特許第6856532号(P6856532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856532
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】エルゴリン化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 457/12 20060101AFI20210329BHJP
   A61K 31/48 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/06 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/16 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/24 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 1/08 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/20 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/14 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 11/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 9/12 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/22 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 25/30 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 3/00 20060101ALN20210329BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20210329BHJP
   C07D 457/06 20060101ALN20210329BHJP
   C07D 495/06 20060101ALN20210329BHJP
   A61K 31/4743 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   C07D457/12CSP
   !A61K31/48
   !A61P25/06
   !A61P21/00
   !A61P25/28
   !A61P25/16
   !A61P25/00
   !A61P25/24
   !A61P1/08
   !A61P25/20
   !A61P25/14
   !A61P9/00
   !A61P11/00
   !A61P9/12
   !A61P25/22
   !A61P25/30
   !A61P3/00
   !A61P43/00 111
   !C07D457/06
   !C07D495/06
   !A61K31/4743
【請求項の数】17
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2017-538937(P2017-538937)
(86)(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公表番号】特表2018-502888(P2018-502888A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】US2016013980
(87)【国際公開番号】WO2016118541
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2019年1月9日
(31)【優先権主張番号】62/105,208
(32)【優先日】2015年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/001,252
(32)【優先日】2016年1月20日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517253584
【氏名又は名称】エックスオーシー ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XOC PHARMACEUTICALS, INC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アーマー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ マッキンリー
(72)【発明者】
【氏名】スコット ボーランド
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル グズマン
(72)【発明者】
【氏名】アーミン サボルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヤノシュ ギレンサー
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0158064(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/100354(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/095708(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/078857(WO,A1)
【文献】 特開昭51−006998(JP,A)
【文献】 特開平10−087662(JP,A)
【文献】 特表2005−506947(JP,A)
【文献】 特表2008−545725(JP,A)
【文献】 特開平02−142789(JP,A)
【文献】 特開昭51−131898(JP,A)
【文献】 米国特許第04165376(US,A)
【文献】 特表2002−514619(JP,A)
【文献】 特表2001−527580(JP,A)
【文献】 特開昭58−024584(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191704(WO,A1)
【文献】 ハンガリー国特許156385号公報,1969年 8月22日
【文献】 Journal of Organic Chemistry,2002年,Vol.67(20),p.7147-7150
【文献】 European Journal of Medicinal Chemistry,1989年,Vol.24(4),p.421-426
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2003年,Vol.46(14),p.2795-2812
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2000年,Vol.43(16),p.3005-3019
【文献】 Collection of Czechoslovak Chemical Communications,1956年,Vol.21,p.382-391
【文献】 Journal of the American Chemical Society,1935年,Vol.57,p.956-957
【文献】 European Journal of Medicinal Chemistry,1981年,Vol.16(5),p.446-448
【文献】 Research Communications in Chemical Pathology and Pharmacology,1973年,Vol.6(1),p.65-100
【文献】 CAS登録番号:782393-50-4、他計4化合物,REGISTRY(STN)[online],2004年11月16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 457/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(VII)の化合物であって、
【化1】
式中、
はC〜Cシクロアルキルであり;
は水素または〜Cアルキルであり;
およびRは独立に水素、ハロ、−OR120、−OC(O)NR121122、−OC(O)R123であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;
およびRは独立に水素または〜Cアルキルであり;
およびRは独立に水素または〜Cアルキルであり;
120は水素、または〜Cアルキルであり;
121、R122は独立に水素または〜Cアルキルであり;かつ
123〜Cアルキルである
化合物。
【請求項2】
はシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRの両方が水素であるか、または二重結合を形成している、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRの両方が水素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
およびRがそれぞれ〜Cアルキルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
およびRが同じアルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
はシクロプロピルであり;Rはメチルであり;RおよびRは水素であり;RおよびRはエチルであり、RおよびRは水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
120は水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記構造式(VII)の化合物が、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
で表される、請求項1に記載の化合物、またはそれらの塩。
【請求項10】
前記構造式(VII)の化合物が、
【化8】
の構造で表される、請求項9に記載の化合物、またはそれらの塩。
【請求項11】
前記構造式(VII)の化合物が、
【化9】
の構造で表される、請求項9に記載の化合物、またはそれらの塩。
【請求項12】
前記構造式(VII)の化合物が、
【化10】
の構造で表される、請求項9に記載の化合物、またはそれらの塩。
【請求項13】
前記構造式(VII)の化合物が、
【化11】
の構造で表される、請求項9に記載の化合物、またはそれらの塩。
【請求項14】
前記構造式(VII)の化合物が、
【化12】
の構造で表される、請求項9に記載の化合物、またはそれらの塩。
【請求項15】
前記構造式(VII)の化合物が、
【化13】
の構造で表される、請求項9に記載の化合物、またはそれらの塩。
【請求項16】
片頭痛、ALS、アルツハイマー病、パーキンソン病、錐体外路障害、鬱病、悪心、嘔吐、下肢静止不能症候群、不眠、攻撃性、ハンチントン病、心肺の、線維化、肺動脈高血圧、不安、薬物嗜癖、ジストニア、パルソムニアまたは高ラクチン血症を処置および/または予防するための薬剤の製造に用いられる、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物またはそれらの塩。
【請求項17】
パーキンソン病を処置および/または予防するための薬剤の製造に用いられる、請求項16に記載の化合物またはそれらの塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に基づき、2015年1月20日に出願された米国仮特許出願第62/105,208号明細書、および35 U.S.C.§120に基づき、その全体を本明細書に援用する2016年1月20日に出願された米国特許出願第15/001,252号明細書の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において提供されるのは、エルゴリン化合物およびその医薬組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるのは、本明細書に開示された化合物および医薬組成物を用いた、種々の医学的障害、たとえば片頭痛などの処置、予防または軽減の方法である。他の実施形態では、本明細書において提供されるのは、本明細書に開示された化合物および医薬組成物を用いて受容体、たとえば5−HT1A受容体、5−HT1B受容体および5−HT1D受容体などを、5−HT2B受容体を作動させることなく、作動させる方法である。なお他の実施形態では、本明細書において提供されるのは、本明細書に開示された化合物および医薬組成物を用いて5−HT2B受容体、アドレナリンα2A受容体および/またはα2B受容体を拮抗する方法である。なお他の実施形態では、本明細書において提供されるのは、本明細書に開示された化合物および医薬組成物を用いてD2受容体およびD3受容体を拮抗する方法である。
【0003】
多くの天然および合成のエルゴリンは、神経伝達物質受容体、たとえば、ドーパミン受容体、ノルアドレナリン受容体およびセロトニン受容体などに結合し、これらの受容体で非選択的アゴニストまたはアンタゴニストとして機能することが知られている。化合物が選択的であるまたはある特定の受容体に特異的であると、望ましくない副作用を除去または減少させながら、望ましい治療作用を生じることがある。たとえば、片頭痛の処置のため選択的セロトニンアンタゴニストが開発されてきたし、最近になって、パーキンソン病および高プロラクチン血症の処置のための選択的ドーパミンアゴニストが発見されてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単一の化合物により達成される、複数の神経伝達物質受容体に対する選択的アゴニズム(たとえば、5−HT1Dおよび5−HT)およびアンタゴニズム(たとえば、5−HT2B)が望ましい、たとえば片頭痛などの種々の障害を処置するための、毒性がより少ないエルゴリン誘導体が引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において提供されるのは、これらおよび他の必要性に対応するエルゴリン化合物である。一態様では、本明細書に記載のエルゴリン化合物は、下記構造式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、−S(O)101、−C(O)NR102103または−CO104であり;Rはアルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、−NO、−N、−S(O)110、−OR111、−NR112113、−C(O)NR114115、−OC(O)NR116117、−CO118または−OC(O)R119であり;nは0、1、2または3であり;Rは水素、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、ハロ、ハロアルキル、−OR120、−OC(O)NR121122、−OC(O)R123であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;RおよびRは独立に水素、アシル、置換アシル、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;Xは−S−、−SO−または−NR−であり;Zは−CH−または−NR−であり;aは0または1であり;R、R、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;R101およびR110は独立にアルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;かつ任意選択的に、RおよびRはそれらが結合している原子と共に5員、6員または7員環を形成する化合物またはそれらの多形、塩、水和物もしくは溶剤和物を含む。
【0006】
さらに提供されるのは、本明細書に記載の化合物の塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、溶媒和物、水和物、代謝物およびプロドラッグを含む誘導体である。その上提供されるのは、本明細書において提供される化合物、およびビヒクルを含む組成物である。
【0007】
医学的障害、たとえば、片頭痛、片頭痛、ALS、アルツハイマー病、パーキンソン病、錐体外路障害、鬱病、悪心、嘔吐、下肢静止不能症候群、不眠、攻撃性、ハンチントン病、心肺疾患、線維化、肺動脈高血圧、不安、薬物嗜癖、ジストニア、睡眠時随伴症または高プロラクチン血症などの症状を処置、予防または軽減する方法も、本明細書において提供される。本方法を実施する場合、化合物またはその医薬組成物の治療有効量が被検体に投与される。
