特許第6856473号(P6856473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856473
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20210329BHJP
【FI】
   B65D47/08 100
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-148125(P2017-148125)
(22)【出願日】2017年7月31日
(65)【公開番号】特開2019-26336(P2019-26336A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】立藏 亮
(72)【発明者】
【氏名】川島 英芳
【審査官】 杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−193941(JP,A)
【文献】 特開2006−151458(JP,A)
【文献】 特表2002−511041(JP,A)
【文献】 特開2011−219110(JP,A)
【文献】 特開2019−011086(JP,A)
【文献】 実開平03−045856(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出孔(6)を有するキャップ頂壁(4)の外周からキャップ周壁(10)を垂下させてなるキャップ本体(2)と、
前記キャップ周壁(10)の上方に配置された蓋周壁(22)を有し、これらキャップ周壁(10)及び蓋周壁(22)の各後部を第1ヒンジ(14)を介して連結することにより、前記キャップ頂壁(4)を開閉可能に設けた蓋体(16)と、
この蓋体(16)に当該蓋体の摘み部として付設された鍔部(30)と、
と具備し、
前記鍔部(30)は、前記蓋周壁(22)の前部へ第2ヒンジ(26)を介して連結され、この連結箇所からキャップ周壁(10)の前面へ垂下する縦向きの第1状態と、当該連結箇所から略前方へ庇状に延びる横向きの第2状態との間を回転可能に形成されるとともに、この横向き状態で基端部(E1)が前記蓋周壁(22)に当接するように設けられており、
前記第2ヒンジ(26)は、前記鍔部(30)の左右方向中間部(30a)に、前記第1状態における鍔部(30)との後面とキャップ頂壁(4)の前面とを連結するように配置されヒンジキャップにおいて、
前記蓋周壁(22)の前面からキャップ周壁(10)の前面に亘って形成された収納溝(G)内に、前記第1状態で鍔部(30)が収納されるように設けられていることを特徴とする、ヒンジキャップ。
【請求項2】
前記収納溝(G)内に収納された状態の鍔部(30)の外面がキャップ周壁(10)及び蓋周壁(22)の各外周面と面一になるように構成したことを特徴とする、請求項記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記収納溝(G)は、蓋周壁(22)の前面に形成された第1溝部(G1)と、キャップ周壁(10)の前面に形成された第2溝部(G2)とからなり、
前記第2溝部(G2)の内面のうち第2ヒンジ(26)の上方に位置する箇所に当接突部(24)が付設されており、
前記鍔部(30)を第1状態から第2状態へ回転させたときに、この鍔部(30)の基端部(E1)上面に前記当接突部(24)が嵌合するように設けたことを特徴とする、請求項に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記第2ヒンジ(26)は、前記第1状態と第2状態との間に存する平衡状態を境に、第1状態と平衡状態との間では第1状態側へ、平衡状態と第2状態との間では第2状態側へ鍔部(30)を付勢する弾性反転式ヒンジであることを特徴とする、請求項1から請求項に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のヒンジキャップとして、キャップ本体の後部と、キャップ本体の上面に嵌着された蓋体の後部とを連結するとともに、蓋体の前部から鍔部を前方突出したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−261654
