎖した状態で煙溜り部に煙が放出され、所定の試験開始濃度に上昇したときに試験準備完了が報知されることから、このとき作業者は支持棒をもって試験対象とする煙感知器に煙感知器試験装置を下から当てた状態に保持し、この状態で試験開始操作を行うと
循環経路が開放されて煙溜り部から感知器試験部に煙が放出され、短時間で煙感知器が試験発報し、支持棒により煙感知器に下から当てた状態を保持している時間が短くて済み、作業負担を大幅に低減可能とする。
【0031】
また、作業者は煙感知器の試験発報を確認して濃度計の濃度を記録して試験が終了したら、所定の試験終了操作を行うと
循環経路が閉鎖され、煙溜り部の煙は外部放出されずに滞留しており、次の煙感知器の感度試験を行う場合、試験準備操作により煙溜り部に煙を放出させると直ぐに試験開始濃度に上昇して感度試験を行うことができ、一度放出した煙の再利用により発煙装置による煙の発生量を低減でき、発煙装置による試験可能回数が増加し、消耗品としてのコストを低減可能とする。
【0032】
(装置本体と遠隔制御器の通信による効果)
また、
制御部と遠隔制御器との間の無線通信により信号を送受信するようにしたため、支持棒の先端側に配置された装置本体と遠隔制御器との間を信号ケーブルで接続する必要がないことから、重量が増加せず、操作性を妨げることがない。
【0033】
(試験ログによる効果)
また、制御部は、感度試験による煙感知器の発報に対応して濃度計で検出された発報煙濃度を試験履歴として
メモリに記憶させるようにしたため、試験作業が終了した後に、メモリから試験履歴を読み出すことで、試験作業中に試験発報した濃度を記録する作業が不要となり、作業負担を低減して作業時間を短縮可能とする。
【0034】
(試験発報の自動検出と報知による効果)
また、感知器試験部に、煙感知器に設けられた発報表示灯の作動を検出する発報検出部が設けられ、制御部は、感度試験中に発報検出部による発報表示灯の作動を検出した場合に、表示部に感知器発報を表示させるようにしたため、装置本体を煙感知器に下から当てた状態で試験発報を示す発報表示灯の点灯を確認する必要がなくなり、手元の
遠隔制御器の表示から試験発報を簡単且つ確実に知って、試験発報した濃度等を確認可能とする。
【0035】
(発報検出に連動した制御処理による効果)
また、制御部は、発報表示灯の作動を検出した場合に、更に、開閉装置を
閉鎖させて試験準備状態とし、また、濃度計で検出された発報煙濃度を試験履歴としてメモリに記憶させるようにしたため、発報表示灯の作動による試験発報が検出されると、自動的に試験発報したときの煙濃度がメモリに記憶され、また、開閉装置が自動的に閉鎖されて煙溜り部に放出されている煙が次の感度試験のために保持される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[煙感知器試験装置の概要]
図1は感度試験装置として機能する煙感知器試験装置の第1実施形態を煙感知器の試験状態で示した説明図である。
図1に示すように、本実施形態の煙感知器試験装置10は、装置本体12、支持棒14及び遠隔制御器(リモートコントローラ)16で構成され、支持棒14の先端に装置本体12が配置され、支持棒14の操作側となる手元側に遠隔制御器16が配置されている。
【0043】
(装置本体)
装置本体12は、本体ケース18と透明カバー20で構成され、本体ケース18の中に仕切板22が配置されると共に、本体ケース18の上部開口に隔壁24が配置され、隔壁24の下側に煙溜り部26が形成され、隔壁24の上側に配置された透明
カバー20の中に
上方に開口した感知器試験部28が形成されている。
【0044】
煙溜り部26と感知器試験部28を仕切る隔壁24には、インテークパイプ30とエグゾーストパイプ32が貫通配置されている。インテークパイプ30は隔壁24を貫通して煙溜り部26から感知器試験部28に煙を流入させ、エグゾーストパイプ32は隔壁24を貫通して感知器試験部28から煙溜り部26に煙を流出させる循環経路を形成している。
【0045】
インテークパイプ30とエグゾーストパイプ32の中には、開閉装置34が設けられている。開閉装置34は電磁ソレノイドやモータ駆動により、円形の弁板を閉鎖位置で水平とし、開放位置で垂直とする切替により流路を開閉させる。
【0046】
隔壁24と仕切板22で区切られた煙溜り部26には、送風部36、濃度計38及び回路基板に実装された制御部72が配置されている。また、仕切板22の下側には発煙装置40が収納され、発煙装置40の煙の放出口は煙溜り部26に開口されている。
【0047】
送風部36は感度試験の際に駆動され、破線の矢印に示すように、発煙装置40から放出された煙を還流して拡散させる。濃度計38は煙溜り部26に拡散された煙の濃度を検出して制御部72に出力する。
【0048】
発煙装置40は、所定の水溶性液体の気化により霧化した擬似煙を発生して煙溜り部26に放出させるものであり、本実施形態にあっては、市販されている所定サイズの加煙スプレー缶と同じ外形サイズを持つ筐体に発煙機構が組み込まれている。
【0049】
装置本体12の上部に配置された透明カバー20の内部には、発報検出
部35が設けられており、試験発報した煙感知器100に設けられた発報表示灯102の点灯による光を検出し、発報検出信号を制御部72に出力する。