【0008】
本明細書に記載の化合物および組成物を用いて受容体、たとえば、5−HT2B受容体ならびに/またはDおよびD受容体などを拮抗する方法も、本明細書において提供される。本方法を実施する場合、化合物または医薬組成物の治療有効量が投与される。
【0009】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物を用いて受容体、たとえば、5−HT1Dおよび5−HT1B受容体などを作動させる方法も、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、たとえば、5−HT2B受容体での機能的アンタゴニスト活性を与える方法が提供される。本方法を実施する場合、治療有効量の化合物または組成物が投与される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
他に記載がない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を持つ。本明細書の用語に複数の定義が存在する場合、他に記載がない限り、本セクションの定義が優先する。
【0011】
くつかの実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子(C〜C20アルキル)を含む。他の実施形態では、アルキル基は1〜10個の炭素原子(C〜C10アルキル)を含む。なお他の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子(C〜Cアルキル)を含む。
【0012】
「アルカニル」は、それ自体または別の置換基の一部として、親のアルカンの1個の炭素原子から1つの水素原子を除いて誘導される飽和の分岐、直鎖または環状アルキルラジカルをいう。典型的なアルカニル基として、メタニル;エタニル;プロパニル、たとえばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イル等;ブタニル、たとえばブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イル等;および同種のものがあるが、それらに限定されるものではない。
【0013】
「アルケニル」は、それ自体または別の置換基の一部として、親のアルケンの1個の炭素原子から1つの水素原子を除いて誘導される少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和の分岐、直鎖または環状アルキルラジカルをいう。この基は、二重結合がシス配置でもあるいはトランス配値でもよい。典型的なアルケニル基として、エテニル;プロペニル、たとえばプロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル(アリル)、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル;シクロプロパ−2−エン−1−イル;ブテニル、たとえばブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル等;および同種のものがあるが、それらに限定されるものではない。
【0014】
「アルキニル」は、それ自体または別の置換基の一部として、親のアルキンの1個の炭素原子から1つの水素原子を除いて誘導される少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和の分岐、直鎖または環状アルキルラジカルをいう。典型的なアルキニル基として、エチニル;プロピニル、たとえばプロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イル等;ブチニル、たとえばブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イル等;および同種のものがあるが、それらに限定されるものではない。
【0015】
「アシル」は、それ自体または別の置換基の一部として、ラジカル−C(O)R400をいい、R400は、本明細書で定義されるように、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである。代表的な例として、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルおよび同種のものがあるが、それらに限定されるものではない。
【0016】
「アリール」は、それ自体または別の置換基の一部として、本明細書で定義されるように、親の芳香環系1個の炭素原子から1つの水素原子を除いて誘導される一価芳香族炭化水素基をいう。典型的なアリール基として、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンおよび同種のものから誘導される基があるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、アリール基は6〜20個の炭素原子(C〜C20アリール)を含む。他の実施形態では、アリール基は6〜15個の炭素原子(C〜C15アリール)を含む。なお他の実施形態では、アリール基は6〜15個の炭素原子(C〜C10アリール)を含む。
【0017】
「アリールアルキル」は、それ自体または別の置換基の一部として、本明細書で定義されるように、炭素原子、典型的には末端またはsp炭素原子に結合した水素原子の1個がアリール基で置き換えられた非環状アルキル基をいう。典型的なアリールアルキル基として、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルおよび同種のものがあるが、それらに限定されるものではない。特定のアルキル部分が意図される場合、名称アリールアルカリル、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルが使用される。いくつかの実施形態では、アリールアルキル基は(C〜C30)アリールアルキルであり、たとえば、アリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分またはアルキニル部分は(C〜C10)アルキルであり、アリール部分は(C〜C20)アリールである。他の実施形態では、アリールアルキル基は(C〜C20)アリールアルキルであり、たとえば、アリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分またはアルキニル部分は(C〜C)アルキルであり、アリール部分は(C〜C12)アリールである。なお他の実施形態では、アリールアルキル基は(C〜C15)アリールアルキルであり、たとえば、アリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分またはアルキニル部分は(C〜C)アルキルであり、アリール部分は(C〜C10)アリールである。
【0018】
「化合物」は、本明細書に開示された構造式に包含され、これらの式内の、その構造が本明細書に開示されている任意の特定の化合物を含む化合物をいう。化合物は、それらの化学構造および/または化学名のいずれで特定してもよい。化学構造および化学名が矛盾する場合、化学構造が化合物が何であるかを決定する。本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数のキラル中心および/または二重結合を含んでもよく、したがって、立体異性体、たとえば二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在し得る。そのため、本明細書に示した化学構造は、立体異性体の純粋な形(たとえば、幾何的に純粋、エナンチオマー的に純粋またはジアステレオマー的に純粋)ならびにエナンチオマー混合物および立体異性体混合物を含む、図示した化合物のあらゆる可能なエナンチオマーおよび立体異性体を包含する。エナンチオマー混合物および立体異性体混合物は、当業者によく知られている分離法またはキラル合成法を用いて、それらのエナンチオマー成分または立体異性体成分に分離することができる。化合物はまた、エノール型、ケト型およびそれらの混合物を含むいくつかの互変異性形で存在してもよい。そのため、本明細書に示した化学構造は、図示した化合物のあらゆる可能な互変異性形を包含する。記載した化合物はまた、1個もしくは複数個の原子が自然界に通常見出される原子質量と異なる原子質量を有する同位体で標識した化合物も含む。本明細書に記載の化合物に導入してもよい同位体の例として、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S等があるが、それらに限定されるものではない。一般に、本明細書に記載の化合物を構成する元素のいずれの同位体もすべて、それらの化合物に見出され得ることを理解すべきである。化合物は、非溶媒和形態または非水和形態のほか、水和形態を含む溶媒和形態で存在しても、N−オキシドとして存在してもよい。一般に、化合物は水和していても、溶媒和していても、あるいはN−オキシドであってもよい。特定の化合物は、複数の結晶形またはアモルファス形で存在してもよい。一般に、すべての物理的形状は、本明細書において企図される使用において同等であり、本発明の範囲内であることを意図している。さらに、化合物の部分構造を図示する場合、角括弧は、部分構造の分子残部への結合点を示すことを理解すべきである。
【0019】
それ自体または他の置換基の一部としての「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」はそれぞれ、1つまたは複数の炭素原子(および、任意選択的に、任意の結合した水素原子)が各々、相互に独立に、同一もしくは異なるヘテロ原子またはヘテロ原子団で置き換えられているアルキル基、アルカニル基、アルケニル基およびアルキニル基をいう。炭素原子に置き換わり得る典型的なヘテロ原子またはヘテロ原子団として、−O−、−S−、−N−、−Si−、−NH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NH−、−S(O)NH−および同種のものならびにこれらの組み合わせがあるが、それらに限定されるものではない。ヘテロ原子またはヘテロ原子団は、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基内のどのような位置にあってもよい。これらの基に含まれ得る典型的なヘテロ原子団として、−O−、−S−、−O−O−、−S−S−、−O−S−、−NR501502−、=N−N=、−N=N−、−N=N−NR503504、−PR505−、−P(O)−、−POR506−、−O−P(O)−、−SO−、−SO−、−SnR507508−および同種のものがあるが、それらに限定されるものではない。式中、R501、R502、R503、R504、R505、R506、R507およびR508は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである。
【0020】
「ヘテロアリール」は、それ自体または別の置換基の一部として、本明細書で定義したように親のヘテロ芳香族環系の1個の原子から1つの水素原子を除いて誘導される一価ヘテロ芳香族ラジカルをいう。典型的なヘテロアリール基として、アクリジン、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンおよび同種のものから誘導される基があるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、5〜20個の環原子(5〜20員ヘテロアリール)を含む。他の実施形態では、ヘテロアリール基は、5〜10個の環原子(5〜10員ヘテロアリール)を含む。例示的ヘテロアリール基として、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、インドール、ピリジン、ピラゾール、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾールおよびピラジンから誘導されるものがある。
【0021】
「ヘテロアリールアルキル」は、それ自体または別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端またはsp炭素原子に結合した水素原子の1個がヘテロアリール基で置き換えられた非環状アルキル基をいう。特定のアルキル部分が意図される場合、名称ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアケニルおよび/またはヘテロアリールアルキニルが使用される。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールアルキル基は6〜21員ヘテロアリールアルキルであり、たとえば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル部分、アルケニル部分またはアルキニル部分は、(C〜C)アルキルであり、ヘテロアリール部分は5〜15員ヘテロアリールである。他の実施形態では、ヘテロアリールアルキルは6〜13員ヘテロアリールアルキルであり、たとえば、アルカニル部分、アルケニル部分またはアルキニル部分は(C〜C)アルキルであり、ヘテロアリール部分は5〜10員ヘテロアリールである。
【0022】
「水和物」は、本明細書に記載の化合物の結晶格子に水が化学量論比で取り込まれ、その結果形成されている付加物をいう。水和物を作る方法は、水蒸気を含む雰囲気での貯蔵、水を含む剤形、または通常の製剤工程、たとえば、結晶化(すなわち、水または混合水性溶媒からの)、凍結乾燥、湿式造粒、水系フィルムコーティングもしくは噴霧乾燥があるが、それらに限定されるものではない。水和物はまた、特定の環境下、水蒸気への曝露時または無水材料を水に懸濁したとき、溶媒和物の結晶から形成してもよい。水和物はまた、2つ以上の形態で結晶化して水和物の結晶多形が生じてもよい。たとえば、(Guillory,K.,Chapter 5,pp.202−205 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,(1999))を参照されたい。水和物を調製するための上記の方法は、十分に当業者の範囲内であり、十分に一般に行われており、当該技術分野において典型的なものを超える実験を必要としない。水和物は、たとえば、単結晶X線回折、X線粉末回折、偏光顕微鏡、熱顕微鏡観察、熱重量測定、示差熱分析、示差走査熱量測定、IR分光法、ラマン分光法およびNMR分光法など当業者によく知られている方法により特性評価および/または解析を行ってもよい。(Brittain,H.,Chapter 6,pp.205−208 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.New York,(1999))。さらに、たとえば、HOLODIAG,Pharmaparc II,Voie de l’Innovation,27 100 Val de Reuil,France(http://www.holodiag.com)など多くの事業会社は通常、水和物の調製および/または特性評価を含むサービスを提供している。
【0023】
「親の芳香環系」は、共役π電子系を有する不飽和の環式または多環式環系をいう。具体的に「親の芳香環系」の定義内に含まれるのは、たとえば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレン等、1つまたは複数の環が芳香族であり、1つまたは複数の環が飽和または不飽和である縮合環系である。典型的な親の芳香環系として、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンおよび同種のものがあるが、それらに限定されるものではない。
【0024】
「予防すること」または「予防」は、疾患または障害に罹患する(すなわち、疾患に感染し得るまたは疾患の素因を持ち得るが、疾患の症状をまだ経験していないまたは示していない患者において、発症していない疾患の臨床症状の少なくとも1つを起こす)リスクを低下させることをいう。いくつかの実施形態では、「予防すること」または「予防」は、化合物を予防的に服用することにより疾患の症状を減らすことをいう。障害の疾患を予防するまたは予防のための療法剤の適用は、「予防法」として知られる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される化合物は、長期間にわたり長期的副作用が低くなるため、優れた予防法になる。
【0025】
「プロドラッグ」は、活性薬剤を放出するため体内での変換を必要とする薬剤分子の誘導体をいう。プロドラッグは、多くの場合(必ずではないが)、親の薬剤に変換されるまで薬理学的に不活性である。
【0026】
