(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856478
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20210329BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20210329BHJP
C23C 16/452 20060101ALI20210329BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20210329BHJP
H01L 21/316 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
C23C16/452
H01L21/285 C
!H01L21/316 X
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-172362(P2017-172362)
(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公開番号】特開2019-50236(P2019-50236A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】相宗 史記
(72)【発明者】
【氏名】高橋 検世
(72)【発明者】
【氏名】飯野 知久
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−222725(JP,A)
【文献】
特開2011−074413(JP,A)
【文献】
特開2003−017422(JP,A)
【文献】
特開2003−264153(JP,A)
【文献】
特開平06−204147(JP,A)
【文献】
特開2017−022210(JP,A)
【文献】
特開2017−005090(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0149211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/31−21/32、21/285、
21/365、21/469−21/475、21/86、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を中心軸以外の円周上に搭載する円形の回転可能な支持台を有し、
前記被処理基板表面上へ前駆体ガスを供給する前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた前駆体ガス供給ノズルと、
前記被処理基板表面上へ反応ガスを供給する前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた反応ガス供給ノズルと、
前記被処理基板表面上へ水素ラジカルを供給する前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた水素ラジカルノズルと、
前記前駆体ガス供給ノズルと前記反応ガス供給ノズルとの間であって、前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた第1不活性ガスノズルと、
前記前駆体ガス供給ノズルと前記反応ガス供給ノズルとの間であって、前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた第2不活性ガスノズルと、
前記水素ラジカルノズルと前記前駆体ガス供給ノズルとの間であって、前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた第3不活性ガスノズルと、
支持台中央部において前記水素ラジカルノズルへ電流を供給する電源供給部とを有し、
前記前駆体ガス供給ノズルから見て、前記第1不活性ガスノズル、前記反応ガス供給ノズル、前記第2不活性ガスノズル、前記水素ラジカルノズル、前記第3不活性ガスノズルは順に被処理基板の回転移動方向に配置されていて、
前記水素ラジカルノズルは螺旋状の金属触媒を有する金属線を内部に有し、この金属線へは前記電源供給部から電流を流すことにより水素ガスを活性化して前記被処理基板表面上へ供給し、
所定回数支持台を回転させることにより被処理基板上にALD成膜を行う半導体製造装置。
【請求項2】
前記電源供給部が可変電源である、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記前駆体ガス供給ノズル、前記反応ガス供給ノズル、前記第1乃至第3不活性ガスノズル、および前記水素ラジカルノズルの各々は、前記径方向に沿って設けられた複数の放出口を有する、請求項1または2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記金属触媒がタングステンである、請求項1から3のいずれかに記載の半導体製造装置。
【請求項5】
被処理基板を中心軸以外の円周上に搭載する円形の回転可能な支持台を有し、
前記被処理基板表面上へ前駆体ガスを供給する前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた前駆体ガス供給ノズルと、
前記被処理基板表面上へ反応ガスを供給する前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた反応ガス供給ノズルと、