【0050】
制御部72は、遠隔制御器16からの所定の操作指示に基づき感度試験を行なって試験結果を遠隔制御器16に表示させる。
【0051】
装置本体12に設けられた制御部72と支持棒14の手元側に設けられた遠隔制御器16との間は無線通信により各種の信号を送受信しており、両者の間を信号ケーブルで接続する必要がないことから、煙感知器試験装置10が重くならず、支持棒14を持って行う感知器試験の操作を容易に行うことができる。
【0052】
また、遠隔制御器16は支持棒14の手元側に配置されているが、着脱自在であり、必要な場合は、支持棒14から取り外して作業者が形態することができる。
【0053】
(煙感知器試験装置の機能構成)
図2は装置本体と遠隔制御器の機能構成を示したブロック図である。
【0054】
(装置本体の機能構成)
図2に示すように、装置本体12には、制御部72が設けられ、制御部72に対し開閉装置34、発報検出
部35、濃度計38、
図1に示した発煙装置40に内蔵された発煙制御部50、及びアンテナ76が接続された通信部74が接続され、図示しないリチウムイオン電池等の充電式の電池を電源として動作される。
【0055】
制御部72はCPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、プログラムの実行により所定の感度試験制御を行う。
【0056】
通信部74は、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した通信プロトコルにより、遠隔制御器16の通信部80との間で、各種の操作信号や煙濃度等の測定信号等の送受信を行う。
【0057】
(遠隔制御器の機能構成)
遠隔制御器16には遠隔制御部78が設けられ、遠隔制御部78に対しアンテナ82が接続された通信部80、操作部84、表示部86及び音響部88が接続され、図示しない電池を電源として動作される。
【0058】
遠隔制御部78はCPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、プログラムの実行により所定の操作や表示の制御を行う。通信部
80は、装置本体12の通信部74と同じ通信プロトコルにより、
装置本体12の通信部
74との間で、各種の操作信号や煙濃度等の測定信号等の送受信を行う。
【0059】
(装置本体の感度試験制御)
装置本体12の制御部72は、遠隔制御器16の操作に基づき、試験準備制御、試験開始制御及び試験終了制御からなる一連の感度試験制御を行う。
【0060】
制御部72は、試験準備制御として、遠隔
制御器16の操作部84による所定の試験準備操作を検出した場合に、開閉装置34を駆動して流路を閉鎖させた状態で発煙装置40を作動させて擬似煙を発生させると共に送風部36を作動させて煙溜り部26内で放出された擬似煙を拡散還流させ、濃度計38により検出された煙濃度が所定の試験開始濃度に達した場合に試験準備完了を遠隔
制御器16から報知させる制御を行う。
【0061】
この試験準備制御は、装置本体12を
図1に示すように、支持棒14を持って天井面の煙感知器100に押し当てた状態で行う必要はなく、作業負担が大幅に低減される。
【0062】
また、制御部72は、試験準備制御に続く試験開始制御として、遠隔制御器16による所定の試験開始操作を検出した場合に開閉装置34を開放することで、
図1に示した装置本体12の煙溜り部26に滞留させていた擬似煙を、インテークパイプ30から感知器試験部28を流入させると共にエグゾーストパイプ32により感知器試験部28から煙溜り部26に擬似煙を排出させることで、還流させる制御を行う。
【0063】
このため試験開始制御により煙溜り部26に滞留保持されていた所定の試験準備濃度となった擬似煙が、開閉装置34を開くことで、感知器試験部28に送風部36の送風より流入し、感知器試験部28の煙濃度は短時間で感知器発報に必要な濃度に増加する。
【0064】
この試験開始制御は、
図1に示すように、支持棒14を持って装置本体12の透明カバー20を、天井面に設置された煙感知器100を下から覆うように押し当てた状態で行うことになるが、遠隔制御器16により所定の試験開始操作を行ってから煙感知器100が試験発報するまでの時間は短く、装置本体12を煙感知器100に押し当てている作業時間が短くなり、作業負担が低減すると共に作業効率を高めることができる。
【0065】
また、制御部72は、試験開始制御に続く試験終了制御として、透明カバー20に設けられた発報検出部35により、試験発報した煙感知器100の発報表示灯102の点灯を検出した場合、開閉装置34を閉鎖させ、煙溜り部26に残留している擬似煙を保持させる制御を行う。
【0066】
このため感度試験で使用された擬似煙を次の煙感知器の感度試験に再利用することができる。即ち、前に行った感度試験により、装置本体12の煙溜り部26には、ある程度の煙濃度の擬似煙が残留しており、次の感度試験で試験準備制御による発煙装置40から擬似煙を閉鎖状態にある煙溜り部26に放出させた場合、煙が残留していない場合に比べ、所定の試験準備濃度に達するまでの時間が短くなり、また、発煙装置40からの発煙量も少なくて済み、発生させた擬似煙の再利用により感度試験の作業時間が短縮され、また、発煙装置40からの発煙量も低下し、感度試験の回数が増加すると共に発煙装置40の消耗を低減して交換品としてのコストを低減できる。
