(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリウレタン層(A)の引張弾性率が500MPa以上であり、前記ポリウレタン層(B)の引張弾性率が、100MPa以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着フィルム。
前記ポリウレタン層(A)の引張弾性率が500MPa以上であり、前記ポリウレタン層(B)の引張弾性率が、100MPa以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の粘着フィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一実施形態は、ポリウレタン層(A)と、ポリウレタン層(A)に隣接して配置され、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物を含む組成物を硬化してなるポリウレタン層(B)と、粘着剤層と、をこの順に有し、ポリウレタン層(A)のガラス転移温度が130℃以下である、粘着フィルムである。
【0014】
本実施形態では、ブロック剤でブロックされたブロック型イソシアネート化合物を架橋剤として用いている。このようなイソシアネート化合物を用いることで、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびイソシアネート化合物の混合物として、すなわち1液剤として用いることができる。このため、ポリウレタン樹脂の架橋の際に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびイソシアネート化合物を別々に2液として用いる煩雑性がなく、また、1液であってもブロック剤でイソシアネート化合物の反応が阻害されているために保管安定性に優れる。
【0015】
しかしながら、本発明者が検討した結果、ブロック型イソシアネート化合物を架橋剤として用いた場合に、長期のNOx曝露によってフィルムの黄変が生ずることを見出した。ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物を反応させ、硬化させる際に、加熱してブロック剤を遊離させる工程が必要となるがこの加熱工程が黄変の原因と考えられる。詳細なメカニズムは不明であるが、上層のポリウレタン層(A)のガラス転移温度が130℃以下であることで、ポリウレタン層の架橋密度が低くなり、ブロック剤に起因する長期のNOx曝露によって生ずるフィルム黄変が低減する。
【0017】
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸またはメタクリル酸」を指し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」を指す。
【0018】
図1は、本発明の粘着フィルムの一態様を示す断面模式図である。なお、図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。
図1において、粘着フィルム10は、ポリウレタン層(A)11、ポリウレタン層(B)12、粘着剤層13および剥離ライナー14から構成される。ポリウレタン層(A)11は、表面保護層であり、外気に暴露される面となる。ポリウレタン層(B)12はポリウレタン層(A)11に隣接して配置され、フィルム基材としての役割を果たす。剥離ライナー14は、被着体に粘着フィルムを貼付する際に剥がされ、粘着剤層13面が被着体に貼付される。
図1の形態では、ポリウレタン層(B)12および粘着剤層13が隣接して配置されているが、ポリウレタン層(B)12および粘着剤層13の間には他の中間層が存在していてもよい。また、ポリウレタン層(A)11およびポリウレタン層(B)12を構成するポリウレタンは非発泡ポリウレタンである。
【0019】
以下、粘着フィルムを構成する各層の構成について説明する。
【0020】
[ポリウレタン層(A)]
ポリウレタン層(A)は、ウレタン系樹脂を含む層である。
【0021】
ポリウレタン層(A)のガラス転移温度は、130℃以下である。ガラス転移温度が130℃を超えると、ポリウレタン層の架橋密度が高くなり、長期の排気ガス暴露下での耐黄変性が顕著に低下する(後述の比較例1)。ポリウレタン層(A)のガラス転移温度は120℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度の下限は、防汚性の観点から、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。ポリウレタン層(A)のガラス転移温度は、架橋点間の分子量(架橋密度)、高分子量ポリオール種などによって制御することができる。
【0022】
また、ポリウレタン層(A)の20〜150℃における損失係数(tanδ)の最大値(以下、単に損失係数の最大値とする)は、0.4以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。損失係数の最大値が上記範囲であることで、長期排気ガス暴露下での耐黄変性が一層向上する。損失係数の最大値は、通常2以下である。ポリウレタン層(A)の損失係数の最大値は、架橋密度、分子量分布などによって制御することができる。
【0023】
ポリウレタン層(A)の動的粘弾性評価における損失係数(tanδ)は、動的粘弾性測定における引張貯蔵弾性率(E’)に対する引張損失弾性率(E”)の比(E”/E’)である。具体的には実施例に記載の方法により測定された値を採用する。ガラス転移温度は上記動的粘弾性評価における損失係数(tanδ)のピークトップ温度を指す。
【0024】
ポリウレタン層(A)の引張弾性率は、500MPa以上であることが好ましい。ポリウレタン層(A)の引張弾性率が500MPa以上であることで、自動車などの車体用に用いた場合であっても、防汚性が高いため好ましい。ポリウレタン層(A)の引張弾性率は、700MPa以上であることがより好ましい。また、ポリウレタン層(A)の引張弾性率は、通常1200MPa以下である。なお、ポリウレタン層(A)の引張弾性率は、作製時の製膜法によっては、長さ方向(MD)と幅方向(TD)とで異なる場合がある。本発明では、引張弾性率が、長さ方向(MD)で上記範囲にあるとする。本明細書において引張弾性率は、下記実施例に記載の方法により測定した値を採用する。
【0025】
なお、ポリウレタン層(A)およびポリウレタン層(B)の動的粘弾性測定および引張弾性率は、各層単独のものである。
【0026】
ポリウレタン層(A)に含まれるウレタン系樹脂としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。熱可塑性ポリウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールと、鎖延長剤とを、少なくとも反応させることにより得られる。