「プロモエティ」は、薬剤分子内の官能基をマスクするのに使用される際に薬剤をプロドラッグに変換する一種の保護基をいう。典型的には、プロモエティは、酵素的または非酵素的手段によりインビボで切断される結合を介して薬剤に結合される。
【0027】
「塩」は、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物の塩をいう。そうした塩として、(1)無機酸、たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸および同種のものとで形成される;もしくは有機酸、たとえば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸および同種のものとで形成される酸付加塩;または(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、たとえば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンで置き換えられる;または有機塩基、たとえばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンおよび同種のものと配位結合するときに形成される塩がある。いくつかの実施形態では、塩は薬学的に許容される。
【0028】
「溶媒和物」は、本明細書に記載の化合物の結晶格子に溶媒が化学量論比で取り込まれ、その結果形成される付加物をいう。溶媒和物を作る方法は、溶媒を含む雰囲気での貯蔵、溶媒を含む剤形、または通常の製剤工程、たとえば、結晶化(すなわち、溶媒または混合溶媒からの)蒸気拡散等があるが、それらに限定されるものではない。溶媒和物はまた、特定の環境下、溶媒への曝露時または溶媒中の懸濁材料のとき、他の溶媒和物または水和物から形成してもよい。溶媒和物は、2つ以上の形態で結晶化して溶媒和物の結晶多形が生じてもよい。たとえば、(Guillory,K.,Chapter 5,pp.205−208 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1999))を参照されたい。溶媒和物を調製するための上記の方法は、十分に当業者の範囲内であり、十分に一般に行われており、当該技術分野において典型的なものを超える実験を必要としない。溶媒和物は、たとえば、単結晶X線回折、X線粉末回折、偏光顕微鏡観察、熱顕微鏡観察、熱重量測定、示差熱分析、示差走査熱量測定、IR分光法、ラマン分光法およびNMR分光法など当業者によく知られている方法により特性評価および/または解析を行ってもよい。(Brittain,H.,Chapter 6,pp.205−208 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.New York,(1999))。さらに、たとえば、HOLODIAG,Pharmaparc II,Voie de l’Innovation,27 100 Val de Reuil,France(http://www.holodiag.com)など多くの事業会社は通常、溶媒和物の調製および/または特性評価を含むサービスを提供している。
【0029】
「置換された」は、特定の基またはラジカルを修飾するのに使用される場合、特定の基またはラジカルの1個もしくは複数個の水素原子が各々、相互に独立に、同一または異なる置換基で置き換えられていることを意味する。特定の基またはラジカルの飽和炭素原子を置換するのに有用な置換基群として、−R、ハロ、−O、=O、−OR、−SR、−S、=S、−NR、=NR、=N−OR、トリハロメチル、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)、−S(O)NR、−S(O)、−S(O)OR、−OS(O)、−OS(O)、−OS(O)OR、−P(O)(O、−P(O)(OR)(O)、−P(O)(OR)(OR)、−C(O)R、−C(S)R、−C(NR)R、−C(O)O、−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OC(O)R、−OC(S)R、−OC(O)O、−OC(O)OR、−OC(S)OR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)O、−NRC(O)OR、−NRC(S)OR、−NRC(O)NR、−NRC(NR)Rおよび−NRC(NR)NRがあるが、それらに限定されるものではない。式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され;Rは各々独立に水素またはRであり;かつRは各々独立にRであるか、またはあるいは、2つのRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個の同一または異なる追加ヘテロ原子を任意選択的に含んでもよい4員、5員、6員もしくは7員シクロヘテロアルキルを形成する。具体的な例として、−NRは、−NH、−NH−アルキル、N−ピロリジニルおよびN−モルホリニルを含むこと意図している。
【0030】
同様に、特定の基またはラジカルの不飽和炭素原子を置換するのに有用な置換基群として、−R、ハロ、−O、−OR、−SR、−S、−NR、トリハロメチル、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、−N、−S(O)、−S(O)、−S(O)OR、−OS(O)、−OS(O)、−OS(O)OR、−P(O)(O、−P(O)(OR)(O)、−P(O)(OR)(OR)、−C(O)R、−C(S)R、−C(NR)R、−C(O)O、−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OC(O)R、−OC(S)R、−OC(O)O、−OC(O)OR、−OC(S)OR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)O、−NRC(O)OR、−NRC(S)OR、−NRC(O)NR、−NRC(NR)Rおよび−NRC(NR)NRがあるが、それらに限定されるものではない。式中、R、RおよびRは、既に定義した通りである。
【0031】
ヘテロアルキル基およびシクロヘテロアルキル基の窒素原子を置換するのに有用な置換基群として、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、トリハロメチル、−CF、−CN、−NO、−NO、−S(O)、−S(O)、−S(O)OR、−OS(O)、−OS(O)、−OS(O)OR、−P(O)(O、−P(O)(OR)(O)、−P(O)(OR)(OR)、−C(O)R、−C(S)R、−C(NR)R、−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OC(O)R、−OC(S)R、−OC(O)OR、−OC(S)OR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)OR、−NRC(S)OR、−NRC(O)NR、−NRC(NR)Rおよび−NRC(NR)NRがあるが、それらに限定されるものではない。式中、R、RおよびRは、既に定義した通りである。
【0032】
他の特定の基または原子を置換するのに有用な置換基群は、上記のリストから当業者に明らかになるであろう。特定の基の置換に使用される置換基は、典型的には上述の様々な基から選択される1つまたは複数の同一または異なる基でさらに置換されてもよい。いくつかの実施形態では、置換基は上記の基に限定される。
【0033】
「被検体」、「個体」または「患者」は、本明細書において同義で使われ、脊椎動物、好ましくは哺乳動物をいう。哺乳動物として、マウス、齧歯動物、サル、ヒト、農用動物、競技用動物およびペットがあるが、それらに限定されるものではない。
【0034】
任意の疾患または障害を「処置すること」または「処置」は、いくつかの実施形態では、疾患または障害を軽減すること(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発症を阻止または減少させること、)をいう。処置はさらに、疾患または少なくとも1つの臨床症状の発症を軽減、阻止または予防するため、早期または予防投与を含むと見なしてもよい。処置はさらに、疾患または障害の1つまたは複数の症状の重症度および/または持続期間を減らすことをいってもよい。さらなる特徴では、施される処置は、複数年にわたり長期的副作用の可能性を低下させる。他の実施形態では「処置すること」または「処置」は、患者により認識できないことがある少なくとも1つの身体パラメーターを軽減することをいう。なお他の実施形態では、「処置すること」または「処置」は、身体的に、(たとえば、認識できる症状の安定化)、生理学的に、(たとえば、身体パラメーターの安定化)あるいは両方で疾患または障害を阻害することをいう。なお他の実施形態では、「処置すること」または「処置」は、疾患または障害の発現を遅延させることをいう。
【0035】
「治療有効量」は、疾患の処置のため患者に投与されたとき、疾患のためのそうした処置を行うのに十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度ならびに処置対象の患者の年齢、体重、吸着、分布、代謝および排泄等に応じて異なる。
【0036】
「ビヒクル」は、化合物を被検体に投与する希釈薬、賦形剤またはキャリアをいう。いくつかの実施形態では、ビヒクルは薬学的に許容される。
【0037】
化合物
いくつかの態様では、下記構造式(I)の化合物であって、
【化2】
式中、Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、−S(O)101、−C(O)NR102103または−CO104であり;Rはアルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、−NO、−N、−S(O)110、−OR111、−NR112113、−C(O)NR114115、−OC(O)NR116117、−CO118または−OC(O)R119であり;nは0、1、2または3であり;Rは水素、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、ハロ、ハロアルキル、−OR120、−OC(O)NR121122、−OC(O)R123であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;RおよびRは独立に水素、アシル、置換アシル、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり、;Xは−S−、−SO−または−NR−であり;Zは−CH−または−NR−であり;aは0または1であり;R、R、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;R101およびR110は独立にアルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;かつ任意選択的に、RおよびRはそれらが結合している原子と共に5員、6員または7員環を形成する、化合物またはそれらの多形、塩、水和物もしくは溶剤和物が提供される。
【0038】
いくつかの実施形態ではRおよびRはアシルではない。
【0039】
いくつかの実施形態では、RおよびRの一方が水素またはアルキルである場合、RおよびRの他方は水素またはアルキルではない。
【0040】
いくつかの実施形態では、R〜R、R102〜R104およびR111〜R123は独立に、アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルである。他の実施形態では、R、RおよびRは独立に、アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。
【0041】
いくつかの実施形態では、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。他の実施形態では、Rは水素、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルである。
【0042】
いくつかの実施形態では、Rはアルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アシル、置換アシル、ハロ、−OR111、−NR112113、−C(O)NR114115、−CO118または−OC(O)R119である。他の実施形態では、Rはアルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アシル、ハロ、−OR111、−C(O)NR114115または−CO118である。
【0043】
いくつかの実施形態では、nは0または1である。他の実施形態では、nは0である。
【0044】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルである。他の実施形態では、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルである。
【0045】
いくつかの実施形態では、RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成する。他の実施形態では、RおよびRは独立に水素、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成する。なお他の実施形態では、RおよびRはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成する。
【0046】
いくつかの実施形態では、RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、アシルまたは置換アシルである。他の実施形態では、RおよびRは独立に水素、アシルまたは置換アシルである。なお他の実施形態では、RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキルまたは置換アシルである。なお他の実施形態では、RおよびRは独立に水素または置換アシルである。
【0047】
いくつかの実施形態では、R、R、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。他の実施形態では、R、R、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキルまたはアリールアルキルである。なお他の実施形態では、R、R、R102〜R104およびR111〜R123は水素である。
【0048】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。他の実施形態では、Rは水素、アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、アリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、アルキルまたはアリールアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素である。
【0049】
いくつかの実施形態では、R101およびR110は独立にアルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。他の実施形態では、R101およびR110は独立にアルキルまたはアリールアルキルである。
【0050】
いくつかの実施形態では、下記構造式(II)の化合物が提供される。
【化3】
式中、R
【化4】
であり、R10はアルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;Yは−S(O)11、−OR12または−NR1314であり;kは0、1または2であり;bは1、2、3または4であり;R11はアルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;かつR12〜R14は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、bは1または2である。他の実施形態では、bは1である。なお他の実施形態では、Yは−OR12または−NR1314である。なお他の実施形態では、Yは−OR12である。なお他の実施形態では、R、R、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。なお他の実施形態では、R、R、R12〜R14、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキルまたはアリールアルキルである。なお他の実施形態では、R、R、R12〜R14、R102〜R104およびR111〜R123は水素である。なお他の実施形態では、R、RおよびR12〜R14は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。なお他の実施形態では、R、RおよびR12〜R14は独立に水素、アルキルまたはアリールアルキルである。なお他の実施形態では、R、RおよびR12〜R14は水素である。なお他の実施形態では、R、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。なお他の実施形態では、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、アリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、アルキルまたはアリールアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素である。なお他の実施形態では、R11、R101およびR110は独立にアルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。なお他の実施形態では、R11、R101およびR110は独立にアルキルまたはアリールアルキルである。