【0067】
また、制御部72による試験終了制御の他の制御として、作業者が煙感知器100の試験発報による発報表示灯102の点灯を確認すると遠隔制御器16で所定の試験終了操作を行うことから、この試験終了操作を検出した場合に、開閉装置34を閉鎖させ、煙溜り部26に残留している擬似煙を次の煙感知器の感度試験のために保持させる制御を行うようにしても良い。
【0068】
また、制御部72は、発報検出部35により試験発報した煙感知器100の発報表示灯102の点灯を検出した場合、又は、作業者による試験発報の確認で遠隔制御器16の試験終了操作を検出した場合、そのとき濃度計38により測定している試験発報時の煙濃度を、感知器識別情報や時刻情報と共にメモリに試験履歴として記憶させる制御を行う。制御部72によりメモリに記憶された試験履歴は、外部機器を適宜の入出力インタフェースを介して接続することで読出して利用することができる。
【0069】
(遠隔制御器の制御)
遠隔制御器16の遠隔制御部78は、操作部84による試験準備操作、試験開始操作又は試験終了操作に対応して、通信部80に指示して、それぞれの操作信号を装置本体12に送信する制御を行う。
【0070】
また、遠隔制御部78は、試験準備制御、試験開始制御及び試験終了制御からなる一連の感度試験制御のあいだ、装置本体12から送信されてくる濃度計38で測定された煙濃度を、液晶表示器を備えた表示部86に数値表示させる制御を行う。また、遠隔制御部
78が濃度計38で測定された煙濃度が所定の試験準備濃度に達した場合に、表示部86に試験準備濃度への到達を表示させると共に、音響部88に指示して試験準備完了を示す所定の報知音を出力させる制御を行う。
【0071】
また、遠隔制御部78は、装置本体12の制御部72から発報検出
部35の発報検出による発報検出信号を受信した場合、表示部86に試験発報を表示させると共に、音響部88に指示して試験発報を示す所定の報知音を出力させる制御を行う。
【0072】
[発煙装置]
図3は発煙装置を取り出して示した説明図であり、
図3(A)に外観を示し、
図3(B)に内部構造を示す。また
図4は発煙カートリッジの実施形態を断面により示した説明図、
図5は発煙カートリッジを交換するために発煙装置を分解した状態を示した説明図である。
【0073】
(発煙装置の構成)
図
3に示すように、発煙装置40は、フロンガスを使用した市販の発煙スプレー缶と同じ外形サイズとなる例えば直径50ミリメートル、高さ150ミリメートルの円筒状の筐体42を備え、本実施形態では、筐体42は高さ方向に半分に分けられた上ケース42aと下ケース42bに分離可能であり、中央の連結部42cで連結され、更に、下ケース42bには通気孔42dが形成されている。
【0074】
また、筐体42の材質は金属ケースとしても良いし、合成樹脂ケースとしても良い。また、筐体42は必ずしも密閉構造とする必要はなく、
図1に示した本体ケース18に収納可能な枠形状であっても良い。
【0075】
発煙装置40の筐体42内には、リチウムイオン電池等の充電式の電池44、送風部として機能する送風ポンプ45、気流検知部48、発煙制御部50、コネクタ54により着脱自在な発煙カートリッジ60が組み込まれている。
【0076】
送風ポンプ45は小型化するため例えば圧電ポンプを使用している。送風ポンプ45の駆動による加圧空気はエアーパイプ46を介して送り出され、円筒ケース52a,52bに送り込まれる。円筒ケース52a内には気流検知部48と回路基板に実装された発煙制御部50が配置されている。また、円筒ケース52b内には、発煙制御部50に対しコネクタ54により着脱自在に設けられた発煙カートリッジ60が収納されている。
【0077】
送風ポンプ45からエアーパイプ46を介して送り込まれた加圧空気は、破線で示すように、円筒ケース52a内の気流検知部48から発煙制御部50の周囲を通り、円筒ケース52bの発煙カートリッジ60の中にコネクタ54の部分から送り込まれ、また、発煙カートリッジ60の周囲を通って円筒ケース52aの上端の放出口53から放出される。気流検知部48は円筒ケース52a内を流れる気流を検知し、気流検知信号を発煙制御部50に出力する。
【0078】
筐体42における上ケース
42aの外側にはコネクタ56が配置されており、
図1に示した制御部72からの信号線73が接続されている。円筒ケース52aの外側にはコネクタ55が設けられており、コネクタ56からの信号線57、電池44からの電源線58及び送風ポンプ45に対する制御線59などを発煙制御部50に接続している。
【0079】
発煙制御部50は、
図1に示した制御部72からの発煙制御信号を受信すると、送風ポンプ45を駆動し、加圧空気をエアーパイプ46から円筒ケース52a,52bに送り込み、その一部を発煙カートリッジ60内に送り込む制御を行う。
【0080】
また、発煙制御部50は、円筒ケース52a内に設けられた気流検知部48の気流検知信号により気流を検知した場合、発煙カートリッジ60に内蔵されているヒータに通電して加熱させ、発煙カートリッジ60内に組み込まれている液体供給部に含浸された発煙用の水溶性溶液を気化させることで擬似煙を発煙させ、円筒ケース52bの放出口53から放出させる制御を行う。