【0027】
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上、好適には1000〜3000の有機化合物であって、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオールなどのマクロポリオールが挙げられる。中でも、防汚性が高いことから、高分子量ポリオールがポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールであることが好ましく、ポリウレタン層(B)との密着性の点からは、ポリカーボネートポリオールであることがより好ましい。本明細書において数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレン換算分子量として測定されたものを用いる。
【0028】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどのカーボネート類を付加重合して得られる、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0029】
ポリエーテルポリオールは、例えば、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンを開始剤として、これにアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの炭素数2〜5のアルキレンオキサイド)、または環状エーテル(テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、オキセタン化合物)を開環付加重合(単独重合または共重合(アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが併用される場合には、ブロック共重合および/またはランダム共重合))させることにより得ることができる。
【0030】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと、多塩基酸、そのアルキルエステル、その酸無水物、および、その酸ハライドとの縮合反応またはエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合により得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのラクトン系ポリオールなどが挙げられ、さらには、それらポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどに上記の2価アルコールを共重合させることにより得られるラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0031】
アクリルポリオールとしては、例えば、1つ以上の水酸基を有する重合性単量体と、それに共重合可能な別の単量体とを共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。水酸基を有する重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。また、それらと共重合可能な別の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜12)、マレイン酸、マレイン酸アルキル、フマル酸、フマル酸アルキル、イタコン酸、イタコン酸アルキル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0032】
エポキシポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとを反応させることによって得られるエポキシポリオールが挙げられる。
【0033】
天然油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、やし油などの水酸基含有天然油などが挙げられる。
【0034】
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合可能な別の単量体として、ビニル基含有のシリコーン化合物、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが用いられる共重合体、および、末端アルコール変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0035】
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合可能な別の単量体としてビニル基含有のフッ素化合物、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどが用いられる共重合体などが挙げられる。
【0036】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0037】
ポリウレタンポリオールは、上記のマクロポリオール(例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど)を、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、上記ポリイソシアネートと反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
【0038】
高分子量ポリオールは、1種単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
【0039】
鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの数平均分子量400未満の低分子量の多価アルコール、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの低分子量のポリアミン化合物、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなどの分子内に水酸基を有するジアミン類;メチレンジヒドラジン、エチレンジヒドラジン、プロピレンジヒドラジン等のアルキレンジヒドラジン類や、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の飽和または不飽和ジヒドラジン類;ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等を例示できる。また、これら鎖延長剤はプレポリマー中のイソシアネート基に対して過剰に使用することで鎖長停止剤とすることができる。
【0040】