前記被処理基板表面上へ水素ラジカルを供給する前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた水素ラジカルノズルと、
前記前駆体ガス供給ノズルと前記反応ガス供給ノズルとの間であって、前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた第1不活性ガスノズルと、
前記前駆体ガス供給ノズルと前記反応ガス供給ノズルとの間であって、前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた第2不活性ガスノズルと、
前記水素ラジカルノズルと前記前駆体ガス供給ノズルとの間であって、前記支持台の径方向かつ、上方に設けられた第3不活性ガスノズルと、
支持台中央部において前記水素ラジカルノズルへ電流を供給する電源供給部とを有し、
前記前駆体ガス供給ノズルから見て、前記第1不活性ガスノズル、前記反応ガス供給ノズル、前記第2不活性ガスノズル、前記水素ラジカルノズル、前記第3不活性ガスノズルは順に被処理基板の回転移動方向に配置されている半導体製造装置を用いて半導体装置を製造する方法であって、
前記水素ラジカルノズルは螺旋状の金属触媒を有する金属線を内部に有し、この金属線へは前記電源供給部から電流を流すことにより水素ガスを活性化して前記被処理基板表面上へ供給し、
所定回数支持台を回転させることにより被処理基板上にALD成膜を行う、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ALD(Atomic Layer Deposition)方式で基板に成膜するとき、ハロゲン元素を含んだ処理ガスを用いる場合がある。このハロゲン元素は、成膜後に不要になる。そのため、基板に付着したハロゲン元素を脱離する手段として、例えば不活性ガスが用いられる。
【0003】
しかし、ハロゲン元素の活性化エネルギーは大きい。そのため、不活性ガスのみでハロゲン元素を脱離するには、多くの時間を要する。したがって、成膜プロセスの時間を短縮することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−74413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、ALD方式による成膜プロセスの時間を短縮することが可能な半導体製造装置、および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る半導体製造装置は、チャンバーと、処理ガスノズルと、不活性ガスノズルと、水素ラジカルノズルと、を備える。チャンバーは、少なくとも1枚の基板を収容可能である。処理ガスノズルは、チャンバー内で基板に向けて処理ガスを放出する。不活性ガスノズルは、チャンバー内で基板に向けて不活性ガスを放出する。水素ラジカルノズルは、チャンバー内に配置され、水素を含んだ原料ガスを加熱して水素ラジカルを生成し、生成した水素ラジカルを不活性ガスの放出中に基板に向けて放出する。水素ラジカルノズル内に金属線が設けられ、金属線は、水素ラジカルの生成を励起する金属触媒を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る半導体製造装置の概略的な平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体製造装置の要部を概略的に示す図である。
【
図3】基板に成膜する工程のフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る半導体製造装置の概略的な平面図である。
【
図5】第2実施形態に係る半導体製造装置の要部を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体製造装置の概略的な平面図である。また、
図2は、第1実施形態に係る半導体製造装置の要部を概略的に示す図である。本実施形態に係る半導体製造装置1は、ALD方式で複数の基板100に一括に成膜するバッチ式ALD装置である。具体的には、半導体製造装置1は、チャンバー10と、ノズル11〜14と、支持部材30と、可変電源40と、を備える。
【0010】
チャンバー10は、ノズル11〜14および支持部材30を収容する。チャンバー10内は、真空状態にすることができる。チャンバー10内では、柱状の支持部材30が、複数の基板100を積層状態で支持する。支持部材30は、基板100を支持した状態で回転可能である。
【0011】
ノズル11は、前駆体ガス201を放出する。ノズル12は、反応化合物ガス202を放出する。ノズル11およびノズル12は、処理ガスノズルに相当する。また、前駆体ガス201および反応化合物ガス202は、ウェハ状の基板100に成膜するための処理ガスに相当する。例えば、基板100に酸化アルミニウム(Al
2O
3)を成膜する場合、前駆体ガス201は塩化アルミニウム(AlCl
3)を含み、反応化合物ガス202はオゾン(O
3)を含む。また、基板100に窒化チタン(TiN)を成膜する場合、前駆体ガス201は四塩化チタン(TiCl
4)を含み、反応化合物ガス202はアンモニア(NH
3)を含む。
【0012】
ノズル13は、不活性ガス203を放出する不活性ガスノズルに相当する。不活性ガス203には、例えば、窒素(N