【0081】
(発煙カートリッジ)
図4に示すように、発煙カートリッジ60は、筒体62の内部に棒状の液体供給部68が収納され、液体供給部68にはヒータ70が巻き回され、ヒータ70の下側はコネクタ54の接続ピン54a,54bに接続されている。
【0082】
筒体62は下端に流入口64が開口され、
図3の送風ポンプ45から送られた加圧空気を矢印に示すように、筒体62の中に導入する。また、筒体62の上部には放出口66が開口され、流入口64から導入した空気を上方に放出させている。
【0083】
液体供給部68は、例えばガラス繊維等の繊維系不燃性フィルタ又は発泡樹脂製の不燃性フィルタを棒状に形成したものであり、フィルタは表面のあらゆる方向に向かって通気可能に開口した多数の空隙孔が内部に形成されており、この空隙孔内に発煙剤となる所定の水溶性液体を含浸させている。
【0084】
液体供給部68には、ニクロム線、白金線等の金属線を用いたヒータ70がスパイラル状に巻き付けられており、液体供給部68に含浸された水溶性液体をヒータ70に接触させ、ヒータ70に対する通電により加熱で、液体供給部68に含浸された水溶性液体を気化させ、気流に乗せて放出口66から放出させることで霧化された擬似煙(エアロゾル)を発生させる。
【0085】
液体供給部68に含浸させる水溶性液体としては、親水性を有し保水性が高い成分、例えば、グリセリン、プロピレングリコール等の成分のうち少なくとも一の成分を含む人体に無害な水溶性液体が用いられている。
【0086】
液体供給部68に含浸されたグリセリン、プロピレングリコール等の成分を含む水溶性液体をヒータ70により加熱して気化させると、グリセリン、プロピレングリコール等の成分が水と共に蒸発し、放出口66から放射された後に冷えて核となり、これに水蒸気が凝集して白い煙状になることで擬似煙が生成される。
【0087】
このようにして生成された擬似煙にあっては、プロピレングリコールやグリセリンは親水性が高く、蒸発した水分を取り込むと共に、取り込んだ水分の蒸発を防ぐ効果が高いために、白い煙が比較的長時間にわたり空気中に浮遊することになる。
【0088】
(カートリッジ交換)
図5に示すように、使い終わった発煙カートリッジ60を交換する場合には、
図1の装置本体12から取り出した発煙装置40について、筐体42の下ケース42bから上ケース42aを取外し、下ケース42b内に収納されている円筒ケース52a,52bを露出させ、続いて円筒ケース52bを取り外して発煙カートリッジ60を露出させる。
【0089】
発煙カートリッジ60は発煙制御部50側にコネクタ
55で接続されていることから、使い終わった発煙カートリッジ60を取り外し、新しい発煙カートリッジに差し替えて交換する。
【0090】
[気流検知部のない発煙装置]
本実施形態の煙感知器試験装置に使用する発煙装置の他の実施形態として、
図3の発煙装置40に設けている気流検知部48を除いた構成としても良い。
【0091】
気流検知部48を持たない実施形態にあっては、発煙制御部50は、
図1の制御部72から発煙制御信号を受信した場合、送風ポンプ45の駆動に加え、発煙カートリッジ60に内蔵されたヒータ70に通電加熱を行う。
【0092】
このように気流検知部48を設けていなくとも、送風ポンプ45の駆動により発煙カートリッジ60に加圧空気が送られることから、発煙カートリッジ60内を通過する気流が断たれることはなく、ヒータ70の異常な加熱が起きる可能性もないことから、実用上は、気流検知部48を設けなくとも正常に動作させることが可能となる。
【0093】
[煙感知器試験装置による試験作業]
次に、本実施形態の煙感知器試験装置10を使用した煙感知器の感度試験について説明する。
【0094】
図1に示すように、煙感知器試験装置10により煙感知器100の感度試験を行うには、煙感知器100の設置場所で遠隔制御器16により試験準備操作を行うと、装置本体12の制御部72に試験準備制御信号が送信され、制御部72は開閉装置34を閉鎖させた状態で、発煙装置40に発煙制御信号を出力して擬似煙を放出させると共に送風部36に駆動信号を出力して煙溜り部26に放出された擬似煙を拡散させる。
【0095】
この状態で発煙制御部50は濃度計38により測定している煙溜り部26の煙濃度が所定の試験準備濃度に達したことを検出すると、遠隔制御器16に試験準備完了信号を送信し、表示と音響出力により作業者に感度試験準備完了を報知する。
【0096】
感度
試験準備完了を知った作業者は、支持棒14の操作により装置本体12を、天井面に設置された煙感知器100に下から覆うように押し当て、透明カバー20の周端縁を天井に密着させ、感知器試験部28の中に煙感知器100を位置させる。
【0097】
この状態で作業者が遠隔制御器16の感度試験開始操作を行うと、制御部72に感度試験開始信号が送信され、制御部72は開閉装置34を開放位置に駆動させる。このため煙溜り部26に滞留していた擬似煙は、送風部36の送風によりインテークパイプ30を通って感知器試験部28に煙溜り部26から擬似煙が送り込まれ、また、エグゾーストパイプ32を通って感知器試験部28から煙溜り部26に擬似煙が送り出され、煙溜り部26と感知器試験部28の間を還流しながら発煙装置40からの擬似煙の放出により煙濃度が増加する。
