特許第6856533号(P6856533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6856533液体処理カートリッジ、液体処理システム、および液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部に配置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6856533
(24)【登録日】2021年3月22日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】液体処理カートリッジ、液体処理システム、および液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部に配置する方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20210329BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   C02F1/28 G
   C02F1/42 A
【請求項の数】48
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-539235(P2017-539235)
(86)(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公表番号】特表2018-508345(P2018-508345A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2016051361
(87)【国際公開番号】WO2016120173
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2018年10月22日
(31)【優先権主張番号】15152525.0
(32)【優先日】2015年1月26日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】15171877.2
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599055784
【氏名又は名称】ブリタ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】シュラー、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ホザー、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ジーヒナー、エイク
(72)【発明者】
【氏名】ホーン、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ブランク、マリオ
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/034735(WO,A1)
【文献】 特表2009−521123(JP,A)
【文献】 特表2008−500157(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01510503(EP,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02230436(CA,A1)
【文献】 特表2012−515077(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0277327(US,A1)
【文献】 米国特許第04519263(US,A)
【文献】 特開平10−076253(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02583731(EP,A1)
【文献】 特表2012−523259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部分をカートリッジ据え付け部へと該カートリッジ据え付け部の口を通って挿入することができるハウジングを備えている液体処理カートリッジであって、
前記ハウジングは、該ハウジングの少なくとも一部分の前記カートリッジ据え付け部への意図される挿入の方向に対応する軸(23)を有し、
前記カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関して前記ハウジングの軸方向前部は、案内溝(37)と、当該液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部へと挿入する際に前記案内溝(37)に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部(16)の組と、からなる少なくとも1つのペアに関し、各ペアのそれぞれの部材を備える側壁(35)を有し、前記カートリッジ据え付け部は、前記口から延びる側壁を有し、該側壁が、該口に対して軸方向に距離を置いた各ペアの他方の部材を備えており、
前記ハウジングは、前記側壁(35)に設けられた前記少なくとも1つのペアの前記部材から軸方向に或る距離だけ離れた位置に、周状のシールリム(29)を備え、
前記シールリム(29)は、前記ハウジングの残りの部分から外側へと突出する部位(39)と、該外側へと突出する部位(39)の軸方向前側から軸方向に突出するさらなる部位(40)とを備え、
前記さらなる部位(40)は、前記カートリッジ据え付け部のシール面(11)に順応するために、前記カートリッジ据え付け部の前記シール面(11)との接触の際に内側に撓み、
前記シールリム(29)の少なくとも前記さらなる部位(40)の外向き表面は、単面である、液体処理カートリッジにおいて、
前記外向き表面は、前記さらなる部位(40)を突出させている前記外側へと突出する部位(39)に対して遠位の該外向き表面の縁に向かうにつれて外側へと広がるように、前記軸(23)に対して傾けられている、ことを特徴とする液体処理カートリッジ。
【請求項2】
前記さらなる部位(40)は、該さらなる部位(40)の前記外向き表面が前記外側へと突出する部位(39)の端面へと推移するように、前記外側へと突出する部位(39)の外縁に設けられている、請求項1に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項3】
前記シールリム(29)の外向き表面(43)は、単面である、請求項1または2に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項4】
前記シールリム(29)は、直立リッジを形成するように前記カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関して前記外側へと突出する部位(39)の軸方向後ろ側から突出する部位(42)を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項5】
前記外側へと突出する部位(39)は、第1のハウジング部品(21)のフランジを形成しており、
前記ハウジングは、フランジ(25)が設けられた第2のハウジング部品(22)を備え、該第2のハウジング部品(22)は、前記フランジ(25)において前記第1のハウジング部品(21)に結合する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項6】
前記さらなる部位(40)の内向き表面(44)は、前記さらなる部位(40)を突出させている部位(39)に対して遠位の縁に、該遠位の縁に向かうにつれて外側へと広がるように前記軸(23)に対して傾けられた部位を少なくとも有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項7】
前記ハウジングの少なくとも前記軸方向前部は、前記軸(23)に垂直な断面の平面において細長い形状の断面を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項8】
前記細長い形状の幅が狭い端部における前記ハウジングの側面のうちの少なくとも1つに、前記ペアのうちの少なくとも1つのペアの前記部材が設けられている、請求項7に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項9】
前記側壁(35)には、膨出部(36)が、前記ハウジングの少なくとも1つの長い方の側面に設けられている、請求項7または8に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記ペアのうちの少なくとも1つのペアの前記案内溝(37a〜37d)を備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項11】
前記案内溝(37a〜37d)は、前記側壁(35)のくぼみとして形成されている、請求項10に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項12】
積み重ねリブが、前記側壁(35)の内面に設けられ、該積み重ねリブは、前記カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関して前記側壁(35)の軸方向後端に向かって軸方向に延び、前記くぼみに整列している、請求項11に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項13】
前記軸(23)を通って前記側壁(35)を含むハウジング部品(21)を2つの半分に切断する平面が、対向する場所において前記側壁(35)と交わり、
前記ペアのうちの第1のペアの部材が、前記場所のうちの1つに対して前記平面の一方側にずらされた位置に設けられ、前記ペアのうちの第2のペアの部材が、前記場所のうちの1つに対して前記平面の反対側にずらされた位置に設けられている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項14】
前記ペアのうちの前記第1のペアの前記部材が、前記場所のうちの第1の場所に対してずらされた位置に設けられ、前記ペアのうちの前記第2のペアの前記部材が、前記場所のうちの第2の場所に対してずらされた位置に設けられている、請求項13に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項15】
前記側壁(35)は、前記ペアのうちの第3のペアおよび第4のペアのそれぞれの部材を備え、
前記第3のペアの前記部材は、前記第1のペアの前記部材に対して対称に配置され、前記第4のペアの前記部材は、前記第2のペアの前記部材に対して対称に配置され、前記平面が対称面を形成している、請求項14に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項16】
前記ハウジングの軸方向前端の壁(30)が、該壁(30)の外面の周囲部分に対する凹部を形成するくぼみ(31)を備えている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記凹部へと軸方向に突出する突出部(33)を備えている、請求項16に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項18】
前記ハウジングは、前記カートリッジ据え付け部へと挿入されたときに該据え付け部に係合して当該カートリッジに軸方向の保持力を作用させる前記シールリム(29)以外の部分を備える、請求項1〜17のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項19】