2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、キセノン(Xe)ガス等が用いられる。
【0013】
ノズル14は、水素ラジカル204を放出する水素ラジカルノズルに相当する。ここで、
図2を参照してノズル14の構造について説明する。
図2に示すように、ノズル14には、水素ラジカル204の原料となる原料ガス205が供給される。原料ガス205には、例えば、水素ガス、アンモニアガス等が用いられる。
【0014】
また、ノズル14は、水素ラジカル204を放出する複数の放出口141を有する。複数の放出口141は、基板100の積層方向、換言すると鉛直方向に沿って設けられている。放出口141は、基板100に個別に対応している。好ましくは、各放出口141は、基板100の表面に向けて水素ラジカル204を放出するように位置決めされている。なお、放出口141と同様の放出口は、他のノズルにも設けられている。
【0015】
ノズル14内には、金属線142が設けられている。金属線142は、可変電源40に接続されている。可変電源40が電流を金属線142に供給すると、金属線142は発熱する。これにより、原料ガス205は加熱される。その結果、水素ラジカル204が生成される。このとき、金属線142は、水素ラジカル204の生成を励起する金属触媒、例えばタングステンを含んでいるので、水素ラジカル204の生成が促進される。
【0016】
ノズル14内における金属線142の形状は、少なくとも放出口141の近傍で水素ラジカル204を生成できる形状であればよい。そのため、金属線142の形状は、本実施形態のように螺旋状であってもよいし、他の形状、例えば直線状であってもよい。
【0017】
以下、上述した半導体製造装置1を用いた半導体装置の製造方法について説明する。ここでは、基板100の成膜プロセスについて説明する。なお、この成膜プロセスでは、支持部材30は、ノズル11〜14の内側で回転している。
【0018】
図3は、基板100に成膜する工程のフローチャートである。まず、ハロゲン元素(例えば塩素)を含んだ前駆体ガス201が、ノズル11から各基板100に向けて放出される(ステップS1)。その結果、前駆体ガス201の一部は、各基板100の表面に堆積する。
【0019】
続いて、不活性ガス203がノズル13から各基板100に向けて放出される(ステップS2)。これにより、チャンバー10内で浮遊している前駆体ガス201がパージされる。
【0020】
次に、反応化合物ガス202がノズル12から各基板100に向けて放出される(ステップS3)。これにより、前駆体ガス201と反応化合物ガス202との化学反応が起こり、化合物が各基板100の表面に堆積する。
【0021】
次に、不活性ガス203が、再びノズル13から放出される(ステップS4)。これにより、チャンバー10内で浮遊している前駆体ガス201と反応化合物ガス202がパージされる。
【0022】
上記ステップS4と並行して、可変電源40が電流を金属線142へ供給する。電流供給によって金属線142は発熱し、発生した熱によって原料ガス205は加熱される。その結果、水素ラジカル204がノズル14内で生成される。このとき、金属線142に含まれた金属触媒によって、水素ラジカル204の生成が促進される。その後、生成された水素ラジカル204は、各放出口141から各基板100に向けて放出される(ステップS5)。
【0023】
放出された水素ラジカル204は、基板100の表面に付着したハロゲン元素(本実施形態では塩素)の脱離を補助する。脱離されたハロゲン元素は、不活性ガス203によって、前駆体ガス201または反応化合物ガス202に含まれた他の元素とともにパージされる。
【0024】
ステップS5において、水素ラジカル204の生成は、原料ガス205の加熱温度に影響される。この加熱温度は、金属線142に供給される電流と関連している。したがって、可変電源40で電流を調整することによって、水素ラジカル204の生成を最適化することができる。
【0025】
上記のようにして水素ラジカル204が放出された後は、上述したステップS1〜S5の動作が予め設定された回数繰り返される。その結果、所定の厚さを有する膜が、各基板100の表面に形成される。
【0026】
以上説明した本実施形態によれば、ノズル14内に設けられた金属線142を加熱することによって水素ラジカル204が生成され、生成された水素ラジカル204は基板100に向けて放出される。この水素ラジカル204が、基板100の表面に付着したハロゲン元素の脱離を補助するので、不活性ガス203の放出時間を従来よりも短縮することができる。その結果、成膜プロセスの時間を短縮することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態では、ノズル14がチャンバー10内に設けられている。そのため、ノズル14から基板100までの距離が短い。そのため、ノズル14内で生成された水素ラジカル204が、直ちに基板100に向けて放出されるので、ハロゲン元素をより迅速に脱離することができる。
【0028】
また、本実施形態では、ノズル14には複数の放出口141が、複数の基板100に対して個別に設けられている。そのため、水素ラジカル204を局所的に放出することができる。その結果、水素ラジカル204を有効にハロゲン元素の脱離に用いることができる。