【0098】
感知器試験部28の煙濃度の増加により煙感知器100が試験発報すると発報表示灯102が点灯される。発報表示灯102の点灯は発報検出
部35で検出され、発報検出信号が制御部72に出力される。発報制御信号が入力された制御部72は、遠隔制御器16に発報検出信号を送信し、これを受信した遠隔制御器16は試験発報を報知すると共に濃度計38で測定している煙濃度を表示させる。
【0099】
作業者は、遠隔制御器16による試験発報の報知を確認し、必要な場合は、試験発報したときの煙濃度を記録し、これにより感度試験が終了する。感度試験が終了すると、作業者は遠隔制御器16で感度試験終了操作を行い、感度試験終了信号が制御部72に出力され、この感度試験終了信号を受信した制御部72は、開閉装置34を閉鎖位置に駆動し、煙溜り部26に滞留している擬似煙を封じ込め、次の煙感知器の感度試験に利用可能とする。以下同様に、警戒区域を移動しながら煙感知器の感度試験
を繰り返す。
【0100】
[煙感知器試験装置の第2実施形態]
図6は煙感知器試験装置の第2実施形態を示した説明図であり、
図6(A)は試験前の状態を示し、
図6(B)は試験中を示し、本実施形態は天井面の押し付けにより検出スイッチを作動して煙を放出させるようにしたことを特徴とする。
【0101】
図6(A)に示すように、装置本体12は、本体ケース18と伸縮透明カバー20aで構成され、本体ケース18の中に仕切板22が配置されると共に、本体ケース18の上部開口に隔壁24が配置され、隔壁24の下側に煙溜り部26が形成され、隔壁24の上側に配置された伸縮透明カバー20aの中に上方に開口した感知器試験部28が形成されている。
【0102】
また、隔壁24の上側には取付部94に固定された検出スイッチ90が配置され、検出スイッチ90からは上方に検出ロッド92が突出され、検出ロッド92の先端は伸縮透明カバー20aの上に飛び出している。
【0103】
検出スイッチ90は図示の検出ロッド92の先端が天井面101に当接していないフリー状態では、内蔵したコイルバネにより図示の位置に突出してスイッチ接点をオフしており、検出ロッド92の先端が天井面101への当接で押し込まれるとスイッチ接点がオンし、且つ検出ロッド92がオン位置にロックされる。検出ロッド92のロック解除はオン位置にある検出ロッド92を天井面101に当接して再度押し込むと解除されて突出し、スイッチ接点はオフとなる。
【0104】
それ以外の構造は
図1の第1実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0105】
本実施形態の煙感知器試験装置10を使用した煙感知器の発報試験は次のようになる。
図6(A)に示すように、煙感知器100の設置場所で
図1に示した遠隔制御器16により試験準備操作を行うと、装置本体12の制御部72に試験準備制御信号が送信され、制御部72は開閉装置34を閉鎖させた状態で、発煙装置40に発煙制御信号を出力して擬似煙を放出させると共に送風部36に駆動信号を出力して煙溜り部26に放出された擬似煙を拡散させる。
【0106】
この状態で濃度計38により測定している煙溜り部26の煙濃度が所定の試験準備濃度に達すると、遠隔制御器16から表示と音響出力により作業者に感度試験準備完了が報知される。
【0107】
感度
試験準備完了を知った作業者は、
図6(B)に示すように、支持棒14の操作により装置本体12を、天井面101に設置された煙感知器100に下から覆うように押し当て、伸縮透明カバー20aの周端縁を天井に密着させ、感知器試験部28の中に煙感知器100を位置させる。
【0108】
このような装置本体12の天井面101への押し当てに伴い、検出ロッド92が天井面に当接して押し込まれ、検出スイッチ90がオンする。検出スイッチ90のオン信号は制御部72に試験開始信号が送信され、制御部72は開閉装置34を開放位置に駆動させる。
【0109】
このため煙溜り部26に滞留していた擬似煙は、送風部36の送風によりインテークパイプ30を通って感知器試験部28に煙溜り部26から擬似煙が送り込まれ、また、エグゾーストパイプ32を通って感知器試験部28から煙溜り部26に擬似煙が送り出され、煙溜り部26と感知器試験部28の間を還流しながら発煙装置40からの擬似煙の放出により煙濃度が増加する。感知器試験部28の煙濃度の増加により煙感知器100が試験発報すると発報表示灯102が点灯される。
【0110】
作業者は、遠隔制御器16による試験発報を確認したならば、装置本体12を再度押し上げて検出ロッド92を検出スイッチ90に押し込むと、検出ロッド92のロックが解除されて元に戻り、同時に検出スイッチ90がオフし、制御部72に試験終了信号が送信され、開閉装置34を閉鎖位置に駆動し、煙溜り部26に滞留している擬似煙を封じ込め、次の煙感知器の発報試験に利用可能とする。以下同様に、警戒区域を移動しながら煙感知器の発報試験を繰り返す。
【0111】
このように本実施形態は、装置本体12を天井面
101に押し付けた場合に、煙溜り部26が開放されることで感知器試験部28に煙を放出して試験を行わせ、手元に設けた遠隔制御器