前記軸方向の保持力を作用させる部分は、当該カートリッジの軸(23)または当該カートリッジの軸(23)に平行な軸に中心を有し、
前記シールリム(29)は、前記カートリッジの軸(23)および前記カートリッジの軸(23)に平行な軸のうち、前記軸方向の保持力を作用させる前記部分の中心が位置する軸に中心を有する、請求項18に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項20】
前記ハウジングの軸方向前端の壁(30)が、該壁(30)の外面の周囲部分に対する凹部を形成するくぼみ(31)を備え、
前記ハウジングは、前記凹部へと軸方向に突出する突出部(33)を備え、
前記突出部(33)は、中空であり、前記カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関して軸方向前端において開いており、内面に少なくとも1つの突起部(34)を備えている、請求項18または19に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項21】
液体処理カートリッジ(9)のハウジングのためのハウジング部品であって、
容器状であり、側壁(35)を有しており、
カートリッジ据え付け部への当該ハウジング部品の少なくとも一部分の挿入の方向に対応する軸(23)を有しており、
前記軸(23)に垂直な断面の平面において細長い形状を有している、ハウジング部品において、
前記細長い形状の幅が狭い端部における当該ハウジング部品の少なくとも1つの側面が、案内溝(37)と、前記液体処理カートリッジのハウジングの少なくとも一部分を前記カートリッジ据え付け部へと挿入する際に前記案内溝(37)に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部(16)の組と、からなる少なくとも1つのペアに関し、各ペアのうちのそれぞれの外側からアクセス可能な部材を備えるとともに、前記側壁(35)のうちの前記外側からアクセス可能な部材とは反対側の内面に、ハウジング部品同士が積み重ねられるときに対応する形状を有するさらなるハウジング部品の前記外側からアクセス可能な部材と係合する部分(38a〜38d)を備える、ことを特徴とするハウジング部品。
【請求項22】
前記細長い形状は、2回回転対称であり、
それぞれの部材の各々について、別のペアの同じ形状の対応する部材が、前記側壁(35)の周囲の2分の1だけ離れた位置に設けられている、請求項21に記載のハウジング部品。
【請求項23】
前記ペアのうちの少なくとも2つのペアの外側からアクセス可能な部材および前記側壁(35)の内面の反対側部分が、前記細長い形状の幅が狭い端部に対応する当該ハウジング部品の少なくとも1つの側面に設けられている、請求項21または22に記載のハウジング部品。
【請求項24】
前記内面の部分(38a〜38d)は、前記側壁(35)の反対側の面に位置する前記外側からアクセス可能な部材に対して軸方向にずらされた部分を含んでいる、請求項21〜23のいずれか一項に記載のハウジング部品。
【請求項25】
前記側壁(35)には、膨出部(36)が、当該ハウジング部品の少なくとも1つの長い方の側面に設けられている、請求項21〜24のいずれか一項に記載のハウジング部品。
【請求項26】
前記ペアのうちの少なくとも1つのペアの前記外側からアクセス可能な部材は、前記案内溝(37)である、請求項21〜25のいずれか一項に記載のハウジング部品。
【請求項27】
前記案内溝(37)は、前記側壁(35)のくぼみとして形成されている、請求項26に記載のハウジング部品。
【請求項28】
当該ハウジング部品の軸方向前端の壁(30)が、該壁(30)の外面の周囲部分に対する凹部を形成するくぼみ(31)を備えている、請求項21〜27のいずれか一項に記載のハウジング部品。
【請求項29】
当該ハウジング部品は、前記凹部へと軸方向に突出する突出部(33)を備えている、請求項28に記載のハウジング部品。
【請求項30】
前記突出部(33)は、中空であり、前記カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関して軸方向前端において開いており、内面に少なくとも1つの突起部(34)を備えている中空部分である、請求項29に記載のハウジング部品。
【請求項31】
請求項21〜30のいずれか一項に記載のハウジング部品を備えるハウジングを備えている液体処理カートリッジ。
【請求項32】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジ(9)の特徴を有する、請求項31に記載の液体処理カートリッジ。
【請求項33】
液体処理システムであって、
交換可能な液体処理カートリッジ(9)と、
当該液体処理システムの上流部分を下流部分から隔てる障壁(2)と
を備えており、
前記障壁は、前記液体処理カートリッジ(9)を受け入れるためのカートリッジ据え付け部を備え、
前記液体処理カートリッジ(9)は、ハウジングを備え、該ハウジングは、該ハウジングの少なくとも一部分の前記カートリッジ据え付け部への意図される挿入の方向に対応する軸(23)を有し、
当該液体処理システムは、案内溝(37)と、前記液体処理カートリッジの前記ハウジングの少なくとも一部分を前記カートリッジ据え付け部へと挿入する際に前記案内溝(37)に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部(16)の組と、からなる少なくとも1つのペアを備え、
前記カートリッジ据え付け部が、各ペアの一方の部材を備え、前記液体処理カートリッジ(9)の前記カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関し前記ハウジングの軸方向前部が、他方の部材を備える側壁(35)を有し、
前記液体処理カートリッジ(9)の前記ハウジングは、前記側壁(35)に設けられた前記少なくとも1つのペアの前記部材から軸方向に或る距離だけ離れた位置に、周状のシールリム(29)を備え、
前記カートリッジ据え付け部は、前記シールリム(29)に密着することによって前記シールリム(29)と協働するためのカートリッジ据え付け部の軸(8)の周囲において閉じたシール面(11)を備えている、液体処理システムにおいて、
前記ペアの前記部材は、前記シールリム(29)が前記カートリッジの軸(23)および前記カートリッジ据え付け部の軸(8)を整列させることを回避するように、前記シールリムが前記シール面に係合する前に、前記液体処理カートリッジの少なくとも一部が前記カートリッジ据え付け部に挿入されると、前記カートリッジ据え付け部の軸(8)を前記液体処理カートリッジ(9)の前記ハウジングの軸(23)と整列させるように構成されている、ことを特徴とする液体処理システム。
【請求項34】
前記カートリッジ据え付け部が、前記ペアのうちの少なくとも1つのペアの前記少なくとも1つの突出部(16a〜16d)の組を備える、請求項33に記載の液体処理システム。
【請求項35】
前記ペアのうちの少なくとも1つのペアの前記少なくとも1つの突出部(16a〜16d)の組は、軸方向に延びるリブを備えている、請求項33または34に記載の液体処理システム。
【請求項36】
前記カートリッジ据え付け部は、前記カートリッジのハウジングの少なくとも一部分を該カートリッジ据え付け部へと挿入することができる口と、該口から延びる側壁(10)とを備え、
前記側壁(10)が、前記口に対して軸方向に距離を置いて前記カートリッジ据え付け部に設けられる前記ペアの前記部材を備える、請求項33〜35のいずれか一項に記載の液体処理システム。
【請求項37】
前記カートリッジ据え付け部は、該カートリッジ据え付け部へと挿入された前記カートリッジのハウジングの前記一部分を受け入れるためのカートリッジ据え付け室を備え、
前記側壁(10)は、前記カートリッジ据え付け室の側壁(10)であり、前記カートリッジ据え付け室の前記口とは反対側の軸端壁(12)に隣接する、請求項36に記載の液体処理システム。
【請求項38】
前記カートリッジ据え付け部は、前記カートリッジ据え付け室から出る液体の流れを少なくとも制限するための弁(17、18)を備え、該弁(17、18)を、前記液体処理カートリッジ(9)の前記カートリッジ据え付け部への挿入時に液体の流れを増加させるように前記液体処理カートリッジ(9)によって操作することができる、請求項37に記載の液体処理システム。
【請求項39】
前記カートリッジ据え付け部は、前記軸端壁(12)の周囲部分と比べて前記カートリッジ据え付け室内に突出した中空部(13)を備え、
前記軸端壁(12)を通る液体のための流路が、前記中空部(13)内に設けられている、請求項37または38に記載の液体処理システム。
【請求項40】
前記中空部(13)は、前記軸端壁(12)の前記周囲部分から遠位の端部に、前記カートリッジのハウジングの突出部(33)を受け入れるための開口部を有し、前記突出部(33)と前記突出した中空部(13)との間に液体のための少なくとも1つの流路が画定される、請求項39に記載の液体処理システム。
【請求項41】
前記カートリッジ据え付け部は、前記カートリッジのハウジングの少なくとも一部分を該カートリッジ据え付け部へと挿入することができる口を備え、
該口は、細長い形状を有している、請求項33〜40のいずれか一項に記載の液体処理システム。
【請求項42】
前記カートリッジ据え付け部に設けられる前記ペアの前記部材(16a〜16d)は、前記細長い形状の幅が狭い端部における前記カートリッジ据え付け部の側面のうちの少なくとも1つに設けられている、請求項41に記載の液体処理システム。
【請求項43】
前記幅が狭い端部における前記カートリッジ据え付け部の側面のうちの少なくとも1つに、前記ペアのうちの少なくとも2つのペアの前記部材が設けられている、請求項42に記載の液体処理システム。
【請求項44】
前記障壁(2)は、処理対象の液体のリザーバを備える、請求項33〜43のいずれか一項に記載の液体処理システム。
【請求項45】
処理後の液体を集めるための容器(1)を備えており、
前記障壁(2)は、前記容器(1)内にぶら下がるように配置される、請求項33〜44のいずれか一項に記載の液体処理システム。
【請求項46】
前記液体処理カートリッジ(9)は、請求項1〜20のいずれか一項に記載の液体処理カートリッジの特徴を有する液体処理カートリッジである、請求項33〜45のいずれか一項に記載の液体処理システム。
【請求項47】
液体処理カートリッジ(9)をカートリッジ据え付け部に配置する方法であって、
前記液体処理カートリッジ(9)は、ハウジングを備え、該ハウジングは、該ハウジングの少なくとも一部分の前記カートリッジ据え付け部への意図される挿入の方向に対応する軸(23)を有し、
前記液体処理カートリッジ(9)および前記カートリッジ据え付け部は、案内溝(37)と、前記液体処理カートリッジの前記ハウジングの少なくとも一部分を前記カートリッジ据え付け部へと挿入する際に前記案内溝(37)に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部(16)の組と、からなる少なくとも1つのペアを備える液体処理システムに含まれ、
前記カートリッジ据え付け部が、各ペアの一方の部材を備え、前記液体処理カートリッジ(9)の前記カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関して前記ハウジングの軸方向前部が、他方の部材を備える側壁(35)を有し、
前記液体処理カートリッジ(9)の前記ハウジングは、前記側壁(35)に設けられた前記少なくとも1つのペアの前記部材から軸方向に或る距離だけ離れた位置に、周状のシールリム(29)を備え、