ウレタン化反応は、プレポリマー法、ワンショット法などの公知の方法を採用することができる。また、プレポリマー法またはワンショット法により、上記各成分(ポリイソシアネート、高分子量ポリオールなど)を反応(重合)させる方法としては、特に制限されず、公知の重合方法、より具体的には、例えば、溶液重合、水中懸濁重合、非水分散重合、溶融重合(バルク重合)などが挙げられる。好ましくは、溶液重合、非水分散重合、溶融重合が挙げられる。
【0041】
溶液重合では、極性有機溶媒に上記各成分を加え、溶解させるとともに、上記各成分を重合させる。極性有機溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。これら極性有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0042】
非水分散重合では、例えば、低極性有機溶媒に上記各成分を加えるとともに、分散剤を配合し、上記各成分を分散させるとともに、重合させる。
【0043】
低極性有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。
【0044】
これら低極性有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0045】
分散剤としては、特に制限されないが、例えば、特開2004−169011号公報に記載される分散剤や、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、アミノ基などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、無機酸塩、有機酸塩などのイオン性の親水基を有する公知の水溶性高分子、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などの公知の界面活性剤などが挙げられる。
【0046】
溶融重合(バルク重合)では、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネートを撹拌しつつ、これに、高分子量ポリオールおよび鎖延長剤を加え、上記反応温度に加熱し、上記各成分を溶融させるとともに、重合させる。
【0047】
また、上記のウレタン化反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加することができる。
【0048】
なお、ポリウレタン層(A)を構成するウレタン系樹脂は、非架橋であることが好ましい。非架橋とは、ポリウレタンの官能基と反応しうる架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤)によってポリウレタンを架橋したものではないことを指す。ポリウレタン層が非架橋であることは、熱特性によって判別することができる。
【0049】
ポリウレタン層(A)中、ウレタン系樹脂は、80質量%以上(上限100質量%)であることが好ましく、90質量%以上(上限100質量%)であることがより好ましく、95質量%以上(上限100質量%)であることがさらに好ましく、99質量%以上(上限100質量%)であることが特に好ましい。
【0050】
ポリウレタン層(A)は単層であっても複数層であってもよいが、単層であることが好ましい。
【0051】
ポリウレタン層(A)の厚さ(複数層から構成される場合は合計厚み)は、耐燃料油耐性、柔軟性の点から、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0052】
ポリウレタン層(A)は、可塑剤、充填剤、着色剤、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0053】
[ポリウレタン層(B)]
ポリウレタン層(B)は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物を含む組成物を硬化してなる。
【0054】
ポリウレタン層(B)の引張弾性率は、100MPa以下であることが好ましい。ポリウレタン層(B)の引張弾性率が100MPa以下であることで、ポリウレタン層が応力緩和性に優れるため、良好な耐チッピング性が得られる。ポリウレタン層(B)の引張弾性率は、60MPa以下であることがより好ましく、40MPa以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン層(B)の引張弾性率の下限は、機械的強度の観点からは、20MPa以上であることが好ましい。ポリウレタン層(B)の引張弾性率は、作製時の製膜法によっては、長さ方向(MD)と幅方向(TD)とで異なる場合がある。本発明では、引張弾性率が、長さ方向(MD)で上記範囲にあるとする。
【0055】
また、好適な実施形態は、ポリウレタン層(A)の引張弾性率が500MPa以上であり、ポリウレタン層(B)の引張弾性率が、100MPa以下である。
【0056】
ポリウレタン層(B)は、可塑剤、充填剤、着色剤、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0057】
ポリウレタン層(B)は単層であっても複数層であってもよいが、単層であることが好ましい。
【0058】
ポリウレタン層(B)の厚さ(複数層から構成される場合は合計厚み)は、三次元曲面への追従性の観点から、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることがさらに好ましい。また、薄層化の観点からは、300μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。
【0059】
(ポリカーボネート系ウレタン樹脂)
ポリウレタン層(B)は基材としての役割を果たすため、耐久性(耐熱性、耐光性)が高いことが求められる。このため、本実施形態では、ポリウレタン層(B)を構成するウレタン系樹脂としてポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いる。
【0060】
ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、ウレタン化の反応に用いるポリオールとしてポリカーボネートポリオールを用いるものを指す。具体的には、ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、鎖延長剤とを、少なくとも反応させることにより得ることが好ましい。さらには、ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、鎖延長剤を反応させて得ることが好ましい。
【0061】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、下記一般式(1)で表されるポリカーボネートジオールが挙げられる。
【0062】
HO−[−R−O−COO−]
n−R−OH (1)