16の操作を必要することなく、装置本体12を天井面
101に押し付けるだけで簡単に感知器発報試験を行うことができる。
【0112】
なお、検出スイッチ90は、検出ロッド92が押し込まれたときにロックされ、再度押し込まれたときにロックが解除されるロック型のスイッチを使用しているが、これに限定されず、検出ロッド92が所定量押し込まれたときにオンし、押し出されたときにオフするノンロック型のスイッチを使用しても良い。
【0113】
また、煙感知器100の感度試験は、前述した発報試験に加え、煙感知器100が試験発報した場合に濃度計38で測定している煙濃度を記録する作業を行うことになる。
【0114】
[煙感知器試験装置の第3実施形態]
図7は煙感知器試験装置の第3実施形態を示した説明図であり、
図7(A)は試験前の状態を示し、
図7(B)は試験中を示し、本実施形態は天井面の押し付けにより煙を放出する機械的な構造を備えたことを特徴とする。
【0115】
図7(A)に示すように、装置本体12は、本体ケース18と伸縮透明カバー20aで構成され、本体ケース18の中に仕切板22が配置されると共に、本体ケース18の上部開口に隔壁24が配置され、隔壁24の下側に煙溜り部26が形成され、隔壁24の上側に配置された伸縮透明カバー20aの中に上方に開口した感知器試験部28が形成されている。
【0116】
隔壁24にはインテーク開口120とエグゾースト開口122が形成され、それぞれの下側にシール118を備えた弁体116が配置され、弁体116は横方向に配置されたロッドアーム112に支持されており、ロッドアーム112の両側からは隔壁24を摺動自在に貫通して上方に突出された検出ロッド110が一体に設けられている。また、ロッドアーム112はコイルバネ114を介して隔壁24の下側に連結されており、コイルバネ114の力によりシール118を介して弁体116をインテーク開口120とエグゾースト開口122に押し当てて閉鎖している。
【0117】
ここで、天井面101に設置された煙感知器100の高さをhとすると、隔壁24の上面から検出ロッド110の先端までの高さαは、煙感知器100の高さhよりも大きくなるように設定している。それ以外の構造は
図1の第1実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0118】
本実施形態の煙感知器試験装置10を使用した煙感知器の
発報(感度
)試験は次のようになる。
図7(A)に示すように、作業者は煙感知器100の設置場所で遠隔制御器16により試験準備操作を行うことで煙溜り部26に擬似煙が拡散され、遠隔制御器16から表示と音響出力により
試験準備完了が報知されたならば、
図7(B)に示すように、支持棒14の操作により装置本体12を、天井面101に設置された煙感知器100に下から覆うように押し当て、伸縮透明カバー20aの周端縁を天井に密着させ、感知器試験部28の中に煙感知器100を位置させた状態で更に押し上げる。
【0119】
このような装置本体12の天井面101への押し当てに伴い、検出ロッド110が天井面に当接して押し込まれ、ロッドアーム112がコイルバネ114に抗して下降し、シール118を備えた弁体116も下降し、隔壁24のインテーク開口120とエグゾースト開口122が開口される。
【0120】
このため煙溜り部26に滞留していた擬似煙は、送風部36の送風によりインテーク開口120を通って感知器試験部28に送り込まれ、また、エグゾースト開口122を通って感知器試験部28から煙溜り部26に擬似煙が送り出され、煙溜り部26と感知器試験部28の間を還流しながら発煙装置40からの擬似煙の放出により煙濃度が増加し、煙感知器100が試験発報すると発報表示灯102が点灯される。
【0121】
作業者は、遠隔制御器16による試験発報を確認したならば、装置本体12を下げ、検出ロッド110が天井面101から離れると、コイルバネ114の力によりロッドアーム112が
図7(A)に示すように元の位置に戻り、シール118を介して弁体116によりインテーク開口120とエグゾースト開口122が閉鎖されて煙溜り部26に滞留している擬似煙を封じ込め、次の煙感知器の発報
(感度)試験に利用可能とする。以下同様に、警戒区域を移動しながら煙感知器の
発報(感度
)試験を繰り返す。
【0122】
このように本実施形態は、装置本体12を天井面
101に押し付けた場合に、煙溜り部26が機械的に開放されることで感知器試験部28に煙を放出して試験を行わせ、手元に設けた遠隔制御器
16の操作を必要することなく、装置本体12を天井面
101に押し付けるだけの簡単に操作により試験を行うことができる。
【0123】
[煙感知器試験装置の第4実施形態]
図8は煙感知器試験装置の第4実施形態を示した説明図であり、
図8(A)は試験前の状態を示し、
図8(B)は試験中を示し、本実施形態は天井面の押し付けにより煙を放出する機械的な構造を備えたことを特徴とする。
【0124】
図8(A)に示すように、装置本体12は、本体ケース18と伸縮透明カバー20aで構成され、本体ケース18の中に仕切板22が配置されると共に、本体ケース18の上部開口に隔壁24が配置され、隔壁24の下側に煙溜り部26が形成され、隔壁24の上側に配置された伸縮透明カバー20aの中に上方に開口した感知器試験部28が形成されている。