前記カートリッジ据え付け部は、前記シールリム(29)に密着することによって前記シールリム(29)と協働するためのカートリッジ据え付け部の軸(8)の周囲において閉じたシール面(11)を備えている、方法において、
前記カートリッジの軸(23)および前記カートリッジ据え付け部の軸(8)を整列させるために、前記シールリム(29)の代わりに、案内溝(37)と該案内溝(37)に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部(16)の組とからなる前記ペアを使用すること、を特徴とする方法。
【請求項48】
前記液体処理システムは、請求項33〜46のいずれか一項に記載の液体処理システムである、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一部分をカートリッジ据え付け部へと該カートリッジ据え付け部の口を通って挿入することができるハウジングを備えている液体処理カートリッジであって、
ハウジングは、該ハウジングの少なくとも一部分のカートリッジ据え付け部への意図される挿入の方向に対応する軸を有し、
ハウジングの軸方向前部は、案内溝と、当該液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部へと挿入する際に案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組と、からなる少なくとも1つのペアに関し、各ペアのそれぞれの部材を備える側壁を有し、カートリッジ据え付け部は、主として軸方向に延びる側壁を有し、該側壁が、各ペアの他方の部材を備えており、
ハウジングは、側壁に設けられた少なくとも1つのペアの部材から軸方向に或る距離だけ離れた位置に、周状のシールリムを備え、
シールリムは、ハウジングの残りの部分から外側へと突出する部位と、該外側へと突出する部位の軸方向前側から主として軸方向に突出するさらなる部位とを備え、
シールリムの少なくともさらなる部位の外向き表面は、単面(unifacial)である、液体処理カートリッジに関する。
【0002】
また、本発明は、液体処理カートリッジのハウジングのためのハウジング部品であって、
容器状であり、側壁を有しており、
カートリッジ据え付け部への当該ハウジング部品の少なくとも一部分の挿入の方向に対応する軸を有しており、
軸に垂直な断面の平面において細長い形状を有している、ハウジング部品に関する。
【0003】
また、本発明は、液体処理システムに関し、
当該液体処理システムは、
交換可能な液体処理カートリッジと、
当該液体処理システムの上流部分を下流部分から隔てる障壁と
を備えており、
障壁は、液体処理カートリッジを受け入れるためのカートリッジ据え付け部を備え、
液体処理カートリッジは、ハウジングを備え、該ハウジングは、該ハウジングの少なくとも一部分のカートリッジ据え付け部への意図される挿入の方向に対応する軸を有し、
当該液体処理システムは、案内溝と、液体処理カートリッジのハウジングの少なくとも一部分をカートリッジ据え付け部へと挿入する際に案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組と、からなる少なくとも1つのペアを備え、
カートリッジ据え付け部が、各ペアの一方の部材を備え、液体処理カートリッジのハウジングの軸方向前部が、他方の部材を備える側壁を有し、
液体処理カートリッジのハウジングは、側壁に設けられた少なくとも1つのペアの部材から軸方向に或る距離だけ離れた位置に、周状のシールリムを備え、
カートリッジ据え付け部は、シールリムと協働するためのカートリッジ据え付け部の軸の周囲において閉じたシール面を備える。
【0004】
また、本発明は、液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部に配置する方法であって、
液体処理カートリッジは、ハウジングを備え、該ハウジングは、該ハウジングの少なくとも一部分のカートリッジ据え付け部への意図される挿入の方向に対応する軸を有し、
液体処理システムが、案内溝と、液体処理カートリッジのハウジングの少なくとも一部分をカートリッジ据え付け部へと挿入する際に案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組と、からなる少なくとも1つのペアを備え、
カートリッジ据え付け部が、各ペアの一方の部材を備え、液体処理カートリッジのハウジングの軸方向前部が、他方の部材を備える側壁を有し、
液体処理カートリッジのハウジングは、側壁に設けられた少なくとも1つのペアの部材から軸方向に或る距離だけ離れた位置に、周状のシールリムを備え、
カートリッジ据え付け部は、シールリムと協働するためのカートリッジ据え付け部の軸の周囲において閉じたシール面を備えている、方法に関する。
【背景技術】
【0005】
重力駆動式の水フィルタジャグ(jug)のための液体処理カートリッジが、http://www.tesco.com/direct/tesco−water−filter−cartridge−single/320−4151.prd?pageLevel=&skuId=320−4151(2015年4月13日にアクセス)においてオンライン販売に供されている。そのようなカートリッジが、図1に示される。このカートリッジは、いわゆるBRITAクラシックカートリッジに適合するカートリッジ据え付け部を有しているじょうごまたはホッパを備えたジャグに使用される。これらの据え付け部は、わずかに円錐形の側壁を有し、そこからブレード状の障害物が、径方向内側へと突き出ている。図1に示されるように、カートリッジは、その側壁に4つの凹部を有し、そのうちのいずれか1つは、その長さの少なくとも一部にわたってブレードを受け入れ、ブレード状の障害物に触れることなくカートリッジをカートリッジ据え付け部へと充分に遠くまで挿入することを可能にすることができる。4つの溝は、カートリッジの下端付近において幅および深さがより大きく、反対側の端部に向かうにつれて先細りになっている。4つの溝は、ブレード状の障害物の形状に一致せず、したがってカートリッジの挿入時にカートリッジを案内する役割を果たすことがない。カートリッジは、図1の詳細な断面図に示されるシールリムを有する。見て取ることができるとおり、シールリムは、カートリッジハウジングの直立した物体軸(図示せず)に対して径方向に突出するフランジ状の部位を有する。この径方向に突出する部位の径方向外側の端部に、この径方向に突出する部位から垂下する部位が位置している。この垂下部は、おおむね円筒形の一部分と、その後に続く径方向外側へと広がるおおむね円錐形の一部分と、その後の内側へと向いたおおむね円錐形の一部分とを有する。この最後の一部分は、径方向内側への傾きゆえに、カートリッジ据え付け部の口と協働することによって、カートリッジの軸が直立するカートリッジ据え付け部の軸に整列するようにカートリッジを案内することができる。整列は、挿入されたカートリッジとカートリッジ据え付け部の側壁との間の液体のバイパスを防止するために、シールリムがカートリッジ据え付け部の口をシールすることを保証する。シールリムの垂下部は、カートリッジが据え付け部へと挿入されるときに径方向内側へと押される。シールを維持する力は、シールリムのこの垂下部の弾性変形に起因する。
【0006】
この既知のカートリッジの問題点は、シールリムの垂下部の形状が、射出成形では比較的達成困難な点にある。例えば、分割式の型またはスライドツールが必要となり得る。
【0007】
カナダ特許出願公開第2,230,436号明細書が、注ぎ口とじょうごとを有するジャグを備えている浄水装置用のカートリッジを開示しており、じょうごは、ジャグ内へと下方を向いたじょうご管を備えている。カートリッジは、カートリッジとじょうご管との間を水が通過するのを防止するための解放可能なシール手段を有している。カートリッジは、カートリッジの表面上の仮想の第1の長手方向の線を有し、この線を、注ぎ口に最も近いじょうご管上の仮想の第2の長手方向の線に整列させることができる。カートリッジは、側壁および底部を有する外側シェルと、側壁および底部を有する内側シェルとを有する容器を備える。容器は、浄水媒体を保持するためのものである。容器およびジャグは、第1および第2の仮想の線を互いに整列させるための手段を有する。一実施形態においては、外側シェルを巡って等間隔で配置された2〜6つの外溝が存在する。整列の手段が溝および協働する突起である場合、長手方向の溝は、好ましくは、容器の閉じた下端部からカートリッジの上部へと少なくとも側壁の途中まで延びる。溝は、好ましくは、容器の閉じた下端部の近くにおいて幅および深さがより大きく、好ましくは、側壁を上方へと進むにつれて幅および深さが小さくなるように、一様に先細りである。じょうご管の内側表面は、好ましくは、内側に延びているフィン状の縦方向の突起を、じょうご管の開口した下端部から側壁の少なくとも途中まで有する。フィン状の突起は、じょうごおよび浄水ジャグに対する内側シェルの部分ドームの正確な径方向の整列を画定するのに役に立つ。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の目的は、冒頭のいくつかの段落において上述した種類の液体処理カートリッジ、液体処理システム、および方法であって、カートリッジでカートリッジ据え付け部の口を適切にシールすることができるとともに、カートリッジの比較的複雑でない製造を可能にする液体処理カートリッジ、液体処理システム、および方法を提供することにある。
【0009】
国際公開第2012/172500号パンフレットが、家庭用の水をろ過するためのろ過フィルタ装置のための交換可能なカートリッジフィルタを開示している。カートリッジは、主縦軸に沿って細長い形状を有する。カートリッジは、活性炭の顆粒、イオン交換樹脂、塩添加物、などの混合物などの従来からの組成のフィルタ床が存在するケーシングを備える。ケーシングは、ろ過されるべき液体を受け入れるための複数の入り口開口が形成された上側部分と、ろ過後の液体の流出のための2つ以上の開口部を備えるベースを有する下側部分とを、互いに間隔を空けた位置に配置し、カートリッジの縦軸に沿って並置して備えている。ケーシングは、底部までの下部を境界付ける側壁を有している。
【0010】
実際には、このようなカートリッジの下側部分および上側部分は、射出成形によって別々に製造される。下側部分は、フィルタ床で満たされた後に、多くの場合に別の場所で、場合によってはケーシング部分を製造する者とは異なる実体によって、上側部分によって閉じられる。これらのケーシング部分は、積み重ねられた状態で充てん場所へと搬送される。充てん場所では、これらのケーシング部分が、積み重ねから1つずつ取り出される。
【0011】
積み重ねが不完全であると、個々のケーシング部分が積み重ねにおいて引っ掛かった状態になり、充てんおよび組み立てのプロセスを乱すことになりかねない。
【0012】
国際公開第2010/034735号パンフレットが、家庭用の水をろ過するための散水ろ床処理装置のカートリッジを開示している。カートリッジは、フィルタ材料のための容器を備え、この容器は、上方から見たときに細長い形状である。
【0013】
本発明の独立した第2の態様の根底にある目的は、冒頭のいくつかの段落において上述した種類のハウジング部品であって、積み重ねるのに比較的よく適しているハウジング部品を提供することにある。
【0014】
第1の目的は、第1の態様によれば、外向き表面が、さらなる部位を突出させている部位に対して遠位の該外向き表面の縁に向かうにつれて外側へと広がるように、軸に対して傾けられている、ことを特徴とする本発明による液体処理カートリッジによって達成される。
【0015】