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のヒンジキャップは、キャップ本体の上面への嵌着力が強いと、鍔部をつまんで引き上げるときに大きな力を要する。その鍔部の前方への突出長を長くすると、引き上げに要する力を小さくできると考えられるが、その反面ヒンジキャップが嵩張ることになり、保管などの際に邪魔になる。
【0005】
本発明の第1の目的は、小さな力で開蓋操作を行うことができるととともに、保管などの際に嵩張ることのないヒンジキャップを提供することである。
本発明の第2の目的は、前述の機能を有し、かつ体裁のよいヒンジキャップを提供することである。
本発明の第3の目的は、前述の機能を有し、かつ使い勝手のよいヒンジキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、注出孔6を有するキャップ頂壁4の外周からキャップ周壁10を垂下させてなるキャップ本体2と、
前記キャップ周壁10の上方に配置された蓋周壁22を有し、これらキャップ周壁10及び蓋周壁22の各後部を第1ヒンジ14を介して連結することにより、前記キャップ頂壁4を開閉可能に設けた蓋体16と、
この蓋体16に当該蓋体の摘み部として付設された鍔部30と、
と具備し、
前記鍔部30は、前記蓋周壁22の前部へ第2ヒンジ26を介して連結され、この連結箇所からキャップ周壁10の前面へ垂下する縦向きの第1状態と、当該連結箇所から略前方へ庇状に延びる横向きの第2状態との間を回転可能に形成されるとともに、この横向き状態で基端部E1が前記蓋周壁22に当接するように設けられており、
前記第2ヒンジ26は、前記鍔部30の左右方向中間部30aに、前記第1状態における鍔部30との後面とキャップ頂壁4の前面とを連結するように配置されヒンジキャップにおいて、
前記蓋周壁22の前面からキャップ周壁10の前面に亘って形成された収納溝G内に、前記第1状態で鍔部30が収納されるように設けられている。
【0007】
本手段は、図1及び図2に示す如く、キャップ本体2及び蓋体16の各後部2a、16aを第1ヒンジ14で連結するとともに、蓋体16の前部を、第2ヒンジ26を介して鍔部30を連結することを提案している。
鍔部30は、連結箇所から下方へ延びる縦向きの第1状態(図2に実線で示す状態)と当該連結箇所から略前方へ庇状に延びる横向きの第2状態(図2に想像線で示す状態)との間を回転可能であり、この横向き状態で鍔部30の基端部E1側が蓋体16に当接している。従って、第2状態から鍔部に引き上げると、これら鍔部30及び蓋体16が第1ヒンジ14を中心に回転する。これによりテコの原理によって蓋体16を僅かな力で開蓋できる。
第2ヒンジ26は、前記鍔部30の左右方向中間部30aに、前記第1状態における鍔部30との後面とキャップ頂壁4の前面とを連結するように配置されており、キャップ全体の体裁を損なわない。
【0009】
さらに本手段では、図2に示すキャップ周壁10及び蓋周壁22の前面に収納溝Gを設けて、前記第1状態において、この収納溝G内に鍔部30が収納されるように設けている。“収納溝G内に鍔部30が収納されている”とは、後述の如く、鍔部30の外面がキャップ周壁10及び蓋周壁22の各外周面と面一になる構成に限定されておらず、少なくとも、鍔部30の大半が収納溝30内にあれば足りる意味である。これにより、キャップ周壁及び蓋周壁の輪郭から鍔部が大きく飛び出してキャップ全体の体裁を損なう不具合を回避できる。
【0010】
の手段は、第の手段を有し、かつ
収納溝G内に収納された状態の鍔部30の外面がキャップ周壁10及び蓋周壁22の各外周面と面一になるように構成している。
【0011】
本手段では、収納溝G内に収納された鍔部30の外面がキャップ周壁10及び蓋周壁22の各外周面と面一になるように形成している。この構成によれば、キャップの外観がさらに良好となる。また他物が鍔部30の左右側縁にひっかかり、第2ヒンジ26が損傷するという不具合を生ずることを回避できる。
ここで、「面一」とは、平面視形状で一つの閉じた図形(円形・楕円形・長円など)の輪郭に沿って存在するという程度の意味である。
【0012】
の手段は、第の手段を有し、かつ前記収納溝Gは、蓋周壁22の前面に形成された第1溝部G1と、キャップ周壁10の前面に形成された第2溝部G2とからなり、
前記第2溝部G2の内面のうち第2ヒンジ26の上方に位置する箇所に当接突部24が付設されており、