【0125】
隔壁24にはインテーク開口120とエグゾースト開口122が形成され、それぞれの下側にシール128を備えた弁体126が配置され、弁体126からは上方に向けて検出ロッド124が一体に設けられ、検出ロッド124の途中に固定されたストッパ132と隔壁24との間にコイルバネ130が配置されている。なお、隔壁24の下側には仕切壁24aが形成され、送風部36からの送風をインテーク開口120に導くようにしている。
【0126】
ここで、天井面101に設置された煙感知器100の高さをhとした場合、隔壁24の上面から検出ロッド124の先端までの高さαは、
図8の第3実施形態と同様、煙感知器100の高さhよりも大きくなるように設定している。それ以外の構造は
図1の第1実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0127】
本実施形態の煙感知器試験装置10を使用した煙感知器の発報
(感度)試験は次のようになる。
図8(A)に示すように、作業者は煙感知器100の設置場所で遠隔制御器16により試験準備操作を行うことで煙溜り部26に擬似煙が拡散され、遠隔制御器16から表示と音響出力により試験準備完了が報知されたならば、
図8(B)に示すように、支持棒14の操作により装置本体12を、天井面101に設置された煙感知器100に下から覆うように押し当て、伸縮透明カバー20aの周端縁を天井に密着させ、感知器試験部28の中に煙感知器100を位置させた状態で更に押し上げる。
【0128】
このような装置本体12の天井面101への押し当てに伴い、検出ロッド124が天井面に当接して押し込まれ、コイルバネ130に抗して下降され、シール128を備えた弁体126も下降し、隔壁24のインテーク開口120とエグゾースト開口122が開口される。
【0129】
このため煙溜り部26に滞留していた擬似煙は、送風部36の送風によりインテーク開口120を通って感知器試験部28に送り込まれ、また、エグゾースト開口122を通って感知器試験部28から煙溜り部26に擬似煙が送り出され、煙溜り部26と感知器試験部28の間を還流しながら発煙装置40からの擬似煙の放出により煙濃度が増加し、煙感知器100が試験発報すると発報表示灯102が点灯される。
【0130】
作業者は、遠隔制御器16による試験発報を確認したならば、装置本体12を下げ、検出ロッド110が天井面101から離れると、コイルバネ130の力により検出ロッド124が
図8(A)に示すように元の位置に戻り、シール128を介して弁体126によりインテーク開口120とエグゾースト開口122が閉鎖されて煙溜り部26に滞留している擬似煙を封じ込め、次の煙感知器の発報
(感度)試験に利用可能とする。以下同様に、警戒区域を移動しながら煙感知器の発報
(感度)試験を繰り返す。
【0131】
このように本実施形態は、装置本体12を天井面
101に押し付けた場合に、煙溜り部26が機械的に開放されることで感知器試験部28に煙を放出して試験を行わせ、手元に設けた遠隔制御器
16の操作を必要することなく、装置本体12を天井面
101に押し付けるだけの簡単な操作により試験を行うことができる。
【0132】
また、
図7の第3実施形態に比べ、煙溜り部を機械的に開放させる構造を簡単にすることができる。
【0133】
[煙感知器試験装置の第5実施形態]
図9は煙感知器試験装置の第
5実施形態を示した説明図であり、
図9(A)は試験前の状態を示し、
図9(B)は試験中を示し、本実施形態は天井面の押し付けにより煙を放出する機械的な構造を備えたことを特徴とする。
【0134】
図9(A)に示すように、装置本体12は、本体ケース18と透明カバー140で構成され、本体ケース18の中に仕切板22が配置されると共に、本体ケース18の上部開口に隔壁24が配置され、隔壁24の下側に煙溜り部26が形成され、隔壁24の上側に配置された透明カバー140の中に煙溜り部26aが形成されている。
【0135】
透明カバー140は上面が閉鎖された円筒体であり、上面に煙感知器100を収納可能な開口142が形成されている。透明カバー140に形成された開口142の下側には間にOリング等のシール146を介して開閉板144がコイルバネ150の力により押し当てられ、開口142が閉鎖されている。また、透明カバー140の上端には外側に開いた形状のシールカバー148が装着されている。
【0136】
隔壁24にはインテーク開口120とエグゾースト開口122が形成されているが、常時開口しており、このため開閉板144により開口142の閉鎖状態で透明カバー
140の内部は煙溜り部26aとして機能している。隔壁24はコイルバネ150の弾性力を受けて変形しない程度の骨組み形状として、煙溜り部26と煙溜り部26aはほぼ開放している構造とすることが煙濃度を均一にするために好ましい。
【0137】
ここで、天井面101に設置された煙感知器100の高さをhとした場合、隔壁24の上面から閉鎖位置にある開口142の上縁までの高さは高さαは、煙感知器100の高さhよりも大きくなるように設定している。
【0138】
それ以外の構造は
図1の第1実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0139】