単面であるため、シールリムの少なくともさらなる部位は、ただ1つの主たる外向き表面または専用の外向き表面しか有さない。この表面に、小平面は存在しない。軸ならびにハウジングからの第1の部位の外側への突出の方向に平行な断面の平面における表面の接線の傾きは、主として軸方向に突出する部位の前縁の地点まで表面に沿って最大でも連続的に変化するにすぎない。1つの基本的に一様な傾きによって、より大きな撓みが達成される。そこまでは傾きが連続的に変化し、あるいは一定である前縁における地点は、前縁に一致し、あるいは前縁が丸みを帯びており、あるいは面取りされている場合には、前縁の直前になる。いずれの場合も、接線は、例えば平面の範囲の90%超または95%など、表面の大部分にわたって、連続的に変化する傾きまたは一定の傾きを有する。おおむね円筒形の断面を有するカートリッジの場合、表面は、円柱または円錐台の形状である。
【0016】
さらなる部分は、外側へと突出する部位の軸方向前側から突出し、外側へと突出する部位は、比較的堅固であることができる。さらなる部位は、外側へと突出する部位がさらなる部位と協働するカートリッジ据え付け部のシール面との間にないため、依然として比較的大きな距離にわたって撓むことができる。さらなる部位の外向き表面は、単面であるため、カートリッジ据え付け部に対するカートリッジの軸整列またはセンタリングの機能は、案内溝および案内溝に受け入れられることができる突出部のみが負う。シールリムを形成するための型は、単面である外面を形成するための表面だけを型内に機械加工すればよいため、形成がより容易である。案内溝と、液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部へと挿入する際に案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組と、からなる少なくとも1つのペアに関し、各ペアのそれぞれの部材が、カートリッジのハウジングの軸端壁(例えば、底壁)よりもむしろ側壁に備えられるため、これらの整列部分の公差はあまり厳しくない。それらは、中心軸から比較的離れて配置されている。
【0017】
ハウジングは、入り口を形成する少なくとも1つの液体透過性窓と、出口を形成する少なくとも1つの液体透過性窓とを有し、シールリムが、入り口を出口から分離する。ハウジングは、少なくとも1つの室を画定し、この室内に、例えば室内に保持された1つ以上の粒状の液体処理媒体の床を含む液体処理部など、液体処理部が配置される。シールが確立されると、液体は室を介してのみカートリッジ据え付け部を通って流れるように強いられ、したがって液体が処理される。
【0018】
外向き表面は、さらなる部位を突出させている部位から遠い方の縁に向かうにつれて外側に広がるように、軸に対して傾けられているので、さらなる部位は、外向き表面がカートリッジ据え付け部のシール面に順応するまでに比較的大きく撓むことができる。カートリッジ据え付け部のシール面は、一般に円錐形であり、反対の方向に先細りである。外向き表面の傾きの角度は、0〜15°の範囲の値を有することができ、例えば0〜10°または0〜5°であるが、0.5°よりも大きく、例えば1°よりも大きい値などであってよい。
【0019】
据え付け部という用語は、必ずしもカートリッジの軸方向の前端が下端であることを意味しないと理解される。カートリッジは、下向きのカートリッジ据え付け部へと下方から挿入されてもよい。
【0020】
液体処理カートリッジの一実施形態において、さらなる部位は、該さらなる部位の外向き表面が外側へと突出する部位の端面へと推移するように、外側へと突出する部位の外縁に設けられる。
【0021】
外側へと突出する部位は、比較的堅固である。外側へと突出する部位は、軸に垂直な方向に向けられている。他方で、さらなる部位は、シール面との接触の際に、好ましくは比較的大きな距離にわたって内側へと撓むべきである。さらなる部位を外側へと突出する部位の外縁に設けることにより、さらなる部位のうちの外側へと突出する部位から遠い部分が撓むことができる距離は、比較的大きくされる。一般に、シール面は、わずかに円錐形であると考えられる。外側へと突出する比較的堅固な部位の「張り出し(overhang)」を避けることによって、カートリッジを、カートリッジ据え付け部へと軸方向に比較的長い距離にわたって前進させることができ、このプロセスにおいてさらなる部位がシール面の形状に一致するように撓むことができる。
【0022】
液体処理カートリッジの一実施形態において、シールリムの外向き表面は、単面である。
【0023】
この実施形態においては、シールリム全体をより容易に製造でき、とくには比較的単純な型を使用してより容易にモールドすることができる。金型の別々の表面をきわめて正確に削る必要がない。シールリムに垂直、かつ軸に平行または軸を通過する任意の断面の平面において、外向き表面の接線の傾きは、この外向き表面に沿って連続的に変化し、あるいはこの外向き表面の縁に位置する地点または縁の付近の地点の間で一定である。一定の傾きは、最も単純である。
【0024】
液体処理カートリッジの一実施形態において、シールリムは、ハウジング部品の軸端部に設けられる。
【0025】
これは、離型を簡単にする。外側へと突出する部位は、ハウジング部品のフランジを形成する。ハウジング部品は、一方の軸端部においてシールリムで終端する。たとえ別のさらなる部位が外側へと突出する部位の軸方向後ろ側から主として軸方向に突出する場合でも、それらのさらなる部位のうちの一方だけがハウジングの側壁を囲む。
【0026】
一実施形態において、シールリムは、外側へと突出する部位の軸方向後ろ側から主として軸方向に突出する部位を備える。
【0027】
カートリッジがカートリッジ据え付け部へと下方に挿入される場合、外側へと突出する部位の軸方向後ろ側から主として軸方向に突出する部位は、直立リッジを形成する。外側へと突出する部位と協働して、液体を集めるための溝が画定される。たとえカートリッジがカートリッジ据え付け部へと他の方法で挿入されたとしても、外側へと突出する部位の軸方向後ろ側から主として軸方向に突出する部位は、さらなるハウジング部品をシールリムが設けられたハウジング部品に整列させるように働くことができ、したがって外側へと突出する部位が、ハウジング部品をさらなるハウジング部品へと結合させるためのフランジとして機能することができる。
【0028】
このようにして、一実施形態においては、外側へと突出する部位が、第1のハウジング部品のフランジを形成し、ハウジングは、フランジが設けられ、これらのフランジにおいて第1のハウジング部品に結合する第2のハウジング部品を含む。
【0029】
フランジは、例えば溶接または接着剤による接合に有用な比較的大きな安定した接触面を提供する。第2ハウジング部品のフランジは、シールリムの外側へと突出する部位を補強するが、主として軸方向に突出するさらなる部位を補強することはない。したがって、後者の部位は、比較的柔軟なままであることができる。
【0030】
一実施形態において、さらなる部位の内向き表面は、さらなる部位を突出させている部位に対して遠位の縁に、該遠位の縁に向かうにつれて外側へと広がるように軸に対して傾けられた部位を少なくとも有する。
【0031】
これにより、シールリムを含むハウジング部品が射出成形されるときに、離型がより容易に達成される。さらなる部位と外側へと突出する部位を突出させているハウジングの残りの部分との間の空間は、外側へと突出する部位から遠いさらなる部位の縁に向かうにつれて大きくなる。また、さらなる部位は、遠位の縁に向かうにつれて薄くなり、撓んでカートリッジ据え付け部の協働する表面に沿うことを容易にしている。
【0032】
一実施形態において、ハウジングの少なくとも軸方向前部は、軸に垂直な断面の平面において細長い断面を有する。
【0033】
重力駆動式の液体処理システムのためのカートリッジは、家庭用の冷蔵庫の扉に置くことができるジャグを備え、かつ/または食器棚の棚空間を効率的に使用するシステムに適していなければならない。この実施形態において、液体処理カートリッジのハウジングは、おおむね長円形であり、長軸のそれぞれの端部に位置する比較的小さい曲率半径を有する(短い)側面と、短軸のそれぞれの端部に位置する曲率がゼロまたは比較的大きな曲率半径を有する(長い)側面とを有する。シールリムの外周も、同様の形状である。したがって、カートリッジ据え付け部も、そのような形状を有することができ、カートリッジ据え付け部を備え、ジャグなどの容器内に吊り下げられるじょうごまたはホッパも、やはりそのような形状を有することができる。円柱形の容器と比較して、食器棚の棚空間がより効率的に使用され、典型的な家庭用の冷蔵庫の扉の区画に合うように設計された容器においてより多くの容積を利用することができる。
【0034】
この実施形態の一変種においては、細長い形状の幅が狭い端部に対応するハウジングの側面のうちの少なくとも1つに、ペアのうちの少なくとも1つのペアの部材が設けられる。
【0035】
側壁は、一般に、容器状のハウジング部品の側壁である。このような部品が射出成形によって製造されるとき、幅の狭い端部は、より安定であり、ゆがみを生じにくい。このような部品の長さ(細長い形状の長軸方向の寸法)は、幅よりも正確に制御することができる。したがって、部材は、幅の狭い端部に配置される場合に、比較的正確な位置および寸法とすることができる。
【0036】
ハウジングの少なくとも軸方向前部が軸に垂直な断面の平面において細長い断面を有する一変種においては、側壁に、例えば外側への膨出部が、ハウジングの少なくとも1つの長辺に設けられる。
【0037】
これは、ハウジングの長辺において側壁を補強することにより、ハウジングの長辺を補強する。
【0038】
液体処理カートリッジの一実施形態において、ハウジングは、ペアのうちの少なくとも1つのペアの案内溝を備え、例えばペアの各ペアの案内溝を備える。
【0039】
ハウジングにペアのうちの突出部が設けられたならば、突出部がカートリッジの箔梱包を損傷させる可能性があり、カートリッジの寸法の増大または所与の寸法におけるカートリッジの容積の減少につながる可能性がある。
【0040】
この実施形態の一変種において、案内溝は、側壁のくぼみとして形成される。
【0041】
したがって、側壁を比較的薄くすることができ、材料を節約することができる。くぼみは側壁を補強する。また、案内溝を有するハウジング部品の内面に膨出部がもたらされ、この膨出部が、同様のハウジング部品の積み重ねにおいて1つ上のハウジング部品を支持することができる。
【0042】
この実施形態の一変種においては、リブが、側壁の内面に設けられ、このリブは、側壁の軸方向後端に向かって軸方向に延び、くぼみに整列している。
【0043】
リブは、同様のハウジング部品の積み重ねにおいて1つ上のハウジング部品の溝に進入することができる。これにより、比較的真っ直ぐな積み重ねがもたらされ、そこからハウジング部品を1つずつ取り出すことができ、不完全な整列に起因して1つ下のハウジング部品に引っ掛かる恐れがわずかである。
【0044】
液体処理カートリッジの一実施形態においては、軸を通って側壁を含む少なくともハウジング部品を2つの半分に切断する平面が、対向する場所において側壁と交わり、ペアのうちの第1のペアの部材が、場所のうちの1つに対して平面の一方側にずらされた位置に設けられ、ペアのうちの第2のペアの部材が、場所のうちの1つに対して平面の反対側にずらされた位置に設けられる。
【0045】
これは、とくには側壁を備えたハウジング部品が同様のハウジング部品の積み重ねに配置される場合にも、傾斜の防止を改善する。また、1つ以上の突出部の案内溝へのはまり込みが比較的きつい場合に、より良好な整列を提供する。
【0046】