【0051】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;Rはアルキル、置換アルキル、アシル、ハロ、−OR111、−C(O)NR114115または−CO118であり;nは0または1であり;Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;R10はアルキルまたは置換アルキルであり;bは1または2であり;Yは−OR12または−NR1314であり;R、R、R12〜R14、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり;かつR101およびR110は独立にアルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。他の実施形態では、R、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。なお他の実施形態では、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。Rは水素、アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、アリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルアルキルである。
【0052】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;Rはアルキル、置換アルキル、アシル、ハロ、−OR111、−C(O)NR114115または−CO118であり;nは0または1であり;Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;R10はアルキルまたは置換アルキルであり;bは1または2であり;Yは−OR12または−NR1314であり;R、R12〜R14、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;かつR101およびR110は独立にアルキルまたはアリールアルキルである。他の実施形態では、R、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。なお他の実施形態では、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、アリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルアルキルである。
【0053】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;Rはアルキル、置換アルキル、アシル、ハロ、−OR111、−C(O)NR114115または−CO118でありnは0または1であり;Rは水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキルまたは置換ヘテロアルキルであり;RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;R10はアルキルまたは置換アルキルであり;bは1または2であり;Yは−OR12または−NR1314であり;R、R、R12〜R14、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;かつR101およびR110は独立にアルキルまたはアリールアルキルである。他の実施形態では、R、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。なお他の実施形態では、RおよびRは独立にアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたヘテロアリールアルキルである。なお他の実施形態では、Rは水素、アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキル、アリールアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアリールアルキルアルキルである。
【0054】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルであり、Rはアルキル、置換アルキル、アシル、ハロ、−OR111、−C(O)NR114115または−CO118であり;Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり;RおよびRは独立に水素、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;R10はアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり;bは1であり;Yは−OR12または−NR1314であり;R、R、R12〜R14、R102〜R104、R111〜R123は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり;かつR101およびR110は独立にアルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。
【0055】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルであり;Rはアルキル、置換アルキル、アシル、ハロ、−OR111、−C(O)NR114115または−CO118であり;Rは水素またはアルキルであり;RおよびRは独立に水素、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;Rは水素であり;Rはアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり;bは1であり;Yは−OR12または−NR1314であり;R、R、R12〜R14、R102〜R104およびR111〜R123は独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルであり;かつR101およびR110は独立にアルキル、置換アルキル、アリールアルキルまたは置換アリールアルキルである。
【0056】
いくつかの実施形態では、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルであり;Rはアルキル、置換アルキル、アシル、ハロ、−OR111、−C(O)NR114115または−CO118であり;Rは水素またはアルキルであり;RおよびRは独立に水素、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;R10はアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり;bは1であり;Yは−OR12であり;R、R、R13、R102〜R104およびR111〜R123は水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;かつR101およびR110は独立にアルキルまたはアリールアルキルである。
【0057】
上記の実施形態のいくつかでは、nは0である。
【0058】
いくつかの実施形態では、Rはハロ、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;Rはアルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり;R10はアルキルまたは置換アルキルであり;かつYは−OR12である。他の実施形態では、Xは−NRであり、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルである。なお他の実施形態では、RおよびRは独立に水素、アルキル−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成する。なお他の実施形態では、Rはハロ、水素または置換アルキルであり、Xは−NRであり、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルであり、RおよびRは独立に水素、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成する。なお他の実施形態では、Rは水素であり;Xは−NRであり、Rは水素であり、RおよびRは水素、−OR120であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成する。なお他の実施形態では、Rは水素であり;Xは−NRであり、Rは水素であり、RおよびRは水素または−OR120である。なお他の実施形態では、Rは水素であり;Xは−NRであり、Rは水素であり、RおよびRは水素または−OR120であり、R120はメチルまたは水素であり、YはOHである。
【0059】
いくつかの実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素または置換アルキルである。他の実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素または置換アルキルであり、Zは−OHである。なお他の実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素または置換アルキルであり、RおよびRは二重結合を形成するか、または水素であり、Yは−OHである。なお他の実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素または−CFであり、Rは水素、−CFまたはBrであり、Rはメチルであり、RおよびRは二重結合を形成するか、または水素であり、Rは−CF、−CHCF、−Cまたは−Cであり、Yは−OHである。なお他の実施形態では、Xは−NH−であり、Rは水素であり、Rはメチルであり、RおよびRは二重結合を形成するか、または水素であり、Rは−CF、−CHCFまたは−Cであり、Yは−OHである。なお他の実施形態では、Xは−NCF−であり、Rは水素であり、Rはメチルであり、RおよびRは二重結合を形成するか、または水素であり、Rは−CF、−CHCFまたは−Cであり、Yは−OHである。なお他の実施形態では、Xは−NH−であり、Rは−CFであり、Rはメチルであり、RおよびRは二重結合を形成するか、または水素であり、Rは−CF、−CHCFまたは−Cであり、Yは−OHである。なお他の実施形態では、Xは−NH−であり、Rは−Brであり、Rはメチルであり、RおよびRは二重結合を形成するか、または水素であり、Rは−CF、−CHCFまたは−Cであり、Yは−OHである。
【0060】
いくつかの実施形態では、下記構造式(III)の化合物であって、
【化5】
式中、R
【化6】
であり、R10はメチルであり、bは1であり、YはOHである
化合物が提供される。
【0061】
いくつかの実施形態では、下記構造式(IV)の化合物であって、
【化7】
式中、Rはハロ、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;Rはアルキルであり;R10はアルキルまたは置換アルキルであり;かつYは−OR12である。いくつかの実施形態では、Xは−S−または−SO−であり、Rは水素である。他の実施形態では、Xは−S−または−SO−であり、Rは水素であり、Rはアルキルであり、Zは−OHである。なお他の実施形態では、Xは−S−または−SO−であり、Rは水素であり、RおよびRは二重結合であり、Rはアルキルであり、Zは−OHである
化合物が提供される。
【0062】
いくつかの実施形態では、下記構造式(V)の化合物であって、
【化8】
式中、R
【化9】
であり、R10はメチルであり、bは1であり、YはOHである
化合物が提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、下記構造式(VI)の化合物であって、
【化10】
式中、R
【化11】
であり、R10はメチルであり、bは1であり、YはOHである
化合物が提供される。
【0064】
上記の実施形態のいくつかでは、aが1である場合、Zは−NRであり、Xは−NRであり、Rは水素、(C〜C)アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキルではなく;aが0である場合、Xは−NRであり、Rは水素またはハロゲンであり、RまたはRの一方は水素であり、RまたはRの他方は置換アルキルまたは置換アリールアルキルではなく;aが0である場合、Xは−NRであり、Rは水素、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、置換(C〜C)アシル、(C〜C)ヘテロアルキルまたは置換(C〜C)ヘテロアルキルであり、Rは水素、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、置換(C〜C)アシル、ハロゲン、−OH、(C〜C)ヘテロアルキルまたは置換(C〜C)ヘテロアルキルであり、RまたはRの一方は水素、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、置換(C〜C)アシル、ハロゲン、−OH、(C〜C)ヘテロアルキルまたは置換(C〜C)ヘテロアルキルであり、RまたはRの他方は置換アルキルではない。上記の他の実施形態では、aが0である場合、Xは−NRであり、RまたはRの一方は水素であり、他方は水素またはアルキルではない。上記のなお他の実施形態では、aが0である場合、Xは−NRであり、RまたはRの一方はアルキルであり、他方は水素またはアルキルではない。上記のなお他の実施形態では、aが1である場合、Zは−NRであり、Xは−NRであり、ただしRは水素、(C〜C)アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキルではない。上記のなお他の実施形態では、aが0である場合、Xは−NRであり、Rは水素またはハロゲンであり、RまたはRの一方は水素であり、RまたはRの他方は置換アルキルまたは置換アリールアルキルではない。上記のなお他の実施形態では、aが0である場合、Xは−NRであり、Rは水素、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、置換(C〜C)アシル、(C〜C)ヘテロアルキルまたは置換(C〜C)ヘテロアルキルであり、Rは水素、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、置換(C〜C)アシル、ハロゲン、−OH、(C〜C)ヘテロアルキルまたは置換(C〜C)ヘテロアルキルであり、RまたはRの一方は水素、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、1個もしくは複数個のフッ素原子で置換された(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、置換(C〜C)アシル、ハロゲン、−OH、(C〜C)ヘテロアルキルまたは置換(C〜C)ヘテロアルキルであり、RまたはRの他方は置換アルキルではない。
【0065】