式中、Rは脂肪族炭化水素基又は脂環族炭化水素基であり、nは2以上の整数であり、複数あるRは同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0063】
ポリカーボネートジオールは、例えばカーボネート化合物と、ジオール化合物と、を反応させて得られる。
【0064】
カーボネート化合物としては、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、またはジアルキルカーボネートなどが挙げられる。
【0065】
アルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等が挙げられる。
【0066】
ジアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、フェニル−ナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジエチル−ジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピル−ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0067】
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられる。
【0068】
ジオール化合物としては、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
【0069】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0070】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0071】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0072】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0073】
なお、これらのポリイソシアネートは、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
【0074】
また、ポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネートとポリオール化合物とを反応させ、1分子当たりイソシアネート基が2個以上となるように高分子化したポリマーポリイソシアネートであってもよい。また、上記のポリイソシアネートを重合し、1分子当たりイソシアネート基が2個以上となるように高分子化したポリマーポリイソシアネートを用いてもよい。
【0075】
ただし、芳香族ポリイソシアネートは、黄変が起きやすいため、ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0076】
ポリイソシアネートは1種単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0077】
末端イソシアネートウレタンプレポリマーの調製方法としては特に制限されず、例えば、ポリイソシアネートと、ポリカーボネートポリオールと、必要に応じて添加されるウレタン化触媒と、必要に応じて用いられる溶剤とを反応器に仕込んで反応させる方法等が挙げられる。
【0078】
鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの数平均分子量400未満の低分子量の多価アルコール、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの低分子量のポリアミン化合物、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなどの分子内に水酸基を有するジアミン類;メチレンジヒドラジン、エチレンジヒドラジン、プロピレンジヒドラジン等のアルキレンジヒドラジン類や、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の飽和または不飽和ジヒドラジン類;ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等を例示できる。また、これら鎖延長剤はプレポリマー中のイソシアネート基に対して過剰に使用することで鎖長停止剤とすることができる。
【0079】
ウレタン化反応については、ポリウレタン層(A)の欄で述べたものと同様である。
【0080】
(ブロック型イソシアネート化合物)
ブロック型イソシアネート化合物は、常温(25℃)では不活性であるが、加熱するとポリイソシアネートに結合しているブロック剤が可逆的に解離してイソシアネート基を再生する化合物である。ブロック剤の解離温度は80〜120℃のものが好ましい。
【0081】
ブロック型イソシアネート化合物は、末端のイソシアネート基がブロック剤によってブロックされている化合物である。具体的には、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基がブロック剤によってブロックされている化合物や、ポリイソシアネートの末端イソシアネート基がブロック剤によってブロックされている化合物が挙げられる。末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーは、ポリオールに過剰のポリイソシアネートを反応させて末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとすることができる。好ましくは、ブロック型イソシアネート化合物は、ポリイソシアネートの末端イソシアネート基がブロック剤によってブロックされている化合物である。
【0082】
ブロック型イソシアネート化合物を構成するポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0083】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0084】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0085】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0086】
なお、これらのポリイソシアネートは、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
【0087】
また、ポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネートとポリオール化合物とを反応させ、1分子当たりイソシアネート基が2個以上となるように高分子化したポリマーポリイソシアネートであってもよい。また、上記のポリイソシアネートを重合し、1分子当たりイソシアネート基が2個以上となるように高分子化したポリマーポリイソシアネートを用いてもよい。