【0029】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る半導体製造装置の概略的な平面図である。本実施形態に係る半導体製造装置2は、ALD方式で1枚の基板に成膜する枚葉式ALD装置である。具体的には、半導体製造装置2は、チャンバー20と、ノズル21〜24と、支持部材31と、可変電源40と、を備える。
【0030】
チャンバー20は、各ノズルおよび支持部材30を収容する。チャンバー20は、真空状態にすることができる。チャンバー20内では、円形の支持部材31が、基板100を支持している。支持部材31が回転すると、基板100は、回転方向Rに沿って回転移動する。
【0031】
各ノズルは、支持部材31の上方で回転方向Rに沿って互いに離れて配置されている。換言すると、各ノズルは、支持部材31の回転の中心から放射状に延びている。
【0032】
ノズル21およびノズル22は、第1実施形態で説明したノズル11およびノズル12に相当する。すなわち、ノズル21は前駆体ガス201を放出し、ノズル22は反応化合物ガス202を放出する。
【0033】
ノズル23aは、ノズル21とノズル22との間に配置されている。ノズル23bは、ノズル22とノズル24との間に配置されている。ノズル23cは、ノズル24とノズル21との間に配置されている。ノズル23a〜23cは、第1実施形態で説明したノズル13に相当する。すなわち、ノズル23a〜23cは、不活性ガス203を放出する。本実施形態では、ノズル23a〜23cは、常時、不活性ガス203を放出している。そのため、ノズル23a〜23cは、パージガスとしての機能に加えて、前駆体ガス201、反応化合物ガス202、および水素ラジカル204による処理領域を仕切る機能も有する。
【0034】
ノズル24は、第1実施形態で説明したノズル14に相当する。ここで、
図5を参照してノズル24の構造について説明する。
図5に示すように、ノズル24には、水素を含んだ原料ガス205が供給される。また、ノズル24は、複数の放出口241を放出する。複数の放出口241は、支持部材31の回転の中心に対して径方向D(
図4参照)に沿って設けられている。各放出口241は、水素ラジカル204を基板100の表面に向けて放出する。なお、他のノズルにも、放出口241と同様の放出口が設けられている。
【0035】
さらに、ノズル24内には、金属線242が設けられている。金属線242は、第1実施形態で説明した金属線142と同様に、可変電源40に接続されている。また、水素ラジカル204の生成を励起する金属触媒、例えばタングステンを含んでいる。
【0036】
以下、上述した半導体製造装置2を用いた半導体装置の製造方法について説明する。ここでは、基板100の成膜プロセスについて説明する。この成膜プロセスのフローは、第1実施形態で説明した成膜プロセスのフローと同様である。ただし、本実施形態では、前駆体ガス201、反応化合物ガス202、不活性ガス203、および水素ラジカル204は、常時、対応するノズルから放出されている。
【0037】
まず、基板100がノズル21に対向しているときに、前駆体ガス201がノズル21から基板100に向けて放出される。所定時間が経過すると、支持部材31が回転方向Rに回転する。これにより、基板100は、ノズル23aに対向する位置へ移動する。この位置で、不活性ガス203がノズル23aから基板100に向けて放出される(ステップS2)。
【0038】
その後、支持部材31が回転方向Rに回転する。これにより、基板100はノズル22に対向する位置へ移動する。この位置で、反応化合物ガス202がノズル22から基板100に向けて放出される(ステップS3)。
【0039】
その後、支持部材31が回転方向Rに回転する。これにより、基板100は、ノズル23bに対向する位置へ移動する。この位置で、不活性ガス203がノズル23bから基板100に向けて放出される(ステップS4)。
【0040】
その後、支持部材31が回転方向Rに回転する。これにより、基板100は、ノズル24に対向する位置に移動する。この位置で、水素ラジカル204がノズル24から基板100に向けて放出される(ステップS5)。続いて、支持部材31の回転に伴って、基板100は、再びノズル21に対向する位置へ戻る。その後、支持部材31の回転が予め設定された回数繰り返されることによって、所定の厚さを有する膜が、基板100の表面に形成される。
【0041】
以上説明した本実施形態によれば、ノズル24内に設けられた金属線242を加熱することによって生成された水素ラジカル204によって、基板100の表面に付着したハロゲン元素の脱離が促進される。そのため、不活性ガス203の放出時間を従来よりも短縮することができる。したがって、基板100を1枚ずつ処理する枚葉式のALD装置であっても、成膜プロセスの時間を短縮することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態においても、ノズル24がチャンバー20内に設けられている。そのため、ノズル24内で生成された水素ラジカル204を直ちに基板100に向けて放出でき、これによりハロゲン元素をより迅速に脱離することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
10,20 チャンバー、11,12,21,22 ノズル(処理ガスノズル)、13,23a〜23c ノズル(不活性ガスノズル)、14,24 ノズル(水素ラジカルノズル)、30,31 支持部材、40 可変電源、141,241 放出口、142,242 金属線、100 基板