いくつかの実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルであり、Rはアルキルであり、aは0であり、nは0であり、RはHであり、Rは置換アルキルであり、Rは水素、アルキルまたは置換アルキルである。他の実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり、Rはアルキルであり、Rは置換アルキルであり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルである。なお他の実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり、Rはメチルであり、Rは−CH(C)CHOHであり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルである。なお他の実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり、Rはメチルであり、Rは−CH(CF40)CHOHであり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり、R40はアルキルである。なお他の実施形態では、Xは−NR−であり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり、Rはメチルであり、Rは−CH(CHFR40)CHOHであり、Rは水素、アルキルまたは1個もしくは複数個のフッ素原子で置換されたアルキルであり、R40はアルキルである。
【0066】
いくつかの実施形態では、下記構造式(VII)の化合物であって、
【化12】
式中、RはC〜Cシクロアルキルまたは置換C〜Cシクロアルキルであり;Rは水素またはアルキルであり;RおよびRは独立に水素、ハロ、−OR120、−OC(O)NR121122、−OC(O)R123であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;RおよびRは独立に水素またはアルキルであり、RおよびRは独立に水素またはアルキルであり;R120は水素、メチルまたはアルキルであり;R121、R122は独立に水素またはアルキルであり;かつR123はアルキルであり;ただし、Rは、RおよびRの両方が水素であるか、または二重結合を形成している場合に限り、シクロプロピルまたは置換シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、RおよびRは独立に水素、ハロまたは−OR120である。いくつかの実施形態では、RおよびRはアルキルである。いくつかの実施形態では、RおよびRは同じアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rはシクロプロピルであり;Rはメチルであり;RおよびRは水素であり;RおよびRはエチルであり、RおよびRは水素である
化合物が提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、下記構造式(VIII)の化合物であって、
【化13】
式中、Rは水素、アルキルまたはハロであり;Rは水素、アルキルであり;RおよびRは独立に水素、ハロ、−OR120、−OC(O)NR121122、−OC(O)R123であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;RおよびRは独立に水素、アルキルまたは置換アルキルであり;RおよびRは独立に水素またはアルキルであり;R120は水素、メチルまたはアルキルであり;R121、R122は独立に水素またはアルキルであり;かつR123はアルキルであり;任意選択的に、RおよびRはそれらが結合している原子と共に5員、6員または7員環を形成する
化合物が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態では、下記構造式(IX)の化合物であって、
【化14】
式中、Rは水素、アルキルまたはハロであり;Rは水素、アルキルであり;RおよびRは独立に水素、ハロ、−OR120、−OC(O)NR121122、−OC(O)R123であるか、またはそれらが結合している原子と一緒になって二重結合を形成し;Rは水素またはアルキルであり;R12は水素、アルキルまたは−C(O)R13であり;R13はアルキルであり;R120は水素、メチルまたはアルキルであり;R121、R122は独立に水素またはアルキルであり;かつR123はアルキルであり;任意選択的に、RおよびRはそれらが結合している原子と共に5員、6員または7員環を形成する。いくつかの実施形態では、R12は、Rが−OCHまたは−OHである場合に限り、水素である。他の実施形態では、Rは水素またはメチルである。なお他の実施形態では、Rは水素、シクロプロピルまたはブロモである。なお他の実施形態では、Rは−OHまたは−OMeであり、Rは水素である
化合物が提供される。
【0069】
いくつかの実施形態では、下記構造の化合物が提供される。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【0070】
点線を有する構造は、2つの化合物、単結合を有する化合物および二重結合を有する化合物をそれぞれ表す。
【0071】
式(I)の化合物の代謝物は、薬学的に活性であってもよい。そのため、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の代謝物は、式(I)の化合物と同様の薬理学的活性を有する。他の実施形態では、式(I)の化合物の代謝物は、式(I)の化合物と比較して極めて少ない薬剤活性を有する。なお他の実施形態では、式(I)の化合物の代謝物は5HT2bアゴニストではない。なお他の実施形態では、式(I)の化合物は5HT2bアゴニストではなく、式(I)の化合物の代謝物も5HT2bアゴニストではない。
【0072】
本明細書において提供される組成物および方法に使用される式(I)および(II)の化合物の調製のための例示的な方法は以下に記載されるが、当該技術分野において公知の他の方法を使用して、本明細書に開示されたエルゴリン誘導体を調製してもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、容易に入手できる下記式(IX)の化合物を、容易に入手できるアルカロイドの加水分解により、官能基化することで調製することができる。酸(IX)をそれぞれ式(I)の化合物に変換するための多くの方法が存在する。そのため、式(IX)の酸からの式(I)の化合物の調製は、十分に当業者の範囲内である。
【化24】
【0074】
いくつかの実施形態では、たとえば塩基性条件下、ハロゲン化アルキルによる式(I)の化合物の2−非置換アナログおよび(たとえば、下記式(X)の化合物)の直接官能基化を使用して、式(I)および(II)の化合物を得てもよい。
【化25】
【0075】
他の実施形態では、Aがハロゲンである遷移金属を用いた式(XI)の化合物のクロスカップリングを使用して、式(I)の化合物を調製してもよい。
【化26】
【0076】
なお他の実施形態では、下記式(I)の化合物は、式(XII)の化合物のN1への直接挿入により調製してもよい。
【化27】
【0077】
Xが−SO−または−S−である式(I)の化合物の例示的合成は、以下に図示したスキームにより調製してもよい。化合物6は、当業者によく知られている方法により、式(XI)の化合物に変換することができる。
【化28】
【0078】
組成物および投与の方法
本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載の疾患または障害の1つもしくは複数の症状の予防、処置または軽減に有用である、本明細書において提供される治療有効量の1種または複数種の化合物、およびビヒクルを含む。本明細書において提供される化合物の投与に好適なビヒクルは、特定の投与モードに好適であることが当業者に公知であるような任意のキャリアを含む。
【0079】
さらに、本化合物は、組成物の唯一の活性成分として製剤化してもよいし、あるいは他の活性成分と組み合わせてもよい。
【0080】
本組成物は、本明細書において提供される1種または複数種の化合物を含む。化合物は、いくつかの実施形態では、たとえば経口投与に好適な溶液剤、懸濁剤、錠剤、分散錠、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤またはエリキシル剤などの調製物、または非経口投与に好適な滅菌溶液または懸濁液中の調製物のほか、局所(topical)投与、経皮投与、経鼻吸入、ならびにネブライザー、加圧式定量吸入器およびドライパウダー吸入器を介した経口吸入に好適な調製物に製剤化される。いくつかの実施形態では、上述の化合物は、当該技術分野において周知の技術および手順を用いて組成物に製剤化される(たとえば、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Seventh Edition(1999)を参照されたい)。
【0081】
組成物では、有効濃度の1種または複数種の化合物またはその誘導体が好適なビヒクルと混合される。化合物は、上記のように、配合前に対応する塩、エステル、エノールエーテルもしくはエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、イオン対、水和物またはプロドラッグとして誘導体化してもよい。組成物中の化合物の濃度は、投与時に、本明細書に記載の疾患または障害の1つもしくは複数の症状を処置し、予防または軽減につながる量の送達に有効である。いくつかの実施形態では、組成物は単回投薬量の投与用に製剤化される。組成物を製剤化するには、化合物の重量分率を、処置された状態が緩和、予防されるかあるいは1つまたは複数の症状が軽減されるような有効濃度で、選択されたビヒクルに溶解、懸濁、分散または他の方法で混合する。
【0082】
活性化合物は、処置される患者に対して望ましくない副作用の非存在下で、治療上有用な作用を発揮するのに十分な量でビヒクルに含まれる。治療有効濃度は、当業者によく知られているインビトロ系およびインビボ系で化合物を試験することにより経験的に予測し、次いでそこからヒトの投薬量(投与量)に外挿することができる。その後ヒト用量は典型的には臨床試験で微調整され、反応に応じて調整される。
【0083】
組成物中の活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収速度、不活性化速度および排泄速度、化合物の物理化学的特徴、投与計画ならびに投与される量のほか、当業者に公知の他の要因に応じて異なる。たとえば、送達される量は、本明細書に記載するような疾患もしくは障害の1つまたは複数の症状を軽減するのに十分である。
【0084】
いくつかの実施形態では、治療上有効な投薬量(投与量)は、活性成分の血清中濃度を約0.001ng/ml〜約1.0ng/ml、2〜10ng/ml、11〜50ng/ml、51〜200ng/mlまたは約200〜1000ng/mlとすべきである。組成物は、他の実施形態では、体重1キログラムあたり1日約0.0001mg〜約70mgの化合物の投薬量(投与量)を与えるべきである。投薬単位剤形は、1投薬単位剤形あたり約0.01mg、0.1mgまたは1mg〜約500mgまたは約1000mgの、いくつかの実施形態では約10mg〜約500mgの活性成分または本質的成分の組み合わせを与えるように調製される。
【0085】
活性成分は、1回で投与してもよいし、あるいは間隔をおいて投与されるいくつかのより低用量に分けてもよい。処置の正確な投薬量(投与量)および持続期間は、処置される疾患によって決まり、公知の試験プロトコルを用いて経験的にあるいはインビボもしくはインビトロ試験データまたはその後の臨床試験からの外挿により、決定され得ることが理解される。濃度および投薬量(投与量)の値はさらに、緩和される状態の重症度によっても異なることに留意されたい。任意の特定の被検体の場合、指定の投与レジメンは、個々の必要性と組成物を投与するまたは投与を監督する人の専門的判断とに従い経時的に調整されるべきであり、かつ本明細書に示された濃度範囲は例示にとどまり、特許請求された組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではないこともさらに理解されよう。
【0086】
化合物が不十分な溶解性を示す例では、リポソーム、プロドラッグ、錯体化/キレート化、ナノ粒子もしくはエマルジョンの使用または三次鋳型法(tertiary templating)などの化合物を可溶化させるための方法を使用してもよい。そうした方法は、当業者に公知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒の使用、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤もしくは表面改質剤の使用、シクロデキストリンなどの錯化剤またはイオン化の促進による溶解(すなわち、炭酸水素ナトリウム水への溶解)があるが、それらに限定されるものではない。効果的な組成物を製剤化する際には、化合物のプロドラッグなどの化合物の誘導体をさらに使用してもよい。
【0087】
化合物の混合または添加時に得られる混合物は、溶液でも、懸濁液でも、エマルジョンでもあるいは同種のものでもよい。得られる混合物の形態は、意図された投与モードおよび選択されたビヒクルに対する化合物の溶解性を含むいくつかの要因に依存する。有効濃度は、処置される疾患、障害または状態の症状を軽減するのに十分なものであり、経験的に決定することができる。
【0088】
組成物は、適応症に適した剤形で、たとえばドライパウダー吸入剤(DPI)、加圧式定量吸入剤(pMDI)、ネブライザー剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、舌下テープ/生分解性ストリップ、錠剤またはカプセル剤、散剤、顆粒剤、ロゼンジ剤、ローション剤、軟膏、坐剤、速溶剤、経皮パッチまたは他の経皮適用装置/調製物、滅菌の非経口溶液または懸濁液および経口溶液または懸濁液、ならびに好適な量の化合物またはその誘導体を含む油水エマルジョンで、ヒトおよび動物への投与用に提供される。治療活性化合物およびその誘導体は、いくつかの実施形態では、単位投薬形態または複数投薬形態で製剤化され、投与される。単位投与形態とは、本明細書で使用する場合、ヒトおよび動物被検体に好適であり、当該技術分野において公知のように個別包装された物理的に分離した単位をいう。各単位用量は、所望の治療効果を発揮するのに十分な所定量の治療活性化合物を、必要とされるビヒクルと共に含む。単位投与形態の例として、アンプルおよびシリンジ、ならびに個別包装された錠剤またはカプセル剤がある。単位投与形態は、分割して投与しても、あるいはその倍数で投与してもよい。複数投与形態は、分割された単位投与形態で投与される複数の同一の単位投薬形態が単一容器に包装されたものである。複数投与形態の例として、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のビン、またはパイントビンもしくはガロンビンがある。よって、複数投与形態は、包装の際に分割されない単位用量の倍数となる。
【0089】
液体組成物は、たとえば、上記で定義した活性化合物および任意選択の補助剤を、ビヒクル、たとえば、水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールおよび同種のものに、溶解、分散または他の方法で混合することで、溶液もしくは懸濁液、コロイド分散系、エマルジョンまたはリポソーム製剤を形成することにより調製してもよい。必要に応じて、投与される組成物は、微量の無毒の補助物質、たとえば湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤および同種のもの、たとえば、アセテート、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、酢酸トリエタノールアミンナトリウム、トリエタノールアミンオレエートおよび他のそうした作用物質をさらに含んでもよい。
【0090】
こうした剤形の実際の調製方法は、当業者に公知であるかあるいは明らかになる。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,15th Edition,1975またはその後の版を参照されたい。
【0091】
活性成分を0.005%〜100%の範囲で含み、残部がビヒクルまたはキャリアからなる剤形または組成物を調製してもよい。こうした組成物の調製のための方法は、当業者に公知である。企図された組成物は、活性成分を0.001%〜100%、一実施形態では0.1〜95%、別の実施形態では0.4〜10%含んでもよい。
【0092】
ある種の実施形態では、組成物は、当該技術分野において周知であり、たとえば、U.S.Pharmacopeia(USP)25−NF20(2002)に収載された賦形剤を含むラクトースフリー組成物である。一般に、ラクトースフリー組成物は、活性成分、バインダー/充填剤および滑沢剤を相溶量で含む。特定のラクトースフリー剤形は、活性成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0093】