【0088】
ただし、芳香族ポリイソシアネートは、黄変が起きやすいため、ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートを用いることがより好ましいい。
【0089】
ポリイソシアネートは1種単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0090】
ブロック型イソシアネート化合物において、イソシアネート基に結合するブロック剤としては、例えば、アミン系、フェノール系、ラクタム系、オキシム系、活性メチレン系、アルコール系、ベンゾトリアゾール、メルカプタン系、酸アミド系、イミド系、イミダゾール系、尿素系、ピラゾール系、イミン系等を挙げることができる。
【0091】
アミン系ブロック剤としてはエチルイソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジフェニルアミン、イソプロピル−tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−(3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)アミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、イソプロピルシクロヘキシルアミン、3,5−ジメチルピラゾール等を挙げることができる。
【0092】
フェノール系ブロック剤としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール等を挙げることができる。ラクタム系ブロック剤としては、カプロラクタム、バレロラクタム、ブチロラクタム、プロピオンラクタム等を挙げることができる。オキシム系ブロック剤としては、ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等を挙げることができる。
【0093】
活性メチレン系ブロック剤としては、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸ジメチル、アセチルアセトン等を挙げることができる。アルコール系ブロック剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0094】
ブロック型イソシアネート化合物は、市販品を用いてもよく、市販品としては、Baxenden社製の7950、7951、7960、7961、7982、7990、7991、7992;コベストロ社製のスミジュール(登録商標)BL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュール(登録商標)TPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117;東ソー社製のコロネート2512、2513、2520;三井化学社製のタケネート(登録商標)B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882;旭化成社製のデュラネート(登録商標)TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T、MF−B60B、MF−K60B、SBN−70Dなどが挙げられる。
【0095】
中でも、反応性が良好であり、また、本発明の効果が一層得られやすいことから、ブロック型イソシアネート化合物のブロック剤がアミン系ブロック剤であることが好ましく、2級アミンであることがより好ましく、エチルイソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジフェニルアミン、イソプロピル−tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−(3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)アミンであることがさらに好ましく、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジフェニルアミンであることがさらにより好ましい。
【0096】
ブロック剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0097】
ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物の含有質量比は、ウレタン結合が形成されれば、特に限定されるものではないが、ブロック型イソシアネート中のイソシアネート基:ポリカーボネートポリオール中の水酸基=5:1〜1:10となるように含有させることが好ましい。また、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物の含有質量比は、特に制限されるものではないが、ポリカーボネート系ウレタン樹脂:ブロック型イソシアネート化合物=1:10〜10:1(質量比)であることが好ましい。
【0098】
ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物を含む組成物には、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物の反応を促進させるための触媒を添加してもよい。触媒としては、公知の金属触媒、アミン系触媒を使用することができる。金属触媒としては、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート等の錫系化合物などが挙げられる。また、アミン系触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系化合物などが挙げられる。触媒は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。触媒は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂100質量部に対し触媒0.01〜3質量部の範囲で用いるのが好ましい。
【0099】
[防汚層]
さらに、ポリウレタン層(A)上の最表面に防汚層を設けてもよい。防汚層を形成する材料としては、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。防汚層の厚さは0.5〜20μm程度である。
【0100】
[粘着剤層]
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤などを用いることができる。上記粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0101】