この実施形態の一変種においては、ペアのうちの第1のペアの部材が、場所のうちの第1の場所に対してずらされた位置に設けられ、ペアのうちの第2のペアの部材が、場所のうちの第2の場所に対してずらされた位置に設けられる。
【0047】
これは、例えばハウジングの少なくとも軸方向前部が挿入の方向に対応する軸に対して垂直な断面の平面において細長い断面を有する場合の長軸および短軸に対応する2つの互いに垂直な方向のいずれかにおける傾きの防止に役立つ。
【0048】
この特定の変種の一変種において、側壁は、ペアのうちの第3のペアおよび第4のペアのそれぞれの部材を備え、第3のペアの部材は、第1のペアの部材に対して対称に配置され、第4のペアの部材は、第2のペアの部材に対して対称に配置され、平面が対称面を形成する。
【0049】
側壁を含むハウジング部品が射出成形によって製造されるとき、この対称性は、型のより良好な充てんをもたらし、ゆがみまたは歪みの恐れが低減される。
【0050】
液体処理カートリッジの一実施形態においては、ハウジングの軸方向前端の壁が、該壁の外面の周囲部分に対する凹部を形成するくぼみを備える。
【0051】
この実施形態は、液体処理カートリッジの少なくとも一部分を受け入れるためのカートリッジ据え付け室を有しており、このカートリッジ据え付け室の端壁から中空部が突出して端壁を通過する流路を画定しているカートリッジ据え付け部における使用に適する。このような突出部は、液体処理カートリッジがカートリッジ据え付け部に配置されたときに凹部に収容される。突出部は、カートリッジ据え付け室の液体が完全には空にならないように保証する。これにより、液体処理カートリッジの少なくとも端部を液体に浸したままにすることができることが可能になり、この結果、微量作用(oligodynamic)の物質が機能し続けることができ、かつ/または膨潤した液体処理媒体が乾燥して収縮することがない。
【0052】
この実施形態の一変種において、ハウジングは、主として軸方向に凹部へと突出する突出部を備える。
【0053】
この突出部は、カートリッジおよびカートリッジ据え付け部から液体の流れを絞るように機能することができる。また、カートリッジ据え付け部に係合して、液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部に保持するさらなる軸方向の力を提供することができる。案内溝と、案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組と、からなるペアは、液体処理カートリッジがカートリッジ据え付け部に配置されるときに、突出部を、カートリッジ据え付け部のうちの該突出部と相互作用する部分に整列させるのに役に立つ。
【0054】
液体処理カートリッジの一実施形態において、ハウジングは、カートリッジ据え付け部へと挿入されたときに該据え付け部に係合して当該カートリッジに軸方向の保持力を作用させるシールリム以外の部分を備える。
【0055】
このようにして、シールリムは、シール面に密着した状態に保たれる。
【0056】
この実施形態の一変種において、軸方向の保持力を作用させる部分は、カートリッジの軸に少なくとも平行でありかつシールリムの中心が位置する軸に中心を有する。
【0057】
したがって、シールリムをシール面に対して保持する力を、シールリムの外周を巡って比較的一様にすることができる。
【0058】
ハウジングが主として軸方向に凹部へと突出する突出部を備え、ハウジングがカートリッジ据え付け部へと挿入されたときに該据え付け部に係合してカートリッジに軸方向の保持力を作用させるシールリム以外の部分を備える実施形態の一変種において、突出部は、軸方向前端において開いており、内面に少なくとも1つの突起部を備えている中空部分である。
【0059】
内面の突起部は、軸方向に向いた保持力が摩擦のみによるものではないように、形状ロックを提供することができる。
【0060】
独立した態様によれば、冒頭のいくつかの段落において上述した第2の目的は、例えば本発明による液体処理カートリッジなどの液体処理カートリッジのハウジングのためのハウジング部品であって、細長い形状の幅が狭い端部に対応する当該ハウジング部品の少なくとも1つの側面が、案内溝と、液体処理カートリッジのハウジングの少なくとも一部分をカートリッジ据え付け部へと挿入する際に案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組と、からなる少なくとも1つのペアに関し、各ペアのうちのそれぞれの外側からアクセス可能な部材を備えるとともに、側壁のうちの外側からアクセス可能な部材とは反対側の内面に、ハウジング部品同士が積み重ねられるときに対応する形状を有するさらなるハウジング部品の外側からアクセス可能な部材と係合する部分を備える、ことを特徴とするハウジング部品によって達成される。
【0061】
幅の狭い端部への配置ゆえに、側壁のうちの外側からアクセス可能な部材とは反対側の内面の部分は、カートリッジのハウジングの内部の最も狭い部分をさらに狭めることがない。また、ハウジング部品が射出成形によって作られる場合に寸法および形状を比較的正確に制御することができる端部に配置される。
【0062】
一実施形態において、細長い形状は、N回転対称であり、Nは、2の倍数であり、それぞれの部材の各々について、別のペアの同じ形状の対応する部材が、側壁の周囲の2分の1だけ離れた位置に設けられる。
【0063】
ハウジング部品がハウジングへと組み込まれたとき、液体処理カートリッジを、180°回転させても、依然としてカートリッジ据え付け部に挿入することができる。同様に、ハウジング部品が、類似のハウジング部品の積み重ねにて配置されるとき、180°離れた2つの向きのいずれかを有することができる。
【0064】
一実施形態においては、ペアのうちの少なくとも2つのペアの外側からアクセス可能な部材および側壁の内面の反対側部分が、細長い形状の幅が狭い端部に対応するハウジング部品の少なくとも1つの側面において、例えば軸に平行か、軸を通るかの少なくとも一方であり、かつ当該ハウジング部品を2つの半分に切断する平面に対して、反対方向にずらされた位置に設けられる。
【0065】
これにより、たとえ反対側部分が外側からアクセス可能な部材にぴったりとはまり込まなくても、傾斜の防止が向上する。
【0066】
一実施形態において、内面の部分は、側壁の反対側の面に位置する外側からアクセス可能な部材に対して軸方向にずらされた部分を含む。
【0067】
これは、ハウジング部品が、同様のハウジング部品の積み重ねにおいて下方のハウジング部品の中に完全には沈み込まないという事実を考慮する。
【0068】
ハウジング部品の一実施形態において、側壁には、例えば外側への膨出部が、ハウジング部品の少なくとも1つの長い方の側面に設けられる。
【0069】
これは、ハウジング部品の長い方の側面において側壁を補強することにより、ハウジング部品の長い方の側面を補強する。
【0070】
ハウジング部品の一実施形態において、例えば各ペアの外側からアクセス可能な部材など、ペアのうちの少なくとも1つのペアの外側からアクセス可能な部材は、案内溝である。
【0071】
ハウジングにペアのうちの突出部が設けられたならば、突出部がカートリッジの箔梱包を損傷させる可能性があり、カートリッジの寸法の増大または所与の寸法におけるカートリッジの容積の減少につながる可能性がある。
【0072】
この実施形態の一変種において、案内溝は、側壁のくぼみとして形成される。
【0073】
したがって、側壁を比較的薄くすることができ、材料を節約することができる。くぼみは側壁を補強する。また、案内溝を有するハウジング部品の内面に膨出部がもたらされ、この膨出部が、同様のハウジング部品の積み重ねにおいて1つ上のハウジング部品を支持することができる。
【0074】
一実施形態においては、ハウジング部品の軸方向前端の壁が、該壁の外面の周囲部分に対する凹部を形成するくぼみを備える。
【0075】
この実施形態は、液体処理カートリッジの少なくとも一部分を受け入れるためのカートリッジ据え付け室を有しており、このカートリッジ据え付け室の端壁から中空部が突出して端壁を通過する流路を画定しているカートリッジ据え付け部における使用に適する。このような突出部は、液体処理カートリッジがカートリッジ据え付け部に配置されたときに凹部に収容される。突出部は、カートリッジ据え付け室の液体が完全には空にならないように保証する。これにより、液体処理カートリッジの少なくとも端部を液体に浸したままにすることができ、この結果、微量作用の物質が機能し続けることができ、かつ/または膨潤した液体処理媒体が乾燥して収縮することがない。くぼみは、ハウジング部品の幅が狭い端部に位置する側壁の内側の部分が、ハウジング部品の内部へと突出するくぼみから比較的離れて位置するように、ハウジング部品の物体軸である軸上に中心を有することができる。
【0076】
この実施形態の一変種において、ハウジング部品は、主として軸方向に凹部へと突出する突出部を備える。
【0077】
この突出部は、カートリッジおよびカートリッジ据え付け部から液体の流れを絞るように機能することができる。また、カートリッジ据え付け部に係合して、液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部に保持するさらなる軸方向の力を提供することができる。案内溝と、案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組と、からなるペアは、このハウジング部品を含むハウジングを有する液体処理カートリッジがカートリッジ据え付け部に配置されるときに、突出部を、カートリッジ据え付け部のうちの該突出部と相互作用する部分に整列させる役に立つ。
【0078】
この変種の特定の一変種において、突出部は、軸方向前端において開いており、内面に少なくとも1つの突起部を備えている中空部分である。
【0079】
内面の突起部は、軸方向に向いた保持力が摩擦のみによるものではないように、形状ロックを提供することができる。
【0080】
別の態様によれば、第2の目的は、本発明によるハウジング部品を含むハウジングを備えている液体処理カートリッジによっても達成される。液体処理カートリッジは、本発明の第1の目的に対処する液体処理カートリッジの特徴のいずれかを含むことができる。
【0081】
別の態様によれば、本発明の根底にある第1の目的に対処する液体処理システムは、例えば本発明による液体処理カートリッジなどの交換可能な液体処理カートリッジを含み、ペアの部材が、シールリムによるカートリッジの軸とカートリッジ据え付け部の軸との整列を避けるように構成されていることを特徴とする。
【0082】
このようにして、機能の分離が存在する。シールリムは、液体処理カートリッジの少なくとも一部分が挿入されるカートリッジ据え付け部の口をシールする役割を果たすだけである。ペアの部材が、カートリッジの軸とカートリッジ据え付け部の軸との整列を担当し、均一なシールを保証する。それらは、シールリムがシール面に係合する前に、カートリッジの軸とカートリッジ据え付け部の軸とが既に整列していることを保証する。これは、各ペアの一方の部材が、液体処理カートリッジのハウジングの軸方向前部の側壁に設けられており、したがって最初にカートリッジ据え付け部に挿入されるからである。したがって、シールリムが整列の機能を果たすことがあり得ない。
【0083】
液体処理システムの一実施形態においては、カートリッジ据え付け部が、例えばペアの各ペアの少なくとも1つの突出部の組を備えるなど、ペアのうちの少なくとも1つのペアの少なくとも1つの突出部の組を備える。
【0084】