さらに提供されるのは、水が一部の化合物の分解を促進し得るため、活性成分を含む無水組成物および剤形である。たとえば、製剤の有効期間または経時的安定性などの特性を判定するため、長期貯蔵をシミュレートする手段として水の添加(たとえば、5%)は、広く認められている。たとえば、Jens T.Carstensen,Drug Stability:Principles & Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,1995,pp.379−80を参照されたい。実際に、水および熱は、一部の化合物の分解を加速させる。したがって、製剤の製造、取り扱い、包装、貯蔵、輸送および使用のおりには一般に水分および/または湿度に遭遇するため、製剤に対する水の影響は非常に重要であり得る。
【0094】
本明細書において提供される無水組成物および剤形は、無水または低水分を含む成分、および低水分または低湿度条件を用いて調製することができる。
【0095】
無水組成物は、その無水性が維持されるように調製および貯蔵されるべきである。そのため、無水組成物は一般に、好適な処方キット(formulary kit)に入れてもよいように、水への曝露を防止することが知られている材料を用いて包装される。好適な包装の例として、密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(たとえば、バイアル)、ブリスターパックおよびストリップパックがあるが、それらに限定されるものではない。
【0096】
経口剤形は、固形、ゲルあるいは液体のいずれかである。固形剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤およびバルク散剤である。経口錠剤の種類として、腸溶コーティング、糖衣またはフィルムコーティングが施されていてもよい、圧縮したチュアブルロゼンジ剤および錠剤がある。カプセル剤は、硬質ゼラチンカプセル剤でもあるいは軟質ゼラチンカプセル剤でもよい一方、顆粒剤および散剤は、当業者に公知の他の成分を組み合わせて非発泡形態または発泡形態で提供され得る。
【0097】
ある種の実施形態では、製剤は、たとえば、カプセル剤または錠剤などの固形剤形である。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤および同種のものは、以下の成分または同様の性質の化合物:バインダー;滑沢剤;希釈薬;流動促進剤;崩壊剤;着色剤;甘味剤;着香剤;湿潤剤;腸溶コーティング剤;フィルムコーティング剤および放出調節剤の1つまたは複数を含んでもよい。バインダーの例として、微結晶性セルロース、メチルパラベン、ポリアルキレンオキシド、トラガントゴム、グルコース溶液、アラビアゴム液、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロースならびにデンプンおよびデンプン誘導体がある。滑沢剤として、タルク、デンプン、マグネシウム/ステアリン酸カルシウム、石松子およびステアリン酸がある。希釈薬として、たとえば、ラクトース、スクロース、トレハロース、リジン、ロイシン、レシチン、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよびリン酸二カルシウムがある。流動促進剤として、コロイド状二酸化ケイ素があるが、それに限定されるものではない。崩壊剤として、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトスターチ、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースがある。着色剤として、たとえば、承認された公認の水溶性FD & C色素のいずれか、その混合物;およびアルミナ水和物で懸濁した水不溶性FD & C色素、ならびに当業者に公知の高度着色または偽造防止色/乳白光添加剤がある。甘味剤として、スクロース、ラクトース、マンニトールおよび人工甘味剤、たとえばサッカリン、ならびに様々な噴霧乾燥香味料がある。着香剤として、植物、たとえば果実から抽出される天然香味料、および清涼感を与えるまたは不快な味を隠す化合物の合成ブレンド、以下に限定されるものではないが、ペパーミントおよびサリチル酸メチルがある。湿潤剤として、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルがある。腸溶コーティング剤として、脂肪酸、脂肪、ワックス、セラック、アンモニア化セラックおよびセルロースアセテートフタレートがある。フィルムコーティングとして、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール 4000およびセルロースアセテートフタレートがある。放出調節剤として、Eudragit(登録商標)シリーズおよびセルロースエステルなどのポリマーがある。
【0098】
本化合物またはその誘導体は、胃の酸性環境から本化合物またはその誘導体を保護する組成物に導入してもよい。たとえば、組成物は、胃内でその完全性を維持し、腸内で活性化合物を放出する腸溶コーティング中で製剤化してもよい。組成物はさらに、制酸薬または他のそうした成分と組み合わせて製剤化してもよい。
【0099】
投薬単位剤形は、カプセル剤である場合、上記のタイプの材料に加えて、脂肪油などの液体キャリアを含んでもよい。さらに、投薬単位剤形は、投薬単位の物理的形状を改変する様々な他の材料、たとえば、糖のコーティング剤および他の腸溶剤を含んでもよい。化合物はさらに、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハ剤、スプリンクル剤、チューインガム剤または同種のものの成分☆要素として投与してもよい。シロップ剤は、活性化合物に加えて、甘味剤および特定の防腐剤としてのスクロース、色素および着色料ならびに香味料を含んでもよい。
【0100】
活性材料はさらに、所望の作用を妨げない他の活性材料と、あるいは所望の作用を補う材料と混合してもよい。活性成分は、本明細書に記載するような化合物またはその誘導体である。約98重量%までの高濃度の活性成分が含有されてもよい。
【0101】
すべての実施形態において、錠剤およびカプセル剤の製剤は、活性成分の溶解性を改変または保持するため、当業者に知られているようにコーティングしてもよい。よって、たとえば、製剤は、従来の腸管で消化されるコーティング剤、たとえばサリチル酸フェニル、ワックスおよびセルロースアセテートフタレートでコーティングしてもよい。
【0102】
液体経口剤形として、水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡顆粒剤から用時調製された溶液および/または懸濁液、ならびに発泡顆粒剤から用時調製された発泡調製物がある。水溶液は、たとえば、エリキシル剤およびシロップ剤を含む。エマルジョンは、水中油型または油中水型のいずれかである。
【0103】
エリキシル剤は、透明で甘味のある含水アルコール調製物である。エリキシル剤に使用されるビヒクルは、溶媒を含む。シロップ剤は、糖、たとえば、スクロースの濃縮水溶液であり、防腐剤を含んでもよい。エマルジョンは、一方の液体が他方の液体全体に小球の形で分散される二相系である。エマルジョンに使用されるキャリアは、非水性液体、乳化剤および防腐剤である。懸濁剤は、懸濁化剤および防腐剤を使用する。液体経口剤形に用時調製される非発泡顆粒剤に使用するのに許容可能な物質、希釈薬、甘味料および湿潤剤を含む。液体経口剤形に用時調製される発泡顆粒剤に使用するのに許容可能な物質は、有機酸および二酸化炭素源を含む。着色剤および着香剤は、上記の剤形のすべてに使用される。
【0104】
溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップを含む。防腐剤の例として、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムならびにアルコールがある。エマルジョンに利用される非水性液体の例として、鉱油および綿実油がある。乳化剤の例として、ゼラチン、アカシア、トラガント、ベントナイトおよび界面活性剤、たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートがある。懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガント、Veegumおよびアカシアを含む。甘味剤は、スクロース、シロップ剤、グリセリンおよび人工甘味剤、たとえばサッカリンを含む。湿潤剤は、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。有機酸は、クエン酸および酒石酸を含む。二酸化炭素源は、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含む。着色剤は、承認された公認の水溶性FD & C色素のいずれか、およびその混合物がある。着香剤は、植物、たとえば果実から抽出される天然香味料、および好ましい味覚を与える化合物の合成ブレンドを含む。
【0105】
固形剤形の場合、いくつかの実施形態では、たとえば、プロピレンカーボネート、植物油またはトリグリセリドの溶液または懸濁液をゼラチンカプセルに封入する。そうした溶液とその調製および封入は、米国特許第4,328,245号明細書;同第4,409,239号明細書;および同第4,410,545号明細書に開示される。液体剤形の場合、たとえば、ポリエチレングリコールの溶液を投与の際に容易に測定される十分な量の液体ビヒクル、たとえば、水で希釈してもよい。
【0106】
あるいは、液体または半固形経口製剤は、活性化合物または塩を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(たとえば、プロピレンカーボネート)および他のそうしたキャリアに溶解または分散させ、これらの溶液または懸濁液を硬質または軟質ゼラチンカプセル殻に封入することにより調製してもよい。他の有用な製剤は、米国特許第RE28,819号明細書および同第4,358,603号明細書に示されるものを含む。簡単に説明すると、そうした製剤には、本明細書において提供される化合物、ジアルキル化されたモノ−またはポリアルキレングリコール、以下に限定されるものではないが、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(350、550および750は、ポリエチレングリコールのおよその平均分子量を指す)、ならびに1種または複数種の酸化防止剤、たとえばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、ケファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートを含むものがあるが、それらに限定されるものではない。
【0107】
他の製剤として、アセタールを含む水性アルコール溶液があるが、それに限定されるものではない。こうした製剤に使用されるアルコールは、1つまたは複数のヒドロキシル基を有する任意の水混和性溶媒、以下に限定されるものではないが、プロピレングリコールおよびエタノールである。アセタールには、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、たとえばアセトアルデヒドジエチルアセタールがあるが、それに限定されるものではない。
【0108】
皮下、筋肉内あるいは静脈内注射を特徴とするいくつかの実施形態では、非経口投与も本明細書において企図される。注射剤は、液体溶液または懸濁液として、注射前の溶液または懸濁液に好適な固体形態として、あるいはエマルジョンとして従来の形態で調製してもよい。注射剤、溶液およびエマルジョンは、1つまたは複数の賦形剤をさらに含む。好適な賦形剤は、たとえば、水、食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールである。さらに、必要に応じて、投与される組成物は、微量の無毒の補助物質、たとえば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤、ならびに他のそうした作用物質、たとえば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートおよびシクロデキストリンなどをさらに含んでもよい。
【0109】
本明細書では、一定レベルの投薬量が維持されるような徐放または持続放出システムの植え込み(たとえば、米国特許第3,710,795号明細書を参照されたい)もさらに企図される。簡単に説明すると、本明細書において提供される化合物は、体液に不溶性である外側のポリマー膜、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマーならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーに囲まれた内側の固体マトリックス、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールおよび部分的に加水分解された架橋ポリビニルアセテート中に分散される。化合物は、放出速度制御ペースで外側のポリマー膜を通過して拡散する。そうした非経口組成物に含まれる活性化合物の割合は、その特有の性質のほか、化合物の活性および被検体の必要に高度に依存する。
【0110】
組成物の非経口投与は、静脈内投与、皮下投与および筋肉内投与を含む。非経口投与用の調製物は、注射できる状態にある滅菌溶液、使用直前に溶媒とすぐに組み合わせることができる、皮下注射用錠剤を含む凍結乾燥粉末などの可溶性の滅菌乾燥製品、注射できる状態にある滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルとすぐに組み合わせることができる、不溶性の滅菌乾燥製品および滅菌エマルジョンを含む。溶液は、水性でもあるいは非水性でもよい。
【0111】
静脈内投与する場合、好適なキャリアは、生理食塩水またはリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、ならびに増粘剤および可溶化剤、たとえばグルコース、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールならびにそれらの混合物を含む溶液を含む。
【0112】
非経口調製物に使用されるビヒクルは、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝薬、酸化防止剤、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート化剤ならびに他の物質を含む。
【0113】
水性ビヒクルの例として、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、注射用滅菌水、デキストロースおよび乳酸リンゲル注射液がある。非水性非経口ビヒクルは、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油およびピーナッツ油を含む。多回投与容器に包装された非経口調製物には、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムを含む、静菌または静真菌濃度の抗菌剤を加えなければならない。等張剤は、塩化ナトリウムおよびデキストロースを含む。緩衝薬は、ホスフェートおよびシトレートを含む。酸化防止剤は重硫酸ナトリウムを含む。局所麻酔薬は塩酸プロカインを含む。懸濁化剤および分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む。乳化剤はポリソルベート80(Tween(登録商標)80)を含む。金属イオンの封鎖剤またはキレート化剤はEDTAを含む。キャリアはさらに、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;ならびにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸を含む。
【0114】
化合物の濃度は、注射が、所望の薬理効果を発揮する有効量を与えるように調整される。正確な用量は、当該技術分野において公知のように患者または動物の年齢、体重、体表面積および状態に依存する。
【0115】
単位用量の非経口調製物は、アンプル、バイアルまたは針付きシリンジに包装される。非経口投与用の調製物はすべて、当該技術分野において公知であり、実施されているように滅菌されなければならない。
【0116】
例示的には、活性化合物を含む滅菌水溶液の静脈内または動脈内注入が効果的な投与モードである。別の実施形態は、所望の薬理効果を発揮するため必要に応じて注射される活性材料を含む、水性もしくは油性の滅菌溶液または懸濁液である。
【0117】
注射剤は、局所および全身投与用に設計される。いくつかの実施形態では、治療上有効な投薬量(投与量)は、処置される組織に対して少なくとも約0.01%w/w〜約90%w/wまたはそれを超える濃度、ある種の実施形態では0.1%超w/wの濃度の活性化合物を含むように製剤化される。