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上(上限100質量%)であることを指し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。
【0102】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、粘着性能の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルおよび/または(メタ)アクリル酸ブチルであることが好ましい。
【0103】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能なアクリル共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体;トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能基の共重合単量体(多官能基モノマー)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能なアクリル共重合性単量体として、後述の架橋剤が有する架橋性反応基と反応する官能基を有する単量体を用いることが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体を用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸を用いることがより好ましい。
【0105】
共重合性単量体を用いる場合、アクリル系ポリマーを構成する単量体成分のうち、0.1〜35質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。
【0106】
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万〜100万であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0107】
粘着剤は、アクリル系ポリマーの他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.005〜0.5質量部であることがより好ましい。
【0108】
粘着剤層には、必要に応じ、着色剤、充填剤、帯電防止剤、タッキファイヤー、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
【0109】
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、粘着性および薄膜化の観点から、10〜100μmの範囲が好ましい。
【0110】
[剥離ライナー]
剥離ライナーは、粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナーは、塗膜に貼付する際に塗膜保護シートから剥離される。このため、本発明における塗膜保護シートは、剥離ライナーを有していないものも包含される。
【0111】
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙などの紙が挙げられる。
【0112】
剥離ライナーの厚みは、通常10〜400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01〜5μm程度である。
【0113】
[粘着フィルム]
本実施形態の粘着フィルムは、塗装面を有する被着体に粘着剤層面が貼付されて用いられ、すなわち、本実施形態の粘着フィルムは塗膜保護フィルムである。また、本実施形態の塗膜保護フィルムは、耐チッピング性に優れるため、耐チッピング性塗膜保護フィルムであることがより好ましい。このような用途で用いられるフィルムは、塗装面の意匠性を損なわないよう、透明であることが好ましい。具体的には、本実施形態の(剥離ライナーを剥離した)粘着フィルムのJIS K7136:2000に準じて測定したヘーズは、透明性の観点から、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。
【0114】
本実施形態の粘着フィルムは曲面追従性が高く、耐燃料油性、耐黄変性が高いことから、外部環境で使用されることが多い、移動体を被着体とすることが好ましい。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、移動体(特に車両)用塗膜保護フィルムである。さらに、本発明の好適な一実施形態は、上記粘着フィルムが貼付された移動体(特に車両)である。
【0115】
移動体としては、特に限定されるものではないが、例えば、車両、航空機、船舶、ブルドーザ、ショベルカー、トラッククレーン、フォークリフト等の移動体が挙げられる。車両としては、ガソリンやバイオエタノール等を燃料とする自動車等の四輪自動車(乗用車、トラック、バス等);二輪のバイク、自転車;鉄道車両(電車、ハイブリッド電車、機関車等)などが挙げられる。
【0116】
[粘着フィルムの製造方法]
本実施形態の粘着フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物を含む組成物を用いてポリウレタン層(A)上にポリウレタン層(B)を形成し、ポリウレタン層(B)のポリウレタン層(A)形成面の反対側に粘着剤層を形成する、粘着フィルムの製造方法であって、ポリウレタン層(A)のガラス転移温度が130℃以下である、粘着フィルムの製造方法が挙げられる。
【0117】
ポリウレタン層(A)の形成方法としては特に限定されず、押出し法、溶媒キャスト法など、いずれの方法を採用してもよい。
【0118】
ポリウレタン層(B)は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物を含む組成物を用いて形成される。具体的には、ポリウレタン層(B)は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂およびブロック型イソシアネート化合物を含む組成物を硬化することで得られる。
【0119】