したがって、液体処理カートリッジは案内溝を備える。カートリッジのハウジングに必要な材料が少なくなり、カートリッジのハウジングにおいて、輸送時に梱包を損傷させたり、あるいは自身が損傷したりする可能性のある突出部を、比較的少数または皆無にすることができる。カートリッジ据え付け部は液体処理カートリッジよりも長い期間にわたって使用されるように意図されているので、カートリッジ据え付け部における追加の材料は、あまり問題にならない。
【0085】
液体処理システムの一実施形態において、例えばペアの各ペアの少なくとも1つの突出部の組など、ペアのうちの少なくとも1つのペアの少なくとも1つの突出部の組は、主として軸方向に延びるリブを備え、例えば主として軸方向に延びるリブで構成される。
【0086】
軸方向に整列した複数の突起の組と比較して、リブは形成がより容易である。さらに、リブは、全長にわたって溝と接触し、より多くの接触点をもたらす。また、案内溝への挿入時も同様である。
【0087】
カートリッジ据え付け部が、カートリッジのハウジングの少なくとも一部分を該カートリッジ据え付け部へと挿入することができる口と、該口から主として軸方向に延びる側壁とを備えている液体処理システムの一実施形態において、側壁は、カートリッジ据え付け部に設けられるペアの部材を備える。
【0088】
このようにして、案内ペアの部材が、口に対して軸方向に距離を置いて設けられ、それらの配置および寸法の所与の精度において、より正確な整列を可能にする。また、側壁は、シール面を提供することができる。
【0089】
この実施形態の一変種において、カートリッジ据え付け部は、該カートリッジ据え付け部へと挿入されたカートリッジのハウジングの一部分を受け入れるためのカートリッジ据え付け室を備え、側壁は、カートリッジ据え付け室の側壁に対応し、カートリッジ据え付け室の口とは反対側の軸端壁に隣接する。
【0090】
適切な弁が設けられている場合、液体処理カートリッジが正しく配置されていないときに、液体の通過を阻止するように室を閉鎖することができる。たとえそのような弁が存在しなくても、室は、たとえリザーバが空であっても液体処理カートリッジの少なくとも軸方向前端を液体に浸したままにして、液体の処理に使用されていないときも少なくともこの部分が乾燥することを防ぐことができる。これは、液体処理カートリッジが、液体と接触したときに膨潤する液体処理媒体を含む場合や、液体処理カートリッジが或る量の微量作用の物質を含む場合に、有用であり得る。
【0091】
この変種の特定の変種において、カートリッジ据え付け部は、カートリッジ据え付け室から出る液体の流れを少なくとも制限するための弁を備え、該弁は、液体処理カートリッジのカートリッジ据え付け部への挿入時に液体の流れを増加させるように液体処理カートリッジによって操作することができる。
【0092】
弁は、基本的に液体がカートリッジ据え付け室からまったく流出しない点まで液体の流れを制限することができる。カートリッジ据え付け部は、一般に、液体処理システムの上流部分を下流部分から分離するための障壁に含まれる。弁が完全に閉じると、未処理の液体は、下流部分に到達することができない。弁が、きわめて少ない流量でしか流れることができないように液体の流れを制限する場合、これは、挿入された液体処理カートリッジが正しい種類の液体処理カートリッジではない旨、または液体処理カートリッジが正しく挿入されていない旨の信号を、ユーザに提供する。
【0093】
カートリッジ据え付け部が、該カートリッジ据え付け部へと挿入されたカートリッジのハウジングの一部分を受け入れるためのカートリッジ据え付け室を備え、側壁は、カートリッジ据え付け室の側壁に対応し、カートリッジ据え付け室の口とは反対側の軸端壁に隣接する液体処理システムの実施形態において、カートリッジ据え付け部は、軸端壁の周囲部分と比べてカートリッジ据え付け室内に突出した中空部を備え、軸端壁を通る液体のための流路が、中空突出部内に設けられる。
【0094】
カートリッジ据え付け部の軸が本質的に垂直に配置された直立向きでは、カートリッジ据え付け部の口は、軸端壁よりも高い位置にあり得る。突出した中空部は、たとえカートリッジ据え付け部を含む液体処理システムが使用されていない場合でも、カートリッジ室内に特定の水位の液体を保持するように機能する。液体は、中空突出部を、流路への開口の高さまで取り囲む。軸端壁を通る他のあらゆる流路は閉鎖される。側壁を通るどのような流路も、中空突出部を通る流路内への開口よりも軸端壁からさらに離れた軸方向位置にある。
【0095】
この実施形態の一変種において、中空突出部は、軸端壁の周囲部分から遠い端部に、カートリッジのハウジングの突出部を受け入れるための開口部を有し、突出部と中空突出部との間に液体のための少なくとも1つの流路が画定される。
【0096】
このようにして、液体の流れは意図された程度まで絞られ、液体のための流路の面積が、液体処理カートリッジおよびカートリッジ据え付け部を通る流量を決定する。案内溝と、案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組との1つまたは複数のペアが、カートリッジ据え付け部への液体処理カートリッジの挿入時にカートリッジの軸とカートリッジ据え付け部の軸との整列を保証するので、カートリッジのハウジングの突出部および中空突出部への開口は、比較的きついはまり合いであってよい。
【0097】
液体処理システムの一実施形態において、カートリッジ据え付け部は、カートリッジのハウジングの少なくとも一部分を該カートリッジ据え付け部へと挿入することができる口を備え、この口は、細長い形状を有する。
【0098】
この口は、例えば長円形であってよい。例えば口を通って挿入された液体処理カートリッジの少なくとも一部分を受け入れるためのカートリッジ据え付け室など、カートリッジ据え付け部の残りの部分は、同様の細長い形状を有することができる。この種のカートリッジ据え付け部は、家庭用の重力駆動式の液体処理システムのじょうごまたはホッパへの組み込みに適する。これは、食器棚の棚空間を経済的に使用し、液体の処理または貯蔵の容量を犠牲にすることなく家庭用の冷蔵庫の扉の区画に適合するような寸法とすることができる。
【0099】
この実施形態の一変種において、カートリッジ据え付け部に設けられるペアの部材は、細長い形状の幅が狭い端部に対応するカートリッジ据え付け部の側面のうちの少なくとも1つ、例えば両方に設けられる。
【0100】
液体処理カートリッジのハウジングおよびカートリッジ据え付け部が射出成形によって製造される場合、幅が狭い端部は、より安定であるため、より正確な寸法にすることができる。カートリッジ据え付け部が、軸端壁の周囲部分に対して突出した中空突出部を有する室を含む場合、そのような部分は、一般に中心に位置する。ペアの部材と中空突出部との間の距離は、ペアの部材が細長い形状の幅の狭い端部に対応するカートリッジ据え付け部の側面に設けられるときに、最大である。
【0101】
この変種の特定の変種においては、幅が狭い端部に対応するカートリッジ据え付け部の側面のうちの少なくとも1つに、ペアのうちの少なくとも2つのペアの部材が設けられ、例えば部材は、カートリッジ据え付け部の軸に平行か、カートリッジ据え付け部の軸を通るかの少なくとも一方であり、かつ形状を2つの半分に切断する平面に対して、反対方向にずらされる。
【0102】
単一の部材と比較して、たとえ突出部が案内溝にきつくはまり合わなくても、より正確な整列が可能である。部材が反対方向に、とくに同じ距離だけずらされている場合、対称性がもたらされる。これは、カートリッジ据え付け部および液体処理カートリッジのペアの部材を含む部品が射出成形によって製造される場合に、ゆがみの防止に役立つ。
【0103】
液体処理システムの一実施形態において、障壁は、処理される液体のためのリザーバを含む。
【0104】
リザーバは、タンク、じょうご、またはホッパであってよい。この実施形態は、重力駆動式の液体処理システム、あるいは吸引ポンプおよび液体処理カートリッジをリザーバの底部に使用する液体処理システムの実施に適している。システムが比較的コンパクトであり、液体処理カートリッジが、交換のために比較的アクセス容易である。
【0105】
液体処理システムの一実施形態は、処理後の液体を集めるための容器を備え、障壁は、容器内にぶら下がるように配置される。
【0106】
これは、重力駆動式の液体処理システムの比較的コンパクトな実装である。
【0107】
別の態様によれば、本発明の根底にある第1の目的は、例えば本発明による液体処理カートリッジなどの液体処理カートリッジをカートリッジ据え付け部に配置する方法であって、カートリッジの軸およびカートリッジ据え付け部の軸を整列させるために、シールリムの代わりに、案内溝と該案内溝に受け入れられることができる少なくとも1つの突出部の組とからなるペアを使用すること、を特徴とする方法によって達成される。
【0108】
この方法の一実施形態において、液体処理システムは、本発明による液体処理システムである。
【0109】
本発明は、添付の図面を参照して、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1】先行技術のカートリッジの斜視図およびそのシールリムの拡大断面図である。
図2】重力駆動式の液体処理システムの平面図である。
図3】液体処理システムのカートリッジ据え付け部の平面断面図である。
図4図3のカートリッジ据え付け部の上面図である。
図5】内部を示すために側壁の一部が切り取られている、図3および図4のカートリッジ据え付け部の斜視図である。
図6】カートリッジ据え付け部に含まれる弁機構の断面図である。
図7図3図5のカートリッジ据え付け部に配置される液体処理カートリッジの斜視図である。
図8図7の液体処理カートリッジのハウジングの容器状部品の斜視図である。
図9図8の容器状ハウジング部品の上面図である。
図10図8および図9の容器状ハウジング部品の上部からの断面図である。
図11】内部を示すために側壁の一部が切り取られている、図8図10の容器状ハウジング部品の斜視図である。
図12図8図11の容器状ハウジング部品の内部の第1の断面図である。
図13図8図12の容器状ハウジング部品の内部の第2の断面図である。
図14】液体処理カートリッジのハウジングのキャップ状部品のフランジも示されている、シールリムの詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
重力駆動式の液体処理システムは、図示の例では家庭の冷蔵庫の扉への配置に適したジャグ(jug)1(図2)の形態の処理後の液体を収集するための容器を備える。他の種類の容器として、カラフ(carafe)および瓶が挙げられる。液体は、例えば水道管の飲料水などの水性液体であってよい。じょうごまたはホッパの形状のリザーバ2が、ジャグ1内にぶら下がっている。この目的のために、リザーバ2は、その外周の大部分を巡って延びる外側リッジ3を備えている。リザーバのリッジ3は、ジャグ1の側壁の内側の出っ張りによって支持され、この出っ張りは、ジャグ1の口に位置している。リザーバ2を内部にぶら下げたジャグ1は、蓋4によって閉じられ、蓋4には、充てん開口が画定されている。充てん開口は、閉鎖要素5によって閉じられる。リザーバ2は、使用時にリザーバ2を取り除く必要がないように、注ぎ口6に隣接して位置している。
【0112】
リザーバ2は、処理された液体をジャグ1に集められた処理後の液体から分離するための障壁として機能する。リザーバ2は、リザーバ2の付属物7に画定されたカートリッジ据え付け室を含むカートリッジ据え付け部を備える。付属物7は、リザーバ2の一体の一部分である。リザーバ2は、プラスチック製であり、一般的には、射出成形によって得ることができる。
【0113】