【0118】
化合物は、微粒子または他の好適な形態で懸濁してもよいし、あるいはより溶解しやすい活性生成物を製造するためまたはプロドラッグを製造するため誘導体化してもよい。得られる混合物の形態は、意図される投与モードおよび選択されたキャリアまたはビヒクルに対する化合物の溶解性を含む、いくつかの要因に依存する。有効濃度は、状態の症状を軽減するのに十分なものであり、経験的に決定することができる。
【0119】
本明細書において提供される活性成分は、当業者によく知られている放出制御手段または送達装置により投与してもよい。例として、以下に限定されるものではないが、米国特許第3,845,770号明細書;同第3,916,899号明細書;同第3,536,809号明細書;同第3,598,123号明細書;同第4,008,719号明細書;同第5,674,533号明細書;同第5,059,595号明細書;同第5,591,767号明細書;同第5,120,548号明細書;同第5,073,543号明細書;同第5,639,476号明細書;同第5,354,556号明細書;同第5,639,480号明細書;同第5,733,566号明細書;同第5,739,108号明細書;同第5,891,474号明細書;同第5,922,356号明細書;同第5,972,891号明細書;同第5,980,945号明細書;同第5,993,855号明細書;同第6,045,830号明細書;同第6,087,324号明細書;同第6,113,943号明細書;同第6,197,350号明細書;同第6,248,363号明細書;同第6,264,970号明細書;同第6,267,981号明細書;同第6,376,461号明細書;同第6,419,961号明細書;同第6,589,548号明細書;同第6,613,358号明細書;同第6,699,500号明細書および同第6,740,634号明細書に記載されているものがある。そうした剤形は、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェアまたはそれらの組み合わせを、所望の放出プロファイルを得るため様々な割合で用いて、1つまたは複数の活性成分の徐放または放出制御を得るために使用してもよい。本明細書に記載のものを含め、本明細書において提供される活性成分との使用に好適な、当業者に公知の放出制御製剤は、容易に選択することができる。
【0120】
放出制御製品は、その非制御型の対応物により達成される薬物療法より薬物療法を改善させるという共通の目標を有する。理想的には、医学的処置における最適に設計された放出制御調製物の使用は、最小限の薬剤物質を利用して最短の時間で状態を治癒または制御することを特徴とする。放出制御製剤の利点は、薬剤の活性の長期化、投薬(投与量)頻度の減少および患者のコンプライアンスの向上を含む。さらに、放出制御製剤は、作用の発現時間または他の特徴、たとえば薬剤の血中レベルに影響を与えるのに使用してもよく、よって副(たとえば、有害)作用の発生に影響を与えることもできる。
【0121】
大部分の放出制御製剤は最初に、所望の治療効果を直ちに発揮する量の薬剤(活性成分)を放出し、このレベルの治療または予防効果を長時間にわたり維持するため違った量の薬剤を徐々にかつ持続的に放出するように設計される。体内でこの一定レベルの薬剤を維持するため、薬剤は、代謝されて体から排泄される薬剤の量を補充する速度で、剤形から放出されなければならない。活性成分の放出制御は、様々な条件、以下に限定されるものではないが、pH、温度、酵素、水もしくは他の生理的条件または化合物により刺激することができる。
【0122】
ある種の実施形態では、薬は、点滴静注、埋め込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソームまたは他の投与モードを用いて投与してもよい。いくつかの実施形態では、ポンプを使用してもよい(Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald et al.,Surgery 88:507(1980);Saudek et al.,N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照されたい)。他の実施形態では、高分子材料を使用してもよい。他の実施形態では、放出制御システムは、治療標的に近接して設置することができる、すなわち、そのため全身用量のごく一部しか必要としない(たとえば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,vol.2,pp.115−138(1984)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、放出制御装置は、不適切な免疫活性化の部位または腫瘍に近接して被検体に導入される。他の放出制御システムは、Langer(Science 249:1527−1533(1990))による概説に検討されている。活性成分は、体液に不溶性である外側のポリマー膜、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマーならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーに囲まれた内側の固体マトリックス、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールおよび部分的に加水分解された架橋ポリビニルアセテート中に分散し得る。その後活性成分は、放出速度制御ペースで外側のポリマー膜を通過して拡散する。そうした非経口組成物に含まれる活性成分の割合は、その特有の性質のほか、被検体の必要性に高度に依存する。
【0123】
さらに本明細書において関心が持たれるのは、溶液、エマルジョンおよび他の混合物として投与用に調製され得る凍結乾燥粉末である。凍結乾燥粉末はさらに、用時調製して、固体またはゲルとして製剤化してもよい。
【0124】
滅菌凍結乾燥粉末は、本明細書において提供される化合物またはその誘導体を、好適な溶媒に溶解させることにより調製される。溶媒は、安定性を向上させる賦形剤、または粉末もしくは粉末から調製される用時調製された溶液の他の薬理成分☆要素を含んでもよい。使用してもよい賦形剤は、以下に限定されるものではないが、酸化防止剤、緩衝薬および増量剤を含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースおよび他の好適な作用物質から選択される。溶媒は、緩衝薬、たとえばシトレート、リン酸ナトリウムもしくはカリウム、または当業者に公知の他のそうした緩衝薬をほぼ中性pHで含んでもよい。その後、当業者に公知の標準条件下で溶液のその後の滅菌化濾過に続き、凍結乾燥により、所望の製剤が得られる。いくつかの実施形態では、得られた溶液は、凍結乾燥のためバイアルに移される。各バイアルは、化合物の単回投薬量または複数投薬量を含む。凍結乾燥粉末は、約4℃〜室温までなど適切な条件下で保存することができる。
【0125】
この凍結乾燥粉末を注射用水で用時調製すると、非経口投与に使用される製剤が得られる。用時調製では、凍結乾燥粉末を滅菌水または他の好適なキャリアに加える。正確な量は選択される化合物に依存する。そうした量は、経験的に決定することができる。
【0126】
局所(topical)混合物は、記載されたように局所および全身投与用に調製される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンまたは同種のものでもよく、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、エマルジョン、溶液剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤、エアロゾル剤、灌注剤、スプレー剤、坐剤、包帯剤、経皮パッチ剤または局所(topical)投与に好適な他の任意の製剤として製剤化される。
【0127】
化合物またはその誘導体は、吸入などによる局所(topical)適用用のエアロゾル剤として製剤化してもよい(たとえば、炎症性疾患、特に喘息の処置に有用なステロイドの送達のためのエアロゾル剤について記載する米国特許第4,044,126号明細書、同第4,414,209号明細書および同第4,364,923号明細書を参照されたい)。気道への投与のためのこれらの製剤は、単独またはラクトースなどの不活性なキャリアと組み合わせて、ネブライザーのためのエアロゾルまたは溶液の形態でも、あるいは吹送用の超微粒粉末の形態でもよい。そうした場合には、いくつかの実施形態では、製剤の粒子は、5ミクロン未満、他の実施形態では10ミクロン未満の幾何学的中央径(mass median geometric diameter)を有する。
【0128】
吸入に好適な化合物または誘導体の経口吸入製剤は、定量吸入薬、ドライパウダー吸入薬、およびネブライザーまたは定量液体分配システムからの投与用の液体調製物を含む。定量吸入薬およびドライパウダー吸入薬のどちらの場合も、製品安定性を長くするには、化合物または誘導体の結晶形態が、薬剤の好ましい物理的形状である。
【0129】
化合物または誘導体の結晶粒子は、当業者に公知の微粉砕法に加えて、そうした吸入送達用の粒子の製造において1ステップで所望の大きさの吸収性粒子を製造することで大きな利点をもたらす超臨界流体処理を用いて、生成してもよい。(たとえば、国際公開第2005/025506号パンフレット)。微結晶用に制御される粒度は、化合物または誘導体のかなりの部分が肺内に確実に沈着するように選択してもよい。いくつかの実施形態では、これらの粒子は、約0.1〜約10ミクロン、他の実施形態では、約1〜約5ミクロン、なお他の実施形態、約1.2〜約3ミクロンの空気力学的質量中央径を有する。
【0130】
不活性で不燃性のHFAプロペラントは、HFA 134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)およびHFA 227e(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)から選択され、単独あるいは化合物または誘導体の結晶粒子の密度に適合する比率で提供される。比率はさらに、生成懸濁液が有害な沈降またはクリーム状のもの(不可逆的な凝集を誘発し得る)を回避し、むしろ振盪時に容易に分散する緩やかに凝集した系を確実に促すように選択される。緩やかに凝集した系は、pMDIキャニスターに最適な安定性が得られると十分に考えられる。製剤の特性により、本製剤は、エタノールおよび界面活性剤/安定化剤を含まなかった。
【0131】
本化合物は、局所または局所(topical)適用用に、たとえばゲル剤、クリーム剤およびローション剤の形態での、たとえば眼の表皮および粘膜などへの局所(topical)適用用に、さらに眼への適用用または大槽内もしくは脊髄内適用用に製剤化してもよい。局所(topical)投与は、経皮送達、さらに眼もしくは粘膜への投与、または吸入治療を企図している。さらに単独または他の賦形剤と組み合わせた活性化合物の点鼻液剤を投与してもよい。
【0132】
鼻腔投与では、調製物は、エアロゾル適用のための液体キャリア、特に、水性キャリアに溶解または懸濁したエステル化ホスホネート化合物を含んでもよい。キャリアは、可溶化剤もしくは懸濁化剤、たとえばプロピレングリコール、界面活性剤、吸収促進剤、たとえばレシチンもしくはシクロデキストリン、または防腐剤を含んでもよい。
【0133】
溶液剤、特に点眼使用を意図したものは、適切な塩を用いて0.01%〜10%等張液、pH約5〜7.4として製剤化してもよい。
【0134】
他の投与経路、たとえばイオントフォレーシス装置および電気泳動装置を含む経皮パッチ、および直腸投与も本明細書において企図される。
【0135】
イオントフォレーシス装置および電気泳動装置を含む経皮パッチは、当業者によく知られている。たとえば、そうしたパッチは、米国特許第6,267,983号明細書、同第6,261,595号明細書、同第6,256,533号明細書、同第6,167,301号明細書、同第6,024,975号明細書、同第6,010715号明細書、同第5,985,317号明細書、同第5,983,134号明細書、同第5,948,433号明細書および同第5,860,957号明細書に開示されている。
【0136】
たとえば、直腸投与用の剤形は、全身作用のための直腸坐剤、カプセル剤および錠剤である。直腸坐剤は、本明細書に使用される場合、体温で溶けるかまたは軟化し、1種または複数種の薬理学的または治療上の活性成分を放出する、直腸に挿入される固形物を意味する。直腸坐剤に利用される物質は、基剤またはビヒクル、および融点を上昇させるための作用物質である。基剤の例として、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)および脂肪酸のモノ、ジおよびトリグリセリドの適切な混合物がある。様々な基剤の組み合わせを使用してもよい。坐剤の融点を上昇させる作用物質は、鯨蝋およびワックスを含む。直腸坐剤は、圧縮法で調製してもあるいは成形で調製してもよい。直腸坐剤の重量は、一実施形態では、約2〜3gmである。直腸投与用の錠剤およびカプセル剤は、経口投与用の製剤の場合と同じ物質を用いて同じ方法により製造される。
【0137】
本明細書において提供される化合物またはその誘導体はさらに、処置される被検体の体の特定の組織、受容体または他の領域を標的とするように製剤化してもよい。多くのそうした標的化法が当業者によく知られている。そうした標的化法はすべて、本明細書において本組成物に使用されることが企図される。標的化法の非限定的な例については、たとえば、米国特許第6,316,652号明細書、同第6,274,552号明細書、同第6,271,359号明細書、同第6,253,872号明細書、同第6,139,865号明細書、同第6,131,570号明細書、同第6,120,751号明細書、同第6,071,495号明細書、同第6,060,082号明細書、同第6,048,736号明細書、同第6,039,975号明細書、同第6,004,534号明細書、同第5,985,307号明細書、同第5,972,366号明細書、同第5,900,252号明細書、同第5,840,674号明細書、同第5,759,542号明細書および同第5,709,874号明細書を参照されたい。
【0138】
いくつかの実施形態では、腫瘍標的化リポソームなどの組織標的化リポソームを含むリポソーム懸濁液も、キャリアとして好適であり得る。これらは、当業者に公知の方法に従い調製することができる。たとえば、リポソーム製剤は、米国特許第4,522,811号明細書に記載されているように調製してもよい。簡単に説明すると、多重膜ベシクル(MLV)などのリポソームは、フラスコ内でホスファチジルコリンおよびホスファチジルセリン(モル比7:3)を乾燥させることにより形成することができる。本明細書において提供される化合物を、二価カチオンを欠いたリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)に溶かした溶液を加え、脂質フィルムが分散するまでフラスコを振盪する。得られたベシクルを洗浄して未封入化合物を除去し、遠心分離によりペレット状にし、次いでPBSに再懸濁する。
【0139】
化合物または誘導体は、包装材料と、上掲の疾患または障害の1つまたは複数の症状の処置、予防または軽減に有効な本明細書において提供される、包装材料内の化合物またはその誘導体と、化合物もしくは組成物またはその誘導体が、上掲の疾患または障害の1つまたは複数の症状の処置、予防または軽減に使用されることを表示するラベルとを含む物品として包装してもよい。
【0140】
本明細書において提供される物品は、包装材料を含む。製品の包装に使用される包装材料は、当業者によく知られている。たとえば、米国特許第5,323,907号明細書、同第5,052,558号明細書および同第5,033,252号明細書を参照されたい。包装材料の例として、以下に限定されるものではないが、ブリスターパック、ビン、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ビン、ならびに選択された製剤と意図された投与モードおよび処置とに好適な任意の包装材料がある。本明細書に記載の任意の疾患または障害の種々の処置と同様に、本明細書において提供される化合物および組成物も多様な製剤が企図される。
【0141】
投薬量(投与量)
ヒトの治療では、予防的または治癒的処置に応じて、さらに年齢、体重、疾患のステージおよび処置される被検体に特有の他の要因に応じて、最も適切な投与レジメンを内科医が決定する。他の実施形態では、本組成物は、体重1キログラムあたり1日約0.0001mg〜約70mgの化合物の投薬量(投与量)を与えるべきである。投薬単位剤形は、1投薬単位剤形あたり約0.01mg、0.1mgまたは1mg〜約500mgまたは約1000mgの、いくつかの実施形態では約10mg〜約500mgの活性成分または本質的成分の組み合わせを与えるように調製される。