ポリウレタン層(B)の形成方法としては特に限定されず、溶媒キャスト法などを採用することができる。溶媒キャスト法は、具体的には、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ブロック型イソシアネート化合物、およびその他の任意成分を溶媒に分散した分散液を調製したのち、この分散液を支持体フィルム上に、所定の乾燥厚さになるように塗工する。溶媒キャスト法において用いられる溶媒は、樹脂に応じて適宜選択できる。溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテルアルコール、ブチルセロソルブモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート等のエーテルエステル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等を用いることができる。これらの溶媒は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。溶媒キャスト法における溶媒の使用量は、樹脂100質量部に対して、通常100〜400質量部、好ましくは150〜350質量部である。分散液を支持体フィルム上に流延する塗布装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、コンマコーター、リップコーター、ダイコーター、ドクターブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター等のコーターが挙げられる。
【0120】
次いで、加熱により、ブロック型イソシアネート化合物からブロック剤を遊離させる。加熱条件はブロック剤が遊離される条件であれば特に限定されず、ブロック剤により適宜選択されるが、通常80〜250℃程度に加熱する。また、組成物の硬化は、この加熱の際に行ってもよい。組成物の硬化条件としては特に限定されるものではないが、5〜30分であってもよい。
【0121】
粘着剤層の形成方法は特に限定されないが、例えば、粘着剤を剥離ライナー上に塗布した後、ポリウレタン層を含む積層体と貼り合わせる方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤の塗布量としては、固形分質量で、通常10〜100g/m
2、好ましくは20〜60g/m
2である。粘着剤を剥離ライナー上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、粘着剤層が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60〜150℃にて10〜60秒の条件で行われる。
【0122】
次いで、ポリウレタン層(B)のポリウレタン層(A)形成面と反対側に粘着剤層の剥離ライナー非積層面を貼付して、粘着フィルムを得ることができる。
【実施例】
【0123】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0124】
(動的粘弾性評価)
1.動的粘弾性測定
動的粘弾性自動測定器(ORIENTEC社製、RHEOVIBRON DDV−01FP)を用い、JIS K7244−4:1999 プラスチック−動的機械特性の試験方法−第4部:引張振動−非共振法に基づいて、周波数11Hz、振幅±16μmおよび昇温速度3℃/minの条件下で、20℃から150℃までの温度範囲で、損失係数tanδの温度分布曲線(横軸に温度、縦軸にtanδ)を測定した。
【0125】
2.引張弾性率の測定
引張弾性率は、JIS K7161:1994に準拠し、温度23℃、湿度50%の環境下において、チャック間距離40mm、引張速度200mm/分で測定した(サンプルサイズ:長さ100mm×幅15mm)。
【0126】
(実施例1)
1.ポリウレタン層(A)およびポリウレタン層(B)の積層体の形成
ポリカーボネート系ウレタン樹脂100質量部および溶媒であるN,N,−ジメチルホルムアミド 200質量部を混合し、得られた組成物を、キャスティングライナー上にナイフコーターを用いて塗布した。塗布後、200℃、10分加熱し、厚さ10μmのポリウレタン層(A)を得た。ポリウレタン層(A)のMD方向の引張弾性率は800MPa、ガラス転移温度112℃、損失係数の最大値が0.8であった。
【0127】
ポリカーボネート系ウレタン樹脂100質量部およびアミン系ブロック型イソシアネート化合物(ブロック剤:ジイソプロピルアミン)20質量部、溶媒であるN,N,−ジメチルホルムアミド 200質量部を混合し、得られた組成物を、上記で得られたポリウレタン層(A)上にナイフコーターを用いて塗布した。塗布後、200℃、10分加熱し、ポリウレタン層(A)上に形成された厚さ290μmのポリウレタン層(B)を得た。ポリウレタン層(B)のMD方向の引張弾性率は30MPaであった。なお、ポリウレタン層(B)の引張弾性率は、キャスティングライナー上にポリウレタン層(B)を単独で形成して測定した値である。
【0128】
2.粘着剤層の形成
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、アクリル酸ブチル95質量部、アクリル酸5質量部、過酸化物系開始剤およびトルエン(溶剤)を混合し、窒素置換を行いながら加温し、重合を行って、アクリル系ポリマーを得た(重量平均分子量Mw=500,000)。
【0129】
上記アクリル系ポリマー固形分100質量部、およびエポキシ系架橋剤(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学社製)0.01質量部を混合して粘着剤組成物を得た。
【0130】
粘着剤組成物を剥離ライナー(厚さ170μm)にナイフコーターを用いて乾燥後膜厚が20μmとなるように塗工し、乾燥して粘着剤層を剥離ライナー上に形成した。上記積層体のポリウレタン層(B)面に粘着剤層を貼付し、キャスティングライナーを剥離して粘着フィルムを得た。
【0131】
(実施例2)
厚さ10μm、MD方向の引張弾性率830MPa、ガラス転移温度116℃、損失係数の最大値が0.5であるポリウレタン層(A)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
【0132】
(比較例1)
厚さ10μm、MD方向の引張弾性率1080MPa、ガラス転移温度132℃、損失係数の最大値が0.9であるポリウレタン層(A)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
【0133】
(評価:耐黄変性)
得られた粘着シートにおける黄変度ΔYIを評価した。
【0134】
色彩・濁度同時測定器(日本電色工業社製、COH−300A)を用いて、「JIS K7373:2006 プラスチック−黄色度及び黄変度の求め方 5.2 b)反射測定方法」に基づいて、得られた粘着シートの初期黄色度YI
0を測定した。
【0135】
一般道路(自動車通行量22000台/日程度)に面した場所に粘着シートを設置し、1ケ月放置後の粘着シートの暴露後黄色度YIを上記と同様にして測定した。
【0136】
次いで、YIからYI
0を引いて黄変度ΔYIを算出した。
【0137】
結果を下記表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
上記結果より、ガラス転移温度が130℃以下である、実施例1および2は、1カ月のNOx暴露下であっても黄変の変化が少なく、耐黄変性に非常に優れるものであった。