前記鍔部30を第1状態から第2状態へ回転させたときに、この鍔部30の基端部E1上面に前記当接突部24が嵌合するように設けた。
【0013】
本手段では、図8(A)に示すように、鍔部30を第1状態から第2状態へ回転させたときに、この第2状態での基端部E1上面に前記当接突部24が嵌合するようにしている。この構成により、鍔部の基端部E1が当接突部24を嵌合時の触感により、第2状態に至ったことが分かるので、第2状態に至っていないのに同状態に至ったものと利用者が勘違いすることを防止でき、使い勝手がよい。
【0014】
の手段は、第1の手段から第の手段のいずれかを有し、かつ
前記第2ヒンジ26は、前記第1状態と第2状態との間に存する平衡状態を境に、第1状態と平衡状態との間では第1状態側へ、平衡状態と第2状態との間では第2状態側へ鍔部30を付勢する弾性反転式ヒンジである。
【0015】
本手段では、第2ヒンジは、図7(B)に示す平衡状態を境として、第1状態と平衡状態との間では第1状態側へ、平衡状態と第2状態との間では第2状態側へ鍔部30を付勢するように構成している。従って前記平衡状態を超えるまで鍔部30を回転させると、前記付勢力により第2状態へ回動する操作を補助するので、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0016】
第1の手段に係る発明によれば、蓋体16の前部に第2ヒンジ26を介して鍔部30を連結しており、連結箇所から下方へ鍔部30を垂下した縦向きの第1状態では、ヒンジキャップが嵩張ることを防止できるとともに、連結箇所から略前方へ庇状に延びる横向きの第2状態から、鍔部30を引き上げることにより、キャップ本体2の後部に設けた第1ヒンジ14を中心として、テコの原理により鍔部30及び蓋体16を回転させることができるから、僅かな力で開蓋操作をすることができる。
また第2ヒンジ26は、第1状態で鍔部30との後面とキャップ頂壁4の前面とを連結するように鍔部30の左右方向中間部30aに配置したから、前方から見えず、キャップの体裁を損なわない。
またキャップ周壁10及び蓋周壁22の前面に設けた収納溝G内に鍔部30を収納するようにしたから、キャップ周壁及び蓋周壁の輪郭から鍔部が大きく飛び出してキャップ全体の体裁を損なう不具合を回避できる。
の手段に係る発明によれば、キャップ周壁10及び蓋周壁22の前面に設けた収納溝G内に収納した鍔部30の鍔部30の外面がキャップ周壁10及び蓋周壁22の各外周面と面一になるから、さらにキャップの外観を良好とすることができる。
の手段に係る発明によれば、前記第2溝部G2の内面のうち第2ヒンジ26の上方に位置する箇所に当接突部24が付設されており、前記鍔部30を第1状態から第2状態へ回転させたときに、鍔部30の基端部E1上面に前記当接突部24が嵌合するように設けたから、この嵌合時に生ずる感触により第2状態に至ったことを利用者が認知することができる。
の手段に係る発明によれば、第2ヒンジ26は、第1状態と平衡状態との間では第1状態側へ、平衡状態と第2状態との間では第2状態側へ鍔部30を付勢する弾性反転式ヒンジであり、鍔部30は第1状態から平衡状態を超えて回転されたときに第2状態へ付勢されるから、その勢いを利用して第2状態に至るまで回転操作を行うことが容易であり、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るヒンジキャップの第1状態(鍔部が下向きの状態)での平面図である。
図2図1のヒンジキャップの第1状態での側方から見た断面図である。
図3図2の要部の拡大図である。
図4図1のヒンジキャップの第1状態での斜視図である。
図5図1のヒンジキャップの第2状態(鍔部が横向きの状態)での正面図である。
図6図1のヒンジキャップの第2状態での斜視図である。
図7図1のヒンジキャップの作用説明図であり、同図(A)は第1状態から鍔部30の基端部(上端部)を後方へ押し込むことで、第2ヒンジを中心として鍔部30を第2状態側へ回転させた段階を、同図(B)は、鍔部30が第1状態と第2状態の途中の平衡状態にある段階を、それぞれ示したものである。
図8図1のヒンジキャップの作用説明図であり、同図(A)は鍔部が第2状態に至った段階を、同図(B)は、前記第2状態から鍔部30を引き上げ、が第1状態と第2状態の途中の平衡状態にある段階を、それぞれ示したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から図8は、本発明の第1実施形態に係るヒンジキャップを示している。