使用時の直立なカートリッジ据え付け部の軸8を、基準軸と定義することができる(図3)。カートリッジ据え付け室は、液体処理カートリッジ9(図7)の少なくとも一部分を挿入することができる口を一方の軸端部に有している。図示の実施形態において、口は、カートリッジ据え付け室の上端に位置する。軸方向の上方から見ると、カートリッジ据え付け室の口は、幅W1および長さL1の細長い丸みを帯びた形状を有する。同じことが、カートリッジ据え付け部の軸8に垂直な任意の断面におけるカートリッジ据え付け室の外形についても当てはまる。
【0114】
カートリッジ据え付け室は、部分的には、カートリッジ据え付け部の軸8の周囲において閉じたカートリッジ据え付け室側壁10(図3図5)によって画定されている。カートリッジ据え付け室側壁10の内面の上部は、シール面11を形成している。シール面は、カートリッジ据え付け室の口に向かって広がるように、カートリッジ据え付け部の軸8に対してわずかに傾けられている。シール面は、別の実施形態においては、カートリッジ据え付け部の軸に平行であってもよい。
【0115】
カートリッジ据え付け室側壁10は、カートリッジ据え付け室の口とは反対側の軸端部に位置するカートリッジ据え付け室底壁12に隣接している。カートリッジ据え付け室底壁12は、カートリッジ据え付け室底壁12の周囲部分に対してカートリッジ据え付け室へと突出する中空突出部13を備えている。カートリッジ据え付け室側壁10、カートリッジ据え付け室底壁12、および中空突出部13は、図示の実施形態においては、リザーバ2の一体の一部分である。中空突出部13および/またはカートリッジ据え付け室底壁12は、別の実施形態においては、リザーバ2へと接合された別個の部品であってもよい。
【0116】
中空突出部13は、カートリッジ据え付け室底壁12の周囲部分から遠い軸端部に開口を有する液体チャネルを画定する。反対側の軸端部の開口が、使用時に液体をジャグ1へと排出する開口部をカートリッジ据え付け室底壁12に形成している。図示の実施形態において、カートリッジ据え付け室底壁12およびカートリッジ据え付け室側壁10は、これ以外のやり方で液体を通すことはない。複数のリッジ14a、14bが、カートリッジ据え付け室底壁12の周囲部分から遠い中空突出部13の軸端部の開口に設けられている。これらのリッジ14a、14bは、使用時に液体がリッジ14a、14bの間を通過することを可能にするスリット15a、15b(図4)を画定する。したがって、たとえリッジ14a、14bによって縁取られた中央開口部が塞がれている場合でも、液体は、依然としてカートリッジ据え付け室から出ることができる。別の実施形態においては、ただ1つのスリット15を画定するように1つの位置で中断されたただ1つのリッジ14が存在してもよい。しかしながら、図示の実施形態においては、カートリッジ据え付け部の断面の細長い形状の長軸と整列した2つのスリット15a、15bが存在する。
【0117】
カートリッジ据え付け室側壁10の内面には、カートリッジ据え付け室へと突出する案内リッジ16a〜16dが設けられている。これらの案内リッジ16a〜16dは、カートリッジ据え付け部の断面および口の細長い形状の幅の狭い端部に対応するカートリッジ据え付け部の側面に設けられている。案内リブ16a、16bの第1のペアが、一方の側面に設けられ、案内リブ16c、16dの第2のペアが、反対側の側面に設けられている。カートリッジ据え付け部の軸8および細長い形状の短軸を通過してカートリッジ据え付け室側壁10を2つの半分に切断する平面に対して、ペアは互いの鏡像であり、この平面は対称面を形成している。同じことが、カートリッジ据え付け部の軸8および細長い形状の長軸を通過してカートリッジ据え付け室側壁10を2つの半分に切断する平面に対する各ペアの案内リブ16a〜16dにも当てはまる。したがって、ペアを形成している案内リブ16a〜16dは、この平面に対して反対方向に同じ距離だけずらされている。結果として、第3の案内リブ16cは、第1の案内リブ16aに対して、カートリッジ据え付け室の外周に沿って180°移動した位置にある。第4の案内リブ16dは、第2の案内リブ16bに対して180°移動した位置にある。
【0118】
弁(図6)が、中空突出部13によって画定されたチャネル内に設けられる。弁は、2つの構成要素、すなわち弁本体17および可動な弁構成要素18を有する。可動な弁構成要素18は、この例では、カートリッジ据え付け部の軸8を中心にして回転するように支持されている。また、弁本体17に対して限られた範囲内で軸方向に移動可能である。少なくとも可動な弁構成要素18は、例えば水などの処理対象の液体の密度よりも大きい密度を有する材料で作製され、したがって液体に沈められたときに浮かぶことがない。
【0119】
弁本体17は、中空突出部13の内面に合わせた形状に形成された径方向外向きの表面を有する。弁本体17は、中空突出部13および/またはカートリッジ据え付け室底壁12に、例えば接合によって結合する。接合は、例えば接着剤による結合であってよい。可動な弁構成要素18は、非固定の構成要素である。その移動範囲は、中空突出部13の内面のリッジ14a、14bおよび弁本体17によって制限される。弁本体のフランジ19が、弁本体17を中空突出部13へとどの程度まで挿入できるかを制限する。また、弁本体のフランジ19は、中空突出部13と弁本体17との間の液体の通過の防止に貢献することができる。
【0120】
可動な弁構成要素18の駆動部が、弁本体17から遠い軸端部に位置し、一連の螺旋溝20a〜20cを備える。溝20a〜20cの各々は、弁駆動装置のフォロワまたは他の係合要素を溝20a〜20cへと進入させることができるよう、弁本体17から遠い可動な弁構成要素18の軸端部に最も近い端部において開いている。螺旋溝20a〜20cは、そのような進入を容易にするために、軸方向に開いた端部に向かって広がっている。そのような進入が生じると、可動な弁構成要素18は回転する。この回転と、弁本体17が可動な弁構成要素18を支持する接触の傾斜面とにより、可動な弁構成要素18が、弁本体17内に画定された弁座から持ち上げられる。これにより、弁を通る液体の流れが増加する。この持ち上げられた位置において、可動な弁構成要素18は、弁駆動装置の軸方向移動に対向する軸方向に向けられた力も及ぼす。図示の実施形態において、液体処理カートリッジ9は、後述されるように、弁が液体処理カートリッジ9のカートリッジ据え付け部への保持を助けるように、適切な弁駆動装置を備える。
【0121】
液体処理カートリッジ9(図7)は、容器状のハウジング部品21とキャップ状のハウジング部品22とを備えるハウジングを含む。キャップ状のハウジング部品22は、容器状のハウジング部品21を容器状のハウジング部品21の開放端において閉じ、したがって両者によってカートリッジ室が囲まれる。
【0122】
カートリッジ室には、液体処理部が設けられている。液体処理部は、粒状の液体処理媒体の床を含むことができる。粒状の液体処理媒体は、自身に接触する液体を例えば収着(イオン交換を含む)または溶離などの拡散プロセスによって処理するための物質を含むことができる。特定の例において、物質は、例えばイオン交換によって液体を処理するための物質ならびに重金属および有機汚染物質のうちの少なくとも1つの吸着または吸収のための物質のうちの少なくとも1つなど、収着によって液体を処理するための物質を含む。イオン交換によって液体を処理するための物質は、例えば水素の形態の陽イオン交換樹脂など、イオン交換樹脂を含むことができる。水素の形態の弱酸性の陽イオン交換樹脂は、単位体積当たりの容量が比較的大きい。粒状の液体処理媒体のいくつかは、微量作用の物質による含浸および/またはコーティングが可能である。
【0123】
液体処理カートリッジ9がカートリッジ据え付け部へと正しく挿入されたときにカートリッジ据え付け部の軸8に基本的に整列する本明細書においてカートリッジの軸と称される基準軸23(図11図12)を、画定することが可能である。カートリッジの軸23は、少なくとも容器状のハウジング部品21の物体軸であり、この例では液体処理カートリッジ9のハウジングの物体軸である。
【0124】
図示の実施形態において、液体処理カートリッジ9は、カートリッジ据え付け部へと下方に挿入される。したがって、キャップ状のハウジング部品22は、カートリッジハウジングの後方の軸端部を画定する。キャップ状のハウジング部品22は、単一の射出成形によるハウジング部品である。キャップ状のハウジング部品22は、中央ドーム24およびフランジ25を備える。入り口を形成する液体透過性窓26a、26bが、フランジ25の高さに設けられている。通気孔27a、27bが、ドーム24に設けられている。液体処理カートリッジ9内に画定された室から粒状の液体処理媒体が出ることがないように、キャップ状のハウジング部品22と容器状のハウジング部品21との間にメッシュ(図示せず)を介在させることができる。プルリング28a、28bが、液体処理媒体の処理能力が使い果たされたとき、または液体処理カートリッジの最大寿命(例えば、微生物学的考察に基づく)に達したときにカートリッジ据え付け部からの液体処理カートリッジ9の取り外しを容易にするために設けられる。
【0125】
容器状のハウジング部品21は、成形された部品であり、例えば射出成形による部品である。容器状のハウジング部品21は、一体のシールリム29を、キャップ状のハウジング部品22によって閉じられる軸端部に備えている。これは、カートリッジ据え付け部への挿入の方向に関して軸方向における後端である。
【0126】
容器状のハウジング部品21の他の部分と同様に、シールリム29は、軸23に沿って見たとき、幅W2および長さL2(図9)を有するおおむね長円形の形状を有する。
【0127】
容器状のハウジング部品21は、反対側の軸端部にカートリッジ底壁30を有する。カートリッジ底壁30のくぼみ31が、カートリッジ底壁30の外面の周囲部分に対して凹部を形成している。この周囲表面は、液体処理カートリッジ9を倒れることなく支持面上に配置できるように平坦である。出口を形成する液体透過性窓32a、32bが、くぼみ31に隣接してカートリッジ底壁30に画定される。窓32a、32bは、容器状のハウジング部品21およびキャップ状のハウジング部品22によって画定される室内に任意の粒状の液体処理媒体を保持するための格子構造を備える。
【0128】
突出部33が、凹部の口の反対側のくぼみの壁部分から凹部へと突出している。図示の実施形態において、突出部33は、凹部内に完全に収容されている。これも、液体処理カートリッジ9を支持面上に転倒させることなく配置することを可能にする。さらに、液体処理カートリッジ9を、より容易に箔にて包装することができ、輸送中の箔包装の破れの恐れがない。また、容器状のハウジング部品21を、より容易に同様の容器状のハウジング部品21の積み重ねに配置することができる。
【0129】
突出部33は、中空である。突出部33は、液体処理カートリッジ9がカートリッジ据え付け部へと挿入されるとき、可動な弁構成要素18の駆動部を受け入れるように構成されている。図示の実施形態は、突出部33のより容易な径方向の圧縮を可能にするスリットによって自由な軸端部において中断されている点を除き、おおむね円筒形の形状を有する。突出部33の外径は、突出部33をカートリッジ据え付け部の中空突出部13へと挿入することを可能にする。中空突出部13は、この工程においてリッジ14a、14bに接触でき、実際は締まり嵌め(friction−fit)をもたらすために圧縮されてよい。別の実施形態においては、リッジ14a、14bの背後にスナップ係合(snap)するビードを、突出部33の外面に設けることができる。
【0130】
くぼみ31によって画定される凹部の直径は、中空突出部13が液体のための空間を残しつつ凹部に受け入れられるような直径である。したがって、使用時に、液体は、液透過性窓32a、32bから出た後に、凹部の側壁と中空突出部13との間を上方に通過し、リッジ14a、14bの間のスリット15a、15bを介して中空突出部13に入る。