【0142】
障害もしくはその1つまたは複数の症状の予防または処置に有効である、本明細書において提供される製剤の活性成分の量は、疾患または状態の性質および重症度と、活性成分が投与される経路とによって異なる。頻度および投薬量(投与量)も、施される具体的な治療法(たとえば、治療剤または予防剤)、障害、疾患または状態の重症度、投与経路のほか、被検体の年齢、身体、体重、応答および過去の既往歴に応じた各被検体に特有の要因によって異なる。
【0143】
製剤の例示的用量として、被検体1キログラムあたりミリグラムまたはマイクログラム量の活性化合物(たとえば、1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約50ミリグラム、1キログラムあたり約10マイクログラム〜1キログラムあたり約30ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約10ミリグラム、または1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約5ミリグラム)がある。
【0144】
当業者には明らかなように、本明細書に開示された範囲外の活性成分の投薬量(投与量)が、場合によっては必要であることもある。さらに、臨床医または担当医師は、被検体の応答と共に治療をいつどのように中断、調整または中止するかが分かる点に留意されたい。
【0145】
当業者に容易に分かるように、異なる疾患および状態には異なった治療有効量が適用でき得る。同様に、そうした障害を予防、管理、処置または軽減するのに十分な量であるが、本明細書において提供される組成物に伴う有害作用を引き起こすのに不十分であるかあるいは本明細書において提供される組成物に伴う有害作用を減少させるのに十分な量も、上述の投薬量(投与量)の量および投与頻度のスケジュールに包含される。さらに、本明細書において提供される、複数投薬量(投与量)の組成物が被検体に投与される場合、投薬量(投与量)のすべてが必ずしも同じである必要はない。たとえば、被検体に投与される投薬量(投与量)は、組成物の予防または治療効果を高めるため増加させてもよいし、あるいは特定の被検体が呈している1つまたは複数の副作用を減らすため減少させてもよい。
【0146】
ある種の実施形態では、本明細書において提供される同じ製剤の投与を繰り返してもよく、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月または6ヶ月の間隔を開けてもよい。
【0147】
化合物および組成物の使用の方法
たとえば、片頭痛、ALS、アルツハイマー病、パーキンソン病、錐体外路障害、鬱病、悪心、嘔吐、下肢静止不能症候群、不眠、攻撃性、ハンチントン病、心肺疾患、線維化、肺動脈高血圧、不安、薬物嗜癖、ジストニア、睡眠時随伴症または高プロラクチン血症を含む疾患の1つまたは複数の症状を処置、予防または軽減する方法も、本明細書において提供される。本方法を実施する場合、上掲の本明細書に記載の治療有効量の化合物または組成物が投与される。
【0148】
さらに提供されるのは、本明細書に記載の化合物および組成物を用いて5−HT2B受容体、アドレナリンα1A、α1D、α2c、α2Aおよびα2B受容体ならびにDおよびD受容体を含む受容体を拮抗するための方法である。本方法を実施する場合、上掲の本明細書に記載の治療有効量の化合物または組成物が投与される。
【0149】
さらに提供されるのは、本明細書に記載の化合物および組成物を用いて5−HT1D、5−HT1A、5−HT1CおよびD受容体を作動させるための方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物を用いて5−HT1B受容体よりも5−HT1D受容体を選択的に作動させる方法が提供される。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は、5−HT1B受容体よりも5−HT1D受容体を約4:1の比率で選択的に作動させる。なお他の実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物は、5−HT1B受容体よりも5−HT1D受容体を約30:1の比率で選択的に作動させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物を用いて5−HT2A受容体よりも5−HT2C受容体を選択的に作動させる方法が提供される。
【0150】
5−HT1B受容体の強いアゴニズムは、多くの場合、過剰な血管収縮のため心血管系に対する有害作用を生じる。上記のような選択的アゴニズムが好ましい一方、さらに好ましいのは、片頭痛療法剤によるアドレナリン受容体、たとえば、α1A、α1D、α2A、α2Bおよびα2Cなどのアンタゴニズムが、強い5−HT1Bアゴニズムにより引き起こされるそうした血管収縮を減少させ得ることである。いくつかの実施形態では、本化合物および組成物は、5−HT1B受容体よりも5−HT1D受容体を選択的に作動させ、かつアドレナリンα1A受容体、アドレナリンα2A、受容体またはアドレナリンα2B受容体の1つまたは複数を拮抗させる。他の実施形態では、本化合物および組成物は、5−HT1Bまたは5−HT1D受容体の1つまたは複数を作動させ、かつアドレナリンα1A受容体、アドレナリンα2A、受容体またはアドレナリンα2B受容体の1つまたは複数を拮抗させる。
【0151】
5−HT2B受容体の強いアゴニズムは、多くの場合、心臓弁膜症などの望ましくない心血管合併症を生じる。そのため、5−HT2Bが活性化されない選択的アゴニズムは非常に望ましい。
【0152】
なお他の実施形態では、本明細書に記載の化合物および組成物を用いて、他のエルゴリン、たとえば、ジヒドロエルゴタミンなどによるドーパミン受容体のアゴニズムと比較して、ドーパミン受容体のアゴニズムを減少させる方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ドーパミン受容体はD受容体である。本方法を実施する場合、治療有効量の化合物または組成物が投与される。
【0153】
併用療法
本明細書に開示された化合物および組成物はさらに、1種または複数種の他の活性成分と併用して使用してもよい。ある種の実施形態では、化合物は、別の治療薬と併用して投与しても、あるいは連続して投与してもよい。そうした他の治療薬は、片頭痛、ALS、アルツハイマー病、パーキンソン病、錐体外路障害、鬱病、悪心、嘔吐、下肢静止不能症候群、不眠、攻撃性、ハンチントン病、心肺疾患、線維化、肺動脈高血圧、不安、薬物嗜癖、ジストニア、睡眠時随伴症または高プロラクチン血症と関連する1つまたは複数の症状の処置、予防または軽減で知られたものを含む。
【0154】
本明細書において提供される化合物および組成物の、1つまたは複数の上記の治療薬および任意選択的に1つまたは複数のさらなる薬理学的に活性な物質との任意の好適な併用は、本開示の範囲内であると考えられていることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される化合物および組成物は、1つまたは複数の追加の活性成分の前または後に投与される。
【0155】
さらに、本明細書において提供される化合物および組成物の任意の好適な併用は、上述の受容体を作動および拮抗させる他の作用物質と使用できることも理解すべきである。
【0156】
最後に、本発明を実施する代替の方法が存在することに留意されたい。そのため、本実施形態は例示であり、限定的でないと考えられるべきであり、本発明は、本明細書に示した詳細に限定されるべきものではないが、添付の特許請求の範囲およびその均等の範囲内で修正してもよい。
【0157】
本明細書に引用する刊行物および特許はすべてその全体を援用する。
【実施例】
【0158】
以下の例は、例示であり、限定的でないことを意図している。
【0159】
実施例1:2−シクロプロピルテルグリド(3−((6aR,9S,10aR)−5−シクロプロピル−7−メチル−4,6,6a,7,8,9,10,10a−オクタヒドロインドロ[4,3−fg]キノリン−9−イル)−1,1−ジエチル尿素)の合成
【化29】
1,2−ジメトキシエタン(6mL/mmol)と水(1.5mL/mmol)との混合物にアルゴンを流し、次いで2−ブロモテルグリド(160mg、0.38mmol)と、シクロプロピルボロン酸(1.5eq.)と、KPO(3.7eq.)との混合物を加えた。混合物にアルゴンを10分間流し、次いでPd(dppf)CI(0.01eq.)を加え、得られた混合物を90℃で一晩撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(2mL/mmol)および水(2mL/mmol)で希釈した。混合物を濾過し、次いで層を分離した。有機相をブライン(10mL/mmol)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させ、濾過して濃縮した。この粗生成物を分取HPLCにより精製して2−シクロプロピルテルグリド(28mg、19%の収率)を得た。APCI MS、m/z 381[M+H]、HPLC−MS(220nm)83%(AUC)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ 0.74−0.84(2H,m);0.87−0.97(2H,m);1.04(6H,t,J=6.9Hz);1.38−1.54(1H,m);1.92−2.08(2H,m);2.29−2.45(4H,m);2.53−2.65(1H,m);2.78−3.0(2H,m);3.1−3.3(4H,m);3.95−4.05(1H,m);5.55(1H,d,J=6.6Hz);6.64−6.9(1H,d,J=6.9Hz);6.84−7.00(2H,m);10.25(1H,s).
【0160】
実施例2:2−ブロモメチセルギドの合成
【化30】
ブロモトリメチルシラン(6eq.)を乾燥DMSO(20mL/mmol)に溶解させ、溶液を室温で15分間撹拌した。次いでマレイン酸メチセルギド(1eq.)を加え、この混合物を室温で10分間撹拌した。混合物を氷水(100mL/mmol)に注ぎ、pHをアンモニア水で8〜9に調整し、DCMで抽出した(3×20mL/mmol)。合わせた有機相をNa水(2×10mL/mmol)およびブライン(2×10mL/mmol)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させ、濾過して濃縮した。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM:MeOH、0〜10%)により精製して2−ブロモメチセルギドを得た。
【0161】
実施例3:2−シクロプロピルメチセルギド(6aR,9R)−5−シクロプロピル−N−((S)−1−ヒドロキシブタン−2−イル)−4,7−ジメチル−4,6,6a,7,8,9−ヘキサヒドロインドロ[4,3−fg]キノリン−9−カルボキサミド)の合成
【化31】
実施例1の手順を用いて2−ブロモメチセルギド(360mg、0.83mmol)から2−シクロプロピルメチセルギド(25mg、7.6%の収率)を合成した。APCI MS、m/z 394[M+H]、HPLC−MS(220nm)92%(AUC)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ 0.56−0.65(1H,m);0.76−0.88(4H,m);0.95−1.3(2H,m);1.26−1.41(1H,m);1.46−1.63(1H,m);1.85−1.96(1H,m);2.49(3H,s);2.55−2.65(1H,m);2.96−3.08(3H,m);3.13−3.23(1H,m);3.28−3.37(1H,m);3.45(1H,dd,J=5.5Hz,J=14.9Hz);3.53−3.65(1H,m);3.74(3H,s);4.58(1H,t,J=5.5Hz);6.42(1H,d,J=4.3Hz);7.00−7.08(2H,m);7.13−7.21(1H,m);7.84(1H,d,J=8.4Hz).
【0162】
実施例4:2−ブロモジヒドロメチセルギドの合成
【化32】
実施例2の手順を用いてジヒドロメチセルギドから2−ブロモジヒドロメチセルギドを合成した。
【0163】
実施例5:2−シクロプロピルジヒドロメチセルギド(6aR,9R)−5−シクロプロピル−N−((S)−1−ヒドロキシブタン−2−イル)−4,7−ジメチル−4,6,6a,7,8,9−ヘキサヒドロインドロ[4,3−fg]キノリン−9−カルボキサミド)の合成
【化33】
実施例1の手順に従い2−ブロモメチセルギド(385mg、0.89mmol)から2−シクロプロピルジヒドロメチセルギド(105mg、30%の収率)を合成した。APCI MS、m/z 396[M+H]、HPLC−MS(220nm)99%(AUC)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ 0.49−0.58(1H,m);0.84(4H,t,J=7.6Hz);0.93−1.01(2H,m);1.25−1.49(2H,m);1.51−1.66(1H,m);1.82−2.02(2H,m);2.13−2.3(1H,m);2.37(3H,s);2.41−2.47(1H,m);2.56−2.78(3H,m);2.88−3.02(1H,m);3.23−3.29(1H,m);3.34−3.43(1H,m);3.57−3.69(1H,m);3.73(3H,s);4.61(1H,t,J=5.6Hz);6.76(1H,d,J=7.2Hz);7.01(1H,t,J=7.9Hz);7.11(1H,d,J=8.3Hz);7.58(1H,d,J=7.2Hz).
【0164】
実施例6:10−メトキシヒドロメチセルギド((6aR,9R,10aS)−N−((S)−1−ヒドロキシブタン−2−イル)−10a−メトキシ−4,7−ジメチル−4,6,6a,7,8,9,10,10a−オクタヒドロインドロ[4,3−fg]キノリン−9−カルボキサミド)の合成
【化34】
マレイン酸メチセルギド(200mg、0.43mmol)をMeOH(11mL/mmol)とcc.HSO(0.35mL/mmol)との混合物に−20℃で溶解させた。この溶液に窒素雰囲気下で水銀ランプを用いてUV反応器にて2時間−20℃で照射した。この反応混合物を水(20mL/mmol)で希釈し、pHを1M NaOH水で9〜10に調整した。この水溶液をDCMで抽出した(3×10mL/mmol)。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過して濃縮した。この粗生成物を分取HPLCにより精製して10−メトキシジヒドロメチセルギド(20mg、12%の収率)を得た。APCI MS、m/z 386[M+H]、HPLC−MS(220nm)91%(AUC)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ 0.83(3H,t,J=7.9Hz);1.24−1.38(1H,m);1.47−1.64(2H,m);2.14−2.24(2H,m);2.31(3H,s);2.7−2.78(1H,m);2.81(3H,s);2.84−3.06(3H,m);3.23−3.3(1H,m);3.34−3.43(1H,m);3.58−3.68(1H,m);3.74(3H,s);4.61(1H,t;J=5.5Hz);6.99(1H,d,J=8.0Hz);7.11(1H,d,J=8.0Hz);7.3(1H,d,J=8.0Hz);7.65(1H,d,J=8.6Hz).
【0165】
実施例7:10−メトキシヒドロメチルエルゴメトリン((6aR,9R,10aS)−N−((S)−1−ヒドロキシブタン−2−イル)−10a−メトキシ−4,7−ジメチル−4,6,6a,7,8,9,10,10a−オクタヒドロインドロ[4,3−fg]キノリン−9−カルボキサミド)の合成
【化35】
実施例6の手順に従いメチルエルゴメトリン(100mg、0.29mmol)から10−メトキシヒドロメチルエルゴメトリン(41mg、12%の収率)を合成した。APCI MS、m/z 372[M+H]、HPLC−MS(220nm)92%(AUC)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ 0.84(3H,t,J=7.5Hz);1.2−1.36(1H,m);1.47−1.65(2H,m);2.14−2.24(2H,m);2.31(3H,s);2.71−2.79(1H,m);2.82(3H,s);2.86−3.07(3H,m);3.24−3.3(1H,m);3.35−3.43(1H,m);3.57−3.69(1H,m);3.74(3H,s);4.62(1H,m);6.93−7.09(3H,m);7.25(1H,d,J=8.2Hz);7.64(1H,d,J=8.1Hz);10.7(1H,s).