【0019】
ヒンジキャップは、キャップ本体2と、蓋体16と、鍔部30とで形成されている。これら各部材は一体成形することができ、素材としては例えば合成樹脂を用いることができる。
なお、本明細書では、部材相互の相対的な位置関係を説明するために、図2の右側(換言すると後述の第1ヒンジ14がある側)を“後”と、また同図の左側を“前”というものとし、これらと直交する方向を、左右方向というものとする。
【0020】
キャップ本体2は、容器体の口頸部の外面への装着用のキャップ頂壁4を有し、このキャップ頂壁4の外周から、キャップ周壁10を垂下してなる。
前記キャップ頂壁4の適所(図示例では中心)には注出孔6が開口されており、その周辺からは注出筒8が起立されている。またキャップ頂壁4の外側部分には段差部5が形成されている。
【0021】
蓋体16は、図2に示す如く、蓋頂壁18の外周から蓋周壁22を垂下しており、この蓋周壁22及びキャップ周壁10の各後部2a、16aを、第1ヒンジ14を介して相互に連結している。
前記蓋頂壁18の裏面中心部からは栓棒20が垂下されており、この栓棒20を前記注出筒8内に液密に嵌合している。
前記蓋周壁22の下部は、大内径部23に形成しており、この大内径部23を前記段差部5に嵌着している。本実施形態では、蓋周壁22とキャップ周壁10とはともに円筒形であり、かつ略同径に形成されている。
【0022】
本発明においては、前記蓋周壁22の前面からキャップ周壁10の前面に亘って、垂直な溝底面GBを有する収納溝Gが凹設されている。この収納溝Gは、後述の鍔部収納用のものである。図示例の収納溝Gは、下方に向かって左右方向の巾が狭くなるように形成されているが、その形状は適宜変更することができる。
前記収納溝Gは、蓋周壁22の前面に形成された第1溝部G1と、キャップ周壁10の前面に形成された第2溝部G2とからなり、図2及び図5に示す如く第2溝部G2の溝底面GB2に比べて第1溝部G1の溝底面GB1は後方に形成されている。第1溝部G1の溝底面GB1と第2溝部G2の溝底面GB2との間にはキャップ頂壁4の上面前端部である段差面Sが存する。
まず第2溝部G2は、前方から見て下面に曲がる円弧形状であり、後述の鍔部30に対応する一定の深さを有する。第2溝部G2の側面下端部(溝端部GE)には、上方から見て、左右方向に延びる垂直板状の係合リブ12が付設されている。
第1溝部G1は、上辺に比べて下辺が短い形状を有する。第1溝部G1の溝底面GB1の下部からは、左右一対の斜辺25b及びこれら斜辺の上端側に連なる上辺25aを有する、略台形の支持用突部25が前方に突設されている。
また前記第1溝部G1の溝底面GB1の上端部付近には、左右方向に延びる当接突部24が付設されている。
これら支持用突部25及び当接突部24を形成した箇所を除いて、第1溝部G1の溝底面GB1は、平坦な垂直面に形成されている。
【0023】
鍔部30は、前記蓋体の摘み部として当該蓋体16の前側に付設されている。この鍔部30は、左右方向に幅広の板部として形成されており、左右方向中間部30aを、蓋周壁22の前面に第2ヒンジ26を介して回転可能に連結している。
すなわち、鍔部30は、少なくとも、その連結箇所から蓋周壁22の前面及びキャップ周壁10の前面に沿って下方へ延びる第1状態と、当該連結箇所から略前方へ庇状に延びる第2状態との間で回転可能に形成されている。なお、“キャップ周壁の前面に沿って”とは、“当該前面に当接あるいは近接して”という程度の意味である。
そして本実施形態では、前記第1状態において鍔部30の全部が前記収納溝Gに収納されており、この状態での鍔部30の前面は、蓋周壁22及びキャップ周壁10の外周面とほぼ面一に形成されている。これにより、ヒンジキャップの体裁が良好となる。
鍔部30は、本実施形態では、前記第2状態において上方へ弯曲する形状(図示例ではアーチ状)を有する曲がり板部である。この鍔部30の左右方向両側部30bは、前記収納溝Gの両側面に近接している。
図2に示すように、前記鍔部30の基端部E1は、第1状態で下方へ水平になっており、鍔部30を第2状態へ回転させたときに第1溝部G1の平坦な溝底面GB1の上部に面接するように形成している。
他方、前記鍔部30の先端部E2は、図示例では、図4及び図5に示す如く半円形状に形成している。もっともこれら形状は適宜変更することができる。