【0131】
突出部33の内面には、突出ねじ山部分34(図12)が設けられている。これらは、液体処理カートリッジ9がカートリッジ据え付け部へと出し入れされるときに螺旋溝20a〜20cと協働して弁を動作させるためのねじ駆動機構を形成する。この実施形態において、ねじ山部分34の数は、螺旋溝20a〜20cの数よりも少ない。ねじ山部分34は、突出部33と同様に、カートリッジの軸23上に中心を有する。説明したように、それらは、ひとたび挿入された液体処理カートリッジ9をカートリッジ据え付け部に保持する追加の軸方向の力を作用させることができる。
【0132】
容器状のハウジング部品21は、カートリッジの軸23の周りで閉じたカートリッジ側壁35をさらに備える。シールリム29とカートリッジ底壁30との間の軸方向位置において、容器状のハウジング部品21は、カートリッジの軸23に垂直な断面の平面において細長い断面を有する。この形状は、丸みを帯びており、例えばおおむね長円形であり、2つの対称軸を有する。カートリッジのハウジングの残りの部分およびカートリッジ据え付け部と同様に、この形状は、カートリッジの軸23に関して2回転対称であり、したがって液体処理カートリッジ9を180度離れた2つの向きのいずれかにてカートリッジ据え付け部に配置することができる。
【0133】
カートリッジ側壁35は、カートリッジ側壁35のそれぞれの長辺に、外側への膨出部36a、36bを備えている。
【0134】
外部からアクセス可能な案内溝37a〜37dを形成するくぼみが、細長い断面形状の幅の狭い端部に対応するカートリッジ側壁35の側面に設けられている。これにより、案内溝37a〜37dを形成するくぼみがカートリッジ側壁35の幅の広い方の端部に対応する側面に画定される場合と比べ、カートリッジ底壁30のくぼみ31とカートリッジ側壁35との間により多くの空間を確保することができる。さらに、幅の狭い端部に対応する側面は、射出成形されたときにゆがみにくい。したがって、案内溝37a〜37dの位置および寸法を、比較的正確なものにすることができる。
【0135】
案内溝37a〜37dは、液体処理カートリッジ9がカートリッジ据え付け部に挿入されるときに案内リブ16a〜16dを受け入れるように配置される。案内溝37a〜37dは、カートリッジの軸23のカートリッジ据え付け部の軸8との整列を保証するように軸方向に延びている。案内溝37a〜37dは、挿入の方向に対してカートリッジ側壁35の軸方向前部、すなわち下部に設けられている。しかしながら、案内溝37a〜37dは、液体処理カートリッジ9のハウジングの軸端部に行き着くまで延びている必要はなく、すなわちカートリッジ底壁30への移行部に行き着くまで延びている必要はない。
【0136】
外部からアクセス可能な案内溝37a〜37dを画定するくぼみは、カートリッジ側壁35の内側に案内溝37a〜37dよりもわずかに幅広い膨出部を画定する。積み重ねリブ38a〜38dが、膨出部と整列しているが、キャップ状のハウジング部品22によって閉じることができる容器状のハウジング部品21の開口部に向かって軸方向にずらされている。したがって、積み重ねリブ38a〜38dは、容器状のハウジング部品21の上にさらなる容器状のハウジング部品21が積み重ねて配置されるときに、さらなる容器状のハウジング部品21の案内溝37a〜37dに進入することができる。これは、典型的には、容器状のハウジング部品21が、容器状のハウジング部品21を製造した射出成形機から、粒状の液体処理媒体を充てんしてキャップ状のハウジング部品22と組み立てる場所まで輸送されるときに、行われると考えられる。上方の容器状のハウジング部品21の各々は、案内溝37a〜37dを画定するくぼみによって形成された膨出部の軸端部に載せ置かれ、積み重ねリブ38a〜38dが、積み重ねが真っ直ぐであることを保証する。したがって、容器状のハウジング部品21を、比較的容易に積み重ねから取り出すことができる。
【0137】
第1および第2の案内溝37a、37bを画定するくぼみが、長円形の断面形状の幅の狭い端部に対応する容器状のハウジング部品21の一方の側面に設けられている。第3および第4の案内溝37c、37dを画定するくぼみが、長円形の断面形状の幅の狭い端部に対応する容器状のハウジング部品21の反対側の側面に設けられている。対称面は、カートリッジの軸23を通って一方の幅の狭い端部から他方の幅の狭い端部まで、容器状のハウジング部品21を2つの半分に切断する。第1の案内溝37aおよび第2の案内溝37bは、この対称面に対して反対方向に同じ距離だけずらされている。第3および第4の案内溝37c、37dについても同様であり、上記の距離は、4つの案内溝37a〜37dのすべてについて同じである。この距離は、容器状のハウジング部品21の幅W2の半分よりも小さい。ペアにての配置は、カートリッジ底壁30が案内溝37a〜37dを形成するくぼみによって形成された複数の膨出部の軸端部に載せ置かれるがゆえに、たとえ積み重ねリブ38a〜38dが案内溝37a〜37dよりも狭い場合であっても、より良好な積み重ねを可能にする。さらに、上述の対称性は、容器状のハウジング部品21を射出成形によってより容易に製造することも可能にする。
【0138】
カートリッジの軸23を通り、かつ上記第1の対称面に垂直な第2の対称面も、容器状のハウジング部品21を2つの半分に切断する。第1および第2の案内溝37a、37bは、この第2の対称面に対して第3および第4の案内溝37c、37dの鏡像である。第1および第2の両方の平面に対する対称性により、液体処理カートリッジ9を、カートリッジの軸23を中心にして180°回転させても依然としてカートリッジ据え付け部に収めることができる。
【0139】
案内溝37a〜37dおよび案内リブ16a〜16dは、案内溝37a〜37dがカートリッジ側壁35の軸方向前部に設けられているがゆえに、シールリム29がシール面11に接触する前にカートリッジの軸23をカートリッジ据え付け部の軸8に整列させるように機能する。シールリム29は、シールを提供するという機能だけを果たす。図示の実施形態において、シールリム29は、製造プロセスにおいてキャップ状のハウジング部品22を整列させるうえでも役に立つ。
【0140】
この例のシールリム29は、この例では、おおむねカートリッジ側壁35の軸方向後端に設けられている。シールリムは、カートリッジ側壁35の隣接する部分に対して外側へと突出するフランジ状の部位39を含む(図14)。
【0141】
キャップ状のハウジング部品22と容器状のハウジング部品21とは、フランジ25およびフランジ状の部位39において、例えば接着剤による接合または溶接によって一体に結合させられる。
【0142】
シールリム29の垂下部40が、フランジ状の部位39の外縁に設けられ、フランジ状の部位39の軸方向前側から主として軸方向に突出している。このようにして、カートリッジ側壁35と垂下部40との間に、垂下部40がシール面11との接触時に撓むことができる空間41が画定される。垂下部40は、軸方向前縁に向かって先細りであることからも、比較的柔軟である。フランジ状の部位39は、比較的堅固である。実際、フランジ状の部位39は、フランジ25によって補強される。
【0143】
シールリム29の直立部42も、フランジ状の部位39の外縁に設けられる。直立部42は、フランジ状の部位39の軸方向後ろ側から主として軸方向に突出する。直立部42は、キャップ状のハウジング部品22を容器状のハウジング部品21に整列させるように機能する。また、直立部42は、リザーバ2がほぼ空のときに、処理対象の液体を集めて入り口を形成している液体透過性窓26a、26bへと導くうえでも役に立つ。
【0144】
シールリム29の外向き表面43は、一方が他方へと推移するように連続的な表面であるフランジ状の部位39の垂下部40および直立部42の外向きの表面によって構成されている。実際には、おそらくは丸みを帯びており、あるいは面取りされている軸方向における縁部を除き、外向き表面43の全体が単面である。隣接する表面部分の間にエッジは存在しない。
【0145】
図示の実施形態において、外向き表面43は、カートリッジの軸23に平行またはカートリッジの軸23を通過し、かつシールリム29に垂直である任意の断面の平面において見たとき、直線状である。
【0146】
外向き表面43は、(フランジ状の部位39から遠位の垂下部40の縁に対応する)軸方向前縁に向かって外側へと広がるように、カートリッジの軸23に対して傾けられている。傾きの角度は、1°〜5°である。傾きは、垂下部40が空間41へと内側に撓むことができる角度を大きくする。外向きの傾きは、シールリム29が、カートリッジの軸23をカートリッジ据え付け部の軸8に整列させるようには機能できないことを意味するが、これは、上述したように、必要ではない。フランジ状の部位39は、比較的堅固であり、キャップ状のハウジング部品22のフランジ25によって補強されているので、垂下部40は、フランジ状の部位39の外縁を中心にして回転するように撓む。このプロセスにおいて、垂下部40がシール面11に順応する。
【0147】
垂下部40の内向き表面44は、カートリッジ側壁35に面し、やはり傾斜している。シールリム29のフランジ状の部位39に近位の部分は、シールリム29のフランジ状の部位39から遠位であり、垂下部40の軸方向前縁まで延びている部分と比べて、より小さい傾斜角度を有する。両方の傾斜角度は、垂下部40とカートリッジ側壁35との間の空間41が、垂下部40の軸方向前縁に向かうにつれて広がるような傾斜角度である。これは、射出成形による容器状のハウジング部品21の作製をより容易にするとともに、外向き表面43のうちの垂下部40の外向き表面が構成する部分を、シール面11により順応できる程度を増加させるようにする。
【0148】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の技術的範囲において変更が可能である。例えば、シールリム29の直立部42は、省略されてもよい。図示の実施形態においては、積み重ねリブ38a〜38dが案内溝37a〜37dを形成しているくぼみにつながっているが、代案においては、両者の間に空間が存在してもよい。
【符号の説明】
【0149】
1 ジャグ
2 リザーバ
3 リザーバのリッジ
4 蓋
5 閉鎖要素
6 注ぎ口
7 付属物
8 カートリッジ据え付け部の軸
9 カートリッジ
10 カートリッジ据え付け室側壁
11 シール面
12 カートリッジ据え付け室底壁
13 中空突出部
14a、14b 中空突出部の内側のリッジ
15a、15b スリット
16a〜16d 案内リブ
17 弁本体
18 可動な弁構成要素
19 弁本体のフランジ
20a〜20c 螺旋溝
21 容器状のハウジング部品
22 キャップ状のハウジング部品
23 カートリッジの軸
24 ドーム
25 キャップ状のハウジング部品のフランジ
26a、26b 入り口を形成している液体透過性窓
27a、27b 通気開口
28a、28b プルリング
29 シールリム
30 カートリッジ底壁
31 くぼみ
32a、32b 液体出口を形成している液体透過性窓
33 カートリッジの突出部
34 ねじ山部分
35 カートリッジ側壁
36a、36b 膨出部
37a〜37d 案内溝
38a〜38d 積み重ねリブ
39 シールリムのフランジ状の部位
40 シールリムの垂下部
41 垂下部とカートリッジ側壁との間の空間
42 シールリムの直立部
43 シールリムの外向き表面
44 垂下部の内向き表面
図1
図2
図3
図4
図5
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図12
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図14