本実施形態の煙感知器試験装置10を使用した煙感知器の発報
(感度)試験は次のようになる。
図9(A)に示すように、作業者は煙感知器100の設置場所で遠隔制御器16により試験準備操作を行うことで煙溜り部26に擬似煙が拡散され、更に、インテーク開口120から開閉板144に開口142が閉鎖されている透明カバー140内の煙溜り部26aに拡散され、エグゾースト開口122から煙溜り部26に還流された状態にある。
【0140】
この状態で遠隔制御器16から表示と音響出力により
試験準備完了が報知されたならば、
図9(B)に示すように、支持棒14の操作により装置本体12を、天井面101に設置された煙感知器100に下から覆うように押し当て、透明カバー140の中に感知器100が入るように押し上げる。
【0141】
このような装置本体12の操作により、煙感知器100の下側が開閉板144に当たり、コイルバネ150に抗して開閉板144が押し下げられ、透明カバー140の中に感知器100が収納された状態となる。また、装置本体12の天井面101への押し付けにより、透明カバー140の上部に配置されたシールカバー148が天井面101に押し当てられた透明カバー140内を密閉状態とする。
【0142】
このため煙溜り部26,26aに滞留していた擬似煙は、送風部36の送風によりインテーク開口120から開口142を通って開閉板144の上側に形成された感知器試験部28に送り込まれ、また、エグゾースト開口122を通って感知器試験部28から煙溜り部26に擬似煙が送り出され、煙溜り部26と感知器試験部28の間を還流しながら発煙装置40からの擬似煙の放出により煙濃度が増加し、煙感知器100が試験発報すると発報表示灯102が点灯される。
【0143】
作業者は、遠隔制御器16による試験発報の報知を確認したならば、装置本体12を下げ、装置本体12が煙感知器100から離れると、コイルバネ150の力により開閉板144が
図9(A)に示すように元の位置に戻って透明カバー140の開口が閉鎖され、煙溜り部26,26aに滞留している擬似煙を封じ込め、次の煙感知器の
発報(感度
)試験に利用可能とする。以下同様に、警戒区域を移動しながら煙感知器の発報
(感度)試験を繰り返す。
【0144】
このように本実施形態は、装置本体12を天井面
101の感知器に押し付けた場合に、煙溜り部26が機械的に開放されることで感知器試験部28に煙を放出して試験を行わせ、手元に設けた遠隔制御器
16の操作を必要することなく、装置本体12を天井面
101に押し付けるだけで簡単に感知器
の発報
(感度)試験を行うことができる。
【0145】
[本発明の変形例]
(発報試験装置としての機能)
上記の実施形態は、煙感知器試験装置を感度試験装置として機能させるため濃度計と表示部を設けているが、発報試験装置として機能させる場合には、濃度計と表示部を除いた構成とすれば良い。
【0146】
(手動による発煙装置の起動)
また、本発明の煙感知器試験装置の他の実施形態として、遠隔制御器16等の操作部により、発煙装置40の擬似煙発生動作が制御されるようにしても良い。このような形態とすることで手元側の表示部で濃度を確認しながら擬似煙の発生を手動で調整し、適宜の濃度に調整することが可能となる。操作部は、発煙装置と接続され把持部近傍までの長さを有する紐部材で構成されても良い。例えば紐部材を引っ張ることにより擬似煙の発生ON・OFFを切り替えたりしても良い。
【0147】
(煙感知器試験装置)
上記の実施形態に示したように、煙感知器試験装置の装置本体は、隔壁により密閉された煙溜り部と上方に開口した感知器試験部に分離され、隔壁に開閉装置を備えた還流経路が設けられていれば良く、上記の実施形態に示した構造及び配置は一例であり、必要に応じて適宜の配置をすることができる。
【0148】
(発煙装置)
上記の実施形態に示した発煙装置は、所定の発煙スプレー缶と同じ外形の筐体内に電池、送風ポンプ、気流検知部、制御部、発煙カートリッジを配置しているが、これに限定されず、適宜の外形をもつ筐体内に収納配置したものであっても良い。また、上記の実施形態の発煙装置における電池、送風ポンプ、気流検知部、制御部、発煙カートリッジの配置は一例であり、これに限定されず、必要に応じて適宜の配置をとることができる。
【0149】
(発煙カートリッジ)
上記の実施形態は、発煙カートリッジの液体供給部に含浸させた水溶性液体を使い切った場合に、新しい発煙カートリッジに交換するようにしているが、発煙カートリッジを交換せずに、例えば、発煙カートリッジの上端の放出口から、スポイト等を使用して水溶性液体を液体供給部に注入して含浸させるようにしても良い。
【0150】
このような水溶性液体の補充による含浸を効率良く可能とするため、例えば、液体供給部を中空穴の棒状フィルタ部材とし、中空穴に外部から溶性液体を注入して含浸させるようにしても良い。なお、水溶性液体の補充を可能とした発煙カートリッジにあっても、繰り返し使用しているとフィルタ詰まりが起きることから、ある程度使用した段階で、新品と交換するといった使い方が望ましい。
【0151】
(その他)
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。