第2状態での鍔部30の水平方向への突出長は、ヒンジキャップを装着した容器体の胴部の輪郭より外側にはみ出さないようにすることが外観上好適である。
前記鍔部30の先端部E2には、下方から見て左右方向に延びるリブ受溝32を凹設して、第1状態において、このリブ受溝32内に係合リブ12が、後述の開操作により着脱が可能な程度の深さで嵌合されるように設けている(図3参照)。これら係合リブ12及びリブ受溝32は、鍔部30を収納溝G内に係止する係止手段Jを形成し、これにより、未使用の状態で収納溝G内から鍔部30が浮き上がることを防止できる。なお、図示例と異なり、鍔部30の先端部E2に係合リブを、また収納溝Gの溝端面GEにリブ受溝を形成しても構わない。さらに係合リブ及びリブ受溝の形状は適宜変更することができる。
また前記第1状態においてリブ受溝32の内側には、角取り部34を形成している。これにより、第2状態から第1状態へ鍔部30を回転させるときに、前記角取り部34が係合リブ12を乗り越えることが容易となる。
【0024】
本実施形態の第2ヒンジ26は、第1状態と第2状態との途中の平衡状態(図7(B)参照)を境として、第1状態と平衡状態との間では第1状態側へ付勢力が働き、平衡状態と第2状態との間では第2状態側へ付勢力が働く、従来公知の弾性反転式ヒンジとして形成されている。弾性反転式ヒンジは、例えば薄肉ヒンジと弾性伸縮可能な板バネの組み合わせで形成することができる。図示例の第2ヒンジは、前記支持用突部25の上辺25aに付設された一つの薄肉ヒンジ26aと、薄肉ヒンジ26aの左右両側に配置され、前記支持用突部25の斜辺25b及び鍔部30の裏面の間に掛け渡された一対のバネ板26bとで形成されている。もっとも、図示例とは逆に、左右方向の内側に一つのバネ板と、左右方向の両側に一対の肉薄ヒンジとで、第2ヒンジを構成してもよい。更に弾性反転式ではなくても、従来公知のヒンジ機構であればどのような構成でも第2ヒンジとして採用することができる。
【0025】
前記構成において、ヒンジキャップを使用しない状態では、前記鍔部30は、第2ヒンジ26から下方へ垂下した第1状態としておくとよい。
ヒンジキャップを容器体の口頸部へ装着して、初回使用するときに、鍔部30の先端部E2に指を掛けて、第2ヒンジ26から前方へ延びる第2状態へと回転させる。これにより鍔部30が前方へ長く延びた状態で使用できる。
蓋体16を開くときには、第2状態より、鍔部30の左右方向中間部30aの裏面に指を掛けて引き上げると、図8(A)に示す如く、鍔部30の基端部E1が第2ヒンジ26の上方で蓋周壁22の前面に突き当たるので、鍔部30はこれ以上第2ヒンジ26を中心として蓋体16に対して回転することができない。その状態で鍔部30の引上げを続けると、前記基端部E1が蓋周壁22の前面に押圧力fを作用させるので、第1ヒンジ14を中心とする回転モーメントが作用する。これにより、図8(B)に示すように鍔部30及び蓋体16は、第1ヒンジ14を中心として回転し、蓋体16が開蓋される。
この際に鍔部30及び蓋体16は一個のレバーとして働く。支点を第1ヒンジ14、力点を鍔部30の先端部E2付近、作用点を注出筒8及び栓棒20の嵌合箇所と考えると、鍔部30を設けずに蓋周壁22の前部に指を掛けて操作する場合に比べて、支点と力点との距離が長くなるから、テコの原理により、より小さな力で蓋体16を開蓋することができる。
従って子供のように指の力が弱い利用者でも容易に開蓋することができ、誰にでも使い易いユニバーサル型のヒンジキャップを提供することができる。
【符号の説明】
【0026】
2…キャップ本体 2a…後部 4…キャップ頂壁
5…段差部 6…注出孔 8…注出筒
10…キャップ周壁 12…係合リブ 14…第1ヒンジ
16…蓋体 16a…後部 18…蓋頂壁 20…栓棒 22…蓋周壁
23…大内径部
24…当接突部 25…支持用突部 25a…上辺 25b…斜辺
26…第2ヒンジ 26a…薄肉ヒンジ部 26b…バネ板
30…鍔部 30a…左右方向中間部 30b…左右方向側部
32…リブ受溝 34…角取り部
E1…基端部 E2…先端部
G…収納溝 GB…溝底面 G1…第1溝部 G2…第2溝部 GE…溝端面
GB1…第2溝底面 GB2…第2溝底面 J…係合手段
M…後退代 S…段差面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8